JP6738210B2 - ポリイソシアネート組成物、コーティング組成物、塗膜、並びに塗膜を備える物品 - Google Patents

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本発明は、ポリイソシアネート組成物、コーティング組成物、塗膜、並びに塗膜を備える物品に関する。
ポリイソシアネート組成物を硬化剤とするポリウレタン塗料は、耐摩耗性、耐薬品性、耐候性、耐汚染性に優れる塗膜を形成できるため、その需要は年々増している。硬化剤であるポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基は、主剤として多用されるポリオールの水酸基と常温で反応するため、それらを含む塗料は各種被着物に塗装されて、適用範囲も広い。このような塗料は、近年、省エネルギー及び生産性向上の観点から、塗膜形成までの時間の短縮、並びに、低温での硬化性の向上が切望されている。それらの要望を満足させるために、例えば、特許文献1には、イソシアネート平均官能基数の高いポリイソシアネート組成物が提案されている。
特開平6−312969号公報
しかしながら、ポリイソシアネート組成物を保管する缶は、使用の度に何度も開け閉めされるため、イソシアネート基が空気中の湿気と反応してしまうという問題がある。また、特許文献1に記載されたポリイソシアネート組成物は、得られる塗膜の密着性及び耐候性に関しても更なる改善の余地を有している。
そこで、本発明は、硬化性を維持しつつ、ポリイソシアネート組成物の湿気安定性に優れ、優れた密着性及び耐候性を有する塗膜を形成することのできるポリイソシアネート組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来技術の課題を解決するため検討を重ねた結果、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートとポリカプロラクトンポリオールから得られ、イソシアヌレート結合を有するポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート組成物は、硬化性を維持しつつ、湿気安定性にも優れること、そして、このようなポリイソシアネート組成物において、カプロラクトンダイマー含有量を所定範囲に調整すると、優れた密着性及び耐候性を有するポリウレタン塗膜を形成できる硬化剤となることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1](1)脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートと、(2)2価以上4価以下のポリカプロラクトンポリオールと、から得られ、イソシアヌレート結合を含むポリイソシアネートを含み、
カプロラクトンダイマー含有量が50ppm以上500ppm以下である、
ポリイソシアネート組成物。
[2]3量体濃度が2質量%以上40質量%以下である、[1]に記載のポリイソシアネート組成物。
[3]前記(2)ポリカプロラクトンポリオールが、3価であって、数平均分子量が250以上2000以下である、[1]又は[2]に記載のポリイソシアネート組成物。
[4]ジイソシアネート及び溶剤を含まない状態で測定したときの、NCO含有量が10質量%以上24質量%以下、25℃での粘度が5000mPa.s以上1000000mPa.s以下であり、
前記ポリイソシアネートのイソシアネート基平均数が4.5以上10以下である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物と、多価活性水素化合物と、を含有する二液型コーティング組成物。
[6]前記ポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部が、ブロック剤でブロックされている、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
[7][6]に記載のポリイソシアネート組成物と、多価活性水素化合物と、を含有する一液型コーティング組成物。
[8][5]に記載の二液型コーティング組成物又は[7]に記載の一液型コーティング組成物を塗布する工程を含む塗膜の形成方法。
[9][5]に記載の二液型コーティング組成物又は[7]に記載の一液型コーティング組成物を塗布する工程を含む、塗膜を備える物品の製造方法。
本発明によれば、硬化性を維持しつつ、湿気安定性が高く、密着性及び耐候性に優れる塗膜を得ることができるポリイソシアネート組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔ポリイソシアネート組成物〕
本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、ジイソシアネートとポリカプロラクトンポリオールから得られる化合物であり、その構造中にイソシアヌレート結合を含む。
本実施形態において、ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネートの2〜20量体程度の多量体(オリゴマー)(2つ以上のジイソシアネート分子から形成される多量体)が挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、カプロラクトンダイマー含有量が50ppm以上500ppm以下であり、好ましくは80ppm以上400ppm以下であり、より好ましくは100ppm以上250ppmである。
