JP2008040426A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温高湿下での帯電保持性、特に高温高湿下での長期放置後の帯電保持性に優れ、カブリ発生、画像濃度低下、定着画像の強度不足を抑制することができる静電荷像現像用トナーを提供する。
【解決手段】結着樹脂、着色剤及び離型剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、結着樹脂が側鎖にシクロアルキル基を有し、結着樹脂中のシクロアルキル基の重量比を所定の範囲とし、特定の離型剤を用いることにより、高温高湿下での帯電保持性、特に高温高湿下での長期放置後の帯電保持性に優れ、カブリ発生、画像濃度低下、定着画像の強度不足を抑制することができる静電荷像現像用トナーを提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法等により形成される静電荷像を現像する際に用いる静電荷像現像用トナー、その静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤及びその静電荷像現像剤を使用する画像形成方法に関する。
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により感光体上に静電荷像を形成し、静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)を含む静電荷像現像剤(以下、「現像剤」と略す場合がある)で静電荷像を現像し、転写、定着工程を経て静電荷像が可視化される。
ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られているが、2成分現像剤が主として使用されている。
複写機やプリンタなどの小型化、パーソナル化に伴い、その使用方法が多様化している。ほぼ毎日連続で印刷されるものもあれば、1週間以上も間隔をあけて印刷されるものもある。また、その環境も低温から高温、高湿度と幅広い。このような使用環境の中、幾つかの問題が生じている。そのなかの1つとして、現像剤を高温高湿環境下で放置した後の印刷不良がある。印刷不良は、特にカブリや画像濃度低下等の現象として現れる。
そこで、例えば、特許文献1及び2には、側鎖に長鎖アルキル基を有する結着樹脂を使用したトナーが提案されている。結着樹脂の側鎖に長鎖アルキルが存在することで、トナーは疎水傾向を示し、高温高湿下でのカブリ抑制や画像濃度低下抑制に有利である。
また、特許文献3には、耐湿性に有効なシクロヘキサン環を主鎖に含む結着樹脂を使用したトナーが提案されている。また、特許文献4には、シクロヘキシル基、シクロドデシル基、アダマンチル基、イソボルニル基等の脂環式あるいはベンゼン環等の芳香族の環状構造を有するアクリル酸エステルの重合体を含む結着樹脂を使用したトナーが提案されている。さらに、特許文献5には、側鎖にシクロヘキシル基を有する結着樹脂を使用したトナーが提案されている。
特開昭62−78569号公報 特開2005−84383号公報 特開2003−149865号公報 特開2000−89508号公報 特開2004−143288号公報
しかしながら、特許文献1及び2のトナーは、側鎖の長鎖アルキル基の鎖長が長い(例えば、特許文献1では炭素数3〜22、特許文献2では炭素数8〜22)ため、トナー造粒後の結晶化度の変化等に起因する長期放置後の初期カブリや画像濃度低下、定着画像の強度不足(もろい)などの問題が生じることがある。
また、特許文献3のトナーでは、耐湿性に有効なシクロヘキサン環を含む結着樹脂が使用されているものの、結着樹脂の主鎖にシクロヘキサン環が存在し、帯電性の設計が困難な場合がある。
また、特許文献4のトナーでは、環状構造において芳香族環やシアノ基、ニトロ基等の極性基を含み、高温高湿下での帯電保持性、特に高温高湿下での長期放置後の帯電保持性に問題がある。さらに、特許文献4において、イソボルニル環を含むものは定着画像の強度が弱くなることがある。また、離型剤としてエステルワックスを用いた場合、エステルワックスのもつ極性基が高温高湿下でのカブリを引き起こすことがある。
また、特許文献5のトナーでも同様に、シクロヘキシル環にはシアノ基、ニトロ基等の極性基を含むことが可能としており、高温高湿下での帯電保持性、特に高温高湿下での長期放置後の帯電保持性に問題が生じる。また、結着樹脂中の脂環式環状構造の含有量によっては帯電性と定着画像強度のバランスが悪くなる。さらに、特許文献5のようなポリヒドロキシアルカノエート樹脂は、主鎖の持つ極性比率が高く、高温高湿と低温低湿環境下での帯電の差が大きく、特に長期使用時にカブリや画像欠損などの問題を起こすことがある。また、定着においてオフセットが生じやすいという問題もある。
トナーに離型剤を含むことで、定着画像が容易に得られ、定着不良によりもたらされる定着強度不足を回避することができる。しかしながら、離型剤が極性を持つ低分子であると、離型剤の極性基による高温高湿におけるカブリや、トナーの構成樹脂との相溶性からくる低Tg化などによる粉体特性の悪化が生じる場合がある。
本発明は、高温高湿下での帯電保持性、特に高温高湿下での長期放置後の帯電保持性に優れ、カブリ発生、画像濃度低下、定着画像の強度不足を抑制することができる静電荷像現像用トナー、その静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤及びその静電荷像現像剤を使用する画像形成方法である。
本発明は、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含む静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂は側鎖にシクロアルキル基を有し、前記結着樹脂中の前記シクロアルキル基の重量比が10重量%〜40重量%であり、かつ前記離型剤がパラフィン又はポリオレフィンである。
また、前記静電荷像現像用トナーにおいて、前記シクロアルキル基の環状炭素数が5〜8であることが好ましい。
また、本発明は、前記静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤である。
また、本発明は、静電荷像担持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記静電荷像担持体表面に形成された静電荷像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記静電荷像担持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、前記現像剤が、前記静電荷像現像剤である。
本発明では、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、結着樹脂が側鎖にシクロアルキル基を有し、結着樹脂中のシクロアルキル基の重量比を所定の範囲とし、特定の離型剤を用いることにより、高温高湿下での帯電保持性、特に高温高湿下での長期放置後の帯電保持性に優れ、カブリ発生、画像濃度低下、定着画像の強度不足を抑制することができる静電荷像現像用トナー、その静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤及びその静電荷像現像剤を使用する画像形成方法を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。
<静電荷像現像用トナー>
(結着樹脂)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含み、結着樹脂は側鎖にシクロアルキル基を有し、結着樹脂中のシクロアルキル基の重量比が10重量%〜40重量%であり、かつ離型剤がパラフィン又はポリオレフィンである。
シクロアルキル基がトナーの結着樹脂の側鎖に存在することによりトナーの疎水性が高くなり、高湿下での帯電を保持する。また、シクロアルキル基が側鎖に存在することにより、樹脂の主鎖の分極、帯電性能に対して大きな影響を持たない。さらに、長鎖アルキル基に比べて環状アルキル基は炭素数に対して立体的に小さい。これらの効果から、トナーの帯電を良好に維持することができる。結着樹脂の側鎖に疎水基を導入し、同様に帯電保持性を得ようとしたとき、その元素数を多くする必要があり、環状化合物でないものでは鎖状に長い側鎖となる。その場合、結着樹脂中の長鎖状側鎖基による次のような弊害がある。すなわち、トナーの定着において、結着樹脂溶融時には側鎖基の動きは自由であり、冷却及び固化時には側鎖基の動きは小さくなる。このとき、放置時間経過に伴い、側鎖基の配列或いは結晶化が徐々に進むため、定着画像の状態が経時で変化し、柔軟性がなくなって画像強度が変化し、被転写体の折り曲げ等での不具合が生じることがある。また、側鎖の動きが大きいときには定着温度、定着速度に自由度が無くなり、特に高速定着が出来ない場合がある。特に、トナーに離型剤(ワックス)を含む場合は、離型剤と結着樹脂の側鎖の親和性により離型剤が移動するため顕著である。さらに、鎖状に長い分子は、トナー作製時から経時での内部結晶状態が変わり、帯電性が変化することがある。現像工程においては、長鎖状の側鎖基の動きが主鎖のばらつき、偏在を生じさせ、トナー粒子間の帯電ばらつきを生じることがある。このため、カブリや画像の抜けなどが生じやすい。
このように、結着樹脂の主鎖にシクロアルキル基を含むものに比べて、側鎖にシクロアルキル基が存在することで主鎖の分極、帯電に影響が少なく、また側鎖結晶性による疎水性及び樹脂強度が得られる。また、結着樹脂の側鎖に長鎖アルキル基を含むものに比べて良好な帯電性及び樹脂強度が得られる。そのため、特に長期放置後の画像形成において濃度低下やカブリなどが少ない。
