JP2016211038A - 遷移金属シリサイド膜、その製造方法及び製造装置並びに半導体装置 - Google Patents

遷移金属シリサイド膜、その製造方法及び製造装置並びに半導体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2016211038A
JP2016211038A JP2015096023A JP2015096023A JP2016211038A JP 2016211038 A JP2016211038 A JP 2016211038A JP 2015096023 A JP2015096023 A JP 2015096023A JP 2015096023 A JP2015096023 A JP 2015096023A JP 2016211038 A JP2016211038 A JP 2016211038A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transition metal
gas
film
silicon
source gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015096023A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016211038A5 (ja
JP6503543B2 (ja
Inventor
直也 岡田
Naoya Okada
直也 岡田
紀行 内田
Noriyuki Uchida
紀行 内田
多田 哲也
Tetsuya Tada
哲也 多田
金山 敏彦
Toshihiko Kanayama
敏彦 金山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2015096023A priority Critical patent/JP6503543B2/ja
Publication of JP2016211038A publication Critical patent/JP2016211038A/ja
Publication of JP2016211038A5 publication Critical patent/JP2016211038A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6503543B2 publication Critical patent/JP6503543B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)
  • Insulated Gate Type Field-Effect Transistor (AREA)
  • Silicon Compounds (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】半導体装置などに有用な遷移金属シリサイド膜、該遷移金属シリサイド膜を用いた半導体装置、並びに該遷移金属シリサイド膜の製造方法及び製造装置を提供する。【解決手段】シリコン/遷移金属の組成比が3より大で16以下の遷移金属シリサイド膜を、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスの化学反応により作製することにより実現する。遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを気相中で化学反応させることにより、シリコン/遷移金属の組成比が3より大で16以下の前駆体を気相中で作製した後に、該前駆体を基板上に堆積して、シリコン/遷移金属の組成比が3より大で16以下の遷移金属シリサイド膜を該基板上に作製する。【選択図】図3

Description

本発明は、電気特性に優れた、遷移金属原子とシリコンから構成される遷移金属シリサイド膜、該遷移金属シリサイド膜を用いた半導体装置、並びに該遷移金属シリサイド膜の製造方法及び製造装置に関する。
金属とシリコンからなる遷移金属シリサイド膜は、遷移金属珪素化合物又は遷移金属珪化物とも呼ばれ、近年に研究開発が進められている。金属としての特性を利用した遷移金属シリサイド膜は、金属性シリサイド又はメタリックシリサイドと呼ばれ、耐熱性、耐酸化性、耐食性、電気伝導特性等に優れ、電極、高温構造物、耐環境用コーティングなどの材料として期待される。半導体としての特性を利用した遷移金属シリサイド膜は、シリサイド半導体又はシリサイド系半導体又はセミコンダクティングシリサイドと呼ばれ、発光素子、太陽電池、熱電変換素子等の材料として期待される。また、半導体装置の技術分野では、遷移金属シリサイド膜は、シリコンを用いるLSI等のプロセスにマッチングのよい材料として知られている。
本発明者らは、先に、MSin(但し、M:遷移金属、Si:シリコン、n=7−16)に係る遷移金属シリサイド膜を提案し、該遷移金属シリサイド膜を用いた半導体装置を提案した(特許文献1、特許文献2参照)。
また、本発明者らは、先に、遷移金属内包シリコンクラスターの反応過程についての研究を報告している(非特許文献1、2参照)。
本願に関連した先行文献調査をしたところ、遷移金属シリサイド膜の製造方法としてスパッタ法や化学気相成長(Chemical Vapor Deposition(CVD))法が例示されている特許文献があった(特許文献3、4、5参照)。
国際公開WO2009/107669 特開2011−66401号公報 特開平8−306882号公報 特開平10−303144号公報 特開2002−47569号公報
PHYSICAL REVIEW LETTERS,86,1733(2001). CHEMICAL PHYSICS LETTERS,388,463(2004).
既に本発明者らが提案したMSin(但し、M:遷移金属、Si:シリコン、n=7−16)に係る遷移金属シリサイド膜について説明する(特許文献1参照)。
特許文献1で示した遷移金属シリサイド膜(MSin膜)は、遷移金属内包シリコンクラスター同士がSi−Si結合することにより、遷移金属原子の第1近接原子及び第2近接原子がSi原子となる構造を有する。この構造を持つことにより、後述する半導体薄膜を形成することができる。
特許文献1以前の、従来知られていた金属的な電気特性を示す遷移金属シリサイド(例えば、MSi2)中では、遷移金属原子を内包したシリコンクラスターは存在しない。例えば、MSi2の結晶構造(C11b型)では、Mがタングステン(W)の場合で説明すると、W原子の周りに10個のSi原子が配位しているが、10個のSi原子の周りにも他のW原子が配置している。つまり、10個のSi原子は複数のW原子で共有している状態になっている。W原子にとっての最近接原子はSi原子になり、第2近接原子はW原子になっている。
特許文献1では、遷移金属内包シリコンクラスターが、最高占有分子軌道(HOMO)と最低非占有分子軌道(LUMO)のギャップEHLの開いた半導体であることに着目して、これを、凝集させることにより、有限のバンドギャップを有する半導体膜を作ることができることを提案した。特にMがモリブデン(Mo)又はWで、シリコン組成比n=10、12の遷移金属内包シリコンクラスターを堆積させたとき、形成される半導体膜のバンドギャップはトランジスタの室温動作に必要な値0.8eVを超える。内包する遷移金属原子の価電子数が奇数の時には、遷移金属内包シリコンクラスターの総価電子数が奇数(奇数電子系)になるので、厳密にはEHLが0eVとなる。しかし、遷移金属内包シリコンクラスターを凝集することにより、クラスター間に結合が形成され、構造の緩和を伴う電荷のやりとりをすることとなるので、偶数電子系の遷移金属内包シリコンクラスターを凝集した場合のように、半導体膜になる。つまり、EHLの代わりに、半占有軌道(SUMO)とLUMOのギャップESLが開いた遷移金属内包シリコンクラスターを凝集させることにより、半導体膜を形成することができる。
以上のように、特許文献1に係る前記遷移金属シリサイド膜MSin(但し、M:遷移金属、Si:シリコン、n=7−16)は、遷移金属とシリコンの化合物であり、遷移金属原子の周りを7個以上16個以下のSi原子が取り囲む遷移金属内包シリコンクラスターを単位構造とし、遷移金属原子の第1及び第2近接原子にSiが配置されており、次のような特徴を備えている。第1は、水素脱離による劣化の抑制であり、第2は、電界効果による電気伝導制御性と高いキャリア移動度である。
また、本発明者らは、遷移金属内包シリコンクラスターを単位構造とした膜は、アモルファスシリコンに代替し薄膜トランジスタのチャネル領域に用いることができることを提案した(特許文献2参照)。
