JP2020090717A - 無電解めっき用真空転写フィルム - Google Patents

無電解めっき用真空転写フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、プラスチック等の触媒活性の無い非導電性基材に対して無電解めっきを行う技術を提供する。本発明は、真空転写技術で利用できる無電解めっき用真空転写フィルムを提供する。【解決手段】 (A)離型性を有する基材上に、少なくとも(B)触媒層、及び、(C1)接着層又は(C2)粘着層が順に積層されてなる無電解めっき用転写フィルムであって、 前記(B)触媒層が、(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒、及び(3)バインダーを含有する触媒組成物からなり、前記金属粒子が、パラジウム粒子、金粒子、銀粒子又は白金粒子であり、前記転写が真空転写である、無電解めっき用転写フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は無電解めっき用真空転写フィルムに関する。
本出願人等は、離型性を有する基材上に、少なくとも触媒層、及び接着層又は粘着層が順に積層されてなる無電解めっき用転写フィルムであって、前記触媒層が(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する触媒組成物からなり、前記金属粒子がパラジウム粒子、金粒子、銀粒子又は白金粒子であり、前記転写がインモールド転写、熱ロール転写又は粘着剤転写である、無電解めっき用転写フィルムを提供している(特許文献1)。
この技術により、プラスチック等の触媒活性の無い非導電性基材に対して無電解めっきを行う技術において、各種転写技術により、例えば金属パラジウム等の触媒物質をその非導電性基材に良好に付着させ、次いで無電解めっきを行って無電解めっき皮膜を良好に形成させることができる。この技術により、プラスチック等の平面から円筒物等の3次曲面状の表面に無電解めっき用皮膜の触媒層を良好に形成させたり、金型の中で成型と同時に基材に無電解めっき用皮膜を良好に形成させたりすることができる。
本出願人等は、水圧転写フィルム用基材上に、少なくとも触媒層が積層されてなる無電解めっき用水圧転写フィルムであって、前記触媒層が(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒及び(3)バインダーを含有する触媒組成物からなり、前記金属粒子がパラジウム粒子、金粒子、銀粒子又は白金粒子である、無電解めっき用水圧転写フィルムを提供している(特許文献2)。
この技術により、プラスチック等の触媒活性の無い非導電性基材に対して、特定の触媒層を有する水圧転写フィルムを用いて、触媒層を良好に転写でき、次いで、無電解めっきを行って、その非導電性基材に無電解めっき皮膜を形成させることができる。
本出願人等は、真空加圧熱転写法により成型体の表面に図柄を転写するための転写用基材フィルムであって、熱可塑性ウレタン樹脂からなる基材層と、10kgf/mでの伸び率が0.3%以下である支持体層とが、支持体剥離層を介して剥離可能に積層され、前記基材層と前記支持体剥離層との剥離強度が3〜25gf/25mmであることを特徴とする支持体層付き転写用基材フィルムを提供している(特許文献3)。
この技術により、転写用基材フィルムは、支持体層が積層されていることによって剛直性を備え、表面に図柄を印刷する際には、正確な位置合わせを行って精密に印刷することができる。また、印刷した支持体層付き転写用基材フィルムから支持体層を剥離することにより、成型体の表面に転写する際には複雑な成型体の細部にまで追従する柔軟性を備え、複雑な3次元形状を有する成型体を加飾して高度な意匠表現をすることができる。
特許第5843992号 特許第6072343号 特許第5912501号
本発明は、プラスチック等の触媒活性の無い非導電性基材に対して無電解めっきを行う技術を提供する。
本発明は、真空転写技術で利用できる無電解めっき用真空転写フィルムを提供する。
本発明では、真空転写技術により、無電解めっき用真空転写フィルムを用いて、その非導電性基材に触媒物質(触媒組成物)を付着させ、次いで無電解めっきを行って、その非導電性基材に無電解めっき皮膜を形成させる技術を提供する。
本出願人は、最終部品(筐体)に対して金属めっき光沢を施す技術として、インモールド転写、熱ロール転写又は粘着剤転写に用いる無電解めっき用転写フィルム(特許文献1)、水圧転写に用いる無電解めっき用水圧転写フィルム(特許文献2)を提供し、また、真空加圧熱転写法により成型体の表面に図柄を転写するための転写用基材フィルム(特許文献3)を提供している。
これら転写フィルムを用いると、非導電性基材に対して、触媒層を良好に転写することができ、平面材料の他に、3次元筐体への転写及び無電解めっきも可能となる。その非導電性基材に転写された触媒層により、表面が滑らかな無電解めっき皮膜を形成することができる。
この時、転写や無電解めっきを施す3次元筐体が、より大きな(複雑な)3次曲面状の表面や、より深い3次曲面状の表面を有する場合がある。例えば、深絞り加工した形状の素地(転写被基材)である。この場合、3次元筐体へ転写や無電解めっきを施す技術には、更に工夫が必要である。
本発明者は、鋭意検討した結果、特定の触媒組成物を真空転写フィルムに適用することを見出した。本発明者は、真空転写技術により、その触媒層(触媒組成物)を有する真空転写フィルムを用いて、非導電性基材(素地、転写被基材)に対して触媒層(触媒組成物)を良好に転写できることを見出した。
即ち、本発明は、次の無電解めっき用真空転写フィルム等である。
項1.
(A)離型性を有する基材上に、少なくとも(B)触媒層、及び、(C1)接着層又は(C2)粘着層が順に積層されてなる無電解めっき用転写フィルムであって、
前記(B)触媒層が、(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒、及び(3)バインダーを含有する触媒組成物からなり、前記金属粒子が、パラジウム粒子、金粒子、銀粒子又は白金粒子であり、
前記転写が、真空転写である、無電解めっき用転写フィルム。
項2.
前記触媒組成物の(1)複合体の分散剤が、ポリカルボン酸系高分子分散剤、ヒドロキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤及びカルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の分散剤である、前記項1に記載の無電解めっき用転写フィルム。
項3.
前記触媒組成物の(2)溶媒が、水;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド;ジメチルスルホキシド及びγ-ブチロラクトンからなる群から選ばれる非プロトン性極性溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-ブチルアルコール及びイソブチルアルコールからなる群から選ばれるアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール及びシクロヘキサノンからなる群から選ばれるケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテル及びエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選ばれるグリコールエーテル類;安息香酸メチル、安息香酸エチル及びサリチル酸メチルからなる群から選ばれる芳香族カルボン酸エステル類;トルエン及びキシレンからなる群から選ばれる芳香族炭化水素類;n-へキサン、n-へプタン及びミネラルスピリットからなる群から選ばれる脂肪族炭化水素類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート及びブチルカルビトールアセテートからなる群から選ばれるグリコールエーテルエステル類;酢酸エチル及び酢酸ブチルからなる群から選ばれるアルカノールエステル類;2-フェノキシエタノール、からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、前記項1又は2に記載の無電解めっき用転写フィルム。
項4.
前記触媒組成物の(3)バインダーが、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、エステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、アミドイミド樹脂、シェラック樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のバインダーである、前記項1〜3のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルム。
項5.
前記(A)離型性を有する基材が、伸縮性を有するフィルムからなる基材である、前記項1〜4のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルム。
項6.
前記伸縮性を有するフィルムを構成する樹脂が、ポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル及びゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である、前記項5に記載の無電解めっき用真空転写フィルム。
項7.
前記(A)離型性を有する基材が、メラミン樹脂系剥離剤、シリコーン系剥離剤、フッ素樹脂系剥離剤、セルロース樹脂系剥離剤、尿素樹脂系剥離剤、ポリオレフィン樹脂系剥離剤、パラフィン系剥離剤及びアクリル樹脂系剥離剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の剥離剤からなる剥離層を含む基材である、前記項1〜6のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルム。
項8.
前記(C1)接着層が、アクリル系接着剤、ポリスチレン系接着剤、ポリアミド系接着剤、ユリア系接着剤、メラミン系接着剤、フェノール系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、EVA樹脂系エマルジョン及びアクリル樹脂系エマルジョンからなる群から選ばれる少なくとも1種の接着剤からなる接着層であり、又は
前記(C2)粘着層が、アクリル系粘着剤、ポリスチレン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤及びゴム系粘着剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の粘着剤からなる粘着層である、前記項1〜7のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルム。
項9.
前記無電解めっき用転写フィルムの(A)離型性を有する基材側に、更に、支持層が積層されている、前記項1〜8のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルム。
項10.
前記転写が、深絞り加工した形状の素地に対する真空転写である、前記項1〜9のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルム。
項11.
前記項1〜10のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルムを製造する方法であって、
(1)基材上に離型性を有する層を形成し、(A)離型性を有する基材を作製する工程、
(2)前記基材の離型性を有する層側に、触媒組成物を塗布し、(B)触媒層を設ける工程、及び、
(3)前記(B)触媒層上に、(C1)接着層又は(C2)粘着層を設ける工程
を含む、無電解めっき用転写フィルムの製造方法。
項12.
前記項1〜10のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法であって、
(1)前記転写フィルムの(C1)接着層又は(C2)粘着層を素地に貼り付ける工程、
(2)前記工程によって得られた貼り付け物に対して、前記素地に転写フィルムの(B)触媒層、及び(C1)接着層又は(C2)粘着層を残し、前記素地から(A)離型性を有する基材を剥離する工程、及び
(3)前記工程によって露出した(B)触媒層に対して、無電解めっきを行う工程を含み、
前記工程(1)が、真空転写により行われる、
無電解めっき物の製造方法。
項13.
