JP5488036B2 - 超音波探触子用バッキング材、それを用いた超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置 - Google Patents

超音波探触子用バッキング材、それを用いた超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、超音波探触子用バッキング材、それを用いた超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置に関する。詳しくは、超音波探触子を構成する超音波振動子から後方へ放射される不要な超音波の減衰率が高い上に、適切な音響インピーダンスを有し、かつダイシングする際の熱変形が少ない超音波探触子用バッキング材等に関する。
超音波医用画像診断装置などに用いられる超音波探触子においては、S/N比の向上による高画質化のために、より高感度のものが求められている。
超音波探触子の高感度化には、超音波の送波能力、受波感度の向上が必要である。その方法の一つとして、超音波振動子(圧電振動子)の背面側に、超音波振動子から後方へ放射される不要な超音波を減衰、吸収するために設けられるバッキング材(背面側負荷部材)の音響インピーダンスを低減する方法がある。
バッキング材の音響インピーダンスを低減することは、バッキング材側に放射される超音波を低減し、探触子前面の超音波送受波面からの超音波の送波を効率的にするばかりでなく、受波系の音響インピーダンス低減による受波感度の向上にもなる。
超音波探触子の構成部材の中で、バッキング材はダンピング効果による分解能の向上、超音波振動子の支持およびバッキング材側へ放射される超音波の吸収といった役目を果たしている。
近年、超音波探触子においては超音波振動子の超音波送受波面側に設けられる音響整合層(マツチング層)を多層化したり、超音波振動子を構成する圧電体に複合圧電材料を用いるなどしてパルスエコー波形の改善が図られているため、バッキング材の音響インピーダンスを低減する方法はより有効となって来ている。例えば、超音波診断装置の超音波探触子においては、バッキング材の音響インピーダンスを2〜5Mrayls程度にすることで、感度は改善される。しかし、高感度化に必要とされる音響インピーダンス2〜4Mrayls程度のバッキング材を得ようとする場合でも、十分な硬度と吸収減衰があることが必要となるが、このような条件を満たす材料を得ることは従来困難であった。
バッキング材の音響的特性(物性)が良好でない場合、そのバッキング材において十分に超音波の吸収、減衰を行えず、その結果、超音波画像の画質の低下を招く。特に、バッキング材における音響インピーダンスが設計通りの値であり、しかも、それ全体として音響インピーダンスが均一であるのが望ましい。すなわち、バッキング材は、音響インピーダンスと減衰を所望の値に全体として均一に合わせる必要がある。
従来、バッキング材としてゴム材にフェライト粉末を混入したものが用いられている。しかし、そのようなバッキング材は超音波の減衰率を高くするのが困難であるという問題がある。また、そのようなバッキング材は、高周波のプローブを作る際に柔らかすぎるため、細かいピッチにダイシングする際に細かくダイスすることができず、特にサブダイスを設けようとする際に均一の深さに切り込むことができず問題となっている。また、ダイシングする際に、熱により変形し易いという問題がある。さらに、ゴム材の場合は、音響インピーダンスと減衰を任意に調整することが難しく、特に2〜5Mraylsの低い音響インピーダンスのものは無かった。
また、従来、エポキシ樹脂に対して、タングステンなどの粉末(粒子)及びガラスマイクロバルーン(粒子)などをフィラーとして混入してなるバッキング材も知られている(例えば特許文献1参照)。このバッキング材によれば、高い剛性と高い減衰特性とを得ることができる。
しかし、この場合は、ゴムを使用したような柔軟さに起因するダイシング時の問題は発生しないものの、タングステンなどのフィラー粒子は単位体積当たりの質量(密度)が極めて大きいために、エポキシ樹脂などにそれを混入した際に、その粒子が下部に沈降し、上下方向において(厚さ方向において)、単位体積当たりにおける粒子個数が不均一となる。つまり、上下方向において、バッキングの音響的物性(特に音響インピーダンス)を均一にできないという問題がある。また、そのため、高い減衰を得ることが難しい。特に、減衰のためのフィラーの分散が難しいため、必要な量のフィラーを入れることがなかなかできなかった。
上記のような問題に対して、フィラーを複合して混合する技術も開示されているが(例えば特許文献2及び3参照。)、これも充分な減衰を得ることができないこと、また混合をしていくとバッキング材としての強度やトランスデューサーを組み立てる際の接着性が不足してしまうという問題があった。
特開平3−284100号公報 特開昭62−118700号公報 特開2003−190162号公報
本発明は、上記問題・状況にかんがみてなされたものであり、その解決課題は、超音波探触子を構成する超音波振動子から後方へ放射される不要な超音波の減衰率が高い上に、適切な音響インピーダンスを有し、かつダイシングする際の熱変形が少ない超音波探触子用バッキング材を提供することである。また、それを用いた超音波探触子及び超音波医用画像診断装置を提供することである。
本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.超音波探触子を構成する超音波振動子の後方に設けられ、超音波振動子から後方に放射された超音波を減衰する超音波探触子用バッキング材であって、当該バッキング材が母材とフィラー混合物を含有し、かつ当該母材がナノコンポジット化エポキシ樹脂であることを特徴とする超音波探触子用バッキング材。
2.前記ナノコンポジット化エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂中にナノサイズのシリコーン樹脂粒子を含有していることを特徴とする前記第1項に記載の超音波探触子用バッキング材。
