JP3870245B2 - 水田の用水管理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水田に対する灌漑用水の供給及び排出を自動的に管理を行う用水管理システムに関する。更に詳しくは、必要最小限の用水を各耕作区に供給することによって、水田全体に亘って万遍なく用水が供給できると共に、各耕作区の水位を常に一定に維持できる水田の用水管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は従来の水田構造を示す概略平面図であって、河川1を流れる水は水路2から上流側の幹線給水路3に導かれて水田4に供給されるようになっている。水田4は畦畔41によって複数の耕作区42に区分されており、長手方向に延びる農道40の側方には、それぞれ耕作区42に沿って開放型の給水路31が設けられている。
給水路31の上流側は前記幹線給水路3と接続されており、各耕作区42に面した給水路31の側壁には給水口311が設けられている。図12に示した如く、用水は各給水口311から各耕作区42に供給されるようになっている。
【0003】
また、前記給水路31の反対側に位置する水田4,4の間には、開放型の排水路32が設けられている。
各耕作区42に面した排水路32の排水口には水位設定器43が設けられており、当該設定器43の高さ調整を行うことによって、それぞれの耕作区42の田面水位を一定の高さに維持できるようになっている。
排水路32の下流側は幹線排水路33と接続しており、排水路32に放出された余剰の用水は水路34から河川1に還流されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この水田構造では、給水路31を流れる用水は、給水路31の上流側に位置する供給口311から耕作区42に流入する。そして、耕作区42に供給された用水は水位設定器43によって一定の水位に維持されると共に、余剰の用水が排水路32に排出される。
この様にして、上流側から下流側の耕作区42に向かって用水が順次供給されていくため、下流側の耕作区42ほど用水の供給が不足がちとなる。特に、日照りが続く旱魃期には、下流側の耕作区42に殆ど用水が供給されなくなり、稲の生育不良によって収穫料が減少するということがあった。
【0005】
また、各水路が開放型となった従来の水田構造では、給水路31や排水路32の占有幅だけ耕作区42や農道40のスペースが狭くなるため、農地を有効利用できないという問題もあった。
更には、上方が解放した各水路には、土砂等が落下して堆積し易いため、土砂等の排出作業が頻繁に行なわなければならず、水路管理が煩わしいという問題もあった。
【0006】
【課題を解決する手段】
本発明は、上記問題を解決した水田の用水管理システムを提供しようとするもので、その要旨は、(1)複数の耕作区に区分された水田の用水管理システムであって、少なくとも給水パイプと水位調整パイプとを耕作区の一側面に埋設し、給水パイプには各耕作区に用水を供給する給水弁を備え、また水位調整パイプには各耕作区の田面水位を一定に維持するための水位設定器を備えたことを特徴とする水田の用水管理システムである。
(2)複数の耕作区に区分された水田の用水管理システムであって、少なくとも給水パイプと排水パイプとを耕作区の一側面に埋設し、給水パイプには各耕作区に用水を供給する給水弁を備え、また排水パイプには各耕作区の余剰水を排出する排水弁を備えたことを特徴とする水田の用水管理システムである。
(3)給水弁は、垂直に立ち上る外筒と、該外筒の内側に上下方向に移動自在に垂設されてその下端部が給水パイプと接続した内筒とからなり、該内筒の上端からオーバーフローした用水が外筒の中間に突出して設けられた分岐部から各耕作区に給水されるようにしたことを特徴とする上記(1)または(2)の水田の用水管理システムである。
(4)水位設定器は、垂直に立ち上る外筒と、該外筒の内側に上下方向に移動自在に垂設されてその下端部が下流側の水位調整パイプと接続した内筒とからなり、外筒の中間位置に突出して設けられた分岐部に上流側の水位設定パイプと、各耕作区に連通する給水パイプとが接続されており、分岐部から外筒に流入した用水が内筒の上端からオーバーフローして筒内に流入し、下流側の水位設定パイプに排出されるようにしたことを特徴とする上記(1)の水田の用水管理システムである。