前記素地が、深絞り加工した形状の素地である、前記項12に記載の無電解めっき物を製造する方法。
本発明は、真空転写技術で利用できる無電解めっき用真空転写フィルムである。
本発明は、真空転写技術により、プラスチック等の触媒活性の無い非導電性基材(素地、転写被基材)に対して、特定の触媒層(触媒組成物)を有する真空転写フィルム(無電解めっき用真空転写フィルム)を用いて、触媒層を良好に転写(付着)できる。本発明は、次いで、無電解めっきを行って、その非導電性基材(素地、転写被基材)に無電解めっき皮膜を形成させることができる。
本発明の無電解めっき用真空転写フィルムを用いることで、その転写された触媒層(触媒組成物)により、より大きな(複雑な)3次曲面状の表面や、より深い3次曲面状の表面を有する3次元筐体に対しても、表面が滑らかな無電解めっき皮膜を形成できる。
例えば、深絞り加工した形状の素地(転写被基材)である。
本発明の無電解めっき用真空転写フィルムを用いることで、より大きな(複雑な)3次曲面状の表面や、より深い3次曲面状の表面を有する3次元筐体に対して、金属めっき光沢を施すことが可能であり、これらの技術が優れた3次元加飾の無電解めっき技術に繋がる。
本発明の無電解めっき用真空転写フィルムの使用態様を説明する図である。 本発明の無電解めっき用真空転写フィルムの使用態様を説明する図である。 本発明の無電解めっき用真空転写フィルムを用いて、樹脂成型品へ真空転写した実施態様の写真である。 本発明の無電解めっき用真空転写フィルムを用いて、樹脂成型品へ真空転写した実施態様の写真である。 本発明の無電解めっき用真空転写フィルムを用いて、樹脂成型品へ真空転写した実施態様の写真である。 本発明の真空転写フィルムを示す説明図である。 本発明の真空転写フィルムを製膜する製膜方法を示す概略図である。 本発明の真空転写フィルムを用いて成型体の表面に転写する方法を示す説明図である。 真空加圧熱転写を行う転写装置の概略断面図である。
以下に本発明を詳細に説明する。但し、この実施の形態は、発明の趣旨をよく理解させため具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、発明内容を限定するものではない。
(I)本発明の説明
本発明は、真空転写技術で利用できる無電解めっき用真空転写フィルムである。
以下、「本発明の真空転写フィルム」とも記す
本発明は、真空転写技術により、プラスチック等の触媒活性の無い非導電性基材に対して、特定の触媒層(触媒組成物)を有する真空転写フィルムを用いて、触媒層を良好に転写(付着)でき、次いで、無電解めっきを行って、その非導電性基材に無電解めっき皮膜を形成させることができる。
複雑な形状の成形品に対する優れためっき技術
3次元筐体の具体例として、球状成形品、細かい凹凸を有する成形品、穴周りを有する成形品、薄肉な成形品等がある。球状成形品、細かい凹凸を有する成形品等に対して転写する際、その絞り深さ、穴周りの絞り後のめっき皮膜の密着性を確保することが困難である場合がある。また、薄肉な成形品等に対して転写する際、薄肉な成形品を加熱すると、変形(そり)が生じるため、めっき(加飾)することが困難である場合がある。
本発明の真空転写フィルムを用いると、真空転写技術により、平面材料の他に、より大きな(複雑な)3次曲面状の表面や、より深い3次曲面状の表面を有する3次元筐体(深絞り加工した形状の素地)に対しても、表面が滑らかな無電解めっき皮膜を形成できる。本発明は、より複雑な3次曲面状の表面を有する3次元筐体に対して、金属めっき光沢を施すことが可能である。
本発明の真空転写フィルムを用いると、一部のエンジニアプラスチック等に対しても、形状に制限されること無く、密着性が優れた転写(加飾)が可能である。本発明の真空転写フィルムを用いる真空転写技術は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、ポリプロピレン(PP)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)等の汎用樹脂、これらの樹脂の組み合わせ(PC/ABS等)であるプラスチック製品に適用できる。
本発明の真空転写フィルムを用いると、セラミックや陶器等の基材に対して、接着剤を溶解させることで、それら基材への密着性を確保して、転写(加飾)することが可能である。
本発明の真空転写フィルムを用いると、真空転写技術により、プラスチック等の素地(非導電性基材)の平面から円筒物等の3次曲面状の素地の表面に対して、パターンめっき又は部分めっきされためっき皮膜を形成することができる。めっき皮膜を載せた成形品(被めっき物)は、めっき皮膜の密着性に優れる。めっき皮膜を載せた成形品は、例えば、携帯電話、パソコン、冷蔵庫等の電化製品の筐体、エンブレム、スイッチベース、ラジエータグリル、ドアハンドル、ホイールカバー等の自動車用部品等に使用することができる。
本発明の真空転写フィルムを用いると、真空転写技術により、パターンめっき等のめっきの反応性が高く、素地に対して、クロムめっきとの優れた密着性と装飾用めっきの優れた平滑性を発現することができる。そのめっきでは、パターンの拡がりを抑え、良好に部分めっきをすることが可能である。本発明の真空転写フィルムを用いると、真空転写技術により、物品基材(素地)に対して厚みの均一性が優れためっき皮膜を形成させることができる。
本発明の真空転写フィルムを用いると、真空転写技術により、転写された触媒層により、表面が滑らかな無電解めっき皮膜を形成できる。本発明の真空転写フィルムを用いると、その無電解めっき皮膜の下地となる層には予め触媒が含まれており、触媒吸着工程が必要でなく、転写及び無電解めっき技術に含まれる工程を簡素化することができる。
本発明の真空転写フィルムを用いると、真空転写技術により、正確な位置合わせを行って精密に印刷することができ、複雑な成型体の細部にまで追従することができる。
金属配線回路の形成
本発明の真空転写フィルムを用いて、非導電性基材に触媒層(触媒組成物)、つまり無電解用めっきを施すための皮膜を形成(露出)させることができる。その無電解めっき用の皮膜(触媒層)が形成された非導電性基材に対して、無電解めっきを行うことで、非導電性基材に滑らかな無電解めっき皮膜を形成させることができる。
電子機器のプリント配線板や3次元筐体の製造では、より大きな(複雑な)3次曲面状の表面や、より深い3次曲面状の表面を有する筐体(深絞り加工した形状の素地)への金属配線回路の形成に、本発明の「転写フィルム」を用いて、無電解めっきを行うことができる。
本発明の真空転写フィルムを用いることで、真空転写技術により、平面状の板等だけでなく、3次曲面を有する筐体への転写が可能である。その3次曲面の素地(転写被基材)に対しても、シワなく転写加工を施すことができる。3次曲面状の素地の表面に、無電解めっき用皮膜(触媒層)を形成し、次いで、無電解めっき技術により、絵柄、金属調、パール、マット調等のデザインを付与する(加飾する)ことができる。
本発明の真空転写フィルムを用いると、真空転写技術により、電子機器のプリント配線板や3次元筐体に対して、より大きな或は複雑な3次曲面状の表面や、より深い3次曲面状の表面を有する筐体(深絞り加工した形状の素地)への金属配線回路の形成に、無電解めっきを行うことも可能である。本発明の真空転写フィルムを用いて、配線板(非導電性基材)に触媒層(触媒組成物)、つまり無電解用めっきを施すための皮膜をパターン形成(露出)させる。その無電解めっき用の皮膜(触媒層)が形成された配線板に対して、無電解めっきを行うことで、配線板に電子回路形成用の無電解めっき皮膜を形成させる。
(II)真空転写フィルム
本発明の無電解めっき用転写フィルムは、(A)離型性を有する基材上に、少なくとも(B)触媒層、及び、(C1)接着層又は(C2)粘着層が順に積層されてなり、前記(B)触媒層が、(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒、及び(3)バインダーを含有する触媒組成物からなり、前記金属粒子が、パラジウム粒子、金粒子、銀粒子又は白金粒子であり、前記転写が真空転写である、ことを特徴とする。
本発明の真空転写フィルムを用いることで、電子機器のプリント配線板や3次元筐体が、より大きな或は複雑な3次曲面状の表面や、より深い3次曲面状の表面を有する筐体(深絞り加工した形状の素地)へ回路を製造する際に、良好に金属配線回路の形成を行うことができる。
(A)離型性を有する基材
真空転写フィルムの基材である。
基材
(A)離型性を有する基材が、伸縮性を有するフィルムからなる基材であることが好ましい。伸縮性を有するフィルムを構成する樹脂が、ポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル及びゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等を用いることが好ましい。
PETは結晶性樹脂であり、外部からの加熱により非結晶から結晶へと変化する。結晶化していないPETをA-PET(Amorphous(非結晶)PET)と呼ぶ。G-PETは、PETのエチレングリコールの一定含量をシクロヘキサンジメタノール(Cyclohexane Dimethanol、CHDM)で代替した、グリコール変性ポリエステルであり、結晶化が防止された、非結晶化PETである。PETとしては、A-PET及びG-PETを用いることができる。
ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン(PA、ポリアミド)等の樹脂フィルム等を用いた基材を使用することが好ましい。
真空(加圧熱)転写法では、基材の材料として、成型体の複雑な形状に対応して追従することができるという点で、伸縮性の大きな熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。本発明の真空転写フィルムでは、基材が熱可塑性ポリウレタン樹脂を主材料とすることで、転写フィルムの伸縮性が大きく、真空(加圧熱)転写法により複雑な三次元形状を有する成型体の表面に図柄を転写することができる。即ち、複雑な成型体の細部にまで追従する柔軟性を備えることになり、優れた転写性能を備えることになる。
これらは単独で使用することができ、また任意に組み合わせた積層体とすることも可能である。
基材の厚みは、真空転写フィルムの強度維持することができること、素地(非導電性基材)への形状追従性が良く触媒層を良好に転写することができること等の理由から、10〜60μm程度が好ましく、15〜50μm程度がより好ましく、20〜40μm程度が更に好ましい。例えば、ハンドリング、コスト等の点で、一般的に38μm程度の厚みを有するPETが好ましい。
離型性を有する層(剥離層)
離型性を有する基材は、離型性を有する層を含むことで、基材に離型性を付与することができる。離型性を有する層を「剥離層」と記す。
剥離層は、本発明の真空転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法において、真空転写技術により、前記転写フィルムの接着層又は粘着層を素地に貼り付け、次いで得られた貼り付け物に対して、前記素地に真空転写フィルムの触媒層及び接着層又は粘着層を残し、前記素地から離型性を有する基材(基材及び剥離層)を剥離する際の、境界の層である。剥離層は、素地に接着層又は粘着層及び触媒層が貼り付けられた状態で、基材(基材シート)を触媒層から容易に剥離するため層である。剥離層は、基材を剥離する際に、基材側に残る。
剥離層を設けることで、本発明の真空転写フィルムから触媒層を確実且つ容易に素地(非導電性基材)へ転写させ、触媒層が貼り付けられた素地から、基材及び剥離層を有する基材部分を確実に剥離することができる。
剥離層に用いられる剥離剤として、メラミン樹脂系剥離剤、シリコーン系剥離剤、フッ素樹脂系剥離剤、セルロース樹脂系剥離剤、尿素樹脂系剥離剤、ポリオレフィン樹脂系剥離剤、パラフィン系剥離剤、アクリル樹脂系剥離剤等を用いることが好ましい。これらは単独で使用することができ、また任意に組み合わせた複合型剥離剤とすることも可能である。これらの中で、メラミン樹脂系剥離剤、シリコーン系剥離剤等を用いることがより好ましい。
基材に剥離層を形成するには、前記剥離剤に必要な添加剤を加えたものを、適切な溶剤に溶解又は分散させて調製した剥離組成物を用いることが好ましい。剥離層は、樹脂、添加剤等を更に含むことができる。剥離層の形成に用いる樹脂として、熱可塑性樹脂を用いて形成するのがよい。例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィン樹脂等を用いることが好ましい。
後述する押し出し法により基材上に、離型性を有する層(剥離層)を形成することができる。
また、この剥離組成物を、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により、基材上に、塗布・乾燥させて、剥離層を形成することも可能である。
剥離層の厚みは、0.1〜5μm程度が好ましく、0.2〜3μm程度がより好ましい。
(B)触媒層
本発明の真空転写フィルムは、前記(A)離型性を有する基材上に(B)触媒層が積層されており、前記(B)触媒層が、(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒、及び(3)バインダーを含有する触媒組成物からなり、前記金属粒子が、パラジウム粒子、金粒子、銀粒子又は白金粒子である。
触媒組成物の組成
(1)金属粒子と分散剤との複合体
触媒層は触媒組成物からなり、この触媒組成物は金属粒子と分散剤との複合体を含有する。
複合体として、パラジウム粒子(Pd粒子)を含むパラジウム複合体(Pd複合体)が好ましい。Pd複合体は、例えばポリカルボン酸系高分子等の分散剤の存在下、塩化パラジウム(塩化Pd)等のパラジウム化合物(Pd化合物)から供給されるパラジウムイオン(Pdイオン)を、ヒドラジンヒドラート等の2級又は3級アミン類で還元することによって得ることができる。
分散剤
分散剤として、ポリカルボン酸系分散剤、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤等を用いることが好ましい。分散剤は、市販品を使用することもできる。
ポリカルボン酸系高分子分散剤として、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸トリエチルアミン塩、ポリカルボン酸トリエタノールアミン塩等を使用することが好ましい。例えば、サンノプコ(株)製ノプコサントK, R, RFA、ノプコスパース44-C、SNディスパーサント5020, 5027, 5029, 5034, 5045, 5468、花王(株)製デモールP, EP、ポイズ520, 521, 530, 532A等を使用することができる。
ヒドロキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルヒドロキシエーテルカルボン酸塩等を使用することが好ましい。例えば、ビックケミー・ジャパン(株)製DISPERBYK190, 2010等を使用することができる。
カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤として、アクリル酸−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸−スルホン酸共重合体等を使用することが好ましい。例えば、ビックケミー・ジャパン(株)DISPERBYK180, 187, 191, 194、(株)日本触媒製アクアリックTL, GL, LSを使用することができる。
分散剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。分散剤の中でも、カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤が好ましい。
金属粒子
金属粒子は、無電解めっき触媒として機能するものであり、パラジウム粒子(Pd粒子)、金粒子(Au粒子)、銀粒子(Ag粒子)、白金粒子(Pt粒子)等の貴金属の超微粒子である。金属粒子として、特にPd粒子が好ましい。
Pd粒子
Pd粒子は、分散剤の存在下、Pd化合物から供給されるPdイオンを、還元剤を用いて還元することによって得ることができる(液相還元法)。
Pdイオンを供給するPd化合物として、塩化パラジウム(塩化Pd)、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、安息香酸パラジウム、サリチル酸パラジウム、パラトルエンスルホン酸パラジウム、過塩素酸パラジウム、ベンゼンスルホン酸パラジウム等を用いることが好ましい。
Pd化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
還元剤として、ヒドラジンヒドラート(ヒドラジン1水和物)、水素化ホウ素ナトリウム、N,Nジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の1級、2級又は3級アミン類、アスコルビン酸、2,3-ジヒドロキシマレイン酸等のエンジオール類を用いることが好ましい。
還元剤としては、N,N-ジアルキルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン系化合物類;N,N-ジアルキルヒドラジン等のヒドラジン系化合物類;ハイドロキノン、アミノフェノール等のフェノール類、及びフェニレンジアミン類;2-ヒドロキシアセトン、2-ヒドロキシヘキサン-1,3-ジオン、クエン酸、リンゴ酸等のヒドロキシケトン類やヒドロキシカルボン酸類;アスコルビン酸や2,3-ジヒドロキシマレイン酸等のエンジオール類;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコール類;1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類等の各種アミン類;等を用いることが好ましい。
還元する際に使用される溶媒(分散剤及びPdイオンを存在させるための溶媒)は、次の(2)溶媒を使用することができる。溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Pdイオンを還元する方法としては、溶媒中に分散剤及びPdイオンを存在させた後、還元剤を前記溶媒中に加える方法が挙げられる。これによりPdイオンと還元剤とが接触し、Pdイオンを還元することができる。
Pd粒子の多くは、分散剤の外側に付着していると考えられる。例えば、Pd複合体の形状(分散剤全体の形状)が密集した球状である場合、Pd粒子の多くは当該球状の表面側(外側)に付着していると考えられる。
Pd複合体中のPd粒子と分散剤との重量比は、Pd粒子:分散剤=50:50〜95:5程度が好ましく、Pd粒子:分散剤=65:35〜85:15程度がより好ましい。
例えば、精製水(89重量部程度)に塩化Pd(1重量部程度)を溶解し、更にクエン酸三ナトリウム(10重量部程度)を溶解して均一に攪拌する。次いで、水素化ホウ素ナトリウム(0.01重量部程度)を添加して、塩Pdを還元させることで、クエン酸で安定し、保護コロイド化されたパラジウムコロイド(Pdコロイド)を得ることができる。その後、限外濾過により濃縮脱塩を行い、Pd(0.5重量部程度)を含有するPdコロイドを得ることができる。
Pd粒子単独の平均粒子径は、特に限定されず、2〜10 nm程度が好ましい。Pd粒子の粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定することが可能である。Pd粒子単独の平均粒子径は、Pd粒子をランダムに10点選択し、そのPd粒子の粒子径を透過型電子顕微鏡で測定して、個数平均することで算出することができる(個数基準平均径)。
Pd複合体の平均粒子径は、特に限定されず、全体としては平均粒子径20〜300 nm程度の球形状の構造を有していることが好ましい。Pd複合体の平均粒子径は、粒径アナライザー(大塚電子株式会社、FPAR-1000)で測定することが可能である(重量基準平均径)。
その他の金属粒子
金属粒子として、その他、無電解めっき触媒として機能するものが好ましく、マイクロ波液中プラズマ法で製造される金属粒子、超音波法で製造される金属粒子、気相法(CVDレーザー等)で製造される金属粒子、貴金属担持微粒子等が好ましい。これらの金属粒子として、Pd粒子、Au粒子、Ag粒子、Pt粒子等の貴金属の超微粒子が好ましい。
金属粒子がPt粒子である場合、分散剤の存在下、塩化白金(IV)等の白金化合物(Pt化合物、貴金属化合物)から供給される白金イオン(Ptイオン)を、ヒドラジンヒドラート等の2級又は3級アミン類で還元することによって得ることができる。複合体は、分散剤の存在下、Ptイオンを還元することによって得られるものが好ましい。
Ptイオンを供給するPt化合物(貴金属化合物)として、塩化白金(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロリド白金(IV)酸、テトラクロリド白金(II)酸、ヘキサクロリド白金(IV)酸カリウム、テトラクロリド白金(II)酸カリウム、ヘキサクロリド白金(IV)酸アンモニウム、酸化白金(IV)、臭化白金(II)、臭化白金(IV)、水酸化白金(II)、フッ化白金(VI)等を用いることが好ましい。
その他の条件は、前記Pd粒子の場合と同じである。
金属粒子として、特にPd粒子が好ましい。
(2)溶媒
触媒層は触媒組成物からなり、この触媒組成物は溶媒を含有する。
溶媒(分散媒)は、金属複合体(Pd複合体等)を分散させることができる。また、溶媒はバインダーとの親和性に優れている。
溶媒は、触媒組成物に含まれる(1)金属粒子と分散剤との複合体(金属複合体)の分散性、(3)バインダーの溶解性等を考慮し、更に触媒組成物の粘度、蒸発速度等の観点で選択することが好ましい。また、触媒組成物が、接着層を介して、非導電性基材(成形品、成型品(ABS樹脂等のプラスチック材料、ガラス板等)と良好に密着する点を満足させることが好ましい。
具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、1-ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、シクロヘキサノン等のケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;安息香酸メチル、安息香酸エチル、サリチル酸メチル等の芳香族カルボン酸エステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n-へキサン、n-へプタン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のグリコールエーテルエステル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のアルカノールエステル類;2-フェノキシエタノール(エチレングリコールフェニルエーテル)等を追加で用いることが好ましい。
特に、印刷性及び塗装性、印刷・塗装後のレベリング過程を考慮して、蒸発速度が遅い溶媒の使用が好ましい。蒸発速度が遅い溶媒として、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート及び2-フェノキシエタノールが例示される。これらの溶媒を用いることが好ましい。
触媒組成物中の金属複合体(Pd複合体等)を良好に分散させることができるという観点から、水及びN-メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
非プロトン性極性溶媒として、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)等の非プロトン性極性溶媒;ジメチルスルホキシド;γ-ブチロラクトン等を用いることが好ましい。非プロトン性極性溶媒の中でも、NMP、DMF及びDMAcからなる群から選ばれた少なくとも1種がより好ましい。
溶媒は、金属イオン(Pdイオン等)の還元反応後に変換することが可能である。例えば、溶媒を水からNMPに変換することが可能である。
溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
触媒組成物中の分散溶媒の含有量(2種以上の溶媒である時は合計量)は、特に限定されず、前記金属複合体(Pd複合体等)100重量部に対して、1×102〜1×106重量部程度が好ましい。前記金属複合体(Pd複合体等)が、分散溶媒中に1重量%程度含まれることが好ましい。分散溶媒は、前記金属複合体(Pd複合体等)100重量部に対して、5×102〜3×105重量部程度がより好ましく、1×103〜2×105重量部程度が更に好ましく、5×103〜2×104重量部程度が特に好ましい。
(3)バインダー
触媒層は触媒組成物からなり、この触媒組成物はバインダーを含有する。
バインダーは、触媒組成物の粘度、触媒組成物と非導電性基材(成形品、成型品(ABS樹脂等のプラスチック材料、ガラス板等))との密着性、硬化条件等の観点から、良好に無電解めっきの反応性が得られるものを選択することが好ましい。バインダーは、前記溶媒に分散又は溶解するものである。
具体的には、アセタール樹脂(POM)、エポキシ樹脂、エステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂(PA、ポリアミド、ナイロン)、イミド樹脂(ポリイミド)、アミドイミド樹脂(PAI、ポリアミドイミド)、シェラック樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、硝化綿、アルキド樹脂、石油樹脂、ロジン系樹脂、スチレン/マレイン酸樹脂、シリコン樹脂、塩ビ-酢ビ共重合体、アクリルモノマー/オリゴマー及びオレフィン樹脂(ポリオレフィン)等を用いることが好ましい。
塩ビ-酢ビ共重合体(塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂)とは、塩化ビニルと酢酸ビニル等との共重合樹脂である。
アセタール樹脂(POM)は、ポリビニルアセタール等を用いることが好ましい。ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化した樹脂である。アルデヒドとしてホルマリン(ホルムアルデヒド37%水溶液)を用いてアセタール化したものがポリビニルホルマールである。アルデヒドとしてブタノール(ブチルアルコール)でアセタール化したものがポリビニルブチラール(ブチラール樹脂、PVB)である。
アミド樹脂は、ナイロン6(ε-カプロラクタム)、ナイロン11(ウンデカンラクタム)、ナイロン12(ラウリルラクタム)、ナイロン66(ヘキサメチレンジアミン+アジピン酸)、ナイロン610(ヘキサメチレンジアミン+セバシン酸)、ナイロン6T(ヘキサメチレンジアミン+テレフタル酸)、ナイロン6I(ヘキサメチレンジアミン+イソフタル酸)、ナイロン9T(ノナンジアミン+テレフタル酸)、ナイロンM5T(メチルペンタジアミン+テレフタル酸)、ナイロン612(カプロラクタムとラウリルラクタムとのωアミノ酸同士の共縮重合体)等を用いることが好ましい。
アミドイミド樹脂とは、ポリイミド主鎖にアミド結合を導入した樹脂であり、無水トリメリット酸とジイソシアネートとの反応や無水トリメリット酸クロライドとジアミンとの反応等で得られる樹脂を用いることが好ましい。
エポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂を使用することにより、ABS樹脂等を含む物品上に無電解めっき用塗膜をより強固に密着させることができる。エポキシ樹脂は、無電解めっき用塗膜を構成する高分子母材(マトリックス樹脂)となる。
エポキシ樹脂は、1液性又は2液性エポキシ樹脂のいずれを用いることができる。エポキシ樹脂は、変性エポキシ樹脂を包含する。
1液性エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、グリシジルエステル型、グリシジルエーテル型、ビフェニル型等を用いることが好ましい。
1液性エポキシ樹脂は、例えば、DIC(株)製EPICLON830, 830-S, 835, 840, 840-S, 850, 850-S, N-730A, N-740A, N-770, N-775;ナガセケムテックス(株)製XNR-3053, XNR3505, XN1244, XN1278;荒川化学工業(株)製アラキード9201N, 9203N, 9205, 9208、モデピクス301,302,401;東亞合成(株)製アロンマイティAP-0786, AS-60, BX-60, AS-315等の市販されている商品を使用することができる。
2液性エポキシ樹脂としては、前記エポキシ樹脂を本剤とする樹脂を使用することができる。本剤と共に使用する硬化剤として、ポリアミド、ポリアミン、ポリアミドアミン、ケチミン、イミダゾール、ジアミン、ジアミンジアミド、テトラヒドロフタル酸無水物等を用いることが好ましい。
