JP2016192527A - 半導体発光素子及びその製造方法 - Google Patents

半導体発光素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体層の面上に凹凸を有してなる半導体発光素子において、高い信頼性を確保する。【解決手段】半導体発光素子は、基板上に形成された窒化物半導体層を有する。窒化物半導体層は、n型又はp型の第一半導体層と、第一半導体層とは導電型の異なる第二半導体層と、第一半導体層と第二半導体層の間に配置された活性層と、第一半導体層の上層に形成された超格子層と、超格子層の上層に形成され、第一半導体層と同じ導電型であり、超格子層が接する面とは反対側の面上に凹凸部を有する第三半導体層とを有する。超格子層は、Alを含む窒化物半導体からなる第四半導体層と、第四半導体層よりもAl組成の高い窒化物半導体からなる第五半導体層とを有する。【選択図】 図1A

Description

本発明は半導体発光素子に関し、特に光取り出し面に凹凸形状を有する半導体発光素子に関する。また、本発明は、この半導体発光素子の製造方法に関する。
従来、GaN等の窒化物半導体層からなる半導体発光素子が知られている。このような半導体発光素子では、半導体層とこれを封止する媒体との屈折率差が大きいと素子内で全反射が発生しやすくなり、光取り出し効率が低下する。そのため、光取り出し効率を高めるべく、光取り出し面となる半導体層の表面に複数の凹凸形状を構成した半導体発光素子が提案されている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1によれば、50〜90℃のKOH溶液に5〜120分間浸すことで、半導体層をウェットエッチングして凹凸形状が形成される旨の記載がされている。
特開2010−62493号公報
本発明者は、同一の条件で複数の半導体発光素子を製造し、これらを駆動すると、短時間の連続駆動の後に発光しなくなる素子が一定の割合で存在することを確認した。本発明者は、この現象が、光取り出し効率を向上させるために行われるウェットエッチング工程に起因するものであると推察している。
光取り出し面となる半導体層に凹凸を形成する方法として、ドライエッチングを利用することも事実上は可能である。しかし、ドライエッチングは、エッチング深さを制御するのが難しく、また、リソグラフィ工程を必要とするため製造コストが上昇するという欠点がある。このような理由から、半導体層に凹凸を形成する方法としては、一般的にウェットエッチングが利用される。ウェットエッチングは、ウェハを所定の薬液に浸すことで化学反応によって層をエッチングするものであり、安価なシステムで実現ができる上、薬液に浸す時間によって簡便にエッチング深さを制御することができる。
しかし、ウェットエッチングは、細かなエッチング深さの制御を行うことができない。この結果、場所に応じてエッチング深さが異なる現象が生じる場合がある。n型半導体層が光取り出し面を構成する場合を例に採り上げると、このn型半導体層に対するエッチング深さが場所に応じて異なることになる。このとき、残存するn型半導体層が他と比べて比較的薄く形成される箇所が生じる。
このような構成を有する半導体発光素子を駆動すると、n型半導体層の厚みの薄い箇所において局所的に電流が集中し、十分に光出力が得られなかったり、短時間で発光しなくなる等の現象が発生する。
本発明は、上記の課題に鑑み、半導体層の面上に凹凸を有してなる半導体発光素子において、高い信頼性を確保することを目的とする。
本発明に係る半導体発光素子は、基板上に形成された窒化物半導体層を有し、
前記窒化物半導体層が、
n型又はp型の第一半導体層と、
前記第一半導体層とは導電型の異なる第二半導体層と、
前記第一半導体層と前記第二半導体層の間に配置された活性層と、
前記第一半導体層の上層に形成された超格子層と、
前記超格子層の上層に形成され、前記第一半導体層と同じ導電型であり、前記超格子層が接する面とは反対側の面上に凹凸部を有する第三半導体層とを有し、
前記超格子層が、Alを含む窒化物半導体からなる第四半導体層と、前記第四半導体層よりもAl組成の高い窒化物半導体からなる第五半導体層とを有することを特徴とする。
この半導体発光素子において、第三半導体層の面のうち、凹凸部が形成されている側の面が光取り出し面を構成する。この凹凸部は、ウェットエッチングによって形成されることができる。
GaP系やGaAs系の半導体発光素子の場合、p型半導体層やn型半導体層を厚く積むことができる。このため、ウェットエッチング時において万一局所的にエッチングが著しく進行したとしても、活性層の上層には十分な厚みの半導体層が依然として形成されている。つまり、ウェットエッチングが進行しすぎた結果、半導体層の厚みが薄くなることで、局所的に電流が集中するという課題は起こりにくい。
しかし、GaN系の窒化物半導体層からなる半導体発光素子の場合、厚膜化すると格子不整合等に起因してクラックが発生するという問題を有している。このため、光取り出し面となる半導体層の厚み自体を厚くすることで、ウェットエッチングによって局所的に薄膜化するという課題に対処する方策を採るのが難しい。
上記の構成によれば、第一半導体層と、この第一半導体層と同じ導電型の第三半導体層との間に、超格子層が形成されており、この超格子層は、Al組成が異なる複数の窒化物半導体からなる層を有する。Alは電気的に活性化しにくい性質を有しているため、Al組成が高い半導体層は、Al組成の低い半導体層に比べて相対的にエッチングされにくい。つまり、Al組成の高い第五半導体層を有する超格子層は、ウェットエッチング工程におけるエッチングストッパ層を構成する。
