JP2016211028A - 無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物及び無電解めっき用転写フィルム - Google Patents

無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物及び無電解めっき用転写フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、プラスチック等の触媒活性の無い非導電性基材に対して無電解めっきを行う技術において、各種転写技術により、触媒物質(触媒組成物)をその非導電性基材に付着させ、次いで無電解めっきを行って無電解めっき皮膜を形成させる技術を提供する。本発明は、その触媒組成物を用いて、各種転写技術で利用できる転写フィルムを作製する。【解決手段】 (1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物。【選択図】なし

Description

本発明は無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物及び無電解めっき用転写フィルムに関する。
絵柄が組み込まれた転写フィルムを用いて、物品の表面を加飾する技術が知られている。その様な転写技術として、例えば熱転写加工、インモールド転写加工等が知られている。
熱転写加工では、(1)加熱ローラーが転写フィルムを成形品に押し付け、(2)熱及び圧により転写フィルムの接着層が溶融し、成型品表面に接着させ、(3)フィルムが剥されると、印刷層のみが成形品に転移する。インモールド転写加工では、(1)フィルムを金型内へ供給し、(2)クランプ及び吸引でフィルムを固定し、型締めを行い、(3)樹脂温度と射出圧力により、金型内で印刷層が成形品に転移し、(4)型開きと同時にフィルムが剥離し、完成品を取り出す。
また、プラスチック等の非導電性基材は無電解めっきに対する触媒活性が無い。そのため、その様な触媒活性の無い非導電性物質に無電解めっきを行う技術として、例えば金属パラジウム等の触媒物質を被めっき物(非導電性基材)に付着させ、次いで無電解めっきを行って無電解めっき皮膜を形成させる技術が知られている。
例えばめっき液に含まれる還元剤及び金属イオンにより、めっき液に含浸することで被めっき物に金属皮膜を析出させる無電解ニッケル、無電解銅めっき技術等が知られている。無電解めっき技術は、例えば集積回路等の電子部品を作製する際、非導電性基材に対して導電性配線パターンを形成する目的で利用されている。
これまで、電子部品形成用に無電解めっきするためのフィルムが知られている。通常、素地(ABS樹脂等の非導電材料)へのめっき方法として、六価クロムエッチング後又は触媒付与後に、無電解めっき又は電解めっきが行われる。
特許文献1には、透明基体表面にパターンが形成された金属超微粒子触媒層と、金属層が形成された透明導電膜が記載されている。特許文献2には、透明基板に、金属粉末及びグラファイト粉末を含む導電性インキ組成物からなる印刷パターン、並び金属層からなる電磁波シールドパターン部が構成された透光性電磁波シールド部材が記載されている。これらは、触媒(金属粒子)及び樹脂を含むインキを基材にスクリーン印刷(直接印刷)した後、無電解めっきする技術や、グラファイト粉末及び樹脂を含むインキを基材にオフセット印刷(直接印刷)した後、電解めっきする技術である。しかし、オフセット印刷の場合、2回転写を行うので、転写むらが発生する。
特許文献3には、透明基材、プライマー層、触媒層及び金属層を順に有する電磁波シールド材が記載されている。特許文献4には、フィルム面に転移された樹脂部に無電解めっきを施し、透明な基材に金属薄膜からなるメッシュを積層した電磁波遮蔽板が記載されている。これらは、凹版ロールを用いて、触媒及び樹脂を含むUV硬化インキを、基材にUV硬化時に転写した後、無電解めっき又は電解めっきする技術である。
特許文献5には、めっき触媒と相互作用するめっき受容性層を備え、基板上にそのめっき受容性層を転写するめっき用積層フィルムが記載されている。特許文献6には、基材層、離型層、樹脂層及び粘着層を含む無電解めっき下地転写フィルムであって、その樹脂層が触媒作用を有し、金属錯体を吸着できる無電解めっき下地転写フィルムが記載されている。これらは、基材にめっき触媒と相互作用するめっき受容性層や触媒作用を有する樹脂層を転写し、触媒を吸着させた後、無電解めっき又は電解めっきする技術である。これらの技術には触媒付与工程が必要である。
また、本出願人は、これまで、被めっき物(非導電性基材)に対して、密着性及び外観皮膜に優れた無電解めっき皮膜を形成することができる無電解めっき用塗料組成物を提供してきた(特許文献7〜9)。例えば、4-アルキル-3-カルボン酸エステルポリピロール、パラジウムコロイド及び有機溶媒を含有する無電解めっき用塗料組成物、パラジウム粒子と分散剤との複合体、溶媒(水、N-メチルピロリドン等)及びバインダー樹脂(ポリエステル樹脂等)を含有する無電解めっき用塗料組成物を提供してきた。
特開平11-170420号公報 特開2001-102792号公報 特開2009-33031号公報 特開平11-174174号公報 特開2009-280905号公報 特開2015-10240号公報 特許第5674561号 特許第5422812号 特許第5458366号
本発明は、プラスチック等の触媒活性の無い非導電性基材に対して無電解めっきを行う技術において、各種転写技術により、触媒物質(触媒組成物)をその非導電性基材に付着させ、次いで無電解めっきを行って無電解めっき皮膜を形成させる技術を提供することを目的とする。
本発明は、その触媒組成物を用いて、各種転写技術で利用できる転写フィルムを作製することを目的とする。
従来技術では、転写フィルムを用いる転写技術において、転写後に露出した触媒表面は無電解めっき可能な材料ではなかった。従来技術では、転写後、触媒吸着工程が必要であった。従来技術では、透明ロール基材を用いて平面材料(プラズマディスプレー用電磁波シールド材等)への転写及びめっきのみが可能であった。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、特定の触媒組成物を転写フィルムに適用できることを見出した。本発明者らは、その触媒層(触媒組成物)を有する転写フィルムを用いて、非導電性基材に対して触媒層(触媒組成物)を良好に転写できることを見出した。
本発明者ら、転写された触媒層(触媒組成物)により、表面が滑らかな無電解めっき皮膜を形成できることを見出した。本発明者らは、これらの技術が優れた無電解めっき技術に繋がることを見出した。
即ち、本発明は、次の無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物、転写フィルム等である。
項1.
(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物。
項2.
前記転写がインモールド転写、熱ロール転写又は粘着剤転写である、請求項1に記載の触媒組成物。
項3.
前記金属粒子がパラジウム粒子、白金粒子又は銀粒子である、請求項1又は2に記載の触媒組成物。
項4.
離型性を有する基材上に、少なくとも触媒層及び接着層が順に積層されてなる無電解めっき用転写フィルムであって、
前記触媒層が(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する触媒組成物から形成されるものである、無電解めっき用転写フィルム。
項5.
前記転写がインモールド転写、熱ロール転写又は粘着剤転写である、請求項4に記載の転写フィルム。
項6.
前記金属粒子がパラジウム粒子、白金粒子又は銀粒子である、請求項4又は5に記載の転写フィルム。
項7.
無電解めっき用転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法であって、
前記無電解めっき用転写フィルムは、離型性を有する基材上に、少なくとも触媒層及び接着層が順に積層されてなり、前記触媒層は(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する触媒組成物から形成されるものであり、
(1)前記転写フィルムの接着層を素地に貼り付ける工程、
(2)前記工程によって得られた貼り付け物に対して、前記素地に転写フィルムの触媒層及び接着層を残し、前記素地から基材を剥離する工程、及び
(3)前記工程によって露出した触媒層に対して、無電解めっきを行う工程
を含む無電解めっき物の製造方法。
項8.
前記工程(1)及び(2)がインモールド転写、熱ロール転写又は粘着剤転写により行われる、請求項7に記載の製造方法。
項9.
