JP2014199102A - 変速装置 - Google Patents

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惇 安達
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圭淳 根建
惇也 小野
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惇也 小野
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【課題】アクチュエータに駆動される単一のシフトスピンドルが、エンジンと変速機との間に設けられるクラッチと、変速機のシフト装置と、を操作する変速機において、ドグ歯の浅噛み抑止と駆動力抜け時間の低減とを両立する。【解決手段】アクチュエータに駆動される単一のシフトスピンドルによって、エンジンと変速機との間に設けられるクラッチを切断方向にリフトするリフタープレートと、常時噛み合い式変速機のシフト装置と、が操作される変速装置において、リフタープレートに当接されるリフターカム84が、接続谷部110と切断段部114との間に、一度切断されたクラッチを再接続させる谷部112を有し、リフターカム84の単一方向の回動に伴いクラッチが2回切断されることを特徴とする。【選択図】図10

Description

本発明は、変速装置に関する。
従来例には、アクチュエータに駆動される単一のシフトスピンドルによって、エンジンと変速機との間に設けられるクラッチと、変速機のシフト装置と、が操作される車両の変速装置であって、シフトスピンドルとシフト送り機構との間に蓄力機構が介設された構造が開示されている。従来例の構造では、シフト開始後、シフトスピンドルがクラッチ切断方向に正転回動すると、スピンドル回動角が蓄力機構に蓄力されていき、所定のスピンドル回動角に達してクラッチが操作されるとクラッチが切断され、その瞬間に蓄力しておいたシフトスピンドル角で一気にシフトを送り、その後、シフトスピンドルをクラッチ接続方向に逆転回動させて戻す機構が開示されている。
特開2001−280493号公報
ところで、上記従来の変速機には、シフターのドグ歯が変速ギアのドグ歯と噛み合うことで駆動力を伝達するドグクラッチが採用されている。シフターを変速ギアに送る際、シフターのドグ歯は、変速ギアのドグ歯の位置が分からないため、ドグ歯とドグ歯とが正常な噛み合い深さで噛み合う場合もあれば、ドグ歯の頂面同士が当たる所謂「ドグ当たり」が発生する場合もある。従来例のようなAMT(オートマチックトランスミッション)ではなく、より一般的なMT(マニュアルトランスミッション)車両であれば、ドグ当たりが発生しても運転者がペダルを踏み直してシフターを送り直す等でドグ当たりを解消する。
しかし、従来例の変速装置では、蓄力機構が備えられているため、ドグ当たり後にクラッチを接続すると、ドグ歯とドグ歯が正常な噛み合い深さよりも浅い位置で噛み合う「浅噛み」が発生する場合がある。従来例の構造で、ドグの浅噛みが発生した場合、シフタードグ歯の側面と変速ギアの側面とにかかる駆動力で摩擦力が発生しているため、クラッチを再び切って駆動力を切らないと浅噛みを解消し難い。ところが、シフト操作前の初期位置に戻ろうと逆転していたシフトスピンドルを再び正転させ、クラッチを切断して浅噛みを解消した後、改めて逆転させると、シフトスピンドルの正転及び逆転によってクラッチの断接を繰り返すこととなり、浅噛みは解消できてもクラッチが切れたことによる駆動力抜け時間が長くなってしまう。特に、AMT車両での意図せぬ駆動力抜け時間は運転者にとって違和感となり得るため、駆動力抜け時間を極力短くすることが課題となる。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、アクチュエータに駆動される単一のシフトスピンドルが、エンジンと変速機との間に設けられるクラッチと、変速機のシフト装置と、を操作する変速機において、ドグ歯の浅噛み抑止と駆動力抜け時間の低減とを両立することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、アクチュエータ(70)に駆動される単一のシフトスピンドル(71)によって、エンジン(21)と変速機(50)との間に設けられるクラッチ(51)を切断方向にリフトするリフタープレート(96)と、常時噛み合い式変速機のシフト装置(53)と、が操作される変速装置において、前記リフタープレート(96)に当接されるリフターカム(84)が、初期位置(110)とクラッチ切断位置(114)との間に、一度切断された前記クラッチ(51)を再接続させる谷部(112)を有し、前記リフターカム(84)の単一方向の回動に伴い前記クラッチ(51)が2回切断されることを特徴とする。
本発明によれば、リフターカムを単一方向に回動するだけで、クラッチを2回切断でき、仮に、リフターカムの回動途中にシフト装置でドグ当たりが発生し、谷部で浅噛みが発生した場合においても、谷部とクラッチ切断位置との間で再びクラッチが切断される際に浅噛みを解消できる。従って、ドグ当たり及び浅噛みを解消するために、シフトスピンドルの正転及び反転を繰り返す必要が無く、ドグ歯の浅噛み抑止と駆動力抜け時間の低減とを両立することができる。
また、本発明は、前記リフターカム(84)のカムプロフィールには、前記初期位置(110)から第1のクラッチ切断位置(111a)まで延びる第1の斜面(111)と、当該第1の斜面(111)に連続するとともにクラッチ接続位置(112a)まで延びる前記谷部(112)と、当該谷部(112)に連続するとともに第2のクラッチ切断位置(114)まで延びる第2の斜面(113)と、が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、第1の斜面側でクラッチを一度切断させ、谷部でクラッチを一旦接続させた後、第2の斜面側でクラッチを再び切断することができる。従って、仮に第1の斜面側でシフト装置にドグ当たりが発生し、谷部でシフト装置に浅噛みが発生したとしても、第2の斜面側で再びクラッチが切断される際に浅噛みを解消できる。
また、本発明は、前記リフターカム(84)の前記カムプロフィールの前記谷部(112)が半クラッチ位置(112a)まで延びる形状とされることを特徴とする。
本発明によれば、リフターカムのカムプロフィールの谷部が半クラッチ位置まで延びる形状とされるため、リフタープレートの移動量を最小限にでき、浅噛みを抑止可能としながら変速操作にかかる時間を極力短くできる。
さらに、本発明は、前記シフトスピンドル(71)は、前記リフターカム(84)の操作時に、当該リフターカム(84)を必ず前記第2の斜面(113)まで回動させた後、前記初期位置(110)に戻すように回動されることを特徴とする。
本発明によれば、シフトスピンドルを、浅噛みの発生の有無にかかわらず、リフターカムの操作時に、リフターカムを必ず第2の斜面まで回動させるため、浅噛み発生の検出を行う必要がなく、制御を簡素にできる。さらに、第2の斜面側から初期位置に戻る際にも谷部を通るため、仮に1回目の谷部の通過時に浅噛みが解消されなかった場合においても、戻る際に谷部を通過することで、浅噛みを解消できる。
本発明に係る変速装置では、ドグ当たり及び浅噛みを解消するために、シフトスピンドルの正転及び反転を繰り返す必要が無く、ドグ歯の浅噛み抑止と駆動力抜け時間の低減とを両立することができる。
また、第1の斜面でシフト装置にドグ当たりが発生し、谷部でシフト装置に浅噛みが発生したとしても、第2の斜面側で再びクラッチが切断される際に浅噛みを解消できる。
また、リフタープレートの移動量を最小限にでき、浅噛みを抑止可能としながら変速操作にかかる時間を極力短くできる。
さらに、浅噛み発生の検出を行う必要がなく、制御を簡素にできる。また、第2の斜面側から初期位置に戻る際にも浅噛みを解消できる。