3.前記ナノコンポジット化エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂中にナノサイズのシリカ粒子を含有していることを特徴とする前記第1項に記載の超音波探触子用バッキング材。
4.前記フィラー混合物が、エラストマーとフィラーとを複合したフィラー複合粒子であることを特徴とする前記第1項から第3項までのいずれか一項に記載の超音波探触子用バッキング材。
5.前記フィラー複合粒子の他に比重が5以上の無機粒子をさらに含有することを特徴とする前記第1項から第項4までのいずれか一項に記載の超音波探触子用バッキング材。
6.前記第1項から第5項までのいずれか一項に記載の超音波探触子用バッキング材を用いたことを特徴とする超音波探触子。
7.前記第1項から第5項までのいずれか一項に記載の超音波探触子用バッキング材を用いた超音波探触子を具備していることを特徴とする超音波医用画像診断装置。
本発明の手段により、超音波探触子を構成する超音波振動子から後方へ放射される不要な超音波の減衰率が高い上に、適切な音響インピーダンスを有し、かつダイシングする際の熱変形が少ない超音波探触子用バッキング材を提供することである。また、それを用いた超音波探触子及び超音波医用画像診断装置を提供することである。
本発明においては、シリコンナノコンポジット材料を用いることにより複合粒子の添加量に対する減衰の変化がより傾きが大きくなり、少ない量で所望の減衰に調整できることが特徴である。
超音波探触子の構成を示す概要図 一定ピッチで各素子にダイシングした超音波探触子の概要図 超音波医用画像診断装置の外観構成を示す概要図 超音波医用画像診断装置の電気的な構成を示すブロック図
本発明の超音波探触子用バッキング材は、超音波探触子を構成する超音波振動子の後方に設けられ、超音波振動子から後方に放射された超音波を減衰する超音波探触子用バッキング材であって、当該バッキング材が母材とフィラー混合物を含有し、かつ当該母材がナノコンポジット化エポキシ樹脂であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項7までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
ここで、「超音波振動子の後方」とは、超音波振動子の超音波を送受信する側(前面側)とは反対側(背面側)に位置する空間をいう。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記ナノコンポジット化エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂中にナノサイズのシリコーン樹脂粒子を含有していることが好ましい。また、当該ナノコンポジット化エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂中にナノサイズのシリカ粒子を含有している態様も好ましい。
本発明においては、前記フィラー混合物が、エラストマーとフィラーとを複合したフィラー複合粒子であることが好ましい。また、当該フィラー複合粒子の他に比重が5以上の無機粒子をさらに含有することが好ましい。
本発明の超音波探触子用バッキング材は、超音波探触子及び超音波医用画像診断装置に好適に用いることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。
(超音波探触子用バッキング材)
〈バッキング材の母材:ナノコンポジット化エポキシ樹脂〉
本発明の超音波探触子用バッキング材は、母材とフィラー混合物を含有し、かつ当該母材がナノコンポジット化エポキシ樹脂であることを特徴とする。
本発明に係る「ナノコンポジット化エポキシ樹脂」とは、エポキシ樹脂中に硬化剤又は硬化剤と硬化促進剤と共に、平均粒径が10〜1000nmのナノサイズの微粒子をあらかじめ分散させて新たな機能特性を発現させたエポキシ樹脂をいう。
本発明において用いる母材としてのエポキシ樹脂は、5℃〜28℃程度の範囲の常温について、さらには100℃程度までの温度範囲に液状のものであれば、特にその種類は限定されることなく各種のものであってよい。
例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はレゾルシンをベースとするジグリシジルエーテル;フェノールノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル;水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル;グリシジルアミン型のもの;線状脂肪族エポキシド型のもの;フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸又はテトラヒドロフタル酸のジグリシジルエステル等が挙げられる。
これらの液状エポキシ樹脂のエポキシ等量は、100〜500の範囲内にあることが好ましく、特に150〜250の範囲内にあることが好ましい。
これらの液状エポキシ樹脂は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記液状エポキシ樹脂の中では、粘度の低いビスフェノールA又はビスフェノールFをベースとするジグリシジルエーテルが好ましい。
また、液状エポキシ樹脂組成物を用いて得られる成形体に靱性や粘着性を付与するために、上記液状エポキシ樹脂に、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂、エポキシ変性NBRの等の変性エポキシ樹脂を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いるエポキシ樹脂用硬化剤(B)は、50〜200℃に加熱されることにより、エポキシ樹脂のエポキシ基と架橋反応を起こし、エポキシ樹脂組成物を硬化させる作用を有する。
硬化剤としては、従来、エポキシ樹脂用硬化剤として用いられているものを使用することができる。