2液性エポキシ樹脂の本剤は、例えば、三菱化学(株)製jER-806, 807, 825, 827, 828, 1256, 4250, 4275, W2821R70;(株)ADEKA製アデカレジンEP-4100HF, EP-4088S, EPR-4030;ナガセケムテックス(株)製AV138-HV998, XNR3106-XNH3103;東亞合成(株)製アロンマイティAP-400BD等の市販されている商品を使用することができる。
2液性エポキシ樹脂の硬化剤は、例えば、DIC(株)製ラッカマイド17-202, TD-961, TD-977, TD-992, WN-155, WN-170, WN-405, WN-505;三菱化学(株)製jERキュア-ST11, ST12, St13, ST14, LV11, DC11, RC11, FL11, QX11, H3, WD11M60;(株)ADEKA製アデカハードナーEH-3636AS, EH-5010S,EH-5015S; 日立化成(株)HN-2200, HN-2000, HN-5500;T&K TOKA(株)製トーマイド245, 275, 210, 241, フジキュア-5000, FXS-654, FXS-8077等の市販されている商品を使用することができる。
エポキシ樹脂として、作業性、経時安定性等の観点から、1液性エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ樹脂の硬化温度は、60〜200℃が好ましく、80℃〜150℃が更に好ましい。
アクリル樹脂は、アクリル酸エステルの重合体若しくはメタクリル酸エステルの重合体又はこれらをコモノマーとする共重合体であり、例えばポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等を用いることが好ましい。
バインダーは、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、エステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、アミドイミド樹脂、シェラック樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、塩ビ-酢ビ共重合体及びオレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。バインダーは、2種以上を組み合わせて使用することができる。
バインダーの含有量は、金属複合体(Pd複合体等)100重量部に対して、1〜1×105重量部程度が好ましく、50〜5×104重量部程度がより好ましい。
バインダーは、その固形分比は1〜50重量%程度であることが好ましい。
バインダーは、本発明の真空転写フィルムを用いて、真空転写技術により、無電解めっき物を製造する方法において、適切である。
触媒組成物の製造方法
金属粒子(Pd粒子等)は、前述の通り、分散剤の存在下、金属化合物(Pd化合物等)から供給される金属イオン(Pdイオン等)を、還元剤を用いて還元することによって得ることができる。
触媒組成物は、
(i)(2)溶媒中に、金属イオン(Pdイオン等)と分散剤とを存在させ、還元剤を用いてその金属イオン(Pdイオン等)を還元し、(1)金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体を作製する工程、
(ii)(2)溶媒中に、(3)バインダーを混合して混合物を作製する工程、並びに、
(iii)前記工程(i)で得られた(2)溶媒及び(1)金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体の混合物に、前記工程(ii)で得られた(2)溶媒及び(3)バインダーの混合物を混合する工程、
を含む製造方法により製造することが好ましい。
工程(i)及び工程(ii)は、どちらが先の工程であっても良い。
前記製造方法によれば、真空転写技術で利用するめっき転写フィルムに適用できる触媒組成物を製造することができる。
この真空転写フィルムを用いて、非導電性基材に触媒層(触媒組成物)及びめっき皮膜を形成(露出)させることができる。
触媒組成物は、めっき(無電解めっき又は電解めっき)の反応性が高く、めっきとの密着性が良好であり、良好な平滑性を発現できるめっき皮膜が形成することが可能である。
真空転写フィルムにより、更に、非導電性基材(成形品、成型品(ABS樹脂等のプラスチック材料、ガラス板等)上にパターンの拡がりを抑えつつ、部分めっきを形成することが可能である。めっき転写フィルムを用いると、更に、有害な物質によるエッチング工程、煩雑な触媒付与工程等を必要としない。
(i)(2)溶媒中に、金属イオン(Pdイオン等)と分散剤とを存在させ、還元剤を用いてその金属イオン(Pdイオン等)を還元し、(1)金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体を作製する工程
(2)溶媒中に、金属イオン(Pdイオン等)と分散剤とを存在させ、還元剤を用いてそのPdイオンを還元し、(1)金属粒子(Pd粒子)と分散剤との複合体を作製する。
先ず、金属イオン(Pdイオン等)と分散剤とを溶媒(分散媒)中に存在させる。金属イオン(Pdイオン等)として、供給源として前記金属イオン(Pdイオン)を供給する金属化合物(Pd化合物等)を使用することができる。
各成分の使用量(重量部)は「金属化合物(Pd化合物等)」基準とする。
分散剤として、前記分散剤を使用することができる。金属イオン(Pdイオン等)と分散剤との使用比率(重量比)は、金属化合物(Pd化合物等)100重量部に対して、分散剤を10〜200重量部程度使用することが好ましく、30〜150重量部程度がより好ましく、50〜100重量部程度が更に好ましい。
溶媒として、前記(2)溶媒を使用することができる。溶媒の使用量は、金属イオン(Pdイオン等)と分散剤を均一に存在させることができれば特に限定されず、金属化合物(Pd化合物等)100重量部に対して、1×104〜3×105重量部程度が好ましく、1×104〜1×105重量部程度がより好ましい。
次に、金属イオン(Pdイオン等)と還元剤とを反応させることにより、金属イオン(Pdイオン等)が還元剤によって還元される。即ち、金属イオン(Pdイオン等)の還元反応が生じ、結果として前記(1)金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体(金属複合体(Pd複合体等))を得ることができる。その還元剤として、前記金属複合体(Pd複合体等)を作製するために使用される還元剤を使用することができる。還元剤の使用量は、特に限定されず、金属化合物(Pd化合物等)100重量部に対して、100〜800重量部程度が好ましく、200〜600重量部程度がより好ましい。
還元剤を用いる反応は、35〜45℃程度の温度で行うことが好ましく、50〜60℃程度まで昇温することが好ましい。反応時間は、特に限定されず、1〜5時間程度とすることが好ましい。
反応の際の圧力及び雰囲気は、特に限定されず、大気圧下又は大気(空気)雰囲気下で行うことが好ましい。反応はビーカー等の開放系で行うことができる。反応方法として、金属イオン(Pdイオン等)(金属化合物(Pd化合物等))、分散剤及び還元剤を含有する溶液を羽根付き撹拌棒で撹拌することが好ましい。
溶媒及び金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体を含む混合物(金属複合体含有液(Pd複合体含有液等))を限外濾過し、金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体を分離することが好ましい。この操作により、金属複合体含有液(Pd複合体含有液等)に含まれる無機塩や過剰の分散剤等を除去することができる。例えば、Pd複合体含有液に対して濾過処理を行い、分散溶媒を補填することが可能である。この処理は、操作を繰り返すことができる。
金属イオン(Pdイオン等)の還元反応後に溶媒を変換することが可能である。例えば、前記溶媒として水を使用し、その後、前記水をNMP等(溶媒、分散媒)に変換することにより、NMP((2)溶媒)及び(1)金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体の混合物を作製することが可能である。
(ii)(2)溶媒中に、(3)バインダーを混合して混合物を作製する工程
(2)溶媒中に、(3)バインダーを混合して混合物を作製する。
溶媒として、前記2-フェノキシエタノール、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の(2)溶媒を使用することができる。溶媒の使用量は特に限定されない。
バインダーとして、前記(3)バインダーを使用することができる。バインダーの使用量は、触媒組成物の粘度を考慮することがこのましい。また、接着層を介して、触媒組成物と非導電性基材(ABS樹脂、ガラス板等)との密着性、硬化条件等を考慮することが好ましい。
混合は、特に限定されず、大気圧下又は大気(空気)雰囲気下で行うことが好ましい。混合はビーカー等の開放系で行うことができる。混合方法として、溶媒及びバインダーを含有する混合物を羽根付き撹拌棒で撹拌することが好ましい。
(iii)前記工程(i)で得られた(2)溶媒及び(1)金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体の混合物に、前記工程(ii)で得られた(2)溶媒及び(3)バインダーの混合物を混合する工程
前記工程(i)で得られた(2)溶媒及び(1)金属粒子(Pd粒子等)と分散剤との複合体の混合物に、前記工程(ii)で得られた(2)溶媒及び(3)バインダーの混合物を混合する。
触媒層の構成
本発明の真空転写フィルムの触媒層は前記触媒組成物から形成される。
本発明の真空転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法において、真空転写技術により、前記真空転写フィルムの接着層を素地(非導電性基材)に貼り付け、次いで得られた貼り付け物に対して、前記素地に転写フィルムの触媒層及び接着層を残し、前記素地から基材及び剥離層を剥離した後、素地(非導電性基材)に設けられる層である。触媒層は、素地に接着層を介して設けれ、無電解めっきを行うための露出した層である。触媒層は、基材を剥離する際に、素地側に残る。
素地(非導電性基材)に露出した触媒層に対して、無電解めっきを行うことで、無電解めっき物を製造することができる。その無電解めっきにより、素地(成形品又は成型品)に意匠性を付与することができる。素地に、模様、文字、パターン状の絵柄等を表現するための層である。素地に、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字、ストライプ状、グラデーションの絵柄等を付与することができる。
この触媒組成物を、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により、基材-剥離層上に、塗布・乾燥させて、触媒層を形成することができる。
触媒層の厚みは、良好に無電解めっきを行い、素地にめっき皮膜を良好に形成することができること等から、通常20μm以下程度、0.01〜10μm程度が好ましく、0.02〜8μm程度がより好ましく、0.03〜5μm程度が更に好ましく、0.05μm(50nm)〜2μm程度が特に好ましい。無電解めっきにより、素地に目的とする意匠を表現することができる。その膜厚が0.01μm未満であっても、無電解めっきの反応性を得ることができる。その膜厚が10μmを超えると、無電解めっきの反応速度が劣る傾向がある。
(C)接着層及び粘着層
本発明の真空転写フィルムは、前記(A)離型性を有する基材上に、(B)触媒層が積層され、この(B)触媒層上に(C1)接着層又は(C2)粘着層が順に積層されている。
(C1)接着層
接着層は、本発明の転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法において、真空転写技術により、前記真空転写フィルムの接着層を素地(非導電性基材)に貼り付ける際に、素地と触媒層とを接着させる層である。接着層は、素地と触媒層との間に存在する。接着層は、基材を剥離する際に、素地側に残る。接着層により、触媒層は素地に良好に形成され、その後、良好に無電解めっきを行うことができる。
接着層は、アクリル系接着剤、ポリスチレン系接着剤、ポリアミド系接着剤、ユリア系接着剤、メラミン系接着剤、フェノール系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、EVA樹脂系エマルジョン、アクリル樹脂系エマルジョン等の接着剤(樹脂)を含む接着組成物を用いて形成されることが好ましい。これらは単独で使用することができ、また任意に組み合わせた樹脂組成物とすることも可能である。
接着層は、本発明の真空転写フィルムの触媒組成物(触媒組成物)に含まれるバインダーとの相性、前記素地への密着性を考慮して選択することが好ましい。例えば、アクリル樹脂等を用いることがより好ましい。
この接着組成物を、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により、基材-剥離層-触媒層上に、塗布・乾燥させて、接着層を形成することができる。
接着層の厚みは、触媒層は素地に良好に形成(接着)することができるとうこと等から、0.1〜5μm程度が好ましく、1〜5μm程度がより好ましい。
接着剤は、一般に、常温で溶媒乾燥後、硬化する(熱硬化性を有する)(常温接着剤)。常温接着剤で設計した場合、常温で反応が進むことから、真空転写フィルムを真空転写するまでの時間及び温度を制約することが可能である。また、常温で硬化することから、転写フィルムを転写する際にべたつきを抑える(発生させない)ことが可能である。
エポキシ系接着剤は低温(冷蔵庫等)で保管しておき(半生状態)、加工の時に熱プレスして使う。エポキシ系樹脂は回路の積層板作製で、絶縁材として使うことも可能である。
エポキシ系接着剤は、一般的に熱プロセスで硬化する熱硬化接着剤である。電子回路基板の作製には、エポキシ系接着剤を熱ロール、熱プレス等で接着して用いることが好ましい。アクリル系接着剤等の熱可塑性樹脂(ガラス転移点(Tg)が高い)は、加熱により粘度が低下するので、接着剤として機能する。
(C2)粘着層
粘着層は、本発明の真空転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法において、真空転写技術により、前記真空転写フィルムの粘着層を素地(非導電性基材)に貼り付ける際に、素地と触媒層とを接着させる層である。粘着層は、素地と触媒層との間に存在する。粘着層は、基材を剥離する際に、素地側に残る。粘着層により、触媒層は素地に良好に形成され、その後、良好に無電解めっきを行うことができる。
