JP2004080193A - 超音波トランスデューサおよびその製造方法 - Google Patents

超音波トランスデューサおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電・誘電特性の低下が少ない微細な高性能超音波トランスデューサを提供する。
【解決手段】バッキング材(14)、この上にアレイ状に配置された複数の積層圧電体(11)、及び各積層圧電体上に夫々配置された複数の音響整合層(12,13)を有する超音波トランスデューサである。前記積層圧電体は、交互に積層され互いに逆向きに完全に分極処理された第1及び第2の圧電体を含む積層体と、前記積層体の対向する側面に夫々配置された第1及び第2の外部電極と、第1の圧電体の上面及びこの上の第2の圧電体の下面に直接接触して配置され、第1の外部電極に電気的に接続されると共にU字状の絶縁部を介して第2の外部電極と接する第1の内部電極と、第2の圧電体の上面及びこの上の第1の圧電体の下面に直接接触して配置され、第2の外部電極に電気的に接続されると共にU字状の絶縁部を介して第1の外部電極と接する第2の内部電極とを具備することを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に医用超音波診断装置や非破壊検査装置に用いられる超音波トランスデューサに係り、特に積層圧電体を用いた超音波トランスデューサおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医用超音波診断装置や非破壊検査機器の分野において、超音波の送受信を行なう超音波トランスデューサにはPZT(ジルコン−チタン酸鉛)系圧電セラミクスやリラクサー・チタン酸鉛系圧電単結晶などが用いられている。
【0003】
従来、医用超音波診断装置の超音波トランスデューサには、短冊状に加工したPZT圧電セラミクス振動子を複数個配列した一次元アレイプローブが主に用いられている。最近、この一次元アレイプローブの感度を高めるため、あるいは低電圧駆動を可能とするために、積層圧電体を用いた超音波トランスデューサが開発されている。
【0004】
また、従来の二次元(断層)像から三次元画像への要求から、微小な棒状振動子を二次元に配列した二次元アレイプローブの研究が行なわれている。二次元アレイプローブにおいては1素子が微小なため、従来の圧電セラミクスを用いた場合にはインピーダンスが高くなって送受信感度が低下してしまう。このため、二次元アレイプローブにおいても積層圧電体を用いたものが研究されている。
【0005】
積層圧電体は、複数の圧電体と内部電極が交互に積層された構造であり、圧電体としてPZTセラミクスを用い、内部電極としてPt、Ag/Pdを用いて同時焼成(1100〜1250℃)により構成することができる。これらの技術は、USP5,163,436やR.L.Goldberg, IEEE Transaction on Ultrasonics, Ferroelectrics and Frequency Control,vol.41,No.5 September 1994,pp.761〜771などに紹介されている。こうした積層圧電体における内部電極は、例えば内部電極の端部を1層おきにガラスなどの絶縁材料で被覆し、1層おきに露出している内部電極端部どうしを導電性材料で共通接続することによって導通がとられる。圧電体の分極処理は、内部電極の配線を接続した後に行なう必要があるものの、振動子が微細になるにしたがって理想的な電界を印加することは構造上困難となる。その結果、十分な分極処理を行なうことができなくなる。さらに、振動子側面で内部電極の配線を接続している材料により生じる機械的負荷も増加して、圧電体が本来有している特性を十分に引き出すことが困難になる。実際、同時焼成により作製した振動子は、有効容量は増大するものの、電気機械結合係数は低下するという傾向が見られている。
【0006】
一方、同時焼成の積層圧電体はコストが高く、かつ、製造が困難であることから、予め複数のギャップ溝を有する圧電板を接着剤により積層し、その後、ダイシングにより分割して超音波探触子を作製する方法が提案されている(特開2001−29346号公報)。しかしながら、この方法においては、上下層のギャップ溝の位置合わせを容易に行なうことができない。しかも、接着積層体である故に機械的強度が不十分で、ダイシングによる分割が難しいといった問題もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、電気機械結合係数などの圧電・誘電特性の低下が少なく、十分な機械的強度を有した微細な高性能超音波トランスデューサを提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、電気機械結合係数などの圧電・誘電特性の低下が少なく、十分な機械的強度を有した微細な高性能超音波トランスデューサを、同時焼成された積層圧電体を用いて容易に製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、バッキング材と、このバッキング材上にアレイ状に配置された複数の積層圧電体と、前記積層圧電体のそれぞれの上に配置された複数の音響整合層とを有し、
