JP2016189724A - パン生地および可塑性油脂組成物 - Google Patents

パン生地および可塑性油脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】経時的な口溶けの低下が改善されたパンが得られるパン生地並びに、好ましくは焼成後時間が経過しても口溶けとソフトさを兼ね備えたパンが得られるパン生地。及び、その様なパンを容易に作製する為の安価な可塑性油脂組成物の提供。
【解決手段】構成脂肪酸としてC12〜22の脂肪酸からなる脂肪酸AとC1〜10の脂肪酸からなる脂肪酸Bを1:2のモル比で含むABB型トリグリセリドと、構成脂肪酸として脂肪酸Aと脂肪酸Bを2:1のモル比で含むAAB型トリグリセリドと、を含み、前記ABB型トリグリセリドの含量/前記AAB型トリグリセリドの含量(重量比)が0.02〜2.0であり、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対する前記ABB型トリグリセリドの含量が0.003〜4.8重量部であり、更に乳化剤、アミラーゼを含有する可塑性油脂組成物を含有するパン生地及びパン。
【選択図】なし

Description

本発明は、パン生地、および、パン生地に添加できる可塑性油脂組成物に関する。
パンは、焼成直後は柔らかく口溶けも良好であるが、経日的に硬くなり、口溶けが悪化していく。この現象は老化と呼ばれている。パンの老化を防止するため、従来、パン生地に乳化剤や酵素等の素材を添加することが知られている。
一方、特定の脂肪酸組成を有するトリグリセリドからなる油脂組成物が、チョコレートのファットブルーム抑制効果(特許文献1)や、油脂の硬さ変化や粗大結晶の生成の抑制効果(特許文献2)を有することが知られているが、これらの技術はパンの老化に対応するものではない。
特許文献3には、特定の脂肪酸組成を有するトリグリセリドからなる油脂組成物がパンの膨化度及び食感を改良する旨が記載されており、そのような油脂組成物の具体例として、実施例では、MCTと菜種油とのエステル交換油が記載されている。
特開平5−184295号公報 国際公開第10/119781号 特開2013−48577号公報
乳化剤や酵素といった従来の添加物は、パンの硬さへの対応に主眼が置かれており、パンのソフトさを重視するあまり、しばしばパンの歯切れや経時的な口溶けがより悪化するという問題があった。このため、これら従来の添加物をパン生地に添加しても、経時的な口溶けの低下を改善することは困難であった。
また、特許文献3では、油脂の構成脂肪酸として炭素数6〜10の飽和脂肪酸を特定量含有する油脂組成物をパン生地に添加することが記載されているが、その具体例として記載されているMCTと菜種油とのエステル交換油は、経時的口溶け低下の改善が十分でないことが判明した。
本発明の目的は、経時的な口溶けの低下が改善されたパンが得られるパン生地を提供することであり、好ましくは焼成後時間が経過しても口溶けとソフトさを兼ね備えたパンが得られるパン生地を提供することである。また、そのようなパンを容易に作製する為にパン生地に添加できる可塑性油脂組成物を安価に提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の脂肪酸組成を有する2種類のトリグリセリドを含有したパン生地を焼成してなるパンは従来のパンよりも経時的口溶け低下の改善が大きいこと、前記パン生地にアミラーゼ及び/又は乳化剤をさらに添加することでパンの口溶けとソフトさを両立させることができること、さらには、そのようなパンを容易に作製する為の可塑性油脂組成物を安価に提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、構成脂肪酸として脂肪酸Aと脂肪酸Bを1:2のモル比で含むABB型トリグリセリド、及び、
構成脂肪酸として脂肪酸Aと脂肪酸Bを2:1のモル比で含むAAB型トリグリセリド、を含み、
前記ABB型トリグリセリドの含量/前記AAB型トリグリセリドの含量(重量比)が0.02〜2.0であり、
パン生地に含まれる穀粉100重量部に対する前記ABB型トリグリセリドの含量が0.003〜4.8重量部であり、
モノグリセリド、有機酸が結合したモノグリセリド誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、及びステアロイル乳酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を含有しないか、又は、前記穀粉100重量部に対して2.2重量部以下含有し、