その具体例としては、ジシアンジアミド;4,4′−ジアミノヒフェニルスルホン;2−n−ヘプタデシルイミダゾールのようなイミダゾール誘導体;イソフタル酸ジヒドラジド;N,N−ジアルキル尿素誘導体;N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体;テトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物;イソホロンジアミン、m−フェニレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン;ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、トリスジメチルアミノメチルフェノール、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等のアミノアルキル環状化合物;メラミン;フッ化ホウ素錯化合物;各種ダイマー酸とジアミンの付加物よりなるポリアミドアミン;等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂用硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記エポキシ樹脂成分の硬化助剤としては、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン等の三級アミン化合物、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン化合物等が挙げられる。
液状エポキシ樹脂組成物の全体量に対しての配合割合については、エポキシ樹脂100質量部に対して、通常、硬化剤は3〜100質量部の範囲内とし、硬化促進剤については、硬化剤に対しての比率が1/5以下程度を考慮することができる。
本発明に係る微粒子としては、無機化合物または有機化合物が挙げられる。
微粒子の1次平均粒子径としては、ナノコンポジット化し、安定にエポキシ樹脂中の混合し、音響特性を改良するという観点から、1000nm(1μm)以下が好ましく、更に好ましくは500nm以下であり、特に好ましくは200nm以下である。
なお、微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって1次平均粒子径とした。
無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムがある。
本発明に係る二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)、MEK−ST(日産化学(株)製)、OSCAL(触媒化成(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。さらに、スメクタイトとしては、ルーセントタイトSWN、SAN、STN、SEN、SPN(コープケミカル(株))、ベンナイトとしては、エスベン、C、E、W、WX、N−400、NX、NX80、NZ、NZ70、NE、NEZ、NO12S、NO12等や、オルガナイト、D、T(以上(株)ホージュン製)等が挙げることができる。本発明に係る酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)、QUEEN TITANIC(触媒化成(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
有機化合物としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、弗素樹脂及び等のポリマーが好ましい。中でも、アクリル樹脂、ブタジエン樹脂およびシリコーン樹脂が好ましく用いることができる。上記記載のアクリル樹脂およびシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、アクリル樹脂としては、樹脂微粒子、MG−151、MG−152、MG−153、MG−154、MG−251、S−1200、S−0597、S−1500、S−4100、4000(以上日本ペイント(株)製)、リオスフィア(東洋インキ(株)製)等が上げられる。
見掛比重が大きい程、高濃度のナノコンポジット化エポキシ樹脂を作ることが可能になり、凝集物が減少し、目標とする音響特性が良化するため好ましい。
1次粒子の平均径が200nm以下、見掛比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることができる。また、例えば、アエロジル200V、アエロジルR972V(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、それらを使用することができる。
このようなナノコンポジット化エポキシ樹脂には市販の物も好ましく用いることができる。例えば、シリカナノコンポジットとしては、Nanopox F400、F440、F520、F630、F640、ALBIPOX F080、F081等が、NBRナノコンポジットとしては、ALBIPOX 1000、2000、2002、3001等、シリコーンゴムナノコンポジットとしては、ALBIDURE EP2240、EP5340、PU5640、6240UP、VE3320(NANORESIN社製)、アクリセットBPA328 、BPF307(日本触媒製)が挙げられる。
〈フィラー混合物:フィラー複合粒子〉
本発明に係るフィラー混合物とは、後述するフィラーと他の物質、例えば各種樹脂等との混合・分散して形成された混合物、及び、フィラー上に樹脂膜を形成させて、又は、フィラーに樹脂を含浸させて複合化し形成された複合物質をいう。
本発明においては、粒子状のフィラー複合物質、すなわち、フィラー複合粒子であることが好ましい。特に、後述するエラストマーとフィラーとを複合した複合粒子であることが好ましい。
本発明において用いることができるフィラー複合粒子としては、特にシリコーンゴムとフェライトの複合粒子、及びシリコーンゴムとフェライトとガラスバルーンとの複合粒子好適に用いられる。
