JP2017021192A - 画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、耐熱保管性の高いトナーを使用しながら、低温で定着が可能な画像形成方法を提供することである。
【解決手段】本発明の画像形成方法は、感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する工程と、前記記録媒体に転写した前記トナー像を定着する工程と、を有する画像形成方法であって、前記定着する工程の前に、光照射により融点が低下する化合物を供給する工程と、光を照射する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、画像形成方法に関する。より詳しくは、本発明は、耐熱保管性の高いトナーを使用しながら、低温で定着が可能な画像形成方法に関する。
近年、電子写真法による画像形成装置において、プリントスピードの高速化、高画質化及び省エネルギー化へのニーズが高まり、それに伴い、静電荷現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、耐熱性、耐破砕性、耐久性及び低温定着性の更なる向上が求められている。
電子写真法では、主に、熱と圧力により媒体上に現像・転写されたトナーを融着させ固定化する定着工程でのエネルギー使用が、多くなっている。
定着工程でのエネルギー使用を少なくするために、トナーの熱特性を低下させることや熱によりシャープメルトする結晶性樹脂の添加技術が広く用いられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
しかし、これらの技術は、熱付与によって定着性を向上させるものであり、更なる低温定着化のためには、熱付与だけに頼らない方式が求められている。
また、低温定着化のために、トナーの熱特性を低下させたり、結晶性樹脂を添加したりすると、当然ながら、熱に対して溶けやすくなる一方、装置内の現像機で発生する熱でトナー同士の融着(ブロッキング)やトナーの耐熱保管性が低下する、という問題がある。
ここで、特許文献3などにより、アゾベンゼン骨格を持つ化合物の中には、光を照射することで、光異性化反応が起こり、固体から液体へと状態が変化するものがあることが報告されている。しかも、これらの化合物は、可視光照射や、熱により、液体から固体へと状態変化が起こることが報告されている。
つまり、これらの化合物は、光照射により、その融点が低下し、可視光照射や、熱によりその融点が上昇し固体化するという可逆的な相転移反応を示す化合物である。よって、このような化合物をトナーへ含有させ、光エネルギーにより定着させることができることが報告されている(例えば、特許文献4参照。)。
しかし、本化合物をトナーへ含有させると、トナーの帯電性が悪化し、画像かぶり等の不良が発生する。
さらに、近年、使用する熱エネルギーを抑制するために、定着液を用いて、トナーを媒体に定着する方式の技術検討が成されている(例えば、特許文献5参照。)。
本方式は、トナー層の上に泡状の定着液を供給し、トナー樹脂を可塑化することで、トナーが軟化する温度を低下させ、定着に必要な熱量を低減するものであり、低温定着化技術として期待されている。
しかし、定着液として、液体を供給するため、定着後の画像のベタつきによる画像貼りつきが問題となった。
特開2012−163606号公報 特開2008−191260号公報 国際公開第2013/081155号 特開2014−191078号公報 特開2007−219105号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、耐熱保管性の高いトナーを使用しながら、低温で定着が可能な画像形成方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、光を照射する前は固体で、光照射により融点が低下し液体になる化合物を、定着時に画像上に存在させ、定着工程の直前又は同時に、この化合物を融解させることで、耐熱保管性の高いトナーを使用しながら、低温で定着が可能な画像形成方法を提供できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する工程と、前記記録媒体に転写した前記トナー像を定着する工程と、を有する画像形成方法であって、
前記定着する工程の前に、光照射により融点が低下する化合物を供給する工程と、
光を照射する工程と、
を有することを特徴とする、画像形成方法。
2.前記光照射により融点が低下する化合物を供給する工程が、前記トナー像を形成する工程の前であることを特徴とする第1項に記載の画像形成方法。
3.前記光照射により融点が低下する化合物を供給する工程が、前記トナー像を形成する工程の後であることを特徴とする第1項に記載の画像形成方法。
4.前記定着する工程の後に、可視光を照射する工程を有する第1項から第3項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
5.前記定着する工程の後に、前記トナーの第1ガラス転移点未満の温度で加熱する工程を有する第1項から第4項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
6.前記トナーの第1ガラス転移点が、45℃以上であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
本発明の上記手段により、耐熱保管性の高いトナーを使用しながら、低温で定着が可能な画像形成方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明者は、光を照射することで、固体から液体へ変化する化合物をトナー画像形成後に供給すること、すなわち、光を照射する前は固体で、光照射により融点が低下し、液体になる化合物を定着時に画像上に存在させることで、トナーが可塑化され低温で定着が可能になったと推察する。
また、これらの化合物は、熱や可視光の照射で液体から固体へ変化するため、定着後の画像の貼りつきも発生しない。
さらに、画像形成に用いるトナーの第1ガラス転移点(以下、単に「Tg」ともいう。)は、従来どおり、高く設定できる。このため、現像器中での耐ストレス性や、耐熱保管性も高いトナーを提供できたと推察する。なお、本発明の画像形成方法に使用するトナーは、耐ストレス性、耐熱保管性を確保されていれば、これまで使用されているトナーと大きな変更点はないため、当然ながら、トナーの帯電性が悪化することなく、画像かぶり等の不良は発生しない。
本発明の画像形成方法が採用された画像形成装置の一例示す模式断面図 本発明の画像形成方法が採用された単体定着装置を示す模式断面図
本発明の画像形成方法は、感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する工程と、前記記録媒体に転写した前記トナー像を定着する工程と、を有する画像形成方法であって、前記定着する工程の前に、光照射により融点が低下する化合物を供給する工程と、光を照射する工程と、を有することを特徴とする。この特徴は請求項1から請求項5までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明においては、前記光照射により融点が低下する化合物を供給する工程が、前記トナー像を形成する工程の前であってもよいし、前記光照射により融点が低下する化合物を供給する工程が、前記トナー像を形成する工程の後であってもよいが、光を照射される工程において、トナーに遮られないよう、トナー像の上に、光照射により融点が低下する化合物が配置されることが好ましい。これにより、光を照射する工程において、光がトナーに遮られることなく前記化合物に照射され、この結果、効果的に前記化合物を融解させることができ、ひいては、より低温で定着が可能となるため好ましい。
本発明においては、定着する工程の後に、可視光を照射する工程を有することが、融解した前記化合物が速やかに固体化し、この結果、画像貼りつきを抑制できるため好ましい。
本発明においては、定着する工程の後に、トナーの第1ガラス転移点未満の温度で加熱する工程を有することが、融解した本発明に係る化合物が速やかに固体化し、且つ、画像形成に使用するトナーが軟らかくなることもなく、この結果、画像貼りつきを抑制できるため好ましい。
本発明においては、トナーの第1ガラス転移点が、45℃以上であることが、耐熱保管性がより向上するため、好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪画像形成方法の概要≫
本発明の画像形成方法は、感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する工程と、前記記録媒体に転写した前記トナー像を定着する工程と、を有する画像形成方法であって、前記定着する工程の前に、光照射により融点が低下する化合物を供給する工程と、光を照射する工程と、を有することを特徴とする。
[トナー像を形成する工程]
本工程では、感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する。
感光体としては、特に限定されるものではないが、例えば、有機感光体や、アモルファスシリコン、セレンなどの無機感光体が挙げられる。
なお、静電潜像の形成は、例えば、静電潜像担持体の表面を帯電手段により一様に帯電させ、露光手段により静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行われる。
帯電手段及び露光手段としては、特に限定されず、電子写真方式の画像形成方法において一般的に使用されているものを用いることができる。
<現像>
現像により、静電潜像を、結着樹脂を含有するトナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する。
トナー像の形成は、結着樹脂を含有するトナーを含む乾式現像剤を用いて、例えば、トナーを摩擦撹拌させて帯電させる撹拌器と、回転可能なマグネットローラーとからなる現像手段を用いて行われる。
