JP2018092804A - 電池及び電池の製造方法、電子機器 - Google Patents

電池及び電池の製造方法、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた電池特性(充放電特性)を有する電池、電池の製造方法、該電池を備えた電子機器を提供すること。【解決手段】電池としてのリチウム電池100は、活物質11(活物質部)及び第1電解質12(電解質部)を含む電極層としての正極層10、正極層10に接する集電体41と、を備え、正極層10の集電体41に接する側の第1電解質12(電解質部)の一部が電子伝導部を含む。電子伝導部は、第1電解質12に遷移金属が拡散した拡散層14により構成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、電池及び電池の製造方法、該電池を備えた電子機器に関する。
電池として、リチウムあるいはリチウム化合物を活物質とするリチウム電池が知られている。リチウム電池は、充放電が可能であると共に、他の活物質を用いた電池に比べて、単位体積あたりで大きな出力が得られることから、例えば、スマートフォンやノート型のパーソナルコンピューターなどの携帯型情報端末の電力供給源として活用されている。
例えば、特許文献1には、リチウムの層状化合物及びオリビン化合物のいずれかから選択される活物質の一次粒子が集合した二次粒子から構成される電極活物質材料と、導電材と、これらを結着させるバインダーとを用いて形成された正極材料を正極集電体の両面に塗布して構成されたリチウム電池用の正極が開示されている。
特許文献1によれば、充放電レートが向上し、大電流による充放電が可能なリチウム電池を提供できるとしている。
また、例えば、特許文献2には、正極集電体と、正極集電体上に積層された、正極層と、炭素被膜と、固体電解質層と、負極とを備えた全固体リチウム電池が開示されている。
特許文献2によれば、炭素被膜及び固体電解質層は、それぞれ正極集電体と接するように設けられているため、電池抵抗が低減された全固体リチウム電池を提供できるとしている。また、正極層は、リチウムを含む正極活物質の粒子と、導電助剤と、これらを結着させるバインダーとを含有してもよいことが記載されている。
特開2013−65397号公報 特開2016−39066号公報
上記特許文献1や特許文献2によれば、上述したように、正極材料(あるいは正極層)に電子伝導性を向上させる目的で導電材(あるいは導電助剤)を含ませるとしている。しかしながら、導電材(あるいは導電助剤)を添加して、正極活物質の粒子間における電子伝導経路を確保した分、リチウムイオン電導経路が失われることになり、導電材(あるいは導電助剤)の添加量によっては、所望の電池容量が得られないおそれがあった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例]本適用例に係る電池は、活物質部及び電解質部を含む電極層と、前記電極層に接する集電体と、を備え、前記電極層の前記集電体に接する側の前記電解質部の一部が電子伝導部を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、電極層において集電体との間の電解質部に電子伝導部を含んでいるので、例えば、電極層に導電助材を混ぜて電子伝導性を付与する場合に比べて、導電助剤の過剰添加による電池容量密度の低下を抑制できる。つまり、優れた電池特性を有する電池を提供できる。
上記適用例に記載の電池において、前記電子伝導部は、遷移金属の拡散層であることが好ましい。
この構成によれば、遷移金属が電解質に拡散した拡散層において電子伝導性を付与できる。
上記適用例に記載の電池において、前記遷移金属は、V、Fe、Co、Cuのうち少なくとも1種であることが好ましい。
この構成によれば、V、Fe、Co、Cuは、電解質部との反応性に優れ、他の遷移金属原子に比べて容易に電子伝導性を付与することができる。
上記適用例に記載の電池において、前記電解質部は、炭素とホウ素とを含むリチウム複合酸化物を含むことが好ましい。
この構成によれば、炭素とホウ素とを含むリチウム複合酸化物は、炭素とホウ素とを含まないリチウム複合酸化物に比べて低融点であることから、比較的に低い温度で、電解質部に遷移金属を拡散させ易い。すなわち、優れた電池特性を有する電池としてのリチウムイオン電池を提供できる。
[適用例]本適用例に係る電池の製造方法は、活物質を用いて複数の孔を有する活物質部を形成する工程と、前記複数の孔の表面を含む前記活物質部の表面を電解質で被覆して電極層を形成する工程と、前記電極層の一方の表面に遷移金属または遷移金属を含む化合物を接触させた状態で、前記電極層を加熱して、前記電極層の前記一方の表面側に前記遷移金属を拡散させる工程と、前記電極層の前記一方の表面に集電体を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、遷移金属を拡散させる工程において、集電体が接する電極層の一方の面に遷移金属を熱拡散させて電子伝導性が付与される。したがって、例えば、電極層に導電助材を混ぜて電子伝導性を付与する場合に比べて、導電助剤の過剰添加による電池容量密度の低下を抑制できる。つまり、優れた電池特性を有する電池を製造することができる。
上記適用例に記載の電池の製造方法において、前記電解質の融点は、前記活物質の融点よりも低く、前記電極層を形成する工程は、前記活物質部に前記電解質の融液を接触させることが好ましい。
この方法によれば、活物質の融点以下の温度で電解質を溶融させて、複数の孔を含む活物質部に電解質を充填できる。活物質部への電解質の充填にあたり、活物質部を融点以上の温度としないので、活物質部が高温にさらされて他の物質と反応し変質するといった不具合を防止することができる。