遷移金属内包シリコンクラスター、及びそれらを単位構造とした前記遷移金属シリサイド膜MSin膜(但し、M:遷移金属、Si:シリコン、n=7−16)の作製方法として、レーザーアブレーション法やイオントラップ法が用いられてきた(特許文献1、2参照)。これらの方法は、膜厚制御性や組成制御性が悪く、基板の大面積化に不向きであり、成膜速度の向上に限界があり、複数枚の基板の同時処理が困難であるという問題がある。さらに、レーザーアブレーション法では、高速粒子やプラズマが影響して、基板が損傷してしまい、イオントラップ法では、イオンを用いることから、絶縁体の基板へ堆積することはできず、電気伝導度の高い基板を用いると、イオンが持つ高い運動エネルギーにより基板が損傷してしまう。よって、従来の方法は、集積化や微細化や大面積化に対応が難しく、LSIやディスプレイの製造に適さないという問題があった。
一方、従来の遷移金属シリサイド膜の作製方法としてスパッタ法や化学気相成長(CVD)法が知られている(特許文献3、4、5参照)。例えば、CVD法を用いたWシリサイド膜及びW膜の作製方法として、WF6とSiH4の原料ガスを供給して、加熱された基板上で表面反応を利用する手法が知られている(特許文献4、5参照)。SiH4はWF6中のFの還元剤として用いられており、還元されたWFx(x=<6)が加熱されたシリコン基板表面で反応することで、シリコン基板上にWシリサイド膜(WSi2)やW膜が形成される(特許文献4参照)。また、鉄ペンタカルボニルとSiH4を用いることで、500℃まで昇温されたシリコン基板上での表面反応により、鉄シリサイド(FeSi2)膜が形成される(特許文献5参照)。特許文献4や5で示されている基板表面反応を利用して作製した遷移金属シリサイド膜は、シリコン/金属の組成比が3以下であると推測される。これは、シリコン中の不純物の固溶限やシリコン化合物の化学量論組成比に起因する。例えば、シリコンの結晶構造を維持させたまま金属原子を侵入、あるいは置換させようとすると、金属原子がシリコン中に溶ける量の限界値(固溶限)によって、シリコン/金属の組成比が制限される。一方、シリコンと金属の化合物を液相から冷却分離して固相にする反応(共晶反応)を用いると、シリコン/金属の組成比は、化学量論組成比に従う。従来の基板表面反応によるCVD法で作製された遷移金属シリサイド膜は、これらの組成比制限の原理に従うために、シリコン/金属の組成比は3以下で制限される。例えば、シリコンリッチなWシリサイド膜と称される膜であっても、基板の表面反応を用いて作製しているために、Si/Wの組成比は2.2−3.0であり、3以下であった(特許文献3参照)。
従来、シリコン/遷移金属の組成比が3を超える遷移金属シリサイド膜は、実現できていなかった。また、半導体装置として有用な特性を備える遷移金属シリサイド膜は、実現できていなかった。
本発明は、これらの問題を解決しようとするものであり、本発明は、シリコン/遷移金属の組成比が3を超える遷移金属シリサイド膜を提供することを目的とする。また、本発明は、シリコン/遷移金属の組成比が3を超える遷移金属シリサイド膜を備える、積層構造、トランジスタ、及び半導体装置を提供することを目的とする。また、本発明は、シリコン/遷移金属の組成比が3を超える遷移金属シリサイド膜の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、以下の特徴を有するものである。
本発明は、遷移金属シリサイド膜に関し、シリコン/遷移金属の組成比が3より大で16以下の遷移金属シリサイド膜であり、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスの化学反応により作製されたことを特徴とする。例えば、前記遷移金属は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウムのうちの少なくとも1つ以上である。例えば、前記遷移金属がタングステンで、シリコン/遷移金属の組成比が3より大で14以下である。
本発明は、半導体装置に関し、本発明の遷移金属シリサイド膜を備えることを特徴とする。
本発明は、遷移金属シリサイド膜の製造方法に関し、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを気相中で化学反応させることにより、シリコン/遷移金属の組成比が3より大で16以下の前駆体を気相中で作製した後に、該前駆体を基板上に堆積して、シリコン/遷移金属の組成比が3より大で16以下の遷移金属シリサイド膜を該基板上に作製することを特徴とする。例えば、遷移金属の原料ガスとして、フッ素と遷移金属から構成されるガス、塩素と遷移金属から構成されるガス、有機物と遷移金属から構成されるガスのうちの少なくともいずれかを用い、シリコンの原料ガスとして、水素とシリコンから構成されるシランガス、ジシランガス、トリシランガス、及び高次シランガス、塩素とシリコンから構成されるガス、有機物とシリコンから構成されるガスのうちの少なくともいずれかを用いる。例えば、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを50℃以上420℃以下の温度に保持することにより、気相中で化学反応を生じさせる。例えば、遷移金属の原料ガスのみが吸収し、シリコンの原料ガスは吸収しない波長領域の光を用いることにより、気相中で化学反応を生じさせる。
本発明は、遷移金属シリサイド膜の製造装置に関し、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを供給して、化学気相成長により遷移金属シリサイド膜を作製する製造装置であって、前記遷移金属の原料ガスと前記シリコンの原料ガスの温度を50℃以上420℃以下に保持する加熱機構を備えることを特徴とする。また、本発明は、遷移金属シリサイド膜の製造装置に関し、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを供給して、化学気相成長により遷移金属シリサイド膜を作製する製造装置であって、前記遷移金属の原料ガスのみが吸収し、前記シリコンの原料ガスは吸収しない波長領域の光の照射機構を、備えることを特徴とする。
本発明では、原料ガスを気相中で化学反応させて前駆体を作製し、該前駆体を基板上に堆積する手法を用いるので、原料ガスの温度や圧力や流量を調整することで、例えば、成膜速度を約0.1nm/minまで遅くすることで、膜厚を数原子層の厚さで制御でき、また、シリコン/遷移金属の組成比を約0.1きざみの精細さで制御できる。
本発明の製造方法は、従来のレーザーアブレーション法やイオントラップ法の製造方法に比べ、基板への損傷を低減し、基板の大面積化や複数枚の基板の同時処理に向いており、膜厚の制御性と均一性、段差構造に対する被覆性等に優れているので、微細化や集積化や大面積化が重要なLSIやディスプレイの工業的製造に有利である。
本発明によれば、シリコン/遷移金属の組成比が3より大きく、16以下の範囲の遷移金属シリサイド膜であるので、光学ギャップが0.1eV以上で1.5eV以下、キャリア移動度が例えば10以上の特性が可能であり、遷移金属シリサイド膜を用いたトランジスタや電極積層構造等において、電気的特性が向上する。また、組成比と光学ギャップやキャリア移動度が相関関係を示すので、用途に応じた所望の特性の膜を実現することが容易である。