前記積層圧電体は、
交互に積層され、互いに逆向きに完全に分極処理された第1および第2の圧電体を含む積層体と、
前記積層体の対向する第1および第2の側面にそれぞれ配置された第1および第2の外部電極と、
前記第1の圧電体の上面およびこの第1の圧電体上に積層された前記第2の圧電体の下面に直接接触して配置され、前記第1の外部電極に電気的に接続されるとともに、U字状の絶縁部を介して前記第2の外部電極と接する第1の内部電極と、
前記第2の圧電体の上面およびこの第2の圧電体上に積層された前記第1の圧電体の下面に直接接触して配置され、前記第2の外部電極に電気的に接続されるとともに、U字状の絶縁部を介して前記第1の外部電極と接する第2の内部電極と
を具備することを特徴とする超音波トランスデューサが提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、圧電体と内部電極とを交互に複数積層して同時焼成を行ない、各圧電体に分極処理を施し所定の形状に切断した後、前記圧電体のキュリー温度以下に温度を保ったまま、前記内部電極の一方の端部に一層おきにU字状の絶縁部を形成し、前記内部電極の露出した端部に接続する外部電極を形成して積層圧電体を得る工程、
前記積層圧電体をバッキング材上にアレイ状に複数配置する工程、および
前記アレイ状に配置された前記積層圧電体上に、音響整合層をそれぞれ配置する工程
を具備することを特徴とする超音波トランスデューサの製造方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる超音波トランスデューサに用いられる積層圧電体の一例の構造を示した断面図である。
【0012】
図1に示される積層圧電体は、内部電極2a,2bのみを介して積層された複数の圧電体1a,1bと、内部電極2aおよび2bのそれぞれの端部を一方の側面で一層おきに被覆する絶縁材料4と、他方の側面に露出した内部電極2aおよび2bの端部に、それぞれ電気的に接続された外部電極3aおよび3bとを含む。圧電体1a,1bとしては、PZTやチタン酸バリウムなどの圧電セラミクスあるいはPZNT(Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO)やPMNT(Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO)などの圧電単結晶が用いられ、それぞれ図中に矢印で示す方向に完全に分極処理されている。交互に積層され逆向きに分極処理された2種類の圧電体は、第1および第2の圧電体ということができる。具体的には、第1の圧電体1aと、この上に配置された第2の圧電体1bとは、第1の内部電極2aのみを介して接合されている。第1の内部電極2aは、第1の外部電極3aに電気的に接続され、絶縁材料4を介して第2の外部電極3bと接している。また、第2の圧電体1bと、この上に配置された第1の圧電体1aとは、第2の内部電極2bのみを介して接合されている。第2の内部電極2bは、第2の外部電極3bに電気的に接続され、絶縁材料4を介して第1の外部電極3aと接している。
【0013】
内部電極2a,2bとしてはPt、Ag/Pdなどを用いることができ、外部電極3a,3bとしてはAu/Crスパッタ膜などが用いられる。また、絶縁材料4としては、圧電体1のキュリー温度以下の温度で硬化する材料、例えばエポキシ樹脂が用いられる。
【0014】
本発明の実施形態に用いられる積層圧電体は、例えば、以下のような方法により製造することができる。まず、圧電体1と内部電極2とを交互に積層して、同時焼成により積層圧電体を作製する。圧電体1の一層当たりの厚さは10〜300μm程度で、内部電極2の厚みは0.5〜10μm程度であり、2〜10層程度積層する。このとき未分極部あるいは不均一分極部を、分極後、加工により除去するために、積層圧電体の幅および長さは十分に大きくとることが望まれる。例えば、面積が12mm×24mmの板状振動子を得る場合には、幅および長さは、それぞれ22mmおよび34mm程度以上とする。積層後には、内部電極2を1層おきに一時的に接続して、1〜3kV/mmの電界を数分印加することにより圧電体1に分極処理を施す。その後、超音波トランスデューサとして使用する形状、例えば面積が12×24mm程度の板状に切断する。分極処理を行なった後に所定の形状に切断されるので、切断後には全ての圧電体層において、端部まで完全に分極された状態、すなわち面内全てで分極の向きが揃った状態が得られる。
【0015】