(5)排水弁は、垂直に立ち上る外筒と、該外筒の内側に上下方向に移動自在に垂設されてその下端部が排水パイプと接続した内筒とからなり、外筒の中間位置に突出して設けられた分岐部から外筒内に流入した用水が内筒の上端からオーバーフローして筒内に流入し、排水パイプに排出されるようにしたことを特徴とする上記(2)の水田の用水管理システムである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の水田の用水管理システムの実施の形態の一例を示す概略平面図、図2は一区画の用水管理に用いられる給水弁と、水位設定器と、排水弁の配管概略図である。
水田4の内部は短手方向に延びる畦畔41によって複数の耕作区42に区分されている。各耕作区42は、例えば長辺が100〜200m程度、短辺が30〜100m程度の長方形に区分され、ほぼ平坦に整地されている。
【0008】
また、水田4の側方には、その長手方向に沿って農道5が設けられている。農道5の上面は、その中央部が従来の農道とほぼ同じ幅寸法の平坦面に形成されており、この平坦面の片側または両側に、水田4側に向かって下がり勾配となった傾斜面51が形成されている。
傾斜面51は、従来の農道に沿って設けられていた用水路や排水路を撤去して埋め戻しを行った部分である。このため、農道5は従来の農道よりもかなり広幅になっており、トラクター等を旋回させて方向変更したり、農道5の片方を駐車スペースとして利用できるようになっている。
【0009】
図1の右側に示した一方の農道には、その傾斜面51の下方に給水パイプ6Aと、水位調整パイプ6Bと、排水パイプの三本のパイプが埋設されている。また、各耕作区42と対応したそれぞれの位置には、給水弁7A、水位設定器7B、排水弁7Cとが設置されている。そして、各給水弁7Aは給水パイプ6Aと、各水位設定器7Bは水位調整パイプ6Bと、各排水弁7Cは排水パイプ6Cと、それぞれ接続されている。
【0010】
図1の左側に示した農道5、即ち水田4、4によって挟まれた農道5
には、中央に給水パイプ6Aと排水パイプ6Cが一本ずつ埋設されており、その両側に水位調整パイプ6Bが一本ずつ埋設されている。農道5の両側に位置する各耕作区42の側縁には、給水弁7Aと水位設定器7Bと、排水弁7Cとが設置されている。そして、各給水弁7Aは給水パイプ6Aと、各排水弁7Cは排水パイプ6Cとそれぞれ接続されており、各水位調整器7Bは最寄りの水位調整パイプ6Bと接続されている。
【0011】
各給水パイプ6Aの上流側は幹線給水路3aに接続されており、その下流側は幹線排水路3bに接続している。
また、各水位調整パイプ6Bと、各排水パイプ6Cの上流側は、最も上手の耕作区42に設置された水位設定器7Bと、排水弁7Cとに接続されており、それぞれのパイプ6B、6Cの下流側は幹線排水路3bと接続している。尚、図示されていないが、幹線給水路3aには河川から水を引き込むための水路が接続されており、また幹線排水路3bに放出された用水や雨水は河川に還流されるようになっている。
【0012】
上記の実施例においては、各耕作区42の一側面に給水パイプ6Aと、水位調整パイプ6Bと、排水パイプ6Cの三本のパイプを埋設したものについて詳述したが、この例に限らず当該三本のパイプ内で、少なくとも給水パイプ6Aと水位調整パイプ6Bとの二本のパイプを埋設するか、或いは給水パイプ6Aと排水パイプ6Cとの二本を埋設した装置であっても、本発明の用水管理システムの主要機能は十分達成される。
【0013】
図3は給水弁の断面図であり、給水弁7Aは、垂直状態になった円筒状の外筒71を有している。外筒71の側壁の中間位置には水平方向に突出する分岐部72が設けられており、当該分岐部72から耕作区42に用水が供給されるようになっている。
【0014】
また、外筒71の側面の中間位置には、図4に示した如く、前期分岐部72とほぼ同じ高さで、90度ずれた位置に分岐部72aが水平方向に突出して設けられている。給水弁7Aの分岐部72aには、パイプ79を介して隣接する水位設定器7Bが接続されている(図2及び図7参照)。
【0015】
