JP2016221864A - ガスバリア積層体 - Google Patents

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良治 石井
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Abstract

【課題】含硫アミノ酸を成分とする内容物に対してレトルト殺菌処理を施しても、レトルト臭を低減し、且つ優れた酸素及び水蒸気バリア性を有するガスバリア積層体の提供。
【解決手段】フィルム基材1の一方の面に、密着層2、無機蒸着層3、ガスバリア層4、亜鉛化合物を含む層5が順次積層してなるガスバリア積層体6であって、ガスバリア層4は、水溶性高分子と、金属アルコキシド(A)、その加水分解物(B)、塩化錫(C)の少なくとも一つと、一般式(RSi(OR))n(Rは有機官能基;RはCH、C又はCOCH)で表される化合物とを含むガスバリア層4形成用組成物からなるガスバリア積層体6。前記化合物が1,3,5−トリス(3−トリアルキシシリルアルキル)イソシアネートであり、前記無機蒸着層がSiOx又はAlOxからなる無機酸化物であるガスバリア積層体6。
【選択図】図1

Description

本発明は、肉製品、卵製品、豆製品のような含硫アミノ酸が内容物に存在したとき、加熱処理されるとき発生する不快なレトルト臭を低減するガスバリア積層体に関する。
食品の包装に用いられる包装材料に対しては、内容物の変質を防止することが求められており、長期保存に適した方法としてレトルト処理やボイル処理など加熱による殺菌処理が行われる。このとき、タンパク質を構成するアミノ酸には硫黄を含む含硫アミノ酸(メチオニン、シスチン、システインなど)が多く含まれる肉製品、卵製品は前記処理後に不快なレトルト臭を発生する。レトルト臭とは、いわゆるレトルト食品(100℃以上の温度で加圧、加熱殺菌を施して常温流通される食品)での特有の臭いを示すが、ボイル処理を施した食品においても認められる同様の臭いも含めてレトルト臭と表記する。レトルト臭は、含硫アミノ酸が加熱処理のとき、加水分解によって発生する硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄化合物による臭気に由来する。
レトルト臭対策として、食品そのものに胡椒、スパイスなど強い刺激臭によってレトルト臭を気付かなくする方法が取られているが、食品の風味に制約が生まれるため調理メニューが限定されてしまう。
そこで、包装材料によるレトルト臭の低減方法が検討された。
特許文献1によると、亜鉛系アイオノマー樹脂または亜鉛系アイオノマー樹脂を含有する熱可塑性樹脂からなるフィルムが提案されている。
また、特許文献2ではTi、Al、Mg、Ca、Siから選ばれる一種以上の元素とZnが主成分とされる酸化物凝集体粒子からなる脱臭剤が含有する熱可塑性樹脂フィルムが考案されている。しかし、食品用包装材料は、食品の酸化防止をするために酸素バリア性が必要となるが、前述のフィルムには酸素バリア性はないため、別途バリア性フィルムが必要となる。
特許文献3では、酸素バリア性を備えたバリア層に亜鉛化合物を含ませたフィルムを提案しており、食品の酸化防止機能とレトルト臭低減を両立しているが、水蒸気バリア性に関してはAl箔や透明蒸着フィルムに接着性コートを施して、亜鉛化合物を積層させることで実現している。しかし、接着性コートと亜鉛化合物をオフラインにて塗工すると、接着性コートを最表面で巻き取ってしまうとブロッキングする問題があり、インライン塗工が必要となるため特別な同時塗工装置が必要となる課題が残っている。
特開2005−75360号公報 特開平2−95436号公報 特開2008−254765号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、含硫アミノ酸を成分とする内容物に対してレトルト殺菌処理を施しても、レトルト臭を低減し、且つ優れた酸素及び水蒸気
バリア性を有するガスバリア積層体の提供を目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、フィルム基材の一方の面に、密着層、無機蒸着層、ガスバリア層、亜鉛化合物を含む層が順次積層してなるガスバリア積層体であって、
前記ガスバリア層は、水溶性高分子と、金属アルコキシド(A)、その加水分解物(B)、塩化錫(C)の少なくとも一つと、一般式(RSi(OR))n(但し、Rは有機官能基、RはCH、C、またはCOCH)で表される化合物とを含むガスバリア層形成用組成物からなることを特徴とするガスバリア積層体である。
また、請求項2に係る発明は、前記一般式(RSi(OR))nは式(NCO−RSi(OR))、(但し、式中Rは(CH)n、nは1以上)で表される1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートであることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア積層体。
また、請求項3に係る発明は、前記無機酸化物は、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア積層体。
また、請求項4に係る発明は、前記ガスバリア層上にヒートシール層が積層されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア積層体である。
本発明のガスバリア積層体は、フィルム基材の一方の面に密着層、無機蒸着層、ガスバリア層、亜鉛化合物を含有する層を順次積層してなるため、硫黄化合物を含む内容物の包装体としてレトルト処理を行っても、従来から問題となっていたレトルト臭(加熱処理により発生する硫化水素ガスに基づく臭い)を低減し、且つ長期保存が可能となる。
