JP2016210701A - 経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤 - Google Patents

経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤 Download PDF

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Abstract

【課題】唾液分泌促進剤を、副作用が発現する濃度の範囲まで血中濃度を上昇させることなく、長時間にわたって目的の作用を奏功する有効血中濃度や有効組織濃度の範囲とすることが困難であるという問題があった。
【解決手段】ムスカリン受容体作動薬を含有する、経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、唾液分泌促進剤に関する。より詳細には、本発明は、有効成分を皮膚表面から吸収させて大唾液分泌腺に送達する経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤に関する。
唾液は主に耳下腺、顎下腺、舌下腺などの唾液腺から分泌されており、1日の唾液分泌量は成人で約500−600ミリリットルと報告されている。唾液は、消化液として作用するほか、口腔粘膜の乾燥を防ぐことによる保護や洗浄、口腔から侵入する微生物の殺菌作用、う蝕の予防、食物摂取の易化の作用を有することが知られている。大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)のほかに口腔粘膜下のいたるところに小唾液腺が存在する。
一般的に、安静時10分間での唾液分泌量が1mL以下の場合に、唾液分泌低下があると考えられ、唾液分泌量が50%程度まで減少すると口腔乾燥症の自覚症状が生じると言われている。短期間の発症では口腔内乾燥による不快感、咀嚼障害、味覚異常のような症状を生じ、また発症が長期間に及ぶ場合にはう蝕、歯周病、舌苔、口臭、口内炎、舌痛症、嚥下障害、構音障害などの重度の症状を生じ、QOLの低下を引き起こす。また、シェーグレン症候群が口腔乾燥症を伴うことが知られおり、その診断基準のひとつに唾液分泌量低下(ガムテスト10分間で10mL以下、またはサクソンテスト2分間2g以下)があり、かつ唾液腺シンチグラフィーにて機能低下の所見が定められている。
従来、口腔乾燥症に対しては、ピロカルピン塩酸塩やセビメリン塩酸塩などのムスカリン受容体作動薬を有効成分とする内服薬が販売されている。
非特許文献1および2には、ピロカルピンは内服することで唾液分泌促進作用があることが報告されている。
特許文献1ならびに非特許文献3および4には、セビメリンは内服することで唾液分泌促進作用があることが報告されている。
特許第2683783号
丸山和容ら、「口腔乾燥症改善薬塩酸ピロカルピンの薬理学的特徴及び臨床試験成績」日薬理誌, 127, 399-407, 2006. 菅井 准ら、「シェーグレン症候群の口腔乾燥症に対するピロカルピン塩酸塩経口剤の長期投与試験」薬理と治療, vol.35, supplement 2007. 市川 陽一ら、「シェーグレン症候群の口腔乾燥症状に対するSNI-2011とプラセボとの二重盲検法間比較試験」診断と新薬, 38(4), 349-368(2001). Iga Y ら、「SNI-2011 induces saliva and tear secretions in rat and mice;The role of muscarinic acethylcholine receptors.」, Jpn. J. Pharmacol., 78, 373-380(1998).