α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、及びグルコアミラーゼからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミラーゼを含有しないか、又は、前記穀粉100g当たり160U以下含有する、パン生地である。
脂肪酸A:炭素数12〜22の飽和脂肪酸および炭素数12〜22の不飽和脂肪酸から選択される少なくとも1種。ただし、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A全体中、前記飽和脂肪酸が50〜100重量%を占める。
脂肪酸B:炭素数4〜10の脂肪酸から選択される少なくとも1種。
好ましくは、前記パン生地は、前記アミラーゼを、前記穀粉100g当たり1.4〜155U含有する。
好ましくは、前記パン生地は、前記乳化剤を、前記穀粉100重量部に対して0.04〜2.2重量部含有する。
本発明の第二は、前記パン生地を焼成してなるパンである。
本発明の第三は、構成脂肪酸として脂肪酸Aと脂肪酸Bを1:2のモル比で含むABB型トリグリセリド、及び、
構成脂肪酸として脂肪酸Aと脂肪酸Bを2:1のモル比で含むAAB型トリグリセリド、を含み、
前記ABB型トリグリセリドの含量/前記AAB型トリグリセリドの含量(重量比)が0.02〜2.0であり、
可塑性油脂組成物全体に対する前記ABB型トリグリセリドの含量が0.05〜50重量%である、可塑性油脂組成物である。
脂肪酸A:炭素数12〜22の飽和脂肪酸および炭素数12〜22の不飽和脂肪酸から選択される少なくとも1種。ただし、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A全体中、前記飽和脂肪酸が50〜100重量%を占める。
脂肪酸B:炭素数4〜10の脂肪酸から選択される少なくとも1種。
好ましくは、前記可塑性油脂組成物は、さらに、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、及びグルコアミラーゼからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミラーゼを、前記可塑性油脂組成物100g当たり25〜2500U含有する。
好ましくは、前記可塑性油脂組成物は、さらに、モノグリセリド、有機酸が結合したモノグリセリド誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、及びステアロイル乳酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を、前記可塑性油脂組成物全体に対して1〜20重量%含有する。
本発明によれば、パン生地に油脂を添加する場合において、経時的な口溶けの低下が改善されたパンが得られるパン生地を提供することができる。好ましくは、焼成後時間が経過しても口溶けとソフトさとを兼ね備えたパンが得られるパン生地を提供することができる。また、そのようなパンを容易に作製する為にパン生地に添加できる可塑性油脂組成物を安価に提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明のパン生地とは、小麦粉などの穀粉を始めとする原材料を混合した原料混合物を捏ね上げたものであって、まだ焼成していないものを意味し、該パン生地を焼成することで、パンを得ることができる。ここで穀粉とは、小麦、大麦、ライ麦、とうもろこし、米、そばなどの穀物の粉である。
前記パンとは、例えば、食パン、あんパンやクリームパン等の菓子パン、クロワッサン等のデニッシュペストリー、ロールパン、フランスパン等の堅焼きパン、バラエティブレッド、サンドイッチ等の調理パン、蒸しパンまたはそれらの二次加工品、或いはレンジ調理を必要とするもの等、いかなるパンでもよい。
本発明のパン生地は、トリグリセリドとして、ABB型トリグリセリド及びAAB型トリグリセリドを含む。ここで、トリグリセリドとは、1分子のグリセリンに3分子の構成脂肪酸が結合して形成されたトリアシルグリセロールをいう。
本願で使用するAAB型トリグリセリドは、1分子のグリセリンに対して結合している3分子の構成脂肪酸が、2分子の脂肪酸A、及び、1分子の脂肪酸Bから構成されるトリグリセリドである。
一方、ABB型トリグリセリドは、1分子のグリセリンに対して結合している3分子の構成脂肪酸が、1分子の脂肪酸A、及び、2分子の脂肪酸Bから構成されるトリグリセリドである。
