JP2016199779A - 修飾金属ナノ粒子,その製造方法,修飾金属ナノインク及び配線層形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材と修飾金属ナノ粒子との間に高い密着性を確保し、樹脂基材に対し加熱軟化による塑性変形を生じることなく修飾金属ナノ粒子の低温焼成を可能とし、更には、高い分散性を確保することを目的とする。【解決手段】シランカップリング基で修飾された金属ナノ粒子1を用い、修飾金属ナノ粒子上に金属を形成させると共に、基材と修飾金属ナノ粒子とを共有結合させることにより、基材上に配線層を形成することにより基材と配線との密着性を強固にすると共に、強固な密着を永続的に維持することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、基材の表面に形成される膜の材料となる修飾金属ナノ粒子,その製造方法及び修飾金属ナノインク並びに金属ナノ粒子を用いた配線層形成方法に関する。
様々な基材の表面には、機能膜や配線層等の膜が形成されることがある。膜の材料は金属ナノ粒子等のナノ粒子が用いられる場合がある。
金属ナノ粒子は、粒子径が1nm以上、100nm未満の超微粒子であり、表面に存在する原子が非常に不安定であるために自発的に粒子間で融着を起こし、粗大化することが知られている。そのため、通常、金属ナノ粒子は有機保護基・リガンドを用いて表面を修飾することで安定化されている。
一方で、金属ナノ粒子は金属バルクと異なり、低融点化・低温焼結性といった特異な物性を示すとともに、粒子径が数百nm以上の粒子に比べ、活性度や反応性が飛躍的に向上し、基材上に成膜されたときに電気的、磁気的、光学的、機械的特性が大きく変化するため、工学的応用として、配線形成用の導電ペースト、センシングデバイス、光捕集アンテナ、超構造形成のためのビルディングブロックなどに利用されている。
また、金属ナノ粒子表面に有機分子が化学修飾された、いわゆる「有機−無機ナノコンポジット(以下、修飾金属ナノ粒子と称す)」は、有機分子のもつ優れた柔軟性や加工性、密着性を、金属等の無機材料の物理化学的に優れた特性へ組み合わせられるため、前述した金属ナノ粒子同様、様々な分野への工学的応用が期待される。
修飾金属ナノ粒子の工学的応用例の一つとして、修飾金属ナノ粒子による微細配線形成技術が挙げられる。
金属ナノ粒子表面は化学修飾により、有機保護層で覆われているため、溶剤分散性が高く、ナノ粒子特有の低温融着現象を利用することによって、これまでにない低温での配線形成が可能になる。
配線材料として、主に銀を用いた金属ナノ粒子の開発が進められている。しかし、銀は貴金属であるためコストが高く、また高湿度雰囲気下での使用において、配線内の銀が酸化することでイオン化し、基材の絶縁物上を移動して短絡を誘導するいわゆるマイグレーション現象を起こしやすいことが問題視されている。かかるマイグレーション発生の傾向は、Ag>Pb2+≧Cu2+>Sn2+>Auの順となっている。金はマイグレーション現象を生じにくい点で望ましいものの、銀以上にコストが高い。このため、銀よりもマイグレーション現象が生じにくく、比較的低コストである銅ナノ粒子に注目が集まっている。
しかしながら、従来から金属配線として用いられる銅は、酸化されやすく酸化により導電率が低下することや、分散させにくいこと、更には、焼結温度が高いこと等の欠点を有する。また、従来の銅ナノ粒子は、粒子凝集を抑制し分散性を高める成分である分散剤等で表面処理されるが、低温で加熱しただけではこれらを完全に除去できず、金属微細配線の導電性を阻害する因子となる可能性がある。
更に、加熱を伴わない他の用途に利用する場合には、上記分散剤を除去する工程が別途必要となり、こうした課題を解決すべく、これまで様々な方法で銅ナノ粒子の合成が検討されている(例えば、特許文献1、2参照)が、本問題を抜本的に解決する技術は未だ確立されていない。
官能基またはリガンドとなる有機修飾分子は、金属ナノ粒子の表面と相互作用することで、その粒子径や形状を制御し、その結果、物理化学特性も調整する。また、有機修飾分子は金属ナノ粒子の熱安定性や溶媒への分散性を向上する効果もある。
特に溶媒への分散性は、ナノ粒子の応用・材料化の観点からも重要である。
一般的にナノ粒子は、その表面エネルギーが高く、凝集し二次粒子になると容易に再分散させられない。ナノ粒子の持つ機能を十分に発揮させるには、二次凝集を阻害して一次粒子の状態で安定化させる必要がある。ゆえに、ナノ粒子表面に適当な有機分子を介在(修飾)させることは、溶媒への親和性を向上させるのと同時に、ナノ粒子間に斥力を生じさせ、ナノ粒子の溶媒への分散性を向上させるのに不可欠である。
金属ナノ粒子を化学修飾する有機分子において、カルボキシル基やアミノ基等の官能基を末端に表出できれば、溶媒分散性の向上と同時に、化学結合を介して、別の有機分子やハイブリッド材料と繋ぐことが可能になる。
修飾法の一例として、金属源となる金属錯体を無溶媒で加熱するだけで修飾金属ナノ粒子を合成できる、熱分解制御法が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。
この方法の最大の特徴は、無溶媒で加熱するのみという簡便さであり、大量合成も可能である。更に穏やかな還元性を有する有機化合物等を反応系に加えることによって、反応条件が緩和され、粒子径や形状、表面保護層の設計も可能となる。
