JP2016225135A - 非水系二次電池負極用活物質並びにそれを用いた負極及び非水系二次電池 - Google Patents

非水系二次電池負極用活物質並びにそれを用いた負極及び非水系二次電池 Download PDF

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Takeya Arikawa
雄也 有川
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Abstract

【課題】本発明は、非水系電解液の分解によるガス発生が少なく、初期充放電中の容量損失や効率に優れ、さらに表面改質による抵抗上昇を起こしにくい非水系二次電池の製造に有用な非水系二次電池負極用活物質を提供することを目的とする。【解決手段】リチウムイオンの挿入・脱離が可能な活物質(A)と、化合物(B)を含有する非水系二次電池負極用活物質に関する。また、前記非水系二次電池負極用活物質を用いた非水系二次電池用負極及び当該負極を備える非水系二次電池に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、非水系電解液の分解によるガスの発生や容量損失が少なく、抵抗の上昇も抑制された、優れた非水系二次電池の製造に有用な非水系二次電池負極用活物質に関する。本発明はさらに、前記活物質を用いて得られる非水系二次電池用負極及び前記負極を備える非水系二次電池に関する。
近年、電気自動車等の開発等を背景に、高エネルギー密度型電池として、非水系二次電池であるリチウムイオン二次電池の研究が盛んに行なわれている。リチウムイオン二次電池については、負極用活物質として、黒鉛等の炭素材料を使用することが知られている。
中でも、黒鉛化度の大きい黒鉛は、リチウムイオン二次電池用の負極用活物質として用いた場合、黒鉛のリチウム吸蔵の理論容量である372mAh/gに近い容量が得られ、さらに、コスト・耐久性にも優れることから、負極用活物質として好ましいことが知られている。
上記のような炭素材料を、リチウムイオン二次電池の負極用活物質として使用した場合、通常、炭素材料の表面に、非水系電解液との反応によってSEI(Solid Electrolyte Interface)と呼ばれる被膜が形成される。SEIにより、炭素材料と非水系電解液との接触が防がれ、活性な炭素材料による非水系電解液のさらなる分解等が抑制される。その結果、負極表面の化学的安定性が保たれることも知られている。
しかしながら、炭素材料を負極用活物質として使用したリチウムイオン二次電池においては、SEI生成や、副反応生成物としてのガス発生によって、初期サイクル時の充放電不可逆容量が増大し、結果として、高容量化に至らないといった課題があった。また発生したガスにより電池が膨れるといった問題や、さらには、SEIが形成されることで、負極における界面抵抗(負極抵抗)が上昇し、電池の入出力特性が低下するという問題があった。
上記の問題を解決するために、高分子化合物等を、負極用活物質である炭素材料に対して添着し、人工的にSEIを形成する技術や、非水系電解液成分よりも先に分解し、負極表面上に被膜形成可能な化合物を電解質中に溶解する形で添加する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、電極活物質中にカチオン性基を有する重合体、および該カチオン性基に対応するアニオンを含有させ、さらに重合体中のカチオン密度を所定量範囲とすることにより、該重合体が電極活物質表面近傍に選択的に存在し、リチウムの析出が抑制され、低温放電容量が向上される技術が提案されている。
また特許文献2には、黒鉛の表面の少なくとも一部を、C=OあるいはC−Oで表される構造を含む高分子化合物で覆うことにより、電解液の分解反応を抑制し、特にプロピレンカーボネートを電解液として使用した際の初期サイクル時にみられる充放電効率低下を向上させる技術が提案されている。
国際公開第2011/002016号 特開2006−310232号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、カチオン性基を有する重合体が電極活物質表面近傍に選択的に存在することを特徴としているために、該重合体が被覆されていない活物質表面では電解液の還元分解が起きるので、非水系電解液の還元分解による容量ロスやガス発生を完全には抑制することが出来ない。また、重合体を被覆していることにより、重合体が活物質表面に占める体積が大きくなり、リチウムイオンの伝導を阻害し得るので、負極の抵抗上昇を抑制することが出来ない。
特許文献2に開示されている技術では、高分子化合物により負極活物質を覆うことを特徴としており、高分子化合物は、非水系電解液の還元分解により通常生成するSEIに比べ、リチウムイオン伝導性に劣るので、負極の抵抗上昇を抑制することが出来ない。
本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、非水系二次電池において、非水系電解液の分解によるガス発生を抑制し、かつ抵抗が低い非水系二次電池負極用活物質を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、「リチウムイオンの挿入・脱離が可能な活物質(A)」(以下、「活物質(A)」ともいう。)、と「特定の構造を有する化合物(B)」(以下、「化合物(B)」ともいう)及び/又は「化合物(B)由来の反応生成物」とを含有する非水系二次電池負極用活物質を用いることにより、ガス発生を低減でき、さらに抵抗が低い非水系二次電池が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
ここで本発明に係る非水系二次電池負極用活物質が前記効果を奏する詳細は不明であるが、発明者らの検討の結果、優れた電池特性は次のような効果によると考えられる。
すなわち、非水系二次電池負極用活物質層中に活物質(A)、化合物(B)を含有させると、化合物(B)が活物質(A)表面の活性を低下させるとともに、化合物(B)が形成した表面被膜が非水系電解液との親和性が低く、活物質(A)と非水系電解液との接触が抑制されるため、活物質(A)と非水系電解液との接触による非水系電解液の還元分解反応を抑制し、電池内でのガス発生や電池容量の損失を低減することができると考えられる。
加えて、活物質(A)を低分子化合物である化合物(B)で覆うことにより、化合物(B)が表面に占める体積が、例えば、高分子化合物で活物質(A)を覆う場合に比べ小さくなるので、リチウムイオン伝導の阻害を起こしにくく、活物質(A)が被覆されることによる抵抗上昇を抑制することが出来ると考えられる。
すなわち、本発明の要旨は、リチウムイオンの挿入・脱離が可能な活物質(A)と、化合物(B)とを含有する非水系二次電池負極用活物質であって、該化合物(B)が下記式(1)で示される化合物、下記式(1)で示される化合物由来の反応生成物、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、非水系二次電池負極用活物質に存する。
Figure 2016225135
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基
、またはカルボニル結合を有する置換基、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、またはアリーレン基で、任意の位置がエーテル結合、スルホニル基、カルボニル基、エステル結合で置換されていても良く、Xは炭素原子またはヘテロ原子、Rは酸素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、nは0以上の整数、nは0〜2の整数、nは1又は2の整数、n+nは1〜3の整数、nは0又は1の整数を示す。)
また、本発明の他の要旨は、上記非水系二次電池負極用炭素材を用いて形成されることを特徴とする、非水系二次電池用負極に存する。
また、本発明の他の要旨は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該負極が上記非水系二次電池用負極であることを特徴とする非水系二次電池に存する。
本発明によれば、化合物(B)によって、非水系電解液の還元分解の抑制がなされ、ガス発生の抑制効果に優れた非水系二次電池の製造に有用な非水系二次電池負極用活物質を提供することができる。加えて、化合物(B)はイオン伝導性に優れた低分子化合物であるため、リチウムイオンの伝導を妨げない非水系二次電池の製造に有用な非水系二次電池負極用活物質を提供することができる。また、前記非水系二次電池負極用活物質を用いた非水系二次電池用負極及び当該負極を備える非水系二次電池を提供することができる。
以下、本発明の内容を詳細に述べる。なお、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの形態に特定されるものではない。
[非水系二次電池負極用活物質]
本発明の非水系二次電池負極用活物質は少なくとも活物質(A)及び、化合物(B)を含有する。
<活物質(A)>
活物質(A)は、その骨格中にリチウムイオンを吸蔵・放出することができる材料であれば特に制限されない。
その例としては、黒鉛、非晶質炭素、黒鉛化度の小さい炭素質物に代表される種々の炭素材料、シリコン系材料、スズ系材料が挙げられる。これらについては詳述するが、好ましくは人造黒鉛、天然黒鉛、非晶質炭素、シリコン、シリコン酸化物、錫、及び錫酸化物が挙げられ、中でも人造黒鉛、天然黒鉛、非晶質炭素、シリコン、及びシリコン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがリチウム貯蔵容量、サイクル特性、コストバランスの点から好ましい。またこれらを非晶質炭素や黒鉛化物で被覆したものを用いても良い。
本発明ではこれらを単独で、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。また、上記材料には酸化物やその他金属を含んでいてもよい。
前記活物質(A)の形状は特に制限されず、球状、薄片状、繊維状、不定形粒子、複数の粒子が非平行に集合又は結合させてなる粒子などから適宜選択して用いることができる。本発明の好ましい態様の一つとしては、球状である。
前記炭素材料の種類としては、人造黒鉛、天然黒鉛、非晶質炭素、黒鉛化度の小さい炭素質物等が挙げられるが、低コストと電極作製のし易さの点から、人造黒鉛または天然黒鉛が好ましく、天然黒鉛がより好ましい。
これら炭素材料は、不純物の少ないものが好ましく、必要に応じて種々の精製処理を施して用いる。