前記金属粒子がパラジウム粒子、白金粒子又は銀粒子である、請求項7又は8に記載の製造方法。
本発明は、プラスチック等の触媒活性の無い非導電性基材に対して無電解めっきを行う技術において、各種転写技術により、例えば金属パラジウム等の触媒物質(触媒組成物)をその非導電性基材に良好に付着させ、次いで無電解めっきを行って無電解めっき皮膜を良好に形成させることができる。
本発明は、その触媒組成物を用いて、各種転写技術で利用できる転写フィルムを良好に作製することができる。本発明は、その触媒層(触媒組成物)を有する転写フィルムを用いて、非導電性基材に対して触媒層を良好に転写できる。
本発明は、その転写フィルムを用いて、プラスチック等の平面から円筒物等の3次曲面状の表面に無電解めっき用皮膜(触媒層)を良好に形成させたり、金型の中で成型と同時に基材に無電解めっき用皮膜を良好に形成させたりすることができる。例えば3次元筐体への転写及び無電解めっきが可能である。つまり、平面材料の他に、インモールド転写技術により、3次元筐体への転写及び無電解めっきが可能である。
本発明は、転写された触媒層により、表面が滑らかな無電解めっき皮膜を形成できる。
本発明は、無電解めっきの下地となる層に予め触媒が含まれており、触媒吸着工程が必要でなく、転写及び無電解めっき技術に含まれる工程を簡素化することができる。
本発明は、無電解めっきによる筐体製造現場では有機溶剤は使わずに済み、防爆設備等が不要となる。無電解めっきは、有害な六価クロムを使用しない処理であり、環境負荷が小さい。
本発明の無電解めっきは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、ポリプロピレン(PP)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)等の汎用樹脂、これらの樹脂の組み合わせ(PC/ABS等)であるプラスチック製品に適用できる。
無電解めっきで用いるパターン版を示す図である。 無電解めっきで析出したパターンを示す図である。 本発明の態様を表す概略図である。 本発明の態様を表す概略図である。 本発明の態様を表す概略図である。
以下に本発明を詳細に説明する。但し、この実施の形態は、発明の趣旨をよく理解させため具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、発明内容を限定するものではない。
[1]無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物
本発明の無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物(以下「触媒組成物」とも記す)は、(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有することを特徴とする。
本発明の無電解めっき用転写フィルム(以下「転写フィルム」とも記す)は、離型性を有する基材上に、少なくとも前記触媒組成物から形成される触媒層及び接着層が順に積層されてなることを特徴とする。
本発明の「無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物」は、前記(1)〜(3)を含む触媒組成物である。その触媒組成物は、非導電性基材(成形品)の加飾を行う転写技術で利用する転写フィルムに適用できる。
本発明の「転写フィルム」を用いて、非導電性基材に触媒層(触媒組成物)、つまり無電解用めっきを施すための皮膜を形成(露出)させることができる。その無電解めっき用の皮膜(触媒層)が形成された非導電性基材に対して、無電解めっきを行うことで、非導電性基材に滑らかな無電解めっき皮膜を形成させることができる。
電子機器のプリント配線板の製造では、金属配線回路の形成に、本発明の「転写フィルム」を用いて、無電解めっきを行うことができる。
(1)転写技術
図3〜6に本発明の態様の概略図を表す。
本発明の触媒組成物及び転写フィルムを用いる転写技術を説明する。
本発明の転写フィルムは、基材上に、少なくとも剥離層、触媒組成物から形成される触媒層及び接着層(又は粘着層)が順に積層されてなり、前記触媒組成物は、(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する。
本発明の転写フィルムには、本発明の触媒組成物から形成される触媒層を含む。本発明の転写技術を用いて、その触媒層を非導電性基材(素地、成形品)に貼り付ける。次いで、無電解めっき技術を用いて、その露出した触媒層に対して無電解めっきを行い、非導電性基材(素地、成形品)を加飾することができる。電子機器のプリント配線板の製造では、金属配線回路の形成に、本発明の転写フィルムを用いて、無電解めっきを行う。
本発明の転写技術として、主に熱ロール転写技術、インモールド転写技術又は粘着剤転写が好ましい。
(a)熱ロール転写技術(図3及び5)
本発明の触媒組成物及び転写フィルムを熱ロール転写技術に適用することにより、プラスチック等の非導電性基材(成形品)の平面から円筒物等の3次曲面状の表面に、無電解めっき用皮膜(触媒層)を形成することができる。そして、無電解めっき用皮膜が形成された非導電性基材に対して、無電解めっき技術により、絵柄、金属調、パール、マット調等のデザインを付与する(加飾する)ことができる。熱ロール転写技術は、成形品に対する印刷、塗装等の技術と比べて、熱ロール転写技術は有機溶剤による環境負荷の少ない加飾工法である。
熱ロール転写加工の原理
(i)加熱されたローラー(ゴムローラー、シリコンローラー等)を用いて、転写フィルムの接着層を非導電性基材(素地、成形品)に押し付ける。
(ii)熱と圧により、転写フィルムの接着層を溶融させ、接着層を非導電性基材の表面に接着させる。
(iii)転写フィルムの離型性を有する基材(剥離層を含む)を剥がし、非導電性基材に触媒層を転移(形成)させて、触媒層を露出させる。
熱ロール転写加工は、熱したローラーで熱及び圧をかけることにより、転写フィルムの基材上の触媒層を、非導電性基材の表面に移す技術である。更に部分的なアルミ蒸着、マット印刷等でデザインをグレードアップさせたり、ハードコート等の機能性を付加したりすることが可能である。その後、非導電性基材の触媒層に対して、無電解めっきを施すことで、絵柄等をめっきする(加飾する)こと、つまり意匠を付与することが可能である。家庭日用品、家電製品、化粧品等の分野で利用することができる。
熱ロール転写加工は、本発明の転写フィルムを用いて、輪転グラビア、輪転シルクスクリーン等の印刷方法により行うことができる。
本発明の熱ロール転写技術により、成形品に直接印刷することが難しい多色・写真分解柄の絵付けが容易である。ハードコート等、更なる表面処理の同時加工が可能である。蒸着を利用することにより、表面に金属感を表現することができる。転写加工時に溶剤等を使用しないため、作業環境の向上が図れる。設備の簡略化、生産性の向上が図れる。多種素材に対して柔軟な対応が可能である。
本発明の熱ロール転写技術は、例えば、携帯電話等の通信機器;冷蔵庫、蛍光灯、スイッチパネル等の弱電機器;ファンベルト、インジケーター等の自動車部品;弁当箱、コップ、箸、ステンレスボトル、ゴミ箱、トイレ用品、バス用品、収納用品等の家庭日用品;筆記具(鉛筆、シャープペンシル等)、定規、鉛筆キャップ、テレビゲーム等の文具・玩具;容器、チューブ、ボトル、キャップ等の化粧品;スキーブーツ、スキーストック、スキー板、ゴルフクラブ等のスポーツ用品;金属配線回路に適用することが可能である。
(b)インモールド転写技術(図4及び5)
本発明の触媒組成物及び転写フィルムをインモールド転写技術に適用することにより、プラスチック等の非導電性基材(素地となるもの)を金型の中で成型すると同時に、その3次曲面を有する成型品の表面に、無電解めっき用皮膜(触媒層)を形成することができる。そして、無電解めっき用皮膜が形成された非導電性基材(成型品)に対して、無電解めっき技術により、三次曲面状の表面に様々な意匠性の高いデザインを、位置精度良く施す(加飾する)ことができる。成形品に対する印刷、塗装等の技術と比べて、インモールド転写技術は有機溶剤による環境負荷が少ない加飾工法であり、且つ、省スペース、コストダウンを図ることができる。
インモールド転写加工の原理
(i)箔送り装置から、転写フィルムを金型内へ供給し、カメラ、センサー等を用いて、転写フィルムの位置決めを行う。
(ii)クランプと吸引とで転写フィルムを固定し、型締めを行う。
(iii)樹脂温度と射出圧力により、金型内で触媒層(接着層)を非導電性基材(成型品)に転移させる。
(iv)型開きと同時に、転写フィルムの離型性を有する基材(剥離層を含む)を剥離し、非導電性基材に触媒層を転移(形成)させて、触媒層を露出させる。その成型品(完成品)を自動又は手動で取り出す。
インモールド転写加工は、金型内に転写フィルムを送り、成型時、内在する熱及び圧を利用して成型品を作るのと同時に、その成型品の表面に転写フィルムの基材上の触媒層を転写する技術である。その後、非導電性基材の触媒層に対して、無電解めっきを施すことで、従来不可能とされた3次元曲面、穴あき成形品、緩やかな凹凸面へのめっき(加飾)が可能である。
本発明のインモールド転写技術により、従来の転写方法では不可能とされた形状にも絵付けが可能である。ハードコート等の機能性材料と組み合わせることで、商品の付加価値を高めることができる。工程の簡略化によりコストダウンが図れる。省エネ、省スペースが図れ、作業環境の改善に繋がる。成形品に対する絵柄の位置精度に優れている。
本発明のインモールド転写技術は、例えば、携帯電話等の通信機器;冷蔵庫、エアコン、パソコン、オーディオ等の弱電機器;インジケーター、カーエアコン等の自動車部品;弁当箱、キーホルダー、爪切り等の家庭日用品;パチンコ用銘板等のレジャー用品;金属配線回路に適用することが可能である。
(c)粘着剤転写技術(図5)
本発明の触媒組成物及び転写フィルムを粘着剤転写技術に適用することにより、プラスチック等の非導電性基材(素地、成形品)の平面から円筒物等の3次曲面状の表面に、無電解めっき用皮膜(触媒層)を形成する(貼り付ける)ことができる。そして、無電解めっき用皮膜が形成された非導電性基材に対して、無電解めっき技術により、絵柄、金属調、パール、マット調等のデザインを付与する(加飾する)ことができる。成形品に対する印刷、塗装等の技術と比べて、粘着剤転写技術は有機溶剤による環境負荷の少ない加飾工法である。
粘着剤転写加工の原理
本発明の転写フィルムは、離型性を有する基材(剥離層1を含む)上に、少なくとも触媒組成物から形成される触媒層及び粘着層が順に積層されてなり、前記触媒組成物は、(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する。転写フィルムは、離型性を有する基材(剥離層1を含む)上に、触媒組成物から形成される触媒層及び粘着層が順に積層されてなり、更にその粘着層に剥離層2が積層されていても良い。
(i)転写フィルムの粘着層を非導電性基材(成形品)に押し付ける。転写フィルムの粘着層に剥離層2が積層されている場合、その剥離層2を剥がした後、転写フィルムの粘着層を非導電性基材に押し付ける。
(ii)転写フィルムの粘着層を非導電性基材表面に接着させる。
(iii)転写フィルムの基材(剥離層1を含む)を剥がし、非導電性基材に触媒層を転移(形成)させて、触媒層を露出させる。
粘着剤転写加工は、粘着剤により、直接的に、簡便に転写フィルムの基材上の触媒層を、非導電性基材の表面に移す技術である。更に部分的なアルミ蒸着、マット印刷等でデザインをグレードアップさせたり、ハードコート等の機能性を付加したりすることが可能である。その後、非導電性基材の触媒層に対して、無電解めっきを施すことで、絵柄等をめっきする(加飾する)こと、つまり意匠を付与することが可能である。家庭日用品、家電製品、化粧品等の分野で利用することができる。
本発明の粘着剤転写技術により、成形品に直接印刷することが難しい多色・写真分解柄の絵付けが容易である。ハードコート等、更なる表面処理の同時加工が可能である。蒸着を利用することにより、表面に金属感を表現することができる。転写加工時に溶剤等を使用しないため、作業環境の向上が図れる。設備の簡略化、生産性の向上が図れる。多種素材に対して柔軟な対応が可能である。