すなわち、具体的には亜鉛化合物を含有する層により発生する硫化水素ガスを硫化亜鉛として捕捉することでレトルト臭を低減することができる。また、無機蒸着層により高い酸素ガスバリア性を供することができ、更には、一般式(RSi(OR))n(Rは有機官能基、RはCH、C、またはCOCH)で表わさせる化合物を含むガスバリア層により耐水性が増し、無機蒸着層との相乗効果でより優れたガスバリア性を供することができ長期保存が可能となる。
本発明に係るガスバリア積層体の一実施形態を示す断面概略図である。
以下、本発明の実施の形態について図面をもって説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るガスバリア積層体6は、プラスチック基材1の上に密着層2、無機蒸着層3、ガスバリア層4、亜鉛化合物を含有する層5を順次積層してなることを特徴とする。
本発明に用いるプラスチック基材1としては特に限定されるものではなく、透明で加熱温度200℃以上でも形態を保つものならば公知のものを使用することができる。例えば、ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド系フィルム(ナイロン−6、ナイロン−66等)、ポリスチレン系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム、アクリル系フィルム、セルロース系フィルム(トリアセチルセルロース又はジアセチルセルロース等)などが挙げられる。特に限定されないが
、熱収縮率が低いフィルムが好ましい。
実際的には、用途や要求物性により適宜選定をすることが望ましく、医療用品、薬品、食品等の包装には、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドなどを用いることができる。また、フィルムの厚さは、特に限定されない。用途に応じて6μmから200μm程度の厚さのものを使用することができる。
またフィルムには、この積層面にバリア性能を損なわない範囲でコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの各種前処理、易接着層やなどのコート層を設けても構わない。
本発明の密着層2は、透明なプラスチック材料からなる基材フィルム上に設けられ、基材と無機蒸着層3との間の密着性能向上と、表面を平滑にすることで次工程の無機蒸着層を欠陥なく均一製膜し、さらに蒸着膜の微小なバリア欠陥を補助し高いバリア性能を発現する、二つの効果を得ることを目的としている。
上記の効果を満たす密着層2を構成する材料としては非水性樹脂が好ましく、例えばシランカップリング剤や有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノールなどが挙げられる。密着層の耐熱水性を考慮すると、ウレタン結合およびウレア結合を少なくとも一つ以上有する有機高分子が含まれることがより好ましい。
上記ウレタン結合およびウレア結合はあらかじめ重合段階で導入したポリマーを使用しても、アクリルおよびメタクリル系ポリオールなどのポリオールとイソシアネート基を持つイソシアネート化合物、またはアミノ基を持つアミン樹脂とエポキシ基及びグリシジル基を持つエポキシ化合物などを反応させてウレタン結合を形成させたものや、イソシアネート化合物と水または酢酸エチル等の溶剤、またはアミノ基を持つアミン樹脂との反応によりウレア結合をさせた物でも良い。
鋭意検討の結果、非水性樹脂としてはアクリルポリオールとポリエステルポリオール及びイソシアネート化合物、シランカップリング剤等との複合物がより好ましい。
アクリルポリオールとは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物もしくは、アクリル酸誘導体モノマーおよびその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物のうち、末端にヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。またポリエステルポリオールとは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸およびこれらの反応性誘導体等の酸原料と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等のアルコール原料から周知の製造方法で得られたポリエステル系樹脂の内末端に2個以上のヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。
イソシアネート化合物とは、アクリルポリオール及びポリエステルポリオールと反応してできるウレタン結合により基材や無機酸化物との密着性を高めるために添加されるもので主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。これを達成するためにイソシアネート化合
物としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサレンジイソシアネート(HMDI)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が用いられ、これらが単独かまたは混合物等として用いられる。