前記天然黒鉛としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土壌黒鉛等が挙げられる。前記鱗状黒鉛の産地は、主にスリランカであり、前記鱗片状黒鉛の産地は、主にマダガスカル、中国、ブラジル、ウクライナ、カナダ等であり、前記土壌黒鉛の主な産地は、朝鮮半島、中国、メキシコ等である。
これらの天然黒鉛の中で、土壌黒鉛は一般に粒径が小さいうえ、純度が低い。これに対して、鱗片状黒鉛や鱗状黒鉛は、黒鉛化度が高く不純物量が低い等の長所があるため、本発明において好ましく使用することができる。
前記天然黒鉛の形状は、本発明の効果を発揮する観点から、好ましくは球形であり、活物質(A)として特に好ましくは球形化天然黒鉛である。
更に具体的には、高純度化した鱗片状の天然黒鉛に球形化処理を施して得られた球形化天然黒鉛である。前記球形化処理の方法については後述する。
前記人造黒鉛としては、例えば、コールタールピッチ、石炭系重質油、常圧残油、石油系重質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂などの黒鉛化可能な有機物を焼成し、黒鉛化したものやバルクメソフェーズを黒鉛化したものが挙げられる。
また、バルクメソフェーズ等の黒鉛化可能な骨材又は黒鉛と、黒鉛化可能な有機物とに黒鉛化触媒を添加して混合し、焼成した後、粉砕することにより得た造粒型人造黒鉛を用いることもできる。
焼成温度は、2500℃以上、3200℃以下の範囲とすることができ、焼成の際、珪素含有化合物やホウ素含有化合物などを黒鉛化触媒として用いることもできる。
前記非晶質炭素としては、例えば、バルクメソフェーズを焼成した粒子や、炭素前駆体を不融化処理し、焼成した粒子が挙げられる。
前記黒鉛化度の小さい炭素質物としては、有機物を通常2500℃未満の温度で焼成したものが挙げられる。有機物としては、コールタールピッチ、乾留液化油などの石炭系重質油;常圧残油、減圧残油などの直留系重質油;原油、ナフサなどの熱分解時に副生するエチレンタール等の分解系重質油などの石油系重質油;アセナフチレン、デカシクレン、アントラセンなどの芳香族炭化水素;フェナジンやアクリジンなどの窒素含有環状化合物;チオフェンなどの硫黄含有環状化合物;アダマンタンなどの脂肪族環状化合物;ビフェニル、テルフェニルなどのポリフェニレン;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールなどのポリビニルエステル類;ポリビニルアルコールなどの熱可塑性高分子などが挙げられる。
前記炭素質物の黒鉛化度の程度に応じて、焼成温度は通常600℃以上とすることができ、好ましくは900℃以上、より好ましくは950℃以上であり、通常2500℃未満とすることができ、好ましくは2000℃以下、より好ましくは1400℃以下の範囲である。
焼成の際、有機物にリン酸、ホウ酸、塩酸などの酸類や、水酸化ナトリウム等のアルカリ類などを混合することもできる。
前記シリコン系材料としては、シリコン、シリコン酸化物等が挙げられる。具体的には、SiO、SiC、(式中x及びyは任意の割合でも可)シリコン−酸化シリコン複合体、またはシリコンとその他金属との合金のうち何れを用いてもよい。中でもリチウム貯蔵容量とサイクル特性の点からシリコン(Si)及びシリコン酸化物が好ましい。
シリコン系材料としては、小粒径、薄膜、多孔質構造などリチウム挿入、脱離時の体積膨張収縮を緩和可能な形態が好ましく、必要に応じて炭素材料やその他活物質材料と複合化して用いることができる。
前記スズ系材料としては、錫、酸化第一錫、酸化第二錫、または錫アモルファス合金のうち何れを用いてもよい。スズ系材料としては、小粒径、薄膜、多孔質構造などリチウム挿入、脱離時の体積膨張収縮を緩和可能な形態が好ましく、必要に応じて種々の炭素材料やその他、活物質材料と複合化して用いる。
次に、活物質(A)の各種物性について説明する。活物質(A)は、下記物性のうち、少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(平均粒子径(d50))
活物質(A)の平均粒子径(d50)は、通常1μm以上、50μm以下である。この範囲であれば、負極製造時において極板化した際に、負極形成材料の筋引きなど、工程上の不都合が生ずることを防止することができる。
平均粒子径(d50)は、好ましくは4μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下である。
なお、本願明細書において、平均粒子径(d50)とは、体積基準のメジアン径を意味する。具体的には、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液10mLに、試料0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定した値として得ることができる。
(タップ密度)
活物質(A)のタップ密度は、通常0.7g/cm以上であり、1.0g/cm以上が好ましい。また、通常1.3g/cm以下であり、1.1g/cm以下が好ましい。
タップ密度が低すぎると、非水系二次電池用の負極に用いた場合に高速充放電特性に劣り、一方タップ密度が高すぎると、負極を構成する材料である粒子内における活物質(A)の密度が高く、負極形成材料の圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
本発明において、タップ密度は、粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cmの円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して試料を落下させてセルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行ない、該タップ後の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義する。
(BET法比表面積(SA))
活物質(A)のBET法で測定した比表面積(BET法比表面積)は、通常1m/g以上、11m/g以下である。この範囲であれば、Liイオンが出入りする部位が十分であるため、非水系二次電池用の負極に用いた場合でも良好な高速充放電特性・出力特性が得られ、活物質の非水系電解液に対する活性を制御し、初期不可逆容量を小さくし、さらには高容量化を容易に図ることができる。
BET比表面積は、好ましくは1.2m/g以上、より好ましくは、1.5m/g以上であり、また、好ましくは10m/g以下、より好ましくは9m/g以下、さらに好ましくは8m/g以下である。
なお、本願明細書において、BET法比表面積は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET5点法にて測定した値とする。
(X線パラメータ)
活物質(A)が炭素材料である場合、該炭素材のX線広角回折法による(002)面の面間隔d002は、通常0.335nm以上、0.340nm未満、好ましくは0.339nm以下であり、より好ましくは0.337nm以下である。d002値が0.340nm未満であれば、適切な結晶性が得られ、非水系二次電池用の負極に用いた場合に初期不可逆容量の増加が抑制できる。なお、0.335nmは黒鉛の理論値である。
(ラマンR値)
活物質(A)が炭素材料である場合、該炭素材のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPの強度Iと、1360cm−1付近のピークPの強度Iとを測定し、その強度比R(R=I/I)を算出して定義する。 R値は通常0.01以上、1以下であり、0.6以下が好ましい。ラマンR値がこの範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く傾向がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶性が乱れ、非水系電解液との反応性が増し、非水系二次電池用の負極に用いた場合に効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
ラマンスペクトルはラマン分光器で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料を充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルを照射したレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :532nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
(活物質(A)の製造方法)
以上説明した活物質(A)は種々の公知の方法により製造可能であり、その製造方法は特に制限されない。ここでは、本発明において活物質(A)として好ましく用いられる球形化天然黒鉛について、天然黒鉛からの製造方法について説明する。
球形化天然黒鉛は天然黒鉛を球形化することで得られるものである。その球形化処理に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に粒子の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し粒子に与える装置を用いることができる。
具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのローターが高速回転することによって、内部に導入された天然黒鉛原料に対して衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、表面処理を行なう装置が好ましい。
球形化処理を施すことにより、鱗片状の天然黒鉛が折りたたまれるか、もしくは周囲エッジ部分が球形粉砕されて、母体粒子は球状となる。その母体粒子に、粉砕により生じた主に5μm以下の微粉が付着する。なお、球形化処理後の天然黒鉛の表面官能基量O/C値が通常1%以上、4%以下となる条件で、球形化処理を行うことが好ましい。
この際には、機械的処理のエネルギーにより天然黒鉛表面の酸化反応を進行させ、天然黒鉛表面に酸性官能基を導入することができるよう、活性雰囲気下で球形化処理を行うことが好ましい。例えば前述の装置を用いて処理する場合には、回転するローターの周速度を通常30m/秒以上100m/秒以下、40m/秒以上100m/秒以下にすることが好ましく、50m/秒以上100m/秒以下にすることがより好ましい。
