JP2016191389A - 車両の変速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の変速装置において、クラッチのタッチポイントを高精度に学習できるようにする。【解決手段】リターンスプリングとサブスプリングとがシフトスピンドルにかけるトルクの和は、モーターのコギングトルクよりも大きくなるように設定され、コギングトルクは、リターンスプリングのトルクよりも大きくなるように設定され、制御装置は、シフトスピンドルを第1の方向に所定量回動させた後、シフトスピンドルを第1の方向と反対方向に戻すように回動させて、モーターの駆動デューティDiの正負反転が生じる際のシフトスピンドルの反転回動角θrevに基づいて、クラッチが半クラッチ状態となるタッチポイントを学習する。【選択図】図20

Description

本発明は、車両の変速装置に関する。
従来例には、多板クラッチに関し、クラッチ容量が3段階(クラッチ全容量、中間容量大、中間容量小)で選択可能な構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このようなクラッチは、特に自動で変速を行ういわゆるAMT(Automated Manual Transmission)車両に好適である。その理由としては、AMT車両では運転者の意図しないタイミングで変速が行われるが、変速ギアの移動後のクラッチの接続時に、エンジン回転数(クラッチアウタ回転数)とメイン軸回転数(クラッチインナ回転数)とに回転差が生じる際、クラッチ容量をスロットル開度等に合わせて選択して変速ショックを低減できるということがある。
特許文献1では、単一のシフトスピンドルに、クラッチを操作するクラッチレバーと、チェンジ機構を操作するチェンジ操作部材(ギアシフトアーム及びマスターアーム)との両方が設けられるいわゆる連動スピンドルが採用されている。本願では、シフトスピンドルを回動した際にクラッチのクラッチ全容量と中間容量とが切り替わるシフトスピンドルの回動角を「タッチポイント」と定義する。
特許文献1では、クラッチ容量の中間容量大及び中間容量小に対応するシフトスピンドルの回動角にそれぞれ幅を持たせ易いため、シフトスピンドルの回動角を目標のクラッチ容量に対応する回動角に比較的合わせ易い。この場合、タッチポイントを学習することができれば、例えば、タッチポイントを基点にして、シフトスピンドルの回動角を目標のクラッチ容量に対応する回動角にさらに容易に合わせることができる。
また、従来例には、タッチポイントの学習方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2では、図5に開示されるフローのように、エンジン運転中でギア位置がニュートラルの時に、クラッチを断接させながら、メイン軸の回転数変化を見ることでクラッチのタッチポイントを学習する制御が開示されている。
国際公開第2014/157631号 特開平01−120438号公報
しかしながら、特許文献1のような3段容量クラッチを搭載する変速装置において、ニュートラル位置で特許文献2のようなタッチポイントの学習を行う場合、クラッチ全容量とクラッチ中間容量とが切り替わる位置になっても、エンジンの仕様や回転数によっては、クラッチが滑ることがなく、タッチポイントを学習し難い場合がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、車両の変速装置において、クラッチのタッチポイントを高精度に学習できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、エンジン(21)の回転動力がクラッチ(61)を介して入力されるとともに、駆動側シフターギア(67b)を含む複数の駆動ギアを有するメイン軸(65)と、前記複数の駆動ギアによって回動される被動側シフターギア(68c)を含む複数の被動ギアを有するカウンタ軸(66)と、前記駆動側シフターギア(67b)及び前記被動側シフターギア(68c)を軸方向に移動させる複数のシフトフォーク(69a,69b)と、当該シフトフォーク(69a,69b)の端部が係合されるリード溝(70a)を有するシフトドラム(70)と、前記クラッチ(61)を操作するクラッチ操作部材(82)及び前記シフトドラム(70)を操作するチェンジ操作部材(220)が設けられるシフトスピンドル(76)と、前記チェンジ操作部材(220)に係止されるとともに当該チェンジ操作部材(220)を介して前記シフトスピンドル(76)を中立位置側に付勢するリターンスプリング(141)と、前記シフトスピンドル(76)の回動角を検出するスピンドル角センサ(79)と、前記シフトスピンドル(76)を回動させるモーター(75)と、当該モーター(75)を制御する制御装置(17)とを備え、前記クラッチ(61)は、軸方向に固定されるクラッチセンタ(92)と、軸方向に変位可能なプレッシャプレート(93)と、前記クラッチセンタ(92)と前記プレッシャプレート(93)との間に設けられる複数のクラッチ板(94)と、前記プレッシャプレート(93)をクラッチ接続方向に押圧するメインスプリング(95)と、前記プレッシャプレート(93)をクラッチ切断方向にリフトさせるリフタープレート(97)と、前記クラッチセンタ(92)と前記リフタープレート(97)との間に設けられるとともに前記クラッチ板(94)を前記クラッチ接続方向に押圧するサブスプリング(98)とを有する多板クラッチとして設けられる車両の変速装置において、前記リターンスプリング(141)と前記サブスプリング(98)とが前記シフトスピンドル(76)にかけるトルクの和(Trc)は、前記モーター(75)のコギングトルク(Tm)よりも大きくなるように設定され、前記コギングトルク(Tm)は、前記リターンスプリング(141)のトルク(Tr)よりも大きくなるように設定され、前記制御装置(17)は、前記シフトスピンドル(76)を第1の方向に所定量回動させた後、前記シフトスピンドル(76)を前記第1の方向と反対方向に戻すように回動させて、前記モーター(75)の駆動デューティの正負反転が生じる際の前記シフトスピンドル(76)の回動角(θrev)に基づいて、前記クラッチ(61)が半クラッチ状態(C2)となるタッチポイントを学習することを特徴とする。
本発明によれば、リターンスプリングとサブスプリングとがシフトスピンドルにかけるトルクの和は、モーターのコギングトルクよりも大きくなるように設定され、コギングトルクは、リターンスプリングのトルクよりも大きくなるように設定され、制御装置は、シフトスピンドルを第1の方向に所定量回動させた後、シフトスピンドルを第1の方向と反対方向に戻すように回動させて、モーターの駆動デューティの正負反転が生じる際のシフトスピンドルの回動角に基づいて、クラッチが半クラッチ状態となるタッチポイントを学習する。
これにより、制御装置が、シフトスピンドルを第1の方向に所定量回動させた後、シフトスピンドルを第1の方向と反対方向に戻すように回動させると、シフトスピンドルは、第1の方向と反対方向に戻る際、メインスプリング、サブスプリング及びリターンスプリングの反力によって中立位置側に回動するトルクを受け、モーターは、このトルクに抗する中立位置側と反対方向のトルクを出力するように駆動デューティを出力する。ここで、シフトスピンドルが第1の方向と反対方向に戻る際に、シフトスピンドルがタッチポイントに到達してシフトスピンドルに伝達されるサブスプリングの反力がなくなると、シフトスピンドルを中立位置側に戻すトルクを発生させるものはリターンスプリングのみとなるが、モーターのコギングトルクは、リターンスプリングのトルクよりも大きくなるように設定されているため、リターンスプリングのみではシフトスピンドルを中立位置に戻すことができない。このため、制御装置は、コギングトルクに打ち勝つように、中立位置側に戻すトルクを発生させる駆動デューティを出力し、これにより、駆動デューティの正負反転が生じる。従って、駆動デューティの正負反転が生じる際のシフトスピンドルの回動角に基いてタッチポイントを学習することで、タッチポイントを高精度に学習できる。
また、本発明は、前記制御装置(17)は、前記シフトスピンドル(76)を前記反対方向に回動させる際にランプ応答で前記シフトスピンドル(76)を制御することを特徴とする。
本発明によれば、制御装置は、シフトスピンドルを反対方向に回動させる際にランプ応答でシフトスピンドルを制御するため、駆動デューティの正負反転が生じるとともに、シフトスピンドルのトルクの変動が駆動デューティに高精度に反映される。このため、タッチポイントを高精度に学習できる。
また、本発明は、エンジン(21)の回転動力がクラッチ(61)を介して入力されるとともに、駆動側シフターギア(67b)を含む複数の駆動ギアを有するメイン軸(65)と、前記複数の駆動ギアによって回動される被動側シフターギア(68c)を含む複数の被動ギアを有するカウンタ軸(66)と、前記駆動側シフターギア(67b)及び前記被動側シフターギア(68c)を軸方向に移動させる複数のシフトフォーク(69a,69b)と、当該シフトフォーク(69a,69b)の端部が係合されるリード溝(70a)を有するシフトドラム(70)と、前記クラッチ(61)を操作するクラッチ操作部材(82)及び前記シフトドラム(70)を操作するチェンジ操作部材(220)が設けられるシフトスピンドル(76)と、前記チェンジ操作部材(220)に係止されるとともに当該チェンジ操作部材(220)を介して前記シフトスピンドル(76)を中立位置側に付勢するリターンスプリング(141)と、前記シフトスピンドル(76)の回動角を検出するスピンドル角センサ(79)と、前記シフトスピンドル(76)を回動させるモーター(75)と、当該モーター(75)を制御する制御装置(17)とを備え、前記クラッチ(61)は、軸方向に固定されるクラッチセンタ(92)と、軸方向に変位可能なプレッシャプレート(93)と、前記クラッチセンタ(92)と前記プレッシャプレート(93)との間に設けられる複数のクラッチ板(94)と、前記プレッシャプレート(93)をクラッチ接続方向に押圧するメインスプリング(95)と、前記プレッシャプレート(93)をクラッチ切断方向にリフトさせるリフタープレート(97)と、前記クラッチセンタ(92)と前記リフタープレート(97)との間に設けられるとともに前記クラッチ板(94)を前記クラッチ接続方向に押圧するサブスプリング(98)とを有する多板クラッチとして設けられる車両の変速装置において、前記リターンスプリング(141)と前記サブスプリング(98)とが前記シフトスピンドル(76)にかけるトルクの和(Trc)は、前記モーター(75)のコギングトルク(Tm)よりも大きくなるように設定され、前記コギングトルク(Tm)は、前記リターンスプリング(141)のトルク(Tr)よりも大きくなるように設定され、前記制御装置(17)は、前記シフトスピンドル(76)を第1の方向に所定量回動させた後、前記モーター(75)の駆動デューティをゼロとし、所定時間経過後または前記シフトスピンドル(76)の回動角が一定になった後の前記シフトスピンドル(76)の回動角(θrev)に基づいて、前記クラッチ(61)が半クラッチ状態(C2)となるタッチポイントを学習することを特徴とする。
本発明によれば、リターンスプリングとサブスプリングとがシフトスピンドルにかけるトルクの和は、モーターのコギングトルクよりも大きくなるように設定され、コギングトルクは、リターンスプリングのトルクよりも大きくなるように設定され、制御装置は、シフトスピンドルを第1の方向に所定量回動させた後、モーターの駆動デューティをゼロとし、所定時間経過後またはシフトスピンドルの回動角が一定になった後のシフトスピンドルの回動角に基づいて、クラッチが半クラッチ状態となるタッチポイントを学習する。
これにより、制御装置が、シフトスピンドルを第1の方向に所定量回動させた後、モーターの駆動デューティをゼロにすると、シフトスピンドルは、サブスプリング及びリターンスプリング等の反力によって中立位置側に回動される。ここで、シフトスピンドルが中立位置側に戻る際に、シフトスピンドルがタッチポイントに到達してシフトスピンドルに伝達されるサブスプリングの反力がなくなると、シフトスピンドルを中立位置側に戻すトルクを発生させるものはリターンスプリングのみとなるが、モーターのコギングトルクは、リターンスプリングのトルクよりも大きくなるように設定されているため、リターンスプリングのみではシフトスピンドルを中立位置に戻すことができず、シフトスピンドルは、タッチポイント近傍で回動を停止する。このため、モーターの駆動デューティをゼロとし、所定時間経過後またはシフトスピンドルの回動角が一定になった後のシフトスピンドルの回動角に基づいてタッチポイントを高精度に学習できる。
本発明に係る車両の変速装置では、駆動デューティの正負反転が生じる際のシフトスピンドルの回動角に基いてタッチポイントを高精度に学習できる。
また、ランプ応答でシフトスピンドルを制御するため、タッチポイントを高精度に学習できる。
また、モーターの駆動デューティをゼロとし、所定時間経過後またはシフトスピンドルの回動角が一定になった後のシフトスピンドルの回動角に基づいてタッチポイントを高精度に学習できる。