本発明の粘着剤転写技術は、例えば、携帯電話等の通信機器;冷蔵庫、蛍光灯、スイッチパネル等の弱電機器;ファンベルト、インジケーター等の自動車部品;弁当箱、コップ、箸、ステンレスボトル、ゴミ箱、トイレ用品、バス用品、収納用品等の家庭日用品;筆記具(鉛筆、シャープペンシル等)、定規、鉛筆キャップ、テレビゲーム等の文具・玩具;容器、チューブ、ボトル、キャップ等の化粧品;スキーブーツ、スキーストック、スキー板、ゴルフクラブ等のスポーツ用品;金属配線回路に適用することが可能である。
本発明の転写フィルムを用いて、熱ロール転写技術、インモールド転写技術又は粘着剤転写技術により、電子機器のプリント配線板の製造では、金属配線回路の形成に、無電解めっきを行うことも可能である。本発明の転写フィルムを用いて、配線板(非導電性基材)に触媒層(触媒組成物)、つまり無電解用めっきを施すための皮膜をパターン形成(露出)させる。その無電解めっき用の皮膜(触媒層)が形成された配線板に対して、無電解めっきを行うことで、配線板に電子回路形成用の無電解めっき皮膜を形成させる。
(2)金属粒子と分散剤との複合体(1)
本発明の触媒組成物は、金属粒子と分散剤との複合体(金属複合体)を含む。
複合体として、例えばパラジウム粒子(Pd粒子)を含むパラジウム複合体(Pd複合体)が好ましい。Pd複合体は、例えばポリカルボン酸系高分子等の分散剤の存在下、塩化パラジウム(塩化Pd)等のパラジウム化合物(Pd化合物)から供給されるパラジウムイオン(Pdイオン)を、ヒドラジンヒドラート等の2級又は3級アミン類で還元することによって得ることができる。
分散剤
前記分散剤として、ポリカルボン酸系分散剤、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤等を用いることが好ましい。分散剤は、市販品を使用することもできる。
ポリカルボン酸系高分子分散剤として、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸トリエチルアミン塩、ポリカルボン酸トリエタノールアミン塩等を使用することが好ましい。例えば、サンノプコ(株)製ノプコサントK,R,RFA、ノプコスパース44-C、SNディスパーサント5020, 5027, 5029, 5034, 5045, 5468、花王(株)製デモールP,EP,ポイズ520, 521, 530, 532A等を使用することができる。
ヒドロキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルヒドロキシエーテルカルボン酸塩等を使用することが好ましい。例えば、ビックケミー・ジャパン(株)製DISPERBYK190, 2010等を使用することができる。
カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤として、アクリル酸−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸−スルホン酸共重合体等を使用することが好ましい。例えば、ビックケミー・ジャパン(株) DISPERBYK180, 187, 191, 194、(株)日本触媒製アクアリックTL, GL, LSを使用することができる。
分散剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。分散剤の中でも、カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤が好ましい。
金属粒子
金属粒子は、無電解めっき触媒として機能するものが好ましく、パラジウム粒子(Pd粒子)、金粒子(Au粒子)、銀粒子(Ag粒子)、白金粒子(Pt粒子)等の貴金属の超微粒子が好ましい。金属粒子として、特にPd粒子が好ましい。
Pd粒子
前記Pd粒子は、分散剤の存在下、Pd化合物から供給されるPdイオンを、還元剤を用いて還元することによって得ることができる(液相還元法)。
前記Pdイオンを供給するPd化合物として、塩化パラジウム(塩化Pd)、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、安息香酸パラジウム、サリチル酸パラジウム、パラトルエンスルホン酸パラジウム、過塩素酸パラジウム、ベンゼンスルホン酸パラジウム等を用いることが好ましい。
Pd化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記還元剤として、ヒドラジンヒドラート(ヒドラジン1水和物)、水素化ホウ素ナトリウム、N,Nジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン等の2級又は3級アミン類を用いることが好ましい。
還元する際に使用される溶媒(分散剤及びPdイオンを存在させるための溶媒)は、次の(2)溶媒を使用することができる。溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Pdイオンを還元する方法としては、溶媒中に分散剤及びPdイオンを存在させた後、還元剤を前記溶媒中に加える方法が挙げられる。これによりPdイオンと還元剤とが接触し、Pdイオンを還元することができる。
Pd粒子の多くは、分散剤の外側に付着していると考えられる。例えば、Pd複合体の形状(分散剤全体の形状)が密集した球状である場合、Pd粒子の多くは当該球状の表面側(外側)に付着していると考えられる。
Pd複合体中のPd粒子と分散剤との重量比は、Pd粒子:分散剤=50:50〜95:5程度が好ましく、Pd粒子:分散剤=65:35〜85:15程度がより好ましい。
例えば、精製水(89重量部程度)に塩化Pd(1重量部程度)を溶解し、更にクエン酸三ナトリウム(10重量部程度)を溶解して均一に攪拌する。次いで、水素化ホウ素ナトリウム(0.01重量部程度)を添加して、塩Pdを還元させることで、クエン酸で安定し、保護コロイド化されたパラジウムコロイド(Pdコロイド)を得ることができる。その後、限外濾過により濃縮脱塩を行い、Pd(0.5重量部程度)を含有するPdコロイドを得ることができる。
Pd粒子単独の平均粒子径は、特に限定されず、2〜10nm程度が好ましい。Pd粒子の粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定することが可能である。Pd粒子単独の平均粒子径は、Pd粒子をランダムに10点選択し、そのPd粒子の粒子径を透過型電子顕微鏡で測定して、個数平均することで算出することができる(個数基準平均径)。
Pd複合体の平均粒子径は、特に限定されず、全体としては平均粒子径20〜300nm程度の球形状の構造を有していることが好ましい。Pd複合体の平均粒子径は、粒径アナライザー(大塚電子株式会社、FPAR-1000)で測定することが可能である(重量基準平均径)。
金属粒子として、その他、無電解めっき触媒として機能するものが好ましく、マイクロ波液中プラズマ法で製造される金属粒子、超音波法で製造される金属粒子、気相法(CVDレーザー等)で製造される金属粒子、貴金属担持微粒子等が好ましい。これらの金属粒子として、Pd粒子、Au粒子、Ag粒子、Pt粒子等の貴金属の超微粒子が好ましい。金属粒子として、特にPd粒子が好ましい。
(3)溶媒(2)
本発明の触媒組成物は、溶媒を含む。
溶媒(分散媒)は、金属複合体(Pd複合体等)を分散させることができる。また、溶媒はバインダーとの親和性に優れている。
溶媒は、触媒組成物に含まれる(1)金属粒子と分散剤との複合体(金属複合体)の分散性、(3)バインダーの溶解性等を考慮し、更に触媒組成物の粘度、蒸発速度等の観点で選択することが好ましい。また、触媒組成物が、接着層を介して、非導電性基材(成形品、成型品(ABS樹脂等のプラスチック材料、ガラス板等)と良好に密着する点を満足させることが好ましい。
具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、1-ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、シクロヘキサノン等のケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;安息香酸メチル、安息香酸エチル、サリチル酸メチル等の芳香族カルボン酸エステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n-へキサン、n-へプタン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のグリコールエーテルエステル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のアルカノールエステル類;2-フェノキシエタノール(エチレングリコールフェニルエーテル)等を追加で用いることが好ましい。
特に、印刷性及び塗装性、印刷・塗装後のレベリング過程を考慮して、蒸発速度が遅い溶媒の使用が好ましい。蒸発速度が遅い溶媒として、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート及び2-フェノキシエタノールが例示される。これらの溶媒を用いることが好ましい。
触媒組成物中の金属複合体(Pd複合体等)を良好に分散させることができるという観点から、水及びN-メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
非プロトン性極性溶媒として、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)等の非プロトン性極性溶媒;ジメチルスルホキシド;γ-ブチロラクトン等を用いることが好ましい。非プロトン性極性溶媒の中でも、NMP、DMF及びDMAcからなる群から選ばれた少なくとも1種がより好ましい。
溶媒は、金属イオン(Pdイオン等)の還元反応後に変換することが可能である。例えば、溶媒を水からNMPに変換することが可能である。
溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
触媒組成物中の分散溶媒の含有量(2種以上の溶媒である時は合計量)は、特に限定されず、前記金属複合体(Pd複合体等)100重量部に対して、1×102〜1×106重量部程度が好ましい。前記金属複合体(Pd複合体等)が、分散溶媒中に1重量%程度含まれることが好ましい。分散溶媒は、前記金属複合体(Pd複合体等)100重量部に対して、5×102〜3×105重量部程度がより好ましく、1×103〜2×105重量部程度が更に好ましく、5×103〜2×104重量部程度が特に好ましい。
(4)バインダー(3)
本発明の触媒組成物は、バインダーを含む。
バインダーは、触媒組成物の粘度、触媒組成物と非導電性基材(成形品、成型品(ABS樹脂等のプラスチック材料、ガラス板等))との密着性、硬化条件等の観点から、良好に無電解めっきの反応性が得られるものを選択することが好ましい。バインダーは、前記溶媒に分散又は溶解するものである。
具体的には、アセタール樹脂(POM)、エポキシ樹脂、エステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂(PA、ポリアミド、ナイロン)、イミド樹脂(ポリイミド)、アミドイミド樹脂(PAI、ポリアミドイミド)、シェラック樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、オレフィン樹脂(ポリオレフィン)等を用いることが好ましい。
アセタール樹脂(POM)は、ポリビニルアセタール等を用いることが好ましい。ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化した樹脂である。アルデヒドとしてホルマリン(ホルムアルデヒド37%水溶液)を用いてアセタール化したものがポリビニルホルマールである。アルデヒドとしてブタノール(ブチルアルコール)でアセタール化したものがポリビニルブチラール(ブチラール樹脂、PVB)である。
エポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂を使用することにより、ABS樹脂等を含む物品上に無電解めっき用塗膜をより強固に密着させることができる。エポキシ樹脂は、無電解めっき用塗膜を構成する高分子母材(マトリックス樹脂)となる。
エポキシ樹脂は、1液性又は2液性エポキシ樹脂のいずれを用いることができる。エポキシ樹脂は、変性エポキシ樹脂を包含する。
