JP2016072078A - 電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法 - Google Patents

電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム電池に適用することで、高出力かつ高容量を有するリチウム電池とし得る電極複合体を製造し得る電極複合体の製造方法、および、かかる電極複合体を備え、高出力かつ高容量を有するリチウム電池を製造し得るリチウム電池の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の電極複合体10の製造方法は、リチウム複酸化物を含む粒子状をなす活物質粒子21を加熱することで、複数の活物質粒子21を連結させて、連通孔を備える多孔質体からなる活物質成形体2を成形する工程と、活物質成形体2の連通孔の内部を含む活物質成形体2の表面に、無機固体電解質の形成材料を含む液状材料を塗布した後に加熱して、固体電解質層3を形成して複合体4を得る工程と、複合体4を圧縮して再成形する工程と、複合体4の一面(一方の面)4aに、活物質成形体2に接するように集電体1を接合する工程とを有する。【選択図】図5

Description

本発明は、電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法に関するものである。
携帯型情報機器をはじめとする多くの電気機器の電源として、リチウム電池(一次電池および二次電池を含む)が利用されている。リチウム電池は、正極と負極と、これらの層の間に設置され、リチウムイオンの伝導を媒介する電解質層とを備える。
近年、高エネルギー密度と安全性とを両立したリチウム電池として、電解質層の形成材料に、固体電解質を使用する全固体型リチウム電池が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
これらの全固体型リチウム電池は、高出力かつ高容量であるものが求められているが、従来の全固体型リチウム電池は、これらの特性について充分に得られているとは言えなかった。
特開2006−277997号公報 特開2004−179158号公報 特許第4615339号公報
本発明の目的の一つは、リチウム電池に適用することで、高出力かつ高容量を有するリチウム電池とし得る電極複合体を製造し得る電極複合体の製造方法、および、かかる電極複合体を備え、高出力かつ高容量を有するリチウム電池を製造し得るリチウム電池の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電極複合体の製造方法は、リチウム複酸化物を含む粒子状をなす活物質粒子を加熱することで、複数の前記活物質粒子を連結させて、連通孔を備える多孔質体からなる活物質成形体を成形する第1の工程と、
前記活物質成形体の連通孔の内部を含む前記活物質成形体の表面に、無機固体電解質の形成材料を含む液状材料を塗布した後に加熱して、固体電解質層を形成して複合体を得る第2の工程と、
前記複合体を圧縮して再成形する第3の工程と、
前記複合体の一方の面に、前記活物質成形体に接するように集電体を接合する第4の工程とを有することを特徴とする。
このような工程を経て製造される電極複合体をリチウム電池に適用することで、得られるリチウム電池は、高出力かつ高容量を有するものとなる。
本発明の電極複合体の製造方法では、前記第1の工程において、複数の前記活物質粒子と複数の前記貴金属粒子との混合物を圧縮して成形した後、加熱することにより、前記活物質成形体を得ることが好ましい。
これにより、多孔質体からなる活物質成形体を得ることができる。
本発明の電極複合体の製造方法では、前記第1の工程において、複数の前記活物質粒子と複数の前記貴金属粒子との混合物を水中に分散させたスラリーを加熱することにより、前記活物質成形体を得ることが好ましい。
これにより、多孔質体からなる活物質成形体を得ることができる。
本発明の電極複合体の製造方法では、前記第3の工程において、前記複合体を圧縮する圧力は、10N/mm以上1000N/mm以下であることが好ましい。
前記下限値未満であると、上記空隙を減少させて、固体電解質層を構成する粒状体の配置を密なものにすることが困難となるおそれがある。また、前記上限値を超えると、複合体が破損するおそれがある。
本発明の電極複合体の製造方法では、前記第3の工程において、前記複合体を圧縮する際に、前記複合体を加熱することが好ましい。
これにより、活物質成形体を形成する活物質粒子同士を連結する連結力を低減させて、活物質粒子同士を確実に滑らせ、複合体に残存する空隙を確実に収縮させることができる。
本発明の電極複合体の製造方法では、前記複合体を加熱する温度は、前記第1の工程において前記活物質粒子を加熱する際の温度よりも低く設定されることが好ましい。
これにより、活物質成形体と固体電解質層との界面において、それぞれを構成する元素の相互拡散による固相反応が生じ、電気化学的に不活性な副生物が生成することを抑制することができる。
本発明の電極複合体の製造方法では、前記リチウム複酸化物は、LiCoOであることが好ましい。
これにより、活物質粒子同士を焼結させて一体化された活物質成形体をより確実に得ることができる。
本発明の電極複合体の製造方法では、前記無機固体電解質は、Li0.35La0.55TiOであることが好ましい。
Li0.35La0.55TiOで構成される無機固体電解質であれば、前駆体から確実に生成することができる。
本発明のリチウム電池の製造方法は、リチウム複酸化物を含む粒子状をなす活物質粒子を加熱することで、複数の前記活物質粒子を連結させて、連通孔を備える多孔質体からなる活物質成形体を成形する第1の工程と、
前記活物質成形体の連通孔の内部を含む前記活物質成形体の表面に、無機固体電解質の形成材料を含む液状材料を塗布した後に加熱して、固体電解質層を形成して複合体を得る第2の工程と、
前記複合体を圧縮して再成形する第3の工程と、
前記複合体の一方の面に、前記活物質成形体に接するように集電体を接合する第4の工程と、
前記複合体の他方の面に、前記固体電解質層と接合するように電極を設ける第5の工程とを有する。
このような工程を経て製造されるリチウム電池は、高出力かつ高容量を有するものとなる。
本発明のリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池の第1実施形態を示す縦断面図である。 図1に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。 本発明のリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池の第2実施形態を示す縦断面図である。 本発明のリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池の第3実施形態を示す縦断面図である。 本発明のリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池の第4実施形態を示す縦断面図である。
以下、本発明の電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、以下では、まず、本発明のリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池ついて説明する。
<リチウム二次電池>
<<第1実施形態>>
図1は、本発明のリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池の第1実施形態を示す縦断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図1においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率等は適宜異ならせて記載してある。
リチウム二次電池100は、電極複合体10と、電極複合体10上に接合された電極20とを有している。このリチウム二次電池100は、いわゆる全固体型リチウム(イオン)二次電池である。
電極複合体10は、図1に示すように、集電体1と、活物質成形体2と、固体電解質層3と、を備えている。なお、以下では、活物質成形体2と固体電解質層3とを合わせた構成を、複合体4と称することとする。この複合体4は、集電体1と電極20との間に位置して、対向する一対の面4a、4bにおいて、これらに対して互いに接合している。
集電体1は、電池反応により生成された電流を取り出すための電極であり、複合体4の一面4aにおいて固体電解質層3から露出する活物質成形体2に接して設けられている。