本発明の実施の形態に係る自動変速装置を備えた自動二輪車の左側面図である。 パワーユニットの断面図である。 ギアチェンジ機構、アクチュエータ機構、チェンジクラッチ及びクラッチ操作機構を示す断面図である。 クラッチレバー及びリフターカムプレートの作動状態を示す側面図である。 チェンジクラッチの断面図である。 シフトスピンドルの回動角に対するチェンジクラッチのクラッチ容量及びシフトドラムの回動角を示す図である。 シフトスピンドルの回動角に対するリフターカムプレートのリフト量を示す図である。 シフトダウンする際におけるシフトスピンドルの回動角に対するチェンジクラッチのクラッチ容量及びシフトドラムの回動角を示す図である。 自動変速装置の構成を示すブロック図である。 蓄力機構の断面図である。 図10のXI−XI断面図であり、蓄力機構の周辺部を示す図である。 ギアシフトアームを示す図であり、(a)は正面図、(b)はXII−XII断面図である。 シフトダウン用カラーのドグ歯の位置状態を示す図であり、(a)は中立状態であり、(b)〜(d)は、順にさらにシフトスピンドルの回動量が増加した状態である。 中立状態よりもシフトアップ方向に進んだ状態を示す図である。 蓄力準備状態よりもシフトアップ方向に進んだ状態を示す図である。 チェンジ機構の側面図である。 チェンジ機構の動作状態を示す図であり、(a)は正常にシフトダウン方向に送り切った状態であり、(b)は(a)の状態から中立位置側に戻る状態を示している。 シフトスピンドルの回動角とシフトスピンドルのトルクとの関係を示す図表である。 中立位置からタッチポイントの近傍までにおけるシフトスピンドルの回動角とシフトスピンドルのトルクとの関係を示す図表である。 タッチポイント学習制御において、シフトスピンドルの回動角とシフトモーターの駆動デューティとリフターカムプレートのリフト量との関係を示す図表である。 タッチポイント学習制御の処理のフローチャートである。 第2の実施の形態におけるタッチポイント学習制御の処理のフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る自動変速装置25を備えた自動二輪車10の左側面図である。
自動二輪車10(車両)は、ヘッドパイプ(不図示)に回動可能に軸支されたハンドル11と、ハンドル11により操舵される前輪12と、駆動輪である後輪13と、運転者が着座するシート14と、後輪13にチェーン15を介して駆動力を供給するパワーユニット16と、パワーユニット16の制御を行う制御ユニット17(制御装置)と、バッテリ18とを有する。
自動二輪車10は不図示の車体フレームをベースに構成されており、この車体フレームは車体カバー19により覆われている。制御ユニット17及びバッテリ18はシート14の下方で、車体カバー19の内部に配置されている。パワーユニット16は、前輪12と後輪13の略中間で、シート14の下方やや前方に設けられている。運転者用のステップ20は、パワーユニット16の下部に左右一対で設けられている。
次に、パワーユニット16の構成について説明する。
図2は、パワーユニット16の断面図である。図2では、紙面の左右方向が車幅方向、上方向が車両前方、下方向が車両後方に相当する。
パワーユニット16は、走行駆動力を発生するエンジン21と、発電機22と、エンジン21のクランク軸23に設けられた発進クラッチ24と、発進クラッチ24を介して出力されたクランク軸23の駆動力を変速して出力する自動変速装置25(変速装置)とを備える。
エンジン21は、クランクケース26(ケース部材)、シリンダ27、及び、シリンダヘッド28を一体的に結合して構成される。
図1に示すように、シリンダヘッド28の吸気ポートには、エアクリーナボックス(不図示)から延びる吸気管52が接続される。吸気管52には、エンジン21に供給する空気量を調整する電子制御式のスロットル弁53が設けられる。吸気管52においてスロットル弁53の下流には、燃料噴射弁54が設けられる。
クランクケース26は、クランク軸23に直交する面で車幅方向に2分割される左右割りで構成されており、左側の一側ケース半体26Lと、右側の他側ケース半体26Rとを備える。また、エンジン21は、一側ケース半体26Lを左側方から覆う発電機カバー29と、他側ケース半体26Rを右側方から覆うクラッチカバー30とを備える。
一側ケース半体26Lと他側ケース半体26Rとは、合わせ面26F(合わせ部)で合わせられ、車幅方向に延びる複数のケース連結ボルト(不図示)によって結合される。
クランクケース26内の前部には、クランク軸23を収容するクランク室31が設けられ、クランクケース26内おいてクランク室31の後方には、変速機室32が設けられる。変速機室32は、クランクケース26の左側面を構成する一側ケース半体26Lの壁部37(ケース部材の壁部、外壁)と、クランクケース26の右側面を構成する他側ケース半体26Rの壁部36(内壁)とによって区画される。
クランク室31及び変速機室32の右側方には、クラッチ室34が設けられ、クランク室31の左側方には、発電機室35が設けられる。クラッチ室34は、他側ケース半体26Rの壁部36の外側面とクラッチカバー30の内面とによって区画される。発電機室35は、一側ケース半体26Lの壁部37の外側面と発電機カバー29の内面とによって区画される。
クランク軸23は、クランクウェブ23aと、クランクウェブ23aから車幅方向の両側へ延びる軸部23bとを有する。クランク軸23は、クランクウェブ23aがクランク室31内に配置され、軸部23bは、壁部36及び壁部37にそれぞれ設けられた軸受け部36a,37aに軸支される。クランクウェブ23aには、クランクピンを介してコンロッド38が連結され、コンロッド38の先端に連結されるピストン39は、シリンダ27のシリンダボア27a内を往復運動する。
クランク軸23の軸部23bの一端は、発電機室35に延び、この一端には発電機22のローター22aが固定される。発電機22のステーター22bは、一側ケース半体26Lに固定される。
壁部37は、内側にカムチェーン室40を備える。シリンダヘッド28の動弁機構(不図示)を駆動するカムチェーン41は、カムチェーン室40を通って軸部23bの動弁駆動スプロケット42に巻き掛けられる。
クランク軸23の軸部23bの他端23cは、クラッチ室34に延び、遠心式の発進クラッチ24は、他端23cの先端部に設けられる。
発進クラッチ24は、発進時及び停止時にクランク軸23と自動変速装置25との間を接続及び切断する。
発進クラッチ24は、クランク軸23の外周に対して相対回転可能なスリーブ45の一端に固定されたカップ状のアウタケース46と、スリーブ45の外周に設けられたプライマリギア47と、クランク軸23の右端部に固定されたアウタプレート48と、アウタプレート48の外周部にウェイト49を介して半径方向外側を向くように取り付けられたシュー50と、シュー50を半径方向内側に付勢するためのスプリング51とを有する。発進クラッチ24では、エンジン回転数が所定値以下の場合にアウタケース46とシュー50とが離間しており、クランク軸23と自動変速装置25との間が遮断状態(動力が伝達されない切り離し状態)となっている。エンジン回転数が上昇し所定値を超えると、遠心力によってウェイト49がスプリング51に抗して半径方向外側に移動することで、シュー50がアウタケース46の内周面に当接する。これにより、アウタケース46とともにスリーブ45がクランク軸23上に固定され、クランク軸23の回転がプライマリギア47を介して自動変速装置25に伝達されるようになる。
自動変速装置25では、後述のチェンジクラッチ61の切替え、及び、変速段(シフト)の切替えが自動で行われる。
自動変速装置25は、前進4段の常時噛み合い式の変速機60と、クランク軸23側と変速機60との間の接続を切り替えるチェンジクラッチ61(クラッチ)と、チェンジクラッチ61を操作するクラッチ操作機構62と、変速機60を変速するギアチェンジ機構63と、クラッチ操作機構62及びギアチェンジ機構63を駆動するアクチュエータ機構64とを備える。アクチュエータ機構64は、制御ユニット17(図1)によって制御される。
自動変速装置25は、自動変速(AT)モードと手動変速(MT)モードとの切り替えを行うモードスイッチ132b(図9)と、シフトアップ及びシフトダウンを運転者が操作するシフトセレクトスイッチ132a(図9)とに接続されている。自動変速装置25は、制御ユニット17の制御により、各センサやモードスイッチ132b及びシフトセレクトスイッチ132aの出力信号に応じてアクチュエータ機構64を制御し、変速機60の変速段を自動的または半自動的に切り換えることができるように構成されている。
すなわち、自動変速モードでは、車速等に基づいてアクチュエータ機構64の制御が行われ、変速機60が自動で変速される。手動変速モードでは、シフトセレクトスイッチ132aが運転者によって操作されることで変速が行われる。
変速機60は、チェンジクラッチ61から供給される回転を、制御ユニット17の指示に基づいて変速して後輪13に伝達する。この変速機60は、入力軸としてのメイン軸65と、メイン軸65に対して平行配置されたカウンタ軸66と、メイン軸65に設けられた駆動ギア67a,67b,67c,67d(駆動ギア列)と、カウンタ軸66に設けられた被動ギア68a,68b,68c,68d(被動ギア列)とを有する。駆動ギア67a,67b,67c,67d及び被動ギア68a,68b,68c,68dは常時噛み合い式歯車である。
駆動ギア67a,67b,67c,67dは、この順に被動ギア68a,68b,68c,68dと噛合している。駆動ギア67bは左右にスライドしたとき、隣接する駆動ギア67a又は67cに側面のドグ歯が係合し、被動ギア68cは左右にスライドしたとき、隣接する被動ギア68b又は68dに側面のドグ歯が係合する。
駆動ギア67a,67c(駆動側フリーギア)及び被動ギア68b,68d(被動側フリーギア)は、メイン軸65及びカウンタ軸66に対してそれぞれ回転自在に保持されるとともに軸方向に移動不能なフリーギアである。
駆動ギア67b(駆動側シフターギア)及び被動ギア68c(被動側シフターギア)は、メイン軸65及びカウンタ軸66に対して回転不能にスプライン結合され軸方向にスライド可能なシフターギアである。
駆動ギア67d及び被動ギア68aはメイン軸65及びカウンタ軸66に固定された固定ギアである。
例えば、シフターギアである駆動ギア67bが、ギアチェンジ機構63によってフリーギアである駆動ギア67c側にスライドされると、駆動ギア67b及び駆動ギア67cの互いに対向する側面に立設されたドグ歯67b1,67c1同士が互いの側部で噛み合うことで、駆動ギア67bと駆動ギア67cとが結合される。これにより、フリーギアである駆動ギア67cは、メイン軸65に対し相対回転不能な駆動ギア67bによってメイン軸65上に回転不能に固定され、駆動ギア67c及び被動ギア68cによる変速段が確立される。ドグ歯67b1,67c1はそれぞれ周方向に間隔をあけて複数形成されており、駆動ギア67bと駆動ギア67cとを係脱可能に結合するドグクラッチ67Dcを構成する。
また、被動ギア68c及び被動ギア68bは、互いに対向する側面に立設されたドグ歯68c1,68b1をそれぞれ備える。ドグ歯68c1,68b1はそれぞれ周方向に間隔をあけて複数形成されており、被動ギア68cと被動ギア68bとを係脱可能に結合するドグクラッチ68Dcを構成する。
また、駆動ギア67bと駆動ギア67aと、及び、被動ギア68cと被動ギア68dとは、側面に設けられた同様のドグクラッチによってそれぞれ係脱可能に結合する。
メイン軸65は、ベアリング71a,71bによって回転自在に支持され、カウンタ軸66は、71c,71dによって回転自在に支持される。
カウンタ軸66の端部にはドライブスプロケット72が設けられ、ドライブスプロケット72はチェーン15を介して後輪13に回転を伝達する。また、カウンタ軸66の近傍には、非接触でカウンタ軸66の回転数を検出するカウンタ軸回転数センサ73(図9)が設けられている。制御ユニット17は、カウンタ軸回転数センサ73の検出値から車速を算出する。さらに、メイン軸65の近傍には、非接触でメイン軸65の回転数を検出するメイン軸回転数センサ65a(図9)が設けられている。
図3は、チェンジクラッチ61及びクラッチ操作機構62を示す断面図である。
図2及び図3を参照し、アクチュエータ機構64は、アクチュエータとしてのシフトモーター75(モーター)と、クランクケース26内を車幅方向に延びるシフトスピンドル76(スピンドル部材)と、シフトモーター75の回転を減速してシフトスピンドル76を駆動する減速歯車列77とを備える。減速歯車列77の軸方向の一端は、一側ケース半体26Lの壁部37の外側面に支持され、他端は、壁部37を外側方から覆うカバー78に支持される。
シフトスピンドル76は、クラッチ室34を貫通して設けられており、カバー78及びクラッチカバー30にそれぞれ設けられたベアリング78a,30aに両端を軸支されるとともに、合わせ面26Fの近傍に形成される内壁36bの孔部によっても途中部を軸支される。クラッチカバー30には、シフトスピンドル76の回転位置を検出するシフトスピンドル角センサ79(スピンドル角センサ)が設けられている。
ギアチェンジ機構63は、駆動ギア67b及び被動ギア68cをスライドさせることで変速段を変更するチェンジ機構89と、シフトスピンドル76の回転によって後述の蓄力スプリング145(図10)に蓄力した後、この蓄力を開放してチェンジ機構89を一気に回動させる蓄力機構81とを備える。シフトスピンドル76は、ギアチェンジ機構63及びクラッチ操作機構62に共有される。
チェンジ機構89は、シフトスピンドル76に支持されて蓄力機構81によって回動させられるマスターアーム80と、マスターアーム80の回動に連動して回動するシフトドラム70と、シフトドラム70をシフターギアである駆動ギア67bと被動ギア68cとに接続するシフトフォーク69a,69bと、シフトフォーク69a,69bを軸方向にスライド自在に保持する支持軸69cとを備える。
シフトドラム70は、シフトパターンに応じた形状の複数のリード溝70aを外周部に備え、シフトフォーク69a,69bの一端(端部)はリード溝70aにそれぞれ接続されている。
