JP2018167577A - 積層体及び該積層体で構成される袋 - Google Patents

積層体及び該積層体で構成される袋 Download PDF

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Abstract

【課題】耐突き刺し性及び滑り性を有する積層体を提供する。【解決手段】積層体は、外面を構成する第1基材と、内面を構成するシーラント層と、第1基材とシーラント層との間に位置する第2基材と、を備える。第1基材は、51質量%以上のポリエチレンテレフタレート又は51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含む。第1基材が51質量%以上のポリエチレンテレフタレートを含む場合、第2基材は、51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含む。【選択図】図2

Description

本発明は、積層体及び該積層体で構成される袋に関する。
液体や粉体などの流動性を有する内容物を収容するための袋として、軟包装材から構成された袋が用いられている。袋は、内容物が収容される本体部と、本体部に接続され、袋から内容物を注出する際に液体が通る注出口部と、を有する。本体部及び注出口部の形状は、軟包装材をヒートシールすることによって形成されるシール部によって画定される。
軟包装材を構成する積層体は、基材と、基材に積層され、ヒートシールによって溶融するシーラント層と、を備える。積層体の層構成は、例えば機械的強度の観点から決定される。例えば特許文献1においては、積層体の外面がナイロンによって構成され、積層体の内面がポリエチレンによって構成されている。ナイロンは、耐突き刺し性などの、積層体の機械的強度の向上に寄与する。
特開平10−218204号公報
袋の製造工程においては、袋の外縁の一部が開口部として残るように積層体の内面同士をヒートシールする。次に、開口部を介して袋に内容物を充填する。その後、ヒートシールによって開口部を封止する。このようにして、内容物が収容された袋を得ることができる。このような袋の製造工程は、袋の外面に摩擦力が生じる工程を含むことがある。例えば、積み重ねられた複数の袋から1枚の袋を引き抜く工程や、内容物が収容された状態の袋を搬送路上で滑らせる工程などである。これらの工程を効率良く実施するためには、袋の外面の摩擦係数が小さいことが好ましい。
ところで、ナイロンは吸湿性を有する。このため、積層体の外面、すなわち袋の外面がナイロンによって構成されている場合、ナイロンが周囲雰囲気の水分などを吸収することによって袋の外面の摩擦係数が増加してしまう。この結果、袋の外面に生じる摩擦力が大きくなり、袋の製造工程の一部に支障が生じることが考えられる。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る積層体を提供することを目的とする。
本発明は、外面及び内面を含む積層体であって、前記外面を構成する第1基材と、前記内面を構成するシーラント層と、前記第1基材と前記シーラント層との間に位置する第2基材と、を備え、前記第1基材は、51質量%以上のポリエチレンテレフタレート又は51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含み、前記第1基材が51質量%以上のポリエチレンテレフタレートを含む場合、前記第2基材は、51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含む、積層体である。
本発明による積層体は、前記第1基材と前記第2基材との間又は前記第2基材と前記シーラント層との間の少なくともいずれかに位置する蒸着層を更に備えていてもよい。この場合、積層体は、前記蒸着層上に位置するガスバリア性塗布膜を更に備えていてもよい。
本発明による積層体は、前記第1基材と前記第2基材との間に位置する印刷層を更に備えていてもよい。
本発明による積層体において、前記シーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレンを含んでいてもよい。
本発明による積層体の突き刺し強度は、好ましくは13N以上である。
本発明による積層体を2つ準備し、温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において48時間にわたって保管した後に測定される、一方の前記積層体の外面の、他方の前記積層体の外面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数は、好ましくは0.24以下である。
本発明による積層体を2つ準備し、温度20〜30℃及び湿度40〜60%の環境において少なくとも24時間にわたって保管した後に測定される、一方の前記積層体の外面の、他方の前記積層体の外面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数を常温静摩擦係数及び常温動摩擦係数と称し、
常温静摩擦係数及び常温動摩擦係数の測定後、2つの前記積層体を温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において48時間にわたって保管した後に測定される、一方の前記積層体の外面の、他方の前記積層体の外面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数を高温高湿静摩擦係数及び高温高湿動摩擦係数と称する場合、
好ましくは、前記高温高湿静摩擦係数から前記常温静摩擦係数を引いた値が0.03以下であり、且つ、前記高温高湿動摩擦係数から前記常温動摩擦係数を引いた値が0.03以下である。
本発明による積層体において、前記第1基材及び前記第2基材のうちポリブチレテレフタレートを含む方の基材は、10層以上を含む多層構造部を有していてもよい。
本発明による積層体において、前記第1基材及び前記第2基材のうちポリブチレテレフタレートを含む方の基材は、単層構造からなり、且つ、ポリブチレテレフタレートのIV値が1.10dl/g以上且つ1.35dl/g以下であってもよい。
本発明による積層体において、前記第1基材が、ポリブチレンテレフタレートを含み、前記第2基材が、ポリエチレンテレフタレートを含んでいてもよい。
本発明による積層体において、前記第1基材が、ポリエチレンテレフタレートを含み、前記第2基材が、ポリブチレンテレフタレートを含んでいてもよい。
本発明は、本体部及び前記本体部に接続された注出口部を有する袋であって、外面及び内面を含む積層体と、前記積層体の内面同士を接合するシール部と、を備え、前記積層体は、前記外面を構成する第1基材と、前記内面を構成するシーラント層と、前記第1基材と前記シーラント層との間に位置する第2基材と、を備え、前記第1基材は、51質量%以上のポリエチレンテレフタレート又は51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含み、前記第1基材が51質量%以上のポリエチレンテレフタレートを含む場合、前記第2基材は、51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含む、袋である。
本発明によれば、耐突き刺し性及び滑り性を有する積層体を提供することができる。
本発明の実施の形態における袋を示す正面図である。 袋を構成する積層体の層構成の一例を示す断面図である。 袋を構成する積層体の層構成のその他の例を示す断面図である。 積層体の第1フィルムの層構成の一例を示す断面図である。 突き刺し強度の測定方法の一例を示す図である。 実施例A1〜A3及び比較例A1の摩擦係数の測定結果を示す図である。 実施例A1〜A3及び比較例A1の層構成及び評価結果を示す図である。 実施例B1〜B7において作製した袋を示す正面図である。 第1容量の袋を用いた場合の、実施例B1〜B7の常温落下評価及び低温落下評価の結果示す図である。 第2容量の袋を用いた場合の、実施例B1〜B7の常温落下評価及び低温落下評価の結果示す図である。 基材上に成膜された透明蒸着層を、飛行時間型二次イオン質量分析計により分析した結果の一例を示す図である。
図1乃至図4を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから適宜変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。

図1は、本実施の形態による袋10を示す正面図である。袋10は、ボトルへ詰め替えられる液体や紛体などの流動性を有する内容物を収容するよう構成されている。なお、図1においては、内容物が充填される前の状態(内容物が収容されていない状態)の袋10が示されている。袋10に収容される液体としては、液体洗剤やシャンプー等の様々な液体が考えられ得る。
本実施の形態において、袋10は、自立可能に構成されたガセット式の袋である。袋10は、上部11、下部12及び側部13を含み、正面図において略矩形状の輪郭を有する。なお、「上部」、「下部」及び「側部」などの名称、並びに、「上方」、「下方」などの用語は、ガセット部を下にして袋10が自立している状態を基準として袋10やその構成要素の位置や方向を相対的に表したものに過ぎない。袋10の輸送時や使用時の姿勢などは、本明細書における名称や用語によっては限定されない。
図1に示すように、袋10は、内容物が収容される本体部17と、本体部17に接続された注出口部20と、を備えている。注出口部20は、袋10から内容物を取り出す際に液体が通る部分である。注出口部20の幅は、本体部17の幅よりも狭い。このため、使用者は、注出口部20を通って袋10から注出される内容物の注出方向を精度良く定めることができる。
以下、本体部17及び注出口部20を備える袋10の具体的な構成について説明する。図1に示すように、袋10は、表面を構成する表面フィルム14、裏面を構成する裏面フィルム15、及び、下部12を構成する下部フィルム16を備える。下部フィルム16は、折り返し部16fで折り返された状態で、表面フィルム14と裏面フィルム15との間に配置されている。
なお、上述の「表面フィルム」、「裏面フィルム」及び「下部フィルム」という用語は、位置関係に応じて各フィルムを区画したものに過ぎず、袋10を製造する際のフィルムの提供方法が、上述の用語によって限定されることはない。例えば、袋10は、表面フィルム14と裏面フィルム15と下部フィルム16が連設された1枚のフィルムを用いて製造されてもよく、表面フィルム14と下部フィルム16が連設された1枚のフィルムと1枚の裏面フィルム15の計2枚のフィルムを用いて製造されてもよく、1枚の表面フィルム14と1枚の裏面フィルム15と1枚の下部フィルム16の計3枚のフィルムを用いて製造されてもよい。
表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム16は、内面同士がシール部によって接合されている。図1などの袋10の平面図においは、シール部にハッチングが施されている。
図1に示すように、シール部は、袋10の外縁に沿って延びる外縁シール部を有する。外縁シール部は、下部12に広がる下部シール部12a、及び、一対の側部13に沿って延びる一対の側部シール部13aを含む。また、シール部は、注出口部20を画定する注出口シール部20aを含む。図1に示すように注出口部20が袋10の上部11と側部13との間の隅部に形成される場合、注出口シール部20aは側部シール部13aに接続される。内容物が収容されていない状態の袋10においては、図1に示すように、袋10の上部11は開口部11bになっている。袋10に内容物を収容した後、表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを上部11において接合することにより、上部シール部が形成されて袋10が封止される。
側部シール部13a、注出口シール部20a及び後述する上部シール部は、表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを接合することによって構成されるシール部である。一方、下部シール部12aは、表面フィルム14の内面と下部フィルム16の内面とを接合することによって構成されるシール部、及び、裏面フィルム15の内面と下部フィルム16の内面とを接合することによって構成されるシール部を含む。
対向するフィルム同士を接合して袋10を封止することができる限りにおいて、シール部を形成するための方法が特に限られることはない。例えば、加熱などによってフィルムの内面を溶融させ、内面同士を溶着させることによって、すなわちヒートシールによって、シール部を形成してもよい。若しくは、接着剤などを用いて対向するフィルムの内面同士を接着することによって、シール部を形成してもよい。
