JP2016222970A - 高清浄鋼とその精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】REM添加鋼における介在物組成の制御精度の向上ならびにREM酸硫化物による清浄性の悪化を抑制する。【解決手段】質量%で、C:0.002〜0.4%、Mn:0.1〜2%、Si:0.001〜1%、S:0.001〜0.005%、Al:0.005〜1%、N:0.007%以下、O:0.005%以下、Ca:0.001〜0.0045%を含有し、La,Ce,Ndの1種以上を合計で0.0005〜0.0035%含有し、非金属介在物中のLa,Ce,Ndの硫化物濃度の合計が質量%で5〜27%である高清浄鋼。溶鋼にLa2O3、Ce2O3、Nd2O3から選ばれる1種又は2種以上とCa又はCa合金とを混合したフラックスを添加することで製造する高清浄鋼の製錬方法。【選択図】図1

Description

本発明は造船材、ラインパイプ、電磁鋼板等に用いられる高清浄鋼とその精錬方法に関し、詳しくは、鋼中ランタノイド濃度を精密に制御することにより鋼中非金属介在物中REM硫化物の濃度を適正に制御することで高い清浄性を有した高清浄鋼とその精錬方法に関する。
耐食性向上、靭性向上あるいは加工性向上などを目的に、従来から鋼中の非金属介在物(以下、介在物)の低減や無害化を図る技術が多数開発されてきた。特に、介在物の低減には処理時間延長など工業的制約が生じやすいことから、介在物を無害化する形態制御について多くの技術が開発されている。例えば、Caを溶鋼に添加することで介在物をCaO含有酸硫化物とすることで介在物の球状化やMnS抑制を行う技術は良く知られている。
さらに、近年ではLa,Ce,NdといったREMやREM酸化物系介在物を活用することで鋳造性向上や鋼材性能向上を図る技術が開発されている。
例えば、特許文献1ではREMを0.001〜0.05%を含有させることで表面清浄性と耐リジング性を向上させる技術が、特許文献2ではREMを0.0001〜0.03%含有したステンレス鋼を溶製する際に鋼中Al濃度とREM濃度を適正条件に制御することで鋳造性を改善する技術が示されている。
また、特許文献3では鋼中REM濃度を0.001〜0.0044%とし、かつ、介在物中REM酸化物濃度を適正範囲に制御することで鋳造性と表面性状および内質に優れた鋳片を得る技術が、特許文献4、特許文献5では介在物中のCaOとREM酸化物との濃度を適正に制御することで表面性状を改善させる技術が示されている。
以上のようにREMもしくはREMとREM酸化物介在物を活用する技術が多数開発されてきた。
一方で、溶鋼へのREM添加技術ではREMを含んだ介在物による清浄性の悪化やノズル閉塞による生産性の低下といった課題がある。そのため、これら課題を回避するために前述した既往技術では溶鋼成分や介在物組成を詳細に調査し、課題解決のための鋼成分や介在物組成等に関する適正条件も示されてきた。
特開2001−279388号公報 特開2001−192723号公報 特開2006−97110号公報 特開平11−343516号公報 特開2000−8138号公報
しかし、既往技術では二つの以下の課題があった。第一の課題は鋼成分や介在物組成の制御精度であり、第二の課題はREM酸硫化物による清浄性の悪化である。
第一の課題について説明する。既往技術にも記載されている通り、適正とされるREM濃度条件や介在物組成条件は狭い範囲に限定されている。つまり、溶鋼中REM濃度を狭い範囲に制御することが求められる。通常の元素であれば溶鋼への添加量を正確に秤量することで濃度を制御することが可能であるが、溶鋼中のO,Sならびに介在物中のO,Sと強い親和性を有するREMではこれらO,Sとの反応によってREM濃度が変化してしまうため、添加量を調整しても濃度制御が困難であった。従って、溶鋼成分を高精度で制御できないために介在物組成を狭い範囲に制御することが困難であった。
第二の課題について説明する。REM酸化物系介在物については十分な検討が行われ適正条件が導出されてきたが、REMとSとの反応によって生成するREM硫化物については不明確な点が多く、REM硫化物による清浄性の悪化や酸化物介在物制御精度の低下の要因となっていた。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、介在物、特に介在物中REM硫化物濃度を適正とすることで鋼の清浄性を格段に向上した鋼、および工業的に鋼中REM濃度を容易に高精度で制御する高清浄鋼とその精錬方法を提供することにある。
