JP2016194327A - 動力伝達装置 - Google Patents

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直也 神内
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Abstract

【課題】例えば、2つの油室を有するブレーキを含む動力伝達装置の制御性を向上させる。【解決手段】動力伝達装置は、ケースと、回転シャフトと一体に回転するドラム部材と、ドラム部材と一体に回転するとともにドラム部材の軸方向に移動可能な第一の摩擦係合要素と、ケースに設けられ軸方向に移動可能な第二の摩擦係合要素と、ケースに設けられ第一の油室と第二の油室を有するシリンダ部材と、第一の油室に一部が収容され、第一の摩擦係合要素と第二の摩擦係合要素とを第一の方向に移動させて摩擦係合させる第一のピストンと、第二の油室に一部が収容され、第一のピストンを第一の方向へ移動させる第二のピストンと、第一のピストンとシリンダ部材との間に設けられ第一のピストンを第一の方向とは反対の第二の方向に付勢する第一のばね部と、第一のピストンと第二のピストンとの間に設けられ第二のピストンを第二の方向に付勢する第二のばね部と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、動力伝達装置に関する。
従来、多段変速機を含む動力伝達装置が知られている。この動力伝達装置は、動力伝達の経路を切り替えるためのブレーキを備える。ブレーキは、複数の回転要素のうちの固定対象要素をケースに接続して回転不能に固定するとともに両者の接続を解除することで、動力伝達の経路を切り替える。このようなブレーキとして、ピストンと、このピストンに対して設けられた第1油室と、第2油室と、リターンスプリングとを有するものが知られている。ピストンは、ケース内あるいはケースに結合されたシリンダ内を摺動可能であって摩擦材とディスクプレートとを係脱させる。第1油室は、ピストンに対して設けられる。また、第2油室は、第1油室とは独立に設けられる。リターンスプリングは、ピストンを第1および第2油室側に常時付勢する(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。このようなブレーキでは、トルク分担が比較的小さくなる際に第1油室および第2油室のいずれか一方に作動油が供給され、トルク分担が比較的大きくなる際に第1および第2油室の双方に作動油が供給される。
特開2001−032928号公報 特開2007−064400号公報
しかしながら、上記従来のブレーキでは、油圧が第1および第2の油室の一方のみに供給される際、ピストンの移動により第1および第2の油室の他方の内部が負圧状態となるため、ピストンの円滑な移動が妨げられて動力伝達装置の制御性が低下してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、2つの油室を有するブレーキを含む動力伝達装置の制御性を向上させることを主目的とする。
本発明の動力伝達装置は、例えば、ケースと、上記ケースに収容された回転シャフトと一体に回転するドラム部材と、上記ドラム部材と一体に回転するように設けられ、上記ドラム部材の軸方向に移動可能な第一の摩擦係合要素と、上記ケースに設けられ、上記軸方向に移動可能な第二の摩擦係合要素と、上記ケースに設けられ、第一の油室と第二の油室を有するシリンダ部材と、上記第一の油室に一部が収容され、上記第一の摩擦係合要素と上記第二の摩擦係合要素とを上記軸方向のうち第一の方向に移動させて摩擦係合させる第一のピストンと、上記第二の油室に一部が収容され、上記第一のピストンを上記第一の方向へ移動させる第二のピストンと、上記第一のピストンと上記シリンダ部材との間に設けられ上記第一のピストンを上記第一の方向とは反対の第二の方向に付勢する第一のばね部と、上記第一のピストンと上記第二のピストンとの間に設けられ上記第二のピストンを上記第二の方向に付勢する第二のばね部と、を備える。
上記構成によれば、第一の油室のみに油圧が供給される場合、第二のピストンは第二のばね部によって、第二の方向に付勢されて第二の油室内で底壁等に当接して静止するので、第二のピストンの状態や第二の油室内の圧力の状態によって第一のピストンの第一の方向への移動が妨げられることが抑制できる。その結果、第一の油室の油圧に応じて第一のピストンの移動を緻密に制御可能となり、動力伝達装置の制御性が向上できる。また、第一の油室および第二の油室内に油圧を供給すれば、第一のピストンは、第一の油室内の油圧による力と、第二のピストンを介して伝えられる第二の油室内の油圧による力とを受けてさらに大きな押圧力を発生する。この結果、ブレーキのトルク分担の大小に拘わらず、第一のピストンにトルク分担に応じた油圧を適正に作用させることができるので、動力伝達装置の制御性が向上できる。また、第一の油室および第二の油室から作動液を排出してブレーキの拘束力を解放する場合、第二のピストンは第二のばね部の付勢力によって第二の方向に戻られる。その結果、第一のピストンを第二の方向に戻すときに第二のピストンの摺動抵抗を考慮する必要がなくなる。つまり、第一のピストンを戻す場合にも、第一の油室の油圧に応じて第一のピストンの移動を緻密に制御可能となり、動力伝達装置の制御性を向上できる。