易開封性手段
表面フィルム14及び裏面フィルム15には、表面フィルム14及び裏面フィルム15を引き裂いて注出口部20を開封するための易開封性手段25が設けられていてもよい。例えば図1に示すように、易開封性手段25は、注出口部20の注出口シール部20aに形成された、引き裂きの起点となるノッチ26を含んでいてもよい。また、注出口部20を引き裂く際の経路となる部分には、易開封性手段25として、レーザー加工やカッターなどで形成されたハーフカット線が設けられていてもよい。
また、図示はしないが、易開封性手段25は、表面フィルム14及び裏面フィルム15のうち注出口シール部20aが形成されている領域に形成された切り込みや傷痕群を含んでいてもよい。傷痕群は例えば、表面フィルム14及び/又は裏面フィルム15を貫通するように形成された複数の貫通孔を含んでいてもよい。若しくは、傷痕群は、表面フィルム14及び/又は裏面フィルム15を貫通しないように表面フィルム14及び/又は裏面フィルム15の外面に形成された複数の孔を含んでいてもよい。
表面フィルム及び裏面フィルムの層構成
次に、表面フィルム14及び裏面フィルム15の層構成について説明する。図2は、表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する積層体30の一例を示す断面図である。また、図3は、表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する積層体30のその他の例を示す断面図である。
図2に示すように、積層体30は、第1フィルム40、第2フィルム50及び第3フィルム60をこの順で少なくとも含む。第1フィルム40は、外面30y側に位置しており、第3フィルム60は、外面30yの反対側の内面30x側に位置している。内面30xは、内容物側に位置する面である。
第1フィルム40は、第1基材41を少なくとも含む。また、第1フィルム40は、図2及び図3に示すように、第1基材41と第2基材51の間に位置する印刷層42を更に含んでいてもよい。例えば、第1フィルム40は、第1基材41に設けられた印刷層42を更に含んでいてもよい。第2フィルム50は、第2基材51を少なくとも含む。また、第2フィルム50は、図2及び図3に示すように、第2基材51に設けられた蒸着層52を更に備えていてもよい。図2に示す例において、蒸着層52は、第2基材51の外面30y側に設けられている。また、図3に示す例において、蒸着層52は、第2基材51の内面30x側に設けられている。第3フィルム60は、シーラント層61を少なくとも含む。
第1フィルム40と第2フィルム50とは第1接着剤層45によって接合されており、第2フィルム50と第3フィルム60とは第2接着剤層55によって接合されている。従って、図2に示す積層体30は、外面側から内面側へ順に、
第1基材/印刷層/第1接着剤層/蒸着層/第2基材/第2接着剤層/シーラント層、
を備えている、と言える。また、図3に示す積層体30は、外面側から内面側へ順に、
第1基材/印刷層/第1接着剤層/第2基材/蒸着層/第2接着剤層/シーラント層、
を備えている、と言える。このように、蒸着層52は、第1基材41と第2基材51との間に位置していてもよく、第2基材51とシーラント層61との間に位置していてもよい。なお、「/」は層と層の境界を表している。
以下、第1フィルム40、第1接着剤層45、第2フィルム50、第2接着剤層55及び第3フィルム60についてそれぞれ詳細に説明する。
(第1フィルム)
図2及び図3に示す例において、第1フィルム40は、積層体30の外面30yを構成する第1基材41と、第1基材41の内面30x側に設けられた印刷層42と、を含む。
〔印刷層〕
印刷層42は、袋10に製品情報を示したり美感を付与したりするために第1基材41に印刷された層である。印刷層42は、文字、数字、記号、図形、絵柄などを表現する。印刷層42を構成する材料としては、グラビア印刷用のインキやフレキソ印刷用のインキを用いることができる。グラビア印刷用のインキの具体例としては、DICグラフィックス株式会社製のフィナートを挙げることができる。
〔第1基材〕
第1基材41は、主成分としてポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)を含む。例えば、第1基材41は、51質量%以上のPBTを含む。以下、第1基材41がPBTを含むことの利点について説明する。
PBTは、寸法安定性に優れており、従って印刷適性に優れる。このため、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)の場合と同様に、PBTを含む第1基材41上に印刷層42を設けることができる。
また、PBTは、高い強度を有する。このため、袋10を構成する積層体30がナイロンを含む場合と同様に、袋10に耐突き刺し性を持たせることができる。
また、PBTは、ナイロンに比べて水分を吸収しにくいという特性を有する。このため、第1基材41が水分を吸収して積層体30のラミネート強度が低下してしまうことや第1フィルム40の外面30yの摩擦係数が増加してしまうことを抑制することができる。
以下、PBTを含む第1基材41の構成について詳細に説明する。本実施の形態における、PBTを含む第1基材41の構成としては、下記の第1の構成又は第2の構成のいずれを採用してもよい。
〔基材の第1の構成〕
第1の構成に係る第1基材41におけるPBTの含有率は、51質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、さらには70質量%以上、特には75質量%以上が好ましく、最も好ましくは80質量%以上である。PBTの含有率を51質量%以上にすることにより、第1フィルム40に優れたインパクト強度および耐ピンホール性を持たせることができる。
主たる構成成分として用いるPBTは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり、最も好ましくは100モル%である。グリコール成分として1,4−ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは97モル%以上であり、最も好ましくは、重合時に1,4−ブタンジオールのエーテル結合により生成する副生物以外は含まれないことである。
第1基材41は、PBT以外のポリエステル樹脂を含んでいてもよい。これにより、例えばフィルム状の第1基材41を二軸延伸させる場合の成膜性や第1基材41の力学特性を調整することができる。
PBT以外のポリエステル樹脂としては、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂のほか、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂や、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール等のジオール成分が共重合されたPBT樹脂を挙げることができる。
これらPBT以外のポリエステル樹脂の添加量は、49質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。PBT以外のポリエステル樹脂の添加量が49質量%を超えると、PBTとしての力学特性が損なわれ、インパクト強度や耐ピンホール性、絞り成形性が不十分となることが考えられる。
第1基材41は、添加剤として、柔軟なポリエーテル成分、ポリカーボネート成分、ポリエステル成分の少なくともいずれかを共重合したポリエステル系およびポリアミド系エラストマーを含んでいてもよい。これにより、屈曲時の耐ピンホール性を改善することができる。添加剤の添加量は、例えば20質量%である。添加剤の添加量が20質量%を超えると、添加剤としての効果が飽和することや、第1基材41の透明性が低下することなどが起こり得る。
第1の構成に係るフィルム状の第1基材41を作製する方法の一例について説明する。ここでは、キャスト法によってフィルム状の第1基材41を作製する方法について説明する。より具体的には、キャスト時に同一の組成の樹脂を多層化してキャストする方法について説明する。
PBTは結晶化速度が速いため、キャスト時にも結晶化が進行する。このとき、多層化せずに単層でキャストした場合には、結晶の成長を抑制しうるような障壁が存在しないために、結晶が大きなサイズに成長してしまい、得られた未延伸原反の降伏応力が高くなる。このため、未延伸原反を二軸延伸する際に破断しやすくなる。また、得られた二軸延伸フィルムの降伏応力が高くなり、二軸延伸フィルムの成形性が不十分になってしまうことが考えられる。
これに対して、キャスト時に同一の樹脂を多層化すれば、未延伸シートの延伸応力を低減することができる。このため、安定した二軸延伸が可能となり、また、得られた二軸延伸フィルムの降伏応力が低くなる。このことにより、柔軟かつ破断強度の高いフィルムを得ることができる。
図4は、第1フィルムの層構成の一例を示す断面図である。樹脂を多層化してキャストすることによって第1基材41が作製される場合、図4に示すように、第1フィルム40の第1基材41は、複数の層41aを含む多層構造部からなる。複数の層41aはそれぞれ、主成分としてPBTを含んでいてもよい。例えば、複数の層41aはそれぞれ、好ましくは51質量%以上のPBTを含み、より好ましくは60質量%以上のPBTを含む。なお、複数の層41aにおいては、n番目の層41aの上にn+1番目の層41aが直接積層されている。すなわち、複数の層41aの間には、接着剤層や接着層が介在されていない。
多層化によりPBTフィルムの特性が改善される原因については、下記のように推測する。樹脂を積層する場合、樹脂の組成が同一の場合であっても層の界面が存在し、その界面により結晶化が加速される。一方、層の厚みを越えた大きな結晶の成長は抑制される。このため、結晶(球晶)のサイズが小さくなるものと考えられる。
多層化により球晶のサイズを小さくするための具体的な方法としては、一般的な多層化装置(多層フィードブロック、スタティックミキサー、多層マルチマニホールドなど)を用いることができる。例えば、二台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂を、フィードブロックやスタティックミキサー、マルチマニホールドダイ等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。なお、同一の組成の樹脂を多層化する場合、一台の押出機のみを用いて、押出機からダイまでのメルトラインに上述の多層化装置を導入することも可能である。
第1基材41は、少なくとも10層以上、好ましくは60層以上、より好ましくは250層以上、更に好ましくは1000層以上の層41aを含む多層構造部からなる。層数を多くすることにより、未延伸原反の状態のPBTにおける球晶のサイズを小さくすることができ、その後の二軸延伸を安定に実施することができる。また、二軸延伸フィルムの状態のPBTの降伏応力を小さくすることができる。好ましくは、未延伸原反のPBTにおける球晶の直径は、500nm以下である。
PBTの未延伸原反を二軸延伸して二軸延伸フィルムを作製する際の、縦延伸方向(以下、MD)における延伸温度(以下、MD延伸温度とも記す)は、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは45℃以上である。MD延伸温度を40℃以上にすることにより、フィルムの破断が生じることを抑制することができる。また、MD延伸温度は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは95℃以下である。MD延伸温度を100℃以下にすることにより、二軸延伸フィルムの配向が生じないという現象を抑制することができる。
MDにおける延伸倍率(以下、MD延伸倍率とも記す)は、好ましくは2.5倍以上である。これにより、二軸延伸フィルムを配向させ、良好な力学特性や均一な厚みを実現することができる。MD延伸倍率は、例えば5倍以下である。
横延伸方向(以下、TDとも記す)における延伸温度(以下、TD延伸温度とも記す)は、好ましくは40℃以上である。TD延伸温度を40℃以上にすることにより、フィルムの破断が生じることを抑制することができる。また、TD延伸温度は、好ましくは100℃以下である。TD延伸温度を100℃以下にすることにより、二軸延伸フィルムの配向が生じないという現象を抑制することができる。
TDにおける延伸倍率(以下、TD延伸倍率とも記す)は、好ましくは2.5倍以上である。これにより、二軸延伸フィルムを配向させ、良好な力学特性や均一な厚みを実現することができる。MD延伸倍率は、例えば5倍以下である。