また上記シランカップリング剤とは、任意の有機官能基を含むシランカップリング剤を用いることができ、例えばエチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤或あるいはその加水分解物の1種ないしは2種以上を用いることができる。
上記コーティング液の塗布方法としては、通常用いられるキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等の従来公知の方法を用いることが可能である。
本発明の無機蒸着層3は、酸素ガスバリア性の高い材料として酸化アルミニウム(AlOx)、酸化珪素(SiOx)、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化マグネシウム(MgO)又はインジウム−スズ酸化物(ITO)などを用いることができる。材料コスト、バリア性能、透明性から無機酸化物である酸化アルミニウムもしくは酸化珪素が好ましい。
無機蒸着層3の厚みは、10nm以下では薄膜の連続性に問題があり、また300nmを越えるとカールやクラックが発生しやすく、バリア性能に悪影響を与え、かつ可撓性が低下するため、好ましくは20nm〜200nmである。使用用途によって適宜厚みを設定すればよい。
無機蒸着層3の成膜は、真空成膜手段によって作成できる。酸素ガスバリア性能や膜均一性の観点から好ましい。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)などの公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから真空蒸着法が好ましい。また真空蒸着法の中でも、特に電子ビーム加熱による成膜手段は、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流などで制御し易いことや蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることから有効である。
ガスバリア層4は無機蒸着層3を保護するとともに、水蒸気バリア性の向上に寄与し、これにより無機蒸着層3との相乗効果による高いガスバリア性を発現させることができる。
例えば、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド、(b)1種以上の金属アルコキシドの加水分解物、または(c)塩化錫の少なくとも1つ以上を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とする液に式(RSi(OR))n、(Rは有機官能基、RはCH、C、またはCOCH)を有する成分を加えたガスバリア層形成用組成物を無機蒸着層2上に塗布し、加熱乾燥して形成することができる。
以下に、上記ガスバリア層形成用組成物を構成する各成分について詳しく説明する。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。この中では、特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)は、得られるガ
スバリア層4のガスバリア性が最も優れたものとなるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものであり、例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分鹸化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等を用いることができる。
金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH,C等のアルキル基)で表される化合物であり、テトラエトキシシラン{Si(OC}、トリイソプロポキシアルミニウム{Al(O−2´−C}等が具体例として挙げられる。中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムは加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定で好ましい。
このような構成材料からなるガスバリア被覆液には、ガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤等の公知の添加剤を必要に応じて適宜加えることも可能である。
本発明では、式(RSi(OR))nで示される化合物を添加することにより、耐水性を付与することができる。有機官能基(R)は、ビニル、エポキシ、メタクリロキシ、ウレイド、およひイソシアネート等の非水性官能基であることが好ましい。非水官能基は、官能基が疎水性であるため、耐水性はさらに向上する。
式(RSi(OR))nで表される化合物が多量体である場合は、三量体が好ましく、より好ましくは1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートである。これは、3−イソシアネートアルキルアルコキシシランの縮重合体である。この1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、イソシア部には化学的反応性はなくなるけれども、ヌレート部の極性により反応性は確保されることが知られている。一般的には、3−イソシアネートアルキルアルコキシランと同様に接着剤などに添加され、接着性向上剤として知られている。よって1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートを、前記水酸基を有する水溶性高分子に添加することにより、水素結合によりガスバリア層の耐水性を向上させることができる。3−イソシアネートアルキルアルコキシランは反応性が高く、液安定性が低いのに対し、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、ヌレート部はその極性により水溶性ではないが、水系溶液中に分散しやすく、液粘度を安定に保つことができる。また、耐水性能は3−イソシアネートアルキルアルコキシランと1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートと同等である。
