JP2017014750A - 杭式壁体構造および杭式壁体集合構造ならびに壁体ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも良好な施工性を備えた防波堤等の水域構造物として活用できる杭式壁体構造および杭式壁体集合構造ならびに壁体ユニットを提供する。【解決手段】立設した壁体14および立設した複数のさや管16を備え、複数のさや管16は壁体14の壁面と略直交する方向に1列に配置され、かつ複数のさや管16のうち壁体14に最も近接するさや管は壁体14に固定されており、さらに複数のさや管16のうち隣り合うさや管16同士は連結部材20を介して剛に連結されている壁体ユニット12と、複数の杭50と、を備えた杭式壁体構造10であって、壁体ユニット12の複数のさや管16には、杭50がそれぞれ差し込まれており、かつ、杭50が差し込まれたさや管16は杭50と一体化されている。【選択図】図1

Description

本発明は、杭式壁体構造および杭式壁体集合構造ならびに壁体ユニットに関し、詳細には、杭によって位置が固定された杭式壁体構造および杭式壁体集合構造ならびに壁体ユニットに関する。ここで、「杭によって位置が固定された」とは、他の部材を介さずに直接的に杭に連結されて位置が固定されている場合だけでなく、他の部材を介して間接的に杭に連結されて位置が固定されている場合も含む概念である。
港湾を高潮や津波から守るため、外波が港湾内に浸入することを防ぐ防波堤が多くの港湾において構築されている。我が国は四方を海に囲まれた海洋国家であり、防波堤についての技術開発は極めて重要な課題であるところ、2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震における大津波による大被害を踏まえ、防波堤についての技術開発が近年特に急がれている。
防波堤についての技術開発における重要なテーマの1つとして、良好な施工性を実現することが挙げられる。防波堤は、海水の存在する領域での施工となるため、陸上における構造物の構築と比べて、良好な施工性を確保することが難しいからである。
これに対し、特許文献1では、良好な施工性を実現すべく、「杭頭部が海水面直下となるように海底地盤に打設された杭と前記杭が挿入された提体を具備し、前記提体は前記杭の挿入孔を有する複数個の函体を積層して形成され、前記函体には海水が充填されていることを特徴とする着底式防波堤。」が提案されている。
特許文献1に記載の着底式防波堤においては、函体の内部に海水が充填されるため着底面の反力が小さく、軟弱地盤であっても地盤改良を必要とせず大幅な工期縮減が可能で、施工費が低減される。また、函体と杭が剛結されるため、小型起重機船が使用できるような寸法の函体に堤体を細かく分割しても大波浪に対し優れた抵抗力を有する。
特開2004−238814号公報
しかしながら、大津波等への対策を速急に行う観点等から、防波堤等の水域構造物の構築において、さらに良好な施工性が求められている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであって、従来よりも良好な施工性を備えた防波堤等の水域構造物として活用できる杭式壁体構造および杭式壁体集合構造ならびに壁体ユニットを提供することを課題とする。
本発明は、以下の杭式壁体構造および杭式壁体集合構造ならびに壁体ユニットにより、前記課題を解決したものである。
即ち、本発明に係る杭式壁体構造の第1の態様は、立設した壁体および立設した複数のさや管を備え、前記複数のさや管は前記壁体の壁面と略直交する方向に1列に配置され、かつ前記複数のさや管のうち前記壁体に最も近接するさや管は前記壁体に固定されており、さらに前記複数のさや管のうち隣り合うさや管同士は連結部材を介して剛に連結されている壁体ユニットと、複数の杭と、を備えた杭式壁体構造であって、前記壁体ユニットの前記複数のさや管には、前記杭がそれぞれ差し込まれており、かつ、前記杭が差し込まれた前記さや管は前記杭と一体化されていることを特徴とする杭式壁体構造である。
ここで、壁体の壁面とは、立設した壁体の側面のうち、面積の大きい側の面のことであり、以下においても同様である。
また、「壁体に固定」とは、他の部材を介さずに直接的に壁体に連結されて位置が固定されている場合だけでなく、他の部材を介して間接的に壁体に連結されて位置が固定されている場合も含む概念であり、以下においても同様である。
また、本願において、「一体化」とは、設計で想定する断面力を伝達できるような連結状態であれば足り、設計で想定する断面力以外の力については伝達できない連結状態も含む概念である。
本発明に係る杭式壁体構造の第2の態様は、立設した壁体および立設した複数のさや管を備え、前記複数のさや管は前記壁体の壁面と略直交する方向に1列に配置され、かつ前記複数のさや管のうち前記壁体に最も近接するさや管は前記壁体に固定されており、さらに前記複数のさや管のうち隣り合うさや管同士は連結部材を介して剛に連結されている複数の壁体ユニットと、複数の杭と、を備えた杭式壁体構造であって、前記壁体ユニットは、その壁体および複数のさや管が他の前記壁体ユニットの壁体および複数のさや管とそれぞれ連結するように鉛直方向に複数積み重ねられ、鉛直方向に複数積み重ねられた前記壁体ユニットの複数のさや管にはそれぞれ前記杭が差し込まれていて、差し込まれた前記杭は最上段の前記壁体ユニットの天端付近に達しており、前記杭が差し込まれた前記さや管は前記杭と一体化されていることを特徴とする杭式壁体構造である。
前記杭に差し込まれた前記さや管と前記杭との一体化は、例えばグラウト材によりなされていてもよい。
