JP2017004706A - 電極複合体、電極複合体の製造方法および電池 - Google Patents

電極複合体、電極複合体の製造方法および電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池に適用することで、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持する電池とし得る電極複合体、前記電極複合体を製造し得る電極複合体の製造方法、及び、前記電極複合体を備え、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持し得る固体型電池の提供。【解決手段】活物質部と固体電解質部と式(1)で表わされる金属複酸化物を含む複酸化物部とを備える複合体4と、集電体1とを有し、複合体4において、複酸化物部と活物質部とは、これらを含有する混合粒子70で構成され、混合粒子70は、複数連結した柱状体77を形成して、柱状体77が集電体1に接触して複数配置されており、固体電解質部3は、複合体4の他面42を覆うとともに、柱状体77同士の間を充填している電極複合体10。Ln2Li0.5M0.5O4・・・(1)[Lnはランタノイド;Mは遷移金属]【選択図】図1

Description

本発明は、電極複合体、電極複合体の製造方法および電池に関するものである。
携帯型情報機器をはじめとする多くの電気機器の電源として、リチウム電池(一次電池および二次電池を含む)のような電池が利用されている。リチウム電池は、正極と負極と、これらの層の間に設置され、リチウムイオンの伝導を媒介する電解質層とを備える。
近年、高エネルギー密度と安全性とを両立したリチウム電池として、電解質層の形成材料に、固体電解質を使用する全固体型リチウム電池が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2006−277997号公報 特開2004−179158号公報 特許第4615339号公報
しかしながら、これらの全固体型リチウム電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量であるものが求められているが、従来の全固体型リチウム電池は、これらの特性について充分に得られているとは言えなかった。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電極複合体は、
活物質部、固体電解質部および複酸化物部を有する複合体と、
前記複合体に接合された集電体と、を備え、
前記活物質部は遷移金属酸化物で構成される活物質を含み、
前記固体電解質部はイオン伝導性を有する固体電解質を含み、
前記複酸化物部は下記式(1)で表される金属複酸化物およびその誘導体の少なくとも一方を含み、
前記複合体において、前記複酸化物部と前記活物質部とは、これらを含有する粒子状をなす混合粒子で構成され、
前記混合粒子は、前記複合体の厚さ方向に沿って、複数連結して形成された柱状構造をなす柱状体を形成して、前記柱状体が、前記複合体の面方向に、前記集電体に接触して複数配置されており、
前記固体電解質部は、前記複合体の他方の面を覆うとともに、複数の前記柱状体同士の間を充填して形成されていることを特徴とする。
LnLi0.50.5 ・・・ (1)
[式中、Lnは、ランタノイド、Mは、遷移金属を表す。]
かかる構成の電極複合体を電池に適用することで、電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
本発明の電極複合体では、前記混合粒子において、前記活物質部は、芯材である母粒子を構成し、前記複酸化物部は、前記母粒子の表面に設けられた被覆層を構成することが好ましい。
かかる構成の電極複合体を電池に適用することで、電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
本発明の電極複合体では、前記混合粒子において、前記複酸化部は、芯材である母粒子を構成し、前記活物質部は、前記母粒子の表面に設けられた被覆層を構成することが好ましい。
かかる構成の電極複合体を電池に適用することで、電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
本発明の電極複合体では、前前記混合粒子の直径をA[mm]とし、前記柱状体の長さをB[mm]としたとき、B/Aは、10以上であることが好ましい。
これにより、複合体における混合粒子の比表面積を大きくすることができる。そのため、複合体の厚さ方向に沿って、電子を伝導するパスとして複酸化物部が、より確実にその機能を発揮することから、複合体の厚さ方向に沿って、より円滑に電子を供給することができるようになる。
本発明の電極複合体では、前記複酸化物部は、磁化状態であり、
前記複酸化物部の磁化の方向は、前記複合体の厚さ方向に沿った方向であることが好ましい。
本発明の電極複合体では、前記複酸化物部は、その電子伝導率が前記活物質部の電子伝導率より高いことが好ましい。
これにより、複酸化物層に、電子を伝導するパスとしての機能を確実に発揮させて、複合体における内部抵抗を確実に低くすることができる。
本発明の電極複合体では、前記遷移金属酸化物は、リチウムと、コバルト、マンガンおよびニッケルのうちの少なくとも1種とを含むことが好ましい。
これにより、活物質部を、高い電子伝導性と、小さい充放電時体積変化率との双方の特性を併せ持つものとすることができる。その結果、リチウム二次電池の高容量化および長寿命化が図られる。
本発明の電極複合体では、前記固体電解質は、ガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有することが好ましい。
ガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有する固体電解質は、イオン伝導性が高く電気化学的に安定であることから固体電解質として好ましく用いられる。
本発明の電極複合体の製造方法は、本発明の電極複合体の製造方法であって、
複数の前記混合粒子を含有するスラリーを、磁場の中に置いた状態で乾燥させることにより、複数の前記混合粒子を磁場の磁力線の方向に沿って連結させることで、複数の前記柱状体を得る第1の工程と、
複数の前記柱状体同士間に形成された空隙内に、固体電解質の前駆体を含む液状材料を塗布した後に加熱して、固体電解質部を形成して複合体を得る第2の工程と、
前記複合体の一方の面に、前記混合粒子に接するように集電体を接合する第3の工程とを有することを特徴とする。
かかる製造方法で製造された電極複合体を電池に適用することで、電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
本発明の電極複合体の製造方法では、前記第1の工程において、前記磁力線の方向を、前記第2の工程で形成すべき前記複合体の厚さ方向に一致させることが好ましい。
ガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有する固体電解質は、イオン伝導性が高く電気化学的に安定であることから固体電解質として好ましく用いられる。
本発明の電極複合体の製造方法では、前記第1の工程において、前記磁場の磁束密度は、10mT以上20T以下として形成することが好ましい。
ガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有する固体電解質は、イオン伝導性が高く電気化学的に安定であることから固体電解質として好ましく用いられる。
本発明の電池は、本発明の電極複合体または本発明の電極複合体の製造方法により製造された電極複合体と、
前記複合体の他の電極が接合される面に設けられた電極とを有することを特徴とする。
かかる構成の電極複合体を有することで、電池は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
第1実施形態に係る電極複合体の縦断面図である。 第1実施形態に係る電極複合体を用いたリチウム二次電池の縦断面図である。 図1に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 本発明の電池をリチウム二次電池に適用した第2実施形態を示す縦断面図である。 本発明の電池をリチウム二次電池に適用した第3実施形態を示す縦断面図である。 本発明の電池をリチウム二次電池に適用した第4実施形態を示す縦断面図である。
以下、本発明に係る実施形態および実施例について、図面を用いて説明する。尚、説明に用いる図面は、説明のための便宜上のものであり、図示された構成要素の寸法や比率等は実際のものと異なる場合がある。また、図面の説明において、示された図の上側を「上」、下側を「下」と言う。
(第1実施形態)