50ppm以上であることで、密着性に優れる塗膜を形成することができる。500ppm以下であることで、耐候性に優れる塗膜を形成することができる。
本実施形態において、ポリイソシアネート組成物中のカプロラクトンダイマー含有量は、例えば、ポリイソシアネートの原料であるポリカプロラクトンポリオールを製造する際に用いるカプロラクトン中のカプロラクトンダイマー含有量を調整することによって制御することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ジイソシアネートの3量体であるポリイソシアネートの濃度が2質量%以上40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上35質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下であり、よりさらに好ましくは13質量%以上25質量%以下である。2質量%以上であることで、ポリイソシアネート組成物の湿気安定性がより優れる傾向にある。40質量%以下であることで、硬化性がより優れる傾向にある。3量体濃度は、GPCで測定することができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリイソシアネート組成物のジイソシアネート及び溶剤を含まない状態で測定したときのNCO含有量は、好ましくは10質量%以上24質量%以下であり、より好ましくは12質量%以上22質量%以下である。NCO含有量がこのような範囲にあることにより、硬化性が十分となる傾向にある。NCO含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリイソシアネート組成物のジイソシアネート及び溶剤を含まない状態で測定したときの25℃での粘度は、好ましくは5000mPa.s以上1000000mPa.s以下であり、より好ましくは10000mPa.s以上800000mPa.s以下である。粘度がこのような範囲にあることにより、ポリイソシアネート組成物の取り扱いが容易となり、かつ硬化性が充分となる傾向にある。粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートの数平均分子量は、好ましくは500以上5000以下であり、より好ましくは800以上4000以下である。数平均分子量がこのような範囲にあることにより、硬化性が十分となる傾向にある。数平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートのイソシアネート基平均数(ポリイソシアネート1分子に含まれるイソシアネート基の数の平均値)は、好ましくは4.5以上10以下であり、より好ましくは5.0以上9.0以下である。イソシアネート基平均数がこのような範囲にあることにより、硬化性が十分となる傾向にある。イソシアネート基平均数は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリイソシアネート組成物の残留ジイソシアネート濃度は、好ましくは0.01質量%以上1質量%以下であり、より好ましくは0.02質量%以上0.5質量%以下である。残留ジイソシアネート濃度がこのような範囲にあることにより、毒性が低く硬化性が十分となる傾向にある。残留ジイソシアネート濃度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
〔ジイソシアネート〕
本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートである。
本実施形態において「脂肪族ジイソシアネート」とは、分子中に2つのイソシアネート基と鎖状脂肪族炭化水素を有し、芳香族炭化水素を有しない化合物をいう。
脂肪族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、炭素数4以上30以下のものが好ましく、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と略す)、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。その中でも、工業的入手の容易さからHDIがより好ましい。上記に示した脂肪族ジイソシアネートは、単独で使用しても2種以上を併用しても構わない。
本実施形態において「脂環族ジイソシアネート」とは、分子中に2つのイソシアネート基と芳香族性を有しない環状脂肪族炭化水素を有する化合物をいう。
脂環族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、炭素数8以上30以下のものが好ましく、例えば、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略す)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。その中でも、耐候性及び工業的入手の容易さから、IPDIがより好ましい。上記に示した脂環族ジイソシアネートは、単独で使用しても2種以上を併用しても構わない。
〔ポリカプロラクトンポリオール〕