図1は、実施形態に係る動力伝達装置の概略構成図である。 図2は、実施形態に係る動力伝達装置における各変速段とクラッチおよびブレーキの作動状態の関係を示す作動表である。 図3は、実施形態に係る動力伝達装置のブレーキおよびその周辺の拡大断面図である。
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、それらの構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
図1は、本実施形態に係る動力伝達装置10の概略構成図である。図1に示される動力伝達装置10は、後輪駆動車両の前部に縦置きに搭載される駆動源としての図示しないエンジン(内燃機関)のクランクシャフトおよび/または電気モータのロータに接続されるとともにエンジン等からの動力(トルク)を図示しない左右の後輪(駆動輪)に伝達可能なものである。動力伝達装置10は、エンジン等から入力軸12i(入力部材)に伝達された動力を変速して出力軸12oに伝達する自動変速機14に加えて、ケース16(トランスミッションケース、静止部材)や、発進装置18(流体伝動装置)、オイルポンプ20等を含む。
発進装置18は、上述のような駆動源に連結される入力側のポンプインペラ22pや自動変速機14の入力軸12iに連結される出力側のタービンランナ22t、ステータ22sおよびワンウェイクラッチ22o等を有するトルクコンバータを含む。ステータ22sは、ポンプインペラ22pおよびタービンランナ22tの内側に配置されてタービンランナ22tからポンプインペラ22pへの作動油の流れを整流する。また、ワンウェイクラッチ22oは、図示しないステータシャフトより支持されるとともにステータ22sの回転方向を一方向に制限する。さらに、発進装置18は、エンジンのクランクシャフト等に連結されたフロントカバーと自動変速機14の入力軸12iとを互いに接続するとともに両者の接続を解除するロックアップクラッチ24と、フロントカバーと自動変速機14の入力軸12iとの間で振動を減衰するダンパ機構26とを有する。なお、発進装置18は、ステータ22sを有さない流体継手を含むものであってもよい。
オイルポンプ20は、ポンプボディとポンプカバーとを含むポンプアセンブリ、チェーンまたはギヤ列を介して発進装置18のポンプインペラ22pに連結された外歯ギヤ(インナーロータ)、当該外歯ギヤに噛合する内歯ギヤ(アウターロータ)等を有するギヤポンプとして構成される。オイルポンプ20は、エンジン等からの動力により駆動され、図示しないオイルパンに貯留されている作動油(ATF)を吸引して油圧制御装置(不図示)へと圧送する。
自動変速機14は、10段変速式の変速機として構成されている。自動変速機14は、図1に示すように、入力軸12iに加えて、図示しないデファレンシャルギヤおよびドライブシャフトを介して左右の後輪に連結される出力軸(出力部材)12oや自動変速機14(入力軸12iや出力軸12o)の軸方向に並べて配設されるシングルピニオン式の第1遊星歯車28および第2遊星歯車30を含む。また、自動変速機14は、ダブルピニオン式遊星歯車とシングルピニオン式遊星歯車とを組み合わせて構成される複合遊星歯車機構としてのラビニヨ式遊星歯車機構32を含む。さらに、自動変速機14は、入力軸12iから出力軸12oまでの動力伝達経路を変更するための係合要素としてのクラッチC1(第1クラッチ)、クラッチC2(第2クラッチ)、クラッチC3(第3クラッチ)、クラッチC4(第4クラッチ)、ブレーキB1(第1ブレーキ)およびブレーキB2(第2ブレーキ)を含む。
本実施形態において、第1遊星歯車28および第2遊星歯車30並びにラビニヨ式遊星歯車機構32は、発進装置18すなわちエンジン側(図1における左側)から、ラビニヨ式遊星歯車機構32、第2遊星歯車30、第1遊星歯車28、という順番で並ぶようにケース16内に配置される。すなわち、発進装置18側からラビニヨ式遊星歯車機構32を構成するシングルピニオン式遊星歯車、ラビニヨ式遊星歯車機構32を構成するダブルピニオン式遊星歯車、第2遊星歯車30、第1遊星歯車28という順番で並ぶ。これにより、ラビニヨ式遊星歯車機構32は、発進装置18に近接するように車両の前部側に配置される。また、第1遊星歯車28は、出力軸12oに近接するように車両の後部側に配置され、第2遊星歯車30は、ラビニヨ式遊星歯車機構32と第1遊星歯車28との間に配置される。
第1遊星歯車28は、第1サンギヤ28s、第1リングギヤ28r、複数の第1ピニオンギヤ28p、第1キャリヤ28cを有する。第1サンギヤ28sは、外歯歯車である。第1リングギヤ28rは、第1サンギヤ28sと同心円上に配置される内歯歯車である。第1ピニオンギヤ28pは、第1サンギヤ28sおよび第1リングギヤ28rに噛合する。第1キャリヤ28cは、複数の第1ピニオンギヤ28pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する。
第1遊星歯車28の第1キャリヤ28cは、図1に示すように、入力軸12iに連結された自動変速機14の中間軸12m(インターミディエイトシャフト)に常時連結(固定)される。これにより、エンジン等から入力軸12iに動力が伝達されている際、第1キャリヤ28cには、エンジン等からの動力が入力軸12iおよび中間軸12mを介して常時伝達されることになる。第1キャリヤ28cは、クラッチC4の係合時に第1遊星歯車28の入力要素(自動変速機14の第1入力要素)として機能し、クラッチC4の解放時には空転する。また、第1リングギヤ28rは、クラッチC4の係合時に当該第1遊星歯車28の出力要素(自動変速機14の第1出力要素)として機能する。
