JP2016219171A - 電極体、電極体の製造方法、電極複合体および電池 - Google Patents

電極体、電極体の製造方法、電極複合体および電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池に適用することで、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持する電池とし得る電極複合体が有する電極体、かかる電極体を製造し得る電極体の製造方法、かかる電極体を有する電極複合体および電池を提供すること。【解決手段】本発明の電極体70は、線状をなす芯材を構成する導電体21と、この導電体21の表面に設けられた被覆層を構成する活物質層5とを備え、導電体21は、一般式(Co1−XNiX)[式中、Xは、0以上1以下の数を表す。]で表わされる金属または合金を含み、活物質層5は、一般式Li(Co1−YNiY)O2[式中、Yは、0以上1以下の数を表す。]で表わされるリチウム複酸化物を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、電極体、電極体の製造方法、電極複合体および電池に関するものである。
携帯型情報機器をはじめとする多くの電気機器の電源として、リチウム電池(一次電池および二次電池を含む)のような電池が利用されている。リチウム電池は、正極と負極と、これらの層の間に設置され、リチウムイオンの伝導を媒介する電解質層とを備える。
近年、高エネルギー密度と安全性とを両立したリチウム電池として、電解質層の形成材料に、固体電解質を使用する全固体型リチウム電池が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
全固体型リチウム電池を含めて、リチウム電池では正極や負極はそれぞれの電池反応を担う活物質とその電池反応の結果得られる電荷を取り出す集電極とが含まれる。活物質は粒子形状で用いられ、さらに、活物質そのものの電気抵抗は高い。そのため、その導電性を補う目的でアセチレンブラックやカーボンブラックなどの粒子が導電助剤として混合添加されている。しかしながら、単に導電助剤を活物質に添加し混合するだけでは、活物質と導電助剤との間や、導電助剤と集電極との間の接触が不十分になることがある。すると、その場合には、活物質での電極反応で生じた電子が集電極に集電されない活物質が部分的に生じ、所望の電流が得られないだけでなく、電池容量も低下してしまう。
特開2006−277997号公報 特開2004−179158号公報 特許第4615339号公報
しかしながら、これらの全固体型リチウム電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量であるものが求められているが、従来の全固体型リチウム電池は、これらの特性について充分に得られているとは言えなかった。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電極体は、線状をなす芯材を構成する導電体と、前記導電体の表面に設けられた被覆層を構成する活物質層とを備え、
前記導電体は、一般式(Co1−XNi)[式中、Xは、0以上1以下の数を表す。]で表わされる金属または合金を含み、
前記活物質層は、一般式Li(Co1−YNi)O[式中、Yは、0以上1以下の数を表す。]で表わされるリチウム複酸化物を含むことを特徴とする。
かかる構成の電極体を備える電極複合体を電池に適用することで、電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
本発明の電極体では、前記導電体は、Niを含む単相で構成され、前記活物質層は、LiNiOを含む単相で構成されることが好ましい。
かかる構成の電極体を備える電極複合体を電池に適用することで、電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
本発明の電極体では、前記導電体は、Niを含む単相で構成され、前記活物質層は、LiCoOを含む単相で構成されることが好ましい。
かかる構成の電極体を備える電極複合体を電池に適用することで、電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
本発明の電極体では、前記導電体は、Niを含む単相で構成され、前記活物質層は、LiNiOを含む単相とLiCoOを含む単相とが前記導電体側から積層された複数層で構成されることが好ましい。
かかる構成の電極体を備える電極複合体を電池に適用することで、電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
本発明の電極体の製造方法は、本発明の電極体を製造する方法であり、
前記導電体を用意し、前記導電体の表層を酸化させることにより、前記導電体の表層に前記金属または合金の酸化物を含む酸化物層を形成する酸化物層形成工程と、
前記酸化物層を、リチウム塩を含むリチウム塩層で被覆する被覆工程と、
前記酸化物層を加熱して焼成することで、前記酸化物層を前記活物質層に転化させる転化工程とを有することを特徴とする。
かかる製造方法で製造された電極体を、電池が備える電極複合体に適用することで、電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
本発明の電極体の製造方法では、前記酸化物層形成工程において、Niを含む単相で構成される前記導電体を用意し、前記導電体の表層を酸化させてNiOを含む酸化物層を形成することで、
前記導電体がNiを含む単相で構成され、前記活物質層がLiNiOを含む単相で構成される前記電極体を得ることが好ましい。
これにより、かかる構成の電極体を確実に得ることができる。
本発明の電極体の製造方法では、前記酸化物層形成工程において、Niを含む単相の表面に、Coを含む表面層が設けられた前記導電体を用意し、前記表面層を酸化させてCoOおよびCoのうちの少なくとも1種を含む酸化物層を形成することで、
前記導電体がNiを含む単相で構成され、前記活物質層がLiCoOを含む単相で構成される前記電極体を得ることが好ましい。
これにより、かかる構成の電極体を確実に得ることができる。
本発明の電極体の製造方法では、前記酸化物層形成工程において、Niを含む単相の表面に、Coを含む表面層が設けられた前記導電体を用意し、前記表面層および前記Niを含む単相の表層を酸化させてCoOおよびCoのうちの少なくとも1種を含む酸化物層およびNiOを含む酸化物層を形成することで、
前記導電体がNiを含む単相で構成され、前記活物質層がLiNiOを含む単相とLiCoOを含む単相とが前記導電体側から積層された複数層で構成される前記電極体を得ることが好ましい。
これにより、かかる構成の電極体を確実に得ることができる。
本発明の電極複合体は、本発明の電極体と、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質を含む固体電解質体とを備える複合体と、
前記複合体の一方の面に、前記活物質層と接触して設けられた集電体とを有することを特徴とする。
かかる構成の電極複合体を電池に適用することで、電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
本発明の電極複合体では、前記複合体において、線状をなす複数の前記電極体は、前記複合体の厚さ方向に沿って伸び、さらに、複数の前記電極体を、前記複合体の面方向に配置した集合体を形成していることが好ましい。
これにより、複合体の厚さ方向に沿って、より円滑に電子を供給することができる。
本発明の電池は、本発明の電極複合体と、
前記複合体の他の電極が接合される面に設けられた電極とを有することを特徴とする。
かかる構成の電極複合体を有することで、電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