本実施形態は、電極複合体のひとつの実施形態と当該電極複合体を用いたリチウム二次電池について説明するものである。
図1に、電極複合体10を示す。電極複合体10は、集電体1、混合粒子70、および固体電解質層3を有する。
図2に、電極複合体10を用いたリチウム二次電池100を示す。リチウム二次電池100は、構成要素として、電極複合体10および電極20を含む。このリチウム二次電池100は、いわゆる全固体型リチウム(イオン)二次電池である。
まず、図1を用いて、電極複合体10について説明する。
ここで、固体電解質層3、混合粒子70を合わせて複合体4と呼ぶ。電極複合体10は、集電体1と複合体4とで構成される。混合粒子70は、芯材である母粒子を構成する活物質粒子21と、活物質粒子21の表面に設けられた被覆層を構成する複酸化物層5とを備えている。活物質粒子21は固体電解質層3に接している。
すなわち、複合体4において、本実施形態では、複酸化物部と活物質部とは、これらを含有する粒子状をなす混合粒子70を構成し、また、この混合粒子70において、活物質部は、芯材である母粒子を構成する活物質粒子21であり、複酸化物部は、活物質粒子21の表面に設けられた被覆層を構成する複酸化物層5となっている。
集電体1は、複合体4の一面(一方の面)41に接して設けられている。
この集電体1は、活物質粒子21が正極活物質で構成される場合は正極として機能し、活物質粒子21が負極活物質で構成される場合は、負極として機能する。
集電体1の形成材料(構成材料)としては、例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)からなる群から選ばれる1種の金属(金属単体)や、この群から選ばれる2種以上の金属元素を含む合金等が挙げられる。
集電体1の形状は、特に限定されず、例えば、板状、箔状、網状等をなすものが挙げられる。また、集電体1の表面は、平滑なものであってもよく、凹凸が形成されていてもよい。
混合粒子70は、芯材である母粒子を構成する活物質粒子21と、活物質粒子21の表面に設けられた被覆層を構成する複酸化物層5とを備えている。
この混合粒子70は、複合体4の厚さ方向に沿って、複数連結して形成された柱状構造をなす柱状体77を形成している。そして、柱状体77は、複合体4の面方向に、複合体4に、その端部を接触して複数配置されている。
このように、混合粒子70は、複合体4において、その厚さ方向に複数連結した柱状体77を形成し、さらに、この柱状体77を、複合体4の面方向に複数配置した集合体として設けられている。
活物質粒子21は、粒子状をなし、混合粒子70の芯材である母粒子を構成するものであり、その表面に複酸化物層5が設けられることで、混合粒子70を形成している。
この活物質粒子21は、遷移金属酸化物としてリチウム複酸化物を含む無機物の電極活物質(活物質)を形成材料(構成材料)として含有しており、この形成材料の種類を適宜選択することで、集電体1は、正極にも負極にもなり得る。
なお、本明細書において「リチウム複酸化物」とは、リチウムを必ず含み、かつ全体として2種以上の金属イオンを含む酸化物であって、オキソ酸イオンの存在が認められないものを言う。
集電体1を正極とする場合のリチウム複酸化物としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiMn、LiNi0.8Co0.16Al0.04、LiFePO、LiFeP、LiMnPO、LiFeBO、Li(PO、LiCuO、LiFeF、LiFeSiO、LiMnSiO等が挙げられる。これらの中でも、リチウムと、コバルト、マンガンおよびニッケルのうちの少なくとも1種とを含む化合物を主材料として含有することが好ましく、具体的には、コバルト酸リチウム、ニッケル−マンガン−コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、およびニッケル−コバルト−アルミニウム酸リチウムからなる群から選択される化合物を主成分として含むことが好ましい。このようなリチウム複酸化物を含むことで、活物質粒子21は、その粒子中において電子の受け渡しを行い、活物質粒子21と固体電解質層3との間で複酸化物層5を介してリチウムイオンの受け渡しを行い、活物質としての機能を発揮する。これにより、活物質粒子21を、高い電子伝導性と、小さい充放電時体積変化率との双方の特性を併せ持つものとすることができる。その結果、リチウム二次電池100の高容量化および長寿命化が図られる。
また、これらのリチウム複酸化物の結晶内の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体もリチウム複酸化物に含むものとし、これら固溶体も正極活物質として用いることができる。
また、集電体1を負極とする場合の活物質粒子21の形成材料には、例えば、負極活物質として、LiTi12、LiTi等のリチウム複酸化物や、Si、SiO、Sn等のリチウムを吸蔵できる材料を用いることができる。
活物質粒子21の平均粒径は、300nm以上5μm以下が好ましく、450nm以上3μm以下がより好ましく、500nm以上1μm以下がさらに好ましい。このような平均粒径の活物質を用いると、後述するリチウム二次電池の製造方法において、活物質粒子21を含む混合粒子70を、複合体4の厚さ方向に複数連結した状態として、柱状体77を形成することができる。柱状体77と、複数の柱状体77同士の間に形成される空隙に充填される固体電解質層3との接触面積を広げやすくなり、電極複合体10を用いたリチウム二次電池を高容量にしやすくなる。
なお、活物質粒子21の平均粒径は、例えば、活物質粒子21をn−オクタノールに0.1質量%〜10質量%の範囲の濃度となるように分散させた後、光散乱式粒度分布測定装置(日機装社製、ナノトラックUPA−EX250)を用いて、メジアン径を求めることにより測定することができる。
次に、複酸化物層5について、説明する。
複酸化物層5は、層状をなし、混合粒子70において、活物質粒子21の表面の全面を覆う被覆層を構成している。なお、混合粒子70において、活物質粒子21の表面の全面を、複酸化物層5が覆っているが、これに限定されず、その表面の少なくとも一部を覆っていればよい。
この複酸化物層5は、下記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体の少なくとも一方を含む化合物であり、この化合物は、優れた電子およびリチウムイオン(イオン)の伝導性を有している。
LnLi0.50.5 ・・・ (1)
[式中、Lnは、ランタノイド、Mは、遷移金属を表す。]
活物質粒子21が複酸化物層5により覆われていることで、複酸化物層5のリチウムイオン伝導率および電子伝導率がリチウム二次電池の高容量化および高出力化に寄与することになる。
複酸化物層5は、複合体4において、複合体4の厚さ方向に対して、電子を伝導するパスとして機能して、集電体1に円滑に電子を供給することができる。そのため、複合体4における内部抵抗が低くなる。また、このように複酸化物層5を、電子を伝導するパスとしての機能を発揮させることができるため、活物質粒子21に用いる電極活物質の種類の選択の幅が広がる。また、複酸化物層5を被覆層として備える混合粒子70が、複合体4の厚さ方向に沿って、複数連結した柱状体77を形成しているため、複合体4の厚さ方向に沿って、より円滑に電子を供給することができる。さらに、電子を伝導するパスとして機能する複酸化物層5が、本実施形態では、一面41において複合体4から露出して集電体1に接触することから、集電体1に対して、より円滑に電子を伝導することができる。
さらに、複酸化物層5は、活物質粒子21の表面を覆って形成されていることで、活物質粒子21と固体電解質層3との間に介在して設けられていることとなる。かかる構成の複酸化物層5が、本発明では、上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体の少なくとも一方を含むものであるため、優れたリチウムイオンの伝導性を有している。そのため、複酸化物層5を介した、活物質粒子21と固体電解質層3との間におけるリチウムイオンの受け渡しをより円滑に行うことができるようになる。すなわち、活物質粒子21と固体電解質層3との間における界面抵抗を減少させる効果を発揮する。その結果、リチウム二次電池100の出力向上が図られるとともに、電位降下によるクーロン効率の低下が緩和されることから、リチウム二次電池100の容量密度の向上が図られる。
上記の通り、リチウム二次電池が複酸化物層5を備えることで、活物質層2だけのときよりも電子の伝導性がより高くなり電位降下によるクーロン効率の低下が緩和される。これにより、リチウム二次電池100の出力および容量密度の向上を図ることができる。その結果、リチウム二次電池100は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
