JP2017000976A - カプセル化粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コア粒子の表面に付着した樹脂微粒子を溶融させてコア粒子の被覆層を形成させる新規なカプセル化粒子の製造方法を提供する。【解決手段】コア粒子と該コア粒子の表面に形成される被覆層とを備えるカプセル化粒子の製造方法において、コア粒子の表面に被覆層用樹脂微粒子の含水物を付着させて複合粉体粒子を形成させる複合粉体粒子形成工程と、前記複合粉体粒子が流動している系において、該複合粉体粒子を加熱雰囲気に曝す乾燥工程であって、該複合粉体粒子における水を気化させると共に該複合粉体粒子の被覆層用樹脂微粒子を溶融させて被覆層を形成させる乾燥工程とを含み、前記被覆層用樹脂微粒子のガラス転移温度が、前記乾燥工程における水の沸点より低いことを特徴とするカプセル化粒子の製造方法である。【選択図】図2

Description

本発明は、コア粒子と該コア粒子の表面に形成される被覆層とを備えるカプセル化粒子の製造方法に関するものである。
電子写真方式を利用した画像形成装置においては、軟化温度の低い結着樹脂を含むトナーを用い、低温定着を行う方法がある。低温定着を行うことで、定着装置に供給する電力を抑えることができる。しかしながら、軟化温度の低い結着樹脂を含むトナーは、熱により融着しやすく、耐ブロッキング性が低下する。
軟化温度の低い結着樹脂を含むトナー母粒子の表面に対して、トナー母粒子よりも軟化温度が高く耐熱性の高い樹脂微粒子で被覆して、カプセルトナーを製造することで、トナーの低温定着性を損なわずに、耐ブロッキング性を向上させる方法がある。
このように樹脂微粒子をトナー母粒子表面で被膜してなるカプセルトナーの製造方法としては、例えば、水系媒体中でトナー母粒子表面に樹脂微粒子を付着させて加熱する方法(凝集カプセル化法)、トナー母粒子表面に樹脂微粒子を付着させて機械的衝撃力を与える方法(メカノケミカル法)、トナー母粒子表面に樹脂微粒子を付着させて300℃以上の高温気流中で加熱する方法(高温融着カプセル化法)、トナー母粒子を撹拌しながら樹脂微粒子エマルションを噴霧する方法(スプレーカプセル化法)等が知られている。
例えば、特許文献1には、軟化温度の低いトナー母粒子表面に軟化温度の高い樹脂微粒子を被覆した後、機械的衝撃力を付与することにより軟化温度の高い樹脂微粒子からなる被覆層を形成(樹脂微粒子を固着被覆)し、低温定着性と耐ブロッキング性を向上させたトナーが開示されている。また、特許文献2では、樹脂微粒子を機械的衝撃力により芯粒子表面に固定して、定着方法の改良と共に低消費電力で非オフセット性を向上させたトナーが開示されている。
特許第2838410号公報 特開平2−163754号公報
しかしながら、従来のカプセルトナーの製造方法においては、個々のトナー粒子に付加される熱エネルギーを制御することが難しく、トナー粒子に熱エネルギーが過度に付加される場合には、トナー粒子の球形化が起きたり、トナー粒子中に含まれる離型剤等の内添剤がブリードしてトナー粒子の凝集が起きたりする課題がある。また、トナー粒子に付加される熱エネルギーが不十分であると、トナー粒子から樹脂微粒子が剥離して、現像ローラ表面に樹脂微粒子が固着する課題があった。このため、新規なカプセル化粒子の製造方法が望まれている。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、コア粒子の表面に付着した樹脂微粒子を溶融させてコア粒子の被覆層を形成させる新規なカプセル化粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、複合粉体粒子の表面に付着している樹脂微粒子を溶融させる際に水の気化熱を利用して複合粉体粒子の表面温度が水の沸点を超える温度にまで上昇することを防止することで、複合粉体粒子の球形化や複合粉体粒子の凝集を防止しつつ、樹脂微粒子の剥離を抑えた複合粉体粒子の被覆層を形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のカプセル化粒子の製造方法は、コア粒子と該コア粒子の表面に形成される被覆層とを備えるカプセル化粒子の製造方法において、
コア粒子の表面に被覆層用樹脂微粒子の含水物を付着させて複合粉体粒子を形成させる複合粉体粒子形成工程と、
前記複合粉体粒子が流動している系において、該複合粉体粒子を加熱雰囲気に曝す乾燥工程であって、該複合粉体粒子における水を気化させると共に該複合粉体粒子の被覆層用樹脂微粒子を溶融させて被覆層を形成させる乾燥工程とを含み、
前記被覆層用樹脂微粒子のガラス転移温度が、前記乾燥工程における水の沸点より低いことを特徴とする。
なお、本発明のカプセル化粒子の製造方法は、電子写真方式の画像形成装置に用いるトナーに限定されず、コア粒子の被覆層が樹脂で構成される様々なカプセル化粒子の製造に利用できる。
本発明のカプセル化粒子の製造方法の好適例において、前記被覆層用樹脂微粒子は、ガラス転移温度が50℃以上80℃以下である。
本発明のカプセル化粒子の製造方法の他の好適例においては、前記コア粒子のガラス転移温度が30℃以上80℃以下であることを特徴とする。
本発明によれば、コア粒子の表面に付着した樹脂微粒子を溶融させてコア粒子の被覆層を形成させる新規なカプセル化粒子の製造方法を提供することができる。
本発明のカプセル化粒子の製造方法に使用できる粉体処理装置の一例の概略断面図である。 本発明のカプセル化粒子の製造方法の一実施態様を示すフローチャートである。
以下に、本発明のカプセル化粒子の製造方法を詳細に説明する。本発明のカプセル化粒子の製造方法は、コア粒子と該コア粒子の表面に形成される被覆層とを備えるカプセル化粒子の製造方法において、コア粒子の表面に被覆層用樹脂微粒子の含水物を付着させて複合粉体粒子を形成させる複合粉体粒子形成工程と、前記複合粉体粒子が流動している系において、該複合粉体粒子を加熱雰囲気に曝す乾燥工程であって、該複合粉体粒子における水を気化させると共に該複合粉体粒子の被覆層用樹脂微粒子を溶融させて被覆層を形成させる乾燥工程とを含み、前記被覆層用樹脂微粒子のガラス転移温度が、前記乾燥工程における水の沸点より低いことを特徴とする。