第1実施形態に係る電極複合体の縦断面図である。 第1実施形態に係る電極複合体を用いたリチウム二次電池の縦断面図である。 図2に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 図2に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 図2に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 図2に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 図2に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 図2に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 本発明の電池をリチウム二次電池に適用した第2実施形態を示す縦断面図である。 本発明の電池をリチウム二次電池に適用した第3実施形態を示す縦断面図である。 本発明の電池をリチウム二次電池に適用した第4実施形態を示す縦断面図である。
以下、本発明に係る実施形態及び実施例について、図面を用いて説明する。尚、説明に用いる図面は、説明のための便宜上のものであり、図示された構成要素の寸法や比率等は実際のものと異なる場合がある。また、図面の説明において、示された図の上側を「上」、下側を「下」と言う。
(第1実施形態)
本実施形態は、電極複合体のひとつの実施形態と当該電極複合体を用いたリチウム二次電池について説明するものである。
図1に、電極複合体10を示す。電極複合体10は、集電体1、電極体70、及び固体電解質体3を有する。
図2に、電極複合体10を用いたリチウム二次電池100を示す。リチウム二次電池100は、構成要素として、電極複合体10及び電極20を含む。このリチウム二次電池100は、いわゆる全固体型リチウム二次電池である。
まず、図1を用いて、電極複合体10について説明する。
ここで、電極体70および固体電解質体3を合わせて複合体4と呼ぶ。電極複合体10は、集電体1と複合体4とで構成される。
線状(ワイヤー状)をなす電極体(線状体)70は、芯材を構成する導電体21と、導電体21の表面に設けられた被覆層を構成する活物質層5とを備えている。この複合体4は、集電体1と電極20との間に位置して、対向する一対の面41、42において、これらに対してそれぞれ接合している。
集電体1は、複合体4の一面(一方の面)41に接して設けられている。
この集電体1は、活物質層5が正極活物質で構成されることから、正極として機能する。
集電体1の形成材料(構成材料)としては、例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)からなる群から選ばれる1種の金属(金属単体)や、この群から選ばれる2種以上の金属元素を含む合金等が挙げられる。
集電体1の形状は、特に限定されず、例えば、板状、箔状、網状等をなすものが挙げられる。また、集電体1の表面は、平滑なものであってもよく、凹凸が形成されていてもよい。
電極体(本発明の電極体)70は、その全体形状が線状(ワイヤー状)をなす線状体であり、線状をなす芯材を構成する導電体21と、導電体21の表面に設けられた被覆層を構成する活物質層5とを備えている。
この電極体70は、本実施形態では、複合体4の厚さ方向に沿って、伸びている。そして、電極体70は、複合体4の面方向に、集電体1に、その端部を接触して複数配置されている。集電体1に接触する電極体70の端部は、後述する研磨工程によって導電体21が露出し、導電体21が集電体1に直接接触している。
このように、電極体70は、複合体4において、その厚さ方向に沿って伸び、さらに、複数の電極体70を、複合体4の面方向に配置した集合体として設けられている。
活物質層5は、層状をなし、電極体70において、導電体21の表面を覆う被覆層を構成している。なお、電極体70において、活物質層5は導電体21の表面の全面を覆っていてもよいし、本実施形態の様に、集電体1に接触する電極体70の端部が露出することで、その一部が露出するように覆っていても良い。つまり、導電体21の表面の少なくとも一部を覆っていればよい。
この活物質層5は、本発明では、後述するリチウム二次電池の製造方法において説明するような方法を用いて電極体70が形成されることに起因して、一般式Li(Co1−YNi)O[式中、Yは、0以上1以下の数を表す。]で表わされるリチウム複酸化物を含む電極活物質を形成材料(構成材料)として含有するものであり、かかる形成材料で構成されることで、集電体1は、正極として機能する。
このようなリチウム複酸化物としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiNi0.5Co0.5、LiNi0.8Co0.2等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。具体的には、活物質層5を、これらのうちの1種からなる単相で構成してもよいし、これらのうちの1種からなる下層と、下層とは異なる1種からなる上層との2層構成をなす積層体で構成してもよい。さらに、3層構成以上をなす積層体とすることもできる。これにより、活物質層5を、充放電時の体積変化率の小さいものとすることができる。
また、これらのリチウム複酸化物の結晶内の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体もリチウム複酸化物に含むものとし、これら固溶体も正極活物質として用いることができる。
このようなリチウム複酸化物を含むことで、活物質層5は、活物質層5内で電子の受け渡しを行い、活物質層5と固体電解質体3との間でリチウムイオンの受け渡しを行い、活物質層5としての機能を発揮する。
この活物質層5の平均厚さは、0.5μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がより好ましい。このような平均厚さの活物質層5とすることにより、電極複合体10を用いたリチウム二次電池の高容量化を図ることができる。
導電体21は、電極体70の芯材を構成し、電極体70と同様に、その全体形状が線状をなす線状体であり、その表面に活物質層5が設けられることで、電極体70を形成している。
この導電体21は、本発明では、一般式(Co1−XNi)[式中、Xは、0以上1以下の数を表す。]で表わされる金属または合金で構成され、この金属または合金は、優れた電子伝導性を有している。
ここで、例えば、かかる構成の導電体21を有していないリチウム二次電池では、活物質層5内において、直接、電子や正孔による電気伝導が行われることとなる。活物質層5の電子や正孔による電気伝導率(電子伝導率)は、このものの構成材料である電極活物質に固有のものである。そのため、活物質層5を、前述したような一般式Li(Co1−YNi)O[式中、Yは、0以上1以下の数を表す。]で表わされるリチウム複酸化物を形成材料として含有するものとすると、活物質層5内における電子伝導率が低くなり、その結果、導電体21を有していないリチウム二次電池では、活物質層5における内部抵抗が高くなるため、リチウム二次電池の高出力化および高容量化を実現することができなかった。
また、かかる問題点を解消することを目的に、導電体21を有していないリチウム二次電池において、複合体4に、カーボンブラック、アセチレンブラックや、金属等を含有する導電性粒子および導電性繊維を添加して、複合体4の電子伝導率を向上させることも考えられる。しかしながら、単に導電性粒子および導電性繊維等を複合体4に添加するだけでは、導電性粒子および導電性繊維等と活物質層5との接触が、点接触でしか得られないため、複合体4の電子伝導率を十分に向上させることはできなかった。
これに対して、電子の伝導性に優れた線状をなす導電体21を芯材とし、この導電体21の表面を、被覆層として活物質層5が覆う構成とすることで、この導電体21内に電子を伝導させることができる。すなわち、導電体21は、複合体4において、複合体4の厚さ方向に対して、電子を伝導させることができる。また、芯材として導電体21の表面を活物質層5が覆うことから、活物質層5と導電体21との接触面積を十分に確保しつつ、その密着性を優れたものとすることができる。そのため、複合体4から集電体1に円滑に電子を伝導することができることから、複合体4における内部抵抗が低くなる。
また、電子を伝導するパスとして機能する導電体21を芯材として備える電極体70が、本実施形態では、複合体4の厚さ方向に沿って伸びる柱状体を構成しているため、複合体4の厚さ方向に沿って、より円滑に電子を供給することができる。さらに、電子を伝導するパスとして機能する導電体21が、本実施形態では、一面41において複合体4から露出して集電体1に接触することから、集電体1に対して、より円滑に電子を供給することができる。