この集電体1は、後述する活物質成形体2が正極活物質で構成される場合、正極として機能し、活物質成形体2が負極活物質で構成される場合、負極として機能する。
また、集電体1の形成材料(構成材料)としては、例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)からなる群から選ばれる1種の金属(金属単体)や、この群から選ばれる2種以上の金属元素を含む合金等が挙げられる。
集電体1の形状は、特に限定されず、例えば、板状、箔状、網状等をなすものが挙げられる。また、集電体1の表面は、平滑なものであってもよく、凹凸が形成されていてもよい。
活物質成形体2は、リチウム複酸化物を含有する粒子状をなす活物質粒子21を含み、複数の活物質粒子21同士が3次元的に連結して形成された多孔質の成形体である。
この多孔質の成形体で構成される活物質成形体2が有する複数の細孔は、活物質成形体2の内部で互いに網目状に連通した連通孔を形成している。すなわち、活物質成形体2は、連通孔からなる空隙を備える多孔質体で構成される。
この活物質成形体2(活物質粒子21)は、リチウム複酸化物を含む無機物の電極活物質を形成材料(構成材料)として含有しており、この形成材料の種類を適宜選択することにより、集電体1は、正極にも負極にもなり得る。
集電体1を正極とする場合、この活物質成形体2の形成材料には、例えば、正極活物質として公知のリチウム複酸化物を用いることができる。
なお、本明細書において「リチウム複酸化物」とは、リチウムを必ず含み、かつ全体として2種以上の金属イオンを含む酸化物であって、オキソ酸イオンの存在が認められないものを言う。
このようなリチウム複酸化物としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMn、LiFePO、LiFeP、LiMnPO、LiFeBO、Li(PO、LiCuO、LiFeF、LiFeSiO、LiMnSiO等が挙げられる。また、本明細書においては、これらのリチウム複酸化物の結晶内の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体もリチウム複酸化物に含むものとし、これら固溶体も正極活物質として用いることができる。
さらに、集電体1を負極とする場合、活物質成形体2の形成材料には、例えば、負極活物質として、LiTi12、LiTi等のリチウム複酸化物を用いることができる。
このようなリチウム複酸化物を含むことで、活物質粒子21は、複数の活物質粒子21同士で電子の受け渡しを行い、活物質粒子21と固体電解質層3との間でリチウムイオンの受け渡しを行い、活物質成形体2としての機能を発揮する。
活物質粒子21の平均粒径は、300nm以上5μm以下が好ましく、450nm以上3μm以下がより好ましく、500nm以上1μm以下がさらに好ましい。このような平均粒径の活物質を用いると、得られる活物質成形体2の空隙率を、後述するような範囲内に設定することができる。これにより、活物質成形体2の細孔内の表面積を広げ、かつ活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積を広げやすくなり、電極複合体10を用いたリチウム電池を高容量にしやすくなる。
活物質粒子21の平均粒径が前記下限値未満であると、下記液状体の種類によっては、形成される活物質成形体の細孔の半径が数十nmの微小なものになり易く、後述するリチウム二次電池の製造方法において細孔の内部に無機固体電解質の前駆体を含む液状体を浸入させることが困難となり、その結果、細孔の内部の表面に接する固体電解質層3を形成しにくくなるおそれがある。
また、活物質粒子21の平均粒径が前記上限値を超えると、形成される活物質成形体2の単位質量当たりの表面積である比表面積が小さくなり、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積が小さくなる。そのため、リチウム二次電池100において、充分な出力が得られなくなるおそれがある。また、活物質粒子21の内部から固体電解質層3までのイオン拡散距離が長くなるため、活物質粒子21において中心付近のリチウム複酸化物は電池の機能に寄与しにくくなるおそれがある。
なお、活物質粒子21の平均粒径は、例えば、活物質粒子21をn−オクタノールに0.1質量%〜10質量%の範囲の濃度となるように分散させた後、光散乱式粒度分布測定装置(日機装社製、ナノトラックUPA−EX250)を用いて、メジアン径を求めることにより測定することができる。
また、活物質成形体2は、その空隙率が10%以上50%以下であることが好ましく、30%以上50%以下であることがより好ましい。活物質成形体2がこのような空隙率を有することにより、活物質成形体2の細孔内の表面積を広げ、かつ活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積を広げやすくなり、電極複合体10を用いたリチウム電池を高容量にしやすくなる。
空隙率は、例えば、(1)活物質成形体2の外形寸法から得られる、細孔を含めた活物質成形体2の体積(見かけ体積)と、(2)活物質成形体2の質量と、(3)活物質成形体2を構成する活物質の密度とから下記の式(I)に基づいて測定することができる。
Figure 2016072078
また、詳しくは後述するが、活物質成形体2の空隙率は、活物質成形体2を形成する工程において、粒子状の有機物で構成される造孔材を用いることで制御可能である。
固体電解質層(第1の固体電解質層)3は、固体電解質を形成材料(構成材料)とし、活物質成形体2の細孔(空隙)内を含む活物質成形体2の表面に接して設けられている。
固体電解質としては、SiO−P−LiO、SiO−P−LiCl、LiO−LiCl−B、Li3.40.6Si0.4、Li14ZnGe16、Li3.60.4Ge0.6、Li1.3Ti1.7Al0.3(PO、Li2.88PO3.730.14、LiNbO、Li0.35La0.55TiO、LiLaZr12、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−P、LiPON、LiN、LiI、LiI−CaI、LiI−CaO、LiAlCl、LiAlF、LiI−Al、LiF−Al、LiBr−Al、LiO−TiO、La−LiO−TiO、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiN−LiCl、LiNBr、LiSO、LiSiO、LiPO−LiSiO、LiGeO−LiVO、LiSiO−LiVO、LiGeO−ZnGeO、LiSiO−LiMoO、LiSiO−LiZrO等の酸化物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物が挙げられる。なお、固体電解質は、結晶質であっても非晶質(アモルファス)であってもよい。また、本明細書においては、これらの組成物の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体も、固体電解質として用いることができる。
この固体電解質層3の構成材料である固体電解質は、後述するリチウム二次電池の製造法で説明するように、固体電解質の前駆体を焼成(加熱)することにより生成される。この焼成の際に、生成された固体電解質は、その一次粒子が造粒することで形成された二次粒子からなる粒状体31を構成する。そのため、固体電解質層3は、活物質成形体2の空隙内を含む活物質成形体2の表面に接して設けられるが、かかる粒状体31の集合体で構成されることから、固体電解質層3も、活物質成形体2と同様に、多孔質体で構成される。すなわち、複合体4は、活物質粒子21と粒状体31とを備える微結晶体で構成される。したがって、活物質成形体2の空隙内を充填するように固体電解質層3が形成されるが、この充填によっても、前記空隙の一部は残存する。さらに、複合体4を圧縮して再成形することで、空隙を収縮させるがこの収縮によっても、活物質成形体2および固体電解質層3は、それぞれ、粒状をなす活物質粒子21および粒状体31の集合体で構成されるため、若干の空隙が複合体4に残存する。すなわち、本実施形態では、活物質成形体2と固体電解質層3とを備える複合体4は、空隙を備えるものとなっている。
固体電解質層3のイオン伝導率は、5×10−5S/cm以上であることが好ましく、1×10−5S/cm以上であることがより好ましい。固体電解質層3がこのようなイオン伝導率を有することにより、活物質成形体2の表面から離れた位置の固体電解質層3に含まれるイオンも、活物質成形体2の表面に達し、活物質成形体2における電池反応に寄与することが可能となる。そのため、活物質成形体2における活物質の利用率が向上し、容量を大きくすることができる。このとき、イオン伝導率が前記下限値未満であると、固体電解質層3の種類によっては、活物質成形体2において対極と相対する面の表層近辺の活物質しか電池反応に寄与せず、容量が低下するおそれがある。
