JP4528383B2 - 複合圧電体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【補正の内容】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波探触子などに用いられる複合圧電体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チタン酸ジルコン酸鉛(以下、PZTという)などの圧電性物質からなる複数個の角柱あるいは円柱などの柱状圧電セラミック焼結体を、それぞれ間隔を空けて並立させた状態で樹脂に固定した複合体の柱状圧電セラミック焼結体の上面側及び下面側の面のそれぞれに電極を形成し、そして、両電極間に電界を印加することにより柱状圧電セラミック焼結体を分極させて製造した複合圧電体(1−3型複合圧電体)が知られている。この複合圧電体は、従来より広く用いられている板状の圧電セラミック焼結体からなる板状圧電体と比較して電気機械結合係数が高く、また複合圧電体中の圧電セラミック焼結体の体積率(占有率)、柱状圧電セラミック焼結体の直径とその高さの比(高さ/直径:以下アスペクト比という)などを変えることにより、従来の板状圧電体では難しいとされている誘電率、音響インピーダンスなどを容易に選択することができるなどの利点があり、従来の板状圧電体に代わる新しい圧電材料として研究されている。
【0003】
上記の複合圧電体から発せられる超音波の周波数は、例えば、厚さ方向の振動を利用する場合、複合圧電体の厚み、すなわち柱状セラミック焼結体の高さに依存する。また、一般に特性上、柱状圧電セラミック焼結体のアスペクト比は、2〜10の範囲内にあることが好ましいとされている。例えば、PZTからなる柱状セラミック焼結体を樹脂に固定した複合圧電体を用いて、5MHzの超音波を発するには、複合圧電体の厚み(柱状圧電セラミック焼結体の高さ)は約0.3mmにし、柱状圧電セラミック焼結体の直径は0.03〜0.15mmの範囲にする必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の複合圧電体の製造方法としては、押出し成形により成形した柱状の圧電セラミック成形体を焼成して得た複数個の柱状圧電セラミック焼結体を、一定の間隔を空けて並立させた状態で、その間や全体の周囲を硬化型の樹脂で固定した複合体を、柱状圧電セラミック焼結体の長さ方向に垂直に順次切断して得た複合体断片の上下の切断面のそれぞれに電極を形成し、次いで両電極間に電界を印加して、柱状圧電セラミック焼結体を分極させることにより製造する方法が知られている。この複合圧電体の製造方法によれば、一個の複合体から多数の複合圧電体を製造することができるので、一個当たりの複合圧電体の製造コストを低くすることができる。しかし、直径0.15mm以下の柱状の圧電セラミック焼結体を、工業的に量産するのは難しいという問題がある。
【0005】
高周波の超音波を発する複合圧電体の製造方法として、シリコンなどのウエハー製作用のマルチブレードのウエハーリングソーを使って圧電セラミック焼結体に網目状に切り込みを入れて(ダイシング)、切断溝に樹脂を充填して、樹脂が固まった後、切断溝に垂直に切断して得た複合体の柱状圧電セラミック焼結体の上面側及び下面側の面のそれぞれに電極を形成し、両電極間に電界を印加して、圧電セラミック焼結体を分極させることにより製造する方法(以下、ダイス&フィル法という)が知られている。一般に、ダイシングにより、縦横の長さが0.05mmの角柱状圧電セラミック焼結体を製造することができ、ダイス&フィル法では、5〜7.5MHzの超音波を発する複合圧電体を製造することができるとされている。
【0006】
また、「エレクトロニクス」1994年9月号、p48〜49では、シンクロトロン放射光によるLIGA法により製造した柱状圧電セラミック焼結体に、樹脂を充填し、次いで、電極を形成し、両電極間に電界を印加して、圧電セラミック焼結体を分極させて製造した複合圧電体が紹介されている。この文献によれば、直径0.010mm、高さ0.15mmの円柱状圧電セラミック焼結体、縦横の長さが0.030mm、高さ0.05mmの角柱状圧電セラミック焼結体が得られている。
【0007】
