JP3816596B2 - 超音波トランスジューサー及びその製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば医療用又は水中探査用など被検体の音響インピーダンスが低い場合の超音波検査に好適な超音波トランスジューサー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば医療用又は水中探査用などの超音波検査においては、被検体(生体あるいは水中の物質)の音響インピーダンスは低い場合が多い。一般的な超音波検査に用いられる超音波トランスジューサーは、電気音響変換効率が高い圧電材(例えばPZT)から成る圧電振動子を有しているが、このような圧電振動子の音響インピーダンスは高い。このため上記のように被検体の音響インピーダンスが低い場合の超音波検査においては圧電振動子と被検体との音響整合性が悪くなる。
【0003】
そこで、例えばPZT等の圧電材と、この圧電材よりも比較的音響インピーダンスが低いエポキシ等の充填材とを組み合わせて圧電振動子(コンポジット圧電振動子)を構成し、これにより音響インピーダンスを低下させ、上記のような被検体に対する音響整合性の改善を図った超音波トランスジューサーが考えられている。このような超音波トランスジューサーは、コンポジット・トランスジューサと称されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような超音波トランスジューサーのコンポジット圧電振動子のための充填材としては、エポキシよりも音響インピーダンスが低いシリコン等を用いれば被検体に対する音響整合性をより向上させることができ望ましい。
【0005】
しかしながら、例えばシリコーンを充填材として用いる場合には、超音波トランスジューサーの製造加工において次のような問題点がある。すなわち、シリコーンは比較的柔らかい材料であるため、所要の超音波周波数を得るための圧電振動子表面の研磨工程において研磨加工を施すことが困難であるという問題点がある。
【0006】
したがって本発明は、製造が容易であり、音響インピーダンスが比較的低い被検体に対しても良好な音響整合性が得られる超音波トランスジューサーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の超音波トランスジューサーは、研磨加工が可能な程度の硬さを有する第1の充填材と、前記第1の充填材よりも被検体に対する音響整合性が良好な第2の充填材と、前記第1の充填材及び第2の充填材が充填される圧電振動子と、を具備することを特徴とする。
(2)本発明の超音波トランスジューサーは、上記(1)に記載の装置であって、且つ前記圧電振動子は、複数の圧電振動素子がアレイ方向又はスライス方向に所定の間隔をあけて配列されて成り、前記スライス方向に沿って隣合う圧電振動素子の間に前記第1の充填材が充填され、前記アレイ方向に沿って隣合う圧電振動素子の間に前記第2の充填材が充填されることを特徴とする。
(3)本発明の超音波トランスジューサーは、上記(1)に記載の装置であって、且つ前記第1の充填材と第2の充填材とが、前記圧電振動子の振動面に平行な方向に沿って交互に充填されることを特徴とする。
(4)本発明の超音波トランスジューサーは、上記(1)に記載の装置であって、且つ前記第1の充填材と第2の充填材とが、前記圧電振動子の振動面に直交する方向に沿って交互に充填されることを特徴とする。
(5)本発明の超音波トランスジューサーの製造方法は、研磨加工が可能な程度の硬さを有する第1の充填材を圧電振動子に充填するステップと、前記第1の充填材が充填された圧電振動子を所要の超音波周波数が得られるように研磨加工するステップと、前記第1の充填材よりも被検体に対する音響整合性が良好な第2の充填材を前記ステップにより研磨加工された圧電振動子に充填するステップと、を具備することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る超音波トランスジューサーは、比較的音響インピーダンスが低いとされる生体等の被検体に対して用いられ、二次元アレイ型の超音波振動子を有するものであって、研磨加工が可能な程度の硬さを有する第1の充填材と、この第1の充填材よりも被検体に対する音響整合性が良好な第2の充填材と、第1の充填材および第2の充填材が充填される圧電振動子とから構成される。
【0009】
