JP2016203630A - 二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐突き刺し性、耐熱性、透明性、耐薬品性及び引裂き直進性に優れるとともに、高温下に曝された後でも層間密着性に優れたヒートシール性二軸延伸ポリエステルフィルムを提供すること。【解決手段】 ポリブチレンテレフタレートを60重量%以上、PBT樹脂以外のポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂のほか、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂から選ばれる樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物からなり、フィルムの突刺し強度が0.75N/μm以上、フィルムの厚みあたりのヘイズ値が0.35%/μm以下であることを特徴とする、ヒートシール性二軸延伸ポリエステルフィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、食品、医薬品、化粧品などの包装材料、特に、金型によってプレス成形される用途や、固形物の包装に伴って、耐突き刺し性の求められるような用途に特に好適に用いられるヒートシール性二軸延伸ポリエステルフィルムに関する。
さらには、高温殺菌処理など、ヒートシールした後に高温下に曝されるような用途においても、シール強度が低下せず、好適に用いられる、ヒートシール性二軸延伸ポリエステルフィルムに関する。
ヒートシール性フィルムとしては、リニアローデンシティポリエチレン(LLDPE)やポリプロピレンを主原料とした、無延伸フィルム(CPP)が一般的に用いられており、食品包装をはじめとした様々な用途において、ヒートシール性シーラントとして利用されている。しかしながらLLDPEやCPPは耐薬品性や内容物の保香性に劣るといった問題があった。
また、これらのフィルムは耐熱性が低いため、高温に曝されるような用途においては、シール部の劣化によるシール強度低下や寸法変化が問題となっていた。
そこで近年、例えば特許文献1に開示されているような、耐溶剤性に優れたポリエステルを主体としたヒートシール性フィルムの開発が進められている。
特許文献1にかかる技術によれば、基材層およびヒートシール層からなり、基材層が共重合ポリエステルと特定の構造を有するブロック共重合ポリエステルエラストマーとが海島構造を有する延伸フィルムとすることにより、機械的強度、耐熱性、透明性、耐薬品性および内容物保香性に優れると共に、直線引裂性を備え、さらに基材層とヒートシール層との層間密着性が強く、製袋後の機械的強度の強い、ヒートシール性二軸延伸積層フィルムが得られるといったものである。
しかしながらかかる技術では耐突き刺し性が不十分なため、金型によってプレス成形されるような用途においては、成形加工時などによってクラックやピンホールが発生してしまうことがあった。
特開2006−247870号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、基材層とシール層の両方の機能を有し、且つ耐突き刺し性、耐熱性、透明性、耐薬品性及び引裂き直進性に優れるとともに、高温下に曝された後でも層間密着性に優れたヒートシール性二軸延伸ポリエステルフィルムを得ることにある。
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。本発明は、ポリブチレンテレフタレートを60重量%以上、PBT樹脂以外のポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂のほか、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂から選ばれる樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物からなり、フィルムの突刺し強度が0.75N/μm以上、フィルムの厚みあたりのヘイズ値が0.35%/μm以下であることを特徴とする、ヒートシール性二軸延伸ポリエステルフィルムである。
この場合において、前記フィルム同士を200℃以上の温度でヒートシールし、150℃で1時間熱処理した後のヒートシール強度が10N/15mm以上であることが好適である。
また、この場合において、前記フィルムが、下記(1)及び(2)を同時に満足することが好適である。
(1)フィルムの幅方向に対して分子鎖主軸のなす角度が30°以下である。
(2)フィルムの長手方向および幅方向の150℃における熱収縮率がともに4.0%以下である。
また、下記工程(1)、工程(2)、工程(3)、工程(4)を少なくとも有する、前記二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法も本発明の1つである。
工程(1);ポリブチレンテレフタレート樹脂を90重量%以上含む熱可塑性樹脂組成物を溶融し、溶融流体を形成する。
工程(2);前記溶融流体からなる理論積層数60以上の積層流体を形成する。