したがって、本実施形態において、結着樹脂の側鎖にシクロアルキル基を導入することにより、トナーの疎水性を高め、高温高湿環境下での帯電性能、特に高温高湿環境下での画質、及び長期放置後の帯電劣化による画像濃度低下や背景カブリ発生の抑制をすることができる。また、主鎖の帯電性能に影響しにくいので、帯電の絶対値を任意に(例えば高めに)設定することができ、帯電性の設計を自由に行うことができる。
結着樹脂中のシクロアルキル基の重量比は、10重量%〜40重量%である。この範囲であると、帯電性と画像強度のバランスが取れる。より好ましくは12〜30重量%、さらに好ましくは15〜30重量%、特に好ましくは18〜30重量%である。結着樹脂中のシクロアルキル基の重量比が10重量%未満であると、高温高湿時の帯電性に問題が生じることがある。また40重量%を超えると、トナー内部の結晶状態の変化により、高温高湿時の帯電性にやや劣ることがあり、定着画像強度もまた劣ることがある。
結着樹脂中の側鎖のシクロアルキル基の重量比は、H−NMRにより、樹脂の繰り返し単位のプロトンとシクロアルキル基のプロトンとの比率を計算することにより求めることができる。例えば、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸からなる共重合体の側鎖にシクロヘキシル基を有する樹脂であれば、スチレン部のプロトン及びメタクリル酸メチルのメチルエステル部のプロトンピーク面積とシクロヘキシル基のプロトンピーク面積との積分値から比率を求めることができる。
同様にポリエステル系樹脂においても、H−NMRにより、樹脂の各繰り返し単位とシクロヘキシル基との比率を計算することができる。
上記測定において、H−NMR装置はJNM−AL400(日本電子株式会社製)を用い、測定条件は、5mmガラス管、3重量%重クロロホルム溶液、測定温度25℃にて行うことができる。また、測定サンプルは、現像剤からキャリアを脱離させ、トナーから有機溶媒などで溶解し、ろ過等により結着樹脂を分離したものを用いることができる。
シクロアルキル基の環状を形成する環状炭素数は3〜10であることが好ましく、5〜8であることがより好ましく、5及び6であることがさらに好ましい。この範囲であると、高温高湿環境下での帯電性と定着画像強度のバランスが取れ、好ましい。また、この範囲であると、シクロアルキル基の安定性が良好である。シクロアルキル基の環状炭素数が5未満であると、高温高湿下での帯電安定性に劣る場合があり、8を超えると、特に10を超えると定着不良を起こす場合がある。また、シクロアルキル基にはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が置換されていてもよいが、その場合、合計の炭素数は5〜8であることが好ましい。特に好ましいのは、環状炭素数が5〜8である無置換のシクロアルキル基であり、さらに、環状炭素数が5及び6である無置換のシクロアルキル基である。よって、結着樹脂中には側鎖に炭素数9を超えるシクロアルキル基を有する樹脂を含まない方が良い。
側鎖にシクロアルキル基を有する樹脂は特に限定されないが、側鎖にシクロアルキル基を有するスチレンアクリル系樹脂及び側鎖にシクロアルキル基を有するポリエステル系樹脂のうち少なくとも1つであることが好ましい。結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂であると、定着後の画像強度が良好であり好ましい。また、ポリエステル系樹脂であると、低温定着性、高速定着性が良好であり好ましい。
側鎖にシクロアルキル基を有するスチレンアクリル系樹脂としては特に限定されないが、アクリル酸シクロアルキルエステル共重合体等が挙げられ、次のようなものがある。例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル共重合体のエステル部がシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカンなどの飽和シクロアルキル、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの不飽和シクロアルキルからなるものがある。また、シクロアルキル基はトリシクロ(3,3,1,1(3,7))デカンなどの環状の組み合わせであってもよい。また、上記アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルスチレンなどのビニル基との共重合体であっても良い。
シクロアルキル基を含むエステル部は、カルボキシル基に直接シクロアルキル基が結合した構造でも、間にメチレン基が存在する構造であっても構わない。
またシクロアルキル基に、水酸基やシアノ基、ニトロ基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基などの極性基が直接結合しているものは、本実施形態の上記効果を得ることが出来ない。
側鎖にシクロアルキル基を有するポリエステル系樹脂としては特に限定されないが、例えば、側鎖にシクロアルキル基を有するアルコール類やカルボン酸類の縮重合から得ることができる。シクロアルキル基は前記の基を用いることができる。また、酸価を持つポリエステル系樹脂を合成後にシクロアルキルアルコール等によるエステル化から得ることもできる。
ポリエステル系樹脂の合成に使用することができるアルコール類、カルボン酸類は特に限定されない。
また、側鎖にシクロアルキル基を有する樹脂中に硫黄原子を有することも好ましい。分子中に硫黄原子、特にチオエーテル構造を持つことで、低温定着性と高温高湿帯電性を高いレベルで両立することができる。これは、硫黄原子が構造に入ることで、定着時の低温溶融が進み、定着に良好であるうえに、同じレベルの溶融速度を持つポリエステル系樹脂などに比べ、全体の極性は小さく、高温高湿帯電性に対する影響が小さい。
硫黄原子を有する樹脂を得るために、チオエーテル構造を有するアルコール類、カルボン酸類を使用することができる。例えば、3,3’−チオジプロピオン酸、チオジ酪酸などのチオカルボン酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸などのジチオカルボン酸、2,2’−チオジエタノール、3,3’−チオジプロパノールなどのチオジアルコール、2,2’−ジチオジエタノール、3,3’−ジチオジプロパノールなどのジチオジアルコールなどが挙げられる。
また、側鎖にシクロアルキル基を有する樹脂として、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、エポキシ系樹脂などを用いることもできる。これらも、各モノマの側鎖にシクロアルキル基を有するものを用いて合成することによい得られる。また、酸価を持つ各樹脂を作製後、シクロアルキルアルコール等とのエステル反応から得ることも可能である。
また、本実施形態に係るトナーはコアシェル構造をとり、コア粒子が結晶性樹脂を含み、シェル層が上記側鎖にシクロアルキル基を有する非結晶性樹脂を含むことが好ましい。この構造であると、コア粒子に含まれる結晶性樹脂が低温定着及び高速定着時に良好な溶融状態を示すため、好ましく用いることができる。また、結晶性樹脂は、高温高湿下での帯電性に問題が生じることがあり、側鎖にシクロアルキル基を有する樹脂でその表面にシェル層を形成した構造をとることにより、帯電性と定着性に優れたトナーを得ることができる。
本実施形態において、「結晶性樹脂」の「結晶性」とは、樹脂またはトナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃以内であるときに「明確な」吸熱ピークであるとする。また、シャープメルト製の観点から、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、10℃以内であることが好ましく、6℃以内であることがより好ましい。DSC曲線におけるベースラインの平坦部の任意の点及びベースラインからの立ち下がり部の平坦部の任意の点を指定し、その両点間の平坦部の接線の交点が「オンセット点」として自動接線処理システムにより自動的に求められる。また、吸熱ピークは、トナーとしたときに、40〜50℃の幅を有するピークを示す場合がある。
また、「非結晶性樹脂」とは、樹脂またはトナーの示差走査熱量測定(DSC)において、オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められない樹脂であることを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められないときに「非結晶性」であるとする。また、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、12℃を超えることが好ましく、明確な吸熱ピークが認められないことがより好ましい。DSC曲線における「オンセット点」の求め方は上記「結晶性樹脂」の場合と同様である。
本実施形態におけるトナーにおいて、コア粒子の結着樹脂として結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを含む場合、トナー中に含まれる結晶性樹脂の含有量が20〜95重量%の範囲内であることが好ましく、25〜65重量%の範囲内であることがより好ましい。結晶性樹脂の含有量が20重量%以下の場合には、トナーの融点が増加することにより低温定着が困難となる場合がある。さらに、このようなトナーを用いて得られた画像のドキュメントオフセット性が悪化する場合がある。また、トナーに含まれる結晶性樹脂の溶融特性を樹脂酸価や金属塩によって制御することによって、薄膜条件下で存在する最表面に存在する非結晶性樹脂の溶融特性の影響を殆ど受けることなく、トナーとしての溶融特性を制御することが可能である。
