JP3334193B2 - 圧電素子およびその製造方法 - Google Patents

圧電素子およびその製造方法

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JP3334193B2
JP3334193B2 JP30527792A JP30527792A JP3334193B2 JP 3334193 B2 JP3334193 B2 JP 3334193B2 JP 30527792 A JP30527792 A JP 30527792A JP 30527792 A JP30527792 A JP 30527792A JP 3334193 B2 JP3334193 B2 JP 3334193B2
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嘉裕 平田
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Micromachines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、圧電素子およびその
製造方法に関し、特に、水中での超音波通信に使用可能
な小型圧電素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水中での超音波の受発信には、チタン酸
ジルコン酸鉛(PZT)のような圧電セラミックスのバ
ルク材を使用した圧電素子が多く用いられてきたが、最
近、圧電セラミックスと樹脂とを組合せた複合圧電材料
も圧電素子に使用されるようになってきた。
【0003】この複合圧電材料は、たとえば、図7
(a)および(b)にそれぞれ示されるように、圧電セ
ラミックスからなる円柱形のロッド60aや角柱形のロ
ッド61aが、配列されて樹脂60bおよび61bにそ
れぞれ埋込まれた構造を有している。この複合材料を用
いた素子では、超音波に対する感度を圧電セラミックス
よりも高くすることができる。このような材料は、ソナ
ーなどの受信用素子に用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、送受信素子に用
いられる圧電材料の大きさは、たとえば次の式に従って
決定されることになる。
【0005】
【数1】
【0006】上式においてNは圧電材料の材質および振
動モードによって異なる定数である。振動モードには、
既に知られているように、径方向振動、長さ方向伸び振
動、縦方向振動、厚み方向振動および厚み滑り振動等が
ある。
【0007】Nの値は、たとえば厚み振動の場合、水晶
では2800程度、PZTでは2000程度、圧電性樹
脂のPVDFでは800程度である。またPZTについ
て見ると、Nの値は、径方向振動で2000程度である
が、長さ方向振動では1400程度である。
【0008】特定の圧電材料を特定の振動モードで使用
すれば、Nが所定の値となるので、上式で示されるよう
に使用周波数に応じて使用する振動方向の長さ(1)が
決まる。このように使用する振動方向の長さ(1)はN
によって制約される。したがって、素子のサイズを小さ
くしようとしても、従来の材料より与えられるN値のた
めに素子の小型化は困難であった。
【0009】本発明は、このような課題に対するもので
あり、より小型の圧電素子を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】第1の発明に
従う圧電素子は、径方向の振動モードを有する圧電材料
に電極が設けられた圧電素子である。この圧電素子にお
いて、圧電材料は、ポリマ中に圧電セラミックスからな
る複数の棒状体が30%〜50%の体積分率で分散して
埋込まれたものである。
【0011】この明細書において、「圧電セラミック
ス」という用語は圧電効果を示すセラミックス材料を示
す。圧電セラミックスには、たとえば、チタン酸バリウ
ムやジルコン酸鉛−チタン酸鉛系固溶体などの灰チタン
石型構造の結晶が含まれ、たとえば、チタン酸ジルコン
酸鉛(PZT)およびチタン酸ジルコン酸ランタン鉛
(PLZT)などが好ましく用いられる。
【0012】この発明に従うポリマとして、エポキシ樹
脂、ポリエチレン樹脂、ウレタン樹脂、または、シリコ
ンゴム、ウレタンゴムもしくはブタジエンゴム等のゴム
等を使用することができる。
【0013】第1の発明において、ポリマ中に埋込まれ
た圧電セラミックスの体積分率が30%〜50%である
のは以下に示す理由からである。
【0014】周波数Nに関して、ヤング率をY、密度を
ρとすると次式に示す関係が成立する。
