JP2016538295A - 骨粗鬆症の処置及び予防のためのガストリン拮抗薬 - Google Patents

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Abstract

提供した実施形態は、加齢腸−卵巣軸を調整するガストリンの役割、及びガストリン媒介性骨量減少を回復させる際にガストリン活性を標的とする効果に関する本明細書中の実証に対するいくつかの態様に基づいている。骨疾患及び病態の治療、改善、及び予防のための、ガストリン拮抗薬を含んでいる方法、組成物、作用物質(剤)を提供する。治療を必要としている対象の高ガストリン血症に関連する骨疾患又は病態を治療するための方法は、治療上有効な量のガストリン受容体を標的とする作用物質の少なくとも1つの用量を対象に投与し、それにより、高ガストリン血症に関連する骨疾患又は病態を治療することを含んでいてもよい。

Description

関連出願
本出願は、2013年11月22日に出願された米国特許仮出願第61/907,980号の利益、並びに優先権を主張し、その内容を、全体として参照により本明細書中に援用する。
提供した実施形態は、加齢腸−卵巣軸を調整するガストリンの役割、及びガストリン媒介性骨量減少を回復させる際にガストリン活性を標的とする効果に関する本明細書中の実証に対するいくつかの態様に基づいている。骨疾患及び病態の処置、安定化、改善、及び予防のための、ガストリン拮抗薬を含んでいる方法、組成物、作用物質(剤)を提供する。
骨量減少及び高い骨折リスクを特徴とする骨粗鬆症は、特に高齢者にとって最も一般的な疾患の1つであり、世界中で約1億人が罹患していると推定される。高齢者の骨折の発生が概して増加している一方で、治療の選択肢は限られている。現在、再吸収阻害剤(例えば、ビスホスホナート、デノスマブ、ホルモン療法)が最も一般的に使用される骨粗鬆症の処置である。これらの作用物質は、骨再形成を遅らせ、骨密度を高めるように設計されている。しかしながら、それらは、顎骨壊死、非定型骨折、心房細動、及び脳卒中又は癌のリスク増加を含めた著しい副作用に関係している。同化剤は、骨粗鬆症を患っている患者において新生骨を作り出すのに使用され得る。しかしながら、骨質量を高め、且つ、破骨細胞媒介骨形成と骨髄脂肪蓄積の間のバランスを調整する同化因子の発見が試みられている。加えて、唯一の市販の同化剤(テリパラチド)は、非常に高価であり、且つ、投与するのが難しいだけではなく、血圧低下、吐き気、疼痛、衰弱、及びうつ病を含めた副作用にも関係している。そのうえ、ラットにおけるテリパラチドの使用では、悪性腫瘍の増殖(造骨性癌腫)を引き起こすことがわかった。一般に、骨粗鬆症のための治療の選択肢は限られているので、骨形成を刺激する新しい治療アプローチの開発が優先課題である。
骨粗鬆症では卵巣の不全と骨の脱塩が主な要因として十分に認識されているが、正確な病因は完全に解決されていないままである。骨粗鬆症及び関連する骨疾患又は病態の病因のより良い理解は、骨粗鬆症、他の骨疾患及び病態の処置のための新規な代替法と組成物につながる可能性がある。
骨粗鬆症、他の骨疾患及び病態の処置のための方法及び組成物が必要とされている。本願は、上記の問題を克服し、そして、ガストリンの影響を調整することによる骨疾患又は病態の処置、安定化、及び/又は進行の予防のための手段を提供する。
本願は、例えば、治療を必要としている対象に作用物質の投与によって骨疾患又は疾患の処置、例えば安定化、及び/又は予防、例えば進行の予防のための方法、使用、化合物、及び組成物を提供する。いくつかの実施形態において、骨疾患又は疾患は骨粗鬆症を特徴とする。他の実施形態において、治療を必要としている対象に投与される作用物質、例えばガストリン又はガストリン受容体拮抗薬などは、ガストリン及び/又はガストリン受容体を標的とする、例えば阻害するか又は拮抗する。一実施形態によると、投与される作用物質はCCK2受容体を標的とする。
提供した実施形態は、ホルモンであるガストリンが直接的又は間接的に骨形成を調整し、これにより骨量減少とそれに続く骨粗鬆症の変化と一致する骨病態生理を促進することの本明細書中の実証に対するいくつかの態様に関する(図57を参照のこと)。提供した実施形態は、例えばCCK2受容体を標的とするガストリン拮抗薬を使用する、斯かるガストリン効果の遮断が骨粗鬆症の動物モデルにおいて有益な効果を有し、これにより骨粗鬆症、他の骨疾患及び病態の処置、予防、及び改善に有用である本明細書中の実証に対するいくつかの態様に関する。
これにより、臨床的に、病理学的に又は放射線学的に骨粗鬆症と特徴づけられる骨疾患及び病態における、ガストリン拮抗薬、例えばガストリン活性に拮抗する作用物質の方法、化合物、組成物及び使用が、いくつかの実施形態において提供される。いくつかの態様において、前記方法及び使用は、疾患及び病態を含んだ疾患及び病態の処置、改善、及び/又は予防を伴う。いくつかの態様において、例えばi)高齢者(男性又は女性)、例えば高齢の患者;ii)卵巣機能が低下している又は卵巣機能不全の女性;iii)(例えば、腫瘍性又は胃粘膜の萎縮に関連する)起こるべくして起こった高ガストリン血症及び/又は酸抑制薬物療法(例えば、すべてのプロトンポンプ阻害薬又は短時間若しくは長時間作用するヒスタミン2受容体拮抗薬を含めた作用物質の類)の使用の因果関係として起こっている高ガストリン血症を含めた高ガストリン血症を患っている個人;並びに/或いはiv)胃切除した個人における、ガストリン及び/又はガストリン受容体を標的とする作用物質、例えばガストリン拮抗薬を使用した、骨の疾患/病態、例えば骨粗鬆症を特徴とするもの、を処置、改善するための方法及び組成物が提供される。いくつかの実施形態において、処置、改善、及び/又は予防は、ガストリンを標的とする作用物質、例えばガストリンを標的とする又はガストリン受容体を標的とする作用物質などのガストリン拮抗薬、例えばガストリン又はガストリン受容体拮抗薬、例えばCCK2受容体を標的とする作用物質を使用することで実施される。
いくつかの実施形態において、ガストリン又はガストリン受容体を標的とする作用物質を対象に投与することによって疾患若しくは病態、又はその進行を治療又は予防することによる、対象の骨疾患又は病態を治療するか又は予防するための方法、使用及び作用物質を提供する。いくつかの態様において、ガストリン又はガストリン受容体を標的とする作用物質は、選択的CCK2受容体拮抗薬などの選択的ガストリン受容体拮抗薬などのガストリン拮抗薬又はガストリン受容体拮抗薬であり、例えば他の受容体又は他のガストリン受容体と拮抗しないものである。選択的CCK2受容体拮抗薬で代表的なものは、YF476である。
いくつかの態様において、骨疾患又は病態は、骨粗鬆症と特徴づけられる疾患又は病態であり、例えば臨床的、病理学的、又は放射線学的に骨粗鬆症と特徴づけられるものである。いくつかの態様において、対象は卵巣機能低下又は卵巣不全の女性である。他の態様において、対象は:(a)卵巣機能低下又は卵巣不全の女性であり、且つ(b)高ガストリン血症を患っている。いくつかの態様において、対象は:(a)卵巣機能低下又は卵巣不全の女性であり、(b)高ガストリン血症を患っていて、且つ(c)胃切除を経験している。いくつかの態様において、対象は、起こるべくして起こった高ガストリン血症である、腫瘍性高ガストリン血症であるか、又はプロトンポンプ阻害薬又はヒスタミン2受容体拮抗薬の投与などの酸抑制薬理学に関連する高ガストリン血症といった高ガストリン血症を患っている。いくつかの態様において、前記方法は、ガストリン又は受容体を標的とするガストリン作用物質と共に、同時、連続して、又は任意の順序でプロトンポンプ阻害薬又はヒスタミン2受容体拮抗薬を対象に投与することを更に含む。いくつかの態様において、前記方法は、作用物質に対して、同時に、連続して、又は任意の順序で別の骨粗鬆症処置を投与することを更に含む。
いくつかの実施形態において、治療を必要としている対象の高ガストリン血症に関連する骨疾患又は病態を治療するための方法は、治療上有効な量のガストリン受容体を標的とする作用物質の少なくとも1つの用量を対象に投与し、それにより、高ガストリン血症に関連する骨疾患又は病態を治療することを含む。
他の実施形態において、前記方法は、ガストリン受容体を標的とする作用物質の用量を静脈内に投与することを更に含む。
追加の実施形態において、前記方法は、経口的にガストリン受容体を標的とする作用物質の用量を投与することを更に含む。
いくつかの実施形態において、前記方法は、骨粗鬆症を特徴とする疾患又は病態を更に含む。
他の実施形態において、前記方法は、選択的CCK2受容体拮抗薬を投与することを更に含む。
追加の実施形態において、前記方法は、選択的CCK2受容体拮抗薬であるYF476を投与することを更に含む。
いくつかの実施形態において、前記方法は、卵巣機能低下又は卵巣不全の女性である対象を更に含む。他の実施形態において、前記方法は:(a)卵巣機能低下又は卵巣不全の女性であり、且つ(b)高ガストリン血症を患っている対象を更に含む。いくつかの実施形態において、前記方法は:(a)卵巣機能低下又は卵巣不全の女性であり、(b)高ガストリン血症を患っていて、且つ(c)胃切除を経験した対象を更に含む。
さらに別の実施形態において、高ガストリン血症は、腫瘍性高ガストリン血症又は酸抑制薬理学に関連する高ガストリン血症である。
他の実施形態において、前記方法は、治療上有効な量のプロトンポンプ阻害薬(PPI)又はヒスタミン2受容体(H2R)拮抗薬と共に、選択的にガストリン受容体を標的とする作用物質を同時に、連続して、又は任意の順序で投与することを更に含む。
さらに別の実施形態において、前記方法は、PPIがオメプラゾールであり、且つH2R拮抗薬がロキシチジン(loxtidine)である方法を更に含む。
他の実施形態において、前記方法は、0.2〜14μg/kg対象体重にて受容体を標的とするガストリン作用物質の治療上有効な量を投与することを更に含む。
追加の実施形態において、受容体を標的とするガストリン作用物質の治療上有効な量が10〜25ナノモルである。
いくつかの実施形態において、受容体を標的とするガストリン作用物質は、皮下注射によって対象に投与される。
追加の実施形態において、受容体を標的とするガストリン作用物質は、静脈内注射によって対象に投与される。
いくつかの実施形態において、受容体を標的とするガストリン作用物質は、20〜100mgの用量にて日用量錠剤として経口的に対象に投与される。
作用物質及び組成物、例えば医薬組成物、並びにガストリン及びガストリン受容体を標的とする作用物質、例えば拮抗薬を含んでいる作用物質や組成物などの、提供された方法に使用するためのキット、並びに斯かる対象への投与のための取扱説明書と共に上記のものを含んでいるキットもまた提供する。
図1は、骨再形成の調節物質を示す略図である。卵巣機能(及びエストロゲンの分泌)は、骨の維持にプラスに関連する。ビタミンDはこれを補うと考えられているが、低ビタミンDは骨粗鬆症に関連する一方で、ビタミンD受容体突然変異が増強された骨折の危険性に関係しないので、これは随伴現象である可能性がある。副甲状腺産生PTHは骨生理をマイナスに調整し、低レベルの循環カルシウムによって効果が増幅された。エストロゲンは、PTHのマイナス効果と拮抗する。胃ホルモンの役割は明らかになっていないが、胃の摘出が骨量減少を増強することが知られている。このことは、酸の喪失と結果的なカルシウム取り込みの減少を反映していると考えられる。
図2は、骨の生理学、並びに構造及び強度の測定を示す図示である。マイクロコンピュータ断層撮影(MicroCT)及び骨曲げ、並びにオスミウム取り込み及びPCRを、異なった動物モデルにおける骨動態と骨粗鬆症の特徴を評価するのに使用した。MicroCTは、骨梁及び皮質骨の両方の密度と体積を評価する。皮質骨の半径と円周の測定が実施され得る。連結密度、構造モデル指数(SMI)、並びに骨の剛性(構造に関するすべての基準)の計算ができる。慣性極モーメント(pMOI)、並びに骨折及び作業荷重は基礎的な骨強度も特定する。オスミウム取り込みは脂質生成の表現型の変化を特定するのに対して、PCRは骨活性化にかかわる転写産物の活性化を評価できる。
図3は、G細胞がカルシウムセンサーとして働くことを実証する一連のグラフ(3A〜3D)である。CaCl2(4mM)は、CaCl2が不在(3A)のとき観察されなかったカルシウム流入を刺激した(フローサイトメトリーを使用して計測した−FITCシフト:>5倍右方向)。ガストリン放出は、CaCl2用量依存的に刺激され(EC50=4.1mM、8倍)、そして、カルシウムチャンネル拮抗剤ニフェジピン(lμm)とのプレインキュベーション(10分)によって阻害された(3B)。このカルシウム媒介ガストリン分泌は、cAMP産生とは関連がなく(3C)、両方ともcAMP/MAPK媒介性ガストリン分泌に関連するPKA阻害剤H−89(l0μM)又はMAPK阻害剤PD98059(0.1μM)のどちらによって阻害されることがなかった(3D)。対照的に、ウォートマンニン(lnM)(PI3Kシグナル伝達の阻害剤)は、CaCl2媒介性ガストリン放出を有意に阻害した。これらの結果は、ガストリン分泌が路PI3Kシグナル伝達を介して変換入されるカルシウム感知機構に調整されたカルシウムチャンネルに連動していることを実証している。平均±SEM(n=4つの実験結果)。*非刺激細胞に対してp<0.05、WORT:ウォートマンニン。
図4は、G細胞機能のPTH刺激を実証する一連のグラフ(4A〜4D)である。PTHは、およそEC50=60nMの〜8倍、ガストリン放出を刺激し(4A)、その効果は、PKA阻害剤H−89(10μM)との10分間のプレインキュベーションによって阻害された(4B)。PTHはまた、cAMP産生を用量依存的に刺激し(E50=4nM、250%)(4C)、その応答はH−89(プレインキュベーション:10分−10μM)によって解消された(4D)。これらの結果は、ガストリン分泌がPTH受容体媒介性PKA活性化とcAMPシグナリングに連動していることを実証する。平均±SEM(n=4つの実験結果)。*非刺激細胞又はPTHのみに対してp<0.05。
図5はカルシトニンがG細胞機能を阻害することを実証する2つのグラフ(5A−5B)である。カルシトニンは、およそIC50=l.9nMでガストリン放出を阻害し(〜20%、5A)、その効果は、PKA阻害剤、H−89(10μM)とのプレインキュベーションによって解消された。カルシトニンは、用量依存的にcAMP産生を阻害した(I50=3.8nM、20%)(5B)。これらの結果は、ガストリン分泌がcAMPシグナリングのカルシトニン受容体媒介性PKA阻害に連動することを実証する。平均±SEM(n=4つの実験結果)。*非刺激に対してp<0.05、#カルシトニン媒介性阻害に対してp<0.05。
図6は、G細胞機能のエストロゲン阻害を実証する一連のグラフ(6A〜6C)である。G細胞は、ESRα転写産物を発現し(6A)、17β−エストラジオールは、cAMP合成(IC50=1.1×10-12M、−15%)及びガストリン放出(IC50=4.6×10-12M、〜20%)の両方を阻害する(6B)。加えて、このESRα作動薬とのプレインキュベーションは、MAPKのリン酸化を阻害した(75%、6C)。これらの結果は、ガストリン分泌がPKA/cAMP産生及びMAPKシグナルのエストロゲン受容体α媒介性阻害によって阻害されることを特定する。平均±SEM(n=4つの実験結果)。*17β−エストラジオール(1nM)のみに対してp<0.05。
図7は、G細胞調整のモデルである。食餌性カルシウムを含めた管腔作用物質は、ガストリン分泌をもたらすGαsに連結することを介してアデニル酸シクラーゼ(AC)の活性化によって直接的又は間接的にERKリン酸化を引き起こす。Gタンパク質結合PTH1受容体を介したPTHもまた、この経路を通じてガストリン放出を刺激する。ERKリン酸化は、食事によって直接的増強されるCa2+流入にプラスに影響し得る。L型カルシウムチャンネルは同様に、PKCの分泌路活性化を調整する。ガストリン分泌の阻害剤としては、cAMPとMAPK経路の両方を阻害するようにERαを活性化するカルシトニン(cAMPの阻害を介する)及びエストロゲンが挙げられる。AC:アデニル酸シクラーゼ;GAS:ガストリン;PDK:ホスホイノシチド依存性キナーゼ;PKA:タンパク質キナーゼA;破線は阻害を反映し、実線は刺激を反映する。
図8は、ヒトPTH分泌のガストリン刺激を示す2つのグラフ(8A〜8B)である。ガストリン(CCK2)及びヒスタミン(H1)の受容体が、臨床外科切除片から単離したPTH主細胞で発現されている(8A)。これらの細胞は、高レベルのPTH(3倍)を発現する(5A)。ガストリンは、PTH合成(EC50=10-9M、40%)と放出(EC50=4.2×10-10M、50%)を刺激した(8B)。これらの結果は、PTH合成及び分泌がガストリン受容体(CCK2)媒介性活性化に連動されていることを実証する。平均±SEM(n=4つの実験結果)。
図9は、ガストリンが甲状腺C細胞(MTC−SK)機能を刺激することを示す一連のグラフ(9A〜9D)である。ガストリン刺激されたcAMP産生(EC50=6.7×10-13M、〜5倍)は、選択的CCK2受容体拮抗薬、YF476によって解消された(9A)。YF476のみでは有意な効果が全くなかった。cAMPに対するガストリン刺激効果は、PKA阻害剤、H−89(l0μM)とのプレインキュベーションによって阻害される場合がある(9B)。カルシトニン分泌は、ガストリンによって用量依存的に影響を受け、効果はYF476によって解消された(9C)。ガストリン(0.1nM)はカルシトニン遺伝子転写を刺激し(〜3倍)、効果はH−89(10μM)とのプレインキュベーションによって解消した(9D)。CCK2受容体発現はH−89によって阻害されなかった(9D)。これらの結果は、カルシトニン合成及び放出がガストリン受容体(CCK2)媒介性PKA活性化とcAMPシグナリングによって調整されることを特定した。平均±SEM(n=4つの実験結果)。#非刺激に対してp<0.05、*ガストリン(0.1nM)のみに対してp<0.05。
