JP2010021812A - 圧電振動子の製造方法 - Google Patents

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【課題】圧電振動子間の固有周波数のバラツキが少ない圧電振動子を提供する。
【解決手段】セラミックス板に電極を形成してセラミックス部分に分極処理を行って作製した圧電セラミックスに、複数本の平行な溝を形成する工程を経て、圧電振動子を製造するにあたり、圧電セラミックスに関して予め設定した固有周波数f、溝に関して予め設定した溝間の幅w、溝の深さdに対し、実際に圧電セラミックスを作製したときに、その固有周波数fを測定し、それらに基づき、下記式(1)により、実際に形成する溝の深さdを求め、その深さdに溝を形成する工程を経て圧電振動子を製造する。(r−r)/r=α×(f−f)/f(1)(式中、r=w/d、r=w/d、αは特定の固有周波数帯において同様の事例にて予め測定した値から算出した実数である)
【選択図】図6

Description

本発明は、厚み方向の振動(縦振動)を利用する圧電振動子の製造方法に関し、さらに詳しくは、超音波洗浄機に使用するのに適した圧電振動子の製造方法に関する。
圧電振動子の縦振動を利用する用途の一つとして、超音波洗浄機の超音波の発生源としての圧電振動子の使用がある。この超音波洗浄機への使用においては、平面形状が長方形状で板状のセラミックス圧電振動子を1枚ないし複数枚洗浄槽に貼り付けて、圧電振動子の縦方向の共振周波数または反共振周波数を利用して超音波を発生させている。
そして、半導体ウェハなど、不純物や微細なゴミ・塵などを極端に嫌う物品の洗浄に使用する精密超音波洗浄機に圧電振動子を使用する場合、被洗浄物を均一に洗浄するために、その精密超音波洗浄機の全発振面をカバーする必要があり、そのため、複数の圧電振動子を洗浄槽に取り付けることが多い。
このような複数の圧電振動子を用いる場合においても、それら複数の圧電振動子を一つの電気回路で制御するのが一般的であり、そのため、各圧電振動子の固有周波数はできるだけ均一であることが望まれる。
また、圧電振動子を上記用途で使用するには、それぞれの圧電振動子の振幅が、最も効率的に得られるように、圧電振動子の固有周波数[つまり、圧電振動子が有する共振周波数(fr)または反共振周波数(fa)]に発信器の周波数を調整して各圧電振動子を駆動させる必要がある。
ところで、このような圧電振動子は、一般に、窯業プロセスで製造されたセラミックスを、機械加工により研磨、切断などの寸法加工を行って板状にした後、そのセラミックス板の主面に電極を形成し、その電極間に直流電圧を印加して分極することにより製造されるものである。従って、複数の圧電振動子間においては、加工寸法などにある程度のバラツキが発生することは避けられず、それに伴って、固有周波数にある程度のバラツキが発生することは避けられない。
特に圧電振動子を前記のような精密超音波洗浄機に用いる場合は、複数の圧電振動子間の共振周波数(fr)もしくは反共振周波数(fa)などの固有周波数のバラツキが、精密超音波洗浄における均一性に大きく影響を与えることになる。
また、上記用途において使用する圧電振動子の固有周波数は、当該圧電振動子を搭載する超音波洗浄機の設計仕様、例えば、被洗浄物から除去したい物質の粒子径などに応じて設計され、その固有周波数値は、数百kHzから数MHzまでの幅広い範囲に及ぶ。従って、必要とする音圧や音響インピーダンス等の音響的特性、機械的強度などにより、振動を担うセラミック部分について、ある程度の機械的加工を行う必要がある。
この機械的加工としては、対象となる圧電振動子が窯業プロセスで製造されたセラミックスである場合、その加工のしやすさから、セラミックス自身の体積率を調整する、すなわち、切削装置などを用いて予め設定した形成ピッチ、幅、深さなどで溝を形成しつつ、それらを調整することによって微調整を施すのが合理的な方法の一つである。
ところで、本出願人は、先に、上記のような超音波洗浄機に使用するのに適した圧電振動子として、圧電セラミックスと有機高分子とを特定の態様下で一体化することにより、厚み方向に対する電気機械結合係数ktが高く、かつ音響インピーダンスが低いコンポジット圧電振動子を提供し、それを超音波洗浄機に使用して、超音波洗浄機を音圧ムラが少なく、従って、洗浄ムラの少ないものとしてきた(特許文献1)。
しかしながら、上記のようなコンポジット圧電振動子は、圧電振動子としても使用可能な圧電セラミックスの一部を切削して形成した溝に有機高分子を特定の態様で充填して一体化することによって製造されるので、従来の圧電セラミックスのみで構成される圧電振動子に比べて、製造プロセスが増えることになる。その結果として、複数のコンポジット圧電振動子間においては、それらの固有周波数のバラツキが、圧電セラミックスに対して溝の形成や有機高分子とのコンポジット化などをしない圧電振動子の場合よりも大きくなりがちであり、そのため複数のコンポジット圧電振動子を用いた超音波洗浄機では、音圧のバラツキが大きくなり、最終的に洗浄ムラが発生するという問題があった。
特許第3856380号公報