1液性エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、グリシジルエステル型、グリシジルエーテル型、ビフェニル型等を用いることが好ましい。
1液性エポキシ樹脂は、例えば、DIC(株)製EPICLON830, 830-S, 835, 840, 840-S, 850, 850-S, N-730A, N-740A, N-770, N-775;ナガセケムテックス(株)製XNR-3053, XNR3505, XN1244, XN1278;荒川化学工業(株)製アラキード9201N, 9203N, 9205, 9208、モデピクス301,302,401;東亞合成(株)製アロンマイティAP-0786, AS-60, BX-60, AS-315等の市販されている商品を使用することができる。
2液性エポキシ樹脂としては、前記エポキシ樹脂を本剤とする樹脂を使用することができる。本剤と共に使用する硬化剤として、ポリアミド、ポリアミン、ポリアミドアミン、ケチミン、イミダゾール、ジアミン、ジアミンジアミド、テトラヒドロフタル酸無水物等を用いることが好ましい。
2液性エポキシ樹脂の本剤は、例えば、三菱化学(株)製jER-806, 807, 825, 827, 828, 1256, 4250, 4275, W2821R70;(株)ADEKA製アデカレジンEP-4100HF, EP-4088S, EPR-4030;ナガセケムテックス(株)製AV138-HV998, XNR3106-XNH3103;東亞合成(株)製アロンマイティAP-400BD等の市販されている商品を使用することができる。
2液性エポキシ樹脂の硬化剤は、例えば、DIC(株)製ラッカマイド17-202, TD-961, TD-977, TD-992, WN-155, WN-170, WN-405, WN-505;三菱化学(株)製jERキュア-ST11, ST12, St13, ST14, LV11, DC11, RC11, FL11, QX11, H3, WD11M60;(株)ADEKA製アデカハードナーEH-3636AS, EH-5010S,EH-5015S; 日立化成(株)HN-2200, HN-2000, HN-5500;T&K TOKA(株)製トーマイド245, 275, 210, 241, フジキュア-5000, FXS-654, FXS-8077等の市販されている商品を使用することができる。
エポキシ樹脂として、作業性、経時安定性等の観点から、1液性エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ樹脂の硬化温度は、60〜200℃が好ましく、80℃〜150℃が更に好ましい。
アミド樹脂は、ナイロン6(ε-カプロラクタム)、ナイロン11(ウンデカンラクタム)、ナイロン12(ラウリルラクタム)、ナイロン66(ヘキサメチレンジアミン+アジピン酸)、ナイロン610(ヘキサメチレンジアミン+セバシン酸)、ナイロン6T(ヘキサメチレンジアミン+テレフタル酸)、ナイロン6I(ヘキサメチレンジアミン+イソフタル酸)、ナイロン9T(ノナンジアミン+テレフタル酸)、ナイロンM5T(メチルペンタジアミン+テレフタル酸)、ナイロン612(カプロラクタムとラウリルラクタムとのωアミノ酸同士の共縮重合体)等を用いることが好ましい。
アミドイミド樹脂とは、ポリイミド主鎖にアミド結合を導入した樹脂であり、無水トリメリット酸とジイソシアネートとの反応や無水トリメリット酸クロライドとジアミンとの反応等で得られる樹脂を用いることが好ましい。
アクリル樹脂は、アクリル酸エステルの重合体若しくはメタクリル酸エステルの重合体又はこれらをコモノマーとする共重合体であり、例えばポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等を用いることが好ましい。
バインダーは、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、エステル樹脂及びオレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。バインダーは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
バインダーの含有量は、金属複合体(Pd複合体等)100重量部に対して、1〜1×105重量部程度が好ましく、50〜5×104重量部程度がより好ましい。
バインダーは、その固形分比は1〜50重量%程度であることが好ましい。
[2]無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物の製造方法
本発明の前記(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する触媒組成物は次の方法で製造することができる。金属粒子(Pd粒子等)は、前述の通り、分散剤の存在下、金属化合物(Pd化合物等)から供給される金属イオン(Pdイオン等)を、還元剤を用いて還元することによって得ることができる。
即ち、本発明の触媒組成物は、
(i)(2)溶媒中に、金属イオン(Pdイオン等)と分散剤とを存在させ、還元剤を用いてその金属イオン(Pdイオン等)を還元し、(1)金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体を作製する工程、
(ii)(2)溶媒中に、(3)バインダーを混合して混合物を作製する工程、並びに、
(iii)前記工程(i)で得られた(2)溶媒及び(1)金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体の混合物に、前記工程(ii)で得られた(2)溶媒及び(3)バインダーの混合物を混合する工程、
を含む製造方法により製造することが好ましい。
工程(i)及び工程(ii)は、どちらが先の工程であっても良い。
前記製造方法によれば、転写技術で利用する転写フィルムに適用できる触媒組成物を製造することができる。
その転写フィルムを用いて、非導電性基材に触媒層(触媒組成物)、つまり無電解用めっき用皮膜を形成(露出)させることができる。その無電解めっき用皮膜層(触媒)が形成された非導電性基材に対して無電解めっきを行うことで、非導電性基材に滑らかな無電解めっき皮膜を形成させることができる。
本発明の触媒組成物は、無電解めっきの反応性が高く、めっきとの密着性が良好であり、良好な平滑性を発現できるめっき皮膜が形成することが可能である。
前記触媒組成物を用いる転写フィルムにより、更に、非導電性基材(成形品、成型品(ABS樹脂等のプラスチック材料、ガラス板等)上にパターンの拡がりを抑えつつ、部分めっきを形成することが可能である。前記触媒組成物を用いると、更に、有害な物質によるエッチング工程、煩雑な触媒付与工程等を必要としない。
工程(i)
(2)溶媒中に、金属イオン(Pdイオン等)と分散剤とを存在させ、還元剤を用いてそのPdイオンを還元し、(1)金属粒子(Pd粒子)と分散剤との複合体を作製する。
先ず、金属イオン(Pdイオン等)と分散剤とを溶媒(分散媒)中に存在させる。金属イオン(Pdイオン等)として、供給源として前記金属イオン(Pdイオン)を供給する金属化合物(Pd化合物等)を使用することができる。
各成分の使用量(重量部)は「金属化合物(Pd化合物等)」基準とする。
分散剤として、前記分散剤を使用することができる。金属イオン(Pdイオン等)と分散剤との使用比率(重量比)は、金属化合物(Pd化合物等)100重量部に対して、分散剤を10〜200重量部程度使用することが好ましく、30〜150重量部程度がより好ましく、50〜100重量部程度が更に好ましい。
溶媒として、前記(2)溶媒を使用することができる。溶媒の使用量は、金属イオン(Pdイオン等)と分散剤を均一に存在させることができれば特に限定されず、金属化合物(Pd化合物等)100重量部に対して、1×104〜3×105重量部程度が好ましく、1×104〜1×105重量部程度がより好ましい。
次に、金属イオン(Pdイオン等)と還元剤とを反応させることにより、金属イオン(Pdイオン等)が還元剤によって還元される。即ち、金属イオン(Pdイオン等)の還元反応が生じ、結果として前記(1)金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体(金属複合体(Pd複合体等))を得ることができる。その還元剤として、前記金属複合体(Pd複合体等)を作製するために使用される還元剤を使用することができる。還元剤の使用量は、特に限定されず、金属化合物(Pd化合物等)100重量部に対して、100〜800重量部程度が好ましく、200〜600重量部程度がより好ましい。
還元剤を用いる反応は、35〜45℃程度の温度で行うことが好ましく、50〜60℃程度まで昇温することが好ましい。反応時間は、特に限定されず、1〜5時間程度とすることが好ましい。
反応の際の圧力及び雰囲気は、特に限定されず、大気圧下又は大気(空気)雰囲気下で行うことが好ましい。反応はビーカー等の開放系で行うことができる。反応方法として、金属イオン(Pdイオン等)(金属化合物(Pd化合物等))、分散剤及び還元剤を含有する溶液を羽根付き撹拌棒で撹拌することが好ましい。
溶媒及び金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体を含む混合物(金属複合体含有液(Pd複合体含有液等))を限外濾過し、金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体を分離することが好ましい。この操作により、金属複合体含有液(Pd複合体含有液等)に含まれる無機塩や過剰の分散剤等を除去することができる。例えば、Pd複合体含有液に対して濾過処理を行い、分散溶媒を補填することが可能である。この処理は、操作を繰り返すことができる。
金属イオン(Pdイオン等)の還元反応後に溶媒を変換することが可能である。例えば、前記溶媒として水を使用し、その後、前記水をNMP等(溶媒、分散媒)に変換することにより、NMP((2)溶媒)及び(1)金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体の混合物を作製することが可能である。
工程(ii)
(2)溶媒中に、(3)バインダーを混合して混合物を作製する。
溶媒として、前記2-フェノキシエタノール、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の(2)溶媒を使用することができる。溶媒の使用量は特に限定されない。
バインダーとして、前記(3)バインダーを使用することができる。バインダーの使用量は、触媒組成物の粘度を考慮することがこのましい。また、接着層を介して、触媒組成物と非導電性基材(ABS樹脂、ガラス板等)との密着性、硬化条件等を考慮することが好ましい。
混合は、特に限定されず、大気圧下又は大気(空気)雰囲気下で行うことが好ましい。混合はビーカー等の開放系で行うことができる。混合方法として、溶媒及びバインダーを含有する混合物を羽根付き撹拌棒で撹拌することが好ましい。
工程(iii)
前記工程(i)で得られた(2)溶媒及び(1)金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体の混合物に、前記工程(ii)で得られた(2)溶媒及び(3)バインダーの混合物を混合する。
[3]無電解めっき用転写フィルム
本発明の無電解めっき用転写フィルム(転写フィルム)は、離型性を有する基材上に、少なくとも触媒層及び接着層(又は粘着層)が順に積層されてなり、前記触媒層が(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する触媒組成物から形成されるものであることを特徴とする。
本発明の転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法では、(1)前記転写フィルムの接着層(又は粘着層)を素地(非導電性基材)に貼り付ける工程(熱ロール転写、インモールド転写、粘着剤転写等の転写工程)、(2)前記工程によって得られた貼り付け物に対して、前記素地に転写フィルムの触媒層及び接着層(又は粘着層)を残し、前記素地から離型性を有する基材(剥離層を含む)を剥離する工程、及び(3)前記工程によって露出した触媒層に対して、無電解めっきを行う工程を含む製造方法により、無電解めっき物を製造する。
(1)離型性を有する基材
転写フィルムの基材である。