第1の実施の形態におけるSiH4とWF6の反応過程を示す模式図である。 第1の実施の形態におけるn(Si/W組成比)=12の前駆体WSinとSiH4の反応過程を示す模式図である。 第1の実施の形態における、前駆体WSi12を凝集させてタングステンシリサイド膜(WSin膜、Si/W組成比n=12)を基板上に作製する過程を示した模式図である。 第1の実施の形態における、基板と堆積される膜との関係を説明する図である。(a)は、石英ガラス基板13に前駆体WSinを堆積させた場合で、(b)は、Si基板上に前駆体WSinを堆積させた場合である。 第1の実施の形態における、遷移金属シリサイド膜を作製するための製造装置の模式図である。 図5の製造装置における、ガス導入口側から見た成膜室の断面模式図である。 第1の実施の形態における、遷移金属シリサイド膜を作製するための製造装置の他の例を示す模式図である。 第1の実施の形態における、遷移金属シリサイド膜を作製するための製造装置の他の例を示す模式図である。 第1の実施の形態における、遷移金属シリサイド膜を作製するための製造装置の他の例を示す模式図である。 第1の実施の形態における、遷移金属シリサイド膜を作製するための製造装置の他の例を示す模式図である。 第1の実施の形態におけるWSin膜のSi/Wの組成比nとSiH4ガス圧力の関係を示す図である。 第1の実施の形態におけるWSin膜のSi/Wの組成比nとヒーター温度の関係を示す図である。 第1の実施の形態におけるWSin膜のSi/Wの組成比nと光学ギャップの関係を示した図である。 第1の実施の形態におけるWSin膜の、光学ギャップと電子移動度を示した図である。 第2の実施の形態におけるN−MOSトランジスタの断面模式図である。 第2の実施の形態における、電極構造に組成傾斜のWSin膜を用いた場合を説明する断面模式図である。 第2の実施の形態における、ソース/ドレイン構造を持つ無接合型トランジスタの断面模式図である。 第2の実施の形態における、立体型トランジスタのソース/ドレイン領域を示す要部の鳥瞰図である。 第2の実施の形態における、ナノワイヤー型トランジスタのソース/ドレイン領域を示す要部の鳥瞰図である。 第3の実施の形態における、WSin膜のチャネル層から構成される薄膜トランジスタの断面模式図である。 第3の実施の形態における、WSin膜のチャネル層から構成される薄膜トランジスタの断面模式図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。
本発明者らは、原料ガスを基板表面で化学反応させるのではなく、原料ガスを気相中で化学反応させることによって、より具体的にいえば、シリコン/遷移金属の組成比が3を超える前駆体を気相中で作製し、該前駆体を基板上へ堆積させることによって、シリコン/遷移金属の組成比が3を超える遷移金属シリサイド膜を作製できることを実現したものである。
本発明の実施の形態は、シリコン/遷移金属の組成比が3より大で16以下の遷移金属シリサイド膜に関し、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを気相中で化学反応させて前駆体を作製し、該前駆体を基板に堆積させることで作製した遷移金属シリサイド膜に関する。本発明の遷移金属シリサイド膜を、MSin膜(但し、M:遷移金属、Si:シリコン、3<n≦16)と記す。
本発明の実施の形態のMSin膜は、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスの気相中の化学反応により前駆体を作製して、該前駆体を基板に堆積することで作製するので、遷移金属の原料ガス及びシリコンの原料ガスを構成する、フッ素、塩素、有機物及び水素のうちの、少なくともいずれかが未反応成分として膜中に不可避的に含まれている。これらの未反応成分は、昇温脱離分析や光電子分光分析等で検出することができる。
本発明の実施の形態のMSin膜では、光学ギャップが0.1eV以上で1.5eV以下である。半導体装置として使用するためには、光学ギャップは0eVより大でエネルギーギャップが開いていることが好ましい。
後述するように、Mがタングステン(W)でnが3より大14以下のMSin膜(WSin膜)の場合、0.1eVより大で1.5eV以下であった。この光学ギャップの値は、WSin膜の構成要素となる前駆体がエネルギーギャップを保持していることに起因する。例えば前駆体がW原子を内包したSi12クラスターの時に、該前駆体は1.3eV以上1.7eV以下のエネルギーギャップを保持している。WSin膜は、前駆体のエネルギーギャップを反映させることで、エネルギーギャップを形成する。また、前駆体同士がランダムに結合することで、シリコンのアモルファスネットワーク構造を形成し、WSin膜のエネルギーギャップの裾に状態を形成する。また、光学ギャップは、Si/Wの組成比nと正の相関を持っている。Si/Wの組成比nが増大すると、水素化アモルファスシリコン膜の光学ギャップ(約1.5eV以上で約2.0eV以下)に近くなる。
また、W以外の遷移金属Mとして、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、タンタル、レニウム、オスミウム、イリジウムを用いた本発明の実施の形態のMSin膜においても、光学ギャップが0.1eV以上で1.5eV以下であり、Si/M組成比nと正の相関があることが類推できる。これは、各々のMとSiから構成される前駆体が、WとSiから構成される前駆体と同様に、固有のエネルギーギャップを持っていることに起因する。
本発明の実施の形態のWSin膜では、キャリア移動度が0cm2/Vs以上17cm2/Vs以下である。W以外のMとして、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、タンタル、レニウム、オスミウム、イリジウムを用いた本発明の実施の形態のMSin膜においても、WSi膜と同様に、キャリア移動度が0cm2/Vsより大で17cm2/Vs以下程度のキャリア移動度を保持することが類推できる。これは、MSin膜の構成要素が前記前駆体で構成されていることに起因する。前駆体が膜中でSiクラスター構造を維持していると、電子構造が局所的に揃い、キャリアの散乱が抑えられ、キャリア移動度が向上する。また、キャリア移動度は、Si/Mの組成比nと相関がある。これは、Si/Mの組成比nが増大することで、膜中のSiクラスター構造の電子構造が局所的に揃い、キャリアの散乱が抑えられることに起因する。
本発明の実施の形態のMSin膜を構成する遷移金属Mは、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウムのいずれか、あるいは、2つ以上の組み合わせである。
MとSiの原料ガスを気相中で化学反応させて前駆体を作製し、該前駆体を基板に堆積することで、MSin膜を作製する。該前駆体がM原子を内包したSinクラスターである場合には、Mの原子番号ZとSi/M組成比nの和(Z+n)が86になると、M原子を内包したSinクラスターの電子状態が閉殻構造となり、安定組成となる。例えば、Z=77のイリジウムの場合、Si/イリジウムの組成比の最大値nは9(=86−77)となり、Z=72のハフニウムの場合、Si/ハフニウムの組成比の最大値nは14(=86−72)となり、Z=74のWの場合、Si/Wの組成比の最大値nは12(86−74)となる。よって、W原子を内包したSinクラスターの前駆体から作製したWSin膜のSi/W組成比nは12以下であることが好ましい。しかし、下記の実施の形態からも分かるように、WSin膜の作製中において、膜中にSiH4等のシリコン系原料ガスが取り込まれることで、WSin膜のSi/W組成比がプラス2程度のずれを生じる場合がある。これを利用して、目的とする組成比よりも小さい前駆体を気相中で作製し、これを堆積した後に、SiH4ガスとの反応で組成比を増加させる方法も有効である。なお、MSin膜を構成するMとSiが、膜中でM原子を内包したSinクラスター構造を維持している必要はなく、nが3より大で16以下の数値範囲である膜であれば有用である。
本発明の実施の形態のMSin膜は、薄膜の電気特性に応じて半導体装置における様々な層に適用できる。
例えば、本発明の実施の形態のMSin膜を、半導体基板と金属電極の接触界面に挿入して、半導体基板、MSin膜、金属電極の順で積層された積層構造となすことにより、半導体基板、金属電極の順で積層された積層構造よりも、積層界面の接触抵抗を減少させ、金属電極と半導体基板の間で流れる電気の伝導率を向上させることが可能である。トランジスタのソース及びドレインの少なくともいずれかに該積層構造を備えるようにするとよい。
例えば、MSin膜を、チャネル領域として配置構成したトランジスタとすると、従来の水素化アモルファスシリコン膜をチャネル領域として配置構成したトランジスタよりも、駆動電流が向上する。
本発明の実施の形態のMSin膜を製造するために、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを供給して、遷移金属とシリコンの原料ガスを気相中で化学反応させて前駆体を作製し、基板上や金属電極下に該前駆体を堆積して、MSin膜を作製する。製造方法及び該製造方法を実施するための製造装置は、例えば次のような構成である。
本発明の実施の形態では、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを供給して、気相中で化学反応させることで前駆体を作製し、基板上に該前駆体を堆積することによりSi/Mの組成比が3より大で16以下のMSin膜を作製する。この時、MSin膜のSi組成比は、前駆体のSi組成比と同一である必要は無い。例えば、前駆体の堆積後にSi原料ガスから膜表面にSiが付加される反応により、膜の組成比を前駆体よりも増加させることもできる。しかし、表面反応が生じない条件で堆積した方が、膜組成比の制御性が高い。