本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートの原料となるポリカプロラクトンポリオールとは、−O(CH25CO−で表される繰り返し単位を含む2価以上4価以下のポリオールであり、例えば、2〜4価のアルコールとε−カプロラクトンから誘導することができる。
ポリカプロラクトンポリオールは、例えば、ε−カプロラクトンを2価以上4価以下のアルコールを開始剤として、触媒の存在下に開環重合して得ることができる。
開始剤としては、2価のアルコール:エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール等、3価のアルコール:トリメチレングリコール、グリセリン、4価のアルコール:ペンタエリスリトールが用いられる。低粘度のポリイソシアネート組成物を得るという観点からは、分岐を有する多価アルコールが好ましい。
触媒としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラエチルチタネート等の有機チタン系化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、塩化第1スズ、臭化第1スズ等のスズ系化合物等が好ましく用いられる。カプロラクトンダイマー含有量を本願規定の範囲に調整するという観点からは、スズ系化合物が好ましい。
ε−カプロラクトンの開環重合は窒素ガス雰囲気で、ε−カプロラクトン及び上記の開始剤を所定の分子量になるようにモル比を設定して仕込み、さらにε−カプロラクトンに対して触媒を0.1ppm以上100ppm以下添加し、150℃以上200℃以下の温度で4時間以上10時間以下反応させることが好ましい。ただし、反応の終点にてカプロラクトンダイマー含有量が100ppm以上1000ppm以下になるようにコントロールすることが重要である。必要であれば、生成したポリカプロラクトンポリオールから、抽出や蒸留等の方法によりカプロラクトンダイマーを除去してもよい。
なお、ε−カプロラクトン以外にもトリメチルカプロラクトンやバレロラクトンのような他の環状ラクトンを一部混合しても構わない。
〔ポリイソシアネート〕
本実施形態におけるポリイソシアネートは、少なくともイソシアヌレート結合を含み、その他に、特に限定されないが、例えば、ビウレット結合、尿素結合、ウレトジオン結合、ウレタン結合、アロファネート結合、イミノオキサジアジンジオン結合、オキサジアジントリオン結合等を有していてもよい。
イソシアヌレート結合を有するポリイソシアネートは、例えば、触媒等により環状3量化反応を行い、転化率が約5〜約80質量%になった時に反応を停止し、未反応ジイソシアネートを除去精製して得られる。本実施形態においては、この際に、ポリカプロラクトンポリオールに加えて、1,3−ブタンジオール、トリメチロールプロパン等の1〜6価のアルコール化合物を併用することができる。
上記イソシアヌレート結合を有するポリイソシアネートを製造する際の触媒としては、一般に塩基性を有するものが好ましい。このような触媒の例としては、(1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば、酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、(2)トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、(3)アルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛等のアルキル金属塩、(4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、(5)ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、(6)マンニッヒ塩基類、(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、(8)トリブチルホスフィン等の燐系化合物が挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。
上記触媒が塗料又は塗膜物性に悪影響を及ぼす可能性がある場合には、該触媒を酸性化合物等で中和することが好ましい。この場合の酸性化合物としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、亜燐酸、燐酸等の無機酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチルエステル、p−トルエンスルホン酸エチルエステル等のスルホン酸又はその誘導体;燐酸エチル、燐酸ジエチル、燐酸イソプロピル、燐酸ジイソプロピル、燐酸ブチル、燐酸ジブチル、燐酸2−エチルヘキシル、燐酸ジ(2−エチルヘキシル)、燐酸イソデシル、燐酸ジイソデシル、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、エチルグリコールアシッドホスフェート、ピロリン酸ブチル、亜燐酸ブチルが挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。
〔ブロックポリイソシアネート組成物〕
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、組成物中に含まれるポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部を、ブロック剤でブロックして、ブロックポリイソシアネート組成物としてもよい。