粘着層は、アクリル系粘着剤、ポリスチレン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等の粘着剤(樹脂)を含む粘着組成物を用いて形成されることが好ましい。これらは単独で使用することができ、また任意に組み合わせた樹脂組成物とすることも可能である。
粘着層は、本発明の真空転写フィルムの触媒組成物(触媒組成物)に含まれるバインダーとの相性、前記素地(非導電性基材)への密着性を考慮して選択することが好ましい。例えば、アクリル樹脂等を用いることがより好ましい。
この粘着組成物を、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により、基材-剥離層-触媒層上に、塗布・乾燥させて、粘着層を形成することができる。
粘着層の厚みは、触媒層は素地(非導電性基材)に良好に形成(接着)することができるとうこと等から、1〜50μm程度が好ましく、10〜30μm程度がより好ましい。
粘着剤は、一般に、溶媒乾燥後も常温で粘性を持ち、圧力を加えることで被着材に対する流動性を持たせ、剥離に対する凝集性が硬化に代わる保持力となるものである。粘着剤は、一般に熱可塑性であり、常温プロセスで使用するものであり、ガラス転移点(Tg)は低い。
電子回路作製には、粘着剤(粘着層)を用いることが好ましい。
(D)支持層
本発明の真空転写フィルムの(A)離型性を有する基材側に、更に、支持層が積層されていることが好ましい。
支持層としては、プラスチックフィルム、紙、金属のシートを使用することができる。プラスチックとしては、引張弾性率が大きいポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリプロピレン(PP)等を使用することが好ましい。
(E)深絞り加工した形状の素地
本発明の真空転写フィルムでは、転写は、深絞り加工した形状の素地に対する真空転写であることが好ましい。
(III)真空転写フィルムの製造方法
本発明の真空転写フィルムは、
(1)基材上に離型性を有する層を形成し、(A)離型性を有する基材を作製する工程、
(2)前記基材の離型性を有する層側に、触媒組成物を塗布し、(B)触媒層を設ける工程、及び、
(3)前記(B)触媒層上に、(C1)接着層又は(C2)粘着層を設ける工程
を含む製造方法により製造することができる。
この製造方法により真空転写フィルムに触媒層を形成することができる。真空転写技術により、この真空転写フィルムを素地(非導電性基材、成形品又は成型品)に貼り付け、次いで剥離により、素地に触媒層を露出させ、次いで無電解めっきにより、成形品又は成型品に無電解めっき皮膜を形成することができる。これにより、無電解めっき物を製造することができる。
(1)基材上に離型性を有する層を形成し、(A)離型性を有する基材を作製する工程
後述する押し出し法により基材上に、離型性を有する層(剥離層)を形成することができる。
また、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により、基材上に、塗布・乾燥させて、離型性を有する層(剥離層)を形成することも可能である。
(2)前記基材の離型性を有する層側に、触媒組成物を塗布し、(B)触媒層を設ける工程
塗布処理
離型性を有する基材の剥離層側に触媒組成物を塗布する方法は限定されない。
塗布方法としては、バーコーター、グラビア印刷機(グラビアオフセット)、フレキソ印刷機、インクジェット印刷機、ディッピング、スプレー、スピンコーター、ロールコーター、リバースコーター、スクリーン印刷機等を用いる塗布方法がある。マスキングレスや生産効率の観点ではグラビアオフセット印刷やパッド印刷が好ましい。パターンによってはスプレー塗装が好ましい。
塗布方法に合わせて、触媒組成物の粘度を調整することが好ましい。
グラビアオフセット印刷やパッド印刷にて塗布する場合、触媒組成物の粘度は50〜1,000mPa・s程度が好ましい。マスキングを施した上で、スプレー塗装する場合、触媒組成物の粘度は100mPa・s程度以下が好ましい。
乾燥及び硬化前の触媒組成物の膜厚は、使用用途によって適宜選択することができ、触媒組成物の粘度に依存する。その膜厚は、触媒組成物を良好に塗布できる観点から、1〜120μm程度が好ましい。その膜厚が120μmを超えると、触媒組成物が液垂れを引き起こす傾向がある。
硬化処理
基材に触媒組成物を塗布した後、触媒組成物に含まれる溶媒(溶剤)を揮発及び/又は乾燥させ、次いで硬化処理を行う。硬化処理により、バインダーが硬化される。
基材に触媒組成物を塗布した後、乾燥処理を行うことができる。乾燥処理によって、無電解めっきを行う際に不必要な溶媒を効率的に除去するとともに、塗膜と基材との密着性及び塗膜の表面強度を向上させることができる。乾燥処理の温度は、60〜400℃程度が好ましく、80〜150℃程度がより好ましい。乾燥処理の時間は、乾燥温度に合わせて、6秒〜60分程度が好ましく、10分〜30分程度がより好ましい。
硬化処理の温度は触媒組成物に含まれる前記(3)バインダーの種類に合わせて調整することができる。硬化処理の温度は40〜400℃程度が好ましい。また、基材としてプラスチックを用いる場合、プラスチック素材の軟化温度を考慮し、硬化処理の温度を40〜200℃程度に設定することが好ましい。
乾燥及び硬化後の触媒組成物の膜厚(触媒層の厚み)は、触媒組成物の固形分濃度に依存する。その膜厚は、無電解めっきを効率良く行うことができ、素地にめっき皮膜を良好に形成することができ、十分なめっき密着性が発揮されるという点から、通常20μm以下程度、0.01〜10μm程度が好ましく、0.02〜8μm程度がより好ましく、0.03〜5μm程度が更に好ましく、0.05μm(50nm)〜2μm程度が特に好ましい。その膜厚が0.01μm未満であっても、無電解めっきの反応性を得ることができるが、めっき密着性については十分に発揮されない傾向がある。その膜厚が10μmを超えると、無電解めっきの反応速度が劣る傾向がある。
触媒組成物に含まれる溶媒を揮発及び/又は乾燥させ、触媒組成物に含まれるバインダーを硬化させる。
この触媒組成物を用いて、これら一連の処理を行うことにより、基材上に触媒層(触媒膜)を形成することができる。触媒層には、金属複合体(Pd複合体等)が含まれる。金属複合体(Pd複合体等)は、塗膜に対して均一に分散された状態で存在する。そのため、触媒膜上に対して、より効率的に無電解めっきを行うことができる。
(3)前記(B)触媒層上に、(C1)接着層又は(C2)粘着層を設ける工程
前記接着組成物又は粘着組成物を、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により、離型性を有する基材(基材-剥離層)-触媒層上に、塗布・乾燥させて、接着層又は粘着層を形成することができる。
(4)真空転写フィルムの製造方法の具体例
図6は、本発明の真空転写フィルムを示す説明図である。
図6により本発明の真空転写フィルムの例を説明する。
図6(1)に示す支持体層付き転写用基材フィルム11は、熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる基材層21と剛直性を備える支持体層31とが剥離可能に積層されている。
支持体層付き転写用基材フィルム11を使用して成型体に図柄を形成するときは、基材層21の表面に図柄を形成する印刷を行った後に支持体層31を剥離して除去し、図柄が形成された基材層21(転写用基材フィルム)とする。この図柄が形成された転写用基材フィルム用いて、真空加圧熱転写法により成型体の表面に図柄を転写した後、成型体から転写用基材フィルムを剥離することにより図柄が転写された成型体が得られる。
支持体層31としては、プラスチックフィルム、紙、金属等のシートも使用することができる。プラスチックとしては、引張弾性率が大きいポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン等を使用することができる。
支持体層は、10kgf/mでの伸び率が0.3%以下となることが好ましい。この数値は、幅が1mのシートを10kgfの力で引っ張るときの伸び率であり、素材の引張弾性率とシートの厚みによって定まる。
10kgf/mでの伸び率が0.3%を超える場合には、シートの伸びが大きいことにより所定の位置に印刷することができず、多色の場合には色ずれを起こすことになる。精密な図柄を印刷して高度な意匠表現をする為には、10kgf/mでの伸び率は0.3%以下であることが好ましく、より精密な図柄とする為には0.2%以下であることが好ましい。
基材層21の表面に図柄を形成する印刷を行った後に支持体層31は剥離されるので、基材層21と支持体層31は剥離可能に積層されなければならない。そこで、支持体層31は、従来から知られた方法によって表面処理をした後に基材層21を貼合することが好ましい。例えば、シリコーン系樹脂やワックス系樹脂を塗工することにより剥離可能とすることができる。
基材層21と支持体層31との剥離強度は、2〜30gf/25mm幅程度であることが好ましく、3〜25gf/25mm幅であることがより好ましい。30gf/25mm幅を超える力が必要となる場合には、剥離の際に基材層21が伸び過ぎて形成された図柄を壊す可能性がある。また、2gf/25mm幅未満の力で剥離する場合には、転写用基材フィルム11のハンドリングにおいて、不必要なときに剥離する可能性がある。
成型体の表面に図柄を転写した後に、基材層21は成型体から剥離されるので、基材層21の表面に図柄を印刷する前に、剥離を容易にする為の表面処理を行ってもよい。この場合は、シリコーン系樹脂やワックス系樹脂を基材層21の表面に塗工することにより剥離可能とすることができる。
成型体と基材層21との剥離強度は、5〜100gf/50mm幅程度であることが好ましく、8〜50gf/50mm幅であることがより好ましい。100gf/50mm幅を超える力が必要となる場合には、剥離の際に基材層21が伸び過ぎて形成された図柄を壊す可能性がある。また、5gf/50mm幅未満の力で剥離する場合には、転写用基材フィルム11のハンドリングにおいて、不必要なときに図柄層が剥離する可能性がある。
基材層21が表面処理された支持体層付き転写用基材フィルム11は、その上に図柄を印刷することができる。図柄を印刷する際には、支持体層31を有することにより剛直性を備えるので、容易に位置合わせを行って精密な図柄を形成することができる。そして、印刷された支持体層付き転写用基材フィルム11から支持体層31を剥離して除くことにより、図柄を備える転写用基材フィルムとすることができる。
熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる基材層21を主材料とする転写用基材フィルムは、伸縮性が大きいので、真空加圧熱転写法により複雑な三次元形状を有する成型体の表面に図柄を転写することができる。即ち、複雑な成型体の細部にまで追従する柔軟性を備えることになり、優れた転写性能を備えることになる。図柄が転写された成型体は、基材層21が除去されることにより、加飾された成型体となる。
図6(2)に示す支持体層付き転写用基材フィルム12は、熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる基材層21と剛直性を備える支持体層31とが、支持体剥離層32を介して剥離可能に積層されている。ここで、基材層21及び支持体層31については、支持体層付き転写用基材フィルム11と同様であるので、説明を省略する。
支持体層付き転写用基材フィルム11では、支持体層31の表面を処理することにより剥離性を持たせているが、支持体層付き転写用基材フィルム12は、支持体剥離層32を設けることにより、剥離性能を付与することができる。
支持体剥離層32の一般的な素材としては、ポリオレフィン系樹脂を用いることが可能であり、ポリエチレンやポリプロピレンを用いることにより適度な剥離性を得ることができる。前述のように、基材層21から支持体層31を剥離するときの剥離強度は、2〜30gf/25mm幅程度であることが好ましく、3〜25gf/25mm幅であることがより好ましい。
支持体層付き転写用基材フィルム12は、支持体層付き転写用基材フィルム11と同様に、基材層21を表面処理することによって図柄を印刷することができる。図柄を印刷する際は、支持体層31により剛直性を備えるので、容易に位置合わせを行って精密な図柄を形成することができる。そして、印刷された支持体層付き転写用基材フィルム12から支持体層31及び支持体剥離層32を剥離して除くことにより、図柄を備える転写用基材フィルムとすることができる。
熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる基材層21を主材料とする転写用基材フィルムは、伸縮性が大きいので、真空加圧熱転写法により複雑な三次元形状を有する成型体の表面に図柄を転写することができる。即ち、複雑な成型体の細部にまで追従する柔軟性を備えることになり、優れた転写性能を備えることになる。図柄が転写された成型体は、基材層21が除去されることにより、加飾された成型体となる。
図6(3)に示す支持体層付き転写用基材フィルム13は、熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる基材層21と剛直性を備える支持体層31とが、支持体剥離層32を介して剥離可能に積層されていると共に、更に、基材層21が、図柄を印刷する面に基材剥離層22を備えている点に特徴を備えている。支持体層31及び支持体剥離層32については支持体層付き転写用基材フィルム12と同様であるので説明を省略する。
基材剥離層22は、基材層21の側から順に、熱可塑性ポリウレタン樹脂との接着性を備える第1層22aと、図柄層との剥離性を備える第2層22bとによって形成されることが好ましい。第1層22aの素材としては、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体やポリオレフィン系エラストマーが考えられ、第2層22bの素材としては、ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系エラストマーとの混合物が考えられる。
第1層22aは、ポリプロピレン系エラストマーとすることが好ましく、第2層22bは、ポリプロピレンとポリプロピレン系エラストマーとの混合物とすることが好ましい。また、第2層22bにおいて、ポリプロピレンエラストマーとの混合に用いるポリプロピレンとしては、共重合ポリマーよりもホモポリマーとすることが好ましい。更に、ポリプロピレンホモポリマーとポリプロピレン系エラストマーとの混合比は、重量比で80:20〜0:100が好ましい。第1層22a及び第2層22bの各層厚みは50μm以下とすることが好ましく、5〜40μmとすることが好ましい。