具体的には、現像手段においては、例えば、トナーとキャリアとが混合撹拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラーの表面に保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラーは、静電潜像担持体近傍に配置されているため、マグネットローラーの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて静電潜像担持体の表面にトナー像が形成される。
[トナー像を記録媒体に転写する工程]
当該工程では、トナー像を記録媒体に転写する(以下、当該工程を単に「転写工程」ともいう。)。
トナー像の記録媒体への転写は、トナー像を記録媒体に剥離帯電することにより行われる。
転写手段としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラーなどを用いることができる。
また、転写工程は、例えば、中間転写体を用い、中間転写体上にトナー像を一次転写した後、このトナー像を記録媒体上に二次転写する態様のほか、静電潜像担持体(感光体)上に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する態様などによって行うこともできる。
(記録媒体)
記録媒体(メディア、記録材、記録紙、記録用紙等ともいう)は、一般に用いられているものでよく、トナー像を保持するものであれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙又はコート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布、軟質透明フィルム、ユポ紙などの合成紙等が挙げられる。
[定着する工程]
この工程では、記録媒体に転写した前記トナー像を定着する。
定着する方法は、特に限定されず、公知のものを使用でき、具体的には、例えば、記録媒体上に転写されたトナー画像を接触加熱方式の定着処理によって定着する方法が挙げられる。
[光照射により融点が低下する化合物を供給する工程]
本工程は、定着する工程の前に、光照射により融点が低下する化合物を供給する。
定着する工程の前であれば、トナー像を形成する工程の前であってもよいし、前記トナー像を形成する工程の後であってもよい。
なお、光を照射される工程において、光照射により融点が低下する化合物に照射される光がトナーに遮られないよう、画像表面となるトナー像上に、当該化合物が存在することが好ましい。これにより、光を照射する工程において、光がトナーに遮られることなく前記化合物に照射され、この結果、効果的に前記化合物を融解させることができ、ひいては、より低温で定着が可能となるため好ましい。
本発明に係る化合物は、定着工程の前に、画像表面となるトナー像上に存在することが好ましい。その際、例えば、粒子としてこの化合物を現像/転写しても良いし、塗布機構を設けて、この化合物を感光体上又は転写ベルト上に塗布することで、画像表面(トナー像上)に存在させても良い。
<光照射により融点が低下する化合物>
本発明に係る光照射により融点が低下する化合物は、光異性化により、融点が低下し、可視光照射や、熱により固体化するものであれば特に制限はなく用いることができる。
具体的には、分子内に二重結合を持ち、かつ、紫外光を照射するとトランス型からシス型へ異性化(光異性化)することで、分子形状が大きく変化し、固体から液体へ相転移を発現する化合物であることが好ましい。
このような化合物としては、下記一般式(1)又は(2)のような構造の部位(光異性化基ともいう。)を含有する化合物が挙げられる。
Figure 2017021192
ただし、上記一般式(1)又は(2)で示す構造の部位において、A及びBは二重結合を形成し、本発明の効果を阻害しないものであれば特に限定されないが、炭素原子又は窒素原子であることが好ましい。R〜Rは水素原子、全ての置換基を表す。Aに結合しているRとRとは相互に異なる置換基であり、Bに結合しているRとRとは相互に異なる置換基である。
また、光異性化を有する化合物は低分子化合物であっても高分子化合物であっても良く、画像形成に用いるため、画像に影響しない範囲であれば特に限定されないが、無色から淡色である化合物が好ましい。
なお、光異性化とは、分子内に二重結合を有する化合物が、光エネルギーを吸収して生成する励起状態を経て、より安定なトランス体からシス体に変化すること及びこの逆の変化をいう。
このような光異性化基としては、アゾ基やエチレン性二重結合基が好ましい。さらに、スチレンアクリル系及びポリエステル系の結着樹脂となじみやすいことから、アゾ基やエチレン性二重結合基の少なくとも一方に、ベンゼン環を有する基が結合していることが好ましい。
アゾ基やエチレン性二重結合基に結合したベンゼン環を有する基は、非置換であっても良く、1種又は複数の置換基を有していても良い。
置換基としては直鎖又は分枝を有するC1〜C30のアルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなど)、直鎖又は分枝を有するC1〜C30のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなど)、アリールオキシ(フェニルオキシ、ナフチルオキシなど)、アラルキルオキシ(ベンジルオキシ、フェネチルオキシなど)、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、モノアルキルアミノ(メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノなど)、ジアルキルアミノ(ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジn−プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジn−ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジsec−ブチルアミノ、ジtert−ブチルアミノなど)、アルカノイル(アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、イソブチリル、sec−ブチリル、tert−ブチリルなど)、アシルオキシ(アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、n−ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、sec−ブチリルオキシ、tert−ブチリルオキシ、バレリルオキシ、ベンゾイルオキシ)などが挙げられる。また、これらの光異性化化合物が複数分子結合していても良い。
このような構造を持つ化合物のうち、特に、分子中にシス−トランス光異性化可能な官能基を複数もち、流動性を失った固体状態においても立体的な要因により分子内の光異性化官能基が密に詰まらずシス−トランス光異性化可能な状態にある、下記の一般式(3)又は(4)で示される糖アルコールエステルが好ましい。
Figure 2017021192
なお、上記一般式(3)及び(4)中、Rは、下記の一般式(5)で表される構造を有する基である。nは、1〜4の整数を表す。
Figure 2017021192
一般式(5)中、mは0〜16の整数を表す。kは1〜16の整数を表す。
なお、上記の一般式(3)又は(4)で示される糖アルコールエステルの中でも、kが6〜16の範囲内、mが2〜16の範囲内、nが1〜4の範囲内のものが好ましい。
上記の一般式(3)又は(4)で示される化合物は、複数の光反応性部位が化学的に連結されている。当該化合物は、この連結部分の存在により、光反応性部位の自由度が低下しており、配列ができず、この結果、結晶化しないため光反応が可能である化合物である。
上述のような光照射により融点が低下する化合物に紫外光を照射すると、固体状態から分子構造の大きな変化によって流動性の液体に転移し、次に、波長を変えて再度光照射するか、該化合物が流動化する温度未満の温度で加熱するか又は単に暗所に室温(25℃)で放置することで、逆反応が起きて再び流動性を失って固化させることができる。
本発明に係る化合物の固体、液体の状態変化を光照射で制御する方法について、上記一般式(3)又は(4)の一例として、下記の化学式で示される化合物を用いて具体的に説明する。
Figure 2017021192
上記の化学式で示される化合物中の光異性化基が、トランス体の時には流動性が消失し固体となり、シス体の時は流動性が付与され液体となる。このようにアゾベンゼン骨格を有する光異性化基の場合、365nm付近の紫外線を照射することでシス体へ異性化するため、液体となり、500nm付近の可視光を照射することで速やかにトランス配置をとるため、固体となる。
また、シス体は、該化合物が流動化する温度未満の温度(例えば、トナーの第1ガラス転移点未満の温度)で加熱するか又は単に、暗所で室温(25℃)に放置することによっても、徐々にトランス体へ変化する。これは、シス体からトランス体へ異性化する際のエネルギー障壁は、トランス体からシス体へ異性化する際に比較して小さいことによるものである。すなわち、シス体からトランス体への異性化には、室温を含めた、化合物が流動化する温度未満の加熱によっても、異性化に必要なエネルギーを付与できるためと推測している。
すなわち、該化合物は、365nm付近の紫外線を照射することで、液体となり、500nm付近の可視光を照射したり加熱したりすることで固体となる可逆性を持つことが特徴である。
このように、上記の化学式で示される化合物は、紫外光を照射すると、固体から液体への相転移が発現する。本発明では、定着工程よりも前に、画像上にこのような化合物を供給する工程が存在しているため、定着工程の直前又は同時に、その画像上に光(例えば、上記の化学式で示される化合物を使用しているのであれば、紫外光)を照射すれば、この化合物を融解させることができる。
定着時に画像上に融解した化合物の液体が存在するため、トナーが可塑化され低温で定着が可能である。このため、現像工程におけるトナー、つまり、画像形成に用いるため現像器に投入されているトナーは、Tgを高く設定できることから、耐熱保管性が高く、定着するために、多くの熱量が必要なトナーであっても低温定着できる画像形成方法を提供できる。