上記のダイス&フィル法やLIGA法などにより製造した高周波の超音波を発する複合圧電体は、製造コストが高く、また、柱状圧電セラミック焼結体の製造に時間がかかるので、複合圧電体を工業的に量産しにくいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、工業的に容易に量産することができ、かつ安価複合圧電体の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数個の柱状圧電セラミック焼結体を、並立固定した状態で酸処理することにより、各柱状圧電セラミック焼結体の柱側面をエッチングして、その直径を減少させたのち、各圧電セラミック焼結体の間に樹脂を充填することにより複合体とし、次いでこの複合体を圧電セラミック焼結体の長さ方向に対して垂直な方向に順次切断することによって複合体断片を得たのち、この複合体断片の上下の切断面のそれぞれに電極を形成し、次いで両電極間に電界を印加することにより圧電セラミック焼結体を分極させ複合圧電体の製造方法にある。
【0010】
また、本発明は、柱状圧電セラミック焼結体の柱側面を酸処理することによりエッチングして、その直径を減少させて形成した棒状圧電セラミック焼結体を複数個、それぞれ間隔を空けて並立させた状態で樹脂により固定して複合体とし、次いでこの複合体を圧電セラミック焼結体の長さ方向に対して垂直な方向に順次切断することによって複合体断片を得たのち、この複合体断片の上下の切断面のそれぞれに電極を形成し、次いで両電極間に電界を印加して該棒状圧電セラミック焼結体を分極させ複合圧電体の製造方法ある。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の製造方法により得られる複合圧電体の一例の斜視図を示す。複合圧電体1は、それぞれ一定の間隔を空けて並立させた複数個の棒状圧電セラミック焼結体2aと樹脂相3とからなる複合体断片4の棒状圧電セラミック焼結体の上面側と下面側の面に電極5を形成したものである。棒状圧電セラミック焼結体2aの間隔を調整することにより、複合体断片4中の棒状圧電セラミック焼結体の体積率を調整することができる。棒状圧電セラミック焼結体2aは、柱状圧電セラミック焼結体を、後述する酸処理によるエッチングにより、その直径を減少させて形成したものであり、その材質に特には制限はない。柱状圧電セラミック焼結体の材質の例としては、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、PZTなどが挙げられる。柱状圧電セラミック焼結体の上下面の形状は、円形に限られず、四角形、六角形などの多角形や楕円形などであっても良い。樹脂相3は、電気絶縁性を有していれば、材質には特には制限はなく、その例として、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。また、樹脂相3はアルミナ粒子やガラス粒子が埋め込んであっても良い。なお、複合圧電体の形状は円柱状に限られず、角柱状であっても良い。
【0013】
次に、本発明の複合圧電体の製造方法(製造方法1)について説明する。
1)複数個の柱状圧電セラミック焼結体を、並立固定させる配列工程;
2)複数個の柱状圧電セラミック焼結体を、並立させた状態を維持しながら、柱状圧電セラミック焼結体の柱側面を酸処理することによりエッチングして、その直径を減少させて、棒状圧電セラミック焼結体にするエッチング工程;
3)並立状態にある複数個の棒状圧電セラミック焼結体の間及びその周囲に樹脂を充填して複合体とする樹脂充填工程;
4)棒状圧電セラミック焼結体を樹脂に固定した複合体を所定の形状、厚さに切断、研磨して複合体断片とする切断加工工程;
5)複合体断片の上下の切断面のそれぞれに電極を形成し、両電極間に電界を印加して、棒状圧電セラミック焼結体を分極させる電極形成・分極工程。
【0014】
さらに、上記の複合圧電体の製造方法を図を参照しながら説明する。図2に、上記の複合圧電体の製造方法をあらわす一例の作業流れ図を示す。
【0015】
(配列工程)
配列工程において、複数個の柱状圧電セラミック焼結体2bを並立固定させる方法としては、特には制限はない。例えば、図に示すように柱状圧電セラミック焼結体を治具6に差し込んで固定しても良い。並立固定された複数個の柱状圧電セラミック焼結体は、柱状圧電セラミック焼結体と柱状圧電セラミック焼結体とがそれぞれ接触していても、それぞれ間隔を空けても良い。例えば、1個の柱状圧電セラミック焼結体が、6個の柱状圧電セラミック焼結体と接触する最密状態になるように、複数個の柱状圧電セラミック焼結体を並立固定させても良い。
【0016】
(エッチング工程)