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解消し、複数の圧電振動子間の固有周波数のバラツキが少ない圧電振動子、特に複数のコンポジット圧電振動子間の固有周波数のバラツキが少ないコンポジット圧電振動子を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、セラミックス板に電極を形成してセラミックス部分に分極処理を行って作製した圧電セラミックスに、複数本の平行な溝を形成する工程を経て、特定の特性を有する圧電振動子を製造するにあたり、作製する圧電セラミックスに関して予め設定した固有周波数f、形成する溝に関して予め設定した溝間の幅w、溝の深さdに対し、実際にセラミックス板に電極を形成してセラミックス部分に分極処理を行って圧電セラミックスとした後、該圧電セラミックスの固有周波数fを測定し、それらの値に基づき、下記式(1)により、実際に形成する溝の深さdを求め、その求めた深さdに溝を形成する工程を経て圧電振動子を製造することにより、複数の圧電振動子間の固有周波数のバラツキが少ない圧電振動子を提供できるようにしたものである。
(r−r)/r=α×(f−f)/f(1)
(式中、r=w/d、r=w/d、αは特定の固有周波数帯において同様の事例にて予め測定した値から算出した実数である)
本発明によれば、複数の圧電振動子間の固有周波数のバラツキが少ない圧電振動子を提供することができる。
つまり、本発明では、上記のように、実際に作製した圧電セラミックスの固有周波数を測定し、その固有周波数にあわせて、溝の形成を行って圧電振動子を製造するので、溝形成前の圧電セラミックス板の固有周波数のバラツキに基づく圧電振動子の固有周波数のバラツキを減少させることができ、それによって、複数の圧電振動子間の固有周波数のバラツキが少ない圧電振動子を提供することが可能になる。そして、その効果は、特に圧電振動子がコンポジット圧電振動子の場合において顕著に発現させることができる。
そして、上記のように、固有周波数のバラツキが少ない圧電振動子を提供できるようになった結果、音圧分布が少なく、洗浄ムラの少ない超音波洗浄機を提供することができる。
本発明は、特にコンポジット圧電振動子の製造にあたって適用することにより、その特徴をより顕著に発揮させることができるので、以下、本発明を実施するための最良の形態を、コンポジット圧電振動子を例に挙げ、かつ図面を参照しつつ説明する。
まず、図面の説明をすると、図1は本発明に係るコンポジット圧電振動子の一例を模式的に示す斜視図で、(a)はその一方の面側から見た状態、つまり、正負電極を取り出す面側から見た状態を示し、(b)は上記一方の面と厚み方向に対向する面側から見た状態、つまり、(a)に示す側とは反対側から見た状態を示しており、図2は図1の(b)におけるA−A線断面を拡大して模式的に示す断面図である。そして、図3は図1に示すコンポジット圧電振動子の図2に示す状態のものの圧電セラミックス部分のみを模式的に示す断面図である。
図1に示すコンポジット圧電振動子は、圧電セラミックス1と有機高分子2と上記圧電セラミックス1の面上にのみ形成された電極3とで構成され、有機高分子2中には図2に示すように気泡2aが混入しており、この気泡2aの体積は2で示される有機高分子の体積中の大半を占めている。上記電極3は一方の電極3aと他方の電極3bとで構成され、上記圧電セラミックス1の一方の面には少なくとも一方の電極3aが形成されると共にマージン部4が設けられ、この図1に示すコンポジット圧電振動子では、他方の電極3bは圧電セラミックス1の他方の面と一つの側面と前記一方の面とに形成され、この他方の電極3bと上記一方の電極3aとは上記マージン部4によって絶縁されている。したがって、この図1に示すコンポジット圧電振動子では、コンポジット圧電振動子の同一面〔図1の(a)に示す一方の電極3aが形成されると共にマージン部4が設けられている面〕から正負電極の取り出しができる。なお、本発明に係るコンポジット圧電振動子においては、上記説明からも明らかなように、電極はいずれも圧電セラミックス1の面上にのみ形成されていて、有機高分子2の面上には形成されていない。また、他方の電極3bは、上記図1に示す場合だけでなく、図5に示すように、圧電セラミックス1の他方の面と一つの側面のみに形成してもよい。この場合のコンポジット圧電振動子からの正負電極の取り出しは、コンポジット圧電振動子の一方の電極3aが形成されている他方の電極3bが形成されている側面から行われる。
つぎに、圧電セラミックスに形成される溝について図3を参照しつつ説明する。図3は図2に示すコンポジット圧電振動子の断面図に対応する圧電セラミックス1の断面図であり、圧電セラミックス1にはその厚み方向に溝1aが形成され、その溝には図2に示すように有機高分子2が気泡2aが混入した状態で充填されているが、この溝1aは前記のように作製した圧電セラミックス1の固有周波数を実測し、それに基づいて、前記式(1)から求められる深さdで形成されている。そして、その溝1aの深さdは圧電セラミックス1の厚みtの20〜90%(d/t×100=20〜90%)が好ましく、特に50〜80%がより好ましく、50%以上70%未満がさらに好ましい。そして、上記溝1aの形成により凸状となった圧電セラミックス1の幅、つまり、圧電セラミックス1の溝間の幅wと溝1aの深さdとの比(溝間の幅w/溝1aの深さd)は、コンポジット圧電振動子の圧電特性中心に考慮すると、0.2〜1.5が好ましく、0.3〜1.2がより好ましいが、加工工数の低減や、より高い周波数のコンポジット圧電振動子(このようなコンポジット圧電振動子は厚さが薄くなるため、溝深さを深くできず、w/dは必然的に高めの数値になる)の機械的強度をも考慮すると、0.5〜1程度がさらに好ましい。