フィラー複合粒子の平均粒径は、5〜1000μmであることが好ましい。当該平均粒径は、レーザー式粒度分布測定機(例えば、LMS−30(セイシン企業製))を使用して測定できる。
〈エラストマー〉
本願において、「エラストマー」とは、伸び率が100%以上の弾性体で外力を与えると容易に変化するが、除くとただちに原形にほぼ回復するような弾性の顕著な高分子物質をいう。当該エラストマーは、炭素−炭素結合を繰り返しの最小単位とする長い高分子鎖(主鎖)で構成されているが、架橋部によって高分子鎖同士が化学結合で結ばれており、この架橋部と高分子鎖についている枝分かれ部によって、エラストマー性(弾性)を示すものをいう。
本発明において用いることができるエラストマーの具体例としては、軟かいゴム状樹脂、例えば、シリコーンゴム、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ナチュラルゴム等を挙げることができる。
〈フィラー〉
本発明において用いることができるフィラーとしては、樹脂に含有させることができる従来公知の種々のフィラーを用いることができる。本発明においては、特に、以下に例示する比重が5以上のフィラーを用いることが好ましい。なお、下記括弧内の数値は、各物質の比重を表す。
好ましい具体例として、フェライト(5.6)、酸化タングステン(7.2)、酸化イットリビウム(9.2)、酸化ビスマス(8.9)、酸化亜鉛(5.6)、タングステン(19.3)、酸化ジルコニウム(5.9)、酸化スズ(7.0)、酸化ニッケル(6.7)、酸化バリウム(5.7)、酸化マンガン(5.0)、酸化イットリウム(5.0)、酸化インジウム(7.2)、酸化タンタル(8.2)、チタン酸バリウム(6.1)等を挙げることができる。
上記フィラーのうち、特に好ましいのは、コスト、比重等の観点から、フェライト、酸化タングステン、酸化亜鉛、タングステンである。
フィラーの平均粒径は、5〜100μmであることが好ましい。当該平均粒径は、レーザー式粒度分布測定機(例えば、LMS−30(セイシン企業製))を使用して測定できる。
〈フィラー複合粒子の作製方法〉
本発明に係るフィラー複合粒子の作製方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができるが、例えば、特開昭62−118700号公報、特開2003−190162号公報に開示されている方法を採用することができる。
具体的には、例えば、フィラーの粉体を溶媒で希釈した熱硬化型エラストマーの溶液中に浸し、良く攪拌した後、余分な溶液を捨て、常温で乾燥させ溶媒を蒸発させ、その後電気炉内でエラストマーを加熱硬化させ、このエラストマーで被覆されたフィラー粉体をフィラー複合粒子として得ることができる。
また、別の作製方法として、まず、流動体としてのエラストマーを作製するため、あらかじめエラストマーと硬化剤とを混合し十分に攪拌しておく、この流動体としてのエラストマーに対して、フィラー粒子を所定量添加し、その添加後にエラストマーに対して十分な攪拌処理を行う。この場合においては、例えば攪拌と共に超音波振動を印加するようにしてもよい。
(超音波探触子)
本発明に係る超音波探触子は、超音波画像診断装置の主要構成部品であって、超音波を発生するとともに、超音波ビームを送受信する機能を有するものである。当該超音波探触子の内部の構成は、種々の態様を採り得るが、一般的構成としては、先端(被検体である生体に接する面)部分から「音響レンズ」、「音響整合層」、「超音波振動子(圧電素子)」、「バッキング」という順に並置された態様の構成を採り得る(図1参照)。
本発明に係る超音波探触子は、超音波送信用振動子と超音波受信用振動子を具備する超音波医用画像診断装置用探触子(プローブ)であり、受信用振動子として、本発明に係る上記超音波受信用振動子を用いることを特徴とする。
本発明においては、超音波の送受信の両方をひとつの振動子で担ってもよいが、より好ましくは、送信用と受信用で振動子は分けて探触子内に構成される。
送信用振動子を構成する圧電材料としては、従来公知のセラミックス無機圧電材料でも、有機圧電材料でもよい。
本発明に係る超音波探触子においては、送信用振動子の上もしくは並列に本発明の超音波受信用振動子を配置することができる。
より好ましい実施形態としては、超音波送信用振動子の上に本発明の超音波受信用振動子を積層する構造が良く、その際には、本発明の超音波受信用振動子は他の高分子材料(支持体として上記の比誘電率が比較的低い高分子(樹脂)フィルム、例えば、ポリエステルフィルム)の上に添合した形で送信用振動子の上に積層してもよい。その際の受信用振動子と他の高分子材料と合わせた膜厚は、探触子の設計上好ましい受信周波数帯域に合わせることが好ましい。実用的な超音波医用画像診断装置及び生体情報収集に現実的な周波数帯から鑑みると、その膜厚は、5〜200μmであることが好ましい。
なお、当該探触子には、バッキング層、音響整合層、音響レンズなどを設けても良い。また、多数の圧電材料を有する振動子を2次元に並べた探触子とすることもできる。複数の2次元配列した探触子を順次走査して、画像化するスキャナーとして構成させることもできる。
(バッキング層)
バッキング層は、超音波振動子(圧電素子)を支持し、不要な超音波を吸収し得る超音波吸収体である。
本発明においては、バッキング層に用いられるバッキング材としては、前記バッキング材を用いることを特徴とする。
(超音波振動子:圧電素子)
本発明に係る超音波振動子は、電極および圧電材料を有し、電気信号を機械的な振動に、また機械的な振動を電気信号に変換可能で超音波の送受信が可能な素子である。
圧電材料は、電気信号を機械的な振動に、また機械的な振動を電気信号に変換可能な圧電体を含有する材料である。圧電体としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系セラミックス、PbTiO系セラミックなどの圧電セラミックス、水晶、ロッシェル塩、有機高分子圧電材料などを用いることができる。