本発明の実施の形態に係る変速装置を備えた自動二輪車の左側面図である。 パワーユニットの断面平面図である。 シフト装置、アクチュエータ機構、クラッチ機構及びクラッチ操作機構を示す断面図である。 クラッチ機構の断面図である。 クラッチ機構のクラッチ容量を示す図の一例である。 中間容量の状態のクラッチ機構を示す断面図である。 小容量の状態のクラッチ機構を示す断面図である。 リフターカムの平面図である。 図8のIX−IX断面図である。 シフトアップ方向側のカムプロフィールの拡大図である。 変速機の断面図である。 ドグ当たりが発生した状態の変速機の断面図である。 浅噛みが発生した状態の変速機の断面図である。 シフター側ドグ歯が通常の深さまで噛み合った状態の変速機の断面図である。 比較例におけるドグ当たり及び浅噛みの解消を説明するチャートである。 本実施の形態におけるドグ当たり及び浅噛みの解消を説明するチャートである。 本実施の形態におけるドグ当たり及び浅噛みの解消を説明するチャートである。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る変速装置を備えた自動二輪車10の左側面図である。
自動二輪車10は、ヘッドパイプ(不図示)に回動可能に軸支されたハンドル11と、ハンドル11により操舵される前輪12と、駆動輪である後輪13と、運転者が着座するシート14と、後輪13にチェーン15を介して駆動力を供給するパワーユニット16と、パワーユニット16の制御を行う制御ユニット17(制御部)と、バッテリ18とを有する。
自動二輪車10は不図示の車体フレームをベースに構成されており、この車体フレームは車体カバー19により覆われている。制御ユニット17及びバッテリ18はシート14の下部で、車体カバー19の内部に配置されている。パワーユニット16は、前輪12と後輪13の略中間で、シート14の下方やや前方に設けられている。運転者用のステップ20は、パワーユニット16の下部に左右一対で設けられている。
パワーユニット16は、自動変速装置T(図2)を備える。自動変速装置Tは、クラッチの接続・切断操作が自動化された変速機50を備え、この自動変速装置Tでは、変速用のクラッチ機構51(以下、単にクラッチと呼ぶことがある)の切替え及び変速段(シフト)の切替えが自動で行われる。
次に、パワーユニット16の構成について説明する。
図2はパワーユニット16の断面平面図である。図2では、左右方向が車幅方向、上方向が車両前方、下方向が車両後方に相当する。
パワーユニット16は、走行駆動力を発生するエンジン21と、発電機22と、エンジン21のクランク軸23に設けられた発進クラッチ24と、発進クラッチ24を介して出力されたクランク軸23の駆動力を変速して出力する自動変速装置Tとを備える。
パワーユニット16は、シリンダヘッド30a、シリンダ30b及びクランクケース30cが一体的に結合して構成される。クランク軸23は複数のベアリング31によって回転自在に軸支されている。エンジン21は、コンロッド32を介してクランク軸23に連結されたピストン33と、点火プラグ34と、不図示のバルブを開閉動作させて燃焼室35に対する吸排気を行う動弁機構36とを有する。動弁機構36はクランク軸23からタイミングチェーン36aを介して駆動される。
発進クラッチ24は、発進時及び停止時にクランク軸23とプライマリギア37との間を接続及び切断するものであり、クランク軸23の右端部に配置されている。この発進クラッチ24は、クランク軸23の外周に対して相対回転可能なスリーブ38の一端に固定されたカップ状のアウタケース39と、スリーブ38に設けられたプライマリギア37と、クランク軸23の右端部に固定されたアウタプレート40と、アウタプレート40の外周部にウェイト41を介して半径方向外側を向くように取り付けられたシュー42と、シュー42を半径方向内側に付勢するためのスプリング43とを有する。発進クラッチ24では、エンジン回転数が所定値以下の場合にアウタケース39とシュー42とが離間しており、クランク軸23と自動変速装置Tとの間が遮断状態(動力が伝達されない切り離し状態)となっている。エンジン回転数が上昇し所定値を超えると、遠心力によってウェイト41がスプリング43に抗して半径方向外側に移動することで、シュー42がアウタケース39の内周面に当接する。これにより、クランク軸23の回転がアウタケース39を介してプライマリギア37に伝達され、動力が伝達される接続状態となる。
クランクケース30cは、発進クラッチ24及びクラッチ機構51(多板クラッチ)を覆うクランクケースカバー30dを右側面に備える。クランクケースカバー30dを取り外すと、発進クラッチ24及びクラッチ機構51は外側に露出する。
自動変速装置Tは、前進4段の変速機50と、クランク軸23側と変速機50との間の接続を切り替えるクラッチ機構51と、クラッチ機構51を操作するクラッチ操作機構52と、変速機50を変速するシフト装置53と、クラッチ操作機構52及びシフト装置53を駆動するアクチュエータ機構54(図3)とを備える。アクチュエータ機構54は、制御ユニット17(図1)によって制御される。
自動変速装置Tは、自動変速(AT)モードと手動変速(MT)モードとの切り替えを行うモードスイッチ(不図示)と、シフトアップまたはシフトダウンを運転者が操作するシフトセレクトスイッチ(不図示)とに接続されている。自動変速装置Tは、制御ユニット17の制御により、各センサやモードスイッチ及びシフトセレクトスイッチの出力信号に応じてアクチュエータ機構54を制御し、変速機50の変速段を自動的または半自動的に切り換えることができるように構成されている。
すなわち、自動変速モードでは、車速等に基づいてアクチュエータ機構54の制御が行われ、変速機50が自動で変速される。手動変速モードでは、シフトセレクトスイッチが運転者によって操作されることで変速が行われる。
変速機50は、クラッチ機構51から供給される回転を、制御ユニット17の指示に基づいて変速して後輪13に伝達する。この変速機50は、入力軸としてのメイン軸56(主軸)と、メイン軸56に対して平行配置されたカウンタ軸57と、メイン軸56に設けられた駆動ギア58a,58b,58c及び58dと、カウンタ軸57に設けられた従動ギア59a,59b,59c及び59dと、駆動ギア58aに係合するシフトフォーク60aと、従動ギア59cに係合するシフトフォーク60bと、シフトフォーク60a,60bを軸方向にスライド自在に保持する支持軸61と、シフトフォーク60a,60bの端部を溝62a,62bに沿わせながらスライドさせるシフトドラム63とを有する常時噛み合い式の変速機である。駆動ギア58a,58b,58c及び58dは、この順に従動ギア59a,59b、59c及び59dと噛合している。駆動ギア58bは左右にスライドしたとき、隣接する駆動ギア58a又は58cに側面のドグ歯が係合し、従動ギア59cは左右にスライドしたとき、隣接する従動ギア59b又は59dに側面のドグ歯が係合する。
駆動ギア58a,58cはメイン軸56に対して回転自在に保持され、従動ギア59b,59dはカウンタ軸57に対して回転自在に保持されている。駆動ギア58b及び従動ギア59cはメイン軸56及びカウンタ軸57に対してスプライン結合されており、メイン軸56に対して相対回転不能且つ軸方向にスライド可能である。駆動ギア58d及び従動ギア59aはメイン軸56及びカウンタ軸57に固定されている。
シフトドラム63がアクチュエータ機構54により駆動されて回転すると、シフトフォーク60a,60bはシフトドラム63の溝62a,62bに沿って軸方向に移動し、駆動ギア58b及び従動ギア59cは変速段に応じてスライドする。
変速機50では、駆動ギア58b及び従動ギア59cのスライドに応じて、メイン軸56及びカウンタ軸57間で、ニュートラル状態、または、1速〜4速の何れかの変速歯車対を選択的に用いた動力伝達が可能となる。
メイン軸56及びカウンタ軸57は、ベアリング64a,64b,66a,66bによって回転自在に保持されている。
カウンタ軸57の端部にはスプロケット67が設けられ、スプロケット67はチェーン15を介して後輪13に回転を伝達する。また、カウンタ軸57の近傍には、非接触でカウンタ軸57の回転速度を検出する車速センサ68が設けられている。車速センサ68が検出するカウンタ軸57の回転速度は車速を示すことになる。
エンジン21は、クランク軸23からクラッチ機構51への入力回転速度を検出する入力回転センサ45、及び、メイン軸56の出力回転速度を検出する出力回転センサ46を備える。また、自動二輪車10は、吸気装置のスロットル開度を検出するスロットル開度センサ(不図示)を備える。車速センサ68、入力回転センサ45、出力回転センサ46及び上記スロットル開度センサは、検出値を制御ユニット17に供給する。