すなわち、かかる構成の複酸化物層5を備える電極複合体10をリチウム二次電池100に適用することで、リチウム二次電池100は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
また、前述の通り、複酸化物層5は、上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体の少なくとも一方を含むものであるが、本明細書中では、上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物の誘導体とは、Ln、Li、MおよびOを含み、その結晶が正方晶を形成するものを言う。このように、正方晶を形成する誘導体であれば、かかる誘導体を含む複酸化物層5も、上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物を含む複酸化物層5と同様に優れた電子およびリチウムイオンの伝導性を有する。すなわち、正方晶を形成する誘導体を含む複酸化物層5を活物質粒子21に接触して形成することで、前述した効果を得ることができる。
さらに、上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体に含まれるLnは、後述する固体電解質層3に含まれる固体電解質がLnを含有するものである場合、このLnと同一のものであることが好ましく、また、上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体に含まれるMは、活物質粒子21に含まれる遷移金属と同一のものであることが好ましい。これにより、上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体の少なくとも一方を含む複酸化物層5を、活物質粒子21および固体電解質層3に対して優れた密着性を有するものとすることができる。その結果、かかる観点からも、複酸化物層5と活物質粒子21との間における電子の受け渡し、および、複酸化物層5を介した固体電解質層3と活物質粒子21との間におけるリチウムイオンの受け渡しを、より円滑に行うことができるようになる。
また、上記一般式(1)中、Lnは、ランタノイドを表すが、中でも、La、PrおよびNdのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
さらに、上記一般式(1)中、Mは、遷移金属を表すが、中でも、Co、Ni、Mn、FeおよびCuのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
ランタノイドおよび遷移金属として、これらのものを選択することにより、複酸化物層5を、電子およびリチウムイオンの伝導性により優れたものとすることができる。
なお、上記一般式(1)で表わされる結晶が正方晶を形成する金属複酸化物の誘導体である例としては、LaLi0.5Co0.5、LaLi0.5Ni0.5、LaLi0.5Cu0.5、La1.5Sr0.5Li0.5Co0.5、NdLi0.5Ni0.5等が挙げられる。
複酸化物層5の電子伝導率が活物質粒子21の電子伝導率より高ければ、複酸化物層5を備えることで、複合体4における内部抵抗を確実に低くすることができる。
このためには、複酸化物層5の電子伝導率は、1.2×10−5S/cm以上であることが好ましい。また、複酸化物層5のイオン伝導率は、7×10S/cm以上であることが好ましい。
また、複酸化物層5は、その平均膜厚が200nm以上1000nm以下であることが好ましく、650nm以上750nm以下であることがより好ましい。複酸化物層5の平均膜厚を、前記範囲内に設定することにより、前述した複酸化物層5としての機能を発揮させることができることから、複酸化物層5内の電子の伝導、および、複酸化物層5が介在した複数の活物質粒子21同士における電子の受け渡しを、長期に亘って安定的に維持することが可能となる。
このような混合粒子70は、その直径をA[mm]とし、混合粒子70が連結した柱状体77の長さをB[mm]としたとき、B/Aが10以上であることが好ましく、12以上20以下であることがより好ましい。これにより、複合体4における混合粒子70の比表面積、すなわち、複酸化物層5の比表面積を大きくすることができる。そのため、複合体4の厚さ方向に沿って、電子を伝導するパスとして複酸化物層5が、より確実にその機能を発揮することから、複合体4の厚さ方向に沿って、より円滑に電子を供給することができるようになる。
なお、前記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体の少なくとも一方を含む複酸化物層5は、強磁性体であるため、磁化状態である場合には、複酸化物層5(混合粒子70)の磁化の方向は、複合体4の厚さ方向に沿った方向となっている。なお、複合体4の厚さ方向に、複酸化物層5の磁化方向が向く理由については、後述するリチウム二次電池の製造方法において説明する。なお、本明細書において、複酸化物層5の磁化の方向が、複合体4の厚さ方向に沿った方向となっているとは、複酸化物層5の磁化の方向が、複合体4の厚さ方向に対して、±10°のズレの範囲内になっている場合のことを言うこととする。
固体電解質層(第1の固体電解質層)3は、リチウムイオン伝導性を有する形成材料を含んで構成されている。固体電解質層3は、複合体4の他面42を覆うとともに、複合体4に含まれる複数の柱状体77同士間の空隙を充填して形成されている。すなわち、前記空隙内を含む、複数の柱状体77を構成する混合粒子70の表面に接して設けられ、かつ、電極20に接する他面42側では、活物質粒子21および複酸化物層5が露出することなく、固体電解質層3が単独で露出するように設けられている。
これにより、複酸化物層5を介した、活物質粒子21と固体電解質層3との間におけるリチウムイオンの受け渡しを円滑に行うことができるとともに、他面42側で接する電極20との間で短絡が生じるのを確実に防止することができる。
固体電解質の形成材料としては、特に限定されず、Li6.75LaZr1.75Nb0.2512、SiO−SiO−P−LiO、SiO−P−LiCl、LiO−LiCl−B、Li3.40.6Si0.4、Li14ZnGe16、Li3.60.4Ge0.6、Li1.3Ti1.7Al0.3(PO、Li2.88PO3.730.14、LiNbO、Li0.35La0.55TiO、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−P、LiN、LiI、LiI−CaI、LiI−CaO、LiAlCl、LiAlF、LiI−Al、LiF−Al、LiBr−Al、LiO−TiO、La−LiO−TiO、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiN−LiCl、LiNBr、LiSO、LiSiO、LiPO−LiSiO、LiGeO−LiVO、LiSiO−LiVO、LiGeO−ZnGeO、LiSiO−LiMoO、LiSiO−LiZrO、Li2+x1−x、LiBH、Li7−xPS6−xCl、Li10GeP12等の酸化物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、水酸化物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの部分置換体の結晶質、非晶質(アモルファス)および部分結晶化ガラスの何れをも用いることができる。さらに、これらの固体電解質中にAl、SiO、ZrO等の絶縁物の微粒子が埋入されることで複合化された複合物を固体電解質の形成材料として用いることもできる。
また、固体電解質としては、ガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有するものであることが好ましい。ガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有する固体電解質は、イオン伝導性が高く電気化学的に安定であることから固体電解質として好ましく用いられる。また、ガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造は、結晶構造として正方晶を有する物質との間において、リチウムイオンの受け渡しを円滑に行うことができるという特徴がある。
ガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を容易に有するものとすることができるものとしては、具体例として、一般式Li12で表されるものがある。これにより、固体電解質を、ガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を容易に有するものとすることができる。