以上のような構成によって、剥離性、耐熱性、及び保存性に優れた基材剥離層22を形成することができる。そして、基材層21が基材剥離層22を備えておくことにより、使用時に剥離層を塗工する必要がなくなり、真空加圧熱転写法により成型体を加飾する際に、作業工程を少なくすることができる。基材剥離層22の表面は、細かい凹凸を有する梨地状とすることにより、転写性を向上させることができる。
支持体層付き転写用基材フィルム13は、支持体層31を有することにより剛直性を備えるので、図柄を印刷する際に、容易に位置合わせを行って精密な図柄を形成することができる。そして、印刷された支持体層付き転写用基材フィルム13から支持体層31及び支持体剥離層32を剥離して除くことにより、図柄を備える転写用基材フィルムとすることができる。
熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる基材層21を主材料とする転写用基材フィルムは、伸縮性が大きいので、真空加圧熱転写法により複雑な三次元形状を有する成型体の表面に図柄を転写することができる。即ち、複雑な成型体の細部にまで追従する柔軟性を備えることになり、優れた転写性能を備えることになる。図柄が転写された成型体は、基材層21及び基材剥離層22が除去されることにより、加飾された成型体となる。
図6(4)に示す支持体層付き転写用基材フィルム14は、支持体層付き転写用基材フィルム13と同様に、熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる基材層21と剛直性を備える支持体層31とが支持体剥離層32を介して剥離可能に積層され、また、基材層21が図柄を印刷する面に基材剥離層22を備えている。さらに、支持体層31が支持体剥離層32とは逆の面に、ブロッキング防止層33を備えている点に特徴を備えている。支持体層31、支持体剥離層32及び基材剥離層22については、支持体層付き転写用基材フィルム13と同様であるので説明を省略する。
ブロッキング防止層33の素材としては、ポリオレフィン系の樹脂を用いることが可能であり、ポリエチレンやポリプロピレンを用いることができる。これによって、支持体層付き転写用基材フィルム14をロール状としたときに図柄層40とブロッキング防止層33とがブロッキングを起こすことがなく、ハンドリング性を向上させることができる。また、支持体剥離層32と同じ素材とすることにより、そりが発生することを防止することができる。ブロッキング防止層33の表面は、細かい凹凸を有する梨地状とすることが好ましい。
支持体層付き転写用基材フィルム14は、基材剥離層22を備えるので基材剥離層22の表面に直接印刷を行うことができる。また、支持体層31を有することにより剛直性を備えるので、図柄を印刷する際に、容易に位置合わせを行って精密な図柄を形成することができる。さらに、ブロッキング防止層33を備えることにより、図柄を備える支持体層付き転写用基材フィルム14は、そのままロールの状態で長期間保存することができる。
図柄が印刷された支持体層付き転写用基材フィルム14から、ブロッキング防止層33、支持体層31及び支持体剥離層32を剥離して除くことにより、図柄を備える転写用基材フィルムとすることができる。熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる基材層21を主材料とする転写用基材フィルムは、伸縮性が大きいので、真空加圧熱転写法により複雑な三次元形状を有する成型体の表面に図柄を転写することができる。即ち、複雑な成型体の細部にまで追従する柔軟性を備えることになり、優れた転写性能を備えることになる。図柄が転写された成型体は、基材層21及び基材剥離層22が除去されることにより、加飾された成型体となる。
本発明の支持体層付き転写フィルムを製造する製膜法について説明する。
本発明の製膜法は、熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる基材層21と、支持体層31とが、剥離可能に積層されてなる支持体層付き転写用基材フィルム11、12、13、14を製造する製膜方法であって、少なくとも支持体層31を含む支持体フィルム30がロール状で予め用意され、少なくとも基材層21を含む転写用基材フィルム20がTダイを用いて押出される際に、押出された直後の転写用基材フィルム20と支持体フィルム30とが貼合される手段を採用している。
図7は、本発明の真空転写フィルムを製膜する製膜方法を示す概略図である。
図7により支持体層付き転写用基材フィルム14の製膜方法を具体的に説明する。
支持体層31、支持体剥離層32、及びブロッキング防止層33からなる支持体フィルム30は、予めロール状に製膜されて送り出しロール71に装着されている。支持体層31には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることができる。支持体剥離層32及びブロッキング防止層33にはポリプロピレンを用いることができる。これらをドライラミネートによって製膜して、支持体フィルム30とすることができる。
基材層21及び基材剥離層22(第1層22a、第2層22b)からなる転写用基材フィルム20はTダイ72を用いる共押出しによって製膜される。基材層21には熱可塑性ポリウレタンが使用される。第1層22aにはポリプロピレン系エラストマーを用いることができる。第2層22bには、ホモポリプロピレンとポリプロピレン系エラストマーとの混合物を用いることができる。そして、夫々の材料が温度及び圧力を調節されてTダイ72に供給され、夫々の層が共押出しされることによって、これらが積層された転写用基材フィルム20とすることができる。
押出された直後の溶融状態の転写用基材フィルム20は、用意された支持体フィルム30と共にニップロール73に送られて貼合され、支持体層付き転写用基材フィルム14として巻き取りロール74に巻き取られてロール状の製品となる。
同様の方法で、支持体層付き転写用基材フィルム11、12、13についても製膜することができる。例えば、支持体層31を紙とし、支持体剥離層32をポリエチレンとして、押出しラミネーションによって貼合したものを支持体フィルム30とすることができる。これに、Tダイから押出される熱可塑性ウレタン基材層21の単独層からなる転写用基材フィルム20を貼合して支持体層付き転写用基材フィルム12を製膜することができる。
本発明の支持体層付き転写用基材フィルムを用いて、成型体の表面に図柄を転写する加飾方法について説明する。本発明の加飾方法は、熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる基材層21を少なくとも含む転写用基材フィルム20と、支持体層31を少なくとも含む支持体フィルム30とが、剥離可能に積層されてなる支持体層付き転写用基材フィルム11、12、13、14を用いて、成型体80の表面に図柄を転写する加飾方法であって、印刷工程、支持体層剥離工程、真空加圧熱転写工程、及び基材層剥離工程を、順に実施することを特徴としている。
図8は、本発明の真空転写フィルムを用いて成型体の表面に図柄を転写する加飾方法を示す説明図である。
図8により支持体層付き転写用基材フィルム14を用いて成型体80の表面に図柄を転写する加飾方法を具体的に説明する。
図8(1)は、本発明の製膜方法により得られた支持体層付き転写用基材フィルム14を示している。支持体層付き転写用基材フィルム14は、基材層21及び基材剥離層22からなる転写用基材フィルム20と、支持体層31、支持体剥離層32及びブロッキング防止層33からなる支持体フィルム30とで構成されている。支持体層付き転写用基材フィルム14は、基材剥離層22を備えているので、直ちに基材剥離層22の表面に図柄を印刷して、図柄層40を形成することができる。
図8(2)は図柄層40が形成された、すなわち、図柄を備える支持体層付き転写用基材フィルム14を示している。形成される図柄層40は、グラビア印刷やシルクスクリーン印刷等の方法で形成することができる。図柄を形成するインクには、顔料や染料からなる着色剤にバインダー等を混合したものが用いられる。図柄層40には、成型体80との接着性が必要となるが、インクの中にホットメルト系接着剤を混合して印刷により接着性を備える図柄層40とすることもできるし、又はインキ層及び接着剤層からなる図柄層40とすることもできる。
支持体層付き転写用基材フィルム14は、支持体層31を備えているので、図柄を印刷する際の位置合わせが容易で、精密な図柄を形成することができる。図柄層40が形成された支持体層付き転写用基材フィルム14は、次の支持体層剥離工程で支持体フィルム30が剥離される。また、必要であれば、図柄層40が形成された支持体層付き転写用基材フィルム14を、ロール状で一時的に保管することも可能である。
図8(3)に示すように、支持体フィルム30が剥離されることにより、図柄層40が形成された転写用基材フィルム20となり、これを用いて成型体80の表面を加飾することができる。図柄層40を備える転写用基材フィルム20は、真空加圧熱転写法により、成型体80の表面を加飾することができる。
図8(4)は、真空加圧熱転写工程において、図柄層40を備える転写用基材フィルム20が、成型体80の表面に密着されている状態を示す。熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる基材層21を主材料とする転写用基材フィルム20は、伸縮性が大きいので、真空加圧熱転写法により複雑な三次元形状を有する成型体の表面に図柄を転写することができる。すなわち、複雑な成型体の細部にまで追従する柔軟性を備えており、優れた転写性能を備えることになる。
図8(5)は、基材層剥離工程において、成型体80の表面から転写用基材フィルム20が剥離された状態を示している。成型体80表面には図柄層40のみが残された状態となり、成型体80は図柄層40によって加飾されたことになる。
なお、支持体層付き転写用基材フィルム11を用いて加飾を行う場合には、上記の印刷工程の前に、剥離を容易にするための表面処理を行う工程を付加することになるが、その他の工程は全て同様に行われることになる。この表面処理は、シリコーン系樹脂やワックス系樹脂を基材層21の表面に塗工することによりできる。
(IV)無電解めっき物を製造する方法
本発明の真空転写フィルムを用いて、
(1)前記転写フィルムの(C1)接着層又は(C2)粘着層を素地に貼り付ける工程、
(2)前記工程によって得られた貼り付け物に対して、前記素地に転写フィルムの(B)触媒層、及び(C1)接着層又は(C2)粘着層を残し、前記素地から(A)離型性を有する基材を剥離する工程、及び
(3)前記工程によって露出した(B)触媒層に対して、無電解めっきを行う工程を含み、
前記工程(1)が、真空転写により行われる製造方法により、無電解めっき物を製造することができる。
前記素地が、深絞り加工した形状の素地であることが好ましい。
本発明の真空転写フィルムを用いて、非導電性基材に触媒層(触媒組成物)、つまり無電解用めっき用皮膜を形成(露出)させることができる。その無電解めっき用皮膜層(触媒)が形成された非導電性基材に対して無電解めっきを行うことで、非導電性基材に滑らかな無電解めっき皮膜を形成させることができる。
素地に本発明の転写フィルムを張り付けて、その後、無電解めっき処理を行うことで、素地上に無電解めっきを形成することができる。
素地に露出した触媒層に対して、無電解めっきを行うことで、無電解めっき物を製造することができる。その無電解めっきにより、素地(成形品又は成型品)に意匠性を付与することができる。素地に、模様、文字、パターン状の絵柄等を表現するための層である。素地に、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字、ストライプ状、グラデーションの絵柄等を付与することができる。
(1)転写フィルムの(C1)接着層又は(C2)粘着層を素地に貼り付ける工程
真空転写技術により、真空転写フィルムの接着層又は粘着層を素地に貼り付ける。
素地(非導電性基材)
無電解めっきを施す対象物である。本発明で使用される素地は、特に限定されない。
素地として、プラスチック(樹脂)、ガラス、セラミックス等を用いることが好ましい。
プラスチックとして、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン等のポリオレフィン等を用いることが好ましい。
プラスチックとして、また、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンの共重合樹脂(ABS樹脂)等を用いることが好ましい。
プラスチックとして、更に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸エステル等のポリエステル;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリ塩化ビニル;ポリアミド;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリアセタール;ポリエーテルエーテルケトン;ノルボルネン骨格を有する環状ポリオレフィン;ポリフェニレンスルファイド;液晶ポリマー;変性ポリフェニルエーテル;ポリスルホン;フェノール;ポリフタルアミド(PPA);ポリアリレート等を用いることが好ましい。
セラミックスとしては、ガラス、アルミナ等が挙げられる。また、基材として不織布を使用する場合、木質繊維、ガラス繊維、石綿、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維、ポリオレフィン繊維等の不織布が挙げられる。
インモールド成形(成型)等の射出成形(成型)により製造する際に用いられる射出樹脂として、成形(成型)可能な熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂(2液硬化性樹脂を含む)を用いることが好ましい。
射出樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンの共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレンのコポリマー(共重合化合物)(AS樹脂)、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテフタレート(PBT)、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂を用いることが好ましい。