(被覆処理)
本発明に使用される活物質(A)は、その表面の少なくとも一部が炭素質物によって被覆されていてもよい。この被覆の態様は走査型電子顕微鏡(SEM)写真等で確認することができる。
なお、被覆処理に用いる炭素質物としては非晶質炭素及び黒鉛化物が挙げられるが、それらは後述する被覆処理における焼成温度の相違によって、得られるものが異なる。
具体的には、前記炭素質物の炭素前駆体として、以下の(1)又は(2)に記載の材料が好ましい。
(1)石炭系重質油、直流系重質油、分解系石油重質油、芳香族炭化水素、N環化合物、S環化合物、ポリフェニレン、有機合成高分子、天然高分子、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1つ以上の炭化可能な有機物。
(2)上記(1)に示した炭化可能な有機物を低分子有機溶媒に溶解させたもの。
上記(1)及び(2)の中でも石炭系重質油、直流系重質油、若しくは分解系石油重質油、またはこれらを低分子有機溶媒に溶解させたものが、焼成後の炭素質物が均一に被覆されるのでより好ましい。
被覆処理においては、例えば活物質(A)として球形化天然黒鉛を用いて核黒鉛とした場合に、炭素質物を得るための炭素前駆体を被覆原料として、これらを混合、焼成することで、炭素質物が被覆された活物質(A)が得られる。
焼成温度を、通常600℃以上、好ましくは700℃以上、より好ましくは900℃以上、通常2000℃以下、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1200℃以下とすると炭素質物として非晶質炭素が得られる。
また焼成温度を通常2000℃以上、好ましくは2500℃以上、通常3200℃以下で熱処理を行うと炭素質物として黒鉛化物が得られる。
前記非晶質炭素とは結晶性の低い炭素であり、前記黒鉛化物とは結晶性の高い炭素である。
<化合物(B)>
また、本発明の非水系二次電池負極用活物質は化合物(B)を含有させることにより、活物質(A)表面と非水系電解液との副反応を抑制し、副反応に伴うガスの発生を効果的に低減し、容量低下を抑制することができる。
本発明に用いられる化合物(B)は、下記式(1)で示される化合物、下記式(1)で示される化合物由来の反応生成物、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である。
Figure 2016225135
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基
、またはカルボニル結合を有する置換基、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、またはアリーレン基で、任意の位置がエーテル結合、スルホニル基、カルボニル基、エステル結合で置換されていても良く、Xは炭素原子またはヘテロ原子、Rは酸素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、nは0以上の整数、nは0〜2の整数、nは1又は2の整数、n+nは1〜3の整数、nは0又は1の整数を示す。)
上記式(1)におけるXは、炭素原子またはヘテロ原子であれば特に限定されないが、例えばヘテロ原子であれば、硫黄原子、リン原子、ホウ素原子、窒素原子が挙げられ、リチウムイオン伝導性の点から、硫黄原子、ホウ素原子が特に好ましい。
上記式(1)におけるnは0以上の整数、nは0〜2の整数、nは1又は2の整数、n+nは1〜3の整数、nは0又は1の整数である。
Xが硫黄原子である場合、nは通常2の整数である。またnは通常1の整数である。n+nは通常3の整数である。
Xがリン原子である場合、nは通常0、1の整数であり、1の整数が好ましい。またnは通常1、2の整数であり、2の整数が好ましい。n+nは通常3の整数である。
Xがホウ素原子である場合、nは通常0の整数である。またnは通常2の整数である。n+nは通常2の整数である。
Xが窒素原子である場合、nは通常0の整数である。またnは通常1〜3の整数であり、好ましくは1、2の整数であり、より好ましくは2の整数であり。n+nは通常1〜3の整数である。
上記式(1)におけるnが1の整数の場合、窒素原子が正の電荷を有するため、ハロゲンイオン、無機酸のイオン、又は有機酸のイオン等のカウンターアニオンにより塩型をとる、あるいは分子内塩をつくる。カウンターアニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、硫酸イオン、アミド硫酸イオン、炭酸イオン等の無機酸のイオン、酢酸イオン、脂肪族ヒドロキシ酸イオン、芳香族ヒドロキシ酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン等の有機酸イオンが挙げられ、好ましくは電池内での副反応が生じにくい点から硫酸イオン、アミド硫酸イオン、炭酸イオン、酢酸イオン、脂肪族ヒドロキシ酸イオン、芳香族ヒドロキシ酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオンである。
上記式(1)におけるRは酸素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基が挙げられ、好ましくは酸素原子、ヒドロキシル基である。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。電解液非膨潤性の点から炭素数が6以下のものが好ましい。
またRが酸素原子の場合は、1価以上の金属イオン等のカウンターカチオンにより塩
型をとっていても良い。カウンターカチオンとして具体的には、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、ラジウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、マグネシウムイオンが挙げられ、好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、電池内での化学的安定性の点から特に好ましくはリチウムイオンである。
上記式(1)におけるRは、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基で、任意の位置がエーテル結合、スルホニル基、カルボニル基、エステル結合で置換されていても良く、好ましくはアルキレン基、エーテル結合を有するアルキレン基、スルホニル基を有するアルキレン基である。
におけるアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、テトラメチレン基、2−ブチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、メチルテトラメチレン基、ペンタメチレン基、へキシレン基、シクロヘキシレン基、ネオへキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基などが含まれる。アルケニレン基の例としては、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基、ノネニレン基、デセニレン基、ウンデセニレン基、ドデセニレン基などが挙げられ、複数の二重結合を持つアルケニレン基も含まれる。アリーレン基の例としては、フェニレン基、ベンジレン基、ナフチレン基、フェナントリレン基、トリレン基、キシリレン基が含まれる。
におけるアルキレン基としては、電解液非膨潤性の点から炭素数が6以下のものが好ましい。
におけるアルケニレン基としては、電解液非膨潤性の点から炭素数が6以下のものが好ましい。
におけるアリーレン基としては、電解液非膨潤性の点から極性基を有するものが好ましい。
上記式(1)におけるnは0以上の整数であり、通常100以下の整数である。好ましくは1以上、また好ましくは20以下の整数、より好ましくは10以下の整数、更に好ましくは5以下の整数、特に好ましくは3以下の整数である。上記範囲であれば、電解液非膨潤性が保たれ、活物質と電解液との接触を抑制可能である。
上記式(1)におけるR、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、カルボニル結合を有する置換基であり、好ましくは水素原子、アルキル基、カルボニル結合を有する置換基であり、活物質への接着性の点から、水素原子が特に好ましい。
、R及びRにおけるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t-ブチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基が、アリール基の例としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基が、カルボニル結合を有する置換基の例としては、ホルミル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、フェノキシカル
ボニル基、アリルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、メチルカルボニル基やエチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、尿素基、アミド基が含まれる。
、R及びRにおけるアルキル基としては、活物質への接着性の点からメチル基が好ましい。
、R及びRにおけるアリール基としては、活物質への接着性の点からフェニル基が好ましい。
、R及びRにおけるカルボニル結合を有する置換基としては、活物質への接着性の点からホルミル基が好ましい。
また、本発明の化合物(B)は特に限定されないが、本発明の化合物(B)は非水系電解液に難溶性であることが好ましく、より好ましくは難溶性であり且つ水溶性であることが、本発明の非水系二次電池負極用活物質の非水系電解液に対する耐性が向上し、活物質(A)に吸着されている化合物(B)が非水系電解液に溶出しにくくなる。
なお、本明細書でいう化合物の「非水系電解液に難溶性」とは、その化合物を25℃のエチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを3:7の体積比で混合した溶媒に24時間浸漬した場合において、浸漬前後の乾燥重量減少率が10質量%以下であることを意味する。