【0015】
【数2】N(Y/ρ)1/2
【0016】また、径方向の振動モードを用いる複合材
料について、ヤング率Yは次の式で与えられる。
【0017】
【数3】
【0018】一方、ρは次の式で与えられる。
【0019】
【数4】 ρ=ρ+ρ ρ :圧電セラミックスの密度 ρ :樹脂の密度
【0020】以上の式に従い、種々の樹脂とチタン酸ジ
ルコン酸鉛(PZT)との組合せにおいて得られる複合
材料に関し、樹脂とPZTの体積分率を変えることによ
る周波数定数の変化を検討した。その結果は表1に示す
とおりである。
【0021】
【表1】
【0022】表1より、いずれの場合でも、圧電セラミ
ックスの体積分率を30%〜50%にすると低い周波数
定数が得られ、その体積分率が40%で周波数定数が最
小になることがわかる。このようにして周波数定数を低
く抑えれば、数1に従って、使用する振動方向の長さ
(l)すなわち圧電素子のサイズを小さくすることがで
きる。
【0023】たとえば、圧電セラミックスの体積分率が
40%前後である場合、エポキシ樹脂を用いる周波数定
数はPZTバルク材の約1/2である。また、ゴムを用
いる周波数定数は、PZTの約1/80、ポリエチレン
樹脂を用いる周波数定数は約1/5となる。このような
減少率は、そのまま圧電振動子のサイズの減少率に反映
される。
【0024】一方、長さ方向の振動モードを用いる場
合、ヤング率Yは次の式で与えられる。
【0025】
【数5】
【0026】この式に従えば、vc およびvp の変化に
よってNはほとんど低減されない。したがって、長さ方
向の振動モードでは、材料の体積分率を変えることによ
って素子のサイズを小さくすることは困難である。
【0027】以上示したように、径方向振動モードを有
する複合圧電材料について圧電セラミックスの体積分率
を30〜50%にすることで、素子をより小型にするこ
とができる。
【0028】一方、複合圧電材料は、圧電定数が低いた
め、圧電セラミックスのバルク材よりも発音体として劣
ることがある。たとえば、セラミックスの体積分率が、
約20%の場合、複合材料の圧電定数は圧電セラミック
スの約半分になってしまう。
【0029】圧電セラミックスの体積分率が、これより
増加すれば、圧電定数はさらに減少する傾向にある。
【0030】これに対し、同じ圧電セラミックスの体積
分率でも、棒状体の断面サイズをより小さくし、より多
数の細径棒状体が樹脂中に分布する構造を実現すること
により、複合材料の圧電定数を大きくすることができ
る。これは、棒状体の断面サイズ(たとえば直径)をよ
り小さくすることによって、材料分布の均一性が向上す
るためであると考えられる。
【0031】たとえば、円筒状またはファイバ状の圧電
セラミックスを樹脂中に埋込んだ材料を素子に用いる場
合、従来では圧電セラミックスの径が100〜200μ
m程度であったが、この発明では、圧電セラミックスの
径が10〜50μ、程度が好ましく、10μm以下がよ
り好ましい。このように径を小さくすることで、小型に
されながら、しかも高い圧電定数を有する素子が得られ
る。さらに、このような圧電素子を送信用素子および受
信素子のうち少なくともいずれか一方に用いることで小
型化された超音波振動子が得られる。
【0032】上述したように細径の圧電セラミックスが
樹脂中に埋込まれた圧電材料を準備し、これを用いた圧
電素子を得るためには、次に示すような製造方法が好ま
しい。なお、次に示す製造方法では、圧電セラミックス
の複数の棒状体が30%〜50%の体積分率で樹脂中に
分散して埋め込まれるようにする。
【0033】すなわち、第2の発明に従って圧電素子を
製造するための方法が提供され、この方法は、レジスト
層を形成した後、レジスト層についてシンクロトロン放
射光によるリソグラフィを行なってレジストパターンを
形成する工程と、上記レジストパターンを原型として
該原型に対応した複数の孔を有する孔明き構造体を作製
する工程と、上記孔明き構造体の孔に圧電セラミックス
の原料を導入して孔の形状に従った圧電セラミックスの
棒状体を複数形成する工程と、このようにして得られた
複数の棒状体を樹脂で固める工程と、棒状体が樹脂で固
められたものに電極を設けて分極処理を行なう工程とを
備える。
【0034】第2の発明において、レジストパターンを
原型として複数の孔を有する構造体を製作するに際し、
レジストパターン自体から該構造体を形成してもよい
し、レジストパターンを型として鋳型を作製し、この鋳
型を用いて該構造体を形成してもよい。
【0035】上記構造体は、金属またはプラスチック等
