JP2017021105A - 定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発熱する筒状の発熱体の屈曲疲労による破損を抑制でき、更に発熱体の非ニップ部での過剰昇温を抑制できる定着装置を提供すること。
【解決手段】固定された筒状の発熱体401の外周面とすくなくとも一部が接触する筒状の回転体402と前記回転体と対向して配置された対向回転体408とで形成されるニップ部Nにおける前記発熱体の単位長さあたりの電気抵抗を、前記発熱体の前記ニップ部以外の非ニップ部Nnにおける単位長さあたりの電気抵抗よりも高くする。
【選択図】図1
【解決手段】固定された筒状の発熱体401の外周面とすくなくとも一部が接触する筒状の回転体402と前記回転体と対向して配置された対向回転体408とで形成されるニップ部Nにおける前記発熱体の単位長さあたりの電気抵抗を、前記発熱体の前記ニップ部以外の非ニップ部Nnにおける単位長さあたりの電気抵抗よりも高くする。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子写真プリンタや電子写真複写機などの画像形成装置に搭載する電磁誘導加熱方式の定着装置に関する。
電子写真式のプリンタや複写機に搭載する電磁誘導加熱方式の定着装置として、加圧ローラと共にニップ部を形成する筒状のベルトを電磁誘導発熱させるベルト発熱タイプの装置が知られている。
特許文献1は、導電層を有するベルトの回転軸方向に磁界を発生させベルトの周回方向に電流を形成することでベルトを発熱させる定着装置を開示している。特許文献2は、発熱層を有するベルトに対して垂直な方向に磁界を発生させ発熱層に渦電流を形成することでベルトを発熱させる定着装置を開示している。
特許文献1、2の定着装置では、湾曲するベルトを直接加熱することができる。このため、セラミックヒータを用いた従来のオンデマンド定着装置よりも、湾曲形状などのニップ形状設計の自由度が高いという特徴がある。自由度の高さから、定着性に有利なニップ形状とすることができ、従来よりも低温定着の実現が可能となっている。
ベルト発熱タイプの定着装置において、ベルト上に流れる電流の向きと垂直な方向にベルト破損が発生した場合、破損端部で発熱が集中し、局所的に温度が上昇するという課題がある(特許文献2の段落0021参照)。局所的な温度上昇は、破損部分を本来流れる垂直な方向の電流量に比例して大きくなる。局所発熱により、画像ムラやホットオフセット等の画像弊害を引き起こす可能性があるため、電流の向きと垂直な方向へのベルト破損は回避する必要がある。
ところが、ベルト発熱タイプのベルトとして利用可能な金属ベルトやカーボン入りポリイミドベルトは屈曲疲労に弱い。このため、これらのベルトを用いて定着性に有利なように急峻な曲面をもつニップ形状とした場合に、ベルトの使用期間が長くなるに従ってベルトの母線方向(回転軸方向に平行な方向)に屈曲疲労が蓄積し、ベルトが母線方向で破損を起こす恐れがある。
特に、特許文献1のように、周回方向に電流を形成することで発熱するタイプのベルトは、屈曲疲労による破損の方向と電流の向きが垂直の関係となるため、特許文献2の装置に用いるベルトよりも屈曲疲労による破損に対して注意を要する。また、このタイプのベルトは、ベルトの周回方向全域が発熱することになるため、記録材と接触しない非ニップ部では記録材に熱が奪われないため過剰に昇温し、定着装置内の他の構成部材を高温にさらすことになってしまう。そのため、高温時にも使用可能な材料を選択する必要性が生じ、結果的に定着装置のコストアップに繋がる可能性があった。
本発明の目的は、発熱する筒状の発熱体の屈曲疲労による破損を抑制でき、更に発熱体の非ニップ部での過剰昇温を抑制できる定着装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明に係る定着装置は、
導電層を有し固定された筒状の発熱体と、前記発熱体の外周面と少なくとも一部が接触した状態で回転可能に設置された筒状の回転体と、前記発熱体と対向して配置され、前記発熱体に対して圧接された状態で回転することで前記回転体が前記発熱体の外周を摺動する駆動力を前記回転体に与える対向回転体と、前記発熱体の中空部に挿通され前記発熱体の母線方向に沿って配置された磁性芯材と、前記磁性芯材に対し、前記回転体の回転軸線に交差する方向に巻き線を施すことによって形成される励磁コイルと、前記励磁コイルへ交番電流を供給するインバータ回路と、を有し、前記発熱体が電磁誘導により発熱する定着装置であって、