前記非水系電解液に難溶性であるということは、いわゆるイオン性基を有していることであることが好ましい。本明細書において、イオン性基とは、水中でアニオン又はカチオンを生じうる基であり、その例としては、アニオン性基として、式(1)で示される化学構造のXにおいて、炭素原子もしくは硫黄原子、リン原子、ホウ素原子などのヘテロ原子を有し、具体的にはカルボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ボロン酸基、ボリン酸基等が挙げられ、カチオン性基としては、式(1)で示される化学構造の窒素原子が脂肪族アミノ基であることが挙げられ、活物質(A)の表面に存在するカルボキシル基、アルデヒド基などの官能基に効率的に作用し、活物質(A)の表面の活性を抑制する効果に加え、活物質(A)の表面と化合物(B)との間に高い吸着性を付与することが出来る。脂肪族アミノ基としては、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、四級アンモニウム基が挙げられる。これらの中でも二級アミノ基、三級アミノ基、四級アンモニウム基が好ましく、活物質(A)の表面の官能基との接着性、または反応性が高い点で、二級アミノ基、三級アミノ基が特に好ましく、具体的にはアミノ基、アンモニウム基等が挙げられる。
また、これらイオン性基は、塩であっても良い。前記アニオン性基の塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩やカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩やマグネシウム塩が、前記カチオン性基の塩としては、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩、フッ化水素酸塩、炭酸塩、脂肪族ヒドロキシ酸塩、芳香族ヒドロキシ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アミド硫酸塩、アンモニウム塩等が挙げられ、中でもリチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩が好ましい。これらのイオン性基は、電池内での安定性と抵抗上昇抑制の点から好ましい。
上述したイオン性基は、アニオン性基又はその塩が好ましく、より好ましくはスルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基、ボリン酸基又はその塩であり、スルホン酸基、ボロン酸基又はその塩が特に好ましい。これらの置換基は電池内でリチウムイオンが置換基に配位後、そのリチウムイオンを脱離しやすい傾向があり、リチウムのイオン伝導を妨げないため、結果として、電池の抵抗増大の抑制や、還元条件下において非水系電解液と反応しにくくなりガスを発生する因子を低減させることができる。
また、化合物(B)は、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよいが、低分子化合物の場合、活物質(A)表面に存在するカルボキシル基、アルデヒド基などの官能基と反応出来なかった余剰のアミノ基が少ない分、リチウムイオンとの相互作用が低減するために、負極の抵抗の上昇を抑制できる傾向があることから、低分子化合物が特に好ましい。
以下に本発明の化合物(B)の具体的な態様について詳述する。
化合物(B)の低分子化合物の例としては、アニオン部位としてカルボン酸(塩)、硫酸エステル(塩)、スルホン酸(塩)、リン酸エステル(塩)を、カチオン部位として、アミン、第四級アンモニウム塩を持つものが挙げられ、具体的には、アミノアルキルスルホン酸、アミノアリールスルホン酸、アミノアルキルカルボン酸、カルバミン酸、アミノアルキルリン酸、アミノアリールボロン酸、アミノアルキルホスホン酸、アラニン、並びにそれらのリチウム塩、ナトリウム塩等が挙げられ、中でも活物質への接着性と電解液非膨潤性等の観点から、炭素数が6以下のアミノアルキルスルホン酸、アミノアルキルカルボン酸、アミノアルキルリン酸、アミノアリールボロン酸、並びにそれらのリチウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
アミノアルキルスルホン酸としては、2−アミノエタンスルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、3−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸等、
アミノアリールスルホン酸としては、スルファニル酸、4-アミノ-1-ナフタレンスルホ
ン酸等、
アミノアルキルカルボン酸としては、アミノ酢酸、3−アミノプロパン酸、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノへプタン酸、12−アミノラウリン酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−アミノベンゼンカルボン酸等、
カルバミン酸としては、カルバミン酸エチル、カルバミン酸t−ブチル、カルバミン酸イソプロピル等、
アミノアリールボロン酸としては、3−アミノベンゼンボロン酸、3−アミノフェニルボロン酸ピナコール、4−アミノフェニルボロン酸ピナコール、ジフェニルボリン酸2−アミノエチル、2−(ジメチルアミノカルボニル)エチルボロン酸ピナコールエステル、4−スルファモイルフェニルボロン酸ピナコールエステル、3−アミノカルボキシルフェニルボロン酸ピナコールエステル、3−アミノメチルフェニルボロン酸ピナコールエステル等、
アミノアルキルホスホン酸としては、(アミノメチル)ホスホン酸、(1−アミノエチル)ホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸等、
アラニンとしては、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン等が挙げられるが、これ以外でも上記の条件を満たす構造を有する低分子化合物であれば、いかなるものでも良い。
中でも2−アミノエタンスルホン酸、2−アミノエタンスルホン酸リチウム、3−アミノプロパンスルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸リチウム、3−アミノプロパン酸、3−アミノプロパン酸リチウム、6−アミノヘキサン酸、6−アミノヘキサン酸リチウムが好ましい。
また化合物(B)が式(1)で示される化合物由来の反応生成物である場合、その例として、化合物(B)と活物質の酸性官能基が反応したもの、化合物(B)と電解液やバインダー等の電池成分が反応したもの、化合物(B)同士が反応したもの等が挙げられる。
以上説明した化合物(B)は、市販されているものを使用してもよいし、公知の方法により合成することもできる。
なお、本発明において化合物(B)は低分子化合物、高分子化合物に関わらず、1種の化合物を単独で又は2種以上の化合物を組み合わせて使用することができる。
<その他の成分>
また、本発明に係る非水系二次電池負極用活物質には、負極の安定性や導電性を向上させるために、化合物(B)以外の高分子や導電剤、無機塩を含有させてもよい。このその他の成分は単独で用いられてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
化合物(B)以外の高分子の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリジアリルアミン、アルギン酸ナトリウムなどの多糖類、オリゴ糖類、ポリアミノ酸類、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリアクリルアミド、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸リチウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等が挙げられ、化合物(B)以外の無機塩の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素カルシウム、ホウ酸等が挙げられ、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硫酸リチウム、リン酸二水素リチウムが好ましく、より好ましくは電池内での化学的安定性と化合物(B)との親和性の点からポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリジアリルアミン、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、水酸化リチウム、硫酸リチウム、リン酸二水素リチウム、ホウ酸が挙げられ、これらを2種以上組み合わせた、混合物、反応生成物であっても良い。
導電剤としては、特に限定されず、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラックや、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などを使用することができる。
前記導電剤の添加量は、本発明の非水系二次電池負極用活物質に対して、10質量%以下であることが好ましい。
<非水系二次電池負極用活物質の製造方法>
本発明の非水系二次電池負極用活物質は、活物質(A)、化合物(B)を含むものであり、その製造方法は特に限定されないが、例えば以下の方法によって製造することができる。
(方法1)
(1)化合物(B)を含む溶液(以下、化合物(B)の溶液と呼ぶことがある)を、活物質(A)と混合した後、加熱又は/及び減圧によって乾燥させることによって、活物質(A)、化合物(B)を含有する非水系二次電池負極用活物質を得ることができる。
(方法2)
(2)化合物(B)を含む粒子を、活物質(A)と粉体の状態で混合することによって、活物質(A)、化合物(B)を含有する非水系二次電池負極用活物質を得ることができる。
(方法3)
また、活物質(A)表面を均一に被覆できる点から、化合物(B)を含む溶液、又は化合物(B)を含む粒子と活物質(A)を溶液中で混合した後、その混合液を濾過または乾燥させてもよい。
また、2種類の化合物(B)を混合する場合は、1種類目の化合物(B)を活物質(A)と混合した後、その混合液を濾過または乾燥させることなく、2種類目の化合物(B)を混合してもよいし、1種類目の化合物(B)を活物質(A)と混合した後、その混合液を濾過または乾燥させ、その後に2種類目の化合物(B)を混合してもよい。3種類以上の場合も同様である。
(方法4)
化合物(A)と化合物(B)を混合した後、加熱又は/及び減圧によって未反応の化合物(B)を除去することによって、活物質(A)、化合物(B)を含有する非水系二次電池負極用活物質を得ることができる。