により形成することができる。金属からなる構造体は、
たとえば、電気めっき等によりレジストパターン内に金
属を堆積させて形成することができる。この場合、レジ
ストパターンが形成された基材が、電気めっきの一方の
電極とされる。
【0036】また、プラスチックの構造体を得たい場
合、まず、レジストパターンに従って電気めっきによる
金属の構造体を形成した後、この金属の構造体を鋳型と
してプラスチック構造体を形成することができる。
【0037】さらに、このプラスチック構造体を導電性
材料に付着させ、電鋳によりプラスチック構造体を型と
した金属構造体も形成することができる。
【0038】いずれの方法にせよ、最終的に所定のサイ
ズ(たとえば10μm〜50μmφ)の孔を複数有する
構造体が得られる。その後、構造体の孔に圧電セラミッ
クスの原料を導入する。この原料には、圧電セラミック
スのスラリ等を用いることができる。
【0039】この孔に原料を充填した後、充填物を取出
せば、孔の形状に従った構造物が得られる。また、この
孔から原料を押し出せば、この孔の断面形状を有する棒
状体やファイバが得られる。このようにして得られた構
造体、棒状体またはファイバは、たとえば焼成によって
その形状を保持しながら圧電セラミックスとすることが
できる。
【0040】このようにして得られた複数本の圧電セラ
ミックスが分散、または配列された状態のものに樹脂を
流し込んで固化させれば、樹脂中に圧電セラミックスが
分散して埋込まれた複合圧電材料が得られる。この複合
圧電材料に電極を設け、分極処理を施せば、断面の微小
な圧電セラミックス棒状体が多数樹脂中に分散された素
子が得られる。
【0041】以上に示した方法は、より小型の圧電素子
において圧電定数の高いものを形成するために特に適し
ている。
【0042】一方、孔を有する構造体は、放電加工によ
っても形成することができる。すなわち、第3の発明に
従って、さらなる圧電素子の製造方法が提供され、この
方法は、放電加工により被加工物に複数の孔を明けて孔
明き構造体を形成する工程と、上記孔明き構造体の孔に
セラミックス圧電体の原料を導入して孔の形状に従った
圧電セラミックスの棒状体を複数形成する工程と、複数
の棒状体を樹脂で固める工程と、このようにして棒状体
が樹脂で固められたものに電極を設けて分極処理を行な
う工程とを備える。
【0043】第3の発明においても、該構造体は金属ま
たはプラスチック等により形成することができる。放電
加工は加工精度が高く、微細な加工にも適している。放
電加工により、たとえば10〜50μmφの孔を複数有
する構造体を形成することができる。
【0044】上述したように、このような孔に原料を充
填した後、充填物を取出せば、孔の形状に従った構造物
が得られる。また、この孔から原料を押し出せば、この
孔の断面形状を有する棒状体やファイバが得られる。こ
のようにして得られたものは、上述したようにたとえば
焼成によってその形状を保持しながら圧電セラミックス
とすることができる。
【0045】また、第4の発明に従って圧電素子を製造
することもできる。第4の発明に従う圧電素子の製造方
法は、レジスト層を形成した後、レジスト層についてシ
ンクロトロン放射光によるリソグラフィを用いて複数の
孔を有するレジストパターンを形成する工程と、レジス
トパターンの孔に圧電セラミックスの原料を導入して、
孔の形状に従った圧電セラミックスの棒状体を複数本形
成する工程と、複数の棒状体を樹脂で固める工程と、棒
状体が樹脂で固められたものに電極を設けて分極処理を
行なう工程とを備える。
【0046】第4の発明において、レジストパターンの
孔に圧電セラミックスの原料を導入して、孔の形状に従
った圧電セラミックスの棒状体を複数本形成する工程
は、種々の方法を用いることができる。たとえば、その
ような方法として、圧電セラミックスの原料を粉砕して
分散させた電解液中に、複数の孔を有するレジストパタ
ーンを浸漬して、レジストパターンの孔に圧電セラミッ
クスの原料を電着により堆積させた後、レジストを除去
し、圧電セラミックスが固められた棒状体の束を焼成し
てもよく、また、複数の孔を有するレジストパターンの
孔に圧電セラミックスのスラリ等を直接流し込み、レジ
ストと共にレジストパターンの孔に流し込んだ圧電セラ
ミックスのスラリ等を熱処理し、圧電セラミックスのス
ラリ等に含まれる溶媒を除去するとともに、レジストを
焼失させ、その後、溶媒が除去された圧電セラミックス
仮焼体を本焼成してもよい。
【0047】このようにして得られた複数本の圧電セラ
ミックスが分散、または、配列された状態のものに樹脂