しかしながら、この修飾法により得られた修飾金属ナノ粒子は、コアとなる金属ナノ粒子と、シェルとなる有機分子間の特異的な相互作用に依存しているため、金属ナノ粒子に対する有機分子の選択性に乏しく、また、配線材料に本修飾金属ナノ粒子を用いた場合、大気圧プラズマ処理等を行うことで基材表面に形成したヒドロキシル基と、有機分子の末端官能基間に生成された水素結合、または分子間相互作用(界面現象)が密着寄与結合となるため、基材と配線間に十分な密着性を確保することが出来ない。
特開2008−19503号公報 特開2008−95195号公報 特開2007−63579号公報 特開2007−63580号公報
本発明はこれら問題を解決するために、基材と修飾金属ナノ粒子との間に高い密着性を確保し、樹脂基材に対し加熱軟化による塑性変形を生じることなく修飾金属ナノ粒子の低温焼成を可能とし、更には、高い分散性を確保することを目的とする。
上記目的を達成させるために、本発明の修飾金属ナノ粒子の製造方法は、アルコキシシラン誘導体からなる有機分子で表面修飾された金属ナノ粒子の製造方法であって、金属ナノ粒子と、修飾剤である前記アルコキシシラン誘導体を含むシランカップリング剤と還元剤とを揮発性溶媒に添加し、非酸化性雰囲気下で、当該有機化合物の分解開始温度以下の温度で熱処理することにより、加水分解により親水性官能基を生成できるアルコキシシラン基が修飾された金属ナノ粒子を得ることを特徴とする。
また、本発明の修飾金属ナノ粒子は、金属ナノ粒子と、前記金属ナノ粒子を修飾するアルコキシシラン化合物とから構成された有機−無機ナノコンポジットであることを特徴とする。
また、本発明の修飾金属ナノインクは、前記修飾金属ナノ粒子と、テルペン類またはポリオール類からなる溶媒と、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂、アクリル樹脂、レゾール樹脂、シロキサン樹脂またはこれらの前駆体化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機結着剤とを有することを特徴とする。
また、本発明の配線層形成方法は、前記修飾金属ナノインクを配線層形成領域に塗布する工程と、前記修飾金属ナノインク上に金属めっきを形成する工程と、前記修飾金属ナノインクおよび前記金属めっきを200℃以下で焼成する工程とを有し、前記金属めっきが施された前記修飾金属ナノインクを前記基材と共有結合させることを特徴とする。
また、基材上にシランカップリング剤を塗布する工程と、前記シランカップリング剤にレーザを照射して表面を改質する工程と、表面が改質された前記シランカップリング剤の配線層形成領域に金属ナノ粒子を塗布する工程と、前記金属ナノ粒子上に金属めっきを形成する工程と、前記修飾金属ナノ粒子および前記金属めっきを200℃以下で焼成する工程とを有し、前記金属めっきが施された前記金属ナノ粒子を前記基材と共有結合させることを特徴とする。
従って、本発明は、基材と修飾金属ナノ粒子との間に高い密着性を確保し、樹脂基材に対し加熱軟化による塑性変形を生じることなく修飾金属ナノ粒子の低温焼成を可能とし、更には、高い分散性を確保することができる。
本発明に係る修飾金属ナノ粒子の官能基を修飾する工程を説明する図である。 本発明に係る修飾金属ナノ粒子の構造を示す概略図である。 本発明に係る修飾金属ナノ粒子の構造を示す概略図である。 本発明に係る修飾金属ナノ粒子がシロキサン結合を形成する工程を示す概略図である。 本発明に係る修飾金属ナノ粒子の親水性官能基が配向した様子を説明する概略図である。 本発明に係る修飾金属ナノ粒子の親水性官能基が基材に共有結合する工程を説明する概略図である。 本発明に係る基材への配線形成フローを示す概念図である。 本発明に係る基材への配線形成フローを示す概念図である。 従来のLDS法により形成した配線部−樹脂基材界面近傍の構造を示す断面図である。 本発明に係る配線部−樹脂基材界面近傍の構造を示す断面図である。 実施例に係る修飾金属ナノ粒子の官能基を修飾する工程を説明する図である。
基材の表面に機能膜や配線層等の膜を形成する際に、本発明では修飾金属ナノ粒子を用いる。
本発明の実施の形態について、基材に配線層を形成する場合を例に図面を参照して説明する。
まず、修飾金属ナノ粒子の構造およびその生成方法について説明する。
図1は本発明に係る修飾金属ナノ粒子の官能基を修飾する工程を説明する図、図2,図3は本発明に係る修飾金属ナノ粒子の構造を示す概略図である。
図1〜図3における修飾金属ナノ粒子の原材料となる金属ナノ粒子1は、ナノオーダーの銅または銅酸化物、あるいはこれらの少なくとも一方を含む化合物からなる粒子であれば良く、金属ナノ粒子の一次粒子径は、3nm以上、70nm以下であることが望ましい。一次粒子径が3nm未満だと、後述の極性溶媒への分散性確保のため、分散剤を別途添加する必要があり、本分散剤は焼成後の導電性阻害因子となりうる。また、一次粒子径が70nmを超えると、焼成温度が200℃以上となり、樹脂基材に対し加熱軟化による塑性変形を生じる懸念がある。なお、配線層を形成する場合は金属ナノ粒子1として銅や銅酸化物に限らず、導電性を備える材料であれば良い。また、機能膜の場合は、その機能に応じた様々な材料を用いることができる。
まず、金属ナノ粒子1は親水性官能基2が修飾される。金属ナノ粒子に修飾される親水性官能基2は、分子内で電荷分布に偏りがあり、極性溶媒と相互作用して、良く溶媒和(溶質が電離して生じたイオンと溶媒分子とが、クーロン力や水素結合などによって結びつき、溶質が溶媒中に拡散する現象)する官能基であり、ヒドロキシル基の他、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、シアノ基、アミド基、イミド基などが挙げられる。
