本発明のポリイソシアネート組成物は、キシリレンジイソシアネート組成物と、ヘキサメチレンジイソシアネート組成物とを、後述の所定割合で含有する。
本発明において、キシリレンジイソシアネート組成物(以下、XDI組成物と称する場合がある。)は、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを含有する。
キシリレンジイソシアネートとしては、1,2-キシリレンジイソシアネート(o-キシリレンジイソシアネート(o-XDI))、1,3-キシリレンジイソシアネート(m-キシリレンジイソシアネート(m-XDI))、1,4-キシリレンジイソシアネート(p-キシリレンジイソシアネート(p-XDI))が、構造異性体として挙げられる。
これらキシリレンジイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
キシリレンジイソシアネートとして、好ましくは、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、より好ましくは、1,3-キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
イソシアヌレートは、分子中に1つ以上の対称イソシアヌレート基および/または非対称イソシアヌレート基(イミノオキサジアジンジオン基)を含有する変性体である。
なお、対称イソシアヌレート基を含有する変性体(対称イソシアヌレート変性体)と、非対称イソシアヌレート基を含有する変性体(イミノオキサジアジンジオン変性体)とは、構造異性体である。そのため、対称イソシアヌレート変性体の生成時において、副生物としてイミノオキサジアジンジオン変性体が生じる場合があり、また、イミノオキサジアジンジオン変性体の生成時において、副生物として対称イソシアヌレート変性体が生じる場合がある。
キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートは、例えば、上記キシリレンジイソシアネートを、イソシアヌレート化触媒の存在下において、イソシアヌレート化反応させることにより、得ることができる。
イソシアヌレート化触媒としては、イソシアヌレート化を活性化する触媒であれば、特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、2級アミン共重合体(例えば、ジアルキルアミンなどの2級アミン、および、2級アミンと共重合可能な単量体(例えば、フェノール、ホルムアルデヒドなど)の重縮合物)などの3級アミン、例えば、2-ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどのマンニッヒ塩基、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドやその有機弱酸塩、例えば、トリメチルベンジルアンモニウム、トリブチルベンジルアンモニウムなどのトリアルキルアリールアンモニウムのハイドロオキサイドやその有機弱酸塩、例えば、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム(別名:N-(2-ヒドロキシプロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウム)、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウムなどのトリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドやその有機弱酸塩、例えば、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸、ナフテン酸などのアルキルカルボン酸の金属塩(例えば、アルカリ金属塩、マグネシウム塩、スズ塩、亜鉛塩、鉛塩など)、例えば、アルミニウムアセチルアセトン、リチウムアセチルアセトンなどのようなβ-ジケトンの金属キレート化合物、例えば、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素などのフリーデル・クラフツ触媒、例えば、チタンテトラブチレート、トリブチルアンチモン酸化物などの種々の有機金属化合物、例えば、ヘキサメチルシラザンなどのアミノシリル基含有化合物、二フッ化水素テトラブチルホスホニウムなどのハロゲン置換有機リン化合物などが挙げられる。
これらイソシアヌレート化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
イソシアヌレート化触媒として、製造効率の観点から、好ましくは、テトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、トリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドが挙げられ、より好ましくは、テトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドが挙げられ、さらに好ましくは、テトラブチルアンモニウムのハイドロオキサイドが挙げられる。
また、イソシアヌレート化触媒は、固形分100%として用いてもよく、また、イソシアヌレート化触媒を有機溶媒に溶解させた触媒溶液を使用してもよい。
好ましくは、イソシアヌレート化触媒は、触媒溶液として使用される。
触媒溶液において、有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、アルキルエステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなど)、グリコールエーテルエステル類(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネートなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、極性非プロトン類(例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなど)などが挙げられる。有機溶媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
有機溶媒のなかでは、好ましくは、グリコールエーテルエステル類が挙げられ、さらに好ましくは、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートが挙げられる。
触媒溶液の固形分濃度(イソシアヌレート化触媒の含有割合)は、例えば、60.0質量%以下、好ましくは、50.0質量%以下である。
イソシアヌレート化触媒(固形分換算)の添加割合は、キシリレンジイソシアネート100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.005質量部以上、例えば、0.1質量部以下、好ましくは、0.05質量部以下である。
そして、この方法では、キシリレンジイソシアネートにイソシアヌレート化触媒を上記した配合割合で一括添加または分割添加し、加熱することにより、イソシアヌレート化反応させる。
キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート化反応の反応条件としては、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、常圧(大気圧)下、反応温度(到達最高温度)が、例えば、室温(例えば、25℃)以上、好ましくは、40℃以上、より好ましくは、60℃以上、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下であり、反応時間は、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上、さらに好ましくは、2時間以上、例えば、12時間以下、好ましくは、10時間以下、さらに好ましくは、8時間以下である。