なお、Mとしては、ガーネット結晶を形成し得る任意の元素が選択されるが、中でも、イオン伝導率が高い結晶を形成するために、特に、Zr、Nb、Ta、Sn、W、SbおよびBiのうちの少なくとも1種を用いることが好ましい。また、Mとしては、Mとともにガーネット結晶を形成し得る、任意の元素が選択されるが、中でも、イオン伝導率が高い結晶を形成するために、特に、ランタノイド元素が好ましく、Laがより好ましく選択される。
また、本明細書においては、これらの組成物の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体も、固体電解質として用いることができる。
固体電解質層3のイオン伝導率は、1×10−5S/cm以上であることが好ましい。固体電解質層3がこのようなイオン伝導率を有することにより、活物質粒子21の表面から離れた位置の固体電解質層3に含まれるイオンも、複酸化物層5を介して活物質粒子21の表面に達し、活物質粒子21における電池反応に寄与することが可能となる。そのため、活物質粒子21における活物質の利用率が向上し、容量を大きくすることができる。
なお、「固体電解質層3のイオン伝導率」とは、固体電解質層3を構成する上述の無機電解質自身の伝導率である「バルク伝導率」と、無機電解質が結晶質である場合における結晶の粒子間の伝導率である「粒界イオン伝導率」と、の総和である「総イオン伝導率」のことを言う。
なお、固体電解質層3のイオン伝導率は、例えば、固体電解質粉末を624MPaで錠剤型にプレス成型したものを大気雰囲気下700℃で8時間焼結し、スパッタリングにより直径0.5cm、厚み100nmのプラチナ電極をプレス成型体両面に形成して交流インピーダンス法を実施することにより測定することができる。測定装置には、例えば、インピーダンスアナライザ(ソーラトロン社製、型番SI1260)を用いる。
複合体4の一面41は、固体電解質層3から複酸化物層5および活物質粒子21が露出している。複酸化物層5および活物質粒子21を露出させるため、一面41に対し研磨工程が行われる場合がある。研磨加工を施した場合、一面41には、研磨加工の痕跡である擦過痕(研磨痕)が残されている。
また、本実施形態の電極複合体10は、複数の柱状体77で構成された集合体を形成する際に、柱状体77に含まれる混合粒子70同士をつなぎ合わせるバインダーや、柱状体77における混合粒子70同士間の導電性を担保するための導電助剤などの有機物を用いることなく成形することができ、この場合には、ほぼ無機物のみで構成されている。具体的には、本実施形態の電極複合体10においては、複合体4(活物質粒子21、固体電解質層3および複酸化物層5)を400℃で30分加熱した時の質量減少率が、5質量%以下となっている。質量減少率は、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、質量減少が観測されない、または誤差範囲であることが特に好ましい。複合体4がこのような質量減少率を有するため、複合体4には、所定の加熱条件で蒸発する溶媒や吸着水等の物質や、所定の加熱条件で燃焼または酸化されて気化する有機物が、構成全体に対して5質量%以下しか含まれないこととなる。
なお、複合体4の質量減少率は、示差熱−熱重量同時測定装置(TG−DTA)を用い、複合体4を所定の加熱条件で加熱することで、所定の加熱条件による加熱後の複合体4の質量を測定し、加熱前の質量と加熱後の質量との比から算出することができる。
また、本実施形態の電極複合体10においては、複合体4が上述のような構成であるため、複合体4に含まれるバインダーや導電助剤の添加量が抑制されており、バインダーや導電助剤を用いる場合と比べて、電極複合体10の単位体積あたりの容量密度が向上する。
これらのことから、以下で説明する本実施形態の製造方法で製造された、上述した構成をなす電極複合体10は、電極複合体10を用いたリチウム二次電池の容量を向上させ、かつ高出力とすることができる。
また、複合体4は、一面41で、活物質粒子21と固体電解質層3と複酸化物層5とが露出し、他面42で、固体電解質層3が単独で露出し、この状態で、一面41に集電体1が接合され、他面42に電極20が接合されている。かかる構成とすることで、リチウム二次電池100において、電極20と集電体1とが活物質粒子21および複酸化物層5を介して接続されるのを防止すること、すなわち短絡を防止することができる。すなわち、固体電解質層3は、リチウム二次電池100における短絡の発生を防止する短絡防止層としての機能をも発揮する。
電極20は、複合体4の集電体1とは反対側の他面42に、活物質粒子21および複酸化物層5に接することなく固体電解質層3に接して設けられている。
電極20は、活物質粒子21が正極活物質で構成される場合、負極として機能する。また、活物質粒子21が負極活物質で構成される場合、正極として機能する。
電極20の形成材料(構成材料)としては、電極20が負極の場合、例えば、リチウム(Li)が挙げられ、電極が正極の場合、例えば、アルミニウム(Al)が挙げられる。
電極20の厚さは、特に限定されないが、例えば、1μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
また、電極20が負極の場合、固体電解質層3と電極20との間には、負極活物質を主材料として含む負極層が介挿されていてもよい。
負極活物質としては、例えば、Nb、V、TiO、In、ZnO、SnO、NiO、ITO(Snが添加された酸化インジウム)、AZO(アルミニウムが添加された酸化亜鉛)、GZO(ガリウムが添加された酸化亜鉛)、ATO(アンチモンが添加された酸化スズ)、FTO(フッ素が添加された酸化スズ)、TiOのアナターゼ相、LiTi12、LiTi等のリチウム複酸化物、Si、Sn、Si−Mn、Si−Co、Si−Ni等の金属および合金、炭素材料、炭素材料の層間にリチウムイオンが挿入された物質等が挙げられる。
次に、電極複合体10およびリチウム二次電池100の製造方法について説明する。
まず、図3〜図6を用いて、電極複合体10の製造方法について説明する。
まず、粒子状をなす複数の混合粒子70を含有するスラリーを、磁場の中に置いた状態で乾燥させることにより、複数の混合粒子70が磁場の磁力線の方向に沿って連結された柱状体77が、磁力線と直交する方向に複数配置された集合体を得る(第1の工程)。
このスラリーを用いた、柱状体77を複数備える集合体を形成する方法では、混合粒子70を含有するスラリーを調製する調製工程と、スラリーを乾燥させて柱状体77を複数備える集合体を得る乾燥工程とを有する。以下、これらの工程について説明する。
まず、溶媒中にバインダーを溶解させ、そこに予め用意した混合粒子70を分散させスラリー26を調製する(調整工程)。なお、スラリー26中には、オレイルアミンのような分散剤が含まれていてもよい。
その後、凹部F25を備える底部F21と蓋部F22とを有する成形型F2を用意し、底部F21の凹部F25に、スラリー26を滴下した後、底部F21を蓋部F22で蓋をする(図3(a)参照。)。
また、スラリー26中における混合粒子70の含有量は、10wt%以上60wt%以下であるのが好ましく、30wt%以上50wt%以下であるのがより好ましい。これにより、乾燥工程において、充填率の高い柱状体77を複数備える集合体が得られることとなる。
さらに、バインダーとしては、特に限定されないが、ポリプロピレンカーボネート(PPC)のようなポリカーボネートの他、セルロース系バインダー、アクリル系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリビニルブチラール系バインダー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、溶媒としては、特に限定されないが、例えば、非プロトン性の溶媒であることが好ましい。これにより、溶媒との接触による混合粒子70(活物質粒子21、複酸化物層5)の劣化を低減することができる。
このような非プロトン性溶媒としては、具体的には、例えば、ブタノール、エタノール、プロパノール、メチルイソブチルケトン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられ、この単溶媒または混合溶媒を溶媒として使用することができる。
なお、混合粒子70は、活物質粒子21の表面を覆うように、複酸化物層5を形成することで得ることができる。
この複酸化物層5の形成は、例えば、活物質粒子21の表面に、上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物またはその誘導体の前駆体を含む液状体を塗布し、その後、焼成(加熱)することで、前駆体を上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物またはその誘導体が生成することにより行われる。