本発明に係る化合物の具体的な例としては、上記のほか、国際公開第2013/081155号に記載のような、複数の置換基を持つアゾベンゼン誘導体が挙げられる。
[光を照射する工程]
光を照射する工程では、上記化合物において、融点が低下するような光を照射する。
当該工程で使用される光は、上記化合物の融点が低下する波長であれば限定されないが、好ましくは波長365nm付近の紫外光であり、具体的には、波長300〜400nmの範囲の紫外光であることが好ましい。
光照射を行うことにより、融点が低下した上述の化合物の流動性を制御する方法として露光量の調節が挙げられるが、その露光量は光源の種類によって異なり、通常は、0.5〜200J/cmであり、好ましくは1.0〜150J/cmであり、更に好ましくは3.0〜80J/cmである。また、光照射は、10〜60℃の温度条件下で行われるのが好ましい。
なお、光源としては、上記条件を満たすものであれば、特に限定されないが、例えば、UV−LEDアレイ、水銀ランプ、メタルハライドランプなどを好適に使用できる。
[可視光を照射する工程]
本発明の画像形成方法は、定着する工程の後に、可視光を照射する工程を更に有していてもよい。
本発明に係る化合物が、可視光により、液体から固体へ変化する化合物である場合、定着する工程の後に、可視光を照射することで、効率よく前記化合物を固体化することができる。
なお、照射する可視光としては波長400〜600nmであることが好ましい。
また、照射方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、LED、有機EL素子、蛍光灯などが挙げられる。
[トナーの第1ガラス転移点未満の温度で加熱する工程]
本発明の画像形成方法は、上記可視光を照射する工程の代わりに、あるいは同時に、トナーの第1ガラス転移点未満の温度で加熱する工程を、前記定着する工程の後に有していてもよい。これにより、本発明に係る化合物が流動化する温度未満の温度で加熱することができるため、融解した当該化合物を速やかに固体化でき、ひいては、画像貼りつきを抑制できる。
≪トナー≫
本発明に係るトナーとは、トナー母体粒子に外添剤粒子を付着させたトナー粒子より形成される。このトナーの製造方法としては、公知の方法を使用でき、粉砕法であってもケミカル法であってもよく、特に制限されないが、粒子径と形状の制御が可能な乳化凝集型トナーが好ましい。
本発明に係るトナー粒子の平均粒径は、体積平均粒径で3.0〜8.0μm、好ましくは4.0〜7.5μmである。上記の範囲であることにより、定着時において飛翔して加熱部材に付着し定着オフセットを発生させる付着力の大きいトナー粒子が少なくなり、また、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。また、トナー流動性も確保できる。
トナーの平均粒径は、トナーの製造時の凝集・融着工程における凝集剤の濃度や溶剤の添加量又は融着時間、更には結着樹脂の組成によって制御することができる。
本発明に係る静電荷像現像用トナーは、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.920〜1.000であることが好ましい。
なお、平均円形度は、例えば、平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定することができる。
トナーの第1ガラス転移点(Tg)としては、45〜70℃が好ましく、より好ましいのは、45〜60℃である。トナーの第1ガラス転移点が、45℃以上であると高温環境において、トナー凝集が発生することを回避でき、この結果、耐熱保管性が良好となる。また、70℃以下であれば、低温定着性を好適に得ることができる。
(第1ガラス転移点の計測方法)
第1ガラス転移点は、例えば、「Diamond DSC」(パーキンエルマー社製)を用いて求めることができる。
測定の具体的な手順としては、実施例に記載のとおりである。
[トナー母体粒子]
本発明に係るトナー母体粒子としては、公知のトナー母体粒子を用いることができる。このようなトナー母体粒子は、具体的には少なくとも結着樹脂及び必要に応じて着色剤を含有するトナー母体粒子よりなるものである。また、このトナー母体粒子には、必要に応じて、更に離型剤及び荷電制御剤などのほかの成分を含有することもできる。
[結着樹脂]
結着樹脂としては、公知のものを使用でき、例えば、非晶性樹脂や結晶性樹脂を好適に使用できる。
<非晶性樹脂>
本発明に使用可能な非晶性樹脂は、特に限定されるものではないが、下記のようなビニル樹脂、ポリエステル樹脂のほか、ウレタン樹脂、ウレア樹脂など、公知の非晶性樹脂を好ましく使用できる。
(ビニル樹脂)
非晶性樹脂としてビニル樹脂を用いる場合、ビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合したものであれば特に制限されないが、例えば、アクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のビニル樹脂の中でも、熱定着時の可塑性を考慮すると、スチレン−アクリル酸エステル樹脂(スチレンアクリル樹脂)が好ましい。
よって、詳細な説明を省略するが、スチレン単量体としてはスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン;(メタ)アクリル酸エステル単量体としてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート等のアクリル酸エステル単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステルを用いると好ましい。これらスチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
また、ほかの単量体が重合されていてもよく、その例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スチレンアクリル樹脂の製造方法は、特に制限されず、乳化重合法等によって製造することができる。
(ポリエステル樹脂)
非晶性樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを示さない樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/minで測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸などの2価以上のカルボン酸などを挙げることができる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどの脂肪族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類、及びこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物;グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミンなどの3価以上のポリオールなどを挙げることができる。
<結晶性樹脂>
本発明に係るトナー母体粒子は、結晶性樹脂を含有していてもよく、例えば、下記結晶性ポリエステルなどのほか、特開2015−011325号公報の段落0043〜0102等に記載の結晶性樹脂を好適に使用できる。
(結晶性ポリエステル樹脂)
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂に由来する部分であって、トナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂ユニットをいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、実施例に記載の示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/minで測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性ポリエステル樹脂は、上記定義したとおりであれば特に限定されない。例えば、結晶性ポリエステル樹脂そのものを含有してもよい。又は、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを有するハイブリッド樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂ユニットによる主鎖に他成分を共重合させた構造を有する樹脂や、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを他成分からなる主鎖に共重合させた構造を有する樹脂で、この樹脂を含むトナーが上記のように明確な吸熱ピークを示すものを含有してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分から生成される。この際、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを構成する多価カルボン酸成分の炭素数C(acid)及び多価アルコール成分の炭素数C(alcohol)からなり、また、多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分の価数としては、好ましくはそれぞれ2〜3であり、特に好ましくはそれぞれ2であるため、特に好ましい形態として価数がそれぞれ2である場合(すなわち、ジカルボン酸成分、ジオール成分)について説明する。
ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましく、芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。脂肪族ジカルボン酸としては、直鎖型のものを用いることが好ましい。直鎖型のものを用いることによって、結晶性が向上するという利点がある。ジカルボン酸成分は、1種のものに限定されるものではなく、2種類以上を混合して用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。