また、上記の反応では、必要により、公知の反応溶媒を適宜の割合で配合してもよい。
そして、上記のイソシアヌレート化反応では、好ましくは、任意のタイミングで、触媒失活剤を添加し、反応を停止させる。触媒失活剤を添加するタイミングは、例えば、イソシアネート基の転化率が目標値(例えば、10%以上、好ましくは、20%以上、例えば、40%以下)に到達した時点などである。
触媒失活剤としては、例えば、リン酸、モノクロロ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、オルトトルエンスルホン酸、ベンゾイルクロリド、p-トルエンスルホンアミド、o-トルエンスルホンアミドなどが挙げられる。触媒失活剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、触媒失活剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
これにより、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを得ることができる。
また、上記のイソシアヌレート化反応においては、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、助触媒(例えば、有機亜リン酸エステルなど)などの公知の添加剤を添加することができる。
添加剤として、好ましくは、酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられ、衛生性の観点から、好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、具体的には、例えば、2,6-ジ(tert-ブチル)-4-メチルフェノール、[3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパノイルオキシ]-2,2-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパノイルオキシメチル]プロピル]3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパノエート(イルガノックス1010、チバ・ジャパン社製、商品名)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート(イルガノックス1076、チバ・ジャパン社製、商品名)、3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチルエステル(イルガノックス1135、チバ・ジャパン社製、商品名)、ビス[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)プロピオン酸]エチレンビスオキシビスエチレン(イルガノックス245、チバ・ジャパン社製、商品名)などが挙げられる。
これら酸化防止剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
酸化防止剤として、衛生性の観点から、好ましくは、BHTを除くヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられ、より好ましくは、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート(イルガノックス1076、チバ・ジャパン社製、商品名)が挙げられる。
なお、添加剤を添加するタイミングは、特に制限されず、イソシアヌレート化反応前のキシリレンジイソシアネートに添加してもよく、また、イソシアヌレート化反応中のイソシアヌレート反応液に添加してもよく、さらには、イソシアヌレート化反応後のイソシアヌレート反応液に添加してもよい。好ましくは、イソシアヌレート化反応前のキシリレンジイソシアネートに添加する。
添加剤の添加割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、上記の反応では、必要により、アルコールを配合することができる。すなわち、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを、アルコールにより変性することができる。
アルコールとしては、例えば、脂肪族アルコール、芳香族アルコールなどが挙げられ、好ましくは、脂肪族アルコールが挙げられる。
脂肪族アルコールとしては、例えば、1価の脂肪族アルコール、2価の脂肪族アルコール、3価の脂肪族アルコール、4価以上の脂肪族アルコールなどが挙げられる。
1価の脂肪族アルコールとしては、例えば、直鎖状の1価脂肪族アルコール、分岐状の1価脂肪族アルコールなどが挙げられる。
直鎖状の1価脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール、n-ウンデカノール、n-ドデカノール(ラウリルアルコール)、n-トリデカノール、n-テトラデカノール、n-ペンタデカノール、n-ヘキサデカノール、n-ヘプタデカノール、n-オクタデカノール(ステアリルアルコール)、n-ノナデカノール、エイコサノールなど、炭素数1~20の直鎖状1価脂肪族アルコールなどが挙げられる。
分岐状の1価脂肪族アルコールとしては、例えば、イソプロパノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、イソペンタノール、イソヘキサノール、イソヘプタノール、イソオクタノール、2-エチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノール、5-エチル-2-ノナノール、トリメチルノニルアルコール、2-ヘキシルデカノール、3,9-ジエチル-6-トリデカノール、2-イソヘプチルイソウンデカノール、2-オクチルドデカノール、その他の分岐状アルカノール(炭素数5~20)など、炭素数1~20の分岐状1価脂肪族アルコールなどが挙げられる。
2価の脂肪族アルコールとしては、例えば、メタンジオール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、その他の直鎖状のアルカン(C7~20)ジオールなどの直鎖状の2価脂肪族アルコール、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチルー1,3-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、その他の分岐状のアルカン(C7~20)ジオールなどの分岐状の2価脂肪族アルコール、例えば、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3-または1,4-シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールAなどの脂環式の2価脂肪族アルコールなど、炭素数1~20の2価の脂肪族アルコールなどが挙げられる。
3価の脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなど、炭素数1~20の3価の脂肪族アルコールなどが挙げられる。
4価以上の脂肪族アルコールとしては、例えば、テトラメチロールメタン、D-ソルビトール、キシリトール、D-マンニトールなど、炭素数1~20の4価の脂肪族アルコールなどが挙げられる。
また、アルコールは、分子中に1つ以上のヒドロキシ基を有していれば、それ以外の分子構造は、本発明の優れた効果を阻害しない限り、特に制限されず、例えば、分子中に、エステル基、エーテル基、シクロヘキサン環、芳香環などを有することもできる。このようなアルコールとしては、例えば、上記脂肪族アルコールとアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなど)との付加重合物(2種類以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック重合物)であるエーテル基含有アルコール、上記脂肪族アルコールとラクトン(例えば、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトンなど)との付加重合物であるエステル基含有アルコールなどが挙げられる。
これらアルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルコールとして、好ましくは、脂肪族アルコールが挙げられ、より好ましくは、1価および2価の脂肪族アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、2価の脂肪族アルコールが挙げられる。
また、脂肪族アルコールとして、好ましくは、炭素数が1~20の脂肪族アルコール、より好ましくは、炭素数が2~20の脂肪族アルコール、さらに好ましくは、炭素数が2~8の脂肪族アルコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、炭素数が2~6の脂肪族アルコールが挙げられる。
また、脂肪族アルコールとして、好ましくは、分岐状の1価および2価の脂肪族アルコールが挙げられ、より好ましくは、分岐状の2価の脂肪族アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、炭素数2~8の分岐状の2価の脂肪族アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、炭素数2~6の分岐状の2価の脂肪族アルコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、1,3-ブタンジオールが挙げられる。
アルコールの配合割合は、キシリレンジイソシアネート100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、1.0質量部以上、より好ましくは、1.5質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、5.0質量部以下である。また、アルコールのヒドロキシ基に対する、キシリレンジイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、例えば、5以上、好ましくは、10以上、より好ましくは、20以上、通常、1000以下、好ましくは、100以下、より好ましくは、50以下である。
また、アルコールによりキシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを変性する方法として、より具体的には、例えば、まず、キシリレンジイソシアネートとアルコールとを反応させ、次いで、イソシアヌレート化触媒の存在下にイソシアヌレート化反応させた後、未反応のキシリレンジイソシアネートを除去する方法や、例えば、まず、上記した方法でキシリレンジイソシアネートのみをイソシアヌレート化した後、未反応のキシリレンジイソシアネートを除去し、その後、得られたポリイソシアヌレートとアルコールとを反応させる方法などが挙げられる。
好ましくは、まず、キシリレンジイソシアネートとアルコールとを反応させ、次いでイソシアヌレート化触媒の存在下にイソシアヌレート化反応させた後、未反応のキシリレンジイソシアネートを除去する。
この方法では、まず、キシリレンジイソシアネートとアルコールとを混合し、反応させる。
キシリレンジイソシアネートとアルコールとの反応は、ウレタン化反応(アロファネート化反応を含む)であり、その反応条件としては、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、常圧(大気圧)下において、反応温度が、例えば、室温(例えば、25℃)以上、好ましくは、40℃以上であり、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.05時間以上、好ましくは、0.2時間以上であり、例えば、10時間以下、好ましくは、6時間以下、より好ましくは、3時間以下である。
また、上記ウレタン化反応においては、必要に応じて、例えば、アミン類や有機金属化合物などの公知のウレタン化触媒を、適宜の割合で添加してもよい。
アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチルモルホリンなどの3級アミン類、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、例えば、イミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。
有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート(ジラウリン酸ジブチル錫(IV))、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロリドなどの有機錫系化合物、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、例えば、オクテン酸銅などの有機銅化合物、例えば、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物などが挙げられる。
さらに、ウレタン化触媒として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカリウム塩が挙げられる。
これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
次いで、この方法では、得られる反応液に、イソシアヌレート化触媒を上記した配合割合で配合し、キシリレンジイソシアネートとアルコールとの反応物を、イソシアヌレート化反応させる。なお、イソシアヌレート化における反応条件は、上記と同じである。そして、反応終了後、未反応のキシリレンジイソシアネートを、必要により、蒸留などの公知の除去方法により、除去する。
これにより、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート(アルコールにより変性されたイソシアヌレート)が得られる。
また、例えば、キシリレンジイソシアネートのみをイソシアヌレート化した後、未反応のキシリレンジイソシアネートを除去し、得られたポリイソシアネートとアルコールとを反応させる方法(上記の後者の方法)を採用する場合には、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートとアルコールとが反応する。なお、この反応もウレタン化反応であり、上記したウレタン化反応の反応条件で反応させる。
これによっても、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート(アルコールにより変性されたイソシアヌレート)が得られる。
そして、この方法では、上記イソシアヌレート化反の応終了後、必要に応じて、得られる反応混合液から、未反応のキシリレンジイソシアネートモノマー(さらに、必要に応じて、触媒、反応溶媒および/または触媒失活剤など)を、例えば、薄膜蒸留(スミス蒸留)などの蒸留や、抽出などの公知の方法で除去する。
これにより、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを含有するXDI組成物が得られる。
このような方法において、キシリレンジイソシアネートのウレタン化反応およびイソシアヌレート化反応では、反応条件によっては、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートに加え、その他のキシリレンジイソシアネート誘導体(キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを除く誘導体であり、例えば、キシリレンジイソシアネートのアロファネート、キシリレンジイソシアネートのダイマー(ビウレットなど)など)が副生成物として得られる。