なお、本発明において、圧電セラミックス1とは電極を含まないものをいい、したがって、圧電セラミックス1の厚みtや圧電セラミックス1に形成される溝1aの深さdには電極の厚みを含まない。また、この圧電セラミックス1に形成される溝1aは、例えば、図1の(b)〔ただし、この図1の(b)では溝に有機高分子2が充填されている〕からも明らかなように、圧電セラミックス1の上記他方の電極3bの大部分が形成されている他方の面から上記一方の電極3aが形成されている一方の面に向かいかつ上記他方の電極3bが形成されている圧電セラミックス1の側面に対して垂直方向に形成され、図に示すものでは3本平行に形成されているが、この溝1aの本数は圧電セラミックスの幅と、設定する溝幅によって決まるものであるが、本発明では、複数溝間の幅wを式(1)に算入するので、溝の本数は複数である必要がある。
なお、本発明を適用するためには、特定事例において予め式(1)におけるα(このαは、いわゆる補正値となるもので、特定の固有周波数帯において同様の事例にて予め測定した値から算出した実数)を決定しなければならないので、そのためには、最低3個以上の圧電セラミックスを作製し、それぞれ加工後の特性を測定する必要がある。上記値は特性を測定する圧電セラミックスの数が増えればより正確な値に近づき、5個以上がより好ましい。
また、本発明は、厚みtが0.5〜5mmの圧電セラミックスに溝を形成する場合に適している。
つぎに、電極3の構成について説明する。これらの図に示すものでは、電極3は前記のように圧電セラミックス1の一方の面に形成された一方の電極3aとその大部分が圧電セラミックス1の上記一方の面とは厚み方向に対向する他方の面に形成されている他方の電極3bとで構成される。
図1の(a)に示す状態の場合は、圧電セラミックスは全面に残っていて、この面では、電極は広い面積を有する一方の電極3aとマージン部4を介して他方の電極3bの一部とが形成されている。上記のマージン部4とは電極が形成されていない部分(すなわち、圧電セラミックスの露出した部分)であり、その結果、一方の電極3aと他方の電極3bとはマージン部4によって絶縁され、一方の電極3aと他方の電極3bとは異極の電極となり得る。なお、上記において、この図1の(a)に示す状態では、圧電セラミックスが全面に残っていると記載しているが、圧電セラミックスの上には電極が形成されているため、露出しているのはマージン部4に相当する部分のみである。また、上記マージン部4は、図1の(a)に示すような直線状のものだけでなく、例えば、図4に示すように、一部が湾曲して非直線状になったものであってもよい。
一方、図1の(b)に示す状態の場合は、図2に示すように、圧電セラミックス1の溝に充填された有機高分子2が存在するため、圧電セラミックス1と有機高分子2とが交互に配置した状態で存在し、圧電セラミックス1の面上にのみ他方の電極3bが形成されている。ただし、上記他方の電極3bの一部は、圧電セラミックス1の一つの側面を跨ぐようにして、その側面と前記一方の面の一部に一方の電極3aとはマージン部4を介して形成されている。なお、この他方の電極3bの一部を形成する圧電セラミックス1の側面にはエッジ部での電極切れによる不導通を防止するためR加工またはC面加工を施しておくことが好ましい。
また、本発明に係るコンポジット圧電振動子では、図5に示すように、他方の電極3bは圧電セラミックス1の側面を跨がず一つの側面と他方の面のみに形成されていてもよい。この場合は、コンポジット圧電振動子からの正負電極の取り出しはコンポジット圧電振動子の一方の電極3aが形成されている一方の面と前記他方の電極3bの一部が形成されている側面から行うことができる。
このように、上記例示のコンポジット圧電振動子では、電極3を前記特定の一方の電極3aと他方の電極3bとで構成するようにしているので、コンポジット圧電振動子の同一面または一方の面と側面とからの正負電極の取り出しが可能であり、それによって、従来の超音波洗浄機用圧電振動子と同様の取り扱いができ、超音波洗浄機への取り付けにあたって作業性の低下を招くようなことはない。
なお、上記例示のコンポジット圧電振動子は、いずれも、他方の電極3bが側面にまで伸びたコンポジットタイプのものであるが、本発明に係るコンポジット圧電振動子は、それに限定されることなく、例えば、一方の電極3aおよび他方の電極3bがコンポジット圧電振動子の対向主表面に形成された擬2−2コンポジットタイプのものとしてもよいし、擬1−3コンポジットタイプのものにしてもよい。ただし、この場合においては、溝形成により分割されたセラミックスの各部位と超音波洗浄機の被接合部材(振動板など)とを電気的に導通するように接合する必要がある。
本発明において、圧電セラミックスとは、セラミックス板に所定の電極を形成した後、セラミックス部分を分極処理することによって圧電性を持たせるようにしたものを言い、そのセラミックスとしては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックス(以下、「PZT系セラミックス」と略す)、チタン酸鉛系セラミックス、ニオブ酸鉛系セラミックスなどが比較的高い電気機械結合係数ktを有することから好適に用いられる。
