JP2017014148A - 口唇化粧料 - Google Patents

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【課題】化粧効果の持続性に優れ、且つ化粧塗膜の光沢や使用時の感触(べたつきのなさ)に優れる口唇化粧料を提供する。【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C)を含有する口唇化粧料。(A) ステアリン酸アルミニウム 0.1質量%以上3質量%以下(B) 多分岐型イソステアリン酸又はポリヒドロキシステアリン酸をエステル化して得られる分子量1000〜10000の液状エステル化合物(C) ワックス【選択図】なし

Description

本発明は口唇化粧料に関するものである。
従来、口唇化粧料の化粧効果の持続性を高めるために種々の検討が行われている。その中で、揮発性シリコーンや揮発性炭化水素油などの揮発性油分とシリコーン系樹脂などの樹脂を配合し、揮発性油の揮発後に形成される樹脂皮膜によって化粧効果を持続させる方法が幅広く採用されている。しかしこの方法では、揮発性油分による唇の乾燥感や化粧塗膜の光沢の消失、樹脂皮膜による唇の違和感等を避けることが困難で、結果として口唇化粧料として総合的に満足できる品質を得ることはできていない。
また、スティック状口唇化粧料の持続性を向上させる方法としては、塗布膜の密着性を上げることが挙げられる。その方法の1つとして、高粘度油剤を高配合し、塗布膜の密着性を向上させる方法が広く用いられているが、塗布膜のべたつきが大きくなったり、あるいは唇をすり合わせた際の糸引きが発生したりすることがあるなど、十分満足できる品質レベルには達していない。また、別のアプローチとして、油剤をゲル化して増粘させることで塗布膜の粘性を上げ、密着性を向上させる方法が報告されている(特許文献1)。
特開2005-350439号公報
しかしながら、特許文献1のように油剤の増粘剤として広く利用されているデキストリン脂肪酸エステルとワックスを組み合わせて使用すると、この増粘剤がワックスの結晶化を阻害することがあるため、経時安定性が不十分となり、製剤として成立しない場合があった。
従って、本発明は、化粧効果の持続性に優れ、化粧塗膜の光沢や使用時の感触(べたつきのなさ)に優れ、かつ経時安定性にも優れる口唇化粧料に関する。
本発明者らは鋭意検討の結果、(A)特定量のステアリン酸アルミニウムと(B)多分岐型イソステアリン酸又はポリヒドロキシステアリン酸をエステル化して得られる分子量1000〜10000の液状エステル化合物を組み合わせることで、(C)ワックスの結晶化を阻害することなく油剤をゲル化し、化粧塗布膜の唇への密着性を向上させることで更に優れた化粧持続効果を有し、かつ経時安定性にも優れる口唇化粧料が得られることを見出した。
すなわち本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C)を含有する口唇化粧料を提供するものである。
(A) ステアリン酸アルミニウム 0.1質量%以上3質量%以下
(B) 多分岐型イソステアリン酸又はポリヒドロキシステアリン酸をエステル化して得られる分子量1000〜10000の液状エステル化合物
(C) ワックス
本発明の口唇化粧料は、化粧効果の持続性に優れ、化粧塗膜の光沢や使用時の感触(べたつきのなさ)に優れ、かつ経時安定性にも優れるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔成分(A):ステアリン酸アルミニウム〕
成分(A)のステアリン酸アルミニウムとしては市販品を用いることができ、アルミニウムステアレート600植物(日油社製)などが例として挙げられる。
本発明の口唇化粧料中における成分(A)の含有量は、化粧効果の持続性に優れるものとする観点から、口唇化粧料総量を基準として0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、使用時のべたつきのない感触、化粧効果の持続性の観点から、口唇化粧料総量を基準として3質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
〔成分(B):液状エステル化合物〕
成分(B)の多分岐型イソステアリン酸又はポリヒドロキシステアリン酸をエステル化して得られる分子量1000〜10000の液状エステル化合物としては、下記式(1)で示される多分岐型イソステアリン酸又はポリヒドロキシステアリン酸を多価アルコールでエステル化した液状化合物が好ましい。ここで液状とは、25℃において液状であることをいう。エステル化に用いる多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の2〜6価の多価アルコールが好ましく、炭素数2〜12の2〜6価の多価アルコールがより好ましく、特にジペンタエリスリトールが好ましい。
Figure 2017014148
成分(B)の具体例としては、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルなどが挙げられる。成分(B)は市販品を利用することもでき、例えばペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチルの市販品として「サラコスDP-518N」、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルの市販品として「サラコスWO-6」(以上、日清オイリオグループ社製)などが挙げられる。これらは必要に応じて単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の口唇化粧料中における成分(B)の含有量は、塗布時の伸びと塗布膜のべたつきのなさとのバランスの点から、口唇化粧料総量を基準として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%である。具体的な含有量範囲は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%、更に好ましくは15〜35質量%である。