とりわけ、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートがアルコールにより変性される場合には、その他のキシリレンジイソシアネート誘導体として、キシリレンジイソシアネートのアロファネートが生成する。
さらに、必要に応じて、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートとは別に、その他のキシリレンジイソシアネート誘導体(例えば、キシリレンジイソシアネートのアロファネート、キシリレンジイソシアネートのダイマー(ビウレットなど)など)を用意し、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートと、その他のキシリレンジイソシアネート誘導体とを混合して、XDI組成物を調製することもできる。
換言すれば、XDI組成物は、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートと、その他のキシリレンジイソシアネート誘導体とを含有することができる。
ポリウレタン樹脂(後述)の耐熱密着性(耐熱密着保持率)および耐溶剤性の観点から、好ましくは、XDI組成物は、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートと、キシリレンジイソシアネートのアロファネートとを含有する。
ポリウレタン樹脂(後述)の耐熱密着性および耐溶剤性の観点から、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートの割合は、XDI組成物の固形分の総量に対して、例えば、80質量%以上、好ましくは、85質量%以上、より好ましくは、90質量%以上であり、例えば、100質量%以下、好ましくは、98質量%以下、より好ましくは、95質量%以下である。
また、その他のキシリレンジイソシアネート誘導体(好ましくは、キシリレンジイソシアネートのアロファネート)の割合が、XDI組成物の固形分の総量に対して、例えば、0質量%以上、好ましくは、2質量%以上、より好ましくは、5質量%以上であり、例えば、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下、より好ましくは、10質量%以下である。
また、XDI組成物に含まれるイソシアヌレートとしては、本質的にアルコールにより変性されていないキシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート、および、アルコールにより変性されたキシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートのいずれであってもよいが、好ましくは、アルコールにより変性されたキシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートが挙げられる。
なお、本質的にアルコールにより変性されていないイソシアヌレートとは、上記アルコールを変性剤として積極的に配合していない誘導体として定義され、例えば、イソシアヌレート製造時において、不可避的に混入するアルコール(例えば、イソシアヌレート化触媒の溶媒(例えば、メタノールなど))や、水分などに基づく変性基(例えば、ウレタン基、ウレア基など)の含有が許容される(以下同様)。
XDI組成物において、イソシアネート基濃度(固形分100質量%)は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、18質量%以上であり、例えば、45質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。
また、XDI組成物のイソシアネートモノマー濃度(未反応のキシリレンジイソシアネートの濃度)は、例えば、5質量%以下、好ましくは、2質量%以下、さらに好ましくは、1質量%以下である。
また、XDI組成物には、必要により、上記した有機溶媒を適宜の割合で添加して、固形分濃度を調整することができる。
XDI組成物の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、100質量%以下である。
本発明において、ヘキサメチレンジイソシアネート組成物(以下、HDI組成物と称する場合がある。)は、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートを含有する。
ヘキサメチレンジイソシアネートとしては、1,2-ヘキサメチレンジイソシアネート(1,2-ヘキサンジイソシアネート)、1,3-ヘキサメチレンジイソシアネート(1,3-ヘキサンジイソシアネート)、1,4-ヘキサメチレンジイソシアネート(1,4-ヘキサンジイソシアネート)、1,5-ヘキサメチレンジイソシアネート(1,5-ヘキサンジイソシアネート)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ヘキサンジイソシアネート)、2,5-ヘキサメチレンジイソシアネート(2,5-ヘキサンジイソシアネート)などが、構造異性体として挙げられる。
これらヘキサメチレンジイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ヘキサメチレンジイソシアネートとして、好ましくは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ヘキサンジイソシアネート)が挙げられる。
アロファネートとは、分子中に1つ以上のアロファネート基を含有する変性体である。
ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートは、例えば、上記ヘキサメチレンジイソシアネートと、アルコールとをウレタン化反応させた後、アロファネート化触媒の存在下でアロファネート化反応させることにより、得ることができる。
より具体的には、この方法では、まず、ヘキサメチレンジイソシアネートとアルコールとを、ウレタン化反応させる。
アルコールとしては、例えば、上記したアルコール(脂肪族アルコール、芳香族アルコール)などが挙げられ、好ましくは、上記した脂肪族アルコールが挙げられる。
また、脂肪族アルコールとしては、例えば、上記した1価の脂肪族アルコール、上記した2価の脂肪族アルコール、上記した3価の脂肪族アルコール、上記した4価以上の脂肪族アルコールなどが挙げられ、好ましくは、1価の脂肪族アルコールが挙げられ、より好ましくは、分岐状の1価脂肪族アルコールが挙げられる。
また、脂肪族アルコールとしては、好ましくは、炭素数が1~20の脂肪族アルコール、より好ましくは、炭素数が2~20の脂肪族アルコール、さらに好ましくは、炭素数が2~8の脂肪族アルコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、炭素数が2~6の脂肪族アルコールが挙げられる。
アルコールの配合割合は、ヘキサメチレンジイソシアネート100質量部に対して、例えば、3質量部以上、好ましくは、3.2質量部以上、より好ましくは、3.5質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、10質量部以下である。
また、必要に応じて、上記したアルコールと、例えば、チオール類、オキシム類、ラクタム類、フェノール類、βジケトン類などとを、適宜の割合で併用することができる。
ウレタン化反応における反応条件としては、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、常圧(大気圧)下において、反応温度が、例えば、室温(例えば、25℃)以上、好ましくは、40℃以上であり、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.05時間以上、好ましくは、0.2時間以上であり、例えば、10時間以下、好ましくは、6時間以下である。