基材(基材シート)の材料は、従来公知のものを使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアミド(PA、ナイロン)、ポリイミド(PI)、酢酸セルロース、アイオノマー等の樹脂フィルム等を用いた基材を使用することが好ましい。
また、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等のシートを用いることが好ましい。
これらは単独で使用することができ、また任意に組み合わせた積層体とすることも可能である。これらの中でも、薄膜化可能で安価な汎用性プラスチックであるポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
基材の厚みは、転写フィルムの転写様式に合わせて適宜調整することができる。転写フィルムの強度維持することができること、素地(非導電性基材)への形状追従性が良く触媒層を良好に転写することができること等の理由から、10〜60μm程度が好ましく、15〜50μm程度がより好ましく、20〜40μm程度が更に好ましい。例えば、ハンドリング、コスト等の点で、一般的に38μm程度の厚みを有するPETが好ましい。
離型性を有する基材は、離型性を示す剥離層を含むことで、基材に離型性を付与することができる。
剥離層は、本発明の転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法において、熱ロール転写、インモールド転写等の転写技術により、前記転写フィルムの接着層を素地に貼り付け、次いで得られた貼り付け物に対して、前記素地に転写フィルムの触媒層及び接着層を残し、前記素地から基材及び剥離層を剥離する際の、境界の層である。剥離層は、素地に接着層及び触媒層が貼り付けられた状態で、基材(基材シート)を触媒層から容易に剥離するため層である。剥離層は、基材を剥離する際に、基材側に残る。
剥離層を設けることで、本発明の転写フィルムから触媒層を確実且つ容易に素地(非導電性基材)へ転写させ、触媒層が貼り付けられた素地から、基材及び剥離層を有する基材部分を確実に剥離することができる。
剥離層に用いられる剥離剤として、メラミン樹脂系剥離剤、シリコーン系剥離剤、フッ素樹脂系剥離剤、セルロース樹脂系剥離剤、尿素樹脂系剥離剤、ポリオレフィン樹脂系剥離剤、パラフィン系剥離剤、アクリル樹脂系剥離剤等を用いることが好ましい。これらは単独で使用することができ、また任意に組み合わせた複合型剥離剤とすることも可能である。これらの中で、メラミン樹脂系剥離剤、シリコーン系剥離剤等を用いることがより好ましい。
基材に剥離層を形成するには、前記剥離剤に必要な添加剤を加えたものを、適当な溶剤に溶解又は分散させて調製した剥離組成物を用いることが好ましい。剥離層は、樹脂、添加剤等を更に含むことができる。剥離層の形成に用いる樹脂として、熱可塑性樹脂を用いて形成するのがよい。例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィン樹脂等を用いることが好ましい。
この剥離組成物を、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により、基材上に、塗布・乾燥させて、剥離層を形成することができる。
剥離層の厚みは、0.1〜5μm程度が好ましく、0.2〜3μm程度がより好ましい。
(2)触媒層
触媒層は、前記無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物(触媒組成物)の項で説明した、(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する触媒組成物から形成される。
触媒層は、本発明の転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法において、熱ロール転写、インモールド転写等の転写技術により、前記転写フィルムの接着層を素地(非導電性基材)に貼り付け、次いで得られた貼り付け物に対して、前記素地に転写フィルムの触媒層及び接着層を残し、前記素地から基材及び剥離層を剥離した後、素地(非導電性基材)に設けられる層である。触媒層は、素地に接着層を介して設けれ、無電解めっきを行うための露出した層である。触媒層は、基材を剥離する際に、素地側に残る。
素地(非導電性基材)に露出した触媒層に対して、無電解めっきを行うことで、無電解めっき物を製造することができる。その無電解めっきにより、素地(成形品又は成型品)に意匠性を付与することができる。素地に、模様、文字、パターン状の絵柄等を表現するための層である。素地に、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字、ストライプ状、グラデーションの絵柄等を付与することができる。
触媒層は、(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する触媒組成物から形成され、これらは前記無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物(触媒組成物)の項で説明した通りである。
この触媒組成物を、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により、基材-剥離層上に、塗布・乾燥させて、触媒層を形成することができる。
触媒層の厚みは、良好に無電解めっきを行い、素地にめっき皮膜を良好に形成することができること等から、0.1〜20μm程度が好ましく、0.5〜10μm程度がより好ましく、1〜5μm程度が更に好ましく、1.5〜3μm程度が特に好ましい。無電解めっきにより、素地に目的とする意匠を表現することができる。
(3)接着層
接着層は、本発明の転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法において、熱ロール転写、インモールド転写等の転写技術により、前記転写フィルムの接着層を素地(非導電性基材)に貼り付ける際に、素地と触媒層とを接着させる層である。接着層は、素地と触媒層との間に存在する。接着層は、基材を剥離する際に、素地側に残る。接着層により、触媒層は素地に良好に形成され、その後、良好に無電解めっきを行うことができる。
接着層は、アクリル系接着剤、ポリスチレン系接着剤、ポリアミド系接着剤、ユリア系接着剤、メラミン系接着剤、フェノール系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、EVA樹脂系エマルジョン、アクリル樹脂系エマルジョン等の接着剤(樹脂)を含む接着組成物を用いて形成されることが好ましい。これらは単独で使用することができ、また任意に組み合わせた樹脂組成物とすることも可能である。
接着層は、前記触媒層を構成する無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物(触媒組成物)に含まれるバインダーとの相性、前記素地への密着性を考慮して選択することが好ましい。例えば、アクリル樹脂等を用いることがより好ましい。
この接着組成物を、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により、基材-剥離層-触媒層上に、塗布・乾燥させて、接着層を形成することができる。
接着層の厚みは、触媒層は素地に良好に形成(接着)することができるとうこと等から、0.1〜5μm程度が好ましく、1〜5μm程度がより好ましい。
接着剤は、一般に、常温で溶媒乾燥後、硬化する(熱硬化性を有する)(常温接着剤)。常温接着剤で設計した場合、常温で反応が進むことから、転写フィルムを転写するまでの時間及び温度を制約することが可能である。また、常温で硬化することから、転写フィルムを転写する際にべたつきを抑える(発生させない)ことが可能である。
エポキシ系接着剤は低温(冷蔵庫等)で保管しておき(半生状態)、加工の時に熱プレスして使う。エポキシ系樹脂は回路の積層板作製で、絶縁材として使うことも可能である。
エポキシ系接着剤は、一般的に熱プロセスで硬化する熱硬化接着剤である。
熱ロール転写、インモールド転写等の転写技術では、接着剤を用いることが好ましい。電子回路基板の作製には、エポキシ系接着剤を熱ロール、熱プレス等で接着して用いることが好ましい。アクリル系接着剤等の熱可塑性樹脂(ガラス転移点(Tg)が高い)は、加熱により粘度が低下するので、接着剤として機能する。
(4)粘着層
粘着層は、本発明の転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法において、粘着剤転写等の転写技術により、前記転写フィルムの粘着層を素地(非導電性基材)に貼り付ける際に、素地と触媒層とを接着させる層である。粘着層は、素地と触媒層との間に存在する。粘着層は、基材を剥離する際に、素地側に残る。粘着層により、触媒層は素地に良好に形成され、その後、良好に無電解めっきを行うことができる。
粘着層は、アクリル系粘着剤、ポリスチレン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等の粘着剤(樹脂)を含む粘着組成物を用いて形成されることが好ましい。これらは単独で使用することができ、また任意に組み合わせた樹脂組成物とすることも可能である。
粘着層は、前記触媒層を構成する無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物(触媒組成物)に含まれるバインダーとの相性、前記素地(非導電性基材)への密着性を考慮して選択することが好ましい。例えば、アクリル樹脂等を用いることがより好ましい。
この粘着組成物を、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により、基材-剥離層-触媒層上に、塗布・乾燥させて、粘着層を形成することができる。
粘着層の厚みは、触媒層は素地(非導電性基材)に良好に形成(接着)することができるとうこと等から、1〜50μm程度が好ましく、10〜30μm程度がより好ましい。
粘着剤は、一般に、溶媒乾燥後も常温で粘性を持ち、圧力を加えることで被着材に対する流動性を持たせ、剥離に対する凝集性が硬化に代わる保持力となるものである。粘着剤は、一般に熱可塑性であり、常温プロセスで使用するものであり、ガラス転移点(Tg)は低い。
電子回路作製には、粘着剤(粘着層)を用いることが好ましい。
[4]無電解めっき用転写フィルムの製造方法
本発明の無電解めっき用転写フィルム(転写フィルムとも記す)は、基材上に、少なくとも剥離層、触媒層及び接着層(又は粘着層)が順に積層することで製造することができる。前記触媒層は(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する触媒組成物から形成される。
この製造工程により転写フィルムに触媒層を形成することができる。転写技術により、この転写フィルムを素地(非導電性基材、成形品又は成型品)に貼り付け、次いで剥離により、素地に触媒層を露出させ、次いで無電解めっきにより、成形品又は成型品に無電解めっき皮膜を形成することができる。これにより、無電解めっき物を製造することができる。
(1)離型性を有する基材の作製
前記剥離組成物を、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により、基材上に、塗布・乾燥させて、剥離層を形成することができる(離型性を有する基材)。
(2)前記離型性を有する基材(剥離層側)上に触媒層を設ける
塗布処理
離型性を有する基材の剥離層側に本発明の触媒組成物を塗布する方法は限定されない。
塗布方法としては、バーコーター、グラビア印刷機(グラビアオフセット)、フレキソ印刷機、インクジェット印刷機、ディッピング、スプレー、スピンコーター、ロールコーター、リバースコーター、スクリーン印刷機等を用いる塗布方法がある。マスキングレスや生産効率の観点ではグラビアオフセット印刷やパッド印刷が好ましい。パターンによってはスプレー塗装が好ましい。
塗布方法に合わせて、触媒組成物の粘度を調整することが好ましい。
グラビアオフセット印刷やパッド印刷にて塗布する場合、触媒組成物の粘度は50〜1,000mPa・s程度が好ましい。マスキングを施した上で、スプレー塗装する場合、触媒組成物の粘度は100mPa・s程度以下が好ましい。