本発明において、圧電セラミックスに形成する溝の深さは圧電セラミックスの厚みに対して20%〜90%が好ましいが、これは、溝の深さが圧電セラミックスの厚みの20%未満では、厚み方向に対する電気機械結合係数ktが高くならないため強い音圧を得ることができず、また溝の深さが圧電セラミックスの厚みの90%を超えると、圧電セラミックスの強度が落ちてしまい溝の形成が困難になってしまうからである。そして、この溝の深さは圧電セラミックスの厚みに対して50〜80%にすることが電気機械結合係数ktの向上と圧電セラミックスの強度低下防止を図る観点からより好ましく、特に圧電セラミックスの強度低下防止を重視しつつ電気機械結合係数ktの向上を図る際には、この溝の深さを圧電セラミックスの厚みに対して50%以上70%未満にするのがさらに好ましい。本発明においては、前記のように、この溝深さを溝加工前の圧電セラミックスの固有周波数に応じて変動させる。
本発明のコンポジット圧電振動子において、溝の形成により凸部となった圧電セラミックスの幅、つまり、溝間の幅wと溝の深さdとの比(溝間の幅w/溝の深さd)は0.2〜1.5が好ましい。これは、この比が1.5より大きい場合は、厚み方向の電気機械結合係数ktが高い値を示さず、また、この比が0.2より小さい場合は、溝の形成が困難になる上に、電気機械結合係数ktの向上が飽和に達してしまうため無意味となるからである。そして、この溝間の幅wと溝の深さdとの比としては0.3〜1.2がより好ましく、0.5〜1がさらに好ましい。
本発明のコンポジット圧電振動子における有機高分子としては、例えば、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂などの室温硬化型または熱硬化型の有機高分子が用いられる。そして、本発明においては、その有機高分子中に気泡を混入させているが、これは、気泡を混入させることにより、有機高分子の硬化時における体積膨張を緩和することができ、それによって、コンポジット圧電振動子の製造時における有機高分子の硬化に基づく体積膨張により圧電セラミックスが破壊されるのを防止することができるからである。
この有機高分子中に気泡を混入させるにあたっては、市販のプラスティックマイクロバルーンを用い、それを有機高分子の液体または粉体中に均一に分散させておくことが好ましい。これは、そうしておくことによって、有機高分子の硬化時の加熱により、上記プラスティックバルーンが膨張されて有機高分子中に気泡が混入された状態になるからである。また、上記プラスティックマイクロバルーンの使用に代えて、例えば、アクリロニトリル系共重合樹脂などの有機高分子中にノルマルペンタンなどの液体を分散状態で含有させておいても、該有機高分子が所定温度に加熱されることによって、有機高分子が軟化し、かつ、有機高分子中に含有させた液体が気化して気泡となるので、前記プラスティックマイクロバルーンと同様の効果が期待できる。
また、上記のように気泡を有機高分子中に混入させておくことによって、有機高分子の比重が低下して圧電振動子としての振動阻害を低減させることができ、またコンポジット圧電振動子の比重が低くなることから、音響インピーダンスが小さくなり、溶媒に伝わる音波強度が大きくなるという利点もある。
つぎに、本発明のコンポジット圧電振動子の製造方法について説明する。
ここでは、より分かり易くするため、セラミックスの形状は板状にし、その一面に複数本の溝を形成し、溝間の幅wは一定値に設定するものとし、対象とする固有周波数は反共振周波数のみとして説明する。
本発明のコンポジット圧電振動子の製造方法における工程の一例を、図6にその概略を簡略化した状態で示す。ただし、本発明では、セラミックス板に電極を形成してセラミックス部分に分極処理を行って圧電セラミックスとし、その圧電セラミックスに複数本の平行な溝を形成する工程を経て特定の特性を有する圧電振動子とするが、まず、その準備段階として、製造しようとする圧電振動子に持たせようとする固有周波数にあわせて、圧電セラミックスを特定の固有周波数fに作製し、溝をその圧電セラミックスに特定の溝間の幅w、特定の溝の深さdで形成するように設定する。
製造方法を図6を参照しつつ説明すると、まず、セラミックスを作製し、そのセラミックスの厚みを調整して板状にしてセラミックス板とした後、そのセラミックス板に前記所定の電極を形成してセラミックス部分に分極処理を行って、圧電セラミックスとする。
そして、上記のようにして得られた複数個の圧電セラミックスについて、それぞれの固有周波数(反共振周波数)fを測定する。
前述した通り、得られた圧電セラミックスは、いずれもがその設定した固有周波数fになるとは限らず、バラツキが存在している。そこで、そのバラツキを圧電セラミックスに形成する溝の深さdを少し変えることによって、得られる圧電振動子の固有周波数のバラツキを少なくする。そのために、以下のことを行う。
まず、測定した圧電セラミックスの固有周波数において最大値を示したサンプルと最小値を示したサンプル、および、全体の平均値に最も近いサンプルの三点について、それらのそれぞれに対して、設定した特定深さdの溝形成を行って圧電振動子とし、その圧電振動子の固有周波数を測定する(なお、ここでは複数溝間の幅wは一定と想定しているが、たとえ幅が変動しても手順は同じである)。そして、各圧電セラミックスに対して種々の深さの溝形成後の固有周波数の変化について、最小二乗法を用いてグラフにプロットする。そして、得られる圧電振動子に持たせようとする固有周波数(目的反共振周波数)について、上記各圧電セラミックスに対して適正と思われる溝深さdの値をピックアップし、(r−r)/rと(f−f)/fとの両変数におけるそれぞれの値をプロットし、最小二乗法に基づいて各点に対しできるだけ近似した箇所で直線グラフによって外挿し、その傾きαを算出・決定する。
