本発明のポリウレタン粘着剤組成物は、ポリイソシアネートと、ポリオールとを含有している。
ポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはその誘導体を、必須成分として含んでいる。
ペンタメチレンジイソシアネートとしては、例えば、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,4−ペンタメチレンジイソシアネート、1,3−ペンタメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらペンタメチレンジイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ペンタメチレンジイソシアネートとして、好ましくは、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートが挙げられる。
ペンタメチレンジイソシアネートは、例えば、市販品として入手することもできるが、公知の方法、例えば、生化学的手法などによりペンタメチレンジアミンまたはその塩を製造し、そのペンタメチレンジアミンまたはその塩を、ホスゲン化法、カルバメート化法などの方法でイソシアネート化反応させることにより、製造することができる。
また、ペンタメチレンジイソシアネートは、必要により、精留(蒸留)、抽出などの公知の方法によって精製される。
ペンタメチレンジイソシアネートの純度は、例えば、95質量%以上、好ましくは、98質量%以上、より好ましくは、99質量%以上、さらに好ましくは、99.5質量%以上、とりわけ好ましくは、99.9質量%以上であり、通常、100質量%以下である。なお、純度は、後述する実施例に準拠して測定される。
また、ペンタメチレンジイソシアネートには、好ましくは、塩素が含まれており、さらに好ましくは、塩素および塩素を含有する化合物が含まれている。
ペンタメチレンイソシアネートの塩素濃度は、例えば、5ppm以上、好ましくは、10ppm以上、より好ましくは、100ppm以上であり、例えば、1000ppm以下、好ましくは、500ppm以下、より好ましくは、200ppm以下である。
ペンタメチレンイソシアネートの塩素濃度が上記範囲であれば、使用初期から優れた粘着力が発現され、また、剥離時における糊残りが低減されたポリウレタン粘着剤を、得ることができる。なお、塩素濃度は、後述する実施例に準拠して測定される。
また、塩素を含有する化合物としては、例えば、下記式(1)で示される化合物が挙げられる。
換言すれば、ペンタメチレンジイソシアネートは、好ましくは、下記式(1)で示される化合物(1−クロロ−5−イソシアナトペンタン)を含んでいる。
すなわち、ペンタメチレンジイソシアネートは、好ましくは、ペンタメチレンジイソシアネートの単量体と、上記式(1)で示される化合物とを含むペンタメチレンジイソシアネート組成物として用いられる。
なお、以下において、ペンタメチレンジイソシアネート組成物を、ペンタメチレンジイソシアネートと言い換える場合がある。
このような場合、上記式(1)で示される化合物の含有割合は、ペンタメチレンジイソシアネートの単量体と、上記式(1)で示される化合物との総質量(ペンタメチレンジイソシアネート組成物の総質量)に対して、例えば、10ppm以上、好ましくは、30ppm以上、より好ましくは、100ppm以上であり、例えば、2000ppm以下、好ましくは、1000ppm以下、より好ましくは、700ppm以下である。
上記式(1)で示される化合物が、上記割合で含有されていれば、使用初期から優れた粘着力が発現され、また、剥離時における糊残りが低減されたポリウレタン粘着剤を、得ることができる。なお、上記式(1)で示される化合物の含有割合は、後述する実施例に準拠して測定される。
塩素濃度、および、上記式(1)で示される化合物の含有割合は、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートの精製条件に応じて、調整される。
すなわち、ペンタメチレンジイソシアネートが蒸留により精製される場合には、塩素濃度、および、上記式(1)で示される化合物の含有割合は、蒸留条件や留出率に応じて、変化する。そのため、蒸留条件や、留分として採取する留出率を適宜設定することによって、塩素濃度、および、上記式(1)で示される化合物の含有割合を、任意の割合に調整することができる。
より具体的には、ペンタメチレンジイソシアネートが蒸留により精製される場合、公知の精留装置、例えば、蒸留塔と冷却器とを備える精留装置などを用いて、好ましくは、還流しながら加熱し、ペンタメチレンジイソシアネートを留出させ、留分を採取する。
蒸留において、ペンタメチレンジイソシアネートは、例えば、0.4〜6.7KPa、好ましくは、0.5〜4.0KPa、より好ましくは、0.7〜2.8KPaの圧力下において、例えば、蒸留塔の塔頂温度が85〜150℃、好ましくは、90〜145℃、より好ましくは、95〜135℃で、留出される。
このような蒸留により採取されるペンタメチレンジイソシアネートの留分において、塩素濃度、および、上記式(1)で示される化合物の含有割合は、その採取条件(例えば、採取するときの温度、圧力、還流比および留出率など)が選択されることによって、調整される。
例えば、ペンタメチレンジイソシアネートの留分の留出率が低いときには、塩素濃度、および、上記式(1)で示される化合物の含有割合が比較的高く、留出率が高くなるに従って、上記式(1)で示される化合物などの塩素を含有する化合物が低減され、留分中の塩素濃度、および、上記式(1)で示される化合物の含有割合が低くなる。また、留出率がさらに高くなると、留分中の上記式(1)で示される化合物の含有割合はさらに低くなるが、塩素濃度は高くなる場合がある。
そのため、ペンタメチレンジイソシアネートが蒸留により精製される場合、その蒸留における留出率が、例えば、0質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上、さらに好ましくは、15質量%以上、とりわけ好ましくは、20質量%以上であり、例えば、95質量%以下、好ましくは、85質量%以下、より好ましくは、80質量%以下の留分を採取する。
これにより、塩素濃度、および、上記式(1)で示される化合物の含有割合を、上記範囲に調整することができる。
ペンタメチレンジイソシアネートの誘導体は、ペンタメチレンジイソシアネートから誘導される誘導体であり、好ましくは、上記式(1)で示される化合物を、上記の割合で含むペンタメチレンジイソシアネートから誘導される誘導体である。
すなわち、ペンタメチレンジイソシアネートの誘導体は、好ましくは、ペンタメチレンジイソシアネートの単量体と、上記式(1)で示される化合物とを、上記割合で含むペンタメチレンジイソシアネート組成物から誘導される。
なお、このような場合において、上記式(1)で示される化合物は、ペンタメチレンジイソシアネートの誘導体に上記式(1)で示される化合物として含有されない場合があるが、誘導体化するときに、上記式(1)で示される化合物は、ペンタメチレンジイソシアネートと反応することにより、反応生成物として含有される。そのため、上記式(1)で示される化合物は、誘導体化前の原料としてのペンタメチレンジイソシアネートに含有されていればよい。
ペンタメチレンジイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記のペンタメチレンジイソシアネートの多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート誘導体、イミノオキサジアジンジオン誘導体)、5量体、7量体など)、アロファネート誘導体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと、後述する低分子量ポリオールとの反応より生成するアロファネート誘導体など)、ポリオール誘導体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと後述する低分子量ポリオールとの反応より生成するポリオール誘導体(アルコール付加体)など)、ビウレット誘導体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと、水やアミン類との反応により生成するビウレット誘導体など)、ウレア誘導体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートとジアミンとの反応により生成するウレア誘導体など)、オキサジアジントリオン誘導体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド誘導体(ペンタメチレンジイソシアネートの脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド誘導体など)、ウレトジオン誘導体、ウレトンイミン誘導体などが挙げられる。