また、前記複数のさや管の本数を2本とし、かつ、前記複数の杭の本数を2本としてもよい。
また、前記壁体を鉄筋コンクリートとしてもよい。
また、前記壁体を鋼板としてもよい。
また、前記連結部材を、トラス構造を有する部材としてもよい。
また、前記複数のさや管を鋼管とし、かつ、前記連結部材を鋼製の部材としてもよい。
また、前記杭式壁体構造は、水域にも好適に設置することができる。
ここで、水域とは、年間のほとんどの時間において水が存在する領域のことであり、例えば海、湖沼、ダム湖、河川などの領域のことを意味する。
前記水域が海の場合、前記壁体の外側の壁面が海に向かう側となるように設置してもよい。
ここで、「壁体の外側の壁面」とは、立設した壁体の壁面のうち、当該杭式壁体構造のさや管とは反対側の壁面のことである。
本発明に係る杭式壁体集合構造は、前記杭式壁体構造を複数備える杭式壁体集合構造であって、前記複数の杭式壁体構造の前記壁体の外側の壁面の形状はいずれも長方形状であり、長方形状の前記外側の壁面の側辺同士が近接して隣り合うように、かつ、前記外側の壁面が略同一の方向を向くように、前記複数の杭式壁体構造を一列に配置してなることを特徴とする杭式壁体集合構造である。
ここで、「長方形状の前記外側の壁面の側辺」とは、立設した前記壁体の長方形状の外側の壁面の4辺のうち、略鉛直方向に延びる2つの辺のことである。
また、「長方形状の前記外側の壁面の側辺同士が近接して隣り合う」とは、前記壁体の長方形状の外側の壁面の側辺同士がお互いに接触して隣り合う場合だけでなく、わずかに隙間を開けて隣り合っている場合も含む概念である。
本発明に係る壁体ユニットは、立設した壁体および立設した複数のさや管を備え、前記複数のさや管は前記壁体の壁面と略直交する方向に1列に配置され、かつ前記複数のさや管のうち前記壁体に最も近接するさや管は前記壁体に固定されており、さらに前記複数のさや管のうち隣り合うさや管同士は連結部材を介して剛に連結されていることを特徴とする壁体ユニットである。
前記壁体ユニットは、壁体構造として使用可能なように鉛直方向に複数積み重ねることができることが好ましい。
本発明に係る杭式壁体構造および杭式壁体集合構造ならびに壁体ユニットによれば、従来よりも良好な施工性を備えた防波堤等の水域構造物として活用できるだけでなく、陸上の構造物の構築にも活用できる。
防波堤として適用した本発明の第1実施形態に係る杭式壁体構造の側面図(壁体に平行な方向から見た側面図) 本発明の第1実施形態に係る杭式壁体構造を構成する構成要素である壁体ユニット12の斜視図 本発明の第1実施形態に係る杭式壁体構造において、壁体ユニット12の鋼板壁体14およびさや管16Aを上方から見た拡大上面図 防波堤として適用した本発明の第2実施形態に係る杭式壁体構造の側面図(壁体に平行な方向から見た側面図) 本発明の第2実施形態に係る杭式壁体構造を構成する構成要素である壁体ユニット32の斜視図 本発明の第2実施形態に係る杭式壁体構造において、壁体ユニット32のRC壁体34およびさや管36Aを上方から見た拡大上面図 本発明の第2実施形態に係る杭式壁体構造において、壁体ユニット32のRC壁体34およびさや管36Aを上方から見た拡大上面図 本発明の第3実施形態に係る杭式壁体集合構造を海側から見た正面図 本発明の第4実施形態に係る杭式壁体集合構造を海側から見た正面図
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態に係る杭式壁体構造)
図1は、防波堤として適用した本発明の第1実施形態に係る杭式壁体構造10の側面図(壁体に平行な方向から見た側面図)であり、図2は、本発明の第1実施形態に係る杭式壁体構造10を構成する構成要素である壁体ユニット12の斜視図である。
図1に示すように、本第1実施形態に係る杭式壁体構造10は、壁体ユニット12と、鋼管杭50と、を備えてなり、海底100上に設けられた捨石マウンド102の上に構築されている。壁体ユニット12および鋼管杭50は、施工地点において据え付けられて連結されるまでは別部材になっており、別々に運搬できるようになっている。
壁体ユニット12は、図1および図2に示すように、鋼板壁体14と、さや管16と、固定部材18と、連結部材20と、を有してなる。なお、以下では、鋼板壁体14に近い方のさや管16には符号16Aを付し、鋼板壁体14から遠い方のさや管16には符号16Bを付して説明することがある。
本第1実施形態に係る壁体ユニット12の高さは、構築する杭式壁体構造10の高さに応じて適宜に定めればよく、例えば5m〜20m程度である。
鋼板壁体14は、厚さが9mm〜25mm程度で、壁面の形状が水平方向に2500mm〜5000mm程度、鉛直方向に5000mm〜20000mm程度の長方形状である鋼板からなり、外からの波力を遮断する役割を有する。
さや管16は、断面形状が厚さ9mm〜40mm程度、直径800mm〜2500mm程度で、高さが5000mm〜20000mm程度の鋼管である。さや管16の内側には鋼管杭50が差し込まれるので、さや管16の内径は鋼管杭50の外径よりも大きいことが必要である。ただし、さや管16の内側に鋼管杭50を差し込むことができ、かつ、所定の強度および剛性を確保できるのであれば、さや管16および鋼管杭50の形状は特には限定されず、さや管16および鋼管杭50の形状は円筒状でなくてもよい。さや管16は鋼管杭50が差し込まれた後、鋼管杭50と一体化される。したがって、さや管16は、壁体ユニット12を鋼管杭50に十分に連結固定して、杭式壁体構造10全体を安定させる役割を有する。