本発明のカプセル化粒子の製造方法においては、まず、コア粒子の表面に被覆層用樹脂微粒子の含水物を付着させて複合粉体粒子を形成させる(複合粉体粒子形成工程)。この複合粉体粒子形成工程によって得られる複合粉体粒子は、コア粒子と該コア粒子表面に付着した被覆層用樹脂微粒子の含水物とを備えており、その表面領域に水を含むため、その後の乾燥工程において水の気化熱を利用することが可能である。上記複合粉体粒子形成工程によって得られる複合粉体粒子中において、水の含有量は、5質量%以上で且つ25質量%以下であることが好ましい。
上記複合粉体形成工程において、コア粒子の表面に被覆層用樹脂微粒子の含水物を付着させる方法としては、コア粒子と被覆層用樹脂微粒子の含水物とを混合させる手段等の様々な手段が利用できる。また、コア粒子と被覆層用樹脂微粒子の含水物の混合には、公知の混合機を使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ(商品名、日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)等のヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、ハイスピードバキュームドライヤやダイナミックドライヤー(商品名、川崎重工業株式会社製)等が挙げられる。
上記複合粉体形成工程においては、コア粒子100質量部に対する被覆層用樹脂微粒子の割合が5質量部以上10質量部以下となるように被覆層用樹脂微粒子の含水物をコア粒子に付着させることが好ましい。
本発明のカプセル化粒子の製造方法において、コア粒子は、特に限定されるものではないが、カプセルトナーのトナー母粒子として利用する観点から、樹脂を含む粒子であることが好ましい。コア粒子に使用できる樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレンモノマーと(メタ)アクリル酸系モノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとを共重合したスチレン−アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これら樹脂は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
コア粒子に使用できる樹脂は、コア粒子をカプセルトナーのトナー母粒子として利用する観点から、ガラス転移温度が30℃以上80℃以下であることが好ましく、軟化温度が80℃以上150℃以下であることが好ましく、酸価が0KOHmg/g以上30KOHmg/g以下であることが好ましい。
コア粒子は、カプセルトナーのトナー母粒子として利用する観点から、体積平均粒径が4μm以上8μm以下であることが好ましく、通常、円形度が0.96以下であり、0.940以上0.960以下であることが好ましい。
なお、本発明において、粒子の円形度は、例えばフロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(マルバーン社製)を用いて測定できるが、測定原理が同じであれば特に限定はしない。この装置の測定原理は、分散媒中の粒子をCCDカメラにて静止画像を撮像し、その画像から円形度計算等の計算を行うものである。チャンバーから投入された試料は、フラットシースフローセルに送られてシース液に挟まれて扁平な流れを形成する。セル内を通過する試料にストロボ光を照射しながら静止画像をCCDカメラで撮影する。撮像画像の画像処理により各粒子の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。これから円相当径と円形度が計算される。
円相当径は、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことで、円形度は、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度=2×(π×S)1/2/L
シース液には、パーティクルシース「PSE−900A」(マルバーン社製)を、分散剤としては、市販の家庭用洗剤5質量%水分散液を、分散器としては、該装置のオートサンプラー装置を用いて、試料を分散させ、これを上記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントで10000個の粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、全粒径範囲として、粒子の平均円形度を求める。
本発明のカプセル化粒子の製造方法において、被覆層用樹脂微粒子の含水物は、被覆層用樹脂微粒子及び水を含み、被覆層樹脂微粒子(A)と水(B)の質量比(A/B)は、30/70以上50/50以下であることが好ましい。
上記被覆層用樹脂微粒子の含水物は、例えば、樹脂原料であるモノマー成分の乳化重合反応を水中で行うことによって調製でき、又はホモジナイザー等により樹脂を水中で乳化分散させて細粒化することによっても調製できる。
上記被覆層用樹脂微粒子に使用できる樹脂としては、例えば、トナー材料に用いられる樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレンモノマーと(メタ)アクリル酸系モノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとを共重合したスチレン−アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、スチレン−アクリル系樹脂又はポリエステル樹脂が好ましい。スチレン−アクリル系樹脂は、軽量で高い強度を有し、更に透明性も高く、安価で、粒子径の揃った材料を得やすいなど多くの利点を有する。