圧電振動子は、複数の圧電振動素子がアレイ方向及びスライス方向に所定の間隔をあけて配列されて成る。そして上記第1の充填材はスライス方向に沿って隣合う圧電振動素子の間に充填され、上記第2の充填材はアレイ方向に沿って隣合う圧電振動素子の間に充填される。
【0010】
図1〜図3は本発明の第1実施形態に係る超音波トランスジューサーの製造工程を概略的に示す斜視図である。
まず図1(a)に示すように、圧電振動子1のスライス方向に沿って複数本の溝(スライス方向溝と称する)Sを形成する。ちなみに同図には5本のスライス方向溝が形成される場合が示されている。圧電振動子1に対するスライス方向溝Sの具体的な形成方法としては、公知のダイス(dice)方法又は射出成形法を適用すれば良い。そして、このようなスライス方向溝Sの形成により複数本の柱状圧電体ロッドが形成されることになる。なお、圧電振動子1の材料として、本実施形態においてはPZTを用いることとするが、これに限定されない。
【0011】
次に図1(b)に示すように、上記圧電振動子1のスライス方向溝Sの各々に第1の充填材としてエポキシ樹脂10を充填する。第1の充填材としては研磨加工が可能な程度の硬さを有する材料が選定される。ちなみに、エポキシ樹脂は被検体に対して比較的高い音響インピーダンスを呈する。なお、第1の充填材としては上記エポキシ樹脂に限定されず、例えばアルミ粉体混合の接着剤であっても良い。この場合は、被検体に対する音響整合性が上記エポキシ樹脂よりも劣るという反面があるが、後述する研磨加工(若しくは切削加工)及びアレイ振動子形成のためのダイス加工がより容易になるという利点がある。
【0012】
次に図2(a)において点線で示すように、圧電振動子1の表面を研磨加工する。同図の点線は研磨量を便宜的に誇張して示している。研磨加工により圧電振動子1の厚さが変化し、これにより圧電振動子1を駆動した際の超音波周波数を所要の値にすることが可能となる。なお、圧電振動子1の溝Sに充填されるエポキシ樹脂10は研磨可能な程度の硬さを有しているので、当該研磨加工は容易に行える。
【0013】
次に図2(b)に示すように、柱状圧電体ロッド(圧電振動子)1を切り出して背面材(バッキング材とも言う)2に接合し、音響整合剤を塗布して音響整合層3を形成する。圧電振動子1において音響整合層3側の面が超音波の送受波面となる。
【0014】
次に図3(a)に示すように、圧電振動子1のアレイ方向に沿って複数本の溝(アレイ方向溝と称する)Aを形成する。ちなみに同図には5本のアレイ方向溝が形成される場合が示されている。圧電振動子1に対するアレイ方向溝Aの具体的な形成方法としては、ダイス(dice)方法を適用すれば良い。そして、このようなアレイ方向溝Aが形成されることにより、柱状圧電体ロッドの各々が分割される。これにより、圧電振動子1は、複数の圧電振動素子がアレイ方向及びスライス方向に所定の間隔をあけて配列される二次元アレイ構造を成す。この圧電振動子1の振動面、すなわち個々の圧電振動子素子の振動面は、アレイ方向に平行な平面とスライス方向に平行な平面の両者に直交する面である。
【0015】
次に図3(b)に示すように、第2の充填材としてシリコーン樹脂20をアレイ方向溝Aの各々に充填する。第2の充填材としては上記第1の充填材、すなわちエポキシ樹脂10よりも音響インピーダンスが低い材料が選定される。このような第2の充填材は、上記シリコーン樹脂に限定されない。なお、同図において音響整合層は図示省略されている。また、ダイス状に分割された圧電振動子1上に形成され、個々の振動子を電気的に分離可能な如く設けられる電極層についても図示省略されている。
【0016】
ここで、上述したような製造工程によって製造された本実施形態の超音波トランスジューサーの音響整合性の向上効果について説明する。なお、圧電振動子の材料として音響インピーダンスZ=30MRalyのPZTを用い、第1の充填材として音響インピーダンスZ=4MRalyのエポキシ樹脂を用い、第2の充填材として音響インピーダンスZ=1MRalyのシリコーン樹脂を用いるとともに、体積分率を30%として製造した場合について説明する。
【0017】
まず、比較対象例として、PZTと第1の充填材とが3:7の比率で構成された公知のコンポジット圧電体の音響インピーダンスは、Z=11.8MRalyとなる。
【0018】
一方、PZTとエポキシとシリコーンとが3:3.5:3.5 の比率で構成された本実施形態の超音波トランスジューサーは音響インピーダンスをZ=10.8MRalyとすることができ、比較対象例に比べて約10%程、被検体の音響インピーダンスに近づけることができる。したがって、被検体との音響整合性が向上する。
【0019】