脂肪族ジカルボン酸とともに用いることのできる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、入手容易性及び乳化容易性の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を用いることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を形成するためのジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸の含有量が50構成モル%以上とされることが好ましく、より好ましくは70構成モル%以上であり、更に好ましくは80構成モル%以上であり、特に好ましくは100構成モル%である。ジカルボン酸成分における脂肪族ジカルボン酸の含有量が50構成モル%以上とされることにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの結晶性を十分に確保することができる。
また、ジオール成分としては、脂肪族ジオールを用いることが好ましく、必要に応じて脂肪族ジオール以外のジオールを含有させてもよい。脂肪族ジオールとしては、直鎖型のものを用いることが好ましい。直鎖型のものを用いることによって、結晶性が向上するという利点がある。ジオール成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。
必要に応じて用いられる脂肪族ジオール以外のジオールとしては、二重結合を有するジオール、スルホン酸基を有するジオールなどが挙げられ、具体的には、二重結合を有するジオールとしては、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオールなどが挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成するためのジオール成分としては、脂肪族ジオールの含有量が50構成モル%以上とされることが好ましく、より好ましくは70構成モル%以上であり、更に好ましくは80構成モル%以上であり、特に好ましくは100構成モル%である。ジオール成分における脂肪族ジオールの含有量が50構成モル%以上とされることにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの結晶性を確保することができて製造されるトナーに優れた低温定着性が得られるとともに最終的に形成される画像に光沢性が得られる。
結晶性ポリエステル樹脂の形成方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより当該樹脂を形成することができる。
上記の多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との使用比率は、ジオール成分のヒドロキシ基[OH]とジカルボン酸成分のカルボキシ基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、1.5/1〜1/1.5とされることが好ましく、更に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
結晶性ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。具体的には、スズ化合物としては、酸化ジブチルスズ、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ、これらの塩等などを挙げることができる。チタン化合物としては、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド;ポリヒドロキシチタンステアレートなどのチタンアシレート;チタンテトラアセチルアセトナート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネートなどなどのチタンキレートなどを挙げることができる。ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウムなどを挙げることができる。さらに、アルミニウム化合物としては、ポリ水酸化アルミニウムなどの酸化物、アルミニウムアルコキシドなどが挙げられ、トリブチルアルミネートなどを挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合温度や重合時間は特に限定されるものではなく、重合中には必要に応じて反応系内を減圧にしてもよい。
さらに、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを有するハイブリッド樹脂の場合は、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの含有量は、ハイブリッド樹脂の全量に対して50質量%以上98質量%未満であると好ましい。上記範囲とすることにより、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与することができる。なお、ハイブリッド樹脂中の各ユニットの構成成分及び含有割合は、例えばNMR測定、メチル化反応P−GC/MS測定により特定することができる。
ここで、ハイブリッド樹脂は、上記結晶性ポリエステル樹脂ユニットのほかに、以下で詳述するポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットを含む。ハイブリッド樹脂は、上記結晶性ポリエステル樹脂ユニット及びポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットを含むものであれば、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれの形態であってもよいが、グラフト共重合体であると好ましい。グラフト共重合体とすることにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの配向を制御しやすくなり、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与することができる。
さらに、上記観点からは、結晶性ポリエステル樹脂ユニットが、結晶性ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットを主鎖として、グラフト化されていると好ましい。すなわち、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂は、主鎖としてポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットを有し、側鎖として結晶性ポリエステル樹脂ユニットを有するグラフト共重合体であると好ましい。
上記形態とすることにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの配向をより高めることができ、ハイブリッド樹脂の結晶性を向上させることができる。
なお、ハイブリッド樹脂には、更にスルホン酸基、カルボキシ基、ウレタン基などの置換基が導入されていてもよい。上記置換基の導入は、結晶性ポリエステル樹脂ユニット中でもよいし、以下で詳説するポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニット中であってもよい。
(ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニット)
ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットは、上記結晶性ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂に由来する部分である。ハイブリッド樹脂中(更には、トナー中)に非晶性樹脂ユニットを含有することは、その構造により、NMR測定、P−GC/MS測定、メチル化反応P−GC/MS測定等から適した分析法を選択し、化学構造を特性することができる。
また、非晶性樹脂ユニットは、当該ユニットと同じ化学構造及び分子量を有する樹脂について示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高い第1ガラス転移点(Tg)を有する樹脂ユニットである。
非晶性樹脂ユニットは、上記定義したとおりであれば特に限定されない。例えば、非晶性樹脂ユニットによる主鎖に他成分を共重合させた構造を有する樹脂や、非晶性樹脂ユニットを他成分からなる主鎖に共重合させた構造を有する樹脂について、この樹脂を含むトナーが上記のような非晶性樹脂ユニットを有するものであれば、その樹脂は、非晶性樹脂ユニットを有するハイブリッド樹脂に該当する。
非晶性樹脂ユニットは、結着樹脂に含まれる非晶性樹脂(すなわち、ハイブリッド樹脂以外の樹脂)と同種の樹脂で構成されると好ましい。このような形態とすることにより、ハイブリッド樹脂と非晶性樹脂との親和性がより向上し、ハイブリッド樹脂が非晶性樹脂中に更に取り込まれやすくなり、帯電均一性等がより一層向上する。
ここで、「同種の樹脂」とは、繰り返し単位中に特徴的な化学結合が共通に含まれていることを意味する。また、「特徴的な化学結合」とは、物質・材料研究機構(NIMS)物質・材料データベース(http://polymer.nims.go.jp/PoLyInfo/guide/jp/term_polymer.html)に記載の「ポリマー分類」に従う。すなわち、ポリアクリル、ポリアミド、ポリ酸無水物、ポリカーボネート、ポリジエン、ポリエステル、ポリハロオレフィン、ポリイミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリフェニレン、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリビニル及びその他のポリマーの計22種によって分類されたポリマーを構成する化学結合を「特徴的な化学結合」という。
また、樹脂が共重合体である場合における「同種の樹脂」とは、共重合体を構成する複数のモノマー種の化学構造において、上記化学結合を有するモノマー種を構成単位としている場合、特徴的な化学結合を共通に有する樹脂同士を指す。したがって、樹脂自体の示す特性が互いに異なる場合や、共重合体中を構成するモノマー種のモル成分比が互いに異なる場合であっても、特徴的な化学結合を共通に有していれば同種の樹脂とみなす。