(方法5)
化合物(B)の融点以上の温度で、化合物(A)と化合物(B)混合することによって、活物質(A)、化合物(B)を含有する非水系二次電池負極用活物質を得ることができる。
(方法6)
化合物(A)を溶剤に溶解または懸濁させたコーティング液を、化合物(B)に噴霧し、該溶剤を蒸発させることによって、活物質(A)、化合物(B)を含有する非水系二次電池負極用活物質を得ることができる。
なお、上記化合物(B)の溶液において使用する溶媒は、化合物(B)が溶解すれば、特に限定されないが、好ましくは水やエチルメチルケトン、トルエン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、メタノール等が挙げられる。中でも水、エチルメチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、メタノールがコストや乾燥のし易さからより好ましい。
活物質(A)と混合する際の、溶液中の化合物(B)の濃度は、それぞれ溶媒に対して通常0.01質量%以上、70質量%以下である。この範囲であれば、非水系二次電池負極用活物質中、化合物(B)が活物質(A)の表面に均一に存在することが期待でき、効率的に効果が得られる。
前記溶媒中の化合物(B)の濃度は、好ましくは0.03質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。
ただし、上記の溶媒中の化合物(B)及びその他の成分の濃度は、活物質(A)と接触させる際の溶液の濃度であって、化合物(B)を2種類以上、溶液にて活物質(A)と同時に混合する場合、またはこれらの溶液を混合した後に活物質(A)と混合する場合は、混合する化合物(B)の合計についての濃度であり、化合物(B)の溶液と活物質(A)を混合した後に他方の異なる化合物(B)溶液を加える場合は、化合物(B)の溶液のそれぞれの濃度である。
また、化合物(B)及びその他の成分の添加量は適宜調整可能であり、後述する本発明の非水系二次電池負極用活物質中における好ましい含有量となるように添加量を調節することが好ましい。
化合物(B)の溶液について加熱により乾燥を行なう場合、温度は、通常20℃以上、180℃以下である。この範囲であれば、乾燥効率が十分であり、かつ溶媒残存による電池性能の低下が避けられ、かつ化合物(B)の分解防止や熱重合、活物質(A)と化合物(B)との相互作用が弱くなることによる効果の低減防止を容易に図ることができる。また、活物質(A)と化合物(B)との間で化学反応が起こる場合には、加熱による化学反応の促進により、本発明の効果の向上が期待できる。前記温度は、好ましくは160℃以下であり、また、好ましくは90℃以上である。
化合物(B)の溶液について減圧により乾燥を行なう場合、圧力は、ゲージ圧表記で通常0MPa以下、−0.2MPa以上である。この範囲であれば、比較的効率よく乾燥を
行うことができる。圧力は、好ましくは−0.03MPa以下であり、また、好ましくは−0.15MPa以上である。
乾燥に先立ち、活物質(A)、化合物(B)を含む溶液を濾過してもよい。これにより活物質(A)に付着していない化合物(B)の除去効果が期待できる。
(方法5)
また、(方法1)〜(方法6)の何れかの方法で得られた活物質(A)、化合物(B)を含有した非水系二次電池負極用活物質に対し、更に活物質(A)に記載の活物質を混合しても良い。この際、混合する活物質(A)に記載の活物質としては、非水系二次電池負極用活物質に含有される活物質(A)と同じ材料であっても良いし、他の材料であっても良い。
非水系二次電池負極用活物質に対し、活物質(A)に記載の活物質を混合する場合、非水系二次電池負極用活物質と活物質(A)に記載の活物質の総量に対する活物質(A)に記載の活物質の混合割合は、特に制限はないが、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、また、通常95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下の範囲である。活物質(A)に記載の活物質の混合割合が、前記範囲を下回ると、混合した効果が現れ難い傾向がある。一方、前記範囲を上回ると、化合物(B)を含有することによる特性が現れ難い傾向がある。
なお、本発明において活物質とは、活物質単体(例えば、負極にする前の粉体)のことをいう。そして、本発明の非水系二次電池負極用活物質は、活物質(A)及び化合物(B)を含有するものであるが、これはバインダー等を加え負極を形成する前の材料のことであり、例えば、負極に塗布する活物質スラリーの調製の際に、活物質(A)、バインダ等とともに化合物(B)を添加・混合したものは、活物質(A)及び化合物(B)を含有している非水系二次電池負極用活物質とは異なるものと定義する。但し、本記載は負極に塗布する活物質スラリーの調製の際に、化合物(B)を添加することを除外するものではない。
<非水系二次電池負極用活物質>
このようにして得られる本発明の非水系二次電池負極用活物質においては、化合物(B)が活物質(A)に効果的に吸着していると考えられる。吸着において想定している相互作用としては、π―π相互作用やπ―カチオン相互作用、酸塩基相互作用、ファンデルワールス力、などが考えられ、どの相互作用によるかは化合物(B)の構造に由来する。例えば、アミノ基を有する化合物(B)の場合は、活物質(A)表面に存在するカルボキシル基、アルデヒド基との間で、酸塩基相互作用あるいは化学反応することが想定される。また、芳香環を有し、且つ、スルホン酸基のナトリウム塩を有する化合物(B)の場合には、化合物(B)の芳香環が、黒鉛系負極の場合にはそのベーサル面との間でπ―πのスタッキング相互作用し、また、スルホン酸ナトリウム塩のナトリウムが黒鉛ベーサル面との間でπ―カチオン相互作用することが想定される。
本発明の非水系二次電池負極用活物質において水溶性化合物(B)の含有量は、活物質(A)に対して通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上あり、また通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.75質量%以下の割合で含有されている。
化合物(B)の含有量が少なすぎると、活物質(A)を十分に覆うことが出来ず、非水系電解液の還元分解を十分に抑制することが出来ない。一方、化合物(B)の含有量が多
すぎると、抵抗が高くなってしまう。
非水系二次電池負極用活物質における化合物(B)の含有量は、非水系二次電池負極用活物質の製造時に化合物(B)を含んだ溶液を乾燥させる製造方法を用いた場合には、原則として製造時における化合物(B)の添加量とすることができる。
一方で、例えば、濾過を行なった場合は、得られた本発明の活物質のTG−DTA分析における重量減少、又は濾液に含まれる化合物(B)の量から算出することができる。
(平均粒子径(d50))
また、本発明の非水系二次電池負極用活物質の平均粒子径(d50)は、通常50μm以下とすることができ、また、1μm以上とすることができる。この範囲であれば、負極製造の際に、極板化した際に、負極形成材料の筋引きなどの工程上の不都合が生ずることを防止することができる。
平均粒子径(d50)は、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下であり、また、好ましくは4μm以上、より好ましくは10μm以上である。なお、平均粒子径(d50)の測定方法は、前述した通りである。また、本発明の非水系二次電池負極用活物質の平均粒子径(d50)は、その原料である活物質(A)の平均粒子径(d50)を変更することによって、調整することができる。
(面間隔(d002))
非水系二次電池負極用活物質のX線広角回折法による002面の面間隔(d002)は、通常0.337nm以下、好ましくは0.336nm以下である。d値が大きすぎると結晶性が低下し、放電容量が低下する傾向がある。一方、下限値である0.3356nmは黒鉛の理論値である。
また、非水系二次電池負極用活物質の結晶子サイズ(Lc)は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上の範囲である。この範囲を下回ると、結晶性が低下し、電池の放電容量が低下する傾向がある。
(表面官能基量)
非水系二次電池負極用活物質は、下記式(2)で表される表面官能基量O/C値が通常2%以上であり、好ましくは3%、より好ましくは4%、一方通常30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下である。
この表面官能基量O/C値が小さすぎると、ポリマー偏在、被覆不足であることを示しており、非水系電解液接触防止効果が乏しくなり初期効率・サイクル特性が低下、ガス量が増大する傾向がある。一方、表面官能基量O/C値が大きすぎると、ポリマーの過剰被覆状態を示しており、抵抗の増大を招き、入出力特性が低下する傾向がある。
式(2)
O/C値(%)={X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度}×100
本発明における表面官能基量O/C値はX線光電子分光法(XPS)を用いて以下のように測定することができる。
X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器を用い、測定対象を表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとO1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそれぞれ算出する。得られたそのOとCの原子濃度比O/C(O原子濃度/C原子濃度)を
試料(鱗片状複合粒子(A))の表面官能基量O/C値と定義する。
(BET比表面積(SA))
非水系二次電池負極用活物質のBET法で測定した比表面積については、通常0.1m/g以上、好ましくは0.7m/g以上、より好ましくは1m/g以上である。また、通常20m/g以下、好ましくは15m/g以下、より好ましくは12m/g以下、更に好ましくは11m/g以下、特に好ましくは8m/g以下である。また、非水系二次電池負極用活物質の比表面積は、通常、活物質(A)の比表面積より大きくなる傾向がある。
比表面積が小さすぎると、リチウムイオンが出入りする部位が少なく、高速充放電特性及び出力特性に劣り、一方、比表面積が大きすぎると、活物質の非水系電解液に対する活性が過剰になり、初期不可逆容量が大きくなるため、高容量電池を製造できない傾向がある。