乾燥及び硬化前の触媒組成物の膜厚は、使用用途によって適宜選択することができ、触媒組成物の粘度に依存する。その膜厚は、触媒組成物を良好に塗布できる観点から、1〜120μm程度が好ましい。その膜厚が120μmを超えると、触媒組成物が液垂れを引き起こす傾向がある。
硬化処理
基材に触媒組成物を塗布した後、触媒組成物に含まれる溶媒(溶剤)を揮発及び/又は乾燥させ、次いで硬化処理を行う。硬化処理により、バインダーが硬化される。
基材に触媒組成物を塗布した後、乾燥処理を行うことができる。乾燥処理によって、無電解めっきを行う際に不必要な溶媒を効率的に除去するとともに、塗膜と基材との密着性及び塗膜の表面強度を向上させることができる。乾燥処理の温度は、60〜400℃程度が好ましく、80〜150℃程度がより好ましい。乾燥処理の時間は、乾燥温度に合わせて、6秒〜60分程度が好ましく、10分〜30分程度がより好ましい。
硬化処理の温度は触媒組成物に含まれる前記(3)バインダーの種類に合わせて調整することができる。硬化処理の温度は40〜400℃程度が好ましい。また、基材としてプラスチックを用いる場合、プラスチック素材の軟化温度を考慮し、硬化処理の温度を40〜200℃程度に設定することが好ましい。
乾燥及び硬化後の触媒組成物の膜厚は、触媒組成物の固形分濃度に依存する。その膜厚は、無電解めっきを効率良く行うことができ、十分なめっき密着性が発揮されるという点から、0.05〜20μm程度が好ましい。その膜厚が0.05μm未満であっても、無電解めっきの反応性を得ることができるが、めっき密着性については十分に発揮されない傾向がある。その膜厚が20μmを超えると、無電解めっきの反応速度が劣る傾向がある。
触媒組成物に含まれる溶媒を揮発及び/又は乾燥させ、触媒組成物に含まれるバインダーを硬化させる。
本発明の触媒組成物を用いて、これら一連の処理を行うことにより、基材上に触媒層(触媒膜)を形成することができる。触媒層には、金属複合体(Pd複合体等)が含まれる。金属複合体(Pd複合体等)は、塗膜に対して均一に分散された状態で存在する。そのため、触媒膜上に対して、より効率的に無電解めっきを行うことができる。
(3)前記触媒層上に接着層(又は粘着層)を設ける
前記接着組成物(又は粘着組成物)を、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により、離型性を有する基材(基材-剥離層)-触媒層上に、塗布・乾燥させて、接着層(又は粘着層)を形成することができる。
[5]めっきを形成する方法
本発明の転写フィルムを用いて、非導電性基材に触媒層(触媒組成物)、つまり無電解用めっき用皮膜を形成(露出)させることができる。その無電解めっき用皮膜層(触媒)が形成された非導電性基材に対して無電解めっきを行うことで、非導電性基材に滑らかな無電解めっき皮膜を形成させることができる。
無電解めっき用転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法は、
(1)転写フィルムの接着層(又は粘着層)を素地(非導電性基材)に貼り付ける工程、
(2)前記工程によって得られた貼り付け物に対して、前記素地に転写フィルムの触媒層及び接着層(又は粘着層)を残し、前記素地から離型性を有する基材(剥離層を含む)を剥離する工程、及び
(3)前記工程によって露出した触媒層に対して、無電解めっきを行う工程
を含む。
素地に本発明の転写フィルムを張り付けて、その後、無電解めっき処理を行うことで、素地上に無電解めっきを形成することができる。
前記工程(1)及び(2)がインモールド転写、熱ロール転写又は粘着剤転写により行われることが好ましい。
(1)転写フィルムの接着層を素地に貼り付ける工程
熱ロール転写技術、インモールド転写技術、粘着剤転写等の転写技術により、転写フィルムの接着層を素地に貼り付ける。
素地(非導電性基材)
無電解めっきを施す対象物である。
本発明で使用される素地は、特に限定されない。
基材として、プラスチック(樹脂)、ガラス、セラミックス等を用いることが好ましい。
プラスチックとして、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン等のポリオレフィン等を用いることが好ましい。
プラスチックとして、また、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンの共重合樹脂(ABS樹脂)等を用いることが好ましい。
プラスチックとして、更に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸エステル等のポリエステル;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリ塩化ビニル;ポリアミド;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリアセタール;ポリエーテルエーテルケトン;ノルボルネン骨格を有する環状ポリオレフィン;ポリフェニレンスルファイド;液晶ポリマー;変性ポリフェニルエーテル;ポリスルホン;フェノール;ポリフタルアミド(PPA);ポリアリレート等を用いることが好ましい。
セラミックスとしては、ガラス、アルミナ等が挙げられる。また、基材として不織布を使用する場合、木質繊維、ガラス繊維、石綿、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維、ポリオレフィン繊維等の不織布が挙げられる。
インモールド成形(成型)等の射出成形(成型)により製造する際に用いられる射出樹脂として、成形(成型)可能な熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂(2液硬化性樹脂を含む)を用いることが好ましい。
射出樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンの共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレンのコポリマー(共重合化合物)(AS樹脂)、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテフタレート(PBT)、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂を用いることが好ましい。
射出樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合は、2液硬化性ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂等を用いることが好ましい。
射出樹脂として、前記樹脂を単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
素地の形状としては、特に限定されない。例えば、板状(又はフィルム状)、不織布状(又は織布状)、糸状、金型で成形された各種形状、等のいずれであってもよい。
素地(非導電性基材)によって、触媒組成物(転写フィルムの触媒層)に含まれる溶剤、バインダー等を適宜選択することができる。
転写技術(図3〜5)
本発明の転写技術として、主に熱ロール転写技術、インモールド転写技術又は粘着剤転写が好ましい。転写技術を用いて、転写フィルムの触媒層を非導電性基材(成形品)に貼り付けることができる。次いで、無電解めっき技術を用いて、その露出した触媒層に対して無電解めっきを行い、非導電性基材(成形品)を加飾することができる。電子機器のプリント配線板の製造では、金属配線回路の形成に、本発明の転写フィルムを用いて、無電解めっきを行うことができる。
本発明の転写フィルムを用いて、熱ロール転写技術、インモールド転写技術又は粘着剤転写技術により、電子機器のプリント配線板の製造では、金属配線回路の形成に、無電解めっきを行うことも可能である。
本発明の転写フィルムを用いて、配線板(非導電性基材)に触媒層(触媒組成物)、つまり無電解用めっきを施すための皮膜をパターン形成(露出)させる。その無電解めっき用の皮膜(触媒層)が形成された配線板に対して、無電解めっきを行うことで、配線板に電子回路形成用の無電解めっき皮膜を形成させる。
熱ロール転写技術(図3及び5)
本発明の触媒組成物から形成される触媒層を有する成型品(成形品)は、前記転写フィルムを用いて、熱ロール転写技術により成型(成形)することが好ましい。
熱ロール転写技術は、(1)本発明の転写フィルムを用意する工程、(2)成形(成型)樹脂体上に、その転写フィルムを設置する工程、(3)設置したまま熱圧によりロール転写する工程を含むものことが好ましい。
熱ロール転写技では、次の(i)〜(iii)工程を含むことが好ましい。
(i)加熱されたローラー(ゴムローラー、シリコンローラー等)を用いて、転写フィルムの接着層を非導電性基材(成形品)に押し付ける。
(ii)熱と圧により、転写フィルムの接着層を溶融させ、接着層を非導電性基材の表面に接着させる。
(iii)転写フィルムの離型性を有する基材(剥離層を含む)を剥がし、非導電性基材に触媒層を転移(形成)させて、触媒層を露出させる。
熱ロール転写技術は、熱したローラーで熱及び圧をかけることにより、転写フィルムの基材上の触媒層を、非導電性基材の表面に移す技術である。輪転グラビア、輪転シルクスクリーン等の印刷方法により、転写フィルムを移すことができる。
熱ロール転写技術では、プラスチック等の非導電性基材(成形品)の平面から円筒物等の3次曲面状の表面に、無電解めっき用皮膜(触媒層)を形成することができる。そして、無電解めっき用皮膜が形成された非導電性基材に対して、無電解めっき技術により、絵柄、金属調、パール、マット調等のデザインを付与する(加飾する)ことができる。
成形品に対する印刷、塗装等の技術と比べて、熱ロール転写技術は有機溶剤による環境負荷の少ない加飾工法である。熱ロール転写技術により、成形品に直接印刷することが難しい多色・写真分解柄の絵付けが容易である。転写加工時に溶剤等を使用しないため、作業環境の向上が図れる。設備の簡略化、生産性の向上が図れる。多種素材に対して柔軟な対応が可能である。
熱ロール転写技術は、例えば家庭日用品、文具、化粧品、家電製品、金属配線回路等に適用することができる。
インモールド転写技術(図4及び5)
本発明の触媒組成物から形成される触媒層を有する成型品(成形品)は、前記転写フィルムを用いて、前記インモールド転写技術(射出成型同時転写法)により成型(成形)することが好ましい。
インモールド転写技術は、(1)本発明の転写フィルムを用意する工程、(2)インモールド成形用金型内に、その転写フィルムを挿入する工程、(3)その金型内に溶融した射出樹脂を射出注入する工程、及び(4)その転写フィルムと射出樹脂とを一体化させて、樹脂成型体の表面上に触媒層を形成する工程を含むことが好ましい。
インモールド転写技術では、次の(i)〜(iv)工程を含むことが好ましい。
(i)箔送り装置から、転写フィルムを金型内へ供給し、カメラ、センサー等を用いて、転写フィルムの位置決めを行う。
(ii)クランプと吸引とで転写フィルムを固定し、型締めを行う。
(iii)樹脂温度と射出圧力により、金型内で触媒層(接着層)を非導電性基材(成型品)に転移させる。
(iv)型開きと同時に、転写フィルムの離型性を有する基材(剥離層を含む)を剥離し、非導電性基材に触媒層を転移(形成)させて、触媒層を露出させる。その成型品(完成品)を自動又は手動で取り出す。
インモールド転写技術は、金型内に転写フィルムを送り、成型時、内在する熱及び圧を利用して成型品を作るのと同時に、その成型品の表面に転写フィルムの基材上の触媒層を転写する技術である。インモールド転写技術は、プラスチック等の非導電性基材を金型の中で成型すると同時に、その3次曲面を有する成型品の表面に、無電解めっき用皮膜(触媒層)を形成することができる。そして、無電解めっき用皮膜が形成された非導電性基材(成型品)に対して、無電解めっき技術により、3次曲面状の表面に様々な意匠性の高いデザインを、位置精度良く施す(加飾する)ことができる。インモールド転写技術は、成形品に対する絵柄の位置精度に優れている。
インモールド転写技術は有機溶剤による環境負荷が少ない加飾工法であり、且つ、省スペース、コストダウンを図ることができる。非導電性基材の触媒層に対して、無電解めっきを施すことで、従来不可能とされた三次元曲面、穴あき成形品、緩やかな凹凸面へのめっき(加飾)が可能である。
本発明のインモールド転写技術は、例えば、通信機器、弱電機器、自動車部品、家庭日用品、レジャー用品、金属配線回路等に適用することが可能である。
