JP2021123773A - 表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非金属介在物組成や表面における個数を制御し、表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金を提供する。【解決手段】質量%にてC:0.01〜0.1%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.1〜1.0%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cr:21〜25%、Al:0.8〜2.0%、Fe:10〜20%、Mg:0.0005〜0.02%、Ca:0.0001〜0.002%、O:0.0001〜0.003%、残部Ni及び不可避的不純物からなる表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金。この合金スラブは、原料を溶解し、Ni:55〜65%、Cr:20〜30%含有する溶融合金を溶製し、AOD及び/又はVODにおいて脱炭し、Al原料、フェロシリコン合金、石灰、蛍石を投入し、CaO−SiO2−MgO−Al2O3−F系スラグを形成することによって、Cr還元、脱酸、脱硫し、連続鋳造機で製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金に関するものであり、Ni−Cr−Al−Fe合金の精錬方法に関し、Alを主体とする脱酸を施し、さらにスラグ組成を制御することにより、溶融合金中の非金属介在物のうち有害であるAl、CaOおよびMgO・Alの生成を抑制しつつ、さらに連続鋳造機による鋳造により、表面の介在物個数を低減させ、さらに中心部における介在物個数も低く抑えることにより、表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金を製造する技術に関する。
Ni−Cr−Al−Fe合金は、その優れた耐熱・耐酸化性から表面に塗装やコーティングなどの処理をせず、使用される場合が多い。しかしながら、非金属介在物の形態によっては表面欠陥が発生し特性を害するなどの問題がある。
合金の介在物の無害化を図る技術は幾つかの開示がある。例えば、特許文献1では、ステンレス鋼の精錬の際に、Al、CaおよびMg濃度の低いフェロシリコンを使用することにより、有害な非金属介在物であるMgO・Al(以下、スピネル系と称する場合がある)を抑制している。この技術は、介在物形態をCaO−SiO−MgO−Al系に制御するためにスラグ塩基度を1.3〜2.7と比較的低めに制御する必要がある。そのため、場合によっては、十分な脱硫能が得られないことがあり、熱間加工性を低下させることがあった。
また、特許文献2では、溶融合金中Al濃度およびスラグ組成を制御することにより、溶融合金中非金属介在物を無害なMgO系介在物に制御している。
さらに、特許文献3では、溶融合金中Al濃度およびスラグ組成を制御することにより、溶融合金中非金属介在物をMgO系介在物あるいはCaO−Al系介在物に制御している。
上記2つの技術は、いずれもAl濃度を0.005%以上に調整する必要がある。Alは歩留まりが安定しないこともあり、本技術によってはAlの調整を完全に実施できるとは言い難かった。また、溶接を施す必要がある用途の合金においては、Alを積極的に添加したことに起因して、溶接後のビード部の品質に懸念があった。
特許文献4では、スラグ組成を制御して、非金属介在物組成をMgO・Al、CaO−Al系、MgO、CaO−SiO−MgO−Al−MnO系酸化物に制御する技術が開示されている。これによれば、耐食性、溶接性および表面性状に優れたステンレス鋼が得られると示されている。
特許文献5では、非金属介在物組成をCaO−SiO−MgO−Al−MnO−Cr−FeO系酸化物に制御する技術が開示されている。これによれば、耐食性、溶接性および表面性状に優れたステンレス鋼が得られると示されている。
上記2つの技術は、いずれも精錬方法が明確に示されていないために、制御が不安定である問題があった。
また、特許文献6では、耐衝撃性および表面性状に優れたFe−Ni−Cr−Mo合金が示されている。本技術はFe基合金に関するものであり、Ni:30〜32%、Cr:26〜28%、Mo:6〜7%を含有する合金に適用可能な技術であり、スラグの塩基度C/Sを5〜20と高く制御している。
特開2001−26811号公報 特開平9−256028号公報 特開2001−220619号公報 特開2004−149833号公報 特開2007−277727号公報 特開2011−97224号公報
しかしながら、Alが1%ほどと高濃度で、かつNi−Cr系合金に関しては、介在物制御技術は確立しているとはいえなかった。