前記回転体と前記対向回転体とで形成されるニップ部における前記発熱体の単位長さあたりの電気抵抗が、前記発熱体の前記ニップ部以外の非ニップ部における単位長さあたりの電気抵抗よりも高いことを特徴とする。
導電層を有し固定された筒状の発熱体と、前記発熱体の外周面と少なくとも一部が接触した状態で回転可能に設置された筒状の回転体と、前記発熱体と対向して配置され、前記発熱体に対して圧接された状態で回転することで前記回転体が前記発熱体の外周を摺動する駆動力を前記回転体に与える対向回転体と、前記発熱体の中空部に挿通され前記発熱体の母線方向に沿って配置された磁性芯材と、前記磁性芯材に対し、前記回転体の回転軸線に交差する方向に巻き線を施すことによって形成される励磁コイルと、前記励磁コイルへ交番電流を供給するインバータ回路と、を有し、前記発熱体が電磁誘導により発熱する定着装置であって、
前記回転体と前記対向回転体とで形成されるニップ部における前記発熱体の単位長さあたりの電気抵抗が、前記発熱体の前記ニップ部以外の非ニップ部における単位長さあたりの電気抵抗よりも高いことを特徴とする。
本発明によれば、発熱する筒状の発熱体の屈曲疲労による破損を抑制でき、更に発熱体の非ニップ部での過剰昇温を抑制できる定着装置の提供を実現できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の好適な実施形態は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は以下の実施例により限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において他の構成に置き換えることは可能である。
[実施例1]
(1)画像形成装置111
図7を参照して、本発明に係る定着装置を搭載する画像形成装置を説明する。図7は電子写真記録技術を用いた画像形成装置(本実施例ではモノクロプリンタ)111の一例の概略構成を示す断面図である。
(1)画像形成装置111
図7を参照して、本発明に係る定着装置を搭載する画像形成装置を説明する。図7は電子写真記録技術を用いた画像形成装置(本実施例ではモノクロプリンタ)111の一例の概略構成を示す断面図である。
画像形成装置111において、記録材Sにトナー画像を形成する画像形成部IFは、像担持体としての感光体ドラム100と、帯電部材102と、レーザスキャナ103と、を有する。更に画像形成部IFは、現像器104と、感光体ドラムの外周面(表面)をクリーニングするクリーナ101と、転写部材106と、を有する。感光体ドラム100と、帯電部材102と、現像器104、クリーナ101は、画像形成装置本体111Aに取り外し可能に装着されるカートリッジCaとして一体的に構成されている。以上の画像形成部IFの動作は周知であるので詳細な説明は割愛する。
画像形成装置本体111A内のカセット105に収納された記録材Sは、ローラ108の回転によって1枚ずつ繰り出された後に、ローラ109の回転によって感光体ドラム100と転写部材106とで形成された転写部に搬送される。転写部でトナー画像が転写(形成)された記録材Sは定着装置(定着部)Fに送られ、トナー画像は定着装置Fで記録材に加熱定着される。定着装置Fを出た記録材Sはローラ110の回転によってトレイ107に排出される。
(2)定着装置F
図1、図2、図3を参照して、本実施例に係る定着装置Fを説明する。本実施例に示す定着装置Fは電磁誘導加熱方式の装置である。図1は本実施例に係る定着装置Fの概略構成を示す断面図である。図2は定着装置Fを記録材Sの搬送方向aの上流側から見たときの正面図である。図3の(a)は定着ユニット407の内部構造を示す斜視断面図、(b)は発熱部材401とベルト402の層構成を示す断面図である。