得られたα値に基づいて、先に作製しその固有周波数fを測定しておいた各圧電セラミックスのそれぞれに対し、下記の式(1):
(r−r)/r= α×(f−f)/f(1)
に対応する数値を代入して、形成する溝の深さdを求める。
求めた深さdに溝を形成し、その溝に有機高分子を充填した後、有機高分子を硬化させて、圧電セラミックスと気泡が混入した状態の有機高分子とを一体化させて複合化し、必要に応じて、不要の有機高分子を除去することによって、コンポジット圧電振動子が製造される。
以上、コンポジット圧電振動子を例に挙げて説明してきたが、コンポジット化しない圧電振動子は、圧電セラミックスに溝を形成した段階で完成される。そして、このコンポジット化していない圧電振動子においても、前記コンポジット圧電振動子の場合と同様の理由により、溝の深さは圧電セラミックスの厚みに対して20〜90%が好ましく、50〜80%がより好ましく、50%以上70%未満がさらに好ましい。また、溝間の幅(つまり、溝の形成により凸状となった圧電セラミックスの幅)と溝の深さとの比(溝間の幅/溝の深さ)は、前記の通り、0.2〜1.5が好ましく、0.3〜1.2がより好ましいが、加工工数の低減や、より高い周波数の圧電振動子における機械的強度をも考慮すると、0.5〜1がさらに好ましい。
本発明により製造される圧電振動子は、圧電セラミックスの固有周波数に応じて形成する溝の深さを変えているので、得られる圧電振動子間の固有周波数のバラツキが小さく、例えば、超音波洗浄時に適用した場合に、音圧分圧が少なく、その結果、洗浄ムラが少ない超音波洗浄機を提供することができる。
また、本発明の方法により製造されるコンポジット圧電振動子は、圧電セラミックスの溝に気泡を混入した状態の有機高分子を充填した構造を有しているので、本来的に、その電気機械結合係数ktが高く、音響インピーダンスが低く、その特性を生かして、特に超音波洗浄機に使用するのが適しているが、それ以外にも、例えば、胆石や腎臓結石の破壊用の医療用機械器具などにも使用できる可能性がある。
なお、本発明では、圧電セラミックスの固有周波数に応じて圧電セラミックスに形成する溝の深さを変えたが、圧電セラミックスの固有周波数に応じて、圧電セラミックスに形成する溝の幅を変えたり、複数溝間の幅を変えた場合にも、本発明と同様の効果が期待できる。
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
〔試料となる圧電セラミックスの作製〕
PZT系圧電セラミックス構成用粉体とバインダー、可塑剤、溶剤および分散剤とを混合・混練し、押し出し成形機にて成形して、所定厚みのグリーンシートを得た。得られたグリーンシートを所定の大きさにカットして、セラミックス構成用成形体とし、そのセラミックス構成用成形体を脱脂した後、1200℃で焼成して、PZT系セラミックスを得た。このセラミックスを両面研磨機にて所定の厚みに加工し、その後、ダイシングマシーンを使用して、所定の長さ、幅に加工した。加工後、側面の一つにR付け加工を施し、PZT系セラミックス板を得た。
上記セラミックス板に対して、銀ペーストを用いてスクリーン法で一方の面にマージン部を残して印刷し、他方の面には全面印刷し、R加工を施した側面に銀ペーストを塗布した後、700℃で焼き付けて、厚み0.01mmの銀電極を形成した。このPZT系セラミックス板の電極の両端に所定強度の直流電圧を印加してセラミックス部分に分極処理を行い、所定形状の電極を有する圧電セラミックスを得た。
〔式(1)におけるαの決定〕
上記工程により作製した電極を有する圧電セラミックスのそれぞれについて、周波数−インピーダンス特性をHP社(現アジレントテクノロジー社)製インピーダンス/ゲイン・フェーズアナライザー4194Aを用いて測定し、厚み方向の固有周波数として反共振周波数faを求めた。なお、以降の周波数−インピーダンス特性の測定も、全て上記装置を用いて行う。
得られた反共振周波数は、圧電セラミックスに関して予め設定しておいた固有周波数(f=1960kHz)に対し、平均値で1960kHz、最大値は1978kHz、最小値は1940kHzであった。
これら固有周波数を求めた圧電セラミックスのうち、反共振周波数が最大値、最小値および平均値であったものを選び出し、ダイシングマシーンを使用して、図1に示す構造のコンポジット圧電振動子を形成できるように、これらの圧電セラミックスに他方の面(つまり、全面に電極を形成した側の面)からマージン部を有する側の面に向かいかつR加工を施した側面に対して垂直方向に、ピッチ0.7mm、幅0.1mm(従って、溝間の幅wは0.6mmである)で、かつ所定深さ(圧電セラミックスの厚さ方向に対する深さ)で溝を形成し、その都度、反共振周波数を測定した。この際の所定深さとは、圧電セラミックスの厚みに対する溝の深さを50%、60%、70%と変化させたものであり、深さが最も浅い50%(なお、この溝の深さを示す%は、圧電セラミックスの厚みに対する溝の深さを%で表示したものであるが、簡略化して、単に「溝の深さ」と表示する場合が多い)の場合から溝形成および反共振周波数の測定を行い、その後、溝の深さを60%まで溝形成を行った後、反共振周波数の測定を行い、最後に溝の深さを70%まで溝形成を行った後、反共振周波数の測定を行った。これらの溝形成および反共振周波数の測定は上記選択した3つの圧電セラミックスのそれぞれに対して同様に行った。