上記適用例に記載の電池の製造方法において、前記電解質の融点は、前記活物質の融点よりも低く、前記遷移金属を拡散させる工程は、前記電解質の融点未満の温度で、前記電極層を加熱することが好ましい。
この方法によれば、活物質の融点以下且つ電解質の融点未満の温度で電極層の一方の面側に遷移金属を熱拡散させることができるため、活物質部が高温にさらされて他の物質と反応し変質するといった不具合を防止することができる。また、電極層に対する遷移金属の拡散を促進できる。
上記適用例に記載の電池の製造方法において、前記電解質は、炭素とホウ素とを含むリチウム複合酸化物を含み、前記遷移金属は、V、Fe、Co、Cuのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
この方法によれば、活物質として炭素とホウ素とを含まないリチウム複合酸化物を用いた場合、炭素とホウ素とを含むリチウム複合酸化物は、炭素とホウ素とを含まないリチウム複合酸化物に比べて低融点であることから、活物質部の熱変質を防止できる。また、V、Fe、Co、Cuは、炭素とホウ素とを含むリチウム複合酸化物に対して優れた反応性と電子伝導性とを示すので、電極層に容易に電子伝導性を付与することができる。
上記適用例に記載の電池の製造方法において、前記遷移金属を拡散させる工程は、炭酸ガスが導入された雰囲気下で行うことが好ましい。
この方法によれば、炭素とホウ素とを含むリチウム複合酸化物からなる電解質から炭素が離脱して変質することを防ぐことができる。
[適用例]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の電池を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、優れた電池特性を有する電池を備えているので、繰り返しの使用に耐え得る電子機器を提供することができる。
リチウム電池の構成を示す概略斜視図。 リチウム電池の構造を示す概略断面図。 リチウム電池の製造方法を示すフローチャート。 リチウム電池の製造方法における工程を示す概略図。 リチウム電池の製造方法における工程を示す概略図。 リチウム電池の製造方法における工程を示す概略図。 リチウム電池の製造方法における工程を示す概略図。 リチウム電池の製造方法における工程を示す概略図。 リチウム電池の製造方法における工程を示す概略図。 実施例1、比較例1及び比較例2の正極層の表面のX線回折強度パターンを示す図。 電子機器としてのウェアラブル機器の構成を示す斜視図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
(第1実施形態)
<電池>
本実施形態の電池として、リチウム電池を例に挙げて、図1及び図2を参照して説明する。図1はリチウム電池の構成を示す概略斜視図、図2はリチウム電池の構造を示す概略断面図である。
図1に示すように、本実施形態の電池としてのリチウム電池100は、正極として機能する電極層としての正極層10と、正極層10に対して順に積層された電解質層20と、負極層30と、を有している。また、正極層10に接する集電体41と、負極層30に接する集電体42とを有している。正極層10、電解質層20、負極層30は、いずれもリチウムを含む固相で構成されていることから、リチウム電池100は、充放電可能な全固体二次電池である。
本実施形態のリチウム電池100は、例えば円盤状であって、外形の大きさは例えばφ10mm、厚みは例えば0.1mmである。小型、薄型であると共に、充放電可能であって全固体であることから、スマートフォンなどの携帯情報端末の電源として好適に用いることができる。なお、リチウム電池100の形状は円盤状であることに限定されず、多角形の盤状であってもよい。以降、各層について詳しく説明する。
図2に示すように、正極層10は、粒子状の活物質11と、第1電解質12とを含んでいる。また、正極層10は、集電体41と接する正極層10の一方の表面10a側に、電子伝導部として遷移金属が拡散した拡散層14を含んでいる。なお、本明細書において、成形または焼結などが施された複数の粒子状の活物質11から構成される部分を活物質部ともいう。
さらに、正極層10は、粒子状の活物質11の表面の少なくとも一部を覆うように形成された第2電解質13を有している。第2電解質13は、薄膜状あるいは活物質11よりも小さい粒状であることから、図2では具体的な図示を省略している。また、図2では活物質11を模式的に球状として表したが、実際には粒子径はある程度の範囲内において揃えられているものの、粒子の形状は必ずしも球状ではなくそれぞれ不定形である。なお、本実施形態では、第1電解質12が、粒子状の活物質11及び第2電解質13を覆うように形成されており、第1電解質12から構成される部分が本発明の電解質部の一例である。
正極層10に含まれる活物質11(正極活物質)としては、例えば、Liと、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuからなる群より選択されるいずれか1種以上の元素とを構成元素の一部として含むリチウム複合酸化物を用いることができる。このようなリチウム複合酸化物としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、Li2Mn23、Li(NixMnyCo1-x-y)O2[0<x+y<1]、Li(NixCoyAl1-x-y)O2[0<x+y<1]、LiCr0.5Mn0.52、LiFePO4、Li2FeP27、LiMnPO4、LiFeBO3、Li32(PO43、Li2CuO2、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4などが挙げられる。また、これらのリチウム複合酸化物の結晶内の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体もリチウム複合酸化物に含むものとし、これら固溶体も正極活物質として用いることができる。