TDリラックス率は、好ましくは0.5%以上である。これにより、PBTの二軸延伸フィルムの熱固定時に破断が生じることを抑制することができる。また、TDリラックス率は、好ましくは10%以下である。これにより、PBTの二軸延伸フィルムにたるみなどが生じて厚みムラが発生することを抑制することができる。
図4に示す第1基材41の層41aの厚みは、好ましくは3nm以上であり、より好ましくは10nm以上である。また、層41aの厚みは、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下であり、更に好ましくは75nm以下である。
また、第1基材41の厚みは、好ましくは9μm以上であり、より好ましくは12μm以上である。また、第1基材41の厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。第1基材41の厚みを9μm以上にすることにより、第1基材41が十分な強度を有するようになる。また、第1基材41の厚みを25μm以下にすることにより、第1基材41が優れた成形性を示すようになる。このため、第1基材41を含む積層体30を加工して袋10を製造する工程を効率的に実施することができる。
上述のように第1基材41が複数の層41aを含む多層構造部からなる場合、複数の層41aの一部は、PBT以外のポリエステル樹脂を主成分として含んでいてもよい。例えば、第1基材41は、PBTを主成分として含む複数の層41aと、2つのPBTの層41aの間に位置する、例えばPETを主成分として含む層41aとによって構成されていてもよい。すなわち、PBTを主成分として含む層41aと、例えばPETを主成分として含む層41aとを交互に積層することによって第1基材41が構成されていてもよい。
〔基材の第2の構成〕
第2の構成に係る第1基材41は、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む単層フィルムからなる。例えば、第1基材41は、グリコール成分としての1,4−ブタンジオール、又はそのエステル形成性誘導体と、二塩基酸成分としてのテレフタル酸、又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、それらを縮合して得られるホモ、またはコポリマータイプのポリエステルを含む。第2の構成に係る第1基材41におけるPBTの含有率は、51質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、さらには80質量%以上が好ましく、最も好ましくは90質量%以上である。また、第2の構成に係る第1基材41は、ポリブチレンテレフタレートと添加剤のみで構成されていることが好ましい。
第1基材41に機械的強度を付与するためには、PBTのうち、融点が200℃以上且つ250℃以下、IV値が1.10dl/g以上且つ1.35dl/g以下のものが好ましい。さらには、融点が215℃以上且つ225℃以下、IV値が1.15dl/g以上且つ1.30dl/g以下のものが特に好ましい。これらのIV値は、第1基材41を構成する材料全体によって満たされていてもよい。IV値は、JIS K 7367−5:2000に基づいて算出され得る。
第2の構成に係る第1基材41は、PETなどPBT以外のポリエステル樹脂を30質量%以下の範囲で含んでいてもよい。第1基材41がPBTに加えてPETを含むことにより、PBT結晶化を抑制することができ、PBTフィルムの延伸加工性を向上させることができる。第1基材41のPBTに配合するPETとしては、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを用いることができる。例えば、グリコール成分としてのエチレングリコール、二塩基酸成分としてのテレフタル酸を主成分としたホモタイプを好ましく用いることができる。良好な機械的強度特性を付与するためには、PETのうち、融点が240℃以上且つ265℃以下、IV値が0.55dl/g以上且つ0.90dl/g以下のものが好ましい。さらには、融点が245℃以上且つ260℃以下、IV値が0.60dl/g以上且つ0.80dl/g以下のものが特に好ましい。
PETの配合量を30質量%以下にすることにより、未延伸原反及び延伸フィルムの剛性が高くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、延伸フィルムがもろくなり、延伸フィルムの耐圧強度、衝撃強度、突刺し強度などが低下してしまうことを抑制することができる。また、未延伸原反を延伸する際の延伸不調が発生することを抑制することができる。
第1基材41は、必要に応じて、滑剤、アンチブロッキング剤、無機増量剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、結晶化抑制剤、結晶化促進剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、第1基材41の原料として用いるポリエステル系樹脂ペレットは、加熱溶融時の加水分解による粘度低下を避けるため、加熱溶融前に水分率が0.05重量%以下、好ましくは0.01重量%以下になるように十分予備乾燥を行った上で使用するのが好ましい。
第2の構成に係るフィルム状の第1基材41を作製する方法の一例について説明する。
上述の構成の第1基材41のフィルムを安定的に作製するためには、未延伸原反の状態における結晶の成長を抑制することが重要になる。具体的には、押出されたPBT系溶融体を冷却して成膜する際、該ポリマーの結晶化温度領域をある速度以上で冷却する、すなわち原反冷却速度が重要な因子となる。原反冷却速度は、例えば200℃/秒以上、好ましくは250℃/秒以上、特に好ましくは350℃/秒以上である。高い冷却速度で成膜された未延伸原反は、低い結晶状態を保っているため、延伸時のバブルの安定性が向上する。さらには高速での成膜も可能になるので、フィルムの生産性も向上する。冷却速度が200℃/秒未満である場合、得られた未延伸原反の結晶性が高くなり延伸性が低下することが考えられる。また、極端な場合には、延伸バブルが破裂し、延伸が継続しないことも考えられる。
PBTを主成分として含む未延伸原反は、雰囲気温度を25℃以下、好ましくは20℃以下に保ちながら、二軸延伸を行う空間まで搬送されることが好ましい。これにより、滞留時間が長くなった場合であっても、成膜直後の未延伸原反の結晶性を維持することができる。
未延伸原反を延伸させて延伸フィルムを得るための二軸延伸法は、特には限定されない。例えば、チューブラー法又はテンター法により、縦方向及び横方向を同時に延伸してもよく、若しくは、縦方向及び横方向を逐次延伸してもよい。このうち、チューブラー法は、周方向の物性バランスが良好な延伸フィルムを得ることができ、特に好ましく採用される。
チューブラー法において、延伸空間に導かれた未延伸原反は、一対の低速ニップロール間に挿通された後、中に空気を圧入しながら延伸用ヒーターで加熱される。延伸終了後、延伸フィルムには、冷却ショルダーエアーリングによりエアーが吹き付けられる。延伸倍率は、延伸安定性や延伸フィルムの強度物性、透明性、および厚み均一性を考慮すると、MD、およびTDそれぞれ2.7倍以上且つ4.5倍以下であることが好ましい。延伸倍率を2.7倍以上にすることにより、延伸フィルムの引張弾性率や衝撃強度を十分に確保することができる。また、延伸倍率を4.5倍以下にすることにより、延伸により過度な分子鎖のひずみが発生することを抑制し、延伸加工時に破断やパンクが発生することを抑制できるので、延伸フィルムを安定に作製することができる。
延伸温度は、40℃以上且つ80℃以下が好ましく、特に好ましくは45℃以上且つ65℃以下である。上述の高い冷却速度で製造した未延伸原反は、結晶性が低いため、延伸温度が比較的に低温の場合であっても、安定して未延伸原反を延伸することができる。また、延伸温度を80℃以下にすることにより、延伸バブルの揺れを抑制し、厚み精度の良好な延伸フィルムを得ることができる。また、延伸温度を40℃以上にすることにより、低温延伸による過度な延伸配向結晶化が発生することを抑制して、フィルムの白化等を防ぐことができる。
上述のようにして作製される第1基材41は、例えば、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む単一の層によって構成されている。上述の作製方法によれば、高い冷却速度で未延伸原反を成膜するので、未延伸原反が単一の層によって構成される場合であっても、低い結晶状態を保つことができ、このため、安定して未延伸原反を延伸することができる。
(第1接着剤層)
第1接着剤層45は、第1フィルム40と第2フィルム50とを接着するための第1接着剤を含む。第1接着剤の例としては、エーテル系の二液反応型接着剤、エステル系の二液反応型接着剤などを挙げることができる。
エーテル系の二液反応型接着剤としては、例えば、ポリエーテルポリウレタンなどを挙げることができる。ポリエーテルポリウレタンは、主剤としてのポリエーテルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族系イソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族系イソシアネート化合物、あるいは、上記各種イソシアネート化合物の付加体または多量体を用いることができる。好ましくは、硬化剤として、芳香族系イソシアネート化合物を用いる。これにより、脂肪族系イソシアネート化合物を用いる場合に比べて、第1フィルム40と第2フィルム50との間のラミネート強度をより高めることができる。
エステル系の二液反応型接着剤としては、例えば、ポリエステルポリウレタンやポリエステルなどが挙げられる。ポリエステルポリウレタンは、主剤としてのポリエステルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。イソシアネート化合物の例は、上述のエーテル系の接着剤の場合と同様である。
第1接着剤層45は、例えば、接着剤組成物を第1フィルム40又は第2フィルム50に塗布し、その後、接着剤組成物が乾燥し、また、接着剤組成物中の主剤と溶剤とが反応して接着剤組成物が硬化することによって形成される。第1接着剤層45の厚みは、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上である。
(第2フィルム)
第2フィルム50は、第2基材51と、第2基材51に設けられた蒸着層52と、を含む。
〔第2基材〕
第2基材51は、主成分としてPETを含む。例えば、第2基材51は、51質量%以上のPETを含む。第2基材51がPETを含むことにより、第2基材51がナイロンを含む場合に比べて、第2基材51の吸湿性が低くなる。これにより、内容物に含まれる水分に起因して第2基材51が膨張したり第2基材51の特性が低下したりすることを抑制することができる。第2基材51の主成分がPETである場合、第2基材51におけるPETの含有量は、95質量%以上であってもよい。
第2基材51の厚みは、好ましくは9μm以上であり、より好ましくは12μm以上である。また、第2基材51の厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。第2基材51の厚みを9μm以上にすることにより、第2基材51が十分な強度を有するようになる。また、第2基材51の厚みを25μm以下にすることにより、第2基材51が優れた成形性を示すようになる。このため、積層体30を加工して袋10を製造する工程を効率的に実施することができる。
〔蒸着層〕
蒸着層52は、積層体30のガスバリア性を高めるために積層体30に設けられる層である。蒸着層52を構成する材料としては、アルミニウムなどの金属、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、酸化珪素などの無機酸化物などが挙げられる。
蒸着層52は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を阻止するガスバリア性の機能を有する層として機能する。なお、蒸着層52は二層以上設けられてもよい。蒸着層52を二層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。蒸着層52の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。具体的には、ローラー式蒸着膜成膜装置を用いて、成膜ローラー上において蒸着層を形成することができる。