1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3−イソシアネートプロピルアルコキシシランの熱縮合により製造されるものもあり、原料の3−イソシアネートプロピルアルコキシシランが含まれる場合もあるが、特に問題はない。さらに好ましくは、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートであり、より好ましくは1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートである。このメトキシ基は加水分解速度が速く、またプロピル基を含むものは比較的安価に入手し得ることから1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートは実用上有利である。
式(RSi(OR))nをRSi(OH)に換算した場合に、RSi(OH)の固形分が全固形分に対し1〜50重量%であることが好ましい、1重量%未満であると耐水性効果が低くなる傾向があり、50重量%を超えると官能基がガスバリア層内の空孔とあるためガスバリア性が低下する傾向がある。ボイル・レトルト殺菌処理に必要な耐水性とガスバリア性を得るためには、上記の全固形分に対して5〜30重量%の固形分であ
ることがより好ましい。
上記コーティング液の塗布方法としては、通常用いられるキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等の従来公知の方法を用いることが可能である。
ガスバリア層4の厚さは、特に限定されるものではない。使用用途により適宜決めればよい。乾燥後の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一な塗膜が得られ難く、十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は、塗膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。好ましくは0.01〜50μmの範囲にあればよい。
次に亜鉛化合物を含む層5について説明する。亜鉛化合物を含む層5は、亜鉛化合物を含有する組成物(コーティング液)を塗布後、乾燥することにより形成することができる。前記組成物に含まれる亜鉛化合物の形態は、粒子状であっても、非粒子状であっても、溶解していてもよいが、分散性、ガスバリア性、生産性の観点からは、粒子状であることが好ましい。また、このような粒子の平均粒子径は特に限定されないが、硫化水素を捕捉する効果や、コーティング適性の観点から、平均粒子径が5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることが特に好ましい。
亜鉛化合物を含む層5は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、亜鉛化合物のほかに、各種添加剤を含有してもよい。該添加剤としては、例えば、亜鉛化合物を含有するコーティング液からなる塗膜を乾燥することにより形成する場合、コーティング液に用いる溶媒に可溶又は分散可能な樹脂、該溶媒に可溶又は分散可能な分散剤、界面活性剤、柔軟剤、安定剤、膜形成剤、増粘剤等を含有してもよい。上記の中でも、コーティング液に用いる溶媒に可溶または分散可能な樹脂を含有することが好ましい。これにより、コーティング液の塗工性、製膜性が向上する。このような樹脂としては、例えば、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられる。また、コーティング液に用いる溶媒に可溶又は分散可能な分散剤を含有することが好ましい。これにより、多価金属化合物の分散性が向上する。該分散剤としては、アニオン系界面活性剤や、ノニオン系界面活性剤を用いることができる。該界面活性剤としては、(ポリ)カルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルフォコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、芳香族リン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、アルキルアリル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ソルビタンアルキルエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の各種界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。亜鉛化合物を含む層5に添加剤が含まれている場合には、多価金属化合物と添加剤との質量比(多価金属化合物:添加剤)は、30:70〜99:1の範囲内であることが好ましく、50:50〜98:2の範囲内であることが好ましい。
亜鉛化合物を含む層5の厚さは、ガスバリア性の観点から、好ましくは0.01〜5μmの範囲であり、より好ましくは0.03〜3μmの範囲であり、さらに好ましくは0.