図10は、PTH及びMTC−SKの合成及び分泌−共培養モデル系に対するガストリンの効果を示す図示(10A)、顕微写真(10B)及び一連のグラフ(10C〜10F)である。外科標本から単離されたヒトPTH細胞は、MTC−SK細胞株と共培養された。細胞位置と標的位置を詳しく述べる略図が10Aに含まれている一方で、顕微写真はこれらの細胞型のそれぞれの増殖を実証している(10B)。共培養系へのガストリンの添加は、PTH転写(〜75%、10C)と分泌(〜60%、10D)を有意に刺激した。これらの効果は、選択的CCK2受容体拮抗薬、YF476(l0nM)とのプレインキュベーション(10分)によって解消される場合がある。対照的に、ガストリンは、カルシトニン転写(基礎量まで−10E)と放出(〜70%−10F)の両方を阻害した。これらの結果は、モデル系におけるガストリンの主な作用が、PTHを刺激して、カルシトニンを阻害することであることを特定した。後者の効果は、単独培養(MTC−SK細胞のみ)実験におけるガストリンの刺激効果と対照的である。CON=対照、GAS=ガストリン(10-10M)、G+INH=ガストリン+YF476(10-11M)。PET=ポリエステル膜(0.4mm)。平均±SEM、n=3。*対照(非刺激)に対してp<0.05、**ガストリン(10-10M)に対してp<0.05。
図11は、単離された骨由来細胞及び骨におけるCCK2受容体発現を実証するグラフ(11A)及び一連の顕微写真(11B〜11H)である。CCK2受容体の転写レベルは、頭蓋冠骨芽細胞(OB)、hFOB細胞株(hFOB)、間充織幹細胞由来ヒト骨髄(BMMSCs)において特定した(11A)。免疫組織化学を使用して、特異的な免疫染色が骨端板(EP)並びに骨髄細胞(矢印)において同定された(11B、11C−100x倍率)。軟骨内骨化にかかわる細胞は、骨芽細胞がするように(11F)受容体を発現する(11D、E、F)。内骨膜(11G)を裏打ちするCCK2R陽性骨芽細胞、並びに治癒中の骨(11H)の徴候があった。本発明者らは、これらの結果が、CCK2Rが軟骨細胞、骨芽細胞、及び間葉骨髄細胞上で発現され、CCK2Rが骨化と骨治癒の調整にかかわることを示すと解釈する。受容体の標的化は、これらの現象を調整しそうである。CCK2R免疫染色=褐色の細胞(DAB)、対比染色=ヘマトキシリン。11D〜H:倍率=400x。
図12A及びBは、ヒト骨髄のサンプルにおけるガストリンCCK2の発現を示す写真(12A)及び配列分析(12B)である。標準的なPCRは、アテローム性動脈硬化誘発肢虚血(骨髄炎に関して証拠なし)(12A)による切断から得られた単離皮質骨髄サンプルにおいて〜320塩基対(矢印)のバンドを同定した。配列分析(BioEdit)では、正規のCCK2遺伝子との92%の相同性を特定した(12B)。
図12Cは、ヒト骨髄のサンプルにおけるガストリンCCK2の発現を示す写真(12C)である。ウエスタンブロットでは、試験された10個のサンプルにおいてCCK2の発現を確認した(矢印−50kD)(12C)。
図13は、骨由来細胞増殖に対するガストリン及びCCK2標的化の効果を実証する1組のグラフ(13A及び13B)である。ガストリンは、EC50=1〜2x10-11Mですべての細胞型においてBrdU取り込みを用量依存的に刺激した(13A)。これは、選択的CCK2受容体拮抗薬、YF476によって解消されず、そしてそれは、特にBMMSCsにおいて増殖を増大させるように見えた(13B)。平均±SEM(n=4つの実験結果)。*非刺激に対してp<0.05、#ガストリン(0.1nM)に対してp<0.05。
図14は、骨由来細胞の石灰化に対するガストリン及びCCK2標的化の効果を実証する1組のグラフ(14A及び14B)である。ガストリンは、IC50=3.2×10-11〜1.3×10-10Mですべての細胞型における骨石灰化(Ostemalgeを使用して計測する)を用量依存的に阻害した(14A)。これは、選択的CCK2受容体拮抗薬、YF476によって解消されず、そしてそれは、特に頭蓋冠骨芽細胞の石灰化を増大させた(14B)。平均±SEM(n=4つの実験結果)。*非刺激に対してp<0.05、#ガストリン(0.1nM)に対してp<0.05。
図15は、骨由来細胞の遺伝子発現に対するガストリン及びCCK2標的化の効果を実証する1組のグラフである。ガストリン(1nM)は、すべての細胞型で骨芽細胞分化遺伝子、アルカリホスファターゼ(ALKP)の発現を阻害した(上部列)。これは、選択的CCK2受容体拮抗薬、YF476(1nM)によって解消された。ガストリンはまた、骨芽細胞においてM−CSH及びRANKLも阻害し、そしてそれは、YF476によって正常化された(下部列)。平均±SEM(n=4つの実験結果)。*非刺激に対してp<0.05、#ガストリン(1nM)に対してp<0.05。
図16は、Mastomysモデルにおける循環ホルモンレベルに対する短期及び慢性の高ガストリン血症の影響を実証する。ガストリンレベルは、処置の8(〜2倍)及び16週間(〜3.5倍)の両方で有意に上昇した。エストロゲン(エストラジオール)は、短期及び長期の高ガストリン血症動物の両方で減少した(〜50%)。PTHは、8週間(〜75%)で有意に上昇したが、16週間(〜3倍)で有意に低減した。これらの結果は、インビボモデルにおける短期高ガストリン血症がPTH分泌の相反活性化を伴ってエストロゲン放出を阻害することを実証する。長期の高ガストリン血症もまた、エストラジオールの低減に関連するが、これは高PTHをもたらさない。後者に関する機構は知られていないが、長期のガストリン刺激に晒されたPTH腺におけるCCK2受容体又はそのシグナル応答の下方調節を反映する可能性がある。平均±SEM、*対照動物に対してp<0.05。#8週間の処理動物に対してp<0.05。CON=対照動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図17は、Mastomysモデルの胃におけるカルシウム軸関連受容体、PTH1R、ERα、及びCaSRの発現を示す1組のグラフ(17A及び17B)と写真(17C)である。標準(n=4)由来の胃粘膜のPCRとウエスタンブロット法結果を、それぞれ8(n=4)及び16週間(n=5)、ロキシチジンで処理された動物と比較した。基底部では、短期(8週間)及び長期(16週間)高ガストリン血症の両方が、HDCを有意に増強したが、それぞれPTH1R及びERα発現を減少させた(17A)。前庭部では、高ガストリン血症はガストリン転写産物の上昇並びにPTH1R、ERα、及びCaSR発現の有意な増大に関連していた(17B)。これらの効果は、長期の高ガストリン血症でより明白であった。RNA効果はタンパク質レベルで要約される(ウエスタンブロット−17C)。特に、PTH1R発現は、基底部(F)で減少したが、前庭部(A)で増強された−上部パネル。CaSRがそうであったように(下部パネル)、前庭部ERα発現は、16週間に上昇した(中央パネル)。これらの結果は、基底部と前庭部がカルシウム:骨軸に関連する受容体の異なる合成及び発現を伴って短期及び長期の高ガストリン血症に応答することを実証する。特に、機能的受容体は胃(基底部)のヒスタミン合成部分で下方制御されるが、これらはガストリンを分泌する(前庭部)胃で増強される。いくつかの態様において、これは前庭部とカルシウム感知G細胞の増感を反映する。平均±SEM、*対照(未処理)動物に対してp<0.05。CON=対照動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図18は、副甲状腺及び甲状腺におけるCCK2受容体発現を実証する。CCK2受容体の免疫染色では、副甲状腺内の副甲状腺細胞の大部分がCCK2陽性である(別々染色は膜結合型発現[矢印]と細胞核を反映する(18A))ことを同定した。甲状腺内では、CCK2抗体によって染色される個々のC細胞が同定される(染色は膜結合型発現[矢印]を反映する−18B、18C(下の2つの矢印))。対照的に、Mastomys甲状腺内の、浸潤免疫細胞はCCK2陰性である(上の3つの矢印、青い核のみ)(18C)。これらの結果は、PTHと甲状腺細胞の両方におけるCCK2受容体の膜発現を実証する。これは、これらの構造物から単離された細胞に対するガストリンの効果を示すインビトロでの結果と一致している。核染色=DAPI、他の染色=FITC標識されたCCK2。Abeam(ab14439、ウサギのポリクロナール、1:100希釈)製の抗体。
図19は、マイクロコンピュータ断層撮影(microCT)を使用して計測した短期及び慢性の高ガストリン血症動物モデルにおける骨梁骨の変化を示す。骨体積(19A)及び骨体積対骨梁体積の比(19B)は、短期及び長期の高ガストリン血症動物の両方で低減されたが、これは短期処理動物でより明白であった(50%対30%)。2つの密度、見掛け密度(19C)及び組織密度(19D)の計測は、両方のガストリン群で有意に低減された(〜100%)。連結密度(1単位体積あたりの骨梁数の計測)は長期の高ガストリン血症群で有意に減少した(〜60%)(19E)。短期のガストリンは、より多くの平状構造物(SMI0付近)からより多くの棒状構造物(SMI増加>1)への骨の転換に関係した(19F)。これは、長期の高ガストリン血症動物では明らかでなかった。これらの結果は、ガストリンがMastomysモデルの骨の表現型を有意に変更することを実証する。変更は「骨粗鬆症」の表現型と一致している。BV=骨体積、TV=骨梁体積、ConnDens=連結密度、SMI=構造モデル指数(ロッド:プレート構造の測定)。平均±SEM、*対照動物に対してp<0.05。CON=対照動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図20は、骨脂肪組織活性化に関するオスミウムベースの染色を示す一連の写真である。脂肪細胞は、オスミウムを溶かすので、骨内で容易に同定される。対照動物(右大腿骨、n=5、上部パネル)は、脛骨の骨端におけるオスミウム取り込みを主に呈した。短期の高ガストリン血症動物もまた、骨端におけるオスミウム取り込みを呈したが、骨幹端でもまた有意な取り込みが指摘された(n=5、下部パネル)。これらの結果は脂肪組織のガストリン活性化と「加齢」表現型と一致している。
図21は、骨石灰化と吸収窩のパターンを実証する対照、8週間及び16週間のロキシチジン処理Mastomys由来のトルイジンブルー、TRAP染色大腿骨を示す一連の顕微写真である。一態様において、ロキシチジン処理動物における変化は、骨石灰化の喪失と増強された再吸収作用−骨粗鬆症の表現型と一致した特徴を反映する。BM=骨石灰化、RC=吸収窩。
図22は、MastomysモデルにおけるmicroCTと骨破断の比較を示す一連のグラフ(22A〜22C)である。大腿骨は、servohydraulic試験装置(Instron model 8874)を使用して破損まで荷重をかけた(四点曲げ)。有意な相関関係(R2=0.86、p<0.01)は、骨の剛性と破壊荷重の間で指摘され、骨の剛性の増強がより高い破壊荷重を必要とすることを実証する(22A)。本発明者らは、骨梁及び皮質密度の両方に関して骨曲げとmicroCT測定との相関を評価した。これらは、骨梁密度が骨折に必要な力に逆相関(R2=−0.54)する一方で(22B)、皮質密度の増強がより高い破壊荷重に関連した(R2=0.71、22C)ことを特定した。これらの結果は、骨折に必要な機械力が骨構造及び密度に関連し、これらの2つのアプローチの組み合わせがこのモデルに関する生理学的な関連情報を提供することを実証する。N=7匹の動物、uCT=microCT。
図23は、Mastomysモデルにおけるガストリン媒介性変更をまとめたチャートである。対照(無処置、正常血清ガストリン動物)との比較では、短期ロキシチジン処置が、循環ガストリン及びPTHを上げたが、エストラジオールを減少させた。これは、減少した骨密度及び骨粗鬆症の表現型に関係していた。胃では、PTH1Rの発現が上方制御された一方で、ERαは減少した。カルシウム感知受容体(CaSR)における変化は検出不可能であった。対照との比較では、長期ロキシチジン処置は、循環ガストリンを上げたが、PTH並びにエストラジオールの両方を減少させた。これは、減少した骨密度及び骨粗鬆症の表現型に関係していた。胃において、PTH1R、ERα及びCaSRの発現は、カルシウム代謝表現型の活性化と一致して上方制御された。8wk=8週間のロキシチジン処置、16wk=16週間のロキシチジン処置、骨d=骨の密度測定法、Osteo=骨粗鬆症の表現型。
図24は、Mastomysモデルにおけるガストリン媒介性骨表現型変化の概要を示すチャートである。対照(無処置、正常血清ガストリン動物)との比較では、短期処理動物は、高い循環ガストリンとPTHを呈したが、エストラジオールは減少させた。これは、(低ねじり強度を有するもろい骨を含めた)減少している骨密度及び骨粗鬆症の表現型に関係していた。長期処理動物では、高循環ガストリンが指摘されたが、PTHとエストラジオールの両方が減少した。これは、減少した骨密度と、もろいが硬い骨を特徴とする骨粗鬆症の表現型に関係していた。pMOI=慣性極モーメント、PTH=副甲状腺ホルモン。
図25は、Mastomysモデルにおける短期及び慢性の高ガストリン血症媒介性循環PTHレベルに対する卵巣摘出の影響を示すグラフである。卵巣摘出はPTHレベルを〜100%増強した。短期の高ガストリン血症は同様にPTHレベルを上げた。これは、OVX/8週間処理動物において増強された(対照を300%超えた)。長期のガストリン処置は、〜60%までレベルを有意に低減した。卵巣摘出はこれを解消し、PTHレベルを正常化した。これらの結果は、PTH放出(エストロゲンの喪失と一致した)の卵巣摘出媒介性活性化すると確認し、これは、インビボモデルにおける短期の高ガストリン血症によって増幅される。長期の高ガストリン血症は、卵巣摘出動物でも見られる効果であるPTH放出を低減するように見える。機構は、長期のガストリン刺激に晒されたPTH腺ににおけるCCK2受容体又はそのシグナル応答の下方調節を反映し得る。斯かる効果はエストロゲンの喪失を乗り越え、ガストリンがPTH腺機能において役割を果たし得ることを示した。平均±SEM、*対照動物に対してp<0.05、#OVX単独に対してp<0.05。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図26は、正常及び高ガストリン血症のMastomys卵巣摘出モデルの胃における神経内分泌関連の転写産物の発現を示す一連のグラフ(26A〜26D)である。標準(n=11)由来の胃粘膜のPCR結果を、卵巣摘出(OVX;n=8)Mastomys(TOP)、並びにOVXの間、そして、短期(n=4)と長期(n=4)の高ガストリン血症OVX動物(BOTTOM)で比較した。卵巣摘出は、胃粘膜CgA(4倍)及びHDC(〜6倍)発現を有意に増強した(26A)。短期の高ガストリン血症も長期の高ガストリン血症もOVX媒介性CgA合成に対して追加効果がなかった(2.8〜4.2倍、4.3倍と比較して)(26B)。短期の高ガストリン血症は、ガストリン発現(〜40倍−26C)及びHDC(26D−40倍〜)を増強した。長期の高ガストリン血症は、ガストリン及びHDCの両方を増強したが、効果はECL細胞由来HDC発現(26D−45倍〜)に関して最も明白であった。これらの結果は、エストロゲンがHDCのECL細胞転写(そしてそれによるヒスタミン合成)を調整すること、そしてガストリン合成がエストロゲンによって同様に調整されることを確認する。循環ガストリンは発現がさらに上方制御される。平均±SEM、*非卵巣摘出動物に対してp<0.05。#OVXに対してp<0.05。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図27は、正常血清ガストリンMastomys卵巣摘出モデルの胃におけるカルシウム軸関連受容体、PTH1R、ERα、及びCaSRの発現を示すグラフである。標準からの胃粘膜PCRの結果が、卵巣摘出(OVX)Mastomysと比較した。卵巣摘出は、アンドロゲン受容体(〜6倍)の胃粘膜発現、並びに両エストロゲン受容体が増強された(ESR1及びESR2、両方〜4倍)。CaSR及びPTH1Rもまた、エストロゲンの喪失によって増強された(それぞれ5倍及び4倍)。これらの結果は、エストロゲンの喪失がカルシウム感知及び副甲状腺:卵巣軸に関連する転写産物の上方制御に関係することを確認する。循環ガストリンは発現がさらに上方制御される。平均±SEM、*非卵巣摘出動物に対してp<0.05。CON=疑似手術対照動物(n=11)、OVX=卵巣摘出(n=8)。AR=アンドロゲン受容体、ESR=エストロゲン受容体、CaSR=カルシウム感知受容体、PTH1R=副甲状腺1型受容体。
図28は、高ガストリン血症Mastomys卵巣摘出モデルの胃におけるカルシウム軸関連受容体、PTH1R、AR、ERα、及びCaSRの発現を示す一連のグラフ(28A〜E)である。OVX並びに短期(n=4)及び長期(n=4)の高ガストリン血症OVX動物からの胃粘膜PCRの結果。アンドロゲン受容体における卵巣摘出誘導性の上昇は、短期及び長期の高ガストリン血症動物の両方で正常化され(28A)、効果は短期の動物においてより明白であった。同様の結果は両エストロゲン受容体で指摘された(28B、C)。CaSR(28D)及びPTH1R(28E)の両方が高ガストリン血症によって有意に低減された。これらの結果は、胃粘膜において卵巣摘出によって上方制御されるカルシウム:骨軸に関連する受容体の発現が短期及び長期の高ガストリン血症の両方によって「正常化」することを特定する。これは、高ガストリン環境においてカルシウム感知を調整又は再調整する生理学的な試みを反映する。平均±SEM、*卵巣摘出動物に対してp<0.05、#短期の高ガストリン血症動物に対してp<0.05。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。AR=アンドロゲン受容体、ESR=エストロゲン受容体、CaSR=カルシウム感知受容体、PTH1R=副甲状腺1型受容体。