なおBET比表面積の測定方法は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。
(タップ密度)
非水系二次電池負極用活物質のタップ密度は、通常0.5g/cm以上、0.6g/cm以上が好ましく、0.7g/cm以上がより好ましい。また、通常1.5g/cm以下、1.2g/cm以下が好ましく、1.1g/cm以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、導電パス切れ抑制効果の低減によりサイクル特性の低下を招く場合がある。
また、非水系二次電池負極用活物質のタップ密度は、通常、活物質(A)のタップ密度と同程度またはそれより小さくなる傾向がある。
<導電助剤との混合>
本発明の非水系二次電池負極用活物質は、負極の導電性を向上させるために、導電助剤を含有させてもよい。導電助剤は、特に限定されず、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、カーボンナノファイバーなどの導電性繊維、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などが挙げられる。
導電助剤の添加量は、本発明の非水系二次電池負極用活物質に対して、10質量%以下であることが好ましい。
[非水系二次電池用負極]
本発明の非水系二次電池用負極は、集電体と、集電体上に形成された活物質層を備え、かつ前記活物質層が少なくとも本発明の非水系二次電池負極用活物質を含有するものである。前記活物質層は、好ましくは、さらにバインダを含有する。
前記バインダは、特に限定されないが、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものが好ましい。その具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。
このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダを用いることにより、活物質層の非水系電解液に対する膨潤性を低減することができる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
このような分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダと、本発明の非水系二次電池負極用活物質とを組み合わせて用いることにより、負極板の機械的強度を高くすることができる。負極板の機械的強度が高いと、充放電による負極の劣化が抑制され、サイク
ル寿命を長くすることができる。
分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダは、分子量が大きいもの及び/又は不飽和結合の割合が大きいものが好ましい。
バインダの分子量としては、重量平均分子量は通常1万以上、100万以下である。この範囲であれば、機械的強度及び可撓性の両面を良好な範囲に制御できる。重量平均分子量は、好ましくは5万以上であり、また、好ましくは30万以下の範囲である。
バインダの分子内のオレフィン性不飽和結合の割合としては、全バインダ1g当たりのオレフィン性不飽和結合のモル数は通常2.5×10−7モル以上、5×10−6モル以下である。この範囲であれば、強度向上効果が十分に得られ、可撓性も良好である。前記モル数は、好ましくは8×10−7以上であり、また、好ましくは1×10−6以下である。
また、オレフィン性不飽和結合を有するバインダについては、その不飽和度は通常15%以上、90%以下である。不飽和度は、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上であり、また、好ましくは80%以下である。本願明細書において、不飽和度とは、ポリマーの繰り返し単位数に対する二重結合の割合(%)を表す。
バインダとして、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、使用することができる。分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダにオレフィン性不飽和結合を有さないバインダを併用することによって、本発明の活物質やバインダを含有する負極形成材料の塗布性等の向上が期待できる。
オレフィン性不飽和結合を有するバインダに対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの混合比率は、活物質層の強度が低下することを抑制するため、通常150質量%以下、好ましくは120質量%以下である。
前記オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸又はこれらポリマーの金属塩;ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー又はこれらの共重合体などが挙げられる。
本発明に係る非水系二次電池用負極は、本発明の非水系二次電池負極用活物質と、場合によってバインダや導電剤を分散媒に分散させてスラリー(負極形成材料)とし、これを集電体に塗布、乾燥することにより形成することができる。前記分散媒としては、アルコールなどの有機溶媒や、水を用いることができる。
スラリー調製の際には、活物質(A)に、バインダ等とともに化合物(B)を添加・混合して、本発明の非水系二次電池負極用活物質の製造及び負極作製用スラリーの調製を同時に行ってもよい。
前記バインダは、本発明の非水系二次電池負極用活物質に対して通常は0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上用いる。バインダの割合を本発明の活物質に対して0.1質量%以上とすることで、活物質相互間や活物質と集電体との結着力が十分となり、負極から本発明の活物質が剥離することによる電池容量の減少およびサイクル特性の悪化を防ぐことができる。
また、バインダは本発明の非水系二次電池負極用活物質に対して通常10質量%以下、7質量%以下とすることが好ましい。バインダの割合を本発明の活物質に対して10質量
%以下とすることにより、負極の容量の減少を防ぎ、かつ非水系二次電池がリチウムイオン電池である場合のリチウムイオンの活物質への出入が妨げられるなどの問題を防ぐことができる。
これらの構成成分を混合した後、必要に応じて脱泡を行い、負極形成材料であるスラリーを得る。
上記負極集電体としては、従来この用途に用い得ることが知られている公知の物を用いることができる。例えば、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタンおよび炭素などを用いることができる。
前記集電体の形状は通常はシート状であり、その表面に凹凸をつけたもの、ネット又はパンチングメタルなどを用いるものも好ましい。
二次電池用の負極とした際の本発明の活物質層の密度は、用途により異なるが、車載用途やパワーツール用途などの入出力特性を重視する用途においては、通常1.1g/cm以上、1.65g/cm以下である。この範囲であれば、密度が低すぎることによる粒子同士の接触抵抗の増大を回避することができ、一方、密度が高すぎることによるレート特性の低下も抑制することができる。
前記密度は、好ましくは1.2g/cm以上、さらに好ましくは1.25g/cm以上である。
一方携帯電話やパソコンといった携帯機器用途などの容量を重視する用途では、活物質層の密度は通常1.45g/cm以上、1.9g/cm以下である。この範囲であれば、密度が低すぎることによる単位体積あたりの電池の容量低下を回避することができ、一方、密度が高すぎることによるレート特性の低下も抑制することができる。
前記密度は、好ましくは1.55g/cm以上、さらに好ましくは1.65g/cm以上、特に好ましくは1.7g/cm以上である。
<非水系二次電池>
本発明に係る非水系二次電池の基本的構成は、例えば、公知のリチウムイオン二次電池と同様とすることができ、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備え、前記負極は上述した本発明に係る非水系二次電池用負極である。
<正極>
正極は、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備えることができる。活物質層は、正極用活物質の他に、好ましくはバインダを含有する。
正極用活物質としては、リチウムイオンなどのアルカリ金属カチオンを充放電時に吸蔵、放出できる金属カルコゲン化合物などが挙げられる。中でもリチウムイオンを吸蔵・放出可能な金属カルコゲン化合物が好ましい。
金属カルコゲン化合物としては、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物、マンガン酸化物、クロム酸化物、チタン酸化物、タングステン酸化物などの遷移金属酸化物;バナジウム硫化物、モリブデン硫化物、チタン硫化物、CuSなどの遷移金属硫化物;NiPS、FePS等の遷移金属のリン−硫黄化合物;VSe、NbSeなどの遷移金属のセレン化合物;Fe0.250.75、Na0.1CrSなどの遷移金属の複合酸化物;LiCoS、LiNiSなどの遷移金属の複合硫化物等が挙げられる。
中でも、リチウムイオンの吸蔵・放出の観点から、V、V13、VO、Cr、MnO、TiO、MoV、LiCoO、LiNiO、LiMn、TiS、V、Cr0.250.75、Cr0.50.5などが好ましく、LiCoO、LiNiO、LiMnや、これらの遷移金属の一
部を他の金属で置換したリチウム遷移金属複合酸化物が特に好ましい。
これらの正極活物質は、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
正極用のバインダは、特に限定されず、公知のものを任意に選択して用いることができる。例としては、シリケート、水ガラス等の無機化合物や、テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン等の不飽和結合を有さない樹脂などが挙げられる。中でも好ましいのは、酸化反応時に分解しにくいため、不飽和結合を有さない樹脂である。
バインダの重量平均分子量は、通常1万以上とすることができ、また、通常300万以下とすることができる。重量平均分子量は、好ましくは10万以上であり、また、好ましくは100万以下である。
正極活物質層中には、正極の導電性を向上させるために、導電助剤を含有させてもよい。導電助剤は、特に限定されず、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種の金属の繊維、粉末、箔などが挙げられる。