次に、溝を形成した場合の溝深さと溝の形成により変化した反共振周波数との関係について、特定溝深さの範囲に渡ってグラフを作成した。得られたグラフを用いて、反共振周波数が1750kHz(この1750kHzという反共振周波数は、製造する圧電振動子に持たせようとして設定した反共振周波数値である)、圧電セラミックスの厚みに対する溝の深さが62.5%のときの実際に形成する溝の深さを読み取った。そして、その読み取った値を基にして得られた溝の深さの比〔(r−r)/r〕をY軸、反共振周波数の差の比〔(f−f)/f〕をX軸として、グラフ上にプロットし、最小二乗法を用いることにより、各点に最も近似する直線を決定した。得られた直線のグラフ上の傾きαは−13.0であった。
〔コンポジット圧電振動子の作製〕
上記のようにして作製した圧電セラミックスの20枚を1セットとし、各圧電セラミックスに対して周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の反共振周波数を求めた。その結果、反共振周波数の平均値は1960kHz、最大値は1967kHz、最小値は1954kHzで、標準偏差率は、0.20%であり、各圧電セラミックスの反共振周波数から求めた(f−f)/f にあたる数値は表1に示す通りであった。
得られた圧電セラミックスの反共振周波数の測定値を基にして、前記の溝形成深さ−固有周波数の関係式により、各圧電セラミックスに対し、圧電振動子に持たせようとする反共振周波数1750kHzを得るのに必要となる溝形成深さ(ただし、溝間の幅wに対する溝深さの比:rで表示)をそれぞれ算出した。その結果を表1に示す。
Figure 2010021812
次に、刃幅0.1mmのブレードを取り付けたダイシングマシーンを使用して、図1に示す構造のコンポジット圧電振動子を形成できるように、圧電セラミックスに他方の面(つまり、全面に電極を形成した側の面)からマージン部を有する側の面に向かいかつR加工を施した側面に対して垂直方向に、前記算出した深さ(ただし、溝間の幅wに対する深さの比:r)で溝を形成した。その際、ダイシングマシーンのブレード送りピッチを溝の形成により凸部となる圧電セラミックスの幅、つまり、溝間の幅wは、0.6mmとなるように設定した。
溝形成後の圧電セラミックスに対して、周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の反共振周波数を求め、標準偏差値を算出した結果、0.12%であった。
さらに、上記のようにして形成した圧電セラミックスの溝にノルマルペンタンが封入されたアクリロニトリル系共重合樹脂を充填し、加熱により熱膨張させ、図2に例示するような気泡2aが混入された有機高分子2とし、その後、はみ出した樹脂を除去してコンポジット圧電振動子を得た。
上記のようにして得た20枚のコンポジット圧電振動子に対し、それぞれ周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の反共振周波数を求め、標準偏差率を算出した結果、0.14%であった。
このようにして作製した20枚のコンポジット圧電振動子について、その反共振周波数の標準偏差率の変化を示すと、圧電セラミックスの段階では、反共振周波数の標準偏差率が0.20%であったのに対し、コンポジット圧電振動子にした段階では、反共振周波数の標準偏差率が0.14%に減少していた。
比較例1
実施例1の〔試料となる圧電セラミックスの作製〕の項で述べたと同様の方法により、実施例1のものとは別途作製した設定固有周波数fが1960kHzの圧電セラミックス20枚を1セットとし、各圧電セラミックスに対して周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の固有周波数として厚み方向の反共振周波数faを求めた。その結果、反共振周波数の平均値は1960kHz、最大値は1967kHz、最小値は1953kHzであり、標準偏差率は、0.20%であった。
その反共振周波数の相違にかかわらず、すべての圧電セラミックスに対し、ダイシングによる溝形成時のブレード高さを一定にして、圧電セラミックスの厚み方向への溝深さを0.71mmと一定にした以外は、実施例1と同様に溝を形成した。
溝形成後の圧電セラミックスについて、周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の反共振周波数を求め、標準偏差率を算出した結果、0.40%であった。
次に、上記のようにして形成した圧電セラミックスの溝にノルマルペンタンが封入されたアクリロニトリル系共重合樹脂を充填し、加熱により熱膨張させ、図2に例示するような気泡2aが混入された有機高分子2とし、その後、はみ出した樹脂を除去してコンポジット圧電振動子を得た。
上記のようにして得た20個のコンポジット圧電振動子について、それぞれ周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の反共振周波数を求め、標準偏差率を算出した結果、0.43%であった。