図3は、シフト装置53、アクチュエータ機構54、クラッチ機構51及びクラッチ操作機構52を示す断面図である。
図2及び図3を参照し、アクチュエータ機構54は、モーター70(アクチュエータ)と、クランクケース30c内を車幅方向に延びるシフトスピンドル71と、モーター70の回転を減速してシフトスピンドル71を駆動する歯車列(不図示)とを備える。
シフトスピンドル71は、クランクケース30cの左側壁30e及びクランクケースカバー30dに両端を軸支されるとともに、メイン軸56のベアリング64bを支持する中間壁部30fによってもその中間部を軸支されている。クランクケースカバー30dには、シフトスピンドル71の回転位置を検出する角度センサ72が設けられている。
シフト装置53は、シフトスピンドル71に支持されるギヤシフトアーム73と、シフトスピンドル71の回転を蓄力し、蓄力を開放してギヤシフトアーム73を回動させる蓄力機構74と、シフトフォーク60a,60bと、シフトドラム63を備える。
ギヤシフトアーム73は、シフトドラム63に連結されており、アクチュエータ機構54によってギヤシフトアーム73が回動することで、シフトドラム63が回転し、変速が行われる。
蓄力機構74は、シフトスピンドル71の軸上にシフトスピンドル71に対して相対回転可能に設けられる回動アーム75と、ギヤシフトアーム73を中立位置に付勢するリターンスプリング76と、シフトスピンドル71の軸上に固定され、シフトスピンドル71と一体に回転するストッパカラー77と、ストッパカラー77から軸方向に離間した位置でシフトスピンドル71の軸上に固定され、シフトスピンドル71と一体に回転する蓄力カラー78と、蓄力カラー78とストッパカラー77との間の軸上に、シフトスピンドル71に対して相対回転可能に設けられる一対のスプリングカラー79a,79bと、スプリングカラー79a,79bの外周に巻付くように設けられる蓄力スプリング80とを備える。
回動アーム75は、シフトスピンドル71の外周面に嵌合する内側円筒部75aと、内側円筒部75aの外周面から蓄力スプリング80側へ軸方向に突出するアーム側係止部75bと、内側円筒部75aの外周面からアーム側係止部75bとは反対側に軸方向へ突出する押圧部75cと、ストッパカラー77側に開放したドグ穴75dとを有する。
ギヤシフトアーム73は、回動アーム75の内側円筒部75aの外周面に嵌合する外側円筒部73aと、外側円筒部73aから周方向外側に延出されるアーム部73bとを有する。
ギヤシフトアーム73は、回動アーム75に対して相対回転可能に設けられ、回動アーム75の押圧部75cは、ギヤシフトアーム73のアーム部73bに形成された規制開口部73cに挿通される。
リターンスプリング76は、ねじりコイルバネであり、ギヤシフトアーム73の外側円筒部73aに巻付くように設けられ、押圧部75cを介してギヤシフトアーム73を中立位置の方向へ付勢する。ここで、中立位置は、変速操作を行っていない通常時の位置である。回動アーム75が所定角度だけ回動すると、押圧部75cは規制開口部73cの内縁部を押圧し、ギヤシフトアーム73を回動させる。規制開口部73cには、中間壁部30fに立設されたピン88が挿通されており、ピン88は、規制開口部73cを介してギヤシフトアーム73の回動範囲を規制する。
ストッパカラー77は、回動アーム75のドグ穴75dに挿通されるドグ歯77aを有する。シフトスピンドル71の回転に伴いストッパカラー77が所定角度だけ回転すると、ドグ歯77aはドグ穴75dの内縁を介して回動アーム75を回転方向に付勢する。
蓄力カラー78は、蓄力スプリング80側に軸方向へ突出するカラー側係止部78aと、カラー側係止部78aとは反対側へ軸方向に突出するクラッチ側ドグ歯78bとを有する。
蓄力スプリング80は、ねじりコイルバネであり、一端が回動アーム75のアーム側係止部75bに係止され、他端が蓄力カラー78のカラー側係止部78aに係止される。
ギヤシフトアーム73及び回動アーム75は、クラッチ機構51が接続状態にあり、変速機50に駆動力が発生している状態では、変速機50によって拘束されており、シフトスピンドル71上で回動不能である。この状態で、アクチュエータ機構54によってシフトスピンドル71が回動させられると、蓄力カラー78は、回動アーム75に対して相対回転し、蓄力スプリング80は、一端がアーム側係止部75b側に固定されたままカラー側係止部78a側の他端が回動させられることで変形し、蓄力を開始する。その後、クラッチ機構51が切断されると、ギヤシフトアーム73及び回動アーム75が回動可能となって蓄力が開放され、ギヤシフトアーム73は、蓄力スプリング80の蓄力によって回動させられた回動アーム75の押圧部75cを介して押圧されて回動する。これにより、シフトドラム63が回転し、変速が行われる。
角度センサ72の検出結果に基づいて変速の完了が検知されると、シフトスピンドル71は逆回転され、ギヤシフトアーム73は元の位置に復帰するとともに、クラッチ機構51が接続される。
蓄力スプリング80は、蓄力に伴い、コイル状部の軸線がシフトスピンドル71の軸線に対して傾斜するように変形し、コイル状部の両端部80a,80bが、軸方向に2分割されたスプリングカラー79a,79bにそれぞれ当接する。詳細には、両端部80a,80bは、周方向に略180°異なる部分がスプリングカラー79a,79bにそれぞれ当接する。本実施の形態では、スプリングカラー79a,79bが、軸方向に分割式であり互いに相対回転可能であるため、両端部80a,80bが当接した際には、スプリングカラー79a,79bは、力を逃がすようにそれぞれ独立して回転する。このため、蓄力スプリング80を捩じって蓄力する際のフリクションを低減でき、スムーズに蓄力できる。
クラッチ操作機構52は、シフトスピンドル71上に回動可能に軸支されるクラッチレバー81と、メイン軸56と略同軸の位置関係でクランクケースカバー30dの内面に固定される支持軸82と、支持軸82に固定される板状のベース部材83と、クラッチレバー81に連結されるとともに、ベース部材83に対向して設けられるリフターカム84と、リフターカム84とベース部材83との間に狭持される複数のボール85とを備える。
クラッチレバー81は、蓄力カラー78に隣接してシフトスピンドル71上に設けられる筒部81aと、筒部81aから径方向外側に延出するレバー部81bとを有する。筒部81aには、蓄力カラー78のクラッチ側ドグ歯78bが噛み合うクラッチ側ドグ穴81cが形成されている。
リフターカム84は、クラッチレバー81のレバー部81b先端に設けられたピン86に連結される連結部84aと、ベース部材83に面するリフター部84bとを有する。リフター部84b及びベース部材83の互いに対向する面には、斜面状のカム部84c,83aがそれぞれ形成されており、ボール85は、カム部84c,83aの間に狭持されている。リフターカム84は、中央に設けられたガイド穴84dに、ベース部材83のガイド軸83bが嵌合することで、軸方向の移動をガイドされる。また、リフター部84bの先端部には、ボールベアリング87が設けられており、リフターカム84は、ボールベアリング87を介してクラッチ機構51に接続される。
クラッチレバー81が回動されると、リフターカム84は、ピン86を介してガイド軸83bを中心に回動され、カム部84cがボール85に対して滑ることで、軸方向に移動する。クラッチ機構51は、リフターカム84の軸方向の移動に連動して、接続及び切断される。
クラッチレバー81のクラッチ側ドグ穴81cは、蓄力カラー78のクラッチ側ドグ歯78bよりも周方向に大きな幅を有しており、クラッチ側ドグ歯78bは、蓄力カラー78が所定の角度だけ回転した時に初めてクラッチ側ドグ穴81cを周方向に押圧し、クラッチレバー81を回動させる。ここで、蓄力カラー78の上記所定の角度は、蓄力スプリング80が十分な力を蓄力する角度よりも大きな角度である。すなわち、本実施の形態では、蓄力スプリング80の蓄力が完了した後に、クラッチレバー81が回動されてクラッチ機構51が切断され、蓄力が開放される。このため、迅速に変速を行うことができる。
図4は、クラッチ機構51の断面図である。
図2〜図4に示すように、メイン軸56の軸端には、クランク軸23のプライマリギア37に噛み合うプライマリドリブンギヤ69が、メイン軸56に対して相対回転可能に軸支されている。