また、さや管16は1つの壁体ユニット12あたり2つあり、2つのさや管16は鋼板壁体14の壁面と略直交する方向に1列に配置されており、かつ、2つのさや管16の間には連結部材20が設けられている。2つのさや管16は、鋼板壁体14よりも陸に近い側に配置されている。連結部材20は鋼材をトラス構造に組んだ構造となっており、水平力に強い構造であり、鋼板壁体14が受けた波力(水平力)は2つのさや管16および連結部材20を介して2つの鋼管杭50に十分に伝達される。したがって、本第1実施形態に係る杭式壁体構造10は、鋼板壁体14が受けた波力(水平力)を2つのさや管16および連結部材20ならびに2つの鋼管杭50で十分に抵抗できる構造となっている。このため、本第1実施形態に係る杭式壁体構造10においては、外からの波力を受けた鋼板壁体14を安定的に支持することができ、防波堤としての機能を安定的に発揮することができる。具体的には、鋼板壁体14が受けた波力は、2つのさや管16および連結部材20に伝達され、さらに2つの鋼管杭50に伝達されて、地盤に伝達されていく。このため、外からの波力に対する抵抗力が大きく、台風等の悪天時や地震による津波襲来時にも、外からの波力を安定的に遮断することができる。
本第1実施形態に係る杭式壁体構造10においては、1つの杭式壁体構造10あたり2つのさや管16および2つの鋼管杭50を配置するように構成しているが、さや管16および鋼管杭50が鋼板壁体14の壁面と略直交する方向に1列に配置され、かつ、鋼板壁体14よりも陸に近い側に配置されているのであれば、さや管16および鋼管杭50の本数はそれぞれ3本以上としてもよい。
連結部材20に用いる鋼材の材質および形状は、隣り合うさや管16同士を剛に連結でき、かつ、必要な強度および剛性が確保されていれば、特には限定されず、例えば鋼管や棒状の鋼材(鋼板を切り出して溶接によりI型断面にビルドアップした鋼材や既製のH形鋼等)を用いることができる。比較的細い部材であっても大きな水平力に抵抗できる観点および軽量化の観点から、鋼材をトラス構造に組んだ構造とすることが好ましい。ただし、構造形式はトラス構造に限定されるわけではなく、必要な強度および剛性が確保されていれば、他の構造形式(ラーメン構造等)を用いてもよい。また、必要な強度および剛性が確保されていれば、鋼以外の材質の部材(コンクリート製の部材や複合材料等)を連結部材20に用いてもよい。
固定部材18は鋼板壁体14にさや管16Aを固定する役割を有し、鋼板壁体14とさや管16Aとの間に設けられている。
鋼板壁体14にさや管16Aを十分に固定できるのであれば、固定部材18に用いる部材の形状や材質は特には限定されない。図2の固定部材18は、鋼板18Aとグラウト材18Bとからなる。鋼板18Aは鋼板壁体14およびさや管16Aと溶接されており、かつ、鋼板壁体14、さや管16Aの外面、および2つの鋼板18Aで囲まれる空間にはグラウト材18Bが充填されており、鋼板壁体14とさや管16Aとは、固定部材18を介して一体的に固定されている。グラウト材18Bが充填される前記空間に面する鋼板壁体14の表面、さや管16Aの外面、および2つの鋼板18Aの表面には、グラウト材18Bとの接着力を向上させるために、機械的な凹凸やスタッド等を設けてもよく、また、グラウト材18Bとの間の接着力を向上させる下地剤等を塗布しておいてもよい。
なお、グラウト材18Bの充填は予め陸上で行っておいてもよいが、壁体ユニット12の重量を小さくして運搬および据え付けを容易にする観点から、海水の存在する施工地点において壁体ユニット12を据え付けた後にグラウト材18Bの充填を行ってもよい。この場合には、グラウト材18Bの充填は水中での施工となるため、グラウト材としては、水中不分離性セメントミルク、水中不分離性モルタルまたは水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
また、例えば、図3(壁体ユニット12の鋼板壁体14およびさや管16Aを上方から見た拡大上面図)に示す固定部材22のように、鋼板壁体14にさや管16Aを固定する固定部材を鋼板のみから構成してもよい。固定部材22は、鉛直方向に配置されたフランジ鋼板22Aと、水平方向に配置されたリブ鋼板22Bとからなり、フランジ鋼板22Aおよびリブ鋼板22Bは溶接されてお互いに連結されているとともに、鋼板壁体14およびさや管16Aに溶接により取り付けられている。リブ鋼板22Bは複数設けられており、鉛直方向に所定の間隔を開けて配置されている。フランジ鋼板22Aおよびリブ鋼板22Bの厚さならびにリブ鋼板22Bの配置ピッチは、鋼板壁体14に要求される強度および剛性に応じて適宜に定めればよい。
鋼管杭50は円筒状の鋼管であり、所定の支持力が確保できる深さまで地中に打ち込まれており、壁体ユニット12を下方から支持して杭式壁体構造10を安定させて、台風等の悪天時や地震による津波襲来時にも杭式壁体構造10全体が移動や転倒することのないようにする役割を有する。図1に示すように、鋼管杭50の下部は地中に打ち込まれているが、鋼管杭50の上部は海底100上に設けられた捨石マウンド102よりも上部に突出している。捨石マウンド102よりも上部に突出した鋼管杭50の部位は壁体ユニット12のさや管16の内側に差し込まれており、さや管16の内側に差し込まれた鋼管杭50の部位の外面とさや管16の内面との間にはグラウト材が充填されて一体化されている。グラウト材が充填される空間に面するさや管16の内面および鋼管杭50の外面には、グラウト材との接着力を向上させるために、機械的な凹凸やスタッド等を設けてもよく、また、グラウト材との間の接着力を向上させる下地剤等を塗布しておいてもよい。グラウト材の充填は水中での施工となるため、グラウト材としては、水中不分離性セメントミルク、水中不分離性モルタルまたは水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