図29は、骨梁及び皮質骨のマイクロコンピュータ断層撮影(microCT)特徴を示す一連の画面例(29A〜H)である。卵巣摘出動物からの骨梁骨は、対照骨(29A)と比較して、有意な喪失を呈した(29B)。短期(29C)及び長期の(29D)高ガストリン血症の両方がこれを低減し、効果は長期の高ガストリン血症動物においてより明白であった。皮質骨では、卵巣摘出は、それぞれ正常、卵巣摘出(OVX)、並びに8及び16週間ロキシチジンで処理したOVX動物からの骨梁及び皮質骨の画像に関連していた。特に大腿骨の骨梁領域における骨喪失は、OVXに続いて指摘される。これは、いくつかの態様において、ガストリン上昇によって増強される。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図30A及びBは、正常及び高ガストリン血症Mastomys卵巣摘出モデルにおける骨梁及び皮質骨のMicroCT測定値を示す一連のグラフ(30A及びB)である。骨梁の密度は、正常動物(30A)と比較して、卵巣摘出によって有意に減少した(〜50%)。これは、長期の高ガストリン血症によって増幅された(85%)。骨梁体積もまた、卵巣摘出によって有意に低減させた(〜50%)(30B)。これは、長期の高ガストリン血症によって増幅された(〜70%)。皮質骨密度は卵巣摘出によって減少しなかったが、長期の高ガストリン血症動物において有意に低かった(〜5%、30C)。皮質体積は、卵巣摘出によって有意に低減させた(〜30%)(30D)。これは、短期の高ガストリン血症によって増幅された(〜30%)。これらの結果は、ガストリンが卵巣摘出モデルにおける骨量減少を増幅し、そして、microCT特徴の結果が骨粗鬆症の表現型と一致することを実証する。長期の高ガストリン血症の影響は、主に骨梁の変更に反映される。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図30C及びDは、正常及び高ガストリン血症Mastomys卵巣摘出モデルにおける骨梁及び皮質骨のMicroCT測定値を示す一連のグラフ(30C及びD)である。骨梁の密度は、正常動物(30A)と比較して、卵巣摘出によって有意に減少した(〜50%)。これは、長期の高ガストリン血症によって増幅された(85%)。骨梁体積もまた、卵巣摘出によって有意に低減させた(〜50%)(30B)。これは、長期の高ガストリン血症によって増幅された(〜70%)。皮質骨密度は卵巣摘出によって減少しなかったが、長期の高ガストリン血症動物において有意に低かった(〜5%、30C)。皮質体積は、卵巣摘出によって有意に低減させた(〜30%)(30D)。これは、短期の高ガストリン血症によって増幅された(〜30%)。これらの結果は、ガストリンが卵巣摘出モデルにおける骨量減少を増幅し、そして、microCT特徴の結果が骨粗鬆症の表現型と一致することを実証する。長期の高ガストリン血症の影響は、主に骨梁の変更に反映される。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図31A及びBは、正常及び高ガストリン血症Mastomys卵巣摘出モデルの皮質骨における骨内寸法及び骨膜寸法のMicroCT測定値を示す一連のグラフ(31A及びB)である。骨内膜半径は、正常動物と比較して、卵巣摘出(〜20%)で有意に減少した(31A)。これは、短期の高ガストリン血症によって有意に増幅された(30%)。骨内膜の円周もまた、卵巣摘出によって有意に減少させた(〜18%)(31B)。これは、短期の高ガストリン血症によって有意に増幅された(〜27%)。骨膜半径も同様に、卵巣摘出動物において低減され(〜20%、31C)、効果は短期の高ガストリン血症で有意に増幅した(〜30%)。骨膜円周もまた、卵巣摘出によって低減され(〜20%)、効果は、短期の高ガストリン血症によって増幅された(〜30%)(31D)。これらの結果は、ガストリンが皮質骨寸法を増幅し、効果が、短期の高ガストリン血症によって主に強調されたことを実証する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図31C及びDは、正常及び高ガストリン血症Mastomys卵巣摘出モデルの皮質骨における骨内寸法及び骨膜寸法のMicroCT測定値を示す一連のグラフ(31C及びD)である。骨内膜半径は、正常動物と比較して、卵巣摘出(〜20%)で有意に減少した(31A)。これは、短期の高ガストリン血症によって有意に増幅された(30%)。骨内膜の円周もまた、卵巣摘出によって有意に減少させた(〜18%)(31B)。これは、短期の高ガストリン血症によって有意に増幅された(〜27%)。骨膜半径も同様に、卵巣摘出動物において低減され(〜20%、31C)、効果は短期の高ガストリン血症で有意に増幅した(〜30%)。骨膜円周もまた、卵巣摘出によって低減され(〜20%)、効果は、短期の高ガストリン血症によって増幅された(〜30%)(31D)。これらの結果は、ガストリンが皮質骨寸法を増幅し、効果が、短期の高ガストリン血症によって主に強調されたことを実証する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図32は、骨石灰化と吸収窩のパターン、並びに破骨細胞の数と位置を同定する卵巣摘出Mastomys由来のトルイジンブルー、TRAP染色大腿骨を示す1対の顕微写真である。TRAP染色は赤色の細胞によって示され;破骨細胞は赤色染色された多核細胞(黄色い矢印)である。左パネル(100xの倍率)、右パネル(400xの倍率)。RC=吸収窩。
図33A及びBは、正常及びと高ガストリン血症Mastomys卵巣摘出モデル由来の大腿骨のインストロン4点曲げの結果を示す一連のグラフ(33A及びB)である。剛性は卵巣摘出によって増強され(〜15%)、効果は、長期の高ガストリン血症によって有意に増幅された(33A)。短期の高ガストリン血症は、正常レベルへの剛性の低下に関係していた。骨折までの最大荷重は卵巣摘出動物で有意に低かった(〜20%、〜33B)。高ガストリン血症はこれを変えることはなかったが、長期の高ガストリン血症動物は、短期の動物と比較して、骨折にはより大きな荷重が必要であった。破壊荷重は、卵巣摘出動物において同様に減少し(〜25%)、そして、ガストリンによって変更されなかった(33C)。長期の高ガストリン血症動物は、しかしながら、短期の高ガストリン血症動物に比べて破断するのにより大きな荷重を必要とする。骨折に必要な総作業量は、卵巣摘出動物で増強された(〜20%)(33D)。長期の高ガストリン血症は作業量を変更しなかったが、短期の高ガストリン血症動物由来の骨は破断するのに−50%少ない作業量が必要である。これらの結果は、卵巣摘出後の骨強度が短期のガストリン(もろい骨をもたらす)と長期のガストリン(硬い骨)によって異なる影響を受けたことを実証する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図33C及びDは、正常及びと高ガストリン血症Mastomys卵巣摘出モデル由来の大腿骨のインストロン4点曲げの結果を示す一連のグラフ(33C及びD)である。剛性は卵巣摘出によって増強され(〜15%)、効果は、長期の高ガストリン血症によって有意に増幅された(33A)。短期の高ガストリン血症は、正常レベルへの剛性の低下に関係していた。骨折までの最大荷重は卵巣摘出動物で有意に低かった(〜20%、〜33B)。高ガストリン血症はこれを変えることはなかったが、長期の高ガストリン血症動物は、短期の動物と比較して、骨折にはより大きな荷重が必要であった。破壊荷重は、卵巣摘出動物において同様に減少し(〜25%)、そして、ガストリンによって変更されなかった(33C)。長期の高ガストリン血症動物は、しかしながら、短期の高ガストリン血症動物に比べて破断するのにより大きな荷重を必要とする。骨折に必要な総作業量は、卵巣摘出動物で増強された(〜20%)(33D)。長期の高ガストリン血症は作業量を変更しなかったが、短期の高ガストリン血症動物由来の骨は破断するのに−50%少ない作業量が必要である。これらの結果は、卵巣摘出後の骨強度が短期のガストリン(もろい骨をもたらす)と長期のガストリン(硬い骨)によって異なる影響を受けたことを実証する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図34は、正常及びと高ガストリン血症Mastomys卵巣摘出モデルの骨の総合的な強度を示す一連のグラフ(34A〜E)である。慣性極モーメント(pMOI)は卵巣摘出動物で有意に低減されていた(25%、34A)。このねじり荷重破壊の計測は、短期の高ガストリン血症(〜50%)によって特に増幅された。pMOIは、剛性(R2=0.23−34B)、最大荷重(R2=0.33−34C)、及び破壊荷重(R2=0.3−34D)と有意に関連していた。総作業量は、pMOI(34E)と有意に関連しなかった。これらの結果は、卵巣摘出後の骨のねじり強度が減少し、そして、短期のガストリンがこのパラメーターを特に増幅することを確認する。剛性及び最大/破壊荷重との全体的な相関関係は、Mastomysに対する卵巣摘出の効果の反映である。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。
図35は、正常血清ガストリンMastomys卵巣摘出モデルの皮質由来骨髄における骨再形成関連転写物の発現を示す一連のグラフ(35A〜I)である。標準由来の骨髄細胞のPCRの結果を、卵巣摘出(OVX)Mastomysと比較した。卵巣摘出は、ALOX5(35A−炎症:〜20%)及びRUNX2(29B−骨芽細胞分化:〜100%−35B)の発現を有意に低減したが、TCF4(35C−TGFβ媒介性骨形成に関与)、IGF−1(35D−骨形成)、PTGS2(35E−炎症)又はRANKL(35F−骨量減少)では低減しなかった。増大は、CXCL12(35G−骨芽細胞活性化:〜20%)、PPARg(35H−脂肪細胞分化:〜60%)及びHIF−1a(35I−低酸素症媒介性骨損傷:〜250%)において指摘された。これらの結果は、エストロゲンの喪失が再形成と骨量減少に関連する骨髄由来転写産物の上方制御に関連することを確認する。平均±SEM、*非卵巣摘出動物に対するp<0.05。CON=疑似手術対照動物(n=11)、OVX=卵巣摘出(n=8)。
図36は、卵巣摘出Mastomysモデルにおけるガストリン媒介性骨表現型変化の概要を示すチャートである。卵巣摘出単独(減少したエストロゲン、高いPTH、及び骨粗鬆症の特徴、例えば硬く、もろい骨を有する正常血清ガストリン動物)との比較では、短期の高ガストリン血症動物は、低いねじり強度を有するよりもろい骨に関連した低下した皮質骨特徴を呈した。この表現型は、卵巣摘出のみよりさらに明白であった。長期の高ガストリン血症動物(正常なPTHを呈する)では、かなり硬い骨をもたらす骨梁骨損傷が指摘された。この表現型は、卵巣摘出のみよりさらに明白であった。pMOI=慣性極モーメント、PTH=副甲状腺ホルモン。
図37は、卵巣摘出マウスモデルにおける循環ホルモンレベルに対するガストリンノックアウト、ヒスチジンデカルボキシラーゼノックアウト又は二重ノックアウトの効果を示す一連のグラフである。エストロゲンレベルは、卵巣摘出によってすべての動物で有意に低減された〜50%。ガストリンレベルは、卵巣摘出によって影響を受けなかったが、HDC KO動物は、ガストリンKO又は二重KO動物のいずれかと比較して、〜3倍高いレベルで発現した。PTHは、ガストリンKO動物において有意に低減された(〜80%)。対照的に、HDC及び二重KO動物の両方において、レベルは、卵巣摘出後に有意に増強された(〜100%)。これらの結果は、エストロゲンの喪失がガストリンKO動物においてPTH放出を活性化しないことを実証する。これは、ガストリンが副甲状腺におけるエストロゲンの機能を修飾することを示す。平均±SEM、*非卵巣摘出動物に対してp<0.05。G=ガストリン KO、GH=ガストリン/HDC二重KO、H=HDC KO、KO=ノックアウト、N=卵巣摘出なし、O=卵巣摘出。
図38は、卵巣摘出マウスノックアウトモデルの胃における神経内分泌及びカルシウム感知受容体の発現を示す一連のグラフである。基底部では、ガストリンKOと卵巣摘出の組み合わせが、CCK2(ECL細胞ガストリン応答性:〜3倍)及びHDC(ECLヒスタミン合成:〜20倍)を有意に増強した。対照的に、卵巣摘出HDC KOマウスの基底部において、変化がないことが指摘された。前庭部では、CaSRは、卵巣摘出ガストリンKO動物において有意に低減されたが(〜60%)、CaSR(〜60%)並びにガストリン発現自体(〜70%)は両方とも卵巣摘出HDC KOマウスの前庭部において低減された。一態様において、これは、卵巣摘出を反映し、そして、エストロゲンの喪失は、ガストリンKO動物においてECL細胞を有意に活性化し、且つ、G細胞のカルシウム感知の応答を減少させる。HDC KO動物では、卵巣摘出の効果は前庭部に制限される。平均±SEM、*非卵巣摘出動物に対してp<0.05。G=ガストリン KO、H=HDC KO、KO=ノックアウト、N=卵巣摘出なし、O=卵巣摘出。
図39は、卵巣摘出マウスモデルの皮質及び骨梁の測定におけるMicroCT測定を示す一連のグラフ(39A〜F)である。ガストリンKO動物では、骨内膜の半径(39A)及び円周(39B)の両方が、卵巣摘出後に有意に増強された(〜30%)。これは、エストロゲンの喪失とガストリンの不存在の組み合わせが皮質骨の厚さを増強したことを反映する。これらの状況において、ガストリンの喪失は骨に対してマイナスに影響しない。HDC KO動物では、卵巣摘出は、皮質骨体積を有意に減少させたが(〜25%−39C)、より高いねじり強度を有する骨をもたらした(39D)。これは、ヒスタミンの喪失が骨に対するエストロゲン効果を悪化させることを確認する。二重KOはまた、骨梁の体積(〜50%−39E)及び皮質骨の体積(〜15%−39F)の減少に関連したが、これは有意な骨のもろさにつながらなかった。これは、骨の表現型におけるいくつかの変化があるが、ガストリンとヒスタミンの喪失の組み合わせは骨の生物学を有意に変更しないことを特定する。G=ガストリン KO、GH=ガストリン/HDC二重KO、H=HDC KO、N=卵巣摘出なし、O=卵巣摘出。
図40は、ノックアウトマウスの卵巣摘出モデルの皮質由来骨髄における骨再形成関連転写物の発現を示す一連のグラフ(40A〜D)である。非卵巣摘出由来の骨髄細胞のPCR結果を、卵巣摘出マウスと比較した。卵巣摘出は、ガストリンKO動物のみでALOX5(40A−炎症:〜100%)、CXCL12(40B−骨芽細胞活性化:〜70%)、HIF−1a(40C−低酸素症媒介性骨損傷:〜5倍)及びIGF−1(40D−骨形成:〜100%)の発現を有意に増強した。これらの結果は、エストロゲンとガストリンの喪失の組み合わせが再形成に関連する骨髄由来の転写産物の上方制御に関連すると示唆する。値は、非卵巣摘出動物において正常化された。平均±SEM、*非卵巣摘出動物に対してp<0.05。G=ガストリン KO、GH=ガストリン/HDC二重KO、H=HDC KO、N=卵巣摘出なし、O=卵巣摘出。
図41は、卵巣摘出マウスノックアウトモデルの骨における表現型変化の概要を示すチャートである。ガストリンノックアウト動物は、卵巣摘出後に、「骨減少促進(pro-osteopenic)」ホルモン環境(エストロゲンの喪失、高いPTH)にもかかわらず、骨内膜の特徴及び比較的正常な骨の表現型の増強を呈した。HDC KOマウスは、低い皮質体積を示したにもかかわらず、骨はより強かった。二重ノックアウトもまた、骨梁及び皮質の特徴においていくつかの変化を呈した−これらは変更された骨強度をもたらさなかった。卵巣機能及び高PTHの喪失にもかかわらず、組み合わせ喪失(ガストリンとヒスタミンの両方)は異常な骨の表現型をもたらさなかった。ガストリンの減少は、骨の表現型に保護的であるように見える。GAS=ガストリン、pMOI=慣性極モーメント、PTH=副甲状腺ホルモン。
図42は、対照、卵巣摘出、及びガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出CD−1マウスの骨梁骨におけるMicroCT測定値を示す一連のグラフである。BV/TV比、連結密度(Conn−Dens)、骨梁の数(TB.N)、骨表面及び密度はすべて、卵巣摘出によって有意に減少した。構造モデル指数(SMI)、骨梁の厚さ(Tb.Th)、及び骨梁の間隔(Tb.Sp)はすべて増大した。ガストリン拮抗薬処置は、骨梁の厚さと間隔以外のこれらの効果の大部分を解消した。これらの結果は、ガストリン受容体を選択的に阻害するが卵巣摘出モデルにおける骨量減少を改善し、正常表現型と一致したmicroCT特徴をもたらすことを実証する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、OVX+GA=ガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出動物。平均±SEM。*CONに対してp<0.05、**OVXのみに対してp<0.05。
図43は、対照、卵巣摘出、及びガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出CD−1マウスの皮質骨におけるMicroCT測定値を示す一連のグラフである。皮質密度と骨表面積(BS)は卵巣摘出によってすべて有意に減少した。皮質の厚さ(Ct.TH)は増大した。ガストリン拮抗薬処置は、密度に対する効果を解消したが、厚さを変更しなかった。これらの結果は、ガストリン受容体を選択的に阻害することが、卵巣摘出モデルにおける皮質密度喪失を回復させることを実証する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、OVX+GA=ガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出動物。平均±SEM。*CONに対してp<0.05、**OVXのみに対してp<0.05。
図44は、対照、無処置、及びガストリン拮抗薬で処理されたマウスにおける骨の総合的な強度を示す一連のグラフである。卵巣摘出は、剛性、降伏剛性(yield stiffness)、最大(max)荷重、及び破断のための破壊荷重を含めた骨強度を有意に減少させ、骨を破断するのに必要な総作業量を増大させた。ガストリン拮抗薬による処置は、荷重以外のこれらの効果を解消した。これらの結果は、卵巣摘出後の骨の強度が低減され、且つ、ガストリン受容体標的化がエストロゲン喪失媒介性作用を改善したことを確認する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。平均±SEM。*CONに対してp<0.05、**OVXのみに対してp<0.05。
図45は、対照、及びガストリン拮抗薬(OVX+GA)又はビヒクル(OVX)で処理された卵巣摘出CD−1マウス由来のトルイジンブルー、TRAP染色大腿骨を示す一連の顕微写真である。骨石灰化のパターン(BM:減少)、吸収窩(RC:増大)及び破骨細胞(染色された多核細胞(2つの矢印):増大)は、OVXによって影響を受けた。これらの効果は薬物療法によって解消された。一態様において、これは、低エストロゲンレベルにかかわらず、CCK2受容体標的化が骨の形態を正常化することを意味する。
