JP2016191390A - 車両の変速装置 - Google Patents
車両の変速装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016191390A JP2016191390A JP2015070047A JP2015070047A JP2016191390A JP 2016191390 A JP2016191390 A JP 2016191390A JP 2015070047 A JP2015070047 A JP 2015070047A JP 2015070047 A JP2015070047 A JP 2015070047A JP 2016191390 A JP2016191390 A JP 2016191390A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- shift
- clutch
- return spring
- shift spindle
- gear
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H63/00—Control outputs from the control unit to change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion or to other devices than the final output mechanism
- F16H63/02—Final output mechanisms therefor; Actuating means for the final output mechanisms
- F16H63/08—Multiple final output mechanisms being moved by a single common final actuating mechanism
- F16H63/16—Multiple final output mechanisms being moved by a single common final actuating mechanism the final output mechanisms being successively actuated by progressive movement of the final actuating mechanism
- F16H63/18—Multiple final output mechanisms being moved by a single common final actuating mechanism the final output mechanisms being successively actuated by progressive movement of the final actuating mechanism the final actuating mechanism comprising cams
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H57/00—General details of gearing
- F16H57/02—Gearboxes; Mounting gearing therein
- F16H2057/0203—Gearboxes; Mounting gearing therein the gearbox is associated or combined with a crank case of an engine
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H57/00—General details of gearing
- F16H57/02—Gearboxes; Mounting gearing therein
- F16H2057/02039—Gearboxes for particular applications
- F16H2057/02043—Gearboxes for particular applications for vehicle transmissions
- F16H2057/02065—Gearboxes for particular applications for vehicle transmissions for motorcycles or squads
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H2200/00—Transmissions for multiple ratios
- F16H2200/003—Transmissions for multiple ratios characterised by the number of forward speeds
- F16H2200/0043—Transmissions for multiple ratios characterised by the number of forward speeds the gear ratios comprising four forward speeds
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H3/00—Toothed gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio or for reversing rotary motion
- F16H3/02—Toothed gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio or for reversing rotary motion without gears having orbital motion
- F16H3/20—Toothed gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio or for reversing rotary motion without gears having orbital motion exclusively or essentially using gears that can be moved out of gear
- F16H3/22—Toothed gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio or for reversing rotary motion without gears having orbital motion exclusively or essentially using gears that can be moved out of gear with gears shiftable only axially
- F16H3/30—Toothed gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio or for reversing rotary motion without gears having orbital motion exclusively or essentially using gears that can be moved out of gear with gears shiftable only axially with driving and driven shafts not coaxial