第2遊星歯車30は、第2サンギヤ30s、第2リングギヤ30r、複数の第2ピニオンギヤ30p、第2キャリヤ30cを有する。第2サンギヤ30sは、外歯歯車である。第2リングギヤ30rは、第2サンギヤ30sと同心円上に配置される内歯歯車である。第2ピニオンギヤ30pは、第2サンギヤ30sおよび第2リングギヤ30rに噛合する。第2キャリヤ30c(プラネタリキャリヤ)は、複数の第2ピニオンギヤ30pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する。
第2遊星歯車30の第2サンギヤ30sは、図1に示すように、第1遊星歯車28の第1サンギヤ28sと一体化(常時連結)されており、第1サンギヤ28sと常時一体(かつ同軸)に回転または停止する。ただし、第1サンギヤ28sと第2サンギヤ30sとは、別体に構成されるとともに図示しない連結部材(第1連結部材)を介して常時連結されてもよい。また、第2遊星歯車30の第2キャリヤ30cは、出力軸12oに常時連結されており、出力軸12oと常時一体(かつ同軸)に回転または停止する。これにより、第2キャリヤ30cは、第2遊星歯車30の出力要素(自動変速機14の第2出力要素)として機能する。さらに、第2遊星歯車30の第2リングギヤ30rは、第2遊星歯車30の固定可能要素(自動変速機14の第1固定可能要素)として機能する。
ラビニヨ式遊星歯車機構32は、第3サンギヤ34s、第4サンギヤ36s、第3リングギヤ34r、複数の第3ピニオンギヤ34p、複数の第4ピニオンギヤ36p、第3キャリヤ34cを有する。第3サンギヤ34sおよび第4サンギヤ36sは、外歯歯車である。第3リングギヤ34rは、第3サンギヤ34sと同心円上に配置される内歯歯車である。第3ピニオンギヤ34p(ショートピニオンギヤ)は、第3サンギヤ34sに噛合する。第4ピニオンギヤ36p(ロングピニオンギヤ)は、第4サンギヤ36sおよび複数の第3ピニオンギヤ34pに噛合するとともに第3リングギヤ34rに噛合する。第3キャリヤ34cは、複数の第3ピニオンギヤ34pおよび複数の第4ピニオンギヤ36pを自転自在(回転自在)かつ公転自在に保持する。
このようなラビニヨ式遊星歯車機構32は、ダブルピニオン式遊星歯車(第3遊星歯車)とシングルピニオン式遊星歯車(第4遊星歯車)とを組み合わせて構成される複合遊星歯車機構である。すなわち、ラビニヨ式遊星歯車機構32の第3サンギヤ34s、第3キャリヤ34c、第3ピニオンギヤ34pおよび第4ピニオンギヤ36p、並びに第3リングギヤ34rは、ダブルピニオン式の第3遊星歯車を構成する。また、ラビニヨ式遊星歯車機構32の第4サンギヤ36s、第3キャリヤ34c、第4ピニオンギヤ36p、および第3リングギヤ34rは、シングルピニオン式の第4遊星歯車を構成する。
また、ラビニヨ式遊星歯車機構32(第3遊星歯車および第4遊星歯車)を構成する回転要素のうち、第4サンギヤ36sは、ラビニヨ式遊星歯車機構32の固定可能要素(自動変速機14の第2固定可能要素)として機能する。さらに、第3キャリヤ34cは、入力軸12iに常時連結(固定)されるとともに、連結部材(第2連結部材)としての中間軸12mを介して第1遊星歯車28の第1キャリヤ28cに常時連結される。これにより、エンジン等から入力軸12iに動力が伝達されている際、第3キャリヤ34cには、エンジン等からの動力が入力軸12iを介して常時伝達されることになる。従って、第3キャリヤ34cは、ラビニヨ式遊星歯車機構32の入力要素(自動変速機14の第2入力要素)として機能する。また、第3リングギヤ34rは、ラビニヨ式遊星歯車機構32の第1出力要素として機能し、第3サンギヤ34sは、ラビニヨ式遊星歯車機構32の第2出力要素として機能する。
クラッチC1は、常時連結された第1遊星歯車28の第1サンギヤ28sおよび第2遊星歯車30の第2サンギヤ30sとラビニヨ式遊星歯車機構32の第1出力要素である第3リングギヤ34rとを互いに接続するとともに両者の接続を解除するものである。クラッチC2は、常時連結された第1遊星歯車28の第1サンギヤ28sおよび第2遊星歯車30の第2サンギヤ30sとラビニヨ式遊星歯車機構32の第2出力要素である第3サンギヤ34sとを互いに接続するとともに両者の接続を解除するものである。クラッチC3は、第2遊星歯車30の第2リングギヤ30rとラビニヨ式遊星歯車機構32の第1出力要素である第3リングギヤ34rとを互いに接続するとともに両者の接続を解除するものである。クラッチC4は、第1遊星歯車28の出力要素である第1リングギヤ28rと出力軸12oとを互いに接続するとともに両者の接続を解除するものである。
ブレーキB1は、ラビニヨ式遊星歯車機構32の固定可能要素である第4サンギヤ36sを静止部材としてのケース16に対して回転不能に固定(接続)するとともに第4サンギヤ36sをケース16に対して回転自在に解放するものである。ブレーキB2は、第2遊星歯車30の固定可能要素である第2リングギヤ30rをケース16に対して回転不能に固定(接続)するとともに当該第2リングギヤ30rを静止部材としてのケース16に対して回転自在に解放するものである。