上記正極活物質を用いた正極層10の形成方法は、グリーンシート法のほか、プレス焼結法、射出成型法、適当な基材表面に対する有機金属溶液の塗布・焼成及びゾルゲル法などの液相堆積法、CVD、PLD、スパッタ、エアロゾルデポジションなどの気相堆積法で膜状に形成してもよい。さらに融液や溶液から成長させた単結晶であってもよい。
負極層30に含まれる負極活物質としては、例えば、Nb25、V25、Ti22、In25、ZnO、SnO2、NiO、ITO(Snが添加された酸化インジウム)、AZO(アルミニウムが添加された酸化亜鉛)、GZO(ガリウムが添加された酸化亜鉛)、ATO(アンチモンが添加された酸化スズ)、FTO(フッ素が添加された酸化スズ)、TiO2のアナターゼ相、Li4Ti512、Li2Ti37などのTiを含むリチウム複合酸化物、Li、Si、Sn、Si−Mn、Si−Co、Si−Ni、In、Auなどの金属及び合金、炭素材料、炭素材料の層間にリチウムイオンが挿入された物質などを用いることができる。
上記負極活物質を用いた負極層30の形成方法は、有機金属化合物の加水分解反応などを伴う所謂ゾルゲル法や有機金属熱分解法などの溶液プロセスのほか、適当な金属化合物とガス雰囲気におけるCVD法、ALD法、固体負極活物質のスラリーを使用したグリーンシート法やスクリーン印刷法、エアロゾルデポジション法、適切なターゲットとガス雰囲気を用いたスパッタリング法、PLD法、真空蒸着法、めっき法、溶射法など、いずれを用いてもよい。
正極層10に含まれる第1電解質12、第2電解質13、電解質層20に含まれる電解質(固体電解質)としては、酸化物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、水素化物、ホウ化物などからなる結晶質または非晶質を用いることができる。また、本実施形態では、活物質11の融点よりも融点が低い固体電解質を用いて第1電解質12が構成(形成)される。
酸化物結晶質の一例としては、Li0.35La0.55TiO3、Li0.2La0.27NbO3、及びこれら結晶の元素の一部をN、F、Al、Sr、Sc、Ta、ランタノイド元素などで置換したペロブスカイト型結晶またはペロブスカイト類似結晶、Li7La3Zr212、Li5La3Nb212、Li5BaLa2TaO12、及びこれら結晶の元素の一部をN、F、Al、Sr、Sc、Ta、ランタノイド元素などで置換したガーネット型結晶またはガーネット類似型結晶、Li1.3Ti1.7Al0.3(PO43、Li1.4Al0.4Ti1.6(PO43、Li1.4Al0.4Ti1.4Ge0.2(PO43、及びこれら結晶の一部をN、F、Al、Sr、Sc、Ta、ランタノイド元素などで置換したNASICON型結晶、Li14ZnGe416、などのLISICON型結晶、Li3.40.6Si0.44、Li3.60.4Ge0.64、Li2+x1-xx3、などのその他の結晶質を挙げることができる。
硫化物結晶質の一例としては、Li10GeP212、Li9.6312、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3、Li3PS4などを挙げることができる。
また。その他の非晶質の一例としては、Li3BO3、Li2O−TiO2、La23−Li2O−TiO2、LiNbO3、LiSO4、Li4SiO4、Li3PO4−Li4SiO4、Li4GeO4−Li3VO4、Li4SiO4−Li3VO4、Li4GeO4−Zn2GeO2、Li4SiO4−LiMoO4、Li3PO4−Li4SiO4、Li4SiO4−Li4ZrO4、SiO2−P25−Li2O、SiO2−P25−LiCl、Li2O−LiCl−B23、LiI、LiI−CaI2、LiI−CaO、LiAlCl4、LiAlF4、LiF−Al23、LiBr−Al23、LiI−Al23、Li2.88PO3.730.14、Li3NI2、Li3N−LiI−LiOH、Li3N−LiCl、Li6NBr3、Li2S−SiS2、Li2S−SiS2−LiI、Li2S−SiS2−P25などを挙げることができる。
上記固体電解質を用いた電解質層20の形成方法は、有機金属化合物の加水分解反応などを伴う所謂ゾルゲル法や有機金属熱分解法などの溶液プロセスのほか、適当な金属化合物とガス雰囲気におけるCVD法、ALD法、固体電解質粒子のスラリーを使用したグリーンシート法やスクリーン印刷法、エアロゾルデポジション法、適切なターゲットとガス雰囲気を用いたスパッタリング法、PLD法、融液や溶液を用いたフラックス法など、いずれを用いてもよい。
本実施形態において、正極層10に含まれる第1電解質12と、電解質層20に含まれる電解質(固体電解質)とは同じ材料が用いられているが、異なる材料を用いてもよい。また、第2電解質13もまた上述した固体電解質を用いることができるが、活物質11を被覆してリチウムイオン伝導経路を確保する観点から、活物質11よりも優れたリチウムイオン伝導率を有する固体電解質を用いることが好ましい。
集電体41,42は、例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、及びパラジウム(Pd)の金属群から選ばれる1種の金属(金属単体)や、該金属群から選ばれる2種以上の金属からなる合金などが用いられている。