上記のように、従来の方法では、有害な介在物であるMgO・Al、AlあるいはCaOの生成を抑制しつつ、さらには熱間加工性も健全な状態にて、表面品質を確保することは困難であった。本発明の目的は上記の問題に鑑み、非金属介在物の組成や、特に表面における個数を制御することにより、表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金を提供することを目的とする。さらに、それを実現する製造方法も提供する。
発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた。まず、本発明者らは、実機にて発生した表面欠陥を研究した。すなわち、欠陥をSEM/EDS観察し、内部に含まれる異物組成を特定した。その結果、MgO・Al、CaO単体あるいはAl単体のいずれかであることが分かった。
さらに、操業との関連を調査したところ、これらの酸化物は、溶融合金中に含まれる非金属介在物であり、連続鋳造機におけるタンディッシュからモールドに溶融合金を供給するノズルに付着堆積し、その一部が脱落することで、大型の欠陥を引き起こすことが明らかとなった。その防止には、スラグのC/Aを適切な範囲内に制御しなければならないということが分かった。
同時に、介在物組成が、MgO単体、CaO−SiO−MgO−Al系、および/またはMgO・Alを25%以下で含有する場合であれば、ノズルに付着がなく、表面欠陥も生じないことが分かった。化学成分を詳細に調べたところ、微量に含まれるMg、CaおよびOといった微量成分を制御せねばならないということも分かった。
そこで発明者らは、操業条件が微量成分および介在物組成に及ぼす影響について、次のように実操業のサンプルを採取しその影響について調査した。
試料中の化学成分は、化学分析により測定し、試料中の介在物組成は採取した試料をSEM/EDSにて観察し、任意に5μm以上の介在物を20個選んで測定した。その結果、まず、Alにて脱酸を行い、なおかつ、Ni−Cr系を含む合金においてはAlを0.8〜2.0%、Mgを0.0005〜0.02%、Caを0.0001〜0.002%、Oを0.0001〜0.003%に調節することで、基本的に介在物組成をMgO単体、CaO−SiO−MgO−Al系および/または25%以下のMgO・Alに制御することが可能である指針を得た。その際のスラグ組成は、スラグのC/A(スラグ中のCaO/Al質量%の比率)を1〜7未満に制御することが必要である指針も得られた。
本発明は上記知見に基づいて成されたものであり、すなわち、以下質量%にて、C:0.01〜0.1%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.1〜1.0%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cr:21〜25%、Al:0.8〜2.0%、Fe:10〜20%、Mg:0.0005〜0.02%、Ca:0.0001〜0.002%、O:0.0001〜0.003%、残部はNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金である。
本発明においては、Ni−Cr−Al−Fe合金がTi:0.1〜1%およびN:0.002〜0.01%を含有することが好ましい。
本発明においては、Ni−Cr−Al−Fe合金中に含有する非金属介在物としてMgO単体、MgO・AlおよびCaO−SiO−MgO−Alのうち1種または2種以上を含み、これらのうちMgO・Alの個数比率が25%以下であることが好ましい。
本発明においては、非金属介在物のCaO−SiO−MgO−Alの成分範囲は、CaO:30〜70%、Al:10〜60%、MgO:20%以下、SiO:10%以下であるとより好ましい。
さらに、本発明においては、上記Ni−Cr−Al−Fe合金の製造方法も提供する。すなわち、原料を溶解し、Ni:55〜65%、Cr:20〜30%を含有する溶融合金を溶製し、次いで、AODおよび/またはVODにおいて脱炭した後に、Al原料、フェロシリコン合金、石灰、蛍石を投入して、CaO−SiO−MgO−Al−F系スラグを形成することによって、Cr還元、脱酸、脱硫し、連続鋳造機にてスラブを製造することを特徴とするNi−Cr−Al−Fe合金の製造方法である。
本発明においては、前記脱硫後、Tiを添加することが好ましい。
本発明においては、CaO−SiO−MgO−Al−F系スラグの組成は、CaO:10〜70%、SiO:10%以下、MgO:1〜20%、Al:10〜60%、F:1〜10%であることに加えてC/A(CaO/Al)を1〜7未満に制御することが好ましい。