次に、この積層圧電体の一方の側面に露出している内部電極2の端部を除去するように、1層おきにダイシングソーなどを用いて凹状の溝を積層誘電体の側面に形成する。溝深さ(図1における横方向)は10〜100μm程度とすることが好ましい。10μm未満の場合には、十分に絶縁することが困難となり、一方、100μmを越えた場合には、電圧印加できない部分が無効部分として無視できない大きさとなり、圧電特性が低下するおそれがある。特に、下記数式(1)で表わされる条件を満たすように溝の深さを決定した場合には、圧電特性の低下がほとんどなく、超音波トランスデューサの特性が向上するので好ましい。
【0016】
/w≦0.15    (1)
(ここで、wは圧電体の幅であり、wは溝の深さである。)
また、溝の幅(図1における縦方向)は、10〜30μm程度とすることが好ましい。10μm未満の場合には十分に絶縁することが困難となり、一方、30μmを越えると充填する絶縁材による機械的負荷の影響が現われ、圧電特性が低下するおそれがある。特に、下記数式(1)で表わされる条件を満たすように溝の幅を決定した場合には、圧電特性の劣化がほとんどなく超音波トランスデューサの性能が向上するので好ましい。
【0017】
/t≦0.5       (2)
(ここで、tは圧電体の厚みであり、tは(溝の幅)/2である。)
溝加工した側面は、フッ化アンモニウムや硝酸などのエッチング液に浸漬する。このエッチング処理によって、凹状溝は等方エッチングされるため、角が取れてU字状の形状が得られる。最も好ましい形状は半円であり、これは断面積が小さくなって応力が集中しないからである。図中に示すように両側面の溝が互い違いとなるように、対向する側面においても、同様にU字状の溝を形成する。積層圧電体の側面に形成された溝は、このようにU字状となって角部が存在しないので、角部からの亀裂破壊などのおそれがなく機械的強度の点で有利である。しかも、凹状角型溝の場合よりも溝の断面積が小さいので、機械的負荷が少なく圧電特性の向上につながる。
【0018】
こうして形成されたU字状の溝には、エポキシ樹脂などの絶縁材料4を塗布・硬化するもしくはスパッタにより堆積析出させて充填する。通常のエポキシ樹脂は、音響インピーダンスの値は3.2Mrayls程度であるが、この値が小さいほど電気的結合係数といった特性が向上する。例えば、EPO−TEK301(epoxy technology社製)などの一部特殊なエポキシ樹脂の音響インピーダンスは3Mrayls程度であり、液体や空気の音響インピーダンスは2Mrayls程度である。したがって、U字状の絶縁部は、溝とこの内部に充填された液体や空気といった絶縁材料とにより構成されていることが最も好ましい。
【0019】
なお、先立つ工程において圧電体層に分極処理が施されているので、絶縁材料の塗布・硬化といったこれ以降のプロセスは、圧電体のキュリー温度以下で行なわなければならない。キュリー温度は圧電体の種類に応じて決定され、例えば、PZT圧電セラミックスでは200〜300℃程度であり、PZNT圧電単結晶では175℃程度である。
【0020】
U字状の絶縁部を形成した後には、両側面にスパッタにより外部電極3a,3bとなる電極膜を形成する。外部電極3a,3bの形成も、上述したように圧電体のキュリー温度以下の温度で行なわれる。
【0021】
以上のような方法により、面積12×24mm、厚さ60μmの圧電体1を内部電極2を介して10層積層し、幅0.200mmの短冊状振動子に加工して、図1に示したような積層圧電体を得た。この積層圧電体の電気機械結合係数を測定したところ、電気機械結合係数k’33の値で約66%が得られた。この値は、積層していないバルクの圧電体の値69%とほとんど変わらない。したがって、本発明の実施形態を用いることにより、積層化に起因する特性低下がほとんど起きないことが確認された。ここで得られた積層圧電体振動子のインピーダンス特性を、図2のグラフに示す。図2のグラフ中、矢印の大きさが結合係数の大きさに相当する。
【0022】
比較のために、従来技術を用いて試作した積層圧電体のインピーダンス特性を図3に示す。具体的には、特開2001−102647号公報に記載されている方法を採用して積層圧電体を作製した。こうして作製された積層圧電体においては、絶縁材料の部分は凹状であり、その断面はU字状の場合よりも大きい。しかも、200℃以上の接着硬化プロセスが含まれることから、分極処理は、複数の圧電体層を積層した後に行なわれる。このため圧電体層の端部には無効部分が生じて、場合によっては図3のグラフに示すように不要振動が発生し、電気機械結合係数も低下するおそれがある。
【0023】
