JP2016213666A - 超音波振動子およびその製造方法、超音波探触子ならびに超音波撮像装置 - Google Patents

超音波振動子およびその製造方法、超音波探触子ならびに超音波撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】狭い溝であっても目地材中に気泡がより均等に存在する超音波振動子、それを有する超音波探触子および超音波撮像装置を提供する。【解決手段】本発明に係る超音波振動子は、圧電体と、当該圧電体を素子単位に区画する溝と、当該溝内に充満する目地材とを有する。当該目地材は気泡を含み、当該目地材の上記超音波振動子における平均空隙率は10%以上である。加えて、上記溝における深さ40μmの任意の領域の空隙率の上記前記平均空隙率に対するばらつきは、±15%以内である。【選択図】図13

Description

本発明は、超音波振動子およびその製造方法、超音波探触子ならびに超音波撮像装置に関する。
超音波振動子は、生体用の医用超音波診断装置や非破壊の検査機器などに用いられる超音波探触子に利用されており、その性能の向上が求められている。上記超音波振動子は、圧電体を有し、当該圧電体は、圧電特性を高めるために、一般に溝によって素子単位に応じて区画されている。上記圧電体は、一般に、その面積が広いほど、もしくはより好適なアスペクト比を有するほど、その圧電特性の向上が見込まれる。近年では、圧電体により狭い溝を形成する加工技術が発達し、圧電体の面積をより広く、もしくは最適なアスペクト比に加工することが可能となっている。
上記溝には、超音波振動子の機械的強度の確保のために、一般に目地材が詰められている。当該目地材は、一般に、エポキシ樹脂などの硬化性の材料を上記溝に充填し、硬化させることで形成される。このような構成は、振動しようとする圧電体に対する拘束力をより小さくすることができるので、圧電体をより振動しやすくすることができる。また、コンポジット圧電材としての音響インピーダンスが低くなり、音響整合層とのマッチングをとりやすい、などの観点から、上記目地材の音響インピーダンスは、低い方が好ましい。
上記目地材の音響インピーダンスを下げるために、上記目地材には、一般に気泡が導入される。上記目地材中に気泡を導入する方法の例には、硬化性を有するとともに発泡している充填剤を圧電体の溝に充填し、次いで硬化させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、上記目地材中に気泡を導入する方法の例には、硬化性を有するとともに中空のフィラーを含有する充填剤を上記溝に充填し、次いで硬化させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平02−057099号公報 特開2007−235795号公報
一方、前述したように、超音波振動子における上記溝の幅はより狭くなっており、また、上記溝は一般には有底である。他方、気泡または中空フィラーを含む上記充填剤の流動性は一般に低く、このため、上記溝に上記材料を充填したときに上記気泡が十分に充填されず、また上記気泡が溝内で偏って存在しやすい。
当該気泡が溝間または溝の深さ方向において偏ると、上記溝間の特性がばらつき、超音波振動子の音響特性が上記素子単位でばらつき、その結果、上記超音波探触子の指向性と感度のばらつきが大きくとなることがある。上記気泡が上記溝内で均等になるように上記充填剤を上記溝に充填することは、溝の幅がより狭くなるほどより難しくなり、溝の幅がより狭くなるほど上記ばらつきもより顕著となる。
本発明の第1の目的は、狭い溝であっても目地材中に気泡がより均等に存在する超音波振動子を提供することである。また、本発明の第2の目的は、当該超音波振動子を有する超音波探触子および超音波撮像装置を提供することである。
本発明は、圧電体を素子単位に区画する溝を前記圧電体に形成する溝形成工程と、前記溝に未発泡粒子を充填する工程と、前記溝に充填された前記未発泡粒子を発泡させる工程と、前記未発泡粒子を発泡させた後の前記溝に、硬化性を有する未硬化の充填剤を充填する工程と、前記溝に充填された前記充填剤を硬化させる工程と、を含む超音波振動子の製造方法、を提供する。
また、本発明は、圧電体と、前記圧電体を素子単位に区画する溝と、前記溝内に充満する目地材と、を有する超音波振動子であって、前記目地材は気泡を含み、前記目地材の前記超音波振動子における平均空隙率は10%以上であり、前記溝における深さ40μmの任意の領域の空隙率の前記平均空隙率に対するばらつきは±15%以内である超音波振動子、を提供する。
さらに、本発明は、上記の超音波振動子と、前記圧電体に接着された音響整合層に接着された音響レンズと、を有する超音波探触子、提供する。
さらには、本発明は、上記の超音波探触子を有する超音波撮像装置、を提供する。
本発明によれば、狭い溝であっても目地材中に気泡がより均等に存在する超音波振動子を提供することができ、また、感度と指向性ばらつきが小さく、かつ、優れた感度と指向性とを有する超音波探触子および超音波撮像装置を提供することができる。
図1Aは、本発明における溝を有する圧電体の第1の態様を模式的に示す斜視図であり、図1Bは、当該第1の態様の変形例を模式的に示す斜視図であり、図1Cは、当該圧電体の第2の態様を模式的に示す斜視図である。 図2Aは、圧電体および音響整合層を有する超音波振動子における溝の配置の第1の態様を模式的に示す斜視図であり、図2Bは、当該超音波振動子における溝の配置の第2の態様を模式的に示す斜視図である。 図3Aは、上記超音波振動子における溝の配置の第3の態様を模式的に示す斜視図であり、図3Bは、当該超音波振動子における溝の配置の第4の態様を模式的に示す斜視図である。 図4Aは、上記超音波振動子における溝の配置の第5の態様を模式的に示す斜視図であり、図4Bは、当該超音波振動子における溝の配置の第6の態様を模式的に示す斜視図である。 図5Aから図5Cは、本発明の製造方法における第1の態様を概略的に示す図である。 図6Aから図6Dは、本発明の製造方法における第2の態様を概略的に示す図である。 図7Aから図7Fは、本発明の製造方法における第3の態様を概略的に示す図である。 図8Aは、本発明の超音波撮像装置の一実施の形態の構成を模式的に示す図であり、図8Bは、当該超音波撮像装置の電気的な構成を示すブロック図である。 上記超音波撮像装置における超音波探触子の構成を模式的に示す図である。 本発明の超音波振動子の一実施の形態の構成を模式的に示すための図である。 図11Aは、本発明で用いられる発泡剤の一例を発泡させたときの断面を倍率200倍で走査型電子顕微鏡によって撮影した写真であり、図11Bは、倍率500倍で当該断面を走査型電子顕微鏡によって撮影した写真である。 本発明の超音波振動子の一例の断面を倍率150倍で走査型電子顕微鏡によって撮影した写真である。 上記超音波振動子の一例の断面を倍率1000倍で走査型電子顕微鏡によって撮影した写真である。 従来の中空フィラーを含む従来の充填剤の硬化物の一例の断面を倍率100倍で走査型電子顕微鏡によって撮影した写真である。 従来の超音波振動子の一例の断面を倍率200倍で走査型電子顕微鏡によって撮影した写真である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施の形態に係る超音波振動子は、圧電体と、当該圧電体を素子単位に区画する溝と、当該溝内に充満する目地材と、を有する。
上記圧電体は、その表面に応力を加えるとその表面に正負の電荷を生じる現象(圧電性)を呈する物体であり、例えば、圧電性を呈することが公知の物質、混合物、化合物、複合化合物、固溶体および組成物である。圧電体は、一種でもそれ以上でもよく、また、無機物でも有機物でもよい。また、圧電体の形状は、通常、板状であるが、超音波振動子として使用可能な範囲において、いかなる形状であってもよい。たとえば、圧電体は、一枚の板状の圧電体のみから構成されていてもよいし、あるいは、インピーダンスの異なる複数の圧電板の積層体であってもよい。