ここで、脂肪酸Aは、炭素数12〜22の飽和脂肪酸及び炭素数12〜22の不飽和脂肪酸からなる群より選択される少なくとも1種である。脂肪酸Aは、前記群より選択される1種類の脂肪酸のみからなるものであってもよいし、前記群より選択される2種類以上の脂肪酸からなるものであってもよい。ただし、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドを構成する脂肪酸A全体を100重量%とした時に、脂肪酸A全体中、炭素数12〜22の飽和脂肪酸が50〜100重量%を占める。好ましくは、60〜100重量%であり、より好ましくは、80〜100重量%である。脂肪酸A全体に対する飽和脂肪酸の含量が50重量%より少ないと、得られるパンの経時的口溶け低下の改善が十分でない場合がある。
脂肪酸Bは、炭素数4〜10の脂肪酸から選択される少なくとも1種である。炭素数4〜10の脂肪酸は飽和であってもよいし、不飽和であってもよい。脂肪酸Bは、炭素数4の脂肪酸を含むことが好ましい。AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリド中の脂肪酸Bに炭素数4の脂肪酸が含まれることで、経時的口溶け低下の改善を大きく高めることができる。
前記ABB型トリグリセリドの含有量は、パン生地中の穀粉100重量部に対して0.003〜4.8重量部であり、好ましくは0.01〜4.8重量部、より好ましくは0.1〜4.8重量部である。ABB型トリグリセリドの含有量が0.003重量部より少ないと、得られるパンの経時的口溶け低下の改善が十分でない場合がある。また4.8重量部より多いと、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドを含む油脂組成物を作製するために蒸留や分別といった高コストの操作が必要となり、結果、本発明のパン生地を安価に作製できない場合がある。
本発明のパン生地においては、前記ABB型トリグリセリドの含量/前記AAB型トリグリセリドの含量(重量比)が0.02〜2.0であり、好ましくは0.06〜2.0、より好ましくは0.08〜1.8である。ABB型トリグリセリドの含量/AAB型トリグリセリドの含量(重量比)が0.02より小さいと、得られるパンの経時的口溶け低下の改善が十分でない場合がある。また2.0より大きいと、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドを含む油脂組成物を作製するために蒸留や分別といった高コストの操作が必要となり、結果、本発明のパン生地を安価に作製できない場合がある。
本発明のパン生地は、さらに、前記ABB型トリグリセリド及び前記AAB型トリグリセリド以外のトリグリセリド、例えば、AAA型トリグリセリド(構成脂肪酸がすべて脂肪酸Aであるトリグリセリド)や、BBB型トリグリセリド(構成脂肪酸がすべて脂肪酸Bであるトリグリセリド)、炭素数24以上の長鎖脂肪酸を構成脂肪酸として含むトリグリセリド等を含有していてもよい。
本発明のパンにおいて口溶けとソフトさを両立させるためには、パン生地中にα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、及びグルコアミラーゼからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミラーゼを含むことが好ましい。前記アミラーゼとしては、市販のアミラーゼ剤を使用できる。α−アミラーゼとしては、例えば天野エンザイム株式会社のアミラーゼAD「アマノ」、新日本化学工業株式会社の「スミチームAS」、ノボザイムズジャパン株式会社の「ファンガミル」、「ノバミル」等が挙げられる。β−アミラーゼとしては、例えば天野エンザイム株式会社の「ビオザイムM」等を挙げることができる。グルコアミラーゼとしては、例えば天野エンザイム株式会社の「グルクザイムAF6」、ノボザイムズジャパン株式会社の「AMG」が挙げられる。
前記アミラーゼは、パン生地中の含有量が多いほどソフトさは向上するが、経時的な口溶けは悪化する傾向にある。従って、前記パン生地中のアミラーゼの含有量は、穀粉100g当たり160U以下であり、好ましくは1.4〜155U、より好ましくは1.5〜150U、特に好ましくは2.0〜120U、最も好ましくは7.0〜60Uである。アミラーゼの含有量が160Uより多いと、得られるパンの経時的口溶け低下の改善が十分でない場合がある。しかし、本発明のパン生地はアミラーゼを含有していなくともよい。