また、本実施形態においてはトナーのコア粒子として結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを用いる場合、互いに相溶することが好ましく、その基準として双方の樹脂のSP値(溶解度パラメータ:Solubility Parameter、ここでは、Fedors法により求め、「×10−31/2−3/2」を省略した数値を用いる)の差が1以内であることが好ましい。
結晶性樹脂としては、結晶性を持つ樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂が挙げられるが、定着時の紙への接着性や帯電性、および好ましい範囲での融点調整の観点から結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。また、適度な融点をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
また、本実施形態に係るトナーに用いられる「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造からなるポリマ以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマ(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマ(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50重量%以下である。
前記結晶性ビニル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げられる。尚、本明細書において、”(メタ)アクリル”なる記述は、”アクリル”および”メタクリル”のいずれをも含むことを意味するものである。
本実施形態に係るトナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作成する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化或いは懸濁が可能である。
このようにスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して1〜15モル%、好ましくは2〜10モル%含有する。含有量が少ないと乳化粒子の経時安定性が悪くなる一方、15モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下するばかりではなく、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与え、トナー径の調整が難しくなるという不具合が生じる。
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るトナーに用いられる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、90%以上である。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
結晶性ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリ−1,2−シクロプロペンジメチレンイソフタレート、ポリデカメチレンアジペート、ポリデカメチレンアゼレート、ポリデカメチレンオキサート、ポリデカメチレンセバケート、ポリデカメチレンサクシネート、ポリアイコサメチレンマロネート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ブチレート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリエチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンスベレート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンアジペート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンマロネート等が挙げられる。
さらに、トランス−ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレン−1−メチルシクロプロパンジカルボキシレート、ポリノナメチレンアゼレート、ポリノナメチレンテレフタレート、ポリオクタメチレンドデカンジエート、ポリペンタメチレンテレフタレート、トランス−ポリ−m−フェニレンシクロプロパンジカルボキシレート、シス−ポリ−m−フェニレンシクロプロパンジカルボキシレート、ポリテトラメチレンカーボネート、ポリテトラメチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリテトラメチレンセバケート、ポリトリメチレンドデカンジオエート、ポリトリメチレンオクタデカンジオエート、ポリトリメチレンオキサレート、ポリトリメチレンウンデカンジオエート、ポリ−p−キシレンアジペート、ポリ−p−キシレンアゼレート、ポリ−p−キシレンセバケート、ポリジエチレングリコールテレフタレート、シス−ポリ−1,4−(2−ブテン)セバケート、ポリカプロラクトン等が挙げられる。尚、これらの重合体において使用される複数のエステル系モノマの共重合体、エステル系モノマ及びこれと共重合可能な他のモノマとの共重合体等も使用することができる。
側鎖にシクロアルキル基を有する非結晶性樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が5000〜1000000であることが好ましく、更に好ましくは7000〜500000であり、数平均分子量(Mn)は2000〜100000であることが好ましく、分子量分布Mw/Mnが1.5〜100であることが好ましく、更に好ましくは2〜60である。
重量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲より小さい場合には、低温定着性には効果的ではある一方で、耐ホットオフセット性が著しく悪くなるばかりでなく、トナーのガラス転移点を低下させる為、トナーのブロッキング等保存性にも悪影響を及ぼす。一方、上記範囲より分子量が大きい場合には、耐ホットオフセット性は充分付与できるものの、低温定着性は低下する他、トナー中に存在する結晶性ポリエステル相の染み出しを阻害する為、ドキュメント保存性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性、ドキュメント保存性を両立し得ることが容易となる。
樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、前記のような分子量分布を得やすいことや、乳化分散法によるトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、1〜30mgKOH/gであることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
本実施形態に使用される非結晶性樹脂のガラス転移温度は、35〜100℃の範囲であることが好ましく、貯蔵安定性とトナーの定着性のバランスの点から、50〜80℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移温度が35℃未満であると、トナーが貯蔵中又は現像機中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向にある。一方、ガラス転移温度が100℃を超えると、トナーの定着温度が高くなってしまい好ましくない。
(着色剤)
また、着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の種々の顔料、または、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系等の各種染料を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおける、前記着色剤の含有量としては、結着樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の範囲であることが好ましいが、また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
(離型剤)