また成分(B)と成分(A)との含有質量比(B)/(A)は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であり、また、好ましくは80以下、より好ましくは60以下である。当該含有量比とすることにより、化粧持続効果とべたつきのなさの点で特に優れたものとなる。
〔成分(C):ワックス〕
成分(C)のワックスとしては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、パラフィン、セレシン、合成炭化水素ワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、キャンデリラロウ、ミツロウ、カルナウバロウなどが挙げられる。これらは必要に応じて単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の口唇化粧料中における成分(C)の含有量は、油剤の保持能力、経時安定性の点から、口唇化粧料総量を基準として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、また、艶、潤い感等の官能品質を良好とする点から、口唇化粧料総量を基準として、好ましくは15質量%以下、より好ましくは13.5質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である。具体的な含有量範囲は、好ましくは5〜15質量%、より好ましくは6〜13.5質量%、更に好ましくは7〜12質量%である。
〔任意成分〕
本発明の口唇化粧料には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記の必須成分以外に、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸イヌリン、12-ヒドロキシステアリン酸、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、ジブチルラウロイルグルタミド等の油性ゲル化剤;シリカ、シリル化処理無水ケイ酸、(スチレン/ブタジエン)コポリマー、(スチレン/イソプレン)コポリマー、(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマー等の増粘剤;ワセリン、オレイン酸フィトステリル、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル/ベヘニル)等のペースト油;水添ポリイソブテン、スクワラン、トリ(カプリル・カプリン)酸グリセリル、オクチルドデカノール、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ジメチルポリシロキサン等の液状油性成分;酸化チタン、酸化鉄等の無機着色顔料;赤色202号、赤色223号、黄色4号等の有機色素及びそのレーキ化物;雲母チタン、ベンガラ被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料;マイカ、ナイロンパウダー、架橋型シリコーン末等の粉体成分;その他防腐剤、香料、植物抽出物、抗酸化剤等を配合することができる。
〔その他〕
本発明の口唇化粧料は、溶解、粉体分散、混合等通常の製法に従って半製品を製造した後、充填を行うことにより製造することができる。口唇化粧料の具体的な例としては口紅、リップグロス、リップクリーム等が挙げられる。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の実施態様を開示する。
<1> 次の成分(A)、(B)及び(C)を含有する口唇化粧料。
(A) ステアリン酸アルミニウム 0.1質量%以上3質量%以下
(B) 多分岐型イソステアリン酸又はポリヒドロキシステアリン酸をエステル化して得られる分子量1000〜10000の液状エステル化合物
(C) ワックス
<2> 成分(B)が、ポリヒドロキシステアリン酸をエステル化して得られる分子量1000〜10000の液状エステル化合物である<1>に記載の口唇化粧料。
<3> 成分(B)が、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルである<2>に記載の口唇化粧料。
<4> 成分(B)が、下記式(1)で示される多分岐型イソステアリン酸を多価アルコールでエステル化して得られる液状エステル化合物である<1>に記載の口唇化粧料。
Figure 2017014148
<5> 成分(B)が、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル又はテトライソステアリン酸ジペンタエリスリチルである<4>に記載の口唇化粧料。
<6> 成分(B)が、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル及びトリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルから選択される1種又は2種以上である<1>に記載の口唇化粧料。
<7> 成分(C)が、パラフィン、セレシン、合成炭化水素ワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、キャンデリラロウ、ミツロウ、及びカルナウバロウから選ばれる1種又は2種以上である上記<1>〜<6>のいずれかに記載の口唇化粧料。
<8> 成分(A)の含有量が、化粧料総量を基準として、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である<1>〜<7>のいずれかに記載の口唇化粧料。
<9> 成分(B)の含有量が、化粧料総量を基準として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である<1>〜<8>のいずれかに記載の口唇化粧料。
<10> 成分(C)の含有量が、化粧料総量を基準として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは13.5質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である<1>〜<9>のいずれかに記載の口唇化粧料。