1〜1.2μmの範囲である。
亜鉛化合物を含む層5の形成方法としては、例えば、コーティング法、ディッピング法等が挙げられる。これらの中でも、生産性の観点からから、コーティング法が好ましい。以下、コーティング法により亜鉛化合物を含む層5を形成する場合について説明する。コーティング法による亜鉛化合物を含む層5の形成は、具体的には、亜鉛化合物を含有するコーティング液からなる塗膜を乾燥することにより形成できる。
コーティング液は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、亜鉛化合物のほかに、各種添加剤等を含んでいてもよい。該添加剤としては、例えば、コーティング液に用いる溶媒に可溶又は分散可能な樹脂、該溶媒に可溶又は分散可能な分散剤、その他の界面活性剤、柔軟剤、安定剤、膜形成剤、増粘剤等が挙げられる。上記の中でも、コーティング液には、コーティング液の塗工性、成膜性を向上させる目的で、コーティング液に用いる溶媒に可溶または分散可能な樹脂を混合して用いることが好ましい。また、添加剤として、亜鉛化合物の分散性を向上させる目的で、コーティング液に用いる溶媒に可溶又は分散可能な分散剤を混合して用いることが好ましい。該分散剤としては、亜鉛化合物を含む層5が含有してもよい各種添加剤として前記で挙げたものと同様のものが挙げられる。コーティング液に添加剤が含まれている場合には、亜鉛化合物と添加剤との質量比(亜鉛化合物:添加剤)は、30:70〜99:1の範囲内であることが好ましく、50:50〜98:2の範囲内であることが好ましい。
コーティング液に用いる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。また、これらの溶媒は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、塗工性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また製造性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。
コーティング液においては、コーティング適性の観点から、コーティング液中の亜鉛化合物及び添加剤の合計含有量が、コーティング液の総重量に対して1〜50質量%の範囲であることが好ましく、3〜45質量%の範囲であることがより好ましく、5〜40質量%の範囲であることが特に好ましい。
このコーティング液を、ガスバリア層4上に塗工して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥することにより亜鉛化合物を含む層5を形成できる。コーティング液の塗工方法としては、特に限定されず、公知のコート法のなかから適宜選択でき、例えばキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等が挙げられる。コーティング液の塗工量は、形成する亜鉛化合物を含む層5の厚さに応じて設定される。コーティング液を塗工した後、乾燥により、塗膜に含まれるコーティング液の溶媒を除去することによって、亜鉛化合物を含む層5が形成される。乾燥方法としては、特に限定は無く、例えば熱風乾燥法、熱ロール接触法、赤外線加熱法、マイクロ波加熱法等の方法が挙げられる。これらの方法はいずれかを単独で用いても2種以上を組み合わせてもよい。乾燥温度としては特に限定は無いが、溶媒として上述した水や、水と有機溶媒との混合溶媒を用いる場合には、通常、50〜160℃が好ましい。また乾燥の際の圧力は、通常、常圧または減圧下で行い、設備の簡便性の観点から常圧で行うことが好ましい。このようにして形成される亜鉛化合物を含む層5には、亜鉛化合物の他に添加剤等の他の成分が含まれる場合には、当該他の成分が含まれている。
本発明のガスバリア積層体を用いて硫黄化合物を含む内容物を包装し、その後、加熱殺菌処理する方法としては、レトルト処理、ボイル処理、いずれか1種のみであっても2種を組み合わせてもよい。レトルト処理は、一般に食品等を保存するために、カビ、酵母、細菌などの微生物を加圧殺菌する処理である。通常は、105〜140℃、0.15〜0.30MPaで、10〜120分の条件で加圧殺菌処理する。レトルト装置は、加熱蒸気を利用する蒸気式と加圧過熱水を利用する熱水式等があり、内容物となる食品等の殺菌条件に応じて適宜使い分ける。ボイル処理は、食品等を保存するため湿熱殺菌する処理である。通常は、内容物にもよるが、食品等を包装したガスバリア積層体を、60〜100℃、大気圧下で、10〜120分の条件で湿熱殺菌処理を行う。ボイル処理は、通常、熱水槽を用いて行うが、一定温度の熱水槽の中に浸漬し、一定時間後に取り出すバッチ式と、熱水槽の中をトンネル式に通して殺菌する連続式がある。