また、上記ウレタン化反応においては、必要に応じて、公知のウレタン化触媒(例えば、上記アミン類)、上記有機金属化合物、上記カリウム塩など)を配合してもよい。なお、ウレタン化触媒の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
次いで、この方法では、ウレタン化反応により得られる反応液に、アロファネート化触媒を配合し、ヘキサメチレンジイソシアネートとアルコールとの反応生成物を、アロファネート化反応させる。
アロファネート化触媒としては、例えば、オクチル酸ビスマスなどの有機カルボン酸ビスマス塩、例えば、オクチル酸鉛などの有機カルボン酸鉛塩などが挙げられる。
これらアロファネート化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
アロファネート化触媒として、好ましくは、有機カルボン酸鉛塩が挙げられ、より好ましくは、オクチル酸鉛が挙げられる。
アロファネート化触媒の添加割合は、ヘキサメチレンジイソシアネート100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.002質量部以上、より好ましくは、0.01質量部以上であり、例えば、0.3質量部以下、好ましくは、0.05質量部以下、より好ましくは、0.03質量部以下である。
アロファネート化反応の反応条件としては、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、常圧(大気圧)下、反応温度が、0℃以上、好ましくは、20℃以上であり、例えば、160℃以下、好ましくは、120℃以下である。また、反応時間が、例えば、30分以上、好ましくは、60分以上であり、例えば、1200分以下、好ましくは、600分以下である。
そして、上記のアロファネート化反応では、好ましくは、任意のタイミングで、触媒失活剤を添加し、反応を停止させる。触媒失活剤を添加するタイミングは、例えば、イソシアネート基の転化率目標値(例えば、1%以上、好ましくは、5%以上、例えば、20%以下)に到達した時点などである。
触媒失活剤としては、例えば、リン酸、モノクロロ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、オルトトルエンスルホン酸、ベンゾイルクロリド、p-トルエンスルホンアミド、o-トルエンスルホンアミドなどが挙げられる。触媒失活剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、触媒失活剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
これにより、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートを得ることができる。
また、上記のウレタン化反応およびアロファネート化反応では、必要により、上記の有機溶媒を、適宜の割合で配合することができる。
また、上記のウレタン化反応およびアロファネート化反応では、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、助触媒(例えば、有機亜リン酸エステルなど)などの公知の添加剤を添加することができる。
なお、添加剤を添加するタイミングは、特に制限されず、ウレタン化反応前のヘキサメチレンジイソシアネートに添加してもよく、また、ウレタン化反応および/またはアロファネート化反応中の反応液に添加してもよく、さらには、ウレタン化反応およびアロファネート化反応後の反応液に添加してもよい。
添加剤の添加割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
そして、この方法では、上記アロファネート化反応の終了後、必要に応じて、得られる反応混合液から、未反応のヘキサメチレンジイソシアネート(さらに、必要に応じて、触媒、反応溶媒および/または触媒失活剤など)を、例えば、薄膜蒸留(スミス蒸留)などの蒸留や、抽出などの公知の方法で除去する。
これにより、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートを含有するHDI組成物が得られる。
このような方法において、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレタン化反応およびアロファネート化反応では、反応条件によっては、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートに加え、その他のヘキサメチレンジイソシアネート誘導体(ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートを除く誘導体であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、ヘキサメチレンジイソシアネートのダイマー(ビウレットなど)など)が副生成物として得られる。
さらに、必要に応じて、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートとは別に、その他のヘキサメチレンジイソシアネート誘導体(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、ヘキサメチレンジイソシアネートのダイマー(ビウレットなど)など)を用意し、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートと、その他のヘキサメチレンジイソシアネート誘導体とを混合して、HDI組成物を調製することもできる。
換言すれば、HDI組成物は、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートと、その他のヘキサメチレンジイソシアネート誘導体とを含有することができる。
ポリイソシアネート組成物のハンドリング性、および、ポリウレタン樹脂(後述)の耐候性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートの割合は、HDI組成物の総量に対して、30質量%以上、好ましくは、35質量%以上、より好ましくは、38質量%以上であり、例えば、100質量%以下、好ましくは、99質量%以下、より好ましくは、98質量%以下である。
また、その他のヘキサメチレンジイソシアネート誘導体の割合が、HDI組成物の総量に対して、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、2質量%以上であり、例えば、70質量%以下、好ましくは、65質量%以下、より好ましくは、62質量%以下である。
とりわけ、ポリイソシアネート組成物のハンドリング性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートの割合は、HDI組成物の総量に対して、好ましくは、60質量%以上、より好ましくは、70質量%以上、さらに好ましくは、80質量%以上、とりわけ好ましくは、90質量%以上であり、好ましくは、99質量%以下、より好ましくは、98質量%以下、さらに好ましくは、97質量%以下、とりわけ好ましくは、96質量%以下である。
また、ポリイソシアネート組成物のハンドリング性の観点から、その他のヘキサメチレンジイソシアネート誘導体の割合が、HDI組成物の総量に対して、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、2質量%以上、さらに好ましくは、3質量%以上、とりわけ好ましくは、4質量%以上であり、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、30質量%以下、さらに好ましくは、20質量%以下、とりわけ好ましくは、10質量%以下である。