を流し込んで固化させれば、樹脂中に圧電セラミックス
が分散して埋込まれた複合圧電材料が得られる。この複
合圧電材料に電極を設け、分極処理を施せば、断面の微
小な圧電セラミックス棒状体が多数樹脂中に分散された
素子が得られる。なお、上記第2〜4の本発明の圧電素
子の製造方法は、たとえば、レジスト層を形成した後、
レジスト層についてシンクロトロン放射光によるリソグ
ラフィを用いて複数の孔を有するレジストパターンを形
成する工程と、レジストパターンを用いて電鋳を行な
い、反転した形の金型を形成する工程と、金型を用いて
モールドを行ない複数の孔を有する樹脂構造体を形成す
る工程と、樹脂構造体の孔に圧電セラミックスの原料を
導入して、孔の形状に従った圧電セラミックスの棒状体
を複数本形成する工程と、複数の棒状体を樹脂で固める
工程と、棒状体が樹脂で固められたものに電極を設けて
分極処理を行なう工程とを備えているような製造方法で
あってもよい。 また、上記第2〜4の本発明の圧電素子
の製造方法は、圧電セラミックス原料の導入方法とし
て、セラミックス粒子を分散させた電解溶液中に、複数
の孔を有するレジストパターンあるいは樹脂構造体を浸
し、所定の電圧をかけて電着を行なうような方法を用い
てもよい。 さらに、上記第2〜4の本発明の圧電素子の
製造方法は、レジスト層を形成した後、レジスト層につ
いてシンクロトロン放射光によるリソグラフィを用いて
複数の柱を有するレジストパターンを形成する工程と、
レジストパターンを用いて電鋳を行ない、複数の孔を有
するダイスを形成する工程と、ダイスの孔から圧電セラ
ミックスの原料を押出し、圧電セラミックスの棒状体を
複数本形成する工程と、複数の棒状体を樹脂で固める工
程と、棒状体が樹脂で固められたものに電極を設けて分
極処理を行なう工程とを備えているような製造方法であ
ってもよい。
【0048】
【実施例】実施例1 まず、基板1上にポリメチルメタクリレート(PMM
A)を材料とするレジスト層2を100〜500μmの
厚さで形成する(図1(a))。次に、金などの重金属
の吸収材をパターンとするマスクを用い、レジスト層2
についてシンクロトロン放射光によるリソグラフィを行
なった後、現像を行なってレジストパターン2′を得
る。得られたレジストパターン2′は、基材1上に、直
径約10μmの円柱体が複数本所定の間隔を隔てて配列
された構造を有する(図1(b))。
【0049】次に、レジストパターン2′を有する基板
1をめっき液に浸け、電気めっきによって金属の構造体
3を堆積させる(図1(c))。この工程において、ニ
ッケル、銅または金などを堆積させることができる。続
いて、レジストを除去することによって金属構造体3′
を得る(図1(d))。この構造体3′には、直径約1
0μm、深さ約100〜500μmの円柱形の孔3′a
が、均一に分散され、多数形成されている。
【0050】次に、このようにして得られた金属構造体
3′の上に、孔が多数設けられたゲートプレート4を置
いて、その上から圧電セラミックスのスラリ5を流し込
む(図1(e))。次に、ゲートプレート4を金属構造
体3′から離すと、図1(f)に示すように、セラミッ
クス原料の棒状体6が所定の間隔で束になって集められ
たものが得られる。これをそのまま焼成することによ
り、圧電セラミックスの棒状体が所定の間隔をあけて複
数本ゲートプレート4上に束ねられたものが得られる。
【0051】次に、図1(g)に示すように、圧電セラ
ミックスの棒状体6′が複数本束ねられたものの上から
樹脂7を流し込んで固化させる。なお、この樹脂の流し
込みによって、圧電セラミックスの体積分率が30〜5
0%となるよう、予めレジストパターンの形状が決めら
れている。
【0052】次いで、切断等によってゲートプレート4
を除去して、圧電セラミックスの棒状体が樹脂中に多数
均一に分散された複合圧電材料8が得られる(図1
(h))。
【0053】次に、複合圧電材料8の両端に電極9aお
よび9bを設けて分極処理をすることにより、圧電素子
10が得られる。
【0054】図2は、得られた圧電素子を模式的に示す
斜視図である。図に示すように、圧電素子10は、円板
形の形状を有しており、圧電セラミックスからなる複数
の棒状体6′が樹脂7中に均一に分散された複合圧電材
料の両端に電極9aおよび9bが形成された構造を有す
る。この圧電素子において、円板状の圧電材料8の厚み
は約100〜約500μmであり、圧電セラミックスか
らなるそれぞれの棒状体6′の直径は約10μmであ
る。また、圧電材料8における圧電セラミックスの体積
分率は30〜50%である。