本発明者等は上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、介在物中のREM硫化物濃度を所定の範囲に制御すると鋼の清浄性が向上することを見出した。
本発明は以上の知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1) 質量%で、C:0.002%以上0.4%以下、Mn:0.1%以上2%以下、Si:0.001%以上1%以下、S:0.001%以上0.005%以下、Al:0.005%以上1%以下、O:0.005%以下、Ca:0.001%以上0.0045%以下を含有し、かつ、La,Ce,Ndのうちの1種又は2種以上を合計濃度が0.0005%以上0.0035%以下含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼であって、非金属介在物中のLa,Ce,Ndの硫化物濃度の合計が質量%で5%以上27%以下であることを特徴とする高清浄鋼。
(2) さらに質量%で、Cu≦1%、Ni≦10%、Ti≦0.7%、Nb≦0.5%、V≦0.5%の1種以上を含有することを特徴とする(1)に記載の高清浄鋼。
(3) 溶鋼にLa23、Ce23、Nd23からなる群から選ばれる一種または二種以上とCaまたはCa合金とを混合したフラックスを添加することを特徴とする(1)又は(2)に記載の高清浄鋼の精錬方法。
(4) 前記フラックスが、La23、Ce23、Nd23からなる群から選ばれる一種または二種以上のフラックス中質量濃度Rとフラックス中Ca質量濃度Cとの比R/Cが0.5以上2.0以下であることを特徴とする(3)に記載の高清浄鋼の精錬方法。
(5) 前記フラックスの添加をRH式真空脱ガス処理装置において、実施することを特徴とする(3)または(4)に記載の高清浄鋼の精錬方法。
本発明により、高清浄高機能鋼を効率よく、しかも安定的に製造することができる。
Ca−Al−REM−O−S系介在物中REM硫化物濃度の関係と規格化介在物個数との関係を示す図 R/Cと介在物A濃度の関係を示す図
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の処理対象となる鉄以外の鋼成分を以下の理由により特定した。なお、本明細書において、鋼組成およびREM濃度(詳細は後述。)における「%」は特にことわりがない場合は「質量%」を意味する。
C:Cは減圧下で脱酸元素として作用する他に、S,Nの活量に影響する。このため、Cが0.002%未満では低酸素化効果が不安定となり、0.4%を超えて高くなるとSの活量が大きく変化し、反応機構が変化してしまう。そこで、Cは0.002%以上0.4%以下とした。
Mn:Mnも脱酸元素であり、各種鋼材特性を改善することから、必須元素である。従って、0.1%未満では脱酸が不安定になり、2%を超えて高くなるとSの活量を低下させ、脱硫を困難とする。従って、Mn濃度は0.1%以上2%以下とした。
Si:SiもMn同様脱酸安定に欠くことのできない元素であるが、0.001%未満では脱酸が不安定となり、1%を超えて高くなると介在物中のSiO2濃度が高くなり、本発明が意図する介在物組成への制御が困難となる。よって、Siは0.001%以上1%以下とする。
Al:Alは最も強い脱酸力を有する元素であるため、低O、低Sかつ低Nを実現するためには必須である。この脱酸効果を得るには0.005%以上が必要である。一方、1%を超えて高くなると再び溶解酸素濃度が高くなって低Oを実現することが困難となるため、1%以下が必要である。
S:Sは除去対象元素であるが、0.005%を超えて高くなると、REM,Caなどの硫化物に加えMnSが多数生成し、介在物制御精度が低下する。一方、0.001%未満では脱硫剤使用量が大幅に増加するため、コストが増加する。そこで、本発明では0.001%以上0.005%以下の溶鋼を処理対象とした。