図46は、卵巣摘出マウスモデルの循環ホルモンレベルに対するガストリン拮抗薬処置の効果を示す一連のグラフである。卵巣摘出によって、エストロゲンは有意に減少したのに対して、PTHとガストリンの両方は上昇した。ガストリン拮抗薬処置は、PTHに対して効果がなかったが、ガストリンレベルを正常化した。卵巣摘出は、3つの骨マーカー、PINP、CTX1、及びオステオカルシンのすべてを増強した。ガストリン拮抗薬は、これらの効果のそれぞれを阻害した。本発明者らは、これらの結果が、卵巣摘出によって産生された骨活性のマーカーがガストリン受容体標的化によって正常化されることを反映していると解釈する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、OVX+GA=ガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出動物。平均±SEM。*CONに対してp<0.05、**OVXのみに対してp<0.05。
図47は、対照、卵巣摘出、及びガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出CDラットの骨梁骨におけるMicroCT測定値を示す一連のグラフである。BV/TV比、骨梁の数(TB.N)、骨梁の厚さ(Tb.Th)、骨表面及び密度はすべて、卵巣摘出によって有意に減少した。構造モデル指数(SMI)、及び骨梁の間隔(Tb.Sp)はすべて増大した。ガストリン拮抗薬処置は、SMI以外のこれらの効果の大部分を解消した。これらの結果は、ガストリン受容体を選択的に阻害するが卵巣摘出モデルにおける骨量減少を改善し、CDラットの正常表現型と一致したmicroCT特徴をもたらすことを実証する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、OVX+GA=ガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出動物。平均±SEM。*CONに対してp<0.05、**OVXのみに対してp<0.05。
図48は、対照、卵巣摘出、及びガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出CDラットの皮質骨におけるMicroCT測定値を示す一連のグラフである。皮質密度と骨表面積(BS)、並びに慣性極モーメント(pMOI)は卵巣摘出によってすべて有意に減少した。ガストリン拮抗薬処置は、密度に対する効果を解消し、且つ、高いBV/TV比、並びに皮質の厚さ(Ct.TH)の両方に関係した。これらの結果は、ガストリン受容体を選択的に阻害することが、卵巣摘出モデルにおける皮質密度喪失を回復させることを実証する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、OVX+GA=ガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出動物。平均±SEM。*CONに対してp<0.05、**OVXのみに対してp<0.05。
図49は、対照、無処置、及びガストリン拮抗薬で処理されたラットにおける骨の総合的な強度を示す一連のグラフである。卵巣摘出は、剛性、降伏剛性(yield stiffness)、並びに破断のための破壊荷重を含めた骨強度を有意に減少させた。ガストリン拮抗薬による処置は、これらの効果を解消した。これらの結果は、卵巣摘出後の骨の強度が低減され、且つ、ガストリン受容体標的化がこれらのエストロゲン媒介性作用を改善したことを確認する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。平均±SEM。*CONに対してp<0.05、**OVXのみに対してp<0.05。
図50は、対照、及びガストリン拮抗薬(OVX+GA)又はビヒクル(OVX)で処理された卵巣摘出CDラット由来のトルイジンブルー、TRAP染色大腿骨を示す一連の顕微写真である。骨石灰化のパターン(可変的に減少)、吸収窩(RC)(増大)及び破骨細胞(染色された多核細胞(2つの矢印):増大)は、OVXによって影響を受けた。これらの効果は薬物療法によって解消された。一態様において、これは、低エストロゲンレベルにかかわらず、CCK2受容体標的化が骨の形態を正常化することを反映する。
図51は、卵巣摘出ラットモデルの循環ホルモンレベルに対するガストリン拮抗薬処置の効果を示す一連の顕微写真である。卵巣摘出によって、エストロゲンは有意に減少したのに対して、ガストリンは上昇した。ガストリン拮抗薬処置は、有意な効果がなかった。卵巣摘出は、PINP及びオステオカルシンを増強した。ガストリン拮抗薬は、これらの効果を阻害した。一態様において、これらの結果が、卵巣摘出によって産生された骨活性のマーカーがガストリン受容体標的化によって正常化されることを実証する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、OVX+GA=ガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出動物。平均±SEM。*CONに対してp<0.05、**OVXのみに対してp<0.05。
図52は、対照、卵巣摘出、及びガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出Mastomysの骨梁骨におけるMicroCT測定値を示す一連のグラフである。BV/TV比、骨梁の数(TB.N)、密度及び骨表面はすべて、卵巣摘出によって有意に減少したのに対して、構造モデル指数(SMI)及び骨梁の間隔(Tb.Sp)は増大した。ガストリン拮抗薬処置は、これらの効果を解消し、且つ、骨梁の厚さ(Tb.Th)の増大に関係した。これらの結果は、ガストリン受容体を選択的に阻害するが卵巣摘出モデルにおける骨量減少を改善し、Mastomysの正常表現型と一致したmicroCT特徴をもたらすことを実証する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、OVX+GA=ガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出動物。平均±SEM。*CONに対してp<0.05、**OVXのみに対してp<0.05。
図53は、対照、卵巣摘出、及びガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出Mastomysの皮質骨におけるMicroCT測定値を示す1組のグラフである。卵巣摘出によって有意に影響を受けたか、又はガストリン拮抗薬処置によって変更された計測カテゴリは存在しなかった。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、OVX+GA=ガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出動物。平均±SEM。
図54は、対照、無処置、及びガストリン拮抗薬で処理されたMastomysにおける骨の総合的な強度を示す1組のグラフである。卵巣摘出は、剛性、降伏剛性、並びに、最大及び破断のための破壊荷重を含めた骨強度を有意に減少させた。総作業量は増大した。ガストリン拮抗薬による処置は、これらの効果を解消した。これらの結果は、卵巣摘出後の骨の強度が低減され、且つ、ガストリン受容体標的化がこれらのエストロゲン媒介性作用を改善したことを確認する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、8wk=短期の高ガストリン血症、16wk=長期の高ガストリン血症。平均±SEM。*CONに対してp<0.05、**OVXのみに対してp<0.05。
図55は、対照、及びガストリン拮抗薬(OVX+GA)又はビヒクル(OVX)で処理された卵巣摘出Mastomys由来のトルイジンブルー、TRAP染色大腿骨を示す1組の顕微写真である。骨石灰化のパターン(BM:減少)、吸収窩(RC:増大)及び破骨細胞(染色された多核細胞(2つの矢印):増大)は、OVXによって影響を受けた。これらの効果は薬物療法によって解消された。本発明者らは、これは、低いエストロゲンレベル及び構成的ガストリン受容体活性化にかかわらず、CCK2受容体標的化が骨の形態を正常化することを反映していると解釈する。
図56は、卵巣摘出Mastomysモデルの循環ホルモンレベルに対するガストリン拮抗薬処置の効果を示す1組のグラフである。卵巣摘出によって、エストロゲンは有意に減少したのに対して、PTH及びガストリンが上昇した。ガストリン拮抗薬処置は、PTH及びガストリンに対する効果を解消した。卵巣摘出は、PINP、CTX−1、及びオステオカルシンを有意に増強した。ガストリン拮抗薬は、これらの効果を阻害した。本発明者らは、これらの結果が、卵巣摘出によって産生された骨活性のマーカーがガストリン受容体標的化によって正常化されることを反映していると解釈する。CON=対照動物、OVX=卵巣摘出動物、OVX+GA=ガストリン拮抗薬で処理された卵巣摘出動物。平均±SEM。*CONに対してp<0.05、**OVXのみに対してp<0.05。
図57は、本明細書中で実証された結果に基づく骨再形成の調整に関する統合モデルを示す。卵巣機能(及びエストロゲンの分泌)並びに副甲状腺PTH分泌の効果が、洞性ガストリン分泌G細胞によって調節されることは本明細書中に示されている。胃の主要なカルシウム感知細胞、及び胃でのPTHとエストロゲンの両方のシグナル伝達のための結びつきとして、骨再形成に対するマイナスの効果(破骨細胞活性化)によって、ガストリンは骨の表現型に関する中心的な調節因子である。これらの役割は、カルシトニン及び甲状腺によって変更され得、ECL細胞からのヒスタミン放出によって増幅され得る。濃灰色の線=促進作用、淡灰色の線=阻害作用。
図58は、身体におけるガストリン/CCK2受容体標的の分布を示す略図である。受容体は、甲状腺(副甲状腺を含む)、胃内、並びに骨で発現される。甲状腺では、CCK2は、カルシトニン分泌C細胞、並びに副甲状腺のPTH分泌細胞の両方で発現される。腸では、CCK2はヒスタミン分泌ECL細胞で発現されるのに対して、骨では、受容体発現が骨芽細胞及び骨前駆細胞を含めた複数の細胞に存在し得る。特異的拮抗薬を用いたガストリン/CCK2受容体標的化は、胃及び甲状腺/副甲状腺軸を介して直接的(骨)又は間接的に骨疾患、例えば骨粗鬆症を阻害する。PTH=副甲状腺。
詳細な説明
一実施形態によると、本願は、骨疾患又は病態の処置、安定化、及び/又は進行の予防のための新規手段を提供する。この新規手段は、ホルモンであるガストリンが直接的又は間接的に骨形成を調整し、従って、骨粗鬆症の変化と一致した結果的な骨の病態生理学を伴う骨量減少を促進するという知見によって支持される(図57を参照のこと)。
本願の一態様によると、CCK2受容体を標的としたガストリン拮抗薬を使用したこれらのガストリン効果の遮断が、骨粗鬆症を特徴とする骨疾患又は病態を呈している動物モデルに有益な効果があることがわかった。
従って、本願は、骨疾患又は病態を処置するための、ガストリン拮抗薬などのガストリン標的化作用物質(剤)、又はガストリン活性と拮抗する作用物質の使用に関する(図58を参照のこと)。
A.定義
「病態」という用語は、本明細書中で使用される場合、概して、健康状態における疾患、事象、又は変化を指す。
「骨疾患又は病態」という用語は、本明細書中で使用される場合、骨質量及び/又は骨成長を増強することによって処置できる骨の異常に関連する疾患又は病態を指す。例えば、骨疾患又は病態としては:一次骨粗鬆症;二次骨粗鬆症;骨形成不全症;骨形成異常症;骨減少症;パジェット病;骨転移、放射線治療法、又は化学療法によって生じる溶骨性病巣;歯周病;歯槽骨の消失;動かないことによる骨量減少又は性ホルモン欠乏症;転移癌による骨量減少;炎症性疾患を原因とする骨及び軟骨の喪失;骨関節炎;骨切除術による骨量減少;幼児期特発性骨量減少;背骨の湾曲;及び骨折を挙げることもできる。骨疾患又は病態は、高ガストリン血症に関連する骨疾患又は病態であってもよい。骨疾患又は病態はまた、以下の段落に記載の特異的な状況を有する対象によって呈されてもよい。
「対象」という用語は、本明細書中で使用される場合、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。例えば、これらの対象は:i)高齢者(男性又は女性);ii)卵巣機能低下又は不全の女性;iii)高ガストリン血症を患っている個人であって、天然型(腫瘍性又は胃粘膜萎縮に関連する)の高ガストリン血症を患っている個人か、又はiv)酸抑制薬物療法(すべてのプロトンポンプ阻害薬又はすべての短期若しくは長期作用性ヒスタミン2受容体拮抗薬を含めた作用物質の類)の使用の因果関係として高ガストリン血症を患っている個人、或いはv)胃切除を受けた個人の対象を含み得る。斯かるすべての場合では、骨疾患又は病態は、これらの対象においてガストリン標的化作用物質の類を使用することによって改善され得る。例えば、ガストリン標的化作用物質の類とは、CCK2受容体標的化ガストリン拮抗薬である。
「ガストリン標的化作用物質(剤)」という用語は、本明細書中で使用される場合、ガストリン標的化又はガストリン受容体標的化作用物質などのガストリン拮抗薬、並びにガストリン又はガストリン受容体拮抗薬、例えばCCK2受容体を標的とする作用物質(剤)を意味する。
「治療上有効な量」という用語は、本明細書中で使用される場合、骨疾患又は病態を処理する、影響を改善する、若しくは予防する目的を達する、或いは骨疾患又は病態の重症度及び発生の頻度を改善する、本願に記載のガストリン標的化作用物質の量を意味する。骨疾患又は病態の重症度の改善としては、疾患又は病態の回復、並びに疾患又は病態の進行の減速が挙げられる。
「処置する」又は「処置」という用語は、本明細書中で使用される場合、本明細書中に記載の疾患又は病態の、又は疾患若しくは障害又は病態に関連する1若しくは複数の症状の進行、発生、発症、又は重症度を緩和するか、停止を引き起こすか、又は延期若しくは低減するか、或いは、既存の制御不能若しくは好ましくない症状を改善するか、追加の症状を予防するか、又は症状の基本的な代謝的原因を改善若しくは予防することを意味する。よって、前記用語は、疾患若しくは症状を患っている対象、又は斯かる疾患若しくは症状を発症する可能性がある対象に対して有益な結果を与えることを意味する。応答は、対象が、疾患、病態、又は病気の1若しくは複数の標徴若しくは症状の部分的若しくは全体的な緩和又は低減、例えば、これだけに限定されるものではないが、骨喪失の回復若しくは予防、骨量の低下の回復若しくは予防、骨折若しくはそのリスクの回復若しくは予防、骨密度の増大若しくは減少の予防、骨再形成の増大、骨再吸収の減少、及び/又は骨再生を経験するときに達成される。
当然のことながら、本明細書中に挙げられた数値に関して「約」という用語の使用では、挙げられた値のプラス又はマイナス10パーセント以内で(単数若しくは複数の)挙げられた数値を含む。
当然のことながら、本明細書中において数値範囲を表すときに「〜(between)」という用語の使用では、該範囲の各終点の数値を組み込む。例えば、長さが10塩基対〜20塩基対の核酸配列は、長さが10塩基対の核酸配列と長さが20塩基対の核酸配列を含む。
B.カルシウム感知と骨疾患におけるG細胞とガストリンの役割
骨量減少と骨折の高いリスクを特徴とする骨粗鬆症は、特に高齢所において、最も一般的な疾患の1つであり、世界中で約1億人が罹患していると推測されている。卵巣不全と骨の脱塩はこの疾患における主な要因として十分に認識されているが、正確な病因は十分に解明されていないままである。図1に関して、骨再形成の既知のホルモン及びミネラル調節物質が示されている。
通常の状況下で、骨再形成は、強度とミネラルの恒常性(特にカルシウム)を維持するために生理学的又は機械的な応答として起こる。これらは、骨芽細胞及び破骨細胞活性によって影響を受ける形成と再吸収の相互関連現象にかかわる。一般的に、これは、破骨細胞前駆体活性化、活性な再吸収作用、再吸収作用の回復、そして、新生骨形成を含む4つの工程にかかわる。最初の2つの工程に2〜4週間かかり、最終工程は完了まで4〜6カ月かかる。
骨再形成は、閉経期前後及び閉経後初期の女性において増加し、その後、更なる加齢とともに遅くなるが、閉経前の女性よりは速い速度で続く。骨再形成はまた、高齢の男性においても増強されると考えられる。
図2に関して、皮質骨は、緻密であり、且つ、固形物であり、髄空間を囲む。それには、外側の骨膜表面と内側の骨内膜表面がある。それは骨梁骨に比べて概して代謝的に活性ではない。骨膜表面活性度は、付加成長と骨折修復に重要である。骨内膜の表面は、骨膜の表面より高い再形成活性を有するが、恐らく、よりすばらしい生体動態傾向、又は隣接する骨髄区画からのシグナリングにより多く晒されている結果である。
増強された皮質の再形成は、皮質の多孔度の増大と皮質骨質量の減少を引き起こす。骨再吸収は、骨内膜表面で一般的に骨形成を超えている一方で、骨形成は骨膜の表面で一般的に骨再吸収を超えている。
骨梁骨は、骨髄区画に点在した骨梁のプレートとロッドのハニカム様ネットワークで構成される。それは皮質骨より代謝的に活性である。この骨タイプにおける代謝回転は、無機質代謝と機械的強度の維持のために最も重要に見える。
骨再形成の生物学は、複雑であり、活性化因子、例えば、PTH、エストロゲン、増殖因子及び炎症性サイトカイン、並びに食事性摂取、例えばカルシウムとビタミンDの範囲にかかわる。これは、管理のために現在利用可能な治療法に関する幅広い観点の発生に通じた。これらは、スタチン、繊維芽細胞増殖因子−1、又は副甲状腺ホルモン(PTH)自体の使用に対して、ホルモン補充療法、ビスホスホナート、カルシウムとビタミンDが多い食事を含む。
PTHは、骨のリザーバから再吸収作用のプロセスでCa2+の放出を高めるので、骨代謝の重要な調節物質であると見なされる。しかしながら、破骨細胞がPTH受容体を有していないので、PTHの影響は間接的である。PTHは代わりに骨芽細胞に結合し、RANKLの発現をもたらす。RANKLは、受容体RANKを介して、融合するように破骨細胞前駆体細胞を活性化し、そして、骨再吸収に関与する新しい破骨細胞を形成する。