外筒71の下端には、継手部73が一体に接続されている。この継手部73は、下側になるにつれて順次縮径した円錐台上になっており、その下端部に支持筒74の下端部が嵌挿されて同芯状に支持されている。支持筒74は継手部73に固定されて上方に立ち上げられており、その上端部は分岐部72、72aとほぼ同じ高さに設定されている。
【0016】
支持筒74には、連結管部75が嵌挿されて同芯状に支持されている。この連結管部75の下端部は、支持筒74から下方に延出した状態になっており、その下端部に曲管継手61が接続している。また曲管継手61は略S字状に屈曲し、その他端部が給水パイプ6Aと接続している。
【0017】
図5は図3におけるS部の拡大断面図であって、支持筒74の上端部にはリング状のシール部材76が嵌合されている。このシール部材76は、支持筒74の上端面を覆った状態で、当該支持筒74の上端部に固定されている。
シール部材76の外周にはフランジ状の鍔76aが設けられており、当該鍔76a上にシールリング76bが装着されている。シールリング76bは外筒71の内周面と緊密に密着嵌合して、外筒71と支持筒74との間を水密的にシールしている。
【0018】
支持筒74内に嵌挿された連結管部75の上端部は、支持筒74の上端近傍に位置しており、その外周面に設けられた環状凹溝にOリング75bが装着されている。Oリング75bは支持筒74の内周面と緊密に密着嵌合して、支持筒74と連結管部75との間を水密的にシールしている。
【0019】
支持筒74の上端部に固定されたシール部材76の内周部には、内筒77が同芯状、かつ上下方向にスライド自在に支持されている。内筒77の上端及び下端はそれぞれ開放された状態となっており、その外周面がシール部材76によって水密的にシールされている。
【0020】
内筒77の内面には、操作ロッド78の下端部が垂直状態に取り付けられてる。内筒77から上方に立ち上がる操作ロッド78の上部は、外筒71の上部から突出して支持されており、その上端部にハンドルが設けられている
【0021】
前記外筒71の上部片側には、開口部が設けられている。この開口部から外筒71の内部を見通せるようになっており、内筒77の上端からオーバーフローした用水が耕作区42に供給される様子を農作業者が目で確認できるようになっている。
【0022】
また、給水管6Aと給水弁7Aとを連結する曲管継手61には、ゲートバルブ8が設けられている。当該ゲートバルブ8を構成するハウジング83内には楔状のゲート81が上下方向にスライド自在に配設されている。
ゲート81には上方に立ち上がるシャフト82の下端部が接続しており、当該シャフト82は筒体84によって保護されている。
【0023】
ゲートバルブ8は地上から操作できるようになっており、シャフト82を下げてゲート81で曲管継手61の通路を遮断したとき、給水管6Aから給水弁7Aへの用水の通路が遮断される。
また、ゲート81を引き上げて曲管継手61の通路を開放すると給水管6Aから給水弁7Aに用水が流れ、各耕作区42に用水が供給されようになっている。
【0024】
このような構成からなる給水弁7Aとゲートバルブ8とが、各耕作区42に面した農道5の傾斜面51に垂直状態で埋設されている。これと同様に、農道の傾斜面51には水位設定器7Bと排水弁7Cとが垂直状態で埋設されている。
【0025】
図6は水位設定器7Bの断面図であって、前述した給水弁7Aとほぼ同様な構成からなっている。図中の同符号は同意義を有するので、その説明は省略する。給水弁7Aと相違する点のみを説明すると、外筒71の側壁の中間位置には分岐部72bが突出して設けられており、当該分岐部72bに水位調整パイプ6Bの上流側と、給水弁7Aとが接続されている。
【0026】
図2及び図7に示した如く、水位設定器7Bの分岐部72bは、パイプ63を介して水位調整パイプ6Bの上流側に接続されると共に、パイプ79を介して給水弁7Aに接続されている。また、外筒71の下端部から突出した連結管部75の下端部は、継手62を介して水位調整パイプ6Bの下流側に接続されている。
【0027】
水位設定器7Bの外筒71の上部片側は、半円筒状に切り欠かれており、この切り欠き部から外筒71の内側を見通せるようになっている。外筒71の内側上部には、上下方向に目盛り711が設けられており、当該目盛り711と対応する操作ロッド78の適所に指針781が取り付けられている。