上記の通り、リチウム二次電池が導電体21を備えることで、活物質層5だけのときよりも電子の伝導性がより高くなり、リチウム二次電池の内部抵抗が減少し、出力電圧降下によるクーロン効率の低下が緩和される。これにより、リチウム二次電池100の出力および容量密度の向上を図ることができる。その結果、リチウム二次電池100は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
なお、導電体21は、その全体形状が線状(ワイヤー状)をなすものであればよく、その直径(線径)は、活物質層5が形成される前の状態で、2μm以上400μm以下であることが好ましく、4μm以上80μm以下であることがより好ましい。導電体21の直径を、前記範囲内に設定することにより、前述した導電体21としての機能を発揮させることができることから、導電体21内の電子の伝導を、長期に亘って安定的に維持することが可能となる。
また、導電体21の長さは特に限定されるものではないが、0.05mm以上100mm以下であることが好ましく、0.1mm以上0.2mm以下であることがより好ましい。導電体21の長さを、前記範囲内に設定することにより、前述した導電体21としての機能を発揮させることができることから、導電体21内の電子の伝導を、長期に亘って安定的に維持することが可能となる。また、導電体21の直径および長さを前記範囲内に設定することにより、複合体4における導電体21の比表面積を大きくすることができる。そのため、複合体4の厚さ方向に沿って、電子を伝導するパスとして導電体21が、より確実にその機能を発揮することから、複合体4の厚さ方向に沿って、より円滑に電子を供給することができるようになる。
なお、一般式(Co1−XNi)[式中、Xは、0以上1以下の数を表す。]で表わされる金属または合金で構成される導電体21は、Coの含有率が高くなるにしたがって、強磁性体となるため、磁化状態である場合には、導電体21(電極体70)の磁化の方向は、複合体4の厚さ方向に沿った方向となっている。なお、複合体4の厚さ方向に、導電体21の磁化方向が向く理由については、後述するリチウム二次電池の製造方法において説明する。また、本明細書において、導電体21の磁化の方向が、複合体4の厚さ方向に沿った方向となっているとは、導電体21の磁化の方向が、複合体4の厚さ方向に対して、±10°のズレの範囲内になっている場合のことを言うこととする。
固体電解質体(第1の固体電解質体)3は、リチウムイオン伝導性を有する形成材料を含んで構成される。固体電解質体(固体電解質層)3は、複合体4の他面42を覆うとともに、複合体4に含まれる複数の電極体70同士間の空隙を充填して形成されている。すなわち、前記空隙内を含む、複数の電極体70の表面に接して設けられ、かつ、電極20に接する他面42側では、電極体70が備える導電体21および活物質層5が露出することなく、固体電解質体3が単独で露出するように設けられている。
これにより、活物質層5と固体電解質体3との間におけるリチウムイオンの受け渡しを円滑に行うことができるとともに、他面42側で接する電極20との間で短絡が生じるのを確実に防止することができる。
固体電解質の形成材料としては、特に限定されず、Li6.75LaZr1.75Nb0.2512、SiO−SiO−P−LiO、SiO−P−LiCl、LiO−LiCl−B、Li3.40.6Si0.4、Li14ZnGe16、Li3.60.4Ge0.6、Li1.3Ti1.7Al0.3(PO、Li2.88PO3.730.14、LiNbO、Li0.35La0.55TiO、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−P、LiN、LiI、LiI−CaI、LiI−CaO、LiAlCl、LiAlF、LiI−Al、LiF−Al、LiBr−Al、LiO−TiO、La−LiO−TiO、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiN−LiCl、LiNBr、LiSO、LiSiO、LiPO−LiSiO、LiGeO−LiVO、LiSiO−LiVO、LiGeO−ZnGeO、LiSiO−LiMoO、LiPO−LiSiO、LiSiO−LiZrO、Li2+x1−x、LiBH、Li7−xPS6−xCl、Li10GeP12等の酸化物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、水酸化物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの部分置換体の結晶質、非晶質(アモルファス)および部分結晶化ガラスの何れをも用いることができる。さらに、これらの固体電解質中にAl、SiO、ZrO等の絶縁物の微粒子が埋入されることで複合化された複合物を固体電解質の形成材料として用いることもできる。上記の他に、ポリエチレンオキサイド(PEO)などのポリマーに硝酸リチウムやLi−TFSIなどのリチウム塩を添加したポリマー電解質も用いることもできる。
また、固体電解質としては、ガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有するものであることが好ましい。ガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有する固体電解質は、イオン伝導性が高く電気化学的に安定であることから固体電解質として好ましく用いられる。
また、本明細書においては、これらの組成物の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体も、固体電解質として用いることができる。
固体電解質体3のイオン伝導率は、1×10−5S/cm以上であることが好ましい。固体電解質体3がこのようなイオン伝導率を有することにより、活物質層5の表面から離れた位置の固体電解質体3に含まれるイオンも、活物質層5の表面に達し、活物質層5における電池反応に寄与することが可能となる。そのため、活物質層5における活物質の利用率が向上し、容量を大きくすることができる。
なお、「固体電解質体3のイオン伝導率」とは、固体電解質体3を構成する上述の無機電解質自身の伝導率である「バルク伝導率」と、無機電解質が結晶質である場合における結晶の粒子間の伝導率である「粒界イオン伝導率」と、の総和である「総イオン伝導率」のことを言う。
なお、固体電解質体3のイオン伝導率は、例えば、固体電解質粉末を624MPaで錠剤型にプレス成型したものを大気雰囲気下700℃で8時間焼結し、スパッタリングにより直径0.5cm、厚み100nmのプラチナ電極をプレス成型体両面に形成して交流インピーダンス法を実施することにより測定することができる。測定装置には、例えば、インピーダンスアナライザ(ソーラトロン社製、型番SI1260)を用いる。
複合体4の一面41は、固体電解質体3から電極体70が備える活物質層5および導電体21が露出している。活物質層5および導電体21を露出させるため、一面41に対し研磨工程が行われる場合がある。研磨加工を施した場合、一面41には、研磨加工の痕跡である擦過痕(研磨痕)が残されている。
また、本実施形態の電極複合体10においては、複合体4が上述のような構成であるため、複合体4に含まれるバインダーや導電助剤の添加量が抑制されており、バインダーや導電助剤を用いる場合と比べて、電極複合体10の単位体積あたりの容量密度が向上する。
これらのことから、以下で説明する本実施形態の製造方法で製造された、上述した構成をなす電極複合体10は、電極複合体10を用いたリチウム二次電池の容量を向上させ、かつ高出力とすることができる。
また、複合体4は、一面41で、導電体21と活物質層5と固体電解質体3とが露出し、他面42で、固体電解質体3が単独で露出し、この状態で、一面41に集電体1が接合され、他面42に電極20が接合されている。かかる構成とすることで、リチウム二次電池100において、電極20と集電体1とが導電体21および活物質層5を介して接続されるのを防止すること、すなわち短絡を防止することができる。換言すれば、固体電解質体3は、リチウム二次電池100における短絡の発生を防止する短絡防止層としての機能をも発揮する。
電極20は、負極として機能し、複合体4の集電体1とは反対側の他面42に、電極体70(導電体21および活物質層5)に接することなく固体電解質体3に接して設けられている。
電極20の形成材料(構成材料)としては、例えば、リチウム(Li)が挙げられる。
電極20の厚さは、特に限定されないが、例えば、1μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