有機高分子圧電材料としては、例えば、フッ化ビニリデン(VDF)の重合体であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)、あるいはVDFと、例えば、3フッ化エチレン(TrFE)の共重合体であるポリフッ化ビニリデン−3フッ化エチレン(P(VDF−TrFE))のようなPVDF共重合体、シアン化ビニリデン(VDCN)の重合体であるポリシアン化ビニリデン(PVDCN)、あるいはシアン化ビニリデン系共重合体あるはナイロン9、ナイロン11などの奇数ナイロンや、芳香族ナイロン、脂環族ナイロン、あるいはポリ乳酸や、ポリヒドロキシブチレートなどのポリヒドロキシカルボン酸、セルロース系誘導体、ポリウレアなどが挙げられる。良好な圧電特性、加工性、入手容易性等の観点から、高分子の有機圧電材料、特にVDFを主成分として含有する高分子材料であることが好ましい。
具体的には、大きい双極子モーメントをもつCF基を有する、VDFの単独重合体又はVDFを主成分とする共重合体であることが好ましい。なお、共重合体における第二組成分としては、テトラフルオロエチレン(TeFE)、トリフルオロエチレン(3フッ化エチレンTrFE)、ヘキサフルオロプロパン、クロロフルオロエチレン等を用いることができる。
例えば、P(VDF−TrFE)の場合、共重合比によって厚さ方向の電気機械結合定数(圧電効果)が変化するので、VDFの共重合比が60〜99mol%であること、さらには、65〜85mol%であることが好ましい。
本発明においては、上記範囲において共重合比を変化させ、当該電気機械結合定数が、0.25以上であるように調整することが好ましい。
なお、VDFを65〜85mol%にして、パーフルオロアルキルビニルエーテル、パーフルオロアルコキシエチレン、パーフルオロヘキサエチレン等を15〜35mol%にしたポリマーは、送信用無機圧電素子と受信用有機圧電素子との組み合わせにおいて、送信基本波を抑制して、高調波受信の感度を高めることができる。
上記有機圧電材料は、セラミックスからなる無機圧電材料に比べ、薄膜化できることからより高周波の送受信に対応した振動子にすることができる点が特徴である。
圧電材料の厚さとしては、概ね100〜500μmの範囲で用いられる。
圧電材料は、その両面に電極が付された状態で、超音波振動子として用いられる。
(電極)
圧電材料に付される電極に用いられる材料としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などが挙げられる。
圧電材料に電極を付す方法としては、例えば、チタン(Ti)やクロム(Cr)などの下地金属をスパッタ法により0.02〜1.0μmの厚さに形成した後、上記金属元素を主体とする金属およびそれらの合金からなる金属材料、さらには必要に応じ一部絶縁材料をスパッタ法、その他の適当な方法で1〜10μmの厚さに形成する方法が挙げられる。
電極形成はスパッタ法以外でも、微粉末の金属粉末と低融点ガラスとを混合した導電ペーストをスクリーン印刷やディッピング法、溶射法で形成することもできる。電極は、圧電材料上に、探触子の形状に応じて、圧電体面の全面あるいは圧電体面の一部に、設けられる。
超音波振動子とバッキング材は、接着層を介して積層されていることが好ましい態様である。接着層を形成するための接着剤としては、エポキシ系の接着剤を用いることができる。
超音波振動子の、バッキング材側の表面の一部と、音響整合層側の表面の一部には電極が接触されており、バッキング材と電極が接着層を介して積層されている部分を含む場合もある。
(音響整合層)
本発明に係る音響整合層は、超音波振動子と被検体の間の音響インピーダンスを整合させるもので、超音波振動子と被検体との中間の音響インピーダンスを有する材料で構成される。
音響整合層に用いられる材料としては、アルミ、アルミ合金(例えばAL−Mg合金)、マグネシウム合金、マコールガラス、ガラス、溶融石英、コッパーグラファイト、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ABC樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、ナイロン(PA6、PA6−6)、PPO(ポリフェニレンオキシド)、PPS(ポリフェニレンスルフィド:ガラス繊維入りも可)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PAI(ポリアミドイミド)、PETP(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる好ましくはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に充填剤として亜鉛華、酸化チタン、シリカやアルミナ、ベンガラ、フェライト、酸化タングステン、酸化イットリビウム、硫酸バリウム、タングステン、モリブデン等を入れて成形したものを用いることができる。
音響整合層は、単層でもよいし複数層から構成されてもよいが好ましくは2層以上である。音響整合層の層厚は、超音波の波長をλとすると、λ/4となるように定める必要がある。これを満たさない場合、本来の共振周波数とは異なる周波数ポイントに複数の不要スプリアスが出現し、基本音響特性が大きく変動してしまう。結果、残響時間の増加、反射エコーの波形歪みによる感度やS/Nの低下を引き起こしてしまい好ましくない。このような音響整合層の厚さとしては、概ね30〜500μmの範囲で用いられる。
本発明の超音波探触子では、超音波の送受信の両方を一つの超音波振動子で担ってもよいが、超音波振動子として、送信用超音波振動子と受信用超音波振動子とを具備するものが、好ましく用いられる。送信用超音波振動子と、受信用超音波振動子の配列としては、各々を上下に配置する配列および並列に配置する配列のどちらでもよいが、上下に配置して積層する構造が好ましい。
積層する場合の送信用超音波振動子および受信用超音波振動子の厚さとしては、40〜150μmであることが好ましい。
本発明に係る超音波探触子は、種々の態様の超音波画像検出置に用いることができる。
図2に本発明の超音波探触子を具備する超音波画像検出装置の例の主要部の構成を示す概念図を示す。