なお、「固体電解質層3のイオン伝導率」とは、固体電解質層3を構成する上述の無機電解質自身の伝導率である「バルク伝導率」と、無機電解質が結晶質である場合における結晶の粒子間の伝導率である「粒界イオン伝導率」と、の総和である「総イオン伝導率」のことを言う。
なお、固体電解質層3のイオン伝導率は、例えば、固体電解質粉末を624MPaで錠剤型にプレス成型したものを大気雰囲気下700℃で8時間焼結し、スパッタリングにより直径0.5cm、厚み100nmのプラチナ電極をプレス成型体両面に形成して交流インピーダンス法を実施することにより測定することができる。測定装置には、例えば、インピーダンスアナライザ(ソーラトロン社製、型番SI1260)を用いる。
また、詳しくは後述するが、複合体4の一面4aは、好ましくは、製造時に研磨加工された研磨面となっており、固体電解質層3から活物質成形体2が露出している。そのため、このような研磨加工を施した場合、一面4aには、研磨加工の痕跡である擦過痕(研磨痕)が残されている。
なお、本実施形態の電極複合体10は、活物質成形体2を成形する際に、活物質同士をつなぎ合わせるバインダーや、活物質成形体2の導電性を担保するための導電助剤などの有機物を用いることなく成形されており、ほぼ無機物のみで構成されている。具体的には、本実施形態の電極複合体10においては、複合体4(活物質成形体2および固体電解質層3)を400℃で30分加熱した時の質量減少率が、5質量%以下となっている。質量減少率は、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、質量減少が観測されない、または誤差範囲であることが特に好ましい。すなわち、複合体4を400℃で30分加熱した時の質量減少率は0質量%以上であるとよい。複合体4がこのような質量減少率を有するため、複合体4には、所定の加熱条件で蒸発する溶媒や吸着水等の物質や、所定の加熱条件で燃焼または酸化されて気化する有機物が、構成全体に対して5質量%以下しか含まれないこととなる。
なお、複合体4の質量減少率は、示差熱−熱重量同時測定装置(TG−DTA)を用い、複合体4を所定の加熱条件で加熱することで、所定の加熱条件による加熱後の複合体4の質量を測定し、加熱前の質量と加熱後の質量との比から算出することができる。
本実施形態の電極複合体10においては、活物質成形体2において、複数の細孔が内部で網目状に連通する連通孔を構成しており、活物質成形体2の固体部分も網目構造を形成している。例えば、正極活物質であるLiCoOは、結晶の電子伝導性に異方性があることが知られている。そのため、LiCoOを形成材料として活物質成形体を形成しようとすると、細孔を機械加工で形成するような、特定の方向に細孔が延在して設けられているような構成では、結晶の電子伝導性を示す方向によっては、内部で電子伝導しにくいことが考えられる。しかしながら、活物質成形体2のように細孔が網目状に連通し、活物質成形体2の固体部分が網目構造を有していると、結晶の電子伝導性またはイオン伝導性の異方性によらず、電気化学的に滑性な連続表面を形成することができる。そのため、用いる活物質の種類によらず、良好な電子伝導を担保することができる。
また、本実施形態の電極複合体10においては、複合体4が上述のような構成であるため、複合体4に含まれるバインダーや導電助剤の添加量が抑制されており、バインダーや導電助剤を用いる場合と比べて、電極複合体10の単位体積あたりの容量密度が向上する。
また、本実施形態の電極複合体10(複合体4)においては、多孔質の活物質成形体2の細孔内の表面にも固体電解質層3が接している。そのため、活物質成形体2が多孔質体ではない場合や、細孔内において固体電解質層3が形成されていない場合と比べ、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積が大きくなり、界面インピーダンスを低減させることができる。したがって、活物質成形体2と固体電解質層3との界面において良好な電荷移動が可能となる。
さらに、本実施形態の電極複合体10においては、集電体1は、複合体4の一面に露出する活物質成形体2と接触しているのに対し、固体電解質層3は、多孔質の活物質成形体2の細孔内にまで侵入し、細孔内を含み集電体1と接する面以外の活物質成形体2の表面と接している。このような構造の電極複合体10では、集電体1と活物質成形体2との接触面積(第1の接触面積)よりも、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積(第2の接触面積)のほうが大きいことは明らかである。
ここで、仮に、電極複合体が第1の接触面積と第2の接触面積とが同じ構成であると、集電体1と活物質成形体2との界面のほうが、活物質成形体2と固体電解質層3との界面よりも電荷移動が容易であるため、活物質成形体2と固体電解質層3との界面が電荷移動のボトルネックとなる。そのため、電極複合体全体としては良好な電荷移動を阻害してしまう。しかしながら、本実施形態の電極複合体10では、第1の接触面積よりも、第2の接触面積のほうが大きいことにより、上述のボトルネックを解消しやすく、電極複合体全体として良好な電荷移動が可能となる。
これらのことから、以下で説明する本実施形態の製造方法で製造された、上述した構成をなす電極複合体10は、電極複合体10を用いたリチウム電池の容量を向上させ、かつ高出力とすることができる。
また、このような活物質成形体2と固体電解質層3とを有する複合体4は、一面4aで、活物質成形体2と固体電解質層3との双方が露出し、他面4bで、固体電解質層3が単独で露出し、この状態で、一面4aに集電体1が接合され、他面4bに電極20が接合されている。かかる構成とすることで、リチウム二次電池100において、電極20と集電体1とが活物質成形体2を介して接続されるのを防止すること、すなわち短絡を防止することができる。すなわち、固体電解質層3は、リチウム二次電池100における短絡の発生を防止する短絡防止層としての機能をも発揮する。
電極20は、複合体4の集電体1とは反対側の他面(他方の面)4bに、活物質成形体2に接することなく固体電解質層3に接して設けられている。
この電極20は、活物質成形体2が正極活物質で構成される場合、負極として機能し、活物質成形体2が負極活物質で構成される場合、正極として機能する。
この電極20の形成材料(構成材料)としては、電極20が負極の場合、例えば、リチウム(Li)が挙げられ、電極20が正極の場合、例えば、アルミニウム(Al)が挙げられる。
電極20の厚さは、特に限定されないが、例えば、1μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
[リチウム二次電池の製造方法]
次に、図1に示す、第1実施形態のリチウム二次電池100の製造方法(本発明のリチウム電池の製造方法)について説明する。
図2〜6は、図1に示すリチウム二次電池の製造方法を説明するための図である。なお、以下では、説明の便宜上、図2〜6の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図2〜6においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率等は適宜異ならせて記載してある。
[1]まず、複数の粒子状をなす活物質粒子21を加熱することで、これらを3次元的に連結させて、多孔質体からなる活物質成形体2を得る(第1の工程)。
この活物質成形体2は、例えば、図2に示すように、形成すべき活物質成形体2の形状に対応した空間を備える成形型Fを用いて複数の活物質粒子21の混合物を圧縮して成形し(図2(a)参照)、その後、得られた圧縮成形物を熱処理することにより得ることができる(図2(b)参照)。
この熱処理は、850℃以上であって、用いるリチウム複酸化物の融点未満の処理温度で行うことが好ましい。これにより、活物質粒子21同士を焼結させて一体化された成形体を確実に得ることができる。このような温度範囲で熱処理を行うことにより、導電助剤を添加しなくても、得られる活物質成形体2の抵抗率を好ましくは700Ω以下とすることができる。これにより、得られるリチウム二次電池100は、充分な出力を備えるものとなる。
このとき、処理温度が850℃未満であると、用いるリチウム複酸化物の種類によっては、充分に焼結が進行しないばかりか、活物質の結晶内の電子伝導性自体が低下するため、得られるリチウム二次電池100に、所望の出力が得られなくなるおそれがある。