例えば、スチレン、ブチルアクリレート及びアクリル酸によって形成される樹脂(又は樹脂ユニット)と、スチレン、ブチルアクリレート及びメタクリル酸によって形成される樹脂(又は樹脂ユニット)とは、少なくともポリアクリルを構成する化学結合を有しているため、これらは同種の樹脂である。更に例示すると、スチレン、ブチルアクリレート及びアクリル酸によって形成される樹脂(又は樹脂ユニット)と、スチレン、ブチルアクリレート、アクリル酸、テレフタル酸及びフマル酸によって形成される樹脂(又は樹脂ユニット)とは、互いに共通する化学結合として、少なくともポリアクリルを構成する化学結合を有している。したがって、これらは同種の樹脂である。
非晶性樹脂ユニットを構成する樹脂成分は特に制限されないが、例えば、ビニル樹脂ユニット、ウレタン樹脂ユニット、ウレア樹脂ユニットなどが挙げられる。中でも、熱可塑性を制御しやすいという理由から、ビニル樹脂ユニットが好ましい。
ビニル樹脂ユニットとしては、ビニル化合物を重合したものであれば特に制限されないが、例えば、アクリル酸エステル樹脂ユニット、スチレン−アクリル酸エステル樹脂ユニット、エチレン・酢酸ビニル樹脂ユニットなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スチレンアクリル樹脂ユニットの形成方法は、特に制限されず、公知の油溶性又は水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には、以下に示すアゾ系又はジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤がある。
アゾ系又はジアゾ系重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
過酸化物系重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン等が挙げられる。
また、乳化重合法で樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等が挙げられる。
非晶性樹脂ユニットの含有量は、ハイブリッド樹脂の全量に対して、3質量%以上50質量%以下であると好ましい。さらに、上記含有量は、5質量%以上30質量%以下であるとより好ましい。上記範囲とすることにより、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与することができる。
(ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(ハイブリッド樹脂)の製造方法)
本発明に係る結着樹脂に含まれるハイブリッド樹脂の製造方法は、上記結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとを分子結合させた構造の重合体を形成することが可能な方法であれば、特に制限されるものではない。
(着色剤)
トナーを構成しうる着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズなどのホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロムなどを用いることができる。
マゼンタ又はレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同6、同7、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同60、同63、同64、同68、同81、同81:4、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同139、同144、同149、同150、同163、同166、同170、同177、同178、同184、同202、同206、同207、同209、同222、同238、同269等が挙げられる。
また、オレンジ又はイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー12、同14、同15、同17、同74、同83、同93、同94、同138、同139、同155、同162、同180、同185、C.I.ソルベントイエロー93等が挙げられる。
さらに、グリーン又はシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー2、同3、同15、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17、同60、同62、同66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの着色剤は必要に応じて単独又は二つ以上を選択併用することも可能である。
着色剤の添加量はトナー全体に対して好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%の範囲で、これらの混合物も用いることができる。かような範囲であると画像の色再現性を確保できる。
また、トナー中の着色剤分散径としては、体積平均粒径で、10〜1000nm、50〜500nmが好ましく、更には80〜300nmが特に好ましい。
<離型剤>
トナーを構成する離型剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
離型剤の融点は、好ましくは40〜160℃であり、より好ましくは50〜120℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセット等を起こさずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー中の離型剤の含有量は、1〜30質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。
<荷電制御剤>
また、本発明に係るトナー母体粒子には、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。
荷電制御剤としては、水系媒体中に分散することができる公知の種々の化合物を用いることができ、具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第四級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩又はその金属錯体などが挙げられる。
荷電制御剤の含有割合は、結着樹脂全量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%とされる。
<外添剤>
トナーとしての帯電性能や流動性又はクリーニング性を向上させる観点から、トナー粒子の表面に公知の無機微粒子や有機微粒子などの粒子、滑材を外添剤として添加することできる。
無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウムなどによる無機微粒子を好ましいものとして挙げられる。特に、耐ストレス性の観点から、数平均一次粒子径が80nm〜500nm程度の大粒子径シリカが添加されていることが好ましい。
必要に応じてこれらの無機微粒子は疎水化処理されていてもよい。
有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体による有機微粒子を使用することができる。
滑材は、クリーニング性や転写性を更に向上させる目的で使用されるものであって、滑材としては、例えば、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウムなどの塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩、リノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩などの高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。これらの外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
外添剤の添加量は、トナー粒子100質量%に対して0.1〜10.0質量%であることが好ましい。
<トナーの製造方法>
本発明に係るトナーを製造する方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。トナーを製造する方法には、下記外添剤処理工程が含まれることが好ましい。
(外添剤処理工程)
この工程は、トナー母体粒子表面へ必要に応じて外添剤を添加、混合してトナーを作製する工程である。外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの公知の種々の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。外添剤の添加により、トナーの流動性や帯電性が改良され、また、クリーニング性の向上等が実現される。
<現像剤の製造>
以上のようなトナーは、例えばいわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられ、いずれも好適に使用することができる。
二成分現像剤を構成するキャリアは特に限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
磁性体としては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子を用いることが好ましい。
キャリア表面被覆用の樹脂組成としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン樹脂、シクロヘキシルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体、スチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン樹脂、エステル樹脂又はフッ素樹脂などが用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂など使用することができる。