クラッチ機構51は、プライマリドリブンギヤ69に固定されるカップ状のクラッチアウタ91と、クラッチアウタ91の径方向内側に設けられ、メイン軸56に一体に固定されるクラッチセンタ92と、メイン軸56の軸方向に移動可能なプレッシャプレート93と、プレッシャプレート93とクラッチセンタ92との間に設けられるクラッチ板94と、クラッチを接続する方向にプレッシャプレート93を付勢するメインスプリング95と、クラッチを切断する方向にプレッシャプレート93を移動させるリフタープレート96と、リフタープレート96とクラッチセンタ92との間に狭持されるサブスプリング97と、クラッチ板94とプレッシャプレート93との間に狭持されるジャダースプリング98とを備える。クラッチセンタ92及びプレッシャプレート93は組み合されて一体となり、クラッチアウタ91の内側に配置されるクラッチインナ90を構成する。
クラッチアウタ91は、プライマリドリブンギヤ69の外側面に一体に固定される円板部91aと、円板部91aの周縁部からメイン軸56と略同軸の位置関係で延びる外側円筒部91bとを備える。クラッチアウタ91は、プライマリドリブンギヤ69と一体にメイン軸56に対して相対回転可能である。
クラッチセンタ92は、メイン軸56に固定される円筒状のハブ部92aと、ハブ部92aの軸端部からクラッチアウタ91の内周面近傍まで径方向外側に延びる円板状の受け板部92bとを備える。受け板部92bには、プレッシャプレート93の一部が挿通される支持孔92cが形成されている。支持孔92cは、受け板部92bの周方向に並べて複数形成されている。また、受け板部92bは、クラッチ板94を受ける受け面92dを外周部に有し、受け面92dの反対側の面には、外周部に沿って円環状にリフタープレート96側へ突出するバネ保持凸部92eを有する。クラッチセンタ92は、スプライン嵌合及びナット89によってメイン軸56に固定されており、メイン軸56に対し、相対回転不能且つ軸方向に移動不能である。
プレッシャプレート93は、クラッチアウタ91の内側においてクラッチセンタ92の受け板部92bに対向する向きで配置される内側円板部93aと、内側円板部93aの周縁部からクラッチアウタ91の円板部91a側にメイン軸56と略同軸の位置関係で延びる内側円筒部93bと、内側円筒部93bの先端部からクラッチアウタ91の内周面近傍まで径方向外側に延びる押圧板部93cとを備える。プレッシャプレート93は、クラッチセンタ92対し、所定の回転角度だけ相対回転可能に形成されている。
内側円板部93aには、クラッチセンタ92のハブ部92aの外周面に摺動自在に嵌合する嵌合孔93dが形成されている。また、内側円板部93aにおいて嵌合孔93dの周囲には、クラッチセンタ92の支持孔92cを貫通してリフタープレート96側へ延びるレリーズボス99が形成されている。
レリーズボス99は、内側円板部93aの周方向に略等間隔をあけて複数並べて形成されている。レリーズボス99は、支持孔92cに挿通される円柱部99aと、先端部において円柱部99aよりも小径に形成されたガイド軸部99bとを有し、ガイド軸部99bと円柱部99aとの境界部には、ガイド軸部99bよりも大径の段部99cが形成されている。
ガイド軸部99bの先端面には、ガイド軸部99bよりも大径のワッシャにより構成されるストッパ板105が設けられ、ストッパ板105は、ガイド軸部99bの先端面に螺合する固定ボルト106よってレリーズボス99に固定される。
クラッチ板94は、クラッチアウタ91に設けられる外側摩擦板94aと、クラッチセンタ92に設けられる内側摩擦板94bとを備え、外側摩擦板94a及び内側摩擦板94bは、プレッシャプレート93とクラッチセンタ92との間に交互に複数枚重ねて配置されている。各外側摩擦板94aは、クラッチアウタ91の外側円筒部91bにスプライン嵌合によって支持されており、クラッチアウタ91の軸方向に移動可能且つクラッチアウタ91に対して回転不能に設けられている。
各内側摩擦板94bは、プレッシャプレート93の内側円筒部93bの外周面にセレーション嵌合によって支持されており、プレッシャプレート93の軸方向に移動可能且つプレッシャプレート93に対して回転不能に設けられている。
各外側摩擦板94aの内、プレッシャプレート93の押圧板部93cに直接当接する外側摩擦板94a1は、他の外側摩擦板94aよりも内周部100が大径となっており、この内周部100と内側円筒部93bとの間にはジャダースプリング98が設けられる。ジャダースプリング98は、リング状の皿バネであり、各内側摩擦板94b、及び、外側摩擦板94a1を除く各外側摩擦板94aをクラッチセンタ92の受け板部92b側へ押圧する。
プレッシャプレート93の内側円筒部93bの内側の内側円板部93aには、板状のバックトルクリミット部材101が固定されている。バックトルクリミット部材101は、固定ボルト106と同軸に設けられるボルト108によって固定される。
バックトルクリミット部材101、及び、クラッチセンタ92の受け板部92bに固定されるリフターピン120は、バックトルクリミッタ機構を構成する。バックトルクリミッタ機構は、例えば、特開平8−93786号公報に記載された公知のものであり、順方向の動力伝達とは逆方向に所定値以上のトルクが作用した場合に、クラッチを接続状態から半クラッチ状態にする機構である。
バックトルクリミット部材101は、プレッシャプレート93を貫通してリフターピンに係合するカム部101bを備えている。後輪13側から所定値以上のバックトルクが作用すると、プレッシャプレート93がクラッチセンタ92に対して相対回転することで、カム部101bがリフターピン120上を摺動し、プレッシャプレート93はクラッチ切断方向に移動する。バックトルクリミッタ機構によれば、バックトルクに起因する変速ショックを低減できる。
クラッチセンタ92のハブ部92aにおける円板部91a側の外周面には、リング状のクリップ102が嵌め込まれ、クリップ102は、メインスプリング95を受けるリング状のリテーナー103を支持する。
メインスプリング95は、リング状の皿バネであり、プレッシャプレート93側のバックトルクリミット部材101とリテーナー103との間で狭持される。詳細には、メインスプリング95は、クラッチセンタ92のハブ部92aとプレッシャプレート93の内側円筒部93bとの間に配置され、外径部がバネ受け部材101aを介してバックトルクリミット部材101に支持され、内径部がリテーナー103に支持される。
メインスプリング95は、プレッシャプレート93とクラッチセンタ92とでクラッチ板94を狭持する方向、すなわち、クラッチを接続する方向へプレッシャプレート93を付勢する。
リフタープレート96は、円板状に形成されており、クラッチセンタ92とリフターカム84(図3)との間に配置される。リフタープレート96は、ボールベアリング87が嵌着されるベアリング支持孔部96aと、プレッシャプレート93のレリーズボス99が挿通される孔部96bとを備える。
ベアリング支持孔部96aには、ボールベアリング87の外輪が嵌着され、ボールベアリング87の内輪は、リフターカム84のリフター部84bの外周面に嵌着されている。このため、リフタープレート96は、リフターカム84と共に軸方向に移動可能であるとともにリフターカム84に対して相対回転可能である。
孔部96bは、ストッパ板105及び段部99cよりも小径の孔であり、孔部96bの周縁部には、段部99cに対し略平行な当接面96cが形成されている。
孔部96bは、リフタープレート96の中央部に設けられたベアリング支持孔部96aの周囲に複数形成されている。各孔部96bは、各レリーズボス99のガイド軸部99bに嵌合する。リフタープレート96は、各孔部96bがガイド軸部99bに嵌合された後、ストッパ板105及び固定ボルト106が固定されることでプレッシャプレート93に連結される。
リフタープレート96は、サブスプリング97を受けるサブスプリング受け部96dを、クラッチセンタ92の受け板部92bに対向する面に有する。サブスプリング受け部96dは、各孔部96bよりも径方向外側に位置する。
サブスプリング97は、リング状の皿バネであり、リフタープレート96のサブスプリング受け部96dとクラッチセンタ92の受け板部92bとの間に狭持される。詳細には、サブスプリング97は、バネ保持凸部92eの内側に配置された受け部材107aを介して外径部がクラッチセンタ92に支持され、内径部がサブスプリング受け部96dに配置された受け部材107bを介してリフタープレート96に支持される。