前記液状体は、前駆体の他に、前駆体が可溶な溶媒を含んでもよい。前記液状体が溶媒を含む場合には、前記液状体の塗布後、焼成の前に、適宜溶媒を除去するとよい。溶媒の除去は、加熱、減圧、送風など通常知られた方法の1種、または2種以上を組み合わせた方法を採用することができる。
ここで、流動性を有する液状体を塗布して複酸化物層5を形成することから、微細な形状の活物質粒子21の表面にも良好に複酸化物層5を形成することが可能となる。
上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体の前駆体としては、例えば、以下の(A1)、(B1)、(C1)が挙げられる。
(A1)上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体が有する金属原子を、その組成式に従った割合で含み、酸化により上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体となる塩を有する組成物。
(B1)上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体が有する金属原子を、その組成式に従った割合で含む金属アルコキシドを有する組成物。
(C1)上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体の微粒子、または上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体が有する金属原子を、その組成式に従った割合で含む微粒子ゾルを溶媒、または(A1)もしくは(B1)に分散させた分散液。
なお、(A1)に含まれる塩には、金属錯体を含む。また、(B1)は、いわゆるゾルゲル法を用いて上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体を形成する場合の前駆体である。
前駆体の焼成は、大気雰囲気下、上述した活物質粒子21を得るための熱処理よりも低い温度で行う。具体的には、焼成温度は、300℃以上900℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。これにより、焼成により前駆体から上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体が生成され、複酸化物層5が形成される。
このような温度範囲で焼成することにより、活物質粒子21と複酸化物層5との界面において、それぞれを構成する元素の相互拡散による固相反応が生じ、電気化学的に不活性な副生物が生成されることを抑制することができる。また、上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体の結晶性が向上し、複酸化物層5のイオン電導性を向上させることができる。加えて、活物質粒子21と複酸化物層5との界面において、焼結する部分が生じ、界面における電荷移動が容易となる。これにより、リチウム二次電池100の容量や出力が向上する。
なお、活物質粒子21と複酸化物層5との界面において、それぞれを構成する元素を相互拡散させるという観点からは、上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体に含まれるMは、活物質粒子21に含まれる遷移金属と同一のものであることが好ましい。これにより、それぞれに含まれる同一の金属M(遷移金属)が相互拡散して複酸化物層5が形成されるため、複酸化物層5を、活物質粒子21に対して優れた密着性を有するものとできる。
また、焼成は、1度の熱処理で行うこととしてもよく、前駆体を前記多孔質体の表面に被着させる第1の熱処理と、第1の熱処理の処理温度以上900℃以下の温度条件で加熱する第2の熱処理と、に分けて行うこととしてもよい。このような段階的な熱処理で焼成を行うことにより、複酸化物層5を所望の位置に容易に形成することができる。
次に、複数の混合粒子70を含有するスラリー26を、磁場の中に置いた状態で加熱する。
この加熱により、スラリー26を乾燥させるとともに、スラリー26中に含まれる複数の混合粒子70同士を、磁場の磁力線の方向に沿って並んだ状態で、焼結させる。その結果、複数の混合粒子70が磁力線の方向に沿って連結された柱状体77が形成され、さらに、この柱状体77が、磁力線と直交する方向に複数配置された状態で設けられることにより集合体が形成される(図3(b)参照。)。
ここで、前述の通り、前記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体の少なくとも一方を含む複酸化物層5は、強磁性体である。そのため、磁場の中に置くことで、複数の混合粒子70を、磁場の磁力線の方向に沿って並んだ状態とすることできる。そのため、磁場の磁力線の方向を、形成すべき複合体4の厚さ方向に一致させて、加熱することで、複数の混合粒子70が、形成すべき複合体4の厚さ方向に沿って連結された柱状体77が形成され、さらに、この柱状体77が、形成すべき複合体4の面方向に複数配置された状態で設けられた集合体を得ることができる。そのため、得られた集合体を磁場(磁界)から取り出した後にも、複酸化物層5が磁化状態である場合には、複酸化物層5(混合粒子70)の磁化の方向(磁極方向)は、形成すべき複合体4の厚さ方向に沿った方向となっている。
なお、磁場を発生させる磁石としては、特に限定されず、フェライト、ネオジム(ネオジウム−鉄−ホウ素)、アルニコ(アルミニウム−ニッケル−コバルト)、サマコバ(サマリウム−コバルト)等の磁石を所望の形状に成型した永久磁石や、コイル電磁石等が挙げられる。
また、得られる集合体において、複数の柱状体77が形成すべき複合体4の厚さ方向に配向させるには、図3(b)に示すように、形成すべき複合体4の全体において、磁場の磁力線の方向が、形成すべき複合体4の厚さ方向に沿った状態となっていることが好ましい。そのため、成形型F2よりも大きい磁石を用いることが好ましく、具体的には、粒子状の磁性体を樹脂で結着しシート状に成型して着磁したシート状をなす永久磁石を、成形型F2よりも大きいものとして用いることがより好ましい。
さらに、磁石(磁場)の磁束密度は、10mT以上20T以下であることが好ましく、20mT以上15T以下であることがより好ましい。これにより、複数の混合粒子70を、磁場の磁力線の方向に一致させた状態で、より確実に連結させることができる。
なお、活物質粒子21を含有するスラリー26を加熱する方法としては、特に限定されないが、例えば、スラリー26をスプレードライヤー等により噴霧乾燥することで加熱する方法等が挙げられる。
このスラリー26の熱処理(加熱)は、850℃以上1000℃以下の温度条件で行うことが好ましい。これにより、複数の混合粒子70を、より確実に連結させることができる。なお、磁場を発生させる磁石として、永久磁石を用いる場合には、この加熱の上限値を、磁力が消失するキュリー点以下の温度に設定する必要がある。これにより、スラリー26の加熱の最中に磁力が消失するのを確実に防止することができる。
また本工程の熱処理は、5分以上36時間以下で行うことが好ましく、4時間以上14時間以下で行うことがより好ましい。
さらに、このスラリー26の加熱は、段階的に温度条件が上昇する多段階で行うことが好ましく、具体的には、室温で乾燥させた後、室温から300℃まで2時間、350℃まで0.5時間、1000℃まで2時間を掛けて昇温させ、その後、凹部F25を蓋部F22で蓋をして1000℃、8時間で焼成することが好ましい。このような条件で昇温することで、溶媒中に含まれるバインダーを確実に焼き飛ばすことができる。
以上のような工程を経ることによって、複数の柱状体77で構成される集合体を得ることができる。
次いで、図4に示すように、複数の柱状体77で構成される集合体において、複数の柱状体77同士間に形成された空隙内、および集合体の上面を覆うように、固体電解質の前駆体を含む液状体3Xを塗布し(図4(a))、その後、焼成(加熱)することで、前駆体を無機固体電解質として粒状体31からなる固体電解質層3を形成する(図4(b);第2の工程)。
これにより、複数の柱状体77同士間に形成された空隙内において露出する混合粒子70すなわち複酸化物層5の表面上に固体電解質層3が形成され、その結果、混合粒子70(活物質粒子21および複酸化物層5)と固体電解質層3とを備える複合体4が形成される。
液状体3Xは、前駆体の他に、前駆体が可溶な溶媒を含んでもよい。液状体3Xが溶媒を含む場合には、液状体3Xの塗布後、焼成の前に、適宜溶媒を除去するとよい。溶媒の除去は、加熱、減圧、送風など通常知られた方法の1種、または2種以上を組み合わせた方法を採用することができる。