本実施形態では、集電体41,42として銅(Cu)を用いている。集電体41,42の厚みは、例えば20μm〜40μmである。なお、リチウム電池100は、必ずしも一対の集電体41,42を備えていなくてもよく、一対の集電体41,42のうち一方の集電体を備えていればよい。例えば、複数のリチウム電池100を電気的に直列に積層して用いる場合、集電体41だけを備える構成としてもよい。
本実施形態では、正極層10の集電体41と接する側の表面10aから遷移金属が拡散した拡散層14を有している。このような拡散層14を有することにより、集電体41に対する正極層10の電子伝導性が改善されている。具体的には、遷移金属としては、電子伝導性を有する点で、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Pd、W、Re、Ru、Ir、Znなどいずれも好適に用いることができる。正極層10に拡散させるための遷移金属は、正極層10に含まれる上述した固体電解質の融点未満の温度で固体電解質に対して反応性を示すものであればいかなる形態であってもよい。このような遷移金属の形態としては、有機金属化合物、酸化物、ハロゲン化合物が挙げられ、これらの薄膜状、粉末状、バルク状のいずれでもよい。
Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Pd、W、Re、Ru、Ir、Znのなかでも、電子伝導性及び反応性の観点から、V、Fe、Co、Cuのうち少なくとも1種が選ばれることが好ましい。また、正極活物質や固体電解質としてリチウム複合酸化物を用いた場合、リチウムや固体電解質構成成分と反応して電子伝導体(n型半導体)になり易いという観点から、V25、FeO、CoO、CuOなどの酸化物であることが好ましく、中でもV25の粒子が好ましい。
<電池の製造方法>
本実施形態の電池としてのリチウム電池100の製造方法について、図3〜図9を参照して説明する。図3はリチウム電池の製造方法を示すフローチャート、図4〜図9はリチウム電池の製造方法における工程を示す概略図である。
図3に示すように、本実施形態のリチウム電池の製造方法は、活物質11の成形体の形成工程(ステップS1)と、成形体の焼結工程(ステップS2)と、焼結体への第2電解質13の形成工程(ステップS3)と、焼結体への第1電解質12の充填工程(ステップS4)とを備えている。また、電解質層20の形成工程(ステップS5)と、正極層10への遷移金属拡散工程(ステップS6)と、負極層30の形成工程(ステップS7)と、集電体41,42の形成工程(ステップS8)とを備えている。
ステップS1は、上述した活物質11を用いて内部に複数の孔(空隙)を有する成形体を形成する。具体的には、図4に示すように、活物質11同士を結着させるための結着剤(バインダー)を含む溶媒に粒子状の活物質11を添加して調整したスラリー(混合物)11mを用意する。本実施形態では、活物質11として粒度分布が調整されたLiCoO2(以降、簡略化してLCOと称す)の粉末を用いた。LCOの融点は、およそ1100℃である。そして、例えばフィルムなどの基材51にスラリー11mを例えば印刷法などにより所定の厚みで塗布してシート状とする。スラリー11mのシートを適当なポンチ(成形型)で型抜して成形体を形成する。スラリー11mには、粒子状の活物質11、結着剤、溶媒の他に、必要に応じて、分散剤、消泡剤、造孔剤、粘度調整剤などの添加剤を含んでいてもよい。結着剤及び添加剤は後述する焼結工程で、焼失させることが可能な有機物が選ばれる。そして、ステップS2へ進む。
ステップS2では、ステップS1で得られた成形体を所定の温度で乾燥させて溶媒を除去すると共に脱脂する。さらに、乾燥・脱脂した成形体を所定の焼成温度で焼結することにより、活物質11同士が互いに結着して内部に連通した複数の孔(空隙)を生じさせた焼結体とする。本明細書において、この焼結体を活物質部とも言う。焼成温度は、活物質11の融点よりも低い温度であって、例えば数百度〜1000℃である。このような焼結体は多孔質体とも呼ばれる。そして、ステップS3へ進む。
ステップS3では、上記複数の孔(空隙)の表面を含む焼結体の表面に第2電解質13を形成する。具体的には、まず、第2電解質13の前駆体を用意する。前駆体としては、例えば、以下の(A)〜(D)のいずれかが用いられる。
(A)金属原子を第2電解質13の組成に従った割合で含み、酸化により第2電解質13となる塩を有する組成物。
(B)金属原子を第2電解質13の組成に従った割合で含む金属アルコキシドを有する組成物。
(C)(A)もしくは(B)の組成物を溶媒に分散させた分散液。
(D)第2電解質13の微粒子、または金属原子を第2電解質13の組成に従った割合で含む微粒子ゾルを溶媒に分散させた分散液。
なお、(A)に含まれる塩には、金属錯体が含まれる。
本実施形態では、活物質11(LCO)よりも高いイオン伝導度を示す第2電解質13としてリチウム複合酸化物であるLi6.75La3Zr1.75Nb0.2512(以降、簡略化してLLZrNbOと称す)を用いた。LLZrNbOの結晶粒子を溶媒中に分散させて前駆体溶液13sとして用いる。LLZrNbOの平均粒径は、例えば300nm〜20μmである。なお、LLZrNbOの融点はおよそ1000℃〜1100℃である。