また、鋼管杭50の内側には、補強のためにコンクリートを打設することが好ましく、本第1実施形態に係る杭式壁体構造10では、鋼管杭50の内側にコンクリートが打設されている。鋼管杭50の内側へのコンクリートの打設も水中での施工となるため、コンクリートとしては、水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
なお、本第1実施形態に係る杭式壁体構造10では、杭として、鋼管杭50を用いているが、本発明に適用可能な杭は鋼管杭に限定されるわけではなく、本発明においては、例えばH形の鋼材を杭として用いることもできる。また、本発明に適用可能な杭の材質は鋼に限定されるわけではなく、例えばコンクリート製の杭等を用いることもできる。
また、第1実施形態に係る杭式壁体構造10では、壁体として、鋼板である鋼板壁体14を用いているが、必要な強度および剛性が確保されていれば、鋼板以外の部材を壁体として用いてもよい。例えば、鉄筋コンクリート製の壁体を用いることも可能である。ただし、第1実施形態に係る杭式壁体構造10において用いる壁体ユニット12は、次に説明する第2実施形態に係る杭式壁体構造のように複数の壁体ユニットを積み重ねて使用するわけではないため、第1実施形態に係る杭式壁体構造10において用いる壁体ユニット12の高さは高くなる。このため、重量が大きくなりすぎることを防いで良好な施工性を確保する観点から、第1実施形態に係る杭式壁体構造10においては、壁体として、鋼板である鋼板壁体14を用いることが好ましい。
鋼管杭50の上端の納まりについては、鋼管杭50の上端をさや管16の上端よりも少し低くし、鋼管杭50の上端を上方から覆う取り外し可能なゴムパッキン等を配置し、さらにその上方に養生材を配置し、さらに養生材を上方から覆う取り外し可能な蓋を設けてもよい。ゴムパッキンは、鋼管杭50の上端に直接接して鋼管杭50の上端を保護するが、鋼管杭50の上端を保護できる養生であればゴムパッキンでなくてもよい。ただし、鋼管杭50の上端に直接接する養生材はゴムパッキンのように柔軟性のある材質のものが好ましい。また、養生材を上方から覆う取り外し可能な蓋の材質は特に限定されず、例えばコンクリート製または鋼製とすることができる。鋼管杭50の上端の納まりをこのようにした場合、将来、鋼管杭50の長さを延長することが必要となった場合(杭式壁体構造10の高さを高くすることが必要となった場合)でも、条件によっては対応が可能となる。
また、鋼管杭50の内側に充填するコンクリートまたは鋼管杭50とさや管16との間に充填するグラウト材を鋼管杭50の上端よりも上まで充填してしまい、鋼管杭50の上端をコンクリートやグラウト材で覆ってしまってもよい。このようにした場合、将来、鋼管杭50の長さを延長することが難しくなるが、前記した養生(ゴムパッキン、養生材、蓋)よりも施工に手間がかからず工事費の低減につながる。
また、第1実施形態に係る杭式壁体構造10の上部には、図1に示すように、床版90が設けられており、人が通行できるようになっている。床版90は現場打ちコンクリートで作製してなる鉄筋コンクリートである。
第1実施形態に係る杭式壁体構造10の施工においては、まず鋼管杭50を施工地点の海底100に所定の深さまで打ち込んだ後、打ち込んだ鋼管杭50の周囲の海底100上に捨石マウンド102を構築する。用いる鋼管杭50の長さは、海底100に打ち込む深さおよび構築する杭式壁体構造10の高さに応じて決定する。
次に、陸上の工場で製作した壁体ユニット12を台船で施工地点まで水上輸送する。施工地点において壁体ユニット12を起重機船または陸上クレーン等により持ち上げ、壁体ユニット12のさや管16に、鋼管杭50が差し込まれるように、壁体ユニット12を捨石マウンド102の上に据え付ける。
次に、鋼管杭50とさや管16との間にグラウト材を充填し、鋼管杭50とさや管16を一体化する。用いるグラウト材としては、水中不分離性セメントミルク、水中不分離性モルタルまたは水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
また、必要に応じ、鋼管杭50の中空部に水中不分離性コンクリートを充填する。
以上説明したように、第1実施形態に係る杭式壁体構造10の施工においては、施工地点の海底100に所定の深さまで打ち込んだ所定の長さの鋼管杭50の、捨石マウンド102よりも上の部位が、壁体ユニット12のさや管16に差し込まれるように、壁体ユニット12を捨石マウンド102の上に据え付け、鋼管杭50とさや管16との間にグラウト材を充填し、鋼管杭50とさや管16を一体化するだけで、主要部分の施工が完了するため、施工性が極めてよい。
以上、第1実施形態に係る杭式壁体構造10について説明したが、以上の説明においては、第1実施形態に係る杭式壁体構造10を防波堤として用いる場合を想定している。しかしながら、第1実施形態に係る杭式壁体構造10の適用対象は防波堤に限られるわけではなく、防波堤以外の水域構造物も適用対象とすることができる。さらには水域構造物以外の陸上構造物(例えば、地盤を保持するための壁体や土石流防止のための壁体)も適用対象とすることができる。
(第2実施形態に係る杭式壁体構造)
図4は、防波堤として適用した本発明の第2実施形態に係る杭式壁体構造30の側面図(壁体に平行な方向から見た側面図)であり、図5は、本発明の第2実施形態に係る杭式壁体構造30を構成する構成要素である壁体ユニット32の斜視図である。