農作業者が操作ロッド78を上下に移動させて指針781を目盛り711に合わせたとき、目盛り711で表示される高さ位置に内筒77の上端面の高さが設定されるようになっている。
【0028】
図8は排水弁7Cの断面図であって、当該排水弁7Cは農道5の傾斜面51に垂直状に埋設されている。排水弁7Cは、前述した水位設定器7Bとほぼ同様な構成からなっており、図中の同符号は同意義を有するので、その説明は省略する。
この排水弁7Cの場合には、外筒71の側壁の中間位置に分岐部72cが突出して設けられている。
耕作区42に供給された余剰の用水は排水弁7Cの分岐部72cに還流するようになっており、連結管部75の下端部は継手64を介して排水パイプ6Cに接続している。
【0029】
この排水弁7Cの場合にも、外筒71の内側上部には、上下方向に目盛り711が設けられており、当該目盛り711と対応する操作ロッド78の適所に指針781が取り付けられている。
農作業者が操作ロッド78を上下に移動させて指針781を目盛り711に合わせたとき、目盛り711で表示された高さ位置に内筒77の上端面の高さが設定されるようになっている。
【0030】
以上の構成からなる給水弁7A、水位設定器7B及び排水弁7Bは、各耕作区に設置され、田面水位は耕作区42ごとに設定される。通常、一区画の水田4は各耕作区42が同じ高さとなるように平坦に整地されているが、地形の具合によっては各耕作区42ごとに若干の高低差が生じることがある。そこで、各耕作区42に設置されている水位設定器7Bの操作ロッド8を上下に移動させ、その内筒77の上端面の高さ位置を各耕作区42ごとに一定となるように調整する。
【0031】
また、各耕作区42に設置されている給水弁7Aは、その内筒77の上端面が水位設定器7Bの内筒77の上端面よりも高い位置に設定され、排水弁7Cの内筒77の上端面は、水位設定器7Bの内筒77の上端面より若干高い位置に設定される。
【0032】
次に、給水パイプ6Aと、水位調整パイプ6Bと、排水パイプ6Cの三本のパイプを埋設した場合に、用水が本システムの装置内を流れて管理される態様について説明する。先ず、給水パイプ6Aから給水弁7Aに流入した用水は、給水弁7Aの内筒77の上端をオーバーフローして分岐管72から耕作区42に供給される。また、給水弁7Aと水位設定器7Bとはパイプ79を介して連通しているため、上流側の水位調整パイプ6Bから水位調器7Bに流入した用水は給水弁7Aの分岐部72から耕作区42に供給される。耕作区42への用水の供給は田面水位が上昇して水位設定器7Bの内筒77の上端面と同じ高さに達するまで継続して行われる。
【0033】
田面水位が水位設定器7Bの内筒77の上端面より高くなると、余剰の用水は水位設定器7Bの内筒77より筒内に流入し、下流側の水位調整パイプ6Bに送水されるため、耕作区42の田面水位が一定に維持される。
上流側の耕作区42の田面水位が一定に維持されると、余剰の用水は下流側の耕作区42に供給され、同様にして田面水位が一定に維持される。このとき、排水弁7Cの内筒77の上端面は、田面水位よりも高い位置にあるので、用水はこの排水弁7Cから排出されない。
【0034】
この様な用水管理を行うと、各耕作区42への用水の供給量が少なくなるため、上流側の耕作区42から下流側の耕作区42に亘って万遍なく用水を供給できるようになり、下流側の耕作区42で水不足が発生することがなくなる。
また、各耕作区42に施用された農薬や肥料等が用水と共に外部に流出する量も少なくなるので、環境破壊の問題を招来する虞もない。
【0035】
本発明では、給水パイプ6Aや水位設定パイプ6Bを流れる用水が少量となるため、小径のパイプが使用できる。また、各パイプ6A、6B、6Cに大きな勾配を付けなくてもある程度の流速が確保できるため、パイプの敷設工事が簡単かつ容易となり、工事費を大幅に削減することができる。
しかも、従来の平坦地灌漑では、用水を圧送するためのポンプが必要であったが本発明では不要となり、用水を超低圧で送水することが可能となる。
【0036】
長雨や集中豪雨によって、各耕作区42の田面水位が上昇したとき、各排水弁7Cの分岐部72cから流入した雨水は内筒77の上端をオーバーフローして筒内に流入し、速やかに排水パイプ5Cから排出される。このため、田面水位は常に一定に維持される。