骨粗鬆症におけるPTHの役割を補助する徴候が、若年成人より高齢者においてPTH値が高いと報告するいくつかの試験によってもたらされた。減少した腎臓機能、恐らく食べる動機の喪失によるカルシウム(Ca2+)のそれほど効果的でない腸吸収、PTHのカルシウム血症作用への抵抗性、ビタミンD機能不全、及びより特に、高齢者で注目される高い胃pHを含めたより高いPTH値に貢献するように、多くの因子が提案された。
後者は、胃pHの付随する上昇を伴う壁細胞質量の喪失(粘膜の萎縮)、並びに前庭部神経内分泌G細胞からの増強されたガストリン分泌の両方を反映する。
胃粘膜の構造及び機能における加齢性変化は、高齢者の胃腸病学的な病訴で主要な問題であると見なされ、薬剤に対する感受性増大、出血、及び適切なCa2+と鉄の吸収の欠陥に関与する。
Ca2+/PTH/ビタミンD軸は、血中リン値の付随する増大なしに血清Ca2+を増強するように副甲状腺、腎臓、骨、及び胃腸管の機能を調整することによって全身的なCa2+恒常性を維持すると考えられている。この軸は、骨格からのCa2+動員、腎臓によるCa2+の保存、及び胃腸のCa2+吸収の増強によって、低カルシウム血症から保護するように主に設計されている。
血清Ca2+濃度の低下に対応して、副甲状腺のカルシウム感知受容体(CaSR)はPTH分泌を増強する一方で、腎臓のCasRは、腎のCa2+排泄を低減する。しかしながら、カルシウム感知は、副甲状腺に限定されず、そして、CaSRは、ガストリン産生前庭部G細胞を含めた他のさまざまな細胞型に存在する。その胃での配置が与えられたこの神経内分泌細胞は、食事のCa2+摂取を感知し、応答するように独特に配置される。
CaSRは、全身的なカルシウム恒常性を維持するために細胞外のCa2+濃度の変化を検出し、そして、適応ホルモン及びイオン輸送応答を開始する。副甲状腺、甲状腺C細胞、及び腎臓は、現在、CaSR発現の生理学的に関連する部位を表すと見なされている。一般に、低い(<1mM)循環細胞外Ca2+は、副甲状腺細胞からのPTH分泌のための主要な刺激である。より高い濃度にて、Ca2+は、PTH合成、CaSRリン酸化による分泌、並びにその後の不活性化を阻害する。
CaSRはまた、ヒツジ傍濾胞C細胞及び甲状腺髄様癌腫(MTC)細胞株TTでも同定された。後者はCa2+に対してカルシトニン分泌という形で応答する。
CaSRは骨芽細胞と破骨細胞で同定されたが、これらの細胞において極めて低レベルでしか発現されていないので、Ca2+感知のための生理学的役割は不明瞭である。骨細胞とは対照的に、生理学的に関連するCaSRは胃で同定された。CaSRは、最近、ヒト前庭部G細胞とCa2+濃度>2mMにおける機能からクローン化され、そして、配列決定された。
以下のサブセクション(1〜8)は、実施例において本明細書中で実証された試験の概要と考察を提供する。これらのサブセクションはさらに、実施例を更に示すために提供されるが、そこに含まれた結果及び結論を限定することを意図したものではない。
1.単離したG細胞の研究
Ca2+センサーとしてのG細胞の生理学的役割が、本明細書中で実証されている(実施例1、図3を参照のこと)。一般に、食物中に摂取されたカルシウム(1〜10mM)は、ガストリン放出を刺激する。機械学的に、細胞外Ca2+は、カルシウム誘発経路によってガストリン放出を活性化する胃のCaSRによって溶かされる。本明細書中に実証された結果は、腸/副甲状腺カルシウム恒常性における重要な神経内分泌細胞としてG細胞をさらに認識する。
G細胞のPTH受容体の存在、及びcAMP活性化に続くPTH媒介性ガストリン放出を確認するために、調査が行われた(図4を参照のこと)。これらの調査は他の試験によって支持されている。例えば、PTH点滴(40ユニット/20分)は、麻酔下のブタにおいて全身的な高カルシウム血症の誘発なしで前庭部及び混合静脈血中の両方のガストリンレベルを増強した。そのうえ、天然ウシPTH及び合成ヒト1−34PTH(0.02〜4U/分)は、若い麻酔下のブタにおいて、急速(10〜30分以内)且つ明白な(約10倍)ガストリン放出の増大を生じる。
試験はまた、17−エストラジオール(ESRα作動薬)がガストリン放出を阻害したことを示すために、単離されたガストリン細胞においても行われた(図6を参照のこと)。エストロゲンの非ゲノム標的効果は、乳房組織などの他の細胞型でも十分に定義された。これらの効果(ERα媒介性MAPKシグナリング)はまた、エストロゲンがガストリン分泌の強力な阻害剤である、G細胞においても明白である。
この情報は、更年期の状況と一致するエストロゲン環境を変更することがG細胞機能(シグナル伝達と分泌)大きく変更又は刺激することを示している。これは、増強されたG細胞機能及び高PTHを含めた環境の存在に関する加齢ラットにおける先の報告と一致している。骨粗鬆症の発生に関連する場合、この組み合わせは十分に納得できる。
追加のインビトロ試験では、ガストリン分泌がヒスタミン及びセロトニンの腸産生によって調節され得ることを特定した。骨格系の調節におけるヒスタミンの役割の提案はあいまいな情報に関連する。肥満細胞症及びアレルギー疾患における過剰なヒスタミン放出は骨粗鬆症の発生につながる可能性がある。対照的に、ヒスタミンは、破骨細胞前駆体及び破骨細胞を通じて直接的に、そして、骨芽細胞におけるRANKL(破骨細胞活性化受容体)の発現を増強することによって間接的に骨再吸収を増強する。加えて、インインビボ研究において、H1及びH2受容体拮抗薬は骨組織への防御効果を発揮するが、これはすべての実験モデルで一貫して再現されるわけではない。それにもかかわらず、ヒスタミンはエクスビボ並びにインビトロの両方でガストリン放出を調整する。
骨代謝におけるセロトニンの役割は完全に明らかになっているわけではない。セロトニンの注射は、セロトニン媒介性骨芽細胞(これらの細胞は5−HT2受容体を発現する)の増殖を介してラットにおいて骨ミネラル濃度を増強する。動物モデルでは、セロトニンは、Lrp5依存様式で骨形成を阻害すると思われた。Lrp5は、律速セロトニン合成酵素であるトリプトファンヒドロキシラーゼ1(Tph1)の阻害によってセロトニン産生を抑制する。しかしながら、臨床試験では、LRP5突然変異はセロトニン循環の変化に関連がなく、そして、患者は高い骨質量を呈する。セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、骨芽細胞増殖に関連するが、中年女性におけるSSRIの使用は、骨量減少の速度増大に関係しなかった。加えて、類癌腫症候群における高い循環セロトニンは、臨床的に有意な低い骨密度、より乏しい骨構造、又は低い骨形成マーカーに関係しなかった。セロトニンのどの効果もG細胞を介していなかったが;ガストリン放出は5−HT3受容体によって刺激される。そのため、アミンはG細胞における活性を通じて骨形成を調節し得る。
本明細書中に提示されたデータ及び観察、例えば、管腔カルシウム感知受容体の存在、副甲状腺及び甲状腺の機能性調節、並びにビタミンDのための受容体の選択的発現、そして、アミン作動性受容体発現(ヒスタミンとセロトニンによってプラスに調整される)をまとめて評価すると、腸/副甲状腺カルシウム恒常性軸における重要な神経内分泌細胞としてG細胞が同定される。
2.ガストリン標的試験(インビトロ)
本明細書中で実証された試験は、細胞が潜在的なガストリン標的になり得ることを調査した。さらに、これらの試験は、ガストリン細胞がガストリン放出によってカルシウム恒常性軸を調整できるか調べた(実施例2を参照のこと)。
PTH主細胞内のCCK2受容体の存在は明らかでなかったが、多くの生理学的研究で示唆された。ウシ単離副甲状腺細胞において、高濃縮(>1μM)のガストリンが、PTH放出の必要な前提条件であるcAMP蓄積を増強した(〜50%の実験において40〜60%)。
鳥類のモデルもまたこの観察を支持した。ニワトリにおける高ガストリン血症の誘導(5週間、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、オメプラゾールを使用した(400μM/kg/日))は、PTH腺のサイズとPTH転写の増大をもたらした。これらの効果は、ガストリン注射(連続、3週間、5nmol/kg/時間)によって繰り返された。
本明細書中で記載した試験は、(ヒト外科標本から)単離したヒトPTH主細胞でのガストリン/CCK2受容体の発現、そして、ガストリンがヒトPTH合成及び放出に対して刺激効果を有することを実証した(図8を参照のこと)。従って、副甲状腺細胞がガストリン標的であることが本明細書中で実証された。PTHがガストリン放出を刺激するので(図4を参照のこと)、副甲状腺(PTH)分泌を活性化することで、(G細胞からPTHへの)正方向送り促進型ループを指摘した。促進型ヒスタミンH1受容体の発現もまた、本明細書中で発表された試験においてこれらの細胞で同定された。
促進型ヒスタミンH1受容体の発現はまた、G細胞でも同定された。ヒスタミンは、標準及び過形成性PTH腺におけるcAMP産生及びPTH分泌の既知の活性化因子である。C細胞及びC細胞由来腫瘍(甲状腺髄様癌腫)は、ガストリン/CCK2受容体を発現する。加えて、ガストリンは、ヒト甲状腺スライスにおいてcAMP産生とカルシトニン放出を誘発する。
3.骨における機能的なガストリン標的の識別
骨自体に対するガストリンの直接作用を評価するために、骨細胞におけるガストリン受容体の存在、及びガストリンが骨由来細胞に対して効果を有するかどうかが評価された(実施例3を参照のこと)。
ガストリンの効果は3つの異なったモデル、1)マウス頭蓋冠骨芽細胞;2)ヒト胎児の骨芽細胞株、hFOB1.19;3)ヒト骨髄由来間充織幹細胞(BMMSC)で調べられた。頭蓋冠骨芽細胞は、増殖、石灰化、及び細胞シグナル伝達を含めた骨芽細胞機能を試験するための既知のモデルである。hFOBは、正常なヒト骨芽細胞の分化、骨芽細胞の生理学、並びに骨芽細胞の機能と分化に対するホルモン、増殖因子及び他のサイトカイン作用を試験するためのモデルとして使用される、SV40ラージT抗原で形質移入されたヒト細胞株である。BMMSCは、骨芽細胞及び軟骨細胞を含めた組織再生に必要なさまざまな細胞型に分化でき、加齢性骨関節炎における病理学的役割を担っていると思われる多分化能骨髄間質細胞である。
本明細書中で実証された結果は、骨内の複数の細胞型がガストリンによって活性化/調整され得ることを示している。ガストリンを含んでいる循環血液は骨髄を通して浸出するので、循環ガストリンレベルの変化が、CCK2受容体を発現するあらゆる骨由来細胞にも生物学的に関連する。
ガストリンは既知の増殖性調節物質であるので、3つの異なる細胞モデルの増殖(BrdU取り込み)に対するガストリンの効果もまた試験された。結果は特に、ガストリンは骨芽細胞とBMMSCsの増殖を刺激し、そしてそれは選択的ガストリン拮抗薬(GA)によって解消されないことを実証した。結果は、ガストリンが石灰化の喪失を伴う骨芽細胞の脱分化を引き起こすことをさらに示す。GA拮抗薬は増殖を低減しないが、骨表現型を維持する。本明細書中で実証された結果によって、ガストリンが、2つのレベル:骨芽細胞及び骨髄由来幹細胞、で直接的に骨細胞機能に影響を与え、そして多分、軟骨細胞挙動の調整を通して成長板に影響を与えることが示された。
4.ガストリン試験:G細胞機能に対するプロトンポンプ阻害薬の効果
ガストリン分泌は、酸分泌壁細胞の喪失による長期間の高い胃pHに関連する骨粗鬆症に関連する経年変化の2つの態様−加齢及び胃粘膜の萎縮−によって調整される動的な生理反応である。循環ガストリンのレベル上昇をもたらす長期的な胃pHの上昇もまた、長期PPI又はH2受容体拮抗薬用法に関連する。これらの作用物質は、消化不良の胃症状又は胃食道逆流症を治療するのに使用されることも多く、その両方が特に高齢女性集団に関連する。
酸性の胃環境(低い胃pH)もまた、GI管によって最適に吸収されるイオン化カルシウムの産生を容易にするために重要である。
ヒトでは、胃切除術(酸不足)及び悪性貧血(低酸性状態での最終的な壁細胞の喪失)の両方が、骨減少症と骨折の高いリスクに結び付くとよく記録されている。胃切除術は通例、胃酸の有意な下降を伴う酸分泌細胞の切除を含むが、悪性貧血は(酸を生じる)壁細胞、高い胃pH(>4)の喪失に関連するが、胃は基底部(ECL細胞)と前庭部(ガストリン細胞)の両方で機能的な神経内分泌細胞を保有する。
高い胃pH及び高いガストリンレベルはまた、高齢の胃及び長期PPI用法の両方で起こる。PPIは、骨再吸収の増大と骨折のリスクに関係している。G細胞機能及びガストリン分泌に対する酸阻害(高い胃pH)の役割が、本明細書中で実証される(実施例4を参照のこと)。結果は、いくつかある徴候の中でも、高い胃pHがG細胞機能に有意に影響することを示す。特に、G細胞のCa2+感知活性及び生理学的調節に対する応答は影響を受ける。
5.骨動態に対する酸遮断の効果:Mastomys高血清ガストリンモデル
PPIなどの強力な酸抑制薬物療法の出現は酸関連疾患の管理に変革をもたらした。何百万人ものヒトが連続して又は長期的にこれらの薬物療法を使用する。
特に、低いPPIクリアランスを呈し、且つ、ヘリコバクターピロリ感染のより高い有病率も有する高齢者集団の中での、顕著な低酸症(高い胃pH)は、カルシウム吸収不全をもたらすことが周知である。これは、PPI治療法が不溶性カルシウム吸収と骨密度の両方を減少させることを示した多くの試験によって支持されている。そのため、股関節骨折の有意なリスク増加は、特に高用量PPIの長期ユーザーの間で、長期PPI治療法に関連する。
PPIに関する前述の問題を考慮する場合、本明細書中で実証された結果は、Mastomysモデルの胃、循環ホルモン、副甲状腺、並びに骨の生理学に対する胃酸抑制の効果を調査する(実施例5を参照のこと)。結果は、いくつかある徴候の中でも、酸抑制薬物療法によって引き起こされた高ガストリン血症が、骨粗鬆症と一致した形態学的な外観に類似する骨の変更に関連することを確認する。
6.卵巣摘出Mastomysの骨動態に対する酸遮断の効果
骨研究のための「閉経後」表現型を作り出すためにMastomysモデルに対して卵巣摘出を実施した。エストロゲン喪失がG細胞を調整することは本明細書中で示されているので、骨の表現型に対するエストロゲン喪失の特別な役割が評価された(実施例6を参照のこと)。結果は、いくつかある徴候の中でも、循環ガストリンレベルがエストロゲン喪失媒介性骨変化を増幅することを支持する。
7.胃の神経内分泌機能と骨動態に対する効果:(卵巣摘出及び非卵巣摘出)遺伝子ノックアウトマウスモデル
ラットでは、胃切除術(前庭部G細胞及び基底部ヒスタミン分泌ECL細胞の両方を含む胃全体の除去)又はPPI(例えば、オメプラゾール)の使用が、リン酸カルシウムの吸収不全、欠陥的な骨ミネラル濃度、及び骨減少症につながる。さらなる観察では、ガストリン−17の点滴がラットの低カルシウム血症を引き起こすということである。
実験動物では、(神経内分泌細胞の分泌を変更する)部分的及び全体的な胃切除術、並びに胃の迷走神経切断(全体/選択的など)が、細胞外ミネラルの恒常性に影響を与え、そして、後期続発症として骨減少症をもたらす。
迷走神経切断後の基礎となる機構又は胃切除後の骨減少症は未知である。おそらく、それらは、例えばヒスタミンによる、PTH/Ca2+軸又は骨の機能に対するガストリンの直接効果、或いは間接効果のいずれかを反映する。注目すべきは、同側性迷走神経切断が、肺癌に関連する肺性過形成性骨関節症(HPOA)に効いているという観察である。同様に、侵襲性尖状腫瘍性肺損傷(パンコースト症候群)によって引き起こされた迷走神経切断が、腕の同側性骨変化に関連する。
ヒスタミンは、胃基底部の腸クロム親和性細胞様細胞(ECL)によって分泌され、そして、その分泌が循環ガストリンによって主に駆動されるので、ヒスタミンが酸分泌の主な調節物質である。酸分泌(胃基底部)粘液のECL細胞は、局在化された「閉鎖型」内分泌細胞である−すなわち、それは胃管腔に近づく手段を持たず、またそのため、直接的食餌性カルシウムに応答しない。
ECL細胞の分泌産物としては、ヒスタミン、クロモグラニンA及びパンクレアスタチン、並びにカルシウム結合タンパク質、カルビンジンが挙げられる。ECL細胞は、ガストリン及びヒスタミン受容体を発現し、隣接する壁細胞媒介性酸(HCL)分泌を調整するために(ヒスタミンの分泌による)ガストリンシグナルを変換するように主に機能する。
ヒスタミン自体は、骨細胞機能に対して独立して効果を呈することが実証された。しかしながら、試験では、ヒスタミンが保護的又は骨減少的であるかに関してあいまいである。肥満細胞症及びアレルギー疾患における過剰なヒスタミン放出が骨粗鬆症の発生に関連することが指摘された。これは、ヒスタミンが骨再形成において負の役割を担っていることを示す。この示唆に関する更なる支持は、ECL細胞を含む胃の酸産生部分(酸分泌又は基底部粘液)の外科切除がラットの骨質量を低減するという観察によって提供される。これらの観察はインビトロ研究でさらに支持される。これにより、ヒスタミンH1-3受容体を発現する骨芽MC3T3−El(El)細胞では、ヒスタミンがRANKL転写産物の発現とタンパク質産生を増強する。これらの効果は、H1受容体拮抗薬によって阻害される。骨髄細胞(マウス頭蓋冠由来のMC3T3−El(El)細胞)との共培養では、ビタミンD3の存在下で、ヒスタミンが破骨細胞発生を刺激した。この効果は、ODF/RANKLに対する中和抗体とのプレインキュベーションによって妨げられる。骨再吸収破骨細胞への骨髄造血前駆細胞の分化を調査するためにマイクロアレイプローチを使用することで、H1受容体を含めた70個の標的遺伝子をRANKLが刺激したことが指摘された。卵巣摘出ラットにおける、H2受容体拮抗薬、ファモチジンを用いた試験では、破骨細胞活性の低下による脊椎骨の骨質量の喪失の阻害が実証された。これらの効果は、短期的であり、6カ月で失われた。これらのデータの総括は、ヒスタミンが骨再吸収の調整に積極的役割を果たしていることを示す。この観察は、ヒスタミンH1受容体拮抗薬の長期使用が骨折のリスクを低減したことを実証する大規模な登録簿に基づく症例:対照試験からのデータによって支持される。
ECL細胞において、ヒスタミン分泌の調整に関与する重要な酵素はヒスチジンデカルボキシラーゼ(HDC)である。HDCヌルマウスは、ヒスタミン合成の完全な欠失、並びに基礎胃酸分泌の減少及びガストリン抵抗性を特徴とする。これらの動物は、高い骨塩量及び低い骨再吸収に関連した有意に増大した大腿厚及び胸椎厚を呈した。破骨細胞は、数並びに活性で低下した。HDCヌルマウスが卵巣摘出されたとき、皮質骨及び骨梁骨の喪失は50%低減され、そして、ヒスタミン欠乏がエストロゲン駆動型骨粗鬆症から骨格を保護することを示した。そのため、ヒスタミンがエストロゲン媒介性骨再形成を増強するように作用すると推論される。