また、上記反応において、ペンタメチレンジイソシアネートに代えて、ペンタメチレンジイソシアネートの誘導体を用いることもできる。
ペンタメチレンジイソシアネートの誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ペンタメチレンジイソシアネートの誘導体として、好ましくは、イソシアヌレート誘導体、アロファネート誘導体、ポリオール誘導体、ビウレット誘導体が挙げられる。
ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体は、ペンタメチレンジイソシアネートを、公知のイソシアヌレート化触媒の存在下において、イソシアヌレート化反応させることにより得られる。
具体的には、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートにイソシアヌレート化触媒を適宜の割合で配合し、適宜の条件で加熱することにより、イソシアヌレート化反応させる。これにより、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体を得ることができる。
イソシアヌレート化触媒としては、イソシアヌレート化に有効な触媒であれば、特に限定されず、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドやその有機弱酸塩、例えば、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウムなどのトリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドやその有機弱酸塩、例えば、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸などのアルキルカルボン酸のアルカリ金属塩、例えば、上記アルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛などの金属塩、例えば、アルミニウムアセチルアセトン、リチウムアセチルアセトンなどのβ−ジケトンの金属キレート化合物、例えば、塩化アルミニウム、三フッ化硼素などのフリーデル・クラフツ触媒、例えば、チタンテトラブチレート、トリブチルアンチモン酸化物などの種々の有機金属化合物、例えば、ヘキサメチルシラザンなどのアミノシリル基含有化合物などが挙げられる。
具体的には、例えば、Zwitter ion型のヒドロキシアルキル第4級アンモニウム化合物などが挙げられ、より具体的には、例えば、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート、N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム・ヘキサノエート、トリエチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム・ヘキサデカノエート、トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム・フェニルカーボネート、トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム・フォーメートなどが挙げられる。
これらイソシアヌレート化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
イソシアヌレート化触媒として、好ましくは、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートが挙げられる。
また、上記の反応では、必要により、アルコール類を配合することができる。すなわち、イソシアヌレート誘導体を、アルコール類により変性することができる。なお、イソシアヌレート誘導体をアルコール類により変性する方法は、特に制限されず、公知の方法が採用される。
アルコール類としては、例えば、低分子量モノオール(イソブタノールなど)、低分子量ポリオール(後述)、高分子量ポリオール(ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールなど(後述))などが挙げられる。
使用初期において十分な粘着力を得る観点から、好ましくは、低分子量モノオールおよび低分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、低分子量モノオールが挙げられる。
また、粘着力の向上を図る観点から、好ましくは、高分子量ポリオール(後述)、より好ましくは、ポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。
また、剥離時における糊残りを低減する観点から、好ましくは、高分子量ポリオール(後述)、より好ましくは、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体として、好ましくは、アルコール類により変性された、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体が挙げられる。
また、上記の反応では、必要により、公知の反応溶媒を配合してもよく、さらに、任意のタイミングで公知の触媒失活剤(塩化ベンゾイルなど)を添加することもできる。
また、上記の反応においては、添加剤を添加することができる。具体的には、イソシアヌレート化を調節するために、公知の有機亜リン酸エステルなどを助触媒として配合することができ、また、イソシアヌレート誘導体の貯蔵安定性の向上を図るため、公知のスルホンアミド基を含有する化合物を配合することができる。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などの安定剤を配合することもできる。これら添加剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
さらに、上記の反応の終了後、必要に応じて、未反応のペンタメチレンジイソシアネートは、公知の方法で除去することができる。
ペンタメチレンジイソシアネートのアロファネート誘導体は、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと、上記アルコール類(好ましくは、高分子量ポリオール(後述)、より好ましくは、ポリカーボネートポリオール)とを反応させた後、公知のアロファネート化触媒の存在下でさらに反応させることにより、得ることができる。
ペンタメチレンジイソシアネートのポリオール誘導体は、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと、後述する低分子量ポリオール(好ましくは、3価アルコール、より好ましくは、トリメチロールプロパン)との反応により、得ることができる。
ペンタメチレンジイソシアネートのビウレット誘導体は、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと、例えば、水、第三級アルコール(例えば、t−ブチルアルコールなど)、第二級アミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミンなど)などとを反応させた後、公知のビウレット化触媒(トリメチルリン酸など)の存在下でさらに反応させることにより、得ることができる。
ペンタメチレンジイソシアネートの誘導体として、より好ましくは、イソシアヌレート誘導体が挙げられる。
ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体を用いれば、使用初期から優れた粘着力が発現され、また、剥離時における糊残りが低減されたポリウレタン粘着剤を、得ることができる。
また、ポリイソシアネートは、さらに、他のポリイソシアネートを任意成分として含むことができる。
他のポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはその誘導体と、任意的に併用される。
他のポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート(ペンタメチレンジイソシアネートを除く。)、脂環族ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート単量体などが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,2−、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:ヘキサメチレンジイソシアネート)(HDI)、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、水添キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(H6XDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)(IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(別名:ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン)(4,4’−、2,4’−または2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)これらのTrans,Trans−体、Trans,Cis−体、Cis,Cis−体、もしくはその混合物)(H12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート(各種異性体もしくはその混合物)(NBDI)などの脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
また、他のポリイソシアネートには、それら誘導体が含まれる。
他のポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したペンタメチレンジイソシアネートの誘導体と同様、他のポリイソシアネートの多量体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体、カルボジイミド変性体、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体などが挙げられる。
これらの他のポリイソシアネートの誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
他のポリイソシアネートが用いられる場合、その配合割合は、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはその誘導体100質量部に対して、例えば、40質量部以下、好ましくは、20質量部以下、さらに好ましくは、10質量部以下である。
ポリイソシアネートは、好ましくは、他のポリイソシアネートを含有せず、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはその誘導体のみを、イソシアネート化合物(イソシアネート基を含有する化合物)として含有する。より好ましくは、ポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネートのみをイソシアネート化合物として含有するか、または、ペンタメチレンジイソシアネートの誘導体のみをイソシアネート化合物として含有する。
さらに好ましくは、ポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはその誘導体からなり、とりわけ好ましくは、ポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネートからなるか、または、ペンタメチレンジイソシアネートの誘導体からなる。
そして、ポリイソシアネートには、好ましくは、塩素が含まれており、さらに好ましくは、塩素および塩素を含有する化合物(例えば、上記式(1)で示される化合物など)が含まれている。
ポリイソシアネートの塩素濃度は、例えば、5ppm以上、好ましくは、10ppm以上、より好ましくは、100ppm以上であり、例えば、1000ppm以下、好ましくは、500ppm以下、より好ましくは、200ppm以下である。
ポリイソシアネートの塩素濃度が上記範囲であれば、使用初期から優れた粘着力が発現され、また、剥離時における糊残りが低減されたポリウレタン粘着剤を、得ることができる。
なお、ポリイソシアネートの塩素濃度は、後述する実施例に準拠して測定される。
ポリオールとしては、例えば、高分子量ポリオールおよび低分子量ポリオールが挙げられる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上10,000以下の化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ポリアルキレンポリオールとしては、例えば、後述する低分子量ポリオールまたは芳香族/脂肪族ポリアミンを開始剤とする、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。)が挙げられる。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物や、テトラヒドロフランの重合単位に後述する2価アルコールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
また、フルフラールなどの植物由原料をもとに製造されたテトラヒドロフランを出発原料とした植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールも使用することができる。
ポリトリメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、植物由来の1,3−プロパンジオールの縮重合により製造されるポリオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、後述する低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)と多塩基酸とを、公知の条件下、エステル化反応させて得られる重縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸、その他の飽和脂肪族ジカルボン酸(炭素数11〜13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、その他の芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、その他の脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、後述する低分子量ポリオールと、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸とを、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、後述する低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに後述する2価アルコールを共重合したラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
ポリエステルアミドポリオールとしては、例えば、上記したポリエステルポリオールのエステル化反応において、低分子量ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)を原料として併用することにより得られるポリエステルアミドポリオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、後述する低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールや1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
また、ポリウレタンポリオールは、上記により得られたポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、公知のポリイソシアネート化合物(例えば、上記したペンタメチレンジイソシアネートおよびその他のポリイソシアネート)と反応させることによって、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどとして得ることができる。
エポキシポリオールとしては、例えば、後述する低分子量ポリオールと、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとの反応により得られるエポキシポリオールが挙げられる。
植物油ポリオールとしては、例えば、ひまし油、やし油などのヒドロキシル基含有植物油などが挙げられる。例えば、ひまし油ポリオール、またはひまし油ポリオールとポリプロピレンポリオールとの反応により得られるエステル変性ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