本発明の正極は、上述したような負極の製造方法と同様にして、活物質と、場合によりバインダ及び/又は導電助剤を分散媒に分散させてスラリーとし、これを集電体表面に塗布することにより形成することができる。正極の集電体は、特に限定されず、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)などが挙げられる。
<電解質>
電解質(「非水系電解液」と称することもある。)は、特に限定されず、非水系溶媒に電解質としてリチウム塩を溶解させた非水系電解液や、該非水系電解液に有機高分子化合物等を添加することによりゲル状、ゴム状、または固体シート状にしたものなどが挙げられる。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は、特に限定されず、公知の非水系溶媒を用いることができる。
例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
非水系溶媒は、単独でも、2種以上を併用してもよい。混合溶媒の場合は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒の組み合わせが導電性と粘度のバランスから好ましく、環状カーボネートが、エチレンカーボネートであることが好ましい。
非水系電解液に使用されるリチウム塩も特に制限されず、公知のリチウム塩を用いることができる。例えば、LiCl、LiBrなどのハロゲン化物;LiClO、LiBrO、LiClOなどの過ハロゲン酸塩;LiPF、LiBF、LiAsFなどの無機フッ化物塩などの無機リチウム塩;LiCFSO、LiCSOなどのパーフルオロアルカンスルホン酸塩;Liトリフルオロメタンスルフォニルイミド((CFSONLi)などのパーフルオロアルカンスルホン酸イミド塩などの含フッ素有機リチウム塩などが挙げられる。中でもLiClO、LiPF、LiBFが好ましい。
リチウム塩は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、0.5mol/L以上、2.0mol/L以下の範囲とすることができる。
上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませることで、ゲル状、ゴム状、或いは固
体シート状にして使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
上述の非水系電解液は、さらに被膜形成剤を含んでいてもよい。
被膜形成剤の具体例としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネートなどのカーボネート化合物;エチレンサルファイド、プロピレンサルファイドなどのアルケンサルファイド;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物などの酸無水物などが挙げられる。
非水系電解液にはさらに、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていてもよい。
上記各種添加剤を用いる場合、初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼさないようにするために、添加剤の総含有量は非水系電解液全体に対して通常10質量%以下とすることができ、中でも8質量%以下、さらには5質量%以下、特に2質量%以下の範囲が好ましい。
また、電解質として、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもできる。
高分子固体電解質としては、前述のポリエーテル系高分子化合物にLi塩を溶解させたものや、ポリエーテルの末端水酸基がアルコキシドに置換されているポリマーなどが挙げられる。
<その他>
正極と負極との間には、通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多孔性のセパレータを介在させることができ、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸させて用いることが便利である。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
非水系二次電池の形態は特に限定されず、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ;ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ;ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状及び大きさにして用いることができる。
非水系二次電池を組み立てる手順も特に限定されず、電池の構造に応じて適切な手順で組み立てることができる。例えば、外装ケース上に負極を乗せ、その上に非水系電解液とセパレータを設け、さらに負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板と共にかしめて電池にすることができる。
次に実施例により本発明の具体的態様をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例
によって限定されるものではない。以下における平均粒子径(d50)は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液10mLに、試料0.01gを懸濁させ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(商品名:HORIBA製LA−920)に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定した値である。
<実施例1>
(1)非水系二次電池負極用活物質aの調製
活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子(50g)を用い、その黒鉛と添着化合物(B)(東京化成工業株式会社製2−アミノエタンスルホン酸)0.125gに蒸留水49.875gを添加して溶解させたものをオイルバスに浸したフラスコに入れた。攪拌しながらオイルバスを95℃に加温して水を留去し、粉末状の非水系二次電池負極用活物質aを得た。
(2)スラリー調製
上記で調製した非水系二次電池負極用活物質a10gとカルボキシメチルセルロース水溶液(1質量%)10gを混合し、混練機(あわとり練太郎,株式会社シンキー製)によって混練した後(混練:2000rpm,5min;脱泡:2200rpm,1min)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)−水分散液(40質量%)0.25gを加え、再び上記と同様の条件で混練を行って活物質スラリーAを調製した。
(3)極板作製
銅箔(厚さ18μm)をテスター産業製Auto Film Applicatorにのせ、陰圧により吸着させた。実施例及び比較例で作製した炭素材料スラリーを銅箔上に適量のせ、テスター産業製フィルムアプリケータを10mm/secの速さで掃引させることにより、前記活物質スラリーAを塗布した。
活物質スラリーAを塗布した銅箔をイナートオーブン(EPEC−75,株式会社いすゞ
製作所製)中で乾燥させた(90℃,50min,窒素気流10L/min)。
その後、極板をプレス機(3tメカ式精密ロールプレス)に通して活物質層を圧縮し、活物質層の密度が1.60±0.03g/cmになるよう調整し、電極シートを得た。
(4)ラミネートセル作製
正極活物質としてニッケルマンガンコバルト酸リチウム(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)を用い、これに導電剤とバインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ15μmのアルミ箔に塗布して乾燥し、プレス機で圧延したものを、正極活物質層のサイズとして幅30mm、長さ40mm及び集電用の未塗工部を有する形状に切り出して正極とした。正極活物質層の密度は2.6g/cmであった。
負極は、上記<極板作製>で作製した電極シートを活物質層のサイズとして幅32mm、長さ42mm及び集電部タブ溶接部として未塗工部を有する形状に切り出し、負極とした。この時の負極の活物質層の密度は1.6g/cmであった。
正極1枚と負極1枚をそれぞれの活物質面が対向するように配置し、電極の間に多孔製ポリエチレンシートのセパレータが挟まれるようにした。この際、正極活物質面が負極活物質面内から外れないよう対面させた。
この正極と負極それぞれについての未塗工部に集電タブを溶接して電極体としたものを、ポリプロピレンフィルム、厚さ0.04mmのアルミニウム箔、及びナイロンフィルムをこの順に積層したラミネートシート(合計厚さ0.1mm)を用いて、内面側に前記ポリプロピレンフィルムがくるようにしてラミネートシートではさみ、非水系電解液を注入
するための一辺を除いて、電極のない領域をヒートシールした。
その後、活物質層に非水系電解液(エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)=3/3/4(体積比)に1.0mol/Lの濃度でヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を溶解させたもの)を200μL注入して、電極に充分浸透させ、密閉して、ラミネートセルを作製した。この電池の定格容量は34mAhである。
(5)ラミネートセルのコンディショニング
25℃環境下で、電圧範囲4.2〜3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)のお4サイクルの充放電を行い、初期コンディショニングとした。
(6)ラミネートセルの保存ガス量測定
ラミネートセルのコンディショニング後、85℃160時間の保存試験前後それぞれにおいてラミネートセルの体積測定を行い、その総変化量を保存ガス量(mL/セル)とみなした。なおラミネートセルの体積測定は、エタノールを浸漬液としてアルキメデス法により行った。
(7)ラミネートセルの抵抗の測定
25℃の環境下において、上記ラミネートセルを0.2Cの定電流充電によってSOC50%の充電状態に調整した。このセルについて、25℃の環境下で交流インピーダンス測定を行った。そして得られたCole―Coleプロットに現れる正極及び負極を併せた円弧の直径を抵抗(Ω)とした。