【0055】上記実施例では、複数の孔を有する金属構
造体をシンクロトロン放射光によるリソグラフィを用い
て作製したが、このような構造体は、放電加工によって
も作製することができる。たとえば図3(a)に示すよ
うに、所定のサイズを有する金属製の被加工物11に対
して、加工電極12を極めて小さい間隙で対向させ、パ
ルス性アーク放電を繰返すことによって孔13を形成さ
せていくことができる。このようにして所定の深さで孔
を形成した後、その工程を繰返すことにより複数の孔1
3が形成された金属構造体14を得ることができる(図
3(b))。このようにして得られる金属構造体を上述
したように用いれば、同様にして圧電素子を形成させる
ことができる。
【0056】実施例2 まず、図4(a)に示すように、一端が開放され、他端
が閉じられた円筒状の金属体21を準備する。次に、金
属体21の閉じられた他端に放電加工によって複数の孔
22を形成する(図4(b))。この孔の直径は約10
μmである。
【0057】次に、図4(c)に示すように、孔22の
形成された金属体21′内に、ゲル状の圧電セラミック
ス23を充填し、これをピストン24によって孔22か
ら押し出していく。このようにして、孔22からゲル状
の圧電セラミックスが固められた棒状体25が押し出さ
れてくる。この押し出された棒状体25を焼成すれば、
そのまま棒状のセラミックス圧電体26が所定の間隔で
束ねられたものが得られる(図4(d))。
【0058】次に、複数の棒状体26が束ねられたもの
を溶融された樹脂27中に浸漬し、固化させる(図4
(e))。なお、樹脂27は適当な形状の鋳型20に収
容されている。固化の後、樹脂を固めたものを鋳型20
から取出し、切断等によりその端面を仕上げれば、圧電
セラミックスからなる複数の棒状体26が、樹脂27中
に均一に分散された複合材料28が得られる(図4
(f))。複合材料28の両端に電極29aおよび29
bを形成して分極処理を行なうことによって圧電素子3
0が得られる。圧電素子30は、図2に示したと同様の
形状を有し、圧電セラミックスからなる棒状体の直径は
約10μm、円板状の複合圧電材料28の厚みは約10
0〜500μmである。また、複合圧電材料28におけ
る圧電セラミックスの占める体積分率は30〜50%で
ある。
【0059】なお上記実施例2では、ノズルとして用い
られる金属体を放電加工によって形成したが、これを実
施例1に示したようにシンクロトロン放射光によるリソ
グラフィを用いて形成してもよい。
【0060】実施例3 まず、実施例1と同様にして、導電性の基板31上に複
数の孔を有するレジストパターン32をシンクロトロン
放射光によるリソグラフィを用いて形成する(図5
(a))。
【0061】次に、図5(b)に示すように、分極した
PZTを粉砕して分散させた電解液36の中にレジスト
パターン32が形成された基板31を入れる。これを陰
極とし、電解液36中にもう1つの電極33を設けて、
電極の間に所定の電圧を印加して電着を行なう。これに
より、レジストパターン32の孔32aに圧電セラミッ
クスが堆積していく。
【0062】その後、レジストパターン32を溶解等の
方法で除去すれば、基板31上に圧電セラミックスが固
められた棒状体の束が形成される。これをそのまま焼成
すると、基板31上に圧電セラミックスからなる棒状体
が所定の間隔で配列されたものが得られる。
【0063】次に、図5(c)に示すように、棒状体3
7が配列されたものの中に樹脂38を流し込んで固化さ
せる。次いで、基板31を除去すると樹脂中に圧電セラ
ミックスからなる棒状体が均一に分散された複合圧電材
料40が得られる(図5(d))。次いで、得られた複
合圧電材料40の両端に電極41aおよび41bを設け
て分極処理をすれば、圧電素子50が得られる(図5
(e))。このような圧電素子は、たとえば図2に示す
ような形状を有するものである。
【0064】なお、上記実施例3ではレジストパターン
をシンクロトロン放射光によるリソグラフィを用いて形
成したが、所定のサイズを有する金属体について放電加
工により複数の孔を形成し、それを型として型取りする
ことによりプラスチック構造体を得、これをレジストパ
ターンの代わりとすることもできる。
【0065】実施例4 まず、実施例1と同様にして、導電性の基板71上に複
数の孔を有するレジストパターン72をシンクロトロン
放射光によるリソグラフィを用いて形成する(図6
(a))。次に、圧電セラミックスのスラリ75をレジ
ストパターン72に従って流し込む(図6(b))。次
に、レジストパターン72の孔に流し込んだ圧電セラミ