本実施形態において用いることのできるブロック剤に限定はなく、例えば、アルコール系、フェノール系、オキシム系、アミン系、酸アミド系、イミダゾール系、ピリジン系、メルカプタン系、活性メチレン系化合物等の各種ブロック剤を用いることができる。
ブロック化反応は、一般に−20〜150℃で行うことができ、好ましくは0〜100℃である。150℃以上では、副反応を起こす可能性があり、他方あまり低温になると反応速度が小さくなり不利である。実質的に活性なイソシアネート基がなくなるようにブロック化されることが好ましい。
ブロック化反応は、溶剤の存在の有無に関わらず行うことができる。溶剤を用いる場合、イソシアネート基に対して不活性な溶剤を用いることが好ましい。
ブロック化反応に際して、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナトリウムフェノラート、カリウムメチラート等の金属アルコラート、及び三級アミン等を触媒として用いても良い。
また、上記のブロック化反応に用いた触媒の少なくとも一部を下記の酸性化合物等で中和しても良い。中和により、ブロックポリイソシアネート組成物の熱安定性が良くなり好ましい。酸性化合物としては、例えば、塩酸、亜燐酸、燐酸等の無機酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸、燐酸エチル、燐酸ジエチル、燐酸イソプロピル、燐酸ジイソプロピル、燐酸ブチル、燐酸ジブチル、燐酸2−エチルヘキシル、燐酸ジ(2−エチルヘキシル)等の燐酸エステルが挙げられる。なお、酸性化合物は、触媒に対して、0.3〜3当量の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜2当量、更に好ましくは0.7〜1.5当量である。
〔コーティング組成物〕
本実施形態の一液型コーティング組成物は、上述したブロックポリイソシアネート組成物と、多価活性水素化合物とを含み、二液型コーティング組成物は、ブロック化していないポリイソシアネート組成物と、多価活性水素化合物とを含む。
〔多価活性水素化合物〕
本実施形態において、コーティング組成物に使用する多価活性水素化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリオール、ポリアミン及びアルカノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、その中でも、ポリオールを含むことがより好ましい。
ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリウレタンポリオールが挙げられる。上記に示したポリオールは、単独で使用しても2種以上を併用しても構わない。
ポリエステルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の二塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の多価アルコールとの縮合反応によって得られるポリエステルポリオール、及び、例えば多価アルコールを用いたε−カプロラクトンの開環重合により得られるポリカプロラクトン類が挙げられる。
アクリルポリオールは、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、これと共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、を共重合させることにより得られる。
ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、及びメタクリル酸ヒドロキシブチルが挙げられる。好ましくは、アクリル酸ヒドロキシエチル、及びメタクリル酸ヒドロキシエチルである。
上記単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和アミド;メタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等のビニル系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニル系単量体が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、リチウム、ナトリウム、カリウム等の水酸化物や、アルコラート、アルキルアミン等の強塩基性触媒を使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの単独又は混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類;エチレンジアミン類等の多官能化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類;これらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られるいわゆるポリマーポリオール類が挙げられる。
上記の多価ヒドロキシ化合物としては、
(1)ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等、
(2)エリスリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物、