本発明の透明ガスバリア5積層体は、無機蒸着層3と第1のガスバリア層4、亜鉛化合物を含む層5を備えることで、優れたガスバリア性とレトルト臭低減効果を有する。本発明のガスバリア性積層体は、温度30℃、相対湿度70%RHにおける酸素透過度が、好ましくは30cc/m・day・MPa以下であり、より好ましくは15cc/m・day・MPa以下であり、特に好ましくは1.5cc/m・day・MPa以下である。該酸素透過度は低いほど好ましく、その下限としては特に限定はないが通常は0.01cc/m・day・MPa以上である。また、本発明のガスバリア積層体は、温度40℃、相対湿度90%RHにおける水蒸気透過度が、通常は5g/m・day以下であり、好ましくは5g/m・day以下であり、特に好ましくは1g/m・day以下である。該水蒸気透過度は低いほど好ましく、その下限としては特に限定はないが通常は0.01g/m・day以上である。
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
<密着層形成用組成物の調整>
アクリルポリオールとトリイジルイソシアネートを、アクリルポリオールのOH基に対してNCO基が等量となるように加え、全固形分が5w%になるよう酢酸エチルで希釈し、さらにこれにβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを全固形分に対し5w%添加して混合し、密着層形成用組成物(コーティング溶液)を得た。
<亜鉛化合物を含む層形成用組成物の調整>
酸化亜鉛微粒子水分散液(住友大阪セメント製:ZE143)100gと硬化剤Liofol HAERTER UR 5889−21(Henkel製)1gを混合して亜鉛化合物を含む層形成用組成物(コーティング液)を得た。
[実施例1]
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET:東レ製、ルミラー(登録商標)P60、厚さ12μm)のコロナ処理側に、上記密着層形成用組成物を用いて乾燥後の膜厚が0.1μmとなるようにグラビアコート機で塗布、乾燥して密着層を作成した。次に、密着層の上に電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入し、酸化アルミニウムを蒸着して厚さ20nmの無機蒸着層を形成した。次に、この無機蒸着層上に、下記ガスバリア層形成用組成物(コーティング溶液)を用いて乾燥後の膜厚が0.5μmとなるようにグラビアコート機で塗布、乾燥して
ガスバリア層を形成した。
<ガスバリア層形成用組成物の調整>
(A)テトラエトキシシラン17.9gとメタノール10.0gに塩酸(0.1N)72.1gを加え、30分間撹拌して加水分解させた固形分5wt%(SiO換算)の加水分解溶液
(B)ポリビニルアルコールの5wt%水/メタノール溶液{水:メタノール=95:5(重量比)}
(C)1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを水/イソプロピルアルコール溶液=1/1溶液で、固形分5%(重量比RSi(OH)換算)に希釈調整した水溶液
これらをA:B:C=100:20:10に混合し、ガスバリア層形成用組成物(コーティング溶液)を調整した。
次に、グラビアコート法によって亜鉛化合物を含む層のコーティング液を、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、90℃で2分間乾燥させた後に50℃で2日間熟成処理して、亜鉛化合物を含む層を形成した。これにより[PET(12μm)/密着層(0.1μm)/無機蒸着層(20nm)/ガスバリア層(0.5μm)/亜鉛化合物を含む層(1μm)]の構成を有するガスバリア積層体を得た。
[実施例2]