第三半導体層に凹凸部を形成すべくウェットエッチングを行った場合において、仮に、第三半導体層の所定の領域に対して、他の領域よりもエッチングが著しく進行したとしても、第三半導体層の下層に形成された超格子層においてエッチング速度が低下するため、超格子層より活性層側に位置する第一半導体層までエッチングが進行することを防止できる。この結果、活性層に隣接する第一半導体層の厚みを確保することができるため、駆動時に局所的に電流が集中する現象が抑制され、素子の寿命特性が向上する。
超格子層は、第四半導体層と第五半導体層を一層ずつ有する構成であっても構わないし、これらが複数周期繰り返されてなる構成であっても構わない。後者の場合には、第五半導体層の厚みを実質的に確保できるため、超格子層をより確実にエッチングストッパ層として機能させることができる。なお、第五半導体層は、クラックが生じない範囲内の膜厚(臨界膜厚)以下で構成されるのが好ましい。
上記半導体発光素子は、取り出される光の主たる発光波長が例えば410nm以下となるように構成される。主たる発光波長が410nm以下となるように活性層を構成した場合、この光が他の半導体層内で吸収されないようにするためには、特に光路上に位置する各層のエネルギーバンドギャップを高める必要があり、例えば前記の層をAlを含む窒化物半導体層で構成することで実現される。しかし、GaNとAlNとでは格子定数に差があるため、Alを含む窒化物半導体層の場合、GaNよりも臨界膜厚が薄くなってしまう。つまり、光取り出し面に形成される半導体層の厚みが更に薄くなる結果、上記の課題が顕在化しやすい。
しかし、本構成であれば、エッチングストッパ層として機能する超格子層を有しているため、超格子層よりも活性層側に形成された第一半導体層の厚みが確保される。よって、主たる発光波長が410nm以下である発光素子においても、局所的な電流集中を抑制する効果が得られる。
第五半導体層は、Al組成が70%以上であるものとすることができる。第五半導体層のAl組成が高いほど、電気的に不活性になりやすいため、超格子層がエッチングストッパ層として機能しやすくなる。例えば第五半導体層は、AlNで構成することもできるし、Al組成が70%以上のAlGaNやAlInGaNで構成することもできる。なお、後者の場合、Inはサーファクタント効果を狙って混入させる程度のIn組成とすることが好ましい。更なる一例として、第五半導体層は、厚みが3nm以下のAlNで構成することができる。
第五半導体層は、Siドープ量が1×1018/cm3以下であるものとしても構わない。本発明者の鋭意研究により、第五半導体層に対するSiドープ量が低いほど、超格子層がエッチングストッパ層として機能しやすくなることを見出した。Al組成が高い第五半導体層は、電気的に不活性になりやすいが、この層にSiを一定濃度以上でドープすると電気的に活性化しやすくなると考えられる。この結果、エッチングストッパ層としての超格子層の機能が低下すると予想される。よって、第五半導体層を上記のSiドープ量で形成することで、超格子層をエッチングストッパ層として確実に機能させることができる。
なお、第五半導体層をアンドープで成長させた場合であっても、近接するドープされた半導体層から不純物がある程度の量は拡散してしまう。1×1018/cm3という不純物濃度は、アンドープで形成された層に対して、近接するドープされた半導体層から拡散されてきた不純物に由来する濃度レベルに対応する。
なお、第三半導体層は、第一半導体層と同一の組成で構成された層でも構わないし、異なる組成で構成された層でも構わない。
本発明に係る半導体発光素子の製造方法は、
n型又はp型の窒化物半導体からなる第一半導体層を形成する工程と、
窒化物半導体からなる活性層を形成する工程と、
前記第一半導体層とは導電型の異なる窒化物半導体からなる第二半導体層を形成する工程と、
窒化物半導体からなる超格子層を形成する工程と、
前記超格子層の上面に、前記第一半導体層と同じ導電型の窒化物半導体からなる第三半導体層を形成する工程と、
前記第三半導体層に対してウェットエッチングを行って、前記超格子層とは反対側の面上に凹凸部を形成する工程とを有し、
前記超格子層は、Alを含む窒化物半導体からなる第四半導体層と、前記第四半導体層よりもAl組成の高い窒化物半導体からなる第五半導体層とを有し、
任意の箇所で前記超格子層が露出した後に前記ウェットエッチングが停止されることを特徴とする。
上記方法によれば、ウェットエッチングを行う工程の実行前において、露出している第三半導体層よりも、活性層側には超格子層が形成されている。この超格子層は、Al組成が高い第五半導体層を有している。よって、この超格子層がエッチングストッパ層として機能するため、万一局所的に第三半導体層を深くエッチングしたとしても、活性層に隣接する第一半導体層をエッチングすることが回避される。このため、完成後の素子においても第一半導体層の厚みが確保される。よって、本方法によって製造された半導体発光素子は、駆動時における局所的な電流集中が抑制され、素子の寿命特性が向上する。
前記製造方法は、より具体的には、例えば以下の工程を有するものとすることができる。すなわち、前記製造方法は、
成長基板を準備する工程(a)と、
前記成長基板の上層に、前記第三半導体層を形成する工程(b)と、
前記第三半導体層の上層に、前記超格子層を形成する工程(c)と、
前記超格子層の上層に、前記第一半導体層を形成する工程(d)と、
前記第一半導体層の上層に、前記活性層を形成する工程(e)と、
前記活性層の上層に、前記第二半導体層を形成する工程(f)と、
前記第二半導体層の上層に導電層を形成する工程(g)と、
前記導電層の上層に支持基板を貼り合わせた後に、前記成長基板を剥離して前記第三半導体層を露出させる工程(h)と、
前記第三半導体層に対してウェットエッチングを行って、前記超格子層とは反対側の面上に凹凸部を形成する工程(i)とを有することができる。
上記方法において、前記活性層は、主たる発光波長が410nm以下を示す材料で構成され、