遷移金属の原料ガスとして、フッ素と遷移金属から構成されるガス、塩素と遷移金属から構成されるガス、及び有機物と遷移金属から構成されるガス、のうちの少なくともいずれかのガスを用いることが好ましい。また、シリコンの原料ガスとして、水素とシリコンから構成されるシランガス、ジシランガス、トリシランガス、及び高次シランガス、塩素とシリコンから構成されるガス、並びに有機物とシリコンから構成されるガス、のうちの少なくともいずれかのガスを用いることが好ましい。
MSin膜のSi/M組成比nの制御を行うために、シリコン原料ガスの圧力を、成膜室内で、0.1以上で2000Pa以下の範囲内で制御することが好ましい。シリコン原料ガスと遷移金属原料ガスを気相中で衝突させることで化学反応を起こし、MSin膜の前駆体を形成し、該前駆体とシリコン原料ガスとが衝突を繰り返すことで、該前駆体のSi/M組成比が増大する。シリコン原料ガスの圧力を増大させると、シリコン原料ガスと前駆体との衝突回数が増大し、シリコン原料ガスと前駆体が化学反応を起こす機会が増えるために、前駆体のSi/M組成比が増大する。よって、シリコン原料ガスの圧力とMSin膜のSi/M組成比nには正の相関がある。一方、シリコン原料ガスの圧力が或る値を超えた範囲において、シリコン原料ガスの圧力を増大させても、MSin膜のSi/M組成比nは一定の値となる。この理由として、第一に反応エネルギーが不足している場合と、第二に前駆体が気相中で安定組成に達した場合とがある。
第一の理由は以下の通りである。前駆体とシリコン原料ガスを化学反応させるためには反応エネルギーが必要であり、ガス温度が反応エネルギーに満たない場合には、シリコン原料ガスと前駆体が衝突を繰り返しても化学反応が起きない。つまり、ガス温度が低い状況下でガス圧力を増大させても、前駆体のSi/M組成比が増大しない。
第二の理由は以下の通りである。Mの原子番号がZの時、前駆体のSi/M組成比が86−Zの値に達すると、気相安定性が高くなり、前駆体とシリコン原料ガスが衝突を繰り返しても、反応が進まなくなる。よって、Si/M組成比が86−Zの値に達した前駆体においては、シリコン原料ガスの圧力や温度を増大させても、前駆体のSi/M組成比は86−Zの値を越えて増大しない。
第一及び第二の理由からわかるように、MSin膜の組成を高精度に制御するためには、ガス圧力とガス温度を制御することが好ましい。
MSin膜のSi/M組成比nを高精度に制御するためには、シリコン原料ガスを導入した後に、遷移金属原料ガスを導入する方法が好ましい。例えば、WSi12膜の作製を目的とする場合には、気相中で作製する前駆体のSi/W組成比を12にする必要がある。成膜室内をSi原料ガスで充分に満たした後に、W原料ガスを導入することで、W原料ガスとSi原料ガス、及び前駆体とSi原料ガスを気相中で効率よく衝突させて、化学反応を起こすことができる。一方、Si原料ガスとW原料ガスを同時に導入すると、成膜室内にはSi原料ガスが充分に満たされておらず、W原料ガスとSi原料ガス、及び前駆体とSi原料ガスの衝突又は化学反応する機会が減少し、前駆体はSi/W組成比が12に達する前に基板上に到達してしまう。あるいは、Si/W組成比が12未満の前駆体同士が気相中で結合してしまい、気相中でSi/W組成比が12を満たす前駆体を作製できなくなる。
MSin膜のSi/M組成比nを高精度に制御するためには、シリコン/遷移金属の原料ガスの質量流量比が、0.1以上で10000以下の範囲内であることが好ましい。例えば、Si原料ガスを導入して所望のガス圧力に達した後に、シリコン/遷移金属の原料ガスの質量流量比が低い条件で、遷移金属の原料ガスを導入すると、時間の経過に伴い、成膜室内におけるシリコンと遷移金属の原料ガスの分圧が変化してしまい、前駆体の組成制御が困難となる。シリコン/遷移金属の原料ガスの質量流量比を高くすることで、シリコンと遷移金属の原料ガスの分圧を安定化することができる。
本発明の実施の形態では、気相中で化学反応により生じた前駆体が、基板に堆積される。
本発明の実施の形態では、製造装置は、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを導入する配管と、前記遷移金属の原料ガスと前記シリコンの原料ガスのうちの少なくともいずれかの流量を制御する機構と、前記遷移金属の原料ガスと前記シリコンの原料ガスが反応する成膜室と、前記遷移金属の原料ガスと前記シリコンの原料ガスの圧力を制御するガス圧制御機構と、未反応の前記遷移金属の原料ガスと前記シリコンの原料ガスを排気する排気機構とを、備えることが好ましく、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを供給して、気相中で化学反応により生じた前駆体を基板に堆積して、シリコン/遷移金属の組成比が3より大で16以下の遷移金属シリサイド膜を作製する。
本発明の実施の形態では、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを反応させるエネルギーを与えることが好ましい。ガスの温度を上げる方法、又は、ガスに光を照射する方法、あるいは両方を用いることできる。理由は、熱や光を用いることで、選択的なエネルギーを利用できるためである。
例えば、ガス温度を420℃以上にすると、シリコンの原料ガス同士が反応してしまい、アモルファスシリコン膜が形成されてしまう。一方、ガス温度を50℃以下にすると、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスは反応せずに前駆体が形成されない。シリコンの原料ガス同士の反応を防ぎ、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスのみ、あるいは前駆体とシリコンの原料ガスのみを反応させるためには、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスが反応する温度以上であり、シリコンの原料ガス同士が反応する温度未満の選択的な温度範囲にガス温度を設定すればよい。
例えば、光を用いる場合、シリコンの原料ガスは吸収せずに、遷移金属の原料ガスのみが吸収する波長領域の光を用いることが好ましい。シリコンの原料ガスが光を吸収すると、シリコンの原料ガス同士が化学反応を起こしてしまい、アモルファスシリコン膜が形成されてしまうためである。
本発明の実施の形態として、製造装置は、気相中で遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスが反応するためのエネルギー源となる加熱機構あるいは光照射機構を備えることが好ましい。シリコンの原料ガスとしてSiH4を用いる場合、遷移金属の原料ガスとSiH4ガスを、50℃以上420℃以下の温度にすることが好ましい。50℃以下であると、遷移金属の原料ガスとSiH4ガスが反応しなくなり、420℃を超えるとSiH4ガス同士が反応するためである。
成膜室の外壁、内壁、成膜室内の堆積基板、堆積基板の支持機構、のいずれか1以上に加熱機構を設置することが好ましい。原料ガスを加熱するために、特に、成膜室の内壁、あるいは外壁に加熱機構を取り付けた構造とすることが好ましい。原料ガスを加熱するために、ガス導入配管の内壁、あるいは外壁に加熱機構を取り付けた構造とすることが好ましい。原料ガスを加熱するために、堆積基板に加熱機構を取り付けた構造とすることが好ましく、基板表面での反応促進よりも、基板近傍の気相における反応促進の効果がある。
遷移金属の原料ガスのみが光を吸収し、シリコンの原料ガスが光を吸収しない波長領域100nm以上300nm以下を利用することが好ましい。この波長領域の光源として、半導体レーザー、エキシマレーザー、エキシマランプ、及び、重水素ランプを製造装置に設置するとよい。
シリコンの原料ガスが光励起されることを防ぐために、短波長カットフィルターを、光源と成膜室の間に設置した構造としてもよい。あるいは、短波長カットフィルターの役割を持つ光導入透明窓を設置した構造としてもよい。
例えば、光が、遷移金属とシリコンの原料ガスに当たるように製造装置を構成し、光が原料ガスに当たる場所は、堆積基板の直上、ガス導入口から堆積基板までの間、ガス導入口、ガス導入経路内、のいずれか1以上とすることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の遷移金属シリサイド膜について、図を参照して以下説明する。なお、遷移金属シリサイド膜の遷移金属がタングステンWの場合を代表例として説明する。