ポリオレフィンポリオール(ポリヒドロキシアルカン)としては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン価エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと共重合可能な共重合性ビニルモノマーとを、共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。
なお、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルと定義され、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートと定義される。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。好ましくは、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート(炭素数1〜12)、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を含むビニルモノマー、または、そのアルキルエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレンなどのイソシアネート基を含むビニルモノマーなどが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとして、好ましくは、炭素数2〜12のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
すなわち、アクリルポリオールとして、好ましくは、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、炭素数2〜12のアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体が挙げられる。
そして、アクリルポリオールは、これらヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、および、共重合性ビニルモノマーを、適当な溶剤および重合開始剤の存在下において共重合させることにより得ることができる。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと共重合性ビニルモノマーとの配合割合は、共重合性ビニルモノマー100質量部に対して、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、1質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
また、アクリルポリオールには、例えば、シリコーンポリオールやフッ素ポリオールが含まれる。
シリコーンポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニル基を含むシリコーン化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
フッ素ポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどのビニル基を含むフッ素化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
ビニルモノマー変性ポリオールは、上記した高分子量ポリオールと、ビニルモノマーとの反応により得ることができる。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールから選択される高分子量ポリオールが挙げられる。
また、ビニルモノマーとしては、例えば、上記したアルキル(メタ)アクリレート、シアン化ビニルまたはシアン化ビニリデンなどが挙げられる。これらビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
そして、ビニルモノマー変性ポリオールは、これら高分子量ポリオール、および、ビニルモノマーを、例えば、ラジカル重合開始剤(例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、アゾ系化合物など)の存在下などにおいて反応させることにより得ることができる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールとして、表面タック発現性の観点から、好ましくは、アクリルポリオールが挙げられる。
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量60以上400未満の化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(C7〜20)ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリオールとして、好ましくは、高分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、アクリルポリオールが挙げられる。
換言すれば、ポリオールは、好ましくは、アクリルポリオールからなる。
また、ポリウレタン粘着剤組成物においては、必要により、ポリオールと、モノオール(1価アルコール)とを併用することもできる。
モノオールとしては、ハロゲン原子を含有しないアルコール類(非ハロゲンアルコール類)が挙げられ、具体的には、例えば、直鎖状の非ハロゲン脂肪族アルコール類、分岐状の非ハロゲン脂肪族1価アルコール類などが挙げられる。
直鎖状の非ハロゲン脂肪族アルコール類としては、例えば、直鎖状の炭素数1〜3の1価アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなど)、直鎖状の炭素数4〜7の1価アルコール(例えば、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノールなど)、直鎖状の炭素数8以上の1価アルコール(例えば、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノールなど)などが挙げられる。
分岐状の非ハロゲン脂肪族1価アルコール類としては、例えば、分岐状の炭素数4〜7の1価アルコール(例えば、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−3−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、tert−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、イソヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、4−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘキサノール、2−エチル−2−メチル−1−ブタノールなど)、分岐状の炭素数8以上の1価アルコール(例えば、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、5−エチル−2−ノナノール、トリメチルノニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、3,9−ジエチル−6−トリデカノール、2−イソヘプチルイソウンデカノール、2−オクチルドデカノールなど)などが挙げられる。
また、モノオールとしては、上記の他、例えば、芳香族アルコール類(炭素数6〜50)、例えば、脂肪族不飽和アルコール(炭素数6〜50の脂肪族不飽和1価アルコール類、例えば、アルケニルアルコール、2−プロペン−1−オール、アルカジエノール(炭素数6〜8)、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オールなど)などが挙げられる。
これらモノオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
モノオールが配合される場合、その配合割合は、ポリオールとモノオールとの総量に対して、モノオールが、例えば、10ppm以上、好ましくは50ppm以上、より好ましくは、100ppm以上、さらに好ましくは、1000ppm以上であり、例えば、30%以下(300000ppm)、好ましくは、10%以下(100000ppm)、より好ましくは、2%以下(20000ppm)、さらに好ましくは、1%以下(10000ppm)である。