無機圧電体の例には、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、酸化亜鉛、PbZrO/PbTiO固溶体(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O/PbTiO固溶体(PMN−PT)およびPb(Zn1/3Nb2/3)O/PbTiO固溶体(PZN−PT)が含まれる。
有機圧電体の例には、ポリフッ化ビニリデン−三フッ化エチレン共重合体(P(VDF−3FE))、P(VDF−3FE)とポリウレタンとの混練物、P(VDF−3FE)とシリコーンとの混練物、ポリフッ化ビニリデンとナイロンとの混練物、フッ化ビニリデンとクロロトリフロロエチレンとの共重合によるPVDF系共重合体、ポリブタジエン−N,N−メチレンビスアクリルアミド−スチレン共重合体、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)、メタンジイソシアネートとジアミノフルオレンとの蒸着重付加によるポリ尿素、キシリレンジイソシアネートとp−ジアミノベンゼンとの蒸着重付加によるポリ尿素、および、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体のエレクトレット、が含まれる。
さらに無機および有機複合の圧電体の例には、PZT−シロキサン−ポリ(メタ)アクリレートコンポジット、および、ポリ乳酸とリン酸カルシウムもしくはモンモリロナイトとのコンポジット、が含まれる。
上記溝は、上記圧電体に形成されており、上記圧電体を平面視したときに圧電体を素子単位に応じて区画する。上記素子単位には、電極まで区画されるメインユニットと、電極を共有するサブユニットとが含まれ、上記溝は、そのいずれのユニットを形成する溝であってもよい。上記溝は、通常、圧電体に複数形成され、一方向に並列していてもよいし、交差する二方向(例えば互いに直交する二方向)のそれぞれに並列していてもよい。
上記溝の幅は、狭いほど圧電体をより多く区画することができる。このような観点から、上記溝の幅は、5〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
上記溝の深さは、超音波振動子の構造に応じて適宜に決めることが可能である。たとえば、上記溝の深さは、上記圧電体の厚さ未満であってもよいし、厚さ以上であってもよい。
図1Aは、溝を有する圧電体の第1の態様を模式的に示す斜視図である。圧電体10は、図1Aに示されるように、複数の平行な溝20を有する。溝20は、圧電体10の厚さ未満の深さを有している。図1Bは、当該第1の態様の変形例を模式的に示す斜視図である。圧電体10の溝20は、圧電体10の厚さ分の深さを有していてもよい。当該変形例は、例えば、図1Aに示す圧電体10の下面を研磨することによって作製され得る。
なお、本発明の実施の形態を図示するに際し、接着剤やFPC、電極、バッキング材などの圧電体以外の他の構成を適宜に省略することがある。したがって、上記の他の構成が示されていないことによって、上記図で示される形態がこれらの他の構成を有していないと解すべきではないことを、念のために述べておく。
図1Cは、溝を有する圧電体の第2の態様を模式的に示す斜視図である。圧電体11は、図1Cに示されるように、第1圧電板11a、第2圧電板11bおよび第3圧電板11cをこの順で重ねてなる積層体である。第1圧電板11a、第2圧電板11bおよび第3圧電板11cは、いずれも同じ特性を有する圧電板でもよいし、互いに異なる特性を有する圧電板であってもよい。たとえば、第1圧電板11aから第3圧電板11cのそれぞれは、第1圧電板11aから第3圧電板11cへ、音響インピーダンスが徐々に小さくなるように、所定の音響インピーダンスを有していてもよい。圧電体11は、溝21a〜21cを有している。溝21aは、第3圧電板11cの表面から第1圧電板11aに至る深さを有している。溝21bは、第3圧電板11cの厚さと第2圧電板11bの厚さの和と同じ深さを有している。溝21cは、第3圧電板11cの厚さと同じ深さを有している。
上記目地材は、上記溝に充満している。上記目地材は、超音波振動子の目地材として知られている通常の材料によって構成され得る。上記目地材の例には、硬化性エポキシ樹脂の硬化物および硬化性シリコーンの硬化物が含まれる。
上記目地材は、気泡を含んでいる。当該気泡は、上記目地材中に直接形成されていてもよいし、上記目地材中に分散された中空のマイクロカプセルの内部空間であってもよい。
上記目地材の上記超音波振動子における平均空隙率は10%以上である。上記平均空隙率が低すぎると、上記目地材の音響インピーダンスが高くなりすぎ、また目地材によって圧電体の振動を過度に拘束することがある。上記平均空隙率は、音響インピーダンスおよび圧電体の拘束を抑制する観点、および、上記溝における空隙の分布をより均等にする観点から、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。上記平均空隙率は、圧電体を振動しやすくする観点からは高いほどよいが、超音波振動子の十分な機械的強度を確保する観点から、90%以下であることが好ましい。
上記目地材は、上記溝の長さ方向および深さ方向のいずれにおいても、上記気泡を均等に含んでいる。上記目地材中における気泡の均等な存在は、上記溝における、十分な数の気泡が含まれる十分な深さの領域中の、評価する断面における気泡の面積に基づいて評価することができる。たとえば、上記溝における深さ40μmの任意の領域の空隙率の、上記平均空隙率に対するばらつきは、±15%以内である。当該領域の幅は溝の幅と同じであり、当該領域の長さは40μmである。本発明においては、溝の幅は、後述する製造方法から明らかなように、気泡の大きさ以下となる。上記ばらつきが大きすぎると、上記区画間での圧電特性のばらつきが大きくなり、超音波振動子における所期の圧電特性が発現されないことがある。
上記区画間での圧電特性のばらつきを抑制する観点から、上記ばらつきは、±15%以下であることが好ましく、±10%以下であることがより好ましい。上記ばらつきは、小さいほど好ましいが、小さいほど歩留まりが良い傾向にある。
上記平均空隙率は、例えば、上記超音波振動子における上記溝の深さ方向に沿う断面および上記溝を横断する方向の断面のそれぞれから、上記溝の断面における深さ40μmの領域を任意に3箇所ずつ選び、それらの領域における空隙率の平均値として求めることができる。
上記ばらつきは、例えば、上記超音波振動子における上記溝の深さ方向に沿う断面および上記溝を横断する方向の断面のそれぞれから、上記溝の断面における長さ40μmの領域(溝の幅と同じ幅と、溝の深さ方向の長さまたは溝の平面方向における長さとを有する領域)を任意に3箇所ずつ選び、個々の当該領域の空隙率の上記平均空隙率に対するばらつきを常法に従って算出することによって求めることができる。
上記気泡の大きさは、上記溝に収まる範囲にあればよい。当該気泡の大きさは、上記の平均空隙率およびばらつきを実現させる観点から、上記溝の幅の0.2〜1.0倍であることが好ましく、0.3〜0.7倍であることがより好ましい。上記気泡の大きさは、当該気泡の大きさを代表する値であればよく、例えば、任意に選ばれた気泡の各領域における最大径の平均値であってよい。
上記超音波振動子では、上記溝が十分な空隙率を有する。よって、目地材が圧電体の振動を拘束しにくい。また、上記超音波振動子では、圧電体を区画する溝の空隙率が実質的に均一になる。よって、当該溝における音響インピーダンスが均一になる。また、圧電体の各区画間での圧電特性のばらつきが実質的に生じない。
上記目地材は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、さらなる材料を含んでいてもよい。たとえば、上記目地材は、スペーサー粒子をさらに含有していてもよい。
上記スペーサー粒子は、上記目地材の音響インピーダンスを調整する目的で添加される。当該スペーサー粒子の大きさは、上記溝に充填可能であり、かつ音に実質的な影響を及ぼさない範囲から決めることが可能である。当該スペーサー粒子の大きさは、上記の観点から、平均粒子径が20μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。上記スペーサー粒子の材料の例には、シリコーンおよびエポキシが含まれる。