次に、親水性官能基2が修飾された金属ナノ粒子は、(トリ)アルコキシシラン誘導体を含むシランカップリング剤3中で脱水処理される。そして、親水性官能基2は修飾シランカップリング基7に置換され、加水分解性基であるアルコキシ基4、疎水性官能基であるアルキル基5を含む構造に改質し、金属ナノ粒子1は修飾金属ナノ粒子前駆体6となる。修飾金属ナノ粒子は、修飾金属ナノ粒子前駆体6を会合体生成により粗大化させて二次粒子化することにより生成される。修飾金属ナノ粒子としては、以下に説明する修飾金属ナノ粒子モデル12(図2)と修飾金属ナノ粒子モデル13(図3)との2つのモデルが例示される。金属ナノ粒子1を修飾するアルコキシシラン化合物は少なくともアルキル基を含み、表面修飾密度は、10個/nm以上100個/nm以下である。
ここで、アルコキシシラン誘導体からなるシランカップリング剤3は、一分子中に有機物との反応や相互作用をなすアミノ基、エポキシ基、ビニル基などに代表される有機官能基と、加水分解性基であるアルコキシ基の両者を併せ持つ有機ケイ素化合物である。
この構造を利用し、有機官能基を介することで有機化合物等と、またアルコキシ基を加水分解反応させることで無機物表面等と、化学結合をそれぞれ生成し、化学的性質の異なる両者を強固に結びつける。
加水分解の反応速度は加水分解性基の種類によって変化する。
例えば、ケイ素原子に結合したアルコキシ基の嵩が高くなるのに従い、立体障害により加水分解速度が遅くなる。一方、加水分解性基にアセトキシ基やハロゲン基などが含まれる場合は、逆に加水分解速度が速くなる。
また、シランカップリング剤3分子中で、ケイ素−炭素結合を介して結合している置換基の種類も、加水分解速度に影響を与える。
この場合、前述した立体障害効果の他に、有機官能基の電気的性質、即ち、電子供与性(ドナー)か電子吸引性(アクセプター)かによって加水分解速度は変わる。例えば、ビニル基やハロアルキル基のような電子吸引性の官能基を有す有機ケイ素化合物では、ケイ素原子上の電荷を下げやすいため、エチル基等のアルキル基を有するシラン化合物より、加水分解速度が速くなる。
シランカップリング剤3の加水分解機構は、酸性条件下では水素イオン(プロトン)がアルコキシ基の酸素に、水分子中の酸素原子がケイ素原子に、それぞれ配位し、その後、置換反応によってアルコキシシランの加水分解反応が進行するというものである。一方、アルカリ溶液中では水酸化物イオンが付加した5配位中間体を経由して、加水分解が進行すると考えられる。
シランカップリング剤3は、加水分解によってシラノール(Si−OH)を生成した後、シラノール同士が徐々に縮合してシロキサン結合(Si−O−Si)となり、シランオリゴマーを形成する。この縮合反応によってシランカップリング剤3はシリコーンとしての性質が強くなる一方、シラノール基数が減少することで反応性が低下し、水に対し難溶となる。また、縮合反応の速度はpHによって変化し、一般にpHが3.5〜4の場合に最も遅くなる。以上の反応を通じて、基材表面に強固な共有結合を生成させ、高い密着性を担保することが可能となる。
なお、シランカップリング剤3は、基材の種類により作用機構が異なる。
無機材料に対しては、前述の加水分解、及び(脱水)縮合反応を経て、基材表面に強固な共有結合を生成するが、有機材料に対しては、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ABS樹脂、アクリル樹脂等)、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等)で、それぞれ機構が異なる。
熱可塑性樹脂の場合、一般的にシランカップリング剤の有機官能基と反応するような活性に富む基は少なく、化学結合は生じにくい。
一方で、比較的極性の高い熱可塑性樹脂では、密着性向上効果が得られる。
これは、シランカップリング剤3の末端官能基と樹脂表面間に形成される水素結合生成、または相溶化による効果と推定される。この場合、熱可塑性樹脂表面を相溶性の高い表面に改質することが前提となる。
一方、熱硬化性樹脂の場合、熱可塑性樹脂のような(臨界)表面張力、溶解性パラメータなどの相溶性と複合材料との強度の間に相関がないことから、樹脂の硬化系に組み込まれるような有機官能基を含むシランカップリング剤3を選択しないと、密着性向上効果が得られない。
金属ナノ粒子1と修飾シランカップリング基7の結合部位8は、金属に対して配位結合、水素結合、イオン結合、共有結合、分子間相互作用等を形成可能な官能基を表し、例えば、アルコキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。
基材と修飾金属ナノ粒子の結合部位9は、アルコキシ基4やカルボキシル基等の加水分解性基で構成され、アルコキシ基4等の加水分解性基は、シランカップリング剤の加水分解反応により、ヒドロキシル基に改質する。
このヒドロキシル基が焼結により基材表面に形成された親水性官能基と会合することで、シロキサン結合(Si−O−Si)等を生成し、本結合は基材と修飾金属ナノ粒子の結着をなす共有結合となる。つまり、本発明の修飾金属ナノ粒子は、少なくともアルコキシ基4の加水分解性基を備えることにより、アルコキシ基4の加水分解性基がヒドロキシル基を経て基材とシロキサン結合等を生成して共有結合することにより、金属ナノ粒子1と基材との密着性が強固となる。