上記被覆層用樹脂微粒子は、ガラス転移温度が後述する乾燥工程における水の沸点より低いことを要する。上記被覆層樹脂微粒子のガラス転移温度が水の沸点より低いことによって、複合粉体粒子における水を気化させつつ、複合粉体粒子の被覆層用樹脂微粒子を溶融させることが可能になる。なお、乾燥工程が1気圧で行われる場合、水の気化温度は最高で100℃であるため、上記被覆層樹脂微粒子のガラス転移温度は100℃より低いことを要する。また、乾燥工程が負圧雰囲気の状態で行われる場合、水の沸点は100℃より低くなる。このため、上記被覆層用樹脂微粒子のガラス転移温度の上限は、乾燥工程での圧力に応じて決定されるが、例えばカプセル化粒子がカプセルトナーである場合、上記被覆層用樹脂微粒子のガラス転移温度は、コア粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度より高いことが好ましく、50℃以上80℃以下であることが好ましい。
また、カプセル化粒子がカプセルトナーである場合、上記被覆層用樹脂微粒子の軟化温度は、コア粒子に含まれる樹脂の軟化温度より高いことが好ましく、80℃以上140℃以下であることが更に好ましい。
上記被覆層用樹脂微粒子は、体積平均粒径がコア粒子の平均粒径よりも充分に小さいことが必要であり、カプセル化粒子がカプセルトナーである場合、0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
本発明のカプセル化粒子の製造方法においては、次に、上記複合粉体粒子形成工程により得られる複合粉体粒子が流動している系において、該複合粉体粒子を加熱雰囲気に曝す(乾燥工程)。また、上記乾燥工程では、複合粉体粒子を加熱雰囲気に曝すことによって、複合粉体粒子における水を気化させると共に複合粉体粒子の被覆層用樹脂微粒子を溶融させて被覆層を形成させる。このように上記複合粉体粒子形成工程及び乾燥工程を経ることで、カプセル化粒子を製造することができる。
上記乾燥工程において、複合粉体粒子における水は、コア粒子の表面に付着している被覆層用樹脂微粒子の含水物に由来するものであり、この水の気化熱によって、複合粉体粒子の表面温度は、加熱雰囲気下にありながらも水の沸点を超える温度にまで上昇し難くなり、複合粉体粒子を過度に加熱して球形化や凝集が起こるのを防ぐことができる。また、被覆層用樹脂微粒子のガラス転移温度は、乾燥工程における水の沸点より低いため、被覆層用樹脂微粒子を溶融させることも可能であり、コア粒子の表面に被覆層を形成させることができる。このため、複合粉体粒子から樹脂微粒子が剥離することを防ぐことができ、カプセル化粒子がカプセルトナーである場合には現像ローラ表面に樹脂微粒子が固着することを防ぐことができる。
上記乾燥工程において、複合粉体粒子を加熱雰囲気下に曝す作業は、該複合粉体粒子が流動している系において行われる。ここで、複合粉体粒子が流動している系は、例えば、環状の流路内を循環するように複合粉体粒子を流通させる手法や、円筒形状等の特定の形状を有する容器内で複合粉体粒子を撹拌する手段によって準備できる。複合粉体粒子が環状の流路内を流通する場合、流路内を流通する気流に複合粉体粒子を分散させる手法が好ましく、該気流の流速を調整することによって複合粉体粒子の流動速度を調整することができる。また、複合粉体粒子が容器内で撹拌される場合、公知の撹拌装置が使用でき、撹拌速度を調整することによって複合粉体粒子の流動速度を調整することができる。
上記乾燥工程において、加熱雰囲気は、複合粉体粒子における水を気化させるため、乾燥工程における水の気化が効率良く行われる温度であることが好ましい一方で、複合粉体粒子の被覆層用樹脂微粒子を溶融させるため、被覆層用樹脂微粒子のガラス転移温度付近の温度であることが好ましい。このため、加熱雰囲気の温度は、被覆層用樹脂微粒子のガラス転移温度より20℃低い温度からガラス転移温度までの範囲内にあることが好ましい。
上記乾燥工程において、加熱雰囲気は、例えば、空気等の気体から構成されており、加熱雰囲気の温度は、流路又は容器内に空気等の加熱ガスを供給したり、流路又は容器の外側に温度調整用ジャケットが設けられている場合にはジャケット内部に加温媒を流したりすることで容易に調整することが可能である。また、加熱雰囲気の温度を調整するために、流路又は容器内に水を噴霧するための2流体ノズルを冷却手段として利用したり、上記温度調整用ジャケットに冷却媒を流したりしてもよい。
上記乾燥工程によって得られるカプセル化粒子中において、水の含有量は、0質量%以上で且つ1質量%以下であることが好ましい。
上記乾燥工程によって得られるカプセル化粒子は、カプセルトナーとして利用する観点から、体積平均粒径が4μm以上8μm以下であることが好ましく、通常、円形度が0.96以下であり、0.940以上0.960以下であることが好ましい。
本発明のカプセル化粒子の製造方法において、上記乾燥工程により得られるカプセル化粒子は、樹脂微粒子の溶融により得られる被覆層がコア粒子表面に強固に付着しているため、例えばカプセルトナー等の用途に好適に使用できるが、カプセル化粒子の被覆層をより強固に付着させるため、カプセル化粒子に対して被覆層を固定化させる固定化工程を更に行ってもよい。この固定化工程は、公知の手段が利用でき、例えばカプセル化粒子に機械的衝撃力を付与する手法が挙げられる。カプセル化粒子に機械的衝撃力を付与する装置として、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(商品名:NHS−1型、株式会社奈良機械製作所製)が使用できる。なお、このような固定化工程は、カプセル化粒子の球形化やカプセル化粒子の凝集を起こすおそれがあるため、カプセル化粒子の球形化や複合粉体粒子の凝集が起こらない程度に実行することが好ましい。
次に、図を参照しながら本発明のカプセル化粒子の製造方法に使用できる粉体処理装置を詳細に説明する。図1は、本発明のカプセル化粒子の製造方法に使用できる粉体処理装置の一例の概略断面図である。図示例の粉体処理装置は、複合粉体粒子を流動させるための環状の流路1と、複合粉体粒子を気流中に分散させた状態で環状の流路1に供給するための供給管2と、複合粉体粒子を環状の流路1から排出するための排出管3とを備えており、本発明のカプセル化粒子の製造方法における乾燥工程を行うことが可能である。
