JP2017001950A - 低誘電ガラスおよび繊維ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】低誘電ガラスおよび繊維ガラスを提供すること。【解決手段】例えば、エレクトロニクス用途、強化用途などを含む種々の用途で有用なガラス組成物を提供する。ガラス組成物の一部の実施形態は、望ましい繊維形成特性も有しつつ、望ましい誘電定数、望ましい散逸率および/または望ましい機械的特性がもたらされ得る。例えば、一部の実施形態において、ガラス繊維は、プリント基板(「PCB」)を含む複合基板を強化するために使用することができる繊維を形成するように適合される。より具体的には、本発明の一部の実施形態は、PCBの性能を高めることが可能な電気的特性を有するガラス繊維の強化に関する。【選択図】なし

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2011年9月9日に出願された米国特許出願第13/229,012号に対して優先権を主張する。この米国特許出願第13/229,012号は、2010年11月5日に出願された米国特許出願第12/940,764号の一部継続出願であり、この米国特許出願第12/940,764号は、2006年12月14日に出願された米国特許出願第11/610,761号であって現在は2010年11月9日に発行された米国特許第7,829,490号の一部継続出願であり、これらの内容はその全体が本明細書において参照として援用される。
本発明は、例えば、ガラス繊維を形成するために使用可能なガラス組成物に関する。このようなガラス繊維は、広範囲にわたる末端用途での適用に使用することができる。
例えば、一部の実施形態において、ガラス繊維は、プリント基板(「PCB」)を含む複合基板を強化するために使用することができる繊維を形成するように適合される。より具体的には、本発明の一部の実施形態は、PCBの性能を高めることが可能な電気的特性を有するガラス繊維の強化に関する。
「D」は、材料の誘電定数であり、「誘電率」としても知られ、材料が電気エネルギーを蓄える能力の指標である。コンデンサとして使用される材料は、望ましくは、比較的高いDを有し、一方、PCB基板の一部として使用される材料は、望ましくは、特に高速回路の場合には、低Dを有する。Dは、同じ2枚の金属板の間の空隙(空気または真空)に蓄えられる電荷量に対する、2枚の金属板の間の所与の材料に蓄えられる電荷の比率(すなわち電気容量)である。「D」、すなわち散逸率は、誘電材料における電力消失の指標である。Dは、電流の容量性要素に対する電流の抵抗損失要素の比率であり、損失角の正接に等しい。高速回路の場合、PCB基材を含む材料のDが比較的低いことが望ましい。
PCBは、一般的に、「Standard Specification for Glass Fiber Strands」D 578 American Society for Testing and Materialsに基づき、組成物の「E−ガラス」群のガラス繊維で強化されてきた。この定義によれば、エレクトロニクス用途のためのE−ガラスは、5〜10重量パーセントのBを含み、このことは、ガラス組成物の誘電特性に対するBの望ましい効果の認識を反映している。エレクトロニクス用途のためのE−ガラスは、典型的には、1MHzの周波数で6.7〜7.3の範囲のDを有する。標準的なエレクトロニクス用E−ガラスは、実際の製造を促す融点および成形温度(forming temperature)ももたらされるように配合される。成形温度(粘度が1000ポイズである温度)は、本明細書ではTとも呼ばれ、商業的なエレクトロニクス用E−ガラスは、典型的には、1170℃〜1250℃の範囲である。
高性能プリント基板は、よりよい性能(すなわち、ノイズ信号の伝送が少ない)のために、遠隔通信および電子計算における用途のためにE−ガラスと比較して低いDを有する基板の強化を必要とする。任意選択で、エレクトロニクス産業によって、E−ガラスと比較してDが小さいことも望ましい。PCB産業は、低誘電繊維ガラスを必要とするが、ガラス繊維強化の製造は、低誘電繊維の首尾良い商業化を達成するために経済的な実現可能性という課題に対処することを必要とする。この目的のために、従来技術で提案されたDがある程度低いガラス組成物は、この経済に関する課題に十分に対処していない。
従来技術における誘電率がある程度低いガラスは、高SiO含量または高B含量、または高SiOおよび高Bの組み合わせを特徴とする。後者の一例は、「D−ガラス」として知られている。低Dガラスへのこのアプローチに関する詳細な情報は、L.NaviasおよびR.L.Greenによる文献(非特許文献1)、特許文献1(S.Tamura)、特許文献2(Y.Hirokazu)の中に見いだすことができる。SiO繊維およびD−ガラス型のガラスは、PCB基板(例えば、織布繊維およびエポキシ樹脂で構成される積層体)の布形態において強化材として使用されてきた。これらのアプローチは、両方とも首尾良く低Dをもたらす(時に、約3.8または4.3と低い)が、このような組成物の高融点および高成形温度によって、このような繊維が望ましくない程度まで高コストとなる。D−ガラス繊維は、典型的には、1400℃を超える成形温度を必要とし、SiO繊維は、約2000℃程度の成形温度を必要とする。さらに、D−ガラスは、20重量%以上の高B含量を特徴とする。Bは、従来のエレクトロニクス用E−ガラスを製造するのに必要な最も高価な原材料のひとつであるため、D−ガラスにおいてBをかなり多く使用すると、E−ガラスと比較して、そのコストが顕著に増大する。したがって、SiOも、D−ガラス繊維も、大スケールで高性能PCB基板材料を製造する現実的な解決法を提供しない。
高B濃度(すなわち、11〜25重量パーセント)および他の比較的高価な成分、例えば、ZnO(10重量パーセントまで)およびBaO(10重量パーセントまで)に基づく他の低誘電繊維ガラスが、特許文献2(Hirokazu)に記載されており、1MHzで4.8〜5.6範囲のD値が報告されている。これらの組成物中にBaOが含まれることは、コストと環境の理由から問題である。この参考文献の組成物において、高価なBの濃度が高いにもかかわらず、開示されている繊維の成形温度は、比較的高い(例えば、1355℃〜1429℃)。同様に、高B濃度(すなわち、14〜20重量パーセント)および相対的に高価なTiO(5重量パーセントまで)に基づく他の低誘電繊維ガラスが、特許文献1(Tamura)に記載されており、1MHzでのDが4.6〜4.8であり、散逸率Dが0.0007〜0.001である。特許文献3(Hiroshiら)において、1MHzで5.2〜5.3の範囲のDを有するホウ素を含まない低誘電ガラスが開示されている。これらのホウ素を含まないガラスは、おそらくコストが比較的低い原材料を用いることによって低Dをもたらすが、これらの欠点は、1000ポイズの溶融粘度での繊維の成形温度が1376℃〜1548℃と高いことである。さらに、これらのホウ素を含まないガラスは、非常に狭い成形ウィンドウ(成形温度と液相線温度の差)を有し、典型的には、25℃以下(一部の場合では、負)であり、一方、商業的な繊維ガラス産業において、一般的に約55℃以上のウィンドウが好都合であると考えられる。