粘着剤転写技術(図5)
本発明の触媒組成物から形成される触媒層を有する成型品(成形品)は、前記転写フィルムを用いて、粘着剤転写技術により成型(成形)することが好ましい。粘着剤転写技術は、(1)本発明の転写フィルムを用意する工程、(2)成形(成型)樹脂体上に、その転写フィルムの粘着剤側を貼り付ける工程を含むものことが好ましい。
着剤転写技術では、次の(i)〜(iii)工程を含むことが好ましい。
(i)転写フィルムの粘着層を非導電性基材(成形品)に押し付ける。転写フィルムの粘着層に剥離層2が積層されている場合、その剥離層2を剥がした後、転写フィルムの粘着層を非導電性基材に押し付ける。
(ii)転写フィルムの粘着層を非導電性基材表面に接着させる。
(iii)転写フィルムの基材(剥離層1を含む)を剥がし、非導電性基材に触媒層を転移(形成)させて、触媒層を露出させる。
粘着剤転写技術は、粘着剤により、直接的に、簡便に転写フィルムの基材上の触媒層を、非導電性基材の表面に移す技術である。その後、非導電性基材の触媒層に対して、無電解めっきを施すことで、絵柄等をめっきする(加飾する)こと、つまり意匠を付与することが可能である。
粘着剤転写技術は、プラスチック等の非導電性基材(成形品)の平面から円筒物等の3次曲面状の表面に、無電解めっき用皮膜(触媒層)を形成する(貼り付ける)ことができる。そして、無電解めっき用皮膜が形成された非導電性基材に対して、無電解めっき技術により、絵柄、金属調、パール、マット調等のデザインを付与する(加飾する)ことができる。成形品に対する印刷、塗装等の技術と比べて、粘着剤転写技術は有機溶剤による環境負荷の少ない加飾工法である。本発明の粘着剤転写技術により、成形品に直接印刷することが難しい多色・写真分解柄の絵付けが容易である。転写加工時に溶剤等を使用しないため、作業環境の向上が図れる。設備の簡略化、生産性の向上が図れる。多種素材に対して柔軟な対応が可能である。
粘着剤転写技術は、通信機器、弱電機器、自動車部品、家庭日用品、文具・玩具、化粧品容器、スポーツ用品、金属配線回路等に適用することが可能である。
(2)前記工程によって得られた貼り付け物に対して、前記素地に転写フィルムの触媒層及び接着層(又は粘着層)を残し、前記素地から基材及び剥離層を剥離する工程
インモールド転写(射出成型同時転写法)では、更に、樹脂成型体を冷却して金型から取り出した後、その転写フィルムの離型性を有する基材(基材シート、剥離部分)を剥離することにより、触媒層が露出した成型品を得ることができる。
熱ロール転写法では、更に、その転写フィルムの離型性を有する基材(基材シート、剥離部分)を剥離することにより、触媒層が露出した成型品を得ることができる。
粘着剤転写法では、更に、その転写フィルムの離型性を有する基材(基材シート、剥離部分)を剥離することにより、触媒層が露出した成型品を得ることができる。
(3)前記工程によって露出した触媒層に対して、無電解めっきを行う工程
無電解めっき処理
触媒層(触媒膜)が形成された素地に対して、無電解めっきを行うことで、基材の上にパターンめっきを形成することができる。触媒層が形成された素地は、金属を析出させるためのめっき液と接触し、これにより無電解めっき皮膜が形成される。
本発明の触媒組成物(転写フィルム)によって形成された触媒層は、無電解めっきの反応性がよく、得られた無電解めっき皮膜はむらがなく、密着性及び外観性に優れる。
めっき液は、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば特に限定されない。めっき液として、例えば、銅、金、銀、ニッケル等を用いることが好ましい。めっき液として、本発明のインキ組成物によって形成された触媒層(触媒膜)との関係から、銅又はニッケルを含むめっき液を用いることが好ましい。
めっき条件は、常法に従うことができる。本発明の触媒層(触媒膜)は無電解めっきの反応性が非常に良好であるため、めっき液の還元剤濃度やアルカリ成分濃度を高める必要がない。そのため、めっき液の寿命が長持ちするだけでなく、触媒層のパターン通りにめっきが選択的に析出される。即ち、本発明の触媒組成物(転写フィルム)から形成される触媒(触媒膜)は、パターン形成能に優れる。
無電解めっき処理で、無電解銅めっき浴を用いる場合、その処理温度は25〜65℃程度が好ましく、その処理時間は10〜20分程度が好ましい。この無電解めっき処理により、0.3〜1.0μm程度の析出膜厚を形成することができる。
無電解めっき処理で、無電解ニッケルボロン浴を用いる場合、その処理温度は55〜70℃程度が好ましく、その析出速度は5μm/hr(60℃)程度が好ましい。
無電解めっき処理で、無電解ニッケルりん浴を用いる場合、その処理温度は30〜95℃程度が好ましく、その析出速度は浴温30℃においては3μm/hr程度、90℃においては20μm/hr程度が好ましい。
本発明の触媒組成物(転写フィルム)を用いて、素地上にめっきを形成する技術は、パターンめっきを対象とすることが好ましい。しかし、本発明では、本発明の触媒組成物(転写フィルム)を全面めっきに使用しても良い。
加飾を目的とする場合、無電解めっきの後、電解銅めっき、半光沢ニッケル、光沢ニッケル、クロムめっき等の一般的なプロセスを用いることが好ましい。
加飾処理で、電解銅めっき浴を用いる場合、その処理温度は20〜60℃程度が好ましく、電流密度は1〜10A/m2程度が好ましく、処理時間は10〜60分程度が好ましい。この加飾処理により、5〜40μm程度の析出膜厚を形成することができる。
加飾処理で、半光沢ニッケルめっき浴を用いる場合、その処理温度は45〜55℃程度が好ましく、電流密度は1〜10A/m2程度が好ましく、処理時間は10〜60分程度が好ましい。この加飾処理により、5〜20μm程度の析出膜厚となる。
加飾処理で、光沢ニッケルめっき浴を用いる場合、その処理温度は45〜55℃程度が好ましく、電流密度は1〜10A/m2程度が好ましく、処理時間は10〜60分程度が好ましい。この加飾処理により、5〜20μm程度の析出膜厚となる。
[6]無電解めっき皮膜及び前記皮膜を載せた成形品
本発明の触媒組成物(転写フィルムの触媒層)を素地(非導電性基材、プラスチック(樹脂)等)に塗布し、触媒層(触媒膜)を形成し、無電解めっきを行う。これにより、パターンめっき又は部分めっきされた無電解めっき皮膜を形成することができる。無電解めっき皮膜を載せた成形品(被めっき物)は、めっき皮膜の密着性に優れる。
無電解めっき皮膜を載せた成形品は、例えば、携帯電話、パソコン、冷蔵庫等の電化製品の筐体;エンブレム、スイッチベース、ラジエータグリル、ドアハンドル、ホイールカバー等の自動車用部品等に使用することができる。
本発明の触媒組成物を用いると、素地上に、パターンめっきを行う無電解めっきにおいて、無電解めっきの反応性が高く、クロムめっきとの優れた密着性と装飾用めっきの優れた平滑性を発現することができる。その無電解めっきでは、パターンの拡がりを抑え、良好に部分めっきをすることが可能である。
本発明の触媒組成物(転写フィルム)を用いると、無電解めっきの反応性を向上させる目的で、無電解めっきにおける還元剤の濃度を高める必要が無く、また無電解めっきの反応温度を上げる必要もない。更に、また有害な物質によるエッチング工程、煩雑な触媒付与工程等を必要としない。
無電解めっきの反応性及び密着性向上のメカニズムを説明する。素地(非導電性基材)に形成された触媒組成物(触媒層)の無電解めっきの触媒作用を持つ金属粒子(Pd粒子)と、無電解めっき液とが接触する。この現象により、触媒層(触媒膜)の表面から膜内部の深いところに存在する金属粒子(Pd粒子等)により無電解めっき液中の金属イオンが還元され、還元された金属が根をはうように膜内部から析出するため、触媒層(触媒膜)とめっき膜との高い密着性が得られる。
本発明の触媒組成物は、特にABS等の素地(非導電性基材、プラスチック等)を対象とする時に、無電解めっきの反応性が高く、めっきまでの多層めっきに耐え得る良好な密着性を実現できる。ABS等の素地と触媒組成物との密着メカニズムを説明する。本発明の触媒組成物に含まれる溶媒(溶剤)成分により、素地表面が浸食され、触媒組成物のバインダー成分が基材に入り込み、素地と相溶し混成層を形成する。ABS樹脂に含まれるブタジエンゴムが溶解し、膨潤するので、触媒組成物のバインダー成分が基材に入り込む。
その他、インモールド転写法又は熱ロール転写法では、熱転写時の熱により、転写フィルムの接着層(接着剤)が溶融し、素地と接着層とが密着する。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物を触媒組成物と記す。
無電解めっき用転写フィルムを転写フィルムと記す。
[1]パラジウム粒子(Pd粒子)と分散剤との複合体(Pdコロイド)の作製
液相還元法による金属ナノ粒子
精製水 89 重量部(分散溶媒)に塩化Pd(Pd化合物)1重量部を溶解し、更にクエン酸三ナトリウム10重量部を溶解して均一に攪拌した。次いで、水素化ホウ素ナトリウム0.01重量部を添加して塩化Pdを還元させ、クエン酸で安定化させ、保護コロイド化されたPdコロイドを得た。
次いで、限外濾過により濃縮脱塩を行い、Pd 0.5重量部を含有するPdコロイドを得た。
[2]実施態様1(触媒組成物及び転写フィルムの作製)
実施例1(ポリアセタール系(POM) a,b,c)
Pd複合体含有液(Pd分12.75wt%、株式会社イオックス社製):0.08g、ポリビニルアセタール(POM固形分5wt%、積水化学工業株式会社製):0.2g(バインダー:a)、0.4g(バインダー:b)又は1g(バインダー:c)、及びシクロヘキサン/MIBK混合溶剤(溶媒)を、Pd濃度が10,000ppm(1重量%)になるように混合して、無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物a、b及びcを作製した。無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物a、b及びcは、バインダー成分の含有量が異なる。
得られた無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物a、b又はc(触媒層)を、ノンシリコン系剥離ポリエチレンテレフタレート(PET:38μm)(転写フィルムの基材+剥離層)の剥離層上に、バーコーター#2(塗工厚み:2μm)を用いて塗布し、次いで乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
乾燥後、アクリル系メジウム(固形20wt%、大日精化工業株式会社製)(転写フィルムの粘着層)を、触媒層(無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物a、b又はc)上に、バーコーター#10(塗工厚み:10μm)を用いて塗布し、次いで乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
実施例1の無電解めっき用転写フィルムを得た。
実施例2(エポキシ系d)
Pd複合体含有液(Pd分12.75wt%、株式会社イオックス社製):0.08g、エポキシ樹脂(固形分22wt%、東亜合成株式会社製):0.05g(バインダー)及びシクロヘキサン/MIBK混合溶剤(溶媒)を、Pd濃度が10,000ppm(1重量%)になるように混合して、無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物dを作製した。
得られた無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物d(触媒層)を、ノンシリコン系剥離ポリエチレンテレフタレート(PET:38μm)(転写フィルムの基材+剥離層)の剥離層上に、バーコーター#2(塗工厚み:2μm)を用いて塗布し、次いで乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
乾燥後、アクリル系メジウム(固形分20wt%、大日精化工業株式会社製)(転写フィルムの粘着層)を、触媒層(無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物d)上に、バーコーター#10(塗工厚み:10μm)を用いて塗布し、次いで乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