さらに、研磨切削加工性およびアレイ振動子形成のためのダイス加工性の向上のために、第1の充填材としてエポキシ樹脂(Z=4MRaly)よりも音響インピーダンスが高いアルミ粉体混合の接着剤(Z=7MRaly)を用いて構成したような場合であっても、超音波トランスジューサー全体の音響インピーダンスは11.8MRalyとなり、上記比較対象例に比べて音響整合性が劣化することがない。
【0020】
以上説明したように本実施形態は、研磨加工が可能な程度の硬さを有する第1の充填材(10)と、この第1の充填材(10)よりも被検体に対する音響整合性が良好な第2の充填材(20)と、第1の充填材(10)および第2の充填材(20)が充填される圧電振動子(1) とから構成される。圧電振動子(1) は、複数の圧電振動素子がアレイ方向及びスライス方向に所定の間隔をあけて配列されて成る。そして上記第1の充填材(10)はスライス方向に沿って隣合う圧電振動素子の間、すなわちスライス方向溝(S) に充填され、上記第2の充填材(20)はアレイ方向に沿って隣合う圧電振動素子の間、すなわちアレイ方向溝(A) に充填される。
【0021】
ここで、第1の充填材(10)は研磨加工が可能な程度の硬さを有しているため、製造が容易となる。また、第2の充填材(20)は音響インピーダンスが低い材料が選定されるため、被検体に対する音響整合性が良好となる。加えて、第2の充填材(20)として音響結合性が小さい材料を選定すれば、ダイス状に分割された圧電振動子(1) の個々の圧電素子間の音響的クロストークが小さくなる。したがって、エレメントファクターを広く取れるという利点がある。
【0022】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態においては、スライス方向に沿って隣合う圧電振動素子の間に第1の充填材(エポキシ樹脂)が充填され、アレイ方向に沿って隣合う圧電振動素子の間に第2の充填材(シリコーン樹脂)が充填される超音波トランスジューサーについて説明した。第2実施形態においては、第1の充填材と第2の充填材とが圧電振動子の振動面に平行な方向に沿って交互に充填される。特に本実施形態においては、第1の充填材と第2の充填材とが圧電振動子に形成されたダイス状溝の幅方向に沿って交互に充填される。
【0023】
図4はこのような本実施形態の超音波トランスジューサーの概略構成を示す図であって、同図(a)は斜視図、同図(b)は上面図、同図(c)は同図(b)の矢印U−U′方向から見た断面図である。
【0024】
本実施形態の超音波トランスジューサーの製造工程を説明する(製造工程の図示は省略する)。
まず、圧電振動子1のスライス方向に沿って複数本の溝(スライス方向溝)を形成すると共に、アレイ方向に沿って複数本の溝(アレイ方向溝)を形成する。これにより、圧電振動子1はダイス状に分割され、ダイス状溝が形成される。圧電振動子1に対するダイス状溝の具体的な形成方法は第1実施形態と同様である。なお、圧電振動子1の材料としてはPZTを用いることとするが、これに限定されない。
【0025】
次に、上記圧電振動子1のダイス状溝に第1の充填材としてエポキシ樹脂10を充填する。第1の充填材としては研磨加工が可能な程度の硬さを有する材料が選定される。なお、第1の充填材としては上記エポキシ樹脂に限定されず、例えばアルミ粉体混合の接着剤であっても良い。この場合は、被検体に対する音響整合性が上記エポキシ樹脂よりも劣るという反面があるが、研磨加工(若しくは切削加工)がより容易になるという利点がある。
【0026】
次に、圧電振動子1の表面を研磨加工する。研磨加工により圧電振動子1の厚さが変化し、これにより圧電振動子1を駆動した際の超音波周波数を所要の値にすることが可能となる。なお、圧電振動子1のダイス状溝に充填されるエポキシ樹脂10は研磨可能な程度の硬さを有しているので、当該研磨加工は容易に行える。
【0027】
次に、ダイス状溝の底面で圧電振動子1を切り出す。これにより、複数の圧電振動素子がアレイ方向及びスライス方向に所定の間隔(ダイス状溝の幅に等しい)をあけて配列されて成る二次元アレイ型の圧電振動子が得られる。そして、圧電振動子1の一方の面を背面材2に接合し、音響整合剤を塗布して音響整合層を形成する。圧電振動子1において音響整合層側の面が超音波の送受波面となる。
【0028】
次に、圧電振動子1のアレイ方向に沿って、当初形成したアレイ方向溝と同じ位置に、このアレイ方向溝よりも溝幅がわずかに狭い第2のアレイ方向溝を形成する。
【0029】