また、処理温度がリチウム複酸化物の融点を上回ると、リチウム複酸化物の結晶内からリチウムイオンが過剰に揮発し、リチウム複酸化物の電子伝導性が低下することに起因して、得られる電極複合体10の容量が低下するおそれがある。
したがって、適切な出力と容量を得るためには上記処理温度が850℃以上リチウム複酸化物の融点未満であることが好ましく、875℃以上1000℃以下であることがより好ましく、900℃以上920℃以下であることがさらに好ましい。
また本工程の熱処理は、5分以上36時間以下行うことが好ましく、4時間以上14時間以下行うことがより好ましい。
上記のような熱処理を施すことで、活物質粒子21内の粒界の成長や、活物質粒子21間の焼結が進行するため、得られる活物質成形体2が形状を保持しやすくなり、活物質成形体2のバインダーの添加量を低減することができる。また、焼結により活物質粒子21間に結合が形成され、活物質粒子21間の電子の移動経路が形成されるため、導電助剤の添加量も抑制できる。
なお、活物質粒子21の形成材料としては、LiCoOを好適に用いることができる。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。すなわち、活物質粒子21同士を焼結させて一体化された活物質成形体2をより確実に得ることができる。
また、得られる活物質成形体2は、活物質成形体2が有する複数の細孔が、活物質成形体2の内部で互いに網目状に連通した連通孔で構成されたものとなる。
また、活物質粒子21の形成に用いる形成材料には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリビニルアルコール(PVA)などの有機高分子化合物をバインダーとして添加してもよい。これらのバインダーは、本工程の熱処理において、燃焼または酸化され、量が低減する。
また、用いる形成材料には、圧粉成形時に細孔の鋳型として高分子や炭素粉末を形成材料とする粒子状の造孔材を添加することが好ましい。これらの造孔材が混入することにより、活物質成形体の空隙率を制御することが容易となる。このような造孔材は、熱処理時に燃焼や酸化により分解除去され、得られる活物質成形体では量が低減する。
造孔材の平均粒径は、好ましくは0.5μm〜10μmである。
さらに、造孔材は、潮解性を有する物質を形成材料とする粒子(第1粒子)を含むと好ましい。第1粒子が潮解することにより第1粒子の周囲に生じる水が、粒子状のリチウム複酸化物をつなぎ合わせるバインダーとして機能するため、粒子状のリチウム複酸化物を圧縮成形して熱処理するまでの間、形状を維持することが可能となる。そのため、他のバインダーを添加することなく、またはバインダーの添加量を低減させながら活物質成形体を得ることができ、容易に高容量な電極複合体とすることができる。
このような第1粒子としては、ポリアクリル酸を形成材料とする粒子を挙げることができる。
また、造孔材は、潮解性を有さない物質を形成材料とする粒子(第2粒子)をさらに含むと好ましい。このような第2粒子を含む造孔材は、取り扱いが容易となる。また、造孔材が潮解性を有すると、造孔材の周囲の水分量に応じて、活物質成形体の空隙率が所望の設定値から乖離することがあるが、造孔材として潮解しない第2粒子を同時に含むことで、空隙率の乖離を抑制することが可能となる。
なお、活物質成形体2は、上述したように、活物質粒子21を圧縮して成形した後、加熱することで得る方法の他、活物質粒子21を含有するスラリーを加熱する方法を用いて得るようにしてもよい。
すなわち、スラリーを用いた方法では、活物質粒子21を含有するスラリーを調製する調製工程と、スラリーを加熱して活物質成形体2を得る乾燥工程とを有する。以下、これらの工程について説明する。
[1−1] まず、溶媒中にバインダーを溶解させ、そこに活物質粒子21を分散させスラリー26を調製する。なお、スラリー26中には、オレイルアミンのような分散剤が含まれていてもよい。
その後、凹部F25を備える底部F21と蓋部F22とを有する成形型F2を用意し、底部F21の凹部F25に、スラリー26を滴下した後、底部F21を蓋部F22で蓋をする(図6参照。)。
また、スラリー26中における活物質粒子21の合計の含有量は、10wt%以上60wt%以下であるのが好ましく、30wt%以上50wt%以下であるのがより好ましい。これにより、次工程[1−2]において、充填率の高い活物質成形体2が得られることとなる。
さらに、バインダーとしては、特に限定されないが、ポリカーボネートの他、セルロース系バインダー、アクリル系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリビニルブチラール系バインダー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、溶媒としては、特に限定されないが、例えば、非プロトン性の溶媒であることが好ましい、これにより、溶媒との接触による活物質粒子21の劣化を低減することができる。
このような非プロトン性溶媒としては、具体的には、例えば、ブタノール、エタノール、プロパノール、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等が挙げられ、この単溶媒または混合溶媒を溶媒として使用することができる。
[1−2] 次に、活物質粒子21を含有するスラリー26を加熱することにより、スラリー26を乾燥させるとともに、スラリー26中に含まれる活物質粒子21同士を焼結させることで、活物質成形体2を得る。
なお、活物質粒子21を含有するスラリー26を加熱する方法としては、特に限定されないが、例えば、スラリー26をスプレードライヤー等により噴霧乾燥することで加熱する方法等が挙げられる。
また、スラリー26を加熱する際の加熱温度は、前述した圧縮成形物を熱処理する際の条件と同様に設定される。
さらに、このスラリー26の加熱は、段階的に温度条件が上昇する多段階で行うことが好ましく、具体的には、室温で乾燥させた後、室温から300℃まで2時間、350℃まで0.5時間、1000℃まで2時間を掛けて昇温させ、その後、凹部F25を蓋部F22で蓋をし1000℃、8時間で焼成することが好ましい。このような条件で昇温することで、溶媒中に含まれるバインダーを確実に焼き飛ばすことができる。
以上のような工程を経ることによっても、活物質成形体2を得ることができる。
[2]次いで、図3に示すように、活物質成形体2の細孔の内部を含む活物質成形体2の表面に、固体電解質の前駆体を含む液状体3Xを塗布し(図3(a))、その後、焼成することで前駆体を無機固体電解質として、固体電解質層3を形成する(図3(b);第2の工程)。
これにより、活物質成形体2と固体電解質層3とを備える複合体4が形成される。
液状体3Xは、前駆体の他に、前駆体を可溶な溶媒を含んでもよい。液状体3Xが溶媒を含む場合には、液状体3Xの塗布後、焼成の前に、適宜溶媒を除去するとよい。溶媒の除去は、加熱、減圧、送風など通常知られた方法の1種、または2種以上を組み合わせた方法を採用することができる。
このように、流動性を有する液状体3Xを塗布して固体電解質層3を形成することから、微細な活物質成形体2の細孔の内部表面にも固体電解質層3が形成される。そのため、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積を拡大しやすく、活物質成形体2と固体電解質層3との界面の電流密度が低減され、その結果、リチウム二次電池100の高出力化が図られる。
また、本工程において、固体電解質は、固体電解質の前駆体を焼成(加熱)することにより生成され、この焼成の際に、生成された固体電解質は、その一次粒子が造粒することで形成された二次粒子からなる粒状体31を形成する。したがって、固体電解質層3は、微細な活物質成形体2の細孔(空隙)の内部にも形成されるが、かかる粒状体31の集合体として設けられる。そのため、固体電解質層3も、活物質成形体2と同様に、多孔質体として形成される。よって、活物質成形体2の空隙内を充填するように固体電解質層3が形成されるが、この充填によっても、前記空隙の一部は残存する。すなわち、本実施形態では、活物質成形体2と固体電解質層3とを有する複合体4は、空隙を備えるものとして形成される。
液状体3Xの塗布は、活物質成形体2の細孔の内部にまで液状体3Xが浸透する方法であれば、種々の方法により行うことができる。例えば、活物質成形体2を載置しておいたところに液状体3Xを滴下することで行ってもよく、液状体3Xを貯留しているところに活物質成形体2を浸漬させることで行ってもよく、液状体3Xを貯留しているところに活物質成形体2の端部を接触させ、毛管現象を利用して細孔内に含浸させることで行ってもよい。図3(a)では、上記のうち、ディスペンサーDを用いて液状体3Xを滴下する方法を示している。