前記アミラーゼのアミラーゼ活性は、例えば日本工業規格の工業用アミラーゼ(JIS K7001−1972)欄に記載の測定法に従って測定することができる。当該測定方法は、アミラーゼ活性をデンプン糖化力で示す方法であり、1単位のデンプン糖化力活性は、40℃、10分間の反応条件下で1分間に1mgのグルコースに相当する還元糖を生成する酵素量を表す。従って、上記した穀粉に対するアミラーゼの添加量(U)は、各アミラーゼ(酵素)の比活性(U/g)と添加量(g)の積である。
さらに、本発明のパンにおいて口溶けとソフトさを両立させるためには、パン生地中に乳化剤を含むことが好ましい。乳化剤としては、モノグリセリド、有機酸が結合したモノグリセリド誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウムなどが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
なお、前記有機酸が結合したモノグリセリド誘導体とは、脂肪酸モノグリセリドにさらに有機酸がエステル結合したモノグリセリドのことである。構成脂肪酸である前記脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸などの飽和脂肪酸が挙げられる。前記有機酸としては、例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、ジアセチル酒石酸、コハク酸が挙げられる。
前記乳化剤は、パン生地中の含有量が多いほどソフトさは向上するが、経時的な口溶けは悪化する傾向にある。従ってパン生地中の乳化剤の含有量は、穀粉100重量部に対して2.2重量部以下であり、好ましくは0.04〜2.2重量部、より好ましくは0.05〜2.0重量部、特に好ましくは0.1〜1.5重量部、最も好ましくは0.2〜1.5重量部である。乳化剤の含有量が2.2重量部よりも多いと、得られるパンの経時的口溶け低下の改善が十分でない場合がある。しかし、本発明のパン生地は乳化剤を含有していなくともよい。本発明のパン生地は、アミラーゼと乳化剤のいずれも含有していなくともよいし、いずれかを含有していてもよいし、双方を含有していてもよい。
本発明のパン生地の製造は、例えば以下のような方法に従えば良い。即ち、ストレート法、ノータイム法、中種法等の常法に従って、小麦粉、ショートニング等の可塑性油脂組成物、可塑性油脂組成物以外の油脂組成物、アミラーゼ、乳化剤やその他の原材料全てを所定量添加したパン生地用混合物を捏ね上げてパン生地を得る。ここで、本発明のパン生地におけるABB型トリグリセリド及びAAB型トリグリセリドは、上述した可塑性油脂組成物及びこれ以外の油脂組成物によってパン生地に添加される。可塑性油脂組成物及びこれ以外の油脂組成物に含まれるABB型トリグリセリド及びAAB型トリグリセリドを予め調節しておくことで、所定のABB型トリグリセリド及びAAB型トリグリセリドをパン生地に含ませることができる。得られたパン生地は、常法に従って焼成すれば、パンは容易に得られる。
本発明の可塑性油脂組成物は、上述したように、本発明のパン生地を作製するためにパン生地の原材料の1つとして使用することができる。可塑性油脂組成物とは、油相部と水相部とからなる乳化液、または油脂のみを急冷捏和して得られるものである。可塑性油脂組成物の具体的な態様としては、例えば、マーガリン、ファットスプレッド及びショートニング等が挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物は、トリグリセリドとして、ABB型トリグリセリド及びAAB型トリグリセリドを含む。ここで、ABB型トリグリセリド及びAAB型トリグリセリドは、前述したものと同じである。
前記可塑性油脂組成物中の前記ABB型トリグリセリドの含有量は、可塑性油脂組成物全体中0.05〜50重量%であり、好ましくは0.15〜50重量%、より好ましくは1.5〜50重量%である。ABB型トリグリセリドの含有量が0.05重量%より少ないと、得られるパンの経時的口溶け低下の改善が十分でない場合があり、50重量%より多いと、可塑性油脂組成物の作製に蒸留や分別といった高コストの操作が必要となり、安価に作製できない場合がある。
本発明の可塑性油脂組成物においては、前記ABB型トリグリセリドの含量/AAB型トリグリセリドの含量(重量比)は0.02〜2.0であり、好ましくは0.06〜2.0、より好ましくは0.08〜1.8である。ABB型トリグリセリドの含量/AAB型トリグリセリドの含量(重量比)が0.02より小さいと、得られるパンの経時的口溶け低下の改善が十分でない場合があり、2.0より大きいと、可塑性油脂組成物の作製に蒸留や分別といった高コストの操作が必要となり、安価に作製できない場合がある。