(3)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類、
(4)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類、
(5)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトースなどの三糖類、
(6)スタキオース等の四糖類
が挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレンが挙げられる。ポリオールの統計的1分子が持つ水酸基数(以下、「水酸基平均数」ともいう。)は2.0以上であることが好ましい。ポリオールの水酸基平均数が2.0以上であることによって、得られる塗膜の架橋密度の低下を抑制することができる傾向にある。
フッ素ポリオールとは、分子内にフッ素を含むポリオールであり、例えば特開昭57−34107号公報、特開昭61−275311号公報で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート等の低分子カーボネート化合物と、上述したポリエステルポリオールに用いられる低分子ポリオールとを、縮重合して得られるものが挙げられる。
ポリウレタンポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、常法によりポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得ることができる。カルボキシル基を含有しないポリオールとしては、例えば低分子量のものとして、エチレングリコール、プロピレングリコールが例示され、例えば高分子量のものとして、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールが例示される。
上記に示したポリオールの樹脂あたりの水酸基価は、10mgKOH/樹脂g以上300mgKOH/樹脂g以下であることが好ましい。樹脂あたりの水酸基価が10mgKOH/樹脂g以上である場合、架橋密度が減少することを防止し、目的とする物性を十分に達成することができる傾向にある。一方、樹脂あたりの水酸基価が300mgKOH/樹脂g以下である場合、架橋密度が過度に増大することを抑制し、塗膜の機械的物性を高度に維持することができる傾向にある。
上記で列挙したポリオールの中でも、アクリルポリオール、及びポリエステルポリオールが好ましい。多価活性水素化合物としてポリオールを用いる場合、一液型コーティング組成物におけるブロックイソシアネート基とポリオールの水酸基の当量比は、10:1〜1:10であることが好ましい。また、二液型コーティング組成物におけるイソシアネート基とポリオールの水酸基の当量比は、10:1〜1:10であることが好ましい。
ポリアミンとしては、特に限定されないが、1級アミノ基又は2級アミノ基を1分子中に2個以上有するものが好ましく、その中でも、1分子中に3個以上有するものがより好ましい。
ポリアミンの具体例としては、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン等のジアミン類;ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、テトラプロピレンペンタミン等の3個以上のアミノ基を有する鎖状ポリアミン類;1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン、1,4,7,10−テトラアザシクロデカン、1,4,8,12−テトラアザシクロペンタデカン、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン等の環状ポリアミン類が挙げられる。
アルカノールアミンとは、1分子中に、アミノ基と水酸基を有する化合物である。アルカノールアミンとしては、特に限定されないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、モノ−、ジ−(n−又はイソ−)プロパノールアミン、エチレングリコール−ビス−プロピルアミン、ネオペンタノールアミン、及びメチルエタノールアミンが挙げられる。
本実施形態の二液型コーティング組成物及び一液型コーティング組成物は、必要に応じて、ヒンダードフェノール等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等の紫外線吸収剤、酸化チタン、カーボンブラック、インジゴ、キナクリドン、パールマイカ等の顔料、アルミ等の金属粉顔料、ヒドロキシエチルセルロース、尿素化合物、マイクロゲル等のレオロジーコントロール剤、錫化合物、亜鉛化合物、アミン化合物等の硬化促進剤をさらに含んでもよい。
本実施形態の二液型コーティング組成物及び一液型コーティング組成物は、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装等により、鋼板、表面処理鋼板等の金属、プラスチック、又は無機材料等の素材に、プライマー、中塗り、又は上塗りとして好適に使用できる。また、これらのコーティング組成物は、さらに防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装、プラスチック塗装等に、美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性、密着性等を付与するために好適に用いることができる。さらに、これらのコーティング組成物は、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。