図1、図2、図3を参照して、本実施例に係る定着装置Fを説明する。本実施例に示す定着装置Fは電磁誘導加熱方式の装置である。図1は本実施例に係る定着装置Fの概略構成を示す断面図である。図2は定着装置Fを記録材Sの搬送方向aの上流側から見たときの正面図である。図3の(a)は定着ユニット407の内部構造を示す斜視断面図、(b)は発熱部材401とベルト402の層構成を示す断面図である。
本実施例の定着装置Fは、定着ユニット407と、対向回転体としての加圧ローラ408と、を有する。図1に示すように、加圧ローラ408は、芯金408aと、芯金408aの外周面上にローラ状に設けられた弾性層408bと、弾性層408bの外周面上に設けられた離型層408cと、を有する。弾性層408bの材質は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等で耐熱性がよいものが好ましい。
記録材Sの搬送方向aと直交する方向X(図2参照)について、加圧ローラ408の芯金408aの両端部は定着装置Fのフレーム(不図示)に軸受けを介して回転自由に保持されている。また、ステイ405の両端部と、フレーム側のバネ受け部材418a,418bとの間に、それぞれ、加圧バネ417a,417bを縮設することでステイ405に押し下げ力を作用させている。本実施例の定着装置Fでは、図1のようにニップ形成部材406の加圧ローラ408とは反対側の上面406aに保持させたステイ405に総圧約250N(約25kgf)の押圧力を与えている。
耐熱性樹脂PPS等で構成されたニップ形成部材406の加圧ローラ408側の下面406bには、記録材Sの搬送方向aについて、下面406bの中央に、加圧ローラ408とは反対側に窪む湾曲面406b1(図1参照)が設けられている。また、下面406bの湾曲面406b1の両側には、加圧ローラ408側に膨らむ弧状の曲面406b2が設けられている。
ステイ405を保持したニップ形成部材406の外周には、筒状の発熱体としての発熱部材401が設けられている。そして、この発熱部材401の外周には、発熱部材401の外周面と少なくとも一部が接触した状態で回転可能に設置された筒状の回転体としてのベルト402が設けられている。ベルト402は、ベルト402の内周長が発熱部材401の外周長に対して長く、ベルト402の内周面の少なくとも一部が発熱部材401の外周面と接触するように形成してある。
ステイ405に押圧力を与えると、ニップ形成部材406の湾曲面406b1と加圧ローラ408の外周面の一部とが、発熱部材401の外周面とベルト402の内周面とを圧接する。これにより、ベルト402の内周面と加圧ローラ408の外周面とで湾曲面406b1の形状に応じた急峻な曲面を持つ湾曲形状のニップ部N(図1参照)が形成される。
また、記録材Sの搬送方向aについて、ニップ形成部材406の湾曲面406b1の上流側と下流側の曲面406b2が発熱部材401の内周面を押圧して発熱部材401の外周面をベルト402の内周面に圧接する。これにより、発熱部材401とベルト402とで曲面406b2の形状に応じた弧状の圧接部C(図1参照)がニップ部Nの上流側と下流側に形成される。
つまり、ベルト402は、発熱部材401の外周面と少なくとも一部(ニップ部N及び圧接部C)が接触した状態で回転可能に設置されている。
発熱部材401はニップ形成部材406に固定され、回転不可能である。加圧ローラ408はモータ(不図示)により矢印方向に回転駆動し、この加圧ローラ408の回転に追従してベルト402はベルト402の内周面がニップ部N及び圧接部Cで発熱部材401の外周面に摺動しながら矢印方向に回転する。つまり、発熱部材401と対向して配置された加圧ローラ408は、発熱部材401に対してベルト402を圧接させた状態で回転することでベルト402が発熱部材401の外周を摺動する駆動力をベルト402に与える。
ベルト402の回転時にベルト402の内周面と発熱部材401の外周面に発生する摺動抵抗を低減するために、発熱部材401の外周面、又はベルト402の内周面にグリスを塗布することが望ましい。
記録材Sの搬送方向aと直交する方向Xについて、ニップ形成部材406の両端部にはフランジ部材412a,412bが外嵌されている。フランジ部材412a,412bは、それぞれ、規制部材413a,413bによりステイ405に固定されている。各フランジ部材412a,412bは、ベルト402の回転時にベルト402の端部を受けて、ベルト402の母線方向(方向Xと平行な方向)に沿う寄り移動を規制する役目をする。フランジ部材412a,412bの材質としては、LCP(Liquid Crystal Polymer:液晶ポリマー)樹脂等の耐熱性の良いものが好ましい。