ECL細胞が代替の骨吸収性アミン又はペプチドを産生すると考えることが理に適っているが、斯かるホルモンは同定されていない。このアミンの合成及び分泌がガストリンと非常に密接につながっているので、そのため、ヒスタミンの役割は、ガストリン、ECL細胞、及び骨の病態生理学の間の連結因子としての役割である可能性が高いと考えた。
本明細書中での試験は、ガストリンとヒスタミンのノックアウトモデルを使用した骨代謝(完全性)の媒介におけるヒスタミンとガストリンとの相関を実証する(実施例7を参照のこと)。
ガストリン/CCK2受容体の標的化が、膵臓癌、胃神経内分泌腫瘍、及び消化性潰瘍を含めた疾患において薬理学レベルで試験された。後者の発端は、ヒスタミンの合成と放出によるECL細胞の酸刺激機能、並びにガストリン受容体の遮断によるヒスタミン分泌の阻害が酸分泌を減少させるという概念、に関連する。斯かる拮抗薬の1つが、原型類似体L365,260に関連したYF476、1,4−ベンゾジアゼピン−2−オンベースのガストリン/CCK2受容体拮抗薬である。YF476は、インビトロ及びインビボにおいてECL細胞のヒスタミン合成及び放出に対する有効性が実証されている。ヒスタミン分泌はガストリンに媒介されたCCK2受容体刺激によって活性化されるので、酸分泌効果とは別個の生理学的事象は、骨に対するヒスタミン放出関連効果のみではなく、骨自体に対するあらゆるガストリンの直接作用も遮断するCCK2受容体拮抗薬が能力にかかわる。
8.原理証明試験:3種類の齧歯動物モデルにおける卵巣摘出に媒介された骨表現型に対するガストリン拮抗薬の効果
本明細書中に記載した試験では、骨の強度研究、形態学及び循環バイオマーカーに注目して、3種類の齧歯動物モデルにおいてOVX媒介性骨密度喪失/骨の変化に対するガストリン拮抗薬(YF476)の効果を評価した(実施例8を参照のこと)。
C.ガストリン標的化作用物質を使用した骨疾患又は病態の処置
本明細書中で提供した試験では、いくつかある徴候の中でも、骨におけるCCK2受容体の存在、及び骨疾患の処置におけるガストリン標的化作用物質の有効性を実証する。骨粗鬆症として特徴づけられるものを含めた骨疾患又は病態の処置及び予防のための斯かるガストリン標的化作用物質の使用のための方法及び組成物が提供される。
いくつかの実施形態において、好適なガストリン標的化作用物質としては、これだけに限定されるものではないが:ガストリン放出ペプチド(GRP)(ボンベシン)、ソマトスタチン、及びオクトレオチド(OCTR)及びRC−160を含めたソマトスタチン類似体を含めたガストリン調節物質が挙げられる。他の実施形態において、好適なガストリン標的化作用物質としては、ネタゼピド(YF476)及び他の1,4−ベンゾジアゼピン−2−オン バスチン ガストリン/CCK2受容体作動薬を含めたCCK2受容体拮抗薬が挙げられる。いくつかの実施形態において、ガストリン標的化作用物質としては、CCK2受容体作動薬:Z−360、L−740093、YM022、RP73870、JB93182、AG041R、プログルミド(及び類似体)、JNJ−2607109(及び誘導体)、CI−988、PD−135158、L−365260、LY−288513、L−364718、GW−5823、ロルグルミド、CR2194(スピログルミド)、PD−149164、PD−135666、CI−1015、RP−69758、TP−680、PD−140548、及びイトリグルミド(及び誘導体)から選ばれる。
ガストリン標的化作用物質は、皮下投与手段のいずれかによって対象に投与され得る。いくつかの実施形態において、ガストリン標的化作用物質は、浅い筋肉内注射によって投与される。他の実施形態において、ガストリン標的化作用物質は、静脈内に又は経口的に投与される。
以下の実施例は、請求の範囲に記載した発明をよりよく例示するために提供され、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。具体的な材料が言及されるという程度とは、それは単に例示を目的としてものであって、本発明を限定することを意図していない。当業者は、発明に関する資格の訓練なしに、且つ、本発明の範囲から逸脱することなしに等価手段又は反応物を見つけ出すことができる。
実施例1:単離G細胞の研究
図3に関して、G細胞のCa2+センサーとして生理学的役割を実証する試験を実施した。高い外部Ca2+濃度は、PKC経路及びジヒドロピリジン感受性カルシウムチャンネルを介してカルシウム流入に関わる機構によって単離されたG細胞からのガストリン放出を刺激した。EC50は4.1mMであり、そして、これは主にPKC調節経路を介して起こった。これらの結果は、食事(管腔)カルシウムセンサーとして機能するG細胞と一致している。
さらに、PTH受容体の存在をG細胞で同定した。図4に関して、PTHが媒介するガストリン放出をcAMP活性化の後に実証した。PTHは、PKA活性化及び細胞内cAMPの産生によってガストリン放出を有意に刺激し(EC50=60nM)、そして、G細胞状のPTH受容体が機能的であり、且つこの管腔カルシウム感知前庭部細胞によるガストリンの分泌がPTHによって調整され得ることを実証した。
G細胞のカルシトニン受容体もまた同定した。図5に関して、PTHとは対照的に、(甲状腺C細胞からの)カルシトニンがcAMP産生の阻害によってガストリン放出を阻害したことを示した。
これは、他のPTH/カルシトニン標的(例えば、骨芽細胞)のように、G細胞は、胃に存在しない神経内分泌細胞系によって刺激(PTH)又は阻害(カルシトニン)され得ることを実証した。
これらの観察は、カルシウム恒常性(血漿Ca2+レベルの感知による−PTH/甲状腺細胞)の既知の調節物質は、胃の管腔カルシウム感知細胞−ガストリン産生G細胞−に直接影響を与えることができ、そして、その分泌プロファイルを変化させる徴候を提供する。
G細胞機能に対する卵巣ホルモン、エストロゲンの効果を評価した。図6に関して、ガストリン細胞におけるエストロゲン受容体(ESRα)転写産物の存在を、リアルタイムPCRを使用して同定した。単離したガストリン細胞において、17−エストラジオール(ESRa作動薬)がガストリン放出(IC50=4.6x10-12M)、cAMP産生(IC50=1.1x10-12M)、及びMAPK活性を阻害したことをさらに実証した(図6)。
この情報は、更年期の状況と一致したエストロゲン環境を変化させることがG細胞機能(シグナル伝達と分泌)を大きく変化させるか又は刺激することを示す。これは、高いG細胞機能及び高いPTHを含む環境の存在に関する加齢ラットにおける先の報告と一致している。この組み合わせは、骨粗鬆症の発生に関連して十分に認められている。
表1に関して、神経内分泌EC及びECL細胞の単離標本と転写産物との比較は、それがCaSRを発現するがカルビンジンを発現しない唯一の神経内分泌細胞であるので、G細胞が管腔カルシウムを感知できる唯一の細胞であることを実証する。図7に関して、これは、G細胞のガストリン分泌が副甲状腺主細胞、甲状腺C細胞からのカルシトニン、及び卵巣細胞からのエストロゲンによって分泌されたPTHによって直接的に調整されてもよい。
結果は、腸/副甲状腺カルシウム恒常性軸における重要な神経内分泌細胞としてのG細胞を認識する。
実施例2:ガストリン標的試験(インビトロ)
潜在的ガストリン標的として細胞型を評価した。ガストリン放出を通じたカルシウム恒常性軸のガストリン細胞による調整を評価した。
単離したヒトPTH主細胞(ヒトの外科標本から)のガストリン/CCK2受容体の発現を実証した。図8に関して、ガストリンがヒトPTH合成と放出に刺激効果を有することを更に実証した。これらの結果は、副甲状腺細胞がガストリン標的であることを示す。PTHがガストリン放出を刺激するので(図4を参照のこと)、副甲状腺(PTH)分泌が活性化することは(G細胞からPTHへの)正方向送り促進型ループを示した。促進型ヒスタミンH1受容体の発現もまた、これらの細胞で同定された。
図9に関して、ガストリンは、高分化型ヒトMTC細胞株(MTC−SK)からのcAMP及びカルシトニン放出の両方を刺激し、その効果は、選択的CCK2拮抗薬、YF476(IC50=8.6×10-13M)によって解消された。これらの結果は、甲状腺C細胞がガストリン標的に相当することを示す。カルシトニンがガストリン放出を阻害することで(図5を参照のこと)、C細胞活性化はフィードバック阻害性ループを提供する。
ガストリンに対する甲状腺/副甲状腺系の総合的な応答性(促進性又は阻害性)を評価するために、副甲状腺/MTC−SK共培養系に対するガストリンの効果を評価した。ガストリンが骨再吸収(増強されたPTH合成と放出による)の刺激物質又はカルシトニン放出によるこのプロセスの阻害剤のいずれであるか評価した。
図10に関して、CCK2受容体(副甲状腺と甲状腺C細胞の両方で発現される)の刺激は、培養PTH細胞からのPTH転写と分泌の有意な向上をもたらす。対照的に、ガストリンはカルシトニン合成と放出の有意な阻害をもたらした。これらの効果は、選択的CCK2拮抗薬、YF476とのプレインキュベーションによって解消した。
これらの結果は、甲状腺C細胞のガストリン刺激が副甲状腺細胞から放出されたPTHによって解消することを示す。これは、このモデル共培養系内で、ガストリンの効果が主にPTH媒介性作用であることの徴候である。健常ボランティアでは、ガストリン点滴の効果は、カルシトニン(有意に低い放出)よりむしろPTH分泌を増強することである。これは、甲状腺に対するガストリンのあらゆるインビボ効果が主に副甲状腺とPTH放出に関連することを示す。
これらの結果は、管腔感知細胞(G細胞)による腸(胃)ホルモン放出が副甲状腺を直接的に、そして、甲状腺C細胞カルシトニン分泌を間接的に調整することを支持する。
実施例3:骨における機能的なガストリン標的の識別
骨自体に対するガストリンの直接作用を評価するために、骨細胞におけるガストリン受容体の存在と、ガストリンが骨由来細胞に対して効果を有するかどうかを評価した。QPCR、ウエスタンブロット法、及び免疫組織化学技術を使用して、骨における受容体発現を同定した。その後、ガストリンの効果を3つの異なったモデル:1)マウス頭蓋冠骨芽細胞;2)ヒト胎児の骨芽細胞株、hFOB1.19;3)ヒト骨髄由来間充織幹細胞(BMMSC)、で調査した。
CCK2受容体:qRT−PCRを使用して、CCK2受容体の発現を頭蓋冠骨芽細胞、hFOB細胞株、及びヒトBMMSCsにおいて同定した(図11A)。発現を、31.2〜34の範囲のCQ値ですべてのモデルにおいて同定した。マウス骨特異的免疫染色により免疫組織化学(IHC)同定ガストリン受容体を、成長板中の軟骨細胞において同定した。何らかの発現を骨芽細胞及び内骨膜を裏打ちする細胞において同定した(図11B〜C)。標準的なPCRとウエスタンブロット法もまた、10個の骨髄から得られたヒト皮質骨髄サンプルで実施した(アテローム性動脈硬化症が引き起こした肢虚血(骨髄炎の証拠なし)のための切断後に採取)。PCRでは、CCK2受容体に相当するサイズのバンドを同定した(図12A)。これを配列決定し(Sanger)、CCK2Rと92%の相同性を呈することを特定した(図12B)。ウエスタンブロットでは、すべてのヒトサンプルにおけるCCK2受容体タンパク質の発現を確認した(図12C)。
概要:ガストリン標的はマウス頭蓋冠骨芽細胞、hFOB及びBMMSC細胞株、並びに成長板及びヒト骨髄(骨内膜の収集物)を含む骨(軟骨細胞)において同定可能であり、骨内の複数の細胞型がガストリンによって活性化/調整され得ることを示している。ガストリンを含んでいる循環血液は骨髄を通して浸出するので、循環ガストリンのレベルの変化がCCK2受容体を発現するあらゆる骨由来細胞に対しても生物学的に関連する。
インビトロにおけるガストリンの効果:ガストリンは既知の増殖性調節物質なので、増殖(BrdU取り込み)に対するガストリンの効果を3種類の異なる細胞モデルで最初に試験した。ガストリンは、1〜2x10-11MのEC50(図13A)及び〜50%の最大効果(1nM)で3種類の細胞型のすべてで増殖を刺激した。増殖に対するこれらの刺激効果は、選択的ガストリン拮抗薬、YF476とのプレインキュベーションによって阻害されなかった(図13B)。この化合物は、BMMSC細胞において増殖を増大させるように見えた。骨芽細胞及びBMMSCsのガストリン活性化の生物学的意味を評価するために、これらのガストリン媒介性作用が骨石灰化をもたらしたかどうか評価するために試験を実施した。石灰化小結節のヒドロキシアパタイト部分への蛍光Osteomalgeの結合を評価した。ガストリンは、3種類の細胞型における骨石灰化を3.2×10-11〜1.3×10-10MのIC50及び〜30−50%の最大阻害効果(1nM)で阻害した(図14A)。石灰化に対するこれらの阻害作用は、選択的ガストリン拮抗薬、YF476とのプレインキュベーションによって阻害された(図14B)。この化合物は、マウス骨芽細胞頭蓋冠細胞における石灰化を特に増大させるように見えた。
概要:ガストリンは骨芽細胞及びBMMSCsの増殖を刺激し、それはガストリン拮抗薬によって解消されない。ガストリン媒介性増殖は石灰化の喪失に関連し、そして、骨芽細胞表現型の回復を示す。GAは、このガストリン阻害効果を解消した。これらの結果は、ガストリンが石灰化の喪失を伴う骨芽細胞脱分化を引き起こすことを示す。拮抗薬は増殖を低減しないが、骨表現型を維持する。この効果は頭蓋冠骨芽細胞において最も著しかった。
ガストリン活性化の生物学的意味をさらに評価するために、これらのガストリン媒介性作用が骨形成タンパク質2(BMP2−骨芽細胞分化に関わる)、RANKL(骨芽細胞で発現された破骨細胞活性化受容体)、及びマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF−骨髄前駆細胞の調整と破骨細胞活性の活性化因子に関わる)の発現を増強したかどうか評価するために、試験を実施した。
マウス頭蓋冠培養において、ガストリン(1nM)は、MSCF−1遺伝子発現を完全に阻害し、並びにRANKL転写(0.8倍)及びALKPを阻害した(図15)。hFOBでは、ガストリンもまたこれらの転写産物を阻害した。YF476とのプレインキュベーションは、これらの効果を解消し、そして、正常化した。これらの遺伝子のどちらもBMMSCで同定されなかったが、ガストリン効果はALKPで知られているのに対して、BMP2はどの細胞型でも同定されなかった。これは、ガストリン効果が異化作用であり、且つ、YF476を用いたそれらの阻害が骨芽細胞機能の正常化をもたらし並びに同化作用表現型を生み出すことを特定した。
これらのデータは、ガストリンが骨芽細胞の増殖と分化を調整するだけではなく、始原細胞の調整にも関わることを示す。加えて、ガストリンは増殖するようにBMMSCsに影響する。YF化合物は、増殖を阻害することなく、表現型効果を解消した。そのため、ガストリンは、2つのレベル:骨芽細胞と骨髄由来幹細胞、で直接的に骨細胞機能に影響を与え、そして多分、軟骨細胞挙動の調整を通して成長板に影響を与える。
実施例4:ガストリン試験:G細胞機能に対するプロトンポンプ阻害薬の効果
PPIは骨再吸収及び骨折リスクの増大に関係したので、G細胞機能とガストリン分泌における酸阻害(高い胃pH)の役割を評価した。G細胞を、持続した高ガストリン血症を作り出すために飲料水中の不可逆的H2受容体拮抗薬−ロクスチジン1mg/L−で処理したマウス(Mastomys−チチネズミ(Praomys natalensis))の前庭部粘膜から単離した。この動物を、酸分泌の長期薬理学的阻害に関連する胃酸病態生理学(低酸状態病理生物学)のモデルとして大規模に試験したである。
不可逆的な胃酸抑制で30日間処理したMastomys(6〜9カ月)は、高い血漿ガストリンレベル(無処置動物の28±13pg/ml対して104±23pg/ml、p<0.05)を呈した。これは、低pH阻害ガストリン放出の喪失(結果としての高い胃pHレベル)の現れである。そのため、斯かる処置は、無酸症及び高ガストリン血症動物モデルをもたらす。
ガストリン含有量、ガストリン転写レベル、並びに基礎ガストリン放出は、無処置動物から単離したG細胞と比較して、無酸症(高pH胃−低酸に晒したG細胞)から単離したG細胞において、すべてが有意に(p<0.05)高かった(表2)。
表2に関して、高い胃pH(低酸状態)は、G細胞ガストリン含有量(>2倍)、転写(>4倍)、及び分泌(8倍>)を刺激する。促進型リガンド、例えばGRP及びカルシウムに対するこれらの細胞の生理反応は低下し−EC50は増大する。同様に、これらの細胞は、阻害剤、例えばオクトレオチド(OCTR)に対して感受性が下がり、IC50が〜5倍増大した。
ガストリン放出の調節物質、GRP(ボンベシン)及びソマトスタチン(OCTR)はそれぞれ、増強(それぞれGRP:EC50:1.1pM対1nM)、及び減少(ソマトスタチン類似体、オクトレオチド:28pM対140pM)した有効性を呈した(表2)。加えて、「高ガストリン血症」G細胞は、検出カルシウム(10EC50=mM対正常血清ガストリン細胞における4mM)にて感受性が低下した〜100%。
これらのデータは、インビトロにおける胃(pH)環境の上昇が、G細胞機能に有意に影響することを実証する。(高齢の個人又はPPIの患者で存在するような)高い胃pHは、生理学的調節に対するG細胞Ca2感知感度と応答を特に変化させた。これは、壁細胞機能の長期間阻害及び酸分泌の減少が管腔環境に対する前庭部G細胞応答を実質的に変化させることを実証する。
高い管腔pHの状況下でより多くのガストリンが生じるので、この観察は臨床的関連性のものである。ガストリンがPTH放出を刺激して、骨細胞に直接作用を有するので、高ガストリン血症は重要である(図8、10、11を参照のこと)。
実施例5:骨動態に対する酸遮断の効果:Mastomys高ガストリン血症モデル
胃、循環ホルモン、副甲状腺、並びに骨生理学に対する胃酸抑制の効果を、Mastomysモデルで調べた。
これらの動物における骨生物学はほとんど知られていない。ある試験では、>9カ月の動物の大部分(〜80%)において椎間板の衰えを同定し、そして、可動関節(肘、膝)において重症の骨関節炎変化を同定した。