ここで、流動性を有する液状体3Xを塗布して粒状体31からなる固体電解質層3を形成することから、複数の柱状体77同士間に形成された、微細な空隙内にも良好に固体電解質を形成することが可能となる。そのため、複酸化物層5を介した活物質粒子21と固体電解質層3との接触面積を拡大しやすく、複酸化物層5を介した活物質粒子21と固体電解質層3との界面の電流密度が低減され、その結果、大きな出力を容易に得ることができる。
液状体3Xの塗布は、複数の柱状体77同士間に形成された空隙の内部にまで液状体3Xが浸透する方法であれば、種々の方法により行うことができる。例えば、複数の柱状体77で構成される集合体を載置しておいたところに液状体3Xを滴下することで行ってもよく、液状体3Xを貯留しているところに、複数の柱状体77で構成される集合体を浸漬させることで行ってもよく、液状体3Xを貯留しているところに、複数の柱状体77で構成される集合体の端部を接触させ、毛管現象を利用して間隙内に含浸させることで行ってもよい。図4(a)では、上記のうち、ディスペンサーDを用いて液状体3Xを滴下する方法を示している。
また、本工程において、固体電解質は、固体電解質の前駆体を焼成(加熱)することにより生成され、この焼成の際に、生成された固体電解質は、その一次粒子が造粒することで形成された二次粒子からなる粒状体31を形成する。したがって、固体電解質層3は、複数の柱状体77同士間に形成された微細な空隙の内部にも形成されるが、かかる粒状体31の集合物として設けられる。そのため、固体電解質層3は、複数の粒状体31が3次元的に連結した多孔質体で構成される。よって、複数の柱状体77同士間の空隙内を充填するように固体電解質層3が形成されるが、この充填によっても、前記空隙の一部は残存する。すなわち、本実施形態では、混合粒子70と固体電解質層3とからなる複合体4は、空隙を備えるものとして形成される。
さらに、固体電解質の前駆体としては、例えば、以下の(A2)、(B2)、(C2)が挙げられる。
(A2)無機固体電解質が有する金属原子を無機固体電解質の組成式に従った割合で含み、酸化により無機固体電解質となる塩を有する組成物。
(B2)無機固体電解質が有する金属原子を無機固体電解質の組成式に従った割合で含む金属アルコキシドを有する組成物。
(C2)無機固体電解質微粒子、または無機固体電解質が有する金属原子を無機固体電解質の組成式に従った割合で含む微粒子ゾルを溶媒、または(A2)もしくは(B2)に分散させた分散液。
なお、(A2)に含まれる塩には、金属錯体を含む。また、(B2)は、いわゆるゾルゲル法を用いて無機固体電解質を形成する場合の前駆体である。
前駆体の焼成は、大気雰囲気下、上述した活物質粒子21を得るための熱処理よりも低い温度で行う。具体的には、焼成温度は、300℃以上900℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。これにより、焼成により前駆体から無機固体電解質が生成され、固体電解質層3が形成される。
このような温度範囲で焼成することにより、活物質粒子21の表面に形成された複酸化物層5と固体電解質層3との界面において、それぞれを構成する元素の相互拡散による固相反応が生じ、電気化学的に不活性な副生物が生成されることを抑制することができる。また、無機固体電解質の結晶性が向上し、固体電解質層3のイオン電導性を向上させることができる。加えて、複酸化物層5と固体電解質層3との界面において、焼結する部分が生じ、界面における電荷移動が容易となる。これにより、リチウム二次電池100の容量や出力が向上する。
なお、固体電解質層3と複酸化物層5との界面において、それぞれを構成する元素を相互拡散させるという観点からは、固体電解質層3に含まれる固体電解質を、Lnを含有するものとし、この固体電解質のLnは、上記一般式(1)で表わされる金属複酸化物およびその誘導体に含まれるLnと同一のものであることが好ましい。これにより、固体電解質の前駆体を用いて固体電解質層3を形成する際に、それぞれに含まれる同一の金属Lnが相互拡散して固体電解質層3が形成されるため、固体電解質層3を、複酸化物層5に対して優れた密着性を有するものとすることができる。なお、このような固体電解質層3の構成材料としては、例えば、LiLaZr12、Li6.75LaZr1.75Nb0.2512等が挙げられる。
また、焼成は、1度の熱処理で行うこととしてもよく、前駆体を前記多孔質体の表面に被着させる第1の熱処理と、第1の熱処理の処理温度以上900℃以下の温度条件で加熱する第2の熱処理と、に分けて行うこととしてもよい。このような段階的な熱処理で焼成を行うことにより、固体電解質層3を所望の位置に容易に形成することができる。
次いで、複合体4の一面41を研削・研磨することで、この一面41から、複酸化物層と固体電解質層3との双方を露出させる(図5(a)参照)。
さらに、この際、図5(a)のように、活物質粒子21も露出していることが好ましい。
また、この場合、一面41には、研削・研磨加工の痕跡である擦過痕(研削・研磨痕)が残される。
なお、複合体4を形成した際に、一面41から混合粒子70(複酸化物層5)と固体電解質層3との双方が露出することがある。この場合は、複合体4の一面41における研削・研磨、すなわち本工程[3]を省略することもできる。
次いで、図5(b)に示すように、複合体4の一面41において集電体1を接合する(第3の工程)。
これにより、活物質粒子(活物質部)21と固体電解質層(固体電解質部)3と複酸化物層(複酸化物部)5と集電体1とを備える電極複合体(本発明の電極複合体)10が形成される。
集電体1の接合は、別体として形成した集電体を複合体4の一面41に接合することによって行ってもよく、複合体4の一面41に上述した集電体1を成膜形成することで行ってもよい。
なお、集電体1の成膜方法は、各種の物理気相成長法(PVD法)および化学気相成長法(CVD法)を用いることができる。
上記の製造方法で電極複合体10を形成することができる。
次いで、図5(c)に示すように、複合体4の他面42において電極20を接合する。
電極20の接合は、別体として形成した電極を複合体4の他面42に接合することによって行ってもよく、複合体4の他面42に上述した電極20の形成材料を成膜することで行ってもよい。
なお、電極20の成膜方法は、集電体1の成膜方法であげたのと同様の方法を用いることができる。
これにより、リチウム二次電池100が製造される。
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態で示したものとは異なる電極複合体について示すものである。尚、本実施形態を含め以下の実施形態もしくは実施例において、第1実施形態と同様の構成要素に関しては同じ番号を付与し、その説明を省略する場合がある。
図6は、本実施形態に係る電極複合体10Aを適用したリチウム二次電池100Aの縦断面図を示した図である。
電極複合体10Aは、活物質粒子21と複酸化物層5とを備える混合粒子70、固体電解質層3および充填層30を有する複合体4Aと、集電体1と有する。複合体4Aは、充填層30を含むこと以外は複合体4と同じ構成要素を有する。
充填層(第2の固体電解質層)30は、リチウムイオンを伝導し、室温で非晶質(ガラス質、アモルファス)である固体電解質で形成されている。充填層30は、例えば、リチウムイオン伝導性を備える、C、SiまたはBを含むリチウム酸化物により形成される。具体的には、充填層30は、Li2+x1−x(0.1<x<0.4)、LiSiOおよびLiBOの少なくとも一つもしくは複数を含んでもよい。
充填層30は、固体電解質層3だけでは空隙が形成されてしまう場合に当該空隙の容積を少なくするために用いられる。このため、充填層30の前駆体の加熱による体積の収縮が、固体電解質層3の前駆体の加熱による体積の収縮よりも小さいことが好ましい。
このため、充填層30は、固体電解質層3の形成後に、充填層30の流動性を備える前駆体溶液、すなわち、室温で非晶質である固体電解質の前駆体溶液を、残存する空隙に、含浸させた後、加熱する方法を用いて形成することができる。
また、充填層30は、固体電解質層3と同程度またはそれより低温で形成できるものであることが好ましい。これは、固体電解質層3と充填層30との相互拡散を抑制するためである。例えば固体電解質層3としてLiLaZr12を、充填層30としてLiBOを用いた場合を考える。この場合、固体電解質層3を形成する際の焼成温度は800℃程度であるが、充填層30を形成する際の形成温度が900℃を超えると、固体電解質層3と充填層30とで相互拡散が発生してしまうおそれがある。また、充填層30の前駆体としては固体電解質層3の前駆体と同様に(A2)〜(C2)いずれかのようにして用いればよい。これを溶媒(例えばアルコール系の化合物)で希釈して前駆体溶液を得る。この前駆体溶液を、残存する空隙に含浸させる。前駆体溶液を含浸させる方法は、固体電解質層3について説明したものと同様である。