サブスプリング97は、メイン軸56に固定されたクラッチセンタ92をばね座として、リフタープレート96をストッパ板105に当接させる方向に付勢している。このサブスプリング97の付勢力は、リフタープレート96、ストッパ板105及び固定ボルト106を介してプレッシャプレート93に伝達され、プレッシャプレート93は、サブスプリング97側に引っ張られるようにして、クラッチ板94を押圧する。すなわち、サブスプリング97の付勢方向は、メインスプリング95の付勢方向と同一であり、クラッチ接続方向である。
リフタープレート96は、サブスプリング97を介してプレッシャプレート93をクラッチ接続方向に付勢するサブプレッシャプレートとしても機能する。
クラッチ接続状態では、メインスプリング95及びサブスプリング97の付勢力によってクラッチ板94が狭持され、プライマリギア37によって回転させられるクラッチアウタ91の回転を、クラッチ板94を介してクラッチセンタ92に伝達可能になり、メイン軸56がクラッチセンタ92と一体に回転される。
リフターカム84を介し、メインスプリング95及びサブスプリング97の付勢力に抗してプレッシャプレート93が移動させられると、クラッチ板94の狭持が解除され、クラッチ切断状態となる。
リフタープレート96における当接面96cの部分の板厚は、ガイド軸部99bの長さよりも小さく形成されており、クラッチが接続された状態では、レリーズボス99の段部99cと当接面96cとの間には隙間Gが形成されている。
シフトスピンドル71の回転に伴いクラッチレバー81が回動されてリフターカム84が軸方向に移動すると、リフタープレート96は、ボールベアリング87を介して押圧されてストッパ板105から離れる方向にリフトされ、隙間Gを小さくするようにクラッチセンタ92側へ移動する。
図5は、クラッチ機構51のクラッチ容量を示す図の一例である。
図5に示すように、本実施の形態では、クラッチ機構51の容量が、クラッチ容量に寄与するスプリングが変更されることで可変となっている。詳細には、クラッチ容量は、メインスプリング95及びサブスプリング97の付勢力によってクラッチ容量が決まる最大容量と、メインスプリング95の付勢力によってクラッチ容量が決まる中間容量と、メインスプリング95によって押圧されるジャダースプリング98の付勢力によってクラッチ容量が決まる小容量との複数の段階に可変である。
クラッチ容量の最大容量は、図4に示すクラッチ接続状態で得られ、この状態では、リフタープレート96がストッパ板105に当接しており、サブスプリング97の付勢力が、リフタープレート96及びストッパ板105を介してプレッシャプレート93に伝達されている。このため、プレッシャプレート93がクラッチ板94を押圧する付勢力は、メインスプリング95及びサブスプリング97の付勢力を足し合わせたものとなり、最大となる。
すなわち、リフタープレート96及びストッパ板105は、サブスプリング97の付勢力をプレッシャプレート93に伝達するサブスプリング荷重伝達経路Sを構成している。
図6は、中間容量の状態のクラッチ機構51を示す断面図である。
アクチュエータ機構54(図3)によるシフトスピンドル71の回転に伴いリフターカム84がクラッチ切断方向に移動すると、図6に示すように、リフタープレート96は、サブスプリング97の付勢力に抗してガイド軸部99bに沿って段部99c側へリフトされ、ストッパ板105から離れる。
リフタープレート96がストッパ板105から離れることで、サブスプリング荷重伝達経路Sは遮断され、サブスプリング97の付勢力は、プレッシャプレート93に伝達されなくなり、クラッチ容量は、メインスプリング95のみによって決定されるようになる。このため、図5に示すように、リフタープレート96がストッパ板105から離れた瞬間に、クラッチ容量は最大容量から中間容量に低下する。サブスプリング荷重伝達経路Sを遮断させるリフタープレート96の第1の所定リフト量L1(第1の所定量)は、0よりも大きければ良く、各部品の寸法精度等によって決まる。
リフタープレート96がストッパ板105から離れた後、リフターカム84の移動が継続されると、リフタープレート96は、段部99c側へさらに移動を継続する。リフタープレート96がストッパ板105から離れてから段部99cに当接するまでの区間が中間容量の区間である。この区間では、リフタープレート96は、段部99cに対して相対移動するだけであり、メインスプリング95の荷重に影響しない。このため、図5に示すように、中間容量の区間では、メインスプリング95のみよってクラッチ容量が決まり、中間容量は一定である。本実施の形態では、隙間Gによる遊びが設けられているため、中間容量を得られる区間を長くでき、部品や制御手法を高精度にしなくとも、クラッチ容量を可変にできる。
図7は、小容量の状態のクラッチ機構51を示す断面図である。
リフターカム84によってリフタープレート96が第2の所定リフト量L2(第2の所定量)だけ移動させられ、図7に示すように、リフタープレート96が段部99cに当接すると、プレッシャプレート93は、リフタープレート96によって押圧され、メインスプリング95の付勢力に抗してクラッチ切断方向に移動する。小容量の区間は、リフタープレート96が段部99cに当接してからクラッチが完全に切断されるまでの区間である。
プレッシャプレート93が移動して押圧板部93cが外側摩擦板94a1から離れると、ジャダースプリング98がクラッチ容量を決定する。ジャダースプリング98は、外側摩擦板94a1に隣接する内側摩擦板94bを介して外側摩擦板94a1を除くクラッチ板94を押圧する。ジャダースプリング98は、クラッチ切断方向へのプレッシャプレート93の移動に伴って徐々に圧縮状態が解除されるため、小容量の区間では、クラッチ容量は、緩やかに低下する。このため、クラッチ切断付近でのトルクの変動を抑制でき、変速ショックを低減できる。ジャダースプリング98がクラッチ板94又はプレッシャプレート93から離れるとクラッチ容量は0になる。
制御ユニット17は、自動変速する際、カウンタ軸57のトルクに基づいて、アクチュエータ機構54を駆動し、変速ショックを低減できるクラッチ容量を選択する。例えば、1速から2速にシフトアップする際、制御ユニット17は、検出した変速前のカウンタ軸57のトルクに基づいて、変速ショックを低減するように、最大容量または中間容量のいずれかのクラッチ容量を選択し、変速機50の歯車列を変速後、上記選択したクラッチ容量でクラッチ機構51を繋ぐ。具体的には、クラッチ機構51のクラッチ容量が、変速前のカウンタ軸トルクと変速後のカウンタ軸トルクとの間の値になるようにクラッチ容量が選択される。
これにより、クラッチ機構51によるカウンタ軸57側とクランク軸23側との間の回転差吸収を適切に行うことができ、変速ショックを低減できる。ここで、変速の前後におけるカウンタ軸57のトルクは、例えば、エンジン回転数、スロットル開度及びカウンタ軸57のトルクの関係を記憶したマップに基づいて求められる。
図8は、リフターカム84の平面図である。
リフターカム84のリフター部84bは円板状に形成されており、連結部84aは、リフター部84bの外周部の一部から径方向外側に突出して形成されている。ボール85に当接するカム部84cは、ガイド穴84dの周囲おいて、周方向の複数箇所(本実施の形態では3個所)に分かれて配置されている。各カム部84cの形状は同一形状である。ボール85は、カム部84cに対応して3個所に設けられる。連結部84aには、クラッチレバー81のピン86が連結されるガイド孔84eが形成されている。
リフターカム84は、シフトスピンドル71の正転または逆転に伴い、クラッチレバー81のピン86を介して操作され、ガイド穴84dに嵌合するガイド軸83bを中心に回動し、カム部84cがボール85上を滑ることで、軸方向に移動する。すなわち、リフターカム84は、クラッチレバー81の回転方向の移動量をリフターカム84の軸方向の移動量に変換する。そして、リフターカム84の軸方向の移動量は、カム部84cの形状によって決まる。
図9は、図8のIX−IX断面図である。
カム部84cは、リフターカム84の単一方向の回動によって、クラッチが2回切断されるように、複数の斜面及び谷部が形成されたカムプロフィールを備える。