配列工程にて並立させた複数個の柱状圧電セラミック焼結体2bを、酸処理用容器7中の酸溶液8に浸漬させて、柱状圧電セラミック焼結体2bの柱側面を酸処理することによりエッチングして棒状圧電セラミック焼結体とする。エッチングによる柱状圧電セラミック焼結体2bの直径の低減率[エッチングにより減少した直径/柱状圧電セラミック焼結体の直径×100(%)]は、酸処理の時間、酸の濃度などを調整することによって、1〜90%の範囲で任意に設定することができる。但し、低減率を高く設定しすぎる、すなわち棒状圧電セラミック焼結体同士の間隔が空きすぎると、後の工程を経て得られる複合圧電体は、均一な媒体として取り扱えないことがある。従って、低減率は、柱状圧電セラミック焼結体の配列状態に合わせて設定する必要がある。具体的には、低減率の範囲は、1〜56%(好ましくは2〜50%、さらに好ましくは2〜40%)の範囲内に設定することが好ましい。
【0017】
圧電セラミック焼結体の材質によって、酸溶液8の種類や処理条件は異なる。例えば、PZTは、フッ化水素酸と反応してフッ化鉛が生成し、生成したフッ化鉛は硝酸水溶液により溶解する。従って、PZTから形成された柱状圧電セラミック焼結体は、フッ化水素酸と硝酸水溶液とに順次接触させて、あるいは、柱状圧電セラミック焼結体をフッ化水素酸と硝酸水溶液との混合液に接触させて、エッチングすることができる。混合液に接触させてエッチングする場合は、混合液中のフッ化水素酸の濃度は0.3〜3.5モル/L、硝酸の濃度は1〜5モル/L、であることが好ましく、フッ化水素酸の濃度が0.5〜1.2モル/L、硝酸の濃度が1.5〜2.5モル/Lであることがより好ましい。また、柱状圧電セラミック焼結体2bを、酸溶液によりエッチングする際に、酸溶液に超音波振動を与えたり、酸溶液を攪拌などして循環させることが好ましい。酸溶液の温度に特には制限はなく室温でも良い。
【0018】
エッチング工程で成形した棒状圧電セラミック焼結体は、その表面に付着している酸を取り除くために洗浄する必要がある。棒状圧電セラミック焼結体の洗浄方法には特に制限はなく、例えば、棒状圧電セラミック焼結体の表面に多量の水を接触させることにより洗浄する。そして、洗浄した棒状圧電セラミック焼結体は熱風を吹き付けて、あるいは乾燥機に入れて乾燥する。乾燥の温度に特には制限はなく、50〜200℃で良い。
【0019】
(樹脂充填工程)
治具6で固定されている棒状圧電セラミック焼結体をそのままの状態で、樹脂充填用容器9に入れて、次いで、容器9に樹脂を流し込み一定時間放置して樹脂を硬化させることにより棒状圧電セラミック焼結体を樹脂で固定する。硬化させた樹脂の中に気泡が混入しないように、容器に樹脂を流し込む際には、気泡が入り込まないように注意する。容器に流し込む樹脂は、あらかじめ脱気しておくことが好ましい。さらに、容器に樹脂を流し込む作業を真空あるいは減圧下で行うことが好ましい。
【0020】
(切断加工工程)
樹脂が硬化した後、棒状圧電セラミック焼結体と樹脂との複合体4aを容器9から取り出し、治具6を切り離す。そして、複合体4aを所定の形状、厚さに切断し、研磨する。切断、研磨の方法に特には制限はなく、公知の手法を用いることができる。
【0021】
(電極形成・分極工程)
所定の形状に切断した複合体断片4の棒状圧電セラミックの上面側と底面側の面に電極5を形成し、両電極間に電界を印加することにより、棒状圧電セラミック焼結体を分極させる。電極の形成方法としては、例えば、スパッタ法や無電解メッキ法などが挙げられる。また、電極間に印加する電圧は、1〜5kV/mmで行うのが一般的である。
【0022】
次に、本発明の別の複合圧電体の製造方法(製造方法2)について説明する
1)柱状圧電セラミック焼結体の柱側面を酸処理することによりエッチングして、その直径を減少させて、棒状圧電セラミック焼結体にするエッチング工程;
2)複数個の棒状圧電セラミック焼結体を、並立固定させる配列工程;
3)並立状態にある複数個の棒状圧電セラミック焼結体の間及びその周囲に樹脂を充填して複合体とする樹脂充填工程;
4)棒状圧電セラミック焼結体を樹脂に固定した複合体を所定の形状、厚さに切断、研磨して複合体断片とする切断加工工程;
5)複合体断片の上下の切断面のそれぞれに電極を形成し、両電極間に電界を印加して、棒状圧電セラミック焼結体を分極させる電極形成・分極工程。
【0023】
上記の製造方法2において、エッチング工程は、前記の製造方法1と同様の酸溶処理により、エッチングすることができ、圧電セラミック焼結体の直径の低減率の範囲を、1〜90%(好ましくは20〜80%、さらに好ましくは50〜80%)になるように、酸処理することが好ましい。配列工程では、棒状圧電セラミック焼結体と棒状圧電セラミック焼結体とが、それぞれ接触しないように、間隔を開けて並列した状態にする必要がある。また、樹脂充填工程、切断加工工程、電極形成・分極工程についても、前記の製造方法1と同様の方法により行うことができる。
【0024】