そして、ポリウレタン粘着剤組成物は、ポリイソシアネートとポリオール(および必要により配合されるモノオール(以下同様))とを、例えば、常温下で混合することにより得られる。
より具体的には、例えば、無溶剤下において、ポリイソシアネートとポリオールとを混合し、反応(重合)させることができる。
ポリイソシアネートとポリオールとの配合割合は、ポリオールのヒドロキシ基に対する、ポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、例えば、0.2以上、好ましくは、0.4以上であり、例えば、2以下、好ましくは、1.5以下、より好ましくは、1以下である。
また、質量基準では、ポリオール100質量部に対して、ポリイソシアネートが、例えば、0.2質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、より好ましくは、1質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、10質量部以下、より好ましくは、5質量部以下である。
また、例えば、公知の有機溶媒の存在下において、上記割合でポリイソシアネートとポリオールとを混合し、溶液反応(エマルション重合、分散重合)させることもできる。
有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、例えば、テトラヒドロフランなどのエーテル類、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸アルキルエステル類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類、例えば、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテートなどのカルビトールアセテート類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、例えば、n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。
これら有機溶媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
有機溶媒が配合される場合、有機溶媒は、ポリウレタン粘着剤組成物の固形分濃度が、例えば、20質量%以上、好ましくは、30質量%以上となり、例えば、90質量%以下となるように配合する。
また、ポリウレタン粘着剤組成物は、さらに、公知の添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、架橋剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、塗工性改良剤、レベリング剤、消泡剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、可塑剤、界面活性剤、顔料、充填剤、有機または無機微粒子、金属粒子、防黴剤、加工助剤、老化防止剤、各種薬剤などが挙げられる。
添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
添加剤の配合割合は、特に制限されず、添加剤の種類に応じて適宜設定される。
また、添加剤を配合するタイミングは、特に制限されず、例えば、予めポリオールおよび/またはポリイソシアネートに配合してもよく、また、ポリオールおよびポリイソシアネートの配合時に同時に配合してもよく、さらには、ポリオールおよびポリイソシアネートの混合物に、別途配合してもよい。
また、ポリウレタン粘着剤組成物には、必要に応じて、例えば、アミン系、錫、鉛、ビスマス、ジルコニウム、亜鉛系などの公知のウレタン化触媒を適宜の割合で添加することができる。
ウレタン化触媒として、具体的には、アミン類、有機金属化合物などが挙げられる。
アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチルモルホリンなどの3級アミン類、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、例えば、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。
有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロリドなどの有機錫系化合物、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、例えば、オクテン酸銅などの有機銅化合物、例えば、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物、オクチル酸ジルコニウムなどが挙げられる。
さらに、ウレタン化触媒として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカリウム塩が挙げられる。
これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
そして、このようなポリウレタン粘着剤組成物は、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはその誘導体を含むポリイソシアネートを含有するため、使用初期から優れた粘着力が発現され、また、剥離時における糊残りが低減されたポリウレタン粘着剤を、得ることができる。
そのため、ポリウレタン粘着剤組成物は、ポリウレタン粘着剤の調製において、好適に用いられる。
本発明のポリウレタン粘着剤は、上記のポリウレタン粘着剤組成物から形成され、より具体的には、ポリウレタン粘着剤は、上記のポリウレタン粘着剤組成物を硬化(架橋)させることにより得られる。
すなわち、ポリウレタン粘着剤は、ポリイソシアネートとポリオールとの反応(硬化反応)により得られる反応生成物(硬化物)であり、それらの反応により被着体に接着するもの(接着剤)ではなく、反応生成物が粘着性(感圧接着性、タック性)を有し、被着体に粘着する。
ポリウレタン粘着剤を得る方法としては、特に制限されないが、例えば、上記のポリウレタン粘着剤組成物を基材の表面に塗布し、加熱する。
基材としては、特に制限されないが、例えば、紙(例えば、クラフト紙、和紙、クレープ紙など)、布および皮革(例えば、綿、絹、アセテート、レーヨン、ポリエステル、ポリウレタン、人工皮革、合成皮革、不織布、ポリエチレンの割布、ポリプロピレンの割布など)、樹脂シート(例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、四フッ化エチレン、塩化ビニル、セロハンなどからなる樹脂シート)、ゴムシート(例えば、天然ゴム、スチレンーブタジエンゴム、ブチルゴムなどからなるゴムシート)、発泡体(例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、クロロプレン、ブチルゴムなどの発泡体)、金属箔(例えば、ステンレス、アルミニウム、鉄、銅などの金属箔)、例えば、木材などが挙げられる。
基材として、好ましくは、樹脂シートが挙げられる。
また、基材は、必要により、コロナ放電処理、プライマー処理などの公知の表面処理がされていてもよい。基材の厚みは、特に制限されず、目的および用途に応じて適宜設定されるが、例えば、1〜1000μmである。
基材にポリウレタン粘着剤組成物を塗布する方法としては、特に制限されず、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法などによる塗布、例えば、バーコーター、アプリケーターなどを用いたキャスティングなどが挙げられる。
ポリウレタン粘着剤組成物の塗布量としては、乾燥後の厚みが、例えば、5μm以上、好ましくは、8μm以上となり、例えば、50μm以下、好ましくは、20μm以下となるように、設定される。
加熱条件としては、大気圧下において、加熱温度が、例えば、23℃以上、好ましくは、80℃以上、より好ましくは、100℃以上であり、例えば、180℃以下、好ましくは、140℃以下である。
また、加熱時間が、例えば、30秒以上、好ましくは、1分以上であり、例えば、1時間以下、好ましくは、0.5時間以下である。
これにより、ポリウレタン粘着剤組成物が硬化(架橋)し、ポリウレタン粘着剤が得られる。
また、ポリウレタン粘着剤(加熱後のポリウレタン粘着剤組成物)を、養生することもできる。
養生条件としては、大気圧下において、養生温度が、例えば、23℃以上、好ましくは、40℃以上であり、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下である。また、養生湿度(相対湿度)が、例えば、10%以上、好ましくは、40%以上であり、例えば、80%以下、好ましくは、60%以下である。