流路1は、複合粉体粒子を流動させるための環状の流路であり、複合粉体粒子が流路1内を矢印の方向に循環することで、複合粉体粒子が流動している系が形成される。また、図示例の粉体処理装置は、環状の流路1に気体(空気等)を送るためのブロワ4と、ブロワ4から送られる気体を加熱するための加熱器5とを備える。このため、加熱器5により加熱された気体を環状の流路1内に供給することによって、流路1内を流動する複合粉体粒子を加熱雰囲気に曝すことができる。図示例の粉体処理装置では、加熱器5により加熱された気体が、供給管2を介して流路1に供給されると共に、4つの噴射ノズル6a〜6dを介して流路1に供給される。なお、本発明のカプセル化粒子の製造方法において、複合粉体粒子を加熱雰囲気下に曝す手段はこれに限定されるものではない。また、図示例の粉体処理装置において、供給管2、ブロワ4、加熱器5及び噴射ノズル6a〜6dは、気体が流通する管によって接続されている。更に、図示しないが、流路1内に水を噴霧するための2流体ノズルを冷却手段として備えてもよいし、流路1内の温度を調整するため、温度調整用ジャケットを備えていてもよい。
供給管2は、複合粉体粒子を気流中に分散させた状態で環状の流路1に供給するための管であり、一方の端部は流路1に接続され、他方の端部は加熱器5から延びる管に接続されている。また、供給管2には、複合粉体粒子形成工程によって得られる複合粉体粒子を投入する粉体粒子投入部7が接続されている。粉体粒子投入部7から供給管2に投入される複合粉体粒子は、ブロワ4及び加熱器5を介して供給管2を流れる気体中に分散させることができ、複合粉体粒子を気流中に分散させた状態で環状の流路1に供給することができる。
排出管3は、複合粉体粒子を環状の流路1から排出するための管であり、加熱雰囲気に曝され十分に乾燥した複合粉体粒子を回収できるように構成されている。図示例の粉体処理装置は、環状の流路1内の気体を排出するためのブロワ8を備えており、ブロワ8はサイクロン9及びバグフィルタ10を介して排出管3に接続されている。複合粉体粒子は、加熱雰囲気に曝され乾燥が進むにつれてその質量が軽くなるため、環状の流路1から排出管3に流れる気体と共に複合粉体粒子(正確には乾燥工程を経ているためカプセル化粒子である)も排出することができる。また、サイクロン9やバグフィルタ10を設けることによって、カプセル化粒子が気体と一緒に排出されることを防ぎ、カプセル化粒子を効果的に回収することができる。また、図示例の粉体処理装置において、排出管3、ブロワ8、サイクロン9及びバグフィルタ10は、気体が流通する管によって接続されている。
図示例の粉体処理装置においては、環状の流路1に気体を送るためのブロワ4と、環状の流路1内の気体を排出するためのブロワ8とによって流路1内の圧力を調整できる。流路1、サイクロン9、バグフィルタ10内の気化水分を効率よく排出するために乾燥工程での圧力は、機外の気圧と比べて負圧であることが好ましい。
次に、図を参照しながら本発明のカプセル化粒子の製造方法の一実施態様を詳細に説明する。本発明の製造方法によって得られるカプセル化粒子は、コア粒子の被覆層が樹脂で構成される様々なカプセル化粒子の製造に利用でき、特に電子写真方式の画像形成装置に用いるカプセルトナーとして好適である。図2は、本発明のカプセル化粒子の製造方法の一実施態様を示すフローチャートであるが、ここでは、カプセルトナーの製造方法の一例が示される。図示例のカプセルトナーの製造方法は、トナー母粒子を作製するトナー母粒子作製工程S1と、樹脂微粒子の含水物を調製する樹脂微粒子調製工程S2と、複合粉体粒子を形成させる複合粉体粒子形成工程S3と、複合粉体粒子を乾燥させてカプセルトナーを製造する乾燥工程S4と、カプセルトナーを回収する回収工程S5とを備える。
(1)トナー母粒子作製工程S1
トナー母粒子作製工程S1では、カプセルトナーのコアとなり、その表面が樹脂微粒子によって被覆されることになるトナー母粒子を作製する。なお、トナー母粒子は、本発明のカプセル化粒子の製造方法におけるコア粒子に相当する。トナー母粒子は、結着樹脂及び着色剤を含む粒子であり、その作製方法は特に限定されることなく、公知の方法によって得ることができる。トナー母粒子の作製方法としては、例えば、粉砕法等の乾式法、懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融乳化法等の湿式法が挙げられる。以下、粉砕法によってトナー母粒子を作製する方法を説明する。
(粉砕法によるトナー母粒子作製方法)
粉砕法を用いるトナー母粒子の作製方法では、結着樹脂、着色剤及びその他の添加剤を含むトナー母粒子原料組成物を、混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練する。溶融混練によって得られる混練物を冷却固化し、固化物を粉砕機によって粉砕する。その後、必要に応じて分級等の粒度調整を行い、トナー母粒子を得る。
混合機としては公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ(商品名、日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)等のヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)等が挙げられる。
混練機としても公知のものを使用でき、例えば、二軸押出し機、三本ロール、ラボブラストミル等の一般的な混練機を使用できる。更に具体的には、例えば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)等の1軸又は2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、日本コークス工業株式会社製)等のオープンロール方式の混練機が挙げられる。
混練物は、冷却固化した後、ハンマーミル又はカッティングミル等によって、重量平均粒径100μm以上5mm以下程度の粗粉砕物に粗粉砕され、得られた粗粉砕物は、例えば、重量平均粒径15μm以下にまで更に微粉砕される。粗粉砕物の微粉砕には、例えば、超音速ジェット気流を利用するジェット式粉砕機、高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機等を用いることができる。