シフトドラム70がアクチュエータ機構64により駆動されて回転すると、シフトフォーク69a,69bはシフトドラム70のリード溝70aに沿って軸方向に移動し、駆動ギア67b及び被動ギア68cは変速段に応じてスライドする。
変速機60では、駆動ギア67b及び被動ギア68cのスライドに応じて、メイン軸65及びカウンタ軸66間で、ニュートラル状態、または、1速〜4速の何れかの変速歯車対を選択的に用いた動力伝達が可能となる。
クラッチ操作機構62は、シフトスピンドル76上に固定されるクラッチレバー82(クラッチ操作部材)と、メイン軸65と略同軸の位置関係でクラッチカバー30の内面に固定される支持軸83と、支持軸83に固定される板状のベース部材84と、クラッチレバー82に連結されるとともに、ベース部材84に対向して設けられる操作部材であるリフターカムプレート85と、リフターカムプレート85とベース部材84との間に狭持される複数のボール86とを備える。
クラッチレバー82は、蓄力機構81に隣接してシフトスピンドル76上に設けられる筒部82aと、筒部82aから径方向外側に延出するレバー部82bとを有する。クラッチレバー82は、シフトスピンドル76と一体に回転する。
リフターカムプレート85は、ベース部材84に面する押圧操作部85aと、押圧操作部85aから延びてクラッチレバー82のレバー部82bに連結される連結アーム部85bと、連結アーム部85bに形成されるカム孔部85cとを備える。リフターカムプレート85は、クラッチレバー82のレバー部82bの先端に設けられたピン87がカム孔部85cに挿通されることでクラッチレバー82に連結される。
押圧操作部85a及びベース部材84の互いに対向する面には、斜面状のカム部85d,84aがそれぞれ形成されており、ボール86は、カム部85d,84aの間に狭持されている。リフターカムプレート85は、中央に設けられたガイド穴85eに、ベース部材84のガイド軸84bが嵌合することで、軸方向の移動をガイドされる。また、押圧操作部85aの先端部には、ボールベアリング88が設けられており、リフターカムプレート85は、ボールベアリング88を介してチェンジクラッチ61に接続される。
クラッチレバー82が回動されると、リフターカムプレート85は、ピン87を介してガイド軸84bを中心に回動され、カム部85dがボール86に対して滑ることで、軸方向に移動(リフト)する。チェンジクラッチ61は、リフターカムプレート85の軸方向の移動に連動して、接続及び切断される。リフターカムプレート85は、シフトスピンドル76が、通常位置からシフトアップ方向及びシフトダウン方向のいずれに回動した場合であっても、クラッチを切断する方向に移動する。
図4は、クラッチレバー82及びリフターカムプレート85の作動状態を示す側面図である。
リフターカムプレート85のカム孔部85cは、連結アーム部85bの長手方向に沿って屈曲した形状に形成されている。シフトスピンドル76の回動に伴ってクラッチレバー82のピン87がカム孔部85c内を移動することで、リフターカムプレート85が回動する。すなわち、カム孔部85cの形状によってリフターカムプレート85の単位回動量あたりの軸方向の移動量を設定することができ、これにより、チェンジクラッチ61の断接の特性を調整できる。
シフトスピンドル76は、シフトアップ及びシフトダウンの動作をしていない通常時には、中立位置にある。中立位置では、クラッチレバー82はシフトスピンドル76から略鉛直に上方へ延びており、ピン87は、カム孔部85cの途中に位置する。
シフトアップする場合、シフトスピンドル76は、中立位置から図4の時計回り方向(シフトアップ方向)に回動され、ピン87は、カム孔部85cの内端部85c1に位置する。
シフトダウンする場合、シフトスピンドル76は、中立位置から図4の反時計回り方向(シフトダウン方向)に回動され、ピン87は、カム孔部85cの外端部85c2に位置する。
シフトアップを行う場合、制御ユニット17は、シフトモーター75を回転させ、シフトスピンドル76をシフトアップ方向に回転させる。シフトスピンドル76の回転に伴い、蓄力機構81の蓄力が開始され、シフトスピンドル76が所定量回転すると、クラッチレバー82の回動によりチェンジクラッチ61が切断される。チェンジクラッチ61の切断に伴い蓄力が開放され、マスターアーム80が回動することでシフトドラム70が回転し、ギア位置が一段だけシフトアップされる。
また、シフトダウンを行う場合、制御ユニット17は、シフトモーター75を回転させ、シフトスピンドル76をシフトダウン方向に回転させる。シフトダウン時には、蓄力機構81による蓄力は行われない。シフトダウン時には、シフトスピンドル76の回転に伴い、クラッチレバー82が回動してチェンジクラッチ61が切断され、その後、マスターアーム80がシフトダウン方向に回動する。これにより、シフトドラム70が回転し、ギア位置が一段だけシフトダウンされる。
シフトアップ及びシフトダウンする際は、変速操作後に、シフトスピンドル76は逆回転され、マスターアーム80は中立位置に復帰するとともに、チェンジクラッチ61が接続される。
本第実施の形態では、1つのシフトモーター75によって回転させられる単一のシフトスピンドル76によって、ギアチェンジ機構63及びクラッチ操作機構62の両方が駆動されるため、シフトモーター75が1つで良く、構造をシンプルにできる。
図2に示すように、クラッチ室34内に延びたメイン軸65の軸端上には、クランク軸23側のプライマリギア47に噛み合うプライマリドリブンギア90が設けられている。プライマリドリブンギア90は、メイン軸65に対して相対回転可能に軸支されており、チェンジクラッチ61は、プライマリドリブンギア90に接続されている。
図5は、チェンジクラッチ61の断面図である。ここで、図5では、チェンジクラッチ61が完全に接続された状態が示されている。
チェンジクラッチ61は、プライマリドリブンギア90に固定されるカップ状のクラッチアウタ91と、クラッチアウタ91の径方向内側に設けられ、メイン軸65に一体に固定される円板状のクラッチセンタ92と、クラッチアウタ91の径方向内側に設けられ、メイン軸65の軸方向に移動可能なプレッシャプレート93と、プレッシャプレート93とクラッチセンタ92との間に設けられるクラッチ板94と、クラッチを接続する方向にプレッシャプレート93を付勢するメインスプリング95と、クラッチセンタ92とリフターカムプレート85との間に配置される第1のリフタープレート96と、第1のリフタープレート96とリフターカムプレート85との間に配置されるサブリフタープレート97(リフタープレート)とを備える。
また、チェンジクラッチ61は、クラッチセンタ92とサブリフタープレート97との間に挟持されるサブスプリング98と、クラッチセンタ92と第1のリフタープレート96との間に挟持される第2のサブスプリング99と、バックトルクリミット部材110とを備える。
クラッチセンタ92とプレッシャプレート93とは組み合されて一体となり、クラッチアウタ91の内側に配置されるクラッチインナを構成する。
クラッチアウタ91は、プライマリドリブンギア90の外側面に一体に固定されており、プライマリドリブンギア90と一体にメイン軸65に対して相対回転可能である。
クラッチセンタ92は、メイン軸65にスプライン嵌合してナット100によって固定されており、メイン軸65に対し、相対回転不能且つ軸方向に移動不能である。
プレッシャプレート93は、クラッチアウタ91の筒状部の内側に配置され、クラッチセンタ92の軸部に嵌合して軸方向に移動可能に設けられている。プレッシャプレート93は、クラッチセンタ92を貫通して第1のリフタープレート96に接続される円筒状のレリーズボス101を複数備える。
クラッチ板94は、クラッチセンタ92とプレッシャプレート93との間に挟持される。
クラッチ板94は、クラッチアウタ91に設けられる外側摩擦板94aと、クラッチセンタ92に設けられる内側摩擦板94bとを備え、外側摩擦板94a及び内側摩擦板94bは、プレッシャプレート93とクラッチセンタ92との間に交互に複数枚重ねて配置されている。各外側摩擦板94aは、クラッチアウタ91の筒状部にスプライン嵌合によって支持されており、クラッチアウタ91の軸方向に移動可能且つクラッチアウタ91に対して回転不能に設けられている。
各内側摩擦板94bは、プレッシャプレート93の内側円筒部93aの外周部にスプライン嵌合して支持されており、プレッシャプレート93の軸方向に移動可能且つプレッシャプレート93に対して回転不能に設けられている。
バックトルクリミット部材110は、板状に形成されており、プレッシャプレート93の内側円筒部93aの内側にプレッシャプレート93と一体に固定されている。
バックトルクリミット部材110と、クラッチセンタ92に固定されるリフターピン111とは、バックトルクリミッタ機構を構成する。バックトルクリミッタ機構は、例えば、特開平8−93786号公報に記載された公知のものであり、順方向の動力伝達とは逆方向に所定値以上のトルクが作用した場合に、クラッチを接続状態から半クラッチ状態にする機構である。
バックトルクリミット部材110は、プレッシャプレート93を貫通してリフターピン111に係合するカム部110aを備える。後輪13側から所定値以上のバックトルクが作用すると、プレッシャプレート93がクラッチセンタ92に対して相対回転することで、カム部110aがリフターピン111上を摺動し、プレッシャプレート93はクラッチ切断方向に移動する。バックトルクリミッタ機構によれば、バックトルクに起因する変速ショックを低減できる。
メインスプリング95は、クラッチセンタ92に設けられたリテーナ112とバックトルクリミット部材110との間に挟持されている。メインスプリング95は、プレッシャプレート93とクラッチセンタ92とでクラッチ板94を狭持する方向、すなわち、クラッチを接続する方向へプレッシャプレート93を付勢している。
プレッシャプレート93のレリーズボス101は、基端部101a側よりも小径に形成されたガイド軸部101bを先端部に有し、ガイド軸部101bの先端面には、ガイド軸部101bよりも大径のストッパ板102がボルト103で締結されている。基端部101aの先端面には、ストッパ板102に対向する段部101cが形成されている。
第1のリフタープレート96は、クラッチセンタ92に対向する板状のリング部105と、リング部105の中央に設けられるスプリング通し孔105aと、リング部105からリフターカムプレート85側に突出するリフタープレート側ボス106とを備える。
リフタープレート側ボス106は、第1のリフタープレート96の周方向に略等間隔をあけて複数並べて形成されている。リフタープレート側ボス106は、リング部105を貫通する円筒状に形成されており、レリーズボス101のガイド軸部101bが挿通される孔部106aと、サブリフタープレート97が嵌合する外周部106bとを備える。
第1のリフタープレート96は、リフタープレート側ボス106が、レリーズボス101のガイド軸部101bに摺動可能に挿通されて組み付けされ、ストッパ板102と段部101cとの間に配置される。
第2のサブスプリング99は、クラッチセンタ92の外側面と第1のリフタープレート96との間に挟持されており、第1のリフタープレート96をストッパ板102側に押し付けるように付勢している。クラッチ接続状態では、第1のリフタープレート96は、第2のサブスプリング99の付勢力によって、ガイド軸部101bの先端面がストッパ板102に当接させられており、リング部105と段部101cとの間には隙間G2が形成されている。
すなわち、第2のサブスプリング99は、第1のリフタープレート96及びストッパ板102を介してプレッシャプレート93をクラッチセンタ92側に押し付けており、クラッチを接続する方向にプレッシャプレート93を付勢している。
サブリフタープレート97は、第1のリフタープレート96に対向するリング状の押圧プレート部113と、押圧プレート部113の中央の内周縁からリフターカムプレート85側へ突出する円筒状の円管状部114とを備える。円管状部114は、メイン軸65と略同軸に設けられる。
押圧プレート部113は、第1のリフタープレート96のリフタープレート側ボス106が嵌まる孔部113aを備える。孔部113aは、各リフタープレート側ボス106に対応する位置に複数形成される。ボールベアリング88は、円管状部114の先端部に嵌合される。
サブリフタープレート97は、孔部113aが第1のリフタープレート96のリフタープレート側ボス106に摺動可能に挿通されて組み付けされ、サブリフタープレート97の押圧プレート部113は、ストッパ板102と第1のリフタープレート96のリング部105との間に配置される。
サブスプリング98は、クラッチセンタ92とサブリフタープレート97の円管状部114に形成された受け部114aとの間に挟持されており、サブリフタープレート97をストッパ板102側に押し付けるように付勢している。
クラッチ接続状態では、サブリフタープレート97は、サブスプリング98の付勢力によって、押圧プレート部113がストッパ板102に当接させられており、押圧プレート部113とリング部105との間には隙間G1が形成されている。
すなわち、サブスプリング98は、ストッパ板102を介してプレッシャプレート93をクラッチセンタ92側に押し付けており、クラッチを接続する方向にプレッシャプレート93を付勢している。
図5に示すクラッチ接続状態では、メインスプリング95、第2のサブスプリング99及びサブスプリング98の付勢力によってクラッチ板94が狭持され、プライマリギア47によって回転させられるクラッチアウタ91の回転を、クラッチ板94を介してクラッチセンタ92に伝達可能になり、メイン軸65がクラッチセンタ92と一体に回転される。