一方、金属ナノ粒子1同士の結合部位10は、疎水性官能基であるアルキル基5で構成される。
修飾金属ナノ粒子モデル12は、金属ナノ粒子1からなるコア部と、該コア部の周囲を覆う修飾シランカップリング基7からなるシェル部を有する有機−無機ナノコンポジットを表している。修飾金属ナノ粒子モデル12は、溶媒中に分散している各々の修飾金属ナノ粒子前駆体6(一次粒子)が近接し、粒子間に水素結合を含む静電相互作用や分子間相互作用などの非共有結合性相互作用が働くことで、会合体を生成することにより生成される。
もう一つの修飾金属ナノ粒子モデル13は、金属ナノ粒子1からなるコア部に対し、シェル部が4−メルカプトブタン酸11からなる有機−無機ナノコンポジットを表している。なお、シェル部は4−メルカプトブタン酸11以外のチオアルコール類でも良い。修飾金属ナノ粒子モデル13は、シランカップリング剤を用いることなく、チオアルコール類と原体である金属ナノ粒子を加熱混合することで得られ、金属ナノ粒子との結着部位側にメルカプト基が、基材との密着側(粒子最表層)にカルボキシル基が、配された構造を有している。
次に、図4〜図6を用いて、修飾金属ナノ粒子が基材に結合する工程例を説明する。
図4は本発明に係る修飾金属ナノ粒子がシロキサン結合を形成する工程を示す概略図、図5は本発明に係る修飾金属ナノ粒子の親水性官能基が配向した様子を説明する概略図、図6は本発明に係る修飾金属ナノ粒子の親水性官能基が基材に共有結合する工程を説明する概略図である。ここでは、修飾金属ナノ粒子41として、図2に示す修飾金属ナノ粒子モデル12を用いる場合を例に説明する。
修飾金属ナノ粒子41は、金属ナノ粒子1のアルキル基末端に、アミノ基、ビニル基、メタクリル基、イソシアネート基、メルカプト基、ウレイド基、エポキシ基などからなる反応性官能基14と、アルコキシ基からなる加水分解性基42が導入された分子構造となっている。まず、図4に示すように、修飾金属ナノ粒子41のアルコキシ基からなる加水分解性基42は、加水分解によりヒドロキシル基43に改質する。次に、修飾金属ナノ粒子41は、シラノール縮合によるシロキサン結合15を生成する一方、一部のヒドロキシル基43が、基材17表面の親水性官能基44と会合する(図5)。
次に、図6に示すように、修飾金属ナノ粒子41の一部のヒドロキシル基43は基材17表面の親水性官能基44と水素結合による配向を行う。つまり、基材17表面の親水性官能基44は、一部のヒドロキシル基43との会合により、水素結合生成による分子配向を生じる。
最後に、基材17表面の親水性官能基44と一部のヒドロキシル基43とが配向した状態で脱水縮合することにより、強固な共有結合16が生成されて、金属ナノ粒子1が基材17に結合する。なお、図3の修飾金属ナノ粒子モデル13の場合は、カルボキシル基が基材17表面の親水性官能基44と水素結合により近接(配向)した後、焼成による脱水縮合を経て共有結合16が生成されて、金属ナノ粒子1が基材17に結合する。また、共有結合形成に寄与した官能基以外の官能基は焼成後に熱分解し、金属ナノ粒子1同士は相互拡散により粗大化する。
続いて、基材へ配線を形成する工程の例について、図7,図8を用いて説明する。
基材上への微細配線形成は、本発明の修飾金属ナノ粒子堆積の他に、電解銅めっきによる方法がある。本方法は、LDS(aser irect tructuring)と呼ばれ、金属(錯体)粒子などを混ぜた成形樹脂材料を用いて射出成形を行い、回路を形成したい領域をレーザにより活性化し、成形樹脂材料内の金属粒子を導体化させ、その導体化させた部分に電解銅めっきを行うことで回路を形成する工法である。
特長は、電解銅めっきで選択的に回路形成を行うことで、不要な電解銅めっき層が除去されるとともに、除去する電解銅めっき層自体が薄いことから、微細配線化に有利とされる。
一方で、本方法は、基材と電解銅めっきとの密着性を、主に基材表面の粗さ(アンカー効果)により確保しているため、その表面粗さはRaで0.5um以上と大きいことが課題である。
また、近年の半導体パッケージの小型化・高密度化に伴って、更なる回路の微細化が要求されており、こうした状況において、表面粗化による大きな粗化形状(アンカー効果)を利用し、電解銅めっきとの密着性を確保する方法では、厚さ10um以下の微細な回路は、ショートやオープン不良の発生に繋がるため、基材(多層配線板)を歩留り良く製造することができない。
このため、基材と電解銅めっきとの密着性を、アンカー効果に依存させない新たな方法として、両者間に結着(補助)層を設ける技術が提案されている。しかし、硬化した基材に結着剤を塗布して結着層を形成するため、結着層と基材との界面の密着性を考慮した場合、結着層厚みを10〜50umとする必要があり、薄型化には不適である。
また、基材と結着層との密着性は、両者間に作用する分子間相互作用に依存し、本結合エネルギーは1kJ/mol程度と微小であるため、性能担保に必要な密着強度(1.0N/mm)を確保することが出来ない。
本発明の修飾金属ナノ粒子は、例えば、修飾剤にシランカップリング基であるアルコキシシラン誘導体を用いているため、配線材である金属ナノ粒子と基材との間に、シランカップリング基による加水分解・縮合両反応を経て、結合エネルギーが500kJ/mol程度と大きい共有結合が生成され、強固な密着性を得ることが出来る。
また、金属ナノ粒子の修飾剤であるアルコキシシラン誘導体は、本誘導体が持つ炭化水素鎖が粒子表面に導入されることで、溶媒との親和性を高め、粒子凝集を抑制する効果と、銅微粒子の表面酸化皮膜を除去する効果も有している。