本実施形態におけるトナーを構成する成分として、離型剤を含むことを必須とする。離型剤はパラフィン又はポリオレフィンである。トナー中に離型剤を含むことで高速定着やオイルレス定着を可能とし、欠損の無い定着画像が得られることで、定着画像の強度も向上する。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。離型剤は、パラフィンやポリオレフィンなどの炭化水素系離型剤が好ましい。パラフィンやオレフィンは、定着時に容易に溶融し、極性ワックスなどに比べて樹脂による染み出し阻害が少なく、少量で効果を得ることができる。また、ロールなどの定着部材に対する汚染も少なく、好ましい。しかし、これらは無極性であり、トナー中に均一に分散せずに偏りが生じやすい。特に低融点品に顕著であり、トナー表面への露出や、偏在、脱離などによるトナーの流動性、帯電性、定着性、保存性に問題が生じる場合がある。しかし、シクロアルキル基を側鎖に有する樹脂は、これらと親和性が高く、均一分散に有利であり、両者の組み合わせを好ましく用いることできる。これらの理由及びシクロアルキル基を側鎖に有する樹脂による高温高湿での良好なトナー特性との相乗効果で、高温高湿下での帯電保持性、特に高温高湿下での長期放置後の帯電保持性に優れ、カブリ発生、画像濃度低下、定着画像の強度不足を抑制することができる。また、エステル系ワックス等の極性を持つ離型剤の場合は、結着樹脂、特にポリエステル樹脂との親和性が強く、十分な離型効果を得られない場合がある。さらには、結着樹脂に対する可塑効果や離型剤の持つ極性基による帯電不良等の問題が生じる場合がある。
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。離型剤の融点は下記トナーの融点と同様の方法により求めることができる。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の範囲内であることが好ましく、2〜20重量部の範囲内であることがより好ましい。離型剤の含有量が1重量部未満であると離型剤添加の効果がなく、高温でのホットオフセットを引き起こす場合がある。一方、30重量部を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中にドメインが残留し易くなり、OHP透明性が悪化するという問題が生じる場合がある。
(その他の添加剤)
本実施形態に係るトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機微粒子が挙げられる。
トナー表面に外添される無機粒子や有機粒子としては以下のようなものが挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ粒子や酸化チタン粒子が好ましく、疎水化処理された粒子が特に好ましい。
無機粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機粒子の体積平均粒径としては、1〜200nmが好ましく、その添加量としては、トナー100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
有機粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
(静電荷像現像用トナーの物性)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの体積平均粒径D50vは4μm〜8μmの範囲であることが好ましい。トナーの体積平均粒径D50vが4μmより小さいと、帯電性が不十分となり周囲への飛散が起こって画像かぶりを引き起こしたり、転写しきれなかったトナーのクリーニングが十分に出来ずフィルミングの発生を引き起こしたりするので好ましくない。一方、体積平均粒径D50vが8μmを超えると、画像の解像度が低下し、高画質を達成することが困難となる傾向にある。
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの体積平均粒度分布指標GSDvは、1.27以下であり、好ましくは1.25以下である。GSDvが1.27を超えると粒度分布がシャープとならず、解像性が低下し、トナー飛散やかぶり等の画像欠陥の原因となることがある。
なお、体積平均粒径D50v及び体積平均粒度分布指標GSDvは、コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)を用いて、100μmのアパーチャ径で測定することにより得ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)で測定されるトナーの粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。この際、D50vは体積平均粒径を表し、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2として求められる。なお、(D84p/D16p)1/2は数平均粒度分布指標(GSDp)を表す。
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの、下記式で表される形状係数SF1は好ましくは110〜140の範囲、より好ましくは115〜130の範囲である。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100
〔ただし、上記式において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm)を表す。〕
トナーの形状係数SF1が110より小さい、または140を越えると、長期に渡って、優れた帯電性、クリーニング性、転写性を得ることができない場合がある。
なお、形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて次のように測定する。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、上記形状係数SF1として求める。
<静電荷像現像用トナーの製造方法>
本実施形態に係る静電荷像現像用イエロートナーの製造方法としては、従来の混練粉砕法や、着色剤、離型剤等を重合性単量体とともに懸濁させ、重合性単量体を重合する懸濁重合法、樹脂、着色剤、離型剤等のトナー構成材料を有機溶媒に溶解させ、水系溶媒中に懸濁状態で分散させた後に有機溶媒を除去する溶解懸濁法、樹脂を乳化重合により作製し、着色剤、離型剤等の分散液とともにヘテロ凝集させ、その後融合、合一する乳化重合凝集法等の湿式製法などがあるが、トナー表面に極性基と架橋成分をトナー表面に偏在できる製法であればよく特に制限はない。これらの中で、懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法等の湿式製法が好ましく、トナー粒径制御性、狭粒度分布、形状制御性、狭形状分布、内部分散制御性の点から乳化重合凝集法が最適である。
一般に、乳化重合凝集法は、結着樹脂等を乳化し乳化粒子(液滴)を形成して粒径が1μm以下の樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液等を調整する工程(以下、「乳化工程」と称することがある)と、樹脂粒子分散液、及び着色剤を分散した着色剤分散液、離型剤を分散した離型剤分散液等を混合し、樹脂粒子、着色剤、離型剤をトナー粒径に凝集させる工程(以下、「凝集工程」と称することがある)、樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し凝集体を融合しトナー粒子を形成する工程(以下、「融合工程」と称することがある)を含む。
〔乳化工程〕
乳化工程において、結着樹脂の乳化粒子(液滴)は、水系溶媒と、結着樹脂を含む混合液と、を混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。
その際、加熱するか、或いは、有機溶剤に結着樹脂を溶解させることにより、混合液の粘性を下げて乳化粒子を形成することができる。また、乳化粒子の安定化や水系溶媒の増粘防止のため、分散剤を使用することもできる。かかる乳化粒子の分散液のことを、「樹脂粒子分散液(樹脂分散液)」という。
前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエン等が挙げられ、結着樹脂の種類、構造等に応じて適宜選択して用いることができる。
前記有機溶剤の使用量としては、樹脂の総量100重量部に対して、50〜5000重量部の範囲であることが好ましく、120〜1000重量部の範囲であることがより好ましい。
前記分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤、リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機化合物等が挙げられる。
前記分散剤として無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、微粒子を得る目的で、分散剤中にて無機化合物の粒子を生成する方法を採用してもよい。前記分散剤の使用量としては、樹脂100重量部に対して、0.01〜20重量部の範囲が好ましい。
乳化粒子を形成する際に用いる乳化機としては、例えば、ホモジナイザ、ホモミキサ、加圧ニーダ、エクストルーダ、メディア分散機等が挙げられる。樹脂の乳化粒子(液滴)の大きさとしては、その平均粒径(体積平均粒径)で0.01μm〜1μmの範囲が好ましく、0.03μm〜0.3μmの範囲がより好ましく、0.03μm〜0.4μmの範囲がさらに好ましい。
着色剤分散液は、着色剤と界面活性剤とを水系溶媒中で分散して着色剤分散液を得る工程を含む方法により製造される。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結着樹脂を分散させる際に用いる分散剤と同様のものを用いることができる。
着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。
前記着色剤の添加量としては、前記結着樹脂の総量に対して1〜20重量%の範囲とすることが好ましく、1〜10重量%の範囲とすることがより好ましく、2〜10重量%の範囲とすることがさらに好ましく、2〜7重量%の範囲とすることが特に好ましい。