また、樹脂中に上記磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることも可能で、この樹脂分散型キャリアに被覆層を設けることもできる。
キャリアの体積平均粒径としては15〜100μmのものが好ましく、20〜60μmのものがより好ましい。
≪電子写真画像形成装置≫
本発明の画像形成方法は、電子写真感光体を帯電する帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段(一次転写手段)を少なくとも有し、これらの手段により、未定着画像を形成した後、連続して、又は単体定着装置にて、定着される態様である。
以下に、本発明の画像形成方法を用いた電子写真画像形成装置について説明する。図1は、本発明の実施形態の一例を示すフルカラーの電子写真画像形成装置(以下、「画像形成装置B」ともいう。)の断面構成図である。
このフルカラーの画像形成装置Bは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7aと、給紙手段21及び定着手段27とから成る。画像形成装置Bの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラー5Y及びクリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラー5M及びクリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラー5C及びクリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成ユニット10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラー5Bk及びクリーニング手段6Bkを有する。
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、感光体1Y、1M、1C又は1Bkを中心に、帯電手段2Y、2M、2C又は2Bkと、露光手段3Y、3M、3C又は3Bkと、現像手段4Y、4M、4C又は4Bk及び感光体1Y、1M、1C又は1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C又は6Bkより構成されている。
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、感光体1Y、1M、1C又は1Bkに、それぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、「帯電器2Y」ともいう。)、露光手段3Y、現像手段4Y及びクリーニング手段6Yを配置し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y及びクリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名:セルフォック(登録商標)レンズ)とから構成されるもの又はレーザー光学系などが用いられる。
現像手段4Yは、例えば、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ及び有機感光体と、この現像スリーブとの間に直流及び交流バイアス電圧又は直流若しくは交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
無端ベルト状中間転写体ユニット7aは、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、5M、5C及び5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録媒体(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての記録媒体Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D及びレジストローラー23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラー5bに搬送され、記録媒体P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録媒体Pは、定着手段27により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて、排紙口(図示しない)から排紙される。なお、画像形成装置Bは、定着手段27を有していなくてもよく、その場合、後述の単体定着装置Aに移送される。ここで、中間転写体あるいは転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して記録媒体という。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラー5bにより記録媒体Pにカラー画像を転写した後、記録媒体Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
また、画像形成装置Bから筐体8を支持レール82L及び82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7aとから成る。
画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C及び1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7aが配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7aは、ローラー71、72、76、73及び74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bk及びクリーニング手段6bとから成る。
なお、後述の実施例で、上述した態様の画像形成装置Bを使用する場合は、定着手段27を本体(画像形成装置B)から取り出し、当該画像形成装置Bは定着を行わず、未定着画像を作成する。
<単体定着装置>
図2は、本発明の画像形成方法を採用した単体定着装置A(以下、「改造機A」ともいう。)の一例である。
単体定着装置Aには、給紙口Xから記録媒体Pが挿入される。なお、前述した定着手段27を取り出した「画像形成装置B」の未定着画像の排紙口と、給紙口Xとを連結し、単体定着装置Aに連続して通紙することもできるし、作成された未定着画像を手動にて、給紙口Xへ挿入することもできる。
本発明の画像形成方法は、定着する工程の前に、光照射により融点が低下する化合物を供給する工程があるため、当該単体定着装置Aは、感光体1Chと、光照射により融点が低下する化合物を供給する手段として着脱可能な現像装置10Chと、を有することが好ましい。
この現像装置10Chは、画像形成ユニット10Yと同様の帯電手段、露光手段、現像手段及びクリーニング手段(いずれも図示せず)を有し、感光体1Ch上に本発明に係る光照射により融点が低下する化合物からなる像を、未定着画像の上に形成するものである。
単体定着装置Aは、上述の現像装置10Chにより、未定着画像の上に形成された光照射により融点が低下する化合物からなる像に光を照射する手段4Chを有する。
このような光を照射する手段4Chとしては、特に限定されず、公知のものを使用できるが、例えば、上述のように、UV−LEDアレイなどを配置できる。
この光を照射する手段により、未定着画像の上に形成された光照射により融点が低下する化合物からなる像に光を照射し、当該化合物は、光異性化され、未定着画像上で液体となる。
光異性化され、液体となった上記化合物を有する未定着画像は、定着手段である加熱ローラー24によって、加熱され、定着される。
なお、本発明に係る光照射により融点が低下する化合物は、例えば、電子写真画像形成装置の画像形成ユニット10Yに、化合物をトナーの代わりに投入するなどして供給するものとしてもよい。なお、この場合、現像装置10Chは単体定着装置Aからはずしてもよい。
また、この場合、定着手段27は、光源(図示しない)を有し、定着工程の直前又は同時に、光を照射し化合物を融解させる工程(すなわち、光を照射する工程)を有していることが好ましい。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
[トナー母体粒子1の作製]
トナー母体粒子1は、以下のようにして製造した。
(樹脂粒子分散液1の作製)
スチレン206質量部、ブチルアクリレート86質量部、メタクリル酸20.4質量部を混合し、このモノマー混合液を撹拌しつつ80℃に加温し、ベヘン酸ベヘニル139質量部を徐々に添加して溶解し、モノマー溶液を調製した。
次いで、アニオン界面活性剤「ドデシルベンゼンスルホン酸」3質量部を純水40質量部に溶解してなる界面活性剤水溶液を80℃に加温し、上記モノマー溶液を加えて、高速撹拌を行い、モノマー分散液を調製した。
次いで、撹拌装置、冷却管、温度センサー、窒素導入管を備えた重合装置に純水1298質量部を投入し、窒素気流下で撹拌を行いながら内温を80℃にした。この重合装置に上記モノマー分散液を投入し、過硫酸カリウム3.9質量部を純水74.5質量部に溶解した重合開始剤水溶液を投入した。
重合開始剤水溶液投入後、n−オクチルメルカプタン3.55質量部を5分間かけて添加し、更に80℃で重合を2時間行った。次に、過硫酸カリウム6.3質量部を純水120.5質量部に溶解した重合開始剤水溶液を添加し、スチレン279.4質量部、ブチルアクリレート116.4質量部、メタクリル酸27.5質量部、n−オクチルメルカプタン6.8質量部を混合したモノマー溶液を1時間かけて滴下した。当該モノマー溶液を滴下した後、2時間重合処理を続けた後、室温まで冷却し「樹脂粒子分散液1」を作製した。
(シェル用樹脂粒子分散液の作製)
撹拌装置、冷却管、窒素導入管、温度センサーを備えた反応装置に、純水2929質量部、アニオン界面活性剤「ドデシルベンゼンスルホン酸」2質量部を添加して撹拌溶解させた後、窒素気流下で80℃に加温した。