また、固体電解質体3と電極20との間には、負極活物質を主材料として含む負極層が介挿されていてもよい。
負極活物質としては、例えば、Nb、V、TiO、In、ZnO、SnO、NiO、ITO(Snが添加された酸化インジウム)、AZO(アルミニウムが添加された酸化亜鉛)、GZO(ガリウムが添加された酸化亜鉛)、ATO(アンチモンが添加された酸化スズ)、FTO(フッ素が添加された酸化スズ)、TiOのアナターゼ相、LiTi12、LiTi等のリチウム複酸化物、Si、Sn、Si−Mn、Si−Co、Si−Ni、等の金属および合金、炭素材料、炭素材料の層間にリチウムイオンが挿入された物質等が挙げられる。
次に、電極複合体10およびリチウム二次電池100の製造方法について説明する。
まず、図3〜図8を用いて、電極複合体10の製造方法について説明する。
まず、全体形状が線状をなす複数の電極体70を用意し、これら電極体70を、磁場の中に置いた状態とする。
これにより、複数の電極体70が磁場の磁力線の方向に沿って伸び、かつ、磁力線と直交する方向に複数配置された形状をなす集合体を得る(第1の工程)。
ここで、前述の通り、一般式(Co1−XNi)[式中、Xは、0以上1以下の数を表す。]で表わされる金属または合金で構成される導電体21は、Coを含有するものとした場合、強磁性体である。そのため、磁場の中に置くことで、導電体21を備える電極体70を、磁場の磁力線の方向に沿って伸びるように配向させることできる。そのため、図3に示すように、磁場の磁力線の方向を、形成すべき複合体4の厚さ方向に一致させることで、電極体70を、形成すべき複合体4の厚さ方向に沿って伸び、かつ、複数の電極体70が、形成すべき複合体4の面方向に配置された状態の集合体とすることができる。
そのため、得られた集合体を磁場(磁界)から取り出した後にも、導電体21が磁化状態である場合には、導電体21(電極体70)の磁化の方向(磁極方向)は、形成すべき複合体4の厚さ方向に沿った方向となっている。
なお、磁場を発生させる磁石としては、特に限定されず、フェライト、ネオジム(ネオジウム−鉄−ホウ素)、アルニコ(アルミニウム−ニッケル−コバルト)、サマコバ(サマリウム−コバルト)等の磁石を所望の形状に成型した永久磁石や、コイル電磁石等が挙げられる。
また、得られる集合体において、複数の電極体70を形成すべき複合体4の厚さ方向に伸びた状態に配向させるには、図3に示すように、形成すべき複合体4の全体において、磁場の磁力線の方向が、形成すべき複合体4の厚さ方向に沿った状態となっていることが好ましい。そのため、形成すべき複合体4よりも大きい磁石を用いることが好ましく、具体的には、粒子状の磁性体を樹脂で結着しシート状に成型して着磁したシート状をなす永久磁石を、形成すべき複合体4よりも大きいものとして用いることがより好ましい。
さらに、磁石(磁場)の磁束密度は、20mT以上15T以下であることが好ましい。これにより、複数の電極体70を、磁場の磁力線の方向に一致させた状態で、伸びるようにより確実に配列させることができる。
以上のような工程により、複数の電極体70で構成される集合体とすることができる。
ここで、線状をなす複数の電極体70は、本発明の電極体の製造方法を適用することで得られる。
電極体70は、前述の通り、線状をなす芯材を構成する導電体21と、導電体21の表面に設けられた被覆層を構成する活物質層5とを備えるものであり、導電体21は、一般式(Co1−XNi)[式中、Xは、0以上1以下の数を表す。]で表わされる金属または合金を含有し、活物質層5は、一般式Li(Co1−YNi)O[式中、Yは、0以上1以下の数を表す。]で表わされるリチウム複酸化物を含有するものであり、導電体21の表面を覆うように、活物質層5を形成することで得ることができる。
すなわち、電極体70は、導電体21を用意し、この導電体21の表層を酸化させることにより、導電体21の表層に一般式(Co1−XNi)[式中、Xは、0以上1以下の数を表す。]で表わされる金属または合金の酸化物を含む酸化物層を形成する酸化物層形成工程と、この酸化物層を、リチウム塩を含むリチウム塩層で被覆する被覆工程と、酸化物層を加熱して焼成することで、酸化物層を活物質層5に転化させて電極体70を得る転化工程とを経ることにより形成される。
以下、用意する導電体21および形成する活物質層5の種類に応じて、電極体70を製造する電極体の製造方法について、それぞれ詳述する。
(第1の構成例)
まず、図6(c)に示すように、導電体21がNiを含む単相22で構成され、活物質層5が、LiNiO(LNO)を含む単相52で構成される場合、すなわち、一般式(Co1−XNi)および一般式Li(Co1−YNi)O中、XおよびYが1である場合について説明する。
まず、図6(a)に示すように、Niを含む単相22で構成される導電体21を用意し、この導電体21の表層を酸化させる(酸化物層形成工程)。
これにより、導電体21の表面に、NiO(酸化ニッケル)を含む酸化物層23が形成される(図6(b)参照。)。
このように、導電体21の表層を酸化させることで、導電体21の表面に酸化物層23が形成されることから、酸化物層23と導電体21との接触面積が十分に確保され、かつ、その密着性が優れたものとなる。
導電体21を酸化させる方法としては、特に限定されないが、例えば、熱酸化法、陽極酸化法が挙げられるが、中でも、熱酸化法であるのが好ましい。熱酸化法によれば、比較的容易に、目的とする厚さの酸化物層23を均一な厚さで形成することができる。
この熱酸化法を用いる場合、熱酸化させる際の加熱温度は、300℃以上1000℃以下の温度条件で行うことが好ましく、600℃以上900℃以下の温度条件で行うことがより好ましい。これにより、均一な厚さの酸化物層23を確実に形成することができる。
また、本工程の熱酸化処理は、10分以上16時間以下で行うことが好ましく、30分以上6時間以下で行うことがより好ましい。
また、用意する導電体21は、その表面が酸化されることを考慮して、前述の通り、その直径(線径)が2μm以上400μm以下であることが好ましく、4μm以上80μm以下であることがより好ましい。
さらに、酸化物層23の平均厚さは、0.5μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がより好ましい。これにより、得られる電極体70において、活物質層5の膜厚を前述した範囲内のものとすることができる。
次いで、酸化物層23を、リチウム塩を含むリチウム塩層で被覆する(被覆工程)。
この酸化物層23のリチウム塩層による被覆は、例えば、酸化物層23の表面に、リチウム塩を含む液状体を塗布し、その後、乾燥することで行うことができる。
リチウム塩としては、特に限定されず、例えば、炭酸リチウム、リン酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウムおよびホウ酸リチウム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、炭酸リチウムであることが好ましい。炭酸リチウムは比較的取り扱いが容易であるとともに、リチウム塩層を、炭酸リチウムを含むものとすることで、次工程において、酸化物層23に含まれるNiOをより確実にLNOに転化させることができる。
また、液状体に含まれる溶媒としては、非プロトン性溶媒が好ましく用いられ、この非プロトン性溶媒としては、例えば、ブタノール、エタノール、プロパノール、メチルイソブチルケトン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられ、この単溶媒または混合溶媒を溶媒として使用することができる。
また、液状体を乾燥させる際の乾燥温度は、50℃以上500℃以下の温度条件で行うことが好ましく、150℃以上350℃以下の温度条件で行うことがより好ましい。
さらに本工程の乾燥処理は、5分以上10時間以下で行うことが好ましく、10分以上2時間以下で行うことがより好ましい。
次いで、酸化物層23を加熱して焼成する(転化工程)。
これにより、酸化物層23の表面と、リチウム塩層の表面との界面において、それぞれを構成する元素の相互拡散による固相反応が生じ、リチウム塩層に含まれるリチウム塩が備えるLiが引き抜かれることで、酸化物層23に含まれるNiOがLiNiO(LNO)に転化され、酸化物層23からLNOを含む単相52からなる活物質層5が形成される(図6(c)参照。)。