次に、第2の充填材としてシリコーン樹脂20を第2のアレイ方向溝の各々に充填する。第2の充填材としては上記第1の充填材、すなわちエポキシ樹脂10よりも、音響インピーダンスが低い材料が選定される。このような第2の充填材は、上記シリコーン樹脂に限定されない。
【0030】
かくして図4(c)に示すように、圧電振動子1のダイス状溝の幅Wの方向に沿って、エポキシ樹脂10とシリコーン樹脂20とが交互に充填されることになる。
【0031】
このような第2実施形態の超音波トランスジューサーによれば、第1実施形態と同様に、第1の充填材(10)は研磨加工が可能な程度の硬さを有しているため、製造が容易となる。また、第2の充填材(20)は音響インピーダンスが低い材料が選定されるため、被検体に対する音響整合性が良好となる。加えて、第2の充填材(20)として音響結合性が小さい材料を選定すれば、ダイス状に分割された圧電振動子(1) の個々の圧電振動素子間の音響的クロストークが小さくなる。したがって、エレメントファクターを広く取れるという利点がある。
【0032】
さらに第2実施形態においては、ダイス状に分割された圧電振動子1の個々の圧電素子素子間のギャップ幅Wに沿って、異なる材質の充填材とを適宜組み合わせて充填(本例ではエポキシ−シリコーン−エポキシを交互に充填)可能としているため、特に高周波においてギャップ幅Wに発生する不要振動モードを回避可能となる。ちなみに、所要の体積分率を得るためにギャップ幅Wを100μmとしたいような場合であって、10MHz程度の高周波プローブを構成するような場合であっても、不要振動モードが発生することがない。
【0033】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第2実施形態においては、第1の充填材と第2の充填材とが圧電振動子の振動面に平行な方向に沿って交互に充填される超音波トランスジューサーについて説明した。第3実施形態の超音波トランスジューサーは、第1の充填材と第2の充填材とが圧電振動子の振動面に直交する方向(これは超音波が送受波される方向に等しい)に沿って交互に充填されて構成される。特に本実施形態においては、圧電振動子に形成されたダイス状溝の深さ方向に沿って第1の充填材及び第2の充填材が交互に充填されて構成される。
【0034】
図5はこのような本実施形態の超音波トランスジューサーの概略構成を示す図であって、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)を矢印V−V′方向から見た断面図である。
【0035】
本実施形態の超音波トランスジューサーの製造工程を説明する(製造工程の図示は省略する)。
まず、圧電振動子1のスライス方向に沿って複数本の溝(スライス方向溝)を形成すると共に、アレイ方向に沿って複数本の溝(アレイ方向溝)を形成する。これにより、圧電振動子1はダイス状に分割され、ダイス状溝が形成される。
【0036】
圧電振動子1に対するダイス状溝の具体的な形成方法は第1実施形態と同様である。なお、圧電振動子1の材料としてはPZTを用いることとするが、これに限定されない。
【0037】
次に、上記圧電振動子1のダイス状溝に、第1の充填材としてエポキシ樹脂10を溝底面から所定の高さ(ここでは3分の1とする)まで充填する。第1の充填材としては研磨加工が可能な程度の硬さを有する材料が選定される。なお、第1の充填材としては上記エポキシ樹脂に限定されず、例えばアルミ粉体混合の接着剤であっても良い。この場合は、被検体に対する音響整合性が上記エポキシ樹脂よりも劣るという反面があるが、後述する研磨加工(若しくは切削加工)がより容易になるという利点がある。
【0038】
次に、圧電振動子1のダイス状溝に充填された第1の充填材の上層に、第2の充填材としてシリコーン樹脂20を、所定の高さだけ充填する。第2の充填材としては上記第1の充填材、すなわちエポキシ樹脂10よりも、音響インピーダンスが低い材料が選定される。このような第2の充填材は、上記シリコーン樹脂に限定されない。
【0039】
次に、上記第2の充填材の上層に、再度第1の充填材、すなわちエポキシ樹脂10を充填する。
次に、圧電振動子1の表面を研磨加工する。研磨加工により圧電振動子1の厚さが変化し、これにより圧電振動子1を駆動した際の超音波周波数を所要の値にすることが可能となる。なお、圧電振動子1のダイス状溝に充填されるエポキシ樹脂10は研磨可能な程度の硬さを有しているので、当該研磨加工は容易に行える。
【0040】