リフターカムプレート85を介し、メインスプリング95、第2のサブスプリング99及び第2のサブスプリング99の付勢力に抗してプレッシャプレート93がプライマリドリブンギア90側に移動させられると、クラッチ板94の狭持が解除され、クラッチ切断状態となる。
図6は、シフトスピンドル76の回動角に対するチェンジクラッチ61のクラッチ容量及びシフトドラム70の回動角を示す図である。なお、以下の説明では、シフトスピンドル76の回転の正の方向はシフトアップ方向であり、シフトスピンドル76の回転の負の方向はシフトダウン方向である。
図6に示すように、本実施の形態では、チェンジクラッチ61の容量が、シフトスピンドル76の回動角に応じてクラッチ容量に寄与するスプリングが変更されることで可変となっている。詳細には、クラッチ容量は、メインスプリング95、第2のサブスプリング99及び第2のサブスプリング99の付勢力によってクラッチ容量が決まる最大容量C1(クラッチ全容量状態)と、メインスプリング95及び第2のサブスプリング99の付勢力によってクラッチ容量が決まる第1の中間容量C2(半クラッチ状態)と、メインスプリング95のみの付勢力によってクラッチ容量が決まる第2の中間容量C3と、メインスプリング95の付勢力の全部が除かれた切断容量C4(クラッチ切断状態)との複数の段階に可変である。チェンジクラッチ61は、第1の中間容量C2及び第2の中間容量C3となる際は、いわゆる半クラッチ状態となる。
クラッチ容量の最大容量C1は、図5に示すクラッチ接続状態で得られ、この状態では、第1のリフタープレート96及びサブリフタープレート97の両方が、ストッパ板102に当接しており、第2のサブスプリング99及びサブスプリング98の付勢力が、プレッシャプレート93に伝達されている。このため、プレッシャプレート93がクラッチ板94を押圧する付勢力は、メインスプリング95、第2のサブスプリング99及びサブスプリング98の付勢力(荷重)を足し合わせたものとなり、最大となる。
すなわち、サブリフタープレート97及びストッパ板102は、サブスプリング98の付勢力をプレッシャプレート93に伝達する第1のサブスプリング荷重伝達経路S1を構成する。また、第1のリフタープレート96及びストッパ板102は、第2のサブスプリング99の付勢力をプレッシャプレート93に伝達する第2のサブスプリング荷重伝達経路S2を構成する。
アクチュエータ機構64(図2)によるシフトスピンドル76の回転に伴いリフターカムプレート85がクラッチ切断方向に移動すると、サブリフタープレート97は、サブスプリング98の付勢力に抗してリフタープレート側ボス106に沿ってリング部105側へリフトされ、ストッパ板102から離れる。
シフトスピンドル76の角度が回動角θ1(図6)で、サブリフタープレート97がストッパ板102から離れることで、第1のサブスプリング荷重伝達経路S1は遮断され、サブスプリング98の付勢力は、プレッシャプレート93に伝達されなくなり、クラッチ容量は、メインスプリング95及び第2のサブスプリング99によって決定されるようになる。このため、サブリフタープレート97がストッパ板102から離れた瞬間に、図6に示すように、クラッチ容量は最大容量C1から第1の中間容量C2に低下する。
サブリフタープレート97がストッパ板102から離れた後、リフターカムプレート85の移動が継続されると、サブリフタープレート97は、隙間G1(図5)を小さくするようにリング部105側へさらに移動を継続する。サブリフタープレート97の押圧プレート部420がストッパ板102から離れてからリング部105に当接するまでの区間が第1の中間容量C2の区間である。すなわち、隙間G1の大きさに相当するリフターカムプレート85のリフト量の区間で、第1の中間容量C2が得られる。
第1の中間容量C2の区間では、サブリフタープレート97の移動は、リング部105に対する相対移動であり、メインスプリング95及び第2のサブスプリング99の荷重に影響しない。このため、図6に示すように、第1の中間容量C2の区間では、メインスプリング95及び第2のサブスプリング99よってクラッチ容量が決まり、第1の中間容量C2は一定である。本実施の形態では、隙間G1による遊びが設けられているため、第1の中間容量C2を得られる区間を長くでき、部品や制御手法を高精度にしなくとも、クラッチの中間容量を容易に設定値に合わせることができる。
第1の中間容量C2の状態からリフターカムプレート85がクラッチ切断方向にさらにリフトされると、サブリフタープレート97の押圧プレート部113がリング部105に当接し、第1の中間容量C2の区間が終了する。その後、この状態からリフターカムプレート85がクラッチ切断方向にさらに移動すると、第1のリフタープレート96は、サブリフタープレート97を介して押圧され、第2のサブスプリング99の付勢力に抗してガイド軸部101bに沿って段部101c側へリフトされ、ストッパ板102から離れる。
シフトスピンドル76の角度が回動角θ2(図6)で、第1のリフタープレート96のリフタープレート側ボス106の先端がストッパ板102から離れることで、第2のサブスプリング荷重伝達経路S2は遮断され、第2のサブスプリング99の付勢力は、プレッシャプレート93に伝達されなくなり、クラッチ容量は、メインスプリング95のみによって決定されるようになる。このため、第1のリフタープレート96がストッパ板102から離れた瞬間に、図6に示すように、クラッチ容量は第1の中間容量C2から第2の中間容量C3に低下する。
第1のリフタープレート96がストッパ板102から離れた後、リフターカムプレート85の移動が継続されると、第1のリフタープレート96は、隙間G2を小さくするように段部101c側へさらに移動を継続する。第1のリフタープレート96がストッパ板102から離れてから段部101cに当接するまでの区間が第2の中間容量C3の区間である。すなわち、隙間G2の大きさに相当するリフターカムプレート85のリフト量の区間で、第2の中間容量C3が得られる。
第2の中間容量C3の区間では、第1のリフタープレート96の移動は、段部101cに対する相対移動であり、メインスプリング95の荷重に影響しない。このため、図6に示すように、第2の中間容量C3の区間では、メインスプリング95のみよってクラッチ容量が決まり、第2の中間容量C3は一定である。本実施の形態では、隙間G2による遊びが設けられているため、第2の中間容量C3を得られる区間を長くでき、部品や制御手法を高精度にしなくとも、クラッチの中間容量を容易に設定値に合わせることができる。
第2の中間容量C3の状態からリフターカムプレート85がクラッチ切断方向にさらにリフトされると、第1のリフタープレート96が段部101cに当接し、第2の中間容量C3の区間が終了する。その後、シフトスピンドル76の角度が回動角θ3(図6)で、リフターカムプレート85がクラッチ切断方向にさらに移動すると、プレッシャプレート93は、サブリフタープレート97及び第1のリフタープレート96を介して押圧される。これにより、プレッシャプレート93は、メインスプリング95の付勢力に抗してクラッチ切断方向に移動して、プレッシャプレート93がクラッチ板94から離れ、クラッチは切断される。
制御ユニット17は、自動変速する際、カウンタ軸66のトルクに基づいて、アクチュエータ機構64を駆動し、変速ショックを低減できるクラッチ容量を選択する。クラッチ容量の選択は、シフトスピンドル76を所定の回動角に制御することで選択可能である。例えば、1速から2速にシフトアップする際、制御ユニット17は、検出した変速前のカウンタ軸66のトルクに基づいて、変速ショックを低減するように、最大容量A、第1の中間容量C2、及び第2の中間容量C3のいずれかのクラッチ容量を選択し、変速機60の歯車列を変速後、上記選択したクラッチ容量でチェンジクラッチ61を接続する。具体的には、チェンジクラッチ61のクラッチ容量が、変速前のカウンタ軸66のトルクと変速後のカウンタ軸66のトルクとの間やそのバンドから比較的離れない値になるようにクラッチ容量が選択される。
これにより、チェンジクラッチ61によるカウンタ軸66側とクランク軸23側との間の回転差吸収を適切に行うことができ、変速ショックを低減できる。ここで、変速の前後におけるカウンタ軸66のトルクは、例えば、エンジン回転数、スロットル開度及びカウンタ軸66のトルクの関係を記憶したマップに基づいて求められる。
図7は、シフトスピンドル76の回動角に対するリフターカムプレート85のリフト量(クラッチリフト量)を示す図である。また、図7では、シフトアップ側においては、シフトスピンドル76の回動角に対するクラッチスプリングの荷重が示されている。
図7に示すように、シフトアップ側のリフターカムプレート85のリフト特性は、シフトスピンドル76の中立位置(0°)から所定角までの回動に対してリフト量が増加しない遊び区間U1と、シフトスピンドル76の回動量の増加に対して略線形にリフト量が増加するリフト区間U2とを有する。
シフトダウン側のリフターカムプレート85のリフト特性は、シフトスピンドル76の中立位置(0°)から所定角までの回動に対してリフト量が増加しない遊び区間D1と、シフトスピンドル76の回動量の増加に対して略線形にリフト量が増加するリフト区間D2と、シフトスピンドル76の回動量の増加に対してリフト区間D2よりも緩い傾斜で略線形にリフト量が増加するリフト区間D3とを有する。
遊び区間D1は、遊び区間U1よりも小さく設定されている。リフト区間D2では、リフト区間U2よりも大きな傾斜でリフターカムプレート85のリフト量が増加する。
リフターカムプレート85のリフト特性は、リフターカムプレート85のカム孔部85cやクラッチレバー82のカム孔部85cの形状を調整することによって所望の特性に設定される。本実施の形態では、シフトスピンドル76の回動量の増加に対してリフターカムプレート85のリフト量が線形に増加するように設定されている。
図7に示されるシフトアップ側のクラッチスプリングの荷重Pは、シフトスピンドル76をシフトアップ方向に回動させた際にチェンジクラッチ61からリフターカムプレート85が受ける反力であり、チェンジクラッチ61を切断して行くのに要する力である。荷重Pの変化は、図6に示すクラッチ容量の変化に対応するため、対応する区間に符号を付する。荷重Pは、クラッチ容量の段階的な減少に対応して段階的に増加する。
隙間G2が0になった後にわずかにシフトスピンドル76がクラッチ切断方向に回動した回動角θ3は、クラッチが切断されるシフトスピンドル76の回動位置である。回動角θ3でのリフターカムプレート85のリフト量は、クラッチが切断される切断リフト量Ldである。
切断リフト量Ldは、シフトアップ方向及びシフトダウン方向で同一である。リフト区間D2では、リフト区間U2よりも急激にリフターカムプレート85のリフト量が増加するため、シフトダウン方向では、シフトアップ方向よりも少ないシフトスピンドル76の回動量で、クラッチが切断される。
図6に示すように、シフトアップする際には、クラッチが切断される前の段階から蓄力機構81による蓄力が開始され、回動角θ3でクラッチの切断により変速機60によるチェンジ機構89の拘束が解除され、蓄力機構81の蓄力によってシフトドラム70が一気に回動されてシフトアップが行われる。蓄力機構81が蓄力する蓄力区間Eは、回動角θ1と回動角θ2との間の回動角θasから回動角θ3までの区間である。
図8は、シフトダウンする際におけるシフトスピンドル76の回動角に対するチェンジクラッチ61のクラッチ容量及びシフトドラム70の回動角を示す図である。
シフトダウンする際には、クラッチ容量の段階的な制御は行われず、シフトスピンドル76の回動により、チェンジクラッチ61は切断容量C4まで一気に切断される。
チェンジクラッチ61が完全に切断されてからシフトスピンドル76が所定量Fだけさらにシフトダウン方向に回動すると、マスターアーム80を介してシフトドラム70の回動が開始され、シフトダウンが実行される。
シフトダウンの際の変速ショックは、前記バックトルクリミッタ機構によって低減される。
図9は、自動変速装置25の構成を示すブロック図である。
図9に示すように、自動変速装置25は、発進クラッチ24、プライマリギア47、チェンジクラッチ61、メイン軸65、変速機60、カウンタ軸66、チェーン15、ドライブスプロケット72及び後輪13を備える駆動伝達部130と、変速機60及びチェンジクラッチ61を機械的に操作するアクチュエータ機械部55と、電装部131と、エンジン21の運転を直接的に制御するエンジン運転制御部133とを備える。
駆動伝達部130は、クランク軸23の動力を後輪13まで機械的に伝達する。
アクチュエータ機械部55は、シフトモーター75と、シフトスピンドル76と、ギアチェンジ機構63と、蓄力機構81と、チェンジ機構89と、クラッチ操作機構62とを備える。
エンジン運転制御部133は、スロットル弁53、燃料噴射弁54、及び、点火プラグ57を備える。
スロットル弁53は、電子制御式であり、制御ユニット17により制御されるスロットル弁駆動モータ(不図示)により駆動される。詳細には、制御ユニット17は、ハンドル11に設けられて運転者が操作するスロットルグリップ(不図示)の操作量をセンサで検出し、この操作量に応じて上記スロットル弁駆動モーターを駆動し、スロットル弁53の開度を調整する。
点火プラグ57は、不図示のイグニションコイル駆動部およびイグニションコイルを介して制御ユニット17に接続される。
電装部131は、制御ユニット17と、エンジン回転数センサ58と、シフトスピンドル角センサ79と、ドラム角センサ70bと、スロットルポジションセンサ134と、カウンタ軸回転数センサ73と、メイン軸回転数センサ65aと、ハンドル11に設けられるハンドルスイッチ132とを備える。
制御ユニット17は、CPUと、ROMおよびRAM等から成る記憶部とを有し、記憶部内の制御マップ等の制御情報に基づいて、アクチュエータ機械部55及びエンジン運転制御部133を制御する。