また、離型剤も、界面活性剤を使用して離型剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用して離型剤の有機溶剤分散液を調製する。かかる離型剤の水分散液あるいは有機溶剤分散液のことを、「離型剤分散液」という。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結着樹脂を分散させる際に用いる分散剤と同様のものを用いることができる。
〔凝集工程〕
凝集工程においては、得られた樹脂粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液を、結着樹脂の融点付近の温度でかつ融点以下の温度で加熱して凝集し凝集体を形成する。加熱の時間としては、凝集が十分に行われる程度行えばよく、例えば、0.5時間〜10時間程度行えばよい。
乳化粒子の凝集体の形成は、撹拌下、乳化液のpHを酸性にすることによってなされる。当該pHとしては、2〜6の範囲が好ましく、2.5〜5の範囲がより好ましく、2.5〜4の範囲がさらに好ましい。この際、凝集剤を使用するのも有効である。
用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好ましい。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より好ましい。
凝集時の反応液の固形分濃度は、通常5重量%〜20重量%の範囲で、好ましくは10重量%〜15重量%の範囲で行われる。反応液の固形分濃度が5重量%未満であると、あるいは20重量%を超えると、凝集が起こりにくい場合がある。
〔融合工程〕
融合工程においては、凝集工程と同様の撹拌下で、凝集体の懸濁液のpHを3〜7の範囲にすることにより、凝集の進行を止め、樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集体を融合させる。
前記加熱の温度としては、結着樹脂の融点以上であれば問題無い。
前記加熱の時間としては、融合が十分に行われる程度行えばよく、例えば、0.5〜10時間程度行えばよい。
前記融合工程においては、結着樹脂が融点以上に加熱されている時に、あるいは融合が終了した後に、架橋反応を行わせてもよい。また、凝集と同時に架橋反応を行うこともできる。架橋反応を行わせる場合には、例えば、結着樹脂として2重結合成分を共重合させた、不飽和スルホン化結晶性ポリエステル樹脂を用い、この樹脂にラジカル反応を起こさせ、架橋構造を導入する。この際、以下に示す重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独で使用することも、または2種以上を併用することもできる。重合開始剤の量や種類は、ポリマ中の不飽和部位量、共存する着色剤の種類や量によって選択される。
重合開始剤は、乳化工程前にあらかじめ結着樹脂に混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集塊に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、或いは融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、融合工程、あるいは融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、粒子分散液(樹脂粒子分散液等)に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
(シェル層形成工程)
次に、必要に応じてシェル層を形成する方法について説明する。本実施形態に係るトナーにおいて、シェル層を形成する方法は、前記凝集粒子(コア粒子)に、非結晶性樹脂粒子等を付着させて非結晶性樹脂付着粒子を形成する凝集工程と、非結晶性樹脂付着粒子を加熱してシェル層を形成する溶融工程と、を含む。非結晶性樹脂微粒子を主成分とするシェル層の形成方法については、生産性の観点から水中において行うことが好ましい。
シェル層の形成は、上記の如き乳化重合凝集法等による造粒中に非結晶性粒子分散液を添加することにより同時に行う同プロセスとして行ってもよいし、またコア粒子作製後に別プロセスとして行ってもよいが、シェル層形成は、コア粒子作製後に水系媒体中において別プロセスとして行うことが好ましい。
シェル層形成工程において、被覆時の固形分濃度は10〜50重量%の範囲であることが好ましく、20〜50重量%の範囲であることがより好ましく、30〜50重量%の範囲であることがさらに好ましい。10%重量以下においては分散安定性が低いだけでなく、分散安定性が低下することにより非結晶性樹脂粒子のコア粒子表面への付着が不十分となってしまう場合がある。また、固形分濃度が50重量%以上では、付着時のスラリ粘度の増加により撹拌不良を引き起こし、粗大粉の発生の原因となる場合がある。
シェル層の形成において、コア粒子造粒後のスラリ液に非結晶性樹脂粒子分散液を添加した後、強固なシェル層を得る目的で、スラリ液を加熱してもよい。この際、コア粒子の結着樹脂の融点またはガラス転移温度以下において加熱することが重要である。加熱温度が高すぎる場合には、粗大粉が発生するだけでなく、コア成分がシェル層表面に溶出してしまい、帯電特性および熱保管性を悪化させてしまう場合がある。
シェル層の形成において、非結晶性樹脂粒子の被覆を促進させる目的で、凝集剤を用いてもよい。凝集剤としては、後述する凝集剤種が好適に用いられる。また、凝集剤を添加する時期としては、非結晶性樹脂粒子の添加前後いずれでもよい。
本実施形態のトナーのシェル層作製において、上述したように非結晶性樹脂粒子の添加量は、コア粒子の重量に対して5〜25重量%の範囲であることが好ましく、7〜20重量%の範囲であることがより好ましく、7〜16重量%の範囲であることがさらに好ましい。添加量が5重量%未満の場合には、熱保管性が不十分となり、実機内においてブロッキングが発生しやすい。添加量が25重量%を超える場合には、熱保管性は問題ないものの、帯電特性および低温定着性が阻害されてしまう場合がある。
(洗浄、乾燥工程)
乳化重合凝集法等を用いてトナー粒子を作製した場合、塩酸、硫酸、硝酸等の強酸の水溶液で分散剤を除去後、ろ液が中性になるまでイオン交換水などですすぎ、更に任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナーを得る。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、イオン交換水等で十分に洗浄することが好ましい。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整することが望ましい。
<静電荷像現像剤>
本実施形態において、静電荷像現像剤は、前記静電荷像現像用トナーを含有する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷像現像剤は、静電荷像現像用トナーを単独で用いて一成分系の静電荷像現像剤としてもよいし、また、キャリアと組み合わせて用いて二成分系の静電荷像現像剤としてもよい。
例えばキャリアを用いる場合のそのキャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアが挙げられる。
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。該キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、30〜200μm程度の範囲である。
また、上記樹脂被覆キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロぺニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマ;などの単独重合体、または2種類以上のモノマからなる共重合体、さらに、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等を含むシリコーン樹脂類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。被覆樹脂の被覆量としては、前記核体粒子100重量部に対して0.1〜10重量部程度の範囲が好ましく、0.5〜3.0重量部の範囲がより好ましい。
キャリアの製造には、加熱型ニーダ、加熱型ヘンシェルミキサ、UMミキサなどを使用することができ、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用することができる。
静電荷像現像剤における静電荷像現像用トナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
<画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成方法は、静電荷像担持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記静電荷像担持体表面に形成された静電荷像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記静電荷像担持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、現像剤として、前記静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像剤を用いる。