<11> 成分(B)と成分(A)との含有質量比(B)/(A)が、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であり、また、好ましくは80以下、より好ましくは60以下である<1>〜<10>のいずれかに記載の口唇化粧料。
<12> 口紅、リップグロス又はリップクリームである<1>〜<11>のいずれかに記載の口唇化粧料。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明を詳説する。
実施例1〜4、比較例1〜9(口紅)
以下に示す方法に従って表1に示す組成の口紅を製造し、その使用特性の評価を行った。この結果を表1に示す。
(製造方法)
成分4〜16を均一に溶解混合し、更に成分1〜3を加え、均一に溶解混合した後、成分20〜22を加え、混練後再溶解する。これに成分17〜19、23〜26を加え均一に分散混合し、脱気して金型に流し込み、冷却固化後容器に収納し口紅を得た。
(1)使用特性評価方法
女性パネラー20名に、実施例及び比較例の口唇化粧料を自身の唇に塗布してもらい、以下の項目について最高5点から最低1点までの5段階評価をしてもらった。なお、化粧効果持続性については、2時間後において、塗布時の光沢、発色、仕上がりの状態が持続しているかを目視にて確認することで評価した。20名のつけた点数の平均値をその実施例もしくは比較例の点数とし、表1に示す(小数点第二位を四捨五入)。
・化粧効果持続性
・塗布時のべたつきのなさ
・塗布直後の光沢
(2)経時安定性評価方法
実施例及び比較例の口唇化粧料を40℃の恒温槽に静置し、6ヶ月経過後の状態を目視にて観察した。変化がなかった場合を「○」、僅かに油の分離、発汗が確認された場合を「△」、著しく油の分離、発汗が確認された場合を「×」とした。
Figure 2017014148
※1:サラコスDP-518N(日清オイリオグループ社製);式(1)で示される多分岐型イソステアリン酸をエステル化して得られる原料
※2:サラコスWO-6(日清オイリオグループ社製);トリポリヒドロキシステアリン酸をエステル化して得られる原料
※3:コスモール43N(日清オイリオグループ社製);式(1)で示される多分岐型イソステアリン酸をエステル化して得られる原料
※4:コスモール222(日清オイリオグループ社製);多分岐型イソステアリルアルコールをエステル化して得られる原料
※5:サラコス5418V(日清オイリオグループ社製);メチル分岐型イソステアリン酸をエステル化して得られる原料
表1に示すように、実施例1〜4の口紅は、経時安定性に優れ、化粧効果の持続性においても比較例の口紅より明らかに優れたものであった。
これに対し、成分(A)のステアリン酸アルミニウムの含有量が3質量%を超える場合(比較例1、4)は、塗布膜のべたつきが生じた。
また、成分(A)のステアリン酸アルミニウムに代えて、ステアリン酸亜鉛を用いた場合(比較例2、5)は、化粧持続効果及び塗布膜の光沢が十分に得られず、パルミチン酸デキストリンを用いた場合(比較例3、6)は、特に経時安定性が十分でなかった。
また、成分(B)の液状エステル化合物に代えて、他の油剤を用いた場合(比較例7〜9)は、化粧持続効果及び塗布膜の光沢が十分でなかった。
実施例5(口紅)
(質量%)
1.パラフィン 7.0
2.フィッシャートロプシュワックス 0.5
3.マイクロクリスタリンワックス 2.5
4.ステアリン酸アルミニウム 1.0
5.テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル(分子量1318)※6 25.0
6.水添ポリイソブテン 10.0
7.オクチルドデカノール 7.0
8.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)
8.0
9.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 15.0
10.トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 残量
11.トコフェロール 0.1
12.ジプロピレングリコール 0.1
13.アプリコットエキス 0.1
14.赤色202号 0.3
15.黄色4号アルミニウムレーキ 0.5
16.酸化チタン 1.0
17.板状硫酸バリウム 1.0
18.雲母チタン 2.0
19.酸化チタン被覆ガラスフレーク 2.0
20.銀被覆ガラスフレーク 0.5

※6:式(1)で示される多分岐型イソステアリン酸をエステル化して得られる原料
(製造方法)
成分4〜10を均一に溶解混合し、更に成分1〜3を加え、均一に溶解混合した後、成分14〜16を加え、混練後再溶解する。これに成分11〜13、17〜20を加え均一に分散混合し、脱気して金型に流し込み、冷却固化後容器に収納し口紅を得た。

Claims (5)

  1. 次の成分(A)、(B)及び(C)を含有する口唇化粧料。
    (A) ステアリン酸アルミニウム 0.1質量%以上3質量%以下
    (B) 多分岐型イソステアリン酸又はポリヒドロキシステアリン酸をエステル化して得られる分子量1000〜10000の液状エステル化合物
    (C) ワックス
  2. 成分(B)が、ポリヒドロキシステアリン酸をエステル化して得られる分子量1000〜10000の液状エステル化合物である請求項1に記載の口唇化粧料。
  3. 成分(B)が、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルである請求項2に記載の口唇化粧料。
  4. 成分(B)の含有量が、化粧料総量を基準として、5質量%以上50質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の口唇化粧料。
  5. 成分(C)の含有量が、化粧料総量を基準として、5質量%以上15質量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の口唇化粧料。
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