図7は本発明に係る基材への配線形成フローを示す概念図であり、シランカップリング処理〜露光〜金属ナノインク塗布〜乾燥〜電解めっき〜光焼成の各工程を工程の順に示す概略図である。各ステップの図では、基材の断面構造が付記される。
STEP1のシランカップリング処理は、基材17上にディスペンサーノズル18を介して、シランカップリング剤3が、ラインアンドスペース(以下L/Sと称す)状に塗布され、シランカップリング処理エリア20が形成されるものである。塗布方法はL/S状に限らず任意であり、配線層を形成するシランカップリング処理エリア20にシランカップリング剤3が塗布されれば良い。塗布後、シランカップリング剤3を硬化させるため、110℃以上、140℃未満で焼成する。なお、焼成温度が140℃を超えると、シランカップリング分子が構造破壊する懸念がある。そのためこの焼成処理は、シランカップリング剤を構成する有機化合物が分解を開始する温度以下の温度で行う。基材17は、ガラス、金属及びその酸化物、無機フィラーなどからなる無機化合物や、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などからなる有機化合物で構成される。一方、本処理に用いるディスペンサーノズル18の孔径は、濡れ拡がり抑制の観点から100um以上、300um以下が好適である。ディスペンサーノズル18の孔径が100um未満だと、低抵抗配線形成に必要なシランカップリング処理エリアを確保することが出来ず、また、ディスペンサーノズル18の孔径が300umを超えると、シランカップリング剤3の多量塗布により、L/Sパターンを所望のピッチ間隔で形成することが出来ない。
STEP2のLD露光は、波長266nm(遠紫外域)、365nm(i線)、436nm(g線)などを有す固体レーザ19を用い、複数のミラー(図示せず)を介して集光させた状態で、基材17上に形成されたシランカップリング処理エリア20にレーザを照射することで、シランカップリング剤3のレーザ照射位置が熱処理されて局所親水化処理された露光エリア21が形成されるものである。基材17上に形成されたシランカップリング処理エリア20にレーザを照射することで、シランカップリング分子のアルコキシ基が親水性官能基に改質(光吸収による共有結合断裂)し、局所親水化処理された露光エリア21が形成されるものである。この露光エリア21を形成することにより、基材両面に親水部が形成され、後述の修飾金属ナノ粒子のヒドロキシル基と親水部とを水素結合により会合(分子配向)させることが出来る。
STEP3の金属ナノインク塗布は、上記露光エリア21上に、ディスペンサーノズル22を介して、金属(銅)ナノ粒子分散液である金属ナノインク23が、電解めっきのシード層として、シランカップリング剤3と同様に、L/S状に塗布されるものである。金属ナノインク23の塗布領域は、形成したい配線層のパターンに対応する位置に行われる。一方、本処理に用いるディスペンサーノズルの孔径は、濡れ拡がり抑制、及びシランカップリング処理エリア20よりも線幅が細く形成されるよう、30um以上、70um以下が好適である。ディスペンサーノズル22の孔径が30um未満だと、低抵抗配線形成に必要な金属ナノインク23塗布エリアを確保することが出来ず、また、ディスペンサーノズル22の孔径が70umを超えると、金属ナノインク23の多量塗布により、L/Sパターンを所望のピッチ間隔で形成することが出来ない。
STEP4の乾燥は、金属ナノインク23を塗布後、金属ナノ粒子分散媒除去のため、乾燥炉25で乾燥を行うものである。なお、乾燥過程で生じる揮発性有機化合物(VOC)は、形成膜内に取り込まれないよう、排気口24を介して、乾燥炉25から排出される。この工程により金属ナノ粒子がシランカップリング基で修飾される。
STEP5の電解めっきは、乾燥・焼成後、硫酸銅水和物(CuSO・5HO)及び硫酸を含む電解銅めっき浴29に、アノード26として銅、カソード27としてL/S状にシード層が形成された基材17が、外部直流電源を介し接続された状態で浸漬され、銅めっき層が形成されるものである。電解銅めっき浴29中では、硫酸銅と硫酸はそれぞれ解離して、銅イオン(II)28、水素イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオンとして存在し、電子は溶液中に入り込めないので、溶液中において電流はこれらのイオンの移動により運ばれる。被めっき体であるカソード27では、外部回路を通じて電子が運ばれて、電極界面の溶液中の銅イオン(II)28を還元し、金属銅が析出することで金属ナノインク23上に銅めっき(皮膜)層45が形成される。これがカソード反応である。一方、銅アノードでは逆の現象が起こる。即ち、銅アノードと溶液の界面でイオン化反応が起こり、銅は電子を放出して銅イオン(II)28として溶液中に溶け出す。これがアノード反応であり、放出された電子はアノード26と導線を経て直流電源の端子に入り、導線を経てカソード27に供給される。
STEP6の光焼成は、電解銅めっきにて、基材17のシード層上に所望の膜厚(5um以上、10um以下)の銅めっき層45を形成した後、可視光パルス照射による光焼成にて、200℃以下で焼結処理がなされ、基材−配線間に強固な共有結合が生成されるものである。光焼成は、金属ナノインク23中の粒子径が1um未満の金属ナノ粒子が、基材上にパターン形成された後、可視光をパルス照射することで、金属ナノ粒子が黒体としての挙動を示し、高い電磁線吸収率と、粒子自身の熱質量が小さいことで、粒子が急速に加熱・融着し、回路パターンを形成する。