また、養生時間が、例えば、1日間以上、好ましくは、3日間以上であり、例えば、14日間以下、好ましくは、7日間以下である。
このようにして得られるポリウレタン粘着剤は、上記のポリウレタン粘着剤組成物から得られるため、使用初期から優れた粘着力を発現でき、また、剥離時における糊残りを低減できる。
そのため、ポリウレタン粘着剤は、例えば、情報機器部材、住宅・建材、自動車・鉄道部材、生活部材、ヘルスケア部材など各種産業分野において、利用できる。
より具体的には、情報機器部材の分野では、例えば、携帯電話、パソコン、スマートフォン、タブレット端末、カーナビなどの表面保護フィルム、偏光板、タッチパネル部材などの光学部材、その他、固定用テープなどに、利用できる。
また、住宅・建材の分野では、例えば、壁紙や断熱材などを貼り合わせ部材、例えば、マーキングフィルム、ウインドウフィルム、気密防水テープ、養生テープ、看板などのマーキングテープ、その他、表面保護フィルム、道路標識、看板などに、利用できる。
また、自動車・鉄道部材の分野では、例えば、遮光フィルム、内装の保護フィルム、外装の保護フィルム、耐チッピング、マーキングフィルム、耐ガソリンラベル、発泡体や各種部材の貼り合わせテープ、リチウムイオン電池、外装ラッピング用フィルムなどに、利用できる。
また、生活部材の分野では、例えば、ビン、箱、包装部材などのラベルなどに、利用できる。
また、ヘルスケア部材の分野では、例えば、絆創膏、傷被覆材、テーピング用テープ、医療用テープなどに、利用できる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
また、各実施例および各比較例において採用される測定方法を下記する。
<ペンタメチレンジイソシアネートの純度(単位:質量%)>
ペンタメチレンジイソシアネートの純度は、後述する製造例1で得られたペンタメチレンジイソシアネート(a)を用い、以下のGC分析条件下で得られたクロマトグラムの面積値から検量線を作成し、ペンタメチレンジイソシアネートの純度を算出した。
装置;GC−6890(アジレント・テクノロジー社製)
カラム;UADX−30(フロンティア・ラボ社製)0.25mmφ×30m、膜厚0.15μm
オーブン温度;50℃で5分間保持、50℃から200℃まで、10℃/minで昇温、200℃から350℃まで、20℃/minで昇温、350℃で7.5分間保持
注入口温度;250℃
検出器温度;250℃
He流量 ; 1.2mL/min
注入モード ; スプリット
検出方法;FID
<塩素濃度(単位:ppm>
試料を200mg秤量し、Ar/O2気流中、900℃の燃焼炉にて燃焼分解した。発生したガスを吸収液に吸収させ、イオンクロマトグラフ法にて塩素濃度を定量した。
装置:イオンクロマトグラフICS−1500(サーモフィッシャーサイエンティフィック製)
<式(1)で示される化合物の濃度(単位:ppm)>
以下の装置および条件にてGC分析し、式(1)で示される化合物の面積比率を、式(1)で示される化合物の濃度とした。
装置;Q1000GC K9(日本電子社製)
カラム;DB−5MS+DG(アジレント・テクノロジー社製)0.25mmφ×30m、膜厚0.25μm
オーブン温度;40℃で5分間保持、40℃から220℃まで、10℃/minで昇温
注入口温度;200℃
検出器温度;250℃
検出方法:FID
He流量 ; 4mL/min
注入モード ; スプリット
スプリット比:50/1
<イソシアネート基の反応率(単位:%)>
イソシアネート基の反応率は、電位差滴定装置を用いて、JIS K−1603−1(2007年)に準拠したトルエン/ジブチルアミン・塩酸法によりイソシアネート含有率を測定し、以下の式より算出した。
イソシアネート基の反応率=[(100−変性反応終了時のイソシアネート基含有率(質量%))/ウレタン化反応終了後のイソシアネート基含有率(質量%)]×100
<イソシアネートモノマーの濃度(単位:質量%)>
後述する製造例1で得られたペンタメチレンジイソシアネート(a)または市販のヘキサメチレンジイソシアネートを標準物質として用い、ジベンジルアミンによりラベル化させ、以下のHPLC分析条件下で得られたクロマトグラムの面積値から作成した検量線により、ポリウレタン組成物中の未反応のイソシアネートモノマー(ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート)の濃度を算出した。
装置;Prominence(島津製作所社製)
1) ポンプ LC−20AT
2) デガッサ DGU−20A3
3) オートサンプラ SIL−20A
4) カラム恒温槽 COT−20A
5) 検出器 SPD−20A
カラム;SHISEIDO SILICA SG−120
カラム温度;40℃
溶離液;n−ヘキサン/メタノール/1,2−ジクロロエタン=90/5/5(体積比)
流量;0.2mL/min
検出方法;UV 225nm
<イソシアネート基含有率(単位:質量%)>
ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率は、電位差滴定装置を用いて、JIS K−1603−1(2007年)に準拠したトルエン/ジブチルアミン・塩酸法により、測定した。
製造例1(ペンタメチレンジイソシアネート(a)の製造)
国際公開パンフレットWO2012/121291号の明細書における実施例1と同様の操作にて、99.9質量%のペンタメチレンジイソシアネート(a)(以後PDI(a)と略する場合がある。)を得た。
より具体的には、電磁誘導撹拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器、原料フィードポンプを備え付けたジャケット付き加圧反応器に、o−ジクロロベンゼン2000質量部を仕込んだ。次いで、ホスゲン2300質量部をホスゲン導入ラインから加え、撹拌を開始した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約10℃に保った。そこへ、ペンタメチレンジアミン(a)400質量部をo−ジクロロベンゼン2600質量部に溶解した溶液を、フィードポンプにて60分かけてフィードし、30℃以下、常圧下で冷ホスゲン化を開始した。フィード終了後、加圧反応器内は淡褐白色スラリー状液となった。
次いで、反応器の内液を徐々に160℃まで昇温しながら、0.25MPaに加圧し、さらに圧力0.25MPa、反応温度160℃で90分間熱ホスゲン化した。なお、熱ホスゲン化の途中で、ホスゲン1100質量部を、さらに添加した。熱ホスゲン化の過程で、加圧反応器内液は、淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜140℃において、窒素ガスを100L/時で通気し、脱ガスした。
次いで、減圧下でo−ジクロルベンゼンを留去した後、同じく減圧下でペンタメチレンジイソシアネートを留去させ、純度98.7%のペンタメチレンジイソシアネート(a0)を558質量部得た。
次いで、ペンタメチレンジイソシアネート(a0)558質量部、およびトリス(トリデシル)ホスファイト(城北化学製、商品名:JP−333E)をペンタメチレンジイソシアネート100質量部に対し0.02質量部を、撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに装入し、窒素を導入しながら、常圧下で、210℃、2時間加熱処理し、純度98.3%のペンタメチンジイソシアネート(a1)を553質量部得た。熱処理におけるペンタメチレンジイソシアネートの収率は、99.6%であった。
次いで、加熱処理後のペンタメチレンジイソシアネート(a1)を、ガラス製フラスコに装入し、充填物(住友重機械工業社製、商品名:住友/スルザーラボパッキングEX型)を4エレメント充填した蒸留管、還流比調節タイマーを装着した蒸留塔(柴田科学社製、商品名:蒸留頭K型)、および、冷却器を装備する精留装置を用いて、127〜132℃、2.7KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、留出率20〜80%の留分を採取し、ペンタメチレンジイソシアネート(a)を得た。PDI(a)は、電位差滴定装置を用いて、JIS K−1603−1(2007年)に準拠したトルエン/ジブチルアミン・塩酸法により純度を測定した結果、99.9質量%であった。また、PDI(a)は、塩素濃度は189ppm、式(1)で示される化合物の濃度は437ppmであった。
PDI(a)を以下のGC−MS分析条件で測定した結果、MSスペクトルのフラグメントイオンとしてm/z:55、68、85、112にピークを持ち、148、150の強度比が約3対1であり、1原子中に塩素原子を1つ持つ化合物が検出され、式(1)で表される化合物と推定した。