一方、ポリウレタン樹脂(後述)の耐候性の観点からは、HDI組成物は、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートと、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートとを含有する。
このような場合、ポリウレタン樹脂(後述)の耐候性の観点から、ポリイソシアネート組成物のハンドリング性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートの割合は、HDI組成物の総量に対して、好ましくは、35質量%以上、より好ましくは、38質量%以上、さらに好ましくは、40質量%以上、とりわけ好ましくは、42質量%以上であり、好ましくは、60質量%未満、より好ましくは、55質量%以下、さらに好ましくは、50質量%以下、とりわけ好ましくは、48質量%以下である。
また、ポリウレタン樹脂(後述)の耐候性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートの割合が、HDI組成物の総量に対して、好ましくは、40質量%を超過し、より好ましくは、45質量%以上、さらに好ましくは、50質量%以上、とりわけ好ましくは、52質量%以上であり、好ましくは、65質量%以下、より好ましくは、62質量%以下、さらに好ましくは、60質量%以下、とりわけ好ましくは、58質量%以下である。
HDI組成物において、イソシアネート基濃度(固形分100質量%)は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、18質量%以上であり、例えば、45質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。
また、HDI組成物のイソシアネートモノマー濃度(未反応のヘキサメチレンジイソシアネートの濃度)は、例えば、5質量%以下、好ましくは、2質量%以下、さらに好ましくは、1質量%以下である。
また、HDI組成物には、必要により、上記した有機溶媒を適宜の割合で添加して、固形分濃度を調整することができる。
HDI組成物の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、100質量%以下である。
また、このようなHDI組成物は、市販品として入手することもできる。そのような市販品としては、例えば、商品名タケネートD-177N(ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート46質量%、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート54質量%、固形分濃度100質量%、三井化学製)、商品名タケネートD-178NL(ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート96質量%、ヘキサメチレンジイソシアネートのダイマー4質量%、固形分濃度100質量%、三井化学製)などが挙げられる。これらHDI組成物の市販品は、単独使用または2種類以上併用することができる。なお、HDI組成物の市販品が2種類以上併用される場合、その併用割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
そして、ポリイソシアネート組成物は、XDI組成物とHDI組成物とを、公知の方法で配合および混合することにより、得ることができる。
このようなポリイソシアネート組成物において、XDI組成物(固形分)の割合は、ポリウレタン樹脂(後述)の耐熱密着性および耐溶剤性と、ポリイソシアネート組成物のハンドリング性との両立を図る観点から、XDI組成物(固形分)とHDI組成物(固形分)との総量に対して、80質量%以上、好ましくは、85質量%以上であり、95質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。また、HDI組成物(固形分)の割合は、XDI組成物(固形分)とHDI組成物(固形分)との総量に対して、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。
このようなポリイソシアネート組成物は、ハンドリング性に優れるため、ポリウレタン樹脂の生産性に優れ、また、得られるポリウレタン樹脂は、優れた耐熱密着性および耐溶剤性を備えることができる。
そのため、上記ポリイソシアネート組成物は、ポリウレタン樹脂の製造において、好適に用いられる。
なお、ポリウレタン樹脂を製造する場合においては、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、例えば、可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、触媒、さらには、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤などを、適宜の割合で配合することができる。これら添加剤は、ポリウレタン樹脂の原料成分の合成時に添加してもよく、あるいは、原料成分の混合時に添加してもよく、さらには、原料成分の混合物に添加してもよい。
ポリウレタン樹脂の形態としては、特に制限されないが、好ましくは、2液硬化型ポリウレタンが挙げられる。換言すれば、上記ポリイソシアネート成分は、2液硬化型ポリウレタンの硬化剤として、好適に用いられる。
2液硬化型ポリウレタンは、硬化剤と主剤とがそれぞれ独立したパッケージとして調製され、それらが使用時に配合されることによりポリウレタン樹脂(硬化塗膜など)を形成する樹脂組成物である。
このような2液硬化型ポリウレタンにおける硬化剤として、好ましくは、上記したポリイソシアネート組成物が用いられる。
なお、ポリイソシアネート組成物は、必要により上記した有機溶媒などに溶解され、硬化剤として調製される。
2液硬化型ポリウレタンの主剤は、例えば、ポリオール成分を含有する。ポリオール成分としては、低分子量ポリオールおよび高分子量ポリオールが挙げられる。
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量300未満、好ましくは、400未満の化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,2-トリメチルペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、アルカン(C7~20)ジオール、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3-または1,4-シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量300以上、好ましくは、400以上、さらに好ましくは、500以上の化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなど)、ポリエステルポリオール(例えば、アジピン酸系ポリエステルポリオール、フタル酸系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールなど)、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどをポリイソシアネートによりウレタン変性したポリオール)、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
これらポリオール成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリオール成分として、好ましくは、高分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、アクリルポリオールが挙げられる。