O:Oは除去対象元素であるが、Si,AlおよびMnが上記の濃度範囲にあると、O濃度が0.005%を超えて高い場合には、大量に非金属介在物(以下、「介在物」という。)が溶鋼中に存在することとなる。よって、O濃度は0.005%以下とした。
Ca:Caは脱酸や脱硫に有効な元素であると同時に介在物形態制御にも有効である。Ca濃度が0.001%未満では脱酸が不足するため、脱酸に要するREMが増加するためREM添加量が増加しコストが増加してしまう。Ca濃度が0.0045%を超えて高くなるとCaS介在物の生成が活発となり、本発明の意図するREM硫化物の生成を抑制する。よって、本発明ではCaは0.001%以上0.0045%以下とした。
その他に強度や耐食性の確保を目的にCu≦1%、Ni≦10%、Ti≦0.7%、Nb≦0.5%、V≦0.5%の1種以上の成分を必要に応じて添加してもよい。
次に、La,Ce,Ndの濃度について説明する。
La、Ce,Nd:これらREMは本発明の目的とする清浄鋼を得るための介在物の構成元素であり、1種または2種以上を添加する。これらの濃度が合計で0.0005%未満では介在物中にREM化合物を形成させることができない。一方、0.0035%を超えて高くなるとSの活量を低減してしまい、Sと介在物との反応速度が低下することが予測される。よって、本発明ではLa,Ce,Ndの合計濃度を0.0005%以上0.0035%以下とした。
次に介在物中La,Ce,Nd硫化物濃度の合計を5%以上27%以下とした理由を説明する。
REM添加溶鋼中ではLa,CeなどのREMが溶鋼中O,Sと結合して、酸化物と硫化物を形成するが、本発明のようにAl脱酸を行っている場合は主として硫化物の挙動が介在物個数に影響すると考えた。
そこで、真空溶解炉で50kg溶鋼を前述した成分範囲に調整し、La、Ce、Ndを単独または混合で所定量添加して5分後に鋳型に鋳込んで凝固させ、鋼中介在物組成をEPMAにて測定した。また、介在物個数は同一サンプルを光学顕微鏡により観察し、5μm以上の介在物個数を計測した。なお、観察面積400mm2である。介在物はCa−Al−REM−O−S系介在物が主体であり、測定した全介在物中のCa−Al−REM−O−S系介在物の割合は91.5%以上であった。介在物中のS,O,REM濃度から介在物中のREM硫化物の濃度(以下、A濃度と称する。)を測定した。介在物組成をEPMAにより分析し、REMとSのみが共存する領域の面積を測定し、その領域面積と介在物面積の比を用いて介在物全体の各元素の濃度からA濃度を算出した。A濃度と介在物個数との関係を図1に示す。本実験ではA濃度が0%の時の介在物個数を用いて規格化した。
図1からA濃度(介在物中REM硫化物濃度)が5%未満では介在物個数が増加していることが解る。これは、溶鋼中のREMが不足することによりCa−Al−REM−O−S系介在物によるS捕捉吸収能が低下した結果、CaSが生成したことによる。一方、A濃度が27%を超えて高くなると介在物個数が増加する。A濃度が高くなると介在物の比重が溶鋼比重に近付くため、介在物の浮上分離が抑制されるためと考えられる。一方、A濃度を5%以上27%以下とすることでCaS生成抑止と介在物浮上分離の両者が満足されるため介在物個数を低減することが可能となる。
以上のように非金属介在物中のLa,Ce,Ndの硫化物濃度の合計が5%以上27%以下とすることで、REMを添加しない溶鋼よりも清浄性を高めることが可能となる。
次にA濃度(介在物中REM硫化物濃度)を5%以上27%以下とするための精錬方法について説明する。
前述したようにA濃度を調整することで清浄性に優れた鋼を得ることができるが、Sと親和力の強いREMを用いて、かつ、介在物中REM硫化物濃度を27%以下と低位に安定的に制御することは容易ではない。低A濃度の介在物と平衡する溶鋼中REM濃度は数十ppm以下と低く、かつ、A濃度には適正下限が存在することから、溶鋼中REM濃度をppm単位の狭い幅に制御する必要がある。このような低濃度域のためである。溶鋼に金属Ceやミッシュメタル合金を直接添加した場合、REM濃度が取鍋内溶鋼中で均一濃度まで混合される前にREMと介在物、S,Oとの反応が開始されてしまうために、均一混合後の濃度が目的とした濃度とならず、結果的に介在物組成を目標の範囲に精度よく制御することが困難となる。