本実施形態では、クラッチC1〜C4として、ピストン、複数の摩擦係合要素、それぞれ作動油が供給される油室(係合油室)および遠心油圧キャンセル室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧クラッチ(摩擦係合要素)が採用される。摩擦係合要素は、例えば環状部材の両面に摩擦材を貼着することにより構成された摩擦プレートおよび両面が平滑に形成された環状部材であるセパレータプレートとすることができる。また、ブレーキB1およびB2としては、ピストン、複数の摩擦係合要素(摩擦プレートおよびセパレータプレート)、作動油が供給される油室(係合油室)等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧ブレーキが採用される。そして、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2は、図示を省略した油圧制御装置による作動油の給排を受けて動作する。
図2は、自動変速機14の各変速段とクラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2の作動状態との関係を示す作動表である。
自動変速機14では、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2を図2に示すように係合または解放させて接続関係を変更することで、入力軸12iから出力軸12oまでの間に前進回転方向に10通りおよび後進回転方向に1通りの動力伝達経路、すなわち第1速段から第10速段の前進段と後進段とを設定することができる。
例えば、前進第1速段は、クラッチC1,C2およびブレーキB2を係合させるとともに、残余のクラッチC3,C4およびブレーキB1を解放させることにより形成される。
前進第2速段は、クラッチC1、ブレーキB1およびB2を係合させるとともに、残余のクラッチC2,C3およびC4を解放させることにより形成される。
前進第3速段は、クラッチC2、ブレーキB1およびB2を係合させるとともに、残余のクラッチC1,C3およびC4を解放させることにより形成される。
前進第4速段は、クラッチC4、ブレーキB1およびB2を係合させるとともに、残余のクラッチC1,C2およびC3を解放させることにより形成される。
前進第5速段は、クラッチC2,C4およびブレーキB1を係合させるとともに、残余のクラッチC1,C3およびブレーキB2を解放させることにより形成される。
前進第6速段は、クラッチC1,C4およびブレーキB1を係合させるとともに、残余のクラッチC2,C3およびブレーキB2を解放させることにより形成される。
前進第7速段は、クラッチC1,C3およびC4を係合させるとともに、残余のクラッチC2,ブレーキB1およびB2を解放させることにより形成される。
前進第8速段は、クラッチC3,C4およびブレーキB1を係合させるとともに、残余のクラッチC1,C2およびブレーキB2を解放させることにより形成される。
前進第9速段は、クラッチC1,C3およびブレーキB1を係合させるとともに、残余のクラッチC2,C4およびブレーキB2を解放させることにより形成される。
前進第10速段は、クラッチC2,C3およびブレーキB1を係合させるとともに、残余のクラッチC1,C4およびブレーキB2を解放させることにより形成される。
後進段は、クラッチC2,C3およびブレーキB2を係合させるとともに、残余のクラッチC1,C4およびブレーキB1を解放させることにより形成される。
上述のように、自動変速機14によれば、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2の係脱により第1速段から第10速段までの前進段と後進段とを提供することが可能となる。この結果、自動変速機14では、スプレッドをより大きくして、特に高車速時の車両の燃費や各変速段での加速性能を向上させるとともに、ステップ比を適正化(より大きくなるのを抑制)して変速フィーリングを向上させることができる。従って、自動変速機14によれば、車両の燃費とドライバビリティーとの双方を良好に向上させることができる。
また、自動変速機14では、6つの係合要素、すなわちクラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2のうち、何れか3つを係合させるとともに残余の3つを解放させることにより前進第1速段から前進第10速段および後進段が形成される。これにより、例えば6つのクラッチやブレーキのうちの2つを係合させるとともに残余の4つを解放させることにより複数の変速段を形成する変速機に比べて、変速段の形成に伴って解放される係合要素の数を減らすことが可能となる。この結果、変速段の形成に伴って解放された係合要素における部材間の僅かな接触に起因した引き摺り損失を低減させて、自動変速機14における動力の伝達効率をより一層向上させることができる。
次に、図3を用いて、ブレーキB2とその周辺の構造を詳細に説明する。ドラム部材50は、クラッチC3のクラッチドラムおよびブレーキB2のブレーキハブとして機能する。ドラム部材50は、一端が開口した有底円筒状に形成されたドラム部52と、クラッチC3およびブレーキB2の接続対象要素(固定対象要素)である第2遊星歯車30の第2リングギヤ30r(図1参照)と一体に回転するリングギヤフランジ(連結部材)に常時連結(固定)される連結部54とを含む。ドラム部材50のドラム部52は、円筒部および当該円筒部の一端から径方向内側に延出された環状側壁部を有する。ドラム部52(円筒部)の内周面および外周面には、スプラインが形成されており、ドラム部52(環状側壁部)の内周部には、連結部54の外周部が溶接等により強固に固定される。