なお、ポリオール成分は、必要により上記した有機溶媒などに溶解され、主剤として調製される。
そして、2液硬化型ポリウレタンは、硬化剤および主剤を使用時に配合し、混合撹拌することにより、塗料(2液硬化型塗料)、接着剤(2液硬化型接着剤)などとして好適に用いられる。
より具体的には、まず、上記主剤と上記硬化剤とをそれぞれ用意し、使用直前に主剤と硬化剤とを混合して、2液硬化型ポリウレタン樹脂(塗料、接着剤)を調製し、その2液硬化型ポリウレタン樹脂を、被塗物または被着物に塗布する。
主剤および硬化剤の配合割合は、例えば、主剤(ポリオール成分)中の水酸基に対する、硬化剤(ポリイソシアネート組成物)中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)として、例えば、0.5~1.5、好ましくは、0.8~1.2となる割合である。
そして、主剤および硬化剤の混合物は、例えば、スプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法、ロールコート法、フローコート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ダイレクトコート法などの任意の方法により、被着体に塗布される。
被着物としては、特に制限されず、例えば、各種建材および各種積層フィルムが挙げられる。より具体的には、プラスチックフィルム、金属箔、金属蒸着フィルムなどの包装材料、FRP、鋼材などの土木材料などが挙げられる。
そして、主剤および硬化剤の混合物が乾燥および硬化することにより、ポリウレタン樹脂(硬化塗膜、接着層など)が得られる。
このような2液硬化型ポリウレタン樹脂は、本発明のポリイソシアネート組成物を用いて製造されるため、生産性よく得られ、また、耐熱密着性および耐溶剤性に優れる。
そのため、上記の2液硬化型ポリウレタンおよびポリイソシアネート組成物は、各種産業分野において、好適に用いられる。
具体的には、上記の2液硬化型ポリウレタン樹脂およびポリイソシアネート組成物は、例えば、塗料、接着剤などにおいて、好適に用いることができる。
より具体的には、塗料としては、例えば、プラスチック用塗料、自動車外装用塗料、自動車内装用塗料、電気・電子材料用塗料、光学材料(レンズなど)用塗料、建材用塗料、ガラスコート塗料、木工塗料、フィルムコーティング塗料、インキ塗料、人工皮革用塗料(コート剤)、缶用塗料(コート剤)などが挙げられる。
上記プラスチック塗料としては、例えば、筐体(携帯電話、スマートフォン、パソコン、タブレットなど)用塗料、自動車部品(自動車内装材やヘッドランプなど)用塗料、家庭用電化製品用塗料、ロボット材料用塗料、家具用塗料、文具用塗料、アイウエア材料(レンズなど)用塗料、スポーツ部材(ゴルフボールなど)用塗料、バンド(時計バンドなど)用塗料、電子機器の光学レンズ用塗料(表面コート剤)などが、挙げられる。
また、上記自動車外装用塗料としては、例えば、新車向け塗料、自動車補修用塗料、外装部品(アルミニウムホイール、バンパーなど)用塗料などが挙げられる。
また、上記フィルムコーティング塗料としては、例えば、光学用部材(光学フィルム、光学シートなど)用塗料、光学用コーティング材料、繊維用塗料、電子電機材料用塗料、食品パッケージ用塗料、医療フィルム用塗料、化粧品パッケージ用塗料、加飾フィルム用塗料、離形フィルム用塗料などが挙げられる。
また、接着剤としては、工業用接着剤、包装用接着剤、ホットメルト接着剤などが挙げられ、より具体的には、例えば、食品包装用接着剤、家庭用詰め替え包材用接着剤、電気機器用接着剤、液晶ディスプレイ(LCD)用接着剤、ELディスプレイ用接着剤、EL照明用接着剤、表示装置(電子ペーパーやプラズマディスプレイなど)用接着剤、自動車用接着剤、家電用接着剤、太陽電池バックシート用接着剤、各種電池(リチウムイオン電池など)用接着剤、湿気硬化型接着剤などが挙げられる。
さらに、上記の2液硬化型ポリウレタンおよびポリイソシアネート組成物は、例えば、粘着剤、オーバープリントニス(OPニス)、インキ、シーラント、バインダー樹脂などにおいて、用いることができる。
また、上記のポリイソシアネート組成物は、2液硬化型ポリウレタンに限定されず、各種産業分野におけるポリウレタン樹脂の原料成分(イソシアネート成分)として用いることができる。
そのようなポリウレタン樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)、熱硬化性ポリウレタン樹脂、粘着剤、水性樹脂、光学用樹脂(レンズなど)、活性エネルギー硬化性樹脂、フォーム用樹脂(軟質フォーム、硬質フォームなど)各種マイクロカプセル、プラスチックレンズ、人工および合成皮革、RIM成形品、スラッシュパウダー、弾性成形品(スパンデックス)、柔軟ゲル、ロボット材料、モビリティー材料、ヘルスケア材料、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の基材樹脂などが挙げられる。
次に、本発明を、製造例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
また、各製造例および各準備例で採用される測定方法を下記する。
<XDI組成物中のイソシアヌレートおよびアロファネートの割合>
キシリレンジイソシアネート組成物(XDI組成物)に含まれるキシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート(XDIイソシアヌレート)と、キシリレンジイソシアネートのアロファネート(XDIアロファネート)との割合を、以下の方法で測定した。
すなわち、サンプルを約0.03g採取し、テトラヒドロフラン10mLを添加して溶解させた。そして得られた溶液を、以下の条件でGPC測定した。
(1)分析装置 : HLC-8320GPC(東ソー社製)
(2)検出器 : 示差屈折検出器
(3)溶離液 : Tetrahydrofuran
(4)分離カラム : TSKgel G3000HXL(300×7.8mm)+ TSKgel G2000HXL(300×7.8mm)+ TSKgel G1000HXL(300×7.8mm) 4本を直列に連結
メーカー ; 東ソー株式会社
(5)測定温度 : 40℃
(6)流速 : 0.8mL/min
(7)サンプル注入量 : 100μL
・システム補正
(1)標準物質名 : TSK標準ポリエチレンオキシド(東ソー社製)
(2)検量線作成方法 : 分子量の異なるTOSOH社製 TSK標準ポリエチレンオキシドを用い、リテンションタイムと分子量のグラフを作成。
(3)注入量、注入速度 : 100μL、 3mg/mL。
そして、得られたクロマトグラム(チャート)において、保持時間19.40分から25.45分の間をピークトップとするピークの面積と、保持時間26.45分から27.13分の間をピークトップとするピークの面積との合計面積の、全ピークの面積に対する面積割合(面積率)を、XDIイソシアヌレートの含有割合とした。
また、保持時間25.65分から26.25分の間をピークトップとするピークの面積の、全ピークの面積に対する面積割合(面積率)を、XDIアロファネートの含有割合とした。
そして、これら面積率の比から、XDI組成物中のイソシアヌレートおよびアロファネートの割合を求めた。
<HDI組成物中のイソシアヌレートおよびアロファネートの割合>
ヘキサメチレンジイソシアネート組成物(HDI組成物)に含まれるヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート(HDIイソシアヌレート)と、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート(HDIアロファネート)との割合を、以下の方法で測定した。