ックスのスラリ75に含まれる溶媒等を蒸発させた後、
約400℃〜約500℃で熱処理し、レジストを焼失さ
せる(図6(c))。この工程において、セラミックス
原料の棒状体76が所定の間隔で束になって集められた
微細な構造を有するセラミックスの仮焼体77が得られ
る。さらに、このセラミックスの仮焼体を1200℃前
後の温度で本焼成することにより、圧電セラミックスの
棒状体76′が所定の間隔で束になって集められた微細
な構造を有するセラミックスの構造体78が得られる
(図6(d))。次に、図6(e)に示すように、セラ
ミックスの構造体78の上から樹脂79を流し込んで固
化させる。次に、図6(f)を参照して、セラミックス
構造体78のはみ出し部分78rおよび樹脂79のはみ
出し部分79rを研磨することにより、圧電セラミック
スの棒状体が樹脂中に多数均一に分散された複合圧電材
料80が得られる。次に、複合圧電材料80の両端に電
極81aおよび電極81bを設けて分極処理をすること
により、圧電素子90が得られる(図6(g))。
【0066】このような圧電素子は、たとえば、図2に
示すような形状を有するものである。
【0067】なお、上記実施例4で、複数の孔を有する
レジストパターンをシンクロトロン放射光によるリソグ
ラフィを用いて形成したが、図1(a)〜図1(d)の
工程によって作製した、複数の針状構造を表面に有する
金属構造体3′を型として、型取りすることにより複数
の孔を有するプラスチック構造体を得、これをレジスト
パターンの代わりとすることもできる。また、所定のサ
イズを有する金属体について、放電加工により、表面に
複数の針状構造を形成し、それを型として型とりするこ
とによりプラスチック構造体を得、それをレジストパタ
ーンの代わりとすることもできる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に従って、
高い圧電定数を有しながらより小型の圧電素子を提供す
ることができる。本発明に従って得られる圧電素子は、
特に、近年脚光を浴びるようになったマイクロマシンの
通信などに使用する素子として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において本発明に従う圧電素子を作製
するための工程を示す断面図である。
【図2】実施例1において作製された圧電素子を模式的
に示す斜視図である。
【図3】放電加工により金属の構造体を形成する様子を
示す断面図である。
【図4】実施例2において圧電素子を作製していく様子
を示す断面図である。
【図5】実施例3において圧電素子を作製していく様子
を示す断面図である。
【図6】実施例4において圧電素子を作製していく様子
を示す断面図である。
【図7】複合圧電材料の一般的な形態を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1、31、71 基板 2 レジスト層 2′、32、72 レジストパターン 3 金属構造体 6′、26、76′ 圧電セラミックスからなる棒状体 7、27、38、79 樹脂 8、28、40、80 複合圧電材料 9a、9b、29a、29b、41a、41b、82
a、82b 電極 10、30、50、90 圧電素子

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 径方向の振動モードを有する圧電材料に
    電極が設けられた圧電素子であって、 前記圧電材料は、ポリマ中に、圧電セラミックスからな
    る複数の棒状体が30%〜50%の体積分率で分散して
    埋込まれた、圧電素子。
  2. 【請求項2】 径方向の振動モードを有する圧電材料に
    電極が設けられた圧電素子の製造方法であって、 レジスト層を形成した後、前記レジスト層についてシン
    クロトロン放射光によるリソグラフィを用いてレジスト
    パターンを形成する工程と、 前記レジストパターンを原型として、該原型に対応した
    複数の孔を有する孔明き構造体を作製する工程と、 前記孔明き構造体の孔に圧電セラミックスの原料を導入
    して、前記孔の形状に従った圧電セラミックスの棒状体
    を複数形成する工程と、 前記複数の棒状体を樹脂で固める工程と、 前記棒状体が樹脂で固められたものに電極を設けて分極
    処理を行なう工程とを備え、 前記圧電セラミックスの棒状体を複数形成する工程にお
    いて、ポリマ中に、圧電セラミックスの複数の棒状体が
    30%〜50%の体積分率で分散して埋込まれるように