図8は本発明に係る基材への配線形成フローを示す概念図であり、図7とは異なる方法における露光〜修飾金属ナノインク塗布〜乾燥〜電解めっき〜光焼成の各工程を工程の順に示す概略図である。各ステップの図では、基材の断面構造が付記される。
STEP1のLD露光は、シランカップリング処理がなされていない基材17上に、図7のSTEP2のLD露光と同様に、固体レーザ19を用いて、複数のミラーを介して集光させた状態でレーザを直接照射することで、基材17のレーザ照射位置が熱処理されて局所表面改質された露光エリアが形成されるものである。
STEP2の修飾金属ナノインク塗布は、図7のSTEP3の金属ナノインク塗布と同様、上記露光エリア上に、ディスペンサーノズル22を介して、修飾金属ナノ粒子モデル12に相当する修飾金属ナノ粒子の分散液である修飾金属ナノインク30が、電解銅めっきのシード層として、L/S状に塗布されるものである。なお、金属ナノインク23は、シランカップリング基を含むアルコキシシラン基で修飾された修飾金属ナノ粒子と、テルペン類またはポリオール類からなる溶媒と、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、イソシアネ−ト樹脂、アクリル樹脂、レゾール樹脂、シロキサン樹脂及びこれらの前駆体化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機結着剤とを含む。
STEP3の乾燥は、図7のSTEP4の乾燥と同様、修飾金属ナノインク30を塗布後、金属ナノ粒子分散媒除去のため、乾燥炉25で乾燥・焼成を行うものである。
STEP4の電解めっきは、図7のSTEP5の電解めっきと同様、乾燥・焼成後、硫酸銅水和物(CuSO・5HO)及び硫酸を含む電解銅めっき浴29に、アノード26として銅、カソード27としてL/S状にシード層が形成された基材17が、外部直流電源を介し接続された状態で浸漬され、本シード層上に所望の膜厚(例えば、5um以上、10um以下)で銅めっき層45が形成されるものである。
STEP5の光焼成は、図7のSTEP6の光焼成と同様、電解銅めっきにて、基材17のシード層上に所望の膜厚(5um以上、10um以下)の銅めっき層45を形成した後、可視光パルス照射による光焼成にて、200℃以下で焼結処理がなされ、基材−配線間に強固な共有結合が生成されるものである。
以上のことから、図8の基材への配線形成フローは、図7の基材17への配線形成フローに対し、シランカップリング処理を行わず、シランカップリング基で修飾された修飾金属ナノインク30をLD露光によりL/S状に局所親水化処理した基材17上に塗布するという簡便な方法により、粒子修飾基と基材表面間に共有結合を生成し、高密着な電解銅めっきのシード層を形成するものである。
図9は従来のLDS法により形成した配線部−樹脂基材界面近傍の構造を示す断面図である。
本図における配線部は、金属結合により結びついているめっき粒子31からなるめっき層39にて構成され、めっき層39とポリカーボネートからなる基材35との結着は、基材表面の粗さ(アンカー効果)と、基材35内に添加・分散された金属錯体32における配位子32bがレーザにより活性化され、金属(コア)32aが導体化し、めっき粒子31と金属結合のような相互作用を生成することでなされている。
図10は本発明に係る配線部−樹脂基材界面近傍の構造を示す断面図である。
本図における配線部は、図9に示すめっき層39と、共有結合により結びついている修飾金属ナノ粒子36からなるナノ粒子層40にて構成され、修飾金属ナノ粒子36およびナノ粒子層40からなる本複合層とポリカーボネートからなる基材35との結着は、修飾金属ナノ粒子36のシランカップリング基からなる修飾基37が、焼成工程を経て、基材35表面との間に共有結合38を生成することでなされている。
以上のように、本発明は、シランカップリング基で修飾されたナノ粒子を用いて基材上に膜を形成し、修飾ナノ粒子上に金属や無機物等の機能性物質を形成させると共に、基材と修飾ナノ粒子とを共有結合させることにより、基材上に機能膜を形成することを特徴とする。このように、シランカップリング基で修飾されたナノ粒子を用い、シランカップリング基を加水分解したヒドロキシル基を介してナノ粒子と基材とを共有結合させることにより、基材上に共有結合で機能膜を形成することができるので、基材と機能膜との密着性を強固にすると共に、強固な密着を永続的に維持することができる。また、結着層を設けずに共有結合により基材とナノ粒子を密着させるため、配線層等の機能層を薄型化することができる。また、ナノ粒子をアルコキシシラン誘導体で修飾するため、修飾ナノ粒子と溶媒との親和性を高め、粒子凝集を抑制することができるため分散性を向上させることができ、分散剤を添加する必要がなくなるため、導電性の金属ナノ粒子を用いた場合に導電性を阻害することを抑制することができる。特に還元剤を添加した溶剤を用いて修飾金属ナノ粒子を生成することにより、金属ナノ粒子表面の金属酸化膜を除去することができ、高密度で金属ナノ粒子を修飾することができるため、十分な数の共有結合を生成することができ、より密着性を向上させることができる。さらに非酸化性雰囲気中で熱処理を行うことにより、銅等の金属が酸化される事が抑制でき、導電性の低下をより防止することができる。なお、基材上に修飾ナノ粒子を直接塗布しても良いし、シランカップリング剤を基材上に塗布した後にナノ粒子を塗布し、シランカップリング剤とナノ粒子とを反応させて修飾ナノ粒子を基材上に形成しても良い。