前記第一半導体層、前記超格子層、及び前記第三半導体層は、前記活性層から発される光を透過する材料で構成されているものとしても構わない。
前記第五半導体層は、Al組成が70%以上であるものとしても構わない。より具体的には、前記第五半導体層は、厚さが3nm以下のAlNからなるものとしても構わない。第五半導体層の厚さを3nm以下とすることにより、エッチングストッパ層として機能させることができる。また、第五半導体層にクラックが発生するのを抑制できる。
また、上記方法において、前記第五半導体層は、ドーパントの原料ガスを供給せずに形成されるものとしても構わない。このような工程とすることで、第五半導体層をより確実に電気的に不活性な層として形成することができるため、超格子層をエッチングストッパ層として更に機能させやすくなる。
本発明によれば、半導体層の面上に凹凸を有してなり、信頼性の高い半導体発光素子が実現される。
半導体発光素子の構造の一例を示す模式的な断面図である。 超格子層の構造の一例を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を示す模式的な断面図である。 検証2の結果を示す表である。
本発明の半導体発光素子の製造方法及び製造システムにつき、図面を参照して説明する。なお、各図において図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
また、以下において、AlGaNという記述は、AlmGa1-mN(0<m<1)という記述と同義であり、AlとGaの組成比の記述を単に省略して記載したものであって、AlとGaの組成比が1:1である場合に限定する趣旨ではない。InGaN等という記述についても同様である。
[構造]
半導体発光素子の構造の一例につき、図1A及び図1Bに示す模式的な断面図を参照して説明する。
図1Aは、半導体発光素子1の構造の一例を示す模式的な断面図である。半導体発光素子1は、基板11上に窒化物半導体層20を有して構成される。窒化物半導体層20は、第一半導体層31、第二半導体層32、活性層30、超格子層40、及び第三半導体層33を有する。第三半導体層33は、超格子層40の上層に形成されると共に、超格子層40が接する面とは反対側の面上に凹凸部36を有する。
図1Bは、超格子層40の構造の一例を示す模式的な断面図である。この例では、超格子層40は、第四半導体層34と第五半導体層35とが複数周期繰り返されることで構成されている。
なお、超格子層40は、第四半導体層34と第五半導体層35とが一層ずつ積層されることで構成されていても構わない。また、超格子層40が第四半導体層34と第五半導体層35とが複数周期繰り返される構成において、最上層と最下層が同一の層で構成されていても構わないし、各周期において、第四半導体層34同士、又は第五半導体層35同士の膜厚が異なっていても構わない。
以下、図1A及び図1Bに示す半導体発光素子1の構造について、詳細に説明する。
(基板11)
基板11は、例えばCuW、W、Moなどの導電性基板、又はSiなどの半導体基板で構成される。
(導電層16)
基板11の上層には導電層16が形成されている。図1Aに示す例では、導電層16は、保護層14、ハンダ層15、保護層17、及び反射電極21を有している。
ハンダ層15は、例えばAu−Sn、Au−In、Au−Cu−Sn、Cu−Sn、Pd−Sn、Snなどで構成される。保護層(14,17)は、例えばPt系の金属(TiとPtの合金)、W、Mo、Niなどで構成される。この保護層(14,17)は、ハンダ層15の構成材料が拡散するのを防止する機能を有している。
反射電極21は、例えばAg(Ag合金を含む)、Al、Rh等で構成される。半導体発光素子1は、活性層30から放射された光を、図1の第三半導体層33側に取り出すことを想定しており、反射電極21は、活性層33から基板11側に向けて放射された光を反射させる機能を有し、光取り出し効率を高める機能を果たしている。
(絶縁層19)
図1Aに示す例では、半導体発光素子1は絶縁層19を有している。この絶縁層19は、素子分離(後述するステップS15)を行う際にエッチングストッパ層としての機能を有する。
(第二半導体層32)
図1Aに示す例では、反射電極21の上面に第二半導体層32が形成されている。この第二半導体層32は窒化物半導体で構成され、例えばp型不純物がドープされている。より具体的には、GaN、AlGaN、AlInGaN又はAlNで構成され、Mg、Be、Zn、又はCなどのp型不純物がドープされている。
(活性層30)
図1Aに示すように、第二半導体層32の上層には活性層30が形成されている。この活性層30は、所定の窒化物半導体からなる発光層と、別の窒化物半導体からなる障壁層とを有する。より具体的な例としては、活性層30を、InGaNからなる発光層とAlGaNからなる障壁層が繰り返されてなる構造で構成しても構わないし、AlGaNからなる発光層と、AlN又は発光層よりGa組成の低いAlGaNからなる障壁層が繰り返されてなる構造で構成しても構わない。活性層30は、得たい光の波長に応じて適宜材料が選択される。
なお、活性層30を構成する半導体層は、アンドープでも構わないし、n型不純物又はp型不純物がドープされていても構わない。
(第一半導体層31)
図1Aに示すように、活性層30の上層には第一半導体層31が形成されている。この第一半導体層31は窒化物半導体で構成され、第二半導体層32とは異なる導電型にドープされている。ここでは、第一半導体層31がn型不純物がドープされているものとして説明する。より具体的には、第一半導体層31はGaN、AlGaN、AlInGaN又はAlNで構成され、Si、Ge、S、Se、Sn、又はTeなどのn型不純物がドープされている。
つまり、活性層30は、互いに異なる導電型にドープされている半導体層(31,32)に挟まれるように配置される。