前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。また、本実施形態に係る画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよい。
前記静電荷像担持体としては、例えば、電子写真感光体および誘電記録体等が使用できる。電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電荷像(静電潜像)を形成する(静電荷像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電荷像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー画像を形成する(現像工程)。形成されたトナー画像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー画像は、定着機により熱定着等され(定着工程)、最終的なトナー像が形成される。
なお、定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、定着機における定着部材に離型剤が供給される。
離型剤は、定着後の被転写体および画像へのオイルの付着をなくす観点からは使用しない方が好ましいが、離型剤の供給量を0mg/cmにすると、定着時に定着部材と紙等の被転写体とが接触した際に、定着部材の磨耗量が増大し、定着部材の耐久性が低下してしまう場合があるので、必要ならば、離型剤の使用量が8.0×10−3mg/cm以下の範囲で、定着部材に微量に供給されていることが好ましい。
離型剤の供給量が、8.0×10−3mg/cmを越えると、定着後に画像表面に付着した離型剤のために画質が低下し、特にOHPのような透過光を利用する場合には、かかる現象が顕著に現れることがある。また、被転写体への離型剤の付着が顕著になり、ベタ付きが発生することもある。さらに、離型剤の供給量は、多くなるほど離型剤を貯蔵しておくタンク容量も大きくしなければならず、定着装置自体の大型化を招く要因ともなる。
離型剤としては、特に制限はないが、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルやアミノ変性シリコーンオイル等の変性オイル等の液体離型剤が挙げられる。中でも、定着部材の表面に吸着し、均質な離型剤層を形成しうる観点より、アミノ変性シリコーンオイル等の変性オイルが、定着部材に対する塗れ性に優れ、好ましい。また、均質な離型剤層を形成しうる観点より、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルが好ましい。
離型剤として、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルを使用するのは、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーを用いない従来の画像形成方法においては、離型剤自体の供給量を低減し得ないためコストの面で実用的ではないが、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーを使用する場合においては、離型剤の供給量を激減できるのでコスト面でも実用上問題がない。
前記加熱定着に用いる定着部材であるローラあるいはベルトの表面に、離型剤を供給する方法としては、特に制限はなく、例えば、液体離型剤を含浸したパッドを用いるパッド方式、ウエブ方式、ローラ方式、非接触型のシャワー方式(スプレー方式)等が挙げられ、なかでも、ウエブ方式、ローラ方式が好ましい。これらの方式の場合、離型剤を均一に供給でき、しかも供給量をコントロールすることが容易な点で有利である。尚、シャワー方式により定着部材の全体に均一に前記離型剤を供給するには、別途ブレード等を用いる必要がある。
離型剤の供給量は、以下のようにして測定することができる。すなわち、その表面に離型剤を供給した定着部材に、一般の複写機で使用される普通紙(代表的には、富士ゼロックス(株)製の複写用紙、商品名J紙)を通過させると、該普通紙上に離型剤が付着する。そして、ソックスレ抽出器を用いてこの付着した離型剤を抽出する。ここで、溶媒にはヘキサンを用いる。
このヘキサン中に含まれる離型剤の量を、原子吸光分析装置にて定量することで、普通紙に付着した離型剤の量を定量することができる。この量を離型剤の定着部材への供給量と定義する。
トナー像を転写する被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本実施形態に係る画像形成方法は、前記静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を用いているため、高温高湿下での帯電保持性、特に高温高湿下での長期放置後の帯電保持性に優れ、カブリ発生、画像濃度低下、定着画像の強度不足を抑制することができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(脂環モノマ1の調製)
トリメリット酸 150重量部
シクロヘキサノール 60重量部
上記モノマをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、シブチル錫オキサイドを1.0重量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から2時間をかけて180℃まで温度を上げ、180℃で更に2時間脱水縮合反応を継続し、合成モノマ1を得た。次に、合成モノマ1を0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液に入れ、液温度60℃のもと、20分撹拌を行い、その後液温度を20℃に下げ、ろ過を行った。更に、40℃イオン交換水で洗浄し脂環モノマ1を得た。
(樹脂1の調製)
(油層)
スチレン 10重量部
アクリル酸n−ブチル 12重量部
β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華(株)製) 1.2重量部
アクリル酸シクロヘキシル 16重量部
ドデカンチオール 0.4重量部
(水層1)
イオン交換水 16重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.4重量部
(水層2)
イオン交換水 40重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.05重量部
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 0.4重量部
上記の油層成分と水層1の成分をフラスコに入れて撹拌混合し単量体乳化分散液とした。反応容器に上記水層2の成分を投入し、容器内を窒素で十分に置換し、撹拌をしながらオイルバスで反応系内が75℃になるまで加熱した。反応容器内に上記の単量体乳化分散液を3時間かけて徐々に滴下し、乳化重合を行った。滴下終了後更に75℃で重合を継続し、4時間後に重合を終了させ、シクロアルキルが19重量%の樹脂分散液1を得た。
(樹脂2の調製)
(油層)
アクリル酸n−ブチル 25重量部
β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華(株)製) 1.2重量部
アクリル酸シクロヘキシル 19重量部
ドデカンチオール 0.4重量部
(水層1)
イオン交換水 18重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.4重量部
(水層2)
イオン交換水 40重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.05重量部
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 0.4重量部
滴下終了後の重合時間を3時間にする以外は樹脂分散液1と同様にしてシクロアルキルが26重量%の樹脂分散液2を得た。
(樹脂3の調製)
(油層)
スチレン 5重量部
アクリル酸n−ブチル 42重量部
β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華(株)製) 1.0重量部
アクリル酸シクロヘキシル 6重量部
ドデカンチオール 0.4重量部
(水層1)
イオン交換水 18重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.4重量部
(水層2)
イオン交換水 40重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.05重量部
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 0.4重量部
滴下終了後の重合時間を3時間にする以外は樹脂分散液1と同様にしてシクロアルキルが36重量%の樹脂分散液3を得た。
(樹脂4の調製)
(油層)
スチレン 16重量部
アクリル酸n−ブチル 20重量部
β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華(株)製) 1.2重量部
アクリル酸シクロプロピル 17重量部
ドデカンチオール 0.4重量部
(水層1)
イオン交換水 18重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.4重量部
(水層2)
イオン交換水 40重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.05重量部