エンジン回転数センサ58は、クランク軸23の回転数を制御ユニット17に出力する。
制御ユニット17は、シフトスピンドル角センサ79の検出値から、変速機60の状態、すなわち変速機60が変速中であるか否かを判定できる。
ドラム角センサ70bは、シフトドラム70の回転角を制御ユニット17に出力し、制御ユニット17は、この回転角から現在のギア位置(変速段)を判定する。
スロットルポジションセンサ134は、スロットル弁53の開度を制御ユニット17に出力する。
ハンドルスイッチ132は、モードスイッチ132b及びシフトセレクトスイッチ132aを備える。
制御ユニット17は、エンジン回転数センサ58、シフトスピンドル角センサ79、ドラム角センサ70b、スロットルポジションセンサ134、及び、カウンタ軸回転数センサ73からの信号に基づいて、シフトモーター75を制御し、変速操作及びクラッチ操作を自動で行う。
また、制御ユニット17は、前記スロットルグリップの操作量に応じて、スロットル弁53の開度、燃料噴射弁54の噴射量、及び、点火プラグ57の点火時期を調整するが、制御ユニット17は、スロットルポジションセンサ134、エンジン回転数センサ58、シフトスピンドル角センサ79、ドラム角センサ70b、及び、カウンタ軸回転数センサ73の検出値に基づいて、スロットル弁53の開度、燃料噴射弁54の噴射量、及び、点火プラグ57の点火時期を補正する。
図10は、蓄力機構81の断面図である。
他側ケース半体26Rの壁部36は、クランクケース26の合わせ面26Fの近傍に形成される内壁36b(合わせ部寄りの内壁)を、シフトスピンドル76の周囲に備える。
蓄力機構81は、他側ケース半体26Rの壁部36の内壁36bとクラッチカバー30との間に配置される。
蓄力機構81は、シフトスピンドル76と、シフトスピンドル76の軸上にシフトスピンドル76に対して相対回転可能に設けられるギアシフトアーム140と、ギアシフトアーム140を中立位置に付勢するリターンスプリング141と、ギアシフトアーム140に近接した位置でシフトスピンドル76の軸上に固定され、シフトスピンドル76と一体に回転するシフトダウン用カラー142と、ギアシフトアーム140から軸方向に離間した位置でシフトスピンドル76の軸上に固定され、シフトスピンドル76と一体に回転する蓄力カラー143とを備える。
また、蓄力機構81は、蓄力カラー143とギアシフトアーム140との間の軸上に、シフトスピンドル76に対して相対回転可能に設けられるスプリングカラー144と、蓄力カラー143とギアシフトアーム140との間でスプリングカラー144の外周に巻付くように設けられる蓄力スプリング145と、マスターアーム80の回動位置を規制するストッパーピン146(ストッパ部)とを備える。
シフトスピンドル76は、カバー78側から順に、減速歯車列77に接続される接続部76aと、軸受け部37aに支持されるとともに内壁36bを貫通する支持部76bと、ギアシフトアーム140を支持するギアシフトアーム支持部76cと、径方向に突出する鍔部76dと、スプリングカラー144を支持するスプリングカラー支持部76eと、蓄力カラー143を支持するカラー支持部76fと、ベアリング30aに支持される支持部76gと、シフトスピンドル角センサ79に接続されるセンサ接続部76hとを有する。
シフトスピンドル76において、鍔部76dは最も大径であり、ギアシフトアーム支持部76c、支持部76b、及び接続部76aは、接続部76a側に向けて段階的に小径になるように形成されている。また、スプリングカラー支持部76e、カラー支持部76f、支持部76g及びセンサ接続部76hは、鍔部76d側からセンサ接続部76hに向けて段階的に小径になるように形成されている。
ギアシフトアーム支持部76cにおいて鍔部76dに隣接する位置には、シフトダウン用カラー142が固定されるシフトダウン用カラー固定部152が設けられている。カラー支持部76fには、蓄力カラー143が固定される蓄力カラー固定部153が設けられている。係止カラー固定部151、シフトダウン用カラー固定部152、及び蓄力カラー固定部153は、シフトスピンドル76の外周に形成されるセレーションである。また、クラッチレバー82は、蓄力カラー固定部153に固定される。
シフトダウン用カラー142、蓄力カラー143、及び、クラッチレバー82は、シフトスピンドル76に対し相対回転不能に固定されており、シフトスピンドル76と一体に回動する。
図11は、図10のXI−XI断面図であり、蓄力機構81の周辺部を示す図である。図12は、ギアシフトアーム140を示す図であり、(a)は正面図、(b)はXII−XII断面図である。ここで、図11では、アクチュエータ機構64、蓄力機構81及びチェンジ機構89は、シフトアップ及びシフトダウンの動作がなされていない中立状態(中立位置)にある。すなわち、図11では、シフトスピンドル76、ギアシフトアーム140及びマスターアーム80等は、中立状態にある。また、図11ではクラッチカバー30は不図示である。
図10〜図12に示すように、ギアシフトアーム140は、シフトスピンドル76の外周面にベアリング154を介して嵌合する円筒部155と、円筒部155における蓄力スプリング145側の端の外周部から径方向外側に延びるプレート部156とを備える。
プレート部156は、円筒部155から上方に延びる上方延出部156aと、円筒部155から上方延出部156aに略直交する方向へ延びる延出部156bとを備える。
延出部156bには、延出部156bの先端部からシフトスピンドル76と略平行に蓄力スプリング145側へ延びる第1の係止片157が設けられている。また、プレート部156において、円筒部155と第1の係止片157との間には、シフトダウン用カラー142の一部が嵌まる孔部158が設けられている。孔部158は、円筒部155に沿って円弧状に延びる長孔である。
上方延出部156aには、上方延出部156aの先端部から径方向外方に延びた後にシフトスピンドル76と略平行にリターンスプリング141側に延びる第2の係止片159が設けられている。
第2の係止片159は、マスターアーム80の規制開口部160に挿通される基端側の当接部159aと、リターンスプリング141が係止される先端側のリターンスプリング係止部159bとを備える。リターンスプリング係止部159bは、当接部159aよりも細く形成されている。
マスターアーム80は、ギアシフトアーム140の円筒部155の外周面に摺動自在に嵌合する筒状部161と、筒状部161における蓄力スプリング145側の端から径方向外側に延出されるアーム部162とを備える。マスターアーム80は、ギアシフトアーム140に対して相対回転可能である。マスターアーム80は、アーム部162がギアシフトアーム140のプレート部156に近接するように配置される。
アーム部162は、図11の正面視では略L字状に形成されており、筒状部161から上方へ延びる位置規制アーム162aと、筒状部161から位置規制アーム162aと略直交する方向に延びる操作アーム162bとを備える。マスターアーム80は、操作アーム162bを介してシフトドラム70に連結されており、マスターアーム80が回動することでシフトドラム70が回転する。
マスターアーム80は、ストッパーピン146が挿通される前記規制開口部160を、位置規制アーム162aの先端部に備える。規制開口部160には、ストッパーピン146の下方の位置で、ギアシフトアーム140の第2の係止片159が挿通される。規制開口部160は、ストッパーピン146及び第2の係止片159が規制開口部160内で規制開口部160に対して相対移動可能なように、所定の大きさの幅を有する。
マスターアーム80は、シフトスピンドル76と略平行にリターンスプリング141側に延びるスプリング係止片163を、規制開口部160の上縁部に備える。
マスターアーム80とギアシフトアーム140とは、シフトスピンドル76に設けられてシフトドラム70を回動操作するチェンジ操作部材220を構成する。
シフトダウン用カラー142は、筒状に形成されており、鍔部76dに突き当てられて軸方向に位置決めされ、シフトダウン用カラー固定部152に固定される。シフトダウン用カラー142は、ギアシフトアーム140の孔部158に挿通されるドグ歯164を有する。ドグ歯164の全長は、ドグ歯164が孔部158内で移動可能なように、孔部158の全長よりも短く形成されている。
蓄力カラー143は、蓄力カラー固定部153に固定される円筒部166と、円筒部166から径方向外側に延びる延出部167と、延出部167の先端からシフトスピンドル76と略平行にギアシフトアーム140側に延びる蓄力アーム168とを備える。蓄力アーム168は、シフトスピンドル76の軸方向視では、ギアシフトアーム140の第1の係止片157に対し、径方向及び周方向において略同一の位置に配置される。詳細には、蓄力アーム168は、第1の係止片157に対し、周方向にはわずかにずれた位置に設けられる。
スプリングカラー144は、鍔部76dと蓄力カラー143との間に配置される。スプリングカラー144は、蓄力スプリング145の内周部がスプリングカラー144に接触した際にシフトスピンドル76に対して回転することで、蓄力スプリング145のフリクションを低減する。
蓄力スプリング145は、ねじりコイルバネであり、一端のギアシフトアーム側端部145aが、ギアシフトアーム140の第1の係止片157に係止され、他端の蓄力アーム側端部145bが蓄力カラー143の蓄力アーム168に係止される。
リターンスプリング141は、ねじりコイルバネであり、コイル部141cがマスターアーム80の筒状部161の外周部に嵌合される。
リターンスプリング141は、その一端141aと他端141bとが径方向の外側に延出し、一端141aと他端141bとは、互いに所定の間隔をあけて略平行になるように設けられる。
リターンスプリング141は、一端141aと他端141bとの間にストッパーピン146を挟んだ状態で配置される。
また、マスターアーム80のスプリング係止片163は、ストッパーピン146よりも一端141a及び他端141bの先端側で、一端141aと他端141bとの間に挟持される。ギアシフトアーム140の第2の係止片159は、ストッパーピン146よりも一端141a及び他端141bの基端側で、一端141aと他端141bとの間に挟持される。
ストッパーピン146は、他側ケース半体26Rの内壁36bに締結して固定される。ストッパーピン146は、シフトスピンドル76と略平行に延び、マスターアーム80の規制開口部160に挿通される。ストッパーピン146は、先端部にダンパー部170を備える。ダンパー部170は、ストッパーピン146に嵌合される円筒状のカラー170aと、カラー170aとストッパーピン146との間に介装されるゴム等の弾性部材170bと、ストッパーピン146の先端に嵌められてカラー170aを抜け止めするワッシャ状の止め具170cとを備える。マスターアーム80の規制開口部160の内周部は、マスターアーム80が回動した際にダンパー部170に当接する。このため、規制開口部160がストッパーピン146に受けられる際の打音をダンパー部170によって低減できる。
図11に示す中立状態では、チェンジクラッチ61が接続状態にあって変速機60に駆動力が発生している。このため、マスターアーム80は、変速機60によって拘束されており、シフトスピンドル76上で回動不能である。
中立状態では、マスターアーム80は、スプリング係止片163がリターンスプリング141の一端141aと他端141bとの間に挟まれることで、回動位置を中立位置に規制されている。リターンスプリング141は、所定の初期荷重が付された状態でマスターアーム80の回動位置を規制している。
中立状態では、ギアシフトアーム140は、リターンスプリング係止部159bがリターンスプリング141の一端141aと他端141bとの間に挟まれることで、回動位置を中立位置に規制されている。リターンスプリング141は、所定の初期荷重が付された状態でギアシフトアーム140の回動位置を規制している。
すなわち、中立状態では、マスターアーム80及びギアシフトアーム140は、シフトスピンドル76の中心とストッパーピン146の中心とを通る直線Lに沿うように位置している。
ギアシフトアーム140とマスターアーム80とで構成されるチェンジ操作部材220は、リターンスプリング141によって中立位置に付勢されている。シフトスピンドル76は、蓄力機構81を介してチェンジ操作部材220に接続されているため、リターンスプリング141によって中立位置に付勢される。
中立状態では、蓄力スプリング145は、蓄力アーム168と第1の係止片157との間で所定のねじり量だけ初期撓みを付与された状態で設けられており、蓄力スプリング145には所定の初期荷重が発生している。
図13は、シフトダウン用カラー142のドグ歯164の位置状態を示す図であり、(a)は中立状態であり、(b)〜(d)は、順にさらにシフトスピンドル76の回動量が増加した状態である。
図13(a)に示すように、ドグ歯164は、中立状態では、ギアシフトアーム140の孔部158の一端に接しており、ドグ歯164と孔部158の他端との間には隙間が形成されている。
ここで、シフトアップをする際の蓄力機構81の動作を説明する。
制御ユニット17の変速の指示に伴ってアクチュエータ機構64のシフトモーター75が駆動されると、シフトスピンドル76の回動が開始される。シフトアップの方向は、図中に符号UPで示す時計回りの方向である。
図14は、中立状態よりもシフトアップ方向に進んだ状態を示す図である。
図14の状態は、ギアシフトアーム140の第2の係止片159の当接部159aが、マスターアーム80の規制開口部160の内縁160aに当接してギアシフトアーム140が回動できなくなるまでシフトスピンドル76の回動が進んだ状態であり、以下の説明では、この状態を蓄力準備状態と呼ぶ。