実施例2の無電解めっき用転写フィルムを得た。
実施例3(ナイロン系e)
Pd複合体含有液(Pd分12.75wt%、株式会社イオックス社製):0.08g、ナイロン系樹脂(固形分10wt%、東亜合成株式会社製):0.1g(バインダー)及びシクロヘキサン/MIBK混合溶剤(溶媒)を、Pd濃度が10,000ppm(1重量%)になるように混合して無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物eを作製した。
得られた無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物e(触媒層)を、ノンシリコン系剥離ポリエチレンテレフタレート(PET:38μm)(転写フィルムの基材+剥離層)の剥離層上に、バーコーター#2(塗工厚み:2μm)を用いて塗布し、次いで乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
乾燥後、アクリル系メジウム(固形分20wt%、大日精化工業株式会社製)(転写フィルムの粘着層)を、触媒層(無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物e)上に、バーコーター#10(塗工厚み:10μm)を用いて塗布し、次いで乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
実施例3の無電解めっき用転写フィルムを得た。
実施例4(アクリル系f)
Pd複合体含有液(Pd分9.32wt%、株式会社イオックス社製):0.14g、アクリル系メジウム(固形分20wt%、大日精化工業株式会社製):0.65g(バインダー)及びシクロヘキサン/MIBK混合溶剤(溶媒)を、Pd濃度が10,000ppm(1重量%)になるように混合して無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物fを作製した。
得られた無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物f(触媒層)を、メラミン系剥離ポリエチレンテレフタレート(PET:38μm)(転写フィルムの基材+剥離層)の剥離層上に、バーコーター#2(塗工厚み:2μm)を用いて塗布し、次いで乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
乾燥後、アクリル系メジウム(固形分20wt%、大日精化工業株式会社製)(転写フィルムの接着層(粘着層))を、触媒層(無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物f)上に、バーコーター#10(塗工厚み:10μm)を用いて塗布し、次いで乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
実施例4の無電解めっき用転写フィルムを得た。
実施例5(ウレタン系g)
Pd複合体含有液(Pd分12.75wt%、株式会社イオックス社製):0.2g、ウレタン系メジウム(固形分30wt%、大阪インキ製造株式会社製):0.1g(バインダー)及びシクロヘキサン/MIBK混合溶剤(溶媒)を、Pd濃度が10,000ppm(1重量%)になるように混合して無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物gを作製した。
得られた無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物g(触媒層)を、ノンシリコン系剥離ポリエチレンテレフタレート(PET:38μm)(転写フィルムの基材+剥離層)の剥離層上に、バーコーター#2(塗工厚み:2μm)を用いて塗布し、次いで乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
乾燥後、アクリル系メジウム(固形分20wt%、大日精化工業株式会社製)(転写フィルムの接着層(粘着層))を、触媒層(無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物g)上にバーコーター#10(塗工厚み:10μm)を用いて塗布し、次いで乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
実施例5の無電解めっき用転写フィルムを得た。
実施例6(PP系h)
Pd複合体含有液(Pd分12.75wt%、株式会社イオックス社製):0.08g、ポリオレフィン系樹脂(固形分35wt%、日本製紙ケミカル株式会社製):0.03g及びシクロヘキサン/MIBK混合溶剤:0.77gを、Pd濃度が10,000ppm1重量%)になるように混合して無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物hを作製した。
得られた無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物h(触媒層)を、メラミン系剥離ポリエチレンテレフタレート(PET:38μm)(転写フィルムの基材+剥離層)又はノンシリコン系剥離ポリエチレンテレフタレート(PET:38μm)(転写フィルムの基材+剥離層)
の剥離層上に、バーコーター#2(塗工厚み:2μm)を用いて塗布し、次いで乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
乾燥後、アクリル系メジウム(固形分20wt%、大日精化工業株式会社製)(転写フィルムの粘着層)を、触媒層(無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物h)上にバーコーター#10(塗工厚み:10μm)を用いて塗布し、乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
実施例6の無電解めっき用転写フィルムを得た。
[3]転写性の評価
実施例1〜6の無電解めっき用転写フィルムを、熱転写装置太平工業株式会社(ナビタス、RT-300)を用いて、平面アクリル板(厚み:2mm、縦及び横:50mm)に温度220℃、圧力目盛110、3回押し条件で熱転写した。
転写性の評価は次の通りである。
〇:アクリル板全面にすべて作製フィルムから転写した場合。
△:一部フィルム側に残る場合。
[4]無電解めっき特性の評価
実施例1〜6の無電解めっき用転写フィルムを用いて、上記熱転写により触媒層を転写させて、無電解めっき用触媒転写アクリル板を得た。この無電解めっき用触媒転写アクリル板を無電解めっき浴に浸漬させることにより、めっき皮膜が析出するか否かを評価した。
無電解銅めっき浴は、上村工業株式会社製スルカップPSY(初期Cu濃度2.5g/l、浴容積500ml、30℃)を用いた。無電解ニッケルめっき浴は、上村工業株式会社製BEL18(初期Ni濃度6g/l、浴容積500ml、65℃)を用いた。
無電解めっき性の評価は次の通りである。
○:5分間めっき無電解めっきを行い、めっき浴に浸漬直後から良好な金属析出が起こり、銅またはニッケルのめっき皮膜が形成できた場合。
△:金属析出反応は起こるが、全面に均一なめっき被膜が形成できなかった場合。
転写性及び無電解めっき特性の評価結果を表1に示した。
本発明の無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物を用いると、各種転写技術で利用できる転写フィルム(PET等)を良好に作製することができた(表1)。
[5]実施態様2(回路基板(配線形成)への応用)
実施例7(アセタール系l)
Pd複合体含有液(Pd分12.75wt%、株式会社イオックス社製):0.4g、ポリビニルアセタール(固形分10wt%、積水化学工業株式会社製):0.4g(バインダー)を混合して無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物lを作製した。
得られた無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物l(触媒層)を、ノンシリコン系剥離ポリエチレンテレフタレート(PET:38μm)(転写フィルムの基材+剥離層)の剥離層上に、オフセット印刷方式で、印刷パターン版(図1)を用いて印刷塗布した。そのパターン版は、線幅1000μm、500μm、400μm、300μm、200μm又は100μmピッチ、深度30μmである。次いで乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
乾燥後、ポリビニルアセタール(固形分10wt%、積水化学工業株式会社製)(転写フィルムの接着層(粘着層))を、触媒層(無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物l)上に、バーコーター#10(塗工厚み:10μm)を用いて塗布し、乾燥用オーブン内で120℃、1分間乾燥させた。
実施例7の無電解めっき用転写フィルムを得た。
得られた無電解めっき用転写フィルムから、無電解めっき用触媒層を、両面粘着テープを用いてアクリル板(非導電性基材)に転写した。
アクリル板全面に良好に転写することができた。
次いで、無電解めっき用触媒層を形成させたアクリル板に対して、無電解めっきを5分間行った。無電解ニッケルめっき浴は、上村工業株式会社製BEL18(初期Ni濃度6g/l、浴容積500ml、65℃)を用いた。
得られた無電解めっきで析出しためっきパターンを図2に示す。
[6]電気特性の評価
株式会社カスタム社製KM-320Nテスターを用いて、1000μm巾めっきパターンの電極10mm間の電気抵抗を測定した。
めっきパターンの電気抵抗値は0.0Ωを示した。
本発明の触媒組成物(触媒層)を有する転写フィルムを用いると、触媒活性の無い非導電性基材(アクリル板等)に対して、触媒組成物(触媒物質)を良好に付着(転写)させることができた。次いで、その非導電性基材に対して、無電解めっきを行うと、無電解めっき皮膜を良好に形成させることができた。

Claims (9)

  1. (1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する無電解めっき用転写フィルム用触媒組成物。
  2. 前記転写がインモールド転写、熱ロール転写又は粘着剤転写である、請求項1に記載の触媒組成物。
  3. 前記金属粒子がパラジウム粒子、白金粒子又は銀粒子である、請求項1又は2に記載の触媒組成物。
  4. 離型性を有する基材上に、少なくとも触媒層及び接着層が順に積層されてなる無電解めっき用転写フィルムであって、
    前記触媒層が(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する触媒組成物から形成されるものである、無電解めっき用転写フィルム。
  5. 前記転写がインモールド転写、熱ロール転写又は粘着剤転写である、請求項4に記載の転写フィルム。
  6. 前記金属粒子がパラジウム粒子、白金粒子又は銀粒子である、請求項4又は5に記載の転写フィルム。
  7. 無電解めっき用転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法であって、
    前記無電解めっき用転写フィルムは、離型性を有する基材上に、少なくとも触媒層及び接着層が順に積層されてなり、前記触媒層は(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する触媒組成物から形成されるものであり、
    (1)前記転写フィルムの接着層を素地に貼り付ける工程、
    (2)前記工程によって得られた貼り付け物に対して、前記素地に転写フィルムの触媒層及び接着層を残し、前記素地から基材を剥離する工程、及び
    (3)前記工程によって露出した触媒層に対して、無電解めっきを行う工程
    を含む無電解めっき物の製造方法。
  8. 前記工程(1)及び(2)がインモールド転写、熱ロール転写又は粘着剤転写により行われる、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記金属粒子がパラジウム粒子、白金粒子又は銀粒子である、請求項7又は8に記載の製造方法。
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