また、固体電解質の前駆体としては、例えば、以下の(A)(B)(C)が挙げられる。
(A)無機固体電解質が有する金属原子を無機固体電解質の組成式に従った割合で含み、酸化により無機固体電解質となる塩を有する組成物
(B)無機固体電解質が有する金属原子を無機固体電解質の組成式に従った割合で含む金属アルコキシドを有する組成物
(C)無機固体電解質微粒子、または無機固体電解質が有する金属原子を無機固体電解質の組成式に従った割合で含む微粒子ゾルを溶媒、または(A)もしくは(B)に分散させた分散液
なお、(A)に含まれる塩には、金属錯体を含む。また、(B)は、いわゆるゾルゲル法を用いて無機固体電解質を形成する場合の前駆体である。
前駆体の焼成は、大気雰囲気下、上述した活物質成形体2を得るための熱処理よりも低い温度で行う。具体的には、焼成温度は、300℃以上700℃以下の温度範囲で行うとよい。焼成により前駆体から無機固体電解質が生成され、固体電解質層3が形成される。なお、固体電解質層の形成材料としては、Li0.35La0.55TiOを好適に用いることができる。
このような温度範囲で焼成することにより、活物質成形体2と固体電解質層3との界面において、それぞれを構成する元素の相互拡散による固相反応が生じ、電気化学的に不活性な副生物が生成することを抑制することができる。また、無機固体電解質の結晶性が向上し、固体電解質層3のイオン電導性を向上させることができる。加えて、活物質成形体2と固体電解質層3との界面において、焼結する部分が生じ、界面における電荷移動が容易となる。これにより、電極複合体10を用いたリチウム電池の容量や出力が向上する。
なお、焼成は、1度の熱処理で行うこととしてもよく、前駆体を前記多孔質体の表面に被着させる第1の熱処理と、第1の熱処理の処理温度以上700℃以下の温度条件で加熱する第2の熱処理と、に分けて行うこととしてもよい。このような段階的な熱処理で焼成を行うことにより、固体電解質層3を所望の位置に容易に形成することができる。
[3]次いで、複合体4を圧縮することで再成形する(第3の工程)。
この複合体4の圧縮は、例えば、図4(b)に示すように、前記工程[1]で用いた成形型Fが備える空間内に複合体4を収納した状態で、この空間の体積を収縮させる方法が挙げられる。
ここで、前述のように、活物質成形体2と固体電解質層3とを有する複合体4は、空隙を備えるものとして形成されるが、かかる複合体4において、活物質成形体2および固体電解質層3は、それぞれ、粒状をなす活物質粒子21および粒状体31の集合体で構成される。特に、固体電解質層3は、活物質成形体2が備える空隙内に液状体3Xを供給した後、この液状体3Xを加熱することにより形成される。そのため、固体電解質層3において、粒状体31同士は、点接触で接触している。また、活物質成形体2と固体電解質層3との界面における、活物質粒子21と粒状体31との接触も点接触となっている。したがって、空隙内に固体電解質層3が設けられ、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積が拡大することで、リチウム二次電池100の高出力化が図られているものの、空隙内における粒状体31同士の接触および活物質成形体2と固体電解質層3との界面における活物質粒子21と粒状体31との接触が点接触であることに起因して、これらにおけるリチウムイオン伝導性が優れたものであるとは言えず、その結果、リチウム二次電池100の高出力化が十分に図られているとは言えなかった。
これに対して、本発明では、複合体4を圧縮して再成形することで、複合体4に残存する空隙を収縮させる。なお、複合体4の圧縮の際、空隙内で粒状体31が点接触していること、また、一般的に粒状体31と活物質粒子21とのバルクでは粒状体31の方が硬いことに起因して、活物質成形体2を形成する活物質粒子21同士が滑ることで、複合体4が再成形される。そのため、空隙が収縮して、空隙内に充填されている粒状体31が位置する空間が小さくなることから、活物質粒子21と粒状体31とが接触する接触面積および粒状体31同士が接触する接触面積の双方が拡大する。その結果、活物質粒子21と粒状体31との間、および、粒状体31同士間のリチウムイオン伝導性が優れたものとなるため、リチウム二次電池100のさらなる高出力化が図られる。
なお、複合体4を再成形することで、複合体4に残存する空隙を収縮させることができるが、この収縮によっても、活物質成形体2および固体電解質層3は、それぞれ、粒状をなす活物質粒子21および粒状体31の集合体で構成されるため、若干の空隙が複合体4に残存する。
複合体4を圧縮する圧力は、10N/mm以上1000N/mm以下であることが好ましく、50N/mm以上500N/mm以下であることがより好ましく、100N/mm以上400N/mm以下であることがさらに好ましい。前記下限値未満であると、上記空隙を減少させて、粒状体31の配置を密なものにすることが困難となるおそれがある。また、前記上限値を超えると、複合体4が破損するおそれがある。
また、複合体4を圧縮する時間は、1秒以上600秒以下であることが好ましく、30秒以上600秒以下であることがより好ましく、30秒以上180秒以下であることがさらに好ましい。複合体4を圧縮する時間が前記下限値未満である場合、複合体4を均一に加圧することが困難となり、複合体4の全体に亘って、粒状体31同士の接触面積を拡大することができないおそれがある。また、前記上限値を超える場合、本工程に要する時間が不必要に長くなり、製造効率の低下を招くおそれがある。
さらに、複合体4を圧縮する際には、複合体4を加熱することが好ましい。これにより、活物質成形体2を形成する活物質粒子21同士を連結する連結力を低減させて、活物質粒子21同士を確実に滑らせ、複合体4に残存する空隙を確実に収縮させることができる。
この複合体4を加熱する温度は、前記工程[2]において液状体3Xを加熱する温度と同様の範囲内に設定される。すなわち、大気雰囲気下、前記工程[1]における活物質成形体2を得るための熱処理よりも低い温度で行うことが好ましく、具体的には、焼成温度は、300℃以上700℃以下の温度範囲で行うことがより好ましい。これにより、活物質成形体2と固体電解質層3との界面において、それぞれを構成する元素の相互拡散による固相反応が生じ、電気化学的に不活性な副生物が生成されることを抑制することができる。
また、この複合体4の加熱は、I)複合体4の圧縮と同時であってもよいし、II)複合体4の圧縮に先立って行うようにしてもよいし、III)複合体4の圧縮の後に行うようにしてもよい。さらには、これらを組み合わせて行うようにしても良いが、I)とII)との組み合わせであることが好ましい。これにより、活物質粒子21同士が連結する連結部位にクラック等を生じさせることなく、活物質粒子21同士を確実に滑らせて、複合体4に残存する空隙を収縮させることができる。
さらに、I)〜III)の組み合わせとする場合、I)、II)、III)における加熱温度を、それぞれ、I、II、III[℃]としたとき、I≧II>IIIなる関係を満足することが好ましい。これにより、活物質粒子21同士が連結する連結部位にクラック等を生じさせることなく、活物質粒子21同士を確実に滑らせて、複合体4に残存する空隙を収縮させることができる。また、滑らせた活物質粒子21同士を確実に連結させることができる。すなわち、再成形された活物質成形体2の強度の向上が図られる。
なお、(B)、(C)の熱処理を施す場合、その熱処理の時間は、それぞれ、5分以上36時間以下で行うことが好ましく、4時間以上14時間以下で行うことがより好ましい。
[4]次いで、複合体4の一面4aを研削・研磨することで、この一面4aから、活物質成形体2と固体電解質層3との双方を露出させる(図4(b)参照)。
なお、この場合、一面4aには、研削・研磨加工の痕跡である擦過痕(研削・研磨痕)が残される。
なお、前記工程[2]において、複合体4を形成した際に、一面4aから活物質成形体2と固体電解質層3との双方が露出することがある。この場合は、複合体4の一面4aにおける研削・研磨、すなわち本工程[4]を省略することもできる。
また、本工程[4]は、前記工程[3]に先立って行うようにしてもよい。
[5]次いで、図5(a)に示すように、複合体4の一面(一方の面)4aにおいて集電体1を接合する(第4の工程)。
これにより、活物質成形体2と固体電解質層3と集電体1とを備える電極複合体10が形成される。
集電体1の接合は、別体として形成した集電体を複合体4の一面4aに接合することによって行ってもよく、複合体4の一面4aに上述した集電体1の形成材料を成膜し、複合体4の一面4aにおいて集電体1を形成することとしてもよい。
なお、集電体1の成膜方法は、各種の物理気相成長法(PVD)および化学気相成長法(CVD)を用いることができる。