(超格子層40)
図1Aに示すように、第一半導体層31の上層には超格子層40が形成されている。図1Bを参照して上述したように、この超格子層40は、第四半導体層34と第五半導体層35を有する。ここでは、超格子層40が、第四半導体層34と第五半導体層35とが複数周期積層されて構成されているものとして説明する。
第四半導体層34は、窒化物半導体で構成される。一例として、GaN、AlGaN又はAlInGaNで構成され、n型不純物がドープされている。第五半導体層35は、第四半導体層34よりもAl組成の高い窒化物半導体で構成される。一例として、第五半導体層35はAlN、AlGaN又はAlInGaNで構成される。
第五半導体層35は、n型不純物がドープされていてもアンドープであっても構わないが、第五半導体層35をアンドープとすることで、より素子の信頼性を高めることができることが確認された。この点は、実施例を参照して後述される。
(第三半導体層33)
図1Aに示すように、超格子層40の上層には第三半導体層33が形成されている。この第三半導体層33は窒化物半導体で構成され、第一半導体層31と同じ導電型にドープされている。ここでは、第三半導体層33はn型不純物がドープされているものとして説明する。より具体的には、第三半導体層33はGaN、AlGaN、AlInGaN又はAlNで構成され、Si、Ge、S、Se、Sn、又はTeなどのn型不純物がドープされている。第三半導体層33は、第一半導体層31と同じ組成の材料で構成されていても構わない。
図1Aに示すように、第三半導体層33は、表面に凹凸部36を有している。この凹凸部36は、活性層30から進行してきた光を効率よく外部に取り出すために設けられている。凹凸部36は、後述するようにウェットエッチングによって形成されたものである。
なお、図1Aに示すように、ウェットエッチングの進行の程度によっては、超格子層40の上面が露出している領域があっても構わない(領域37)。
(電極50)
図1Aに示す例では、第三半導体層33の所定箇所の上面に、電極50が設けられている。この電極は、例えばCr−Auで構成される。電極50と反射電極21の間に電圧が印加されることで、活性層30によって光が生成され、第三半導体層33側から外部にこの光が放出される。
[製造方法]
次に、半導体発光素子1の製造方法の一例を説明する。その後、この半導体発光素子1によれば従来よりも信頼性が向上する点につき、実施例を参照して説明する。なお、以下で説明する製造条件や膜厚などの寸法は、あくまで一例であって、これらの数値に限定されるものではない。
半導体発光素子1の製造方法の一例につき、図2A〜図2Nに示す工程断面図を参照して説明する。
(ステップS1)
図2Aに示すように、成長基板61を準備する。具体的な一例としては、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相蒸着)装置の処理炉内に、成長基板61を構成するc面サファイア基板を配置し、処理炉内に所定の流量の水素ガスを流しながら、炉内温度を所定の温度(例えば1150℃)に昇温することにより行われる。
このステップS1が工程(a)に対応する。
(ステップS2)
図2Bに示すように、成長基板61上にアンドープ層38を形成する。アンドープ層38は低温バッファ層及び下地層を含む。アンドープ層38は、例えば以下の手順により形成される。
まず、МОCVD装置の炉内圧力を所定の圧力(例えば100kPa)、炉内温度を所定温度(例えば480℃)に設定した状態で、処理炉内にキャリアガスとして所定の流量の窒素ガス及び水素ガスを流しながら、原料ガスとして、所定の流量のトリメチルガリウム(TMG)及びアンモニアを処理炉内に供給する。これにより、成長基板61の表面にGaNからなる低温バッファ層が形成される。次に、MOCVD装置の炉内温度を昇温し(例えば1150℃)、同様のキャリアガス及び原料ガスを所定の流量で供給する。これにより、低温バッファ層の表面にGaNからなる下地層が形成される。
(ステップS3)
次に、図2Cに示すように、アンドープ層38の上面に第三半導体層33を形成する。具体的な形成方法の一例は、引き続き炉内温度を所定の温度(例えば1150℃)とした状態で、同様のキャリアガスを流しながら、原料ガスとして、所定の流量のTMG、トリメチルアルミニウム(TMA)、アンモニア及びn型化するためのテトラエチルシランを処理炉内に供給することである。これにより、例えばAl組成7%のAlGaNからなり、厚みが1μmの第三半導体層33がアンドープ層38の上層に形成される。
なお、n型ドーパントとしては、Si以外にGe、S、Se、Sn又はTeを用いることもでき、ドーパントに応じた原料ガスが供給されるものとして構わない。以下においても同様である。
このステップS3が工程(b)に対応する。
(ステップS4)
次に、図2Dに示すように、第三半導体層33の上面に超格子層40を形成する。具体的な形成方法の一例は、引き続き炉内温度を所定の温度(例えば1150℃)とした状態で、同様のキャリアガスを流しながら、原料ガスとして、所定の流量のTMG、TMA、アンモニア及びn型化するためのテトラエチルシランを処理炉内に供給するステップと、原料ガスとして、所定の流量のTMA及びアンモニアを処理炉内に供給するステップとを繰り返すことである。これにより、図1Bを参照して前述したように、n型AlGaNからなる第四半導体層34と、アンドープのAlNからなる第五半導体層35とが複数周期積層されてなる超格子層40が形成される。
一例としては、第四半導体層34を、Al組成7%、膜厚10nmのn型AlGaNで構成し、第五半導体層35を、膜厚1.5nmのアンドープAlNで構成することができる。
このステップS4が、工程(c)に対応する。
(ステップS5)