分級には、遠心力による分級及び風力による分級によって過粉砕トナー母粒子を除去できる公知の分級機を使用することができ、例えば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)等を使用することができる。
(トナー母粒子原料)
前述のように、トナー母粒子は、結着樹脂と着色剤とを含む。なお、結着樹脂は、本発明のカプセル化粒子の製造方法におけるコア粒子に使用できる樹脂に相当する。結着樹脂としては、特に限定されるものではなく、黒トナー又はカラートナー用の公知の結着樹脂を使用することができ、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレンモノマーと(メタ)アクリル酸系モノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとを共重合したスチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、原料モノマー混合物に離型剤を混合し、重合反応を行って得られる樹脂を用いてもよい。結着樹脂は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
ポリスチレン樹脂やスチレン−アクリル系共重合樹脂のようなスチレン系樹脂を構成するモノマーは、スチレンモノマーを必須モノマーとし、必要により(メタ)アクリルモノマー及び/又はカルボキシル基含有ビニルモノマーを含有することが好ましい。ここで、スチレン系樹脂とは、スチレンモノマーの単独重合体又はスチレンモノマーと他のモノマーの共重合体を意味する。また、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。上記スチレンモノマーとしては、スチレン、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルスチレン(例えば、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。好ましくはスチレンである。(メタ)アクリルモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜18のヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有ビニルモノマー等が挙げられる。カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、モノカルボン酸〔炭素数3〜15、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸〕、ジカルボン酸〔炭素数4〜15、例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸〕、ジカルボン酸モノエステル〔上記ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜18)エステル、例えばマレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル〕等を挙げることができる。これら(メタ)アクリルモノマー及びカルボキシル基含有ビニルモノマーの中でも、炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、ジカルボン酸モノエステル及びそれらの2種以上の混合物が好ましい。
ポリエステル樹脂を構成するモノマーとしては公知のものを使用でき、例えば多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物等が挙げられる。
多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、ピロメリト酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物等が挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
多価アルコールとしても、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の芳香族系ジオール類等が挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は常法に従って実施でき、例えば、有機溶媒の存在下又は非存在下及び重縮合触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを接触させることによって行われ、生成するポリエステルの酸価、軟化温度等が所望の値になったところで終了する。これによって、ポリエステルが得られる。多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率等を適宜変更することによって、例えば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調整でき、延いては得られるポリエステルの特性を変性できる。また、多塩基酸として無水トリメリト酸を用いても、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することができ、これによって、変性ポリエステルが得られる。ポリエステルの主鎖及び/又は側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基等の親水性基を結合させ、水中での自己分散性ポリエステルも使用できる。またポリエステルとアクリル樹脂とをグラフト化して用いてもよい。
コア粒子は、ガラス転移点が30℃以上80℃以下であることが好ましい。コア粒子のガラス転移点が30℃未満であると、画像形成装置内部においてトナーが熱凝集するブロッキングを発生しやすくなり、保存安定性が低下するおそれがある。コア粒子のガラス転移点が80℃を超えると、記録媒体へのトナーの定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。
また、コア粒子は、軟化温度が80℃以上150℃以下であることが好ましい。更に、コア粒子は、酸価が0KOHmg/g以上30KOHmg/g以下であることが好ましい。