(実施例)
次に本発明の実施例について、図11を用いて説明する。
図11は実施例に係る修飾金属ナノ粒子の官能基を修飾する工程を説明する図である。
まず、高周波誘導熱プラズマ法により、平均粒径が50nmになるよう造粒された銅ナノ粒子と、修飾剤である(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシランまたは(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシランと、還元剤である水素化ホウ素ナトリウムとを、エチレングリコールからなる揮発性溶媒に添加して、非酸化性雰囲気下で、120℃/60分間、熱処理することにより、アルコキシシラン修飾銅ナノインクを得た。
修飾剤として(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン46を用いた場合、図11に示すように、銅からなる金属ナノ粒子1がアルコキシ基47を含む化合物で修飾された修飾銅ナノ粒子48を含むアルコキシシラン修飾銅ナノインクが生成される。
ここで、揮発性溶媒として、水、アルコール類、ケトン類、エステル類、ハロゲン系溶媒、脂肪族炭化水素類、または芳香族炭化水素類などの極性溶媒を用いることができ、さらにはこれらの混合物を用いても良い。得られた修飾銅ナノインク中の平均粒子径を、電子顕微鏡を用いて観察した結果、75nmであった。
次に、0.7mm厚のガラス基材表面を、波長266nmである固体レーザにて照射(露光)し、局所親水化処理を行った。その後、照射エリア上に、孔径30umのディスペンサーノズルにて、修飾銅ナノインクを、電解めっきのシード層として、配線パターンの体積抵抗率が20um・cm以下となるよう、幅50um、ピッチ150umにて、L/S状にパターン塗布した。
修飾銅ナノインクを塗布後、粒子分散媒除去のため、乾燥炉で、120℃/10分間、乾燥を行った。
乾燥後、硫酸銅水和物、硫酸、光沢・還元剤、イオン交換水などからなる電解銅めっき(液)浴に、アノードとして銅、カソードとしてパターン塗布基材を、外部直流電源を介し接続した状態で浸漬し、浴温20℃、陰極電流密度4A/dm2にて、シード層上にめっき処理を行った。得られた銅めっき層の膜厚を、触針段差計を用いて確認した結果、25umであった。
最後に、銅めっき層が形成された基材上に、フラッシュランプ照射距離20mm、照射エネルギー4J/cm、パルス幅500usの設定条件にて、光焼成による焼結処理を行い、銅ナノ粒子及び銅めっきの複合層からなる配線パターンを得た。配線パターンは、修飾銅ナノ粒子48のアルコキシ基47がヒドロキシル基に変換されヒドロキシル基を介して修飾金属ナノ粒子48ガラス基材と共有結合することにより形成される。得られた配線パターンの体積抵抗率は、四端子法にて計測した結果、10uΩ・cmであった。ここで、アルコキシ基47は銅ナノ粒子と離れた位置に形成されるため、ガラス基材との共有結合がより容易に形成される。
合わせて、得られた配線パターンと基材の密着強度を、JIS C 5012のプリント配線板試験方法に基づいて計測した。本試験方法は、配線の一端を基材から剥がして、引張試験機に固定し、基材表面に対して、垂直方向に一定の速さ、かつ一定長さ以上、引き剥がした際の、単位幅当たりの荷重(N/mm)の最低値を、密着強度と定義するものである。
計測した結果、密着強度は1.2N/mmであった。
以上より、本発明の修飾金属ナノ粒子は、修飾剤にアルコキシシラン誘導体を、金属ナノ粒子に銅を、それぞれ用いることで、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPC(ポリカーボネート)などの樹脂を始め、ガラス、セラミックスなど、様々な被着体に対し、高い密着強度を保持した状態で堆積することができる。このことから、各種基材(筺体)上への微細な電気配線形成、フィルムインモールドによる樹脂基材への加飾成型などに好適である。
また、銅ナノ粒子をアルコキシシラン誘導体で修飾することは、アルコキシシランの還元作用により、銅ナノ粒子表面酸化層(CuO)の除去に繋がり、本修飾金属ナノ粒子をポリオール(多価アルコール)などの溶媒に分散させた場合、個々のナノ粒子の修飾基間に斥力を生じさせ、分散剤を溶媒に添加しなくても、粒子凝集を抑制することができる。このことから、分散安定性の高い導電インクを提供することができる。
すなわち、本発明の修飾金属ナノ粒子,その製造方法及び修飾金属ナノインク並びに金属ナノ粒子を用いた配線層形成方法は、基材と配線材間の密着性を、基材表面の粗化や結着層形成といった基材前処理を行うことなく、修飾金属ナノ粒子を堆積させるという簡便な方法で高めることが可能であり、また、密着寄与結合が共有結合であるため、強固な密着を永続的に得ることができることを示唆するものである。
本発明は、基材と修飾金属ナノ粒子との間に高い密着性を確保し、樹脂基材に対し加熱軟化による塑性変形を生じることなく修飾金属ナノ粒子の低温焼成を可能とし、更には、高い分散性を確保することができ、基材の表面に形成される膜の材料となる修飾金属ナノ粒子,その製造方法及び修飾金属ナノインク並びに金属ナノ粒子を用いた配線層形成方法である。
1 金属ナノ粒子
2 親水性官能基
3 シランカップリング剤
4 アルコキシ基
5 アルキル基
6 修飾金属ナノ粒子前駆体
7 修飾シランカップリング基
8 結合部位
9 結合部位
10 結合部位
11 4−メルカプトブタン酸
12 修飾金属ナノ粒子モデル