上記スペーサー粒子の例には、シリコーン製のパウダーが含まれ、当該シリコーン製のパウダーの例には、信越化学工業株式社製のKMPシリーズおよびX−52シリーズ、東レ・ダウコーニング株式会社製のEPシリーズおよびDYシリーズ、および、モメンティブ社製のトスパールシリーズ(「トスパール」は同社の登録商標)、が含まれる。
また、上記超音波振動子は、上記圧電体に接着された音響整合層をさらに有していてもよい。当該音響整合層は、圧電体の音響特性と、圧電体から発生する超音波が照射される被検体の音響特性との間の音響特性を有する。当該音響整合層には、公知の音響整合層を利用することができる。
上記音響整合層は、上記音響整合層を区画するさらなる溝と、当該さらなる溝内に充満するさらなる目地材と、をさらに有していてもよい。図2Aは、圧電体および音響整合層を有する超音波振動子における溝の配置の第1の態様を模式的に示す斜視図であり、図2Bは、当該超音波振動子における溝の配置の第2の態様を模式的に示す斜視図である。また、図3Aは、上記超音波振動子における溝の配置の第3の態様を模式的に示す斜視図であり、図3Bは、当該超音波振動子における溝の配置の第4の態様を模式的に示す斜視図である。さらに、図4Aは、上記超音波振動子における溝の配置の第5の態様を模式的に示す斜視図であり、図4Bは、当該超音波振動子における溝の配置の第6の態様を模式的に示す斜視図である。
たとえば、上記超音波振動子は、図2Aに示されるように、その厚さと同じ深さの複数の平行な溝22を有する圧電体12と、溝を有さない音響整合層50とを有していてもよい。また、例えば、上記超音波振動子は、図2Bに示されるように、溝20および溝22を交互に有する圧電体13と音響整合層50とを有していてもよい。また、溝20は溝22、22の間に一つであってもよいし複数あってもよい。
また、例えば、上記超音波振動子は、図3Aに示されるように、溝22を有する圧電体12と、溝61を有する音響整合層51とを有していてもよい。溝61は、音響整合層51の厚さと同じ深さを有し、かつ圧電体21と音響整合層51の重なり方向において、溝22にそれぞれ連通している。また、例えば、上記超音波振動子は、図3Bに示されるように、圧電体13と、溝62を有する音響整合層52とを有していてもよい。溝62は、音響整合層52の厚さと同じ深さを有し、かつ溝22に対応して配置されており、上記重なり方向において溝22にそれぞれ連通している。また、溝20は溝22、22の間に一つであってもよいし複数あってもよい。
また、例えば、上記超音波振動子は、図4Aに示されるように、圧電体13と音響整合層51とを有していてもよい。溝61のそれぞれは、溝20および溝22のそれぞれと、上記重なり方向において連通している。また、溝20は溝22、22の間に一つであってもよいし複数あってもよい。また、例えば、上記超音波振動子は、図4Bに示されるように、溝22および溝23を有する圧電体14と、溝61および溝63を有する音響整合層53とを有していてもよい。溝22および溝23は、いずれも圧電体14の厚さと同じ深さを有し、互いに直交する向きに延出している。溝61および溝63も、いずれも音響整合層53の厚さと同じ深さを有し、互いに直交する向きに延出している。そして、溝61は溝22と、溝63は溝23と、それぞれ上記重なり方向において連通している。
上記さらなる目地材は、上記音響整合層の区画ごとの音響特性のばらつきを抑制する観点から、上記圧電体の目地材と同様に、気泡を均等に含むことが好ましい。すなわち、上記さらなる目地材は気泡を含み、上記さらなる目地材の上記音響整合層における平均空隙率は10%以上であり、上記さらなる溝における深さ40μmの任意の領域の空隙率の、上記平均空隙率に対するばらつきは±15%以内であることが、上記の観点から好ましい。
上記さらなる目地材は、上記圧電体のそれと同じであってもよいし、異なっていてもよい。同様に、上記さらなる目地材における上記平均空隙率、上記さらなる溝におけるばらつきは、いずれも、上記圧電体における対応するそれらと同様に求めることが可能であり、また上記圧電体における対応するそれらと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記さらなる溝は、図3Bに示されるように、上記圧電体と上記音響整合層との積層方向において、上記圧電体を区画する溝の一部に連通していてもよいし、図3A、図4Aおよび図4Bに示されるように、上記積層方向において、上記圧電体を区画する溝の全部に連通していてもよい。
一連の上記溝を埋める目地材は、圧電体に対応する部分と音響整合層に対応する部分とで同一の材料(発泡粒子および充填剤)で構成されていてもよく、当該目地材がこのように構成されていることは、製造の簡素化の観点から有利である。また、上記目地材は、圧電体に対応する部分と音響整合層に対応する部分とで異なる材料で構成されていてもよく、当該目地材がこのように構成されていることは、当該部分の音響特性をより精密に調整する観点から好ましい。
さらに、上記超音波振動子は、上記以外の構成を、例えば、超音波を吸収するためのバッキング部材や、バッキング部材に担持され、上記圧電体を担持する電極などをさらに有していてもよい。これらのさらなる構成は、公知の超音波振動子におけるそれらと同様に構成することができる。
上記超音波振動子は、以下の製造方法によって製造することができる。当該製造方法は、圧電体を素子単位に区画する溝を上記圧電体に形成する溝形成工程と、上記溝に未発泡粒子を充填する工程と、上記溝に充填された上記未発泡粒子を発泡させる(以下、未発泡粒子を発泡させたものを「発泡粒子」とも言う)工程と、上記未発泡粒子を発泡させた後の上記溝に、硬化性を有する未硬化の充填剤を充填する工程と、上記溝に充填された上記充填剤を硬化させる工程と、を含む。発泡した上記発泡粒子は、上記の気泡となり、硬化した上記充填剤は、上記の目地材となる。
上記溝形成工程は、圧電体の公知の加工方法を利用して行うことが可能である。たとえば、上記の溝は、上記圧電体の厚さが10μm以上であれば、ダイアモンドカッターなど公知の加工機にて行うことができ、10μm未満であれば、Micro Electro Mechanical Systems(MEMS)加工によって行うことができる。当該溝形成工程によって、例えば、図5Aに示される圧電体10に、図5Bに示される複数の溝20が形成される。
上記未発泡粒子は、未発泡の状態で上記溝に充填される。上記未発泡粒子は、一種でもそれ以上でもよい。当該未発泡粒子の例には、樹脂製のマイクロカプセル中に揮発性の液体が収容されてなる発泡性マイクロカプセルが含まれ、より具体的には、マツモトマイクロスフェアーF、FNシリーズ(松本油脂製薬株式会社製、「マツモトマイクロスフェアー」は同社の登録商標)およびExpancel未膨張グレード(アクゾノーベル社製、「Expancel」は同社の登録商標)が含まれる。
上記未発泡粒子は、そのまま、または液媒に分散させて、上記溝に充填することが可能である。上記未発泡粒子の充填は、常圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。上記未発泡粒子の充填を減圧下で行うことは、溝の端部まで未発泡粒子を十分に行き渡らせる観点から好ましい。
上記未発泡粒子を発泡させる工程では、上記未発泡粒子に応じた条件下に圧電体を置くことにより行うことが可能である。たとえば、上記未発泡粒子であれば、130℃程度の温度に加熱することによって、当該未発泡粒子を発泡させることが可能である。未発泡粒子の発泡も、常圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。未発泡粒子の発泡を減圧下で行うことは、未発泡粒子の発泡をより低い温度で行い、発泡のための加熱による圧電体の圧電性の低下を抑制する観点から好ましい。