発熱部材401は、例えばスピニング加工された筒状のSUSからなり、SUSが導電層として発熱する。また、後述のように周回方向に電流を流し発熱する発熱部材401は周回方向への抵抗値ムラがあると発熱ムラが生じてしまう。このため、導電層は周回方向で接続部分がないシームレスな筒状である必要がある。本実施例では、発熱部材401として厚み40μmに成型したSUSを用いた。
加圧ローラ408と共にニップ部Nを形成するベルト402は、筒状に成型された基層402aと、その基層402aの外周面上に積層した離型層402bの複合構造の部材である(図3(b)参照)。本実施例では厚み70μmのポリイミド樹脂を基層402aとして用いており、その基層402aの外周面上に厚み20μmのフッ素樹脂を離型層402bとして塗布して用いている。
発熱部材401に対し、交番磁束を作用させ、周回方向への誘導電流を発生させることで発熱部材401が発熱し、この発熱部材401の熱がベルト402へ伝わる。未定着のトナー画像Tが形成された記録材Sはニップ部Nで搬送されつつ加熱され、これによりトナー画像Tは記録材S上に定着される。
発熱部材401に対し、交番磁束を作用させ、誘導電流を発生させる原理と構成について詳述する。図4は磁性コア403と励磁コイル404による発熱部材401の電磁誘導加熱を説明するための図である。
磁性芯材としての磁性コア403は、不図示の固定手段で発熱部材401の中空部に貫通して配置させ、磁極NP,SPを持つ直線状の開磁路を形成している。つまり、磁性コア403は、発熱部材401の中空部に挿通され発熱部材401の母線方向(方向Xと平行な方向)に沿って配置されている。磁性コア403の材質は、ヒステリシス損が小さく比透磁率の高い材料、例えば、焼成フェライト、フェライト樹脂、非晶質合金(アモルファス合金)や、パーマロイ等の高透磁率の酸化物や合金材料で構成される強磁性体が好ましい。本実施例においては、比透磁率1800の焼成フェライトを用いる。形状は直径12mmの円柱形状をしている。
図5は励磁コイル404の巻き方を示した図である。励磁コイル404は、通常の単一導線を発熱部材401の中空部において、磁性コア403に螺旋状に巻き回して発熱部材401の母線方向と略平行な螺旋形成部404cを形成している。記録材Sの搬送方向aと直交する方向Xについて、磁性コア403の長さは340mmである。本実施例では、長さ340mmの磁性コア403に対し、励磁コイル404は巻間隔が均等に20mmピッチで18回巻きつけている。この励磁コイル404はベルト402の回転軸線Aに交差する方向に巻き回されている。
この励磁コイル404に給電接点部404a,404bを介してインバータ回路としての高周波コンバータ416から高周波電流(交番電流)を供給し、磁性コア403の記録材Sの搬送方向aと直交する方向Xに交番磁束を発生させる。この交番磁束により発熱部材401の周回方向に誘導電流が流れ、発熱部材401自身の電気抵抗によってジュール熱を発生させることで、発熱部材401を発熱させる。このとき発熱部材401は発熱部材401の外周全域で発熱する。
(3)制御
図1、図2に示すように、非接触型サーミスタによって構成される検温素子409,410,411は、記録材Sの搬送方向aに関し、ニップ部Nの上流側でベルト402に対向させて配設してある。記録材Sの搬送方向aと直交する方向Xに関し、ベルト402の中央に配設された検温素子409は、大サイズ記録材と小サイズ記録材が必ず通過するベルト中央部の温度を検知する。この検温素子409の検出温度に基づきベルト402は表面の温度が所定の定着温度(目標温度)に維持・調整される。
図1、図2に示すように、非接触型サーミスタによって構成される検温素子409,410,411は、記録材Sの搬送方向aに関し、ニップ部Nの上流側でベルト402に対向させて配設してある。記録材Sの搬送方向aと直交する方向Xに関し、ベルト402の中央に配設された検温素子409は、大サイズ記録材と小サイズ記録材が必ず通過するベルト中央部の温度を検知する。この検温素子409の検出温度に基づきベルト402は表面の温度が所定の定着温度(目標温度)に維持・調整される。