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 0.4重量部
樹脂分散液1と同様にしてシクロアルキルが12重量%の樹脂分散液4を得た。
(樹脂5の調製)
(油層)
スチレン 10重量部
アクリル酸n−ブチル 12重量部
β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華(株)製) 1.2重量部
アクリル酸トリシクロ(3,3,1,1(3,7))デシル 20重量部
ドデカンチオール 0.4重量部
(水層1)
イオン交換水 18重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.4重量部
(水層2)
イオン交換水 40重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.05重量部
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 0.4重量部
樹脂分散液1と同様にしてシクロアルキルが30重量%の樹脂分散液4を得た。
(樹脂6の調製)
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物 145重量部
脂環モノマ1 130重量部
上記モノマをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度190℃まで上げ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認したのち、シブチル錫オキサイドを1.3重量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて240℃まで温度を上げ、240℃で更に3時間脱水縮合反応を継続し、ポリエステル樹脂5を得た。
ついで、これを溶融状態のまま、キャビトロンCD1010((株)ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクに試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37重量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロンに移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cmの条件でキャビトロンを運転し、シクロアルキルが16重量%の樹脂分散液6を得た。
(樹脂7の調製)
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物 145重量部
脂環モノマ1 90重量部
テレフタル酸 16重量部
樹脂6と同様にしてシクロアルキルが11重量%の樹脂分散液6を得た。
(樹脂8の調製)
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物 60重量部
脂環モノマ1 156重量部
3,3’−チオジプロピオン酸 56重量部
テレフタル酸 44重量部
樹脂6と同様にしてシクロアルキルが15重量%の樹脂分散液6を得た。
(樹脂9の調製)
(油層)
スチレン 31重量部
アクリル酸n−ブチル 13重量部
β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華(株)製) 1.2重量部
ドデカンチオール 0.4重量部
(水層1)
イオン交換水 16重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.4重量部
(水層2)
イオン交換水 40重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.05重量部
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 0.4重量部
樹脂分散液1と同様にしてシクロアルキルを含まない(0重量%)樹脂分散液9を得た。
(樹脂10の調製)
(油層)
スチレン 5重量部
アクリル酸n−ブチル 6重量部
β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華(株)製) 1.2重量部
アクリル酸トリシクロ(3,3,1,1(3,7))デシル 30重量部
ドデカンチオール 0.4重量部
(水層1)
イオン交換水 20重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.4重量部
(水層2)
イオン交換水 40重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.05重量部
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 0.4重量部
樹脂分散液1と同様にしてシクロアルキルが48重量%の樹脂分散液10を得た。
(樹脂11の調製)
ビスフェノールA 90重量部
シクロヘキサンジメタノール 90重量部
テレフタル酸 110重量部
樹脂6と同様にして、主鎖にシクロアルキル基を含み、シクロアルキルが16重量%の樹脂分散液11を得た。
(樹脂12(結晶性ポリエステル樹脂)の調製)
ヘキサンジオール 94重量部
ヘキサン二酸 140重量部
樹脂6と同様にして結晶性ポリエステル樹脂を含む樹脂分散液12を得た。
(樹脂13の調製)
(油層)
スチレン 17重量部
アクリル酸n−ブチル 16重量部
β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華(株)製) 1.2重量部
アクリル酸シクロヘキシル 7重量部
ドデカンチオール 0.4重量部
(水層1)
イオン交換水 20重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.4重量部
(水層2)
イオン交換水 40重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 0.05重量部
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 0.4重量部
樹脂分散液1と同様にしてシクロアルキルが8重量%の樹脂分散液13を得た。
(着色剤分散液の調製)
シアン顔料(PigmentBlue15:3、大日精化(株)製)10重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 2重量部
イオン交換水 80重量部
上記の成分を混合し高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製HJP30006)により1時間分散し着色剤分散液を得た。
(離型剤分散液1の調製)
パラフィン系ワックス(HNP9、日本精鑞製) 50重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 2重量部
イオン交換水 200重量部
上記成分を120℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し離型剤分散液1を得た。
(離型剤分散液2の調製)
エステル系ワックス(Licowax WE4、クラリアント製) 50重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 2重量部
ポリアクリル酸アンモニウム塩(XW330、伊藤製油製) 0.5重量部
イオン交換水 200重量部
上記成分を120℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し離型剤分散液2を得た。
(離型剤分散液3の調製)
ポリエチレン系ワックス(PolyWax655、東洋ぺトロライト製)50重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬製) 2重量部
イオン交換水 200重量部
上記成分を120℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し離型剤分散液3を得た。
<実施例1>
(トナー1の調製)
樹脂分散液1 150重量部
着色剤分散液1 30重量部
離型剤分散液1 40重量部
ポリ塩化アルミニウム 0.4重量部
上記の成分をステンレス製フラスコ中でIKA社製のウルトラタラックスを用い十分に混合、分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら48℃まで加熱した。48℃で80分保持した後、ここに上記と同じ樹脂分散液1を緩やかに70重量部追加した。
その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを6.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、撹拌軸のシールを磁力シールして撹拌を継続しながら97℃まで加熱して3時間保持した。反応終了後、降温速度を1℃/分で冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。これをさらに40℃のイオン交換水3Lを用いて再分散し、15分間300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作をさらに5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続してトナー母粒子1を得た。