次に、図5に示すように、前駆体溶液13sを、活物質11からなる焼結体11sの空隙に含浸させる(浸み込ませる)。具体的には、例えば、基材52上に配置された焼結体11sの上に前駆体溶液13sを滴下する。あるいは、前駆体溶液13sの中に焼結体11sを浸してもよい。別の例では、前駆体溶液13sを焼結体11sに塗布してもよい。さらに別の例では、焼結体11sの端部に前駆体溶液13sを接触させ、毛細管現象を利用して前駆体溶液13sを焼結体11sの空隙に含浸させてもよい。このとき、焼結体11sを取り巻く雰囲気または前駆体溶液13sを加圧して、前駆体溶液13sの含浸を促進してもよい。基材52は、この後に高温下で乾燥・焼成を行っても、変形などが生じ難い、例えば透明な石英基板である。
そして、前駆体溶液13sを含浸させた焼結体11sを大気下で乾燥させた後に、希ガス雰囲気下で熱処理して焼成する。これにより焼結体11sの活物質11の表面に第2電解質13を析出させて形成する。そして、ステップS4及びステップS5へ進む。
ステップS4及びステップS5では、第2電解質13が形成された焼結体11sの内部の空隙に第1電解質12を充填する。また、同時に電解質層20を形成する。具体的には、第1電解質12及び電解質層20を形成する固体電解質として活物質11よりも融点が低く、炭素とホウ素とを含むリチウム複合酸化物である、Li2.20.80.23(以降、簡略化してLCBOと称す)を選んだ。なお、LCBOの融点はおよそ685℃である。LCBOの粉末を、結着剤を溶解させた溶媒に加えて調整したスラリー(混合物)12mを用意する。そして、図6に示すように、スラリー12mを例えば印刷法などにより所定の厚みとなるように焼結体11sに塗布する。スラリー12mが塗布された焼結体11sを例えばチタン製のシャーレ53に載置して、大気下で所定の温度で乾燥して溶媒を除去する。さらに、炭酸ガス雰囲気下で熱することによりLCBO粉末を溶融して融液とする。スラリー12mの量、すなわち融液の量は、予め焼結体11sの嵩密度と電解質層20の厚みとを考慮して設定されている。したがって、LCBOの融液は焼結体11sの空隙を隈なく埋めるように浸み込んでゆき、空隙にLCBOの融液を充填することができる。残りのLCBOの融液は焼結体11sの表面に留まる。この後に室温まで冷却すると、図7に示すように、表面の少なくとも一部が第2電解質13で被覆された活物質11と第1電解質12とを含む正極層10と、正極層10上に形成された電解質層20とが得られる。例えば、活物質11からなる活物質層に第1電解質12からなる電解質層20を単に積層する場合に比べて、多孔質である活物質11の焼結体11sの空隙に第1電解質12を充填することにより、活物質11と第1電解質12との接触面積を増やすことができるため、内部抵抗が小さい正極層10を形成できる。そして、ステップS6へ進む。なお、第1電解質12から形成される部分が本発明の電解質部の一例である。
ステップS6では、正極層10に遷移金属を拡散させて拡散層14を形成する。具体的には、遷移金属として例えばV(バナジウム)の酸化物であるV25の粉末を用いる。図8に示すように、例えばチタン製のシャーレ53にV25の粉末を敷設した粉末層14cを形成する。そして、電解質層20と反対側の表面10aが接するように粉末層14c上に正極層10を載置する。この状態で、炭酸ガス雰囲気下、且つ第1電解質12の融点よりも低い温度で熱処理することにより、粉末層14c(V25)と正極層10の第1電解質12(LCBO)とを反応させて、図9に示すように、表面10aからVを正極層10内に拡散させて拡散層14を形成する。拡散層14の厚みは、加熱温度と加熱時間とにより制御可能である。そして、ステップS7へ進む。
ステップS7では、電解質層20に接するように負極層30を形成する。具体的には、真空蒸着法やスパッタ法などの気相堆積法を用い、金属Liを蒸着源あるいはターゲットとして、例えば厚みがおよそ1μmのLi金属層を形成して、これを負極層30とする。そして、ステップS8へ進む。
ステップS8では、正極層10側に集電体41を形成し、負極層30側に集電体42を形成する。具体的には、例えば、厚みが30μm程度のCu金属箔を貼り付けて圧着することにより、集電体41,42とする。
次に、リチウム電池100の製造方法の実施例と比較例とを挙げて、本実施形態の効果について具体的に説明する。
(実施例1)
1.活物質11の成形体及び焼結体の形成
結着剤(バインダー)としてのポリプロピレンカーボネート(以降、簡略化してPPCと称す)(シグマアルドリッチ製)10gを1,4−ジオキサン(関東化学製)90gに溶解した溶液に、粒度分布のメジアン径が約5μmのLCO(日本化薬製)粉末15gを加えて混合することでスラリー化した。得られたスラリーをポリエチレンテレフタラートフィルム(PETフィルム)の基材上に全自動フィルムアプリケータ(コーテック製)を用いてシート状とした。この時のスラリー組成は所望のシート厚みや塗工機の性能に合わせて任意の値をとることができる。また、前述したように必要に応じて分散剤や消泡剤、および造孔剤などを添加剤としてスラリーに添加することもできる。
上記のようにして形成された正極シートを適当なポンチで直径10mmの円盤状に成型し、300℃程度で脱脂したのち、数100℃〜1000℃で熱処理を施すことにより、内部に多数の連通した空隙をもつ多孔質の焼結体が得られた。本操作により得られる焼結体は、焼結体の外形寸法とLCOの理論密度5.01g/cm3から嵩密度空隙率が約53%の多孔性に富んだ焼結体であることを確認した。
2.第2電解質13の形成
まず、第2電解質13(LLZrNbO)の前駆体溶液を調製する。具体的には、リチウム源としてのLiNO3(関東化学製)の粉末を秤量して濃度が1.0mol/kgとなるようn−ブタノール(関東化学製)に溶解し、LiNO3溶液を得た。
ランタン源としてのLa(NO33・6H2O(関東化学製)の粉末を秤量して濃度が1.0mol/kgとなるよう2−ブトキシエタノール(関東化学製)に溶解し、La(NO33溶液を得た。