    した、圧電素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 径方向の振動モードを有する圧電材料に
    電極が設けられた圧電素子の製造方法であって、 放電加工により被加工物に複数の孔を明けて孔明き構造
    体を形成する工程と、 前記孔明き構造体の孔に圧電セラミックスの原料を導入
    して前記孔の形状に従った圧電セラミックスの棒状体を
    複数形成する工程と、 前記複数の棒状体を樹脂で固める工程と、 前記棒状体が樹脂で固められたものに電極を設けて分極
    処理を行なう工程とを備え、 前記圧電セラミックスの棒状体を複数形成する工程にお
    いて、ポリマ中に、圧電セラミックスの複数の棒状体が
    30%〜50%の体積分率で分散して埋込まれるように
    した、圧電素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 径方向の振動モードを有する圧電材料に
    電極が設けられた圧電素子の製造方法であって、 レジスト層を形成した後、前記レジスト層についてシン
    クロトロン放射光によるリソグラフィを用いて複数の孔
    を有するレジストパターンを形成する工程と、 前記レジストパターンの孔に圧電セラミックスの原料を
    導入して、前記孔の形状に従った圧電セラミックスの棒
    状体を複数本形成する工程と、 前記複数の棒状体を樹脂で固める工程と、 前記棒状体が樹脂で固められたものに電極を設けて分極
    処理を行なう工程とを備え、 前記圧電セラミックスの棒状体を複数形成する工程にお
    いて、ポリマ中に、圧電セラミックスの複数の棒状体が
    30%〜50%の体積分率で分散して埋込まれるように
    した、圧電素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記棒状体の直径が50μm以下であ
    る、請求項1に記載の圧電素子。
  6. 【請求項6】 径方向の振動モードを有する圧電材料に
    電極が設けられた圧電素子の製造方法であって、 レジスト層を形成した後、前記レジスト層についてシン
    クロトロン放射光によるリソグラフィを用いて複数の孔
    を有するレジストパターンを形成する工程と、 前記レジストパターンを用いて電鋳を行ない、反転した
    形の金型を形成する工程と、 前記金型を用いてモールドを行ない複数の孔を有する樹
    脂構造体を形成する工程と、 前記樹脂構造体の孔に圧電セラミックスの原料を導入し
    て、前記孔の形状に従った圧電セラミックスの棒状体を
    複数本形成する工程と、 前記複数の棒状体を樹脂で固める工程と、 前記棒状体が樹脂で固められたものに電極を設けて分極
    処理を行なう工程とを備え、 前記圧電セラミックスの棒状体を複数形成する工程にお
    いて、ポリマ中に、圧電セラミックスの複数の棒状体が
    30%〜50%の体積分率で分散して埋込まれるように
    した、圧電素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記圧電セラミックスの原料の導入方法
    として、セラミックス粒子を分散させた電解溶液中に、
    複数の孔を有するレジストパターンまたは樹脂構造体を
    浸し、所定の電圧をかけて電着を行なう方法を用いる、
    請求項2またはに記載の圧電素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 径方向の振動モードを有する圧電材料に
    電極が設けられた圧電素子の製造方法であって、 レジスト層を形成した後、前記レジスト層についてシン
    クロトロン放射光によるリソグラフィを用いて複数の柱
    を有するレジストパターンを形成する工程と、 前記レジストパターンを用いて電鋳を行ない、複数の孔
    を有するダイスを形成する工程と、 前記ダイスの前記孔から圧電セラミックスの原料を押出
    し、圧電セラミックスの棒状体を複数本形成する工程
    と、 前記複数の棒状体を樹脂で固める工程と、 前記棒状体が樹脂で固められたものに電極を設けて分極
    処理を行なう工程とを備え、 前記圧電セラミックスの棒状体を複数形成する工程にお
    いて、ポリマ中に、圧電セラミックスの複数の棒状体が
    30%〜50%の体積分率で分散して埋込まれるように
    した、圧電素子の製造方法。
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