<GC−MS分析>
装置;Q1000GC K9(日本電子社製)
イオン化法;EI、CI
カラム;DB−5MS+DG(アジレント・テクノロジー社製)0.25mmφ×30m、膜厚0.25μm
オーブン温度;40℃で5分間保持、40℃から220℃まで、10℃/minで昇温
注入口温度;200℃
検出器温度;250℃
He流量 ; 4mL/min
注入モード ; スプリット
スプリット比;50/1
イオン源温度;200℃
イオン化電流;200μA
製造例2(ペンタメチレンジイソシアネート(b)の製造)
製造例1記載のペンタメチレンジイソシアネート(a1)を、製造例1と同様の操作にて精留し、留出率35〜80%の留分を採取した。得られたペンタメチレンジイソシアネート(b)の純度は99.9質量%、塩素濃度は14ppm、式(1)で示される化合物の濃度は24ppmであった。
製造例3(ペンタメチレンジイソシアネート(c)の製造)
製造例1記載のペンタメチレンジイソシアネート(a1)を、製造例1と同様の操作にて精留し、留出率13〜80%の留分を採取した。得られたペンタメチレンジイソシアネート(c)の純度は99.8質量%、塩素濃度は477ppm、式(1)で示される化合物の濃度は1103ppmであった。
製造例4(ペンタメチレンジイソシアネート(d)の製造)
製造例1記載のペンタメチレンジイソシアネート(a1)を、製造例1と同様の操作にて精留し、留出率20〜70%の留分を採取した。得られたペンタメチレンジイソシアネート(c)の純度は99.9質量%、塩素濃度は8ppm、式(1)で示される化合物の濃度は31ppmであった。
製造例5(ペンタメチレンジイソシアネート(e)の製造)
製造例1記載のペンタメチレンジイソシアネート(a1)を、製造例1と同様の操作にて精留し、留出率20〜88%の留分を採取した。得られたペンタメチレンジイソシアネート(e)の純度は99.9質量%、塩素濃度は511ppm、式(1)で示される化合物の濃度は386ppmであった。
製造例6(ペンタメチレンジイソシアネート(f)の製造)
製造例1記載のペンタメチレンジイソシアネート(a1)を、製造例1と同様の操作にて精留し、留出率35〜70%の留分を採取した。得られたペンタメチレンジイソシアネート(f)の純度は99.9質量%、塩素濃度は7ppm、式(1)で示される化合物の濃度は28ppmであった。
製造例7(ペンタメチレンジイソシアネート(g)の製造)
製造例1記載のペンタメチレンジイソシアネート(a1)を、製造例1と同様の操作にて精留し、留出率13〜88%の留分を採取した。得られたペンタメチレンジイソシアネート(g)の純度は99.8質量%、塩素濃度は562ppm、式(1)で示される化合物の濃度は1037ppmであった。
合成例1(ポリイソシアネート組成物(a)の合成)
以下の方法により、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体を得た。
撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、PDI(a)を500質量部、イソブチルアルコール(以後IBAと略する場合がある)を9.6質量部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノール(以後BHTと略する場合がある)を0.3質量部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3質量部装入し、80℃で2時間ウレタン化反応を行った。
次いで、トリマー化触媒(イソシアヌレート化触媒(以下同様))としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートを0.05質量部添加した。イソシアネート含有率を測定し、47.1%(イソシアネート基の反応率10%)にいたるまで反応を継続した。20分後に所定の反応率に達したため、o−トルエンスルホンアミドを0.12質量部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度0.093KPa、温度150℃)に通液して未反応のPDIを除去し、さらに、得られた組成物100質量部に対し、o−トルエンスルホンアミドを0.02質量部および塩化ベンゾイルを0.003質量部添加し、ポリイソシアネート組成物(a)を得た。ポリイソシアネート組成物(a)の塩素濃度は57ppm、イソシアネートモノマー濃度は0.6%、イソシアネート基含有率は23.5%であった。
合成例2(ポリイソシアネート組成物(b)の合成)
以下の方法により、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体を得た。
撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、PDI(a)を500質量部、PCL303(ポリカプロラクトントリオール、商品名プラクセル303、ダイセル製)を26.8質量部、BHTを0.3質量部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3質量部装入し、80℃で2時間ウレタン化反応させた後冷却し、内温を60℃とした。
次いで、トリマー化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートを0.08質量部添加した。イソシアネート含有率を測定し、39.7%(イソシアネート基の反応率20%)にいたるまで反応を継続した。約40分後に所定の反応率に達したため、o−トルエンスルホンアミドを0.08質量部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度0.093KPa、温度150℃)に通液して未反応のPDIを除去し、さらに、得られた生成物100質量部に対し、o−トルエンスルホンアミドを0.02質量部添加し、ポリイソシアネート組成物(b)を得た。ポリイソシアネート組成物(b)の塩素濃度は103ppm、イソシアネートモノマー濃度は0.3%、イソシアネート基含有率は19.2%であった。
合成例3(ポリイソシアネート組成物(c)の合成)
以下の方法により、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体を得た。
撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、PDI(a)を500質量部、PCD500(ポリカーボネートジオール、商品名ETERNACOLL UH−50、宇部興産製)を65.3質量部、BHTを0.3質量部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3質量部装入し、80℃で2時間ウレタン化反応させた後冷却し、内温を60℃とした。
次いで、トリマー化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートを0.08質量部添加した。イソシアネート含有率を測定し、37%(イソシアネート基の反応率20%)にいたるまで反応を継続した。約40分後に所定の反応率に達したため、o−トルエンスルホンアミドを0.08質量部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度0.093KPa、温度150℃)に通液して未反応のPDIを除去し、さらに、得られた生成物100質量部に対し、o−トルエンスルホンアミドを0.02質量部添加し、ポリイソシアネート組成物(c)を得た。ポリイソシアネート組成物(c)の塩素濃度は107ppm、イソシアネートモノマー濃度は0.3%、イソシアネート基含有率は17.9%であった。
合成例4(ポリイソシアネート組成物(d)の合成)
以下の方法により、ペンタメチレンジイソシアネートのビウレット誘導体を得た。
撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、PDI(a)を500質量部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3質量部、トリメチルリン酸を8質量部、水を4質量部装入し、130℃に昇温し、イソシアネート基含有率が計算値に達するまで反応を行った。得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度0.093KPa、温度150℃)に通液して未反応のPDIを除去し、ポリイソシアネート組成物(d)を得た。ポリイソシアネート組成物(d)の塩素濃度は55ppm、イソシアネートモノマー濃度は0.4質量%、イソシアネート基含有率は24.8質量%であった。
合成例5(ポリイソシアネート組成物(e)の合成)