図1は、SiH4とWF6の反応過程を示した模式図である。左上に示すように、最初に、気相中でSiH4とWF6が衝突すること(左上矢印)で、SiH4とWF6が反応し、n=1の前駆体WSinが形成される。次に、順次矢印で示すように、前駆体WSinは、SiH4と衝突を繰り返すことで、Siリッチ化、つまりn値の増大化が進む。ここで、SiH4及びWF6は室温下では安定性が高く、反応性が乏しいために、単なる分子同士の衝突のみでは、反応が進まない。そこで、衝突の際に、熱や光といったエネルギーによる援助を与えることにより、反応を促進させることができる。あるいは、衝突前に予め、SiH4やWF6にエネルギーを与えることにより、反応を促進させることができる。しかし、ここで非選択的にエネルギーを与えてしまうとSiH4同士が衝突した際に反応してしまい、アモルファスSi膜が形成されてしまう。これを防ぐために選択的にエネルギーを与えることにより、SiH4とWF6のみ、あるいは前駆体WSinとSiH4のみの反応を起こすことができる。
図2は、n=12の前駆体WSinとSiH4の反応過程を示した模式図である。前駆体WSinは、n=12になると気相安定性が高くなり、SiH4と衝突を繰り返してもそれ以上反応が進まない。なお、図では、前駆体WSi121を、Siが1つ見えない状態で図示している。これらの反応過程の詳細に関しては、非特許文献1や2が参考文献として挙げられる。
遷移金属MがW以外の場合の前駆体MSinの安定組成は、前駆体HfSinでn=14、前駆体TaSinでn=13、前駆体MoSinでn=12、前駆体ReSinでn=11、前駆体IrSinでn=9となる。これらの前駆体を気相中で作製する際には、前駆体WSinと同様に、遷移金属原料となるガスソースを用いる。例えば、Moの原料ガスとしてMoCl6、Taの原料ガスとしてTaCl5、Hfの原料ガスとしてHfCl4の塩素系ガスを用いる。フッ素と塩素は電気陰性度が近いため、これらの遷移金属ガスソースとSiH4との反応過程は、WF6とSiH4の反応過程に類似している。
図3は、前駆体WSi12を凝集させて、シリコンリッチなタングステンシリサイド膜(WSin膜、n=12)を基板上に作製する過程を示した模式図である。前駆体WSi12を気相で合成した後に、基板上に堆積させ、前駆体WSi12同士が結合を形成したWSi12膜を作製する。WSin膜のラマン散乱測定や光電子分光測定(XPS)を行うことで、膜中のSi−Siの結合状態を観測することができる。また、膜中の残留フッ素や残留水素は、昇温脱離分析(TDS)やXPSやラマン散乱測定で観測することができる。
図4は、基板と堆積される膜との関係を説明する図である。堆積基板には、SiやGeなどの半導体、石英やサファイアや樹脂などの絶縁体、及び金属を用いることができる。図4(a)に示すように、石英ガラス基板13上に前駆体WSin4を堆積させた場合には、前駆体WSin4同士がランダムに結合ネットワークを形成した「アモルファス状態のWSin膜」12を作製することができる。また、図4(b)に示すように、清浄表面を有するSi基板23上に前駆体WSin4を堆積させた場合には、「エピタキシャル結晶状態のWSin膜」22を作製することができる。エピタキシャル結晶状態のWSin膜22を作製する場合には、堆積基板の選定が必要となる。堆積基板の格子定数や表面の清浄度に大きく依存して、エピタキシャル膜の成長膜厚や欠陥密度が変化するためである。
図5は、遷移金属シリサイド膜を作製するための製造装置の模式図である。製造装置は、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスが反応する成膜室27と、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを導入するガス配管26と、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスのうちの少なくともいずれか一方の流量を制御するガス流量制御器25等のガス流量制御機構と、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスの圧力を制御するガス圧制御機構(圧力計32、バルブ30)と、未反応の遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを排気する排気機構(排気口29)と、成膜室27の中に、前駆体を堆積するための基板3、基板を支持し移動させる基板ステージ31とを、備える。
図5では、ヒーター28が成膜室27の外壁に設置される。ヒーター28は成膜室27内のガスを暖める機能を有する。基板ステージ31にも加熱機構を設置することにより、ガス温度の増大化を援助することができ、膜のSiリッチ化を促進することができる。
製造装置は、原料ガスや雰囲気ガス(希釈ガス)をそれぞれ貯蔵する複数のガスボンベ24を備え、原料ガス及び雰囲気ガスは、それぞれのガス配管26を経由して、成膜室27に導入される。
例えば、WSin膜を作製する場合には、原料ガスとしてSiH4とWF6を用いる。Si原料としてSi26やSi38といった高次シラン系ガスを用いることもでき、W原料としてWCl6といった塩化物系ガスを用いることもできる。高次シラン系ガスは、SiH4よりも反応性が高いことが特徴である。また、希釈ガスとしてArやH2ガスを用いてもよい。図示のように、複数のガスボンベ(図中左からWF6、SiH4、Ar、H2)からガスが供給される。
ガス配管26の途中にガス流量制御器25を設置することにより、成膜室27に導入するガス流量を制御する。成膜室27内の圧力は、成膜室27内に設置した圧力計32で確認を行い、ガスの排気(図中の矢印)のための排気口29に設置したバルブ30の絞りを調整することにより、成膜室内の圧力を制御する。成膜室内でSiH4とWF6の気相反応を起こすためには、反応空間を充分に確保する必要があり、ガスの排気口29とガス導入口の距離が充分に離れていること、及び、成膜室の容量が充分に大きいことが望ましい。反応空間を大きくすることにより、成膜室内において充分な気相反応を起こすことができる。例えば、成膜室の大きさとして、直径203mm、長さ1mの単管を用いることで、WSin膜を作製することができる。
図6は、図5の製造装置におけるガス導入口側から見た成膜室の断面模式図である。図中、ヒーター28は成膜室27の外壁に設置されており、成膜室内に導入されたSiH4、WF6、Ar、及びH2といった気相を加熱することができる。成膜室内の気相温度の均一化のために、成膜室に円筒型のチャンバーを用いて、基板3が円筒の中心に位置するように設置するとよい。また、成膜室の形、ヒーターの設置場所、及び、基板の設置場所はこの限りではなく、適宜設計することができる。
図7は、ヒーター28を、基板3から離れた場所でかつガス導入口の近傍に配置した例の模式図である。ヒーターを、基板の近くに設置するのではなく基板から離れた場所に設置しても、WSin膜を作製することができる。
図8は、遷移金属シリサイド膜を作製するための製造装置の他の例の模式図である。図8では、図5乃至7の製造装置とは異なり、ヒーター28をWF6ガス用のガス配管26の外壁に設置する。成膜室27内に導入するWF6ガスを予め加熱しておくことにより、WSin膜を作製することができる。ヒーター28を、WF6ガスのガス配管26の先端まで設置することにより、高温に維持した状態のWF6ガスを成膜室内に導入することができ、WSin膜のSiリッチ化に有効である。
図9は、遷移金属シリサイド膜を作製するための製造装置の他の例の模式図である。図9のように、成膜室27内に設置した基板3の近くまでWF6ガスのガス配管26を伸ばし、ガス配管出口と基板3との距離を可変にすることにより、SiH4とWF6が基板に到達するまでの距離を制御して、WSin膜のSi組成比を制御することができる。
また、WF6ガス配管のみならず、SiH4ガス配管、Arガス配管、H2ガス配管のいずれか1以上の配管にヒーターを設置しても、WSin膜を作製することができる。
図10は、遷移金属シリサイド膜を作製するための製造装置の他の例の模式図である。光源となるランプ34を成膜室27に設置することにより、原料ガスを光で励起して、WSin膜を作製することができる。