ベルト402の両端部に配設された検温素子410,411では、大サイズ記録材が通過し小サイズ記録材が通過しないベルト端部の昇温具合を検知することができる。
図4に、プリンタ制御部440のブロック図を示す。プリンタ制御部440において、プリンタコントローラ441は後述するホストコンピュータ442との間で通信と画像データの受信、及び受け取った画像データをプリンタが印字可能な情報に展開する。更にプリンタコントローラ441はエンジン制御部443との間で信号のやり取り及びシリアル通信を行う。エンジン制御部443はプリンタコントローラ441との間で信号のやり取りを行い、更にシリアル通信を介して定着温度制御部444、周波数制御部445、電力制御部446の制御を行う。
定着温度制御部444は検温素子409,410,411によって検出された温度を基に定着装置Fの温度制御を行うと共に、定着装置Fの異常温度の検出等を行う。周波数制御部445は高周波コンバータ416の駆動周波数の制御を行い、電力制御部446は励磁コイル404に印加する電圧を調整して高周波コンバータ416の電力の制御を行う。
このようなプリンタ制御部440を有するプリンタシステムにおいて、ホストコンピュータ442はプリンタコントローラ441に画像データを転送し、ユーザからの要求に応じて記録材サイズなどの様々なプリント条件を設定する。
(4)発熱部材401の破損抑制作用
本実施例の定着装置Fは、固定された発熱部材401の外周面に接触するベルト402がニップ部Nで加圧ローラ408から摩擦力を受けて回転する。発熱部材401は非回転であるために、回転に伴う屈曲疲労の影響を受けることがなくなる。その結果、湾曲形状などのニップ形状設計の自由度を保つことができ、更に屈曲疲労によって発熱部材(導電層)401が発熱部材401の母線方向で破損することを抑制できるため、従来のような局所発熱に伴う画像不良の発生を抑制することができる。
本実施例の定着装置Fは、固定された発熱部材401の外周面に接触するベルト402がニップ部Nで加圧ローラ408から摩擦力を受けて回転する。発熱部材401は非回転であるために、回転に伴う屈曲疲労の影響を受けることがなくなる。その結果、湾曲形状などのニップ形状設計の自由度を保つことができ、更に屈曲疲労によって発熱部材(導電層)401が発熱部材401の母線方向で破損することを抑制できるため、従来のような局所発熱に伴う画像不良の発生を抑制することができる。
(5)発熱部材401の過剰昇温
外周全域で発熱する発熱部材401は、未定着のトナー画像Tが形成された記録材Sとベルト402とが接触するニップ部Nでは、発熱部材401の熱がベルト402を介して記録材Sに奪われるため、過剰に昇温することはない。しかし、ニップ部以外の非ニップ部Nn(図1参照)では、ベルト402は記録材Sと接触しないため、発熱部材401の熱が記録材Sに奪われず発熱部材401は過剰に昇温してしまう。
外周全域で発熱する発熱部材401は、未定着のトナー画像Tが形成された記録材Sとベルト402とが接触するニップ部Nでは、発熱部材401の熱がベルト402を介して記録材Sに奪われるため、過剰に昇温することはない。しかし、ニップ部以外の非ニップ部Nn(図1参照)では、ベルト402は記録材Sと接触しないため、発熱部材401の熱が記録材Sに奪われず発熱部材401は過剰に昇温してしまう。
本実施例に示す定着装置Fは、発熱部材401の外周面とベルト402の内周面との摺動抵抗の低減化を図るために、発熱部材401にベルト402の少なくとも一部を接触させベルト402を回転動作させる構成としている。これは、発熱部材401の外周面にベルト402の内周面全域を接触させると、発熱部材401の外周面とベルト402の内周面との摺動抵抗が大きくなり、記録材Sに対してベルト402がスリップし画像不良を引き起こす可能性を抑制するためである。