蒸着層52は、アルミニウム酸化物(酸化アルミニウム)、珪素酸化物などの、透明性を有する無機物で形成された透明蒸着層であってもよい。透明蒸着層としては、酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜を使用することが好ましい。具体的には、透明蒸着層は、式AlO(式中、Xは、0.5〜1.5の範囲の数を表す。)で表される酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜である。透明蒸着層は、膜表面から内面に向かう深さ方向に向かってXの値が減少している酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜を使用することができる。酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜は、式AlO(式中、Xは、0.5〜1.5の範囲の数を表す。)で表され、その薄膜表面から内面に向かう深さ方向に向かってXの値が増加していることが好ましい。なお、上記の式中のXの値としては、基本的には、X=0.5以上のものを使用することができるが、X=1.0未満になると、着色が激しく、かつ、透明性に劣ることから、X=1.0以上のものを使用することが好ましい。また、X=1.5のものは、Alと酸素とが完全に酸化した状態のものであることから、上限としては、X=1.5までのものを使用することができる。なお、上記の式中のXの値が0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではない。
なお、Xの値の減少割合は、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy:XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy:SIMS)などの表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングするなどして分析する方法を利用して、透明蒸着層の元素分析を行うことより確認することができる。
<透明蒸着層の第1の好ましい形態>
以下、透明蒸着層の第1の好ましい形態について説明する。透明蒸着層は、アルミニウム原子と炭素原子の共有結合を含む無機化合物の混合物からなる層であってもよい。この場合において、透明蒸着層は、X線光電子分光装置(測定条件:X線源AlKα、X線出力120W)を用い、深さ方向にイオンエッチングにより測定したピークにアルミニウム原子と炭素原子の共有結合の存在を示し、また、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等の透過を妨げるガスバリア性を有してもよい。
透明蒸着層と第2基材51との界面には、金属原子と炭素原子の共有結合が形成されていてもよい。例えば、透明蒸着層が酸化アルミニウムを含む場合、第2基材51と透明蒸着層との界面には、アルミニウム原子と炭素原子の共有結合が形成されているものとすることができる。共有結合は、X線光電子分光法による測定(以下、略して「XPS測定」という)によって検出され得る。
また、透明蒸着層においては、アルミニウム原子と炭素原子の共有結合の存在比率が、XPS測定により透明蒸着層と第2基材51との界面を測定した場合に観察される炭素原子を含む全結合のうちの0.3%以上且つ30%以下の範囲内であることが好ましい。これにより、透明蒸着層と第2基材51との密着性が強化され、透明性も優れ、ガスバリア性の蒸着フィルムとしてバランスのよい性能のものが得られる。
アルミニウム原子と炭素原子の共有結合の存在比率が0.3%未満であると、透明蒸着層の密着性の改善が不十分であり、バリア性を安定して維持することが困難になる。
さらに、酸化アルミニウムを主成分とする透明蒸着層の、AL(アルミニウム)/O(酸素)比が、第2基材51と透明蒸着層との界面から、第2基材51とは反対側の透明蒸着層の表面に向かって3nmまでの範囲内において、1.0以下であることが好ましい。
透明蒸着層と第2基材51との界面から、第2基材51とは反対側の透明蒸着層の表面に向かう範囲内において、AL/Oの比が1.0を超えると、第2基材51と透明蒸着層との間の密着性が不十分となり、かつアルミニウムの割合が高まり、透明蒸着層の透明性が低下する。
透明蒸着層の厚みは、例えば20Å以上且つ200Åであり、好ましくは30Å以上且つ150Åである。30Å未満であると、ガスバリア性が不十分となる場合がある。一方、150Åを超えると、積層体30のガスバリア性能を維持できない場合がある。この理由は定かではないが、透明蒸着層の厚みが150Åを超えると積層体30の屈曲性が低下し、積層体30を袋10に使用した場合に透明蒸着層の一部に亀裂ないしピンホールが発生してガスバリア性が低下するものと考えられる。透明蒸着層の厚みは、好ましくは、40Å以上且つ130Å以下、より好ましくは、50Å以上且つ120Å以下である。なお、透明蒸着層の厚みは、例えば、蛍光X線分析装置(商品名:RIX2000型、株式会社理学製)を用いて、ファンダメンタルパラメーター法で測定することができる。また、透明蒸着層の厚みを変更する手段としては、透明蒸着層の堆積速度を変更する方法、蒸着する速度を変更する方法などによって行うことができる。
第2基材51の内面30x側の面上に透明蒸着層を形成する場合、第2基材51の内面30x側の面に予めコロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理などの前処理を施しておいてもよい。特に、透明蒸着層と第2基材51との界面に、金属原子と炭素原子の共有結合を形成する場合には、透明蒸着層を形成しようとする第2基材51との面に対し前処理を施すことが好ましい。前処理がプラズマ処理である場合、前処理装置により、0.1Pa以上100Pa以下の減圧環境下において、第2基材51との面に対してプラズマを供給する。プラズマは、アルゴン等の不活性ガス単独又は酸素、窒素、炭酸ガス及びそれらの1種以上のガスとの混合ガスをプラズマ原料ガスとして用い、高周波電圧等による電位差によって、プラズマ原料ガスを励起状態にすることにより、発生させることができる。
前処理により、第2基材51の表面近傍にプラズマを閉じ込めることができる。これにより、第2基材51の表面の形状や、化学的な結合状態や官能基を変化させ、第2基材51の表面の化学的性状を変化させることができる。このことにより、第2基材51と透明蒸着層との密着性を向上させることが可能となる。
<透明蒸着層の第2の好ましい形態>
次に、透明蒸着層の第2の好ましい形態について説明する。なお、本願においては、透明蒸着層が、上述の第1の好ましい形態及び以下に説明する第2の好ましい形態の両方を満たしていてもよく、いずれか一方の形態のみを満たしていてもよい。また、本願の透明蒸着層が上述の第1の好ましい形態及び以下に説明する第2の好ましい形態のいずれをも満たさない場合も考えられ得る。
透明蒸着層においては、第2基材51などの基材と酸化アルミニウム蒸着膜などの透明蒸着層との密着強度を規定する遷移領域が、透明蒸着層に形成されていてもよい。透明蒸着層が酸化アルミニウム蒸着膜である場合、遷移領域は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて酸化アルミニウム蒸着膜のエッチングを行うことで検出される水酸化アルミニウムに変成する結合構造(Al2O4H)を含む。TOF−SIMSを用いてエッチングを行うことで規定される酸化アルミニウム蒸着膜に対する、TOF−SIMSを用いて規定される該変成される遷移領域の割合により定義される遷移領域の変成率は、好ましくは45%以下である。このような形態は、遷移領域の変成率を規定することで、基材と酸化アルミニウム蒸着膜との間の密着強度が改善された、バリア性を備える積層体30を特定できるとの知見に基づくものである。
遷移領域の変成率について具体的に説明する。まず、飛行時間型二次イオン質量分析計を用いてCsにより、酸化アルミニウム蒸着膜の最表面からエッチングを行い、酸化アルミニウム蒸着膜とプラスチック基材との界面の元素結合及び蒸着膜の元素結合を測定する。続いて、測定された元素および元素結合について、図11に示すように、それぞれの実測グラフを得る。
酸化アルミニウム蒸着膜における水酸化アルミニウムが形成するプラスチック基材と蒸着膜の界面の遷移領域を極力狭くするために、AL2O4Hに注目し、1)元素C6のグラフの強度Hが半分になる位置(図11において強度(Intensity)がHになる位置)を、プラスチック基材と酸化アルミニウム蒸着膜の界面(図11において横軸(Cycle)がTの位置)として特定する。また、界面から酸化アルミニウム蒸着膜の表面(図11において横軸(Cycle)がTの位置)までを、酸化アルミニウム蒸着膜として特定する。続いて、2)元素結合AL2O4Hを表すグラフにおけるピーク(図11において横軸(Cycle)がTの位置)を求め、そのピークの位置から界面の位置までを遷移領域として特定する。続いて、3)(元素結合AL2O4Hのピークから界面までの遷移領域/酸化アルミニウム蒸着膜)×100(%)として遷移領域の水酸化アルミニウムへの変成率を求めるものである。図11に示す例において、変成率は、(W2/W1)×100(%)である。
酸化アルミニウム蒸着膜の成膜は、酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率を好ましい値とするために、酸化アルミ蒸着工程前に、第2基材51などのプラスチック基材の表面にプラズマ前処理を行うことが好ましい。プラズマ前処理において、プラズマガスとして供給する酸素ガスとアルゴンまたはヘリウムとの混合比率は、5対1、好ましくは、2対1である。混合比率を5対1とすることで、プラスチック基材上での蒸着アルミニウムの膜形成エネルギーが増加し、更に2対1とすることで、水酸化アルミニウムの形成が基材の界面近傍で形成される、すなわち該遷移領域の変成率が低下する。
蒸着膜を成膜する蒸着法としては、物理蒸着法、化学蒸着の中から種々の蒸着法が適用できる。物理蒸着法としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、クラスターイオンビーム法からなる群から選ぶことができ、化学蒸着法としては、プラズマCVD法、プラズマ重合法、熱CVD法、触媒反応型CVD法からなる群から選ぶことができる。本形態においては、物理蒸着法の蒸着法が好適である。
上記のように製膜される酸化アルミニウム蒸着膜の厚さは、好ましくは3nm以上且つ50nm以下であり、好ましくは8nm以上且つ30nm以下である。この範囲であれば、バリア性を保持し易い。
〔ガスバリア性塗布膜〕
透明蒸着層などの蒸着層52の上に、一般式R M(OR(ただし、式中、R、Rは、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコ−ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合する透明ガスバリア性組成物により得られるガスバリア性塗布膜が設けられていてもよい。なお、ガスバリア性塗布膜は透明であることが好ましい。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解の縮合物の少なくとも一種以上を使用することができる。また、上記のアルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよい。アルコキシドの加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2〜6量体のものを使用される。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他などを使用することができる。好ましい金属としては、例えば、ケイ素、チタンなどを挙げることができる。また、本発明において、アルコキシドの用い方としては、単独または二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、その他などのアルキル基を挙げることができる。また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、その他などを挙げることができる。なお、同一分子中にこれらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
上記の透明ガスバリア性組成物を調製する際、例えば、シランカップリング剤などを添加してもよい。上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、または、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、一種または二種以上を混合して用いてもよい。