本発明の複合圧電体の製造方法で用いる柱状圧電セラミック焼結体の形状は、特には制限はなく、円柱であっても、三角、四角柱などの角柱であっても良い。また、その製造方法にも特には制限はなく、例えば、プレス成形、射出成形、押出し成形などで成形した圧電セラミック成形体を焼成して製造したものに限られず、上述したダイシングやLIGA法により製造したものでも良い。この中で好ましい柱状圧電セラミック焼結体としては、押出し成形法により成形した円柱状の圧電セラミック成形体を焼成して製造した円柱状圧電セラミック焼結体である。
【0025】
円柱状圧電セラミック焼結体の製造方法について、さらに詳しく説明する。円柱状圧電セラミック焼結体は、圧電セラミック粉末とポリビニルアルコール(PVA)、メチルセルロース(MC)などのバインダ、及びグリセリンなどの増粘剤を混練して粘土状にし、これを押出し機により所定の大きさの孔の空いた口金から押し出して成形した円柱状圧電セラミック成形体を焼成することにより製造することができる。
【0026】
押出し成形法により圧電セラミック粉末を成形する場合には、圧電セラミック粉末の体積平均粒子径は0.1〜5μmであることが好ましく、さらに粒度分布が0.05〜10μmの範囲内にあることが好ましい。圧電セラミック粉末にPZT粉末を用いて、バインダにMCを用いる場合には、PZT粉末100重量部に対して、MC3〜4重量部、グリセリン2〜3重量部、水8〜12重量部を混練して粘土状にすることが好ましい。押出し機により押し出される円柱状圧電セラミック成形体の直径は、0.2mm〜2mmであることが好ましく、0.2〜1mmであることがより好ましい。また、その長さは20〜200mmであることが好ましい。円柱状圧電セラミック成形体の長さを長くしすぎると、成形体を焼成して焼結する際に歪み生じたり、折れたりすることがある。
【0027】
円柱状圧電セラミック成形体の焼成は、急激なバインダの加熱分解により圧電セラミック成形体が変形しないように、一旦バインダの加熱分解温度で焼成してバインダを除去した後、1000〜1400℃(好ましくは1200〜1300℃)で行うことが好ましい。
【0028】
【実施例】
(円柱状圧電セラミック焼結体の製造)
体積平均粒子径が1.02μmであり、粒度分布が0.25〜8μmの範囲内にあるPZT粉末100重量部、3000〜5600cpsのメチルセルロース(MC)3重量部、グリセリン2重量部、水10重量部を混練し粘土状にしたものを押出し成形して、直径0.38mm、長さ63mmの円柱状圧電セラミック成形体を得た。この成形体をバインダを除去した後に1250℃で焼成して円柱状圧電セラミック焼結体を製造した。得られた円柱状圧電セラミック焼結体の直径は0.3mm、長さは50mmであった。
【0029】
[実施例1]
(複合圧電体の製造)
上記のようにして得た円柱状圧電セラミック焼結体500本を並列固定して、フッ化水素酸0.6モル/L、硝酸2.2モル/Lの混合液に5分間浸漬した後、水で洗浄して乾燥した後、各棒状圧電セラミック焼結体の間にエポキシ樹脂を充填して複合体とし、次いでこの複合体を棒状圧電セラミック焼結体の長さ方向に垂直に切断して、厚さ0.66mmの複合体断片を得た。この複合体断片の上下の切断面のそれぞれの面にスパッタ法により電極を形成した。そして、両電極間に1.5kV/mmの電圧を印加して、圧電セラミック焼結体を分極させた。得られた複合圧電体の棒状圧電セラミック焼結体の体積率は42%、棒状圧電セラミック焼結体のアスペクト比は3であり、1個の複合体から得られた複合圧電体は52個であった。
【0030】
(評価及び結果)
上記の実施例1により製造した複合圧電体の特性を測定したところ、共振周波数は2.7MHzであった。また、音響インピーダンスは14Mraylsとなり、従来の板状圧電体(33.5Mrayls)より低く、厚み方向の電機結合係数は62%となり、従来の板状圧電体(48%)より高くなった。
よって、本複合圧電体を水や生体を対象とした超音波探触子に使用した場合、超音波を高い効率で水や生体と送受信できる。
【0031】
[実施例2]
(棒状圧電セラミック焼結体の製造)
前記のようにして得た円柱状圧電セラミック焼結体をフッ化水素酸0.6モル/L、硝酸2.2モル/Lの混合液に15分間浸漬した後、水で洗浄して乾燥した。混合水溶液の温度は20℃とした。得られた棒状圧電セラミック焼結体の直径は0.12mm、長さ49mmであった。
【0032】
(複合圧電体の製造)