次に、図2Eに示すように、超格子層40の上面に第一半導体層31を形成する。具体的な形成方法の一例は、引き続き炉内温度を所定の温度(例えば1150℃)とした状態で、同様のキャリアガスを流しながら、原料ガスとして、所定の流量のTMG、TMA、アンモニア及びn型化するためのテトラエチルシランを処理炉内に供給することである。これにより、例えばAl組成7%のAlGaNからなり、厚みが1.5μmの第一半導体層31が超格子層40上層に形成される。
なお、このn型AlGaNの上面に薄膜のn型GaNを形成しても構わない。この場合は、AlGaNと薄膜のGaNの積層構造によって第一半導体層31が形成されることになる。
本ステップS5が工程(d)に対応する。
(ステップS6)
次に、図2Eに示すように、第一半導体層31の上層に活性層30を形成する。具体的な形成方法の一例は、MOCVD装置の炉内温度を所定の温度(例えば830℃)とした状態で、同様のキャリアガスを流しながら、原料ガスとして、所定の流量のTMG、トリメチルインジウム(TMI)及びアンモニアを処理炉内に供給するステップと、所定の流量のTMG、TMA、テトラエチルシラン及びアンモニアを処理炉内に供給するステップを繰り返すことである。これにより、InGaNよりなる発光層及びn型AlGaNよりなる障壁層が多周期繰り返された構造を有する活性層30が、第一半導体層31の上層に形成される。
なお、活性層30を構成するに際しては、発光層及び障壁層を構成するそれぞれの材料に応じて、原料ガスの種類又は流量が適宜変更されるものとして構わない。
本ステップS6が工程(e)に対応する。
(ステップS7)
次に、図2Eに示すように、活性層30の上層に第二半導体層32を形成する。具体的な形成方法の一例は、以下の手順による。まず、MOCVD装置の処理炉内に、同様のキャリアガスを流しながら、炉内温度を昇温する(例えば1025℃まで)。その後、原料ガスとして、所定の流量のTMG、TMA、アンモニア及びp型不純物をドープするためのビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を処理炉内に供給する。これにより、p型AlGaNからなる第二半導体層32が活性層30の上面に形成される。なお、p型ドーパントとしては、Mg以外にBe、Zn、又はC等を用いることもできる。
このステップS7が、工程(f)に対応する。
(ステップS8)
次に、ステップS7までで得られたウェハに対して活性化処理を行う。より具体的には、RTA(Rapid Thermal Anneal:急速加熱)装置を用いて、窒素雰囲気下で所定の温度(例えば650℃)で活性化処理を行う。
(ステップS9)
次に、図2Fに示すように、第二半導体層32の上面の所定箇所に絶縁層19を形成する。具体的には、スパッタリング装置によって、Al23を所定の膜厚成膜することで、絶縁層19を形成することができる。なお、成膜する材料は絶縁性材料であればよく、例えばSiN、SiO2でも良い。この絶縁層19は、後のステップS15における素子分離工程の際、エッチングストッパ層として機能する。
(ステップS10)
次に、図2Gに示すように、第二半導体層32の上面の別の所定箇所に反射電極21を形成する。具体的には、例えばスパッタリング装置によって、Ni/Agを所定の膜厚だけ成膜することで反射電極21が形成される。なお、反射電極21の材料としては、活性層30からの射出光に対する反射率が高く、且つ導電性を示す材料であればよく、例えばAPC(Ag−Pd−Cu合金)等を用いても構わない。
この反射電極21を形成後、RTA装置を用いてドライエア雰囲気中でコンタクトアニールを行うものとしても構わない。
(ステップS11)
次に、図2Hに示すように、絶縁層19及び反射電極21の上面に、保護層17及びハンダ層15を順に形成する。具体的な一例としては、絶縁層19及び反射電極21の上面に、電子線蒸着装置によってTi/Ptの多層構造からなる保護層17を所定の膜厚で形成する。その後、保護層17の上面に、電子線蒸着装置によってAu−Snハンダからなるハンダ層15を所定の膜厚で形成する。なお、保護層17は、ハンダ層15の材料が拡散することによって反射電極19での反射率が低下するのを防ぐ目的で設けられるものであるが、必ずしも設けなくても構わない
ステップS10及びS11を経て第二半導体層32の上層に導電層(15,17,21)が形成される。これらのステップが工程(g)に対応する。
(ステップS12)
更に、成長基板61とは別の基板(支持基板11)の上面に、保護層14、及びハンダ層15を順に形成する。その後、図2Iに示すように、ステップS11までで形成されたウェハに対して、保護層14及びハンダ層15が上面に形成された支持基板11を、成長基板61とは反対側の面から貼り合わせる。基板11は、例えばCuW、W、Moなどの導電性基板、Siなどの半導体基板、又は絶縁性基板上に配線パターンが施されたもの等で構成される。具体的には、貼り合わせ装置によって、所定の温度、所定の圧力下で押圧することで、成長基板61と支持基板11が貼り合わされる。なお、保護層14は、ハンダ層15が支持基板11側に拡散するのを防止する目的で設けられるものであるが、必ずしも設けなくても構わない。
(ステップS13)
次に、図2Jに示すように、ウェハに対して成長基板61側からレーザ光を照射する。ここでは、成長基板61を構成する材料(ここではサファイア)を透過し、アンドープ層38を構成する材料(ここではGaN)に吸収される波長のレーザ光が用いられ、一例としてKrFエキシマレーザ光とすることができる。このようなレーザ光が照射されることで、アンドープ層38において当該レーザ光が吸収されて高温化され、アンドープ層38の構成材料(ここではGaN)が分解される。これによって成長基板61が剥離される。この工程は、レーザリフトオフ(LLO)装置を用いて行われることができる。
(ステップS14)