SiH4とWF6を用いてWSin膜を作製する場合、SiH4は約150nm以下の波長領域の光で励起され、WF6は約200nm以下の波長領域の光で励起される。従って、約150nm以下の波長領域の光を用いると、SiH4とWF6の両方が光励起されてしまい、SiH4同士の反応が進み、アモルファスSi膜が形成されてしまう。これを防ぐためには、SiH4は光励起せずにWF6のみが選択的に光励起されるような波長領域の光を用いる必要があることから、約150nmより大で約200nm以下の範囲内の波長の光を用いることで原料ガスを選択的に光励起、即ち、WF6のみを光励起して、WSin膜を作製することができる。例えば、中心波長172nmのXeエキシマランプが適用できる。また、光透過窓33に約150nm以下の波長領域の光を遮断する材質を用いることや、約150nm以下の波長領域の光を遮断するフィルターを光透過窓とランプの間に挿入することにより、同様の効果を得ることができる。
Si原料として、SiH4ではなく、Si26を用いる場合には、約190nmから200nmの波長領域の光を用いることにより、Si原料ガス同士の反応を防ぎ、WSin膜を作製することができる。Si原料としてSi38を用いる場合には、Si38が約210nmの波長領域以下の光を吸収することから、WF6の選択的な光励起は不可能である。
光源の設置場所は、基板の直上位置、基板と平行位置、基板と離れた成膜室内の任意の位置、ガス配管の導入口等のうちのいずれの位置でも有効である。
光は、光照射範囲が広く、光強度が強いほど、WSin膜の成膜速度を増大することができる。レーザー光においてもWSin膜を作製することはできるが、成膜速度の観点からは、光照射範囲の広いランプ光の方が望ましい。
図11は、図5の製造装置を用いて作製したWSin膜のSi/W組成比nとSiH4ガス圧力の関係を示した図である。作製条件として、WF6ガス流量は0.2sccm、SiH4ガス流量は10sccm、ヒーター温度は50−300℃、基板温度は350−420℃、ガス圧力は10−1350Paとした。ここで、SiH4/WF6ガス流量比が50と大きいことから、ガス圧力はほとんどSiH4で決まっており、図5の排気口に位置するバルブ30の絞りを調節することにより、ガス圧力を制御した。堆積基板には、石英ガラス基板を用いた。ヒーター温度300℃で基板温度420℃の条件、及びヒーター温度300℃で基板温度350℃の条件で作製したWSin膜に着目すると、SiH4ガス圧力が増大するに伴い、Si/W組成比nが増大し、特定のガス圧力以上ではSi/W組成比nが12で一定となった。これは、SiHガス圧力の増大に伴い、SiH4とWF6の衝突回数が増大することで前駆体WSinがSiリッチ化して、その後、前駆体WSinがn=12となった時点で安定組成となり反応が自己停止したことを示している。これらの作製条件よりもガス温度が低温となる作製条件にすることにより、自己停止時のSi/W組成比nを小さくすることができる。例えば、ヒーター温度50℃、基板温度350℃の条件で作製したWSin膜はSi/W組成比nがおおよそ5未満で反応が自己停止する。この理由は、前駆体WSinのSi/W組成比nが増大するに伴い、前駆体WSinとSiH4の反応に要するエネルギーが大きくなるためである。ヒーター温度50℃、基板温度350℃の条件では、おおよそ5未満の前駆体WSinとSiH4の反応を起こさせるエネルギーを満たすことができないことを示している。この時のガス温度は、基板からの輻射熱や基板からガスへ伝導した熱であるため、基板温度の350℃よりも少し低い温度となっている。また、ガスの温度は、基板とヒーターの温度のみで決まるのではなく、基板とヒーターの位置関係、ガスの対流、ガス流量、ガス圧力で決まる。
図12は、図5の製造装置を用いて作製したWSin膜のSiの組成比nとヒーター温度の関係を示す図である。作製条件として、WF6ガス流量は0.2sccm、SiH4ガス流量は10sccm、ヒーター温度は50−400℃、基板温度は390℃、ガス圧力は1300Paとした。ヒーター温度の増大、つまり、成膜室内のガス温度の増大に伴い、Siの組成比nは増大し、n=12で一定となる。図12によれば、WSi12膜は気相安定性の高い前駆体WSi12を基に形成されたことがわかる。
図5の製造装置を用いて図11で示した作製条件で作製したWSin膜の、ヒーター温度(50−300℃)、基板温度(350−420℃)、SiH4ガス圧力(10−1350Pa)、Siの組成比n、光学ギャップ(eV)、電子移動度(cm2/Vs)を、表1に示す。電子移動度は、ホール効果測定により算出した。なお、ヒーター温度300℃で基板温度350℃の光学ギャップ及び電子移動度のデータの一部は、膜厚が薄いためにシート抵抗が高くて測定できず、省略している。
Figure 2016211038
同様に、図12で示したWSin膜の作製条件の、ヒーター温度(45−380℃)、基板温度(390℃)、SiH4ガス圧力(1300Pa)、及び、WSin膜のSiの組成比n、光学ギャップ(eV)、電子移動度(cm2/Vs)を、表2に示す。
Figure 2016211038
図13は、図10と図11で示したWSin膜の、光学ギャップとSiの組成比nの関係を示した図である。図によれば、光学ギャップを0.1eVから1.5eVの範囲で制御できることがわかる。なお、Si組成比nが約2以下の時には、光学ギャップが閉じている。WSin膜を半導体装置に利用する場合、nが3より大であり、エネルギーギャップが開いていることが好ましい。また、図によれば、作製条件に因らずに、光学ギャップとSi/W組成比nには一定の関係がある。これは、WSin膜の光学ギャップを決める主な要因がSi/W組成比nであることを示している。例えば、Si/W組成比nを3より大で14以下の範囲にするとき、光学ギャップを0.1eVから1.5eV程度の範囲で制御できる。
図14は、図10と図11で示したWSin膜の、光学ギャップと電子移動度を示した図である。図によれば、光学ギャップの増大に伴い、電子移動度が増大する傾向にある。図14から、光学ギャップが0.1eVから1.5eVの範囲のとき、電子移動度は0.1−17cm2/Vsの範囲をとることがわかる。光学ギャップが小さいときには、フェルミレベルが光学ギャップ中央付近に存在しており、電子濃度と正孔濃度が均衡することで、見かけ上の電子移動度が小さくなる。一方、光学ギャップが大きいときには、フェルミレベルが比較的に伝導帯端側に存在しており、電子濃度と正孔濃度の均衡が崩れて、見かけ上の電子移動度が大きくなる。
なお、スパッタ法で形成したSiリッチなWとSiの化合物膜(Si/W組成比=8)は、WSin膜と同様なSi/W組成比を保持しているが、W原子とSi原子がランダムに結合したネットワーク構造を持っていて、光学ギャップとキャリア移動度はほとんど0を示す。WSin膜とスパッタ法で形成した膜の判別には、光学ギャップやキャリア移動度の評価以外に、光電子分光測定(XPS)やラマン散乱測定による膜中の原子の結合状態の評価、透過型電子顕微鏡による断面像の観察、半導体基板との電気的接合特性評価が有効である。
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、遷移金属シリサイド膜を、半導体装置における電極積層構造に適用した例である。該構造は、遷移金属シリサイド膜を、半導体基板と金属電極の接触界面に挿入した積層構造であり、半導体基板、遷移金属シリサイド膜、金属電極の順で積層して形成される。
図15は、金属膜(金属電極44)と半導体基板(N型Si基板41)の接触界面にWSin膜42を挿入したソース/ドレイン構造を持つSiのN−MOSトランジスタの断面模式図である。なお、図示中央において、P型Si基板40上に、ゲート絶縁膜43とゲート電極(金属電極44)が積層されてなるゲート構造である。Si組成比nの高いWSin膜(例えば、n=8−12)を用いることにより、Si基板とWSin膜の接触界面に生じる欠陥準位を低減することができ、金属とSi基板の間で生じるエネルギー障壁の高さを制御して金属/Si基板の接触抵抗を低減することが可能となる。WSin膜を備える電極構造は、N−MOSトランジスタのみならず、P−MOSトランジスタにも有効であり、また、Siトランジスタのみならず、Geトランジスタにも有効である。
半導体基板と金属膜の間に挿入するWSin膜は、Si基板から金属膜へかけて、Si/W組成比nが段階的あるいは連続的に減少するように、組成比が組成傾斜する構成にすることができる。図16に、Si基板50上に、Si基板から金属W膜56へ、WSi12膜51、WSi10膜52、WSi6膜53、WSi4膜54、WSi2膜55、というように、Si組成比nが減少する構成を模式的に図示した。金属膜のW膜はWSin膜と同じ製造装置で作製することが可能であるため、WSin膜からW膜までの同一成膜室内での連続作製が可能である。半導体同士、半導体と絶縁体、又は半導体と金属の異種材料同士の接合では、接合界面にバンドオフセットやショットキー障壁といったエネルギー障壁が形成され、電気伝導を阻害する要因となる。半導体基板と金属膜の間にWSin膜を挿入することで、半導体基板から金属にかけて、バンドオフセットを段階的あるいは連続的に変化させることができるため、エネルギー障壁に起因する寄生抵抗を低減できる効果がある。