工程(3);前記積層流体を、ダイスから吐出し、冷却ロールに接触させて固化させ積層体を形成する。
工程(4);前記積層体を二軸延伸する。
この場合において、前記二軸延伸が、逐次二軸延伸法であることが好適である。
本発明者らは、かかる技術によって、基材層とシール層の両方の機能を有し、且つ耐突き刺し性、耐熱性、透明性、耐薬品性及び引裂き直進性に優れるとともに、ヒートシールした際の層間密着性に優れたヒートシール性二軸延伸ポリエステルフィルムを得ることが可能となった。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられるポリエステル熱可塑性樹脂組成物は、PBT樹脂を主たる構成成分とするものであり、PBT樹脂の含有率が60質量%以上が好ましく、さらには70質量%以上が好ましく、さらに90質量%以上が好ましい。60質量%未満であるとインパクト強度および耐ピンホール性が低下してしまい、フィルム特性としては十分なものでなくなってしまう。
主たる構成成分として用いるPBTは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり最も好ましくは100モル%である。グリコール成分として1,4−ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは97モル%以上であり、最も好ましくは重合時に1,4−ブタンジオールのエーテル結合により生成する副生物以外は含まれないことである。
本発明に用いられるポリエステル熱可塑性樹脂組成物は二軸延伸を行う時の製膜性や得られたフィルムの力学特性を調整する目的でPBT樹脂以外のポリエステル樹脂を含有することができる。
PBT樹脂以外のポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、
ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂のほか、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂や、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール等のジオール成分が共重合されたPBT樹脂が挙げられる。共重合されたPBT樹脂における共重合成分量はPBT樹脂全体に対して5wt%以上である。しかし、ポリアルキレンオキサイドを含むものは適さない。
これらPBT樹脂以外のポリエステル樹脂の添加量の上限としては、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下が好ましく、さらに10質量%以下が好ましく、特に5質量%以下が好ましい。PBT樹脂以外のポリエステル樹脂の添加量が40質量%を超えると、PBT樹脂としての力学特性が損なわれ、インパクト強度や耐破袋性、耐ピンホール性が不十分となるほか、透明性やバリア性が低下するなどが起こることがある。
ポリエステル系熱可塑性樹脂組成物の溶融温度の下限は好ましくは200℃であり、200℃未満であると吐出が不安定化となることがある。樹脂溶融温度の上限は好ましくは300℃であり、300℃を越えるとPBT樹脂の劣化が起こることがある。
前記ポリエステル系熱可塑性樹脂組成物は必要に応じ、従来公知の添加剤、例えば、滑剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、静電防止剤、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。
滑剤種としてはシリカ、炭酸カルシウム、アルミナなどの無機系滑材のほか、有機系滑剤が好ましく、シリカ、炭酸カルシウムがより好ましく、中でもシリカがヘイズを低減する点で特に好ましい。これらにより透明性と滑り性と発現することができる。
ポリエステル系熱可塑性樹脂組成物における滑剤濃度の下限は好ましくは100ppmであり、100ppm未満であると滑り性が低下となることがある。滑剤濃度の上限は好ましくは20000ppmであり、20000ppmを越えると透明性が低下することがある。
本発明のフィルムの突刺し強度の下限は好ましくは0.75N/μmであり、より好ましくは0.85N/μmであり、さらに好ましくは0.9N/μmである。上記未満であると、金型によってプレス成形する際に、クラックやピンホールの発生の原因となることがある。
本発明のフィルムにおいて、フィルム同士を200℃以上の温度でヒートシールし、150℃×1時間熱処理した後のヒートシール強度は10N/15mm以上であることが好ましく、更に好ましくは15N/15mm以上、更に好ましくは17N/mm以上である。このときのヒートシール強度が15N/mm未満であると、高温下に曝された後のシール強度が低下し、内容物の漏出が生じることがある。
本発明のフィルムの配向軸角度の上限は好ましくは30°であり、より好ましくは28°であり、さらに好ましくは25°である。これにより、直線引裂き性が良好となり、包装袋としたときのフィルムの長手方向の開封時の泣き別れを小さくすることができ、意図する方向に引裂くことが容易となる。