ドラム部材50の連結部54は、ドラム部52(ラビニヨ式遊星歯車機構32)と第2遊星歯車30との間に位置するようにケース16に固定されて当該ケース16(静止部材)の一部を構成する環状のセンターサポート16c(中間の支持部、シリンダ部材)により径方向に支持(調心)される。センターサポート16cは、図示するように、ケース16の内周面から径方向内側に向けて延在し、中心孔を有する内筒部56を含む。そして、ドラム部材50の連結部54は、ニードルベアリング(ラジアル軸受)を介してセンターサポート16cの内筒部56の外周面により回転自在に支持される。これにより、内筒部56の外周面(センターサポート16c)によってドラム部材50をケース16に対して精度よく調心することが可能となる。また、連結部54は、自動変速機14(入力軸12iや出力軸12o)の軸方向(矢印Y方向)に延びる筒状部58を有し、当該筒状部58は、ブッシュを介してセンターサポート16cの内筒部56に挿通されて第2リングギヤ30r(図1参照)に連結される。
連結部54の筒状部58の先端部60は、センターサポート16cの内筒部56(その内周面)によって囲まれる部分よりも小さい外径を有するように形成されており、当該先端部60の外周面には、スプラインが形成されている。さらに、リングギヤフランジは、連結部54の先端部60のスプラインに嵌合(スプライン嵌合)される内周部と、第2リングギヤ30rの内周面に形成されたスプラインに嵌合(スプライン嵌合)される外周部とを有する。これにより、ドラム部材50(ドラム部52)は、リングギヤフランジの内周側および外周側に設けられた2箇所の嵌め合い嵌合部(スプライン嵌合部)を介して第2リングギヤ30rに常時連結される。
上述のドラム部材50を構成部材とするブレーキB2は、図3に示すように、複数の摩擦プレート62(第一の摩擦係合要素、摩擦係合プレート)と、摩擦プレート62と交互に配設される複数のセパレータプレート64(第二の摩擦係合要素、摩擦係合プレート)およびバッキングプレートを含む。また、ブレーキB2は、摩擦プレート62およびセパレータプレート64を押圧して軸方向のうち第一の方向(押圧方向)に移動させて摩擦係合させる第1ピストン66(第一のピストン)と、第1ピストン66を押圧可能な第2ピストン68(第二のピストン)を含む。また、ブレーキB2は、第1ピストン66を摩擦プレート62およびセパレータプレート64から離間するように第一の方向と反対の方向の第二の方向に付勢するリターンスプリング70(第一のばね部)を有する。リターンスプリング70は、センターサポート16cに一端が支持されている。また、第1ピストン66と第2ピストン68の間に設けられて、第2ピストン68を摩擦プレート62およびセパレータプレート64から離間する方向(第二の方向)に付勢する板ばね72(第二のばね部)を有する。
ブレーキB2の複数の摩擦プレート62(それぞれの内周部)は、ドラム部材50のドラム部52の外周面に形成されたスプライン52aに嵌合され、ドラム部52と一体に回転するとともに軸方向(矢印Y方向、中間軸12m(回転シャフト)の軸方向)に移動自在となるようにブレーキハブとして機能するドラム部材50により支持される。また、ブレーキB2の複数のセパレータプレート64(それぞれの外周部)は、ケース16の内周面に形成されたスプライン16aに嵌合され、ケース16に対して回転不能かつ軸方向(矢印Y方向、中間軸12m(回転シャフト)の軸方向)に移動可能となるように当該ケース16により支持される。図1、図3に示すように、ブレーキB2の摩擦プレート62およびセパレータプレート64は、センターサポート16cに対して第2遊星歯車30(図1参照)とは反対側、すなわちセンターサポート16cよりもラビニヨ式遊星歯車機構32(図1参照)側に配置される。
センターサポート16cには、摩擦プレート62およびセパレータプレート64に向けて開口する環状の第1凹部74と環状の第2凹部76とが形成される。つまり、センターサポート16cは、第1ピストン66および第2ピストン68を収容するシリンダ部材としても機能する。第1凹部74は、第2凹部76の径方向内側に形成され、第2凹部76により包囲される。第1凹部74および第2凹部76は、互いに連通しないように環状の仕切壁78により仕切られており、本実施形態では、互いに概ね同一の軸長を有するように形成される。
第1ピストン66は、環状の第1受圧部66aと、セパレータプレート64を押圧するプレート押圧部66bとを有する。第1受圧部66aは、第1凹部74内に移動自在に嵌合され、第1受圧部66aの内周面と第1凹部74の内側内面との間には、Oリング80a等のシール部材が配置される。同様に、第1受圧部66aの外周面と第1凹部74の外側内面との間には、Oリング80b等のシール部材が配置される。これにより、第1受圧部66aは、軸方向に移動自在となるようにセンターサポート16cにより支持され、当該センターサポート16cとともにブレーキB1の第1油室82(第一の油室)を形成する。また、プレート押圧部66bは、第1受圧部66aから径方向外側に延出され、ケース16のスプライン16aに嵌合されて最も第1ピストン66側に位置するセパレータプレート64と当接可能となるようにセンターサポート16c(ラビニヨ式遊星歯車機構32、第2遊星歯車30とは反対側)に向けて突出する。