射出樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合は、2液硬化性ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂等を用いることが好ましい。
射出樹脂として、前記樹脂を単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
素地の形状としては、特に限定されない。例えば、板状(又はフィルム状)、不織布状(又は織布状)、糸状、金型で成形された各種形状、等のいずれであってもよい。
素地(非導電性基材)によって、触媒組成物(転写フィルムの触媒層)に含まれる溶剤、バインダー等を適宜選択することができる。
真空転写技術
本発明の真空転写技術を説明する。真空転写技術を用いて、真空転写フィルムの触媒層を非導電性基材(成形品)に貼り付けることができる。次いで、無電解めっき技術を用いて、その露出した触媒層に対して無電解めっきを行い、非導電性基材(成形品)を加飾することができる。電子機器のプリント配線板の製造では、本発明の真空転写フィルムを用いて無電解めっきを行うことで、金属配線回路を形成することできる。
本発明の真空転写フィルムを用いて、配線板(非導電性基材)に触媒層(触媒組成物)、つまり無電解用めっきを施すための皮膜をパターン形成(露出)させる。その無電解めっき用の皮膜(触媒層)が形成された配線板に対して、無電解めっきを行うことで、配線板に電子回路形成用の無電解めっき皮膜を形成させる。
真空転写技術では、プラスチック等の非導電性基材(成形品)の平面から円筒物等の3次曲面状の表面に、無電解めっき用皮膜(触媒層)を形成することができる。そして、無電解めっき用皮膜が形成された非導電性基材に対して、無電解めっき技術により、絵柄、金属調、パール、マット調等のデザインを付与する(加飾する)ことができる。
真空転写技術は有機溶剤による環境負荷の少ない加飾工法である。真空転写技術により、成形品に直接印刷することが難しい多色・写真分解柄の絵付けが容易である。転写加工時に溶剤等を使用しないため、作業環境の向上が図れる。設備の簡略化、生産性の向上が図れる。多種素材に対して柔軟な対応が可能である。
真空転写技術は、例えば家庭日用品、文具、化粧品、家電製品、金属配線回路等に適用することができる。
本発明の真空転写技術では、転写被基材(素地、非導電性基材、成形品等)に真空転写フィルムの触媒層側を接着させ、転写被基材に触媒層を定着させる工程、及び、触媒層が定着した転写被基材を洗浄し触媒層を露出させる工程を経ることで、真空転写技術(伸びる転写技術)により、素地(非導電性基材)に触媒層が設けられる。
触媒層は、素地に設けれ、無電解めっきを行うための層である。
次いで、その露出した触媒層に対して、無電解めっきを行う工程を経ることで、無電解めっき物を製造することができる。
本発明の真空転写フィルムを用い、真空転写技術により、非導電性基材に滑らかな無電解めっき皮膜を形成させることができる。
本発明の真空転写フィルムに支持層(ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等)を積層している場合、基材(熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)等)と剛直性を備える支持層とは剥離可能に積層されている。
本発明の真空転写フィルムを使用して、成型体に図柄や回路を形成する時は、先ず、基材の表面に、図柄又は回路の基になる層(これが触媒層である)を形成する印刷を行った後、次に、真空転写フィルムから支持層を剥離して除去し、次に、図柄又は回路が形成された真空転写フィルムを準備する。この図柄又は回路が形成された真空転写フィルム用いて、真空加圧熱転写法により成型体の表面に図柄又は回路を転写する。次に、成型体から真空転写フィルムを剥離し、無電解めっきの基になる図柄又は回路が転写された成型体を得ることができる。
本発明の真空転写フィルムの基材の表面に図柄又は回路(触媒層)を形成する印刷を行った後、支持層(PET層等)剥離されるので、基材と支持層は剥離可能に積層される。支持層は、従来から知られた方法によって表面処理をした後に基材を貼合することが好ましい。支持層にシリコーン系樹脂やワックス系樹脂を塗工することにより、支持層を剥離可能とすることができる。
成型体の表面に図柄又は回路の基となる層(触媒層)を転写した後に、基材(TPU層等)は成型体から剥離されるので、基材の表面に図柄又は回路の基となる層(触媒層)を印刷する前に、剥離を容易にするための表面処理を行ってもよい。基材の表面に、例えばシリコーン系樹脂やワックス系樹脂を塗工することにより、基材を剥離可能とすることができる。
本発明の真空転写フィルムでは、基材(TPU等)の上に図柄又は回路の基となる層(触媒層)を印刷する。真空転写フィルムに図柄又は回路の基となる層(触媒層)を印刷する際には、支持層(PET層)を有することにより、フィルムは剛直性を備えるので、容易に位置合わせを行って精密な図柄を形成することができる。そして、印刷された真空転写フィルムから支持層を剥離して除くことにより、図柄又は回路の基となる層(触媒層)を備える真空転写フィルムを調製することができる。
本発明の真空転写フィルムでは、基材が特に熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)を主材料とすることで、TPUは伸縮性が大きいので、真空加圧熱転写法により複雑な三次元形状を有する成型体の表面に図柄を転写することができる。即ち、複雑な成型体の細部にまで追従する柔軟性を備えることになり、優れた転写性能を備えることになる。
本発明の真空転写技術は、成型体の表面に、図柄又は回路の基となる層(触媒層)を転写する方法であって、真空加圧熱転写工程を含む。本発明の真空転写フィルムを用いて、真空加圧熱転写法により、成型体の表面に、図柄又は回路の基となる層(触媒層)を転写することができる。
真空加圧熱転写工程において、本発明の真空転写フィルムは、成型体の表面に密着される。本発明の真空転写フィルムは、基材が、特に熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)かを主材料とすることで、TPUは伸縮性が大きいので、真空加圧熱転写法により複雑な三次元形状を有する成型体の表面に図柄又は回路の基となる層(触媒層)を転写することができる。即ち、複雑な成型体の細部にまで追従する柔軟性を備えており、優れた転写性能を備えることになる。
真空加圧熱転写法は、複雑な3次元形状の成型体を対象に、負圧を利用し、高度な転写精度を有する。
真空加圧熱転写法は、処理槽内において、フィルムの一方の側を負圧とすることによりフィルムを成型体の表面に密着させ、この状態で熱転写を行う方法である。真空加圧熱転写法で使用する転写用フィルムの素材としては、成型体の複雑な形状に対応して追従することができるように、伸縮性の大きな熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)が用いることが好ましい。
真空転写処理は、箱状の処理槽内で行われる。処理槽は、槽本体の上部に槽蓋体を密着させることにより内部を密閉することができる。槽本体には成型体(被転写体)を載置するためのセット台が設けられる。
槽本体の内部は、真空ポンプによって負圧状態とすることができる。負圧とすることにより転写用フィルムを素地(成型体)の表面に押し当てて密着させた状態とすることができる。槽蓋体の内部には、転写用フィルムを加熱する赤外線ヒータが設けられており、加熱することによって転写用フィルムに形成された図柄を成型体の表面に転写することができる。
図9は、真空加圧熱転写を行う転写装置の概略断面図である。
図9により転写処理を行う装置を説明する。転写処理は箱状の処理槽50内で行われる。処理槽50は、槽本体51の上部に槽蓋体52を密着させることにより内部を密閉することができる。槽蓋体52は駆動装置62によって上下に移動され、処理槽50を開閉することができる。槽本体51には成型体(被転写体)80を載置するためのセット台55が設けられ、このセット台55は駆動装置61によって上下に移動することができる。
槽本体51の内部は、真空ポンプ63によって負圧状態とすることができる。負圧とすることにより転写用フィルム90を成型体80の表面に押し当てて密着させた状態とすることができる。槽蓋体52の内部には、転写用フィルム90を加熱する赤外線ヒータ64が設けられており、加熱することによって転写用フィルム90に形成された図柄を成型体80の表面に転写することができる。
熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)を使用した基材は、伸縮性が大きいために真空加圧熱転写法に適している。処理槽を密閉状態とし、槽本体側及び槽蓋体側を真空ポンプにより負圧状態とした後に、槽蓋体側を再び大気圧に戻すか又は加圧状態とすることによって、転写用フィルムを素地(成型体)の表面に密着させることができる。
熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)を使用した基材は、TPUは伸縮性が非常に大きいので、素地(成型体)の上側から下側に向かって転写用フィルムを巻き付かせて、表面を完全に覆い尽くすことが可能である。このように複雑な3次元形状を有する素地(成型体)の表面に図柄又は回路の基となる層(触媒層)を形成する場合、TPUからなる基材を備える真空転写フィルムは、優れた転写性を発揮することができる。
真空転写技術により、3次曲面を有する成型品(プラスチック等の非導電性基材)の表面に、無電解めっき用皮膜(触媒層)を形成することができる。そして、無電解めっき用皮膜が形成された非導電性基材(成型品)に対して、無電解めっき技術により、3次曲面状の表面に様々な意匠性の高いデザインを、位置精度良く施す(加飾する)ことができる。真空転写技術は、成形品に対する絵柄の位置精度に優れている。
真空転写技術は、例えば、通信機器、弱電機器、自動車部品、家庭日用品、レジャー用品、金属配線回路等に適用することが可能である。
(2)工程(1)によって得られた貼り付け物に対して、素地に転写フィルムの(B)触媒層、及び(C1)接着層又は(C2)粘着層を残し、前記素地から(A)離型性を有する基材を剥離する工程
転写フィルムの離型性を有する基材(基材シート、剥離部分)を剥離することにより、触媒層が露出した成型品を得ることができる。
(3)工程(2)によって露出した(B)触媒層に対して、無電解めっきを行う工程
無電解めっき処理
触媒層(触媒膜)が形成された素地に対して、無電解めっきを行うことで、基材の上にパターンめっきを形成することができる。触媒層が形成された素地は、金属を析出させるためのめっき液と接触し、これにより無電解めっき皮膜が形成される。
触媒組成物(転写フィルム)によって形成された触媒層は、無電解めっきの反応性がよく、得られた無電解めっき皮膜はむらがなく、密着性及び外観性に優れる。
めっき液は、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば特に限定されない。めっき液として、例えば、銅、金、銀、ニッケル等を用いることが好ましい。めっき液として、触媒層(触媒膜)との関係から、銅又はニッケルを含むめっき液を用いることが好ましい。
めっき条件は、常法に従うことができる。触媒層(触媒膜)は無電解めっきの反応性が非常に良好であるため、めっき液の還元剤濃度やアルカリ成分濃度を高める必要がない。そのため、めっき液の寿命が長持ちするだけでなく、触媒層のパターン通りにめっきが選択的に析出される。即ち、触媒組成物(転写フィルム)から形成される触媒(触媒膜)は、パターン形成能に優れる。
めっき皮膜の厚みは、加飾用途の場合、素地に良好な意匠性を付与することができること等から、0.05〜10μm程度が好ましく、0.1〜6μm程度がより好ましく、0.2〜4μm程度が更に好ましく、0.3〜2μm程度が特に好ましい。めっきにより、素地に目的とする意匠を表現することができる。
無電解めっき処理で、無電解銅めっき浴を用いる場合、その処理温度は25〜65℃程度が好ましく、その処理時間は10〜20分程度が好ましい。この無電解めっき処理により、0.3〜1μm程度の析出膜厚を形成することができる。
無電解めっき処理で、無電解ニッケルボロン浴を用いる場合、その処理温度は55〜70℃程度が好ましく、その析出速度は5μm/hr(60℃)程度が好ましい。
無電解めっき処理で、無電解ニッケルりん浴を用いる場合、その処理温度は30〜95℃程度が好ましく、その析出速度は浴温30℃においては3μm/hr程度、90℃においては20μm/hr程度が好ましい。
触媒組成物(転写フィルム)を用いて、素地上にめっきを形成する技術は、パターンめっきを対象とすることが好ましい。転写フィルムを全面めっきに使用しても良い。
加飾を目的とする場合、無電解めっきの後、電解銅(Cu)めっき、半光沢ニッケル(Ni)めっき、光沢ニッケル(Ni)めっき、クロム(Cr)めっき等の一般的なプロセスを用いることが好ましい。
加飾処理で、電解銅(Cu)めっき浴を用いる場合、その処理温度は20〜60℃程度が好ましく、電流密度は1〜10A/m2程度が好ましく、処理時間は10〜60分程度が好ましい。この加飾処理により、5〜40μm程度の析出膜厚を形成することができる。
加飾処理で、半光沢ニッケル(Ni)めっき浴を用いる場合、その処理温度は45〜55℃程度が好ましく、電流密度は1〜10A/m2程度が好ましく、処理時間は10〜60分程度が好ましい。この加飾処理により、5〜20μm程度の析出膜厚となる。
加飾処理で、光沢ニッケル(Ni)めっき浴を用いる場合、その処理温度は45〜55℃程度が好ましく、電流密度は1〜10A/m2程度が好ましく、処理時間は10〜60分程度が好ましい。この加飾処理により、5〜20μm程度の析出膜厚となる。
加飾処理で、クロム(Cr)めっき浴を用いる場合、その処理温度は40〜60℃程度が好ましい。電流密度は10〜60A/m2程度が好ましい。処理時間は1〜5分程度が好ましい。Crめっき浴を用いる加飾処理により、0.1〜0.3μm程度の析出膜厚となる。
(V)無電解めっき皮膜及び前記皮膜を載せた成形品
本発明の転写フィルムを用いると、特に、曲面が大きい素地に対して良好にめっきをすることが可能であり、曲面が大きい素地の両面に対して良好にめっきをすることも可能である。