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Gear-Shifting Mechanisms (AREA)
Abstract
Description
チェンジ機構は、前記マスターアームと、このマスターアームに回動させられるシフトドラムと、シフトドラムに駆動されるとともに変速機のギア列の一部を成すシフターギアを軸方向に移動させるシフトフォークとを備える。また、パワーユニットケースの壁部には、ストッパーピンが設けられ、マスターアームとストッパーピンとの間には、マスターアームを中立位置に戻るように付勢するリターンスプリングが係止されている。
このような蓄力機構を備える自動二輪車では、走行中にAMTの制御装置から変速信号が出力されてシフトスピンドルが回動すると、ギアシフトアームは、蓄力カラーから蓄力スプリングを介して回動させられる方向に荷重を受ける。しかし、クラッチレバーが回動されてクラッチが切断されるまでは、変速機のギア列のシフターギアとフリーギアとの間のドグクラッチ歯側面(駆動力伝達面)には、走行駆動力によって摩擦力がかかっているため、シフトフォークはシフターギアを動かすことはできない。このため、クラッチが切れるまでは、シフトスピンドルが回動しても、ギアシフトアームがマスターアーム及びシフトドラムを回動させることはなく、蓄力カラー及び蓄力蓄力スプリングのみが回動され、蓄力スプリングには荷重が蓄えられていく。その後、クラッチレバーがクラッチを切断させると、変速機のギア列のドグ歯側面にかかっていた摩擦力が解除され、蓄力スプリングに蓄えられた荷重及び回動角によって、ギアシフトアーム、マスターアーム及びシフトドラムが一気に素早く回動され、結果として、ギアチェンジにかかる時間を短くすることができる。
マスターアームがシフトドラムにかけるトルクは、蓄力機構、リターンスプリング、シフトスピンドル、及びシフトモーターのそれぞれにかかるトルクによって決まり、ここでは、チェンジ機構の駆動力の伝達経路の上流側から説明する。簡略化のため、各部品にかかるフリクション(軸受け部分の摩擦等)は無視する。チェンジ機構の駆動力の伝達経路の最上流にはシフトモーターがあり、図21に示すように、シフトモーターが減速機によって減速された後にシフトスピンドルにかけるトルクをTMOとする。シフトスピンドルが下流の蓄力スプリングにかけるトルクであるTSDとTMOとの関係は、TSD=TMOである。蓄力スプリングが下流のマスターアームにかけるトルクであるTCRとTSDとの関係は、TCR=TSDである。マスターアームには、蓄力スプリングからのトルクだけではなく、リターンスプリングからの逆方向のトルクであるTmrもかけられている。そのため、マスターアームが下流のシフトドラムにかけるトルクTMAは、TMA=TCR−Tmrとなる。マスターアームがシフトドラムにかけるトルクTMAが大きいほど、チェンジ機構を動かすスピードは速くなる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、蓄力スプリングのトルク特性を高めることなくシフトスピンドルのリターントルクを高めることができるとともに、マスターアームの回動時の当接音を低減できるようにすることを特徴とする。
本発明によれば、車両の変速装置は、シフトスピンドルとケース部材との間に、蓄力機構のリターンスプリングと別体であるとともに、シフトスピンドルを中立位置に直接付勢するサブリターンスプリングが設けられる。これにより、リターンスプリングと別体にシフトスピンドルとケース部材との間に設けられたサブリターンスプリングは、シフトスピンドルの回動に伴う蓄力スプリングの蓄力によってマスターアームからチェンジ機構にかかるトルクに影響せず、このトルクは、蓄力スプリングのトルクからリターンスプリングのトルクを引いたものとなる。このため、上記所定値TESを確保するために蓄力スプリングのトルク特性を高める必要がない。また、シフトスピンドルにかかるリターントルクは、リターンスプリング及びサブリターンスプリングのトルクを足したものとなり、リターントルクを大きく確保できる。したがって、蓄力スプリングのトルク特性を高めることなくシフトスピンドルのリターントルクを高めることができるとともに、マスターアームの回動時の当接音を低減できる。
本発明によれば、サブリターンスプリングは、ケース部材の壁部から一体的に形成されるボスと、シフトスピンドル上に設けられシフトスピンドルと一体に回転するサブリターンスプリング係止カラーとに架け渡されるため、簡単な構成でサブリターンスプリングを設けることができる。
本発明によれば、サブリターンスプリングは変速機室内に配置され、サブリターンスプリング係止カラーは変速機室の外側に配置され、内壁に軸方向視で円弧状の孔部が設けられるとともに、サブリターンスプリング係止カラーの腕部が孔部を挿通するように設けられる。これにより、変速機室の外側から内壁の孔部に挿通されて延びるサブリターンスプリング係止カラーの腕部でサブリターンスプリングを係止でき、サブリターンスプリングを変速機室のデッドスペースに設けることができる。このため、変速機を小型化できる。
また、簡単な構成でサブリターンスプリングを設けることができる。
また、サブリターンスプリングを変速機室のデッドスペースに設けることができ、変速機を小型化できる。
図1は、本発明の実施の形態に係る自動変速装置25を備えた自動二輪車10の左側面図である。
自動二輪車10は、ヘッドパイプ(不図示)に回動可能に軸支されたハンドル11と、ハンドル11により操舵される前輪12と、駆動輪である後輪13と、運転者が着座するシート14と、後輪13にチェーン15を介して駆動力を供給するパワーユニット16と、パワーユニット16の制御を行う制御ユニット17(変速制御装置)と、バッテリ18とを有する。
図2は、パワーユニット16の断面図である。図2では、紙面の左右方向が車幅方向、上方向が車両前方、下方向が車両後方に相当する。
パワーユニット16は、走行駆動力を発生するエンジン21と、発電機22と、エンジン21のクランク軸23に設けられた発進クラッチ24と、発進クラッチ24を介して出力されたクランク軸23の駆動力を変速して出力する自動変速装置25(変速装置)とを備える。
図1に示すように、シリンダヘッド28の吸気ポートには、エアクリーナボックス(不図示)から延びる吸気管52が接続される。吸気管52には、エンジン21に供給する空気量を調整する電子制御式のスロットル弁53が設けられる。吸気管52においてスロットル弁53の下流には、燃料噴射弁54が設けられる。
一側ケース半体26Lと他側ケース半体26Rとは、合わせ面26F(合わせ部)で合わせられ、車幅方向に延びる複数のケース連結ボルト(不図示)によって結合される。
クランク室31及び変速機室32の右側方には、クラッチ室34が設けられ、クランク室31の左側方には、発電機室35が設けられる。クラッチ室34は、他側ケース半体26Rの壁部36の外側面とクラッチカバー30の内面とによって区画される。発電機室35は、一側ケース半体26Lの壁部37の外側面と発電機カバー29の内面とによって区画される。
クランク軸23の軸部23bの一端は、発電機室35に延び、この一端には発電機22のローター22aが固定される。発電機22のステーター22bは、一側ケース半体26Lに固定される。