カム部84cは、クラッチ機構51のクラッチ接続状態に対応した接続谷部110(初期位置)を基準位置として有する。接続谷部110は、カム部84cの最も深い位置に形成された谷部であり、接続谷部110にボール85が係合した状態では、クラッチ機構51は完全に接続されている。カム部84cには、接続谷部110を基準位置とし、シフトダウン方向及びシフトアップ方向が、接続谷部110の周方向の両側に設定されている。
カム部84cにおいては、最も深い接続谷部110でクラッチ接続状態となり、カムプロフィールの斜面が接続谷部110よりも高くなるに連れて、クラッチが切断されて行く。すなわち、図9中において、カムプロフィールが接続谷部110よりも高くなる方向は、クラッチ切断方向であり、その逆方向がクラッチ接続方向である。
本実施の形態では、カム部84cは、シフトスピンドル71が正転すると、シフトアップ方向に回動し、シフトスピンドル71が逆転するとシフトダウン方向に回動する。ここで、「シフトアップ方向」は、ボール85がリフターカム84に対して相対的にシフトアップ方向に移動する方向であり、実際のリフターカム84の回動方向はシフトアップ方向とは逆の方向であるが、以下の説明では、図9中に矢印で示す方向をシフトアップ方向とする。同様に、「シフトダウン方向」は、ボール85がリフターカム84に対して相対的にシフトダウン方向に移動する方向であり、実際のリフターカム84の回動方向はシフトダウン方向とは逆の方向であるが、以下の説明では、図9中に矢印で示す方向をシフトダウン方向とする。
接続谷部110に隣接してシフトダウン方向には、シフトダウン用段部115が形成されている。シフトダウン用段部115は、カム部84cにおいて最も高い段部であり、リフターカム84のリフト方向の軸線に直交する平坦面となっている。
接続谷部110とシフトダウン用段部115とは、接続谷部110からシフトダウン用段部115側に上り傾斜となるシフトダウン側下斜面115aと、シフトダウン側下斜面115aよりも緩い傾斜のシフトダウン側上斜面115bとによって滑らかに繋がれている。
接続谷部110に隣接してシフトアップ方向には、接続谷部110から立ち上がり、シフトアップ方向側へ行くほどクラッチ接続方向に高くなる第1の斜面111と、第1の斜面111からシフトアップ方向側へクラッチ接続方向に下る谷部112と、谷部112からシフトアップ方向側へクラッチ切断方向に上る第2の斜面113と、第2の斜面113の上端で平坦となる切断段部114(クラッチ切断位置、第2のクラッチ切断位置)とが形成されている。
谷部112は、接続谷部110よりも浅く形成されており、接続谷部110よりもクラッチ切断方向側に位置する。
切断段部114は、シフトダウン用段部115と同一の高さであるとともにシフトダウン用段部115に平行である。切断段部114とシフトダウン用段部115との高さは同一であり、図8に示すように、一つの切断段部114は、隣接する他のカム部84cのシフトダウン用段部115に連続している。
接続谷部110、シフトダウン用段部115、第1の斜面111、谷部112、第2の斜面113及び切断段部114は曲面状に繋がれており、ボール85は、このカムプロフィール上を滑らかに移動する。
図10は、シフトアップ方向側のカムプロフィールの拡大図である。図10では、カム部84cに沿って移動するボール85の中心の軌跡Qと、クラッチ機構51が切断されるリフターカム84のリフト量であるクラッチ切れリフト量Yとが示されている。クラッチ切れリフト量Yは、ボール85の中心を基準に示されている。リフターカム84のリフト量はリフタープレート96のリフト量に相当する。
シフトスピンドル71が所定量だけ回動されてリフターカム84が回動され、ボール85が接続谷部110からシフトアップ方向側に移動すると、まず、ボール85は、第1の斜面111に沿ってクラッチ切断方向に移動する。ボール85が第1の斜面111の頂部111a(第1のクラッチ切断位置)付近に達すると、リフターカム84のリフト量は、クラッチ切れリフト量Yよりも大きいリフト量Y1となり、クラッチは切断される。
シフトスピンドル71の駆動により、ボール85が谷部112側に移動し、谷部112の底部112a(クラッチ接続位置、半クラッチ位置)付近に達すると、リフターカム84のリフト量は、クラッチ切れリフト量Yよりも小さいリフト量Y2となり、クラッチは再び接続される。すなわち、谷部112の底部112aは、クラッチが再び接続されるクラッチ再接続範囲Rを有する。
クラッチ再接続範囲Rでは、クラッチ機構51は半クラッチ状態となり、クラッチ容量は、図5に示す中間容量となる。
シフトスピンドル71の駆動により、ボール85が谷部112から第2の斜面113に沿って移動すると、リフターカム84のリフト量は、クラッチ切れリフト量Y及びリフト量Y1よりも大きいリフト量となり、クラッチは再び切断される。
シフトスピンドル71の駆動により、ボール85が平坦な切断段部114に達した状態では、リフターカム84のリフト量は、クラッチ切れリフト量Y及びリフト量Y1よりも大きいリフト量となり、クラッチは切断された状態が維持される。
すなわち、本実施の形態では、クラッチ機構51は、リフターカム84が単一方向に回動してボール85が接続谷部110から切断段部114に移動する際に、第1の斜面111で1回目の切断が行われ、谷部112で再び接続されて半クラッチ状態とされ、第2の斜面113で2回目の切断が行われ、切断段部114に達するとクラッチ切断状態が維持される。
ここで、シフト装置53のドグ当たり及び浅噛みについて説明する。
図11は、変速機50の断面図である。図11では、1速の変速段が確立されている状態が示されている。
図11に示すように、従動ギア59cは、カウンタ軸57に対して軸方向にスライド可能且つ相対回転不能に設けられた第1のシフターであり、シフトフォーク60bによってスライド操作される。従動ギア59cは、1速用の従動ギア59dのドグ孔130に噛み合うシフター側ドグ歯131を側面に複数備える。従動ギア59dは、カウンタ軸57に対して相対回転可能なフリーギアである。シフター側ドグ歯131がドグ孔130に噛み合うことで、従動ギア59dが従動ギア59cと一体となってカウンタ軸57に固定され、1速が確立される。
駆動ギア58bは、カウンタ軸57に対して軸方向にスライド可能且つ相対回転不能に設けられた第2のシフターであり、シフトフォーク60aによってスライド操作される。駆動ギア58bは、2速用の駆動ギア58a側に突出するシフター側ドグ歯132を側面に複数備える。駆動ギア58b及び従動ギア59cは、シフト装置53の一部である。
2速用の駆動ギア58aは、メイン軸56に対して相対回転可能なフリーギアであり、2速用の従動ギア59aは、カウンタ軸57に一体に固定された固定ギアである。駆動ギア58aは、シフター側ドグ歯132側に突出するドグ歯133を側面に複数備える。
1速の変速段が確立されている状態では、駆動ギア58bは、駆動ギア58aから離れており、シフター側ドグ歯132は、ドグ歯133に噛み合っていない。
図12は、ドグ当たりが発生した状態の変速機50の断面図である。
制御ユニット17の変速の指令が出されると、シフトスピンドル71の回動に伴って蓄力機構74による蓄力が開始され、シフトスピンドル71の回動角度が所定の角度に達すると、クラッチが切断されて蓄力が開放される。蓄力の開放によって、シフトドラム63を介してシフトフォーク60aが駆動され、駆動ギア58bが駆動ギア58a側にスライドされ、シフター側ドグ歯132がドグ歯133に噛み合う。この際、シフター側ドグ歯132がドグ歯133に完全に噛み合うことで、2速が確立される。また、従動ギア59cがシフトフォーク60bによってスライドされて従動ギア59dから離れることで、1速が解除される。
変速機50は常時噛み合い式であり、駆動ギア58bと駆動ギア58aとは相対回転しているため、変速時に駆動ギア58bをスライドさせた場合、シフター側ドグ歯132とドグ歯133とが正常な深さで噛み合う場合もあれば、シフター側ドグ歯132及びドグ歯133の頂面同士が当たる「ドグ当たり」が発生する場合もある。