ジルコニウム源としてのZr(O−n−C494(シグマアルドリッチ製)を秤量して濃度が1.0mol/kgとなるよう2−ブトキシエタノールに溶解してZr(O−n−C494溶液を得た。
ニオブ源としてのNb(OC255(高純度化学製)を秤量して濃度が1.0mol/kgとなるよう2−ブトキシエタノールに溶解し、Nb(OC255溶液を得た。
上記LiNO3溶液6.75g、La(NO33溶液3.0g、Zr(O−n−C494溶液1.75g、及びNb(OC255溶液0.25gを混合し、LLZrNbOの前駆体溶液とした。
上記前駆体溶液に上記焼結体を浸漬し、140℃で乾燥後、酸化雰囲気で540℃の熱処理を15分間行い、さらに続いてAr(アルゴン)ガス雰囲気下で800℃の熱処理を4時間行った。自然放冷後、X線回折による結晶相解析を行い、上記操作によりLCOと、ガーネット型のLLZrNb結晶とが生成していることを確認した。またこの時、上記焼結体の理論内腔体積、第2電解質13の形成により増加した重量と、ガーネット型固体電解質(LLZrNbO)の理論密度5.1g/cm3により、本操作により上記焼結体の内腔表面、及び負極層30と対向する表面に平均2μmの厚みの第2電解質13(LLZrNbO)が形成され、初期の焼結体の理論空隙体積の85%がガーネット型結晶固体電解質(LLZrNbO)により充填されたことを確認した。
3.第1電解質12の充填及び電解質層20の形成
Li2CO3粉末(関東化学製)0.592gとLi3BO3粉末(豊島製作所製)をメノウ鉢内で粉砕混合し、炭酸ガス雰囲気下で700℃の熱処理を1時間実施した後、急冷してLCBOの粉末を得た。次にポリプロピレンカーボネート(PPC)10gを1,4−ジオキサン90gに溶解した10wt%溶液9gに上記LCBO粉末1gを加えて攪拌し、スラリーとした。このスラリーをスクリーン印刷法で上記焼結体の表面に印刷し、正味24mgのLCBO層を形成した。これを乾燥大気中で300℃の熱処理2時間を経た後、CO2ガス雰囲気下で685℃の熱処理を30秒実施した。これにより、LCBO層が溶融し、その融液が第2電解質13が形成された上記焼結体に浸透し、上記焼結体の残余空隙を充填すると共に、上記焼結体の表裏いずれの表層にも厚みがおよそ2μmのLCBO薄膜層が形成された。上記焼結体の表裏のうち一方に形成されたLCBO薄膜層が電解質層20である。
4.正極層10への電子伝導性の付与(遷移金属の拡散層14の形成)
上記第1電解質12を複合化した焼結体をV25粉末(高純度化学製)を敷設したチタンシャーレ上に静置し、600℃の炭酸ガス雰囲気下で2時間保持した後に徐冷した。これにより、V25粉末に接した側の上記焼結体におけるLCBO薄膜層へ遷移金属であるVが拡散して拡散層14が形成された。つまり、正極層10の一方の表面10a側に電子伝導性を付与した。
5.負極層30及び集電体41の形成
正極層10上に形成された電解質層20に対して、真空蒸着法により厚さ1.2μmのLi金属層を形成し、これを負極層30とした。さらに、負極層30と反対側の正極層10の表面10a(拡散層14)に厚さ30μmのCu金属箔を貼り付けて集電体41を形成して、実施例1のリチウム電池100とした。
(比較例1)
比較例1のリチウム電池の製造方法は、上記実施例1のリチウム電池100の製造方法に対して、正極層10への電子伝導性の付与(遷移金属の拡散層14の形成)の工程を除いたものであり、他の工程は同じである。
(比較例2)
比較例2のリチウム電池の製造方法は、上記実施例1のリチウム電池100の製造方法に対して、活物質11(LCO)の焼結体に導電助剤を添加し、正極層10への電子伝導性の付与(遷移金属の拡散層14の形成)の工程を除いたものであり、他の工程は同じである。したがって、上記導電助剤を添加する工程について、以下に説明する。
1.活物質11の成形体及び焼結体の形成
結着剤(バインダー)としてのPPC(シグマアルドリッチ製)10gを1,4−ジオキサン(関東化学製)90gに溶解した溶液に、粒度分布のメジアン径が約5μmのLCO(日本化薬製)粉末15gと、炭素系導電助剤として、粒度分布のメジアン径が100nmのケッチェンブラック粒子(ライオン製)0.8gを加えて混合することでスラリー化した。得られたスラリーをPETフィルムの基材上に全自動フィルムアプリケータ(コーテック製)を用いてシート状とした。この時のスラリー組成は所望のシート厚みや塗工機の性能に合わせて任意の値をとることができる。また、前述したように必要に応じて分散剤や消泡剤、および造孔剤などを添加剤としてスラリーに添加することもできる。
上記のようにして形成された正極シートを適当なポンチで直径10mmの円盤状に成型し、300℃程度で脱脂したのち、数100℃〜1000℃で熱処理を施すことにより、内部に多数の連通した空隙をもつ多孔質の焼結体が得られた。本操作により得られる焼結体は、焼結体の外形寸法、LCOの理論密度5.01g/cm3、ケッチェンブラックの真密度2.1g/cm3の値から嵩密度空隙率が約52%の多孔性に富んだ焼結体であることを確認した。
比較例2における第2電解質13の形成及び第1電解質12の充填と電解質層20の形成は、実施例1と同じである。またこの時、上記焼結体の理論内腔体積、第2電解質13(LLZrNbO)の形成により増加した重量と、ガーネット型固体電解質(LLZrNbO)の理論密度が5.1g/cm3、及びケッチェンブラックの真密度が2.1g/cm3であることから、本操作により上記焼結体の内腔表面、および負極層30と対向する表面に平均2μmの厚みの第2電解質13が形成され、初期の上記焼結体の理論空隙体積の85%がガーネット型結晶固体電解質(LLZrNbO)により充填されたことを確認した。また、LCBO層が溶融し、その融液が第2電解質13が形成された上記焼結体に浸透し、上記焼結体の残余空隙を充填すると共に、上記焼結体の表裏いずれの表層にも厚みがおよそ2μmのLCBO薄膜層が形成された。上記焼結体の表裏のうち一方に形成されたLCBO薄膜層が電解質層20である。