クランク軸23の軸部23bの他端23cは、クラッチ室34に延び、遠心式の発進クラッチ24は、他端23cの先端部に設けられる。
発進クラッチ24は、クランク軸23の外周に対して相対回転可能なスリーブ45の一端に固定されたカップ状のアウタケース46と、スリーブ45の外周に設けられたプライマリギア47と、クランク軸23の右端部に固定されたアウタプレート48と、アウタプレート48の外周部にウェイト49を介して半径方向外側を向くように取り付けられたシュー50と、シュー50を半径方向内側に付勢するためのスプリング51とを有する。発進クラッチ24では、エンジン回転数が所定値以下の場合にアウタケース46とシュー50とが離間しており、クランク軸23と自動変速装置25との間が遮断状態(動力が伝達されない切り離し状態)となっている。エンジン回転数が上昇し所定値を超えると、遠心力によってウェイト49がスプリング51に抗して半径方向外側に移動することで、シュー50がアウタケース46の内周面に当接する。これにより、アウタケース46とともにスリーブ45がクランク軸23上に固定され、クランク軸23の回転がプライマリギア47を介して自動変速装置25に伝達されるようになる。
自動変速装置25は、前進4段の変速機60と、クランク軸23側と変速機60との間の接続を切り替えるチェンジクラッチ61と、チェンジクラッチ61を操作するクラッチ操作機構62と、変速機60を変速するギアチェンジ機構63と、クラッチ操作機構62及びギアチェンジ機構63を駆動するアクチュエータ機構64とを備える。アクチュエータ機構64は、制御ユニット17(図1)によって制御される。
すなわち、自動変速モードでは、車速等に基づいてアクチュエータ機構64の制御が行われ、変速機60が自動で変速される。手動変速モードでは、シフトセレクトスイッチ132aが運転者によって操作されることで変速が行われる。
駆動ギア67a,67b,67c,67dは、この順に被動ギア68a,68b,68c,68dと噛合している。駆動ギア67bは左右にスライドしたとき、隣接する駆動ギア67a又は67cに側面のドグ歯が係合し、被動ギア68cは左右にスライドしたとき、隣接する被動ギア68b又は68dに側面のドグ歯が係合する。
カウンタ軸66の端部にはスプロケット72が設けられ、スプロケット72はチェーン15を介して後輪13に回転を伝達する。また、カウンタ軸66の近傍には、非接触でカウンタ軸66の回転速度を検出する車速センサ73(図9)が設けられている。制御ユニット17は、車速センサ73の検出値から車速を算出する。
図2及び図3を参照し、アクチュエータ機構64は、アクチュエータとしてのシフトモーター75と、クランクケース26内を車幅方向に延びるシフトスピンドル76と、シフトモーター75の回転を減速してシフトスピンドル76を駆動する減速歯車列77とを備える。減速歯車列77の軸方向の一端は、一側ケース半体26Lの壁部37の外側面に支持され、他端は、壁部37を外側方から覆うカバー78に支持される。
シフトスピンドル76は、クラッチ室34を貫通して設けられており、カバー78及びクラッチカバー30にそれぞれ設けられたベアリング78a,30aに両端を軸支されるとともに、一側ケース半体26Lの壁部37に設けられたベアリング37bによっても途中部を軸支される。クラッチカバー30には、シフトスピンドル76の回転位置を検出するスピンドル角度センサ79が設けられている。
チェンジ機構89は、シフトスピンドル76に支持されて蓄力機構81によって回動させられるマスターアーム80と、マスターアーム80の回動に連動して回動するシフトドラム70(図13)と、シフトドラム70をシフターギアである駆動ギア67bと被動ギア68cとに接続するシフトフォーク69a,69bと、シフトフォーク69a,69bを軸方向にスライド自在に保持する支持軸(不図示)とを備える。
シフトドラム70がアクチュエータ機構64により駆動されて回転すると、シフトフォーク69a,69bはシフトドラム70の溝70aに沿って軸方向に移動し、駆動ギア67b及び被動ギア68cは変速段に応じてスライドする。
変速機60では、駆動ギア67b及び被動ギア68cのスライドに応じて、メイン軸65及びカウンタ軸66間で、ニュートラル状態、または、1速〜4速の何れかの変速歯車対を選択的に用いた動力伝達が可能となる。
リフターカムプレート85は、ベース部材84に面する押圧操作部85aと、押圧操作部85aから延びてクラッチレバー82のレバー部82bに連結される連結アーム部85bと、連結アーム部85bに形成されるカム孔部85cとを備える。リフターカムプレート85は、クラッチレバー82のレバー部82bの先端に設けられたピン87がカム孔部85cに挿通されることでクラッチレバー82に連結される。
リフターカムプレート85のカム孔部85cは、連結アーム部85bの長手方向に沿って屈曲した形状に形成されている。シフトスピンドル76の回動に伴ってクラッチレバー82のピン87がカム孔部85c内を移動することで、リフターカムプレート85が回動する。すなわち、カム孔部85cの形状によってリフターカムプレート85の単位回動量あたりの軸方向の移動量を設定することができ、これにより、チェンジクラッチ61の断接の特性を調整できる。
シフトアップする場合、シフトスピンドル76は、中立位置から図4の時計回り方向(シフトアップ方向)に回動され、ピン87は、カム孔部85cの内端部85c1に位置する。
シフトダウンする場合、シフトスピンドル76は、中立位置から図4の反時計回り方向(シフトダウン方向)に回動され、ピン87は、カム孔部85cの外端部85c2に位置する。
また、シフトダウンを行う場合、制御ユニット17は、シフトモーター75を回転させ、シフトスピンドル76をシフトダウン方向に回転させる。シフトダウン時には、蓄力機構81による蓄力は行われない。シフトダウン時には、シフトスピンドル76の回転に伴い、クラッチレバー82が回動してチェンジクラッチ61が切断され、その後、マスターアーム80がシフトダウン方向に回動する。これにより、シフトドラム70が回転し、ギア位置が一段だけシフトダウンされる。
本第実施の形態では、1つのシフトモーター75によって回転させられる単一のシフトスピンドル76によって、ギアチェンジ機構63及びクラッチ操作機構62の両方が駆動されるため、シフトモーター75が1つで良く、構造をシンプルにできる。
図5は、チェンジクラッチ61の断面図である。ここで、図5では、チェンジクラッチ61が完全に接続された状態が示されている。
チェンジクラッチ61は、プライマリドリブンギア90に固定されるカップ状のクラッチアウタ91と、クラッチアウタ91の径方向内側に設けられ、メイン軸65に一体に固定される円板状のクラッチセンタ92と、クラッチアウタ91の径方向内側に設けられ、メイン軸65の軸方向に移動可能なプレッシャプレート93と、プレッシャプレート93とクラッチセンタ92との間に設けられるクラッチ板94と、クラッチを接続する方向にプレッシャプレート93を付勢するメインスプリング95と、クラッチセンタ92とリフターカムプレート85との間に配置されるリフタープレート96と、リフタープレート96とリフターカムプレート85との間に配置されるサブリフタープレート97とを備える。
クラッチセンタ92とプレッシャプレート93とは組み合されて一体となり、クラッチアウタ91の内側に配置されるクラッチインナを構成する。