蓄力準備状態では、ギアシフトアーム140は、蓄力カラー143の回動に伴って蓄力スプリング145を介して蓄力カラー143と一体に回動しただけである。このため、蓄力機構81は全体的にシフトアップ方向に回動しているが、蓄力スプリング145の撓み量に変化は無く、蓄力は開始されていない。また、蓄力準備状態では、中立状態からのマスターアーム80の回動量は0である。
蓄力準備状態では、ギアシフトアーム140は、リターンスプリング141の付勢力に抗して回動しており、リターンスプリング141の他端141bは、所定量だけ開かれている。
蓄力準備状態では、シフトダウン用カラー142がギアシフトアーム140と一体に回動するため、図13(b)に示すように、ドグ歯164は、ギアシフトアーム140の孔部158の一端に接しており、ドグ歯164と孔部158の他端との間には隙間が形成されている。
図15は、蓄力準備状態よりもシフトアップ方向に進んだ状態を示す図である。
図15の状態では、蓄力スプリング145は、シフトスピンドル76の回動に伴い、ギアシフトアーム側端部145aが第1の係止片157によって位置を固定されたまま、蓄力アーム側端部145bだけが蓄力アーム168によって所定量Rだけ回動されている。以下の説明では、図15の状態を蓄力状態と呼ぶ。
蓄力状態では、蓄力スプリング145の撓み量が、所定量Rの分だけ増加しており、蓄力スプリング145の所定量の蓄力が完了している。また、蓄力状態では、中立状態からのマスターアーム80の回動量は0である。
蓄力状態では、規制開口部160に規制されて回動しないギアシフトアーム140に対し、シフトダウン用カラー142はシフトスピンドル76と共に回動している。このため、蓄力状態では、図13(c)に示すように、ドグ歯164は、ギアシフトアーム140の孔部158の一端と他端との間の中間部に位置する。
図3を参照し、クラッチレバー82は、シフトスピンドル76と一体に回転し、クラッチレバー82の回動に伴って、リフターカムプレート85が軸方向に移動し、チェンジクラッチ61が切断される。チェンジクラッチ61が切断されると、変速機60によるマスターアーム80の拘束が解除され、マスターアーム80は回動可能となる。チェンジクラッチ61が切断された瞬間に、蓄力機構81の蓄力が開放され、マスターアーム80は、ギアシフトアーム140を介して蓄力によって図15に二点鎖線で示す位置まで一気に回動する。このため、変速を迅速に行うことができる。マスターアーム80は、規制開口部160の一端141a側の部分がストッパーピン146のダンパー部170に当接するまで回動する。
蓄力が開放されると、停止しているシフトダウン用カラー142に対してギアシフトアーム140がシフトアップ方向に回動し、図13(d)に示すように、ギアシフトアーム140の孔部158の一端がドグ歯164に当接する。このため、シフトアップ方向と反対のシフトダウン方向にシフトスピンドル76を回動する際に、ドグ歯164を介してギアシフトアーム140をシフトダウン方向に迅速に回動させることができる。このため、迅速に中立状態に戻すことができる。
シフトダウンをする際には、まず、図11の中立状態からギアシフトアーム140がシフトダウン方向に回動されて行き、ギアシフトアーム140の当接部159cがマスターアーム80の規制開口部160の内縁160bに当接する。中立状態から当接部159cが内縁160bに当接するまでの区間は、図8の区間Yに対応する。区間Yでは、シフトスピンドル76の回動に伴ってチェンジクラッチ61が切断され、シフトドラム70はまだ回動しない。区間Yを越えてシフトスピンドル76がシフトダウン方向に回動すると、当接部159cを介してマスターアーム80のシフトダウン方向への回動が回動され、シフトドラム70が回動してシフトダウンが行われる。
図16は、チェンジ機構89の側面図である。図17は、チェンジ機構89の動作状態を示す図であり、(a)は正常にシフトダウン方向に送り切った状態であり、(b)は(a)の状態から中立位置側に戻る状態を示している。
チェンジ機構89は、マスターアーム80の先端部に設けられる送り操作部材201と、シフトドラム70(図14)の軸端に設けられる星型プレート202と、星型プレート202の外周部に当接して星型プレート202の回動位置を規制するストッパアーム203(付勢部材)とを備える。
星型プレート202は、周方向に略等間隔で放射状に突出した複数(5つ)のカム山部と、各カム山部の外側面から軸方向に突出する複数(5つ)の係止ピン204とを備える。星型プレート202は、シフトドラム70に一体的に設けられており、シフトドラム70は、係止ピン204が送り操作部材201に押圧されることで回動する。
ストッパアーム203は、クランクケース26に回動自在に軸支されるアーム部203aと、アーム部203aの先端部に軸支されるローラー203bとを備える。アーム部203aは、アーム部203aに連結されるばね(不図示)によって、ローラー203bが星型プレート202の外周部に常に当接するように付勢されている。すなわち、シフトドラム70が回動する際には、ローラー203bは、星型プレート202のカム山部及びカム山部の間の谷部に沿って動く。
送り操作部材201は、マスターアーム80の操作アーム162bの長手方向にスライド可能であるとともに、シフトスピンドル76側に移動するようにばね等(不図示)によって付勢されている。
送り操作部材201は、係止ピン204側へシフトドラム70の軸方向に突出するシフトアップ用押圧部201a及びシフトダウン用押圧部201bを、先端側に備える。
図16は、チェンジ機構89の中立状態が示されており、この状態では、ローラー203bが星型プレート202の谷部に係合していることで、シフトドラム70は所定の変速段に対応する回動角に位置決めされている。また、中立状態では、互いに隣接する2つの係止ピン204,204から外側に少し離間した位置に、シフトアップ用押圧部201aとシフトダウン用押圧部201bとがそれぞれ位置している。
シフトダウンの指示に伴ってマスターアーム80がシフトダウン方向に回動されると、シフトダウン用押圧部201bが1つの係止ピン204に下方から当接し、係止ピン204を介してシフトドラム70をシフトダウン方向に回動させる。この際、シフトダウン用押圧部201bは、ストッパアーム203の付勢力に抗してシフトドラム70を回動させる。詳細には、シフトダウン用押圧部201bは、ローラー203bが星型プレート202のカム山部を越えるまでは、ストッパアーム203の付勢力に抗してシフトドラム70を回動させる。ローラー203bが星型プレート202のカム山部を越えた後は、ローラー203bが谷部側に下る際の押圧力により、シフトドラム70は、ローラー203bが谷部に係合するまで自動的に回転する。すなわち、ローラー203bが星型プレート202のカム山部を越える位置までシフトドラム70が回動すれば、シフトダウン用押圧部201bが係止ピン204から離れても、シフトドラム70は次段に対応する位置まで自動的に回動する。このため、図17(a)に示すように、マスターアーム80をシフトダウン方向に送り切った状態では、シフトダウン用押圧部201bは係止ピン204から離間している。つまり、ローラー203bが星型プレート202のカム山部を越える位置までシフトドラム70が回動すれば、マスターアーム80は、シフトドラム70から独立して反対方向にも回動可能である。
図17(a)の状態から図16の中立状態に戻る際には、マスターアーム80はシフトアップ方向に回動される。この場合、送り操作部材201は、図17(b)に示すように、シフトダウン用押圧部201bの近傍に設けられた戻し用当接部205が他の係止ピン204に当接しながら回動することで、操作アーム162bの長手方向に移動し、完全に中立位置に戻ると、図16の状態となる。
ここでは、シフトダウンする場合について説明したが、シフトアップする際は、シフトアップ用押圧部201aが係止ピン204を押圧し、シフトドラム70をシフトアップ方向に回動させる。
ここで、図8を参照し、中立位置(0°)からシフトダウン側にシフトスピンドル76を回動させて行く場合の、チェンジクラッチ61の容量の変化を説明する。シフトダウン側においてチェンジクラッチ61の容量を変化させる動作は、シフトアップ側と基本的に同一であるが、図7に示すように、シフトダウン側では、シフトスピンドル76の回動に対するリフターカムプレート85のリフト特性が、中立位置を基準により小さな回動角(回動量)で立ち上がり、且つ、より急な勾配でリフトするように設定されている。このため、シフトダウン側では、中立位置を基準にシフトアップ側よりも小さなシフトスピンドル76の回動量で、チェンジクラッチ61の切断が開始されるとともにチェンジクラッチ61の切断容量C4までの切断が完了する。
詳細には、回動角θd1においてチェンジクラッチ61で起こる動作はシフトアップ側の回動角θ1の動作と同一であり、回動角θd1は、中立位置を基準に回動角θ1よりも小さな回動量である。すなわち、シフトスピンドル76の回動角が回動角θd1になると、クラッチ容量は第1の中間容量C2となる。
また、回動角θd2においてチェンジクラッチ61で起こる動作はシフトアップ側の回動角θ2の動作と同一であり、回動角θd3においてチェンジクラッチ61で起こる動作はシフトアップ側の回動角θ3の動作と同一である。
また、図8に示すように、シフトドラム70の回動は、チェンジクラッチ61が完全に切断されてからシフトスピンドル76が所定量Fだけさらにシフトダウン方向に回動すると開始される。
制御ユニット17は、シフトモーター75でシフトスピンドル76を回動させて行った際のシフトモーター75の駆動デューティに基づいて、チェンジクラッチ61が半クラッチ状態に切り替わるタッチポイントを学習するタッチポイント学習制御を行う。
詳細には、タッチポイントとは、シフトスピンドル76を回動させて行った場合に、最大容量C1と第1の中間容量C2とが切り替わる際のシフトスピンドル76の回動角θ1(図8)を意味する。第1の中間容量C2は、シフトスピンドル76の回動によって第1のリフタープレート96,97が段階的にリフトしてクラッチ容量を多段階に切り替え可能なチェンジクラッチ61において、最も最大容量C1に近い段の容量である。
制御ユニット17は、シフトスピンドル76の実際の回動角を目標回動角に追従させるようにシフトスピンドル76の回動角のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、目標回動角と実際の回動角との差が小さくなるようにモーター印加電圧を調整するものであり、モーター印加電圧の調整は、PWM(パルス幅変調)制御の駆動デューティの調整で行っている。
制御ユニット17は、タッチポイント学習制御中、シフトスピンドル76の目標回動角を一定速度で変化させており、シフトスピンドル76の回動動作は、回動角が略一定の速度(例えば10°/sec)で変化するランプ応答となっている。
シフトモーター75は、ランプ応答中、シフトモーター75の出力がランプ応答の設定速度に追従できる程度に十分であれば、ランプ応答に必要な駆動デューティを時々刻々と出力する。
一方で、シフトスピンドル76を回動させるには、各種フリクション(シフトスピンドル76周辺のベアリングの回動に伴うフリクション等)に抗するためや、ギアチェンジ機構63及びクラッチ操作機構62を動作させるためのトルクが必要であり、この必要トルクは、シフトスピンドル76の回動角の変化によって時々刻々と変化する。このため、ランプ応答が正しく実行される範囲において、シフトスピンドル76のある回動角における必要トルクはシフトモーター75の駆動デューティと相関があり、駆動デューティからシフトスピンドル76のトルクの変化点を検出できる。
図18は、シフトスピンドル76の回動角とシフトスピンドル76のトルクとの関係を示す図表である。
図18に示すように、シフトスピンドル76を中立位置(0°)からシフトアップ方向に回動させると、回動角θ1では、サブスプリング98の圧縮が開始されるため、シフトスピンドル76が回動するための必要トルクが増加する。
シフトドラム70の回動角が回動角θ1から増加して回動角θacに達すると、蓄力の開始に伴って蓄力スプリング145の変形が開始されるため、シフトスピンドル76の必要トルクが増加する。
シフトドラム70の回動角が回動角θ2に達すると、第2のサブスプリング99の圧縮が開始されるため、シフトスピンドル76の必要トルクが増加する。
シフトドラム70の回動角が回動角θ3に達すると、メインスプリング95の圧縮が開始されるため、シフトスピンドル76の必要トルクが増加する。
図18のようにシフトスピンドル76の必要トルクが増加すると、この必要トルクに対応してシフトモーター75の駆動デューティも増加する。
図19は、中立位置から回動角θ1の近傍までにおけるシフトスピンドル76の回動角とシフトスピンドル76のトルクとの関係を示す図表である。
シフトスピンドル76は、中立位置(図11参照)では、リターンスプリング141の初期トルク(初期荷重)Trによって、中立位置に戻るように付勢されている。このため、シフトスピンドル76が中立位置からシフトアップ方向に回動する初期段階では、リターンスプリング141の荷重によるトルクに抗する必要トルクが発生する。すなわち、中立位置から回動角θ1までの区間では、シフトスピンドル76は、リターンスプリング141に抗して回動する。初期トルクTrは、リターンスプリング141の初期荷重をシフトスピンドル76に作用するトルクに換算したものである。ここで、リターンスプリング141の荷重は、中立位置から回動角θ1までの区間で撓みの増加により増加するが、その量はわずかであるため、回動角θ1近傍でのリターンスプリング141のトルクは初期トルクTrと同一であるとして説明する。