未発泡粒子を液媒に分散させて溝に充填した場合には、未発泡粒子の発泡後に上記液媒を溝から除去することが好ましい。当該液媒は、上記溝から吸い出されてもよいし、例えば減圧下で蒸発させてもよい。後に溝に充填される充填剤に対して溶解せず、またその比重が充填剤のそれよりも十分に小さい場合には、上記溝に充填される充填剤に置換することで上記溝から排出させてもよい。
上記充填剤は、上記未発泡粒子を発泡させた後に上記溝に充填される。上記充填剤は、硬化性を有し、超音波振動子の溝の目地材として使用される通常の成分から適宜に選ぶことができる。上記充填剤は、一種でもそれ以上でもよい。上記充填剤の例には、流動性の高い一液性もしくは二液性の、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂(ポリウレタン)、およびその前駆体が含まれる。
当該シリコーン樹脂の例には、モメンティブ社製TSE3663、XE12−B2543、信越化学工業株式会社製KE471W、KE108、KE118、KE66およびKE200、および、東レ・ダウコーニング株式会社製SE9206L、EE−9000、EE−9100、が含まれる。
上記エポキシ樹脂の例には、株式会社テスク製C1163、および、三井化学株式会社製ストラクトボンドEH−455NF、が含まれる。
上記充填剤を減圧下で溝に充填することは、発泡した発泡粒子の隙間や上記溝の底まで十分に充填剤を行き渡らせる観点から好ましい。当該充填剤を上記溝に十分に行き渡らせることは、超音波振動子の機械的強度を十分に高める観点から好ましい。
上記充填剤の硬化は、その充填剤に応じた条件に上記圧電体を置くことにより行うことが可能である。たとえば、上記溝に未硬化の充填剤を充填した圧電体を、室温〜70℃の温度で硬化させることにより、充填剤を硬化させることが可能である。充填剤の硬化を減圧下で行うことは、硬化のための加熱による圧電体の圧電性の低下を抑制する観点から好ましい。
上記充填剤が硬化することにより、上記溝は、発泡した発泡粒子および上記溝間の隙間に充満する硬化後の充填剤によって満たされる。こうして、図5Cに示されるように、均等に分散した気泡30を含有する目地材40が構成される。
上記製造方法は、本実施の形態に係る効果が得られる範囲において、前述の工程以外の他の工程をさらに含んでいてもよい。たとえば、上記製造方法は、スペーサー粒子を上記溝に充填する工程をさらに含んでいてもよい。
上記スペーサー粒子を溝に充填する工程は、充填剤を硬化させる前のいかなるタイミングでも行うことが可能である。当該スペーサー粒子は、通常、上記目地材の音響インピーダンスを調整する目的で溝に充填される。たとえば、上記スペーサー粒子は、未発泡粒子と混合されて、あるいは上記液媒と混合されて、あるいは上記充填剤と混合されて、あるいは当該スペーサー粒子をそのままで、上記溝に充填されてもよい。
また、上記製造方法は、図6Aに示されるような上記溝を形成する前の圧電体10に、図6Bに示されるように音響整合層50を接着する工程(「前接着工程」とも言う)をさらに含んでもよい。この場合、上記溝形成工程では、図6Cに示されるような圧電体10と音響整合層50との両方を上記素子単位に区画する溝24が形成される。圧電体10への音響整合性50の接着は、公知の接着剤を用いて行うことが可能である。また、溝24は、圧電体10の溝と同様に形成することが可能である。上記前接着工程を含む上記製造方法によれば、図6Dに示されるような音響整合層50から圧電体10に至る一連の溝24を満たす目地材41を有する超音波振動子が製造される。
あるいは、上記製造方法は、図7Aから図7Cに示されるように上記充填剤を硬化した後の圧電体10に、図7Dに示されるような音響整合層50を接着する工程(「後接着工程」とも言う)と、図7Eに示されるように上記素子単位に応じた区画に音響整合層50を素子単位に区画するさらなる溝64を音響整合層50に形成する工程と、溝64に未発泡粒子を充填する工程と、溝64に充填された未発泡粒子を発泡させる工程と、未発泡粒子を発泡させた後の溝64中の未硬化の充填剤を充填する工程と、溝64に充填された上記充填剤を硬化させる工程と、をさらに含んでもよい。上記後接着工程を含む上記製造方法によれば、例えば、図7Fに示されるような、音響整合層50の溝64の一部が圧電体10の溝20と連通し、それぞれの溝20、64に満たされる目地材40、42を有する超音波振動子が製造される。
さらに、上記製造方法は、追分極工程をさらに含んでいてもよい。上記追分極工程は、例えば未発泡粒子の発泡や充填剤の硬化などのための加熱により圧電体が損なった分極特性を回復させる工程である。追分極工程は、例えば、超音波振動子を室温〜60℃で抗電界に相当する電圧の1.5〜3倍の電圧をかけることによって行うことが可能である。追分極を行う工程は、上記製造方法における如何なるタイミングでも行うことが可能である。
さらに、上記製造方法は、溝を形成した圧電体を、例えばバッキング材とフレキシブルプリント基板とで構成されている基材に貼り付ける工程をさらに含んでいてもよい。この場合、上記溝は、例えば図5Bに示されるように、圧電体の厚さ未満の深さを有することが、圧電体が有する溝の幅を揃える観点から好ましい。上記の工程をさらに含むことは、曲率半径が5〜100mm程度の凸曲面上にも圧電体を配置することが可能となり、例えば医療用の超音波探触子を構成する観点から好ましい。また、上記凸曲面に貼り付けられた圧電体の溝の幅は、底から開口に向けてわずかに暫時増加する。その溝に発泡した発泡粒子を生成し、溝と発泡粒子の間に細かい隙間ができる。このため、毛細管現象によって充填剤が上記隙間に流れ込みやすく、また流出しにくい。よって、シリコーン系の充填剤のような、比較的流れやすい充填剤を用いる場合により効果的である。
なお、上記超音波振動子は、前述の製造方法以外の他の方法で製造されてもよい。たとえば、上記超音波振動子は、発泡ポリウレタンや発泡シリコーンなど(例えばTSE5000)の発泡性を有する発泡剤のスラリーに、当該スラリーの表面張力を制御する添加剤を混ぜて、それを上記溝に充填し、次いで、充填剤を溝に充填し硬化させることで製造されてもよい。上記スラリーの表面張力を制御することで、発泡ポリウレタンや発泡シリコーンの発泡をコントールすることが可能となり、上記溝中の上記気泡の大きさや空隙率などをコントロールすることが可能である。この方法では、発泡性を有する発泡剤を用いて上記超音波振動子を製造することが可能である。
また、上記超音波振動子は、上記溝の幅よりも十分に小さな溶解性粒子を上記充填剤に混合して上記溝に充填し、次いで、あるいは上記充填剤を硬化した後に、上記溶解性粒子を溶剤への浸漬などによって上記溶剤に溶解させて、上記充填剤(上記目地材)に空隙を形成することによって製造されてもよい。上記溶解性粒子は、上記溶剤によって溶解する粒子であり、一種でもそれ以上でもよく、その例には、アクリル樹脂系の粒子およびポリスチレン系の粒子が含まれる。また、上記溶剤は、硬化前または硬化後の上記充填剤を実質的に溶解せずに上記溶解性粒子を溶解させる液体であり、その例には、アセトン、クロロホルムおよびジクロロメタンが含まれる。
上記音響整合層を有する上記超音波振動子は、超音波探触子に好適に用いられる。すなわち、当該超音波探触子は、上記超音波振動子と、上記音響整合層に接着された音響レンズとを有する。当該音響レンズは、被検体に向かって照射される超音波に所期の焦点を与える部材であり、当該音響レンズには、公知の音響レンズを利用することができる。上記超音波探触子は、前述の本実施の形態に係る超音波振動子を有する以外は、公知の超音波探触子と同様に構成することが可能である。
上記超音波探触子は、超音波撮像装置に好適に用いられる。当該超音波撮像装置は、上記超音波探触子を有する以外は、公知の超音波撮像装置と同様に構成することが可能である。当該超音波撮像装置は、例えば、医療用超音波診断装置や非破壊超音波検査装置などに好適である。
図8Aは、本実施の形態に係る超音波撮像装置の構成を模式的に示す図であり、図8Bは、当該超音波撮像装置の電気的な構成を示すブロック図である。
超音波撮像装置200は、図8Aに示されるように、装置本体201と、装置本体201にケーブル203を介して接続されている超音波探触子202と、装置本体201上に配置されている入力部204および表示部209と、を有する。