検査室の齧歯動物の中で、近交系マウス(STR/lN)の単一系統を除いて、Mastomysは骨関節炎に最も感受性を持つように見える。
4〜6カ月齢の動物(雌)を60日間又は120日間、ロクスチジンで処置した。年齢及び性別が合致している無処置動物を対照群に提供した。
循環ホルモン:ホルモン分析(ELISA)では、H2受容体遮断の機能としてガストリン/PTH及びエストラジオールの変化を確認した。特に、ガストリン分泌における短期の上昇は(8週間のロクスチジン処置)、高いPTH分泌とエストラジオール/エストロゲン阻害に関連していた(図16)。長期間(16週間)の慢性高ガストリン血症は、PTHとエストラジオールの阻害に関連していた。
胃:高ガストリン血症(図17B)中のECLヒスタミン(ヒスチジンデカルボキシラーゼHDC)(図17A)及び(mRNA値における)G細胞ガストリンの活性化を実証した。これは、短期の高ガストリン血症中の、(mRNA及びタンパク質レベルにおける)PTH1Rの活性化、及び(mRNA及びタンパク質レベルにおける)胃ERαにおける選択的減少に関連していた;これは、その後、16週間に増強し、そしてそれは、高ガストリン血症(C−図17A)中の(mRNA及びタンパク質レベルにおける)CaSRの活性化に関連していた。
副甲状腺:免疫組織化学を使用して、Mastomysにおける副甲状腺及び甲状腺におけるCCK2受容体の発現を実証した(図18)。結果では、副甲状腺細胞並びに甲状腺のC細胞の両方がガストリン受容体を発現することを確認した。副甲状腺のCCK2受容体は、それによって(例えば、PTHの)副甲状腺分泌がガストリンによって調整され得るG細胞:PTH軸の基礎を提供する。
骨形態学と動態:microCT評価を、高ガストリン血症動物の中の齧歯動物の大腿骨の骨形態分析を開発するのに使用した(図19)。これらは、低い骨体積、密度減少及び引張り強度を実証した。これらのデータは、高いガストリンレベルが骨再吸収を刺激したことを実証する。
構造モデル指数(SMI)は、大腿骨形状の変化を実証するプレート/ロッドの比におけるシフトを同定した。これにより、ガストリンはSMIを増大させ、そしてそれは、より多くの棒状形態に向かう再形成による骨表現型における変化を示している。後者は、よりもろく且つより硬い骨に関連し、そしてその骨のもろさは骨粗鬆症の女性で指摘した。
正常なMastomysとは対照的に、慢性高ガストリン血症動物は、以下の特徴:骨端板の肥厚、骨形成不全症(増大した脂肪細胞形成による異常な骨再構成)、及び異常な免疫原性特徴の同定、を有する骨関節炎表現型を呈した。
骨髄を大腿骨から単離し、破骨細胞発生に関して評価した。卵巣摘出マウスから単離した細胞と比較して、破骨細胞と骨芽細胞の両方が異常に初期に培養できた。これは、高ガストリン血症モデルにおいてこれらの2つの細胞集団の活性化の徴候である。これはCCK2受容体誘発事象の活性化と一致している。
卵巣摘出マウスと比較して、高ガストリン血症Mastomysは、肥大した形態の骨再形成を呈する。異常な骨髄表現型の存在は、高ガストリン血症動物における経路活性化に関するqPCRベースの識別によってもさらに確認された。これは、ALOX5及びPTGS2の下方調節(炎症)、PPARyの下方調節(脂肪細胞活性化)、及び上方制御されたTNFSR11(RANKL)(骨細胞活性)を含んでいた。PCR結果、特に骨細胞活性の活性化は、肉眼的に観察された骨髄変化(骨端の成長、骨の摩損度)と一致していた。
骨髄表現型をさらに評価し、且つ、骨の脂肪組織が活性化されたかどうか評価するために(骨代謝と完全性の測定)、オスミウムベースの染色プロトコールを、年齢及び性別が合致した対照、並びに短期高ガストリン血症動物において使用した。取り込みの有意な増大が処置動物において指摘された(図20)。これは「加齢」骨/骨粗鬆症の表現型と一致している。
これらの結果は、短期の高ガストリン血症が骨粗鬆症と同定される形態学的な外観と同様の骨変化に関連することを確認する。
その後、骨の組織形態計測を調べられた。これらの試験は、増強された再吸収窩、並びにMastomys処置8週間と16週間におけるTRAP陽性破骨細胞数の有意(p<0.05)な増加(15±6 p<0.05及び16±4.5 p<0.05、対照に対してにおける9±3)を伴った、骨石灰化の減少を同定した。類骨の継ぎ目と骨軟化症の徴候もまた指摘した(図21)。
最終的に、骨強度を、インストロンデバイスを使用してMastomysにおいて調べた。大腿骨に四点曲げによる破断まで荷重をかけた。servohydraulic試験装置(Instron model8874; Instron Corp., Norwood, MA, USA)を使用した0.05mm/秒のたわみ率を用いて試験を実施した。
最終的に、骨強度を、インストロンデバイスを使用してMastomysにおいて調べた。大腿骨に四点曲げによる破断まで荷重をかけた。servohydraulic試験装置(Instron model8874; Instron Corp., Norwood, MA, USA)を使用した0.05mm/秒のたわみ率を用いて試験を実施した。
剛性は158〜173N/mmの範囲に及んだ。骨折に必要な最大荷重は32.8〜45.7N/mmの範囲に及んだ。これらの値は互い強く相関した(図17A、R2=0.86、p<0.003、線形回帰分析)。
骨密度(microCT)と破断強度の比較は、骨梁骨(R2=0.54、22B)と皮質骨(R2=0.71、22C)の両者の相関関係を特定した。
これにより、インストロンデバイスを使用した骨強度の測定は、高ガストリン血症中の異常且つもろい骨の表現型の発生と一致する追加情報を提供する。これらの機械的データは、高ガストリン血症モデルにおけるガストリン誘発性「骨粗鬆症」の表現型の生物学的基礎の徴候を支持する。
概要(図23、24):短期の高ガストリン血症(8週間)は、大腿骨における明白で計測可能な骨粗鬆症の変化を引き起こす。胃前庭部では、短期高ガストリン血症は、CaSR発現の変化なしに、活性G細胞(転写産物)、高PTH1R及びエストロゲン応答性低下(ERα/β及びAR)に関連した。骨分析の観察は、ヒト閉経後条件のそれらの状況に類似している。
16週間までの高ガストリン血症の延長(慢性モデル)は、大腿骨における計測可能な骨粗鬆症の変化をもたらし、高い前庭部CaSR及びERα、並びにPTH1R発現に関連していた(図17)。
G細胞における高い循環ガストリンと高PTH1R発現の組み合わせは、骨粗鬆症の表現型に関連する一貫した特徴であった。
これらの結果は、高ガストリン血症Mastomysが骨の病態生理学に対するガストリンの効果を評価するための好適なモデルであることを示し、及び骨に対する高ガストリン血症の有意な骨粗鬆症促進効果を実証する。
実施例6:卵巣摘出Mastomysにおける骨の動態に対する酸遮断の効果
卵巣摘出は、骨研究のための「閉経後」の表現型を作り出す標準的な手続きである。エストロゲンはG細胞調節効果を示すので(図6を参照のこと)、次に、無処置の動物、卵巣摘出動物、短期(8週間)及び長期(16週間)高ガストリン血症を患っている卵巣摘出動物における骨の表現型に対するエストロゲン喪失の具体的な役割を評価した。双方卵巣摘出(OVX)及び卵管結紮を、Mastomysにおいて後方アプローチを使用して実施した。動物を8週間後に試験した。
循環ホルモン:8週間後に、エストロゲンは卵巣摘出によって低下した。しかしながら、血清PTHは増加した〜2倍(図25)。
胃:卵巣摘出は、クロモグラニンA(CgA)及びHDC転写の有意な増大に関連したが、ガストリン発現は変化しなかった(図26)。これは、胃におけるエストロゲンの1つの効果がECL細胞のヒスタミン合成の下方調整であることを実証する。
卵巣摘出は、アンドロゲン(6倍)及びエストロゲン受容体(ESRα/βの両方:4〜7倍)、並びにCaSR(5倍)及びPTH1R(4倍)の胃粘膜転写を増強した(図27)。これにより、エストロゲンの除去は、食餌性カルシウムに対する感知及び応答に関与する胃細胞受容体、すなわち、CaSR及び副甲状腺軸(PTH1R)の検出可能な変化をもたらした。
短期高ガストリン血症/OVXモデル:卵巣摘出モデルにおける短期の高ガストリン血症は循環PTHを増強した(図25)。胃では、ガストリンとHDC転写産物の両方が胃酸抑制(8週間のロクスチジン)とOVXの組み合わせによって上昇した(図26B〜D)。OVX後に起こる受容体、つまりAR/ESRα/β、CaSR、及びPTH1Rの発現増加(つまり、図27)は、高ガストリン血症動物で同定されなかった。レベルが低下し、それはもう対照とは異なっていなかった(図28)。これは、(胃pHとガストリンの上昇を伴う)酸分泌の薬理学的な阻害が、エストロゲンを除去した場合でさえカルシウムの感知に関わる受容体の胃での発現を正常化することを示す。
長期高ガストリン血症/OVXモデル:16週間の高ガストリン血症は、血漿PTHレベルの正常化に関連していた(図30)。胃では、HDCが上昇した(図26)。16週間処置動物のAR/ESRα/、CaSR及びPTH1Rレベルは、対照と異なっていなかった(図28)。短期モデルのように長期モデルにおいてもカルシウム感知に関与する受容体の胃での発現は、エストロゲン除去中、正常であった。
OVX及び高ガストリン血症OVXモデルにおける骨の形態学及び動態:
microCT分析:骨梁のトポグラフィは図29に示されている。骨測定は、密度と体積が卵巣摘出後に減少した〜50%ことを特定した。これは齧歯動物の卵巣摘出モデルに関する先の報告と一致している(図30A、C)。ガストリン媒介性低減は、長期の高ガストリン血症動物において最も有意(p<0.005)であった(80〜85%減少)。後者の動物はまた、皮質密度の減少(〜5%、p<0.05)も呈した(図30B)。皮質骨体積は、すべてのOVX動物で減少したが(〜15%)、しかし、短期の高ガストリン血症動物で最も有意(p<0.005、〜30%)であった(図30D)。
皮質骨の更なる測定は、内骨膜と骨膜の有意な減少を特定した。OVXは、半径(20%)と円周(18%)の両方を減少させた(図31A〜D)。より有意な減少を短期の高ガストリン血症動物で同定した(半径:25〜30%;円周27%)。これらはOVXのみにおいて計測した減少より少なかった(p<0.02)。長期の高ガストリン血症動物における測定値は、OVXのみと異なっていなかった。
これらの結果は、高い循環ガストリンレベルがエストロゲン喪失媒介性骨変化を増幅することを特定する。短期の高ガストリン血症の最も有意な効果は、皮質骨及び内骨膜/骨膜レベルにおいてであったのに対して、長期の高ガストリン血症の効果は骨梁骨において支配的であり、骨代謝と強度の調整においても後者の役割を特定した。後者を評価するために、強度試験研究を実施した。
骨の組織形態計測:卵巣摘出は、増加した吸収窩、並びに有意に増加した(p<0.05)TRAP陽性破骨細胞数(26.8±11対、対照における9±3、p<0.05)を伴う減少した骨石灰化に関連している(図32)。
骨の機械的強度試験:大腿骨の四点曲げ分析は、OVX動物の剛性の増大を同定した(図33A)。OVXはまた、最大荷重と破壊荷重の両方を減少させた(図33B、C)。これは、エストロゲンの喪失自体、低下した骨の強度(皮質の影響)を示した一方で、その剛性の増大を示した(ロッド/プレートの変化に関連した骨梁の効果)。短期の高ガストリン血症は、骨折に必要な仕事量を減少させた(図33D)。これらのパラメーターは、もろく、損傷した皮質骨と一致した効果を表す(図30〜31)。OVXが作り出した骨の剛性は短期の高ガストリン血症によって解消され、これらのガストリン効果が骨再形成の活性化及び再吸収相に限定されていることを示す。長期の高ガストリン血症は骨折に必要な荷重及び作業量を回復した。しかしながら、骨の剛性は骨梁の変化と一致してこれらの動物で増強された(図30)。これは、骨形成の回復と形成相を含む骨再形成表現型と一致しているが、骨が硬く、そのためもろいことは異常である。
機械的強度の評価:pMOI(慣性極モーメント)は骨の総合的な強度(そして剛性)の基準であり、(ねじりによる)荷重破断に比例している。それは異常な治癒において増加する。このパラメーターは、特に骨のもろさの測定値を示すので、骨強度の追加基準を提供するために評価された。OVXは、短期の高ガストリン血症によってさらに有意に低下したpMOIを低下させた(図34A)。これは、卵巣摘出が骨をもろくすることを確認し、そして、ガストリンの増加が骨のもろさを悪化させることを実証する。長期の高ガストリン血症は、(対照と比較して)低pMOIに関連したが、OVXのみと異なっていなかった。これは、四点曲げデータ(上記を参照のこと)と一致していて、短期(異常な活性化と再形成)及び長期(異常な回復と骨形成)暴露の両方の間のガストリンの効果を強調する。
骨髄のリアルタイムPCR分析:骨再形成に関連する5つの遺伝子がOVXによって有意に変化した(2つが減少し、そして、3つが増加した)。具体的には、皮質骨髄由来ALOX5(炎症)及びRUNX2(骨芽細胞分化)が有意に減少した(図35)。CXCL12、PPARγ、及びHIF−1αの発現は増大した。CXCL12はPTHが媒介する骨芽細胞活性化、PPARγは脂肪細胞分化(骨の防御機構)、及びHIF−1αは低酸素症が媒介する骨の損傷(骨膜骨前駆細胞活性化に関連するRUNX2発現を負に調整する)に関連する。これは骨芽細胞分化と破骨細胞活性化の阻害と一致している。
短期(8週間)も長期(16週間)も高ガストリン血症は、骨再形成でOVX媒介性遺伝子発現変化を有意に変更(増幅又は阻害)しなかった。しかしながら、PTGS2(又は誘導性COX2)はガストリンによって有意に減少した。これは骨損傷応答であって、そして、保護に関連する生物反応と一致した。
概要(図36):Mastomysモデルにおける卵巣摘出関連骨(骨梁及び皮質)の異常は、骨の生理学における変化(骨芽細胞機能の阻害)及び皮質由来骨髄細胞のレベルでの遺伝子発現に関連していた。これは、HDC及びカルシウム感知/PTH1R応答を含めた胃粘膜神経内分泌マーカーの増大に関連していた。
卵巣摘出後の短期の高ガストリン血症は、卵巣摘出のみと同様の骨の表現型(骨梁及び皮質の密度及び体積の減少)及び骨髄遺伝子発現様式(例えば、HIF−1αの活性化)における変化を伴って骨をもろくした。ガストリン転写の増大は、CaSR/PTH1R発現の正常化を伴った胃における最も有意な変化であった。
長期の高ガストリン血症は、もろくて非常に硬い骨をもたらした。同様の変化では、卵巣摘出単独に対する表現型(骨梁及び皮質の密度及び体積の減少)並びに骨髄遺伝子発現(HIF−1αの活性化)が指摘された。最も有意な胃の変化は、CaSR/PTH1R発現の正常化を伴ったHDCの活性化であった。
全体的に見て、骨量の減少/異常は、細胞の骨髄活性化における変化及び胃粘膜神経内分泌細胞の転写における変化に関連する。
実施例7:胃の神経内分泌機能と骨の動態に対する効果:遺伝子ノックアウトマウスモデル−卵巣摘出あり又は卵巣摘出なし
ガストリン及びヒスタミンのノックアウトモデルを使用した試験では、骨代謝(完全性)の媒介におけるガストリンとヒスタミンの間の相関を実証し、そして、Mastomysと異なった種のモデルにおいてガストリンとヒスタミンの役割を評価した。これらの試験では、骨の生物学に対するガストリン媒介性ヒスタミン分泌の効果(並びにG細胞がエストロゲンによって調整されるという本発明者らの観察)を評価した。3種類のノックアウト:HDCノックアウトマウス、並びにガストリンノックアウト及び二重組み合わせ(HDC/GAS)ノックアウト動物、の組み合わせを使用した。
循環ホルモン:a)エストラジオールは、卵巣摘出後に3種類のKOモデルすべてと同じレベル(〜2pg/ml)まで減少した(80〜90%)(図37)。b)ガストリンは、ガストリンと二重KOマウスの両方で低く(10〜20pg/ml);HDC KO動物では、ガストリンレベルはGAS又はGAS/HDC KO動物より5x高かった。これらのレベルは、卵巣摘出によって影響を受けず、正常血清ガストリンMastomysに類似していた。
PTHレベルは、3種類のKOモデルのすべてで類似していたが(図37)、正常血清ガストリンMastomysの−50%であった。HDC及びHDC/GAS KO動物においてPTHレベルを増強した卵巣摘出は、副甲状腺分泌に対するエストロゲンの阻害効果の喪失と一致していた。これは、ヒスタミンの不存在が副甲状腺分泌に対して影響を及ぼさないことを示す。対照的に、PTHは、GAS KO動物において卵巣摘出後に減少した。Mastomysでは、8週間の高ガストリン血症が、PTH放出を増強し、インビトロ実験ではガストリンが媒介するPTH放出を確認した。これは、ガストリンが生理学的なPTH放出に必要であることを示す。エストロゲンとガストリンの両方の喪失の組み合わせは、「低」PTH分泌副甲状腺をもたらした。PTHはRANK−骨芽細胞(骨再吸収)102を介した破骨細胞の活性化に関連するので、この状況におけるガストリンの不存在は「保護的である」と理解できる。
胃:ガストリンKO動物では、OVXは、基底部においてCCK2受容体を有意に上方制御し(3倍)(図38)且つHDCを増強し(〜10倍)、そして、エストロゲンがECL細胞に対して阻害効果を発揮することを示した。前庭部G細胞では、OVXは、CaSRを60%下方制御し、そして、G細胞カルシウム感知がエストロゲンによって調整されていることを示した。HDC KO動物では、OVXが、対照(卵巣摘出なし)と比較して、CaSR、PTH1R、及びCCK2を含むほとんどの標的遺伝子を下方制御した。ガストリンもまた有意に下方制御した。二重KO動物では、CCK2が卵巣摘出によって上方制御された。これらのデータは、エストロゲンがカルシウム感知に関わる転写産物の発現、従って、カルシウム代謝、を調整することを示す。特に、胃のECL及びG細胞は、特にカルシウム生理学の観点から、エストロゲン感受性である。
骨の形態学と動態:
骨のmicroCT:ガストリン KOマウスでは、卵巣摘出は大腿骨密度及び体積に対する有意な効果がなかったが、しかし、内骨膜及び骨膜の厚さを増強した(図39A)。これは、短期及び長期の高ガストリン血症において指摘した効果と正反対であった(骨梁及び皮質骨の密度及び体積、並びに骨内及び骨膜の測定値が低下した−図24を参照のこと)。これは、非卵巣摘出骨と比較して、硬くなく、もろくなった骨をもたらした。これは、(低エストロゲン環境における)ガストリンの不存在が保護的であり、これらの動物における低い循環PTHレベルを安値し得ることを実証する。