しかしながら、これらの有効成分を内服薬として服用して有効に作用させようとすると、内服後に消化管から体内に取り込まれ血中に循環させた後に唾液腺に送達しなければならず、また、有効成分の血中濃度および組織濃度が急激に上昇したあと急激に降下するため副作用が発現する濃度の範囲まで血中濃度が上昇し、また、目的の作用を奏功する有効血中濃度や有効組織濃度の範囲にとどまる時間が短くなるという問題があった。
そのため、内服薬投与による療法では、副作用発生の回避が困難となり、また、効果の持続時間が短いために服用頻度を多くする必要があった。
本発明者らは、長時間にわたって有効成分の血中濃度を副作用が発現する濃度未満に抑制しつつ唾液腺組織濃度を有効組織濃度に到達させることを目的として鋭意検討した結果、特定の可溶化剤に溶解した有効成分を大唾液腺表面皮膚から経皮投与することによりかかる課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]ムスカリン受容体作動薬を含有する、経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤;
[2]ムスカリン受容体作動薬の配合量が唾液分泌促進剤の全重量に対して0.1〜50重量%である、上記[1]記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤;
[3]可溶化剤として1,3−ブチレングリコールを含む、上記[1]または[2]記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤;
[4]ムスカリン受容体作動薬がピロカルピン、セビメリンおよび製薬学的に許容されるそれらの塩から選択される、上記[1]〜[3]のいずれか1に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤;
[5]リニメント剤、ローション剤、外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤、軟膏剤、クリーム剤およびゲル剤よりなる群から選択される剤形である、上記[1]〜[4]のいずれか1に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤;
[6]テープ剤およびパップ剤よりなる群から選択される剤形である、上記[1]〜[4]のいずれか1に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤;
[7]ムスカリン受容体作動薬を含有する、口腔乾燥症改善用の経皮吸収型唾液腺局所投与製剤;
[8]口腔乾燥症状改善用の経皮吸収型唾液腺局所投与製剤を製造するための、ムスカリン受容体作動薬の使用;
[9]経口投与する場合に比べて唾液分泌を長時間持続させることを特徴とする、上記[1]〜[6]のいずれか1に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤;
[10]経口投与する場合に比べて発汗および/または胃腸障害が抑制されることを特徴とする、上記[1]〜[6]のいずれか1に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤;
[11]ムスカリン受容体作動薬の徐放作用を特徴とする、上記[1]〜[6]のいずれか1に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤;
[12]1日あたり1回適用する、上記[1]〜[6]のいずれか1に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤
を提供する。
本発明によれば、副作用が抑制され、長時間にわたって効果が持続し、それにより投与頻度を少なく抑えられる薬剤により、口腔内乾燥症およびそれから派生する二次的な疾患および症状の発症を予防または治療することができる。
種々のピロカルピン製剤投与経路によるラット唾液分泌量の経時的変化を示すグラフである。
本発明は第1の態様において、経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤を提供する。
本発明の唾液分泌促進剤は、ムスカリン受容体作動薬と1,3−ブチレングリコールを含有する。
ムスカリン受容体作動薬は、アセチルコリン受容体に属する代謝調節型のムスカリン受容体に作用する薬剤であり、M1〜M5の受容体サブタイプに非選択的に作用する薬剤とそれぞれに選択的に作用する薬剤が存在する。大唾液腺の細胞にはムスカリン受容体(M3)が発現しており、唾液はこの受容体を介して分泌されている。
本発明の唾液分泌促進剤に使用するムスカリン受容体作動薬は、M1〜M5の受容体サブタイプに非選択的または選択的に作用してムスカリン受容体を活性化させることができる成分であり、例えば、M3受容体受容体に作用するピロカルピン、セビメリン、アセチルコリン、カルバコール、ベタネコール、メタコリン、アセクリジン、タルサクリジン、アレコリンおよび製薬学的に許容されるそれらの塩などが挙げられる。製薬学的に許容される塩としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、酒石酸などの無機酸もしくは有機酸の塩;ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩;カルシウムなどのアルカリ土類金属塩;アンモニア、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機アンモニウム塩などが挙げられる。このなかでも、ピロカルピン若しくはセビメリンが好ましく、さらにはピロカルピン塩酸塩若しくはセビメリン塩酸塩が最も好ましい。ムスカリン受容体作動薬の含有量は、唾液分泌促進剤の重量に対して0.1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは3〜40重量%である。