しかし、本実施例の定着装置Fのように発熱部材401とベルト402が接触しない非接触領域Cn(図1参照)を作ると、発熱部材401とベルト402の接触時に比べ発熱部材401の非接触領域Cnでの熱容量は小さくなる。これは、発熱部材401とベルト402の接触領域であるニップ部N及び圧接部Sでは発熱部材401の熱はベルト402や記録材Sに奪われるが、非接触領域Cnでは発熱部材401の熱はベルト402や記録材Sに奪われないためである。このため非接触領域Cnでは、さらに発熱部材401は過剰に昇温してしまう。
発熱部材401に過剰昇温が発生すると、ベルト402やニップ形成部材406などの部材が高温にさらされる。そのためこれらの部材に関し、高温時にも使用可能な材料を選択する必要性が生じ、結果的に定着装置Fのコストアップに繋がる可能性があった。
(6)発熱部材401の過剰昇温抑制のための構成
本実施例の定着装置Fでは、発熱部材401の径方向について、ニップ部Nに対応する発熱部材の第1の領域401aでの単位長さ当たりの電気抵抗を、ニップ部N以外の非ニップ部Nnに対応する発熱部材の第2の領域401bに比べ高くなるように設定する。つまり、発熱部材401のニップ部Nでの単位長さ当たりの電気抵抗を非ニップ部Nnに比べ高くする。
本実施例の定着装置Fでは、発熱部材401の径方向について、ニップ部Nに対応する発熱部材の第1の領域401aでの単位長さ当たりの電気抵抗を、ニップ部N以外の非ニップ部Nnに対応する発熱部材の第2の領域401bに比べ高くなるように設定する。つまり、発熱部材401のニップ部Nでの単位長さ当たりの電気抵抗を非ニップ部Nnに比べ高くする。
本実施例に示す定着装置Fでは、発熱部材401に電気抵抗の変化を持たせるため、発熱部材401を全周導電層のみの1層構成とし、その発熱部材401のニップ部Nでの厚みt1を非ニップ部Nnでの厚みt2よりも薄くした(図1参照)。薄くする手法としては様々な方法が考えられ、特に限定はない。ここでは、圧延処理により厚みを変更している。このような構成にしたときの利点について、ニップ部N、非ニップ部Nnでの発熱部材401の発熱量から考えていく。
発熱部材401のニップ部Nでの電気抵抗をR1[Ω]、流れる電流をI1[A]とした場合のニップ部Nでの発熱量W1は、オームの法則から
W1=I1 2×R1 [W]
で表わされる。本実施例の定着装置Fを搭載する画像形成装置では、記録材Sに形成された未定着のトナー画像Tを定着するためにニップ部Nの発熱量W1はある一定量以上にする必要がある。
W1=I1 2×R1 [W]
で表わされる。本実施例の定着装置Fを搭載する画像形成装置では、記録材Sに形成された未定着のトナー画像Tを定着するためにニップ部Nの発熱量W1はある一定量以上にする必要がある。
本実施例では、発熱部材401をステンレスで構成される全周導電層のみの1層構成とする。このような全周導電層のみの1層構成の場合、非ニップ部Nnでもニップ部Nと同様の電流I1が流れる。よって、発熱部材401の非ニップ部Nnでの電気抵抗をR2とすると、非ニップ部Nnでの発熱量W2は、オームの法則から
W2=I1 2×R2 [W]
である。
W2=I1 2×R2 [W]
である。
次いで、ニップ部N、非ニップ部Nnでの発熱部材401の電気抵抗について考える。発熱部材401を円筒モデルとして、その内径をD、記録材Sの搬送方向aと直交する方向Xの長さをLとする。また、周方向について、ニップ部Nを発熱部材401のθの領域とし、非ニップ部Nnを発熱部材401の360°−θの領域とする。
本実施例においては、ステンレスの厚みはニップ部Nと非ニップ部Nnで異なり、ニップ部Nでは厚みt1、非ニップ部Nnでは厚みt2とする。ステンレスの電気抵抗率ρSUSとすると、ニップ部N、非ニップ部Nnでの発熱部材401の電気抵抗R1、R2と発熱量W1、W2は、
となる。
上記の式において、電流値は両式とも共通であり、ニップ部N、非ニップ部Nnでの厚みt1、t2と発熱量W1、W2は反比例の関係にある。ここからニップ部Nでは発熱部材401の厚みを薄く抵抗値を大きくし、必要電流値を小さく必要発熱量を稼ぐことが望ましいことがわかる。これは、必要電流値が小さくて済むと非ニップ部Nnでの発熱量W2も厚みを変えない時に比べ相対的に小さくでき過剰昇温が抑制されるためである。また、非ニップ部Nnでの厚み自体は厚くすることが望ましいこともわかる。非ニップ部Nnでの抵抗値が小さくなり発熱量が減り過剰昇温が相対的に抑制されるためである。