このように、この比較例1では、反共振周波数の標準偏差率が、圧電セラミックスの段階では0.20%であったものが、コンポジット圧電振動子に仕上げた状態では、0.43%に増加していて、前記実施例1の場合がコンポジット圧電振動子の段階では0.14%と標準偏差率が圧電セラミックスの場合より30%減少していたのに比べて、2倍以上も大きくなっていた。
実施例2
実施例1の〔試料となる圧電セラミックスの作製〕の項で述べた方法と同様の方法により設定固有周波数fが1060kHzの圧電セラミックスを作製し、この圧電セラミックス20枚を1セットとし、各圧電セラミックスに対して周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の固有周波数として反共振周波数を求めた。その結果、反共振周波数の平均値は1060kHz、最大値は1072kHz、最小値は1049kHzであった。
これら固有周波数を求めた圧電セラミックスのうち、反共振周波数が最大値、最小値および平均値であったものを選び出し、それら3種の圧電セラミックスに、ダイシングマシーンを使用して、図1に示す構造のコンポジット圧電振動子を形成できるように、これらの圧電セラミックスに他方の面(つまり、全面に電極を形成した側の面)からマージン部を有する側の面に向かいかつR加工を施した側面に対して垂直方向に、ピッチ1.0mm、幅0.1mmで、かつ所定深さ(圧電セラミックスの厚みに対する深さ)で溝を形成し、その都度、反共振周波数を測定した。この際の所定深さとは、圧電セラミックスの厚みに対する溝の深さを60%、70%、80%と変化させたものであり、深さが最も浅い60%の場合から溝形成および反共振周波数の測定を行い、その後、溝の深さを70%まで溝形成を行った後、反共振周波数の測定を行い、最後に溝の深さを80%まで溝形成を行った後、反共振周波数の測定を行った。これらの溝形成および反共振周波数測定は上記選択した3つの圧電セラミックスのそれぞれに対して同様に行った。
次に、溝を形成した場合の溝深さと溝の形成により変化した反共振周波数との関係について、特定溝深さの範囲に渡ってグラフを作成した。得られたグラフを用いて、作製する圧電振動子の反共振周波数を950kHzとするための、圧電セラミックスに対し形成すべき溝の深さの値を読み取った。そして、読み取った値を基にして得られた溝の深さの比〔(r−r)/r〕をY軸、反共振周波数の差の比〔(f−f)/f〕をX軸として、グラフ上にプロットし、最小二乗法を用いることにより各点に最も近似する直線を決定した。得られた直線のグラフ上の傾きαは、−13.8であった。
〔コンポジット圧電振動子の作製〕
上記のようにして作製した圧電セラミックスの20枚を1セットとし、各圧電セラミックスに対して周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の反共振周波数を求めた。その結果、反共振周波数の平均値は1060kHz、最大値は1067kHz、最小値は1054kHzで、標準偏差率は、0.28%であり、各圧電セラミックスの反共振周波数から求めた(f−f)/f にあたる数値は表2に示す通りであった。
得られた圧電セラミックスの反共振周波数の測定値を基にして、前記の溝形成深さ−固有周波数の関係式、つまり、式(1)から、各圧電セラミックスに対し、作製する圧電振動子に持たせようとする反共振周波数950kHzを得るのに必要となる溝形成深さ(ただし、圧電セラミックスの溝間の幅wに対する溝深さの比:rで表示)をそれぞれ算出した。その結果を表2に示す。
Figure 2010021812
次に、刃幅0.1mmのブレードを取り付けたダイシングマシーンを使用して、図1に示す構造のコンポジット圧電振動子を形成できるように、圧電セラミックスに他方の面(つまり、全面に電極を形成した側の面)からマージン部を有する側の面に向かいかつR加工を施した側面に対して垂直方向に、前記算出した深さで溝を形成した。その際、ダイシングマシーンのブレード送りピッチを溝の形成により凸部となる圧電セラミックスの幅、つまり、溝間の幅wは、0.9mmとなるように設定した。
溝形成後の圧電セラミックスに対して、周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の反共振周波数faを求め、標準偏差値を算出した結果、0.15%であった。
さらに、上記のようにして形成した圧電セラミックスの溝にノルマルペンタンが封入されたアクリロニトリル系共重合樹脂を充填し、加熱により熱膨張させ、図2に例示するような気泡2aが混入された有機高分子2とし、その後、はみ出した樹脂を除去してコンポジット圧電振動子を得た。
上記のようにして得た20個のコンポジット圧電振動子に対し、それぞれ周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の反共振周波数を求め、標準偏差率を算出した結果、0.17%であった。
このようにして作製した20個のコンポジット圧電振動子について、その反共振周波数の標準偏差率の変化を示すと、圧電セラミックスの段階では、反共振周波数の標準偏差率が0.28%であったのに対し、コンポジット圧電振動子にした段階では、反共振周波数の標準偏差率が0.17%に減少していた。
比較例2