本発明の唾液分泌促進剤を軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤といった塗布剤として適用する場合には、ムスカリン受容体作動薬の含有量は、唾液分泌促進剤の重量に対して0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%である。テープ剤またはパップ剤といった貼付剤として適用する場合には、ムスカリン受容体作動薬の含有量は、唾液分泌促進剤の重量に対して1〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜40重量%である。
また、本発明の唾液分泌促進剤に可溶化剤として使用する1,3−ブチレングリコールは、上記したムスカリン受容体作動薬および他の成分を溶解または分散し、かつ、皮膚表面に適用した場合に大唾液腺を長時間にわたって刺激できる媒体であり、例えば1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。一方、エタノール、グリセリンおよび1,3-プロパンジオールを1,3−ブチレングリコールの配合量よりも多く配合すると1,3−ブチレングリコールのもつ経皮吸収促進効果を阻害する可能性があることから好ましくない。人体に適用する製剤におけるエタノール、グリセリンおよび1,3-プロパンジオールの合計量は、1,3−ブチレングリコールの配合量よりも少ないことが好ましく、2分の1以下の量であることがより好ましく、10分の1量以下であることが最も好ましい。
また、本発明の唾液分泌促進剤に使用する可溶化剤は、上記した1,3−ブチレングリコールのほか、静置型フランツセルを用いた透過性試験においてムスカリン受容体作動薬の長時間にわたる透過性(持続性)が認められた可溶化剤とすることができる。好ましくは、37℃に保温した静置型フランツセルに装着したMerck Millipore社製Strat−MTMをムスカリン受容体作動薬が24時間一定の速度で透過させるができる可溶化剤とすることができる。
静置型フランツセルおよびStrat−MTMは、薬剤経皮吸収性のin vitro評価で使用することが確立されている器具である(Biopharm. Drug Disps. 33:pp.218-228 (2012)、Pharmazie, 66:pp.849-852 (2011))。
本発明の唾液分泌促進剤は、大唾液腺表面の皮膚から経皮投与することを特徴とする。詳しくは、大唾液腺には、顎の奥の喉付近にある顎下腺、舌の付け根の真下付近にある舌下腺および、もみあげの下部付近から耳たぶ周囲付近にある耳下腺の3つが存在する。効果的に薬剤を大唾液腺に投与する方法として、顎下腺および舌下腺に適用する場合は顎の下部と下顎骨の下顎角付近から首にかけての皮膚、耳下腺に適用する場合はもみ上げの下付近から耳たぶの周囲にかけての皮膚に本願発明の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤を貼付もしくは塗布する。中でも顎下腺および舌下腺付近の皮膚に適用すると、シェーグレン症候群や唾液腺腫瘍の場合に他部位への適用に比べ有効に作用させる可能性が高いことからより好ましい。
本発明の唾液分泌促進剤は、リニメント剤、ローション剤、外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤、軟膏剤、クリーム剤およびゲル剤などの経皮投与用の剤形とすることができる。また、本発明の唾液分泌促進剤は、テープ剤およびパップ剤などの経皮投与用の剤形とすることができる。
貼付して使用する剤形であるテープ剤およびパップ剤は、薬剤浸透の観点で他剤形と比較し長時間にわたり効果を持続させるという利点があるが、大唾液腺表面皮膚、とくに耳下腺や顎下腺付近の皮膚に貼付した場合、貼付物が他人の目に入り易く目立つため、外出時など人目が気になる状況においては使い勝手が悪い。一方で、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤といった塗布剤は、塗布後の滞留性は貼付する場合には劣るものの、外出時に目立たずに適用することができるという利点がある。両方の剤形があることで、たとえば就寝時と外出時など、生活スタイルに合わせて異なる製剤を選ぶことが可能となる。
また、本発明の唾液分泌促進剤には、上記した剤形に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、医薬品または医薬部外品に通常使用される基剤、基剤マトリックス、油剤、界面活性剤、増粘剤、樹脂成分、湿潤剤などの任意の成分を含有させることができる。
基剤の例としては、ワセリン、パラフィン、シリコーン、プラスチベース、親水ワセリン、精製ラノリン、加水ラノリン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカントゴム、グアガム、キサンタンガム、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、乳酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、スクアレン、スクアラン、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体、ポリイソブチレン、生ゴム、ポリイソプレン、ポリブテンなどが挙げられる。
また、油剤の例としては、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、イソステアリン酸、オレイン酸、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、モノステアリン酸グリセリル、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、乳酸ラウリル、オレイン酸オレイル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、モノカプリル酸グリセリン、モノイソオクタン酸エチレングリコールアーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ハッカ油、ダイズ油、ゴマ油、シンク油、綿実油、トウモロコシ油、サフラワー油、ヤシ油、ユーカリ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、大豆レシチン、スクワレン、dlまたはl−メントール、l−メントン、リモネン、ピネン、ピペリトン、テルピネン、テルピノレン、テルピノール、カルベオール、dl−カンフル、N−メチル−2−ピロリドン、流動パラフィンなどが挙げられる。
また、界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤および両イオン性界面活性剤を用いることができる。例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩などのアニオン性界面活性剤;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化オレイルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどのノニオン性界面活性剤;モノアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、モノ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−脂肪酸アシル―N―カルボキシメチル―N―ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、ジメチルアルキルグリシン、レシチンなどの両イオン性界面活性剤が挙げられる。
また、増粘剤または樹脂成分の例としては、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレン−アクリル酸共重合体、ビニルピロリドン系ポリマー、ビニルアルコール−ビニルピロリドン共重合体、アクリルアミド系ポリマー、アクリル酸メタクリル酸共重合体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリアクリルアミド、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、セルロースエーテル、カチオン化グアガム、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、カラギーナン、グアガム、アラビアガム、カラヤガム、トラガカントガム、ジェランガム、セルロース、結晶セルロース、アルギン酸、デキストランなどが挙げられる。なお、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸ナトリウムなどの水性高分子化合物を使用する場合は、架橋反応し得るアルミニウム化合物として活性アルミナ、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウムなどを使用することができる。また、脂溶性高分子化合物としては天然ゴム、イソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、ロジン、ポリブテン、ラノリン、ワセリン、プラスチベース、ミツロウ、固形パラフィンなどを使用することができる。
湿潤剤の例としては、アクリル酸デンプン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、メタノール、イソプロピルアルコールなどの脂肪族アルコール類;オクタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、D−ソルビトールなどの脂肪族多価アルコール類;ベンジルアルコールなどの芳香脂肪族アルコール類;トリメチルグリシンなどが挙げられる。
酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸、パルミチン酸アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸4ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、dl−α−トコフェロール、ジクロルイソシアヌル酸カリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、大豆レシチン、ピロ亜硫酸ナトリウム、ベンゾトリアゾール、ペンタエリスリル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、没食子酸プロピル、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
本発明の唾液分泌促進剤は、前記した経皮投与に適した剤形に周知の技術を用いて製剤化することができる。
本発明の唾液分泌促進剤は、耳下腺、顎下腺または舌下腺などの大唾液腺付近の皮膚表面に適用して投与する経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤である。本発明の唾液分泌促進剤中のムスカリン受容体作動薬は大唾液腺を直接刺激することにより、ムスカリン受容体作動薬の血中濃度を抑えつつ大唾液腺における有効組織濃度を達成することができる。したがって、本発明の唾液分泌促進剤は、多汗や胃腸障害などの副作用の発現を抑えつつ大唾液腺に局所的かつ長時間にわたって奏功して、唾液の分泌量を増加させることができる。
本発明の唾液分泌促進剤は、1日当たり1回、所定の身体部位の皮膚に適用する。従来の服用する型の唾液分泌促進剤は血中で全身循環した一部が唾液腺を刺激して唾液の分泌を促進していたが、本発明の唾液分泌促進剤は実質的に血中を経ることなく大唾液腺に局所的に到達するため、適用した唾液分泌促進剤が効率的に大唾液腺を刺激することができ、効力に持続性がある。
試験例1
可溶化剤のスクリーニング
ヒト皮膚モデル膜(商品名Strat-M、Merck Millipore)を装着した静置型フランツセル(拡散面積約0.636cm2)を用いて、種々の可溶化剤によるムスカリン受容体作動薬のin vitro皮膚透過性試験を行った。37℃に保温したフランツセルのレシーバー相(容量約15mL)に、レシーバー液(生理食塩水)を満たした。ヒト皮膚モデル膜をフランツセルのジョイント部にセットし、中央部に種々の可溶化剤で調製したムスカリン受容体作動薬、ピロカルピン塩酸塩(1%(w/w)、200μL)をドナー相に添加し、フランツセル内を37℃に保ち、試験を開始した。経時的に一定量のレシーバー液をサンプリングし、同量のレシーバー液(生理食塩水)を補充した。採取したレシーバー液に含まれるピロカルピンの量を高速液体クロマトグラフィー(機器名:Alliance HPLC system(Waters)、カラム:Chromolith Performance RP-18e(Merck Millipore)、温度:25℃、溶離:リン酸バッファー(pH=3)/メタノール=980/20、検出条件:214 nm)で測定した。24時間後に透過した結果を以下の表1に示す。
Figure 2016210701
*2回測定の平均値
表1に示すように、可溶化剤のうち1,3-ブチレングリコールはピロカルピンを透過させたが、精製水、エタノールおよび濃グリセリンは透過させることができないことが示された。
試験例2
2価アルコールの透過性試験
可溶化剤として下記の2価アルコールを用いる以外は試験例1と同様にして、種々の可溶化剤によるムスカリン受容体作動薬のin vitro皮膚透過性試験を行った。24時間後に透過した結果を以下の表2に示す。
Figure 2016210701
表2に示すように、類似するアルキル鎖長を有する2価アルコールの中でも1,3-ブチレングリコール、1,2-ヘキシレングリコールおよびジプロピレングリコールはピロカルピンのモデル膜透過性を有するが、1,3-プロパンジオールはほとんど透過させないことが判明した。
特許第4308255号には、ムスカリン受容体作動薬を有効成分として含む、涙液分泌を促進する眼科用経皮吸収型製剤が記載されている。この特許発明ではムスカリン受容体作動薬の吸収促進剤としてミリスチン酸イソプロピルが記載されている。そこで、本発明で皮膚透過性が示された可溶化剤とミリスチン酸イソプロピルによるピロカルピンの皮膚透過性を、in vitro皮膚透過性試験により比較した。その結果を以下の表3に示す。
Figure 2016210701
表3に示すように、本発明において可溶化剤として用いる1,3-ブチレングリコールは、特許第4308255号におけるミリスチン酸イソプロピルと比較して、高いピロカルピン皮膚透過性を有することが示された。
試験例3
可溶化剤による経時的透過性試験
試験例1と同じヒト皮膚モデル膜およびフランツセルを用いて、1,3-ブチレングリコールによるピロカルピン塩酸塩およびセビメリン塩酸塩の経時的なin vitro皮膚透過性試験を行った。その結果を以下の表4および表5に示す。
Figure 2016210701
Figure 2016210701
表4および表5に示すように、1,3-ブチレングリコールは試験開始後24時間まで長時間にわたってピロカルピンおよびセビメリンを透過させることが示された。また、ピロカルピンに関してはセビメリンと比較して、徐々に透過させることが示された。
これらの結果より、1,3-ブチレングリコールは、適用後長時間にわってムスカリン受容体作動薬を大唾液腺まで送達できることが示された。
したがって、可溶化剤として1,3-ブチレングリコールを用いた経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤は、副作用が抑制され、効果が長時間にわたって奏功され、投与頻度を少なく抑えられる薬剤を提供することが示された。