第2ピストン68は、第2受圧部68aと、ピストン押圧部68bとを有する。第2受圧部68aは、第2凹部76内に移動自在に嵌合され、第2受圧部68aの内周面と第2凹部76の内側内面との間にOリング80c等のシール部材が配置される。また、第2受圧部68aの外周面と第2凹部76の外側内面との間には、Oリング80d等のシール部材が配置される。これにより、第2受圧部68aは、軸方向に移動自在となるようにセンターサポート11cより支持され、当該センターサポート16cとともにブレーキB2の第2油室84(第二の油室)を形成する。また、ピストン押圧部68bは、板ばね72を介して、第1ピストン66のプレート押圧部66bの背面を付勢するように、第2受圧部68aからセパレータプレート64に向けて延出される。ブレーキB2の第1油室82および第2油室84には、センターサポート16cに形成された油路を介して油圧制御装置(不図示)により調圧された作動油が、それぞれ独立に供給される。
リターンスプリング70は、第1ピストン66に対して第1油室82とは反対側に位置するようにスナップリングを用いてセンターサポート16cに固定される環状のスプリング支持部材86と、第1ピストン66との間に周方向に間隔をおいて配設され、第1油室82と対向する。なお、ブレーキB2のリターンスプリング70としては、コイルばねの代わりに板ばねが用いられてもよい。
ところで、このように構成される自動変速機14では、第2遊星歯車30の第2リングギヤ30rに対応したブレーキB2のトルク分担の変化幅が大きい。このため、ブレーキB2のトルク分担が比較的小さい場合(例えば、前進第4速段の形成時)には、ブレーキB2の係合に際して油圧制御装置から第1油室82のみに作動油が供給され、第2油室84には作動油が供給されない。これに対して、ブレーキB2のトルク分担が比較的大きい場合(例えば、前進第1速段から第3速段、後進段の形成時)には、ブレーキB2の係合に際して油圧制御装置から第1油室82および第2油室84の双方に作動油が供給される。
ブレーキB2を係合(拘束)させるべく油圧制御装置から第1油室82のみに油圧が供給される際には、第1油室82内の油圧による力によって第1ピストン66がリターンスプリング70の付勢力に抗して移動し、第1ピストン66のプレート押圧部66bにより押圧される。その結果、セパレータプレート64および摩擦プレート62が摩擦係合する。このように第1油室82のみに作動油が供給される際、第2ピストン68は、板ばね72によって第二の方向(セパレータプレート64から離反する方向)に付勢される。したがって、第2ピストン68は、ケース16の一部を構成するセンターサポート16cに形成された第2凹部76内で、例えば底面に接触した状態で静止する。つまり、第1ピストン66の移動中に第2油室84内の圧力は変動せず、第2油室84内が負圧状態になることはない。したがって、ブレーキB2のトルク分担が比較的小さく、第1油室82のみに油圧が供給される際には、第2ピストン68の状態や第2油室84内の圧力の状態によって第1ピストン66の移動が妨げられることはない。つまり、第1油室82の油圧に応じて第1ピストン66をスムースかつ正確に移動させることが可能となる。
また、ブレーキB2を係合させるべく油圧制御装置から第1油室82および第2油室84内の双方に油圧が供給される際には、第2油室84への油圧の供給に伴って第2ピストン68が板ばね72の付勢力に抗して移動する。そして、第2ピストン68は、板バネ72を介して第1ピストン66のプレート押圧部66bの背面を押圧して第1ピストン66を摩擦プレート62やセパレータプレート64に向けて押圧する。これにより、第1ピストン66は、第1油室82内の油圧による力と、第2ピストン68を介して伝えられる第2油室84内の油圧による力との双方を受けて、摩擦プレート62およびセパレータプレート64を押圧することになる。したがって、トルク分担が比較的大きく、第1油室82および第2油室84内の双方に油圧が供給される際には、第1ピストン66にブレーキB2のトルク分担に応じた充分な油圧による力を作用させることができる。
この結果、自動変速機14では、ブレーキB2のトルク分担の大小に拘わらず、摩擦プレート62およびセパレータプレート64を押圧する第1ピストン66にトルク分担に応じた油圧を適正に作用させて当該第1ピストン66をスムースに移動させることができる。すなわち、動力伝達装置10の制御性を向上させることが可能となる。なお、上述のブレーキB2では、第2油室84のみに油圧を供給しても、第2油室84内の油圧による力によって第1ピストン66および第2ピストン68をリターンスプリング70の付勢力に抗してドラム部52およびセパレータプレート64を押圧するように移動させ、両者を摩擦係合させることが可能である。
さらに、自動変速機14において、第1ピストン66とともに第1油室82を形成する第1凹部74は、第2ピストン68とともに第2油室84を形成する第2凹部76の径方向内側に位置するようにセンターサポート16cに形成される。また、リターンスプリング70は、第1油室82と対向するように配置される。これにより、第1油室82をブレーキB2のトルク分担が小さくなる際や変速初期に用いられる油室として適正なサイズに構成することができる。その結果、油圧応答性を向上させるとともに作動油の消費流量の増加を抑制することが可能となる。加えて、第1凹部74と第1ピストン66の第1受圧部66aとの間に配置されるOリング80a,80b等のシール部材を小径化することができるので、第1ピストン66への摺動抵抗を低減することが可能となる。