超音波画像検出装置は、例えば、生体などの被検体に対して超音波を送信し、被検体で反射した超音波をエコー信号として受信する超音波振動子が配列されている超音波探触子(プローブ)を備えている。また当該超音波探触子に電気信号を供給して超音波を発生させると共に、当該超音波探触子の各超音波振動子が受信したエコー信号を受信する送受信回路と、送受信回路の送受信制御を行う送受信制御回路を備えている。
さらに、送受信回路が受信したエコー信号を被検体の超音波画像データに変換する画像データ変換回路を備えている。また当該画像データ変換回路によって変換された超音波画像データでモニタを制御して表示する表示制御回路と、超音波画像検出装置全体の制御を行う制御回路を備えている。
制御回路には、送受信制御回路、画像データ変換回路、表示制御回路が接続されており、制御回路はこれら各部の動作を制御している。そして、超音波探触子の各圧電材料に電気信号を印加して被検体に対して超音波を送信し、被検体内部で音響インピーダンスの不整合によって生じる反射波を超音波探触子で受信する。
(音響レンズ)
本発明に係る音響レンズは、屈折を利用して超音波ビームを集束し分解能を向上するために配置されている。
本発明において、音響レンズを構成する素材としては、従来公知のシリコーンゴム、フッ素シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のホモポリマー、エチレンとプロピレンとを共重合させてなるエチレン−プロピレン共重合体ゴム等の共重合体ゴム等を用いることができる。これらのうち、シリコーン系ゴムを用いることが好ましい。
本発明に使用されるシリコーン系ゴムとしては、シリコーンゴム、フッ素シリコーンゴム等が挙げられる。就中、レンズ材の特性上、シリコーンゴムを使用することが好ましい。シリコーンゴムとは、Si−O結合からなる分子骨格を有し、そのSi原子に複数の有機基が主結合したオルガノポリシロキサンをいい、通常は、その主成分はメチルポリシロキサンで、全体の有機基のうち90%以上はメチル基である。メチル基に代えて水素原子、フェニル基、ビニル基、アリル基等を導入したものも使用することができる。当該シリコーンゴムは、例えば、高重合度のオルガノポリシロキサンに過酸化ベンゾイルなどの硬化剤(加硫剤)を混練し、加熱加硫し硬化させることにより得ることができる。必要に応じてシリカ、ナイロン粉末等の有機又は無機充填剤、硫黄、酸化亜鉛等の加硫助剤等を添加してもよい。
本発明に使用されるブタジエン系ゴムとしては、ブタジエン単独又はブタジエンを主体としこれに少量のスチロール又はアクリロニトリルが共重合した共重合ゴム等が挙げられる。就中、レンズ材の特性上、ブタジエンゴムを使用することが好ましい。ブタジエンゴムとは、共役二重結合を有するブタジエンの重合により得られる合成ゴムをいう。ブタジエンゴムは、共役二重結合を有するブタジエン単独が1,4又は1.2重合することにより得ることができる。ブタジエンゴムは、硫黄等により加硫させたものが使用できる。
本発明に係る音響レンズにおいては、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとを混合し加硫硬化させることにより得ることができる。例えば、シリコーンゴムとブタジエンゴムとを適宜割合で、混練ロールにより、混合し、過酸化ベンゾイルなどの加硫剤を添加し、加熱加硫し架橋(硬化)させることにより得ることができる。その際に、加硫助剤として、酸化亜鉛を添加することが好ましい。酸化亜鉛は、レンズ特性を落とさずに、加硫促進を促し、加硫時間を短縮できる。他に、着色剤や音響レンズの特性を損なわない範囲内で他の添加剤を添加してもよい。シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合割合は、その音響インピーダンスが人体に近似しているとともに、その音速が人体より小さく、減衰が少ないものを得るには、通常、1:1が好ましいが、当該混合割合は適宜変更可能である。
シリコーンゴムは、市販品として入手することができ、例えば信越化学社製、KE742U、KE752U、KE931U、KE941U、KE951U、KE961U、KE850U、KE555U、KE575U等や、モメンティブパフォーマンスマテリアル社製のTSE221−3U、TE221−4U、TSE2233U、XE20−523−4U、TSE27−4U、TSE260−3U、TSE−260−4Uやダウコーニング東レ社製のSH35U、SH55UA、SH831U、SE6749U、SE1120USE4704Uなどを用いることができる。
なお、本発明においては、上記シリコーン系ゴム等のゴム素材をベース(主成分)として、音速調整、密度調整等の目的に応じ、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化イットリビウムなどの無機充填剤や、ナイロンなどの有機樹脂等を配合することもできる。添加する、充填剤は可能な限り白色もしくは透明であることが好ましい。
(超音波医用画像診断装置)
本発明に係る上記超音波探触子は、種々の態様の超音波医用画像診断装置(「超音波診断装置」ともいう。)に用いることができる。
図3は、実施形態にかかる超音波診断装置の外観構成を示す概要図である。図4は、実施形態にかかる超音波診断装置の電気的な構成を示すブロック図である。
超音波診断装置Sは、図3および図4に示すように、図略の生体等の被検体Hに対して超音波信号(以下「第1超音波信号」とも称す。)を送信すると共に、被検体Hで反射した超音波信号の反射波(以下「第2超音波信号」とも称す。)を受信する超音波探触子2aと、超音波探触子2aとケーブル3aを介して接続され、超音波探触子2aへケーブル3aを介して電気信号の送信信号を送信することによって超音波探触子2aに被検体Hに対して第1超音波信号を送信させると共に、超音波探触子2aで受信された被検体H内からの第2超音波信号に応じて超音波探触子2aで生成された電気信号の受信信号に基づいて被検体H内の内部状態を超音波画像として医用画像に画像化する超音波診断装置本体1aとを備えて構成される。超音波診断装置本体1aには、超音波探触子2aを使用しない時に、超音波探触子2aを保持させておく超音波探触子フォルダ4aが備えられている。