つまり、ニップ部N、非ニップ部Nnでの厚み関係として、ニップ部Nでの厚みを非ニップ部Nnに比べ薄くし抵抗値を変えることで、厚みを共通にするよりも、相対的に非ニップ部Nnにおける発熱部材401の昇温を抑制することが可能であることがわかる。
一例として、ニップ部Nでの厚みを薄くした場合と変えなかった場合の非ニップ部Nnでの発熱量を比較のため計算する。ここでは、発熱部材401のニップ部Nでの厚みt1=30μm、非ニップ部Nnでの厚みt2=100μmのものを用いた場合と、ニップ部N、非ニップ部Nnともに厚みt=100μmのものを用いた場合を比較する。
ニップ部Nでの厚みは部分的に圧延することで薄くした。厚みを薄くしたときにニップ部Nで発熱量W1を発熱するために必要な電流量をI、その時の非ニップ部Nnの発熱量をW、厚みが同じときに必要な電流量をI´、非ニップ部Nnの発熱量をW´とすると、
となり、厚みが同じときに比べ非ニップ部Nnでの発熱量を約1/3に抑えることが可能となる。
本実施例の定着装置Fは、固定された発熱部材401の外周面と接触するベルト402がニップ部Nで加圧ローラ408からの摩擦力を受けて回転する。発熱部材401は非回転であるために、回転に伴う屈曲疲労の影響を受けることがなくなる。その結果、湾曲形状などのニップ形状設計の自由度を保つことができ、更に屈曲疲労によって発熱部材(導電層)401が発熱部材401の母線方向で破損することを抑制できる。
更に、発熱部材401のニップ部Nでの厚みを非ニップ部Nnに比べ薄くすることで、発熱部材401の非ニップ部Nnでの発熱を抑えることができる。そのため、発熱部材401の非ニップ部Nnでの過剰昇温を抑制でき、発熱部材401のベルト402との非接触領域Cnでの過剰昇温も抑制できる。
[実施例2]
定着装置Fの他の例を説明する。本実施例では実施例1の定着装置Fと異なる構成のみを説明する。図6は本実施例に係る定着装置Fの概略構成を示す断面図である。
定着装置Fの他の例を説明する。本実施例では実施例1の定着装置Fと異なる構成のみを説明する。図6は本実施例に係る定着装置Fの概略構成を示す断面図である。
本実施例に示す定着装置Fは、発熱部材401のニップ部Nでの単位長さ当たりの電気抵抗を非ニップ部Nに比べ高くなるように設定するが、発熱部材401に電気抵抗の変化を持たせるための手段が異なる。
本実施例の定着装置Fでは、発熱部材401の径方向について、発熱部材のニップ部Nに対応する第1の領域401aと、ニップ部N以外の非ニップ部Nnに対応する第2の領域401bとで発熱部材の材質を変える。そして、その第1の領域における材質の電気抵抗は第2の領域に比べて高い。つまり、発熱部材401のニップ部Nでの材質の電気抵抗が非ニップ部Nnよりも高い。異なる材質を接合するには様々な方法が考えられ、特に限定はない。以下の例では、発熱部材401として、ステンレスと銅をろう付けしたものを用いている。
実施例1でも示したように、全周導通層のみの1層構成とした発熱部材401のニップ部Nでの電気抵抗をR1[Ω]とした場合の発熱量W1は、オームの法則から
W1=I1 2×R1 [W]
で表わされる。
W1=I1 2×R1 [W]
で表わされる。
一方、実施例1と同様に、発熱部材401の非ニップ部Nnでもニップ部Nと同様の電流I1が流れる。よって、非ニップ部Nnの電気抵抗をR2とすると、非ニップ部Nnの発熱量W2は、オームの法則から
W2=I1 2×R2 [W]
となる。
W2=I1 2×R2 [W]
となる。
よって、ニップ部Nに対する非ニップ部Nnの発熱量の比率は、
となる。ここから、発熱部材401のニップ部Nにおける材質の電気抵抗R1を非ニップ部Nnの電気抵抗R2よりも高くすることで、発熱部材401の非ニップ部Nnでの発熱を抑えられることがわかる。
一例として、発熱部材401の材質を変えたときのニップ部Nと非ニップ部Nnの発熱量の比率を計算する。ここでは、発熱部材401として、厚みt=50μm、ニップ部Nにステンレス、非ニップ部Nnに銅を選び、両者をろう付けしたものを用いる。電気抵抗率はステンレスがρα=7.2×10−7[Ωm]、銅がρβ=1.68×10−8[Ωm]である。発熱部材401を円筒モデルとして、その内径をD=30mm、記録材Sの搬送方向aと直交する方向の長さL=240mm、ニップ部Nを発熱部材401のθ=100°の領域、非ニップ部Nnを発熱部材401の360−θの領域とする。