そこで、本発明者らは直接溶鋼に金属REMを添加する方法ではなく、化学反応を利用して溶鋼にREMを供給する方法を検討した。金属や合金でREMを添加すると均一混合前に溶解して意図しない反応が進行してしまうことは前述した通りであるが、これを回避するには以下の二点を図ればよいと想到した。第一は化学平衡で規定される化学反応を利用してREM添加を行う点である。化学平衡で規定された化学反応を用いれば、平衡定数で一義的に規定される濃度となるため、金属添加時の溶解のように不均一性や過度な濃度低下や濃度上昇が発生しない。第二はこの平衡を規定する反応速度を抑制することである。REM濃度は化学平衡で一義的に規定されるが、疑平衡や局所平衡を回避してより安定化を図るには極端に早い化学反応を用いることは適当ではない。
以上の2点を満足させる技術を鋭意検討した結果、CaまたはCa合金とREM酸化物を混合して添加する技術を考案した。
化学平衡を用いてREM濃度を規定する場合、脱酸平衡が有力であるが、このためには酸素濃度を精密に制御する必要がある。そこで、例えば次式で示される酸化還元反応を用いることとした。
Ce23+3Ca=3CaO+2Ce …(1)
ここで、Ceは目的濃度であり、この目的濃度を規定するのはCe酸化物活量とCa濃度となる。従って、Ce酸化物とCaとを混合添加すれば、両規定因子を制御できると考えた。加えて、Caの過剰な上昇を抑えるにはCaの沸点が低いことを利用して、減圧下での混合添加が適当と考えた。次に、この現象を実験的に検証した。
50kg溶鋼を前述した成分範囲に調整し、減圧雰囲気(Ar 133〜8000Pa)もしくは常圧雰囲気下(Ar 101kPa)でLa、Ce、Ndの酸化物を単独または混合したものとCaSi合金(Ca濃度30%)とを任意の割合で混合したフラックスを所定量添加し、溶鋼中介在物組成をEPMAにて測定した。なおLa23、Ce23、Nd23のフラックス中質量濃度Rとフラックス中Ca濃度Cとの質量比をR/Cと定義した。介在物中のS,O,REM濃度からREMの介在物中硫化物濃度A濃度を測定した。結果を図2に示す。
R/C=0すなわちREM酸化物を添加しなかった場合を除いてA濃度は適正組成である5%以上27%以下に制御されていることが確認された。さらに、図2からR/C(フラックス中REM酸化物濃度/フラックス中Ca濃度)が0.5以上2.0以下の範囲では介在物は適正組成の中央値付近に制御されていることから、R/Cを0.5以上2.0以下とすることでさらに介在物制御精度が向上することが確認された。
次に、常圧雰囲気と減圧雰囲気での結果に着目すると減圧雰囲気で得られたA濃度(介在物中REM硫化物濃度)が適正範囲中央値付近に分布している。このことから、本フラックスはRHなどの減圧雰囲気で添加することでよりその効果を高めることができる。
本発明を転炉とRHを用いて実施する形態を説明する。転炉処理終了後に溶鋼を取鍋へ出鋼する。出鋼時にSi,Mn等の合金を加えても良いし、CaO等の造滓剤を添加しても良い。また、出鋼時にスラグ中低級酸化物を低減することを目的にスラグ改質剤やAlを用いても良い。このとき、スラグ量は10kg/ton以上となることが望ましい。これは、スラグ量が少ないと溶鋼表面の被覆効果が小さくなり、大気からの再酸化ならびに吸窒を受けやすくなるためである。また、スラグ組成はスラグ中FeOとMnOの合計が3質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5質量%以下である。スラグ中FeO,MnO濃度が高いと精錬処理後から鋳込み終了にかけての再酸化による清浄性悪化が進行しやすくなるためである。
RHへ取鍋を移送後、直ちに処理を開始する。RHでの処理は、脱水素等の真空脱ガス、溶鋼温度調整、成分調整、そして本発明によるREM添加を行う。これらの処理はどの順番で実施しても差し支えないが、好ましくは、温度調整、成分調整、真空脱ガス、本発明の順である。これは、以下の理由による。温度調整は溶鋼にAlを添加した後、溶鋼に酸素を供給してAlの酸化熱を利用して行われるが、この処理ではアルミナ系介在物が生成するため、清浄性がやや悪化する場合がある。これらアルミナを低減するためにより早い時期に温度調整を行う必要がある。