第2実施形態に係る杭式壁体構造30は、複数の壁体ユニット32を鉛直方向に複数積み重ねて構成されており、この点が第1実施形態に係る杭式壁体構造10と相違する。それ以外の点については、第2実施形態に係る杭式壁体構造30は第1実施形態に係る杭式壁体構造10と概ね同様であるので、第1実施形態に係る杭式壁体構造10と対応する同様の構成については同一の符号を付し、説明は省略する場合がある。
図4に示すように、本第2実施形態に係る杭式壁体構造30は、複数の壁体ユニット32と、鋼管杭50と、を備えてなり、海底100上に設けられた捨石マウンド102の上に構築されている。複数の壁体ユニット32および鋼管杭50は、施工地点において据え付けられて連結されるまでは別部材になっており、別々に運搬できるようになっている。
壁体ユニット32は、図4および図5に示すように、RC壁体34と、さや管36と、固定部材38と、連結部材40と、を有してなる。なお、以下では、RC壁体34に近い方のさや管36には符号36Aを付し、RC壁体34から遠い方のさや管36には符号36Bを付して説明することがある。
本第2実施形態に係る杭式壁体構造30は、壁体ユニット32を複数段積み重ねて構築する。壁体ユニット32の高さおよび積み重ねる段数は、構築する杭式壁体構造30の高さに応じて適宜に定めればよく、壁体ユニット32の高さは、例えば1.5m〜3.0m程度に設定することができる。複数段積み重ねた壁体ユニット32のRC壁体34同士の間には水中不分離性モルタル等を充填して、隙間を塞ぐようにしてもよい。
RC壁体34は、厚さが250mm〜500mm程度で、壁面の形状が水平方向に2500mm〜5000mm程度、鉛直方向に1500mm〜3000mm程度の長方形状である鉄筋コンクリート版からなり、外からの波力を遮断する役割を有する。
さや管36は、断面形状が厚さ9mm〜40mm程度、直径800mm〜2500mm程度で、高さが1500mm〜3000mm程度の鋼管である。さや管36の内側には鋼管杭50が差し込まれるので、さや管36の内径は鋼管杭50の外径よりも大きいことが必要である。ただし、さや管36の内側に鋼管杭50を差し込むことができ、かつ、所定の強度および剛性を確保できるのであれば、さや管36および鋼管杭50の形状は特には限定されず、さや管36および鋼管杭50の形状は円筒状でなくてもよい。さや管36は鋼管杭50が差し込まれた後、鋼管杭50と一体化される。したがって、さや管36は、壁体ユニット32を鋼管杭50に十分に連結固定して、杭式壁体構造30全体を安定させる役割を有する。
また、さや管36は1つの壁体ユニット32あたり2つあり、2つのさや管36はRC壁体34の壁面と略直交する方向に1列に配置されており、かつ、2つのさや管36の間には連結部材40が設けられている。2つのさや管36は、RC壁体34よりも陸に近い側に配置されている。連結部材40は鋼材をトラス構造に組んだ構造となっており、水平力に強い構造であり、RC壁体34が受けた波力(水平力)は2つのさや管36および連結部材40を介して2つの鋼管杭50に十分に伝達される。したがって、本第2実施形態に係る杭式壁体構造30は、RC壁体34が受けた波力(水平力)を2つのさや管36および連結部材40ならびに2つの鋼管杭50で十分に抵抗できる構造となっている。このため、本第2実施形態に係る杭式壁体構造30においては、外からの波力を受けたRC壁体34を安定的に支持することができ、防波堤としての機能を安定的に発揮することができる。具体的には、RC壁体34が受けた波力は、2つのさや管36および連結部材40に伝達され、さらに2つの鋼管杭50に伝達されて、地盤に伝達されていく。このため、外からの波力に対する抵抗力が大きく、台風等の悪天時や地震による津波襲来時にも、外からの波力を安定的に遮断することができる。
本第2実施形態に係る杭式壁体構造30においては、1つの壁体ユニット32あたり2つのさや管36および2つの鋼管杭50を配置するように構成しているが、さや管36および鋼管杭50がRC壁体34の壁面と略直交する方向に1列に配置され、かつ、RC壁体34よりも陸に近い側に配置されているのであれば、さや管36および鋼管杭50の本数はそれぞれ3本以上としてもよい。
連結部材40に用いる鋼材の材質および形状は、隣り合うさや管36同士を剛に連結でき、かつ、必要な強度および剛性が確保されていれば、特には限定されず、例えば鋼管や棒状の鋼材(鋼板を切り出して溶接によりI型断面にビルドアップした鋼材や既製のH形鋼等)を用いることができる。連結部材40は、比較的細い部材であっても大きな水平力に抵抗できる観点から、鋼材をトラス構造に組んだ構造とすることが好ましい。ただし、構造形式はトラス構造に限定されるわけではなく、必要な強度および剛性が確保されていれば、他の構造形式(ラーメン構造等)を用いてもよい。また、必要な強度および剛性が確保されていれば、鋼以外の材質の部材(コンクリート製の部材や複合材料等)を連結部材40に用いてもよい。
固定部材38はRC壁体34にさや管36Aを固定する役割を有し、RC壁体34とさや管36Aとの間に設けられている。
RC壁体34にさや管36Aを十分に固定できるのであれば、固定部材38に用いる部材の形状や材質は特には限定されない。図5の固定部材38は、鋼板38Aとグラウト材38Bとからなる。鋼板38Aの一端はRC壁体34の中に埋め込まれて定着されており、鋼板38Aの他端はさや管36Aと溶接されており、かつ、RC壁体34、さや管36Aの外面、および2つの鋼板38Aで囲まれる空間にはグラウト材38Bが充填されており、RC壁体34とさや管36Aとは、固定部材38を介して一体的に固定されている。グラウト材38Bが充填される前記空間に面するRC壁体34の表面、さや管36Aの外面、および2つの鋼板38Aの表面には、グラウト材38Bとの接着力を向上させるために、機械的な凹凸やスタッド等を設けてもよく、また、グラウト材38Bとの間の接着力を向上させる下地剤等を塗布しておいてもよい。