着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料等を使用できる。着色剤の使用量は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して3質量部以上10質量部以下である。
トナー母粒子には、結着樹脂及び着色剤の他に電荷制御剤が含まれてもよい。電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用及び負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下である。
また、トナー母粒子には、結着樹脂及び着色剤の他に離型剤が含まれてもよい。離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、例えば、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体等の石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)及びその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックス及びその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックス等)及びその誘導体等の炭化水素系合成ワックス、カルナバワックス等が挙げられる。離型剤の使用量は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して1質量部以上10質量部以下である。
トナー母粒子作製工程S1において得られるトナー母粒子は、体積平均粒径が4μm以上8μm以下であることが好ましい。トナー母粒子の体積平均粒径が4μm以上8μm以下であると、高精細な画像を長期にわたって安定して形成することができる。
また、トナー母粒子作製工程S1において得られるトナー母粒子は、通常、円形度が0.96以下であり、0.940以上0.960以下であることが好ましい。
(2)樹脂微粒子調製工程S2
樹脂微粒子調製工程S2では、トナー母粒子を被覆する層の形成に用いる樹脂微粒子の含水物を調製する。なお、ここでいう樹脂微粒子の含水物は、本発明のカプセル化粒子の製造方法における被覆層用樹脂微粒子の含水物に相当する。樹脂微粒子は、その後の乾燥工程S3において、トナー母粒子表面で膜化する材料として用いられる。樹脂微粒子をトナー母粒子表面の膜化材料として用いることによって、例えば保存中にトナー母粒子に含まれる離型剤等の低融点成分の溶融による凝集の発生を防止することができる。
樹脂微粒子調製工程S2において、樹脂微粒子の含水物は、例えば、樹脂原料であるモノマー成分の乳化重合反応を水中で行うことによって調製でき、又はホモジナイザー等により樹脂を水中で乳化分散させて細粒化することによっても調製できる。なお、樹脂微粒子(A)と水(B)の質量比(A/B)は、30/70以上50/50以下であることが好ましい。
樹脂微粒子調製工程S2において、樹脂微粒子原料として用いられる樹脂としては、例えば、トナー材料に用いられる樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレンモノマーと(メタ)アクリル酸系モノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとを共重合したスチレン−アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記例示した樹脂の中でも、スチレン−アクリル系樹脂又はポリエステル樹脂を含むことが好ましい。スチレン−アクリル系樹脂は、軽量で高い強度を有し、更に透明性も高く、安価で、粒子径の揃った材料を得やすいなど多くの利点を有する。
樹脂微粒子調製工程S2において、樹脂微粒子原料として用いられる樹脂としては、トナー母粒子に含まれる結着樹脂と同じ種類の樹脂であってもよいし、違う種類の樹脂であってもよいが、トナーの表面改質を行う観点から、違う種類の樹脂を用いることが好ましい。樹脂微粒子原料として用いられる樹脂として、トナー母粒子に含まれる結着樹脂と違う種類の樹脂を用いる場合、樹脂微粒子原料として用いられる樹脂の軟化温度が、トナー母粒子に含まれる結着樹脂、又は離型剤等のトナー母粒子に含まれる成分の軟化温度よりも高いことが好ましい。これによって、本実施形態の製造方法で製造されたトナーは、保存中にトナー同士が融着することを防止でき、保存安定性を向上させることができる。また樹脂微粒子原料として用いられる樹脂の軟化温度は、トナーが使用される画像形成装置にもよるが、80℃以上140℃以下であることが好ましい。このような範囲の軟化温度を有する樹脂を用いることによって、保存安定性と定着性とを兼ね備えたトナーが得られる。
樹脂微粒子調製工程S2において、樹脂微粒子は、体積平均粒径がトナー母粒子の平均粒径よりも充分に小さいことが必要であり、0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましい。樹脂微粒子の体積平均粒径が0.1μm以上0.5μm以下であることによって、可塑性に優れ、変形しやすくなり、トナー母粒子表面に均質な被覆層が形成される。樹脂微粒子の粒子径は、動的光散乱法で測定した体積平均粒径を表す。
樹脂微粒子調製工程S2において、樹脂微粒子のガラス転移温度は、後述する乾燥工程S3における水の沸点より低いことを要するが、コア粒子のガラス転移温度より高いことが好ましく、50℃以上80℃以下であることが好ましい。また、樹脂微粒子の軟化温度は、コア粒子の軟化温度より高いことが好ましく、80℃以上140℃以下であることが好ましい。
(3)複合粉体粒子形成工程S3