図10は実施例1、比較例1及び比較例2の正極層の表面のX線回折強度パターンを示す図である。詳しくは、実施例1、比較例1及び比較例2の正極層における集電体41と接する側の表面のX線回折強度の測定により得られたものである。
図10に示すように、実施例1では、V25やLCBOに対応するX線回折強度のピークは検出されず、VBO3に類似した回折パターンが得られた(帰属未知)。つまり、正極層10のLCBO層とV25とが反応してVBO3が形成されたと考えられる。すなわち、LCBO層のうちVBO3となった部分はVが拡散した拡散層14である。
比較例1及び比較例2では、図10に示すように、LCBO(Li2.20.80.23)に対応するX線回折強度のピークだけが検出された。
<実施例1、比較例1、比較例2のリチウム電池の評価>
実施例1、比較例1、比較例2のリチウム電池の評価方法の1つは、製造の過程において、正極層の集電体41と接する側の表面における面抵抗を4探針法により求めた。もう1つは、充放電測定装置HJ−SD8(北斗電工製)を用いて充放電試験を実施し、活物質11の理論容量換算で放電レートが0.05C相当となる電流値における放電容量を求めた。以下の表1に実施例1、比較例1、比較例2の正極層の面抵抗(Ω/□)と、リチウム電池の放電容量(mAh/g)とを示す。
Figure 2018092804
上記表1に示すように、正極層に導電助剤を添加した比較例2は、導電助剤を添加しない比較例1に比べて、面抵抗が小さく、放電容量が大きくなった。正極層10に遷移金属を拡散させることにより電子伝導性が付与された実施例1は、正極層に導電助剤を添加した比較例2よりも、面抵抗がさらに小さい値を示すと共に、放電容量がおおよそ6倍に増大した。言い換えれば、正極層に導電助剤を添加する比較例2に比べて、正極層10に遷移金属を拡散させて拡散層14を形成する実施例1の方が、リチウムイオン伝導経路を阻害せずに、電子伝導性を好適に付与できる。
上記実施形態のリチウム電池100とその製造方法によれば、V25の粉末層14cに正極層10を接触させた状態で加熱することにより、正極層10のLCBO層とV25とが反応してVBO3が形成される。すなわち、集電体41に接する正極層10の表面10a側に、遷移金属(V)の拡散層14を有していることから、集電体41に対する正極層10の電子伝導性が改善され、優れた電池特性を有するリチウム電池100を提供あるいは製造することができる。
遷移金属(V)を拡散させる工程は、炭酸ガス雰囲気下において、LCBOの融点(685℃)よりも低い例えば600℃の温度で行われるので、活物質11(LCO)が変質することなく、効率的に遷移金属を拡散させて拡散層14を形成することができる。すなわち、正極層10に容易に電子伝導性を付与できる。
正極層10の集電体41と接触する側に電子伝導部としての拡散層14が形成されることから、例えば正極層10の一方の表面を研磨して粒子状の活物質11(活物質部)を露出させ、活物質11(活物質部)と集電体41と接触させることにより、正極層10と集電体41との電子伝導性(導電性)を確保する場合に比べて、研磨によって活物質11の結晶性が悪化して電子伝導性(導電性)が低下するといった問題を回避できる。また、研磨による正極層10と集電体41との電子伝導性(導電性)の確保は、研磨された面積に依存するが、本実施形態のように遷移金属(V)の拡散層14を形成することは、正極層10の厚み方向に電子伝導性を付与できる(実施例1では正極層10の厚み方向に10μm程度、活物質粒子1〜2粒子程度亘って拡散層14を形成できた)。つまり、研磨する場合に比べて、高い電子伝導性(導電性)が実現された高出力のリチウム電池100を提供あるいは製造することができる。
(第2実施形態)
<電子機器>
次に、本実施形態の電子機器について、ウェアラブル機器を例に挙げて説明する。図11は電子機器としてのウェアラブル機器の構成を示す斜視図である。
図11に示すように、本実施形態の電子機器としてのウェアラブル機器300は、人体の例えば手首WRに腕時計のように装着され、人体に係る情報を入手可能な情報機器であって、バンド301と、センサー302と、表示部303と、処理部304と、電池305とを備えている。
バンド301は、装着時に手首WRに密着するように、可撓性の例えばゴムなどの樹脂が用いられた帯状であって、帯の端部に結合位置を調整可能な結合部を有している。
センサー302は、例えば光学式センサーであって、装着時に手首WRに触れるよう、バンド301の内面側(手首WR側)に配置されている。
表示部303は、例えば受光型の液晶表示装置であって、表示部303に表示された情報を装着者が読み取れるように、バンド301の外面側(センサー302が取り付けられた内面と反対側)に配置されている。
処理部304は、例えば集積回路(IC)であって、バンド301に内蔵され、センサー302や表示部303に電気的に接続されている。処理部304は、センサー302からの出力に基づいて、脈拍や血糖値などを計測するための演算処理を行う。また、計測結果などを表示するように表示部303を制御する。
電池305は、センサー302、表示部303、処理部304などへ電力を供給する電力供給源として、バンド301に対して脱着可能な状態で内蔵されている。電池305として、上記第1実施形態のリチウム電池100が用いられている。