実施例1での密着層を形成した後、電子線加熱方式による真空蒸着装置により一酸化珪素材料(大阪チタニウムテクノロジーズ社製、SiO)を蒸発させ、厚さ25nmとなるように無機蒸着層を形成した。この無機蒸着層以外は実施例1と同様の操作を行って、[PET(12μm)/密着層(0.1μm)/無機蒸着層(25nm)/ガスバリア層(0.5μm)/亜鉛化合物を含む層(1μm)]の構成を有するガスバリア積層体を得た。
[比較例1]
実施例1と同様の操作を行って、ガスバリア層まで形成し亜鉛化合物を含む層を含まない[PET(12μm)/密着層(0.1μm)/無機蒸着層(25nm)/ガスバリア層(0.5μm)]の構成を有するガスバリア積層体を得た。
[比較例2]
実施例1での無機蒸着層(20nm)を形成したあと、ガスバリア層のガスバリア性コーティング溶液の配合比をA/B/C=100/30/0とした。このガスバリア層を0.5μm厚みに形成し、実施例1と同様に亜鉛化合物を含む層(1μm)を積層したこと以外は実施例1と同様の操作を行って、[PET(12μm)/密着層(0.1μm)/無機蒸着層(20nm)/ガスバリア層(0.5μm)/亜鉛化合物を含む層(1μm)]の構成を有するガスバリア性積層体を得た。
[比較例3]
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET:東レ製、ルミラー(登録商標)P60、厚さ12μm)にアルミ箔9μmを2液型の接着剤(三井化学製 A525/A52)を用いて、ドライラミネート法によってラミネートし、さらにAl箔上に未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をラミネートして、[PET(12μm)/Al箔(9μ)/接着剤層/CPP(70μm)]の構成からなるガスバリア積層体を得た。
[比較例4]
実施例1での密着層を形成したのち、無機蒸着層を形成せずにガスバリア層を実施例1
と同様に形成した以外は実施例1と同様の操作を行って[PET(12μm)/密着層2(0.1μm)/ガスバリア層(0.5μm)/亜鉛化合物を含む層(1μm)]の構成を有するガスバリア積層体を得た。
<評価及び方法>
実施例1、2及び比較例1〜4で得られたガスバリア積層体について、以下の方法により密着性、ガスバリア性(酸素透過度、水蒸気透過度による代替評価)及びレトルト臭(硫化水素濃度による代替評価)の測定及び評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(1)密着性
[セロハンテープ剥離評価基準]
巾15mmのセロハンテープ(ニチバン製CT−15M)をガスバリア積層体の最外層(実施例1では亜鉛化合物を含む層)表面に貼り付けて、剥離した後のセロハンテープ表面とガスバリア積層体の最外層表面を確認した。なお、比較例3のガスバリア積層体については、密着層がないためこの評価を行わなかった。
○: テープ表面にガスバリア積層体表面が取られていない、かつガスバリア積層体の最外層が取られていないこと。
×: テープ表面にガスバリア積層体が取られている、またはガスバリア積層体の最外層が取られている。
(2)ガスバリア性
実施例1、2及び比較例1、2、4で得られたそれぞれのガスバリア積層体の亜鉛化合物を含む層上に、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:東レフィルム加工社製:CPP、トレファンNO ZK207、厚さ70μm)を、2液型の接着剤(三井化学製A525/A52)を用いて、ドライラミネート法によってラミネートして包装体形成用のラミネートフィルムを得た。
次に、上記ラミネートフィルム及び比較例2の積層体を20cm×20cmのサイズに切り出して、121℃30分間、圧力0.18kg/cmにてレトルト加熱処理してガスバリア性評価用の試験片を作製し、以下の評価をした。
[酸素透過度の測定方法]
酸素透過度は、酸素透過度測定装置(Modern Control社製 OXTRAN
2/20)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で測定した。測定方法は、JISK−7126、B法(等圧法)に準拠し、測定値は単位[cc/m・day・MPa]で表記した。
[水蒸気透過度の測定方法]
水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定装置(Modern Control社製 PERMATRAN 3/31)を用いて温度40℃、相対湿度90%の条件で測定した。測定方法は、JISK−7129に準拠し、測定値は単位[g/m・day]で表記した。