超音波診断装置本体1aは、例えば、図4に示すように、操作入力部11aと、送信部12aと、受信部13aと、信号処理部14aと、画像処理部15aと、表示部16aと、制御部17aと、記憶部19aと、電圧制御手段18aと、を備えて構成されている。
操作入力部11aは、例えば、診断開始を指示するコマンドや被検体Hの個人情報等のデータを入力するものであり、例えば、複数の入力スイッチを備えた操作パネルやキーボード等である。
送信部12aは、制御部17aの制御に従って、後述する第1圧電部と前記第2圧電部とを駆動する電気信号の送信信号を生成する機能を有する回路である。送信部12aは、超音波探触子2a内の第1圧電部と第2圧電部とへ、電圧制御手段18aとケーブル3aを介して送信信号を供給し、超音波探触子2aに第1超音波信号を発生させる。送信部12aは、例えば、高電圧のパルスを生成する高圧パルス発生器等を備えて構成される。
受信部13aは、制御部17aの制御に従って、超音波探触子2aからケーブル3aを介して電気信号の受信信号を受信する回路であり、この受信信号を信号処理部14aへ出力する。受信部13aは、例えば、受信信号を予め設定された所定の増幅率で増幅する増幅器、および、この増幅器で増幅された受信信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換するアナログ−デジタル変換器等を備えて構成される。
信号処理部14aは、制御部17aの制御に従って、受信部13aからの電気信号に、所定の信号処理を施す回路であり、その信号処理した反射受信信号を画像処理部15aへ出力する。
画像処理部15aは、制御部17aの制御に従って、信号処理部14aで信号処理された反射受信信号に基づいて、例えばハーモニックイメージング技術等を用いて被検体H内の内部状態の超音波画像を生成する回路である。例えば、反射受信信号に対して包絡線検波処理を施すことにより、第2超音波信号の振幅強度に対応したBモード信号を生成する。
記憶部19aは、RAMやROMで構成され、制御部17aに用いられるプログラムが記録され、また、表示部16aで表示する各種画像のテンプレートが記録されている。
電圧制御手段18aは、制御部17aの制御に従って、送信部12aからの電気信号の送信信号を、第1圧電部と第2圧電部とに対して、どのように印加するか制御する機能を有する。
表示部16aは、制御部17aの制御に従って、画像処理部15aで生成された超音波画像を表示する装置である。表示部16aは、例えば、CRTディスプレイ、LCD、ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
制御部17aは、例えば、マイクロプロセッサ、記憶素子およびその周辺回路等を備えて構成され、これら操作入力部11a、送信部12a、受信部13a、信号処理部14a、画像処理部15a、電圧制御手段18a、及び記憶部19aを当該機能に応じてそれぞれ制御することによって超音波診断装置Sの全体制御を行う回路である。
一方、超音波探触子2aは、振動部30aを備えており、当該振動部30aは、図略の生体等の被検体Hに対して第1超音波信号を送信すると共に、被検体Hからの第2超音波信号を受信する。振動部30aは、例えば、図1に示すように、バッキング層(音響制動部材)4と、圧電層5と、音響整合層6及び7と、音響レンズ8とを備えて構成される。
バッキング層(音響制動部材)4は、超音波を吸収する材料から構成された平板状の部材であり、圧電層5からバッキング層(音響制動部材)4方向へ放射される超音波を吸収するものである。
圧電層5は、圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換するものである。圧電層5の両面には電極が形成されている。なお、当該圧電層5は、第1圧電層と第2圧電層の二層が積層配置された構成であってもよい。
圧電層5は、超音波診断装置本体1aの送信部12aからケーブル3aを介して入力された送信の電気信号を第1超音波信号へ変換して第1超音波信号を送信すると共に、受信した第2超音波信号を電気信号へ変換してこの電気信号(受信信号)を、ケーブル3aを介して超音波診断装置本体1aの受信部13aへ出力する。超音波探触子2aが被検体Hに当接されることによって圧電層5で生成された第1超音波信号が被検体H内へ送信され、被検体H内からの第2超音波信号が圧電層5で受信される。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(バッキングブロックの作製)
ナノコンポジット化エポキシ樹脂、Albidur EP2240 76質量部に、フェライト 200質量部、フジバルーン(富士シリシア製) 15質量部を真空混合機ARV−310(シンキー社製)で十分に混合した。その後、架橋剤として、jERキュアST−12(ジャパンエポキシレジン製)24質量部を同様に真空混合機ARV−310にて混合し混合物(コンパウンド)を作製した。
この混合物(コンパウンド)を100mm×100mm×10mmの金型にいれ、真空電熱プレス機にて9.9MPa(100kg/cm)の圧力にて常温で4時間、60℃で3時間加熱してバッキングブロック11を形成した。このブロックよりテスト用バッキングシートとして、20mm×20mm×2mmのサンプルを切り出して以下の評価を行った。
(密度)
密度をJIS、C−2123に準じて、電子比重計SD−200L(アルファミラージュ製)を用いて測定した。
(音響特性)
超音波音速は、JIS Z2353−2003に従い、超音波工業(株)製シングアラウンド式音速測定装置を用いて25℃において測定し、音響インピーダンスを以下の式に従い導いた。
音響インピーダンス(Z:Mrayls)=密度(ρ:×10kg/m)×音速(C:×10m/sec)
また、超音波減衰はJIS Z2354−1992に従い、水槽中に25℃の水を満たし、超音波パルサー・レシーバーJPR−10C[ジャパンプローブ社製]によって水中で1MHzの超音波を発生させ、超音波がシートを透過する前と後の振幅の大きさを測定した。