図2のグラフに示されるように、上述した方法により製造された積層圧電体振動子は、不要振動がなく、電気機械結合係数は積層していないバルクの圧電体の特性がそのまま維持される。こうした積層圧電体においては、圧電体層は内部電極のみを介して積層され、同時焼成により作製されるので接着剤は存在しない。このため、接着剤に起因した機械的強度の低下は回避される。また、積層体を作製した後に、所望の形状に切断するので、圧電体に設けられた溝により位置合わせを行なうといった複雑な工程なしに作製することができる。しかも、見かけの誘電率は積層数倍に増加することから、この積層圧電体を用いた本発明の実施形態にかかる超音波トランスデューサは、大幅な感度向上などの特性向上が期待できる。
【0024】
図4は、本発明の一実施形態にかかる超音波トランスデューサの構成を示す概略図である。図示する超音波トランスデューサは、第1の音響整合層12および第2の音響整合層13が順次積層された複数の積層圧電体11が、バッキング材14上に一次元に配列された1次元アレイプローブである。図4中には明確に示されていないが、積層圧電体11は、図1の場合と同様の方向に積層された構造であり、上述した方法により作製される。こうした一次元アレイプローブは、例えば、以下のような方法により製造することができる。まず、バッキング材14に前述の積層圧電体11を接着し、次に音響整合層12、13を形成する。最後に、外部電極(図示せず)が形成されている側面に直行する方向にアレイ加工を行なって、各アレイの1側面の外部電極に信号線(図示せず)を配線し、他方の側面の外部電極はGND線(図示せず)に共通接続を行なう。
【0025】
本実施形態の超音波トランスデューサにおいては、各振動子の見かけ上の誘電率が向上するとともに、電気機械結合係数は積層していないバルクの圧電体の特性をそのまま維持することができる。したがって、感度を大幅に向上させるとともに、駆動電圧を低減することが可能となる。
【0026】
図5は、本発明の他の実施形態にかかる超音波トランスデューサの構成を表わす概略図である。図示する超音波トランスデューサは、第1の音響整合層12および第2の音響整合層13が順次積層された複数の積層圧電体11が、バッキング材14上に二次元に配列された二次元アレイプローブである。こうした二次元アレイプローブは、1列分を作製しアレイ加工を行ない、信号線およびGND線を接続した後に、この1列分の振動子群を複数接合する以外は、基本的には前述の一次元アレイプローブと同様の方法により製造することができる。
【0027】
図5に示した二次元アレイプローブの製造方法の一例を、図6に示す。
【0028】
まず、図6(a)に示すように、所定の配線パターンを有するフレキシブルプリント基板(FPC)15に、1列分の積層圧電体11を接着する。積層圧電体11は、例えば図1に示した構造とすることができる。次に、FPC15のグランド側電極16および信号側電極17と積層圧電体11の電極とを、Auスパッタ膜等の薄膜電極18を用いて図6(b)に示すように接続する。さらに、図6(c)に示すように音響整合層12および13を超音波送受信方向に形成し、図6(d)に示すようにアレイ分割加工を行なう。最後に、図6(e)に示すように分割した素子間に充填樹脂を充填し、バッキング材14を接着する。
【0029】
以上のプロセスにより、2次元アレイプローブの一列分が作製される。この一列分の振動子を、図6(f)に示すように複数枚積み重ねて接合することによって2次元アレイプローブが得られる。
【0030】
図7は、本発明の実施形態にかかる超音波トランスデューサに用いられる積層圧電体の他の例の構造を示した断面図である。
【0031】
図示する積層圧電体は、基本的には図1に示したものと同様の構成であり、前述と同様のプロセスにより作製することができる。ただし、絶縁材料4としては、エポキシ樹脂などの圧電体1との接着強度の弱い樹脂を用いる。このような樹脂を用いることによって、圧電体1の側面の凹状溝と絶縁材料4との間には、図示のような空隙が形成される。空隙が形成されない場合であっても、圧電体1と絶縁材料4とが機械的に緩く接着された状態が得られる。こうした構造とすることによって、圧電体1側面に加わる機械的負荷が低減されるため、電気機械結合係数などの圧電・誘電特性の低下を軽減することができる。
【0032】
絶縁材料4としてエポキシ樹脂をスパッタにより形成し、凹状溝と絶縁材料(エポキシ樹脂)との間に一部空隙を有する図7に示したような積層圧電体を試作した。得られた積層圧電体を評価した結果、電気機械結合係数k’33の値で約67%であり、圧電体との接着強度が高いエポキシ接着剤を用いた場合に比べて、より良好な特性が得られた。
【0033】
さらに、本発明の実施形態にかかる超音波トランスデューサに用いられる積層圧電体は、図8に示すような断面構造とすることもできる。
【0034】
図8に示す積層圧電体においては、U字型の凹状溝5内はすべて空隙となっている。この空隙は、図1を参照して説明したのと同様のプロセスによりU字状溝を作製した後、以下のような手法により形成することができる。U字状溝には、レジスト材料などエッチング除去可能な材料を充填して、硬化する。ここで充填された材料は、両側面に外部電極を形成後、エッチング液を用いて溶解除去する。あるいは、ワックスなどの熱などで溶解する材料をU字状溝に充填しても、同様なプロセスにより空隙を形成することができる。