本発明によれば、合金成分の比率および介在物の個数比率を特定の範囲内に制御することにより、熱間加工性を健全な状態に維持し、さらに、表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金を提供することができる。
まず、本発明に用いる合金の化学成分の限定理由について説明する。なお、以下の説明において「%」は「質量%」を意味する。
C:0.01〜0.1%
Cは、オーステナイト安定化元素であるため添加することで強度を増すことができる。このためC含有量は0.01%以上と規定した。しかし、多量に存在すると、CrおよびMo等と結合して炭化物を形成し、母材に含まれる固溶CrおよびMo量を低下させ、耐食性を劣化させるため、C含有量は0.1%以下と規定した。
Si:0.1〜0.5%
Siは、脱酸を行う上で重要な元素であり、有効な効果を得るために、少なくとも0.1%の添加は必要である。しかしながら、Siを過剰に含有すると熱間加工性の著しい低下が生じる。このため、Siの含有量の上限は0.5%とした。
Mn:0.1〜1.0%
Mnは、脱酸に有効な元素である。Mn含有量が、0.1%未満では、その効果が十分に得られず、逆に、1%を超えて存在すると、シグマ相の生成を促進し、脆化を招く。そのため、Mn含有量は0.1〜1.0%と規定した。
P:0.03%以下
Pは不純物として鋼中に不可避的に混入する元素である。結晶粒界に偏析し熱間加工性を悪くするため、できる限り低減することが必要である。従って、Pの含有量は0.03%以下とする。
S:0.005%以下
Sは、熱間加工性を阻害する元素であるため、極力低下させるべきであり、S含有量は0.005%以下と規定した。そのためにはAlを添加し後述するAODおよび/またはVODにてスラグを用いて脱硫する必要がある。
Cr:21〜25%
Crは、耐食性を確保するために必要不可欠な不動態皮膜を、合金表面に形成させる元素であり、耐酸性、耐孔食性、耐隙間腐食性ならびに耐応力腐食割れ性を改善するための母材の構成成分として、最も重量な元素である。本鋼種では、優れた対酸化性を獲得するためが21%以上を確保する必要がある。しかしながら高すぎるとシグマ相を生成し脆化を招くため、25%を上限とした。以上の理由から、Cr含有量は21〜25%と規定した。
Al:0.8〜2.0%
Alは、耐酸化性を確保するために必要な酸化皮膜を合金表面に形成元素である。また、添加することによりクリープ特性良好になることから0.8%以上を確保する必要がある。また、高すぎるとAlNを生成し加工性を低下させるため2.0%以下とした。さらにAlは脱酸を行う際に重要な元素であり、酸素濃度を0.003%以下に制御するためには、0.8%は必要である。さらに、CaO−SiO−MgO−Al−F系スラグ中のCaOやMgOを還元し、溶融合金中にCa、Mgを供給する役割がある一方で、2.0%を超えて含有すると、スラグ中のCaOやMgOを還元しすぎてしまい、Caを0.002%、Mgを0.02%超供給してしまう。その結果Caは、CaO単体の介在物を形成させてしまい、製品に表面欠陥を発生させてしまう。そのためAl含有量は0.8〜2.0%に規定した。
Mg:0.0005〜0.02%
Mgは、鋼中の非金属介在物の組成を、クラスターを形成しないMgOあるいはCaO− SiO−Al−MgO系の表面品質に悪影響の無い酸化物に制御するために有効な元素である。その効果は、含有量が0.0005%未満では得られず、逆に、0.02%を超えて含有させると、スラブ中に低融点の金属間化合物NiMgが生成して、熱間加工性を低下させ、最終製品に表面欠陥をもたらす。そのため、Mg含有量は、0.0005〜0.02%と規定した。
また、溶融合金中に効果的にMgを添加させるには、下記の反応を利用することが好ましい。
3(MgO)+2Al=(Al)+3Mg …(1)
括弧内はスラグ中成分を示し、下線は溶融合金中成分を示す。
上記の範囲にMgを制御するには、スラグC/Aを1〜7未満に制御するとともに、スラグ中MgO濃度を1〜20%に調整すればよい。
Ca:0.0001〜0.002%以下
Caは、鋼中の非金属介在物の組成を、クラスターを形成しないCaO−SiO−Al−MgO系の表面品質に悪影響の無い酸化物に制御するために有効な元素であるため、少なくとも0.0001%含有する必要がある。しかしながら、0.002%を超えて含有させると、CaO単体の介在物が形成しこれはクラスターを形成するため最終製品に表面欠陥をもたらす。そのためCa含有量は、0.0001〜0.002%と規定した。
また、溶融合金中に効果的にCaを添加させるには、下記の反応を利用することが好ましい。
3(CaO)+2Al=(Al)+3Ca …(2)
上記の範囲にCaを制御するには、スラグ塩基度C/Aを1〜7未満に制御すればよい。
O:0.0001〜0.003%