また、空隙に充填された前駆体溶液を加熱する加熱温度としては、例えば、300℃以上450℃以下に設定される。
複合体4Aを有する電極複合体10Aを用いることで、リチウム二次電池100Aの特性の向上を図ることができる。
(第3実施形態)
図7に、本実施形態に係るリチウム二次電池100Bの縦断面図を示す。リチウム二次電池100Bは構成要素として、複合体4Bを有する電極複合体10B、電極20、および電極複合体10Bと電極20との間に電解液含浸層35を含む。
複合体4Bは、固体電解質層3の形成後に存在した空隙に電解液36を含浸させたものである。これにより、複酸化物層5が固体電解質層3に接していない部分は、電解液36が複酸化物層5に接することになる。
リチウム二次電池100Bにおいて、複合体4Bは、活物質粒子21および複酸化物層5を含む混合粒子70と、複数の混合粒子70が連結した柱状体77の集合体に形成された空隙内に充填された固体電解質層3と、固体電解質層3の形成により残存した空隙に充填された電解液36と、固体電解質層3と電極20との間にこれらの双方と接合する電解液含浸層35とを有している。換言すれば、複合体4Bは、前記第1実施形態の複合体4Bに残存している空隙に充填して設けられた電解液36と、複合体4Bと電極20との間に設けられた電解液含浸層35とを、さらに、有している。
この複合体4Bでは、複合体4Bと電極20との間に電解液含浸層35が設けられており、この電解液含浸層35から残存する空隙に電解液36が供給されることで充填される。これにより、空隙において、複酸化物層5を介した活物質粒子21と固体電解質層3との接触面積の低下を招き、複酸化物層5を介した活物質粒子21と固体電解質層3との間での抵抗が増大することに起因して、複酸化物層5を介した活物質粒子21と固体電解質層3との間におけるイオン伝導率が低下するのを確実に防止することができる。
また、通常、リチウム二次電池において充放電サイクルを繰り返すと、活物質成形体または固体電解質層の体積が変動する場合がある。これに対して、本実施形態では、例えば、体積が収縮して空隙が広がったとしても、電解液含浸層35からさらに電解液が浸み出し、空隙が電解液36で充填される。一方、体積が拡大して空隙が狭くなったとしても、空隙の電解液36が電解液含浸層35に浸み込まれる。このように、複合体4Bの空隙は体積変動を吸収する緩衝空間となり、電荷の伝導経路の確保につながる。すなわち、高出力のリチウム二次電池を得ることができる。
なお、電解液36(電解液含浸層中のイオン液体)は少量かつ不揮発性であるため、液漏れおよび燃焼の問題はない。
電解液含浸層35は、ポリマーゲル電解質の供給元として機能する膜である。この電解液含浸層35は、リチウムイオンを伝導する電解液を含浸させたフィルムである。すなわち、電解液含浸層35は、支持体と、ポリマーゲル電解質(電解液)とを含む。
支持体は、電解液含浸層(PEGフィルム)35の構造を物理的に支えるためのものである。支持体は、不純物を析出せず、ポリマーゲル電解質等の他の材料と反応せず、イオン液体+Li塩+モノマーとの濡れ性が高いものが好ましい。不純物を析出したり化学反応を起こしてしまうと特性が変化してしまうおそれがある。また、濡れ性が悪いと支持体に高分子が均一に形成できないおそれがある。なお、支持体を用いずにポリマーゲル電解質中のポリマー成分の比率を上げて強度を改善することもできるが、ポリマー成分の比率を上げるとLiの伝導率の低下を招くので支持体を用いることが好ましい。支持体としては、例えば、長繊維セルロースや、疎水性のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が用いられる。
ポリマーゲル電解質は、Liに対して化学的に安定で、ゲル化して電解液を抱えることができる特性を有することが要求される。通常のPEG(ポリエチレングリコール)系フ
ィルムは、Liに対して化学的に安定で電池動作の確認はできる。しかし、PEGフィルムではイオン伝導度が低く、電池としての実用的な出力は得られない。そこで本実施形態では、電解液が揮発しないポリマーゲル電解質を用いている。
このような複合体4Bは、例えば、空隙が残存する活物質粒子21と固体電解質層3と複酸化物層5との複合体の一面に、電解液含浸層35を貼り付け、これにより、電解液含浸層35から電解液を空隙に供給させる方法を用いて形成することができる。
電解液含浸層35は、例えば、支持体(基材)に電解液およびモノマーを含む前駆体溶液を含浸させ、これを光重合させることにより作製する。電解液は、イオン液体およびリチウム塩を含む。イオン液体としては、例えばP13−TFSI(N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)が用いられる。リチウム塩としては、Li−TFSI(リチウムN,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)が用いられる。モノマーとしては、例えばポリエチレングリコールジアクリレート(TEGDA)が用いられる。以上の電解液に重合開始剤および炭酸エチレンを混合し、PGE作製溶液を得る。重合開始剤としては、例えばラジカル型光重合開始剤(例えば、BASF社製IRGACURE651、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)を用いる。重合開始剤は、例えば重量比で6:1の混合比率で混合される。炭酸エチレンは、SEI(Solid Electrolyte Interface)形成材料として用いられる。SEIは、Li電極表面を不活性化・安定化させる被膜である。SEIは電解液の還元的分解反応によって生成しており、最初のサイクルにおいて炭酸エチレンの分解反応で電荷が消費されることが確認されている。炭酸エチレンは、混合比率1で混合される。このPGE作製溶液を、支持体に含浸させる。支持体としては、例えば、MILLIPORE社製の疎水性PVDFメンブレンフィルターを用いる。PGE作製溶液を含浸させた支持体に所定の波長帯の光(例えば紫外光)を照射してモノマーを光重合させてポリマー化し、電解液含浸層35を得る。電解液含浸層35に含まれる電解液が、残存する空隙に充填されて電解液36として機能する。
この電解液含浸層35に含まれる電解液は、酸化物固体電解質への濡れ性が良好であり、固体電解質層3を伝わって残存する空隙内に浸透し、電解液36が空隙内に充填される。これにより、活物質と電解質との接合がより好ましいものとなり、より特性が向上したリチウム二次電池100Bを得ることができる。
(第4実施形態)
図8に、本実施形態における電極複合体10Cの縦断面図を示す。
電極複合体10Cは、第1実施形態における混合粒子70とは異なるタイプの混合粒子75を有する。
複酸化物部と活物質部とを含有する粒子状をなす混合粒子75は、複酸化物部は、芯材である母粒子を構成する複酸化物粒子51であり、活物質部は、複酸化物粒子51の表面に設けられた被覆層を構成する活物質層2である。
このように、第1実施形態の混合粒子70では、活物質部が芯材である母粒子を構成し、複酸化物部が母粒子の表面に設けられた被覆層を構成するのに対して、本実施形態の混合粒子75では、活物質部が母粒子の表面に設けられた被覆層を構成し、複酸化物部が芯材である母粒子を構成しており、第1実施形態の混合粒子70と第4実施形態の混合粒子75とでは、母粒子と被覆層との関係が逆になっている。
このように混合粒子75は、母粒子を構成する複酸化物粒子51と、複酸化物粒子51の表面に設けられた活物質層2とを備える構成としても、複酸化物粒子51は、複合体4Cにおいて、複合体4Cの厚さ方向に対して、電子を伝導するパスとして機能して、集電体1に円滑に電子を供給するため、複合体4Cにおける内部抵抗が低くなる。また、このように複酸化物粒子51を、電子を伝導するパスとしての機能を発揮させることができるため、活物質層2に用いる電極活物質の種類の選択の幅が広がる。また、電子を伝導するパスとして機能する複酸化物粒子51が、本実施形態では、一面41において複合体4から露出して集電体1に接触することから、集電体1に対して、より円滑に電子を供給することができる。
なお、かかる構成の複合体4Cは、混合粒子70に代えて、母粒子を構成する複酸化物粒子51と、複酸化物粒子51の表面に設けられた活物質層2とを備える混合粒子75を用意することで得ることができる。
このような第4実施形態のリチウム二次電池100Cによっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
以上、本発明に係る電極複合体およびリチウム二次電池の説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において広く適用が可能である。