【0037】
また、一部の耕作区42に貯留されている用水を排出する場合には、前記ゲートバルブ8とバルブ79Vを閉じ、耕作区42への用水の供給を遮断する。そして、排水弁7Cの内筒77を最も低い位置まで下げることによって、用水を排出することができる。
【0038】
給水パイプ6Aや水位調整パイプ6Bには、用水や雨水と共に土砂等が侵入して堆積することがある。この場合には、図2に示した如く、給水パイプ6Aと排水パイプ6Cを接続するパイプ91に設けられたバルブ91Vや、水位調整パイプ6Bと排水パイプ6Cを接続するパイプ92に設けられたバルブ92Vを開放することによって、パイプ6A、6B内に堆積している土砂等を排水パイプ6Cに排出することができる。
【0039】
一方、水田に大量の用水を必要とする代掻き時には、給水弁7Aの内筒77を平常時よりも下方に押し下げる。
これによって、給水パイプ6Aから送水された用水は内筒77の上端を勢いよくオーバーフローして耕作区42に供給され、所定の水位に達する。この操作をくり返して、上流側の耕作区42から下流側の耕作区42に亘って、順次用水を供給することができる。
【0040】
尚、本発明の実施態様の一例を示す図1には、水田4の長手方向に沿って延びる各耕作区42の相対する両側に給水弁7A、水位設定器7B、及び排出弁7Cを設置したものを例示したが、本発明はこの態様に限定されない。
耕作区42の両側に給水弁7A、水位設定器7B、及び排出弁7Cを設置した場合には、耕作区42の全体に亘ってきめ細かな用水管理が行えるという利点があるが、耕作区42の面積がそれ程広くない場合には、耕作区42の片側のみに給水弁7A水位設定器7B、及び排水弁7Cを設置するだけでも、十分な用水管理が可能である。
【0041】
また、前記実施例では、給水弁7Aの分岐部72aと水位設定器7Bとをパイプ79で接続したものを例示したが、図9に示した如く、給水弁7Aの分岐部72にパイプ79を接続して分岐部72aをなくしてもよい。
場合によっては図10に示した如く、給水弁7Aの分岐部72の端部を閉塞すると共に、給水弁7Aの分岐部72と排水弁7Cの分岐部72cとをパイプ93で接続してもよい。
【0042】
更には、曲管継手61に設けられたゲートバルブ8、給水弁7Aと水位設定器7Bとを接続するパイプ79に設けられたバルブ79V、土砂等を排出するためにバイパスパイプ91、92に設けられたバルブ91V、92V等は、コンピューター等を使用して自動的に制御するようにしてもよい。
【0043】
本発明の他の実施態様として、給水パイプ6Aと水位設定パイプ6Bとの二本のパイプを、或いは給水パイプ6Aと排水パイプ6Cとの二本のパイプを耕作区42の一側面に埋設した場合につき説明する。まず、前者の例では、図2及び9に示す如く、給水パイプ6Aから給水弁7Aに流入した用水は、当該給水弁7Aの分岐部72から耕作区42に供給される。そして田面水位が上昇して水位設定器7Bの内筒77の上面より高くなると、余剰の用水はパイプ79を介して水位設定器7Bの内筒77より筒内に流入し、下流側の水位調整パイプ6Bに送水されるため、耕作区42の田面水位が一定に維持される。
【0044】
また、後者の例では、例えば図10に示す如く、給水パイプ6Aから給水弁7Aに流入した用水は、当該給水弁7Aの分岐部72から排水弁7Cの分岐部72cを介して耕作区42に供給される。
そして田面水位が上昇して排水弁7Cの内筒77の上面より高くなると、余剰の用水は排水弁7Cの内筒77より筒内に流入し、排水パイプ6Cに送水されるため、耕作区42の田面水位が一定に維持される。
【0045】
【発明の効果】
本発明の水田の管理システムは、水田の周囲に沿って設けられた農道に給水パイプ、排水パイプ、排水パイプが隣接して埋設されるので、水田の耕作区、農道のスペースを拡大することができ、農地を有効利用することができる。
【0046】
各耕作区には給水パイプから用水が供給される供給弁と、各耕作区の水面を一定に維持するための水位設定器と、各耕作区に供給された余剰の用水や雨水を排水パイプに排出する排水弁が設置されているので、各耕作区ごとに田面水位を一定に維持して効率的な用水管理が行える。
【0047】