【0035】
すでに説明したように空気の音響インピーダンスは、2Mrayls以下であるので、U字状の溝内部を空洞とすることによって、機械的結合係数などの圧電特性を著しく向上させることができる。これは、空洞であるために、溝の内面が機械的負荷を全く受けないためである。
【0036】
このような構造の積層圧電体を試作・評価した結果、ほぼバルクの圧電体と同等の電気機械結合係数が得られた。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の一態様によれば、電気機械結合係数などの圧電・誘電特性の低下が少なく、十分な機械的強度を有した微細な高性能超音波トランスデューサが提供される。また、本発明の他の態様によれば、電気機械結合係数などの圧電・誘電特性の低下が少なく、十分な機械的強度を有した微細な高性能超音波トランスデューサを、同時焼成された積層圧電体を用いて容易に製造する方法が提供される。
【0038】
本発明は、医用超音波診断装置や非破壊検査装置等に好適に用いることができ、その工業的価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる超音波トランスデューサにおける積層圧電体の構造を表わす断面図。
【図2】本発明の実施形態にかかる超音波トランスデューサにおける積層圧電体のインピーダンス特性図。
【図3】従来の積層圧電体のインピーダンス特性図。
【図4】本発明の一実施形態にかかる一次元アレイ超音波トランスデューサの構成を表わす概略図。
【図5】本発明の他の実施形態にかかる二次元アレイ超音波トランスデューサの構成を表わす概略図。
【図6】本発明の実施形態にかかる二次元アレイ超音波トランスデューサの製造プロセスを説明する工程図。
【図7】本発明の実施形態にかかる超音波トランスデューサにおける積層圧電体の構造を表わす断面図。
【図8】本発明の実施形態にかかる超音波トランスデューサにおける積層圧電体の構造を表わす断面図。
【符号の説明】
1a,1b・・・圧電体
2a,2b・・・内部電極
3a,3b・・・導電膜(外部電極)
4・・・絶縁体
5・・・U字溝
11・・・積層圧電体
12・・・第1音響整合層
13・・・第2音響整合層
14・・・バッキング材
15…フレキシブルプリント基板
16…グランド側電極
17…信号線側電極
18…薄膜電極

Claims (5)

  1. バッキング材と、このバッキング材上にアレイ状に配置された複数の積層圧電体と、前記積層圧電体のそれぞれの上に配置された複数の音響整合層とを有し、
    前記積層圧電体は、
    交互に積層され、互いに逆向きに完全に分極処理された第1および第2の圧電体を含む積層体と、
    前記積層体の対向する第1および第2の側面にそれぞれ配置された第1および第2の外部電極と、
    前記第1の圧電体の上面およびこの第1の圧電体上に積層された前記第2の圧電体の下面に直接接触して配置され、前記第1の外部電極に電気的に接続されるとともに、U字状の絶縁部を介して前記第2の外部電極と接する第1の内部電極と、
    前記第2の圧電体の上面およびこの第2の圧電体上に積層された前記第1の圧電体の下面に直接接触して配置され、前記第2の外部電極に電気的に接続されるとともに、U字状の絶縁部を介して前記第1の外部電極と接する第2の内部電極と
    を具備することを特徴とする超音波トランスデューサ。
  2. 前記U字状の絶縁部は、隣接する前記第1および第2の圧電体にわたって設けられた凹状溝からなることを特徴とする請求項1記載の超音波トランスデューサ。
  3. 前記U字状の絶縁部は、音響インピーダンスの値が3Mrayls以下の絶縁材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波トランスデューサ。
  4. 前記U字状の絶縁部は、隣接する前記第1および第2の圧電体にわたって設けられた凹状溝と、これらの圧電体と機械的に結合せずに前記凹状溝内に配置された絶縁材料とを含むことを特徴とする請求項1記載の超音波トランスデューサ。
  5. 圧電体と内部電極とを交互に複数積層して同時焼成を行ない、各圧電体に分極処理を施し所定の形状に切断した後、前記圧電体のキュリー温度以下に温度を保ったまま、前記内部電極の一方の端部に一層おきにU字状の絶縁部を形成し、前記内部電極の露出した端部に接続する外部電極を形成して積層圧電体を得る工程、
    前記積層圧電体をバッキング材上にアレイ状に複数配置する工程、および
    前記アレイ状に配置された前記積層圧電体上に、音響整合層をそれぞれ配置する工程
    を具備することを特徴とする超音波トランスデューサの製造方法。
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