なお、上記のような工程[1]〜[5]により、電極複合体10を製造する本発明の電極複合体の製造方法が構成される。
[6]次いで、図5(b)に示すように、複合体4の他面(他方の面)4bにおいて電極20を接合する。
電極20の接合は、別体として形成した電極を複合体4の他面4bに接合することによって行ってもよく、複合体4の他面4bに上述した電極20の形成材料を成膜し、複合体4の他面4bにおいて電極20を形成することとしてもよい。
なお、電極20の成膜方法は、前記工程[5]において、集電体1の成膜方法であげたのと同様の方法を用いることができる。
以上のような工程を経ることで、リチウム二次電池100が製造される。
<<第2実施形態>>
次に、本発明のリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明のリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池の第2実施形態を示す縦断面図である。
以下、第2実施形態におけるリチウム二次電池100Aについて、前記第1実施形態におけるリチウム二次電池100との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図7に示すリチウム二次電池100Aは、集電体1と電極20との間に、複合体4とは構成が異なる複合体4Aが集電体1と電極20とに接合して設けられていること以外は、図1に示すリチウム二次電池100と同様である。
すなわち、第2実施形態のリチウム二次電池100Aにおいて、複合体4Aは、空隙を備える多孔質体で構成される活物質成形体2と、活物質成形体2の空隙内を含む活物質成形体2の表面に接して設けられた固体電解質層3と、固体電解質層3の形成により残存する空隙に充填された充填層30とを有している。換言すれば、複合体4Aは、前記第1実施形態の複合体4に残存している空隙に充填して設けられた充填層30を、さらに、有している。
この充填層(第2の固体電解質層)30は、リチウムイオンを伝導し、室温で非晶質(ガラス質、アモルファス)である固体電解質で形成されている。充填層30は、例えば、リチウムイオン伝導性を備える、SiまたはBを含むリチウム複酸化物により形成される。具体的には、充填層30は、Li2SiO3およびLi6SiO5の少なくとも一方を含んでもよい。
このような充填層30は、例えば、充填層30の流動性を備える前駆体溶液、すなわち、室温で非晶質である固体電解質の前駆体溶液を、残存する空隙に含浸させた後、加熱する方法を用いて形成することができる。
また、充填層30としては、室温で固体(非晶質)であり、前駆体を焼成する際の体積収縮が固体電解質層3よりも少ない材料を用いることが好ましい。また、充填層30は、固体電解質層3と同程度またはそれより低温で形成できるものであることが好ましい。これは、固体電解質層3と充填層30との相互拡散を抑制するためである。例えば固体電解質層3としてLi0.35La0.55TiOを、充填層30としてLiSiOを用いた場合を考える。この場合、固体電解質層3を形成する際の焼成温度は700℃程度であるが、充填層30を形成する際の形成温度が800℃を超えると、固体電解質層3と充填層30とで相互拡散が発生してしまうおそれがある。また、充填層30の前駆体としては固体電解質層3の前駆体と同様に(A)〜(C)いずれかのようにして用いればよい。これを溶媒(例えばアルコール系の化合物)で希釈して前駆体溶液を得る。この前駆体溶液を、残存する空隙に含浸させる。前駆体溶液を含浸させる方法は、固体電解質層3について説明したものと同様である。
また、空隙に充填された前駆体溶液を加熱する加熱温度としては、例えば、300℃以上450℃以下に設定される。
このような第2実施形態のリチウム二次電池100Aによっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
<<第3実施形態>>
次に、本発明のリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池の第3実施形態について説明する。
図8は、本発明のリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池の第3実施形態を示す縦断面図である。
以下、第3実施形態におけるリチウム二次電池100Bについて、前記第1実施形態におけるリチウム二次電池100との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図8に示すリチウム二次電池100Bは、集電体1と電極20との間に、複合体4とは構成が異なる複合体4Bが集電体1と電極20とに接合して設けられていること以外は、図1に示すリチウム二次電池100と同様である。
すなわち、第3実施形態のリチウム二次電池100Bにおいて、複合体4Bは、空隙を備える多孔質体で構成される活物質成形体2と、活物質成形体2の空隙内を含む活物質成形体2の表面に接して設けられた固体電解質層3と、固体電解質層3の形成により残存する空隙に充填された電解液36と、固体電解質層3と電極20との間にこれらの双方と接合する電解液含浸層35とを有している。換言すれば、複合体4Bは、前記第1実施形態の複合体4に残存している空隙に充填して設けられた電解液36と、複合体4と電極20との間に設けられた電解液含浸層35とを、さらに、有している。
この複合体4Bでは、複合体4と電極20との間に電解液含浸層35が設けられており、この電解液含浸層35から残存する空隙に電解液36が供給されることで充填される。これにより、空隙において、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積の低下を招き、活物質成形体2と固体電解質層3との間での抵抗が増大することに起因して、活物質成形体2と固体電解質層3との間におけるイオン伝導率が低下するのを確実に防止することができる。
また、通常、リチウム二次電池において充放電サイクルを繰り返すと、活物質成形体または固体電解質層の体積が変動する場合がある。これに対して、本実施形態では、例えば、体積が収縮して空隙が広がったとしても、電解液含浸層35からさらに電解液が浸み出し、空隙が電解液36で充填される。一方、体積が拡大して空隙が狭くなったとしても、空隙の電解液36が電解液含浸層35に浸み込まれる。このように、複合体4Bの空隙は体積変動を吸収する緩衝空間となり、電荷の伝導経路の確保につながる。すなわち、高出力の電池を得ることができる。
なお、電解液36(電解液含浸層中のイオン液体)は少量かつ不揮発性であるため、液漏れおよび燃焼の問題はない。
電解液含浸層35は、耐リチウム膜およびポリマーゲル電解質の供給元として機能する膜である。この電解液含浸層35は、リチウムイオンを伝導する電解液を含浸させたフィルムである。すなわち、電解液含浸層35は、支持体と、ポリマーゲル電解質(電解液)とを含む。
支持体は、電解液含浸層(PEGフィルム)35の構造を物理的に支えるためのものである。支持体は、不純物を析出せず、ポリマーゲル電解質等の他の材料と反応せず、イオン液体+Li塩+モノマーとの濡れ性が高いものが好ましい。不純物を析出したり化学反応を起こしてしまうと特性が変化してしまうおそれがある。また、濡れ性が悪いと支持体に高分子が均一に形成できないおそれがある。なお、支持体を用いずにポリマーゲル電解質中のポリマー成分の比率を上げて強度を改善することもできるが、ポリマー成分の比率を上げるとLiの伝導率の低下を招くので支持体を用いることが好ましい。支持体としては、例えば、長繊維セルロースや、疎水性のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が用いられる。
ポリマーゲル電解質は、Liに対して化学的に安定で、ゲル化して電解液を抱えることがきる特性を有することが要求される。通常のPEG(ポリエチレングリコール)系フ
ィルムは、還元を抑える耐リチウム還元層になり電池動作の確認はできる。しかし、PEGフィルムではイオン伝導度の改善が見込めず、電池としての実用的な出力は得られない。電池として実用的な出力を得るには、Liの伝導性の向上が必要である。そこで本実施形態では、電解液が揮発しないゲルポリマー電解質を用いている。
このような複合体4Bは、例えば、空隙が残存する活物質成形体2と固体電解質層3との複合体の一面に、電解液含浸層35を貼り付け、これにより、電解液含浸層35から電解液を空隙に供給させる方法を用いて形成することができる。