なお、グラウト材38Bの充填は予め陸上で行っておいてもよいが、壁体ユニット32の重量を小さくして運搬および据え付けを容易にする観点から、海水の存在する施工地点において壁体ユニット32を据え付けた後にグラウト材38Bの充填を行ってもよい。この場合には、グラウト材38Bの充填は水中での施工となるため、グラウト材としては、水中不分離性セメントミルク、水中不分離性モルタルまたは水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
また、例えば、図6(壁体ユニット32のRC壁体34およびさや管36Aを上方から見た拡大上面図)に示す固定部材42および図7(壁体ユニット32のRC壁体34およびさや管36Aを上方から見た拡大上面図)に示す固定部材44のように、RC壁体34にさや管36Aを固定する固定部材を鋼材のみから構成してもよい。
図6に示す固定部材42は、鉛直方向かつRC壁体34の壁面に直交する方向に配置されたブラケット鋼板42Aと、鉛直方向かつRC壁体34の壁面に沿う方向に配置された当て鋼板42Bと、当て鋼板42Bの表面に溶接されたスタッド42Cとからなる。スタッド42Cは、RC壁体34作製のためのコンクリート打設時にRC壁体34内に埋め込まれ、当て鋼板42BはRC壁体34の壁面に沿うように配置され、RC壁体34のコンクリートと付着している。スタッド42Cは図6では鉛直方向に2列に設けられているが、設計条件に応じて鉛直方向に3列以上に設けてもよく、また、千鳥状に設けてもよい。また、スタッド42Cの配置ピッチも設計条件に応じて適宜に設定すればよい。
図7に示す固定部材44は、鋼板をH形に溶接で組み立ててなるH形の鋼材であって長手方向が鉛直方向になるように配置されており、図7に示すように、固定部材44のフランジ部44Aの一端側はさや管36Aの外面に溶接されて取り付けられており、フランジ部44Aの他端側は、RC壁体34作製のためのコンクリート打設時にRC壁体34内に埋め込まれている。ウェブ部44BはRC壁体34の壁面に沿うように配置され、RC壁体34のコンクリートと付着している。RC壁体34に埋め込まれたフランジ部44AにはRC壁体34の鉄筋が貫通できるような貫通孔が設けられており、該貫通孔にはRC壁体34の鉄筋34Aが挿通されている。H形の鋼材である固定部材44の寸法ならびにフランジ部44Aおよびウェブ部44Bの板厚は設計条件に応じて適宜に設定すればよい。
鋼管杭50は円筒状の鋼管であり、所定の支持力が確保できる深さまで地中に打ち込まれており、壁体ユニット32を下方から支持して杭式壁体構造30を安定させて、台風等の悪天時や地震による津波襲来時にも杭式壁体構造30全体が移動や転倒することのないようにする役割を有する。図4に示すように、鋼管杭50の下部は地中に打ち込まれているが、鋼管杭50の上部は海底100上に設けられた捨石マウンド102よりも上部に突出している。捨石マウンド102よりも上部に突出した鋼管杭50の部位は壁体ユニット32のさや管36の内側に差し込まれており、さや管36の内側に差し込まれた鋼管杭50の部位の外面とさや管16の内面との間にはグラウト材が充填されて一体化されている。グラウト材が充填される空間に面するさや管16の内面および鋼管杭50の外面には、グラウト材との接着力を向上させるために、機械的な凹凸やスタッド等を設けてもよく、また、グラウト材との間の接着力を向上させる下地剤等を塗布しておいてもよい。グラウト材の充填は水中での施工となるため、グラウト材としては、水中不分離性セメントミルク、水中不分離性モルタルまたは水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
また、鋼管杭50の内側には、補強のためにコンクリートを打設することが好ましく、本第2実施形態に係る杭式壁体構造30では、鋼管杭50の内側にコンクリートが打設されている。鋼管杭50の内側へのコンクリートの打設も水中での施工となるため、コンクリートとしては、水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
なお、本第2実施形態に係る杭式壁体構造30では、杭として、鋼管杭50を用いているが、本発明に適用可能な杭は鋼管杭に限定されるわけではなく、本発明においては、例えばH形の鋼材を杭として用いることもできる。また、本発明に適用可能な杭の材質は鋼に限定されるわけではなく、例えばコンクリート製の杭等を用いることもできる。
また、第2実施形態に係る杭式壁体構造30では、壁体として、鉄筋コンクリート版であるRC壁体34を用いているが、必要な強度および剛性が確保されていれば、鉄筋コンクリート版以外の部材を壁体として用いてもよい。例えば、鋼板製の壁体を用いることも可能であり、鋼板製の壁体を用いた場合には、壁体ユニット32の重量をより小さくすることができる。
鋼管杭50の上端の納まりについては、鋼管杭50の上端を最上段の壁体ユニット32のさや管36の上端よりも少し低くし、鋼管杭50の上端を上方から覆う取り外し可能なゴムパッキン等を配置し、さらにその上方に養生材を配置し、さらに養生材を上方から覆う取り外し可能な蓋を設けてもよい。ゴムパッキンは、鋼管杭50の上端に直接接して鋼管杭50の上端を保護するが、鋼管杭50の上端を保護できる養生であればゴムパッキンでなくてもよい。ただし、鋼管杭50の上端に直接接する養生材はゴムパッキンのように柔軟性のある材質のものが好ましい。また、養生材を上方から覆う取り外し可能な蓋の材質は特に限定されず、例えばコンクリート製または鋼製とすることができる。鋼管杭50の上端の納まりをこのようにした場合、将来、鋼管杭50の長さを延長することが必要となった場合(杭式壁体構造30の高さを高くすることが必要となった場合)でも、条件によっては対応が可能となる。