La23、Ce23、Nd23からなる群から選ばれる一種または二種以上(以下REMフラックス)とCaまたはCa合金とを混合したフラックス(以下、フラックス)の添加時期は前述したLa,Ce,Ndの金属または合金の添加時期と同一である。フラックス添加時の溶鋼成分としては、Ca、La,Ce,Nd以外の成分について本発明の鋼成分に調整しておくと好ましい。また、フラックス組成は請求項4を満足することが望ましい。また、フラックス添加量はREMフラックス換算で0.3kg/t以上0.7kg/t以下が望ましい。0.3kg/t未満では溶鋼中介在物量の影響を受けてしまう場合があり、0.7kg/tを超えて多いとスラグ量が過剰となり、RH処理が困難になる。
フラックスの添加方法はRH真空槽内に配した上吹きランスを介して、真空槽内溶鋼表面に吹き付け添加する方法もしくは取鍋内溶鋼あるいはRH処理中取鍋内溶鋼に浸漬ランスを介して溶鋼中に吹き込み添加する方法、フラックスを鉄被覆ワイヤとしてワイヤを取鍋内溶鋼に送り込み添加するワイヤーフィーダー法などいずれの方法でもよい。以下はRH真空槽内に配した上吹きランスを介して、真空槽内溶鋼表面に吹き付け添加する方法を例に説明する。
フラックスの供給速度は溶鋼1tonあたりの速度で、0.05〜0.2kg/(ton・min)が好ましく、更に好ましくは0.8〜1.5kg/(ton・min)である。粉体供給速度が過度に遅いと総処理時間が長くなり、温度降下等の操業上の課題を生じる。一方、過度に早いと真空槽内にフラックスが堆積し、意図する溶鋼中でのREMフラックスとCaとの反応が阻害される。
フラックス添加時の真空槽内雰囲気圧力はRHの環流を維持できる程度の圧力、すなわち13kPa以下であればよく、好ましくは6.5kPa以下3.9kPa以上である。3.9kPa未満ではREMの飛散や蒸発によってREMを消耗する場合がある。6.5kPaを超えて圧力が高いと環流速度が遅くなり、均一混合までの所要時間が長くなる場合がある。
フラックスにはLa23、Ce23、Nd23からなる群から選ばれる一種または二種以上とCaまたはCa合金の他にさらに効果を高めるためにフラックスにAl、Mgの金属もしくはこれらの合金を混合しても良い。この金属Al,Mgの好ましい範囲はフラックス中質量濃度で5〜15%である。5%未満では効果が小さく、15%を超えて多いと真空槽内耐火物の損耗が進行する。
また、フラックスにはフラックスの融点を低下させることを目的にAl23、CaF2などのREM以外の酸化物もしくはCaのフッ化物などの化合物を混合しても良いが、本発明では高い精錬能力を十分発揮できるため、特にこれらを要さない。
フラックス上吹きは前述した速度、量が好ましいが、さらに上吹きランス下端と真空槽内の溶鋼表面との鉛直距離は1m以上3m以下が望ましい。1m未満ではスプラッシュによるランス損耗が激しくなり、3mを超えて高いとフラックス粉の着地効率が低下する場合がある。また、キャリヤーガスはAr等の不活性ガスで、流量は2Nm3/min以上10Nm3/min以下であることが望ましい。2Nm3/min未満ではフラックス粉の搬送が不安定となり、10Nm3/minを超えて高くなるとスプラッシュ等が激しくなる。
ランスノズルの形状はラバール、ストレート、先細など如何なる形状でも良いが、粉体加速にはラバールノズルが望ましい。
なお、RH処理中取鍋内溶鋼中にフラックスを吹き込み添加する場合も上吹き添加と同じ条件で良い。ただし、吹き込みランス先端はRH上昇浸漬管鉛直下方域であることが望ましい。この領域以外から吹き込みを行うとRH還流と吹き込みガスによる撹拌流が干渉し、RH還流が停滞する場合がある。
溶銑300tを上底吹き転炉に装入し、溶鉄中C含有率が0.03〜0.2%になるまで粗脱炭吹錬を行い、終点温度を1630〜1650℃として粗脱炭溶鋼を取鍋に出鋼し、出鋼時に各種脱酸剤および合金を添加して取鍋内溶鋼成分を、C、Si、Mn濃度を表1に示す濃度に調整し、さらにP濃度を0.005〜0.013%、Al:0.007〜0.05%とした。さらに、出鋼時にCaOを添加し、スラグ中CaO/Al23重量比を2〜2.5、スラグ中FeOとMnOとの合計濃度を5%以下に調整した。