クラッチアウタ91は、プライマリドリブンギア90の外側面に一体に固定されており、プライマリドリブンギア90と一体にメイン軸65に対して相対回転可能である。
クラッチセンタ92は、メイン軸65にスプライン嵌合してナット100によって固定されており、メイン軸65に対し、相対回転不能且つ軸方向に移動不能である。
クラッチ板94は、クラッチセンタ92とプレッシャプレート93との間に挟持される。
クラッチ板94は、クラッチアウタ91に設けられる外側摩擦板94aと、クラッチセンタ92に設けられる内側摩擦板94bとを備え、外側摩擦板94a及び内側摩擦板94bは、プレッシャプレート93とクラッチセンタ92との間に交互に複数枚重ねて配置されている。各外側摩擦板94aは、クラッチアウタ91の筒状部にスプライン嵌合によって支持されており、クラッチアウタ91の軸方向に移動可能且つクラッチアウタ91に対して回転不能に設けられている。
各内側摩擦板94bは、プレッシャプレート93の内側円筒部93aの外周部にスプライン嵌合して支持されており、プレッシャプレート93の軸方向に移動可能且つプレッシャプレート93に対して回転不能に設けられている。
バックトルクリミット部材110と、クラッチセンタ92に固定されるリフターピン111とは、バックトルクリミッタ機構を構成する。バックトルクリミッタ機構は、例えば、特開平8−93786号公報に記載された公知のものであり、順方向の動力伝達とは逆方向に所定値以上のトルクが作用した場合に、クラッチを接続状態から半クラッチ状態にする機構である。
プレッシャプレート93のレリーズボス101は、基端部101a側よりも小径に形成されたガイド軸部101bを先端部に有し、ガイド軸部101bの先端面には、ガイド軸部101bよりも大径のストッパ板102がボルト103で締結されている。基端部101aの先端面には、ストッパ板102に対向する段部101cが形成されている。
リフタープレート側ボス106は、リフタープレート96の周方向に略等間隔をあけて複数並べて形成されている。リフタープレート側ボス106は、リング部105を貫通する円筒状に形成されており、レリーズボス101のガイド軸部101bが挿通される孔部106aと、サブリフタープレート97が嵌合する外周部106bとを備える。
第2のサブスプリング99は、クラッチセンタ92の外側面とリフタープレート96との間に挟持されており、リフタープレート96をストッパ板102側に押し付けるように付勢している。クラッチ接続状態では、リフタープレート96は、第2のサブスプリング99の付勢力によって、ガイド軸部101bの先端面がストッパ板102に当接させられており、リング部105と段部101cとの間には隙間G2が形成されている。
すなわち、第2のサブスプリング99は、リフタープレート96及びストッパ板102を介してプレッシャプレート93をクラッチセンタ92側に押し付けており、クラッチを接続する方向にプレッシャプレート93を付勢している。
押圧プレート部113は、リフタープレート96のリフタープレート側ボス106が嵌まる孔部113aを備える。孔部113aは、各リフタープレート側ボス106に対応する位置に複数形成される。ボールベアリング88は、円管状部114の先端部に嵌合される。
サブスプリング98は、クラッチセンタ92とサブリフタープレート97の円管状部114に形成された受け部114aとの間に挟持されており、サブリフタープレート97をストッパ板102側に押し付けるように付勢している。
クラッチ接続状態では、サブリフタープレート97は、サブスプリング98の付勢力によって、押圧プレート部113がストッパ板102に当接させられており、押圧プレート部113とリング部105との間には隙間G1が形成されている。
すなわち、サブスプリング98は、ストッパ板102を介してプレッシャプレート93をクラッチセンタ92側に押し付けており、クラッチを接続する方向にプレッシャプレート93を付勢している。
リフターカムプレート85を介し、メインスプリング95、第2のサブスプリング99及び第2のサブスプリング99の付勢力に抗してプレッシャプレート93がプライマリドリブンギア90側に移動させられると、クラッチ板94の狭持が解除され、クラッチ切断状態となる。
図6に示すように、本実施の形態では、チェンジクラッチ61の容量が、シフトスピンドル76の回動角に応じてクラッチ容量に寄与するスプリングが変更されることで可変となっている。詳細には、クラッチ容量は、メインスプリング95、第2のサブスプリング99及び第2のサブスプリング99の付勢力によってクラッチ容量が決まる最大容量C1と、メインスプリング95及び第2のサブスプリング99の付勢力によってクラッチ容量が決まる第1の中間容量C2と、メインスプリング95のみの付勢力によってクラッチ容量が決まる第2の中間容量C3と、メインスプリング95の付勢力の全部が除かれた切断容量C4との複数の段階に可変である。
すなわち、サブリフタープレート97及びストッパ板102は、サブスプリング98の付勢力をプレッシャプレート93に伝達する第1のサブスプリング荷重伝達経路S1を構成する。また、リフタープレート96及びストッパ板102は、第2のサブスプリング99の付勢力をプレッシャプレート93に伝達する第2のサブスプリング荷重伝達経路S2を構成する。
サブリフタープレート97がストッパ板102から離れることで、第1のサブスプリング荷重伝達経路S1は遮断され、サブスプリング98の付勢力は、プレッシャプレート93に伝達されなくなり、クラッチ容量は、メインスプリング95及び第2のサブスプリング99によって決定されるようになる。このため、サブリフタープレート97がストッパ板102から離れた瞬間に、図6に示すように、クラッチ容量は最大容量C1から第1の中間容量C2に低下する。
これにより、チェンジクラッチ61によるカウンタ軸66側とクランク軸23側との間の回転差吸収を適切に行うことができ、変速ショックを低減できる。ここで、変速の前後におけるカウンタ軸66のトルクは、例えば、エンジン回転数、スロットル開度及びカウンタ軸66のトルクの関係を記憶したマップに基づいて求められる。
図7に示すように、シフトアップ側のリフターカムプレート85のリフト特性は、シフトスピンドル76の中立位置(0°)から所定角までの回動に対してリフト量が増加しない遊び区間U1と、シフトスピンドル76の回動量の増加に対して略線形にリフト量が増加するリフト区間U2とを有する。
遊び区間D1は、遊び区間U1よりも小さく設定されている。リフト区間D2では、リフト区間U2よりも大きな傾斜でリフターカムプレート85のリフト量が増加する。
リフターカムプレート85のリフト特性は、リフターカムプレート85のカム孔部85cやクラッチレバー82のカム孔部85cの形状を調整することによって所望の特性に設定される。
隙間G2が0になった後にわずかにシフトスピンドル76がクラッチ切断方向に回動した回動位置A2は、クラッチが切断されるシフトスピンドル76の回動位置である。回動位置A2でのリフターカムプレート85のリフト量は、クラッチが切断される切断リフト量Ldである。
切断リフト量Ldは、シフトアップ方向及びシフトダウン方向で同一である。リフト区間D2では、リフト区間U2よりも急激にリフターカムプレート85のリフト量が増加するため、シフトダウン方向では、シフトアップ方向よりも少ないシフトスピンドル76の回動量で、クラッチが切断される。