電解液含浸層35は、例えば、支持体(基材)に電解液およびモノマーを含む前駆体溶液を含浸させ、これを光重合させることにより作製する。電解液は、イオン液体およびリチウム塩を含む。イオン液体としては、例えばP13−TFSI(N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)が用いられる。リチウム塩としては、Li−TFSI(リチウムN,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)が用いられる。モノマーとしては、例えばポリエチレングリコールジアクリレート(TEGDA)が用いられる。以上の電解液に重合開始剤および炭酸エチレンを混合し、PGE作製溶液を得る。重合開始剤としては、例えばラジカル型光重合開始剤(例えば、BASF社製IRGACURE651、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)を用いる。重合開始剤は、例えば重量比で6:1の混合比率で混合される。炭酸エチレンは、SEI(Solid Electrolyte Interface)形成材料として用いられる。SEIは、Li電極表面を不活性化・安定化させる被膜である。SEIは電解液の還元的分解反応によって生成しており、最初のサイクルにおいて炭酸エチレンの分解反応で電荷が消費されることが確認されている。炭酸エチレンは、混合比率1で混合される。このPGE作製溶液を、支持体に含浸させる。支持体としては、例えば、MILLIPORE社製の疎水性PVDFメンブレンフィルターを用いる。PGE作製溶液を含浸させた支持体に所定の波長帯の光(例えば紫外光)を照射してモノマーを光重合させてポリマー化し、電解液含浸層35を得る。電解液含浸層35に含まれる電解液が、残存する空隙に充填されて電解液36として機能する。
この電解液含浸層35に含まれる電解液は、固体電解質(Li0.35La0.55TiO)への濡れ性が良好であり、固体電解質層3を伝わって残存する空隙内に浸み渡って行き、これにより、電解液36が空隙内に充填される。
このような第3実施形態のリチウム二次電池100Bによっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
<<第4実施形態>>
次に、本発明のリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池の第4実施形態について説明する。
図9は、本発明のリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池の第4実施形態を示す縦断面図である。
以下、第4実施形態におけるリチウム二次電池100Cについて、前記第1実施形態におけるリチウム二次電池100との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図9に示すリチウム二次電池100Cは、集電体1と電極20との間に、複合体4とは構成が異なる複合体4Cが集電体1と電極20とに接合して設けられていること以外は、図1に示すリチウム二次電池100と同様である。
すなわち、第4実施形態のリチウム二次電池100Cにおいて、複合体4Cは、活物質粒子21と貴金属粒子22とを有し、空隙を備える多孔質体で構成される活物質成形体2Cと、活物質成形体2Cの空隙内を含む活物質成形体2Cの表面に接して設けられた固体電解質層3とを有している。
換言すれば、複合体4Cは、前記第1実施形態の複合体4が備える活物質成形体2に代えて、活物質粒子21と、1000℃以上の融点を有する貴金属を含む粒子状をなす貴金属粒子22とを有し、複数の活物質粒子21と複数の貴金属粒子22とが3次元的に複数連結して形成された活物質成形体2Cを備えている。
このような活物質成形体2Cにおいて、貴金属粒子22は、粒子状をなし、活物質成形体2Cの副材料として含まれ、互いに連結する複数の活物質粒子21の表面に付着したり、活物質粒子21同士の間に介在したりして、多孔質体に含まれている。
この貴金属粒子22は、1000℃以上の融点を有する貴金属を形成材料(構成材料)として含有している。これにより、複数の活物質粒子21同士における電子の受け渡し、および、活物質粒子21と固体電解質層3との間におけるリチウムイオンの受け渡しに、貴金属粒子22が介在することで、これらをともにより円滑に行うことができるようになる。さらに、複数の活物質粒子21同士における電子の受け渡し、および、活物質粒子21と固体電解質層3との間におけるリチウムイオンの受け渡しが、長期に亘って安定的に維持されることとなる。そのため、かかる構成の活物質成形体2Cをリチウム二次電池100に適用することで、リチウム二次電池100は、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。
1000℃以上の融点を有する貴金属としては、特に限定されないが、金(Au;融点1061℃)、白金(Pt;融点1768℃)、パラジウム(Pd;融点1554℃)、ロジウム(Rh;融点1964℃)、イリジウム(Ir;融点2466℃)、ルテニウム(Ru;融点2334℃)、オスミウム(Os;融点3033℃)が挙げられ、これらの金属を単独で用いることもできるし、これら金属の合金を用いるようにしてもよい。これらの中でも、白金およびパラジウムのうちの少なくとも1種であることが好ましい。これらの貴金属は、貴金属の中では比較的安価で取り扱いが容易であるとともに、リチウムイオンおよび電子の伝導性に優れるものである。そのため、貴金属粒子22の構成材料として用いることで、複数の活物質粒子21同士における電子の受け渡し、および、活物質粒子21と固体電解質層3との間におけるリチウムイオンの受け渡しを、より円滑に行うことができるようにするとともに、長期に亘ってより安定的に維持することが可能なものとすることができる。
また、貴金属粒子22は、その平均粒径が0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。なお、貴金属粒子22の平均粒径は、活物質粒子21の平均粒径を測定したのと同様の方法を用いて測定することができる。
さらに、活物質成形体2Cにおける貴金属粒子22の含有率は、0.1wt%以上10wt%以下であることが好ましく、1wt%以上10wt%以下であることがより好ましい。
貴金属粒子22の平均粒径および含有率を、それぞれ、前記範囲内に設定することにより、貴金属粒子22を、より確実に、活物質粒子21の表面に付着させたり、活物質粒子21同士の間に介在させたりすることができるようになる。その結果、複数の活物質粒子21同士における電子の受け渡し、および、活物質粒子21と固体電解質層3との間におけるリチウムイオンの受け渡しを、より円滑に行うことができるとともに、長期に亘ってより安定的に維持することが可能となる。
このような活物質成形体2Cは、例えば、前述したリチウム二次電池の製造方法において、活物質成形体2を得る前記工程[1]で用いた複数の活物質粒子21の混合物に代えて、複数の活物質粒子21と複数の貴金属粒子22との混合物を用いることにより得ることができる。
このような第4実施形態のリチウム二次電池100Cによっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
以上、本発明の電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法には、1または2以上の任意の工程が追加されていてもよい。
また、本発明のリチウム電池の製造方法は、前記各実施形態で説明したリチウム二次電池の製造他、一次電池の製造にも適用できる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.複合体の製造
[実施例1]
<1>まず、粉末状のLiCoO(シグマアルドリッチ社製、以下、「LCO」と言うこともある。)100質量部と、粉末状の造孔材(第1粒子)としてのポリアクリル酸(PAA)(シグマアルドリッチ社製)3質量部とを、乳鉢で擦り潰しながら混合した。
<2>次に、混ぜあわせた粉体80mgを10mmφのダイスに入れ加圧し、円盤状のペレットに成形した。成形したペレットは、LCOの粉体を下に敷いたアルミナるつぼにて、1000℃で8時間熱処理し焼結した。熱処理においては、昇温レートを3℃/分とし、降温レートを、500℃まで3℃/分として多孔質の活物質成形体を作製した。得られた活物質成形体の厚みは、およそ300μmであった。
<3>次に、粉末状のアモルファスチタニア(シグマアルドリッチ社製)0.799gを30%H水溶液35mlに溶解させた。得られた水溶液に、35%NH水溶液9mlを加えた後、1時間水冷しながら静置した。
<4>次に、得られた水溶液に、クエン酸一水和物(関東化学社製)2.10gを添加し、60℃で30分間加熱しながら撹拌した。