(熱変形)
TMASS6000(SII社製)を用いて60℃、4時間での変形量を測定し、フェライトゴムの変形量を100%として相対値にて示した。
同様にして表1に示すように、バッキングブロック(12〜16及び比較11〜13)のテスト用バッキングシートを作製し、評価を行った。
Figure 0005488036
表1に示す様に、本発明のコンポジット材料を用いたバッキングブロックは比較に比べて、音響特性に優れ熱変形も少ないことが分かる。
実施例2
(フィラー複合粒子の作製)
液状シリコーンゴムYE5822(A)(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製)90質量部に、フェライト350質量部を入れ実施例1と同様に混合を行い、その後YE5822(B)を10質量部入れよく混合を行った。これを100mm×100mm×30mmの金型に入れ真空電熱プレス機にて4.9MPa(50kg/cm)の圧力で、真空下室温で3時間、50℃で3時間加熱し複合粒子のブロックを作製した。これを1cm角に切り、これをまずカッターミル VM−20型(槇野産業社製)により粗粉砕、ピンミル M−4型(奈良機械社製)にて本粉砕を行い、その後円形振動篩機KG−400型(西村機械製作所社製)にて目空き180μにてふるい、複合粒子21を作製した。レーザー式粒度分布測定機LMS−30(セイシン企業製)を使用して平均粒径を測定した結果、90μmであった。同様にして、添加するフィラーを表2のように変えて、フィラー複合粒子(21〜26)を作製した。
Figure 0005488036
(バッキングブロックの作製)
ナノコンポジット化エポキシ樹脂、Albidur EP2240 に複合粒子(21〜26)を表3に示す量を実施例1と同様にしてバッキングブロックからテスト用バッキングシート(31〜39及び比較31〜33)を作製した。
Figure 0005488036
表3に示した結果から明らかなように、本発明に係るナノコンポジット材料を用いたバッキングブロックから作製したテスト用バッキングシートは、比較例に比べて、音響特性に優れ、熱変形も少ないことが分かる。
実施例3
(超音波探触子の作製)
図1に示すように、バッキング層、フレキシブル基板、圧電材料、音響整合層−1、音響整合層−2の順に積層した。なお、圧電材料としては厚さ0.15mmの、PZT 3203HD(CTS Electro Component Inc.製)を、音響整合層−1としては整合エポキシ樹脂100質量部に対してフェライト1200質量部を混合した厚さ0.06mmのもの、音響整合層−2としては、エポキシ樹脂単独で厚さ0.05mmのものを用いた。
これらを積層して、図2に示すようにダイサーにて0.16mmピッチにて各素子にダイシングを行った。ダイシング後の状況を顕微鏡にて確認を行った結果、本発明に係るバッキングブロックから作製したテスト用バッキングシート31及び33をバッキング層として用いた場合は、比較31及び比較33を用いたものに比べてダイシング後の素子の倒れ込みやフレキシブル基板とバッキング層の間での剥離の発生も無く全ての素子が良好であった。
これに音響レンズを、音響整合層の上に積層し、図1に示す超音波探触子1を作製し、これを用いて、図3及び4に示す構成の超音波医用画像診断装置により生体の画像を観測した。その結果、明瞭な画像を得ることができた。
1 超音波探触子
2 電極
3 フレキシブル基板
4 バッキング層
5 圧電材料
6 音響整合層−1
7 音響整合層−2
8 音響レンズ
1a 超音波医用画像診断装置本体
2a 超音波探触子
3a ケーブル
4a 超音波探触子フォルダ
11a 操作入力部
12a 送信部
13a 受信部
14a 信号処理部
15a 画像処理部
16a 表示部
17a 制御部
18a 電圧制御手段
19a 記憶部
30a 振動部
H 被検体

Claims (7)

  1. 超音波探触子を構成する超音波振動子の後方に設けられ、超音波振動子から後方に放射された超音波を減衰する超音波探触子用バッキング材であって、当該バッキング材が母材とフィラー混合物を含有し、かつ当該母材がナノコンポジット化エポキシ樹脂であることを特徴とする超音波探触子用バッキング材。
  2. 前記ナノコンポジット化エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂中にナノサイズのシリコーン樹脂粒子を含有していることを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子用バッキング材。
  3. 前記ナノコンポジット化エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂中にナノサイズのシリカ粒子を含有していることを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子用バッキング材。
  4. 前記フィラー混合物が、エラストマーとフィラーとを複合したフィラー複合粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の超音波探触子用バッキング材。
  5. 前記フィラー複合粒子の他に比重が5以上の無機粒子をさらに含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の超音波探触子用バッキング材。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の超音波探触子用バッキング材を用いたことを特徴とする超音波探触子。
  7. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の超音波探触子用バッキング材を用いた超音波探触子を具備していることを特徴とする超音波医用画像診断装置。
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