変速後のクラッチ接続時には、通常、クランク軸23側のクラッチアウタ91の方が、変速機50側のクラッチインナ90よりも回転数が高いため、メイン軸56は回転が加速され、メイン軸56上にスプライン嵌合された駆動ギア58bも回転が加速される。これにより、シフター側ドグ歯132及びドグ歯133の頂面同士の摩擦よりも、駆動ギア58bの回転力が勝り、駆動ギア58bが駆動ギア58aに対して相対回転することで、ドグ当たりが解消される。
ところが、駆動ギア58bは駆動ギア58aよりも速く回転しているため、シフター側ドグ歯132のスライド力が不足すると、シフター側ドグ歯132が、完全にドグ歯133に噛み合う前に、シフター側ドグ歯132及びドグ歯133の側面同士が接してしまい、噛み合いの深さが浅くなることがある。このような、ドグ歯が通常の噛み合い深さよりも浅い状態で噛み合う状態を、ここでは「浅噛み」と定義する。
図13は、浅噛みが発生した状態の変速機50の断面図である。図14は、シフター側ドグ歯132が通常の深さまで噛み合った状態の変速機50の断面図である。
浅噛み状態では、互いに接触しているシフター側ドグ歯132及びドグ歯133の側面同士の間にはエンジン21の駆動力が作用しているため、摩擦力が生じ、駆動ギア58bはスライドし難い。このため、浅噛みの状態が継続される。
浅噛みを解消しようとする方法について説明する。蓄力機構74を備えた構成においては、浅噛みが発生した状態では、蓄力による駆動ギア58bをスライドさせる力が残っている。このため、クラッチを切断することで、シフター側ドグ歯132及びドグ歯133の側面同士の間の摩擦力を生じさせていた駆動力が抜け、蓄力により駆動ギア58bがスライドし、シフター側ドグ歯132が通常の深さまで噛み合うようになり、図14に示すように、浅噛みは解消される。
次に、比較例の構成において、ドグ当たり及び浅噛みを解消する手順について説明する。
図15は、比較例におけるドグ当たり及び浅噛みの解消を説明するチャートである。
この比較例では、リフターカムのカム部が谷部112(図10)を備えておらず、そのカム部は、接続谷部110と切断段部114との間が、緩やかな登り斜面によって繋がれる形状の特開平11−247883号公報等にて公知のカムプロフィールを備える。この比較例のその他の構成は、本実施の形態と同様である。
図15では、図中の上から順に、モーター70の回転方向、ギアポジション、シフトスピンドル71の角度、リフタープレート96のリフト量(クラッチリフト量)、及び、シフトドラム63の回転角度が、時間に対して示されている。図15中の記号Nはニュートラル状態を指す。
1速から2速にシフトアップを行う場合、制御ユニット17は、ボール85が接続谷部110(図10)に位置する状態からモーター70を正転し、シフトスピンドル71を駆動する。これにより、蓄力が開始され、所定の大きさの蓄力が開始されたところで、クラッチが切断され、蓄力の開放によってシフト装置53の駆動ギア58b及び従動ギア59cがスライドされることで変速動作が行われる。制御ユニット17は、シフトスピンドル71が、その回動を規制する部材に突き当たる角度までモーター70を駆動し、突き当たったところでモーター70を停止する。この状態では、ボール85は、切断段部114(図10)に位置する。図15には、変速動作が行われる変速動作区間Hが示されている。
多くの場合は図14の破線に示されるように正常な変速がなされる。しかし、低い確率で、変速動作の際にドグ当たりが発生する。変速動作の際、駆動ギア58bのシフター側ドグ歯132と駆動ギア58aのドグ歯133との間にドグ当たりが発生していることを検出すると、制御ユニット17は、モーター70を逆転させる。これにより、クラッチリフト量が減少してクラッチは接続状態となり、駆動ギア58bが駆動ギア58aに対して相対回転し、ドグ当たりが解消される。このようにドグ当たりの発生時にクラッチを接続してドグ当たりの解消を図る動作をここでは「ドラッグ」と呼ぶ。図15には、ドグ当たりが発生及び解消されるドグ当たり発生・解消区間Iが示されている。
ドラッグによってドグ当たりが解消されたとしても浅噛みが発生する可能性があるため、制御ユニット17は、モーター70を正転させ、クラッチを再び切断する。これにより、シフター側ドグ歯132及びドグ歯133間の駆動力が抜け、蓄力により駆動ギア58bがスライドし、浅噛みは解消される。図15には、浅噛みが発生する浅噛み発生区間J、及び、浅噛みが解消される浅噛み解消区間Kが示されている。
その後、制御ユニット17は、モーター70を逆転してクラッチを接続し、1速から2速へのシフトアップが完了する。
すなわち、比較例の構成においては、制御ユニット17は、最初の変速動作のためにモーター70を正転し、ドグ当たりを解消するためにモーター70を逆転し、浅噛みを解消するためにモーター70を正転し、変速の完了時にクラッチを接続するためにモーター70を逆転しており、シフトアップの際にモーター70の正転及び逆転を繰り返している。このモーター70の正転及び逆転を繰り返す区間は、クラッチが切断状態あるいは半クラッチ状態となって駆動力が出ない駆動力中断区間Uである。特に、自動で変速が行われる自動変速装置Tにおいては、駆動力中断区間Uが長いと、運転者にとって違和感となり得るため、この区間を短くすることが望ましい。
図16は、本実施の形態におけるドグ当たり及び浅噛みの解消を説明するチャートである。図中の上から順に、モーター70の回転方向、ギアポジション、シフトスピンドル71の角度、リフタープレート96のリフト量(クラッチリフト量)、及び、シフトドラム63の回転角度が、時間に対して示されている。図16中の記号Nはニュートラル状態を指す。
図16及び図10を参照し、本実施の形態では、1速から2速にシフトアップを行う場合、制御ユニット17は、ボール85が接続谷部110に位置する状態からモーター70を正転し、シフトスピンドル71を駆動する。モーター70の正転に伴い、蓄力が開始されるとともに、ボール85が第1の斜面111の頂部111a付近まで移動すると、リフターカム84のリフト量がクラッチ切れリフト量Yを超え、クラッチが切断される。クラッチの切断に伴う蓄力の開放によってシフト装置53の駆動ギア58b及び従動ギア59cがスライドされ、駆動ギア58b及び従動ギア59cによる変速動作が行われる。図16には、変速動作が行われる変速動作区間Hが示されている。
ここで、図16の下部に示す仮想ドラム角は、蓄力機構74が設けられていない場合のシフトドラム63の仮想の回転角度を示すものであり、本実施の形態では仮想ドラム角に対応する分だけ蓄力が行われていることを示している。
次いで、制御ユニット17は、モーター70の正転を継続し、これに伴い、ボール85が谷部112に沿ってクラッチ接続方向に移動し、ボール85が底部112a付近に達すると、リフターカム84のリフト量はリフト量Y2となり、クラッチが半クラッチ状態で接続される。すなわち、ボール85が頂部111aから谷部112の底部112aに移動する動作によって1回目のドラッグd1が行われる。このため、上記変速動作時に、シフター側ドグ歯132とドグ歯133との間にドグ当たりが発生していたとしても、1回目のドラッグd1によって駆動ギア58bを駆動ギア58aに対して相対回転させることができ、ドグ当たりを解消できる。また、1回目のドラッグd1は、ドグ当たりの発生の有無に関わらず、谷部112を通過する際に必ず行われる。このため、ドグ当たりの発生を検出する必要がなく、制御が容易である。さらに、1回目のドラッグd1では、クラッチは半クラッチの状態となるため、リフタープレート96の移動量を最小限にでき、ドラッグにかかる時間を短くできる。図16には、ドグ当たりの発生・解消及び浅噛みが生じるドラッグ区間Dが示されている。
なお、ドグ当たりが発生しない正常な変速動作時には、1速から2速にスムーズに変速が行われ、この場合、図16の下部に破線で示すように、シフトドラム63の回転角度は、斜めに略真直ぐに推移する。ドグ当たりの発生頻度は、正常な変速の発生頻度よりも低い。
続いて、制御ユニット17は、モーター70の正転を継続し、これに伴い、ボール85は第2の斜面113に沿ってクラッチ切断方向に移動し、リフターカム84のリフト量がクラッチ切れリフト量Yよりも大きくなったところで、クラッチが再び切断される。このように、1回目のドラッグd1の直後にクラッチが切断されて駆動力が抜けるため、1回目のドラッグd1の際にシフター側ドグ歯132とドグ歯133との間で浅噛みが発生していたとしても、蓄力によって駆動ギア58bをスライドさせることができ、浅噛みを解消できる。図16には、浅噛みが解消される浅噛み解消区間Kが示されている。