Oは、鋼中に0.003%を超えて存在すると、脱硫を阻害し、溶融合金中S濃度が0.005%を超えてしまう。逆に0.0001%未満と低くなると、Alがスラグ中のMgOやCaOを還元する能力を高めすぎてしまう。つまり、上記の(1)および(2)式の反応が進行しすぎてしまうことにより、溶融合金中のMgやCaがそれぞれ、0.02%、0.002%を超えて高くなってしまう。そのため、O含有量は、0.0001%〜0.003%と規定した。この範囲に制御するためには、Al濃度を0.8〜2.0%に調整することと、スラグのC/Aを1〜7未満に調整することが必要である。
さらに本発明鋼は、下記の元素を1種または2種以上含有してもよい。
Ti:0.1〜1.0%
Tiはクリープ中に析出する炭化物の微細化および凝集速度を抑制するので0.1%以上添加しクリープ特性を良好にする。しかし、1.0%を超えて過剰になるとTiNを形成し加工性に悪影響を及ぼす。従ってTi含有量は0.1〜1.0%以下と規定した。
N:0.002〜0.01%
Nは、侵入型元素であり、鋼の硬さ及び耐食性を向上させるため、0.002%以上を確保する。しかし、N含有量が0.01%を超えて過剰になるとTiNを形成し加工性に悪影響を及ぼす。したがって、N含有量は0.002〜0.01%と規定した。
非金属介在物
本発明では、非金属介在物組成は、MgO単体、MgO・Al、CaO−SiO−MgO−Al系酸化物の1種または2種以上を含み、MgO・Alを個数比率で25%以下であることを好ましい態様としている。以下、非金属介在物の個数比率限定の根拠を示す。
非金属介在物組成:MgO単体、MgO・Al、CaO−SiO−MgO−Al系酸化物の1種または2種以上を含み、MgO・Alを個数比率で25%以下
本発明に係るNi−Cr−Al−Fe合金のSi、Al、Mg、Caの含有量に従い、MgO単体、MgO・Al、CaO−SiO−MgO−Al系酸化物のうち1種または2種以上含む。これらの介在物を含有させる理由は、まず、MgOは、連続鋳造機の浸漬ノズル内で焼結しないため、付着堆積せずクラスター化して大型化しない。結果的に、表面欠陥を引き起こさないからである。CaO−SiO−MgO−Al系酸化物も同様に焼結せず、また、圧延工程において延びて細分化される。そのため、表面欠陥を引き起こさない。MgO・Alは表面欠陥を引き起こす介在物であるので、極力少ない方が好ましい。ただし、その含有量が個数割合で25%以下であれば、MgO・Alはノズル内に付着しないことから、個数比率で25%以下と定めた。
一方、許容されない介在物としては、CaOは、浸漬ノズル内に付着堆積するために大型化しやすく表面欠陥を引き起こす。Alは、クラスター化しやすく大型化しやすいため浸漬ノズル内に付着堆積して表面欠陥を引き起こす。以上のことからCaO単体とAl単体は避ける必要がある。
CaO:30〜70%、Al:10〜60%、MgO:20%以下、SiO:10%以下
CaO−SiO−Al−MgO系酸化物の各成分を規定した理由を説明する。基本的には、CaO−SiO−Al−MgO系酸化物の融点を1300℃程度以下に保つために、上記範囲に設定した。なお、CaOが30%未満では融点が高くなり、CaOが70%を超えるとCaO介在物が共存する。Alが60%超では純粋なAl介在物が共存する。MgOが20%超では、融点が高くなってしまう。SiOが10%超では、合金中のO濃度が比較的高くなってしまい、また、介在物による表面欠陥をもたらす。以上から、CaO:30〜70% 、Al:10〜60%。MgO:20%以下、SiO:10%以下とした。
Ni−Cr−Al−Fe合金の製造方法
本発明においては、Ni−Cr−Al−Fe合金の製造方法も提供する。すなわち、好ましい一態様においては、原料を溶解し、Ni:55〜65%、Cr:20〜30%を含有する溶融合金を溶製し、次いで、AODおよび/またはVODにおいて脱炭した後に、Al原料、石灰、蛍石、フェロシリコン合金を投入しC/A:1〜7未満、CaO:10〜70%、SiO:10%以下、MgO:1〜20%、Al:10〜60%、F:1〜10%からなるCaO−SiO−MgO−Al−F系スラグを用い、C:0.01〜0.1%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.1〜1.0%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cr:21〜25%、Al:0.8〜2.0%、Ti:0.1〜1%、Fe:10〜20%、Mg:0.0005〜0.02%、Ca:0.0001〜0.002%、O:0.0001〜0.003%、残部はNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とするNi−Cr−Al−Fe合金の溶融合金に調整し、非金属介在物組成が、MgO単体、MgO・Al、CaO−SiO−MgO−Al系酸化物の1種または2種以上を含み、MgO・Alの個数比率が25%以下である非金属介在物組成を特徴とするNi−Cr−Al−Fe合金の製造方法である。