図17は、金属電極44、及び、SiとSiO2から構成されるSilicon on Insulator(SOI)基板50の接触界面にWSin膜42を挿入したソース/ドレイン構造を持つ無接合型トランジスタの断面模式図である。図15のトランジスタと異なり、ソース/ドレイン領域にドーピングによるPN接合が形成されていない。チャネルとソース/ドレイン領域のドーパント濃度が同じであるため、トランジスタ特性のばらつき抑制に効果的である。特に、ドーパント濃度を低くすると、短チャネル効果の一つであるDrain―Induced Barrier Lowering(DIBL)の抑制に効果的である。しかし、ドーパント濃度が低いと、金属とSOI基板の接触抵抗が高くなる。WSin膜を金属とSOI基板の接触界面に挿入することにより、金属とSOI基板の間で生じるエネルギー障壁の高さを制御して、金属とSOI基板の接触抵抗を低減することが可能となる。図16のようなSi基板から金属膜へかけてSi組成比nが変化するWSin膜を用いてもよい。
図18は、立体型トランジスタのソース/ドレイン領域を示す要部の鳥瞰図である。図18では、SiO2膜57を表面に備えるSi基板50の一部に起立した立体型のSi構造を形成して、該Si構造の側面と立体型の金属電極44の間にWSin膜42を設けている。WSin膜は、気相反応で形成するため、被覆性に優れており、立体構造に均一に堆積することができる。
図19は、ナノワイヤー型トランジスタのソース/ドレイン領域を示す要部の鳥瞰図である。図19では、Siナノワイヤー58とその周囲を囲む円柱状の金属電極44との間に、WSin膜42からなる介在層が設けられている。WSin膜42は、気相反応で形成されるため、被覆性に優れており、立体構造に均一に堆積することができる。
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、遷移金属シリサイド膜を半導体層として適用した例である。
図20は、WSin膜のチャネル層から構成される薄膜トランジスタの断面模式図である。WSin膜の高いキャリア移動度を利用することにより、薄膜トランジスタの駆動力を向上させることができる。図では、ガラス基板60の上にWSin膜42が形成され、WSin膜42上に、ゲート構造部ではゲート絶縁膜43と金属電極44が積層され、ソース/ドレイン構造部では金属電極44が設けられている。
図21は、WSin膜のチャネル層から構成される薄膜トランジスタの断面模式図である。WSin膜42はガラス基板60から金属電極44にかけて、Si組成比nが段階的あるいは連続的に減少するように構成されている。ゲート構造部では、ゲート絶縁膜43下のチャネル層となる箇所は、高いSi組成比nで構成することにより、高いキャリア移動度を得ることができ、ソース/ドレイン構造部では、金属電極44と接触する箇所を、低いSi組成比nで構成することにより、低い電気抵抗率を得ることができる。その結果、全体として、薄膜トランジスタの駆動力を向上させることができる。
なお、上記実施の形態等で示した例は、発明を理解しやすくするために記載したものであり、この形態に限定されるものではない。
本発明の遷移金属シリサイド膜は、所望の光学ギャップや電子移動度の特性を有する膜を実現可能であるので、半導体装置の電極構造、半導体チャンネル層、ディスプレイ等に幅広く利用できる。また、本発明の製造方法や製造装置によれば、遷移金属シリサイド膜の大面積化、均一化に適し、LSIの集積化や微細化等がさらに期待でき、産業上有用である。
1 WSi12前駆体
2 WSi12
3 基板
4 WSin前駆体
12 アモルファス状態のWSin
13 石英ガラス基板
22 エピタキシャル結晶状態のWSin
23 清浄表面を有するSi基板
24 ガスボンベ
25 ガス流量制御器
26 ガス配管
27 成膜室
28 ヒーター
29 排気口
30 バルブ
31 基板ステージ
32 圧力計
33 光透過窓
34 ランプ
40 P型Si基板
41 N型Si基板
42 WSin
43 ゲート絶縁膜
44 金属電極
50 Si基板又はSOI基板
51 WSi12
52 WSi10
53 WSi6
54 WSi4
55 WSi2
56 W膜
57 SiO2
58 Siナノワイヤー
60 ガラス基板

Claims (10)

  1. シリコン/遷移金属の組成比が3より大で16以下の遷移金属シリサイド膜であり、遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスの化学反応により作製されたことを特徴とする遷移金属シリサイド膜。
  2. 前記遷移金属は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウムのうちの少なくとも1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属シリサイド膜。
  3. 前記遷移金属がタングステンで、シリコン/遷移金属の組成比が3より大で14以下であることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属シリサイド膜。
  4. 請求項1に記載の遷移金属シリサイド膜を備える半導体装置。
  5. 遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを気相中で化学反応させることにより、シリコン/遷移金属の組成比が3より大で16以下の前駆体を気相中で作製した後に、該前駆体を基板上に堆積して、シリコン/遷移金属の組成比が3より大で16以下の遷移金属シリサイド膜を該基板上に作製することを特徴とする遷移金属シリサイド膜の製造方法。
  6. 遷移金属の原料ガスとして、フッ素と遷移金属から構成されるガス、塩素と遷移金属から構成されるガス、有機物と遷移金属から構成されるガスのうちの少なくともいずれかを用い、シリコンの原料ガスとして、水素とシリコンから構成されるシランガス、ジシランガス、トリシランガス、及び高次シランガス、塩素とシリコンから構成されるガス、有機物とシリコンから構成されるガスのうちの少なくともいずれかを用いることを特徴とする請求項5に記載の遷移金属シリサイド膜の製造方法。
  7. 遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを50℃以上420℃以下の温度に保持することにより、気相中で化学反応を生じさせることを特徴とする請求項5に記載の遷移金属シリサイド膜の製造方法。
  8. 遷移金属の原料ガスのみが吸収し、シリコンの原料ガスは吸収しない波長領域の光を用いることにより、気相中で化学反応を生じさせることを特徴とする、請求項5に記載の遷移金属シリサイド膜の製造方法。
  9. 遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを供給して、化学気相成長により遷移金属シリサイド膜を作製する製造装置であって、前記遷移金属の原料ガスと前記シリコンの原料ガスの温度を50℃以上420℃以下に保持する加熱機構を備えることを特徴とする遷移金属シリサイド膜の製造装置。
  10. 遷移金属の原料ガスとシリコンの原料ガスを供給して、化学気相成長により遷移金属シリサイド膜を作製する製造装置であって、前記遷移金属の原料ガスのみが吸収し、前記シリコンの原料ガスは吸収しない波長領域の光の照射機構を、備えることを特徴とする遷移金属シリサイド膜の製造装置。
JP2015096023A 2015-05-08 2015-05-08 遷移金属シリサイド膜、その製造方法及び製造装置並びに半導体装置 Active JP6503543B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015096023A JP6503543B2 (ja) 2015-05-08 2015-05-08 遷移金属シリサイド膜、その製造方法及び製造装置並びに半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015096023A JP6503543B2 (ja) 2015-05-08 2015-05-08 遷移金属シリサイド膜、その製造方法及び製造装置並びに半導体装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2016211038A true JP2016211038A (ja) 2016-12-15