さらに、制御ユニット17は、シフトスピンドル71がその回動を規制する部材に突き当たる角度までモーター70を駆動し、突き当たったところでモーター70を停止する。これに伴い、リフターカム84のリフト量は増加し、ボール85は、切断段部114に位置する。シフトアップの際、制御ユニット17は、ボール85の移動をカムプロフィールの途中までで終わらせることはなく、ボール85を必ず切断段部114まで移動させる。
ボール85が接続谷部110から切断段部114に移動する際、モーター70は停止することなく単一方向(正転方向)に回転し、リフターカム84も単一方向に回動する。
本実施の形態では、接続谷部110と切断段部114との間に、一度切断されたクラッチを再び接続させる谷部112を設けたため、リフターカム84を単一方向に回動させるだけで、ドラッグ及び、ドラッグ後のクラッチの切断を行うことができる。このため、シフトスピンドル71の正転及び反転を繰り返すことなく、ドグ当たり及び浅噛みを解消できるとともに、正転及び反転を繰り返さない分だけ駆動力抜け時間を低減できる。
制御ユニット17は、停止してから所定の時間が経過するとモーター70を逆転し、ボール85はカムプロフィールに沿って切断段部114から接続谷部110に移動する。これにより、クラッチが接続され、1速から2速へのシフトアップが完了する。ボール85が切断段部114から接続谷部110に移動する途中では、ボール85が谷部112を通過する際に2回目のドラッグd2が行われる。
本実施例において、変速動作の開始からシフトアップの完了時までの駆動力が出ない駆動力中断区間U(図16)は、図15に示す比較例に比して、正転及び反転を繰り返さない分だけ短い。また、モーター70は、所定の突き当て位置まで回転したことを条件として反転するため、簡単な制御でドグ当たりの解消及び浅噛みの発生の防止を図ることができる。
図17は、本実施の形態におけるドグ当たり及び浅噛みの解消を説明するチャートである。図17では、1回目のドラッグd1でドグ当たりが解消されず、2回目のドラッグd2でドグ当たりが解消される場合が示されており、図16と同様な部分は説明を省略する。
1回目のドラッグd1でドグ当たりが解消されない場合、ボール85が切断段部114に達した状態においてもドグ当たりは維持されている。
ボール85が切断段部114から接続谷部110に移動する際、ボール85が谷部112に達すると、クラッチが接続されて2回目のドラッグd2が行われ、ボール85が第1の斜面111の頂部111a付近まで移動すると、クラッチが再び切断される。
このように、ボール85が切断段部114から接続谷部110に戻る段階においても、ドラッグ及びドラッグ後のクラッチの切断が行われるため、1回目のドラッグd1でドグ当たりを解消できなかったとしても、2回目のドラッグd2でドグ当たりを解消できるとともに、2回目のドラッグd2後のクラッチの切断によって、浅噛みも解消できる。
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、モーター70に駆動される単一のシフトスピンドル71によって、エンジン21と変速機50との間に設けられるクラッチ機構51を切断方向にリフトするリフタープレート96と、常時噛み合い式の変速機50のシフト装置53と、が操作される自動変速装置Tにおいて、リフタープレート96に当接されるリフターカム84が、接続谷部110と切断段部114との間に、一度切断されたクラッチ機構51を再接続させる谷部112を有し、リフターカム84の単一方向の回動に伴いクラッチ機構51が2回切断される。このため、リフターカム84を単一方向に回動するだけで、クラッチ機構51を2回切断でき、仮に、リフターカム84の回動途中にシフト装置53でドグ当たりが発生し、谷部112で浅噛みが発生した場合においても、谷部112と切断段部114との間で再びクラッチ機構51が切断される際に浅噛みを解消できる。従って、ドグ当たり及び浅噛みを解消するために、シフトスピンドル71の正転及び反転を繰り返す必要が無く、ドグ歯の浅噛み抑止と駆動力抜け時間の低減とを両立することができる。
また、リフターカム84のカムプロフィールには、接続谷部110から頂部111aまで延びる第1の斜面111と、第1の斜面111に連続するとともに底部112aまで延びる谷部112と、谷部112に連続するとともに切断段部114まで延びる第2の斜面113とが形成されているため、第1の斜面111でクラッチ機構51を一度切断させ、谷部112でクラッチを一度接続させた後、第2の斜面113側でクラッチ機構51を再び切断することができる。従って、仮に第1の斜面111でシフト装置53にドグ当たりが発生し、谷部112でシフト装置53に浅噛みが発生したとしても、第2の斜面113側で再びクラッチ機構51が切断される際に浅噛みを解消できる。
また、リフターカム84のカムプロフィールの谷部112が半クラッチ位置である底部112aまで延びる形状とされるため、リフタープレート96の移動量を最小限にでき、ドグ当たり及び浅噛みを解消可能でありながら、変速操作にかかる時間を極力短くできる。
さらに、シフトスピンドル71を、浅噛みの発生の有無にかかわらず、リフターカム84の操作時に、リフターカム84を必ず第2の斜面113まで回動させるため、浅噛み発生の検出を行う必要がなく、制御方法を簡素にできる。さらに、第2の斜面113側から接続谷部110に戻る際にも谷部112を通るため、仮に1回目の谷部112の通過時に浅噛みが解消されなかった場合においても、戻る際に谷部112を通過することで、浅噛みを解消できる。
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、切断段部114を例に挙げて説明したクラッチ切断位置及び第2のクラッチ切断位置は、リフト量Y1と同程度、或いは、リフト量Y1よりもクラッチ切断方向側に位置していれば良く、例えば、第2の斜面113をクラッチ切断位置及び第2のクラッチ切断位置としても良い。
21 エンジン
50 変速機
51 クラッチ機構(クラッチ)
53 シフト装置
70 モーター(アクチュエータ)
71 シフトスピンドル
84 リフターカム
96 リフタープレート
110 接続谷部(初期位置)
111 第1の斜面
111a 頂部(第1のクラッチ切断位置)
112 谷部
112a 底部(クラッチ接続位置、半クラッチ位置)
113 第2の斜面
114 切断段部(クラッチ切断位置、第2のクラッチ切断位置)

Claims (4)

  1. アクチュエータ(70)に駆動される単一のシフトスピンドル(71)によって、エンジン(21)と変速機(50)との間に設けられるクラッチ(51)を切断方向にリフトするリフタープレート(96)と、常時噛み合い式変速機のシフト装置(53)と、が操作される変速装置において、
    前記リフタープレート(96)に当接されるリフターカム(84)が、初期位置(110)とクラッチ切断位置(114)との間に、一度切断された前記クラッチ(51)を再接続させる谷部(112)を有し、前記リフターカム(84)の単一方向の回動に伴い前記クラッチ(51)が2回切断されることを特徴とする変速装置。
  2. 前記リフターカム(84)のカムプロフィールには、前記初期位置(110)から第1のクラッチ切断位置(111a)まで延びる第1の斜面(111)と、当該第1の斜面(111)に連続するとともにクラッチ接続位置(112a)まで延びる前記谷部(112)と、当該谷部(112)に連続するとともに第2のクラッチ切断位置(114)まで延びる第2の斜面(113)と、が形成されていることを特徴とする請求項1記載の変速装置。
  3. 前記リフターカム(84)の前記カムプロフィールの前記谷部(112)が半クラッチ位置(112a)まで延びる形状とされることを特徴とする請求項2記載の変速装置。
  4. 前記シフトスピンドル(71)は、前記リフターカム(84)の操作時に、当該リフターカム(84)を必ず前記第2の斜面(113)まで回動させた後、前記初期位置(110)に戻すように回動されることを特徴とする請求項3記載の変速装置。
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