次に、ダイス状溝の底面に相当する位置で圧電振動子1を切り出す。これにより、複数の圧電振動素子がアレイ方向及びスライス方向に所定の間隔(ダイス状溝の幅に等しい)をあけて配列されて成る二次元アレイ型の圧電振動子が得られる。そして、圧電振動子1の一方の面を背面材2に接合し、音響整合剤を塗布して音響整合層を形成する。圧電振動子1において音響整合層側の面が超音波の送受波面となる。
【0041】
かくして図5(c)に示すように、圧電振動子1のダイス状溝の深さ方向(厚み方向)Zに沿って、エポキシ樹脂10とシリコーン樹脂20とが交互に充填されることになる。
【0042】
このような第3実施形態の超音波トランスジューサーによれば、第1実施形態と同様に、第1の充填材(10)は研磨加工が可能な程度の硬さを有しているため、製造が容易となる。また、第2の充填材(20)は音響インピーダンスが低い材料が選定されるため、被検体に対する音響整合性が良好となる。加えて、第2の充填材(20)として音響結合性が小さい材料を選定すれば、ダイス状に分割された圧電振動子(1) の個々の圧電振動素子間の音響的クロストークが小さくなる。したがって、エレメントファクターを広く取れるという利点がある。
【0043】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、種々変形して実施可能である。例えば、上記第1〜第3実施形態においては、圧電振動子に対してスライス方向溝、アレイ方向溝、ダイス状溝といった溝を形成し、その底面で切り出すことにより、圧電振動子を複数の圧電振動素子に分割することとして説明したが、柱状若しくは板状の複数の圧電振動素子を所定の間隔をあけて配列し、個々の圧電振動素子の間隙に、本発明に従って充填材を充填するように構成しても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、製造が容易であり、音響インピーダンスが比較的低い被検体に対しても良好な音響整合性が得られる超音波トランスジューサー及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る超音波トランスジューサーの製造工程の一部を概略的に示す斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る超音波トランスジューサーの製造工程の一部を概略的に示す斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る超音波トランスジューサーの製造工程の一部を概略的に示す斜視図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る超音波トランスジューサーの構成を概略的に示す図。
【図5】本発明の第3実施形態に係る超音波トランスジューサーの構成を概略的に示す図。
【符号の説明】
1…圧電振動子
2…背面材
3…音響整合層
10…第1の充填材(エポキシ樹脂)
20…第2の充填材(シリコーン樹脂)
Claims (5)
- 研磨加工が可能な程度の硬さを有する第1の充填材と、
前記第1の充填材よりも被検体に対する音響整合性が良好な第2の充填材と、
前記第1の充填材及び第2の充填材が充填される圧電振動子と、を具備することを特徴とする超音波トランスジューサー。 - 前記圧電振動子は、複数の圧電振動素子がアレイ方向又はスライス方向に所定の間隔をあけて配列されて成り、
前記スライス方向に沿って隣合う圧電振動素子の間に前記第1の充填材が充填され、
前記アレイ方向に沿って隣合う圧電振動素子の間に前記第2の充填材が充填されることを特徴とする請求項1に記載の超音波トランスジューサー。 - 前記第1の充填材と第2の充填材とが、前記圧電振動子の振動面に平行な方向に沿って交互に充填されることを特徴とする請求項1に記載の超音波トランスジューサー。
- 前記第1の充填材と第2の充填材とが、前記圧電振動子の振動面に直交する方向に沿って交互に充填されることを特徴とする請求項1に記載の超音波トランスジューサー。
- 研磨加工が可能な程度の硬さを有する第1の充填材を圧電振動子に充填するステップと、
前記第1の充填材が充填された圧電振動子を所要の超音波周波数が得られるように研磨加工するステップと、
前記第1の充填材よりも被検体に対する音響整合性が良好な第2の充填材を前記ステップにより研磨加工された圧電振動子に充填するステップと、を具備することを特徴とする超音波トランスジューサーの製造方法。
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