また、上述のブレーキB2は、支持部としてのセンターサポート16cに対して第2遊星歯車30とは反対側に配置される摩擦プレート62およびセパレータプレート64と、第2リングギヤ30rに常時連結されるとともに、摩擦プレート62およびセパレータプレート64と第2遊星歯車30との間でセンターサポート16cの内筒部56の外周面によりケース16に対して調心されるブレーキハブとしてのドラム部材50を含む。さらに、自動変速機14において、第2遊星歯車30を構成するギヤ群は、インボリュート歯車として構成されており(第1遊星歯車28やラビニヨ式遊星歯車機構32も同様)、第2リングギヤ30rは、第2サンギヤ30sおよび第2キャリヤ30cによって中間軸12mに対して調心される。そして、ブレーキハブとしてのドラム部材50と第2リングギヤ30rとは、径方向のガタをもって回転方向に連結される。
第1ピストン66をセパレータプレート64から離間させてブレーキB2の拘束力を解除する場合、油圧制御装置は、リターンスプリング70の付勢力と作動油の排出状態(排出速度、排出量)を調節しながら第1ピストン66を第二の方向に移動させる。ところで、板ばね72がもし存在しない場合、第2ピストン68の第2油室84における位置が不定になることがある。例えば、第2油室84から突出した位置(第一の方向に移動した位置)に存在する場合や、収容された位置に存在する場合がある。前述したように、第2ピストン68には、Oリング80c,80d等が装着されているので、第2ピストン68が移動する場合摺動抵抗が存在する。その結果、第1ピストン66を第二の方向(戻す方向)に移動させる場合に、第2ピストン68の摺動抵抗が存在する場合としない場合が生じる。またの摺動抵抗の大きさや、摺動抵抗に逆らい第2ピストン68を移動させる(戻す)距離も不定となる場合がある。その結果、第1ピストン66の移動制御が不安定になる場合がある。例えば、第2ピストン68を第1ピストン66によって第二の方向に引き戻す必要がある場合は、制御プログラムで定められた第1ピストン66の移動速度が得られない場合がある。ブレーキB2は、他のクラッチC1〜C4やブレーキB1のいずれかが係合状態に移行する間に当該ブレーキB2の係合を徐々に解除するように動作する場合がある。したがって、第1ピストン66の移動速度が不安定になると、他のクラッチC1〜C4やブレーキB1の動作とのバランスが崩れ、動力伝達装置10全体の挙動(制御)が不安定になってしまうことがある。
一方、本実施形態の場合、第1ピストン66と第2ピストン68との間に第2ピストン68を第二の方向に付勢する板ばね72を介在さることで第2ピストン68は、第2油室84から作動油が排出されれば、第二の方向に移動する。つまり、第2ピストン68の第2油室84の中における位置が定まり、第1ピストン66を移動させる制御を行う場合に、第2ピストン68の摺動抵抗を考慮する必要がなくなり、第一の油室の油圧の制御によって、第一のピストンを移動を緻密に制御可能となる。つまり、動力伝達装置10の制御性を向上できる。
また、第2油室84に繋がる流路を開放した場合、板バネ72による付勢により第2ピストン68の位置は第2油室84における初期位置(図3の状態)に戻る。したがって、第2ピストン68を再度第一の方向(第1ピストン66を押圧する方向)に移動させる場合には、第2ピストン68の制御開始位置が一定になるので、油圧制御装置による油圧制御が容易になるとともに、制御性が向上する。
第1ピストン66と第2ピストン68との間に板バネ72を配置することにより、上述したように、第1ピストン66の緻密な移動制御ができる。そのため、例えば、摩擦プレート62とセパレータプレート64を接続させる場合の接続タイミングや拘束力を徐々に変化させる等の詳細な制御は、第1油室82の制御で行い、その後の拘束力の確保(押圧力の増大)は、第2油室84の油圧を一気に上昇させる等の簡易な制御で行うことができる。摩擦プレート62とセパレータプレート64を離反(拘束力解除)させる場合も同様であり、まず、第2油室84の油圧を一気に降下させて、その後に第1油室82の油圧の詳細に制御して第1ピストン66の移動速度(拘束の解放速度)を調整することができる。つまり、第1油室82に対し作動油を給排する制御弁は精密な制御が可能なリニア制御弁等を用いる。その一方、第2油室84に対し作動油を給排する制御弁は、簡易なオン/オフ弁が利用可能となり、部品コストの軽減ができる。また、第2油室84に対する油圧制御装置の制御プログラムも簡略化可能であり、制御のシンプル化にも寄与できる。
なお、図3では、第1ピストン66と第2ピストン68との間に第二のばね部として板ばね72を配置する例を示したが、これに限らす、コイルスプリングでもよく、本実施形態と同様の効果を得ることができる。また、板ばねは、1枚でもよいし複数枚重ねた重ね板ばねでもよい。また、板バネ72は、環状の板ばねでもよいし、チップ状の板ばねを第1ピストン66(第2ピストン68)の周方向に複数箇所に分割して介在させるようにしてもよい。