本発明の転写フィルムの触媒層を素地(非導電性基材、プラスチック(樹脂)等)に塗布し、触媒層(触媒膜)を形成し、無電解めっきを行う。これにより、パターンめっき又は部分めっきされた無電解めっき皮膜を形成することができる。無電解めっき皮膜を載せた成形品(被めっき物)は、めっき皮膜の密着性に優れる。非導電性基材に滑らかなめっき皮膜(無電解めっき皮膜又は電解めっき皮膜)を形成させることができる。成形品は、例えば、携帯電話、パソコン、冷蔵庫等の電化製品の筐体;エンブレム、スイッチベース、ラジエータグリル、ドアハンドル、ホイールカバー等の自動車用部品等に使用することができる。
本発明の転写フィルムを用いると、素地上に、パターンめっきを行う無電解めっきにおいて、無電解めっきの反応性が高く、クロムめっきとの優れた密着性と装飾用めっきの優れた平滑性を発現することができる。その無電解めっきでは、パターンの拡がりを抑え、良好に部分めっきをすることが可能である。
触媒組成物(転写フィルム)を用いると、無電解めっきの反応性を向上させる目的で、無電解めっきにおける還元剤の濃度を高める必要が無く、また無電解めっきの反応温度を上げる必要もない。更に、また有害な物質によるエッチング工程、煩雑な触媒付与工程等を必要としない。
無電解めっきの反応性及び密着性向上のメカニズム
素地(非導電性基材)に形成された触媒組成物(触媒層)の無電解めっきの触媒作用を持つ金属粒子(Pd粒子)と、無電解めっき液とが接触する。この現象により、触媒層(触媒膜)の表面から膜内部の深いところに存在する金属粒子(Pd粒子等)により無電解めっき液中の金属イオンが還元され、還元された金属が根をはうように膜内部から析出するため、触媒層(触媒膜)とめっき膜との高い密着性が得られる。
触媒組成物は、特にABS等の素地(非導電性基材、プラスチック等)を対象とする時に、無電解めっきの反応性が高く、めっきまでの多層めっきに耐え得る良好な密着性を実現できる。ABS等の素地と触媒組成物との密着メカニズムを説明する。触媒組成物に含まれる溶媒(溶剤)成分により、素地表面が浸食され、触媒組成物のバインダー成分が基材に入り込み、素地と相溶し混成層を形成する。ABS樹脂に含まれるブタジエンゴムが溶解し、膨潤するので、触媒組成物のバインダー成分が基材に入り込む。
本発明の真空転写技術(伸びる転写技術)は、非導電性基材に対して、従来不可能とされた3次元曲面、穴あき成形品、緩やかな凹凸面へのめっき(加飾)が可能である。ハードコート等の機能性材料と組み合わせることで、商品の付加価値を高めることができる。
本発明の真空転写技術(伸びる転写技術)は、工程の簡略化によりコストダウンが図れる。省エネ、省スペースが図れ、作業環境の改善に繋がる。伸びる転写技術は、非導電性基材(成型品)に対して、3次曲面状の表面に様々な意匠性の高いデザイン(めっき)を、位置精度良く施す(加飾する)ことができる。
本発明の真空転写フィルムを用いると、素地上にパターンめっきを行うめっきにおいて、無電解めっきの反応性が高く、優れた密着性と装飾用めっきの優れた平滑性を発現することができる。そのめっきでは、パターンの拡がりを抑え、良好に部分めっきをすることが可能である。
本発明の真空転写フィルム(伸びる転写フィルム)を用いると、無電解めっきの反応性を向上させる目的で、無電解めっきにおける還元剤の濃度を高める必要が無く、また無電解めっきの反応温度を上げる必要もない。更に、また有害な物質によるエッチング工程、煩雑な触媒付与工程等を必要としない。
電子機器のプリント配線板や3次元筐体が、より大きな(複雑な)3次曲面状の表面や、より深い3次曲面状の表面を有する筐体への金属配線回路の形成に、本発明の転写フィルムを用いて、無電解めっきを行うことができる。本発明の真空転写フィルムを用いて、配線板(非導電性基材)に触媒層(触媒組成物)、つまり無電解用めっきを施すための皮膜をパターン形成(露出)させる。その無電解めっき用の皮膜(触媒層)が形成された配線板に対して、無電解めっきを行うことで、配線板に電子回路形成用の無電解めっき皮膜を形成させる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
(1)インク(転写フィルム用触媒組成物)
Pd複合体含有液(Pd分12.75wt%、株式会社イオックス社製):1.96g、
塩ビ-酢ビ樹脂(固形分10wt%、DICグラフィックス社製):9.0g、及び
NMP/ターピネオール/シクロヘキサノン 混合溶剤(溶媒)を、
Pd濃度が4,500ppm(0.45重量%)になるように混合して、インクジェット用金属めっき転写フィルム用触媒組成物を作製した。
(2)無電解めっき用伸びる転写フィルムの形成
支持層付き真空転写フィルムを作製した。
真空転写フィルムの作製
基材:熱可塑性ポリウレタン(TPU)、厚み50μm
支持層:ポリエチレンテレフタレート(PET)、厚み38μm
押し出し法により、基材上に、離型層(剥離層)を形成した。
真空転写用フィルム(PET/PU貼り合せ)を作製した。
印刷
インクジェット印刷機(株式会社アミント)を用いて、上記(1)で得られた金属めっき転写フィルム用触媒組成物を、真空転写用の伸びる転写フィルム(熱可塑性ポリウレタン樹脂)のTPU上にパターン印刷した。
次いで、転写基材に応じて、バーコーターを用いて、接着剤を塗布した。
次いで、乾燥用オーブン内で、パターン印刷し、接着剤を塗布したフィルムを、70℃、5分間、乾燥させた。
次いで、真空転写フィルムから支持層のPETフィルムを剥がした。
(3)真空転写(伸びる転写)
真空加圧転写機を用いて、真空転写フィルムを素地に真空転写させた。
真空転写装置を用いて、真空転写フィルムの裏面側を真空に減圧した。裏面側の圧力が低下した真空転写フィルムは、大気圧である表面側の圧力で押圧されて、素地(被転写体)の表面に密着された。
次いで、真空転写後の真空転写フィルムから、表面のPUフィルムを剥がした。
パターン転写
(実施例1)上記(2)で得られた(インクジェット方式によりパターン印刷された金属メッキ用伸びる)転写フィルムを成型物(ABS樹脂成形品)に転写した。
(実施例2)実施例1と同様に、PC(ポリカーボネート)に転写した。
回路形成
(実施例3)裏面転写基材のPC(ポリカーボネート)内面に回路を転写した。
(4)無電解めっき
真空転写加工後の素地で、露出した触媒層に対して、無電解めっきを行った。
無電解Cuめっき浴及び無電解Niめっき浴条件
無電解銅(Cu)めっき浴は、奥野工業株式会社製HFSを用いた。初期Cu濃度を2.5g/Lとし、浴容積を1,000mLとし、浴温度を40℃とした。
無電解ニッケル(Ni)めっき浴は、上村工業株式会社製BEL-18を用いた。初期Ni濃度を6g/Lとし、浴容積を1,000mLとし、浴温度を60℃とした。
無電解めっき性の評価は次の通りである。
○:5分間めっき無電解めっきを行い、めっき浴に浸漬直後から良好な金属析出が起こり、銅(Cu)又はニッケル(Ni)のめっき皮膜が形成できた場合。
△:金属析出反応は起こるが、全面に均一なめっき被膜が形成できなかった場合。
(5)導電率測定
回路形成
上記実施例3で裏面転写基材のPC内面に回路を転写した。Crenova社製のMS8233Dテスターを用いて、伸びる転写で得られた無電解めっき転写回路の表面抵抗を、めっきパターン又はめっき皮膜面の電極10mm間の電気抵抗を測定した。
いずれの場合も電気抵抗値は0.0Ωを示した。また、PC基材局面内側に転写し、めっきした局面(局率大)も0Ωを示した。
11、12、13、14支持体層付き転写用基材フィルム
20 転写用基材フィルム(21+22(22a+22b))
21 基材層
22a 第1層(基材剥離層)
22b 第2層(基材剥離層)
22 基材剥離層
30 支持体フィルム(31+32+33)
31 支持体層
32 支持体剥離層
33 ブロッキング防止層

Claims (13)

  1. (A)離型性を有する基材上に、少なくとも(B)触媒層、及び、(C1)接着層又は(C2)粘着層が順に積層されてなる無電解めっき用転写フィルムであって、
    前記(B)触媒層が、(1)金属粒子と分散剤との複合体、(2)溶媒、及び(3)バインダーを含有する触媒組成物からなり、前記金属粒子が、パラジウム粒子、金粒子、銀粒子又は白金粒子であり、
    前記転写が、真空転写である、無電解めっき用転写フィルム。
  2. 前記触媒組成物の(1)複合体の分散剤が、ポリカルボン酸系高分子分散剤、ヒドロキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤及びカルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の分散剤である、請求項1に記載の無電解めっき用転写フィルム。
  3. 前記触媒組成物の(2)溶媒が、水;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド;ジメチルスルホキシド及びγ-ブチロラクトンからなる群から選ばれる非プロトン性極性溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-ブチルアルコール及びイソブチルアルコールからなる群から選ばれるアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール及びシクロヘキサノンからなる群から選ばれるケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテル及びエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選ばれるグリコールエーテル類;安息香酸メチル、安息香酸エチル及びサリチル酸メチルからなる群から選ばれる芳香族カルボン酸エステル類;トルエン及びキシレンからなる群から選ばれる芳香族炭化水素類;n-へキサン、n-へプタン及びミネラルスピリットからなる群から選ばれる脂肪族炭化水素類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート及びブチルカルビトールアセテートからなる群から選ばれるグリコールエーテルエステル類;酢酸エチル及び酢酸ブチルからなる群から選ばれるアルカノールエステル類;2-フェノキシエタノール、からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、請求項1又は2に記載の無電解めっき用転写フィルム。
  4. 前記触媒組成物の(3)バインダーが、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、エステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、アミドイミド樹脂、シェラック樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のバインダーである、請求項1〜3のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルム。
  5. 前記(A)離型性を有する基材が、伸縮性を有するフィルムからなる基材である、請求項1〜4のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルム。
  6. 前記伸縮性を有するフィルムを構成する樹脂が、ポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル及びゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項5に記載の無電解めっき用真空転写フィルム。
  7. 前記(A)離型性を有する基材が、メラミン樹脂系剥離剤、シリコーン系剥離剤、フッ素樹脂系剥離剤、セルロース樹脂系剥離剤、尿素樹脂系剥離剤、ポリオレフィン樹脂系剥離剤、パラフィン系剥離剤及びアクリル樹脂系剥離剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の剥離剤からなる剥離層を含む基材である、請求項1〜6のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルム。
  8. 前記(C1)接着層が、アクリル系接着剤、ポリスチレン系接着剤、ポリアミド系接着剤、ユリア系接着剤、メラミン系接着剤、フェノール系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、EVA樹脂系エマルジョン及びアクリル樹脂系エマルジョンからなる群から選ばれる少なくとも1種の接着剤からなる接着層であり、又は
    前記(C2)粘着層が、アクリル系粘着剤、ポリスチレン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤及びゴム系粘着剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の粘着剤からなる粘着層である、請求項1〜7のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルム。
  9. 前記無電解めっき用転写フィルムの(A)離型性を有する基材側に、更に、(D)支持層が積層されている、請求項1〜8のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルム。
  10. 前記転写が、深絞り加工した形状の素地に対する真空転写である、請求項1〜9のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルムを製造する方法であって、
    (1)基材上に離型性を有する層を形成し、(A)離型性を有する基材を作製する工程、
    (2)前記基材の離型性を有する層側に、触媒組成物を塗布し、(B)触媒層を設ける工程、及び、
    (3)前記(B)触媒層上に、(C1)接着層又は(C2)粘着層を設ける工程
    を含む、無電解めっき用転写フィルムの製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の無電解めっき用転写フィルムを用いて無電解めっき物を製造する方法であって、
    (1)前記転写フィルムの(C1)接着層又は(C2)粘着層を素地に貼り付ける工程、
    (2)前記工程によって得られた貼り付け物に対して、前記素地に転写フィルムの(B)触媒層、及び(C1)接着層又は(C2)粘着層を残し、前記素地から(A)離型性を有する基材を剥離する工程、及び
    (3)前記工程によって露出した(B)触媒層に対して、無電解めっきを行う工程を含み、
    前記工程(1)が、真空転写により行われる、
    無電解めっき物の製造方法。
  13. 前記素地が、深絞り加工した形状の素地である、請求項12に記載の無電解めっき物を製造する方法。
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