試験例4
ラット皮膚を用いた透過性試験
ヒト皮膚モデル膜の代わりにラット皮膚(SD雄性ラット、7週齢、背部皮膚)を用い、以下の処方により公知の方法に従って調製した製剤を塗布する以外は、試験例1と同様にして1,3-ブチレングリコールによるピロカルピンの皮膚透過性試験を行った。結果を以下の表6に併せて示す。
Figure 2016210701
表6に示すように、1,3-ブチレングリコールはラット皮膚においてもピロカルピンを透過させることが示された。
試験例5
ラットにおける唾液分泌促進試験
ラット首部をバリカンで剃毛し、アルコール消毒した。剃毛したラットの耳下腺および顎下腺および舌下腺近傍の皮膚に試験例4で調製したピロカルピン製剤(軟膏)を適用し、適用後1、2、4および6時間に唾液分泌量を測定した。唾液分泌量の測定は、測定直前にラット口中の唾液を綿球で完全に除去した後、口中に新たに綿球を入れて5分後に取り出した際の重量差を分泌唾液量とした。比較例として同量のプラセボ製剤を大唾液腺近傍から経皮投与した場合と、同量のピロカルピン製剤を背中皮膚から経皮投与した場合と、静脈投与した場合の分泌唾液量を測定した。その結果を図1に示す。
図1に示すように、大唾液腺近傍の皮膚表面から経皮唾液腺投与した場合には、背中からの経皮投与および静脈投与とは異なって長時間にわたって唾液の分泌を促進することが示された。
試験例5の実験に供したラットにおいて、ピロカルピンの血中濃度と大唾液腺濃度の比率を静脈投与5分後を1として、表7に示した。
Figure 2016210701
表7に示されるように、同等の唾液分泌量を示した静脈投与5分後と経皮唾液腺投与の4時間後を比べると経皮唾液腺投与の方が血中濃度に対する大唾液腺組織濃度が約3倍高くなることが示された。
したがって、可溶化剤として1,3-ブチレングリコールを用いた経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤は、大唾液腺を直接刺激することにより、ムスカリン受容体作動薬の血中濃度を抑えつつ大唾液腺における有効組織濃度を達成することができることが示唆された。
本発明の唾液分泌促進剤を以下の処方例に従って公知の製法により調製した。
Figure 2016210701
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実施例1〜16の唾液分泌促進剤は、耳下腺、顎下腺または舌下腺などの大唾液腺付近の皮膚表面に適用して投与することにより、ムスカリン受容体作動薬の血中濃度を抑えつつ大唾液腺における有効組織濃度を達成することができた。その結果として、実施例1〜16の唾液分泌促進剤は、多汗や胃腸障害などの副作用の発現を抑えつつ大唾液腺に局所的かつ長時間にわたって奏功して、唾液の分泌量を増加させることができた。

Claims (12)

  1. ムスカリン受容体作動薬を含有する、経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤。
  2. ムスカリン受容体作動薬の配合量が唾液分泌促進剤の全重量に対して0.1〜50重量%である、請求項1記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤。
  3. 可溶化剤として1,3−ブチレングリコールを含む、請求項1または2記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤。
  4. ムスカリン受容体作動薬がピロカルピン、セビメリンおよび製薬学的に許容されるそれらの塩から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤。
  5. リニメント剤、ローション剤、外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤、軟膏剤、クリーム剤およびゲル剤よりなる群から選択される剤形である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤。
  6. テープ剤およびパップ剤よりなる群から選択される剤形である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤。
  7. ムスカリン受容体作動薬を含有する、口腔乾燥症改善用の経皮吸収型唾液腺局所投与製剤。
  8. 口腔乾燥症状改善用の経皮吸収型唾液腺局所投与製剤を製造するための、ムスカリン受容体作動薬の使用。
  9. 経口投与する場合に比べて唾液分泌を長時間持続させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤。
  10. 経口投与する場合に比べて発汗および/または胃腸障害が抑制されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤。
  11. ムスカリン受容体作動薬の徐放作用を特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤。
  12. 1日あたり1回適用する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の経皮唾液腺投与用の唾液分泌促進剤。
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