装置本体201は、図8Bに示されるように、入力部204に接続されている制御部205と、制御部205およびケーブル203に接続されている送信部206および受信部207と、受信部207および制御部205のそれぞれと接続されている画像処理部208と、を有する。なお、制御部205および画像処理部208は、それぞれ表示部209と接続されている。
入力部204は、例えば、診断開始などを指示するコマンドや被検体の個人情報などのデータを入力するための装置であり、例えば、複数の入力スイッチを備えた操作パネルやキーボードなどである。
制御部205は、例えば、マイクロプロセッサや記憶素子、その周辺回路などを備えて構成され、超音波探触子202、入力部204、送信部206、受信部207、画像処理部208および表示部209を、それぞれの機能に応じて制御することによって超音波診断装置200の全体の制御を行う回路である。
送信部206は、例えば、制御部205からの信号を超音波探触子202に送信する。受信部207は、例えば、超音波探触子202からの信号を受信して制御部205または画像処理部208へ出力する。
画像処理部208は、例えば、制御部205の制御に従い、受信部207で受信した信号に基づいて被検体内の内部状態を表す画像(超音波画像)を形成する回路である。たとえば、画像処理部208は、被検体の超音波画像を生成するDigital Signal Processor(DSP)、および、当該DSPで処理された信号をディジタル信号からアナログ信号へ変換するディジタル−アナログ変換回路(DAC回路)などを有している。
表示部209は、例えば、制御部205の制御に従って、画像処理部208で生成された被検体の超音波画像を表示するための装置である。表示部209は、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどの表示装置や、プリンタなどの印刷装置などである。
図9は、超音波探触子202の構成を模式的に示す図である。超音波探触子202は、図9に示されるように、超音波トランスデューサー100と、超音波トランスデューサー100を収容するホルダ210とを有する。ホルダ210は、超音波探触子202の表面に音響レンズ170が露出するように、超音波トランスデューサー100を保持している。超音波トランスデューサー100のFPC120は、ケーブル203の先端に配置されたコネクタ211に接続されている。なお、図9中、超音波トランスデューサー100の構成の一部は、省略されている。
図10は、超音波トランスデューサー100の構成を模式的に示すための図である。超音波トランスデューサー100は、バッキング層110、フレキシブルプリント基板(FPC)120、圧電体130、溝140、141、目地材150、音響整合層160および音響レンズ170を有する。
バッキング層110は、バッキング材によって構成されており、圧電体130を支持し、不要な超音波を吸収し得る超音波吸収体である。すなわち、バッキング層110は、圧電体130における被検体、例えば生体、に超音波を送受信する方向と反対の面(裏面)に装着され、被検体の方向の反対側に発生する超音波を吸収する。
バッキング層110の材料の例には、天然ゴム、エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、および、これらの材料の少なくともいずれかと酸化タングステンや酸化チタン、フェライトなどの粉末との混合物をプレス成形した樹脂系複合材、が含まれる。上記熱可塑性樹脂の例には、塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ABS樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリエチレングリコール、および、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体、が含まれる。中でも樹脂系複合材、その中でも特にゴム系複合材料またはエポキシ樹脂系複合材が好ましい。バッキング層110の形状は、圧電体130の平面形状や超音波トランスデューサー100、これを含む超音波探触子202などの形状に応じて、適宜に決めることができる。
FPC120は、例えば、圧電体130のための一対の電極と接続される、後述の超音波振動子に対応したパターンの配線を有する。各超音波振動子には、FPC120にて電極が取り付けられ、コンピューターでプログラムした超音波の送受信駆動により、任意のビームフォーミングが可能となる。たとえば、FPC120は、一方の電極となる信号引き出し配線と、図示しない他方の電極に接続されるグランド引き出し配線とを有する。FPC120は、上記の適当なパターンを有していれば、市販品であってもよい。
上記電極の材料の例には、金、白金、銀、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、スズ、および、これらの金属元素を含む合金、が含まれる。たとえば、上記電極は、まず、チタンやクロムなどの下地金属をスパッタ法により0.002〜1.0μmの厚さに形成し、次いで、上記材料を、さらには必要に応じて絶縁材料を部分的に、スパッタ法、蒸着法その他の適当な方法で0.02〜10μmの厚さに形成することによって作製される。上記電極は、微粉末の金属粉末と低融点ガラスを混合した導電ペーストをスクリーン印刷やディッピング法、溶射法によって当該導電ペーストの層を形成することによって作製することも可能である。
なお、バッキング層110とFPC120は、例えば、当該技術分野で通常使用される接着剤(例えば、エポキシ系接着剤)で接着され得る。
圧電体130は、前述した本実施の形態に係る圧電体であり、当該圧電体を素子単位に区画する溝140、141には、気泡が分散されている目地材150を有する。たとえば、圧電体130は、前述した積層体で構成され、圧電体130の厚さは、例えば0.05〜0.4mmである。圧電体130は、FPC120に、例えば導電性接着剤によって接着されている。当該導電性接着剤は、例えば、銀粉や銅粉、カーボンファイバーなどの導電性材料を含有する接着剤である。
溝140は、圧電体130の表面からバッキング層110に至る深さを有し、溝141は、圧電体130の表面から圧電体130内に至る深さを有している。溝140は、超音波振動子のメインユニットを区画しており、溝141は、1主素子中に並列する三つのサブユニットを区画している。溝140、141は、いずれも、例えばダイシングソーによる溝切り加工によって形成されており、その幅は、例えば15〜30μmである。
なお、上記メインユニットにおけるピッチ(溝140の中心間距離)は、例えば0.15〜0.30mmであり、上記サブユニットにおけるピッチ(隣り合う溝(溝141または溝140)の中心間距離)は、例えば0.05〜0.15mmである。
目地材150は、溝140および141に充満している。目地材150の材料の例には、前述したように、エポキシ樹脂、シリコーンおよびこれらの混合物、の硬化物が含まれる。
上記エポキシ樹脂は、例えば、エポキシ樹脂のプレポリマーと、当該プレポリマー間に架橋ネットワークを形成するための充填剤とを含有するプレポリマー組成物の硬化物として構成される。
上記プレポリマーの例には、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル(フェニレン、ビフェニレン骨格を含む)樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂などのフェノール樹脂が含まれる。
上記充填剤の例には、アミン系充填剤が含まれ、当該アミン系充填剤の例には、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジンなどのトリアジン化合物、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、および、トリエタノールアミンが含まれる。