蒸着層52を備える積層体30の酸素透過度及び水蒸気透過度はそれぞれ、好ましくは2以下(cc/m・day・atm)及び2以下(g/m・day)である。酸素透過度は、JIS K7126(等圧法)に準じ、米国モコン社製の酸素バリア測定器 OXTRAN を用い、23℃・90%RH条件下にて測定される。水蒸気透過度は、JIS K7129(B法)に準じ、米国モコン社製の水蒸気バリア測定器 PERMATRAN を用い、40℃・90%RH条件下にて測定される。
(第2接着剤層)
第2接着剤層55は、第2フィルム50と第3フィルム60とを接着するための第2接着剤を含む。第2接着剤の例としては、エーテル系の二液反応型接着剤を挙げることができる。エーテル系の二液反応型接着剤としては、第1接着剤の場合と同様に、ポリウレタンなどを挙げることができる。ポリウレタンは、主剤としてのポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。なお、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールを用いることができるが、ポリエステルポリオールを用いることが好ましい。また、硬化剤としては、第1接着剤層45の場合と同様に、芳香族系イソシアネート化合物を用いることが好ましい。
第2接着剤層55は、例えば、接着剤組成物を第2フィルム50又は第3フィルム60に塗布し、その後、接着剤組成物が乾燥し、また、接着剤組成物中の主剤と溶剤とが反応して接着剤組成物が硬化することによって形成される。第2接着剤層55の厚みは、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上である。
(第3フィルム)
第3フィルム60は、積層体30の内面30xを構成するシーラント層61を少なくとも含む。シーラント層61を構成する材料としては、ポリエチレンなどの樹脂を用いることができる。
ポリエチレンは、例えば、密度に基づいて低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンに分類される。低密度ポリエチレンとは、密度が0.910g/cm以上且つ0.925g/cm以下のポリエチレンである。中密度ポリエチレンは、密度が0.926g/cm以上且つ0.940g/cm以下のポリエチレンである。高密度ポリエチレンとは、密度が0.941g/cm以上且つ0.965g/cm以下のポリエチレンである。低密度ポリエチレンは、例えば、1000気圧以上且つ2000気圧未満の高圧でエチレンを重合することにより得られる。中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、例えば、1気圧以上且つ1000気圧未満の中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる。なお、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体を部分的に含んでいてもよい。
なお、中圧又は低圧でエチレンを重合する場合であっても、エチレンとα−オレフィンとの共重合体を含む場合は、中密度又は低密度のポリエチレンが生成され得る。このようなポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレンと称される。直鎖状低密度ポリエチレンは、中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる直鎖状ポリマーにα−オレフィンを共重合させて短鎖分岐を導入することによって得られる。α−オレフィンの例としては、1−ブテン(C)、1−ヘキセン(C)、4−メチルペンテン(C)、1−オクテン(C)などを挙げることができる。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、例えば0.915g/cm以上且つ0.945g/cm以下である。
シーラント層61を構成するポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどを用いることができる。好ましくは、シーラント層61は、少なくとも直鎖状低密度ポリエチレンを含む。これにより、シール強度を高め、落下強度などの袋10の耐衝撃性を高めることができる。シーラント層61は、直鎖状低密度ポリエチレンに加えて低密度ポリエチレンを更に含んでいてもよい。これにより、積層体30の引き裂き性を高めることができる。シーラント層61が直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンの両方を含む場合、好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンの含有量(重量%)が低密度ポリエチレンの含有量(重量%)よりも大きい。シーラント層61は、単層であってもよく、多層であってもよい。
シーラント層61の厚みは、例えば50μm以上であり、好ましくは60μm以上であり、より好ましくは70μm以上であり、更に好ましくは80μm以上である。また、シーラント層61の厚みは、好ましくは160μm以下であり、より好ましくは130μm以下である。
下部フィルムの層構成
次に、下部フィルム16の層構成について説明する。
表面フィルム14の内面及び裏面フィルム15の内面と接合可能な内面を有する限りにおいて、下部フィルム16の層構成は任意である。例えば、表面フィルム14及び裏面フィルム15と同様に、下部フィルム16として上述の積層体30を用いてもよい。若しくは、内面がシーラント層によって構成され、且つ積層体30とは異なる構成のフィルムを、下部フィルム16として用いてもよい。例えば、下部フィルム16には引き裂き性が求められないので、下部フィルム16のシーラント層における低密度ポリエチレンの含有量(重量%)は、表面フィルム14及び裏面フィルム15のシーラント層61における低密度ポリエチレンの含有量(重量%)よりも小さくてもよい。若しくは、下部フィルム16のシーラント層は、低密度ポリエチレンを含んでいなくてもよい。下部フィルム16のシーラント層の厚みは、例えば60μm以上であり、好ましくは70μm以上であり、より好ましくは80μm以上であり、更に好ましくは100μm以上である。
第1フィルムの製造方法
次に、第1フィルム40の製造方法の一例について説明する。
まず、主成分としてPBTを含む樹脂材料を準備する。続いて、キャスト法やチューブラー法などの溶融押出法で樹脂材料を押し出すことにより、フィルム状の第1基材41を作製する。続いて、第1基材41上に印刷層42を形成する。このようにして、第1基材41と印刷層42とを備える第1フィルム40を得ることができる。
第2フィルムの製造方法
次に、第2フィルム50の製造方法の一例について説明する。
まず、主成分としてPETを含む第2基材51を準備する。続いて、第2基材51の面上にアルミニウムなどの金属、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、酸化珪素などの無機酸化物を蒸着して蒸着層52を形成する。このようにして、第2基材51と蒸着層52とを備える第2フィルム50を得ることができる。
積層体の製造方法
次に、積層体30の製造方法の一例について説明する。
まず、上述の第1フィルム40、及び第2フィルム50を準備する。続いて、ドライラミネート法により、第1フィルム40と第2フィルム50とを、第1接着剤層45を介して積層する。その後、ドライラミネート法により、第1フィルム40及び第2フィルム50を含む積層体と、第3フィルム60とを、第2接着剤層55を介して積層する。これによって、第1フィルム40、第2フィルム50及び第3フィルム60を備える積層体30を得ることができる。
若しくは、まず第2フィルム50と第3フィルム60とを第2接着剤層55を介してドライラミネート法により積層し、その後、第1フィルム40と、第2フィルム50及び第3フィルム60を含む積層体とを第1接着剤層45を介してドライラミネート法により積層することにより、積層体30を製造してもよい。
ドライラミネート法においては、まず、積層される2つのフィルムのうちの一方に接着剤組成物を塗布する。続いて、塗布された接着剤組成物を乾燥させて溶剤を揮発させる。その後、乾燥後の接着剤組成物を介して2つのフィルムを積層する。続いて、積層された2つのフィルムを巻き取った状態で、例えば20℃以上の環境下で24時間以上にわたってエージングする。
袋の製造方法
上述の積層体30からなる表面フィルム14及び裏面フィルム15を準備する。また、表面フィルム14と裏面フィルム15との間に、折り返した状態の下部フィルム16を挿入する。続いて、各フィルムの内面同士をヒートシールして、下部シール部12a、側部シール部13a、注出口シール部20aなどのシール部を形成する。また、ヒートシールによって互いに接合されたフィルムを適切な形状に切断して、図1に示す袋10を得る。
続いて、積み重ねられた状態の複数の袋10を充填装置に投入する。充填装置においては、1枚ずつ袋10を引き抜き、そして、内容物を充填するための場所まで袋10を搬送する。次に、上部11の開口部11bを介して内容物を袋10に充填する。その後、上部11をヒートシールして上部シール部を形成する。続いて、内容物が収容された状態の袋10を、金属からなる表面を有する搬送路の上を滑動させて、袋10を充填装置から排出する。このようにして、内容物が収容され封止された袋10を得ることができる。
以下、本実施の形態に係る袋10の利点について説明する。
本実施の形態においては、袋10の表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する積層体30が、PBTを主成分とする第1基材41を含むことにより、下記の効果を奏することができる。
まず、PBTは、印刷適性に優れる。このため、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)の場合と同様に、PBTを含む第1基材41上に印刷層42を設けることができる。
また、PBTは、高い強度を有する。このため、袋10を構成する積層体がナイロンを含む場合と同様に、積層体30及び袋10の突き刺し強度を高めることができる。積層体30の突き刺し強度は、13N以上であることが好ましく、15N以上であることがより好ましく、17N以上であることが更に好ましい。突き刺し強度の測定方法については、後述する実施例A1において説明する。
また、PBTは、ナイロンに比べて水分を吸収しにくいという特性を有する。このため、PBTを含む第1基材41を積層体30の外面30yに配置した場合であっても、第1基材41が水分を吸収して袋10の外面の摩擦係数が増加してしまうことを抑制することができる。例えば、常温環境下に置かれていた際の袋10の外面同士の間の摩擦係数と、高温高湿環境下に置かれた後の袋10の外面同士の間の摩擦係数との差が大きくなることを抑制することができる。これにより、充填装置における、上述の袋10の引き抜き工程や搬送工程を効率的に実施することができる。温度20〜30℃及び湿度40〜60%の環境下に置かれていた際の袋10の外面同士の摩擦係数と、温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において48時間にわたって保管された後の袋10の外面同士の間の摩擦係数との差は、好ましくは0.03以下である。
また、本実施の形態においては、第2基材51に蒸着層52を設けることにより、第2フィルム50にガスバリア性を持たせることができる。
また、本実施の形態によれば、袋10の表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する積層体30のシーラント層61が、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂を含む。これにより、シール強度を高め、落下強度などの袋10の耐衝撃性を高めることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(層構成の変形例)
上述の本実施の形態においては、第1基材41が51質量%以上のPBTを含み、第2基材51が51質量%以上のPETを含むことによって積層体30の耐突き刺し性、滑り性を高める例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1基材41が51質量%以上のPETを含み、第2基材51が51質量%以上のPBTを含むことによって積層体30の耐突き刺し性、滑り性を高めてもよい。第2基材51のPBTとしては、上述の第1基材41で説明した第1の構成に係るPBT又は第2の構成に係るPBTを用いることができる。