シフトスピンドル76が回動角θ1に達すると、サブスプリング98の初期トルク(初期荷重)Tcがシフトスピンドル76の必要トルクに影響し始め、回動角θ1からわずかに回動角が増えて回動角θ1aになると、サブスプリング98の初期トルクTcの全部がシフトスピンドル76に作用し、シフトスピンドル76の必要トルクが増加する。初期トルクTcは、サブスプリング98の初期荷重をシフトスピンドル76に作用するトルクに換算したものである。
すなわち、クラッチ容量が完全な第1の中間容量C2となる回動角θ1aでは、シフトスピンドル76の必要トルクは、リターンスプリング141の初期トルクTrとサブスプリング98の初期トルクTcと和であるトルクTrcとなる。
シフトモーター75のコギングトルクTmは、トルクTrcよりも小さく、リターンスプリング141の初期トルクTrよりも大きく設定されている。このため、シフトスピンドル76は、回動角θ1と回動角θ1aとの間の回動角でコギングトルクTmを乗り越えて回動する。詳細には、シフトスピンドル76のトルクは、回動角θ1と回動角θ1aとの間に位置する反転回動角θrevでコギングトルクTmと同値となる。
図20は、タッチポイント学習制御において、シフトスピンドル76の回動角とシフトモーター75の駆動デューティとリフターカムプレート85のリフト量Llcとの関係を示す図表である。
制御ユニット17は、タッチポイント学習制御を、自動二輪車10が走行しておらず停止しており、且つ、変速機60がニュートラル状態の際に実行する。
図20には、シフトスピンドル76を中立位置からシフトアップ方向に切断容量C4となるまでランプ応答で回動させる際(往路)のシフトモーター75の駆動デューティDoと、シフトスピンドル76を切断容量C4からシフトダウン方向に中立位置となるまでランプ応答で回動させる際(復路)のシフトモーター75の駆動デューティDiとが示されている。
サブリフタープレート97のリフト量Llcは、中立位置から回動角θ1までは0である。リフト量Llcは、回動角θ1からシフトスピンドル76のシフトアップ方向への回動に伴い略線形に増加し、その後、シフトスピンドル76のシフトダウン方向への回動に伴い略線形に低下して回動角θ1で0となる。
往路の駆動デューティDoは、中立位置から回動角θ1までは、リターンスプリング141の初期トルクTrに抗するために正の値となり、回動角θ1よりも大きな回動角では、回動角の増加に伴い、コギングトルクTm、サブスプリング98の初期トルクTc、第2のサブスプリング99の荷重(トルク)、及び、メインスプリング95の荷重(トルク)に抗するために、切断容量C4となるまで増加して行く。
チェンジクラッチ61が切断容量C4で切断されている状態でシフトモーター75の駆動デューティがゼロになった場合、シフトスピンドル76は、メインスプリング95、第2のサブスプリング99、サブスプリング98、及び、リターンスプリング141の反力によるトルクを受けて、自動的に中立位置側に回動させられる。
タッチポイント学習制御では、復路の際、シフトスピンドル76をランプ応答による一定速度で切断位置から中立位置側まで回動させ、スプリングの反力で自動的に戻る場合よりもゆっくりと戻す。このため、切断容量C4側の回動角から反転回動角θrevまでは、スプリングの反力に抗するために、復路の駆動デューティDiは正の値となる。
復路において反転回動角θrevよりも小さい回動角では、コギングトルクTmがリターンスプリング141とサブスプリング98の初期トルクTcの一部とを足したトルクよりも大きいため、そのままではシフトスピンドル76は中立位置に戻ることができない。このため、制御ユニット17は、コギングトルクTmに打ち勝つように負の値の駆動デューティDi1を出力し、シフトモーター75の駆動力によってシフトスピンドル76を中立位置に戻す。すなわち、反転回動角θrevでは、駆動デューティDiの正負が反転する。
図21は、タッチポイント学習制御の処理のフローチャートである。
まず、制御ユニット17は、自動二輪車10の停止状態において、駆動デューティDoを出力してシフトスピンドル76を中立位置からシフトアップ側にランプ応答で回動させて行き(ステップS1)、シフトスピンドル76の回動角が所定値に達しているか否かを判定する(ステップS2)。ここでは、回動角の所定値は、チェンジクラッチ61が完全に切断される回動角θ3であるが、この所定値は、チェンジクラッチ61が少なくとも回動角θ1まで回動される値であれば良く、例えば、回動角θ2まででも良く、或いは、規制開口部160がストッパーピン146に当接する状態であるシフトスピンドル76の最大回動角等であっても良い。
シフトスピンドル76の回動角が所定値に達していない場合(ステップS2:No)、制御ユニット17はステップS1に戻る。
シフトスピンドル76の回動角が所定値に達している場合(ステップS2:Yes)、制御ユニット17は、駆動デューティDiを出力してシフトスピンドル76を回動角θ3から中立位置へランプ応答で回動させて行き(ステップS3)、駆動デューティDiの正負の反転が発生しているか否かを判定する(ステップS4)。
駆動デューティDiの正負の反転が発生していない場合(ステップS4:No)、制御ユニット17は、ステップS3に戻り、シフトスピンドル76の回動を継続する。
駆動デューティDiの正負の反転が発生している場合(ステップS4:Yes)、制御ユニット17は、駆動デューティDiの正負の反転が発生したときのシフトスピンドル76である反転回動角θrevをタッチポイントとして学習(記憶)する(ステップS5)。このように、クラッチ容量が第1の中間容量C2に変化する回動角θ1の近傍に位置する反転回動角θrevに基づいてタッチポイントを学習することで、タッチポイントを高精度に学習できる。反転回動角θrevと実際のタッチポイントとの間には、わずかな差が有る場合があるが、この差は実験や机上の計算によって予め求められた補正値に基づいて縮小されることができる。
次に、制御ユニット17は、シフトスピンドル76を中立位置へランプ応答で回動させて行き(ステップS6)、シフトスピンドル76が中立位置に到達したか否かを判定する(ステップS7)。
シフトスピンドル76が中立位置に到達していない場合(ステップS7:No)、制御ユニット17は、ステップS6に戻る。シフトスピンドル76が中立位置に到達している場合(ステップS7:Yes)、制御ユニット17は処理を終了する。
以上説明したように、本発明を適用した第1の実施の形態によれば、自動変速装置25は、エンジン21の回転動力がチェンジクラッチ61を介して入力されるとともに、駆動側シフターギアである駆動ギア67bを含む複数の駆動ギアを有するメイン軸65と、複数の駆動ギアによって回動される被動側シフターギアである被動ギア68cを含む複数の被動ギアを有するカウンタ軸66と、駆動ギア67b及び被動ギア68cを軸方向に移動させる複数のシフトフォーク69a,69bと、シフトフォーク69a,69bの端部が係合されるリード溝70aを有するシフトドラム70と、チェンジクラッチ61を操作するクラッチレバー82及びシフトドラム70を操作するチェンジ操作部材220が設けられるシフトスピンドル76と、チェンジ操作部材220に係止されるとともにチェンジ操作部材220を介してシフトスピンドル76を中立位置側に付勢するリターンスプリング141と、シフトスピンドル76の回動角を検出するシフトスピンドル角センサ79と、シフトスピンドル76を回動させるシフトモーター75と、シフトモーター75を制御する制御ユニット17とを備え、チェンジクラッチ61は、軸方向に固定されるクラッチセンタ92と、軸方向に変位可能なプレッシャプレート93と、クラッチセンタ92とプレッシャプレート93との間に設けられる複数のクラッチ板94と、プレッシャプレート93をクラッチ接続方向に押圧するメインスプリング95と、プレッシャプレート93をクラッチ切断方向にリフトさせるサブリフタープレート97と、クラッチセンタ92とサブリフタープレート97との間に設けられるとともにクラッチ板94をクラッチ接続方向に押圧するサブスプリング98とを有する多板クラッチとして設けられ、リターンスプリング141とサブスプリング98とがシフトスピンドル76にかけるトルクの和であるトルクTrcは、シフトモーター75のコギングトルクTmよりも大きくなるように設定され、コギングトルクTmは、リターンスプリング141の初期トルクTrよりも大きくなるように設定され、制御ユニット17は、シフトスピンドル76をシフトアップ方向(第1の方向、クラッチ切断方向)に所定量回動させた後、シフトスピンドル76をシフトアップ方向と反対のシフトダウン方向(クラッチ接続方向)に戻すように回動させて、シフトモーター75の駆動デューティDiの正負反転が生じる際のシフトスピンドル76の回動角である反転回動角θrevに基づいて、チェンジクラッチ61が第1の中間容量C2となるタッチポイントを学習する。
これにより、制御ユニット17が、シフトスピンドル76をシフトアップ方向(往路)に所定量回動させた後、シフトスピンドル76をシフトダウン方向(復路)に戻すように回動させると、シフトスピンドル76は、シフトダウン方向に戻る際、メインスプリング95、サブスプリング98及びリターンスプリング141の反力によって中立位置側に回動するトルクを受け、シフトモーター75は、このトルクに抗する中立位置側と反対のシフトアップ方向のトルクを出力するように正の値の駆動デューティDiを出力する。ここで、シフトスピンドル76が中立位置に戻る際に、シフトスピンドル76がタッチポイント近傍に到達してシフトスピンドル76に伝達されるサブスプリング98の反力がなくなると、シフトスピンドル76を中立位置側に戻すトルクを発生させるものはリターンスプリング141のみとなるが、シフトモーター75のコギングトルクTmは、リターンスプリング141の初期トルクTrよりも大きくなるように設定されているため、リターンスプリング141のみではシフトスピンドル76を中立位置に戻すことができない。このため、制御ユニット17は、コギングトルクTmに打ち勝つように、中立位置側に戻すトルクを発生させる負の値の駆動デューティDi1を出力し、これにより、駆動デューティDiの正負反転が生じる。従って、駆動デューティDiの正負反転が生じる際のシフトスピンドル76の反転回動角θrevに基いてタッチポイントを学習することで、タッチポイントを高精度に学習できる。
また、制御ユニット17は、シフトスピンドル76を反対方向に回動させる際にランプ応答でシフトスピンドル76を制御するため、駆動デューティDiの正負反転を生じさせることができるとともに、シフトスピンドル76のトルクの変動が駆動デューティDiに高精度に反映される。このため、タッチポイントを高精度に学習できる。
[第2の実施の形態]
以下、図22を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第2の実施の形態は、図21の処理とは異なる処理でタッチポイント学習制御が行われる。
図22は、第2の実施の形態におけるタッチポイント学習制御の処理のフローチャートである。
まず、制御ユニット17は、自動二輪車10の停止状態において、駆動デューティDoを出力してシフトスピンドル76を中立位置からシフトアップ側にランプ応答で回動させて行き(ステップS11)、シフトスピンドル76の回動角が所定値に達しているか否かを判定する(ステップS12)。この回動角の所定値は、部品の公差バラツキ等を考慮してシフトスピンドル76が反転回動角θrevよりもクラッチ切断側に位置する回動角であり、例えば回動角θ1と回動角θ2との間の回動角である。ステップS11は、タッチポイント学習制御におけるシフトスピンドル76の往路である。
シフトスピンドル76の回動角が所定値に達していない場合(ステップS12:No)、制御ユニット17はステップS11に戻る。
シフトドラム70の回動角が所定値に達している場合(ステップS12:Yes)、制御ユニット17は、シフトモーター75の駆動デューティをゼロに設定し(ステップS13)、タイマーのカウントを開始する(ステップS14)。駆動デューティがゼロにされると、サブスプリング98及びリターンスプリング141等の反力によって、シフトスピンドル76の中立位置側への移動(復路)が開始される。
ここで、駆動デューティは、ゼロまたは略ゼロに設定されれば良い。略ゼロの場合、駆動デューティは、その駆動デューティーが作用していてもサブスプリング98等の反力によってシフトスピンドル76が中立位置側へ回動する大きさに設定される。
次いで、制御ユニット17は、駆動デューティをゼロにしてから所定時間が経過しているか否かをタイマーのカウントによって判定し(ステップS15)、所定時間が経過していなければ(ステップS15:No)、タイマーのカウントを継続する。
所定時間が経過している場合(ステップS15:Yes)、制御ユニット17は、所定時間が経過したときのシフトスピンドル76の回動角をタッチポイントとして学習(記憶)する。ここで、シフトスピンドル76が中立位置に戻る際に、シフトスピンドル76がタッチポイント近傍に到達してシフトスピンドル76に伝達されるサブスプリング98の反力がなくなると、シフトスピンドル76を中立位置側に戻すトルクを発生させるものはリターンスプリング141のみとなるが、シフトモーター75のコギングトルクTmは、リターンスプリング141の初期トルクTrよりも大きくなるように設定されているため、リターンスプリング141のみではシフトスピンドル76を中立位置に戻すことができない。このため、所定時間が経過すると、シフトスピンドル76は、反転回動角θrevの位置で停止した状態となる。すなわち、ステップS16では、反転回動角θrevがタッチポイントとして学習される。