複合粉体粒子形成工程S3では、トナー母粒子の表面に樹脂微粒子の含水物を付着させて複合粉体粒子を形成する。複合粉体形成工程S3において、トナー母粒子の表面に樹脂微粒子の含水物を付着させる方法としては、上述したように、トナー母粒子に樹脂微粒子の含水物を噴射させる手段やトナー母粒子と樹脂微粒子の含水物とを混合させる手段等の様々な手段が利用できる。上記複合粉体粒子形成工程S3によって得られる複合粉体粒子中において、水の含有量は、5質量%以上で且つ25質量%以下であることが好ましい。また、複合粉体形成工程S3においては、トナー母粒子100質量部に対する樹脂微粒子の割合が5質量部以上10質量部以下となるように樹脂微粒子の含水物をトナー母粒子に付着させることが好ましい。
(4)乾燥工程S4
乾燥工程S4は、上記複合粉体粒子形成工程S3により得られる複合粉体粒子が流動している系において、該複合粉体粒子を加熱雰囲気に曝す工程であるが、複合粉体粒子を加熱雰囲気に曝すことによって、複合粉体粒子における水を気化させると共に複合粉体粒子の被覆層用樹脂微粒子を溶融させて被覆層を形成させる。これによって、カプセルトナーを製造することができる。
上記乾燥工程S4において、複合粉体粒子を加熱雰囲気下に曝す作業は、該複合粉体粒子が流動している系において行われる。ここで、複合粉体粒子が流動している系は、例えば、環状の流路内を循環するように複合粉体粒子を流通させる手法や、円筒形状等の特定の形状を有する容器内で複合粉体粒子を撹拌する手段によって準備でき、好ましくは図1に示す粉体処理装置を使用することができる。
上記乾燥工程S4において、加熱雰囲気は、複合粉体粒子における水を気化させるため、乾燥工程における水の気化が効率良く行われる温度であることが好ましい一方で、複合粉体粒子の被覆層用樹脂微粒子を溶融させるため、被覆層用樹脂微粒子のガラス転移温度付近の温度であることが好ましい。このため、加熱雰囲気の温度は、被覆層用樹脂微粒子のガラス転移温度より20℃低い温度からガラス転移温度までの範囲内にもあることが好ましい。
上記乾燥工程S4によって得られるカプセルトナー中において、水の含有量は、0質量%以上で且つ1質量%以下であることが好ましい。
(5)回収工程S5
回収工程S5は、乾燥工程S4を経て得られるカプセルトナーを回収する工程である。例えば、図1に示す粉体処理装置を使用することができ、サイクロン9及びブロワ10によってカプセルトナーを効果的に回収することができる。
本発明の製造方法によって得られるカプセルトナーは、電子写真方式を利用する画像形成装置において現像剤として使用できるが、被覆層を備えるトナー母粒子を一成分現像剤として使用してもよいし、該トナー母粒子に外添剤を外添したものを一成分現像剤として使用してもよい。また、本発明のカプセルトナーとキャリアの混合物を二成分現像剤として使用することもできる。
外添剤は、トナーに流動性を付与すると共にトナーの帯電量を制御する機能を有しており、例えば、シリカ、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等が挙げられ、シリコーン樹脂、シランカップリング剤等により表面処理(疎水化処理)されているものが好ましい。
本発明のカプセルトナーを二成分現像剤として用いる場合、カプセルトナーとキャリアとを混合することにより、二成分現像剤を調製することができる。ここで、混合装置としては、例えばV型混合機(商品名:V−5、株式会社徳寿工作所製)等の粉体混合器が使用できる。また、カプセルトナーとキャリアの配合比としては、例えば10:90〜5:95の質量比であることが好ましい。なお、キャリアとしては、特に限定されず、二成分現像剤に通常使用されるキャリアを使用でき、例えば、フェライトキャリア等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。まず、各物性値の測定方法について説明する。
(物性測定)
[コア粒子のガラス転移温度]
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、Perkin Elmer社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線において、ガラス転移に相当する吸熱ピークより高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
[コア粒子の軟化温度]
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)において、荷重20kgf/cm(9.8×10Pa)を与えて試料1gがダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から押出されるように設定し、昇温速度毎分6℃で加熱し、ダイから試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とした。
[トナー母粒子の体積平均粒子径]
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mg及びアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:卓上型2周波超音波洗浄器VS−D100、アズワン株式会社製)によって超音波周波数20kHzで3分間分散処理して測定用試料を調製した。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:MultisizerIII、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径を求めた。
[樹脂微粒子の体積平均粒子径]
樹脂微粒子の体積平均粒子径の測定には、動的光散乱法粒度分布測定装置(商品名:ナノトラック、日機装株式会社製)を用いた。測定試料(樹脂微粒子)の凝集を防ぐため、ファミリーフレッシュ(花王株式会社製)を含む水溶液中に測定試料が分散した分散液を投入して撹拌した後、上記装置に注入し、2回測定を行ってその平均値を求めた。測定条件としては、測定時間を30秒とし、試料粒子屈折率を1.49とし、分散媒を水とし、分散媒屈折率を1.33とした。測定試料の体積粒度分布を測定し、測定結果から累積体積分布における小粒子径側からの累積体積が50%になる粒子径を樹脂微粒子の体積平均粒子径(μm)として算出した。
[樹脂微粒子のガラス転移温度]