本発明の可塑性油脂組成物は、さらに、前記ABB型トリグリセリド及び前記AAB型トリグリセリド以外のトリグリセリド、例えば、AAA型トリグリセリドや、BBB型トリグリセリド、炭素数24以上の長鎖脂肪酸を構成脂肪酸として含むトリグリセリド等を含有していてもよい。
本発明の可塑性油脂組成物を用いたパンにおいて口溶けとソフトさを両立させるために、前記可塑性油脂組成物中にアミラーゼを含むことが好ましい。前記可塑性油脂組成物中のアミラーゼも、前述したものと同じである。
前記可塑性油脂組成物中には、アミラーゼを可塑性油脂組成物100g当たり好ましくは25〜2500U、より好ましくは30〜1800U、さらに好ましくは100〜900U含有する。アミラーゼの含有量が25Uより少ないと、得られるパンのソフトさが十分でない場合がある。2500Uより多いと、得られるパンの経時的口溶け低下の改善が十分でない場合がある。なお、上記した油脂組成物に対するアミラーゼの含有量(U)は、各アミラーゼ(酵素)の比活性(U/g)と添加量(g)の積である。
さらに、本発明の可塑性油脂組成物を用いたパンにおいて口溶けとソフトさを両立させるために、本発明の可塑性油脂組成物中には、乳化剤を含むことが好ましい。該乳化剤としては、前述したものと同じである。前記乳化剤の含有量は、可塑性油脂組成物全体中1〜20重量%が好ましく、より好ましくは2〜15重量%、さらに好ましくは4〜15重量%である。乳化剤の含有量が1重量%よりも少ないと、得られるパンのソフトさが十分でない場合がある。また20重量%よりも多いと、得られるパンの経時的口溶け低下の改善が十分でない場合がある。
本発明の可塑性油脂組成物には、トリグリセリド以外に、水が含まれてもよい。含水量は特に限定されず、常法によるが、例えば、可塑性油脂組成物全体に対して0〜30重量%程度である。
本発明の可塑性油脂組成物は、例えば次のように製造することができる。まず所定量のABB型トリグリセリド及びAAB型トリグリセリドを含んだ油脂組成物に、必要に応じて油溶性乳化剤や他の油溶性成分を溶解させて油相部を調製する。別途、水に、必要に応じて水溶性乳化剤や糖類、糖アルコール類、その他水溶性成分を溶解させて水相部を調製する。次いで、攪拌しながら前記油相部に前記水相部を投入して油中水型乳化液を調製する。
そして必要に応じて殺菌工程を経てから、必要に応じてアミラーゼ等の酵素を添加し、この乳化液を、例えば急冷捏和装置にて、捏和しながら60℃程度から10℃程度まで急冷し、本発明の可塑性油脂組成物を得ることができる。
本発明の可塑性油脂組成物がショートニングである場合は、常法に従い、溶解させた油脂に必要に応じて他の原材料を含有させ、それを捏和しながら60℃程度から10℃程度まで急冷することで得ることができる。また、ガスを含有させてもよい。
本発明の可塑性油脂組成物をパン生地に添加する場合、その添加量は特に限定されないが、例えば、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して2〜40重量部程度である。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<脂肪酸組成の測定>
製造例で得られた油脂組成物、並びに、実施例及び比較例で使用したショートニングにおける脂肪酸A及び脂肪酸B中の各脂肪酸含量は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法暫11−2003及び暫15−2003」に記載されたメチルエステル化法及びガスクロマトグラフ法に準拠して測定した。
<トリグリセリド組成の測定>
製造例で得られた油脂組成物、並びに、実施例及び比較例で使用したショートニングにおけるABB型トリグリセリド量及びAAB型トリグリセリド量は、「Journal of American Oil Chemists Society, 64, 100−105 1987」に記載された方法に準拠して測定した。
<口溶けの評価>
実施例及び比較例で得た食パン又はロールパンを20℃で4日間保管した後に、熟練した10名のパネラーによって、以下の基準により実施し、それらの平均点を評価値とした。
5点:極めて口溶けが良好である。
4点:非常に口溶けが良好である。
3点:口溶けが良好である。
2点:やや口溶けが悪い。
1点:口溶けが悪い。
<安価さの評価>
パン生地の作製に用いた油脂組成物の安価さを以下の基準に従い評価を行った。
○:油脂組成物の作製において、原料油脂の蒸留や分別操作が必要でない。