シフトダウンする際には、クラッチ容量の段階的な制御は行われず、シフトスピンドル76の回動により、チェンジクラッチ61は切断容量C4まで一気に切断される。
チェンジクラッチ61が完全に切断されてからシフトスピンドル76が所定量Fだけさらにシフトダウン方向に回動すると、マスターアーム80を介してシフトドラム70の回動が開始され、シフトダウンが実行される。
シフトダウンの際の変速ショックは、前記バックトルクリミッタ機構によって低減される。
図9に示すように、自動変速装置25は、発進クラッチ24、プライマリギア47、チェンジクラッチ61、メイン軸65、変速機60、カウンタ軸66、チェーン15、スプロケット72及び後輪13を備える駆動伝達部130と、変速機60及びチェンジクラッチ61を機械的に操作する行うアクチュエータ機械部55と、電装部131と、エンジン21の運転を直接的に制御するエンジン運転制御部133とを備える。
駆動伝達部130は、クランク軸23の動力を後輪13まで機械的に伝達する。
エンジン運転制御部133は、スロットル弁53、燃料噴射弁54、及び、点火プラグ57を備える。
スロットル弁53は、電子制御式であり、制御ユニット17により制御されるスロットル弁駆動モータ(不図示)により駆動される。詳細には、制御ユニット17は、ハンドル11に設けられて運転者が操作するスロットルグリップ(不図示)の操作量をセンサで検出し、この操作量に応じて上記スロットル弁駆動モータを駆動し、スロットル弁53の開度を調整する。
点火プラグ57は、不図示のイグニションコイル駆動部およびイグニションコイルを介して制御ユニット17に接続される。
電装部131は、制御ユニット17と、エンジン回転数センサ58(回転数センサ)と、スピンドル角度センサ79と、ギアポジションセンサ70bと、スロットルポジションセンサ134と、車速センサ73と、ハンドル11に設けられるハンドルスイッチ132とを備える。
エンジン回転数センサ58は、クランク軸23の回転数を制御ユニット17に出力する。
制御ユニット17は、スピンドル角度センサ79の検出値から、変速機60の状態、すなわち変速機60が変速中であるか否かを判定できる。
ギアポジションセンサ70bは、シフトドラム70の回転角を制御ユニット17に出力し、制御ユニット17は、この回転角から現在のギア位置(変速段)を判定する。
スロットルポジションセンサ134は、スロットル弁53の開度を制御ユニット17に出力する。
ハンドルスイッチ132は、モードスイッチ132b及びシフトセレクトスイッチ132aを備える。
また、制御ユニット17は、前記スロットルグリップの操作量に応じて、スロットル弁53の開度、燃料噴射弁54の噴射量、及び、点火プラグ57の点火時期を調整するが、制御ユニット17は、スロットルポジションセンサ134、エンジン回転数センサ58、スピンドル角度センサ79、ギアポジションセンサ70b、及び、車速センサ73の検出値に基づいて、スロットル弁53の開度、燃料噴射弁54の噴射量、及び、点火プラグ57の点火時期を補正する。
他側ケース半体26Rの壁部36は、クランクケース26の合わせ面26Fの近傍に形成される内壁36b(合わせ部寄りの内壁)を、シフトスピンドル76の周囲に備える。
蓄力機構81は、他側ケース半体26Rの壁部36の内壁36bとクラッチカバー30との間に配置される。
蓄力機構81は、シフトスピンドル76と、シフトスピンドル76の軸上にシフトスピンドル76に対して相対回転可能に設けられるギアシフトアーム140と、ギアシフトアーム140を中立位置に付勢するリターンスプリング141と、ギアシフトアーム140に近接した位置でシフトスピンドル76の軸上に固定され、シフトスピンドル76と一体に回転するシフトダウン用カラー142と、ギアシフトアーム140から軸方向に離間した位置でシフトスピンドル76の軸上に固定され、シフトスピンドル76と一体に回転する蓄力カラー143とを備える。
ギアチェンジ機構63は、蓄力機構81に隣接してシフトスピンドル76上に固定されるサブリターンスプリング係止カラー148と、サブリターンスプリング係止カラー148に連結され、シフトスピンドル76を中立位置に付勢するサブリターンスプリング150とを備える。
シフトスピンドル76において、鍔部76dは最も大径であり、ギアシフトアーム支持部76c、支持部76b、及び接続部76aは、接続部76a側に向けて段階的に小径になるように形成されている。また、スプリングカラー支持部76e、カラー支持部76f、支持部76g及びセンサ接続部76hは、鍔部76d側からセンサ接続部76hに向けて段階的に小径になるように形成されている。
サブリターンスプリング係止カラー148、シフトダウン用カラー142、蓄力カラー143、及び、クラッチレバー82は、シフトスピンドル76に対し相対回転不能に固定されており、シフトスピンドル76と一体に回動する。
図10〜図12に示すように、ギアシフトアーム140は、シフトスピンドル76の外周面にベアリング154を介して嵌合する円筒部155と、円筒部155における蓄力スプリング145側の端の外周部から径方向外側に延びるプレート部156とを備える。
プレート部156は、円筒部155から上方に延びる上方延出部156aと、円筒部155から上方延出部156aに略直交する方向へ延びる延出部156bとを備える。
上方延出部156aには、上方延出部156aの先端部から径方向外方に延びた後にシフトスピンドル76と略平行にリターンスプリング141側に延びる第2の係止片159が設けられている。
第2の係止片159は、マスターアーム80の規制開口部160に挿通される基端側の当接部159aと、リターンスプリング141が係止される先端側のリターンスプリング係止部159bとを備える。リターンスプリング係止部159bは、当接部159aよりも細く形成されている。
アーム部162は、図11の正面視では略L字状に形成されており、筒状部161から上方へ延びる位置規制アーム162aと、筒状部161から位置規制アーム162aと略直交する方向に延びる操作アーム162bとを備える。マスターアーム80は、操作アーム162bを介してシフトドラム70に連結されており、マスターアーム80が回動することでシフトドラム70が回転する。
マスターアーム80は、シフトスピンドル76と略平行にリターンスプリング141側に延びるスプリング係止片163を、規制開口部160の上縁部に備える。
蓄力スプリング145は、ねじりコイルバネであり、一端のギアシフトアーム側端部145aが、ギアシフトアーム140の第1の係止片157に係止され、他端の蓄力アーム側端部145bが蓄力カラー143の蓄力アーム168に係止される。
リターンスプリング141は、その一端141aと他端141bとが径方向の外側に延出し、一端141aと他端141bとは、互いに所定の間隔をあけて略平行になるように設けられる。
リターンスプリング141は、一端141aと他端141bとの間にストッパーピン146を挟んだ状態で配置される。
また、マスターアーム80のスプリング係止片163は、ストッパーピン146よりも一端141a及び他端141bの先端側で、一端141aと他端141bとの間に挟持される。ギアシフトアーム140の第2の係止片159は、ストッパーピン146よりも一端141a及び他端141bの基端側で、一端141aと他端141bとの間に挟持される。