次に、ウェハ上に残存しているアンドープ層38を、塩酸などを用いたウェットエッチング、又はICP装置を用いたドライエッチングによって除去し、図2Kに示すように第三半導体層33を露出させる。
ステップS12〜S14が工程(h)に対応する。
(ステップS15)
次に、図2Lに示すように、隣接する素子同士を分離する。具体的には、隣接素子との境界領域に対し、ICP装置を用いて絶縁層19の上面が露出するまで窒化物半導体層20をエッチング(メサエッチング)する。絶縁層19はエッチングストッパとしての機能を果たす。この工程により、隣接する素子同士が分離される。
(ステップS16)
次に、図2Mに示すように、露出している第三半導体層33の表面に凹凸部36を形成する。具体的には、ウェハをKOH等のアルカリ溶液に浸すことで凹凸部36を形成することができる。本ステップS16が工程(i)に対応する。
ここで、「発明を解決しようとする課題」の項で上述したように、ウェットエッチングは細かなエッチング深さの制御を行うことができないため、場所に応じてエッチング深さが異なる現象が生じる場合がある。つまり、場所によっては、例えば第三半導体層33を完全にエッチングしてしまい、その下層である超格子層40の面が露出する場合が想定される(領域37)。
ここで、上述したように、超格子層40は、Al組成の高い第五半導体層35を有する構成である。Al組成の高い窒化物半導体層は、電気的に不活性になりやすいため、化学的なエッチングであるウェットエッチングにおいては、第三半導体層33と比べてエッチング速度が低下する。しかも、本実施形態では、ステップS16の実行前において、このようなAl組成の高い第五半導体層35を複数層備えた超格子層40が第三半導体層33の下層に形成されている。このことは、第三半導体層33の下層に、実質的に厚膜の第五半導体層35が形成されていることになる。
この結果、仮に任意の領域で他の領域と比較してエッチングが大きく進行したとしても、超格子層40に備えられた第五半導体層35がエッチングストッパ層として機能するため、超格子層40よりも更に下層に形成された第一半導体層31がエッチングされることで膜厚が低下するという事態が回避される。つまり、光取り出し面を構成する第三半導体層33の面上に凹凸部36を形成しながらも、活性層30に隣接する第一半導体層31の厚みを十分に確保することができる。従って、半導体発光素子1の駆動時に局所的に電流が集中するという事態は回避される。
(その後のステップ)
次に、図2Nに示すように、第三半導体層33の上面に電極50を形成する。具体的には、電子線蒸着装置によって例えばNi/Al/Ni/Ti/Auからなる電極50を第三半導体層33の上面に形成する。電極50としては、Cr/Au等、種々の材料を用いることができる。
その後、基板11を例えばレーザースクライブ装置を用いて素子毎に分割する。これにより、図1Aに示される半導体発光素子1が得られる。なお、その後に、基板11の裏面を例えばAgペーストにてパッケージと接合し、電極50に対してワイヤボンディングを行う工程を含んでも構わない。
[実施例]
以下、実施例を参照して半導体発光素子1の性能を評価する。
<検証1>
まず、第一の検証について説明する。
(実施例1)
上記ステップS1〜S16を経て製造された半導体発光素子1を実施例1とした。実施例1において、第三半導体層33は、厚みが1μm、Al組成7%のAlGaNで構成されている。また、超格子層40は、Al組成7%、膜厚10nmのn型AlGaNと膜厚1.5nmのアンドープAlNとの積層体が30周期繰り返されて構成されている。また、第一半導体層31は、厚みが1.5μm、Al組成7%のAlGaNで構成されている。
(比較例1)
第三半導体層33及び超格子層40を備えない以外は、実施例1と共通の条件で作製された素子を比較例1とした。
(検証方法)
実施例1と同一条件で作製された素子50個、及び比較例1と同一条件で作製された素子50個に対し、それぞれ500mAの電流を1000時間連続で供給した後における照度を測定し、初期時の照度に対する比率(照度維持率)を算定した。
(結果分析)
実施例1では、素子50個の平均照度維持率が96%であり、1000時間経過後における不点灯素子は存在しなかった。一方、比較例1では、素子50個の平均照度維持率が95%であり、1000時間経過後における不点灯素子は2個であった。なお、この不点灯素子を調べたところ、短絡が生じていることが確認された。
この結果を踏まえると、照度維持率については実施例1と比較例1とで大きな差異が見られない一方、比較例1では1000時間経過時点において4%もの素子が不点灯となっている。LEDはランプ等に比べて長寿命であることが優位性として挙げられるところ、4%もの不点灯率を示している比較例1の素子は、特性が良くないということが結論付けられる。
この理由については、比較例1の素子では、ウェットエッチング時において第一半導体層31がエッチングされすぎた領域が存在した結果、第一半導体層31の厚みが局所的に薄くなり、この箇所で電流が集中したことでPN接合の破壊等が生じた可能性が考えられる。
実施例1の素子では、第一半導体層31の上層に超格子層40を介して第三半導体層33が形成されているため、超格子層40がエッチングストッパ層として機能した結果、超格子層40より下層に位置する第一半導体層31がエッチングされなかったと考えられる。つまり、実施例1の素子では、領域全体にわたって、第一半導体層31に対して十分な膜厚が確保されたことで、局所的に電流が集中するという現象が抑制されたものと推察される。