×:油脂組成物の作製において、原料油脂の蒸留や分別操作が必要である。
<ソフトさの評価>
実施例及び比較例で得た食パン又はロールパンを20℃で4日間保管した後に、食パンは厚さ20mmで50mm角に、ロールパンは厚さ20mmで30mm角に6検体ずつ切り出した後、クリープメータ(山電社製「レオナー」、型番:RE2−3305S)を用いて、テクスチャーモードにて、ロードセル:20N、プランジャー:平板型(破断面60mm×60mm)、測定速度:5m/sec、圧縮率50%の条件で測定される最大荷重(N)の平均値で評価した。数値が小さい程柔らかな食感であることを表す。
<食パンの評価>
5点:最大荷重が5.0N未満で、ソフトさが極めて良好である。
4点:最大荷重が5.0以上且つ5.5N未満で、ソフトさが非常に良好である。
3点:最大荷重が5.5以上且つ7.0N未満で、ソフトさが良好である。
2点:最大荷重が7.0以上且つ8.0N未満で、ソフトさがやや悪い。
1点:最大荷重が8.0N以上で、ソフトさが悪い。
<ロールパンの評価>
5点:最大荷重が3.0N未満で、ソフトさが極めて良好である。
4点:最大荷重が3.0以上且つ3.5N未満で、ソフトさが非常に良好である。
3点:最大荷重が3.5以上且つ4.5N未満で、ソフトさが良好である。
2点:最大荷重が4.5以上且つ5.0N未満で、ソフトさがやや悪い。
1点:最大荷重が5.0N以上で、ソフトさが悪い。
<総合評価>
口溶け、ソフトさ及び安価さを総合的に判断して、以下の基準に従い総合評価を行った。Aが最も評価が高く、Eが最も評価が低い。
A:安価さの評価が○であり、口溶けの評価が3.0点よりも高く、且つソフトさの評価が3点以上である。
B:安価さの評価が○であり、口溶けの評価が2.5点以上で、3.0点以下であり、且つソフトさの評価が3点以上である。
C:安価さの評価が○であり、口溶けの評価が2.5点以上で、且つソフトさの評価が3点未満である。
D:安価さの評価が○であり、口溶けの評価が1.0点以上で、且つ2.5点未満である。
E:安価さの評価が×である。
(製造例1) 油脂組成物1の作製
菜種極度硬化油(カネカ社製)50重量部及びMCT(理研ビタミン社製「アクターM2」)50重量部を混合し、90℃、真空下で脱水を行った。次に、ナトリウムメチラート0.2重量部を加え、90℃、真空下で30分間ランダムエステル交換反応を行い、水を加えて反応停止した後、水洗した。次に、白土2重量部を加え、減圧下で攪拌して20分後に全量ろ過し、130℃で1時間脱臭して油脂組成物1(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=46.0(重量部)/27.6(重量部)=1.67、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:100重量%、炭素数18の脂肪酸が脂肪酸A全体の92重量%を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
なお、ABB型トリグリセリド及びAAB型トリグリセリドにおける各部数は、油脂組成物1全体を100重量部とした時の数値である。以下同様。
(製造例2) 油脂組成物2の作製
菜種極度硬化油量を69重量部、MCT量を31重量部に変えた以外は、製造例1と同様にして油脂組成物2(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=35.1(重量部)/46.4(重量部)=0.76、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:100重量%、炭素数18の脂肪酸が脂肪酸A全体の92重量%を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(製造例3) 油脂組成物3の作製
油脂組成物1:100重量部に対してヘキサン:200重量部を加えて5℃〜10℃で分別を行い、析出した結晶をろ過により分離した。得られた結晶からヘキサンを完全に除去して油脂組成物3(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=31.5(重量部)/50.0(重量部)=0.63、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:100重量%、炭素数18の脂肪酸が脂肪酸A全体の93重量%を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(製造例4) 油脂組成物4の作製