また、鋼管杭50の内側に充填するコンクリートまたは鋼管杭50とさや管36との間に充填するグラウト材を鋼管杭50の上端よりも上まで充填してしまい、鋼管杭50の上端をコンクリートやグラウト材で覆ってしまってもよい。このようにした場合、将来、鋼管杭50の長さを延長することが難しくなるが、前記した養生(ゴムパッキン、養生材、蓋)よりも施工に手間がかからず工事費の低減につながる。
また、第2実施形態に係る杭式壁体構造30の上部には、図4に示すように、床版90が設けられており、人が通行できるようになっている。床版90は現場打ちコンクリートで作製してなる鉄筋コンクリートである。
第2実施形態に係る杭式壁体構造30の施工においては、まず鋼管杭50を施工地点の海底100に所定の深さまで打ち込んだ後、打ち込んだ鋼管杭50の周囲の海底100上に捨石マウンド102を構築する。用いる鋼管杭50の長さは、海底100に打ち込む深さおよび構築する杭式壁体構造30の高さに応じて決定する。
次に、陸上の工場で製作した壁体ユニット32を台船で施工地点まで水上輸送する。施工地点において壁体ユニット32を起重機船または陸上クレーン等により持ち上げ、壁体ユニット32のさや管36に、鋼管杭50が差し込まれるように、壁体ユニット32を捨石マウンド102の上に据え付ける。そして、さらに所定の段数に達するまで壁体ユニット32を積み上げていく。複数段積み重ねた壁体ユニット32のRC壁体34同士の間には水中不分離性モルタル等を充填して、隙間を塞ぐようにしてもよい。
次に、鋼管杭50とさや管16との間にグラウト材を充填し、鋼管杭50とさや管16を一体化する。用いるグラウト材としては、水中不分離性セメントミルク、水中不分離性モルタルまたは水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
また、必要に応じ、鋼管杭50の中空部に水中不分離性コンクリートを充填する。
以上説明したように、第2実施形態に係る杭式壁体構造30の施工においては、施工地点の海底100に所定の深さまで打ち込んだ所定の長さの鋼管杭50の、捨石マウンド102よりも上の部位が、壁体ユニット32のさや管36に差し込まれるように、壁体ユニット32を捨石マウンド102の上に据え付け、そして、さらに所定の段数に達するまで壁体ユニット32を積み上げていった後、鋼管杭50とさや管36との間にグラウト材を充填し、鋼管杭50とさや管36を一体化するだけで、主要部分の施工が完了するため、施工性が極めてよい。
さらに、本第2実施形態に係る杭式壁体構造30においては、壁体ユニット32を鉛直方向に複数積み重ねるので、壁体ユニット32の高さを小さくすることができる。このため、壁体ユニット32の重量をより軽くすることができ、運搬に用いる台船や据え付けに用いるクレーンも小型化することができ、水深の浅い地点でも施工をより容易に行うことができる。特に、壁体ユニット32のRC壁体34に替えて、壁体として鋼板を用いた場合には、壁体ユニット32の重量をより軽くすることができ、より施工性が向上する。
以上、第2実施形態に係る杭式壁体構造30について説明したが、以上の説明においては、第2実施形態に係る杭式壁体構造30を防波堤として用いる場合を想定している。しかしながら、第2実施形態に係る杭式壁体構造30の適用対象は防波堤に限られるわけではなく、防波堤以外の水域構造物も適用対象とすることができる。さらには水域構造物以外の陸上構造物(例えば、地盤を保持するための壁体や土石流防止のための壁体)も適用対象とすることができる。
(第3実施形態に係る杭式壁体集合構造)
本発明の第3実施形態に係る杭式壁体集合構造は、第1実施形態に係る杭式壁体構造10を複数備える杭式壁体集合構造60である。図8は、杭式壁体集合構造60を海側から見た正面図である。杭式壁体構造10の鋼板壁体14の外側の壁面の形状はいずれも長方形状であり、前記したように、壁面の形状は水平方向に2500mm〜5000mm程度、鉛直方向に5000mm〜20000mm程度の長方形状である。この長方形状の外側の壁面(さや管16とは反対側に位置する壁面(海に向かう側の壁面))の側辺(立設した鋼板壁体14の長方形状の外側の壁面の4辺のうち、略鉛直方向に延びる2つの辺)同士が近接して隣り合うように、かつ、この外側の壁面が略同一の方向を向くように、複数の杭式壁体構造10を一列に配置して、杭式壁体集合構造60は構成されている。近接して隣り合う側辺同士の間に隙間が生じる場合にはシール材等で隙間を埋めてもよい。
杭式壁体集合構造60を構成する杭式壁体構造10の数には特に制限はなく、構築すべき構造物の規模に応じて一列に配置する杭式壁体構造10の数を決定すればよい。また、杭式壁体集合構造60の適用対象は防波堤に限られるわけではなく、防波堤以外の水域構造物も適用対象とすることができる。さらには水域構造物以外の陸上構造物(例えば、地盤を保持するための壁体や土石流防止のための壁体)も適用対象とすることができる。
(第4実施形態に係る杭式壁体集合構造)