上記のようにして製造した直径0.12mm、長さ49mmの棒状圧電セラミック焼結体500本をそれぞれ棒状圧電セラミック焼結体の中心から中心までの距離が0.18mmになるように孔の空いた治具に、差し込んで固定して、この状態を維持しながらエポキシ樹脂で固定して複合体を得た。この複合体を、棒状圧電セラミック焼結体の長さ方向に垂直に切断して、厚さ0.36mmの複合体断片を得た。この複合体断片の上下の切断面のそれぞれの面にスパッタ法により電極を形成した。そして、両電極間に1.5kV/mmの電圧を印加して、棒状圧電セラミック焼結体を分極させた。得られた複合圧電体の棒状状圧電セラミック焼結体の体積率は35%、棒状圧電セラミック焼結体のアスペクト比は3であり、1個の複合体から得られた複合圧電体は75個であった。
【0033】
(評価及び結果)
上記の実施例2により製造した複合圧電体の特性を測定したところ、共振周波数は5MHzであった。また、音響インピーダンスは12.4Mraylsとなり、従来の板状圧電体(33.5Mrayls)より低く、厚み方向の電機結合係数は61%となり、従来の板状圧電体(48%)より高くなった。
よって、本複合圧電体を水や生体を対象とした超音波探触子に使用した場合、超音波を高い効率で水や生体と送受信できる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の製造方法により得られる複合圧電体は、高周波の超音波を発することができ、かつ音響インピーダンスを容易に選択することができ、また従来の高周波の超音波を発することができる複合圧電体と比較して容易に製造することができる。さらに、工業的に容易に量産することができる柱状圧電セラミック焼結体を用いて製造することができるので、より安価で製造することができる。また、ダイシングやLIGA法により製造した柱状圧電セラミック焼結体の柱側面を酸処理によエッチングして、その直径を減少させることにより、10MHz以上の超音波を発する複合圧電体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法により得られる複合圧電体の一例の斜視図である。
【図2】 本発明の複合圧電体の製造方法をあらわす一例の作業流れ図である。
【符号の説明】
1 複合圧電体
2a 棒状圧電セラミック焼結体
2b 柱状圧電セラミック焼結体
3 樹脂相
4 複合体断片
4a 複合体
5 電極
6 治具
7、9 容器
8 酸溶液

Claims (6)

  1. 複数個の柱状圧電セラミック焼結体を、並立固定した状態で酸処理することにより、各柱状圧電セラミック焼結体の柱側面をエッチングして、その直径を減少させたのち、各圧電セラミック焼結体の間に樹脂を充填することにより複合体とし、次いでこの複合体を圧電セラミック焼結体の長さ方向に対して垂直な方向に順次切断することによって複合体断片を得たのち、この複合体断片の上下の切断面のそれぞれに電極を形成し、次いで両電極間に電界を印加することにより圧電セラミック焼結体を分極させ複合圧電体の製造方法。
  2. 柱状圧電セラミック焼結体の柱側面を酸処理することによりエッチングして、その直径を減少させて形成した棒状圧電セラミック焼結体を複数個、それぞれ間隔を空けて並立させた状態で樹脂により固定して複合体とし、次いでこの複合体を圧電セラミック焼結体の長さ方向に対して垂直な方向に順次切断することによって複合体断片を得たのち、この複合体断片の上下の切断面のそれぞれに電極を形成し、次いで両電極間に電界を印加して該棒状圧電セラミック焼結体を分極させ複合圧電体の製造方法。
  3. 柱状圧電セラミック焼結体が円柱状であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の複合圧電体の製造方法。
  4. 柱状圧電セラミック焼結体がチタン酸ジルコン酸鉛から形成されていて、酸処理が、柱状圧電セラミック焼結体を、フッ化水素酸と硝酸水溶液とに順次接触させることにより行われることを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の複合圧電体の製造方法
  5. 柱状圧電セラミック焼結体がチタン酸ジルコン酸鉛から形成されていて、酸処理が、柱状圧電セラミック焼結体を、フッ化水素酸と硝酸水溶液との混合液に接触させることにより行われることを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の複合圧電体の製造方法
  6. エッチングにより柱状圧電セラミック焼結体の直径が1〜90%低減されたことを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれかの項に記載の複合圧電体の製造方法
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