更に、このトナー母粒子1に、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある)で表面疎水化処理した一次粒子体積平均粒径40nmのシリカ(SiO)粒子と、メタチタン酸とイソブチルトリメトキシシランの反応生成物である一次粒子体積平均粒径20nmのメタチタン酸化合物粒子とを、それぞれの着色粒子の表面に対する被覆率が40%となるように添加し、ヘンシェルミキサで混合し、トナー1を作製した。
(画像変化の評価)
製造されたトナーの画像変化を次のような試験により確認した。DocuCentreColor400(富士ゼロックス製)を用い、32℃、88%RHの環境のもと、5cm×5cmのソリッドパッチを100枚印刷した。次に、そのまま10日間放置し、同様に5cm×5cmのソリッドパッチを100枚印刷した。初回の100枚目の印刷物と放置後の印刷物の濃度の差ΔC1と放置後の1枚目の印刷物と100枚目の印刷物の濃度の差ΔC2をX−rite社製の反射濃度計X−rite404を用いて測定し、さらに、放置後の1枚目の印刷物の背景部へのカブリを25倍率ルーペで目視確認した。ΔCが5%以内を◎、10%以内を○、15%以内を△とした。また、背景カブリは、目視、ルーペ共に認められないものを◎、目視では認められないがルーペで認められたものを○、目視で僅かに認められたものを△、明らかに目視で確認できるものを×とした。
(画像強度の評価)
製造されたトナーの画像強度は次のようなこすり試験にて確認した。前記の初期印刷物50枚目を用意し、この画像部を新東科学(株)製の表面性測定器トライボギア14DRに設置し、測定治具には30mm平面圧子を用い、この平面圧子には綿(かなきん3号)をセットし、垂直荷重300gで、往復10回、こすり試験を行った。綿(かなきん3号)に転移が認められないものを○、少し色移りが生じたものを△、明らかに色移りが生じたものや画像に欠損が生じたものを×とした。以上の試験は、画出しから、こすり試験まで全て32℃、88%RHの環境下で行った。
(定着性の評価)
製造されたトナーの定着性を、定着条件(1)温度100℃、速度160mm/sec及び(2)温度160℃、速度90mm/secでの画像欠損を確認した。このとき、ロールのNip幅は6.5mmに固定した。また、定着温度はロール表面温度で制御した。試験方法は、DCC400を用いて、トナー載り量1.6g/mに調整して画だしした後、オイル供給装置のない外部定着器を用いて、定着条件(1)及び(2)のもと、定着画像を50mm×50mmのソリッドとして定着した。定着による画像転移(オフセット)について確認を行い、オフセットの無いものを◎、目視では確認できない程度にオフセットが生じたものを○、薄っすらオフセットが生じたものを△、明らかにオフセットが生じたものを×とした。
以上の評価結果を表1にまとめる。
<実施例2>
(トナー2の調製)
トナー1において樹脂分散液1を樹脂分散液2に変える以外は同様にしてトナー2を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
(トナー3の調製)
トナー1において樹脂分散液1を樹脂分散液3に変える以外は同様にしてトナー3を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
(トナー4の調製)
トナー1において樹脂分散液1を樹脂分散液4に変える以外は同様にしてトナー4を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
(トナー5の調製)
トナー1において樹脂分散液1を樹脂分散液5に変える以外は同様にしてトナー5を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
(トナー6の調製)
トナー1において樹脂分散液1を樹脂分散液6に変える以外は同様にしてトナー6を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例7>
(トナー7の調製)
トナー1において樹脂分散液1を樹脂分散液7に変える以外は同様にしてトナー7を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例8>
(トナー8の調製)
トナー1において樹脂分散液1を樹脂分散液8に変える以外は同様にしてトナー8を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例9>
(トナー9の調製)
固形樹脂6 100重量部
シアン顔料(PigmentBlue15:3、大日精化(株)製) 6重量部
ポリエチレン系ワックス(PolyWax655、東洋ペトロライト) 10重量部
上記成分をバンバリーミキサにより溶融混練し、冷却後ジェットミルにより微粉砕を行い、さらに、分級機で分級してトナー母粒子9を得た。以降はトナー1と同様にし、トナー9を得た。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例10>
(トナー10の調製)
トナー1において樹脂分散液1を樹脂分散液12に変え、48℃で80分保持した後に樹脂分散液6を緩やかに70重量部追加する以外は同様にしてトナー10を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例11>
(トナー11の調製)
トナー1において離型剤分散液1を離型剤分散液3に変える以外は同様にしてトナー11を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
(トナー12の調製)
トナー1において樹脂分散液1を樹脂分散液9に変える以外は同様にしてトナー12を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
(トナー13の調製)
トナー1において樹脂分散液1を樹脂分散液10に、離型剤分散液1を離型剤分散液2に変える以外は同様にしてトナー13を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
(トナー14の調製)
トナー1において樹脂分散液1を樹脂分散液11に、離型剤分散液1を離型剤分散液3に変える以外は同様にしてトナー14を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例4>
(トナー15の調製)
トナー1において樹脂分散液1を樹脂分散液13に変える以外は同様にしてトナー15を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例5>
(トナー16の調製)
トナー1において離型剤分散液を抜く以外は同様にしてトナー16を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例6>
(トナー17の調製)
トナー6において離型剤分散液1を離型剤分散液2に変える以外は同様にしてトナー17を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2008040426
このように、実施例1〜11のトナーは、高温高湿下での帯電保持性、特に高温高湿下での長期放置後の帯電保持性に優れ、カブリ発生、画像濃度低下、定着画像の強度不足を抑制することができた。特に、シクロアルキル基の重量比が18重量%〜30重量%である実施例1,2,5は良好な特性を示した。また、結着樹脂に硫黄原子を含有する実施例8のトナー及びコア粒子に結晶性樹脂を使用した実施例10のコアシェル型トナーは低温定着性が良好であった。また、シクロアルキル基の炭素数がそれぞれ3,10である実施例4,5のトナーは画像濃度においてやや特性が劣った。

Claims (4)

  1. 結着樹脂、着色剤及び離型剤を含む静電荷像現像用トナーであって、
    前記結着樹脂は側鎖にシクロアルキル基を有し、前記結着樹脂中の前記シクロアルキル基の重量比が10重量%〜40重量%であり、かつ前記離型剤がパラフィン又はポリオレフィンであることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーであって、
    前記シクロアルキル基の環状炭素数が5〜8であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  3. 請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像剤。
  4. 静電荷像担持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記静電荷像担持体表面に形成された静電荷像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記静電荷像担持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、
    前記現像剤が、請求項3に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016184051A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 コニカミノルタ株式会社 静電潜像現像用トナー
JP2019045751A (ja) * 2017-09-05 2019-03-22 コニカミノルタ株式会社 画像形成方法

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