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態では、ケース16と、ケース16に収容された中間軸12mと一体に回転するドラム部材50と、ドラム部材50と一体に回転するように設けられ、ドラム部材50の軸方向に移動可能な摩擦プレート62と、ケース16に設けられ、軸方向に移動可能なセパレータプレート64と、ケース16に設けられ、第1油室82と第2油室84を有するセンターサポート16cと、第1油室82に一部が収容され、摩擦プレート62とセパレータプレート64とを軸方向のうち第一の方向に移動させて摩擦係合させる第1ピストン66と、第2ピストン68に一部が収容され、第1ピストン66を第一の方向へ移動させる第2ピストン68と、第1ピストン66とセンターサポート16cとの間に設けられ第1ピストン66を第一の方向とは反対の第二の方向に付勢するリターンスプリング70と、第1ピストン66と第2ピストン68との間に設けられ第2ピストン68を第二の方向に付勢する板バネ72と、を備える。
この構成によれば、第1油室82のみに作動油を供給すれば、第1油室82の油圧による力によって第1ピストン66をリターンスプリング70の付勢力に抗して摩擦プレート62およびセパレータプレート64を押圧するように移動させ、摩擦プレート62およびセパレータプレート64を摩擦係合させることができる。そして、第1油室82のみに油圧が供給される際、第2ピストン68は板バネ72により第二の方向(セパレータプレート64から離反する方向)に付勢されて第2油室84内で、当該第2油室84の底壁等に当接して静止する。その結果、第2油室84内が負圧状態になることはない。したがって、第1油室82のみに油圧が供給される際には、第2ピストン68の状態や第2油室84内の圧力の状態によって第1ピストン66の移動が妨げられることはなく、第1油室82の油圧に応じて第1ピストン66をスムースに移動させることが可能となる。また、第1油室82および第2油室84の双方に油圧を供給すれば、第2油室84への油圧の供給に伴って第2ピストン68が板バネ72を介して第1ピストン66を押圧する。これにより、第1ピストン66は、第1油室82内の油圧による力と第2ピストン68を介して伝えられる第2油室84内の油圧による力との双方を受けて、摩擦プレート62およびセパレータプレート64をさらに大きな力で押圧することになる。この結果、ブレーキB2のトルク分担の大小に拘わらず、摩擦プレート62およびセパレータプレート64を押圧する第1ピストン66にトルク分担に応じた油圧を適正に作用させて当該第1ピストン66をスムースに移動させることができる。その結果、動力伝達装置10の制御性を向上させることが可能となる。また、第1油室82および第2油室84から作動液を排出してブレーキB2の拘束力を解放する場合、第2ピストン68は板バネ72の付勢力によって第二の方向に戻られる。その結果、第1ピストン66を第二の方向に戻す場合に第2ピストン68に起因する摺動抵抗を考慮しなくて済む。その結果、第1ピストン66を第二の方向に戻すために必要な力は一定となり、第一のピストンを戻す場合にも、第1油室82の油圧に応じて第1ピストン66の移動を緻密に制御可能となり、動力伝達装置10の制御性を向上できる。
また、第1ピストン66と第2ピストン68との間に第二のばね部として板バネ72を用いることで、第1ピストン66と第2ピストン68との間の距離(スペース)を小さくすることができる。その結果、ブレーキB2の構造設計の自由度が向上できると共に、ブレーキB2の小型化にも寄与できる。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。また、各構成や形状等のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、高さ、数、配置、位置等)は、適宜に変更して実施することができる。
10…動力伝達装置、14…自動変速機、16…ケース、16c…センターサポート、50…ドラム部材、52…ドラム部、62…摩擦プレート、64…セパレータプレート、66…第1ピストン、66a…第1受圧部、66b…プレート押圧部、68…第2ピストン、68a…第2受圧部、68b…ピストン押圧部、70…リターンスプリング、72…板ばね、74…第1凹部、76…第2凹部、80a,80b,80c,80d…Oリング、82…第1油室、84…第2油室、B2…ブレーキ。

Claims (2)

  1. ケースと、
    前記ケースに収容された回転シャフトと一体に回転するドラム部材と、
    前記ドラム部材と一体に回転するように設けられ、前記ドラム部材の軸方向に移動可能な第一の摩擦係合要素と、
    前記ケースに設けられ、前記軸方向に移動可能な第二の摩擦係合要素と、
    前記ケースに設けられ、第一の油室と第二の油室を有するシリンダ部材と、
    前記第一の油室に一部が収容され、前記第一の摩擦係合要素と前記第二の摩擦係合要素とを前記軸方向のうち第一の方向に移動させて摩擦係合させる第一のピストンと、
    前記第二の油室に一部が収容され、前記第一のピストンを前記第一の方向へ移動させる第二のピストンと、
    前記第一のピストンと前記シリンダ部材との間に設けられ前記第一のピストンを前記第一の方向とは反対の第二の方向に付勢する第一のばね部と、
    前記第一のピストンと前記第二のピストンとの間に設けられ前記第二のピストンを前記第二の方向に付勢する第二のばね部と、
    を備える動力伝達装置。
  2. 前記第二のばね部は、板ばねである請求項1に記載の動力伝達装置。
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