すなわち、サンプルを約0.03g採取し、テトラヒドロフラン10mLを添加して溶解させた。そして得られた溶液を、上記の条件でGPC測定した。
そして、得られたクロマトグラム(チャート)において、保持時間21.91分から25.79分の間をピークトップとするピークの面積と、保持時間26.73分から27.49分の間をピークトップとするピークの面積との合計面積の、全ピークの面積に対する面積割合(面積率)を、HDIイソシアヌレートの含有割合とした。
また、保持時間25.99分から26.53分の間をピークトップとするピークの面積と、保持時間27.69分から29.45分の間をピークトップとするピークの面積との合計面積の、全ピークの面積に対する面積割合(面積率)を、HDIアロファネートの含有割合とした。
そして、これら面積率の比から、HDI組成物中のイソシアヌレートおよびアロファネートの割合を求めた。
製造例1(XDI組成物(1))
温度計、撹拌装置、冷却管、窒素導入管が装置された反応器に、窒素雰囲気下、XDI100質量部と、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、商品名:イルガノックス1076、チバ・ジャパン社製)0.02質量部とを、60℃~65℃において混合した。
次いで、その混合物に、1,3-ブタンジオール2質量部を、70℃~75℃において添加して混合し、ウレタン化反応させた。
次いで、得られたウレタン反応液に、テトラブチルアンモニウムのハイドロオキサイド(イソシアヌレート化触媒、TBAOH(37%メタノール溶液))のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液(固形分濃度3.7質量%)を添加した。
なお、添加量は、TBAOH(37%メタノール溶液)が0.11質量部(有効成分として0.04質量部)となるように、調整した。
次い、ウレタン反応液を混合しながら、70℃~75℃において、転化率が31%に到達するまで、XDIをイソシアヌレート化反応させた。
次いで、得られたイソシアヌレート反応液に、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA、触媒失活剤)のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液(有効成分濃度50質量%)を添加し、イソシアヌレート化反応を停止させた。
なお、添加量は、DDBSAが0.05質量部(DDBSAの添加割合が、イソシアヌレート反応液に対して500ppm)となるように、調整した。
次いで、得られたイソシアヌレート反応液を、さらに、70~75℃で30分撹拌した。
次いで、得られたイソシアヌレート反応液を薄膜蒸留(圧力:~60PaA、温度:160℃、フィード量:5g/分)して、XDIイソシアヌレートを含有するXDI組成物(1)を得た。
なお、得られたXDI組成物(1)の固形分総量に対して、XDIイソシアヌレート含有量は、93質量%であり、XDIアロファネート含有量は、7質量%であった。
製造例2(XDI組成物(2))
1,3-ブタンジオールを配合しなかった以外は、製造例1と同じ方法で、XDIイソシアヌレートを含有するXDI組成物(2)を得た。
なお、得られたXDI組成物(2)の固形分総量に対して、XDIイソシアヌレート含有量は、100質量%であり、XDIアロファネート含有量は、0質量%であった。
準備例1(HDI組成物(1))
HDI組成物(1)として、市販のタケネートD-178NL(商品名、HDIアロファネート96質量%、HDIダイマー4質量%、固形分濃度100質量%、三井化学製)を準備した。
準備例2(HDI組成物(2))
HDI組成物(2)として、市販のタケネートD-177N(商品名、HDIアロファネート46質量%、HDIイソシアヌレート54質量%、固形分濃度100質量%、三井化学製)を準備した。
準備例3(HDI組成物(3))
市販のタケネートD-178NL(商品名、HDIアロファネート96質量%、HDIダイマー4質量%、固形分濃度100質量%、三井化学製)100質量部と、市販のタケネートD-177N(商品名、HDIアロファネート46質量%、HDIイソシアヌレート54質量%、固形分濃度100質量%、三井化学製)257質量部とを混合し、HDI組成物(3)を調整した。
HDI組成物(3)の固形分総量に対して、HDIアロファネート含有量は60質量%、HDIイソシアヌレート含有量は40質量%であった。
準備例4(HDI組成物(4))
HDI組成物(4)として、市販のタケネートD-170N(商品名、HDIアロファネート25質量%、HDIイソシアヌレート75質量%、固形分濃度100質量%、三井化学製)を準備した。
実施例1~9および比較例1~7(ポリイソシアネート組成物およびポリウレタン樹脂)
表1~表2に示す処方に従って、XDI組成物とHDI組成物とを混合し、ポリイソシアネート組成物を調製した。このポリイソシアネート組成物を、硬化剤とした。
また、主剤として、市販のアクリルポリオール(商品名オレスターQ166、水酸基価30mgKOH/g、固形分濃度50質量%、三井化学製)を準備した。
そして、硬化剤と主剤とを、主剤中の活性水素基(水酸基、メルカプト基、アミノ基)に対する硬化剤中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が1.0となる比率で混合し、さらに、混合有機溶媒(酢酸エチル:酢酸ブチル:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=1:1:1(質量比))を添加して、固形分を50質量%に調整し、23℃で5分間撹拌した。その後、10分間超音波処理により脱泡した。
その後、得られた混合液を4milアプリケーターにて、各評価(後述)に応じた基材に塗工し、80℃で30分加熱した後、23℃湿度55%の恒温室で7日間養生した。
これにより、ポリウレタン樹脂の硬化膜を得た。
<評価>
1.耐熱密着性(耐熱密着保持率)
JIS K5600-5-6(1999年)に準拠し、クロスカット法にて密着保持率を評価した。なお、密着保持率は、JIS分類および10×10(100)の碁盤目の残数で評価した。また、基材は鋼板(SPCC、PBN-144処理)とした。
そして、密着保持率について、耐熱試験(110℃14日間)前後でそれぞれ評価し、密着保持率の維持率[(耐熱試験後の密着保持率(%)/耐熱試験前の密着保持率(%))×100]を、下記基準で評価した。
◎:維持率90%以上100%以下
〇:維持率80%以上90%未満
△:維持率50%以上80%未満
×:維持率50%未満
2.耐溶剤性
硬化膜について、メチルエチルケトン(MEK)に浸した脱脂綿にて荷重500gでラビング試験し、基材が露出するまでの往復回数を測定し、以下の基準で評価した。なお、基材は鋼板(SPCC、PBN-144処理)とした。
◎:200回以上
〇:150回以上180回未満
△:50回以上150回未満
×:50回未満
3.ハンドリング性
硬化剤の80℃における粘度を、温度可変型コーンプレート式粘度計(コーンプレート粘度計:東亜工業、CV-1S)にて測定し、以下の基準で評価した。なお、コーンは、100ポイズコーン(角度:2°、直径:14.5mm)を用いた。
◎:5,500mPa・s以下
〇:5,500mPa・s以上8,000mPa・s未満
△:8,000mPa・s以上10,000mPa・s未満
×:10,000mPa・s以上
4.耐候性
促進耐候試験機(スガ試験機 紫外線蛍光灯ウェザーメーター FUV)によって、硬化膜を耐候試験した。具体的には、60℃10%RH条件下で照度28W/m24時間照射と、50℃95%RH条件下で4時間暗黒結露状態とを、繰り返した。
そして、1000時間後のΔE値(経時黄変度)を、色差計(日本電色工業社製 SE2000)により測定し、以下の基準で評価した。なお、基材はPMMA(ポリメタクリル酸メチル)とした。
◎:ΔE2未満
〇:ΔE2以上3未満
△:ΔE3以上5未満
×:ΔE5以上