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、Perkin Elmer社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線において、ガラス転移に相当する吸熱ピークより高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
[樹脂微粒子の軟化温度]
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−500D、株式会社島津製作所製)を用い、試料1gを昇温速度毎分6℃で加熱し、荷重20kgf/cm(9.8×10Pa)を与えてダイ(ノズル口径0.5mm、長さ1mm)から試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とした。
(実施例1)
トナー母粒子(コア粒子)の作製
スチレン−アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製)100質量部と、カーボンブラック(エボニックデグサ製:Nipex60)30質量部とを二軸混練機(池貝社製:PCM30型)で最高温度が150℃となるように溶融混練し、冷却後、カッティングミルで1mmのチップになるまで粗粉砕し、カーボンブラックのマスターバッチを得た。
スチレン−アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製)75質量部、カーボンブラックのマスターバッチ25質量部、及びポリプロピレンワックス(三洋化成工業社製:550P)4質量部を、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業社製)にて、攪拌羽根の周速度35m/secで10分間混合し、材料混合物を得た。得られた混合物を、二軸混練機(池貝社製:PCM30型)で最高温度が175℃となるように溶融混練し、ドラムフレーカーで冷却することで、溶融混練物を得た。この溶融混練物をカッティングミル(オリエント株式会社製:VM−16)で粗粉砕した後、ジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製)にて微粉砕し、更に風力分級機(ホソカワミクロン株式会社製)で分級することで、体積平均粒径が6.5μmであり、ガラス転移温度が50℃のトナー母粒子を作製した。なお、トナー母粒子の円形度は、0.945であった。
樹脂微粒子の作製
スチレンとアクリル酸とアクリル酸ブチルとを重合して、固形分40質量%濃度で体積平均粒径が0.10μmであるスチレン−アクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体樹脂微粒子(ガラス転移温度64℃、軟化温度120℃)エマルジョンを得た。
複合粉体粒子の作製
上記トナー母粒子100質量部を、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業社製)で混合しながら、スプレーノズルを用いて上記エマルジョン15質量部を10分かけて噴霧することにより、コア粒子100質量部に対する被覆層用樹脂微粒子の割合が6質量部で水の含有量が10質量%の複合粉体粒子を得た。なお、この時の撹拌条件として、攪拌羽根の周速度を15m/sec、回転軸冷却風量毎分10L、冷却風温度を20℃、ヘンシェルミキサ壁面温度20℃に設定した。
複合粉体粒子の乾燥
上記複合粉体粒子を図1に示す粉体処理装置を用いて、以下の粉体処理条件で乾燥させた結果、円形度が0.950、水の含有量が1質量%のカプセル化粒子が得られた。得られたカプセル化粒子を400メッシュのふるいを用いて凝集体の有無を調べた結果、凝集体の存在は確認されなかった。
<粉体処理条件>
ブロワ4から供給管2に供給される加熱気流:温度85℃、流量1L/秒
粉体粒子投入部7から供給管2に投入される複合粉体粒子:毎分50g
噴射ノズル6a〜6dから流路1に供給される冷却気流温度:露点−20℃、気流温度10℃、各噴射ノズル流量1L/秒
(実施例2)
粉体乾燥条件として以下の条件に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法で、上記複合体粒子を乾燥させた結果、円形度が0.955、水の含有量が1質量%のカプセル化粒子が得られた。得られたカプセル化粒子を400メッシュのふるいを用いて凝集体の有無を調べた結果、凝集体の存在は確認されなかった。
<粉体処理条件>
ブロワ4から供給管2に供給される加熱気流:温度105℃、流量1L/秒
粉体粒子投入部7から供給管2に投入される複合粉体粒子:毎分100g
噴射ノズル6a〜6dから流路1に供給される冷却気流温度:露点−30℃、気流温度0℃、各噴射ノズル流量1L/秒
1 流路
2 供給管
3 排出管
4 ブロワ
5 加熱器
6a〜6d 噴射ノズル
7 粉体粒子投入部
8 ブロワ
9 サイクロン
10 バグフィルタ

Claims (3)

  1. コア粒子と該コア粒子の表面に形成される被覆層とを備えるカプセル化粒子の製造方法において、
    コア粒子の表面に被覆層用樹脂微粒子の含水物を付着させて複合粉体粒子を形成させる複合粉体粒子形成工程と、
    前記複合粉体粒子が流動している系において、該複合粉体粒子を加熱雰囲気に曝す乾燥工程であって、該複合粉体粒子における水を気化させると共に該複合粉体粒子の被覆層用樹脂微粒子を溶融させて被覆層を形成させる乾燥工程とを含み、
    前記被覆層用樹脂微粒子のガラス転移温度が、前記乾燥工程における水の沸点より低いことを特徴とするカプセル化粒子の製造方法。
  2. 前記被覆層用樹脂微粒子は、ガラス転移温度が50℃以上80℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のカプセル化粒子の製造方法。
  3. 前記コア粒子のガラス転移温度が30℃以上80℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカプセル化粒子の製造方法。
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