HDC KOマウス:HDC KOマウスにおける卵巣摘出は、大腿骨密度及び体積又は内骨膜/骨膜の厚さに対して有意な効果がなかった。しかしながら、骨は硬く、破断するためにより高い荷重を必要とし、そして、非卵巣摘出骨と比較して、高いpMOI(p<0.03)を呈した(図39B)。そのため、本発明者らの調査では、エストロゲン及びヒスタミンの喪失の組み合わせが骨強度を増大するという以前の試験99を確認する。
Gas/HDC KOマウス:ガストリン/HDCの二重KOマウスにおける卵巣摘出は、大腿骨密度に対して有意な効果がなかったが、骨梁及び皮質の体積を低減した(p<0.03)(図39C)。内骨膜/骨膜の厚さに変化がないことが指摘された。これは、非卵巣摘出骨と比較して、もろくなっていない骨をもたらした。
骨髄のqPCR:ガストリンKO動物における卵巣摘出は、2つの遺伝子、ALOX5及びCXCL12の上方制御に関連していた(図40A〜B)。これらは、それぞれロイコトリエン合成、並びにPTHを通じた炎症及び骨芽細胞活性化に関わる。Mastomysモデルでは、卵巣摘出は、ALOX5を下方制御するが、CXCL12を上方制御し、効果は高ガストリン血症によって有意に変化しなかった。HDC及びHDC/GAS KO動物における卵巣摘出には有意な効果がなく、ヒスタミンがこれらの2つの遺伝子の調整に役割を果たしていないことを示した。
骨髄PCRはまた、ガストリンKO動物における卵巣摘出がHIF−lα及びIGFlの上方制御に関連することも特定した(図40C〜D)。これらは、上述しているように、それぞれ骨前駆細胞の調整及び骨質量の維持に関与している。
概要(図41):マウスモデルにおける(低エストロゲン環境における)ガストリンの喪失は、骨の生理学を変化させるが、骨強度の有意な違いに関係しなかった。対照的に、(Mastomysモデルにおける)短期又は長期の高ガストリン血症のいずれかを伴う卵巣摘出は、著しくもろい骨をもたらした。そのため、ガストリンは、骨髄に対して好ましくなく、「反保護的」な効果を有するように見える。(低エストロゲン環境における)HDC KOのみは、著しく強い(及び硬い)骨に関連し、ガストリンのようなヒスタミンが骨の生理学の制御的役割を担い得ることを示す。(HDC KOによる)ヒスタミンの除去は、この効果を解消し、そのため、タンデムでのガストリン及びヒスタミンが骨の生理学の主要調節因子であるという主張と一致している。
低エストロゲン環境におけるガストリンとHDCの喪失(例えば、ヒスタミンの喪失)の組み合わせは、著しくもろい骨とは関連しておらず、骨の動態は通常と異なっていなかった。これは、(ガストリンのような)ヒスタミンが「骨粗鬆症」様の骨の表現型を活性化し得ることを示す。これにより、(HDC KOによる)ヒスタミンの減少(除去)は、エストロゲン下降によって誘発された骨粗鬆症促進の効果を解消した。
実施例8:原理証明試験:3種類の齧歯動物モデルにおける卵巣摘出媒介性骨表現型に対するガストリン拮抗薬の効果
3種類の齧歯動物モデルのOVX媒介性骨密度の喪失/骨の変化に対するガストリン拮抗薬(YF476)の効果を、骨の強度研究、形態学及び循環バイオマーカーを中心に評価した。2つの「正常な」OVXモデル:a)マウス(系統:CD−1[Swiss系統]−Charles River)及びb)ラット(系統:CD IGS[Sprague Dawley系統]−Charles River)、並びにMastomys(ガストリン/CCK2受容体シグナルを内因的に活性化する)、を調べた。
2カ月齢の時点で外科手術(OVX)を受けた動物を回復させ、その後、経口酸阻害、並びにガストリン拮抗薬(GA)、YF476(単回投与)に晒した。マウス及びラットの両者をPPI、オメプラゾールに晒し、一方、MastomysをH2受容体拮抗薬、ロキシチジンに晒した。GA投与を、酸阻害の開始時点で単回皮下注射した。薬物動態学的に、これを8週間にわたって15〜20nmolの範囲で投薬した。投薬に関する詳細は表3に含まれている。
3群:a)群A=プラセボ/生理的食塩水処置(OVXなし/対照);b)群B=OVX+酸阻害治療法(OVX);及びc)群C=GA処置卵巣摘出動物(OVX+GA)、には各動物モデルが含まれていた。試験(2カ月間)の終了時に、本発明者らは、GAが骨パラメーター(microCT、骨強度及び組織形態計測、並びに循環マーカー)のOVX媒介性変化を解消したかどうか評価した。
モデル1:マウスOVX:GA処置の開始時に、動物は89日齢(3.0カ月)であり、試験終了時に、146日齢(4.8カ月)だった。骨梁骨データの調査では、卵巣摘出がBV/TV(0.05±0.02対0.18±0.04、p<0.05)及び密度(37±5対173±18、p<0.05)を有意に低減し、そして、SMI(1.8±1.2対1.1±0.4、p<0.05)及び骨梁の間隔(0.6±0.18対0.28±0.05、p<0.05)を増強することを確認した(表4、図42)。ガストリン拮抗薬処置は、増強されたままであった骨梁の厚さ及び間隔以外のこれらの卵巣摘出媒介性骨変化を解消した。これは、骨梁骨密度の有意な増大に関連した(70.7±19、OVXに対してp<0.05)。
皮質骨パラメーターの分析では、卵巣摘出が骨表面を有意に減少し(11.6±0.9対13.4±1.4、p<0.05)、皮質の厚さを増強し(0.2±0.01対0.15±0.01、p<0.05)、そして、皮質の密度の減少(989±26対1153±39、p<0.05)に関連することを特定した(表5、図43)。ガストリン拮抗薬処置は、密度のOVX媒介性減少を解消した(1025±37、OVXに対してp<0.05)。
インストロンデバイスを使用した骨強度の測定では、OVX媒介性骨表現型を回復させる際のガストリン拮抗薬の有用性を確認した。卵巣摘出は、骨強度(剛性[246±29対294±34]、降伏剛性[221±28対271±33]、破断までの破壊荷重[37±6対56±7])を有意(p<0.05)に低減して、そして、骨の破断までに必要な総作業量を増大させた[28.3±9.7対20.4±2.3、p<0.05]。ガストリン拮抗薬処置は、増強されたが対照より低く維持された破壊荷重[43±6]以外、これらの卵巣摘出媒介性骨変化を正常化した(表6、図44)。
組織形態計測では、OVXマウスにおいて増加した吸収窩を伴う減少した骨石灰化、並びに有意に増加した(p<0.05)TRAP陽性の破骨細胞数(29±5対16±3、p<0.05)を特定した。ガストリン拮抗薬処置は、これらの現象を解消した(図45)。
卵巣摘出は、循環エストロゲンを有意に減少させて(1.9±0.9pg/ml対5.1±1.9)(p<0.05)、そして、PTH(123±74pg/ml対51±32)及びガストリン(3200±263pg/ml対2437±787)の増大に関連していた。拮抗薬をもちいた処置は、ガストリンの卵巣摘出が媒介する増大を解消したが、PTHでは解消しなかった(表7、図46)。循環骨バイオマーカーもまたOVXによって変化した。特に、PINPを増強し(0.19±0.01ng/ml対0.1y±0.006、p<0.05)、そして、CTx−1(0.60±0.14ng/ml対0.29±0.13、p<0.05)及びオステオカルシンが高められた(6.7±2.3ng/ml対4.1±1.2、p<0.05)。拮抗薬を用いた処置は、これらの3種類の卵巣摘出が媒介する変化のそれぞれを弱めた。
概要(モデル1):ガストリン拮抗薬の単回投与は、マウスモデルにおける卵巣摘出媒介性骨変化(8週間の時点で調査)の回復に関連していた。低い循環エストロゲン及び高いPTHレベルにもかかわらず起こったこれらの効果は、組織形態計測パラメーター(石灰化、破骨細胞番号)の正常化及び同化作用と一致する循環骨バイオマーカー発現によって例示された。
モデル2:ラットOVXモデル:GA処置の開始時に、動物は98日齢(3.2カ月)であり、試験終了時に、163日齢(5.4カ月)だった。骨梁骨データの調査では、卵巣摘出がBV/TV(0.15±0.03対0.27±0.07、p<0.05)及び密度(159±26対287±71、p<0.05)を有意に低減することを確認した。骨梁の間隔(0.58±0.1対0.44±0.19、p<0.05)並びにSMI(1.5±0.2対0.6±0.4、p<0.05)を増強した(表8、図47)。ガストリン拮抗薬処置は、増強されたままであったSMI(1.3±0.17)以外のこれらの卵巣摘出媒介性骨変化を解消した。これは、骨梁骨密度の有意な増大に関連した(204±27、OVXに対してp<0.05)。
皮質骨パラメーターの分析では、卵巣摘出が骨表面を有意に減少し(42.7±2.5対49.9±3、p<0.05)、皮質の厚さを増強し(0.66±0.03対0.61±0.07、p<0.05)、そして、皮質の密度の減少(1067±22対1144±17、p<0.05)に関連することを特定した(表9、図48)。ガストリン拮抗薬処置は、密度のOVX媒介性減少を解消した(1098±24、OVXに対してp<0.05)。
インストロンデバイスを使用した骨強度の測定では、OVX媒介性骨表現型を回復させる際のガストリン拮抗薬の有用性を確認した。卵巣摘出は、骨強度(剛性[495±43対578±48]、降伏剛性[445±39対526±66]、及び破断までの破壊荷重[265±29対300±17])を有意(p<0.05)に低減した。ガストリン拮抗薬処置は、これらの卵巣摘出媒介性骨変化を正常化した(表10、図49)。
組織形態計測では、OVXラットにおいて増加した吸収窩を伴う変化した骨石灰化、並びに有意に増加した(p<0.05)TRAP陽性の破骨細胞数(11±3対2±2、p<0.05)を特定した。ガストリン拮抗薬処置は、これらの現象を解消した(図50)。
卵巣摘出は、循環エストロゲンを有意に減少させて(2.1±0.3pg/ml対5.3±2.5)(p<0.05)、そして、ガストリン(3200±789pg/ml対954±406)の増大に関連していた。拮抗薬をもちいた処置は、エストロゲン又はガストリンに対して有意な効果がなかった(表11、図51)。循環骨バイオマーカーもまたOVXによって変化した。特に、PINP(0.57±0.18ng/ml対0.35±0.06、p<0.05)及びオステオカルシン(1.35±0.9ng/ml対0.43±0.07、p<0.05)の両方を高めた。拮抗薬を用いた処置は、これらの3種類の卵巣摘出が媒介する変化のそれぞれを弱めた。
概要(モデル2):ガストリン拮抗薬の単回投与は、ラットモデルにおける卵巣摘出媒介性骨変化(8週間の時点で調査)の回復に関連していた。低い循環エストロゲン及び高いガストリンレベルにもかかわらず起こったこれらの効果は、組織形態計測パラメーター(石灰化、破骨細胞番号)の正常化及び同化作用と一致する循環骨バイオマーカー発現によって例示された。
モデル3:MastomysOVXモデル:GA処置の開始時に、動物は121日齢、(4.0カ月)であり、試験終了時に、180日齢(6.0カ月)だった。卵巣摘出は、BV/TV比(0.06±0.03対0.14±0.05、p<0.05)、骨梁の数(1.4±0.3対2.0±0.6、p<0.05)及び骨表面積(8.5±3.7対18.5±2.3、p<0.05)を有意に低減し、そして、SMI(1.1±0.3対0.74±0.21、p<0.05)並びに骨梁の間隔(0.82±0.15対0.57±0.17、p<0.05)を増強することを確認した(表12、図52)。これは、骨梁骨密度の有意な減少に関連した(60.6±37対157±51、p<0.05)。ガストリン拮抗薬処置は、これらの卵巣摘出媒介性骨変化を解消し、そして、骨梁骨密度(187±66)を正常化した。薬剤もまた、骨梁の数(2.4±0.6、対照に対してp<0.05)及び厚さ(0.08±0.01、対照に対してp<0.05)の増大に関連した。
皮質骨パラメーターの評価では、卵巣摘出はどの皮質骨パラメーターにも有意ではなかったことを確認した(表13、図53)。ガストリン拮抗薬処置は、卵巣摘出動物において効果がなかった。
インストロンデバイスを使用した骨強度の測定では、OVX媒介性骨表現型を回復させる際のガストリン拮抗薬の有用性を確認した。卵巣摘出は、骨強度(剛性[138±7対332±65]、降伏剛性[125±6対299±59]、破断までの破壊荷重[38±4対56±13])を有意(p<0.05)に低減して、そして、骨の破断までに必要な総作業量を増大させた[51±7.7対34±11.6、p<0.05]。ガストリン拮抗薬処置は、これらの卵巣摘出媒介性骨変化を正常化した(表14、図54)。
組織形態計測では、OVX Mastomysにおいて増加した吸収窩を伴う減少した骨石灰化、並びに有意に増加した(p<0.05)TRAP陽性の破骨細胞数(27±11対9±3、p<0.05)を特定した。ガストリン拮抗薬処置は、これらの現象を解消した(図55)。
卵巣摘出は、循環エストロゲンを有意に減少させて(1.9±0.6pg/ml対8.9±2.1)(p<0.05)、そして、PTH(523±308pg/ml対290±71)及びガストリン(7265±3198pg/ml対3705±2015)の増大に関連していた。拮抗薬をもちいた処置は、ガストリン(2704±430)及びPTH(150±37)の卵巣摘出が媒介する増大を解消した(表15、図56)。循環骨バイオマーカーもまたOVXによって変化した。特に、PINPを増強し(0.16±0.03ng/ml対0.13±0.01、p<0.05)、そして、CTx−1(0.24±0.17ng/ml対0.03±0.03、p<0.05)及びオステオカルシンが高められた(1.6±1.1ng/ml対0.4±0.16、p<0.05)。拮抗薬を用いた処置は、これらの3種類の卵巣摘出が媒介する変化のそれぞれを弱めた。
概要(モデル3):ガストリン拮抗薬の単回投与は、Mastomysモデルにおける卵巣摘出媒介性骨変化(8週間の時点で調査)の回復に関連していた。低い循環エストロゲンにもかかわらず起こったこれらの効果は、組織形態計測パラメーター(石灰化、破骨細胞番号)の正常化及び同化作用と一致する循環骨バイオマーカー発現によって例示された。
概要(モデル1、2、及び3):3種類のモデルのすべてで、ガストリン拮抗薬の単回投与(10〜20μMg体重)は、卵巣摘出が媒介する骨量及び強度の減少を解消し、そして、正常化するか、又は正常化の方向に向かわせた。これは、低い循環エストロゲン及び高いPTHレベルにもかかわらず起こり、且つ、骨質量促進シグナル伝達の改変に関連していた。
本出願を通じて、種々ウェブサイトデータ内容、刊行物、特許出願、及び特許が参照されている(ウェブサイトはそれらのUniform Resource Locator又はURL、ワールドワイドウエッブ上のアドレスによって参照する)。これらの参照文献のそれぞれの開示は、参照によってそれら全体を本明細書中に援用する。
本発明は、本明細書中に開示した実施形態による範囲内に制限さるべきではなく、該実施形態とは本発明の個々の態様のうちのただ一つの例示を目的としたものであり、そして、機能的同等物はいずれも本発明の範囲内にある。本明細書中で記載したものに加え、本発明のモデル及び方法に対する様々な修飾も、上記の説明及び教示から当業者にとって明らかになるので、同様に本発明の範囲内に含めることが意図される。斯かる修飾又は他の実施形態は、本発明の真の範囲及び要旨から逸脱することなく実施可能である。

Claims (16)

  1. 治療を必要としている対象の高ガストリン血症に関連する骨疾患又は病態を治療するための方法であって、ガストリン受容体標的化作用物質の治療上有効な量のうちの少なくとも1つの用量を該対象に投与して、高ガストリン血症に関連する骨疾患又は病態を治療することを含む方法。
  2. 高ガストリン血症に関連する骨疾患又は病態を消散するために、治療期間にわたって前記ガストリン受容体標的化作用物質を投与する、請求項1に記載の方法。
  3. 高ガストリン血症の原因にかかわらず、高ガストリン血症の持続期間にわたって前記ガストリン受容体標的化作用物質の少なくとも1つの用量を対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記高ガストリン血症に関連する骨疾患又は病態が、骨粗鬆症として特徴づけられる疾患又は病態である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記ガストリン受容体標的化作用物質が、選択的CCK2受容体拮抗薬である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記選択的CCK2受容体拮抗薬がYF476である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記対象が、卵巣機能低下又は卵巣不全の女性である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記対象が:(a)卵巣機能低下又は卵巣不全の女性であり、且つ(b)高ガストリン血症を患っている、請求項1に記載の方法。
  9. 治療上有効な量のプロトンポンプ阻害薬(PPI)又はヒスタミン2受容体(H2R)拮抗薬と共に、同時に又は任意の順序で連続して、ガストリン受容体標的化作用物質を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記ガストリン受容体標的化作用物質の治療上有効な量が、10〜25ナノモルである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記高ガストリン血症が、腫瘍性高ガストリン血症又は酸抑制薬理学に関連する高ガストリン血症である、請求項8に記載の方法。
  12. 前記ガストリン受容体標的化作用物質の治療上有効な量が、0.2〜14μg/kg対象体重である、請求項10に記載の方法。
  13. 前記ガストリン受容体標的化作用物質が、皮下注射によって単回投与で対象に投与される、請求項1に記載の方法。
  14. 前記ガストリン受容体標的化作用物質が、静脈内注射によって対象に投与される、請求項1に記載の方法。
  15. 前記ガストリン受容体標的化作用物質が、20〜100mgの範囲の用量で経口的に対象に投与される、請求項1に記載の方法。
  16. 前記PPI又はH2R拮抗薬が、経口的に対象に投与される、請求項9に記載の方法。
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