例えば、本発明の電極複合体、電極複合体の製造方法および電池における各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、本発明の電池は、前記各実施形態で説明したリチウム二次電池の他、リチウム一次電池にも適用できる。さらに、ナトリウムイオン電池や、マグネシム電池等にも適用できる。
さらに、本発明の電極複合体の製造方法には、1または2以上の任意の工程が追加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.複合体の製造
[実施例1]
<1>まず、粉末状のLiCoO粒子(シグマアルドリッチジャパン社製、以下、「LCO」と言うこともある。)に、La(NO・6HOを2−ブトキシエタノールに溶解した溶液を浸透させ、乾燥後540℃で焼結した。この操作により、LiCoO粒子の表面をLaLi0.5Co0.5層に転化させることで、活物質粒子の表面を複酸化物層で被覆した混合粒子を得た。
<2>次に、混合粒子に、ポリプロピレンカーボネート(シグマアルドリッチジャパン社製)5重量部を添加し、100重量部の1,4−ジオキサン(関東化学社製)に懸濁したスラリーを調製した後、このスラリーを、形成すべき複合体の厚さ方向に沿った磁力線の方向を有する磁場の中に置いた状態で、塗布・乾燥することでグリーンシートに成型した。このシートを、直径10mm、厚さ100μmの円盤状に加工したのち1,000℃で8時間大気焼成した。これにより、複数の混合粒子が円盤の厚さ方向に沿って連結された柱状体が、円盤の面方向に複数配置された集合体を得た。
なお、この集合体を、電子顕微鏡で観察したところ、複数の混合粒子が円盤の厚さ方向に沿って連結することで柱状体が形成されていること、さらに、複数の柱状体が円盤の面方向に配置されることで集合体が形成されていることが確認された。
<3>次に、集合体が備える複数の柱状体同士間に形成された空隙に、LiNO、La(NO・6HO、Zr(OCおよびNb(OCを2−ブトキシエタノールに溶解した溶液を浸透させ、乾燥したのち800℃で大気焼成を行った。この操作により、集合体の空隙および前記溶液を浸透させた負極層形成面に固体電解質層が形成され、これにより、実施例1の複合体を得た。
[比較例]
前記工程<1>を省略したこと以外は、前記実施例1と同様にして、複合体を作製した。
なお、複合体の形成の過程で得られる集合体を、電子顕微鏡で観察したところ、複数の混合粒子は、円盤の厚さ方向に沿って連結しておらず、この集合体では、複数の混合粒子が連結することで形成される柱状体、さらには、複数の柱状体が円盤の面方向に配置した状態を確認することはできなかった。
2.複合体の評価
実施例1および比較例の複合体について、それぞれ、以下に示すような充放電特性の評価を行った。
すなわち、充放電特性は、マルチチャネル充放電評価装置(北斗電工社製、HJ1001SD8)を使用して測定した。測定は、電流密度0.1mA/cm、充電上限電圧4.2Vの定電流―定電圧、放電下限電圧3.0Vの定電流駆動の条件で行った。
また、実施例および比較例の複合体に、それぞれ、正極としてアルミニウムを、負極としてリチウムおよび銅を、それぞれ用いた。正極については、研磨面にアルミニウム板を張り付けて電極を形成した。負極については、まず電解質層を形成した。電解質層は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(綜研化学社製)、LiTFSI(キシダ化学)、エチレンカーボネート(シグマアルドリッチ社製)、ジメチルカーボネート(シグマアルドリッチ社製)、からなる液状組成物を塗布し、乾固させて形成した。さらに電解質層から順にリチウム金属箔、銅箔を積層し、これらを圧着して負極を形成した。こうして得られたリチウム二次電池に対し、充放電特性の評価を行った。
その結果、実施例では、比較例と比較して、良好な充放電特性を示した。すなわち、複合体の厚さ方向に沿って、複数連結して形成された柱状構造をなす柱状体を、混合粒子が形成することで、充放電特性が改善する結果が得られた。
1……集電体
2……活物質層
21……活物質粒子
3……固体電解質層
31……粒状体
3X……液状体
4、4A、4B、4C……複合体
41……一面
42……他面
5……複酸化物層
51……複酸化物粒子
10、10A、10B、10C……電極複合体
20……電極
26……スラリー
30……充填層
35……電解液含浸層
36……電解液
70、75……混合粒子
77……柱状体
100、100A、100B、100C……リチウム二次電池
D……ディスペンサー
F2……成形型
F21……底部
F22……蓋部
F25……凹部

Claims (12)

  1. 活物質部、固体電解質部および複酸化物部を有する複合体と、
    前記複合体に接合された集電体と、を備え、
    前記活物質部は遷移金属酸化物で構成される活物質を含み、
    前記固体電解質部はイオン伝導性を有する固体電解質を含み、
    前記複酸化物部は下記式(1)で表される金属複酸化物およびその誘導体の少なくとも一方を含み、
    前記複合体において、前記複酸化物部と前記活物質部とは、これらを含有する粒子状をなす混合粒子で構成され、
    前記混合粒子は、前記複合体の厚さ方向に沿って、複数連結して形成された柱状構造をなす柱状体を形成して、前記柱状体が、前記複合体の面方向に、前記集電体に接触して複数配置されており、
    前記固体電解質部は、前記複合体の他方の面を覆うとともに、複数の前記柱状体同士の間を充填して形成されていることを特徴とする電極複合体。
    LnLi0.50.5 ・・・ (1)
    [式中、Lnは、ランタノイド、Mは、遷移金属を表す。]
  2. 前記混合粒子において、前記活物質部は、芯材である母粒子を構成し、前記複酸化物部は、前記母粒子の表面に設けられた被覆層を構成する請求項1に記載の電極複合体。
  3. 前記混合粒子において、前記複酸化部は、芯材である母粒子を構成し、前記活物質部は、前記母粒子の表面に設けられた被覆層を構成する請求項1に記載の電極複合体。
  4. 前記混合粒子の直径をA[mm]とし、前記柱状体の長さをB[mm]としたとき、B/Aは、10以上である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電極複合体。
  5. 前記複酸化物部は、磁化状態であり、
    前記複酸化物部の磁化の方向は、前記複合体の厚さ方向に沿った方向である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電極複合体。
  6. 前記複酸化物部は、その電子伝導率が前記活物質部の電子伝導率より高い請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電極複合体。
  7. 前記遷移金属酸化物は、リチウムと、コバルト、マンガンおよびニッケルのうちの少なくとも1種とを含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電極複合体。
  8. 前記固体電解質は、ガーネット型結晶構造またはガーネット型類似結晶構造を有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電極複合体。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電極複合体の製造方法であって、
    複数の前記混合粒子を含有するスラリーを、磁場の中に置いた状態で乾燥させることにより、複数の前記混合粒子を磁場の磁力線の方向に沿って連結させることで、複数の前記柱状体を得る第1の工程と、
    複数の前記柱状体同士間に形成された空隙内に、固体電解質の前駆体を含む液状材料を塗布した後に加熱して、固体電解質部を形成して複合体を得る第2の工程と、
    前記複合体の一方の面に、前記混合粒子に接するように集電体を接合する第3の工程とを有することを特徴とする電極複合体の製造方法。
  10. 前記第1の工程において、前記磁力線の方向を、前記第2の工程で形成すべき前記複合体の厚さ方向に一致させる請求項9に記載の電極複合体の製造方法。
  11. 前記第1の工程において、前記磁場の磁束密度は、10mT以上20T以下として形成する請求項9または10に記載の電極複合体の製造方法。
  12. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電極複合体、または、請求項9ないし11のいずれか1項に記載の電極複合体の製造方法により製造された電極複合体と、
    前記複合体の他の電極が接合される面に設けられた電極とを有することを特徴とする電池。
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