図10に示すように、一側ケース半体26Lの壁部37は、他側ケース半体26Rの内壁36bの外側方に位置する。壁部37と内壁36bとの間で変速機室32内の空間169には、壁部37からシフトスピンドル76に沿って内壁36b側に突出する筒状のサブリターンスプリング支持部171が設けられる。シフトスピンドル76を支持するベアリング37bは、サブリターンスプリング支持部171の内周部に支持される。
壁部37は、シフトスピンドル76と略平行に延びるボス173を、サブリターンスプリング支持部171の近傍に備える。ボス173及びサブリターンスプリング支持部171は、壁部37と一体に形成されており、その先端部は、内壁36bの近傍まで延びる。
サブリターンスプリング150は、コイル部150cの内周部がサブリターンスプリング支持部171の外周部に嵌合されて支持され、空間169に配置される。
サブリターンスプリング150は、一端150aと他端150bとの間にボス173を挟持した状態で配置され、ボス173によって周方向に位置決めされている。
サブリターンスプリング係止カラー148は、シフトスピンドル76の係止カラー固定部151に固定される円筒部175と、円筒部175から径方向の外側に延びた後、リターンスプリング141とは反対側に屈曲してサブリターンスプリング150側に延びる腕部176とを備える。
中立状態では、マスターアーム80は、スプリング係止片163がリターンスプリング141の一端141aと他端141bとの間に挟まれることで、回動位置を中立位置に規制されている。リターンスプリング141は、所定の初期荷重が付された状態でマスターアーム80の回動位置を規制している。
中立状態では、ギアシフトアーム140は、リターンスプリング係止部159bがリターンスプリング141の一端141aと他端141bとの間に挟まれることで、回動位置を中立位置に規制されている。リターンスプリング141は、所定の初期荷重が付された状態でギアシフトアーム140の回動位置を規制している。
すなわち、中立状態では、マスターアーム80及びギアシフトアーム140は、シフトスピンドル76の中心とストッパーピン146の中心とを通る直線Lに沿うように位置している。
図13に示すように、中立状態では、サブリターンスプリング係止カラー148は、腕部176がサブリターンスプリング150の一端150aと他端150bの間に挟まれることで、回動位置を中立位置に規制されている。サブリターンスプリング150は、所定の初期荷重が付された状態でサブリターンスプリング係止カラー148の回動位置を規制している。
図15(a)に示すように、ドグ歯164は、中立状態では、ギアシフトアーム140の孔部158の一端に接しており、ドグ歯164と孔部158の他端との間には隙間が形成されている。
制御ユニット17の変速の指示に伴ってアクチュエータ機構64のシフトモーター75が駆動されると、シフトスピンドル76の回動が開始される。シフトアップの方向は、図中に符号UPで示す時計回りの方向である。
図16は、中立状態よりもシフトアップ方向に進んだ状態を示す図である。
図16の状態は、ギアシフトアーム140の第2の係止片159の当接部159aが、マスターアーム80の規制開口部160の内縁160aに当接してギアシフトアーム140が回動できなくなるまでシフトスピンドル76の回動が進んだ状態であり、以下の説明では、この状態を蓄力準備状態と呼ぶ。
蓄力準備状態では、ギアシフトアーム140は、リターンスプリング141の付勢力に抗して回動しており、リターンスプリング141の他端141bは、所定量だけ開かれている。
また、蓄力準備状態では、サブリターンスプリング係止カラー148は、サブリターンスプリング150の付勢力に抗して回動しており、サブリターンスプリング150の他端150bは、図13に2点鎖線で示すように、所定量だけ開かれる。
図17の状態では、蓄力スプリング145は、シフトスピンドル76の回動に伴い、ギアシフトアーム側端部145aが第1の係止片157によって位置を固定されたまま、蓄力アーム側端部145bだけが蓄力アーム168によって所定量Rだけ回動されている。以下の説明では、図17の状態を蓄力状態と呼ぶ。
蓄力状態では、規制開口部160に規制されて回動しないギアシフトアーム140に対し、シフトダウン用カラー142はシフトスピンドル76と共に回動している。このため、蓄力状態では、図15(c)に示すように、ドグ歯164は、ギアシフトアーム140の孔部158の一端と他端との間の中間部に位置する。
また、蓄力状態では、サブリターンスプリング係止カラー148は、サブリターンスプリング150の付勢力に抗して回動しており、サブリターンスプリング150の他端150bは、図13に2点鎖線で示すように、蓄力準備状態の状態よりもさらに所定量だけ開かれる。
スピンドル角度センサ79の検出結果に基づいて変速の完了が検知されると、制御ユニット17はシフトスピンドル76を逆回転し、マスターアーム80は中立状態に復帰するとともに、チェンジクラッチ61が接続される。
図18には、シフトアップする際のシフトスピンドル76の回動角に対し、リターンスプリング141のトルクTmrと、サブリターンスプリング150のトルクTsrと、蓄力スプリング145のトルクTcrが示されている。図18では、シフトスピンドル76の回動位置A1で図16の蓄力準備状態が終了し、回動位置A1と回動位置A2との区間が蓄力状態となり、回動位置A2で図17の蓄力状態が終了し、クラッチが切断されて蓄力が開放される。
蓄力準備状態の区間では、回動角が増加してもトルクTmrは変化せず、トルクTsr及びトルクTcrは、回動角の増加に比例して増加する。
回動位置A2で蓄力が開放されると、トルクTcrは減少し、トルクTmrは、蓄力の開放によってリターンスプリング141の変形量が増加するため、増加する。
詳細には、回動位置A2におけるトルクTcrの減少は段階的であり、まず、変速機60のギアのドグ歯が隣のギアの側面に当接(ドグ当たり)するまでに一段減少し、さらに、ドグ歯が完全に係合するまでに一段減少する。ここで、ドグ当たりする際の蓄力スプリング145のトルクは、図18中にTcr1で示される。なお、ドグ当たりが発生しない場合は、トルクTcrはドグ歯の完全係合位置まで一気に減少する。
また、回動位置A2におけるトルクTmrの増加は段階的であり、まず、変速機60のギアのドグ歯が隣のギアの側面に当接(ドグ当たり)するまでに一段増加し、さらに、ドグ歯が完全に係合するまでに一段増加する。ここで、ドグ当たりする際のリターンスプリング141のトルクは、図18中にTmr1で示される。
詳細には、トルクTMAは、蓄力の解放後に変速機60のドグ当たりが発生する際のマスターアーム80のトルクTESよりも大きな値に設定される。トルクTESは、計算や実験等によって得られた値に設定される。
図19に示すように、シフトモーター75のトルクTMO1は、サブリターンスプリング150によって減じられるため、シフトスピンドル76のトルクTSDは、トルクTMO1−Tsrとなる。蓄力スプリング145から出力されるトルクTcrは、トルクTcr=トルクTSDとなる。
蓄力スプリング145のトルクTcrハ、リターンスプリング141に抗して出力されるため、マスターアーム80のトルクTMAは、トルクTMA=トルクTcr−トルクTmrとなる。
また、蓄力の際は、シフトスピンドル76は、リターンスプリング141及びサブリターンスプリング150に抗して回動する。このため、シフトスピンドル76を中立状態に戻す方向に作用するトルクTRT(リターントルク)は、トルクTRT=トルクTmr+トルクTsrとなる。