このとき用いたCaO−SiO−MgO−Al−F系スラグの組成の限定理由について以下に示す。
CaO/Al比:1〜7未満
合金溶湯を効率よく脱酸、脱硫し、かつ非金属介在物組成を本発明の範囲に制御するためには、スラグのCaO/Al比(質量%比)を制御する必要がある。この比の値が7を超える場合にはスラグ中CaOの活量が高くなり、(2)式の反応が進行しすぎる。そのため、溶融合金中に還元されるCa濃度が0.002%を超えて高くなり、CaO単体の非金属介在物が生成し、ノズル内に付着して、最終製品に表面欠陥をもたらすため上限を7以下とした。一方、CaO/Al比が1未満になると、脱酸、脱硫が進まずに、本発明におけるS濃度、O濃度の範囲に制御することができなくなる。そのため、下限を1とした。このようなCaO/Al比に制御するため、CaO成分として、石灰または蛍石を添加することで調整可能である。一方、Al成分は脱酸剤であるAlの酸化により得ることが出来る。すなわち、Cr還元期にAlを投入して、Cr酸化物を還元すると、スラグ中にはAl(アルミナ)が形成される。限定はしないが、不足があれば、Al源としてアルミナを適宜添加しても構わない。したがって、C/Aは1〜7と定めた。
MgO:1〜20%
スラグ中のMgOは、溶融合金中に含まれるMg濃度を請求項に記載される濃度範囲に制御するために、重要な元素であるとともに、非金属介在物を本発明に好ましい組成に制御するためにも重要な元素である。そこで、下限を1%とした。一方、MgO濃度が20%を超えると、(1)式の反応が進行しすぎてしまい、溶融合金中のMg濃度が高くなり、スラブ中にMg気泡を形成することがある他、低融点のNiMgを形成するため、最終製品に表面欠陥をもたらす。そこで、MgO濃度の上限を20%とした。スラグ中のMgOは、AOD精錬、あるいはVOD精錬する際に使用されるドロマイトレンガ、またはマグクロレンガがスラグ中に溶け出すことで、所定の範囲となる。あるいは、所定の範囲に制御するため、ドロマイトレンガ、またはマグクロレンガの廃レンガを添加してもよい。
Al:10〜60%
スラグ中のAlは、高いと溶融合金中のAl濃度も2.0%以上と高くなってしまいスラグ中のMgやCaを還元しすぎてしまうことでCaO単体の介在物を生成してしまう。またAl介在物も形成してしまうことから、本発明に好ましい組成に制御するために60%を上限とした。一方で低すぎると鋼中のAlが酸化ししていまい鋼中のAlを0.8%以上確保できないため、下限は10%とした。以上からAlの範囲は10〜60%と規定した。
次に実施例を提示して、本発明の構成および作用効果をより、明らかにするが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
容量60トンの電気炉により、フェロニッケル、純ニッケル、フェロクロム、鉄屑、ステンレス屑、Fe−Ni合金屑などを原料として、溶解した。一部の例ではTiも原料として添加した。その後、AODまたはVODにおいてCを除去するための酸素吹精(酸化精錬)を行い、石灰石および蛍石を投入し、CaO−SiO−Al−MgO−F系スラグを生成させ、さらに、Cr 還元、脱酸、脱硫を進めた。その後、取鍋に出鋼して、温度調整ならびにTiなどを添加して成分調整を行い、連続鋳造機によりスラブを製造した。
製造したスラブは、表面を研削し、1200℃で加熱して熱間圧延を実施し、厚み6mmの熱帯を製造した。その後、焼鈍、酸洗を行い、表面のスケールを除去した。最終的に冷間圧延を施し、板厚1mm×幅1m×長さ1000mの薄板コイルを製造した。
表1および表2に、得られたNi−Cr−Al−Fe合金の化学成分、AODもしくはVOD精錬終了時のスラグ組成、非金属介在物組成および介在物の形態および品質評価を示す。
なお、表1および2に記載の諸項目は、下記のようにして求めた。
1)合金の化学成分およびスラグ組成:蛍光X線分析装置を用いて定量分析を行い、合金の酸素濃度は不活性ガスインパルス融解赤外線吸収法で定量分析を行った。
2)非金属介在物組成:鋳込み開始直後、タンディッシュにて採取したサンプルを鏡面研磨し、SEM−EDSを用いて、サイズ5μm以上の介在物を20点ランダムに測定した。
3)MgO−Al介在物の個数比率:上記2)の測定の結果から個数比率を評価した。
4)品質評価:圧延により製造した上記薄板表面を目視で観察し、非金属介在物起因の表面欠陥(板幅中央近傍に線状の疵が発生、線状欠陥)ならびに熱間加工性低下起因の表面欠陥(板のエッジ部にめくれ状に疵が発生、耳割れ)の発生有無を判定した。コイル全長を観察して、その欠陥数をそれぞれ示した。非金属介在物起因の表面欠陥数と熱間加工性低下起因の表面欠陥数との合計が25以下で合格とした。