ところで、比較例1の素子においても、第一半導体層31を十分に厚膜化することで、局所的に薄い膜厚の箇所を出現させなくすることができるようにも思われる。しかしながら、窒化物半導体層においては、厚膜化すると格子不整合等に起因してクラックが発生するという問題を有しているため、厚膜化するにも限界がある。実施例1では、第一半導体層31の上層に、超格子層40を介して第三半導体層33を形成することで、仮に第三半導体層33が完全にエッチングされる箇所が生じても、それよりも下層に形成された第一半導体層31に対してはエッチングを進行させない手段を講じることができている。
<検証2>
次に、第二の検証について説明する。
超格子層40の構成を種々変更して、上記検証1と同様の検証を行った。
(実施例2)
実施例2の素子において、超格子層40は、Al組成7%、膜厚10nmのn型AlGaNと膜厚1nmのアンドープAlNとの積層体が20周期繰り返されて構成されている。なお、超格子層40の上層に形成された第三半導体層33は、Al組成7%、膜厚0.5μmのn型AlGaNで構成されている。
(実施例3)
実施例3の素子において、超格子層40は、Al組成7%、膜厚10nmのn型AlGaNと膜厚1nmのn型AlNとの積層体が20周期繰り返されて構成されている。他は実施例2と共通である。
(実施例4)
実施例4の素子において、超格子層40は、Al組成7%、膜厚10nmのn型AlGaNと膜厚3nmのアンドープAlNとの積層体が20周期繰り返されて構成されている。他は実施例2と共通である。
(実施例5)
実施例5の素子において、超格子層40は、Al組成7%、膜厚10nmのn型AlGaNと膜厚3nmのn型AlNとの積層体が20周期繰り返されて構成されている。他は実施例2と共通である。
(比較例2)
比較例2の素子において、第一半導体層31の上層に、Al組成7%、膜厚200nmのn型AlGaNを形成し、その上層に、Al組成7%、膜厚0.5μmのn型AlGaNからなる第三半導体層33を形成した。すなわち、比較例2の素子は実施例2の素子と比べて超格子層40を備えず、この超格子層40の代わりに単層のn型AlGaNを備えている点が異なっている。
(比較例3)
比較例3の素子において、超格子層40は、Al組成7%、膜厚10nmのn型AlGaNと膜厚10nmのアンドープAlNとの積層体が20周期繰り返されて構成されている。他は実施例2と共通である。
(比較例4)
比較例4の素子において、超格子層40は、Al組成7%、膜厚10nmのn型AlGaNと膜厚10nmのn型AlNとの積層体が20周期繰り返されて構成されている。他は実施例2と共通である。
(検証方法)
検証方法は、第一の検証と同じである。
(検証分析)
この検証結果を図3の表に示す。図3において、実施例2と3を比較すると、超格子層40を構成する層のうち、Al組成の高い層(第五半導体層35)については、アンドープで形成した方が、長時間の連続駆動後における不点灯数を少なくすることができていることが分かる。実施例4と5を比較しても同様の結果が示されている。
なお、実施例3と比較例2を比較すると、第五半導体層35がn型半導体層で構成されている場合であっても、超格子層40を備える方が長時間の連続駆動後における不点灯数を減らすことができていることが分かる。
実施例2と比較例2の対比結果は、検証1と同じように分析できる。すなわち、実施例2によれば、電気的に不活性である第五半導体層35を含む超格子層40を備えることで、この超格子層40がエッチングストッパ層として機能した結果、領域全体にわたって、第一半導体層31に対して十分な膜厚が確保され、局所的に電流が集中するという現象が抑制されたものと推察される。
ところで、実施例2と実施例3を対比すると、実施例3では50個の素子のうちの1つが不点灯を示した。これは、第五半導体層35をn型で構成したことで、電気的に少し活性化された結果、実施例2と比べると、エッチングストッパ層としての機能が低下したことによるものと考えられる。しかし、実施例3は、比較例2や比較例3と対比すると、不点灯数は少ないことから、第五半導体層35を含む超格子層40を備えた効果はある程度発現されているものと考えられる。
なお、実施例2と実施例3を対比すると、500mAの電流注入時における動作電圧は同じであった。半導体層に対して不純物を注入すると抵抗が低下する一方、不純物を注入しなければ抵抗が上昇するため、不純物の有無によって動作電圧は変化しそうにも思われる。しかし、本検証のように、対象としている半導体層(ここでは第五半導体層35)は極めて薄い膜厚で構成されているため、不純物の有無によって抵抗値が左右されず、この結果、実施例2と実施例3では動作電圧に差異が生じなかったものと考えられる。
なお、比較例3及び比較例4においては、クラックが発生したため、500mAの電流注入時における動作電圧、光出力等についての評価ができなかった。これは、Al組成の高い第五半導体層35をAlNで構成した場合には、少なくとも10nm以上単膜で成膜すると臨界膜厚を超えてクラックが発生することを示唆するものである。このことから、特に第五半導体層35をAlNで構成する場合においては、10nm未満の膜厚で成膜することが好ましいことが分かる。また、実施例1〜5のように、多周期の構造とすることで、クラックを発生させることなく、実質的に第五半導体層35を厚膜化することが可能である。
[別実施形態]
以下、別の実施形態について説明する。
〈1〉上記の実施形態では、成長基板61の上層に、アンドープ層38を介して、第三半導体層33を形成し、次に超格子層40を形成し、次に第一半導体層31を形成し、次に活性層30を形成し、次に第二半導体層32を形成することで、窒化物半導体層20を形成した。しかし、ウェットエッチング工程(ステップS16)の直前の段階で、最上層に第三半導体層33が形成され、その下層に超格子層40が形成され、その下層に第一半導体層31が形成され、その下層に活性層30が形成され、その下層に第二半導体層32が形成されていれば、製造方法の工程順は、上記の方法に限定されない。
〈2〉半導体発光素子1は、素子分離時のエッチングストッパ層19、又はハンダ拡散防止のための保護層(14,17)については、必ずしも備えなくてもよい。