以下の方法により、ペンタメチレンジイソシアネートのアロファネート誘導体を得た。
撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、PDIを500質量部、PCD500を81.6質量部、BHTを0.3質量部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3質量部装入し、85℃に昇温し、3時間ウレタン化反応させた。次いで、内温を100℃まで加温した後、アロファネート化触媒としてオクチル酸鉛を0.03質量部添加し、イソシアネート基含有率が計算値に達するまで反応させた後、o−トルエンスルホンアミドを0.03質量部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度0.093KPa、温度150℃)に通液して未反応のPDIを除去し、さらに、得られた組成物100質量部に対し、o−トルエンスルホンアミドを0.02質量部添加し、ポリイソシアネート組成物(e)を得た。ポリイソシアネート組成物(e)の塩素濃度は54ppm、イソシアネートモノマー濃度は0.5質量%、イソシアネート基含有率は14質量%であった。
合成例6(ポリイソシアネート組成物(f)の合成)
以下の方法により、ペンタメチレンジイソシアネートのポリオール誘導体を得た。
撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、PDI(a)を500質量部装入し、窒素雰囲気下100℃に昇温した。次いで、80℃にて溶解させたトリメチロールプロパン50質量部を1時間かけて滴下した。イソシアネート基含有率が計算値に達するまで、100℃で反応させた。得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度0.093KPa、温度150℃)に通液して未反応のPDIを除去し、ポリイソシアネート組成物(f)を得た。ポリイソシアネート組成物(f)の塩素濃度は72ppm、イソシアネートモノマー濃度は0.3質量%、イソシアネート基含有率は18.5質量%であった。
合成例7〜12(ポリイソシアネート組成物(g)〜(l)の合成)
表2記載のポリイソシアネート化合物を用いた以外は、合成例1と同様の操作にてポリイソシアネート組成物(g)〜(i)を得た。
なお、合成例10では、反応時間を40分とし、塩化ベンゾイルの配合量を0.15質量部とした。また、合成例12では、反応時間を50分とし、塩化ベンゾイルの配合量を0.15質量部とした。
塩素濃度、イソシアネートモノマー濃度、イソシアネート含有率を表2に示す。
合成例13(ポリイソシアネート組成物(m)の合成)
以下の方法により、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体を得た。
撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート(商品名:タケネート700、三井化学製、以後HDIと略する場合がある)を500質量部、IBAを8.8質量部、BHTを0.3質量部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3質量部装入し、80℃で2時間ウレタン化反応を行った。
次いで、トリマー化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートを0.05質量部添加した。イソシアネート含有率を測定し、43.3%(イソシアネート基の反応率10%)にいたるまで反応を継続した。40分後に所定の反応率に達したため、o−トルエンスルホンアミドを0.12質量部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度0.093KPa、温度150℃)に通液して未反応のHDIを除去し、さらに、得られた組成物100質量部に対し、o−トルエンスルホンアミドを0.02質量部および塩化ベンゾイルを0.003質量部添加し、ポリイソシアネート組成物(m)を得た。ポリイソシアネート組成物(m)の塩素濃度68ppm、イソシアネートモノマー濃度は0.7質量%、イソシアネート基含有率は22質量%であった。
合成例14(ポリオール(a)の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却装置、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、有機溶剤として酢酸エチルを500質量部仕込み、窒素置換しながら70℃に加熱昇温した。次いでこの中に、重合可能な単量体として、2−エチルヘキシルアクリレートを500質量部、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート10質量部と重合開始剤としてアゾイロブチロニトリルを0.4質量部の混合液を4時間かけてフィードした。フィード終了より1時間後にAIBNを0.1質量部添加した。AIBNの添加後より2時間反応させポリオール(a)を得た。
<粘着剤組成物および粘着剤の製造>
実施例1(粘着剤組成物(A)、粘着剤(A)の製造)
合成例14で得られたポリオール(a)を100質量部、合成例1で得られたポリイソシアネート組成物(a)を1.1質量部配合し、23℃で2分間撹拌混合し、粘着剤組成物(A)を得た。なお、この配合において、ポリオールのヒドロキシ基に対する、ポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、0.5であった。
次いで、粘着剤組成物(A)をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A)およびシリコーンにより表面処理を施したPETフィルム(B)に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、130℃で2分間乾燥させた。その後、粘着組成物が露出している面を離型剤により表面処理を施した離型フィルムで覆い、23℃、相対湿度50%の室内にて7日間静置し、粘着剤(A)を得た。
実施例2〜12、比較例1(粘着剤組成物(B)〜(M)、粘着剤(B)〜(M))
ポリイソシアネート組成物(a)に代え、表3記載のポリイソシアネート組成物を、表3記載の質量部用いた以外は、実施例1と同様の操作にて粘着剤組成物(B)〜(M)、および、粘着剤(B)〜(M)を得た。
<<物性評価>>
各実施例および各比較例で得られた粘着剤の初期の粘着力、湿熱試験後の粘着力、粘着保持率およびゲル分率を、以下の方法で測定した。その結果を表3に示す。
<初期の粘着力(単位:N/25mm)>
PETフィルム(A)の粘着剤を25mm幅に切断した後、離型フィルムを剥がし、偏光板に2kgローラーを転がして圧着した。23℃、相対湿度50%の室内にて1時間静置後、引張試験機を用いて、引張速度30m/min、剥離角度180℃にて初期の粘着力を測定した。
<湿熱試験後の粘着力(単位:N/25mm)>
PETフィルム(A)の粘着剤を25mm幅に切断した後、離型フィルムを剥がし、偏光板に2kgローラーを転がして圧着した。23℃、相対湿度50%の室内にて1時間静置後、60℃、相対湿度90%の湿熱恒温槽に5日保持した。その後、23℃、相対湿度50%の室内にて1時間静置した後、引張試験機を用いて、引張速度30m/min、剥離角度180℃にて湿熱試験後の粘着力を測定した。
<粘着保持率および初期粘着発現度(単位:%)>
粘着保持率を、以下の式により求めた。
粘着保持率(%)=(湿熱試験後の粘着力/初期の粘着力)×100
なお、粘着保持率が100%未満である場合には、湿熱試験によって粘着力が低下したことを示し、その数値が低いほど、耐久性に劣ることを示す。
一方、粘着保持率が100%を超過する場合には、湿熱試験によって粘着力が向上したことを示し、これは、湿熱試験により、ポリウレタン粘着剤組成物の硬化が促進されるためである。すなわち、使用初期において十分に粘着力が発現されていなかったことを示し、その数値が高いほど、使用初期における粘着力の発現度(初期粘着発現度)に劣ることを示す。
これらに対して、粘着保持率が100%に近いほど、耐久性と初期粘着発現度とのバランスに優れると判断される。
<ゲル分率(単位:%)>
PETフィルム(B)の粘着剤を幅10cm、長さ20cmに切断した。PETフィルム(B)および離型フィルムを剥がし粘着剤の重量を測定しW1とした。次いで、アセトンに含浸し23℃の室内で24時間静置した。その後、粘着剤を80℃の恒温槽で3時間乾燥させた後の重量を測定しW2とした。以下の式によりゲル分率を算出した。
ゲル分率=W2/W1×100
なお、ゲル分率が100%に近いほど、剥離時において、糊残りが生じ難いことを示す。