発明例の1〜5は、本発明の範囲を満足していたために、最終製品での表面に介在物起因の欠陥は無いか極めて少なく(17箇所以下)、良好な品質を得ることが出来た。
一方、比較例は本発明の範囲を逸脱したため、表面欠陥が発生した。以下に、各例について説明する。比較例1は、C/Aが13.5と7よりも高かったため、Ca濃度が0.0086%と0.02%よりも高くなってしまった。その結果、CaO単体の非金属介在物を生成し、最終製品で介在物起因の欠陥が生じた。
比較例2は、脱酸・脱硫不足によりAlが0.67%と0.8%よりも低くスラグ中のAlとSiOが66.9%、12.6%と共に高く、10〜60%、10%以下よりも高くなったため、介在物はAl単体となり、介在物起因の欠陥が生じた。
比較例3は、Alが高く2.54%と2%よりも高くなった。スラグ中のC/Aが31.5と7よりもかなり高くなってしまった。その結果、CaO単体の非金属介在物を生成し、最終製品で介在物起因の欠陥が生じた。
比較例4は、Alが0.54%と0.8%よりも低く、スラグ中のC/Aが0.9と1よりも低くなってしまった。その結果、MgO・Alの非金属介在物が100%の割合で生成し、最終製品で介在物起因の欠陥が生じた。
比較例5は、スラグ中のC/Aが38.1と7よりも高く、Mgが0.0321%と0.02%よりも高くなってしまった。その結果、生成した介在物中のMgO・Alの比率が40%と25%を超えてしまい、最終製品で介在物起因の欠陥が生じた。
Figure 2021123773
Figure 2021123773
本発明においては、Ni−Cr−Al−Fe合金中に含有する非金属介在物としてMgO単体、MgO・AlおよびCaO−SiO−MgO−Alのうち1種または2種以上を含み、サイズ5μm以上であるこれらのうちMgO・Alの個数比率が25%以下であることが好ましい。

Claims (7)

  1. 以下質量%にて、C:0.01〜0.1%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.1〜1.0%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cr:21〜25%、Al:0.8〜2.0%、Fe:10〜20%、Mg:0.0005〜0.02%、Ca:0.0001〜0.002%、O:0.0001〜0.003%、残部はNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金。
  2. Ti:0.1〜1%およびN:0.002〜0.01%を含有することを特徴とする請求項1に記載の表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金。
  3. 前記合金中に含有する非金属介在物としてMgO単体、MgO・AlおよびCaO−SiO−MgO−Alのうち1種または2種以上を含み、これらのうちMgO・Alの個数比率が25%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金。
  4. 前記CaO−SiO−MgO−Alの成分範囲は、CaO:30〜70%、Al:10〜60%、MgO:20%以下、SiO:10%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のNi−Cr−Al−Fe合金の製造方法であって、
    原料を溶解し、Ni:55〜65%、Cr:20〜30%を含有する溶融合金を溶製し、次いで、AODおよび/またはVODにおいて脱炭した後に、Al原料、フェロシリコン合金、石灰、蛍石を投入して、CaO−SiO−MgO−Al−F系スラグを形成することによって、Cr還元、脱酸、脱硫し、連続鋳造機にてスラブを製造することを特徴とする表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金の製造方法。
  6. 前記脱硫後、Tiを添加することを特徴とする請求項5に記載の表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金の製造方法。
  7. 前記CaO−SiO−MgO−Al−F系スラグの組成は、CaO:10〜70%、SiO:10%以下、MgO:1〜20%、Al:10〜60%、F:1〜10%であることに加えてC/A(CaO/Al)を1〜7未満に制御することを特徴とする請求項5に記載の表面性状に優れたNi−Cr−Al−Fe合金の製造方法。
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