本発明の第4実施形態に係る杭式壁体集合構造は、第2実施形態に係る杭式壁体構造30を複数備える杭式壁体集合構造70である。図9は、杭式壁体集合構造70を海側から見た正面図である。杭式壁体構造30のRC壁体34の外側の壁面の形状はいずれも長方形状であり、前記したように、壁面の形状は水平方向に2500mm〜5000mm程度、鉛直方向に1500mm〜3000mm程度の長方形状である。この長方形状の外側の壁面(さや管36とは反対側に位置する壁面(海に向かう側の壁面))の側辺(立設したRC壁体34の長方形状の外側の壁面の4辺のうち、略鉛直方向に延びる2つの辺)同士が近接して隣り合うように、かつ、この外側の壁面が略同一の方向を向くように、複数の杭式壁体構造30を一列に配置して、杭式壁体集合構造70は構成されている。近接して隣り合う側辺同士の間に隙間が生じる場合にはシール材等で隙間を埋めてもよい。
杭式壁体集合構造70を構成する杭式壁体構造30の数には特に制限はなく、構築すべき構造物の規模に応じて一列に配置する杭式壁体構造30の数を決定すればよい。また、杭式壁体集合構造70の適用対象は防波堤に限られるわけではなく、防波堤以外の水域構造物も適用対象とすることができる。さらには水域構造物以外の陸上構造物(例えば、地盤を保持するための壁体や土石流防止のための壁体)も適用対象とすることができる。
10、30…杭式壁体構造
12、32…壁体ユニット
14…鋼板壁体
16、16A、16B、36、36A、36B…さや管
18、22、38、42、44…固定部材
18A、38A…鋼板
18B、38B…グラウト材
20、40…連結部材
22A…フランジ鋼板
22B…リブ鋼板
34…RC壁体
34A…鉄筋
42A…ブラケット鋼板
42B…当て鋼板
42C…スタッド
44A…フランジ部
44B…ウェブ部
50…鋼管杭
60、70…杭式壁体集合構造
90…床版
100…海底
102…捨石マウンド

Claims (13)

  1. 立設した壁体および立設した複数のさや管を備え、前記複数のさや管は前記壁体の壁面と略直交する方向に1列に配置され、かつ前記複数のさや管のうち前記壁体に最も近接するさや管は前記壁体に固定されており、さらに前記複数のさや管のうち隣り合うさや管同士は連結部材を介して剛に連結されている壁体ユニットと、
    複数の杭と、
    を備えた杭式壁体構造であって、
    前記壁体ユニットの前記複数のさや管には、前記杭がそれぞれ差し込まれており、かつ、前記杭が差し込まれた前記さや管は前記杭と一体化されていることを特徴とする杭式壁体構造。
  2. 立設した壁体および立設した複数のさや管を備え、前記複数のさや管は前記壁体の壁面と略直交する方向に1列に配置され、かつ前記複数のさや管のうち前記壁体に最も近接するさや管は前記壁体に固定されており、さらに前記複数のさや管のうち隣り合うさや管同士は連結部材を介して剛に連結されている複数の壁体ユニットと、
    複数の杭と、
    を備えた杭式壁体構造であって、
    前記壁体ユニットは、その壁体および複数のさや管が他の前記壁体ユニットの壁体および複数のさや管とそれぞれ連結するように鉛直方向に複数積み重ねられ、鉛直方向に複数積み重ねられた前記壁体ユニットの複数のさや管にはそれぞれ前記杭が差し込まれていて、差し込まれた前記杭は最上段の前記壁体ユニットの天端付近に達しており、
    前記杭が差し込まれた前記さや管は前記杭と一体化されていることを特徴とする杭式壁体構造。
  3. 前記杭に差し込まれた前記さや管は前記杭とグラウト材により一体化されていることを特徴とする請求項1または2に記載の杭式壁体構造。
  4. 前記複数のさや管の本数は2本であり、かつ、前記複数の杭の本数は2本であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の杭式壁体構造。
  5. 前記壁体は鉄筋コンクリートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の杭式壁体構造。
  6. 前記壁体は鋼板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の杭式壁体構造。
  7. 前記連結部材はトラス構造を有する部材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の杭式壁体構造。
  8. 前記複数のさや管は鋼管であり、かつ、前記連結部材は鋼製の部材であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の杭式壁体構造。
  9. 水域に設置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の杭式壁体構造。
  10. 前記水域は海であり、前記壁体の外側の壁面が海に向かう側となるように設置されていることを特徴とする請求項9に記載の杭式壁体構造。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の杭式壁体構造を複数備える杭式壁体集合構造であって、
    前記複数の杭式壁体構造の前記壁体の外側の壁面の形状はいずれも長方形状であり、
    長方形状の前記外側の壁面の側辺同士が近接して隣り合うように、かつ、前記外側の壁面が略同一の方向を向くように、前記複数の杭式壁体構造を一列に配置してなることを特徴とする杭式壁体集合構造。
  12. 立設した壁体および立設した複数のさや管を備え、前記複数のさや管は前記壁体の壁面と略直交する方向に1列に配置され、かつ前記複数のさや管のうち前記壁体に最も近接するさや管は前記壁体に固定されており、さらに前記複数のさや管のうち隣り合うさや管同士は連結部材を介して剛に連結されていることを特徴とする壁体ユニット。
  13. 壁体構造として使用可能なように鉛直方向に複数積み重ねることができることを特徴とする請求項12に記載の壁体ユニット。
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