酸化物層23の焼成は、通常、大気雰囲気下で行う。具体的には、焼成温度は、200℃以上1000℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。これにより、焼成により酸化物層23からLNOを含む単相52からなる活物質層5に転化される。
また、焼成する時間は、1分以上37時間以下で行うことが好ましく、30分以上6時間以下で行うことがより好ましい。
かかる温度範囲および焼成時間で焼成することにより、酸化物層23から活物質層5により確実に転化させることができる。
また、焼成は、一回の熱処理で行うこととしてもよく、酸化物層23の表面と、リチウム塩層の表面との密着性を向上させることを目的に、リチウム塩の融点以上の温度で1分以上30分以下保持する第1の熱処理と、リチウム塩の融点未満の温度で30分以上36時間以下保持する第2の熱処理と、に分けて行うこととしてもよい。このような段階的な熱処理で焼成を行うことにより、酸化物層23から活物質層5により均一に転化させることができる。
なお、本工程における酸化物層23の活物質層5への転化の後、電極体70に残存するリチウム塩層は、水やエタノール等で溶解する溶解法や、900℃、16時間の条件等で加熱・分解する熱分解法等を用いて除去することが好ましい。
以上のような工程を経ることで、電極体70を得ることができる。
なお、導電体21を、Coを含む単相22で構成し、活物質層5を、LiCoO(LCO)を含む単相52で構成する場合、すなわち、一般式(Co1−XNi)および一般式Li(Co1−YNi)O中、XおよびYを0とする場合には、この第1の構成例において、Niを含む単相22で構成される導電体21に代えて、Coを含む単相22で構成される導電体21を用意するようにすればよい。
(第2の構成例)
次に、図7(d)に示すように、導電体21がNiを含む単相22で構成され、活物質層5が、LiCoO(LCO)を含む単相53で構成される場合、すなわち、一般式(Co1−XNi)中、Xが1であり、一般式Li(Co1−YNi)O中、Yが0である場合について説明する。
まず、図7(a)に示すように、Niを含む単相22で構成される導電体21を用意し、この導電体21の表面に、Coを含む表面層24を形成する(表面層形成工程)。
導電体21の表面に、Coを含む表面層24を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、電解メッキ法および無電解メッキ法のようなメッキ法が好ましく用いられる。このように、導電体21の表面にメッキ法を用いて表面層24を形成することで、表面層24と導電体21との接触面積を十分に確保することができ、かつ、その密着性を優れたものとすることができる。
なお、電解メッキ法を用いる場合、メッキ浴として、例えば、CoSO4OおよびHBOを含むものを用意し、析出温度30℃、析出電位−1V vs SHEの条件とすることが好ましい。これにより、均一な膜厚のCoを含む表面層24を成膜することができる。
また、用意する導電体21は、その直径(線径)が1.5μm以上399.5μm以下であることが好ましく、3μm以上79μm以下であることがより好ましい。
さらに、表面層24の平均厚さは、0.5μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がより好ましい。これにより、得られる電極体70において、活物質層5の膜厚を前述した範囲内のものとすることができる。また、表面層24の平均厚さは、導電体21の直径に対して、1/2以下の厚さであることが好ましい。これにより、形成される電極体70のフレキシビリティの向上が図られる。
なお、この第2の構成例のように、導電体21がNiを含む単相22で構成され、この単相22の表面にCoを含む表面層24を形成する場合には、表面に表面層24が形成された複数の導電体21を、磁場の中に置いた状態とし、これにより、複数の導電体21が磁場の磁力線の方向に沿って伸び、かつ、磁力線と直交する方向に複数配置された形状をなす集合体を得るようにしてもよい。
次いで、導電体21の表面に形成された、Coを含む表面層24を酸化させる(酸化物層形成工程)。
これにより、導電体21の表面に、CoO(一酸化コバルト)およびCo(四酸化三コバルト)のうち少なくとも一種を含む酸化物層25が形成される(図7(c)参照。)。
表面層24を酸化させる方法としては、特に限定されないが、例えば、熱酸化法、陽極酸化法が挙げられるが、中でも、熱酸化法であるのが好ましい。熱酸化法によれば、比較的容易に、表面層24を酸化物層25とすることができる。
この熱酸化法を用いる場合、熱酸化させる際の加熱温度は、300℃以上1000℃以下の温度条件で行うことが好ましく、600℃以上900℃以下の温度条件で行うことがより好ましい。これにより、均一な厚さの酸化物層23を確実に形成することができる。
また本工程の熱酸化処理は、10分以上16時間以下で行うことが好ましく、30分以上6時間以下で行うことがより好ましい。
さらに、熱酸化させる際の加熱条件を、900℃以上1000℃以下の温度で10分以上6時間以下保持する第1の熱処理と、600℃以上900℃未満の温度で6時間以上16時間以下保持する第2の熱処理と、に分けて行うことが好ましい。これにより、第1の熱処理により主としてCoO(酸化コバルト)を生成し、その後、第2の熱処理により主としてLCOに転化しやすいCo(四酸化三コバルト)を生成させることができる。
次いで、酸化物層25を、リチウム塩を含むリチウム塩層で被覆する(被覆工程)。
この酸化物層25のリチウム塩層による被覆は、前述した第1の構成の被覆工程[1−2A]において、酸化物層23をリチウム塩層により被覆する方法として説明したのと、同様の方法により行うことができる。
次いで、酸化物層25を加熱して焼成する(転化工程)。
これにより、酸化物層25の表面と、リチウム塩層の表面との界面において、それぞれを構成する元素の相互拡散による固相反応が生じ、リチウム塩層に含まれるリチウム塩が備えるLiが引き抜かれるか、リチウム塩の融点よりも高い温度で焼成した場合には、リチウム塩を融剤とした溶解・析出反応によって、酸化物層25に含まれるCoOもしくはCoがLiCoO(LCO)に転化され、酸化物層25からLCOを含む単相53からなる活物質層5が形成される(図7(d)参照。)。
この酸化物層25を焼成する条件は、前述した第1の構成の被覆工程において説明した酸化物層23を焼成する条件と同一の条件とすることができる。
なお、本工程における酸化物層25の活物質層5への転化の後、電極体70に残存するリチウム塩層は、水やエタノール等で溶解する溶解法や、900℃、16時間の条件等で加熱・分解する熱分解法等を用いて除去することが好ましい。
以上のような工程を経ることで、電極体70を得ることができる。
なお、導電体21を、Coを含む単相22で構成し、活物質層5を、LiNiO(LNO)を含む単相53で構成する場合、すなわち、一般式(Co1−XNi)中、Xを0とし、一般式Li(Co1−YNi)O中、Yを1とする場合には、この第2の構成例において、Niを含む単相22で構成される導電体21に代えて、Coを含む単相22で構成される導電体21を用意し、かつ、導電体21の表面に形成するCoを含む表面層24に代えて、Niを含む表面層24を形成するようにすればよい。
(第3の構成例)
次に、図8(d)に示すように、導電体21がNiを含む単相22で構成され、活物質層5が、LiNiO(LNO)を含む単相52とLiCoO(LCO)を含む単相53とが積層された複数層54で構成される場合、すなわち、一般式(Co1−XNi)中、Xが1であり、一般式Li(Co1−YNi)O中、Yが0超1未満である場合について説明する。
まず、図8(a)に示すように、Niを含む単相22で構成される導電体21を用意し、この導電体21の表面に、Coを含む表面層24を形成する(表面層形成工程)。
このCoを含む表面層24の形成は、前述した第2の構成の被覆工程において説明したのと、同様の方法により行うことができる。
また、用意する導電体21は、その表面が酸化されることを考慮して、その直径(線径)が2μm以上399.5μm以下であることが好ましく、4μm以上79μm以下であることがより好ましい。これにより、得られる電極体70において、導電体21の直径を前述した範囲内のものとすることができる。