すると、ニップ部Nでの電気抵抗R1と、非ニップ部の電気抵抗R2は、
と表され、ニップ部Nに対する非ニップ部Nnの発熱量の比率は、およそ0.06倍となり、発熱部材401の非ニップ部Nnでの発熱を大幅に抑えることが可能となる。
本実施例の定着装置Fは、発熱部材401が非回転であるために、回転に伴う屈曲疲労の影響を受けることがなくなる。よって、実施例1と同様の効果を得ることができる。
更に、発熱部材401の材質をニップ部Nと非ニップ部Nnで変え、ニップ部Nにおける材質の電気抵抗を非ニップ部Nnよりも高くすることで、発熱部材401の非ニップ部Nnでの発熱を抑えることができる。よって、実施例1と同様の効果を得ることができる。
401 発熱部材、402 ベルト、403 磁性コア、404 励磁コイル、
408 加圧ローラ、416 高周波コンバータ、N ニップ部、Nn 非ニップ部
408 加圧ローラ、416 高周波コンバータ、N ニップ部、Nn 非ニップ部
Claims (4)
- 導電層を有し固定された筒状の発熱体と、前記発熱体の外周面と少なくとも一部が接触した状態で回転可能に設置された筒状の回転体と、前記発熱体と対向して配置され、前記発熱体に対して圧接された状態で回転することで前記回転体が前記発熱体の外周を摺動する駆動力を前記回転体に与える対向回転体と、前記発熱体の中空部に挿通され前記発熱体の母線方向に沿って配置された磁性芯材と、前記磁性芯材に対し、前記回転体の回転軸線に交差する方向に巻き線を施すことによって形成される励磁コイルと、前記励磁コイルへ交番電流を供給するインバータ回路と、を有し、前記発熱体が電磁誘導により発熱する定着装置であって、
前記回転体と前記対向回転体とで形成されるニップ部における前記発熱体の単位長さあたりの電気抵抗が、前記発熱体の前記ニップ部以外の非ニップ部における単位長さあたりの電気抵抗よりも高いことを特徴とする定着装置。 - 前記発熱体の前記ニップ部での厚みが、前記非ニップ部よりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記発熱体の材質が、前記ニップ部と前記非ニップ部とで異なり、前記ニップ部における材質の電気抵抗が前記非ニップ部よりも高いことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記ニップ部でトナー画像が形成された記録材を搬送しつつ加熱してトナー画像を記録材に定着することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の定着装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015136937A JP2017021105A (ja) | 2015-07-08 | 2015-07-08 | 定着装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2017021105A true JP2017021105A (ja) | 2017-01-26 |
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ID=57889567
Family Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE112017007016T5 (de) | 2017-02-08 | 2019-10-24 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Informationsbereitsstellungssystem, Server, mobiles Endgerät und Computerprogramm |
-
2015
- 2015-07-08 JP JP2015136937A patent/JP2017021105A/ja active Pending
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