ポリエステルフィルムの主配向方向に対する分子鎖主軸の配向角が30°以下であれば、長手方向の直線引裂き性が優れる理由は定かではないが、包装袋にしたときに包装袋を形成する表裏のポリエステルフィルムの分子鎖主軸の配向方向の差を小さくできるので、泣き別れが小さく直線引裂き性に優れると推定している。
従来、分子鎖主軸の配向角が20°を超える現象は、特に逐次二軸延伸方式において、長手方向に延伸した後に、テンターを用いて幅方向に延伸して製膜された場合のクリップに把持された幅方向の端部に近い部分からスリット(切断)されたフィルムに見られることがある。
分子鎖主軸の配向角を小さくするには、フィルム製造工程における縦延伸方向(以下MD)延伸温度を高くする、MD延伸倍率を小さくする、横延伸方向(以下、TD)リラックス率を小さくすることが挙げられる。
本発明のフィルムの長手方向の屈折率の下限は好ましくは1.610であり、より好ましくは1.612であり、さらに好ましくは1.613である。上記未満であると配向が弱いため、フィルムとして十分な強度が得られず、耐破袋性が低下することがある。
本発明のフィルムの長手方向の屈折率の上限は好ましくは1.640であり、より好ましくは1.635であり、さらに好ましくは1.630である。上記を越えるとフィルム力学特性、直進引裂き性のへの効果が飽和することがある。
本発明のフィルムの幅方向の屈折率の下限は好ましくは1.649であり、より好ましくは1.650であり、さらに好ましくは1.651である。上記未満であると配向が弱
いため、フィルムとして十分な強度が得られず、耐破袋性が低下することがある。
本発明のフィルムの幅方向の屈折率の上限は好ましくは1.670であり、より好ましくは1.669であり、さらに好ましくは1.668である。上記を越えるとフィルムの力学特性、直進引裂き性のへの効果が飽和することがある。
本発明のフィルムにおいて、フィルムの長手方向の屈折率Nxとフィルムの幅方向の屈折率Nxの差(Nx−Ny)の値としては、−0.022以下とすることが好ましく、さらに好ましくは−0.025以下、さらに好ましくは−0.03以下である。上記を超えるとフィルムの長手方向への引裂き直進性が低下することがある。
本発明のフィルムの固有粘度の下限は好ましくは0.8であり、より好ましくは0.85であり、さらに好ましくは0.9であり、特に好ましくはであり、最も好ましくはである。上記未満であると突き刺し強度、衝撃強度、耐破袋性などが低下するとなることがある。フィルムの固有粘度の上限は好ましくは1.2である。上記を越えると延伸時の応力が高くなりすぎ、製膜性が悪化するとなることがある。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムはフィルム全域に亘って同一組成の樹脂があることが好ましい。また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムに他素材の層を積層して良く、その方法として、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムを作成後に貼り合わせるか、製膜中に貼り合わせることできる。
本発明のフィルムのインパクト強度、J/μmの下限は好ましくは0.055であり、より好ましくは0.060であり、さらに好ましくは0.065である。上記未満であると袋として用いる際に強度が不足するとなることがある。
インパクト強度、J/μmの上限は好ましくは0.2である。上記を越えると改善の効果が飽和するとなることがある。
本発明のフィルムの厚みあたりのヘイズ(%/μm)の上限は好ましくは0.35%であり、より好ましくは0.33%であり、更に好ましくは0.31%である。
上記を超えるとフィルムに印刷を施した際に、印刷された文字や画像の品位を損ねる可能性がある。
本発明のフィルムの長手方向及びフィルムの幅方向における熱収縮率(%)の下限は好ましくは0である。上記未満であると改善の効果が飽和するほか、力学的に脆くなってしまうとなることがある。
本発明のフィルムの長手方向及びフィルムの幅方向における熱収縮率(%)の上限は好
ましくは4.0であり、より好ましくは3.5であり、さらに好ましくは3.0である。上記を越えると印刷などの加工時の寸法変化により、ピッチズレなどが起こるとなることがある。
本発明の二軸延伸フィルムでは、フィルム厚みの下限は好ましくは3μmであり、より好ましくは5μmであり、さらに好ましくは8μmである。3μm未満であるとフィルムとしての強度が不足することがある。
フィルム厚みの上限は好ましくは100μmであり、より好ましくは75μmであり、さらに好ましくは50μmである。100μmを越えると厚くなりすぎて本発明の目的における加工が困難となることがある。
(二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法)
本発明にかかるフィルムを得るための好適な方法のとして、キャスト時に同一の組成の原料を多層化してキャストすることが挙げられる。
PBT樹脂は結晶化速度が速いため、キャスト時にも結晶化が進行する。このとき、多層化せずに単層でキャストした場合には、結晶の成長を抑制しうるような障壁が存在しないために、これらの結晶はサイズの大きな球晶へと成長してしまう。その結果、得られた未延伸シートの降伏応力が高くなり、二軸延伸時に破断しやすくなるばかりでなく、得られた二軸延伸フィルムの柔軟性が損なわれ、耐ピンホール性や耐破袋性が不十分なフィルムとなってしまう。
一方で本発明者らは同一の樹脂を多層積層することで、未延伸シートの延伸応力を低減でき、安定した二軸延伸が可能となることを見出した。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法は、具体的にはポリブチレンテレフタレート樹脂を90重量%以上含む熱可塑性樹脂組成を溶融して溶融流体を形成する工程(1)で形成された溶融流体からなる積層数60以上の積層流体を形成する工程(2)で形成された積層流体をダイスから吐出し、冷却ロールに接触させて固化させ積層体を形成する工程(3)、前記積層体を二軸延伸する工程(4)を少なくとも有する。
工程(1)と工程(2)、工程(2)と工程(3)の間には、他の工程が挿入されていても差し支えない。例えば、工程(1)と工程(2)の間には濾過工程、温度変更工程等が挿入されていても良い。また、工程(2)と工程(3)の間には、温度変更工程、電荷付加工程等が挿入されていても良い。但し、工程(2)と工程(3)の間には、工程(2)で形成された積層構造を破壊する工程があってはならない。
工程(1)において、本発明における熱可塑性樹脂を溶融して溶融流体を形成する方法は特に限定されないが、好適な方法としては、一軸押出機や二軸押出機を用いて加熱溶融する方法を挙げることができる。
工程(2)における積層流体を形成する方法は特に限定されないが、設備の簡便さや保守性の面から、スタティックミキサーおよび/または多層フィードブロックがより好ましい。また、シート幅方向の均一性の面から、矩形のメルトラインを有するものがより好ましい。矩形のメルトラインを有するスタティックミキサーまたは多層フィードブロックを用いることがさらに好ましい。なお、複数の樹脂組成物を合流させることによって形成された複数層からなる樹脂組成物を、スタティックミキサー、多層フィードブロックおよび多層マニホールドのいずれか1種または2種以上に通過させてもよい。
工程(2)における理論積層数は60以上である必要がある。理論積層数の下限は、好ましくは200であり、より好ましくは500である。理論積層数が少なすぎると、結晶化を加速する効果が不足し、あるいは、層界面間距離が長くなって結晶サイズが大きくなりすぎ、本発明の効果が得られない傾向にある。また、シート両端近傍で成型後の透明性
が低下することがある。工程(2)における理論積層数の上限は特に限定されないが、好ましくは100000であり、より好ましくは10000であり、さらに好ましくは7000である。理論積層数を極端に大きくしてもその効果が飽和するうえ、生産効率の点で問題が生じる場合がある。
工程(2)における積層をスタティックミキサーで行う場合、スタティックミキサーのエレメント数を選択することにより、理論積層数を調整することができる。スタティックミキサーは、一般的には駆動部のない静止型混合器(ラインミキサー)として知られており、ミキサー内に入った流体は、エレメントにより順次撹拌混合される。ところが、高粘度流体をスタティックミキサーに通過させると、高粘度流体の分割と積層が生じ、積層流体が形成される。スタティックミキサーの1エレメントを通過するごとに、高粘度流体は2分割され次いで合流し積層される。このため、高粘度流体をエレメント数nのスタティックミキサーに通過させると、理論積層数N=2の積層流体が形成される。また、スタティックミキサーに供給する高粘度流体として積層流体を使用することも可能である。
典型的なスタティックミキサーエレメントは、長方形の板を180度ねじった構造を有し、ねじれの方向により、右エレメントと左エレメントがあり、各エレメントの寸法は直径に対して1.5倍の長さを基本としている。本発明に用いることのできるスタティックミキサーはこの様なものに限定されない。
工程(2)における積層を多層フィードブロックで行う場合、多層フィードブロックの分割・積層回数を選択することによって、理論積層数を調整することができる。多層フィードブロックは複数直列に設置することが可能である。また、多層フィードブロックに供給する高粘度流体自体を積層流体とすることも可能である。例えば、多層フィードブロックに供給する高粘度流体の積層数がp、多層フィードブロックの分割・積層数がq、多層フィードブロックの設置数がrの場合、積層流体の積層数Nは、N=p×qrとなる。
工程(3)において、積層流体をダイスから吐出し、冷却ロールに接触させて固化させる。
ダイス温度の下限は好ましくは200℃であり、上記未満であると吐出が安定せず、厚みが不均一となることがある。ダイ温度の上限は好ましくは320℃であり、上記を越えると厚みが不均一となるほか、樹脂の劣化が起こり、ダイリップ汚れなどで外観不良となることがある。
冷却ロール温度の下限は好ましくは0℃であり、上記未満であると結晶化抑制の効果が飽和することがある。冷却ロール温度の上限は好ましくは25℃であり、上記を越えると結晶化度が高くなりすぎて延伸が困難となることがある。また冷却ロールの温度を上記の範囲とする場合、結露防止のため冷却ロール付近の環境の湿度を下げておくことが好ましい。
キャスティングでは、表面に高温の樹脂が接触するため冷却ロール表面の温度が上昇する。通常、チルロールは内部に配管を通して冷却水を流して冷却するが、充分な冷却水量を確保する、配管の配置を工夫する、配管にスラッジが付着しないようメンテナンスを行う、などして、チルロール表面の幅方向の温度差を少なくする必要がある。特に、多層化などの方法を用いずに低温で冷却する場合には注意が必要である。
このとき、未延伸シートの厚みは15〜2500μmの範囲が好適である。
上述における多層構造でのキャストは、少なくとも60層以上、好ましくは250層以上、更に好ましくは1000層以上で行う。層数が少ないと、未延伸シートの球晶サイズが大きくなり、延伸性の改善効果が小さいのみならず得られた二軸延伸フィルムの降伏応力を下げる効果が失われる。
次に延伸方法について説明する。延伸方法は、同時二軸延伸でも逐次二軸延伸でも可能であるが、突き刺し強度を高めるためには、面配向係数を高めておく必要があり、その点においては逐次二軸延伸が好ましい。
縦延伸方向(以下、MD)延伸温度の下限は好ましくは55℃であり、より好ましくは60℃である。55℃未満であると破断が起こりやすくなることがあるばかりか、低温での延伸により縦方向の配向が強くなるため、熱固定処理の際の収縮応力が大きくなることによって、幅方向の分子配向の歪みが大きくなり、結果として長手方向の直進引裂き性が低下することがある。MD延伸温度の上限は好ましくは100℃であり、より好ましくは95℃である。100℃を越えると配向がかからないため力学特性が低下することがある。
MD延伸倍率の下限は好ましくは2.6倍であり、特に好ましくは2.8倍である。上記未満であると配向がかからないため力学特性や厚みムラが悪くなることがある。MD延伸倍率の上限は好ましくは4.3倍であり、より好ましくは4.0倍であり、特に好ましくは3.8倍である。上記を越えると力学強度や厚みムラ改善の効果が飽和することがあるばかりか、縦方向の配向が強くなるため、熱固定処理の際の収縮応力が大きくなることによって、幅方向の分子配向の歪みが大きくなり、結果として長手方向の直進引裂き性が低下することがある。
横延伸方向(以下、TD)延伸温度の下限は好ましくは60℃であり、上記未満であると破断が起こりやすくなることがある。TD延伸温度の上限は好ましくは100℃であり、上記を越えると配向がかからないため力学特性が低下することがある。
TD延伸倍率の下限は好ましくは3.5倍であり、より好ましくは3.6倍であり、特に好ましくは3.7倍である。上記未満であると配向がかからないため力学特性や厚みムラが悪くなることがある。TD延伸倍率の上限は好ましくは5倍であり、より好ましくは4.5倍であり、特に好ましくは4.0倍である。上記を越えると力学強度や厚みムラ改善の効果が飽和することがある。
TD熱固定温度の下限は好ましくは200℃であり、より好ましくは205℃である。上記未満であると熱収縮率が大きくなり、加工時のズレや縮みが起こることがある。TD熱固定温度の上限は好ましくは250℃であり、上記を越えるとフィルムが融けてしまうほか、融けない場合でも脆くなることがある。
TDリラックス率の下限は好ましくは0.5%であり、上記未満であると熱固定時に破断が起こりやすくなることがある。TDリラックス率の上限は好ましくは5%であり、上記を越えるとたるみなどが生じて厚みムラが発生することがあるばかりか、熱固定時の長手方向への収縮が大きくなる結果、端部の分子配向の歪みが大きくなり、直進引裂き性が低下することがある。
本発明の二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムは、フィルムの少なくとも片面にガスバリア層を設けた積層フィルムとすることによって、優れたガスバリア性を付与することができる。
本発明の二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムに積層するガスバリア層として
は、無機薄膜層は金属または無機酸化物からなる薄膜又はポリ塩化ビニリデン等のバリア樹脂からなるコーティング層が好ましく用いられる。
ガスバリア層の中でも無機薄膜層は金属または無機酸化物からなる薄膜であることが好ましい。無機薄膜層を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、ガスバリア性の観点から、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物等の無機酸化物が好ましく挙げられる。特に、薄膜層の柔軟性と緻密性を両立できる点からは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物が好ましい。この複合酸化物において、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合比は、金属分の質量比でAlが20〜70%の範囲であることが好ましい。
Al濃度が20%未満であると、水蒸気バリア性が低くなる場合がある。一方、70%を超えると、無機薄膜層が硬くなる傾向があり、印刷やラミネートといった二次加工の際に膜が破壊されてバリア性が低下する虞がある。なお、ここでいう酸化ケイ素とはSiOやSiO2等の各種珪素酸化物又はそれらの混合物であり、酸化アルミニウムとは、AlOやAl2O3等の各種アルミニウム酸化物又はそれらの混合物である。
無機薄膜層の膜厚は、通常1〜800nm、好ましくは5〜500nmである。無機薄膜層の膜厚が1nm未満であると、満足のいくガスバリア性が得られ難くなる場合があり、一方、800nmを超えて過度に厚くしても、それに相当するガスバリア性の向上効果は得られず、耐屈曲性や製造コストの点でかえって不利となる。
無機薄膜層を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理蒸着法(PVD法)、あるいは化学蒸着法(CVD法)など、公知の蒸着法を適宜採用すればよい。以下、無機薄膜層を形成する典型的な方法を、酸化ケイ素・酸化アルミニウム系薄膜を例に説明する。例えば、真空蒸着法を採用する場合は、蒸着原料としてSiO2とAl2O3の混合物、あるいはSiO2とAlの混合物等が好ましく用いられる。
これら蒸着原料としては通常粒子が用いられるが、その際、各粒子の大きさは蒸着時の圧力が変化しない程度の大きさであることが望ましく、好ましい粒子径は1mm〜5mmである。
加熱には、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加熱などの方式を採用することができる。また、反応ガスとして酸素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を採用することも可能である。
さらに、被蒸着体(蒸着に供する積層フィルム)にバイアスを印加したり、被蒸着体を加熱もしくは冷却するなど、成膜条件も任意に変更することができる。このような蒸着材料、反応ガス、被蒸着体のバイアス、加熱・冷却などは、スパッタリング法やCVD法を採用する場合にも同様に変更可能である。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの評価は次の測定法によって行った。
[厚み]
JIS−Z−1702準拠の方法で測定した。
[フィルムの固有粘度]
試料を130℃で一昼夜真空乾燥後、粉砕又は切断し、その80mgを精秤して、フェノール/テトラクロロエタン=60/40(体積比)の混合溶液に80℃で30分間、加熱溶解し、フィルターで濾過した後、同じ混合溶液で20mlにした後、30℃で測定した。
[配向軸角度]
得られた全幅4200mmのフィルムのミルロールの端から300mmの位置を端部とし、端部及び中央部から100mm四方の正方形のフィルムサンプルを切り出し、そのフィルムサンプルについて、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて、フィルム幅方向に対する分子鎖主軸の配向角を測定した。
[端部のなきわかれ距離]
直線引裂き性の指標として、以下の方法によりなきわかれ距離を測定した。
(サンプル調製)
得られた全幅4200mmのフィルムのミルロールの端から300mmの位置を端部とし、端部および中央部を引裂き方向(長手方向)に210mm 、その直交方向に50mm幅のポリエステルフィルム片を切り出す。このフィルム片の一方の短辺に10mm幅の両面粘着テープを貼り付け、中央線で半折して両短辺を重ね合わせて貼り付け、試験片を得る。次いで、試験片の重ね合わせた短辺側の中央部分(両端から25mm位置)に引裂き方向に30mmの切り込みを入れる。
(測定)
引張試験機(オリエンテック社製テンシロンRTC−1225A)のチャック間距離を50mmにして、サンプルの切り込みで分けられた二つの短辺を各々上および下のチャックに装着する。次いで、1000mm/分の速度でチャックを130mm変位させて引裂く。引裂かれた試験片の紙面表側フィルムの引裂き線と紙面裏側フィルムの引裂き線の引裂き開始点から50mm位置のズレ量をなきわかれ距離とする。
各サンプル5回測定して、その平均値を得た。
[フィルムの厚みあたりのヘイズ値]
JIS−K−7105に準ずる方法で、試料をヘイズメーター(日本電色製、NDH2000)を用いて異なる箇所3ヶ所について測定し、その平均値をフィルムの厚みで割った数値を厚みあたりのヘイズ値とした。
[インパクト強度]
株式会社東洋精機製作所製のインパクトテスターを用い、23℃の雰囲気下におけるフィルムの衝撃打ち抜きに対する強度を測定した。衝撃球面は、直径1/2インチのものを用いた。単位J/μm。
[突刺し強度]
食品衛生法における「食品、添加物等の規格基準 第3:器具及び容器包装」(昭和57年厚生省告示第20号)の「2.強度等試験法」に準拠して23℃下で突刺し強度を測定した。先端部直径0.7mmの針を、突刺し速度50mm/分でフィルムに突き刺し、針がフィルムを貫通する際の強度を測定した。得られた測定値をフィルムの厚みで割り、フィルム1μmあたりの突き刺し強度[N/mm]を算出した。
[ヒートシール強度]
得られたフィルム2枚を重ね合わせ、230℃、0.15MPaにて3秒間圧着し、ラミネートサンプルを作成した。
上記で得られたラミネートサンプルを15mm幅の短冊状に裁断した後に、150℃に設定した加熱オーブン内で1時間の熱処理を行った。
熱処理後のラミネートサンプルを引張試験機(オリエンテック社製テンシロンRTC−1225A)のクロスヘッドにセットし、100mm/分の速度で引張り、ヒートシール部を剥離させ、剥離する際の荷重を測定することで、ヒートシール強度とした。
[熱収縮率]
幅10mm×長さ150mmの寸法のフィルム各5個を縦方向及び横方向から切り出し、試験片とした。
各試験片には,試験片の中央部を中心にして間隔100mm±2mmの標線を付けた。
加熱前の試験片の標線の間隔を0.1mmの精度で測定した。
試験片を熱風乾燥機(エスペック社製、PHH−202)内に無荷重の状態で吊り下げ、150℃、15分の加熱条件で熱処理を施した。
試験片を恒温槽から取り出して室温まで冷却した後,初めに測定したときと同じ部分について長さ及び幅を測定した。
各試験片の寸法変化率は,縦方向及び横方向について寸法変化の初期値に対する百分率として計算した。各方向の寸法変化率は,その方向での測定値の平均とした。
[連続製膜性]
二軸延伸フィルムの製膜性を次の基準で評価した。○および△であれば、生産性が良いと判断した。
○:破断無く製膜でき、連続生産が可能であった
△:製膜性が多少不安定で、稀に破断が発生するが、連続生産可能なレベル。
×:頻繁に破断が発生し、連続生産が困難であった。
[原料樹脂]
(PBT樹脂;実施例1〜11、比較例1、3〜5)
後述する実施例1〜11、比較例1、3〜5のフィルム作製において、主原料であるPBT樹脂は1100−211XG(CHANG CHUN PLASTICS CO.,LTD.、固有粘度1.28dl/g)を用いた。
(ポリエステルA;比較例2)
ジメチルテレフタレートとエチレングリコールおよびイソフタル酸mol%とを原料として、テトラブトキシチタンをエステル交換触媒、二酸化ゲルマニウムを重合触媒、正リン酸を安定剤として用い、さらに滑剤として平均粒径3.2μmの凝集シリカ粒子をポリマーに対して0.05重量%になるように添加して常法により共重合ポリエステル(ポリエステルA)を製造した。
(ポリエステルB;比較例2)
また、酸成分としてテレフタル酸、アルコール成分としてテトラメチレングリコール50wt%、およびポリエチレングリコール50wt%を原料とし、テトラブトキシチタンをエステル交換触媒、二酸化ゲルマニウムを重合触媒としポリエステルBを得た。
(ポリエステルC;比較例2)
ジメチルテレフタレートとエチレングリコールおよびイソフタル酸20wt%を共重合成分とし、原料として、テトラブトキシチタンをエステル交換触媒、二酸化ゲルマニウムを重合触媒、正リン酸を安定剤として用い、常法によりポリエステルCを製造した。
(PET樹脂;実施例8〜10、比較例4)
後述する実施例8〜10、比較例5のフィルム作製において、テレフタル酸//エチレングリコール=100//100(モル%)からなる固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。
[実施例1]
一軸押出機を用い、PBT樹脂と不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子を含むマスターバッチを添加し、滑剤濃度として1600ppmとなるように配合したものを295℃で溶融させた後、メルトラインを12エレメントのスタティックミキサーに導入した。これにより、PBT溶融体の分割・積層を行い、同一の原料からなる多層溶融体を得た。265℃のT−ダイスからキャストし、15℃の冷却ロールに静電密着法により密着させて未延伸シートを得た。次いで、65℃で縦方向に2.8倍ロール延伸し、次いで、テンターに通して90℃で横方向に4.0倍延伸し、210℃で3秒間の緊張熱処理
と1秒間1%の緩和処理を実施した後、両端の把持部を10%ずつ切断除去して厚みが12μmのPBTフィルムのミルロールを得た。得られたフィルムの製膜条件、物性および評価結果を表1に示した。
[実施例2〜8]
実施例1において、原料組成、製膜条件を表1に記載した二軸延伸フィルムに変えた以外は実施例1と同様に行った。
[実施例9〜11]
実施例1において、原料組成、製膜条件を表2に記載した二軸延伸フィルムに変えた以外は実施例1と同様に行った。
[比較例1]
一軸押出機を用い、表3記載の条件により二軸延伸を行ったが、この方法では横延伸時に破断が多発し、連続製膜が困難であった。
[比較例2]
ポリエステルAとポリエステルBを80/20(wt%)の比率で混合し、表3に記載の温度で2層台の片側から押し出しした。
一方、ポリエステルCをポリエステルA、B混合物と異なる押出し機に投入し、250℃で上記2層ダイの反対側から押し出しした。
各層(ポリエステルA,B混合物/ポリエステルC)の厚み比率は200μm/22μmの未延伸フィルムを得た。
このようにして得られた未延伸フィルムを表3に記載の延伸条件により二軸延伸を行い、厚み15μmのフィルムを得た。
[比較例3]
表3記載の条件により得られた未延伸シートをサンプルとして用いた。厚みは20μmとなるように、巻き取り速度を調整して製膜した。なお、フィルム端部での配向軸角度は5度以下であり、熱収縮率測定後のサンプルの歪みは見られなかった。
[比較例4]
一軸押出機を用い、PBT樹脂と、滑剤としての炭酸カルシウムを含むマスターバッチを添加し、滑剤濃度として2000ppmとなるように配合したものを270℃で溶融させた後、メルトラインを12エレメントのスタティックミキサーに導入した。これにより、PBT溶融体の分割・積層を行い、同一の原料からなる多層溶融体を得た。その後、270℃のT−ダイスに導入してキャストし、15℃の冷却ロールに静電密着法により密着させて未延伸シートを得た。
次いで、60℃で縦方向に3.8倍ロール延伸し、次いで、テンターに通して65℃で横方向に3倍延伸し、200℃で3秒間の緊張熱処理と1秒間の緩和処理を実施した後、両端部を切断除去して厚みが12μmのPBTフィルムを得た。得られたフィルムの製膜条件、物性および評価結果を表3に示した。
[比較例5]
実施例1において、原料組成、製膜条件を表3に記載した二軸延伸フィルムに変えた以外は実施例1と同様に行った。
[参考例1]
東洋紡製エステルフィルムE5100−12μmを使用した。
[参考例2]
東洋紡製ナイロンフィルムN1100−15μmを使用した。
表1及び表2に示すように、本発明によって得られた二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムは(実施例1〜11)は、耐突き刺し性、透明性、及び引裂き直進性に優れるとともに、加熱処理した後でも高いヒートシール強度を維持していた。
一方、表3に示すように、比較例2で得られたフィルムは、突刺し強度低く、また加熱
処理後のヒートシール強度が低い結果となっていた。
本発明により、耐突き刺し性、耐熱性、透明性、耐薬品性及び引裂き直進性に優れると
ともに、高温下に曝された後でも層間密着性に優れたヒートシール性二軸延伸ポリエステルフィルムを得ることができた。
これらのフィルムは、食品、医薬品、化粧品などの包装材料、特に、金型によってプレス成形される用途や、固形物の包装に伴って、耐突き刺し性の求められるような用途に特に好適に用いることができる。さらには、ヒートシールした後に高温下に曝されるような用途においても、シール強度が低下しないので、高温殺菌処理などが施されるような用途にも適用でき得ることから、産業界に大きく寄与することが期待される。

Claims (5)

  1. ポリブチレンテレフタレートを60重量%以上、PBT樹脂以外のポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂のほか、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂から選ばれる樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物からなり、フィルムの突刺し強度が0.75N/μm以上、フィルムの厚みあたりのヘイズ値が0.35%/μm以下であることを特徴とする、ヒートシール性二軸延伸ポリエステルフィルム。
  2. 前記フィルム同士を200℃以上の温度でヒートシールし、150℃×1時間熱処理した後のヒートシール強度が10N/15mm以上である、請求項1に記載のヒートシール性二軸延伸ポリエステルフィルム。
  3. 前記フィルムが、下記(1)および(2)を同時に満足する請求項1あるいは2のいずれかに記載のヒートシール性二軸延伸ポリエステルフィルム。
    (1)フィルムの幅方向に対して分子鎖主軸のなす角度が30°以下である。
    (2)フィルムの長手方向および幅方向の150℃における熱収縮率がともに4.0%以下である。
  4. 下記工程(1)、工程(2)、工程(3)、工程(4)を少なくとも有する、請求項1〜3のいずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
    工程(1);ポリブチレンテレフタレート樹脂を90重量%以上含む熱可塑性樹脂組成物を溶融し、溶融流体を形成する。
    工程(2);前記溶融流体からなる理論積層数60以上の積層流体を形成する。
    工程(3);前記積層流体を、ダイスから吐出し、冷却ロールに接触させて固化させ積層体を形成する。
    工程(4);前記積層体を二軸延伸する。
  5. 前記二軸延伸が、逐次二軸延伸法である請求項4に記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
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