さらに、表面層24の平均厚さは、0.5μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がより好ましい。これにより、得られる電極体70において、活物質層5の膜厚を前述した範囲内のものとすることができる。また、表面層24の平均厚さは、導電体21の直径に対して、1/2以下の厚さであることが好ましい。これにより、形成される電極体70のフレキシビリティの向上が図られる。
次いで、導電体21の表面に形成された、Coを含む表面層24を酸化させるとともに、さらに、導電体21の表層をも酸化させる(酸化物層形成工程)。
これにより、導電体21の表面に、主としてNiO(酸化ニッケル)を含む酸化物層23が形成され、さらに、この酸化物層23上に、CoO(一酸化コバルト)およびCo(四酸化三コバルト)のうち少なくとも一種を含む酸化物層25が形成される(図8(c)参照。)。
表面層24および導電体21の表面を酸化させる方法としては、特に限定されないが、例えば、熱酸化法、陽極酸化法が挙げられるが、中でも、熱酸化法であるのが好ましい。熱酸化法によれば、比較的容易に、表面層24を酸化物層25とすることができるともに、厚さの制御を行って、導電体21の表面に目的とする厚さの酸化物層23を形成することができる。
この熱酸化法を用いる場合、熱酸化させる際の加熱温度は、300℃以上1000℃以下の温度条件で行うことが好ましく、600℃以上900℃以下の温度条件で行うことがより好ましい。これにより、均一な厚さの酸化物層23を確実に形成することができる。
また本工程の熱酸化処理は、20分以上32時間以下で行うことが好ましく、1時間以上12時間以下で行うことがより好ましい。
さらに、熱酸化させる際の加熱条件を、900℃以上1000℃以下の温度で20分以上12時間以下保持する第1の熱処理と、600℃以上900℃未満の温度で6時間以上16時間以下保持する第2の熱処理と、に分けて行うことが好ましい。これにより、酸化物層23において、第1の熱処理によって主としてNiO(酸化ニッケル)を生成し、酸化物層25において、第1の熱処理によって主としてCoO(酸化コバルト)を生成し、その後、第2の熱処理によって主としてLCOに転化し易いCo(四酸化三コバルト)を生成させることができる。
次いで、酸化物層25を、リチウム塩を含むリチウム塩層で被覆する(被覆工程)。
この酸化物層25のリチウム塩層による被覆は、前述した第1の構成の被覆工程において、酸化物層23をリチウム塩層により被覆する方法として説明したのと、同様の方法により行うことができる。
次いで、酸化物層23および酸化物層25を加熱して焼成する(転化工程)。
これにより、酸化物層25の表面と、リチウム塩層の表面との界面において、それぞれを構成する元素の相互拡散による固相反応が生じ、リチウム塩層に含まれるリチウム塩が備えるLiが引き抜かれることか、リチウム塩の融点よりも高い温度で焼成した場合には、リチウム塩を融剤とした溶解・析出反応によって、酸化物層25に含まれるCoOもしくはCoがLiCoO(LCO)に転化される。そして、引き抜かれたLiが酸化物層23にまで到達するか、溶解・析出反応が酸化物層23にまで及ぶことで、酸化物層23に含まれるNiOがLiNiO(LNO)に転化される。このように、酸化物層25からLCOを含む単相53が形成され、酸化物層23からLNOを含む単相52が形成され、その結果、導電体21側から単相52と単相53とが積層された複数層(積層体)54からなる活物質層5が形成される(図8(d)参照。)。
この酸化物層25を焼成する条件は、前述した第1の構成の被覆工程において説明した酸化物層23を焼成する条件と同一の条件とすることができる。
なお、本工程における酸化物層25の活物質層5への転化の後、電極体70に残存するリチウム塩層は、水やエタノール等で溶解する溶解法や、900℃、16時間の条件等で加熱・分解する熱分解法等を用いて除去することが好ましい。
以上のような工程を経ることで、電極体70を得ることができる。
なお、導電体21を、Coを含む単相22で構成し、活物質層5を、LiCoO(LCO)を含む単相52とLiNiO(LNO)を含む単相53とが積層された複数層54で構成する場合、すなわち、一般式(Co1−XNi)中、Xを0とし、一般式Li(Co1−YNi)O中、Yを0超1未満とする場合には、この第3の構成例において、Niを含む単相22で構成される導電体21に代えて、Coを含む単相22で構成される導電体21を用意し、かつ、導電体21の表面に形成するCoを含む表面層24に代えて、Niを含む表面層24を形成するようにすればよい。
次いで、図4に示すように、複数の電極体70で構成される集合体において、複数の電極体70同士間に形成された空隙内、および集合体の上面を覆うように、固体電解質の前駆体を含む液状体3Xを塗布し(図4(a))、その後、焼成(加熱)することで、前駆体を無機固体電解質として粒状体31からなる固体電解質体3を形成する(図4(b);第2の工程)。
これにより、複数の電極体70同士間に形成された空隙内において露出する電極体70すなわち活物質層5の表面上に固体電解質体3が形成され、その結果、電極体70(導電体21および活物質層5)と固体電解質体3とを備える複合体4が形成される。
液状体3Xは、前駆体の他に、前駆体を可溶な溶媒を含んでもよい。液状体3Xが溶媒を含む場合には、液状体3Xの塗布後、焼成の前に、適宜溶媒を除去するとよい。溶媒の除去は、加熱、減圧、送風など通常知られた方法の1種、または2種以上を組み合わせた方法を採用することができる。
ここで、流動性を有する液状体3Xを塗布して粒状体31からなる固体電解質体3を形成することから、複数の電極体70同士間に形成された、微細な空隙内にも良好に固体電解質を形成することが可能となる。そのため、活物質層5と固体電解質体3との接触面積を拡大しやすく、活物質層5と固体電解質体3との界面の電流密度が低減され、その結果、大きな出力を容易に得ることができる。
液状体3Xの塗布は、複数の電極体70同士間に形成された空隙の内部にまで液状体3Xが浸透する方法であれば、種々の方法により行うことができる。例えば、複数の電極体70で構成される集合体を載置しておいたところに液状体3Xを滴下することで行ってもよく、液状体3Xを貯留しているところに、複数の電極体70で構成される集合体を浸漬させることで行ってもよく、液状体3Xを貯留しているところに、複数の電極体70で構成される集合体の端部を接触させ、毛管現象を利用して間隙内に含浸させることで行ってもよい。図4(a)では、上記のうち、ディスペンサーDを用いて液状体3Xを滴下する方法を示している。
また、本工程において、固体電解質は、固体電解質の前駆体を焼成(加熱)することにより生成され、この焼成の際に、生成された固体電解質は、その一次粒子が造粒することで形成された二次粒子からなる粒状体31を形成する。したがって、固体電解質体3は、複数の電極体70同士間に形成された微細な空隙の内部にも形成されるが、かかる粒状体31の集合物として設けられる。そのため、固体電解質体3は、複数の粒状体31が3次元的に連結した多孔質体で構成される。よって、複数の電極体70同士間の空隙内を充填するように固体電解質体3が形成されるが、この充填によっても、前記空隙の一部は残存する。すなわち、本実施形態では、電極体70と固体電解質体3とを備える複合体4は、空隙を備えるものとして形成される。
さらに、固体電解質の前駆体としては、例えば、以下の(A2)(B2)(C2)が挙げられる。
(A2)無機固体電解質が有する金属原子を無機固体電解質の組成式に従った割合で含み、酸化により無機固体電解質となる塩を有する組成物
(B2)無機固体電解質が有する金属原子を無機固体電解質の組成式に従った割合で含む金属アルコキシドを有する組成物
(C2)無機固体電解質微粒子、または無機固体電解質が有する金属原子を無機固体電解質の組成式に従った割合で含む微粒子ゾルを溶媒、または(A2)もしくは(B2)に分散させた分散液
なお、(A2)に含まれる塩には、金属錯体を含む。また、(B2)は、いわゆるゾルゲル法を用いて無機固体電解質を形成する場合の前駆体である。
前駆体の焼成は、大気雰囲気下、上述した導電体21を得るための熱処理よりも低い温度で行う。具体的には、焼成温度は、300℃以上700℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。これにより、焼成により前駆体から無機固体電解質が生成され、固体電解質体3が形成される。