第2基材51が51質量%以上のPBTを含み、第1基材41が51質量%以上のPETを含むことは、積層体30の寸法安定性、印刷適性、滑り性の向上にも寄与する。
また、第1基材41及び第2基材51の両方が、51質量%以上のPBTを含んでいてもよい。この場合のPBTとしても、上述の第1基材41で説明した第1の構成に係るPBT又は第2の構成に係るPBTを用いることができる。
第1基材41及び第2基材51を構成する材料の組み合わせの例をまとめて表1に示す。なお、表1において、「PBT」という表記は、第1基材41又は第2基材51のフィルムを構成する樹脂中に51質量%以上のPBTが含まれることを意味する。また、表1において、「PET」という表記は、第1基材41又は第2基材51のフィルムを構成する樹脂中に51質量%以上のPETが含まれることを意味する。
また、上述の本実施の形態においては、第1基材41の内面30x側に印刷層42が設けられる例を示したが、これに限られることはなく、第2基材51の外面30y側又は内面30x側に印刷層42が設けられていてもよい。
また、上述の本実施の形態においては、第2基材51に蒸着層52が設けられる例を示したが、これに限られることはなく、第1基材41の内面30x側の面に蒸着層52が設けられていてもよい。また、積層体30は、蒸着層52を備えていなくてもよい。
各層の配置の例を列挙すると下記のとおりである。
配置例1:第1基材/第1接着剤層/蒸着層/第2基材/第2接着剤層/シーラント層
配置例2:第1基材/印刷層/第1接着剤層/蒸着層/第2基材/第2接着剤層/シーラント層
配置例3:第1基材/第1接着剤層/印刷層/蒸着層/第2基材/第2接着剤層/シーラント層
配置例4:第1基材/第1接着剤層/蒸着層/第2基材/印刷層/第2接着剤層/シーラント層
配置例5:第1基材/第1接着剤層/第2基材/蒸着層/第2接着剤層/シーラント層
配置例6:第1基材/印刷層/第1接着剤層/第2基材/蒸着層/第2接着剤層/シーラント層
配置例7:第1基材/第1接着剤層/印刷層/第2基材/蒸着層/第2接着剤層/シーラント層
配置例8:第1基材/第1接着剤層/第2基材/蒸着層/印刷層/第2接着剤層/シーラント層
配置例9:第1基材/蒸着層/第1接着剤層/第2基材/第2接着剤層/シーラント層
配置例10:第1基材/蒸着層/印刷層/第1接着剤層/第2基材/第2接着剤層/シーラント層
配置例11:第1基材/蒸着層/第1接着剤層/印刷層/第2基材/第2接着剤層/シーラント層
配置例12:第1基材/蒸着層/第1接着剤層/第2基材/印刷層/第2接着剤層/シーラント層
配置例13:第1基材/蒸着層/ガスバリア性塗布膜/印刷層/第1接着剤層/第2基材/第2接着剤層/シーラント層
なお、印刷層よりも外面側に蒸着層が配置される場合、蒸着層は、透明性を有する透明蒸着層である。透明蒸着層は、上述の第1の好ましい形態及び第2の好ましい形態の両方を満たしていてもよく、いずれか一方の形態のみを満たしていてもよく、両方の形態を満たしていなくてもよい。また、上記の配置例1〜13の各々から蒸着層を削除した積層体も、本願の積層体30の例に含まれる。
(袋の変形例)
上述の本実施の形態においては、袋10が、注出口部20を備えるガセット式の袋である例を示したが、袋10の具体的な構成が特に限定されることはない。例えば、袋10は、積層体30からなる表面フィルム14及び裏面フィルム15の内面同士を上部11、下部12及び側部13で接合することによって形成された、いわゆる四方シール袋であってもよい。また、袋10が注出口部20を備えていなくてもよい。例えば、袋10は、注出口部20を備えず、且つ、自立可能に構成されたガセット式の袋であってもよい。
(袋の用途の変形例)
上述の本実施の形態においては、袋10が、ボトルへ詰め替えられる液体や紛体などの流動性を有する内容物を収容する詰め替え袋である例を示した。しかしながら、袋10の用途が詰め替え袋に限られることはない。例えば、使用者は、袋10に収容されている内容物を、ボトルなどへ詰め替えることなくそのまま使用してもよい。
(積層体の用途の変形例)
上述の本実施の形態においては、第1フィルム40、第2フィルム50及び第3フィルム60を含む積層体30が、袋10の表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する包装材として用いられる例を示した。しかしながら、積層体30の用途が、袋を構成するための包装材に限られることはない。例えば、積層体30を、袋のような密閉容器ではないラベルやシート材として用いてもよい。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
実施例A1
上述の第1の構成で説明した、複数の層41aを含み、キャスト法で作製されたフィルム状の第1基材41を準備した。各層41aにおけるPBTの含有率は80%であり、層41aの層数は1024であり、第1基材41の厚みは15μmであった。続いて、フィルム状の第1基材41上に、DICグラフィックス株式会社製のフィナートを用いて印刷層42を形成した。印刷層42の厚みは1μmであった。このようにして、第1基材41及び印刷層42を含む第1フィルム40を作製した。
また、100質量%のPETを含む第2基材51を準備した。第2基材51の厚みは12μmであった。続いて、第2基材51の外面30y側の面にアルミニウムを蒸着させて蒸着層52を形成した。このようにして、第2基材51及び蒸着層52を含む第2フィルム50を作製した。
また、シーラント層61を含むフィルム状の第3フィルム60を準備した。シーラント層61を構成する材料としては、下記の3種類の樹脂を下記の重量%で混合したものを用いた。
・直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.918g/cm3、MFR:3.8) 63.5重量%
・低密度ポリエチレン(密度:0.919g/cm3、MFR:2.0) 35.0重量%
・低密度ポリエチレン(密度:0.921g/cm3、MFR:5.4)をベースとするスリップ剤マスターバッチ 1.5重量%
MFRは、メルトフローレート(Melt flow rate)を意味する。シーラント層61の厚みは120μmであった。
次に、第1接着剤層45を介して第1フィルム40と第2フィルム50とをドライラミネート法により積層した。第1接着剤層45の接着剤としては、主剤として三井化学株式会社製のタケラック(登録商標) A−310を含み、硬化剤として三井化学株式会社製のタケネート(登録商標) A−3を含むものを用いた。A−310は、ポリオールを含む。A−3は、芳香族系イソシアネート化合物を含む。第1接着剤層45の厚みは、3μmであった。
次に、第1フィルム40及び第2フィルム50の積層体と、第3フィルム60とをドライラミネート法により積層し、積層体30を得た。第2接着剤層55としては、第1接着剤層45と同様に、主剤として三井化学株式会社製のタケラック(登録商標) A−310を含み、硬化剤として三井化学株式会社製のタケネート(登録商標) A−3を含むものを用いた。第2接着剤層55の厚みは、3μmであった。このようにして得られた積層体30は、外面側から、第1基材、印刷層、第1接着剤層、蒸着層、第2基材、第2接着剤層、シーラント層が順に積層されたものである。
(突き刺し強度の評価)
続いて、積層体30の突き刺し強度を、JIS Z1707 7.4に準拠して測定した。測定器としては、A&D製のテンシロン万能材料試験機RTC−1310を用いた。具体的には、図5に示すように、固定されている状態の積層体30の試験片に対して、外面30y側から、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針70を、50mm/分(1分あたり50mm)の速度で突き刺し、針70が積層体30を貫通するまでの応力の最大値を測定した。5個以上の試験片について、応力の最大値を測定し、その平均値を積層体30の突き刺し強度とした。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とした。結果、突き刺し強度は17Nであった。
(滑り性の評価)
続いて、積層体30の外面30yの滑り性を評価した。ここでは、積層体30の外面30yの摩擦係数を測定した。具体的には、積層体30の外面30yと金属面との間の静摩擦係数及び動摩擦係数、並びに、積層体30の外面30y同士での静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。測定は、株式会社東洋精機製作所製の摩擦測定器 TR−2を用いて、JIS K−7125に準拠して行った。金属面を構成する金属としては、アルミニウムを用いた。
以下、測定の具体的な方法について説明する。本実施例においては、下記の第1測定〜第4測定を実施した。
〔摩擦係数の第1測定〕
まず、積層体30を切断して、幅70mm、長さ152mmの試験片を作製した。続いて、試験片を、温度20〜30℃及び湿度40〜60%の室内において少なくとも24時間以上にわたって保管した後、試験片の外面が金属面に接するように、試験片を金属面に載置した。続いて、幅63mm、長さ63mmの部材を含み、200gの質量を有するスレッドを、試験片の上に載置した。続いて、金属面上で試験片を100mm/minの速度で滑動させた。滑動が開始する際に試験片に加えた力、及び活動中に試験片に加えた力に基づいて、試験片の外面の静摩擦係数及び動摩擦係数を算出した。結果、静摩擦係数及び動摩擦係数は0.11及び0.11であった。なお、測定時の環境は、JIS K7100に規定する標準状態であり、温度が23℃、湿度が50%であった。
〔摩擦係数の第2測定〕
試験片を、温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において48時間にわたって保管した後、試験片を金属面に載置したこと以外は、第1測定の場合と同様にして、試験片の外面の静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。測定は、試験片を高温恒温槽から取り出した後、5分以内に実施した。結果、静摩擦係数及び動摩擦係数は0.14及び0.13であった。
〔摩擦係数の第3測定〕
積層体30を2つ準備し、一方の積層体30から得た試験片の外面が他方の積層体30の外面30yに接するように、一方の積層体30の試験片を他方の積層体30に載置したこと以外は、第1測定の場合と同様にして、試験片の外面の静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。結果、静摩擦係数(常温静摩擦係数)及び動摩擦係数(常温動摩擦係数)は0.21及び0.22であった。
〔摩擦係数の第4測定〕
積層体30を2つ準備し、2つの積層体30を温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において48時間にわたって保管した後、一方の積層体30の試験片の外面を他方の積層体30の外面30y上に載置したこと以外は、第1測定の場合と同様にして、試験片の外面の静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。結果、静摩擦係数(高温高湿静摩擦係数)及び動摩擦係数(高温高湿動摩擦係数)は0.24及び0.24であった。
実施例A2
第1フィルム40の第1基材41として、上述の第2の構成で説明した、51質量%のPBTを含み、PBTの融点が224℃、IV値が1.26dl/gであり、チューブラー法で作製された単層フィルムを用いたこと以外は、実施例A1の場合と同様にして、積層体30を作製した。第1基材41はPBT及び添加剤のみで構成される単層のフィルムであり、第1基材41の厚みは15μmであった。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、積層体30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は17Nであった。また、実施例A1の場合と同様にして、積層体30の摩擦係数を測定した。結果は下記のとおりであった。
・第1測定 静摩擦係数:0.12 動摩擦係数:0.10
・第2測定 静摩擦係数:0.14 動摩擦係数:0.13
・第3測定 静摩擦係数:0.20 動摩擦係数:0.22
・第4測定 静摩擦係数:0.22 動摩擦係数:0.22
実施例A3
実施例A1の第1基材41を構成するPBTを第2基材51として用い、実施例A1の第2基材51を構成するPETを第1基材41として用いたこと以外は、実施例A1の場合と同様にして、積層体30を作製した。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、積層体30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は17Nであった。また、実施例A1の場合と同様にして、積層体30の摩擦係数を測定した。結果は下記のとおりであった。