<5>次に、得られた水溶液を蒸発乾固させ、さらに析出した固体に純水を添加して溶解することにより、淡黄色の溶液であるペルオキソクエン酸チタンアンモニウム塩(以下、Ti−CAと称する)の水溶液(以下、Ti−CA水溶液と称する)を得た。Ti−CA水溶液は、0.5mol/kgに調製し、このときのpHは6〜7であった。
<6>次に、Ti−CA水溶液に、Li0.35La0.55TiO(以下、LLTと称する)の組成式に従った組成比で金属原子が含まれるように、LiNO(関東化学社製)、La(NO・6HO(関東化学社製)を加えた。さらに、クエン酸一水和物を加えて金属塩を溶解させ、35%NH水溶液を添加してpHを6〜7程度に調節することにより、LLTのTi組成比換算で0.5mol/kgの前駆体を含む液状体を調製した。
<7>次に、この液状体を前記工程<2>で得られた活物質成形体に含浸させ、60℃で乾燥後、さらに200℃に加熱して、活物質成形体にLLTの前駆体を被着させた。活物質成形体に対する液状体の含浸から200℃に加熱までの操作を、活物質成形体に被着した前駆体の質量が設定量である15mgに達するまで繰り返した。
設定量の前駆体を活物質成形体に被着させた後、全体を700℃で加熱し焼成して、円盤状の活物質成形体の表面に固体電解質層を形成した複合体を得た。
<8>次に、得られた複合体を、前記工程<1>で用いたダイスに入れ加圧して圧縮することにより、再形成した。
なお、再形成の際の圧力は、400N/mmとし、圧力を付与する時間は100秒とした。
<9>次に、再成形された複合体を、対向する両面について機械的な研磨を施した。
なお、正極側の研磨は、活物質成形体と電極を電気的に接触させるために、研磨面に活物質成形体が露出するまで行った。また、負極側は、固体電解質を介した電荷の移動が十分であればよいため、電荷の伝導的には必ずしも研磨は必要ない。しかしながら、複合体を実装した二次電池を想定し、電池筐体内でのパッケージングを考えた時、平坦である必要があると考えられるため、負極側にも研磨を施した。
[実施例2]
前記工程<8>において、複合体を加圧により圧縮する際の圧力を、1000N/mmとし、圧力を付与する時間を100秒としたこと以外は、前記実施例1と同様にして、複合体を作製した。
[実施例3]
前記工程<8>において、複合体を加圧により圧縮する際の圧力を、800N/mmとし、圧力を付与する時間を100秒としたこと以外は、前記実施例1と同様にして、複合体を作製した。
[実施例4]
前記工程<8>において、複合体を加圧により圧縮する際に、複合体を700℃に加熱したこと以外は、前記実施例1と同様にして、複合体を作製した。
[実施例5]
前記工程<8>に先立って、複合体を500℃×10分の条件で加熱し、また、前記工程<8>において、複合体を加圧により圧縮する際に、複合体を700℃に加熱したこと以外は、前記実施例1と同様にして、複合体を作製した。
[実施例6]
前記工程<8>に先立って、複合体を500℃×10分の条件で加熱し、また、前記工程<8>において、複合体を加圧により圧縮する際に、複合体を700℃に加熱し、さらに、前記工程<8>の後に、複合体を400℃×30分の条件で加熱したこと以外は、前記実施例1と同様にして、複合体を作製した。
[比較例]
前記工程<8>における、複合体に対する加圧による複合体の圧縮を省略したこと以外は、前記実施例1と同様にして、複合体を作製した。
2.複合体の評価
各実施例および比較例の複合体について、それぞれ、以下に示すような充放電特性の評価を行った。
すなわち、充放電特性は、マルチチャネル充放電評価装置(北斗電工社製、HJ1001SD8)を使用して測定した。測定は、電流密度0.1mA/cm、充電上限電圧4.2Vの定電流―定電圧、放電下限電圧3.0Vの定電流駆動の条件で行った。
また、各実施例および比較例の複合体に、それぞれ、正極としてアルミニウムを、負極としてリチウムおよび銅を、それぞれ用いた。正極については、研磨面にアルミニウム板を張り付けて電極を形成した。負極については、まず耐リチウム層を形成した。耐リチウム層は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(綜研化学社製)、LiCoO2、エチレンカーボネート(シグマアルドリッチ社製)、ジメチルカーボネート(シグマアルドリッチ社製)からなる液状組成物を塗布し、乾固させて形成した。さらに耐リチウム層から順にリチウム金属箔、銅箔を積層し、これらを圧着して負極を形成した。こうして得られたリチウム二次電池に対し、充放電特性の評価を行った。
その結果、各実施例では、比較例と比較して、良好な充放電特性を示した。すなわち、複合体を加熱・加圧して再形成することにより、充放電特性が改善している。
これは、複合体を加熱・加圧して再形成することで、結晶化が進み、高抵抗化していると推測される。
1……集電体
2、2C……活物質成形体
3……固体電解質層
3X……液状体
4、4A、4B、4C……複合体
4a……一面
4b……他面
10……電極複合体
20……電極
21……活物質粒子
22……貴金属粒子
26……スラリー
30……充填層
31……粒状体
35……電解液含浸層
36……電解液
100、100A、100B、100C……リチウム二次電池
D……ディスペンサー
F、F2……成形型
F21……底部
F22……蓋部
F25……凹部

Claims (9)

  1. リチウム複酸化物を含む粒子状をなす活物質粒子を加熱することで、複数の前記活物質粒子を連結させて、連通孔を備える多孔質体からなる活物質成形体を成形する第1の工程と、
    前記活物質成形体の連通孔の内部を含む前記活物質成形体の表面に、無機固体電解質の形成材料を含む液状材料を塗布した後に加熱して、固体電解質層を形成して複合体を得る第2の工程と、
    前記複合体を圧縮して再成形する第3の工程と、
    前記複合体の一方の面に、前記活物質成形体に接するように集電体を接合する第4の工程とを有することを特徴とする電極複合体の製造方法。
  2. 前記第1の工程において、複数の前記活物質粒子と複数の前記貴金属粒子との混合物を圧縮して成形した後、加熱することにより、前記活物質成形体を得る請求項1に記載の電極複合体の製造方法。
  3. 前記第1の工程において、複数の前記活物質粒子と複数の前記貴金属粒子との混合物を水中に分散させたスラリーを加熱することにより、前記活物質成形体を得る請求項1に記載の電極複合体の製造方法。
  4. 前記第3の工程において、前記複合体を圧縮する圧力は、10N/mm以上1000N/mm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電極複合体の製造方法。
  5. 前記第3の工程において、前記複合体を圧縮する際に、前記複合体を加熱する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電極複合体の製造方法。
  6. 前記複合体を加熱する温度は、前記第1の工程において前記活物質粒子を加熱する際の温度よりも低く設定される請求項5に記載の電極複合体の製造方法。
  7. 前記リチウム複酸化物は、LiCoOである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電極複合体の製造方法。
  8. 前記無機固体電解質は、Li0.35La0.55TiOである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電極複合体の製造方法。
  9. リチウム複酸化物を含む粒子状をなす活物質粒子を加熱することで、複数の前記活物質粒子を連結させて、連通孔を備える多孔質体からなる活物質成形体を成形する第1の工程と、
    前記活物質成形体の連通孔の内部を含む前記活物質成形体の表面に、無機固体電解質の形成材料を含む液状材料を塗布した後に加熱して、固体電解質層を形成して複合体を得る第2の工程と、
    前記複合体を圧縮して再成形する第3の工程と、
    前記複合体の一方の面に、前記活物質成形体に接するように集電体を接合する第4の工程と、
    前記複合体の他方の面に、前記固体電解質層と接合するように電極を設ける第5の工程とを有することを特徴とするリチウム電池の製造方法。
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JP2018006330A (ja) * 2016-06-22 2018-01-11 パナソニックIpマネジメント株式会社 電池
JP2019102141A (ja) * 2017-11-28 2019-06-24 トヨタ自動車株式会社 硫化物固体電池の製造方法及び硫化物固体電池

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