音響整合層160は、圧電体130と後述の音響レンズ170との音響特性を整合させるための層である。音響整合層160は、例えば接着剤によって圧電体130および音響レンズのそれぞれを接着している。音響整合層160は、圧電体130と音響レンズ170との概ね中間の音響インピーダンスZa(Mrayl(=×10kg/(m秒)))を有する。なお、圧電体130の上記被検体側(表面側)には、例えば、前述の他方の電極を介して配置される。
音響整合層160は、単層でも積層でもよいが、音響特性の調整の観点から、音響インピーダンスが異なる複数の層の積層体であることが好ましく、例えば2層以上、より好ましくは4層以上である。音響整合層160の厚さは、λ/4であることが好ましい。λは、超音波の波長である。音響整合層160は、例えば、種々の材料で構成することが可能である。音響整合層160のZaは、音響レンズに向けて音響レンズのZaに、段階的または連続的により近づくように設定されていることが好ましく、例えば、当該材料に添加する添加剤の種類および含有量によって調整することが可能である。
上記材料の例には、アルミニウム、アルミニウム合金(例えばAl−Mg合金)、マグネシウム合金、マコールガラス、ガラス、溶融石英、コッパーグラファイトおよび樹脂が含まれる。当該樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、ナイロン6やナイロン66などのナイロン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂およびウレタン樹脂が含まれる。上記添加剤の例には、亜鉛華、酸化チタン、シリカやアルミナ、ベンガラ、フェライト、酸化タングステン、酸化イットリビウム、硫酸バリウム、タングステン、モリブデン、ガラス繊維およびシリコーン粒子が含まれる。
音響整合層160のZaを調整する観点から、例えば、音響整合層160の表面部は、エポキシ樹脂で構成されているとともにシリコーン粒子を含有していることが好ましい。後述するように、音響レンズ170の材料であるシリコーンを音響整合層160の基材中に分散して存在させると、音響整合層160のZaを音響レンズ170のそれに近づけることが可能である。
なお、音響整合層160の各層は、例えば、当該技術分野で通常使用される接着剤(例えば、エポキシ系接着剤やシリコーン系接着剤など)で接着されている。
たとえば、上記シリコーン系接着剤は、シリコーンを基材に含む硬化性の化合物または組成物である。当該シリコーン系接着剤は、音響整合層160同士、または、音響整合層160および音響レンズ170の両方、に対する親和性を高めるための添加剤や、接着すべき両者の音響特性を整合させるための添加剤などの種々の添加剤をさらに含有していてもよい。
上記シリコーン系接着剤は、室温で硬化する液状ゴム(RTVゴム)でもよいし、加熱によって硬化させる液状ゴムであってもよい。また、上記シリコーン系接着剤は、一液型であってもよいし、二液型であってもよい。上記シリコーン系接着剤の例には、KE−441、KE−445、KE−471W、KE−1600、KE−1604、KE−1884、KE−1885、KE−1886、KE−4895、KE−4896、KE−4897、およびKE−4898(いずれも信越化学工業株式会社製)や、TN3005、TN3305、TN3705、TSE3976−B、ECS0600、およびECS0601(いずれもモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)などが含まれる。
音響レンズ170は、例えば、被検体と音響整合層160との中間のZaを有する軟質の高分子材料により構成される。当該高分子材料の例には、シリコーン系ゴム、ブタジエン系ゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、および、エチレンとプロピレンとを共重合させてなるエチレン−プロピレン共重合体ゴム、が含まれる。中でも、上記高分子材料は、シリコーン系ゴムおよびブタジエン系ゴムからなることが好ましい。
上記シリコーン系ゴムの例には、シリコーンゴムおよびフッ素シリコーンゴムが含まれる。特に、音響レンズの特性の観点からは、シリコーンゴムが好ましい。当該シリコーンゴムとは、Si−O結合からなる分子骨格を有し、そのSi原子に複数の有機基が主結合したオルガノポリシロキサンをいい、通常は、その主成分はメチルポリシロキサンで、その全体の有機基のうち90%以上がメチル基である。上記シリコーンゴムは、上記メチルポリシロキサンのメチル基の少なくとも一部が、水素原子、フェニル基、ビニル基またはアリル基も置き換わっていてもよい。
上記シリコーンゴムは、例えば、高重合度のオルガノポリシロキサンに過酸化ベンゾイルなどの硬化剤(加硫剤)を混練し、加熱加硫し硬化させることにより得ることができる。音響レンズ170における音速の調整や密度の調整などの目的に応じ、シリカやナイロン粉末などの有機または無機の充填剤や、硫黄や酸化亜鉛などの加硫助剤などがさらに添加されてもよい。
上記ブタジエン系ゴムの例には、ブタジエンのホモポリマーであるブタジエンゴム、および、ブタジエンを主体としこれに少量のスチロールまたはアクリロニトリルが共重合した共重合ゴム、が含まれる。特に、音響レンズの特性の観点から、ブタジエンゴムであることが好ましい。ブタジエンゴムとは、共役二重結合を有するブタジエンの重合により得られる合成ゴムをいう。ブタジエンゴムは、共役二重結合を有するブタジエンが1,4位で、または1,2位で、単独で重合することにより得ることができる。ブタジエンゴムは、さらに、硫黄などにより加硫させてもよい。
シリコーン系ゴムおよびブタジエン系ゴムからなる音響レンズ170は、例えば、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとを混合し、加硫硬化させることにより生成することが可能である。たとえば、音響レンズ170は、シリコーンゴムとブタジエンゴムとを適宜割合で混練ロールにより混合し、過酸化ベンゾイルなどの加硫剤を添加して加熱加硫して架橋(硬化)させることにより、得ることができる。
上記の場合、加硫助剤として、酸化亜鉛をさらに添加してもよい。酸化亜鉛は、音響レンズ170のレンズ特性を実質的に損なわずに加硫を促進し、加硫時間を短縮することできる。他に、着色剤や音響レンズの特性を損なわない範囲内で他の添加剤を添加してもよい。シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合割合は、適宜設定することができる。たとえば、音響レンズ170のZaは、被検体のそれに近似するとともに、音響レンズ170内における音速が被検体のそれよりも小さく、音響レンズ170のZaの減衰がより少なくなるように設定されていることが好ましい。このような観点から、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合割合は、1:1が好ましい。
なお、超音波トランスデューサー100は、超音波トランスデューサー100における音響レンズ170以外の部分を封止する保護層を含んでいてもよい。当該保護層は、例えば、超音波トランスデューサー100における音響整合層160およびそれよりも圧電体130側の構成を一体的に覆う層であり、これらの構成への物理的または化学的な刺激から上記の構成を保護するための層である。上記保護層は、物理的および化学的な安定性を有する材料で構成されていることが好ましく、例えば、エポキシ樹脂やポリパラキシリレンなどの、物理的および化学的に比較的安定な樹脂で構成され得る。当該保護層は、例えば、前述したパリレンコーティングにより作製される。
上記保護層の厚さは、その所期の機能を発現するとともに、超音波トランスデューサー100における所期の音響特性を発現可能な範囲で、適宜に決めることができる。当該保護層の厚さは、例えば、2〜4μmである。当該厚さであれば、保護層の音響インピーダンスが、音響整合層160および音響レンズ170のそれよりも高かったとしても、超音波トランスデューサー100の所期の音響特性を十分に発現させることが可能である。