コストの増大を管理しつつ、PCBの性能を高めるために、E−ガラス組成物と比較して、電気的特性(Dおよび/またはD)の顕著な向上をもたらすガラス繊維のための組成物を提供し、同時に、SiOおよびD−ガラス型および上述の低誘電ガラスへの他の従来技術のアプローチよりも実際に低い成形温度をもたらすことが有利であろう。原材料のコストを顕著に下げるために、B含量をD−ガラスのB含量よりも低く(例えば、13重量パーセント未満または12パーセント未満)維持することが望ましいだろう。また、一部の状況では、ガラス組成物が、エレクトロニクス用E−ガラスのASTMの定義に含まれ、そのため、10重量パーセント以下のBを必要とすることも有利であり得る。また、繊維ガラス産業では一般的ではないBaOまたはZnOのような高価な材料を必要とすることなく、低Dガラス繊維を製造することも有利であろう。それに加え、市販の実用ガラス組成物は、望ましくは、原材料中の不純物について許容範囲を有し、それによりあまり高価ではないバッチ材料の使用も可能となる。
PCB複合材におけるガラス繊維の重要な機能は、機械的強度を与えることであるため、電気的特性の向上は、ガラス繊維の強度を顕著に犠牲にすることなく達成されることが最良であろう。ガラス繊維の強度は、ヤング率または本来の引張強度の観点であらわすことができる。一部の代替となるアプローチで必要とされるように、新しい低誘電繊維ガラスという解決法を使用し、使用する樹脂の大幅な変化を必要とせず、またはより高価な樹脂を少なくとも実質的に必要とせずにPCBを製造することも望ましい。
一部の実施形態において、本発明のガラス組成物を、限定されないが、航空宇宙、航空機産業、風力エネルギー、積層体、レードームおよび他の用途を含むさまざまな他の末端用途での適用において、他のポリマー樹脂の強化に使用することができる繊維の形成に適合させる。このような用途において、電気的特性(例えば、上述のようなもの)は、重要な場合もあるし、重要ではない場合もある。一部の用途において、他の特性(例えば、比強度または比弾性率または重量)が重要な場合もある。一部の実施形態では、ガラス繊維は、まず布内に配列され得る。一部の実施形態では、本発明のガラス繊維は、他の形態で、例えば限定されないが、チョップドストランド(乾燥または湿潤)、ヤーン、ウォービング(woving)、プリプレグなどとして供給され得る。要するに、該ガラス組成物の種々の実施形態(および該組成物で形成される任意の繊維)が、さまざまな用途に使用され得る。
米国特許出願第2003/0054936A1号 特許第3409806号公報 特開2002−154843号公報
「Dielectric Properties of Glasses at Ultra−High Frequencies and their Relation to Composition」,J.Am.Ceram.Soc.,29,267〜276(1946)
要旨
本発明の実施形態は、一般的に、ガラス組成物、およびガラス組成物から形成されたガラス繊維に関する。一部の実施形態において、電気的な用途(例えば、プリント基板)および強化用途(例えば、種々の用途で使用可能な繊維ガラスによって強化された複合体)を含む多くの用途にガラス繊維を使用することができる。一部の実施形態において、本発明の繊維化可能なガラス組成物は、従来技術の低Dガラス提案物よりも市販の実用繊維形成物に対してより導電性の温度−粘度関係を与えつつ、標準的なE−ガラスと比べて改善された電気的性能(すなわち、低誘Dおよび/または低D)を与えることができる。本発明のガラス組成物またはガラス繊維の一部の実施形態は、比較的低い原料バッチコストで商業的に作製され得る。一部の実施形態において、本発明のガラス繊維は、望ましいおよび/または商業的に許容され得る機械的特性を与えることができる。
本発明の別の態様において、ガラス組成物は、以下の構成物質:
SiO 53.5〜77重量パーセント;
4.5〜14.5重量パーセント;
Al 4.5〜18.5重量パーセント;
MgO 4〜12.5重量パーセント;
CaO 0〜10.5重量パーセント;
LiO 0〜4重量パーセント;
NaO 0〜2重量パーセント;
O 0〜1重量パーセント;
Fe 0〜1重量パーセント;
0〜2重量パーセント;
TiO 0〜2重量パーセント;および
他の構成物質 合計で0〜5重量パーセント
を含み得、ガラス繊維の形態であってもよい。
本発明の別の態様において、ガラス組成物は、以下の構成物質:
SiO 60〜77重量パーセント;
4.5〜14.5重量パーセント;
Al 4.5〜18.5重量パーセント;
MgO 8〜12.5重量パーセント;
CaO 0〜4重量パーセント;
LiO 0〜3重量パーセント;
NaO 0〜2重量パーセント;
O 0〜1重量パーセント;
Fe 0〜1重量パーセント;
0〜2重量パーセント;
TiO 0〜2重量パーセント;および
他の構成物質 合計で0〜5重量パーセント
を含み得、ガラス繊維の形態であってもよい。
本発明の一態様において、ガラス組成物は、以下の構成物質:
SiO 60〜68重量パーセント;
7〜13重量パーセント;
Al 9〜15重量パーセント;
MgO 8〜15重量パーセント;
CaO 0〜4重量パーセント;
LiO 0〜2重量パーセント;
NaO 0〜1重量パーセント;
O 0〜1重量パーセント;
Fe 0〜1重量パーセント;
0〜1重量パーセント;および
TiO 0〜2重量パーセント
を含み得、ガラス繊維の形態であってもよい。
本発明の別の態様において、ガラス組成物は、以下の構成物質:
SiO 少なくとも60重量パーセント;
5〜11重量パーセント;
Al 5〜18重量パーセント;
MgO 5〜12重量パーセント;
CaO 0〜10重量パーセント;
LiO 0〜3重量パーセント;
NaO 0〜2重量パーセント;
O 0〜1重量パーセント;
Fe 0〜1重量パーセント;
0〜2重量パーセント;
TiO 0〜2重量パーセント;および
他の構成物質 合計で0〜5重量パーセント
を含み得、ガラス繊維の形態であってもよい。
本発明の別の態様において、ガラス組成物は、以下の構成物質:
SiO 60〜68重量パーセント;
5〜10重量パーセント;
Al 10〜18重量パーセント;
MgO 8〜12重量パーセント;
CaO 0〜4重量パーセント;
LiO 0〜3重量パーセント;
NaO 0〜2重量パーセント;
O 0〜1重量パーセント;
Fe 0〜1重量パーセント;
0〜2重量パーセント;
TiO 0〜2重量パーセント;および
他の構成物質 合計で0〜5重量パーセント
を含み得、ガラス繊維の形態であってもよい。
本発明の別の態様において、ガラス組成物は、以下の構成物質:
SiO 62〜68重量パーセント;
7〜9重量パーセント;
Al 11〜18重量パーセント;
MgO 8〜11重量パーセント;
CaO 1〜2重量パーセント;
LiO 1〜2重量パーセント;
NaO 0〜0.5重量パーセント;
O 0〜0.5重量パーセント;
Fe 0〜0.5重量パーセント;
0.5〜1重量パーセント;
TiO 0〜1重量パーセント;および
他の構成物質 合計で0〜5重量パーセント
を含み得、ガラス繊維の形態であってもよい。
一部の実施形態において、本発明の組成物は、比較的低いCaO含量、例えば、約0〜4重量パーセント程度を特徴とするものである。また他の実施形態では、CaO含量は約0〜3重量パーセント程度であり得る。また他の実施形態では、CaO含量は約0〜2重量パーセント程度であり得る。一般に、CaO含量を最小限にすると電気的特性の改善がもたらされ、CaO含量は、一部の実施形態において、任意選択の構成物質とみなすことができるような低レベルまで低減された。一部の他の実施形態では、CaO含量は約1〜2重量パーセント程度であり得る。
他方で、MgO含量は、この型のガラスでは比較的高く、一部の実施形態では、MgO含量はCaO含量の2倍である(重量パーセント基準で)。本発明の一部の実施形態は、約5.0重量パーセントより多いMgO含量を有するものであり得、他の実施形態では、MgO含量は8.0重量パーセントより多い場合もあり得る。一部の実施形態では、本発明の組成物は、例えば約8〜13重量パーセント程度のMgO含量を特徴とするものである。また他の実施形態では、MgO含量は約9〜12重量パーセント程度であり得る。一部の他の実施形態では、MgO含量は約8〜12重量パーセント程度であり得る。また他の一部の実施形態では、MgO含量は約8〜10重量パーセント程度であり得る。
一部の実施形態において、本発明の組成物は、例えば16重量パーセント未満である(MgO+CaO)含量を特徴とするものである。また他の実施形態では、(MgO+CaO)含量は13重量パーセント未満である。一部の他の実施形態では、(MgO+CaO)含量は7〜16重量パーセントである。また他の一部の実施形態では、(MgO+CaO)含量は約10〜13重量パーセント程度であり得る。
また他の一部の実施形態では、本発明の組成物は、(MgO+CaO)/(LiO+NaO+KO)含量比を特徴とするものであり、それは、約9.0程度であり得る。一部の特定の実施形態では、LiO/(MgO+CaO)含量比は約0〜2.0程度であり得る。また他の一部の実施形態では、LiO/(MgO+CaO)含量比は約1〜2.0程度であり得る。一部の特定の実施形態では、LiO/(MgO+CaO)含量比は約1.0程度であり得る。
一部の他の実施形態では、(SiO+B)含量は70〜76重量パーセント程度であり得る。また他の実施形態では、(SiO+B)含量は70重量パーセント程度であり得る。他の実施形態では、(SiO+B)含量は73重量パーセント程度であり得る。さらに他の実施形態では、Bの重量パーセントに対するAlの重量パーセントの比は1〜3程度である。一部の他の実施形態では、Bの重量パーセントに対するAlの重量パーセントの比は1.5〜2.5程度である。一部の特定の実施形態では、SiO含量は65〜68重量パーセント程度である。
上記のように、先行技術の一部の低D組成物は、実質的な量のBaOを含めることが必要であるという不都合を有するが、本発明のガラス組成物ではBaOは必要とされないことがみとめられ得る。本発明の好都合な電気的特性および製造特性はBaOの存在を排除するものではないが、BaOの意図的な含有がないことは、本発明の一部の実施形態のさらなる利点とみなすことができる。したがって、本発明の実施形態は、1.0重量パーセント未満のBaOの存在を特徴とするものであり得る。微量不純物量しか存在しない実施形態では、BaO含量は0.05重量パーセント以下であることを特徴とするものであり得る。
本発明の組成物には、Bが、低Dを達成するために高いBに依存している先行技術アプローチよりも少ない量で含まれている。これにより相当な費用削減がもたらされる。一部の実施形態では、必要なB含量は13重量パーセント以下、または12重量パーセント以下である。また、本発明の一部の実施形態は、エレクトロニクス用E−ガラスのASTMの定義に含まれるもの、すなわちBが10重量パーセント以下である。
一部の実施形態において、本発明の組成物は、例えば約5〜11重量パーセント程度のB含量を特徴とするものである。一部の実施形態では、B含量は6〜11重量パーセントであり得る。B含量は、一部の実施形態では6〜9重量パーセントであり得る。一部の実施形態では、B含量は5〜10重量パーセントであり得る。一部の他の実施形態では、B含量は9重量パーセントより多くない。また他の一部の実施形態では、B含量は8重量パーセントより多くない。
一部の実施形態において、本発明の組成物は、例えば約5〜18重量パーセント程度のAl含量を特徴とするものである。Al含量は、一部の実施形態では9〜18重量パーセントであり得る。また他の実施形態では、Al含量は約10〜18重量パーセント程度である。一部の他の実施形態では、Al含量は約10〜16重量パーセント程度である。また他の一部の実施形態では、Al含量は約10〜14重量パーセント程度である。一部の特定の実施形態では、Al含量は約11〜14重量パーセント程度である。
一部の実施形態において、LiOは任意選択の構成物質である。一部の実施形態では、本発明の組成物は、例えば約0.4〜2.0重量パーセント程度のLiO含量を特徴とするものである。一部の実施形態では、LiO含量は(NaO+KO)含量よりも多い。一部の実施形態では、(LiO+NaO+KO)含量は2重量パーセントより多くない。一部の実施形態では、(LiO+NaO+KO)含量は約1〜2重量パーセント程度である。
一部の特定の実施形態では、本発明の組成物は、例えば約0〜1重量パーセント程度のTiO含量を特徴とするものである。
上記に示した組成物において、該構成物質は、標準的なE−ガラスのものより小さい誘電定数を有するガラスが得られるように釣り合いが取られる。比較のための標準的なエレクトロニクス用E−ガラスに関して、これは1MHzの周波数で約6.7未満であり得る。他の実施形態では、誘電定数(D)は1MHzの周波数で6未満であり得る。他の実施形態では、誘電定数(D)は1MHzの周波数で5.8未満であり得る。さらなる実施形態は、1MHzの周波数で5.6未満またはさらに小さい誘電定数(D)を示すものである。他の実施形態では、誘電定数(D)は1MHzの周波数で5.4未満であり得る。また他の実施形態では、誘電定数(D)は1MHzの周波数で5.2未満であり得る。また他の実施形態では、誘電定数(D)は1MHzの周波数で5.0未満であり得る。
また、上記に示した組成物は、ガラス繊維の実用的な商業的製造につながる望ましい温度−粘度関係を有する。一般に、該繊維の作製には、先行技術の組成物のD−ガラスタイプと比べてより低温が必要とされる。望ましい特性はいくつかの様式で表示され得、該特性は、本発明の組成物によって単独または組合せで得られ得る。一般に、1000ポイズの粘度で1370℃以下の成形温度(T)を示す上記に示した範囲内の一部の特定のガラス組成物が作製され得る。一部の実施形態のTは1320℃以下、または1300℃以下、または1290℃以下、または1260℃以下、または1250℃以下である。また、このような組成物には、成形温度と液相線温度(T)の差が正の値であるガラスも包含され、一部の実施形態では成形温度は液相線温度よりも少なくとも55℃高く、これは、このようなガラス組成物からの繊維の商業的製造に好都合である。
一般に、ガラス組成物のアルカリ酸化物含量を最小限にすることによりDの低下が補助される。Dの低減を最適化することが所望される実施形態では、総アルカリ酸化物はガラス組成物の2重量パーセント以下である。本発明の組成物では、NaOおよびKOを最小限にすることは、これとの関連においてLiOよりも有効であることがわかった。アルカリ酸化物の存在は、一般的に低い成形温度をもたらす。したがって、比較的低い成形温度を得ることが優先事項である本発明の実施形態では、LiOを有意な量、例えば少なくとも0.4重量パーセントで含める。この目的のため、一部の実施形態では、LiO含量がNaOまたはKOのいずれかの含量よりも多く、他の実施形態では、LiO含量はNaOとKOの含量の合計よりも多く、一部の実施形態では2倍以上多い。
一部の実施形態において、繊維形成に適したガラス組成物は、以下の構成物質:
SiO 62〜68重量パーセント;
約9重量パーセント未満;
Al 10〜18重量パーセント;
MgO 8〜12重量パーセント;および
CaO 0〜4重量パーセント;
を含んでいてもよく、ガラス繊維の形態であってもよく、
ガラスが6.7未満の誘電定数(D)で、1000ポイズの粘度で1370℃以下の成形温度(T)を示すものである。
本発明の一部の実施形態において、ガラス組成物は、以下の構成物質:
14重量パーセント未満;
Al 9〜15重量パーセント;
MgO 8〜15重量パーセント;
CaO 0〜4重量パーセント;および
SiO 60〜68重量パーセント;
を含んでいてもよく、ガラス繊維の形態であってもよく、
ガラスが6.7未満の誘電定数(D)で、1000ポイズの粘度で1370℃以下の成形温度(T)を示すものである。
本発明の一部の他の実施形態において、ガラス組成物は、以下の構成物質:
9重量パーセント未満;
Al 11〜18重量パーセント;
MgO 8〜11重量パーセント;
CaO 1〜2重量パーセント;および
SiO 62〜68重量パーセント;
を含んでいてもよく、ガラス繊維の形態であってもよく、
ガラスが6.7未満の誘電定数(D)で、1000ポイズの粘度で1370℃以下の成形温度(T)を示すものである。
本発明のある特定の実施形態において、ガラス組成物は、以下の構成物質:
SiO 60〜68重量パーセント;
7〜13重量パーセント;
Al 9〜15重量パーセント;
MgO 8〜15重量パーセント;
CaO 0〜3重量パーセント;
LiO 0.4〜2重量パーセント;
NaO 0〜1重量パーセント;
O 0〜1重量パーセント;
Fe 0〜1重量パーセント;
0〜1重量パーセント;および
TiO 0〜2重量パーセント
を含んでいてもよく、ガラス繊維の形態であってもよく、
ガラスが5.9未満の誘電定数(D)で、1000ポイズの粘度で1300℃以下の成形温度(T)を示すものである。
本発明の一部の実施形態において、ガラス組成物は、以下の構成物質:
SiO 60〜68重量パーセント;
7〜11重量パーセント;
Al 9〜13重量パーセント;
MgO 8〜13重量パーセント;
CaO 0〜3重量パーセント;
LiO 0.4〜2重量パーセント;
NaO 0〜1重量パーセント;
O 0〜1重量パーセント;
(NaO+KO+LiO) 0〜2重量パーセント;
Fe 0〜1重量パーセント;
0〜1重量パーセント;および
TiO 0〜2重量パーセント
を含んでいてもよく、ガラス繊維の形態であってもよい。
上記の本発明の特徴に加えて、または該特徴の代わりに、本発明の組成物の一部の実施形態は、標準的なエレクトロニクス用E−ガラスよりも小さい散逸率(D)を有するガラスを得るために使用され得る。一部の実施形態では、Dは1GHzで0.0150以下、他の実施形態では1GHzで0.0100以下であり得る。
ガラス組成物の一部の実施形態では、Dは1GHzで0.007以下、他の実施形態では1GHzで0.003以下、また他の実施形態では1GHzで0.002以下である。
一部の実施形態の本発明の好都合な一態様は、繊維ガラス産業における慣用的な構成物質およびその原料供給源が高価な相当な量の構成物質の回避に依存するものである。本発明の態様では、本発明のガラスの組成の定義で明示したものに加えた構成物質が、必要ではないが5重量パーセントより多くない総量で含有され得る。このような任意選択の構成物質としては、溶融助剤、清澄助剤、着色剤、微量不純物およびガラス作製の当業者に公知の他の添加剤が挙げられる。一部の先行技術の低Dガラスと比べて、本発明の組成物にはBaOは必要とされないが、少量のBaO(例えば、約1重量パーセントまで)が含まれることは排除され得ない。同様に、本発明では多量のZnOは必要とされないが、一部の実施形態では、少量(例えば、約2.0重量パーセントまで)が含有されることがあり得る。任意選択の構成物質が最小限である本発明の実施形態では、任意選択の構成物質の総量は2重量パーセント以下、または1重量パーセント以下である。あるいはまた、本発明の一部の実施形態は、本質的に名称を挙げた構成物質からなるということができる。
詳細な説明
低電気的分極率を有するSiOおよびBを含め、DおよびDを下げることが、本発明の組成物で有用である。B自体は低温(350℃)で溶融させることができるが、周囲の空気中の水分の攻撃には安定ではないため、純粋なBの繊維は、PCB積層体での使用は現実的ではない。SiOおよびBは両方とも網目構造形成剤であり、これら2種の混合物は、D−ガラスの場合のように、E−ガラスよりも顕著に高い繊維成形温度をもたらすだろう。繊維−成形温度を下げるために、SiOの一部を置き換えたMgOおよびAlが含まれる。酸化カルシウム(CaO)およびSrOをMgOと組み合わせて使用することもできるが、これらは両方ともMgOより分極率が高いため、MgOよりも望ましくない。
バッチコストを下げるため、BがD−ガラス中より低濃度で利用される。しかし、ガラス溶融物において相分離を防ぐのに十分なBが含まれることによって、この組成物から作られるガラス繊維に良好な機械的特性を与える。
バッチ成分の選択およびそのコストは、その純度要件に有意に依存する。例えばE−ガラスの作製のための典型的な市販の成分には、NaO、KO、FeまたはFeO、SrO、F、TiO、SOなどの不純物が種々の化学形態で含有されている。このような不純物に由来するカチオンのほとんどは、ガラスのSiOおよび/またはBと非架橋酸素を形成することによってガラスのDを増大させ得るものである。
また、スルフェート(SOと示す)は清澄剤として存在してもよい。また、原料由来または溶融プロセス中での混入による少量の不純物、例えば、SrO、BaO、Cl、P、Cr、またはNiO(これらの特定の化学形態に限定されない)が存在することもあり得る。また、他の清澄剤および/または加工助剤、例えば、As、MnO、MnO、Sb、またはSnO(これらの特定の化学形態に限定されない)が存在してもよい。このような不純物および清澄剤は、存在する場合、各々、典型的には、ガラス組成物の総量の0.5重量%未満の量で存在する。任意選択で、元素の周期表の希土類族の元素、例えば、原子番号21(Sc)、39(Y)、および57(La)〜71(Lu)を本発明の組成物に添加してもよい。これらは、加工助剤としての、またはガラスの電気的、物理的(熱的もしくは光学的)、機械的および化学的特性を改善するためのいずれかの機能を果たし得る。希土類添加剤は、元の化学形態および酸化状態を考慮して含有され得る。希土類元素の添加は、低濃度であってもバッチコストが増大し得るため、特に、原料コストを最小限にする目的を有する本発明の実施形態では任意選択とみなされる。いずれの場合も、典型的には、そのコストによって、希土類成分(酸化物として測定)が、含有される場合は、ガラス組成物の総量の約0.1〜1.0重量%以下の量で存在することが決定され得る。
以下の一連の具体的な実施形態によって本発明を説明する。しかし、当業者は、多くの他の実施形態が本発明の原理に包含されることを理解する。
これらの実施例のガラスは、試薬等級の粉末形態の化学物質の混合物を、10%Rh/Ptるつぼ内で1500℃〜1550℃(2732°F〜2822°F)の温度で4時間溶融させることにより作製した。各バッチは約1200グラムとした。4時間の溶融期間後、溶融ガラスを鋼板上に注入して急冷した。Bの揮発減損(典型的には、1200グラムのバッチサイズで、実験室バッチ溶融条件において目標総B濃度の約5%)を補うため、バッチの計算におけるホウ素保持因子を95%に設定した。他の揮発性種(フッ化物およびアルカリ酸化物など)は、ガラス中において低濃度であるため、バッチにおいてその放出減損を調整しなかった。実施例の組成物は、バッチどおり(as−batched)の組成を表す。ガラスの調製において、Bを充分に調整して試薬化学物質を使用したため、本発明において表示したバッチどおりの組成は、測定された組成に近いとみなされる。
温度の関数としての溶融粘度および液相線温度を、それぞれ、ASTM Test Method C965 “Standard Practice for Measuring Viscosity of Glass Above the Softening Point”およびC829 “Standard Practices for Measurement of Liquidus Temperature of Glass by the Gradient Furnace Method”を用いることによって測定した。
40mmの直径および1〜1.5mmの厚さを有する各ガラス試験片の研磨ディスクを電気的特性および機械的特性の測定に使用し、これは焼鈍ガラスで作製した。各ガラスの誘電定数(D)と散逸率(D)を、1MHzから1GHzまでで、ASTM Test Method D150 “Standard Test Methods for A−C Loss Characteristics and Permittivity(Dielectric Constant)of Solid Electrical Insulating Materials”によって測定した。この手順に従い、試験片はすべて、25℃で50%湿度下にて40時間プレコンディショニングした。ガラス密度についてASTM Test Method C729 “Standard Test Method for Density of Glass by the Sink−Float Comparator,”を用いて選択的試験を行ない、試験のために試験片はすべて焼鈍した。
選択した組成物について、微小圧痕法を使用し、ヤング率(圧痕負荷−圧痕深さの曲線の最初の傾きから、圧子除荷サイクルにおいて)、および微小硬さ(最大圧痕負荷と最大圧痕深さから)を測定した。該試験には、同じディスク試験片(DおよびDについて試験しておいた)を使用した。5回の圧痕測定を行ない、平均ヤング率と微小硬さのデータを得た。微小圧痕装置は、BK7という製品名の市販の標準参照ガラスブロックを用いて較正した。この参照ガラスは、ヤング率90.1GPa(1つの標準偏差は0.26GPa)および微小硬さ4.1GPa(1つの標準偏差は0.02GPa)を有するものである(すべて5回の測定に基づく)。
実施例のすべての組成の値は重量パーセントで示している。
表1 組成
実施例1〜8は、重量パーセンテージでのガラス組成(表1):SiO 62.5〜67.5%、B 8.4〜9.4%、Al 10.3〜16.0%、MgO 6.5〜11.1%、CaO 1.5〜5.2%、LiO 1.0%、NaO 0.0%、KO 0.8%、Fe 0.2〜0.8%、F 0.0%、TiO 0.0%、およびスルフェート(SOと示す)0.0%を示す。
ガラスは、1MHzで5.44〜5.67のDおよび0.0006〜0.0031のDf、1GHz周波数で5.47〜6.67のDおよび0.0048〜0.0077のDを有するものであることがわかった。シリーズIIIの組成物の電気的特性では、標準的なE−ガラス(1MHzで7.29のDおよび0.003のD、1GHzで7.14のDおよび0.0168のDを有する)と比べて有意に小さい(すなわち、改善された)DおよびDが示されている。
繊維成形特性に関して、表1の組成物は、1300〜1372℃の成形温度(T)および89〜222℃の成形ウィンドウ(T−T)を有する。これは、標準的なE−ガラス(典型的には1170〜1215℃の範囲のTを有する)に匹敵し得る。繊維成形においてのガラスの失透を抑制するためには、55℃より大きい成形ウィンドウ(forming window)(T−T)が望ましい。表1の組成物はすべて、満足な成形ウィンドウを示している。表1の組成物はE−ガラスよりも高い成形温度を有するが、D−ガラス(典型的には、約1410℃)よりも有意に低い成形温度を有する。
Figure 2017001950
表2 組成
実施例9〜15は、ガラス組成:SiO 60.8〜68.0%、B 8.6〜11.0%、Al 8.7〜12.2%、MgO 9.5〜12.5%、CaO 1.0〜3.0%、LiO 0.5〜1.5%、NaO 0.5%、KO 0.8%、Fe 0.4%、F 0.3%、TiO 0.2%、およびスルフェート(SOと示す)0.0%を示す。
ガラスは、1MHzで5.55〜5.95のDおよび0.0002〜0.0013のD、1GHz周波数で5.54〜5.94のDおよび0.0040〜0.0058のDを有するものであることがわかった。表2の組成物の電気的特性では、標準的なE−ガラス(1MHzで7.29のDおよび0.003のD、1GHzで7.14のDおよび0.0168のDを有する)と比べて有意に小さい(改善された)DおよびDが示されている。
機械的特性に関して、表2の組成物は、86.5〜91.5GPaのヤング率および4.0〜4.2GPaの微小硬さを有し、どちらも、標準的なEガラス(85.9GPaのヤング率および3.8GPaの微小硬さを有する)と同等であるか、またはより高い。また、表2の組成物のヤング率もD−ガラス(文献データに基づくと約55GPa)より有意に高い。
繊維成形特性に関して、表2の組成物は、1224〜1365℃の成形温度(T)および6〜105℃の成形ウィンドウ(T−T)を有するのに対して、標準的なE−ガラスは1170〜1215℃の範囲のTを有する。表2の組成物の一部のものは(すべてではないが)、55℃より大きい成形ウィンドウ(T−T)を有し、これは、一部の状況において、商業的繊維成形操作におけるガラスの失透を回避するために好ましいとみなされる。表2の組成物は、D−ガラス(1410℃)のものより低いがE−ガラスより高い成形温度を有する。
Figure 2017001950
Figure 2017001950
Figure 2017001950
Figure 2017001950
実施例29〜62は、重量パーセンテージでのガラス組成(表5):SiO 53.74〜76.97%、B 4.47〜14.28%、Al 4.63〜15.44%、MgO 4.20〜12.16%、CaO 1.04〜10.15%、LiO 0.0〜3.2%、NaO 0.0〜1.61%、KO 0.01〜0.05%、Fe 0.06〜0.35%、F 0.49〜1.48%、TiO 0.05〜0.65%、およびスルフェート(SOと示す)0.0〜0.16%を示す。
実施例29〜62は、重量パーセンテージでのガラス組成(表5)を示し、ここで、(MgO+CaO)含量は7.81〜16.00%であり、CaO/MgO比は0.09〜1.74%であり、(SiO+B)含量は67.68〜81.44%であり、Al/B比は0.90〜1.71%であり、(LiO+NaO+KO)含量は0.03〜3.38%であり、LiO/(LiO+NaO+KO)比は0.00〜0.95%である。
機械的特性に関して、表5の組成物は、2.331〜2.416g/cmの繊維密度および3050〜3578MPaの平均繊維引張強度(または繊維強度)を有する。
繊維引張強度を測定するため、ガラス組成物製の繊維試験片を、10Rh/90Ptシングルチップ繊維延伸ユニットで作製した。およそ85グラムの所与の組成物のカレットをブッシング溶融ユニット内に供給し、100ポイズ溶融粘度に近いまたは同等の温度に2時間コンディショニングした。続いて、この溶融物を1000ポイズ溶融粘度に近いまたは同等の温度まで下げ、1時間安定化させた後、繊維の延伸を行なった。繊維直径は、繊維延伸巻き取り機の速度を制御することによって、およそ10μm直径の繊維が作製されるように制御した。繊維試験片はすべて、いかなる異物との接触なく空中で捕捉した。繊維の延伸は40〜45%RHの制御湿度下の室内で終了させた。
繊維引張強度は、KawabataC型負荷セルを備えたKawabata KES−G1(カトーテック株式会社,日本)引張強度解析装置を用いて測定した。繊維試験片をふち付(framing)ペーパーストリップ上に樹脂接着剤を用いてのせた。繊維に対して破断されるまで張力を適用し、これにより、繊維直径と破断応力に基づいて繊維強度を求めた。試験は、室温にて40〜45%RHの制御された湿度下で行なった。平均値と標準偏差を、各組成物について65〜72本の繊維試験片サイズに基づいてコンピュータで算出した。
ガラスは、1GHzで4.83〜5.67のDおよび0.003〜0.007のDを有するものであることがわかった。表5の組成物の電気的特性では、標準的なE−ガラス(1GHzで7.14のDおよび0.0168のDを有する)と比べて有意に小さい(すなわち、改善された)DおよびDが示されている。
繊維成形特性に関して、表5の組成物は、1247〜1439℃の成形温度(T)および53〜243℃の成形ウィンドウ(T−T)を有する。表5の組成物は、1058〜1279℃の液相線温度(T)を有する。これは、標準的なE−ガラス(典型的には1170〜1215℃の範囲のTを有する)に匹敵し得る。繊維成形におけるガラスの失透を抑制するためには、55℃より大きい成形ウィンドウ(T−T)が場合によっては望ましい。表5の組成物はすべて、満足な成形ウィンドウを示している。
Figure 2017001950
Figure 2017001950
Figure 2017001950
Figure 2017001950
Figure 2017001950
Figure 2017001950
Figure 2017001950
実施例63〜73は、重量パーセンテージでのガラス組成(表6):SiO 62.35〜68.35%、B 6.72〜8.67%、Al 10.53〜18.04%、MgO 8.14〜11.44%、CaO 1.67〜2.12%、LiO 1.07〜1.38%、NaO 0.02%、KO 0.03〜0.04%、Fe 0.23〜0.33%、F 0.49〜0.60%、TiO 0.26〜0.61%、およびスルフェート(SOと示す)0.0%を示す。
実施例63〜73は、重量パーセンテージでのガラス組成(表6)を示し、ここで、(MgO+CaO)含量は9.81〜13.34%であり、CaO/MgO比は0.16〜0.20であり、(SiO+B)含量は69.59〜76.02%であり、Al/B比は1.37〜2.69であり、(LiO+NaO+KO)含量は1.09〜1.40%であり、LiO/(LiO+NaO+KO)比は0.98である。
機械的特性に関して、表6の組成物は、2.371〜2.407g/cmの繊維密度および3730〜4076MPaの平均繊維引張強度(または繊維強度)を有する。表6の組成物で作製された繊維の繊維引張強度を表5の組成物に関して測定した繊維引張強度と同様にして測定した。
該組成物で形成された繊維は、73.84〜81.80GPaの範囲のヤング率(E)の値を有することがわかった。繊維のヤング率(E)の値は、繊維に対する超音波弾性率法を用いて測定した。記載の組成を有するガラス溶融物を延伸した繊維の弾性率の値は、音響超音波パルス手法を使用し、Panatherm 5010機器(Panametrics,Inc.(Waltham,Massachusetts)製)で測定した。伸縮波反射時間は、20マイクロ秒の持続時間、200kHzのパルスを用いて得た。
試験片の長さを測定し、それぞれの伸縮波速度(V)を計算した。繊維密度(ρ)は、Micromeritics AccuPyc 1330比重瓶を用いて測定した。一般に、各組成物に対して20回の測定を行ない、式E=V ×ρに従って平均ヤング率(E)を計算した。繊維の破断歪みは、公知の繊維強度とヤング率の値に基づいてフックの法則を用いて計算した。
ガラスは、1GHzで5.20〜5.54のDおよび0.0010〜0.0020のDfを有するものであることがわかった。表6の組成物の電気的特性では、標準的なE−ガラス(1GHzで7.14のDおよび0.0168のDを有する)と比べて有意に小さい(すなわち、改善された)DおよびDが示されている。
繊維成形特性に関して、表6の組成物は、1303〜1388℃の成形温度(T)および51〜144℃の成形ウィンドウ(T−T)を有する。
Figure 2017001950
Figure 2017001950
本明細書の記載が、本発明の明確な理解に関連する本発明の態様を説明することを理解されたい。当業者に明らかであり、したがって、本発明のよりよい理解を促進しないと思われる本発明のある特定の態様は、本明細書の記載を単純化するために提示していない。本発明をある特定の実施形態と関連づけて記載しているが、本発明は、開示されている特別な実施形態に限定されるのではなく、本発明の趣旨および範囲に含まれる改変を包含することを意図している。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
SiO 53.5〜77重量パーセント;
4.5〜14.5重量パーセント;
Al 4.5〜18.5重量パーセント;
MgO 4〜12.5重量パーセント;
CaO 0〜10.5重量パーセント;
Li O 0〜4重量パーセント;
Na O 0〜2重量パーセント;
O 0〜1重量パーセント;
Fe 0〜1重量パーセント;
0〜2重量パーセント;
TiO 0〜2重量パーセント;および
他の構成物質 合計で0〜5重量パーセント
を含む繊維形成に適したガラス組成物。
(項目2)
SiO 62〜68重量パーセント;
6〜9重量パーセント;
Al 10〜18重量パーセント;および
MgO 8〜12重量パーセント
を含む、項目1に記載の組成物。
(項目3)
Li O含量が1〜2重量パーセントである、項目2に記載の組成物。
(項目4)
MgO含量が5重量パーセントより多い、項目1に記載の組成物。
(項目5)
MgO含量が8重量パーセントより多い、項目1に記載の組成物。
(項目6)
CaO含量が0〜3重量パーセントである、項目1に記載の組成物。
(項目7)
CaO含量が少なくとも1重量パーセントである、項目1に記載の組成物。
(項目8)
TiO 含量が0〜1重量パーセントである、項目1に記載の組成物。
(項目9)
含量が6〜11重量パーセントである、項目1に記載の組成物。
(項目10)
含量が6〜9重量パーセントである、項目1に記載の組成物。
(項目11)
Al 含量が9〜18重量パーセントである、項目1に記載の組成物。
(項目12)
Al 含量が10〜18重量パーセントである、項目1に記載の組成物。
(項目13)
SiO 含量が約60重量パーセントよりも多い、項目1に記載の組成物。
(項目14)
前記構成物質が、1GHzの周波数で6.7未満の誘電定数(D )を有するガラスが得られるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目15)
前記構成物質が、1GHzの周波数で6未満の誘電定数(D )を有するガラスが得られるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目16)
前記構成物質が、1GHzの周波数で5.6未満の誘電定数(D )を有するガラスが得られるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目17)
前記構成物質が、1GHzの周波数で5.2未満の誘電定数(D )を有するガラスが得られるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目18)
前記構成物質が、1GHzの周波数で5.0未満の誘電定数(D )を有するガラスが得られるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目19)
前記構成物質が、1GHzの周波数で0.007未満の散逸率(Df)を有するガラスが得られるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目20)
前記構成物質が、1GHzの周波数で0.003未満の散逸率(Df)を有するガラスが得られるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目21)
前記構成物質が、1000ポイズの粘度で1370℃以下の成形温度T が得られるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目22)
前記構成物質が、1000ポイズの粘度で1320℃以下の成形温度T が得られるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目23)
前記構成物質が、1000ポイズの粘度で1300℃以下の成形温度T が得られるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目24)
前記構成物質が、1000ポイズの粘度で1290℃以下の成形温度T が得られるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目25)
前記構成物質が、1000ポイズの粘度で1260℃以下の成形温度T が得られるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目26)
前記構成物質が、前記成形温度よりも少なくとも55℃低い液相線温度(T )が得られるように選択される、項目25に記載の組成物。
(項目27)
Li O含量が0.4〜2.0重量パーセントである、項目1に記載の組成物。
(項目28)
Li O含量が(Na O+K O)含量よりも多い、項目1に記載の組成物。
(項目29)
(Li O+Na O+K O)含量が2重量パーセント未満である、項目1に記載の組成物。
(項目30)
0〜1重量パーセントのBaOと0〜2重量パーセントのZnOを含む、項目1に記載の組成物。
(項目31)
本質的にBaOを含まず、本質的にZnOを含まない、項目1に記載の組成物。
(項目32)
他の構成物質が、存在する場合、0〜2重量パーセントの総量で存在する、項目1に記載の組成物。
(項目33)
他の構成物質が、存在する場合、0〜1重量パーセントの総量で存在する、項目1に記載の組成物。
(項目34)
SiO 少なくとも60重量パーセント;
5〜11重量パーセント;
Al 5〜18重量パーセント;
MgO 5〜12重量パーセント;
CaO 0〜10重量パーセント;
Li O 0〜3重量パーセント;
Na O 0〜2重量パーセント;
O 0〜1重量パーセント;
Fe 0〜1重量パーセント;
0〜2重量パーセント;
TiO 0〜2重量パーセント;および
他の構成物質 合計で0〜5重量パーセント
を含む繊維形成に適したガラス組成物。
(項目35)
前記構成物質が、1GHzの周波数で6.7未満の誘電定数(D )を有するガラスが得られるように選択される、項目34に記載の組成物。
(項目36)
前記構成物質が、1GHzの周波数で6未満の誘電定数(D )を有するガラスが得られるように選択される、項目34に記載の組成物。
(項目37)
前記構成物質が、1GHzの周波数で5.6未満の誘電定数(D )を有するガラスが得られるように選択される、項目34に記載の組成物。
(項目38)
前記構成物質が、1GHzの周波数で5.2未満の誘電定数(D )を有するガラスが得られるように選択される、項目34に記載の組成物。
(項目39)
前記構成物質が、1GHzの周波数で5.0未満の誘電定数(D )を有するガラスが得られるように選択される、項目34に記載の組成物。
(項目40)
前記構成物質が、1GHzの周波数で0.007未満の散逸率(Df)を有するガラスが得られるように選択される、項目34に記載の組成物。
(項目41)
前記構成物質が、1GHzの周波数で0.003未満の散逸率(Df)を有するガラスが得られるように選択される、項目34に記載の組成物。
(項目42)
前記構成物質が、1000ポイズの粘度で1370℃以下の成形温度T が得られるように選択される、項目34に記載の組成物。
(項目43)
前記構成物質が、1000ポイズの粘度で1320℃以下の成形温度T が得られるように選択される、項目34に記載の組成物。
(項目44)
前記構成物質が、1000ポイズの粘度で1300℃以下の成形温度T が得られるように選択される、項目34に記載の組成物。
(項目45)
前記構成物質が、1000ポイズの粘度で1290℃以下の成形温度T が得られるように選択される、項目34に記載の組成物。
(項目46)
前記構成物質が、1000ポイズの粘度で1290℃以下の成形温度T が得られるように選択される、項目34に記載の組成物。
(項目47)
前記構成物質が、前記成形温度よりも少なくとも55℃低い液相線温度(T )が得られるように選択される、項目46に記載の組成物。
(項目48)
Li O含量が0.4〜2.0重量パーセントである、項目34に記載の組成物。
(項目49)
Li O含量が(Na O+K O)含量よりも多い、項目34に記載の組成物。
(項目50)
(Li O+Na O+K O)含量が2重量パーセント未満である、項目34に記載の組成物。
(項目51)
SiO 60〜68重量パーセント;
5〜10重量パーセント;
Al 10〜18重量パーセント;
MgO 8〜12重量パーセント;
CaO 0〜4重量パーセント;
Li O 0〜3重量パーセント;
Na O 0〜2重量パーセント;
O 0〜1重量パーセント;
Fe 0〜1重量パーセント;
0〜2重量パーセント;
TiO 0〜2重量パーセント;および
他の構成物質 合計で0〜5重量パーセント
を含む繊維形成に適したガラス組成物。
(項目52)
SiO 62〜68重量パーセント;
約9重量パーセント未満;
Al 10〜18重量パーセント;
MgO 8〜12重量パーセント;および
CaO 0〜4重量パーセント;
を含む繊維形成に適したガラス組成物であって、ガラスが6.7未満の誘電定数(D )で、1000ポイズの粘度で1370℃以下の成形温度T を示す、ガラス組成物。

Claims (1)

  1. 本願明細書に記載の発明。
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