〈3〉上記の実施形態では、光取り出し面側に形成される半導体層(第三半導体層33、第一半導体層31)をn型とし、反対側(反射電極21側)に形成される半導体層(第二半導体層32)をp型として説明したが、n型とp型を反転させても構わない。
〈4〉実施例1〜5において、第五半導体層35をAlNで構成したが、上記の分析に基づけば、高いAl組成のAlGaNやAlInGaNで構成しても同様の効果が得られることが分かる。なお、第五半導体層35のAl組成は70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
〈5〉上述した半導体発光素子1は、光取り出し効率を高める観点で反射電極21を備えていたが、反射機能を有しない材料で構成された電極を備える構成であっても構わない。
1 : 半導体発光素子
11 : 基板(支持基板)
14 : 保護層
15 : ハンダ層
16 : 導電層
17 : 保護層
19 : 絶縁層
20 : 窒化物半導体層
21 : 反射電極
30 : 活性層
31 : 第一半導体層
32 : 第二半導体層
33 : 第三半導体層
34 : 第四半導体層
35 : 第五半導体層
36 : 凹凸部
37 : 超格子層が露出している領域
38 : アンドープ層
40 : 超格子層
50 : 電極
61 : 成長基板

Claims (11)

  1. 基板上に形成された窒化物半導体層を有してなる半導体発光素子であって、
    前記窒化物半導体層は、
    n型又はp型の第一半導体層と、
    前記第一半導体層とは導電型の異なる第二半導体層と、
    前記第一半導体層と前記第二半導体層の間に配置された活性層と、
    前記第一半導体層の上層に形成された超格子層と、
    前記超格子層の上層に形成され、前記第一半導体層と同じ導電型であり、前記超格子層が接する面とは反対側の面上に凹凸部を有する第三半導体層とを有し、
    前記超格子層は、Alを含む窒化物半導体からなる第四半導体層と、前記第四半導体層よりもAl組成の高い窒化物半導体からなる第五半導体層とを有することを特徴とする半導体発光素子。
  2. 取り出される光の主たる波長が410nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記第五半導体層は、Al組成が70%以上であることを特徴とする請求項2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記第五半導体層は、AlNからなり、厚みが3nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の半導体発光素子。
  5. 前記第五半導体層は、Siドープ量が1×1018/cm3以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体発光素子。
  6. n型又はp型の窒化物半導体からなる第一半導体層を形成する工程と、
    窒化物半導体からなる活性層を形成する工程と、
    前記第一半導体層とは導電型の異なる窒化物半導体からなる第二半導体層を形成する工程と、
    窒化物半導体からなる超格子層を形成する工程と、
    前記超格子層の上面に、前記第一半導体層と同じ導電型の窒化物半導体からなる第三半導体層を形成する工程と、
    前記第三半導体層に対してウェットエッチングを行って、前記超格子層とは反対側の面上に凹凸部を形成する工程とを有し、
    前記超格子層は、Alを含む窒化物半導体からなる第四半導体層と、前記第四半導体層よりもAl組成の高い窒化物半導体からなる第五半導体層とを有し、
    任意の箇所で前記超格子層が露出した後に前記ウェットエッチングが停止されることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  7. 成長基板を準備する工程(a)と、
    前記成長基板の上層に、前記第三半導体層を形成する工程(b)と、
    前記第三半導体層の上層に、前記超格子層を形成する工程(c)と、
    前記超格子層の上層に、前記第一半導体層を形成する工程(d)と、
    前記第一半導体層の上層に、前記活性層を形成する工程(e)と、
    前記活性層の上層に、前記第二半導体層を形成する工程(f)と、
    前記第二半導体層の上層に導電層を形成する工程(g)と、
    前記導電層の上層に支持基板を貼り合わせた後に、前記成長基板を剥離して前記第三半導体層を露出させる工程(h)と、
    前記第三半導体層に対してウェットエッチングを行って、前記超格子層とは反対側の面上に凹凸部を形成する工程(i)とを有することを特徴とする請求項6に記載の半導体発光素子の製造方法。
  8. 前記活性層は、主たる発光波長が410nm以下を示す材料で構成され、
    前記第一半導体層、前記超格子層、及び前記第三半導体層は、前記活性層から発される光を透過する材料で構成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体発光素子の製造方法。
  9. 前記第五半導体層は、Al組成が70%以上であることを特徴とする請求項8に記載の半導体発光素子の製造方法。
  10. 前記第五半導体層は、AlNからなり、厚みが3nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の半導体発光素子の製造方法。
  11. 前記第五半導体層は、ドーパントの原料ガスを供給せずに形成されることを特徴とする請求項9又は10に記載の半導体発光素子の製造方法。
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