次いで、スチレン502質量部、ブチルアクリレート185質量部、メタクリル酸112質量部、n−オクチルメルカプタン13.9質量部を混合したモノマー溶液と、過硫酸カリウム10.2質量部を純水194質量部に溶解した重合開始剤水溶液を用意した。当該重合開始剤水溶液を前記反応装置に投入後、前記モノマー混合液を3時間かけて滴下し、更に1時間重合を行った後、室温まで冷却して、「シェル用樹脂粒子分散液」を作製した。シェル用樹粒子の重量平均分子量は13200、質量平均粒径は82nmであった。
(カーボンブラック分散液の調製)
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部を純水1600質量部に溶解し、カーボンブラック「モーガルL」230質量部を徐々に添加し、次いで、「クリアミックスWモーションCLM−0.8(エムテクニック社製)」を用いて個数基準におけるメディアン径160nmの「カーボンブラック分散液」を調製した。
(トナー母体粒子1の形成)
上記で作製した「樹脂粒子分散液1」を固形分換算で412質量部、イオン交換水746質量部、前記「カーボンブラック分散液」を固形分換算で43質量部を撹拌装置、温度センサー、冷却管を装着した反応装置に投入した。容器内の温度を30℃に保持して、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次に、塩化マグネシウム・六水和物47.5質量部をイオン交換水47.5質量部に溶解した水溶液を撹拌下、10分間かけて滴下した後、85℃まで昇温させて分散液に含有される粒子を凝集、融着させた。このまま「コールターカウンター3(ベックマン・コールター社製)」を用い、体積基準におけるメディアン径(D50)が6.8μmになるまで加熱撹拌を続けた。
体積基準におけるメディアン径(D50)が6.8μmに到達した時点で、「シェル用樹脂粒子分散液」を固形分換算で24質量部添加し、1時間撹拌を行ってシェル用粒子を表面に融着させた。
さらに、30分間そのまま撹拌を継続させてシェルが完全に形成された後、塩化ナトリウム52質量部をイオン交換水207質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を添加し、内温を90℃に昇温して撹拌を4時間続けた後、室温(25℃)に冷却して粒子を形成した。形成した粒子をイオン交換水で繰り返し洗浄した後、35℃の温風で乾燥して、「トナー母体粒子1」を得た。
得られた「トナー母体粒子1」の体積基準におけるメディアン径(D50)を「コールターカウンター3(ベックマン・コールター社製)」を用いて測定したところ7.0μmであった。
[トナー母体粒子2の作製]
(樹脂粒子分散液2の作製)
スチレン198質量部、ブチルアクリレート92質量部、メタクリル酸20.4質量部を混合し、このモノマー混合液を撹拌しつつ80℃に加温し、ベヘン酸ベヘニル139質量部を徐々に添加して溶解し、モノマー溶液を調製した。
次いで、アニオン界面活性剤「ドデシルベンゼンスルホン酸」3質量部を純水40質量部に溶解してなる界面活性剤水溶液を80℃に加温し、上記モノマー溶液を加えて、高速撹拌を行い、モノマー分散液を調製した。
次いで、撹拌装置、冷却管、温度センサー、窒素導入管を備えた重合装置に純水1298質量部を投入し、窒素気流下で撹拌を行いながら内温を80℃にした。この重合装置に上記モノマー分散液を投入し、過硫酸カリウム3.9質量部を純水74.5質量部に溶解した重合開始剤水溶液を投入した。
重合開始剤水溶液投入後、n−オクチルメルカプタン3.55質量部を5分間かけて添加し、更に80℃で重合を2時間行った。次に、過硫酸カリウム6.3質量部を純水120.5質量部に溶解した重合開始剤水溶液を添加し、スチレン270.5質量部、ブチルアクリレート125.3質量部、メタクリル酸27.5質量部、n−オクチルメルカプタン6.8質量部を混合したモノマー溶液を1時間かけて滴下した。前記モノマー溶液を滴下した後、2時間重合処理を続けた後、室温まで冷却し「樹脂粒子分散液2」を作製した。
(トナー母体粒子2の形成)
トナー母体粒子1の作製で、「樹脂粒子分散液1」を「樹脂粒子分散液2」に変えた以外は同様にして、トナー母体粒子2を作製した。得られた「トナー母体粒子2」の体積基準におけるメディアン径(D50)を「コールターカウンター3(ベックマン・コールター社製)」を用いて測定したところ7.0μmであった。
<キャリアの作製>
50μmのフェライト粒子100質量部と、メタクリル酸シクロヘキシルとメタクリル酸メチル共重合体(共重合比1:1)よりなる被覆用樹脂微粒子(重量平均分子量:40万、ガラス転移点:115℃、メディアン径(D50):100nm)5.0質量部とからなるキャリア原料を「撹拌羽根付高速撹拌混合機」に投入し、予備混合工程として、周速1m/secで2分間低速混合・撹拌した。その後、キャリア中間体形成工程として、ジャケットに冷水を通過させ、40℃にて周速8m/secで20分間混合・撹拌し、キャリア中間体を形成した。その後、キャリア粒子形成工程として、ジャケットに蒸気を通過させ、キャリア中間体を120℃にて周速8m/secで30分間撹拌して樹脂被覆キャリア粒子よりなる「キャリア1」を作製した。体積基準のメディアン径は53μm、樹脂被覆層の厚さは、2.5μmであった。
[トナーの作製]
(トナー1の作製)
「トナー母体粒子1」に、疎水性シリカ1(個数平均一次粒径12nm)を0.3質量%、疎水性シリカ2(個数平均一次粒径100nm)を1質量%及び疎水性二酸化チタン(個数平均一次粒径20nm)を0.5質量%、を添加した。ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製)を用いて混合処理を行った後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去し、トナー1を作製した。
(トナー2の作製)
トナー1の作製において、「トナー母体粒子1」を「トナー母体粒子2」に変えた以外は同様にして、トナー2を作製した。
<トナー1及びトナー2のTg及びTspの測定方法>
下記のようにして、トナー1及びトナー2のTg及びTspを測定した。結果は表1に示すとおりであった。
(第1ガラス転移点(Tg)の測定法)
第1ガラス転移点は、「Diamond DSC」(パーキンエルマー社製)を用いて求めた。
測定手順としては、まず、試料3.0mgを小数点以下二桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットした。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、昇温−降温−昇温の温度制御で行い、その1回目の昇温におけるデータを基に解析を行った。ガラス転移点は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点を第1ガラス転移点として示した。
<軟化点(Tsp)の測定法>
トナーの軟化点(Tsp)は、以下のように測定した。
まず、20℃±1℃・50%±5%RHの環境下において、試料とするトナー1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した。
その後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cmの力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作製した。
次いで、この成型サンプルを、24℃±5℃・50%±10%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出した。
昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetを、トナーの軟化点とした。
<トナー1及びトナー2の耐熱保管性の評価方法>
試料とするトナー0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(セイシン企業製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で55℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。
トナー凝集率は下記式により算出される値である。
(トナー凝集率(%))=(篩上の残存トナー質量(g))/0.5(g)×100
下記に記載の基準によりトナーの耐熱保管性の評価を行った。結果は表1に示す。
◎:トナー凝集率が15質量%未満(トナーの耐熱保管性が極めて良好。使用可能)
○:トナー凝集率が15〜20質量%の範囲内(トナーの耐熱保管性が良好。使用可能)
△:トナー凝集率が20%より大きく30%以下(トナーの耐熱保管性がやや難。使用可能)
×:トナー凝集率が30%を超える(トナーの耐熱保管性が極めて悪い。使用不可)
Figure 2017021192
[現像剤の作製]
キャリアとトナーを、トナー濃度が7.0質量%となるように混合し、現像剤1及び現像剤2を作製した。
<化合物1供給用混合物の調製>
下記に示す化合物1(D−マンニトールヘキサキス[11−[4−[(4−ヘキシルフェニル)アゾ]フェノキシ]ウンデカノアート])(東京化成工業製)100質量部を粗大粒子が無くなるまで乳鉢ですりつぶした。この粒子の個数粒子平均径は、15μmであった。これを粒子濃度5%となるように、キャリアと混合し、化合物1供給用混合物を調製した。
Figure 2017021192
[定着性評価]
以下、後述の各実施例及び比較例において、下記のようにして定着性を評価した。
評価に用いる未定着画像は、定着装置をはずした複写機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製、図1参照。)を用いて作製した。定着は、未定着画像に化合物1を現像/転写できる現像装置を配置し、任意の時間紫外光を照射できるように改造した、上述の図2に示すような単体定着装置A(改造機A)を使用して、定着実験を実施した。