超音波トランスデューサー100が上記保護層を有する場合では、音響レンズ170は、上記保護層に接着される。この場合、上記保護層の厚さが可能な限りで十分に薄いことが、超音波トランスデューサー100の所期の音響特性を実現する観点から好ましい。
超音波撮像装置200では、制御部205が入力部204からの信号を受信し、生体などの被検体に対して超音波(第1超音波信号)を送信させる信号を送信部206に出力するとともに、当該第1超音波信号に基づく被検体内から来た超音波(第2超音波信号)に応じた電気信号を受信部207に受信させる。
超音波探触子202の超音波トランスデューサーには、超音波トランスデューサー100が使用されている。圧電体130から超音波が送信されると、当該超音波は、音響整合層160および音響レンズ170を伝わり、人体などの被検体に送られる。そして、当該被検体内で反射し、音響レンズ170および音響整合層160を伝わり、圧電体130に受信される。たとえば、受信された超音波は、その振幅および周波数帯域に応じた電気信号に、圧電体130によって変換される。
圧電体130は、十分かつ均等な気泡を有する目地材150で溝140、141がそれぞれ満たされていることから、目地材150の音響インピーダンスを十分に低減させることができるとともに、十分な機械的強度を発現させることができる。このため、圧電体130における各素子単位間での圧電体の振動の拘束が小さくなり、また音響特性のばらつきが抑制され、その結果、ばらつきが小さくかつ高い指向性と感度を有する超音波を出力することが可能となる。
受信部207で受信した電気信号は、画像処理部208に送られて当該電気信号に応じた画像信号に処理される。当該画像信号は、表示部209に送られて、当該画像信号に応じた画像が表示部209に表示される。表示部209は、また、入力部204から入力された、制御部205を介して送られる情報に基づき、当該情報に応じた画像および操作(文字の表示、表示された画像の移動や拡大など)も表示する。
超音波撮像装置200は、超音波測定において、高い指向性と感度で超音波を出力する。このため、超音波撮像装置200は、目地材150中の気泡が少ない、あるいは偏在する従来の超音波撮像装置に比べて、より高い空間分解能を得ることができ、よって、より精密かつ信頼性がより高い測定結果を得ることができる。
超音波撮像装置200は、医療用の超音波診断装置に適用される。超音波撮像装置200は、この他にも、魚群探知機(ソナー)や非破壊検査用の探傷機などの、超音波による探査結果を画像や数値などで表示する装置に適用され得る。
以上の説明から明らかなように、上記超音波振動子は、圧電体と、上記圧電体を素子単位に区画する溝と、上記溝内に充満する目地材とを有し、上記目地材は気泡を含み、上記目地材の上記超音波振動子における平均空隙率は10%以上であり、かつ上記溝における深さ40μmの任意の領域の空隙率の上記平均空隙率に対するばらつきは±15%以内である。よって、本実施の形態によれば、狭い溝であっても目地材中に気泡がより均等に存在する超音波振動子を提供することができる。
上記気泡が上記目地材中に含有された発泡粒子によって構成されていることは、上記平均空隙率および上記ばらつきを所期の範囲に容易に調整する観点からより一層効果的である。
また、上記目地材がスペーサー粒子をさらに含有することは、上記目地材における音響インピーダンスを所期の値に容易に調整する観点からより一層効果的である。
また、上記超音波振動子が上記圧電体に接着された音響整合層をさらに有することは、圧電体と被検体との音響特性を整合させる観点からより一層効果的である。
また、上記音響整合層が上記音響整合層を素子単位に区画するさらなる溝と、上記さらなる溝内に充満するさらなる目地材とをさらに有し、上記さらなる目地材が気泡を含み、上記さらなる目地材の上記音響整合層における平均空隙率が10%以上であり、かつ上記さらなる溝における深さ40μmの任意の領域の空隙率の上記平均空隙率に対するばらつきが±15%以内であることは、隣り合う素子の音響特性を合わせ、かつ高い感度と指向性で超音波を出力させる観点からより一層効果的である。
また、上記さらなる溝が、上記圧電体と上記音響整合層との積層方向において、上記圧電体を区画する溝の一部または全部に連通していることは、音響整合層を有する超音波振動子を簡易に製造し、また隣り合う素子の音響特性を合わせる観点からより一層効果的である。
また、上記製造方法は、圧電体を素子単位に区画する溝を上記圧電体に形成する溝形成工程と、上記溝に未発泡粒子を充填する工程と、上記溝に充填された上記未発泡粒子を発泡させる工程と、上記未発泡粒子を発泡させた後の上記溝に、硬化性を有する未硬化の充填剤を充填する工程と、上記溝に充填された上記充填剤を硬化させる工程とを含む。よって、本実施の形態によれば、狭い溝であっても目地材中に気泡がより均等に存在する超音波振動子を提供することができる。
上記製造方法がスペーサー粒子を上記溝に充填する工程をさらに含むことは、上記目地材における音響インピーダンスを所期の値に容易に調整する観点からより一層効果的である。
また、上記製造方法が、上記溝を形成する前の上記圧電体に音響整合層を接着する工程をさらに含み、上記溝形成工程が上記圧電体と上記音響整合層の両方を上記素子単位に区画する溝を形成する工程であることは、音響整合層を有する超音波振動子を簡易に製造し、また隣り合う素子の音響特性を合わせる観点からより一層効果的である。
また、上記製造方法が、上記充填剤を硬化した後の上記圧電体に音響整合層を接着する工程と、上記素子単位に応じた区画に上記音響整合層を素子単位に区画するさらなる溝を上記音響整合層に形成する工程と、上記さらなる溝に未発泡粒子を充填する工程と、上記さらなる溝に充填された上記未発泡粒子を発泡させる工程と、上記未発泡粒子を発泡させた後の上記さらなる溝に未硬化の充填剤を充填する工程と、上記さらなる溝に充填された上記充填剤を硬化させる工程と、をさらに含むことは、音響整合層により好適な目地材および音響特性を実現し、出力される超音波の指向性と感度を高める観点からより一層効果的である。
また、上記超音波探触子は、上記の超音波振動子と、上記音響整合層に接着に接着された音響レンズと、を有する。よって、本実施の形態によれば、より高い指向性と感度の超音波を出力可能な超音波探触子を提供することができる。
また、上記超音波撮像装置は、上記の超音波探触子を有する。よって、本実施の形態によれば、より高い分解能と感度の超音波撮像装置を提供することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。
[実施例1]
圧電体として、厚さ800μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の板(PZT板)を常法に従って用意した。そして、幅15μmの並列する複数の溝をダイシングによってPZT板に形成した。隣り合う溝間の距離は、約80μmである。
上記PZT板の上記溝に、未発泡粒子(未発泡の発泡剤、松本油脂製薬株式会社製「マイクロスフィアFN−80GS」、平均粒子径:6〜10μm)を溝に充填した。次いで、上記PZT板を140℃付近まで加熱して、未発泡粒子を発泡させた。
上記未発泡粒子の粉体を加熱して当該未発泡粒子を発泡させた物体の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した写真を、図11A、図11Bに示す。上記未発泡粒子は、加熱により膨張し、中空の発泡粒子を構築する。なお、図示の写真では多孔質体のように示されているが、これは、未発泡粒子の集合体を加熱したためである。
次いで、上記溝にエポキシ樹脂(株式会社テクス社製、「C1163」)を減圧下で充填し、上記未発泡粒子が発泡してなる中空の発泡粒子で満たした。次いで、上記PZT板を60℃程度に加熱し4時間、上記エポキシ樹脂を硬化させた。こうして、上記エポキシ樹脂の硬化物中に分散する上記発泡粒子を含有してなる目地材1を作製し、超音波振動子1を得た。