実施例1の〔試料となる圧電セラミックスの作製〕の項で述べたと同様の方法により、実施例2のものとは別途作製した設定固有周波数(設定反共振周波数)が1060kHzの圧電セラミックス20枚を1セットとし、各圧電セラミックスに対して周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の固有周波数として反共振周波数を求めた。その結果、反共振周波数の平均値は1060kHz、最大値は1066kHz、最小値は1054kHzであり、標準偏差率は、0.27%であった。
そのような反共振周波数の相違にかかわらず、すべての圧電セラミックスに対し、ダイシングによる溝形成時のブレード高さを一定にして、圧電セラミックスの厚み方向への溝深さを1.435mmと一定にした以外は、実施例2と同様に溝を形成した。
溝形成後の圧電セラミックスについて、周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の反共振周波数を求め、標準偏差率を算出した結果、0.43%であった。
次に、上記のようにして形成した圧電セラミックスの溝にノルマルペンタンが封入されたアクリロニトリル系共重合樹脂を充填し、加熱により熱膨張させ、図2に例示するような気泡2aが混入された有機高分子2とし、その後、はみ出した樹脂を除去してコンポジット圧電振動子を得た。
上記のようにして得た20枚のコンポジット圧電振動子について、それぞれ周波数−インピーダンス特性を測定し、厚み方向の反共振周波数faを求め、標準偏差率を算出した結果、0.46%であった。
このように、この比較例2では、反共振周波数の標準偏差率が、圧電セラミックスの段階では0.20%であったものが、コンポジット圧電振動子に仕上げた状態では、0.46%に増加していて、前記実施例2の場合がコンポジット圧電振動子の段階では0.17%と標準偏差率が圧電セラミックスの場合より0.09%減少していたのに比べて、0.18%も大きくなっていた。
以上の結果から、実施例のコンポジット圧電振動子は、比較例のコンポジット圧電振動子に比べ、反共振周波数の標準偏差率が小さく、本発明の圧電セラミックスの固有周波数に応じて溝の深さを決定して圧電振動子を製造する方法の効果が明らかであった。
本発明に係るコンポジット圧電振動子の一例を模式的に示す斜視図であって、(a)はその一方の電極を形成した面側から見た図で、(b)はその(a)に示す側とは反対側から見た図である。 図1の(b)におけるA−A断面を拡大して模式的に示す断面図である。 図1に示すコンポジット圧電振動子の図2に示す状態のものの圧電セラミックス部分のみを模式的に示す断面図である。 本発明に係るコンポジット圧電振動子の他の例を模式的に示す斜視図であって、その一方の電極を形成した側から見た図である。 本発明に係るコンポジット圧電振動子のさらに他の例を模式的に示す斜視図であって、その一方の電極を形成した側から見た図である。 本発明によりコンポジット圧電振動子を製造する際の工程を示す図である。
符号の説明
1 圧電セラミックス
1a 溝
2 有機高分子
2a 気泡
3 電極
3a 一方の電極
3b 他方の電極
4 マージン部

Claims (4)

  1. セラミックス板に電極を形成してセラミックス部分に分極処理を行って作製した圧電セラミックスに、複数本の平行な溝を形成する工程を経て、特定の特性を有する圧電振動子を製造するにあたり、作製する圧電セラミックスに関して予め設定した固有周波数f、形成する溝に関して予め設定した溝間の幅w、溝の深さdに対し、実際にセラミックス板に電極を形成してセラミックス部分に分極処理を行って圧電セラミックスとした後、該圧電セラミックスの固有周波数fを測定し、それらの値に基づき、下記式(1)により、実際に形成する溝の深さdを求め、その求めた深さdに溝を形成する工程を経て圧電振動子とすることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
    (r−r)/r= α×(f−f)/f(1)
    (式中、r=w/d、r=w/d、αは特定の固有周波数帯において同様の事例にて予め測定した値から算出した実数である)
  2. 溝の深さdが圧電セラミックスの厚みtに対して20〜90%である請求項1記載の圧電振動子の製造方法。
  3. 溝の形成後、上記溝に有機高分子を充填する工程を含む請求項1記載の圧電振動子の製造方法。
  4. 3個以上の圧電振動子を製造する請求項1記載の圧電振動子の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20130081239A1 (en) * 2011-09-30 2013-04-04 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Method of manufacturing actuator for micro ejector
JP2016213666A (ja) * 2015-05-08 2016-12-15 コニカミノルタ株式会社 超音波振動子およびその製造方法、超音波探触子ならびに超音波撮像装置
JP7478430B2 (ja) 2020-07-29 2024-05-07 本多電子株式会社 超音波洗浄装置

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