・第1測定 静摩擦係数:0.11 動摩擦係数:0.09
・第2測定 静摩擦係数:0.10 動摩擦係数:0.10
・第3測定 静摩擦係数:0.18 動摩擦係数:0.18
・第4測定 静摩擦係数:0.18 動摩擦係数:0.17
比較例A1
第1フィルム40の第1基材41として、厚み15μmのナイロンフィルム(興人ホールディングス株式会社製 ボニールW)を用いたこと以外は、実施例A1の場合と同様にして、積層体30を作製した。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、積層体30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は17Nであった。また、実施例A1の場合と同様にして、積層体30の摩擦係数を測定した。結果は下記のとおりであった。
・第1測定 静摩擦係数:0.13 動摩擦係数:0.13
・第2測定 静摩擦係数:0.16 動摩擦係数:0.15
・第3測定 静摩擦係数:0.20 動摩擦係数:0.19
・第4測定 静摩擦係数:0.27 動摩擦係数:0.25
実施例A1〜A3及び比較例A1の積層体の静摩擦係数μ及び動摩擦係数μの測定結果を、図6にまとめて示す。また、実施例A1〜A3及び比較例A1の積層体の層構成及び評価結果を、図7にまとめて示す。図7において、「層構成」の欄には、接着剤層を除く積層体の構成要素を、外面側の層から順に上から記載している。
図6に示すように、積層体30の外面30yがナイロンによって構成されている場合であって、積層体30が高湿環境に晒された場合、金属面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数が0.15以上であり、積層体30に対する静摩擦係数(高温高湿静摩擦係数)及び動摩擦係数(高温高湿動摩擦係数)が0.25以上であった。また、2つの積層体の外面の間の摩擦係数に関して、高温高湿静摩擦係数から常温静摩擦係数を引いた値が0.07であり、高温高湿動摩擦係数から前記常温動摩擦係数を引いた値が0.06であった。
これに対して、積層体30の外面30yがPBT又はPETによって構成されている場合は、積層体30が高湿環境に晒された場合であっても、金属面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数が0.14以下であり、積層体30に対する静摩擦係数(高温高湿静摩擦係数)及び動摩擦係数(高温高湿動摩擦係数)が0.24以下であった。また、2つの積層体の外面の間の摩擦係数に関して、高温高湿静摩擦係数から常温静摩擦係数を引いた値が0.03以下であり、高温高湿動摩擦係数から前記常温動摩擦係数を引いた値も0.03以下、より具体的には0.02以下であった。特に、積層体30の外面30yがPETによって構成されている場合は、積層体30が高湿環境に晒された場合であっても、金属面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数が0.10以下であり、積層体30に対する静摩擦係数及び動摩擦係数が0.18以下であった。
図7における実施例A1〜A3と比較例A1の比較から分かるように、第1基材41又は第2基材51がPBTを含むことにより、第1基材41又は第2基材51がナイロンを含む場合と同等の突き刺し強度を実現することができた。
実施例B1
表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する包装材(以下、胴材とも称する)として、下記の層構成を有する積層体を準備した。
第1基材/第1接着剤層/蒸着層/第2基材/第2接着剤層/シーラント層
第1基材としては、上述の第1の構成で説明した、複数の層41aを含み、キャスト法で作製されたPBTフィルムを用いた。各層41aにおけるPBTの含有率は80%であり、層41aの層数は1024であり、第1基材41の厚みは12μmであった。蒸着層及び第2基材としては、アルミニウムが蒸着された厚さ12μmのPETフィルムを用いた。また、シーラント層としては、直鎖状低密度ポリエチレンを含む厚さ100μmのポリエチレンフィルムを用いた。
また、下部フィルム16を構成する包装材(以下、底材とも称する)として、下記の層構成を有する積層体を準備した。
第1基材/第1接着剤層/蒸着層/第2基材/第2接着剤層/シーラント層
第1基材としては、上述の胴材の場合と同様の、厚さ12μmのPBTフィルムを用いた。蒸着層及び第2基材としても、上述の胴材の場合と同様の、アルミニウムが蒸着された厚さ12μmのPETフィルムを用いた。また、シーラント層としても、直鎖状低密度ポリエチレンを含む厚さ100μmのポリエチレンフィルムを用いた。
続いて、上述の胴材及び底材を用いて袋10を作製した。その後、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールした。これにより、図8に示すように、上部11が密封された底ガセット式の袋10を得た。この際、収容された水の量が200mlである袋10(以下、第1容量の袋10とも称する)、及び、収容された水の量が250mlである袋10(以下、第2容量の袋10とも称する)の2種類を作製した。いずれの種類の袋10においても、袋10の高さS1は180mmであり、幅S2は130mmであった。また、折り返された下部フィルム16の高さS3、すなわち袋10の下端部から折り返し部16fまでの高さは、35mmであった。
(常温落下評価)
続いて、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のそれぞれについて、常温(約20℃)の環境下で袋10を落下させ、袋10が破袋するか否かを検査する常温落下評価を実施した。具体的には、表面フィルム14及び裏面フィルム15が水平になるように保持した袋10を1.5mの高さから落下させる試験(以下、水平落下試験とも称する)を繰り返し10回実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、破袋は生じなかった。また、水平落下試験の後、下部12が下方に位置するように保持した袋10を1.5mの高さから落下させる試験(以下、垂直落下試験とも称する)を繰り返し10回実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、破袋は生じなかった。
(低温落下評価)
また、常温落下評価で用いたものとは別のサンプルを用いて、低温落下評価を実施した。低温落下評価においては、まず、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のそれぞれを3℃にまで冷却させた。続いて、3℃にまで冷却された第1容量の袋10及び第2容量の袋10のそれぞれについて、常温(約20℃)の環境下で袋10を落下させ、袋10が破袋するか否かを検査した。具体的には、常温落下評価の場合と同様に、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のそれぞれについて、上述の水平落下試験及び垂直落下試験を実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、水平落下試験及び垂直落下試験において破袋は生じなかった。
実施例B2
シーラント層の厚みを90μmとしたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、胴材を構成する積層体を準備した。また、実施例B1の場合と同様の底材を準備した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、胴材及び底材を用いて袋10を作製し、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールして、第1容量の袋10及び第2容量の袋10を作製した。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、水平落下試験及び垂直落下試験を含む常温落下評価を実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、水平落下試験及び垂直落下試験において破袋は生じなかった。
また、実施例B1の場合と同様にして、水平落下試験及び垂直落下試験を含む低温落下評価を実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、水平落下試験及び垂直落下試験において破袋は生じなかった。
実施例B3
シーラント層の厚みを80μmとしたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、胴材を構成する積層体を準備した。また、実施例B1の場合と同様の底材を準備した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、胴材及び底材を用いて袋10を作製し、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールして、第1容量の袋10及び第2容量の袋10を作製した。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、水平落下試験及び垂直落下試験を含む常温落下評価を実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、水平落下試験及び垂直落下試験において破袋は生じなかった。
また、実施例B1の場合と同様にして、水平落下試験及び垂直落下試験を含む低温落下評価を実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、水平落下試験及び垂直落下試験において破袋は生じなかった。
実施例B4
シーラント層の厚みを70μmとしたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、胴材を構成する積層体を準備した。また、実施例B1の場合と同様の底材を準備した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、胴材及び底材を用いて袋10を作製し、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールして、第1容量の袋10及び第2容量の袋10を作製した。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、水平落下試験及び垂直落下試験を含む常温落下評価を実施した。結果、第1容量の袋10においては、水平落下試験及び垂直落下試験において破袋が生じなかった。一方、第2容量の袋10においては、水平落下試験においては破袋が生じなかったが、垂直落下試験においては破袋が生じた。
また、実施例B1の場合と同様にして、水平落下試験及び垂直落下試験を含む低温落下評価を実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、水平落下試験においては破袋が生じなかったが、垂直落下試験においては破袋が生じた。
実施例B5
シーラント層の厚みを60μmとしたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、胴材を構成する積層体を準備した。また、実施例B1の場合と同様の底材を準備した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、胴材及び底材を用いて袋10を作製し、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールして、第1容量の袋10及び第2容量の袋10を作製した。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、水平落下試験及び垂直落下試験を含む常温落下評価を実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、水平落下試験においては破袋が生じなかったが、垂直落下試験においては破袋が生じた。
また、実施例B1の場合と同様にして、水平落下試験及び垂直落下試験を含む低温落下評価を実施した。結果、第1容量の袋10においては、水平落下試験においては破袋が生じなかったが、垂直落下試験においては破袋が生じた。第2容量の袋10においては、水平落下試験及び垂直落下試験において破袋が生じた。
実施例B6