このような温度範囲で焼成することにより、導電体21の表面に形成された活物質層5と固体電解質体3との界面において、それぞれを構成する元素の相互拡散による固相反応が生じ、電気化学的に不活性な副生物が生成されることを抑制することができる。また、無機固体電解質の結晶性が向上し、固体電解質体3のイオン電導性を向上させることができる。加えて、活物質層5と固体電解質体3との界面において、焼結する部分が生じ、界面における電荷移動が容易となる。これにより、リチウム二次電池100の容量や出力が向上する。
また、焼成は、1度の熱処理で行うこととしてもよく、前駆体を前記多孔質体の表面に被着させる第1の熱処理と、第1の熱処理の処理温度以上700℃以下の温度条件で加熱する第2の熱処理と、に分けて行うこととしてもよい。このような段階的な熱処理で焼成を行うことにより、固体電解質体3を所望の位置に容易に形成することができる。
次いで、複合体4の一面41を研削・研磨することで、この一面41から、活物質層5と固体電解質体3との双方を露出させる(図5(a)参照)。
さらに、この際、図5(a)のように、導電体21も露出していることが好ましい。
また、この場合、一面41には、研削・研磨加工の痕跡である擦過痕(研削・研磨痕)が残される。
なお、複合体4を形成した際に、一面41から電極体70(導電体21)と固体電解質体3との双方が露出することがある。この場合は、複合体4の一面41における研削・研磨、すなわち本工程を省略することもできる。
次いで、図5(b)に示すように、複合体4の一面41において集電体1を接合する(第3の工程)。
これにより、電極体70および固体電解質体3を有する複合体4と集電体1とを備える電極複合体(本発明の電極複合体)10が形成される。
集電体1の接合は、別体として形成した集電体を複合体4の一面41に接合することによって行ってもよく、複合体4の一面41に上述した集電体1を成膜形成することで行ってもよい。
なお、集電体1の成膜方法は、各種の物理気相成長法(PVD)および化学気相成長法(CVD)を用いることができる。
上記の製造方法で電極複合体10を形成することができる。
次いで、図5(c)に示すように、複合体4の他面42において電極20を接合する。
電極20の接合は、別体として形成した電極を複合体4の他面42に接合することによって行ってもよく、複合体4の他面42に上述した電極20の形成材料を成膜することで行ってもよい。
なお、電極20の成膜方法は、集電体1の成膜方法であげたのと同様の方法を用いることができる。
以上のような工程を経ることで、リチウム二次電池100が製造される。
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態で示したものとは異なる電極複合体について示すものである。尚、本実施形態を含め以下の実施形態もしくは実施例において、第1実施形態と同様の構成要素に関しては同じ番号を付与し、その説明を省略する場合がある。
図9は、本実施形態に係る電極複合体10Aを適用したリチウム二次電池100Aの縦断面図を示した図である。
電極複合体10Aは、導電体21と活物質層5とを備える電極体70、固体電解質体3および充填体(充填層)30を有する複合体4Aと、集電体1と有する。複合体4Aは、充填体30を含むこと以外は複合体4と同じ構成要素を有する。
充填体(第2の固体電解質体)30は、リチウムイオン伝導性の固体電解質で形成されている。充填体30は、例えば、リチウムイオン伝導性を備える、C、SiまたはBを含むリチウム酸化物により形成される。具体的には、充填体30は、Li2+x1−x(0.1<x<0.4)、LiSiOおよびLiBOの少なくとも一つもしくは複数を含んでもよい。
充填体30は、固体電解質体3だけでは空隙が形成されてしまう場合に当該空隙の容積を少なくするために用いられる。このため、充填体30の前駆体の加熱による体積の収縮が、固体電解質体3の前駆体の加熱による体積の収縮よりも小さいことが好ましい。
このため、充填体30は、固体電解質体3の形成後に、充填体30の流動性を備える前駆体溶液、すなわち、室温で非晶質である固体電解質の前駆体溶液を、残存する空隙に、含浸させた後、加熱する方法を用いて形成することができる。
また、充填体30は、固体電解質体3と同程度またはそれより低温で形成できるものであることが好ましい。これは、固体電解質体3と充填体30との相互拡散を抑制するためである。例えば固体電解質体3としてLiLaZr12を、充填体30としてLiBOを用いた場合を考える。この場合、固体電解質体3を形成する際の焼成温度は700℃程度であるが、充填体30を形成する際の形成温度が900℃を超えると、固体電解質体3と充填体30とで相互拡散が発生してしまうおそれがある。また、充填体30の前駆体としては固体電解質体3の前駆体と同様に(A2)〜(C2)いずれかのようにして用いればよい。これを溶媒(例えばアルコール系の化合物)で希釈して前駆体溶液を得る。この前駆体溶液を、残存する空隙に含浸させる。前駆体溶液を含浸させる方法は、固体電解質体3について説明したものと同様である。
また、空隙に充填された前駆体溶液を加熱する加熱温度としては、例えば、300℃以上450℃以下に設定される。
複合体4Cを有する電極複合体10Cを用いることで、リチウム二次電池100C特性の向上を図ることができる。
(第3実施形態)
図10に、本実施形態に係るリチウム二次電池100Bの縦断面図を示す。リチウム二次電池100Bは構成要素として、複合体4Bを有する電極複合体10B、電極20、および電極複合体10Bと電極20との間に電解液含浸層35を含む。
複合体4Bは、固体電解質体3の形成後に存在した空隙に電解液36を含浸させたものである。これにより、活物質層5が固体電解質体3に接していない部分は、電解液36が活物質層5に接することになる。
リチウム二次電池100Bにおいて、複合体4Bは、導電体21および活物質層5を含む電極体70と、複数の電極体70を備える集合体に形成された空隙内に充填された固体電解質体3と、固体電解質体3の形成により残存した空隙に充填された電解液36と、固体電解質体3と電極20との間にこれらの双方と接合する電解液含浸層35とを有している。換言すれば、複合体4Bは、前記第1実施形態の複合体4Bに残存している空隙に充填して設けられた電解液36と、複合体4Bと電極20との間に設けられた電解液含浸層35とを、さらに、有している。
この複合体4Bでは、複合体4Bと電極20との間に電解液含浸層35が設けられており、この電解液含浸層35から残存する空隙に電解液36が供給されることで充填される。これにより、空隙において、活物質層5と固体電解質体3との接触面積の低下を招き、活物質層5と固体電解質体3との間での抵抗が増大することに起因して、活物質層5と固体電解質体3との間におけるイオン伝導率が低下するのを確実に防止することができる。
また、通常、リチウム二次電池において充放電サイクルを繰り返すと、活物質成形体または固体電解質体の体積が変動する場合がある。これに対して、本実施形態では、例えば、体積が収縮して空隙が広がったとしても、電解液含浸層35からさらに電解液が浸み出し、空隙が電解液36で充填される。一方、体積が拡大して空隙が狭くなったとしても、空隙の電解液36が電解液含浸層35に浸み込まれる。このように、複合体4Bの空隙は体積変動を吸収する緩衝空間となり、電荷の伝導経路の確保につながる。すなわち、高出力のリチウム二次電池を得ることができる。
なお、電解液36(電解液含浸層中のイオン液体)は少量かつ不揮発性であるため、液漏れおよび燃焼の問題はない。
電解液含浸層35は、ポリマーゲル電解質の供給元として機能する膜である。この電解液含浸層35は、リチウムイオンを伝導する電解液を含浸させたフィルムである。すなわち、電解液含浸層35は、支持体と、ポリマーゲル電解質(電解液)とを含む。
支持体は、電解液含浸層(PEGフィルム)35の構造を物理的に支えるためのものである。支持体は、不純物を析出せず、ポリマーゲル電解質等の他の材料と反応せず、イオン液体+Li塩+モノマーとの濡れ性が高いものが好ましい。不純物を析出したり化学反応を起こしてしまうと特性が変化してしまうおそれがある。また、濡れ性が悪いと支持体に高分子が均一に形成できないおそれがある。なお、支持体を用いずにポリマーゲル電解質中のポリマー成分の比率を上げて強度を改善することもできるが、ポリマー成分の比率を上げるとLiの伝導率の低下を招くので支持体を用いることが好ましい。支持体としては、例えば、長繊維セルロースや、疎水性のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が用いられる。
ポリマーゲル電解質は、Liに対して化学的に安定で、ゲル化して電解液を抱えることがきる特性を有することが要求される。通常のPEG(ポリエチレングリコール)系フ