詳細には、改造機Aは、光を照射する手段4ChであるUV−LEDアレイ(波長:365nm)が複数本設置された、着脱可能な現像装置10Chと、ドラム状の感光体1Chと、加熱ローラー24とを有する装置である。さらに、改造機Aは、当該装置中に任意の時間滞留させて上記化合物1を光異性化(光照射条件:60J/cm)させる光異性化工程と、当該光異性化工程の後、加熱ローラー24(定着手段)の表面温度(定着温度)を100〜200℃の範囲で変更することができ、かつ、定着速度を可変できる定着工程と、を有するように改造した。当該改造機Aに未定着画像を通過させ、定着性を評価した。
実際の評価は、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、A4サイズの上質紙上の先端から5cmの位置の中央部に、トナー付着量4g/mの5cm×5cmベタ画像を定着させる定着実験を、定着速度100mm/secに設定し、定着温度を100℃から5℃刻みで増加させるように変更しながら200℃まで繰り返し行った。
なお、光異性化工程では、十分に異性化効果を発揮させるため、滞留時間を30分とした。
目視で低温オフセットによる画像汚れが観察されない定着実験のうち、最低の定着温度を最低定着温度として評価した。
この温度が低い方が低温定着性に優れている。
[実施例1]
定着装置をはずした「bizhub PRO C6500」の黄色画像を形成する画像形成ユニット10Yに、化合物1供給用混合物を投入し(表2に記載の化合物供給工程1。)、Magenta色の画像を形成する画像形成ユニット10Mにトナー1の現像剤を投入し、トナー1の上に化合物1が積層された5cm×5cmの未定着画像パッチを定着実験に必要な枚数作成した。この時、画像形成ユニット10YはYellow画像を形成する手段ではなく化合物供給手段として使用している。なお、白紙上に供給することで求めた化合物1の供給量は0.5g/mであった。
現像装置10Chをはずした改造機Aを用い、上で得られた未定着画像を1枚ずつ定着した。その時、光異性化工程に30分滞留させた後、定着温度を100℃から5℃刻みで200℃まで変化させて定着試験を行い、目視にて、白紙部に低温オフセットが発生しない温度を最低定着温度とした。この実験の最低定着温度は120℃であった。
[実施例2]
定着装置をはずした「bizhub PRO C6500」のMagenta画像を形成する画像形成ユニット10Mにトナー1の現像剤を投入し、トナー1の5cm×5cmの未定着画像パッチを定着実験に必要な枚数作成した。
改造機Aの現像装置10Chに化合物1供給用混合物を投入(表2に記載の「化合物供給工程2」)し、上で得られた未定着画像の上に現像/転写し、トナー1の上に化合物1が積層された5cm×5cmの未定着画像を1枚ずつ定着した。その時、光異性化工程に30分滞留させた後、定着温度を100℃から5℃刻みで200℃まで変化させて定着試験を行い、目視にて、白紙部に低温オフセットが発生しない温度を最低定着温度とした。この実験の最低定着温度は120℃であった。なお、白紙上に供給することで求めた化合物1の供給量は0.5g/mであった。
[実施例3]
定着装置をはずした「bizhub PRO C6500」のCyan画像を形成する画像形成ユニット10Cにトナー1の現像剤を投入し、Black画像を形成する画像形成ユニット10Bkに化合物1供給用混合物を投入し、化合物1の上にトナー1が積層された5cm×5cmの未定着画像パッチを定着実験に必要な枚数作成した。この時、画像形成ユニット10BkはBlack画像を形成する手段ではなく化合物供給手段として使用している。
本方法を化合物供給工程3とする。
現像装置10Chをはずした改造機Aを用い、上で得られた未定着画像を1枚ずつ定着した。その時、光異性化工程に30分滞留させた後、定着温度を100℃から5℃刻みで200℃まで変化させて定着試験を行い、目視にて、白紙部に低温オフセットが発生しない温度を最低定着温度とした。この実験の最低定着温度は140℃であった。なお、白紙上に供給することで求めた化合物1の供給量は0.5g/mであった。
[実施例4]
定着装置をはずした「bizhub PRO C6500」のYellow画像を形成する画像形成ユニット10Yに、化合物1供給用混合物を投入し、Magenta画像を形成する画像形成ユニット10Mにトナー1の現像剤を投入し、トナー1の上に化合物1が積層された5cm×5cmの未定着画像パッチを定着実験に必要な枚数作成した。この時、画像形成ユニット10YはYellow画像を形成する手段ではなく化合物供給手段として使用している。なお、白紙上に供給することで求めた化合物1の供給量は0.5g/mであった。
現像装置10Chをはずした改造機Aを用い、上で得られた未定着画像を1枚ずつ定着した。その時、光異性化工程に30分滞留させた後、定着温度を100℃から5℃刻みで200℃まで変化させて定着試験を行い、目視にて、白紙部に低温オフセットが発生しない温度を最低定着温度とした。この実験の最低定着温度は120℃であった。
[実施例5]
トナー1をトナー2に変更した以外は、実施例1と同様に定着試験を実施した。この実験の最低定着温度は110℃であった。
[実施例6]
トナー1をトナー2に変更した以外は、実施例2と同様に定着試験を実施した。この実験の最低定着温度は110℃であった。
[比較例1]
定着装置をはずした「bizhub PRO C6500」のMagenta画像を形成する画像形成ユニット10Mにトナー1の現像剤を投入し、トナー1の5cm×5cmの未定着画像パッチを定着実験に必要な枚数作成した。現像装置10Chをはずした改造機Aを用い、上で得られた未定着画像を1枚ずつ定着した。その時、光異性化工程に30分滞留させた後、定着温度を100℃から5℃刻みで200℃まで変化させて定着試験を行い、目視にて、白紙部に低温オフセットが発生しない温度を最低定着温度とした。この実験の最低定着温度は160℃であった。
[比較例2]
トナー1をトナー2に変更した以外は、比較例1と同様に定着試験を実施した。この実験の最低定着温度は150℃であった。
<画像貼りつき評価>
(可視光照射あり(実施例1〜3、5、6、比較例1、2))
改造機Aの定着手段(加熱ローラー24)を通過させた画像のうち、目視にて低温オフセットが観察されない最低定着温度+10℃で定着した画像において、通紙後すぐに、室温(25℃:表2に記載の「固化時の温度」)下で、500nmの可視光を5分照射させた後、画像パッチ部分を半分に折り、80g/cmとなるようにおもりを置き、2時間放置後、ゆっくりと紙を開き、画像貼りつきの評価を行った。この時、画像同士は全く貼りつくことがなかった(表2では「◎」と記載。)。
(可視光照射なし(実施例4))
改造機Aの定着手段(加熱ローラー24)を通過させた画像のうち、目視にて低温オフセットが観察されない最低定着温度+10℃(つまり、130℃)で定着した画像において、通紙後すぐに暗所に室温(25℃:表2に記載の「固化時の温度」)下で、5分放置後、画像パッチ部分を半分に折り、80g/cmとなるようにおもりを置き、2時間放置後、ゆっくりと紙を開き、画像貼りつきの評価を行った。この時、画像同士が、やや付着したが、画像はがれ等の画像不良にはならなかったため、実用上問題ないレベル(表2では「○」と記載。)であった。
(可視光照射なし(実施例7))
改造機Aの定着手段(加熱ローラー24)を通過させた画像のうち、目視にて低温オフセットが観察されない最低定着温度+10℃(つまり、130℃)で定着した画像において、通紙後すぐに、光を遮断し、トナー1の第1ガラス転移点未満の温度である40℃(表2に記載の「固化時の温度」)に設定した恒温槽に5分放置後、画像パッチ部分を半分に折り、80g/cmとなるようにおもりを置き、2時間放置後、ゆっくりと紙を開き、画像貼りつきの評価を行った。この時、画像同士は全く貼りつくことがなかった(表2では「◎」と記載。)。
Figure 2017021192
(まとめ)
表2から、本発明の構成であれば、耐熱保管性の高いトナーを使用しながら、低温で定着が可能な画像形成方法を提供できることが示された。
特に、実施例1〜3、7と、比較例2との比較から、本発明の画像形成方法であれば、(Tg、Tsp等が高く)耐熱保管性の高いトナー1を使用した場合であっても、(Tg、Tsp等が低く)耐熱保管性の低いトナー2よりも、低い定着温度を実現できることがわかる。
なお、本発明では、画像形成に使用するトナーは、耐熱保管性を確保されていれば、これまで使用されているトナーと大きな変更点はないため、当然ながら、トナーの帯電性が悪化することなく、画像かぶり等の不良は発生しなかった。
1Ch 感光体
4Ch 光を照射する手段
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
10Ch 現像装置
24 加熱ローラー
27 定着手段
A 定着装置(改造機)
P 記録媒体

Claims (6)

  1. 感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する工程と、前記記録媒体に転写した前記トナー像を定着する工程と、を有する画像形成方法であって、
    前記定着する工程の前に、光照射により融点が低下する化合物を供給する工程と、
    光を照射する工程と、
    を有することを特徴とする、画像形成方法。
  2. 前記光照射により融点が低下する化合物を供給する工程が、前記トナー像を形成する工程の前であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記光照射により融点が低下する化合物を供給する工程が、前記トナー像を形成する工程の後であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  4. 前記定着する工程の後に、可視光を照射する工程を有する請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  5. 前記定着する工程の後に、前記トナーの第1ガラス転移点未満の温度で加熱する工程を有する請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  6. 前記トナーの第1ガラス転移点が、45℃以上であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
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