図18及び図20を参照し、本実施の形態では、サブリターンスプリング150を設けることでリターントルクが増加しているが、リターンスプリング141のトルクTmrは、図20の従来例と同一である。従って、従来例と同一のトルクTES及びトルクTMAを確保するために蓄力スプリング145のトルクTcrを大きくする必要がない。本実施の形態の蓄力の最大トルクTmaxは、従来例の蓄力の最大トルクTmaxと同一である。
これに対し、本実施の形態のシフトモーター75のトルクTMO1は、従来例のトルクTMOよりもサブリターンスプリング150のトルクTsrの分だけ大きい。
図22の比較例では、シフトスピンドル76のリターントルクを確保するために、リターンスプリング141のトルクTmrが図20の従来例よりも大きく設定されている。
この比較例では、トルクTmrが大きく設定されているため、従来例と同一のトルクTESを確保すると、蓄力スプリングのトルクTcrを大きくする必要があり、蓄力の最大トルクTmax´は、本実施の形態の最大トルクTmaxよりも大きい。なお、従来例のトルクTMAに対応する比較例のTMA´は、トルクTmrが大きくされていることで従来例よりも増加している。
比較例のように、蓄力の最大トルクTmax´を大きくすると、蓄力の開放によるマスターアーム80の勢いが大きくなるため、マスターアーム80がストッパーピン146に当接する際の打音も大きくなってしまう。また、比較例では、より大きなトルクを発揮できる大型のシフトモーターが必要になってしまう。
これに対し、本実施の形態では、蓄力の最大トルクTmaxを従来例から大きくせずにリターントルクだけを大きくできるため、シフトスピンドル76を効果的に中立状態に戻すことができるとともに、マスターアーム80が回動する際の打音を低減できる。
上記実施の形態では、駆動ギア67b及び被動ギア68cを移動させることで変速段を変更するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも1つのギアを移動させることで変速段が変更されるものであれば良い。
また、上記実施の形態では、車両として自動二輪車10を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、三輪車両や四輪車両等の車両に本発明を適用しても良い。
21 エンジン
23 クランク軸
25 自動変速装置(変速装置)
26 クランクケース(ケース部材)
26F 合わせ面(合わせ部)
26L 一側ケース半体
26R 他側ケース半体
32 変速機室
36b 内壁
37 壁部(ケース部材の壁部、外壁)
60 変速機
65 メイン軸
66 カウンタ軸
67b 駆動ギア(ギア)
68c 被動ギア(ギア)
67a,67b,67c,67d 駆動ギア(駆動ギア列)
68a,68b,68c,68d 被動ギア(被動ギア列)
76 シフトスピンドル
80 マスターアーム
81 蓄力機構
89 チェンジ機構
140 ギアシフトアーム
141 リターンスプリング
143 蓄力カラー
145 蓄力スプリング
146 ストッパーピン(ストッパ部)
148 サブリターンスプリング係止カラー
150 サブリターンスプリング
173 ボス
176 腕部
177 孔部
Claims (3)
- エンジン(21)のクランク軸(23)によって駆動されるとともに複数の駆動ギア列(67a,67b,67c,67d)を有するメイン軸(65)、及び、当該駆動ギア列(67a,67b,67c,67d)によって駆動される複数の被動ギア列(68a,68b,68c,68d)を有するカウンタ軸(66)を有する変速機(60)と、複数の前記駆動ギア列(67a,67b,67c,67d)または前記被動ギア列(67b,68c)の内の少なくとも1つのギア(67b,68c)を移動させることで変速段を変更するチェンジ機構(89)と、当該チェンジ機構(89)を操作するマスターアーム(80)が相対回転可能に設けられるシフトスピンドル(76)、当該シフトスピンドル(76)上に設けられ前記シフトスピンドル(76)と一体に回転する蓄力カラー(143)、前記シフトスピンドル(76)と相対回転可能なギアシフトアーム(140)、及び、前記蓄力カラー(143)と前記ギアシフトアーム(140)との間に架け渡される蓄力スプリング(145)を有する蓄力機構(81)と、前記マスターアーム(80)と前記変速機(60)のケース部材(26)側のストッパ部(146)との間に設けられ、前記マスターアーム(80)を中立位置に付勢するリターンスプリング(141)とを備える車両の変速装置において、
前記シフトスピンドル(76)と前記ケース部材(26)との間に、前記リターンスプリング(141)と別体であるとともに、前記シフトスピンドル(76)を前記中立位置に直接付勢するサブリターンスプリング(150)が設けられることを特徴とする車両の変速装置。 - 前記サブリターンスプリング(150)は、前記ケース部材(26)の壁部(37)から一体的に形成されるボス(173)と、前記シフトスピンドル(76)上に設けられ前記シフトスピンドル(76)と一体に回転するサブリターンスプリング係止カラー(148)とに架け渡されることを特徴とする請求項1記載の車両の変速装置。
- 前記ケース部材(26)は、車幅方向で一側ケース半体(26L)と他側ケース半体(26R)とが合わせられて設けられ、前記変速機(60)の前記駆動ギア列(67a,67b,67c,67d)及び前記被動ギア列(67b,68c)が収容される変速機室(32)は、前記一側ケース半体(26L)の外壁と、前記他側ケース半体(26R)の合わせ部(26F)寄りの内壁(36b)とで画成され、前記サブリターンスプリング(150)は前記変速機室(32)内に配置され、前記サブリターンスプリング係止カラー(148)は前記変速機室(32)の外側に配置され、前記内壁(36b)に軸方向視で円弧状の孔部(177)が設けられるとともに、前記サブリターンスプリング係止カラー(148)の腕部(176)が前記孔部(177)を挿通するように設けられることを特徴とする請求項2記載の車両の変速装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015070047A JP6218771B2 (ja) | 2015-03-30 | 2015-03-30 | 車両の変速装置 |
US15/075,304 US10012312B2 (en) | 2015-03-30 | 2016-03-21 | Speed change apparatus for vehicle |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015070047A JP6218771B2 (ja) | 2015-03-30 | 2015-03-30 | 車両の変速装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016191390A true JP2016191390A (ja) | 2016-11-10 |
JP6218771B2 JP6218771B2 (ja) | 2017-10-25 |
Family
ID=57015776
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015070047A Active JP6218771B2 (ja) | 2015-03-30 | 2015-03-30 | 車両の変速装置 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US10012312B2 (ja) |