上記記載の測定方法で測定した結果を表1に示す。
(3)レトルト臭(代替評価として硫化水素濃度を測定)
[L−システイン水溶液が加熱処理されたときの硫化水素濃度の測定]
実施例1、2及び比較例1、2、4で得られたそれぞれのガスバリア積層体の亜鉛化合物を含む層上に、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:東レフィルム加工社製:CPP、トレファンNO ZK207、厚さ70μm)を、2液型の接着剤(三井化学製A525/A52)を用いて、ドライラミネート法によってラミネートして包装体形成用のラミネートフィルムを得た。
次に、上記ラミネートフィルム及び比較例3の積層体を20cm×20cmのサイズに切り出してヒートシールにて包装体を形成し、その中に濃度0.03%/LのL−システイン水溶液30ml(関東化学社製、L−システイン使用)を充填した後に、同じくヒートシールにて内寸80mm×80mmになるように密封包装した。その後、121℃30分間、圧力0.18kg/cmにてレトルト加熱処理した。
その後、包装体を開封し、L−システイン水溶液内の硫化水素濃度がメチレンブルー法で定量し、吸光光度計による検量線法で測定した。(矢野美穂、「メチレンブルー吸光光度法を用いた温泉水中硫化水素の定量」、兵庫県立健康環境科学研究センター水質環境部参照)
Figure 2016221864
<比較結果>
実施例1では、密着性があり、L−システイン溶液の硫化水素濃度が低く、酸素透過度で3.0[cc/m・day・MPa]以下、水蒸気透過度で0.4[g/m・day]レベルが得られて良好であり、実施例2でも同様に密着性、硫化水素濃度、酸素及び水蒸気透過度が低く良好な結果が得られた。
一方、比較例1、3では、L−システインの硫化水素濃度が高く、亜鉛化合物を含む層を設けなかったことに起因すると推察できる。また、比較例2は亜鉛化合物を含む層の効果が得られたものの、ガスバリア層の形成に1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートがない組成物を用いたことにより、耐水性及び相乗効果として期待した酸素ガスバリア性が低下した。また、比較例4では無機蒸着層がないため酸素及び水蒸気バリアが著しく低下した。
以上の結果から、本発明のガスバリア積層体はレトルト殺菌処理を施してもレトルト臭を低減し、且つ酸素及び水蒸気に対するバリア性に優れていることが実証できた。
本発明に係るガスバリア積層体は、食品等の加熱殺菌工程を含む包装分野、特に肉、卵、豆製品等の含硫アミノ酸を内容物とした場合でも、硫化水素濃度を減らし、かつ密着性やバリア性が良好な包装材料として利用することができる。
1 フィルム基材
2 密着層
3 無機蒸着層
4 ガスバリア層
5 亜鉛化合物を含む層
6 ガスバリア積層体

Claims (4)

  1. フィルム基材の一方の面に、密着層、無機蒸着層、ガスバリア層、亜鉛化合物を含む層が順次積層してなるガスバリア積層体であって、
    前記ガスバリア層は、水溶性高分子と、金属アルコキシド(A)、その加水分解物(B)、塩化錫(C)の少なくとも一つと、一般式(RSi(OR))n(但し、Rは有機官能基、RはCH、C、またはCOCHのいずれか)で表される化合物とを含むガスバリア層形成用組成物からなることを特徴とするガスバリア積層体。
  2. 前記一般式(RSi(OR))nは、式(NCO−RSi(OR))(但し、式中Rは(CH)n、nは1以上)で表される1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートであることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア積層体。
  3. 前記無機酸化物は、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア積層体。
  4. 前記ガスバリア層上にヒートシール層が積層されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア積層体。
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