本実施形態のウェアラブル機器300によれば、センサー302によって、手首WRから装着者の脈拍や血糖値に係る情報などを電気的に検出し、処理部304での演算処理などを経て、表示部303に脈拍や血糖値などを表示することができる。表示部303には計測結果だけでなく、例えば計測結果から予測される人体の状況を示す情報や時刻なども表示することができる。
また、電池305として小型でありながら優れた電池特性を有するリチウム電池100が用いられているため、軽量且つ薄型であって長期の繰り返しの使用にも耐え得るウェアラブル機器300を提供することができる。また、リチウム電池100は、全固体型の二次電池であるため、充電によって繰り返し使用が可能であると共に、電解液などが漏れる心配がないので長期に亘って安心して使用可能なウェアラブル機器300を提供できる。
本実施形態では、腕時計型のウェアラブル機器300を例示したが、ウェアラブル機器300は、例えば、足首、頭、耳、腰などに装着されるものであってもよい。
また、電力供給源としてのリチウム電池100が適用される電子機器は、ウェアラブル機器300に限定されない。例えば、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、携帯電話機、携帯情報端末、ノート型パソコン、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレイヤー、ワイヤレスヘッドホン、ゲーム機などが挙げられる。また、このようなコンシューマー(一般消費者向け)な機器に限らず、産業用途の機器にも適用可能である。また、本発明の電子機器は、例えば、データ通信機能、ゲーム機能、録音再生機能、辞書機能などの他の機能を有していてもよい。
本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電池及び該電池の製造方法、該電池を適用する電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)上記第1実施形態のリチウム電池100とその製造方法では、同じ固体電解質(LCBO)を用いて第1電解質12と電解質層20とを構成(形成)したが、これに限定されない。活物質11の焼結体に第1電解質12を充填した後に、負極層30が接する面側に、他の固体電解質を用いて例えばスパッタ法によって電解質層20を形成してもよい。これによれば、電解質層20を高い膜厚の精度で形成できる。
(変形例2)上記第1実施形態では、活物質11の焼結体11sに第1電解質12を充填する前に第2電解質13を形成したが、第2電解質13の形成は必須ではない。
(変形例3)遷移金属の拡散層14は、1種の遷移金属を含むことに限定されない。例えば、上記第1実施形態のリチウム電池100の製造方法のステップS6において、正極層10に接触させる粉末層14cをCuOの粉末とV25の粉末とにより構成すれば、還元雰囲気下で導電性のCu2O−V25を比較的低温で形成することができる。
10…電極層としての正極層、10a…正極層の一方の表面、11…活物質、12…第1電解質、13…第2電解質、14…電子伝導部としての拡散層、20…電解質層、30…負極層、41,42…集電体、100…電池としてのリチウム電池、300…電子機器としてのウェアラブル機器。

Claims (10)

  1. 活物質部及び電解質部を含む電極層と、
    前記電極層に接する集電体と、を備え、
    前記電極層の前記集電体に接する側の前記電解質部の一部が電子伝導部を含む、電池。
  2. 前記電子伝導部は、遷移金属の拡散層である、請求項1に記載の電池。
  3. 前記遷移金属は、V、Fe、Co、Cuのうち少なくとも1種である、請求項2に記載の電池。
  4. 前記電解質部は、炭素とホウ素とを含むリチウム複合酸化物を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電池。
  5. 活物質を用いて複数の孔を有する活物質部を形成する工程と、
    前記複数の孔の表面を含む前記活物質部の表面を電解質で被覆して電極層を形成する工程と、
    前記電極層の一方の表面に遷移金属または遷移金属を含む化合物を接触させた状態で、前記電極層を加熱して、前記電極層の前記一方の表面側に前記遷移金属を拡散させる工程と、
    前記電極層の前記一方の表面に集電体を形成する工程と、を備えた、電池の製造方法。
  6. 前記電解質の融点は、前記活物質の融点よりも低く、
    前記電極層を形成する工程は、前記活物質部に前記電解質の融液を接触させる、請求項5に記載の電池の製造方法。
  7. 前記電解質の融点は、前記活物質の融点よりも低く、
    前記遷移金属を拡散させる工程は、前記電解質の融点未満の温度で、前記電極層を加熱する、請求項5または6に記載の電池の製造方法。
  8. 前記電解質は、炭素とホウ素とを含むリチウム複合酸化物を含み、
    前記遷移金属は、V、Fe、Co、Cuのうちの少なくとも1種である、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電池の製造方法。
  9. 前記遷移金属を拡散させる工程は、炭酸ガスが導入された雰囲気下で行う、請求項8に記載の電池の製造方法。
  10. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電池を備えた、電子機器。
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