また、本発明では、各耕作区に供給された用水が余剰水として排出されるのを最小限に押さえる用水管理を行うことができるので、各耕作区に施用した農薬や肥料等が用水と共に流出して環境破壊の問題を招来することもない。
【0048】
更に、本発明の水田の管理システムを最適条件に設定するために各機器を操作する際に、耕作区の一側面に給水パイプと水位調整パイプ、或いは給水パイプと排水パイプが埋設されており、またこれらのパイプに付設されている給水弁、水位設定器及び排水弁を適宜操作することによって集中操作ができる。
【0049】
本発明では、従来の平坦地灌漑で行われていたような、ポンプによる用水の輸送手段も不要となり、パイプの勾配を大きく取らなくても流速が確保できるため、パイプ敷設工事を簡単かつ容易に行え、工事費を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の用水管理システムの実施の一例を示す水田の概略平面図。
【図2】一区画の耕作区の用水管理に用いられる給水弁と、水位設定器と、排水弁の配管概略図。
【図3】本発明の用水管理システムで使用される給水弁の断面図。
【図4】給水弁の部分正面図。
【図5】図3に示した給水弁の要部拡大断面図。
【図6】本発明の用水管理システムで使用される水位設定器の断面図。
【図7】水位調整パイプの配管概略図。
【図8】本発明の用水管理システムで使用される排水弁の断面図。
【図9】本発明の他の実施例を示す配管概略図。
【図10】更に本発明の他の実施例を示す配管概略図。
【図11】従来の水田構造の一例を示す概略平面図。
【図12】従来の給水路の斜視図。
【符号の説明】
4 水田
41 畦畔
42 耕作区
5 農道
51 傾斜面
6A 給水パイプ
6B 水位調整パイプ
6C 排水パイプ
7A 給水弁
7B 水位設定器
7C 排水弁
Claims (5)
- 複数の耕作区に区分された水田の用水管理システムであって、少なくとも給水パイプと水位調整パイプとを耕作区の一側面に埋設し、給水パイプには各耕作区に用水を供給する給水弁を備え、また水位調整パイプには各耕作区の田面水位を一定に維持するための水位設定器を備えたことを特徴とする水田の用水管理システム。
- 複数の耕作区に区分された水田の用水管理システムであって、少なくとも給水パイプと排水パイプとを耕作区の一側面に埋設し、給水パイプには各耕作区に用水を供給する給水弁を備え、また排水パイプには各耕作区の余剰水を排出する排水弁を備えたことを特徴とする水田の用水管理システム。
- 給水弁は、垂直に立ち上る外筒と、該外筒の内側に上下方向に移動自在に垂設されてその下端部が給水パイプと接続した内筒とからなり、該内筒の上端からオーバーフローした用水が外筒の中間に突出して設けられた分岐部から各耕作区に給水されるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の水田の用水管理システム。
- 水位設定器は、垂直に立ち上る外筒と、該外筒の内側に上下方向に移動自在に垂設されてその下端部が下流側の水位調整パイプと接続した内筒とからなり、外筒の中間位置に突出して設けられた分岐部に上流側の水位設定パイプと、各耕作区に連通する給水パイプとが接続されており、分岐部から外筒に流入した用水が内筒の上端からオーバーフローして筒内に流入し、下流側の水位設定パイプに排出されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の水田の用水管理システム。
- 排水弁は、垂直に立ち上る外筒と、該外筒の内側に上下方向に移動可自在に垂設されてその下端部が排水パイプと接続した内筒とからなり、外筒の中間位置に突出して設けられた分岐部から外筒内に流入した用水が内筒の上端からオーバーフローして筒内に流入し、排水パイプに排出されるようにしたことを特徴とする請求項2記載の水田の用水管理システム。
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JP2001025793A JP3870245B2 (ja) | 2001-02-01 | 2001-02-01 | 水田の用水管理システム |
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