〔塗膜、塗膜を備える物品〕
本実施形態においては、上述した二液型コーティング組成物又は一液型コーティング組成物を塗装することにより各種物品の上に塗膜を形成することができる。
本実施形態の塗膜を備える物品としては、例えば、自動車等が挙げられる。
塗装方法は特に限定されないが、例えば、本実施形態の二液型コーティング組成物又は一液型コーティング組成物を、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装等により塗装することができ、塗装後、焼付け工程を経ることにより、塗膜を形成することができる。この塗膜は、焼付け工程を経て、架橋塗膜が形成されていることが好ましい。
以下、実施例によって本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例におけるポリイソシアネート組成物の各種物性の測定方法について以下に示す。
(物性1)NCO含有量(質量%)
実施例及び比較例で得られた、溶剤不含で、未反応のジイソシアネートを除去したポリイソシアネート組成物のNCO含有量(イソシアネート基含有量、質量%)は、次のように測定した。
三角フラスコに製造例で製造したポリイソシアネート組成物1〜3gを精秤(Wg)し、これにトルエン20mLを添加し、ポリイソシアネート組成物を完全に溶解した。その後、2規定のジ−n−ブチルアミンのトルエン溶液10mLを添加し、完全に混合後、15分間室温放置した。さらに、この溶液にイソプロピルアルコール70mLを加えて、完全混合した。この溶液を1規定塩酸溶液(ファクターF)で、指示薬を用いて滴定して、滴定値V2mLを得た。
同様の滴定操作を、ポリイソシアネート組成物を用いずに行ない、滴定値V1mLを得た。
得られた滴定値V2mLおよび滴定値V1mLから、ポリイソシアネート組成物のNCO含有量を、下記式に基づいて算出した。
NCO含有量=(V1−V2)×F×42/(W×1000)×100
(物性2)粘度(mPa.s)
ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度は、E型粘度計(商品名:RE−80U、東機産業社製)を用いて25℃で測定した。測定に際しては、高粘度用ローター(3°×R14)を用いた。回転数は、以下の通りで設定した。
100r.p.m.(4940mPa.s未満の場合)
50r.p.m.(4940mPa.s以上9870mPa.s未満の場合)
20r.p.m.(9870mPa.s以上24690mPa.s未満の場合)
10r.p.m.(24690mPa.s以上49380mPa.s未満の場合)
5r.p.m.(49380mPa.s以上98770mPa.s未満の場合)
2.5r.p.m.(98770mPa.s以上197540mPa.s未満の場合)
1.0r.p.m.(197540mPa.s以上395050mPa.s未満の場合)
0.5r.p.m.(395050mPa.s以上790100mPa.s未満の場合)
(物性3)数平均分子量
ポリイソシアネートの数平均分子量は、下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、「GPC」と略す)測定によるポリスチレン基準の数平均分子量で求めた。
装置:東ソー社製「HLC−8120GPC」(商品名)
カラム:東ソー社製「TSKgel SuperH1000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH2000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH3000」(商品名)×1本
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折計
また、ポリオールの数平均分子量は、下記のGPC測定によるポリスチレン基準の数平均分子量で求めた。
装置:東ソー社製「HLC−8120GPC」(商品名)
カラム:東ソー社製「TSKgel SuperHM−H(商品名)」×2本
キャリアー:N,N−ジメチルホルムアミド
検出方法:示差屈折計
(物性4)イソシアネート基平均数
ポリイソシアネートのイソシアネート基平均数は、前記(物性1)NCO含有量と(物性3)数平均分子量とから下記式に基づいて算出した。
イソシアネート基平均数=数平均分子量×(NCO含有量/100)/42
(物性5)残留ジイソシアネート濃度(質量%)
ポリイソシアネート組成物の残留ジイソシアネート濃度は、次のように求めた。
最初に、20mLサンプル瓶をデジタル天秤に乗せ試料を約1g精秤した。次に、ニトロベンゼン(内部標準液)を0.03〜0.04g加え精秤した。最後に、酢酸エチルを約9mL加えた後、蓋をしっかりして良く混合し、サンプルを調整した。上記調整液を以下の条件で、ガスクロマトグラフィー分析し、定量した。
装置:SHIMADZU社製「GC−8A」
カラム:信和化工社製「Silicone OV−17」
カラムオーブン温度:120℃
インジェクション/ディテクター温度:160℃
(物性6)イソシアヌレート結合含有の有無