続いて、制御ユニット17は、シフトスピンドル76を中立位置へランプ応答で回動させて行き(ステップS17)、シフトスピンドル76が中立位置に到達したか否かを判定する(ステップS18)。
シフトスピンドル76が中立位置に到達していない場合(ステップS18:No)、制御ユニット17は、ステップS17に戻る。シフトスピンドル76が中立位置に到達している場合(ステップS18:Yes)、制御ユニット17は処理を終了する。
以上説明したように、本発明を適用した第2の実施の形態によれば、自動変速装置25は、エンジン21の回転動力がチェンジクラッチ61を介して入力されるとともに、駆動側シフターギアである駆動ギア67bを含む複数の駆動ギアを有するメイン軸65と、複数の駆動ギアによって回動される被動側シフターギアである被動ギア68cを含む複数の被動ギアを有するカウンタ軸66と、駆動ギア67b及び被動ギア68cを軸方向に移動させる複数のシフトフォーク69a,69bと、シフトフォーク69a,69bの端部が係合されるリード溝70aを有するシフトドラム70と、チェンジクラッチ61を操作するクラッチレバー82及びシフトドラム70を操作するチェンジ操作部材220が設けられるシフトスピンドル76と、チェンジ操作部材220に係止されるとともにチェンジ操作部材220を介してシフトスピンドル76を中立位置側に付勢するリターンスプリング141と、シフトスピンドル76の回動角を検出するシフトスピンドル角センサ79と、シフトスピンドル76を回動させるシフトモーター75と、シフトモーター75を制御する制御ユニット17とを備え、チェンジクラッチ61は、軸方向に固定されるクラッチセンタ92と、軸方向に変位可能なプレッシャプレート93と、クラッチセンタ92とプレッシャプレート93との間に設けられる複数のクラッチ板94と、プレッシャプレート93をクラッチ接続方向に押圧するメインスプリング95と、プレッシャプレート93をクラッチ切断方向にリフトさせるサブリフタープレート97と、クラッチセンタ92とサブリフタープレート97との間に設けられるとともにクラッチ板94をクラッチ接続方向に押圧するサブスプリング98とを有する多板クラッチとして設けられ、リターンスプリング141とサブスプリング98とがシフトスピンドル76にかけるトルクの和であるトルクTrcは、シフトモーター75のコギングトルクTmよりも大きくなるように設定され、コギングトルクTmは、リターンスプリング141の初期トルクTrよりも大きくなるように設定され、制御ユニット17は、シフトスピンドル76をシフトアップ方向(第1の方向、クラッチ切断方向)に所定量回動させた後、シフトモーター75の駆動デューティをゼロとし、所定時間経過後のシフトスピンドル76の回動角である反転回動角θrevに基づいて、チェンジクラッチ61が第1の中間容量C2となるタッチポイントを学習する。
これにより、制御ユニット17が、シフトスピンドル76をシフトアップ方向に所定量回動させた後、シフトモーター75をゼロにすると、シフトスピンドル76は、サブスプリング98及びリターンスプリング141等の反力によって中立位置側に回動される。ここで、シフトスピンドル76が中立位置側に戻る際に、シフトスピンドル76がタッチポイント近傍に到達しシフトスピンドル76に伝達されるサブスプリング98の反力がなくなると、シフトスピンドル76を中立位置側に戻すトルクを発生させるものはリターンスプリング141のみとなるが、シフトモーター75のコギングトルクTmは、リターンスプリング141の初期トルクTrよりも大きくなるように設定されているため、リターンスプリング141のみではシフトスピンドル76を中立位置に戻すことができず、シフトスピンドル76は、タッチポイント近傍で回動を停止する。このため、シフトモーター75の駆動デューティをゼロとし、所定時間経過後のシフトスピンドル76の反転回動角θrevに基づいてタッチポイントを高精度に学習できる。
なお、図22では、駆動デューティをゼロにした後、ステップS15及びステップ16において、所定時間が経過している場合にタッチポイントを学習するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS13で駆動デューティをゼロにしてから、シフトスピンドル角センサ79の出力値に基づいてシフトスピンドル76の回動角が一定値に収まったことを検出した場合にステップS16に移行し、シフトスピンドル76の回動角が一定値に収まったときのシフトスピンドル76の回動角をタッチポイントとして学習しても良い。
なお、上記第1及び第2の実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記第1及び第2の実施の形態に限定されるものではない。
上記第1及び第2の形態では、タッチポイント学習制御は、シフトスピンドル76を中立位置からシフトアップ方向(第1の方向、クラッチ切断方向)に回動して、その後、中立位置へ戻るシフトダウン方向(クラッチ接続方向)でタッチポイントを学習するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、タッチポイント学習制御は、シフトスピンドル76を中立位置からシフトダウン方向(第1の方向、クラッチ切断方向)に回動して、その後、中立位置へ戻るシフトアップ方向(クラッチ接続方向)において回動角θd1(図8)の近傍でタッチポイントを学習しても良い。
また、上記第1及び第2の形態では、タッチポイントは、チェンジクラッチ61の容量が、最大容量C1、第1の中間容量C2、及び、第2の中間容量C3の3段の容量を有するものにおいて、最大容量C1と第1の中間容量C2とが切り替わるシフトスピンドル76の回動角であるものとして説明したが、タッチポイントは、最大容量と、最大容量に最も近い中間容量とが切り替わる回動角であれば良い。例えば、図5において、サブリフタープレート97及びサブスプリング98を設けずに、リフターカムプレート85を第1のリフタープレート96に直接的に接続した場合、クラッチの容量は2段となる。この場合、タッチポイントは、最大容量と第2の中間容量C3に対応する容量とが切り替わる回動角となるとともに、本発明のリフタープレートは第1のリフタープレート96が対応し、本発明のサブスプリングは第2のサブスプリング99が対応することになる。
また、上記第1及び第2の形態では、マスターアーム80とギアシフトアーム140とがチェンジ操作部材220を構成するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。チェンジ操作部材は、シフトスピンドル76に設けられてシフトドラム70を回動操作するものであれば良い。
さらに、上記第1及び第2の形態では、車両として自動二輪車10を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、三輪車両や四輪車両等の車両に本発明を適用しても良い。
10 自動二輪車(車両)
17 制御ユニット(制御装置)
21 エンジン
25 自動変速装置(変速装置)
61 チェンジクラッチ(クラッチ)
67b 駆動ギア(駆動側シフターギア)
68c 被動ギア(被動側シフターギア)
65 メイン軸
66 カウンタ軸
69a,69b シフトフォーク
70 シフトドラム
70a リード溝
75 シフトモーター(モーター)
76 シフトスピンドル
79 シフトスピンドル角センサ(スピンドル角センサ)
82 クラッチレバー(クラッチ操作部材)
92 クラッチセンタ
93 プレッシャプレート
94 クラッチ板
95 メインスプリング
97 サブリフタープレート(リフタープレート)
98 サブスプリング
141 リターンスプリング
220 チェンジ操作部材
C2 第1の中間容量(半クラッチ状態)
Tm コギングトルク
Tr 初期トルク(リターンスプリングのトルク)
Trc トルク(トルクの和)
θrev 反転回動角(駆動デューティの正負反転が生じる際のシフトスピンドルの回動角、回動角が一定になった後のシフトスピンドルの回動角)

Claims (3)

  1. エンジン(21)の回転動力がクラッチ(61)を介して入力されるとともに、駆動側シフターギア(67b)を含む複数の駆動ギアを有するメイン軸(65)と、前記複数の駆動ギアによって回動される被動側シフターギア(68c)を含む複数の被動ギアを有するカウンタ軸(66)と、前記駆動側シフターギア(67b)及び前記被動側シフターギア(68c)を軸方向に移動させる複数のシフトフォーク(69a,69b)と、当該シフトフォーク(69a,69b)の端部が係合されるリード溝(70a)を有するシフトドラム(70)と、前記クラッチ(61)を操作するクラッチ操作部材(82)及び前記シフトドラム(70)を操作するチェンジ操作部材(220)が設けられるシフトスピンドル(76)と、前記チェンジ操作部材(220)に係止されるとともに当該チェンジ操作部材(220)を介して前記シフトスピンドル(76)を中立位置側に付勢するリターンスプリング(141)と、前記シフトスピンドル(76)の回動角を検出するスピンドル角センサ(79)と、前記シフトスピンドル(76)を回動させるモーター(75)と、当該モーター(75)を制御する制御装置(17)とを備え、前記クラッチ(61)は、軸方向に固定されるクラッチセンタ(92)と、軸方向に変位可能なプレッシャプレート(93)と、前記クラッチセンタ(92)と前記プレッシャプレート(93)との間に設けられる複数のクラッチ板(94)と、前記プレッシャプレート(93)をクラッチ接続方向に押圧するメインスプリング(95)と、前記プレッシャプレート(93)をクラッチ切断方向にリフトさせるリフタープレート(97)と、前記クラッチセンタ(92)と前記リフタープレート(97)との間に設けられるとともに前記クラッチ板(94)を前記クラッチ接続方向に押圧するサブスプリング(98)とを有する多板クラッチとして設けられる車両の変速装置において、
    前記リターンスプリング(141)と前記サブスプリング(98)とが前記シフトスピンドル(76)にかけるトルクの和(Trc)は、前記モーター(75)のコギングトルク(Tm)よりも大きくなるように設定され、
    前記コギングトルク(Tm)は、前記リターンスプリング(141)のトルク(Tr)よりも大きくなるように設定され、
    前記制御装置(17)は、前記シフトスピンドル(76)を第1の方向に所定量回動させた後、前記シフトスピンドル(76)を前記第1の方向と反対方向に戻すように回動させて、前記モーター(75)の駆動デューティの正負反転が生じる際の前記シフトスピンドル(76)の回動角(θrev)に基づいて、前記クラッチ(61)が半クラッチ状態(C2)となるタッチポイントを学習することを特徴とする車両の変速装置。
  2. 前記制御装置(17)は、前記シフトスピンドル(76)を前記反対方向に回動させる際にランプ応答で前記シフトスピンドル(76)を制御することを特徴とする請求項1記載の車両の変速装置。
  3. エンジン(21)の回転動力がクラッチ(61)を介して入力されるとともに、駆動側シフターギア(67b)を含む複数の駆動ギアを有するメイン軸(65)と、前記複数の駆動ギアによって回動される被動側シフターギア(68c)を含む複数の被動ギアを有するカウンタ軸(66)と、前記駆動側シフターギア(67b)及び前記被動側シフターギア(68c)を軸方向に移動させる複数のシフトフォーク(69a,69b)と、当該シフトフォーク(69a,69b)の端部が係合されるリード溝(70a)を有するシフトドラム(70)と、前記クラッチ(61)を操作するクラッチ操作部材(82)及び前記シフトドラム(70)を操作するチェンジ操作部材(220)が設けられるシフトスピンドル(76)と、前記チェンジ操作部材(220)に係止されるとともに当該チェンジ操作部材(220)を介して前記シフトスピンドル(76)を中立位置側に付勢するリターンスプリング(141)と、前記シフトスピンドル(76)の回動角を検出するスピンドル角センサ(79)と、前記シフトスピンドル(76)を回動させるモーター(75)と、当該モーター(75)を制御する制御装置(17)とを備え、前記クラッチ(61)は、軸方向に固定されるクラッチセンタ(92)と、軸方向に変位可能なプレッシャプレート(93)と、前記クラッチセンタ(92)と前記プレッシャプレート(93)との間に設けられる複数のクラッチ板(94)と、前記プレッシャプレート(93)をクラッチ接続方向に押圧するメインスプリング(95)と、前記プレッシャプレート(93)をクラッチ切断方向にリフトさせるリフタープレート(97)と、前記クラッチセンタ(92)と前記リフタープレート(97)との間に設けられるとともに前記クラッチ板(94)を前記クラッチ接続方向に押圧するサブスプリング(98)とを有する多板クラッチとして設けられる車両の変速装置において、
    前記リターンスプリング(141)と前記サブスプリング(98)とが前記シフトスピンドル(76)にかけるトルクの和(Trc)は、前記モーター(75)のコギングトルク(Tm)よりも大きくなるように設定され、
    前記コギングトルク(Tm)は、前記リターンスプリング(141)のトルク(Tr)よりも大きくなるように設定され、
    前記制御装置(17)は、前記シフトスピンドル(76)を第1の方向に所定量回動させた後、前記モーター(75)の駆動デューティをゼロとし、所定時間経過後または前記シフトスピンドル(76)の回動角が一定になった後の前記シフトスピンドル(76)の回動角(θrev)に基づいて、前記クラッチ(61)が半クラッチ状態(C2)となるタッチポイントを学習することを特徴とする車両の変速装置。
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