シーラント層の厚みを50μmとしたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、胴材を構成する積層体を準備した。また、実施例B1の場合と同様の底材を準備した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、胴材及び底材を用いて袋10を作製し、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールして、第1容量の袋10及び第2容量の袋10を作製した。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、水平落下試験及び垂直落下試験を含む常温落下評価を実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、水平落下試験においては破袋が生じなかったが、垂直落下試験においては破袋が生じた。
また、実施例B1の場合と同様にして、水平落下試験及び垂直落下試験を含む低温落下評価を実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、水平落下試験及び垂直落下試験において破袋が生じた。
実施例B7
シーラント層の厚みを30μmとしたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、胴材を構成する積層体を準備した。また、実施例B1の場合と同様の底材を準備した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、胴材及び底材を用いて袋10を作製し、内容物として水を袋10の内部に充填し、上部11をヒートシールして、第1容量の袋10及び第2容量の袋10を作製した。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、水平落下試験及び垂直落下試験を含む常温落下評価を実施した。結果、第1容量の袋10においては、水平落下試験においては破袋が生じなかったが、垂直落下試験においては破袋が生じた。第2容量の袋10においては、水平落下試験及び垂直落下試験において破袋が生じた。
また、実施例B1の場合と同様にして、水平落下試験及び垂直落下試験を含む低温落下評価を実施した。結果、第1容量の袋10及び第2容量の袋10のいずれにおいても、水平落下試験及び垂直落下試験において破袋が生じた。
第1容量の袋10を用いた場合の、実施例B1〜B7の常温落下評価及び低温落下評価の結果を、図9にまとめて示す。また、第2容量の袋10を用いた場合の、実施例B1〜B7の常温落下評価及び低温落下評価の結果を、図10にまとめて示す。図9及び図10において、「OK」は、落下を10回繰り返した後に袋10に破袋が生じていなかったことを意味する。また、「NG」は、落下を10回繰り返す間、又は10回繰り返した後に袋10に破袋が生じていたことを意味する。
袋10に200mlの水が収容される場合には、図9に示すように、30μm以上の厚みを有するシーラント層を含む胴材を用いて袋10を作製することにより、常温落下評価の水平落下試験において破袋が生じることを抑制することができた。また、70μm以上の厚みを有するシーラント層を含む胴材を用いて袋10を作製することにより、常温落下評価の垂直落下試験において破袋が生じることを抑制することができた。また、50μm以上の厚みを有するシーラント層を含む胴材を用いて袋10を作製することにより、低温落下評価の水平落下試験において破袋が生じることを抑制することができた。また、80μm以上の厚みを有するシーラント層を含む胴材を用いて袋10を作製することにより、低温落下評価の垂直落下試験において破袋が生じることを抑制することができた。
袋10に250mlの水が収容される場合には、図10に示すように、60μm以上の厚みを有するシーラント層を含む胴材を用いて袋10を作製することにより、常温落下評価の水平落下試験において破袋が生じることを抑制することができた。また、80μm以上の厚みを有するシーラント層を含む胴材を用いて袋10を作製することにより、常温落下評価の垂直落下試験において破袋が生じることを抑制することができた。また、70μm以上の厚みを有するシーラント層を含む胴材を用いて袋10を作製することにより、低温落下評価の水平落下試験において破袋が生じることを抑制することができた。また、80μm以上の厚みを有するシーラント層を含む胴材を用いて袋10を作製することにより、低温落下評価の垂直落下試験において破袋が生じることを抑制することができた。
実施例C1
上述の第1の構成で説明した、複数の層41aを含み、キャスト法で作製されたフィルム状の第1基材41を準備した。各層41aにおけるPBTの含有率は80%であり、層41aの層数は1024であり、第1基材41の厚みは12μmであった。続いて、第1基材41を前処理ドラムに巻き付けて搬送速度400m/minで搬送しながら、第1基材41の表面にプラズマ供給ノズルからプラズマを導入するプラズマ前処理を施した。プラズマ前処理の条件は以下のとおりである。
・プラズマ強度:150W・sec/m2
・プラズマ形成ガス:アルゴン1200(sccm)、酸素3000(sccm)
・前処理ドラム−プラズマ供給ノズル間印加電圧:340V
・前処理ドラム周囲の真空度:3.8Pa
続いて、前処理ドラムが位置する前処理室に隣接する成膜室において、プラズマ前処理が施された第1基材41の表面に、真空蒸着法により厚さ12nmの酸化アルミニウム蒸着膜を形成した。成膜条件は以下の通りである。
・真空度:8.1×10-2Pa
・搬送速度:400m/min
得られた酸化アルミニウム蒸着膜における、波長366nmの光線の透過率は92%であった。
続いて、酸化アルミニウム蒸着膜上にバリアコート剤をスピンコート法によりコーティングした。その後、180℃で60秒間、オーブンにて加熱処理して、厚さ約400nmの透明なガスバリア性塗布膜を酸化アルミニウム蒸着膜上に形成した。このようにして、透明蒸着層及びガスバリア性塗布膜が設けられた第1基材41を有する第1フィルム40を得た。
バリアコート剤の作成手順は以下のとおりである。まず、水385g、イソプロピルアルコール67g及び0.5N塩酸9.1gを混合し、pH2.2に調整した溶液にテトラエトキシシラン175gとグリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.2gを10℃となるよう冷却しながら混合させて溶液Aを調製した。また、ケン価度99%以上の重合度2400のポリビニルアルコール14.7g、水324g、イソプロピルアルコール17gを混合した溶液Bを調製した。A液とB液を重量比6.5:3.5となるよう混合して得られた溶液を、バリアコート剤として用いた。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、第1フィルム40、第2フィルム50、第3フィルム60をドライラミネート法により積層し、積層体30を得た。積層体30が透明蒸着層及びガスバリア性塗布膜を有するので、積層体30のガスバリア性を高めることができた。
10 袋
11 上部
12 下部
12a 下部シール部
13 側部
13a 側部シール部
14 表面フィルム
15 裏面フィルム
16 下部フィルム
17 本体部
20 注出口部
20a 注出口シール部
25 易開封性手段
26 ノッチ
30 積層体
40 第1フィルム
41 第1基材
41a 層
42 印刷層
45 第1接着剤層
50 第2フィルム
51 第2基材
52 蒸着層
55 第2接着剤層
60 第3フィルム
61 シーラント層

Claims (13)

  1. 外面及び内面を含む積層体であって、
    前記外面を構成する第1基材と、
    前記内面を構成するシーラント層と、
    前記第1基材と前記シーラント層との間に位置する第2基材と、を備え、
    前記第1基材は、51質量%以上のポリエチレンテレフタレート又は51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含み、
    前記第1基材が51質量%以上のポリエチレンテレフタレートを含む場合、前記第2基材は、51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含む、積層体。
  2. 前記第1基材と前記第2基材との間又は前記第2基材と前記シーラント層との間の少なくともいずれかに位置する蒸着層を更に備える、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記蒸着層上に位置するガスバリア性塗布膜を更に備える、請求項2に記載の積層体。
  4. 前記第1基材と前記第2基材との間に位置する印刷層を更に備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記シーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記積層体の突き刺し強度が13N以上である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 前記積層体を2つ準備し、温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において48時間にわたって保管した後に測定される、一方の前記積層体の外面の、他方の前記積層体の外面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数が、0.24以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 前記積層体を2つ準備し、温度20〜30℃及び湿度40〜60%の環境において少なくとも24時間にわたって保管した後に測定される、一方の前記積層体の外面の、他方の前記積層体の外面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数を常温静摩擦係数及び常温動摩擦係数と称し、
    常温静摩擦係数及び常温動摩擦係数の測定後、2つの前記積層体を温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において48時間にわたって保管した後に測定される、一方の前記積層体の外面の、他方の前記積層体の外面に対する静摩擦係数及び動摩擦係数を高温高湿静摩擦係数及び高温高湿動摩擦係数と称する場合、
    前記高温高湿静摩擦係数から前記常温静摩擦係数を引いた値が0.03以下であり、且つ、前記高温高湿動摩擦係数から前記常温動摩擦係数を引いた値が0.03以下である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 前記第1基材及び前記第2基材のうちポリブチレテレフタレートを含む方の基材は、10層以上を含む多層構造部を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の積層体。
  10. 前記第1基材及び前記第2基材のうちポリブチレテレフタレートを含む方の基材は、単層構造からなり、且つ、ポリブチレテレフタレートのIV値が1.10dl/g以上且つ1.35dl/g以下である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の積層体。
  11. 前記第1基材が、ポリブチレンテレフタレートを含み、
    前記第2基材が、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の積層体。
  12. 前記第1基材が、ポリエチレンテレフタレートを含み、
    前記第2基材が、ポリブチレンテレフタレートを含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の積層体。
  13. 本体部及び前記本体部に接続された注出口部を有する袋であって、
    外面及び内面を含む積層体と、
    前記積層体の内面同士を接合するシール部と、を備え、
    前記積層体は、
    前記外面を構成する第1基材と、
    前記内面を構成するシーラント層と、
    前記第1基材と前記シーラント層との間に位置する第2基材と、を備え、
    前記第1基材は、51質量%以上のポリエチレンテレフタレート又は51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含み、
    前記第1基材が51質量%以上のポリエチレンテレフタレートを含む場合、前記第2基材は、51質量%以上のポリブチレンテレフタレートを含む、袋。
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