その後、取鍋をRHへ移送し、速やかにRH処理を開始した。RHでは初めに温度調整を行い、引き続きNi,Nb,Cuなどの溶鋼成分調整(合金添加)を行った。その後、REM酸化物、Ca合金、金属REMからなるフラックスを表1に示す条件で添加した。なお、比較のため、試験番号1ではREMを添加しなかった。なお、表1中において、「REM添加量」はフラックス中のREM酸化物,又はREMを金属REMに換算した添加量である。また、「R/C」はフラックス中REM酸化物濃度/フラックス中Ca濃度の質量比である。
添加後3min間RH還流を行いRH処理を終了し、連続鋳造機にて鋳造した。鋳造後、鋳片からサンプルを切りだし、A濃度(介在物中REM硫化物濃度)と介在物個数を前述した方法で計測した。
Figure 2016222970
結果を表1に示す。表1にはA濃度、試験番号1での介在物個数を1として規格化(=各試験番号での介在物個数÷試験番号1での介在物個数)した清浄度を示す。
試験番号2,3は金属Ceを添加したものであり、A濃度が本発明の範囲を満足しておらず、清浄度は向上しなかった。
試験番号4〜7では、R/Cが2.5のCe23酸化物とCaSi合金(Ca純分30質量%)の混合フラックスを取鍋内溶鋼に吹き込み添加した。A濃度は本発明の範囲内であり、清浄度も向上した。なお、試験番号4〜18のREM添加量はCe23のCe換算添加量である。
試験番号8〜11ではR/C=0.7または1.8のCe23酸化物とCaSi合金の混合フラックスを取鍋内溶鋼に吹き込み添加した。試験番号4〜7と比較して介在物組成は中央値よりとなり制御性が改善され、これに伴って清浄度もさらに向上した。
試験番号12〜15ではR/C=0.7または1.8のCe23酸化物とCaSi合金の混合フラックスをRH真空槽内溶鋼表面に吹き付け添加した。試験番号8〜11に比較して更なる制御性向上と清浄度向上が認められた。
試験番号16〜18ではR/C=1.0のCe23酸化物とCaSi合金の混合フラックスを取鍋内溶鋼に吹き込み添加した。溶鋼中のC,Si,Mn濃度が試験番号4〜15と大きく異なるが、試験番号8〜11と同等の効果が得られており、鋼成分が異なる場合でも本発明により同等の効果が得られることが解る。
試験番号19ではR/C=1.8のLa23酸化物とCaSi合金の混合フラックス、試験番号20ではR/C=0.7のCe23酸化物、Nd23酸化物とCaSi合金の混合フラックスをそれぞれ取鍋内溶鋼に吹き込み添加した。La23酸化物、Nd23酸化物を用いた場合でも、上記Ce23酸化物を用いた場合と同様の効果を得ることができた。
以上のように本発明に従うことで溶鋼の清浄性を安定的に高めることができる。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.002%以上0.4%以下、Mn:0.1%以上2%以下、Si:0.001%以上1%以下、S:0.001%以上0.005%以下、Al:0.005%以上1%以下、O:0.005%以下、Ca:0.001%以上0.0045%以下を含有し、かつ、La,Ce,Ndのうちの1種又は2種以上を合計濃度が0.0005%以上0.0035%以下含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼であって、非金属介在物中のLa,Ce,Ndの硫化物濃度の合計が質量%で5%以上27%以下であることを特徴とする高清浄鋼。
  2. さらに質量%で、Cu≦1%、Ni≦10%、Ti≦0.7%、Nb≦0.5%、V≦0.5%の1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高清浄鋼。
  3. 溶鋼に、La23、Ce23、Nd23からなる群から選ばれる一種または二種以上とCaまたはCa合金とを混合したフラックスを添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の高清浄鋼の精錬方法。
  4. 前記フラックスが、La23、Ce23、Nd23からなる群から選ばれる一種または二種以上のフラックス中質量濃度Rとフラックス中Ca質量濃度Cとの比R/Cが0.5以上2.0以下であることを特徴とする請求項3に記載の高清浄鋼の精錬方法。
  5. 前記フラックスの添加をRH式真空脱ガス処理装置において、実施することを特徴とする請求項3又は4に記載の高清浄鋼の精錬方法。
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