(8)保存後容量
下記式に従って、残存容量を算出した。
残存容量(%)=(85℃160時間後の電池容量)/(初期電池容量)
<実施例1>
活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子(50g)を用い、その黒鉛と化合物(B)として2−アミノエタンスルホン酸(東京化成工業株式会社製)0.125gに蒸留水49.875gを添加して溶解させたものをオイルバスに浸したフラスコに入れた。攪拌しながらオイルバスを95℃に加温して水を留去し、粉末状の非水系二次電池負極用活物質aを得、実施例1と同様にして評価を実施した。
<実施例2>
活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子(50g)を用い、その黒鉛と化合物(B)として2−アミノエタンスルホン酸(東京化成工業株式会社製)0.25gに蒸留水49.75gを添加して溶解させたものをオイルバスに浸したフラスコに入れた。攪拌しながらオイルバスを95℃に加温して水を留去し、粉末状の非水系二次電池負極用活物質bを得、実施例1と同様にして評価を実施した。
<実施例3>
活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子(50g)を用い、その黒鉛と化合物(B)として3−アミノプロパンスルホン酸(東京化成工業株式会社製)0.278gに蒸留水49.722gを添加して溶解させたものをオイルバスに浸したフラスコに入れた。攪拌しながらオイルバスを95℃に加温して水を留去し、粉末状の非水系二次電池負極用活物質cを得、実施例1と同様にして評価を実施した。
<実施例4>
活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子(50g)を用い、その黒鉛と化合物(B)として2−アミノエタンスルホン酸(東京化成工業株式会社)0.25gおよび水酸化リチウム(和光純薬工業製)0.0478gに蒸留水49.7022gを添加して溶解させたものをオイルバスに浸したフラスコに入れた。攪拌しながらオイルバスを95℃に加温して水を留去し、粉末状の非水系二次電池負極用活物質d
を得、実施例1と同様にして評価を実施した。
<実施例5>
活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子(50g)を用い、その黒鉛と化合物(B)として3−アミノプロパンスルホン酸(東京化成工業株式会社製)0.178gに蒸留水49.822gを添加して溶解させたものをオイルバスに浸したフラスコに入れた。攪拌しながらオイルバスを95℃に加温して水を留去し、粉末状の非水系二次電池負極用活物質eを得、実施例1と同様にして評価を実施した。
<実施例6>
活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子(50g)を用い、その黒鉛と化合物(B)として6−アミノヘキサン酸(東京化成工業株式会社製)0.262gに蒸留水49.738gを添加して溶解させたものをオイルバスに浸したフラスコに入れた。攪拌しながらオイルバスを95℃に加温して水を留去し、粉末状の非水系二次電池負極用活物質fを得、実施例1と同様にして評価を実施した。
<比較例1>
添着化合物(B)を含有せず、活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)のみからなる非水系二次電池負極用活物質gを用い、実施例1と同様にして評価を実施した。
<比較例2>
活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子(50g)を用い、その黒鉛とアミルアミン(東京化成工業株式会社製)0.25gに蒸留水49.75gを添加して溶解させたものをオイルバスに浸したフラスコに入れた。攪拌しながらオイルバスを95℃に加温して水を留去し、粉末状の非水系二次電池負極用活物質hを得、実施例1と同様にして評価を実施した。
<比較例3>
活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子(50g)を用い、その黒鉛とベンジルアミン(東京化成工業株式会社製)0.25gに蒸留水97.5gを添加して希釈したもの)をオイルバスに浸したフラスコに入れた。攪拌しながらオイルバスを95℃に加温して水を留去し、粉末状の非水系二次電池負極用活物質iを得、実施例1と同様にして評価を実施した。
<比較例4>
活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子(50g)を用い、その黒鉛とポリアリルアミン(ニットーボーメディカル株式会社製PAA−03)0.25gに蒸留水97.5gを添加して希釈したもの)をオイルバスに浸したフラスコに入れた。攪拌しながらオイルバスを95℃に加温して水を留去し、粉末状の非水系二次電池負極用活物質jを得、実施例1と同様にして評価を実施した。
以上の評価結果を下記表1に示す。
Figure 2016225135
活物質(A)、化合物(B)を含有した非水系二次電池負極用活物質(実施例1、2、3、4、5、6)は、添加化合物を含有していない比較例1やアミン部のみを有する化合物を含有した比較例2、3、高分子を含有した比較例4のそれぞれの非水系二次電池負極用活物質と比較して、ガス発生量が低減されていることが分かった。実施例1、2、3、4、5、6では、アミン部に加え極性官能基を有する化合物(B)を活物質(A)に被覆しており、極性官能基と非水系電解液の親和性が低いので、電解液が活性な黒鉛表面に近づくことが出来なくなり、活物質(A)表面との接触による電解液の還元分解等の副反応が抑制されるため、ガス発生量が低減されていると考えられる。
また、アミン部位に加え、ヘテロ原子を含む極性官能基を有する化合物(B)を含有した非水系二次電池負極用活物質を用いた実施例1、2、3、4の場合、保存試験後の残存容量が比較例1に比べて向上していた。ヘテロ原子を含むことにより極性がより高くなっているため、電解液の還元分解等の副反応抑制効果が高まったものと考えられる。
さらに、低分子である化合物(B)を活物質(A)に被覆した実施例1、2、3、4、5、6においては、高分子である化合物を活物質(A)に被覆した比較例4に比べて、被覆による抵抗上昇が起こりにくい傾向が見られた。高分子については、活物質(A)表面での占有体積が大きいため、リチウムイオン伝導の妨げになっているためと考えられる。またアミン部に加え極性官能基を有する化合物(B)を活物質(A)に被覆した実施例1、2、3、4、5、6においては、表面に存在する極性官能基が、電解液が配位したリチウムイオンが接近した際に、脱溶媒和場として働くことが、抵抗上昇を抑制する上で効果的であると考えられる。
本発明に係る非水系二次電池負極用活物質は、非水系二次電池において、非水系二次電池負極用活物質として使用した場合、加温試験におけるガスの発生や容量損失を抑制することが可能であり、さらに表面改質による抵抗上昇を起こしにくい非水系二次電池用負極材が得られることを見出した。
そのため、本発明に係る非水系二次電池負極用活物質は、入出力特性を重視する車載用
途やパワーツール用途などの非水系二次電池に有用であると同時に、容量を重視する携帯電話やパソコンといった携帯機器用途などの非水系二次電池にも有用である。

Claims (7)

  1. リチウムイオンの挿入・脱離が可能な活物質(A)と、化合物(B)とを含有する非水系二次電池負極用活物質であって、該化合物(B)が下記式(1)で示される化合物、下記式(1)で示される化合物由来の反応生成物、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、非水系二次電池負極用活物質。
    Figure 2016225135
    (式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基
    、またはカルボニル結合を有する置換基、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、またはアリーレン基で、任意の位置がエーテル結合、スルホニル基、カルボニル基、エステル結合で置換されていても良く、Xは炭素原子またはヘテロ原子、Rは酸素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、nは0以上の整数、nは0〜2の整数、nは1又は2の整数、n+nは1〜3の整数、nは0又は1の整数を示す。)
  2. 化合物(B)がスルホン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、ホスホン酸基及びボロン酸基、並びにそれらの塩からなる群よりより選ばれる少なくとも一種のアニオン性基を持ち、さらに、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、及び第四級アンモニウム基、並びにそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種のカチオン性基を同一構造中に有する請求項1に記載の非水系二次電池負極用活物質。
  3. 化合物(B)が非水系電解液に難溶である、請求項1又は2に記載の非水系二次電池負極用活物質。
  4. 化合物(B)が前記活物質(A)に対して、0.1 〜5質量%含まれる請求項1〜3
    のいずれか一項に記載の非水系二次電池負極用活物質。
  5. 活物質(A)が人造黒鉛、天然黒鉛、非晶質炭素、シリコン、シリコン酸化物、錫、及び錫酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水系二次電池負極用活物質。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水系二次電池負極用活物質を用いて形成される、非水系二次電池用負極。
  7. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備える非水系二次電池であって、前記負極が請求項6に記載の非水系二次電池用負極である、非水系二次電池。
JP2015110253A 2015-05-29 2015-05-29 非水系二次電池負極用活物質並びにそれを用いた負極及び非水系二次電池 Pending JP2016225135A (ja)

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