JP (1) | JP6218771B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6196254B2 (ja) * | 2015-03-30 | 2017-09-13 | 本田技研工業株式会社 | 車両の変速装置 |
CN113614412A (zh) * | 2019-03-30 | 2021-11-05 | Tvs电机股份有限公司 | 车辆及其发动机组件 |
JP6953473B2 (ja) * | 2019-05-30 | 2021-10-27 | 本田技研工業株式会社 | 動力伝達装置 |
JP2023009887A (ja) * | 2021-07-08 | 2023-01-20 | カワサキモータース株式会社 | 車両のギア付きモータ |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01116240U (ja) * | 1988-02-01 | 1989-08-04 | ||
WO2013014748A1 (ja) * | 2011-07-26 | 2013-01-31 | 株式会社エフ・シー・シー | 車両用動力伝達システム |
JP2013210088A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Honda Motor Co Ltd | 車両の変速装置 |
WO2014157631A1 (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-02 | 本田技研工業株式会社 | 多板クラッチ |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3378097B2 (ja) | 1994-09-29 | 2003-02-17 | 本田技研工業株式会社 | 摩擦クラッチ |
JP4873542B2 (ja) | 2006-04-18 | 2012-02-08 | ヤマハ発動機株式会社 | 自動変速制御装置および車両 |
JP2007314065A (ja) * | 2006-05-26 | 2007-12-06 | Honda Motor Co Ltd | 車両の動力伝達装置 |
JP4704308B2 (ja) * | 2006-09-29 | 2011-06-15 | 本田技研工業株式会社 | ツインクラッチ式変速機 |
JP4998729B2 (ja) | 2007-09-28 | 2012-08-15 | 本田技研工業株式会社 | ツインクラッチ式変速装置 |
JP5180778B2 (ja) * | 2008-10-30 | 2013-04-10 | ヤマハ発動機株式会社 | エンジンユニットおよびこれを備えた自動二輪車 |
JP5340978B2 (ja) | 2010-02-03 | 2013-11-13 | 本田技研工業株式会社 | 変速制御装置 |
WO2011096540A1 (ja) | 2010-02-05 | 2011-08-11 | 本田技研工業株式会社 | クラッチ制御装置 |
JP6339960B2 (ja) * | 2015-03-30 | 2018-06-06 | 本田技研工業株式会社 | 車両の変速装置 |
-
2015
- 2015-03-30 JP JP2015070047A patent/JP6218771B2/ja active Active
-
2016
- 2016-03-21 US US15/075,304 patent/US10012312B2/en active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01116240U (ja) * | 1988-02-01 | 1989-08-04 | ||
WO2013014748A1 (ja) * | 2011-07-26 | 2013-01-31 | 株式会社エフ・シー・シー | 車両用動力伝達システム |
JP2013210088A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Honda Motor Co Ltd | 車両の変速装置 |
WO2014157631A1 (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-02 | 本田技研工業株式会社 | 多板クラッチ |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6218771B2 (ja) | 2017-10-25 |
US10012312B2 (en) | 2018-07-03 |
US20160290442A1 (en) | 2016-10-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10352373B2 (en) | Multiple plate clutch | |
JP6190410B2 (ja) | 車両の変速装置 | |
JP6196254B2 (ja) | 車両の変速装置 | |
US8408086B2 (en) | Automated shift control device and straddle-type vehicle equipped with the same | |
EP3096038A1 (en) | Vehicle power transmission system | |
JP6218771B2 (ja) | 車両の変速装置 | |
JP5840670B2 (ja) | 変速制御装置 | |
JP6374098B2 (ja) | 車両の変速装置 | |
JP5902595B2 (ja) | ツインクラッチ制御装置 | |
JP6454207B2 (ja) | 車両の変速装置 | |
JP6339960B2 (ja) | 車両の変速装置 | |
JP6419625B2 (ja) | 車両の変速装置 | |
JP6322111B2 (ja) | 車両の変速装置 | |
JP7130713B2 (ja) | 車両の変速装置 | |
JP2014199102A (ja) | 変速装置 | |
JP6247978B2 (ja) | 変速機 | |
JP5981870B2 (ja) | 車両の変速制御装置 | |
JP6401096B2 (ja) | 車両の変速装置 | |
JP6138645B2 (ja) | クラッチ装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170125 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170824 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170905 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170926 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6218771 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |