JP7056175B2 - 積層体及び該積層体で構成される袋 - Google Patents
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Description
外面側から内面側に順に並ぶ基材、接着剤層及びシーラント層を備え、
前記基材は、プラスチックフィルムを1つのみ有し、
前記プラスチックフィルムは、51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含み、
前記シーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレンを含む、積層体である。
常温静摩擦係数及び常温動摩擦係数の測定後、2つの前記積層体を温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において48時間にわたって保管した後に測定される、一方の前記積層体の外面の、他方の前記積層体の外面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数を高温高湿静摩擦係数及び高温高湿動摩擦係数と称する場合、
好ましくは、前記高温高湿静摩擦係数から前記常温静摩擦係数を引いた値が0.03以下であり、且つ、前記高温高湿動摩擦係数から前記常温動摩擦係数を引いた値が0.03以下である。
外面及び内面を含む積層体と、
前記積層体の内面同士を接合するシール部と、を備え、
前記積層体は、
外面側から内面側に順に並ぶ基材、接着剤層及びシーラント層を備え、
前記基材は、プラスチックフィルムを1つのみ有し、
前記プラスチックフィルムは、51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含み、
前記シーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレンを含む、袋である。
図1は、本実施の形態による袋10を示す正面図である。袋10は、ボトルへ詰め替えられる液体や紛体などの流動性を有する内容物を収容するよう構成されている。なお、図1においては、内容物が充填される前の状態(内容物が収容されていない状態)の袋10が示されている。袋10に収容される液体としては、液体洗剤やシャンプー等の様々な液体が考えられ得る。
表面フィルム14及び裏面フィルム15には、表面フィルム14及び裏面フィルム15を引き裂いて注出口部20を開封するための易開封性手段25が設けられていてもよい。例えば図1に示すように、易開封性手段25は、注出口部20の注出口シール部20aに形成された、引き裂きの起点となるノッチ26を含んでいてもよい。また、注出口部20を引き裂く際の経路となる部分には、易開封性手段25として、レーザー加工やカッターなどで形成されたハーフカット線が設けられていてもよい。
次に、表面フィルム14及び裏面フィルム15の層構成について説明する。図2は、表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する積層体30の一例を示す断面図である。また、図3は、表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する積層体30のその他の例を示す断面図である。
基材/印刷層/接着剤層/シーラント層
を備えている、と言える。なお、「/」は層と層の境界を表している。
基材/透明ガスバリア層/印刷層/接着剤層/シーラント層
を備えている、と言える。
以下、第1フィルム40の基材41、印刷層42及び透明ガスバリア層43についてそれぞれ説明する。
基材41は、積層体30の外面30yを構成する基材を1つのみ有する。すなわち、基材41を構成するプラスチックフィルムは1つのみである。積層体30中に基材41を構成するプラスチックフィルムが一つである限りにおいて、基材41を構成するプラスチックフィルムは、単一の層によって構成されていてもよく、複数の層によって構成されていてもよい。基材41を構成するプラスチックフィルムが複数の層を含む場合、基材41を構成するプラスチックフィルムは、例えば、共押し出しによって作製された共押しフィルムである。
第1の構成に係る基材41におけるPBTの含有率は、51質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、さらには70質量%以上、特には75質量%以上が好ましく、最も好ましくは80質量%以上である。PBTの含有率を51質量%以上にすることにより、第1フィルム40に優れたインパクト強度および耐ピンホール性を持たせることができる。
PBT以外のポリエステル樹脂としては、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂のほか、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂や、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール等のジオール成分が共重合されたPBT樹脂を挙げることができる。
これに対して、キャスト時に同一の樹脂を多層化すれば、未延伸シートの延伸応力を低減することができる。このため、安定した二軸延伸が可能となり、また、得られた二軸延伸フィルムの降伏応力が低くなる。このことにより、柔軟かつ破断強度の高いフィルムを得ることができる。
また、基材41の厚みは、好ましくは9μm以上であり、より好ましくは12μm以上である。また、基材41の厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。基材41の厚みを9μm以上にすることにより、基材41が十分な強度を有するようになる。また、基材41の厚みを25μm以下にすることにより、基材41が優れた成形性を示すようになる。このため、基材41を含む積層体30を加工して袋10を製造する工程を効率的に実施することができる。
第2の構成に係る基材41は、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む単層フィルムからなる。例えば、基材41は、グリコール成分としての1,4-ブタンジオール、又はそのエステル形成性誘導体と、二塩基酸成分としてのテレフタル酸、又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、それらを縮合して得られるホモ、またはコポリマータイプのポリエステルを含む。第2の構成に係る基材41におけるPBTの含有率は、51質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、さらには80質量%以上が好ましく、最も好ましくは90質量%以上である。また、第2の構成に係る基材41は、ポリブチレンテレフタレートと添加剤のみで構成されていることが好ましい。
PETの配合量を30質量%以下にすることにより、未延伸原反及び延伸フィルムの剛性が高くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、延伸フィルムがもろくなり、延伸フィルムの耐圧強度、衝撃強度、突刺し強度などが低下してしまうことを抑制することができる。また、未延伸原反を延伸する際の延伸不調が発生することを抑制することができる。
印刷層42は、袋10に製品情報を示したり美感を付与したりするために基材41に印刷された層である。印刷層42は、文字、数字、記号、図形、絵柄などを表現する。印刷層42を構成する材料としては、グラビア印刷用のインキやフレキソ印刷用のインキを用いることができる。グラビア印刷用のインキの具体例としては、DICグラフィックス株式会社製のフィナートを挙げることができる。
透明ガスバリア層43は、基材41の内面30x側の面上に形成され、透明性を有する無機材料からなる透明蒸着層43aを少なくとも含む。また、透明ガスバリア層43は、透明蒸着層43aの内面30x側の面上に形成され、透明性を有する透明ガスバリア性塗布膜43bを更に含んでいてもよい。
以下、透明蒸着層43aの第1の好ましい形態について説明する。透明蒸着層43aは、アルミニウム原子と炭素原子の共有結合を含む無機化合物の混合物からなる層であってもよい。この場合において、透明蒸着層43aは、X線光電子分光装置(測定条件:X線源AlKα、X線出力120W)を用い、深さ方向にイオンエッチングにより測定したピークにアルミニウム原子と炭素原子の共有結合の存在を示し、また、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等の透過を妨げるガスバリア性を有してもよい。
透明蒸着層43aと基材41との界面から、基材41とは反対側の透明蒸着層43aの表面に向かう範囲内において、AL/Oの比が1.0を超えると、基材41と透明蒸着層43aとの間の密着性が不十分となり、かつアルミニウムの割合が高まり、透明蒸着層43aの透明性が低下する。
次に、透明蒸着層43aの第2の好ましい形態について説明する。なお、本願においては、透明蒸着層43aが、上述の第1の好ましい形態及び以下に説明する第2の好ましい形態の両方を満たしていてもよく、いずれか一方の形態のみを満たしていてもよい。また、本願の透明蒸着層43aが上述の第1の好ましい形態及び以下に説明する第2の好ましい形態のいずれをも満たさない場合も考えられ得る。
透明ガスバリア性塗布膜43bは、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制する層として機能する層である。透明ガスバリア性塗布膜43bは、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコ-ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ-ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合する透明ガスバリア性組成物により得られる。
接着剤層45は、第1フィルム40と第2フィルム50とを接着するための接着剤を含む。接着剤の例としては、エーテル系の二液反応型接着剤、エステル系の二液反応型接着剤などを挙げることができる。
第2フィルム50は、積層体30の内面30xを構成するシーラント層51を少なくとも含む。シーラント層51を構成する材料としては、ポリエチレンなどの樹脂を用いることができる。
次に、下部フィルム16の層構成について説明する。
次に、第1フィルム40の製造方法の一例について説明する。
次に、積層体30の製造方法の一例について説明する。
上述の積層体30からなる表面フィルム14及び裏面フィルム15を準備する。また、表面フィルム14と裏面フィルム15との間に、折り返した状態の下部フィルム16を挿入する。続いて、各フィルムの内面同士をヒートシールして、下部シール部12a、側部シール部13a、注出口シール部20aなどのシール部を形成する。また、ヒートシールによって互いに接合されたフィルムを適切な形状に切断して、図1に示す袋10を得る。
まず、PBTは、印刷適性に優れる。このため、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)の場合と同様に、PBTを含む基材41上に印刷層42を設けることができる。
また、PBTは、高い強度を有する。このため、袋10を構成する積層体がナイロンを含む場合と同様に、積層体30及び袋10の突き刺し強度を高めることができる。積層体30の突き刺し強度は、12N以上であることが好ましく、15N以上であることがより好ましく、16N以上であることが更に好ましい。突き刺し強度の測定方法については、後述する実施例A1において説明する。
上述の図2及び図3においては、基材41に印刷層42が設けられる例を示したが、これに限られることはなく、基材41に印刷層42が設けられていなくてもよい。例えば、第1フィルム40が基材41からなっていてもよい。また、第1フィルム40が、基材41と、基材41に設けられた透明ガスバリア層43からなっていてもよい。
配置例1:基材/接着剤層/シーラント層
配置例2:基材/印刷層/接着剤層/シーラント層
配置例3:基材/透明ガスバリア層/印刷層/接着剤層/シーラント層
配置例4:基材/透明ガスバリア層/接着剤層/シーラント層
上述の本実施の形態においては、袋10がガセット式の袋である例を示したが、袋10の具体的な構成が特に限定されることはない。例えば、袋10は、積層体30からなる表面フィルム14及び裏面フィルム15の内面同士を上部11、下部12及び側部13で接合することによって形成された、いわゆる四方シール袋であってもよい。
上述の本実施の形態においては、袋10が、ボトルへ詰め替えられる液体や紛体などの流動性を有する内容物を収容する詰め替え袋である例を示した。しかしながら、袋10の用途が詰め替え袋に限られることはない。例えば、使用者は、袋10に収容されている内容物を、ボトルなどへ詰め替えることなくそのまま使用してもよい。
上述の本実施の形態においては、第1フィルム40及び第2フィルム50を含む積層体30が、袋10の表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する包装材として用いられる例を示した。しかしながら、積層体30の用途が、袋を構成するための包装材に限られることはない。例えば、積層体30を、袋のような密閉容器ではないラベルやシート材として用いてもよい。
上述の第1の構成で説明した、複数の層41aを含み、キャスト法で作製されたフィルム状の基材41を準備した。各層41aにおけるPBTの含有率は80%であり、層41aの層数は1024であり、基材41の厚みは15μmであった。続いて、フィルム状の基材41上に、DICグラフィックス株式会社製のフィナートを用いて印刷層42を形成した。印刷層42の厚みは1μmであった。このようにして、基材41及び印刷層42を含む第1フィルム40を作製した。
・直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.918g/cm3、MFR:3.8) 63.5重量%
・低密度ポリエチレン(密度:0.919g/cm3、MFR:2.0) 35.0重量%
・低密度ポリエチレン(密度:0.921g/cm3、MFR:5.4)をベースとするスリップ剤マスターバッチ 1.5重量%
MFRは、メルトフローレート(Melt flow rate)を意味する。シーラント層51の厚みは120μmであった。
続いて、積層体30の突き刺し強度を、JIS Z1707 7.4に準拠して測定した。測定器としては、A&D製のテンシロン万能材料試験機RTC-1310を用いた。具体的には、図5に示すように、固定されている状態の積層体30の試験片に対して、外面30y側から、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針70を、50mm/分(1分あたり50mm)の速度で突き刺し、針70が積層体30を貫通するまでの応力の最大値を測定した。5個以上の試験片について、応力の最大値を測定し、その平均値を積層体30の突き刺し強度とした。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とした。結果、突き刺し強度は15Nであった。
続いて、積層体30の外面30yの滑り性を評価した。ここでは、積層体30の外面30yの摩擦係数を測定した。具体的には、積層体30の外面30yと金属面との間の静摩擦係数及び動摩擦係数、並びに、積層体30の外面30y同士での静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。測定は、株式会社東洋精機製作所製の摩擦測定器 TR-2を用いて、JIS K-7125に準拠して行った。金属面を構成する金属としては、アルミニウムを用いた。
まず、積層体30を切断して、幅70mm、長さ152mmの試験片を作製した。続いて、試験片を、温度20~30℃及び湿度40~60%の室内において少なくとも24時間以上にわたって保管した後、試験片の外面が金属面に接するように、試験片を金属面に載置した。続いて、幅63mm、長さ63mmの部材を含み、200gの質量を有するスレッドを、試験片の上に載置した。続いて、金属面上で試験片を100mm/minの速度で滑動させた。滑動が開始する際に試験片に加えた力、及び活動中に試験片に加えた力に基づいて、試験片の外面の静摩擦係数及び動摩擦係数を算出した。結果、静摩擦係数及び動摩擦係数は0.11及び0.11であった。なお、測定時の環境は、JIS K7100に規定する標準状態であり、温度が23℃、湿度が50%であった。
〔摩擦係数の第2測定〕
試験片を、温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において48時間にわたって保管した後、試験片を金属面に載置したこと以外は、第1測定の場合と同様にして、試験片の外面の静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。測定は、試験片を高温恒温槽から取り出した後、5分以内に実施した。結果、静摩擦係数及び動摩擦係数は0.14及び0.13であった。
〔摩擦係数の第3測定〕
積層体30を2つ準備し、一方の積層体30から得た試験片の外面が他方の積層体30の外面30yに接するように、一方の積層体30の試験片を他方の積層体30に載置したこと以外は、第1測定の場合と同様にして、試験片の外面の静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。結果、静摩擦係数(常温静摩擦係数)及び動摩擦係数(常温動摩擦係数)は0.21及び0.22であった。
〔摩擦係数の第4測定〕
積層体30を2つ準備し、2つの積層体30を温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において48時間にわたって保管した後、一方の積層体30の試験片の外面を他方の積層体30の外面30y上に載置したこと以外は、第1測定の場合と同様にして、試験片の外面の静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。結果、静摩擦係数(高温高湿静摩擦係数)及び動摩擦係数(高温高湿動摩擦係数)は0.24及び0.24であった。
第1フィルム40の基材41として、上述の第2の構成で説明した、51質量%のPBTを含み、PBTの融点が224℃、IV値が1.26dl/gであり、チューブラー法で作製された単層フィルムを用いたこと以外は、実施例A1の場合と同様にして、積層体30を作製した。基材41はPBT及び添加剤のみで構成される単層のフィルムであり、基材41の厚みは15μmであった。
・第1測定 静摩擦係数:0.12 動摩擦係数:0.10
・第2測定 静摩擦係数:0.14 動摩擦係数:0.13
・第3測定 静摩擦係数:0.20 動摩擦係数:0.22
・第4測定 静摩擦係数:0.22 動摩擦係数:0.22
第1フィルム40の基材41として、厚み15μmのナイロンフィルム(興人ホールディングス株式会社製 ボニールW)を用いたこと以外は、実施例A1の場合と同様にして、積層体30を作製した。
・第1測定 静摩擦係数:0.13 動摩擦係数:0.13
・第2測定 静摩擦係数:0.16 動摩擦係数:0.15
・第3測定 静摩擦係数:0.20 動摩擦係数:0.19
・第4測定 静摩擦係数:0.27 動摩擦係数:0.25
これに対して、積層体30の外面30yがPBT又はPETによって構成されている場合は、積層体30が高湿環境に晒された場合であっても、金属面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数が0.14以下であり、積層体30に対する静摩擦係数(高温高湿静摩擦係数)及び動摩擦係数(高温高湿動摩擦係数)が0.24以下であった。また、2つの積層体の外面の間の摩擦係数に関して、高温高湿静摩擦係数から常温静摩擦係数を引いた値が0.03以下であり、高温高湿動摩擦係数から前記常温動摩擦係数を引いた値も0.03以下、より具体的には0.02以下であった。特に、積層体30の外面30yがPETによって構成されている場合は、積層体30が高湿環境に晒された場合であっても、金属面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数が0.10以下であり、積層体30に対する静摩擦係数及び動摩擦係数が0.18以下であった。
表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する包装材(以下、胴材とも称する)として、下記の層構成を有する積層体を準備した。
基材/蒸着層/接着剤層/シーラント層
基材41としては、上述の第1の構成で説明した、複数の層41aを含み、キャスト法で作製され、且つアルミニウムが蒸着されたPBTフィルムを用いた。各層41aにおけるPBTの含有率は80%であり、層41aの層数は1024であり、基材41の厚みは12μmであった。また、シーラント層としては、直鎖状低密度ポリエチレンを含む厚さ100μmのポリエチレンフィルムを用いた。
基材/蒸着層/接着剤層/シーラント層
基材としては、上述の胴材の場合と同様の、アルミニウムが蒸着された厚さ12μmのPBTフィルムを用いた。シーラント層としても、直鎖状低密度ポリエチレンを含む厚さ100μmのポリエチレンフィルムを用いた。
続いて、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のそれぞれについて、常温(約20℃)の環境下で袋10を落下させ、袋10が破袋するか否かを検査する常温落下評価を実施した。具体的には、表面フィルム14及び裏面フィルム15が水平になるように保持した袋10を1.5mの高さから落下させる試験(以下、水平落下試験とも称する)を繰り返し10回実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、破袋は生じなかった。また、水平落下試験の後、下部12が下方に位置するように保持した袋10を1.5mの高さから落下させる試験(以下、垂直落下試験とも称する)を繰り返し10回実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、破袋は生じなかった。
また、常温落下評価で用いたものとは別のサンプルを用いて、低温落下評価を実施した。低温落下評価においては、まず、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のそれぞれを3℃にまで冷却させた。続いて、3℃にまで冷却された第1容量の袋10及び第2容量の袋10のそれぞれについて、常温(約20℃)の環境下で袋10を落下させ、袋10が破袋するか否かを検査した。具体的には、常温落下評価の場合と同様に、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のそれぞれについて、上述の水平落下試験及び垂直落下試験を実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、水平落下試験及び垂直落下試験において破袋は生じなかった。
シーラント層の厚みを90μmとしたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、胴材を構成する積層体を準備した。また、実施例B1の場合と同様の底材を準備した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、胴材及び底材を用いて袋10を作製し、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールして、第1容量の袋10及び第2容量の袋10を作製した。
シーラント層の厚みを80μmとしたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、胴材を構成する積層体を準備した。また、実施例B1の場合と同様の底材を準備した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、胴材及び底材を用いて袋10を作製し、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールして、第1容量の袋10及び第2容量の袋10を作製した。
シーラント層の厚みを70μmとしたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、胴材を構成する積層体を準備した。また、実施例B1の場合と同様の底材を準備した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、胴材及び底材を用いて袋10を作製し、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールして、第1容量の袋10及び第2容量の袋10を作製した。
シーラント層の厚みを60μmとしたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、胴材を構成する積層体を準備した。また、実施例B1の場合と同様の底材を準備した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、胴材及び底材を用いて袋10を作製し、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールして、第1容量の袋10及び第2容量の袋10を作製した。
シーラント層の厚みを50μmとしたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、胴材を構成する積層体を準備した。また、実施例B1の場合と同様の底材を準備した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、胴材及び底材を用いて袋10を作製し、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールして、第1容量の袋10及び第2容量の袋10を作製した。
シーラント層の厚みを30μmとしたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、胴材を構成する積層体を準備した。また、実施例B1の場合と同様の底材を準備した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、胴材及び底材を用いて袋10を作製し、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールして、第1容量の袋10及び第2容量の袋10を作製した。
上述の第1の構成で説明した、複数の層41aを含み、キャスト法で作製されたフィルム状の基材41を準備した。各層41aにおけるPBTの含有率は80%であり、層41aの層数は1024であり、第1基材41の厚みは12μmであった。続いて、基材41を前処理ドラムに巻き付けて搬送速度400m/minで搬送しながら、基材41の表面にプラズマ供給ノズルからプラズマを導入するプラズマ前処理を施した。プラズマ前処理の条件は以下のとおりである。
・プラズマ強度:150W・sec/m2
・プラズマ形成ガス:アルゴン1200(sccm)、酸素3000(sccm)
・前処理ドラム-プラズマ供給ノズル間印加電圧:340V
・前処理ドラム周囲の真空度:3.8Pa
・真空度:8.1×10-2Pa
・搬送速度:400m/min
得られた酸化アルミニウム蒸着膜における、波長366nmの光線の透過率は92%であった。
11 上部
12 下部
12a 下部シール部
13 側部
13a 側部シール部
14 表面フィルム
15 裏面フィルム
16 下部フィルム
17 本体部
20 注出口部
20a 注出口シール部
25 易開封性手段
26 ノッチ
30 積層体
40 第1フィルム
41 基材
41a 層
42 印刷層
43 透明ガスバリア層
43a 透明蒸着層
43b 透明ガスバリア性塗布膜
45 接着剤層
50 第2フィルム
51 シーラント層
Claims (9)
- 外面及び内面を含む積層体であって、
外面側から内面側に順に並ぶ基材、接着剤層及びシーラント層を備え、
前記基材は、プラスチックフィルムを1つのみ有し、
前記プラスチックフィルムは、51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含み、
前記シーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレンを含み、
前記基材は、二軸延伸フィルムであり、
前記積層体中に前記基材を構成する二軸延伸フィルムが一つのみであり、
前記シーラント層の厚みは、70μm以上である、積層体。 - 前記積層体の突き刺し強度が12N以上である、請求項1に記載の積層体。
- 前記積層体を2つ準備し、温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において48時間にわたって保管した後に測定される、前記積層体の外面の、他方の前記積層体の外面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数が、0.24以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記積層体を2つ準備し、温度20~30℃及び湿度40~60%の環境において少なくとも24時間にわたって保管した後に測定される、一方の前記積層体の外面の、他方の前記積層体の外面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数を常温静摩擦係数及び常温動摩擦係数と称し、
常温静摩擦係数及び常温動摩擦係数の測定後、2つの前記積層体を温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において48時間にわたって保管した後に測定される、一方の前記積層体の外面の、他方の前記積層体の外面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数を高温高湿静摩擦係数及び高温高湿動摩擦係数と称する場合、
前記高温高湿静摩擦係数から前記常温静摩擦係数を引いた値が0.03以下であり、且つ、前記高温高湿動摩擦係数から前記常温動摩擦係数を引いた値が0.03以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層体。 - 前記基材を構成する、一つのみの前記二軸延伸フィルムは、10層以上を含む多層構造部を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記基材は、単層構造からなり、且つ、ポリブチレテレフタレートのIV値が1.10dl/g以上且つ1.35dl/g以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記基材の面上に位置する蒸着層を更に備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記蒸着層上に位置するガスバリア性塗布膜を更に備える、請求項7に記載の積層体。
- 本体部及び前記本体部に接続された注出口部を有する袋であって、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の積層体と、
前記積層体の内面同士を接合するシール部と、を備える、袋。
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