JP2016211038A5 JP2016211038A5 (ja) 2018-06-21
JP6503543B2 JP6503543B2 (ja) 2019-04-24

Family

ID=57549394

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015096023A Active JP6503543B2 (ja) 2015-05-08 2015-05-08 遷移金属シリサイド膜、その製造方法及び製造装置並びに半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6503543B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112017003779T5 (de) 2016-07-27 2019-04-18 Denso Corporation Steuerungssystem
WO2019093207A1 (ja) * 2017-11-09 2019-05-16 国立研究開発法人産業技術総合研究所 導電性積層体及び電子素子
CN113718227A (zh) * 2020-05-25 2021-11-30 中国科学院金属研究所 一类二维层状三元化合物及其制备方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60178622A (ja) * 1984-02-27 1985-09-12 Fujitsu Ltd 半導体装置の製造方法
JPS62249415A (ja) * 1986-02-28 1987-10-30 ダウ コ−ニング コ−ポレ−シヨン シリコン含有膜の形成方法
JPS6345373A (ja) * 1986-08-11 1988-02-26 インターナシヨナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーシヨン ケイ素高含有ケイ化タングステンを付着させる方法
JPH05504660A (ja) * 1990-05-04 1993-07-15 ヴァルツァー・アクチェンゲゼルシャフト 二珪化タングステンcvd
JPH06140343A (ja) * 1992-10-28 1994-05-20 Sony Corp Cvd装置及びその装置を使用する成膜方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60178622A (ja) * 1984-02-27 1985-09-12 Fujitsu Ltd 半導体装置の製造方法
JPS62249415A (ja) * 1986-02-28 1987-10-30 ダウ コ−ニング コ−ポレ−シヨン シリコン含有膜の形成方法
JPS6345373A (ja) * 1986-08-11 1988-02-26 インターナシヨナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーシヨン ケイ素高含有ケイ化タングステンを付着させる方法
JPH05504660A (ja) * 1990-05-04 1993-07-15 ヴァルツァー・アクチェンゲゼルシャフト 二珪化タングステンcvd
JPH06140343A (ja) * 1992-10-28 1994-05-20 Sony Corp Cvd装置及びその装置を使用する成膜方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112017003779T5 (de) 2016-07-27 2019-04-18 Denso Corporation Steuerungssystem
WO2019093207A1 (ja) * 2017-11-09 2019-05-16 国立研究開発法人産業技術総合研究所 導電性積層体及び電子素子
CN113718227A (zh) * 2020-05-25 2021-11-30 中国科学院金属研究所 一类二维层状三元化合物及其制备方法
CN113718227B (zh) * 2020-05-25 2022-07-26 中国科学院金属研究所 一类二维层状三元化合物及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6503543B2 (ja) 2019-04-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI794276B (zh) 用於填充基材表面上的間隙特徵的方法和相關的半導體元件結構
KR20190093498A (ko) 기판 표면 위에 반도체 구조체를 증착하기 위한 방법 및 이와 관련된 반도체 구조체
US9171718B2 (en) Method of epitaxial germanium tin alloy surface preparation
TW201921592A (zh) 用於在基材和相關半導體元件結構的介電表面上沉積鉬金屬膜的方法
TW201920736A (zh) 通過迴圈沉積過程在基材的介電表面上沉積鉬金屬膜的方法和相關的半導體元件結構
TWI431723B (zh) 經接觸窗形成於源極/汲極上之自我對準矽化物
JP5903504B2 (ja) コンフォーマル金属ケイ化物フィルムを形成する方法
TW201343949A (zh) 磊晶摻雜的鍺錫合金的形成方法
US20130207080A1 (en) Bilayer gate dielectric with low equivalent oxide thickness for graphene devices
TWI524392B (zh) 穩定矽化金屬膜及其製造方法
JP5280843B2 (ja) 金属化合物層の形成方法、及び金属化合物層の形成装置
WO2019246574A1 (en) Method for forming a nanowire device
JP6503543B2 (ja) 遷移金属シリサイド膜、その製造方法及び製造装置並びに半導体装置
TW200830474A (en) Growth of metallic nanodots using specific precursors
WO2009107669A1 (ja) 金属珪素化合物薄膜及びその製造方法
TWI521600B (zh) 在矽基材上形成高生長速率低電阻率的鍺膜之方法〈一〉
TWI732976B (zh) 形成矽化物的方法
US20120276718A1 (en) Method of fabricating graphene-based field effect transistor
US20150179743A1 (en) Graphene as a Ge Surface Passivation Layer to Control Metal-Semiconductor Junction Resistivity
Wu et al. Three step fabrication of graphene at low temperature by remote plasma enhanced chemical vapor deposition
WO2014100047A1 (en) Methods and apparatus for cleaning substrate structures with atomic hydrogen
JP6896291B2 (ja) タングステンとゲルマニウムの化合物膜及び半導体装置
JP5889821B2 (ja) 金属シリサイド層の製造方法
JP2006128154A (ja) 基板上に形成された金属酸化物層とその作製方法
JP2021520638A (ja) 3次元構造の共形ドーピングのための方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180423

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181018

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6503543

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250