ポリイソシアネートのイソシアヌレート結合の有無は、Bruker社製Biospin Avance600(商品名)を用いた、13C−NMRの測定により行った。具体的には、148.6ppm付近のピークの有無の確認を行った。
具体的な測定条件は以下の通りであった。
13C−NMR装置:AVANCE600(ブルカー社製)
クライオプローブ(ブルカー社製)
Cryo Probe
CPDUL
600S3−C/H−D−05Z
共鳴周波数:150MHz
濃度:60wt/vol%
シフト基準:CDCl3(77ppm)
積算回数:10000回
(物性7)3量体濃度
前記(物性3)数平均分子量に示すGPC測定において、3量体濃度を定量した。
原料として用いたジイソシアネートの3倍の分子量に相当するピーク面積%を3量体濃度とした。
実施例及び比較例におけるポリイソシアネート組成物及びこれを含むコーティング組成物の各種物性の評価方法について以下に示す。
(評価1)湿気安定性
ポリイソシアネート組成物を40質量部、水分を0.2質量部含有する酢酸n−ブチル30質量部とキシレン30質量部の混合溶剤を混合させた。温度23℃に保った部屋に放置し、目視により外観が白濁するまでの日数を観察した。
○:10日以上白濁しなかったもの
×:10日以内で白濁したもの
(評価2)硬化性
ポリプロピレン板上に二液型コーティング組成物の塗膜を形成し、これを板から剥がして得られた膜のゲル分率を測定することにより、硬化性を評価した。具体的には、120℃に保持されているオーブン内で、30分間焼き付けた硬化塗膜を、ポリプロピレン板から剥し、アセトンに23℃で24時間浸漬した時の重量残存率を求めた。
○:重量残存率が90%以上
△:重量残存率が80%以上90%未満
×:重量残存率が80%未満
(評価3)密着性
軟鋼板に作成した二液型コーティング組成物の塗膜について、密着性試験をJIS K5600−5−6に準じて行った。下記の基準で評価した。
○:剥離塗膜、浮き無し
△:カット部に一部浮きあり
×:半分未満の剥離塗膜あり
(評価4)耐候性
アルミニウム板上に予め市販の溶剤系二液型アクリルウレタン白エナメル塗料をスプレー塗装してセッティングの後80℃で2時間乾燥し、室温で2週間以上養生させ、60度光沢値が10%以下になるまで表面を#1000のサンドペーパーで研磨した白板を基材として準備した。
その基材上に二液型コーティング組成物をエアースプレーを用いて塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で7日間乾燥させた。その後、スガ試験機(株)製スーパーキセノンウェザーメーターSX75を用い、JIS K5600−7−7の条件で評価した。
◎:3000時間暴露した後の60度光沢保持率が90%以上
○:3000時間暴露した後の60度光沢保持率が80%以上90%未満
△:3000時間暴露した後の60度光沢保持率が70%以上80%未満
×:3000時間暴露した後の60度光沢保持率が70%未満
[製造例1:ポリカプロラクトンポリオールA]
撹拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ッ口フラスコの内部を窒素雰囲気にし、ε−カプロラクトン:499質量部、トリメチロールプロパン:402質量部、テトラブチルチタネート:0.02質量部を仕込み、撹拌下170℃で5時間反応させて、水酸基価540、カプロラクトンダイマー含有量3800ppmのポリカプロラクトンポリオールAを得た。
ここで、カプロラクトンダイマー含有量の定量は、充填剤として5%SE−30(商品名)、カメライトCS(商品名)、80〜100メシュを用いたカラムを装備したFID検出式のGC(商品名、GC−9A:島津製作所製)により、インジェクション温度:230℃、カラム温度:220℃、ディテクター温度:230℃、キャリアーガス:ヘリウム、キャリアーガス流量:50mL/分の条件にて、ポリカプロラクトンポリオール1.000gをアセトン(試薬特級)で20mLのメスフラスコにて溶解させることで調製したサンプル溶液1.0μLを分析した結果から、絶対検量線法により、実施した。
[調整例1:ポリカプロラクトンポリオール(PCL)−A1〜A5]
製造例1で得られたポリカプロラクトンポリオールA中のカプロラクトンダイマー含有量を調整するため、ポリカプロラクトンポリオールAをテトラヒドロフラン(以下、THF)に溶解させ、n−ヘキサンにてカプロラクトンダイマーの抽出を行った。抽出後、THFを留去し、真空乾燥することで、カプロラクトンダイマー含有量が、各々、950ppm(PCL−A1)、680ppm(PCL−A2)、260ppm(PCL−A3)、140ppm(PCL−A4)、60ppm(PCL−A5)である、ポリカプロラクトンポリオールPCL−A1〜A5を得た。
[製造例2:ポリカプロラクトンポリオールB]
撹拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ッ口フラスコの内部を窒素雰囲気にし、ε−カプロラクトン:624質量部、トリメチロールプロパン:201質量部、テトラブチルチタネート:0.02質量部を仕込み、撹拌下170℃で10時間反応させて、水酸基価305、カプロラクトンダイマー含有量6500ppmのポリカプロラクトンポリオールBを得た。
[調整例2:ポリカプロラクトンポリオールPCL−B1〜B2]