13 修飾金属ナノ粒子モデル
14 反応性官能基
15 シロキサン結合
16 共有結合
17 基材
18 ディスペンサーノズル
19 固体レーザ
20 シランカップリング処理エリア
21 露光エリア
22 ディスペンサーノズル
23 金属ナノインク
24 排気口
25 乾燥炉
26 アノード
27 カソード
28 銅イオン(II)
29 めっき浴
30 修飾金属ナノインク
31 めっき粒子
32 金属錯体
32a 金属
32b 配位子
35 基材
36 修飾金属ナノ粒子
37 修飾基
38 共有結合
39 めっき層
40 ナノ粒子層
41 修飾金属ナノ粒子
42 加水分解性基
43 ヒドロキシル基
44 親水性官能基
45 銅めっき層
46 (3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン
47 アルコキシ基
48 修飾銅ナノ粒子

Claims (13)

  1. 加水分解性基を含む有機分子で表面修飾された金属ナノ粒子の製造方法であって、
    修飾剤である加水分解性基を含むカップリング剤と還元剤と金属ナノ粒子とを揮発性溶媒に添加し、非酸化性雰囲気下で、当該有機化合物の分解開始温度以下の温度で熱処理することにより、加水分解により親水性官能基を生成できる加水分解性基が修飾された金属ナノ粒子を得ることを特徴とする修飾金属ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記カップリング剤は、アルコキシシラン誘導体を含むシランカップリング剤、チオアルコール類、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシランまたは(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシランが用いられることを特徴とする請求項1記載の修飾金属ナノ粒子の製造方法。
  3. 前記揮発性溶媒は、水、アルコール類、ケトン類、エステル類、ハロゲン系溶媒、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、またはこれらの混合物が含有される極性溶媒であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の修飾金属ナノ粒子の製造方法。
  4. 金属ナノ粒子と、
    前記金属ナノ粒子を修飾するアルコキシシラン化合物と
    から構成された有機−無機ナノコンポジットであることを特徴とする修飾金属ナノ粒子。
  5. 前記アルコキシシラン化合物は親水性官能基で終端化されたアルキル基を含む2種類以上の有機分子から構成されることを特徴とする請求項4記載の修飾金属ナノ粒子。
  6. 前記アルキル基はメルカプト基、またはアミノ基で終端化されることを特徴とする請求項5記載の修飾金属ナノ粒子。
  7. 前記金属ナノ粒子は、銅または銅酸化物、あるいはこれらの少なくとも一方を含む化合物からなることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の修飾金属ナノ粒子。
  8. 前記金属ナノ粒子は、粒径が3nm以上70nm以下であることを特徴とする請求項4〜請求項7のいずれか1項に記載の修飾金属ナノ粒子。
  9. 前記金属ナノ粒子に対するアルコキシシラン化合物の表面修飾密度は、10個/nm以上100個/nm以下であることを特徴とする請求項4〜請求項8のいずれか1項に記載の修飾金属ナノ粒子。
  10. 請求項4〜請求項9のいずれか1項に記載の修飾金属ナノ粒子と、
    テルペン類またはポリオール類からなる溶媒と、
    エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂、アクリル樹脂、レゾール樹脂、シロキサン樹脂またはこれらの前駆体化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機結着剤と
    を有することを特徴とする修飾金属ナノインク。
  11. 基材上に請求項10記載の修飾金属ナノインクを配線層形成領域に塗布する工程と、
    前記修飾金属ナノインク上に金属めっきを形成する工程と、
    前記修飾金属ナノインクおよび前記金属めっきを200℃以下で焼成する工程と
    を有し、前記金属めっきが施された前記修飾金属ナノインクを前記基材と共有結合させることを特徴とする配線層形成方法。
  12. 基材上にシランカップリング剤を塗布する工程と、
    前記シランカップリング剤にレーザを照射して表面を改質する工程と、
    表面が改質された前記シランカップリング剤の配線層形成領域に金属ナノ粒子を塗布する工程と、
    前記金属ナノ粒子上に金属めっきを形成する工程と、
    前記修飾金属ナノ粒子および前記金属めっきを200℃以下で焼成する工程と
    を有し、前記金属めっきが施された前記金属ナノ粒子を前記基材と共有結合させることを特徴とする配線層形成方法。
  13. レーザ照射することにより前記基材に親水性官能基を形成して露光エリアを形成する工程をさらに有し、
    前記親水性官能基に前記金属ナノ粒子が分子間相互作用により自己集合することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の配線層形成方法。
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