ィルムは、Liに対して化学的に安定で電池動作の確認はできる。しかし、PEGフィルムではイオン伝導度が低く、電池としての実用的な出力は得られない。そこで本実施形態では、電解液が揮発しないゲルポリマー電解質を用いている。
このような複合体4Bは、例えば、空隙が残存する導電体21と固体電解質体3と活物質層5との複合体の一面に、電解液含浸層35を貼り付け、これにより、電解液含浸層35から電解液を空隙に供給させる方法を用いて形成することができる。
電解液含浸層35は、例えば、支持体(基材)に電解液およびモノマーを含む前駆体溶液を含浸させ、これを光重合させることにより作製する。電解液は、イオン液体およびリチウム塩を含む。イオン液体としては、例えばP13−TFSI(N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)が用いられる。リチウム塩としては、Li−TFSI(リチウムN,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)が用いられる。モノマーとしては、例えばポリエチレングリコールジアクリレート(TEGDA)が用いられる。以上の電解液に重合開始剤および炭酸エチレンを混合し、PGE作製溶液を得る。重合開始剤としては、例えばラジカル型光重合開始剤(例えば、BASF社製IRGACURE651、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)を用いる。重合開始剤は、例えば重量比で6:1の混合比率で混合される。炭酸エチレンは、SEI(Solid Electrolyte Interface)形成材料として用いられる。SEIは、Li電極表面を不活性化・安定化させる被膜である。SEIは電解液の還元的分解反応によって生成しており、最初のサイクルにおいて炭酸エチレンの分解反応で電荷が消費されることが確認されている。炭酸エチレンは、混合比率1で混合される。このPGE作製溶液を、支持体に含浸させる。支持体としては、例えば、MILLIPORE社製の疎水性PVDFメンブレンフィルターを用いる。PGE作製溶液を含浸させた支持体に所定の波長帯の光(例えば紫外光)を照射してモノマーを光重合させてポリマー化し、電解液含浸層35を得る。電解液含浸層35に含まれる電解液が、残存する空隙に充填されて電解液36として機能する。
この電解液含浸層35に含まれる電解液は、酸化物固体電解質への濡れ性が良好であり、固体電解質体3を伝わって残存する空隙内に浸透し、電解液36が空隙内に充填される。これにより、活物質と電解質との接合がより好ましいものとなり、より特性が向上したリチウム二次電池100Bを得ることができる。
<<第4実施形態>>
図11に、本実施形態における電極複合体10Cの縦断面図を示す。
電極複合体10Cは、第1実施形態における複合体4とは異なるタイプの複合体4Cを有する。
複合体4Cにおいて、複合体4とは異なり、電極体70は、複数のものが複合体4Cの厚さ方向に揃って伸びることなく、各電極体70がランダム(無秩序)な方向に伸びており、このような電極体70が重なることで、不織布状をなす集合体を形成している。
このように、複合体4Cにおいて、複数の電極体70を不織布状をなす集合体として設けたとしても、電極体70が備える導電体21を、複合体4Cの厚さ方向に対して、電子を伝導するパスとして機能させることができる。
なお、かかる構成の複合体4Cの製造方法は、電極体70の磁場中への配置を省略することで得ることができる。
以上、本発明に係る電極体、電極体の製造方法、電極複合体および電池の説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において広く適用が可能である。
例えば、本発明の電極体、電極複合体および電池における各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、本発明の電池は、前記各実施形態で説明したリチウム二次電池の他、リチウム一次電池にも適用できる。
さらに、本発明の電極体の製造方法には、1または2以上の任意の工程が追加されていてもよい。
1……集電体
3……固体電解質体
3X……液状体
4、4A、4B、4C……複合体
41……一面
42……他面
5……活物質層
10、10A、10B、10C……電極複合体
20……電極
21……導電体
22……単相
23……酸化物層
24……表面層
25……酸化物層
30……充填体
31……粒状体
35……電解液含浸層
36……電解液
52……単相
53……単相
54……複数層
70……電極体
100、100A、100B、100C……リチウム二次電池
D……ディスペンサー

Claims (11)

  1. 線状をなす芯材を構成する導電体と、前記導電体の表面に設けられた被覆層を構成する活物質層とを備え、
    前記導電体は、一般式(Co1−XNi)[式中、Xは、0以上1以下の数を表す。]で表わされる金属または合金を含み、
    前記活物質層は、一般式Li(Co1−YNi)O[式中、Yは、0以上1以下の数を表す。]で表わされるリチウム複酸化物を含むことを特徴とする電極体。
  2. 前記導電体は、Niを含む単相で構成され、前記活物質層は、LiNiOを含む単相で構成される請求項1に記載の電極体。
  3. 前記導電体は、Niを含む単相で構成され、前記活物質層は、LiCoOを含む単相で構成される請求項1に記載の電極体。
  4. 前記導電体は、Niを含む単相で構成され、前記活物質層は、LiNiOを含む単相とLiCoOを含む単相とが前記導電体側から積層された複数層で構成される請求項1に記載の電極体。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電極体の製造方法であって、
    前記導電体を用意し、前記導電体の表層を酸化させることにより、前記導電体の表層に前記金属または合金の酸化物を含む酸化物層を形成する酸化物層形成工程と、
    前記酸化物層を、リチウム塩を含むリチウム塩層で被覆する被覆工程と、
    前記酸化物層を加熱して焼成することで、前記酸化物層を前記活物質層に転化させる転化工程とを有することを特徴とする電極体の製造方法。
  6. 前記酸化物層形成工程において、Niを含む単相で構成される前記導電体を用意し、前記導電体の表層を酸化させてNiOを含む酸化物層を形成することで、
    前記導電体がNiを含む単相で構成され、前記活物質層がLiNiOを含む単相で構成される前記電極体を得る請求項5に記載の電極体の製造方法。
  7. 前記酸化物層形成工程において、Niを含む単相の表面に、Coを含む表面層が設けられた前記導電体を用意し、前記表面層を酸化させてCoOおよびCoのうちの少なくとも1種を含む酸化物層を形成することで、
    前記導電体がNiを含む単相で構成され、前記活物質層がLiCoOを含む単相で構成される前記電極体を得る請求項5に記載の電極体の製造方法。
  8. 前記酸化物層形成工程において、Niを含む単相の表面に、Coを含む表面層が設けられた前記導電体を用意し、前記表面層および前記Niを含む単相の表層を酸化させてCoOおよびCoのうちの少なくとも1種を含む酸化物層およびNiOを含む酸化物層を形成することで、
    前記導電体がNiを含む単相で構成され、前記活物質層がLiNiOを含む単相とLiCoOを含む単相とが前記導電体側から積層された複数層で構成される前記電極体を得る請求項5に記載の電極体の製造方法。
  9. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電極体と、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質を含む固体電解質体とを備える複合体と、
    前記複合体の一方の面に、前記活物質層と接触して設けられた集電体とを有することを特徴とする電極複合体。
  10. 前記複合体において、線状をなす複数の前記電極体は、前記複合体の厚さ方向に沿って伸び、さらに、複数の前記電極体を、前記複合体の面方向に配置した集合体を形成している請求項9に記載の電極複合体。
  11. 請求項9または10に記載の電極複合体と、
    前記複合体の他の電極が接合される面に設けられた電極とを有することを特徴とする電池。
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