製造例2で得られたポリカプロラクトンポリオールB中のカプロラクトンダイマー含有量を調整するため、ポリカプロラクトンポリオールBをテトラヒドロフラン(以下、THF)に溶解させ、n−ヘキサンにてカプロラクトンダイマーの抽出を行った。抽出後、THFを留去し、真空乾燥することで、カプロラクトンダイマー含有量が、各々、530ppm(PCL−B1)、320ppm(PCL−B2)である、ポリカプロラクトンポリオールPCL−B1、B2を得た。
[実施例1:ポリイソシアネート組成物P−1の製造]
撹拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ッ口フラスコの内部を窒素雰囲気にし、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI):1000質量部、PCL−A1:100質量部を仕込み、撹拌下反応器内温度を90℃で1時間保持した。その後反応器内温度を80℃に保持し、テトラブチルアンモニウムアセテートを添加して、イソシアヌレート化を開始し、反応液のNCO含有量が33.8質量%になった時点(テトラブチルアンモニウムアセテートの添加から4時間であった)で燐酸を添加し反応を停止した。
反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、NCO含有量:18.2質量%、25℃での粘度が22000mPa.s、数平均分子量:1320、イソシアネート基平均数:5.7、残留HDI:0.1質量%、イソシアヌレート結合を含み、3量体濃度:19質量%のポリイソシアネート組成物P−1を得た。
該ポリイソシアネート組成物P−1中のカプロラクトンダイマー含有量を、上述のポリカプロラクトンポリオールの場合と同様にして定量したところ、485ppmであった。
(湿気安定性の評価)
得られたポリイソシアネート組成物P−1について、湿気安定性を評価した。評価結果を表1に示す。
(硬化性、密着性、耐候性の評価)
アクリルポリオール(商品名:SETALUX1767、Nuplex社製、水酸基価=150mgKOH/g(固形分)、樹脂分濃度=65質量%)に対して、ポリイソシアネート組成物P−1を、NCO/OH比が1.0となるように混合し、酢酸ブチルにて塗料固形分を50質量%に調整し、二液型コーティング組成物を得た。
二液型コーティング組成物を用いて、乾燥膜厚約50μmとなるようにポリプロピレン板、軟鋼版、白板にそれぞれ塗膜を作製した。得られた塗膜に対して、硬化性、密着性、耐候性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例2〜6、比較例1〜5]
表1で示した配合、条件とした以外は、実施例1と同様にして、ポリイソシアネート組成物を得た。得られたポリイソシアネート組成物に関する各種測定値、物性評価結果を表1に示す。
本発明のポリイソシアネート組成物及びコーティング組成物は、塗料、インキ、接着剤、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック材料の原料として使用することができる。その中でも、自動車塗料、家電塗料、パソコンや携帯電話等の情報機器塗料に適している。

Claims (9)

  1. (1)ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)からなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートと、(2)2価以上4価以下のポリカプロラクトンポリオールと、から得られ、イソシアヌレート結合を含むポリイソシアネートを含み、
    カプロラクトンダイマー含有量が50ppm以上500ppm以下である、
    ポリイソシアネート組成物。
  2. 3量体濃度が2質量%以上40質量%以下である、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  3. 前記(2)ポリカプロラクトンポリオールが、3価であって、数平均分子量が250以上2000以下である、請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
  4. ジイソシアネート及び溶剤を含まない状態で測定したときの、NCO含有量が10質量%以上24質量%以下、25℃での粘度が5000mPa.s以上1000000mPa.s以下であり、
    前記ポリイソシアネートのイソシアネート基平均数が4.5以上10以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物と、多価活性水素化合物と、を含有する二液型コーティング組成物。
  6. 前記ポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部が、ブロック剤でブロックされている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
  7. 請求項6に記載のポリイソシアネート組成物と、多価活性水素化合物と、を含有する一液型コーティング組成物。
  8. 請求項5に記載の二液型コーティング組成物又は請求項7に記載の一液型コーティング組成物を塗布する工程を含む塗膜の形成方法。
  9. 請求項5に記載の二液型コーティング組成物又は請求項7に記載の一液型コーティング組成物を塗布する工程を含む、塗膜を備える物品の製造方法。
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