超音波振動子1およびその溝の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した写真を図12、図13にそれぞれ示す。図12および図13に示されるように、超音波振動子1の溝には、上記発泡粒子による気泡が均一かつ緻密に充填されている。目地材1における深さ40μmの領域を任意に3箇所選び出し、これらの領域における空隙率を求め、平均空隙率を求めたところ、目地材1の平均空隙率は72%であった。また、いずれの上記領域の空隙率の上記平均空隙率に対するばらつきは、±10%の範囲内であった。
[比較例1]
上記PZT板の溝に、下記組成の充填剤を減圧下で充填し、上記PZT板を70℃程度に加熱して上記エポキシ樹脂を硬化させ、目地材C1を作製し、超音波振動子C1を得た。なお、下記中空フィラーは、アクゾノーベル社製の「Expancel」(粒径20〜30μm)である。
中空フィラー 体積比率50%
上記エポキシ樹脂 C1163 体積比率50%
別途作製した上記充填剤の硬化物の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した写真を図14に示す。上記中空フィラーによる気泡は、上記エポキシ樹脂中に分散しているが、100μm四方程度の領域でみたときに、気泡の粗密が観察される。
超音波振動子C1およびその溝の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した写真を図15に示す。図15に示されるように、超音波振動子C1の溝には、気泡がまばらに、かつ不均一に存在している。目地材C1における深さ40μmの領域を任意に3箇所選び出し、これらの領域における空隙率を求め、平均空隙率を求めたところ、目地材C1の平均空隙率は25%であった。また、いずれの上記領域の空隙率の上記平均空隙率に対するばらつきは、±25%の範囲内であった。
[シミュレーション]
次いで、上記の超音波振動子C1に加えて、超音波振動子C2、C3を設定した。超音波振動子C2は 本発明における目地材を有し、前述の実施例1(超音波振動子1)に相当する。超音波振動子C3は、充填剤にシリコーンTSE3663を使用し、本発明でもっとも好ましい80%まで平均空隙率をあげたものに相当する。超音波振動子C2、C3ともに、平均空隙率に対するばらつきは、±10%とした。
超音波振動子C1、C2およびC3のそれぞれのエレメントファクター(指向性)を、Weidlinger Associates社製の圧電波動解析ソフトウェア「PZFlex」を用いて求めた。より詳しくは、インパルスで超音波振動子を駆動させ、エレベーション方向の音響焦点距離にて音波放出点を中心として扇状にスキャンしたときの、そのエコーパルスの振幅の最大値となる角度、当該最大値から−3dBになる角度、および当該最大値から−6dBになる角度、のそれぞれを求めた。
上記最大値は、上記エレベーション方向(超音波振動子の正面)となるので、0°である。上記−3dBとなる角度、および、上記−6dBになる角度が大きい程、より強いエコーパルスがより広範囲に出射されることがわかる。超音波振動子C1、C2およびC3の目地材の音響インピーダンスZaと、当該シミュレーションの結果とを表1に示す。
表1中、「0°(dB)」は、超音波振動子C1の正面での感度(上記最大値)を「0dB」としたときの、超音波振動子C2、C3における正面(0°)の相対感度を表している。また、「−3dB(°)」、「−6dB(°)」は、各超音波振動子において、上記相対感度がそれぞれ−3dB、−6dBとなるときの角度(°)を表している。
表1に示されるように、超音波振動子C1に比べて、均一に分散する気泡を含む目地材を有する超音波振動子C2、C3では、いずれの感度と指向性の数値のばらつきが小さい。よって、より感度と指向性のばらつきが小さい超音波探触子が得られることがわかる。また、目地材の空隙率がより高い超音波振動子C3の指向性のいずれの数値と感度も、超音波振動子C2のそれに比べてより高い。よって、目地材における均一に分散する気泡による空隙率が高い程、より高い感度と指向性のよい超音波探触子が得られることがわかる。
本発明によれば、感度と指向性のばらつきが小さく、かつ感度と指向性のよい超音波探触子がもたらされ得る。したがって、本発明によれば、超音波撮像装置のさらなる普及が期待される。
10〜14、130 圧電体
11a 第1圧電板
11b 第2圧電板
11c 第3圧電板
20、21a〜21c、22〜24、61〜64、140、141 溝
30 気泡
40〜42、150 目地材
50〜53、160 音響整合層
100 超音波トランスデューサー
110 バッキング層
120 フレキシブルプリント基板(FPC)
170 音響レンズ
200 超音波撮像装置
201 装置本体
202 超音波探触子
203 ケーブル
204 入力部
205 制御部
206 送信部
207 受信部
208 画像処理部
209 表示部
210 ホルダ
211 コネクタ

Claims (12)

  1. 圧電体を素子単位に区画する溝を前記圧電体に形成する溝形成工程と、
    前記溝に未発泡粒子を充填する工程と、
    前記溝に充填された前記未発泡粒子を発泡させる工程と、
    前記未発泡粒子を発泡させた後の前記溝に硬化性を有する未硬化の充填剤を充填する工程と、
    前記溝に充填された前記充填剤を硬化させる工程と、を含む、超音波振動子の製造方法。
  2. スペーサー粒子を前記溝に充填する工程をさらに含む、請求項1に記載の超音波振動子の製造方法。
  3. 前記溝を形成する前の前記圧電体に音響整合層を接着する工程をさらに含み、
    前記溝形成工程は、前記圧電体と前記音響整合層の両方を前記素子単位に区画する溝を形成する工程である、
    請求項1または2に記載の超音波振動子の製造方法。
  4. 前記充填剤を硬化した後の前記圧電体に音響整合層を接着する工程と、
    前記素子単位に応じた区画に前記音響整合層を区画するさらなる溝を前記音響整合層に形成する工程と、
    前記さらなる溝に未発泡粒子を充填する工程と、
    前記さらなる溝に充填された前記未発泡粒子を発泡させる工程と、
    前記未発泡粒子を発泡させた後の前記さらなる溝に硬化性を有する未硬化の充填剤を充填する工程と、
    前記さらなる溝に充填された前記充填剤を硬化させる工程と、
    をさらに含む、請求項1または2に記載の超音波振動子の製造方法。
  5. 圧電体と、前記圧電体を素子単位に区画する溝と、前記溝内に充満する目地材と、を有する超音波振動子であって、
    前記目地材は、気泡を含み、
    前記目地材の前記超音波振動子における平均空隙率は、10%以上であり、
    前記溝における深さ40μmの任意の領域の空隙率の前記平均空隙率に対するばらつきは、±15%以内である、
    超音波振動子。
  6. 前記気泡は、前記目地材中に含有された発泡粒子によって構成されている、請求項5に記載の超音波振動子。
  7. 前記目地材は、スペーサー粒子をさらに含有する、請求項5または6に記載の超音波振動子。
  8. 前記圧電体に接着された音響整合層をさらに有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の超音波振動子。
  9. 前記音響整合層は、前記音響整合層を素子単位に区画するさらなる溝と、前記さらなる溝内に充満するさらなる目地材と、をさらに有し、
    前記さらなる目地材は、気泡を含み、
    前記さらなる目地材の前記音響整合層における平均空隙率は、10%以上であり、
    前記さらなる溝における深さ40μmの任意の領域の空隙率の前記平均空隙率に対するばらつきは、±15%以内である、
    請求項8に記載の超音波振動子。
  10. 前記さらなる溝は、前記圧電体と前記音響整合層との積層方向において、前記圧電体を区画する溝の一部または全部に連通している、請求項9に記載の超音波振動子。
  11. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の超音波振動子と、前記音響整合層に接着に接着された音響レンズと、を有する、超音波探触子。
  12. 請求項11に記載の超音波探触子を有する、超音波撮像装置。
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