菜種極度硬化油量を30重量部、MCT量を70重量部に変え、製造例1と同様にして油脂組成物を得た後、薄膜蒸留(220℃、0.3Pa)を行い油脂組成物4−aを得た。
また、油脂組成物1:100重量部に対してヘキサン:200重量部を加えて20℃で分別を行い、析出した結晶をろ過により分離した。得られた結晶からヘキサンを完全に除去し油脂組成物4−bを得た。
さらに、油脂組成物4−aと油脂組成物4−bを1:1(重量比)で混合し油脂組成物4(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=48.2(重量部)/20.4(重量部)=2.36、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:100重量%、炭素数18の脂肪酸が脂肪酸A全体の92重量%を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(製造例5) 油脂組成物5の作製
油脂組成物1:100重量部に対してヘキサン:200重量部を加えて0℃で分別を行い、析出した結晶をろ過により分離した。得られた結晶からヘキサンを完全に除去し油脂組成物5−aを得た。
さらに、油脂組成物4−aと油脂組成物5−aを1:1(重量比)で混合し油脂組成物5(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=50.7(重量部)/31.6(重量部)=1.60、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:100重量%、炭素数18の脂肪酸が脂肪酸A全体の93重量%を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(製造例6) 油脂組成物6の作製
菜種極度硬化油50重量部及びMCT50重量部を、トリラウリン(東京化成社製)60重量部及びMCT40重量部に変えた以外は、製造例1と同様にして油脂組成物6(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=32.6(重量部)/41.9(重量部)=0.78、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:100重量%、炭素数12の脂肪酸が脂肪酸A全体の100重量%を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(製造例7) 油脂組成物7の作製
菜種極度硬化油50重量部及びMCT50重量部を、ハイエルシン菜種極度硬化油(カネカ社製)73重量部及びMCT27重量部に変えた以外は、製造例1と同様にして油脂組成物7(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=33.2(重量部)/41.8(重量部)=0.79、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:100重量%、炭素数22の脂肪酸が脂肪酸A全体の45重量%を占め、これが最大量を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(製造例8) 油脂組成物8の作製
菜種極度硬化油50重量部及びMCT50重量部を、トリラウリン(東京化成社製)75重量部及びトリブチリン(東京化成社製)25重量部に変えた以外は、製造例1と同様にして油脂組成物8(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=33.0(重量部)/42.0(重量部)=0.79、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:100重量%、炭素数12の脂肪酸が脂肪酸A全体の100重量%を占める。炭素数4の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(製造例9) 油脂組成物9の作製
菜種極度硬化油50重量部及びMCT50重量部を、ハイエルシン菜種極度硬化油85重量部及びトリブチリン(東京化成社製)15重量部に変えた以外は、製造例1と同様にして油脂組成物9(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=30.9(重量部)/44.1(重量部)=0.70、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:100重量%、炭素数22の脂肪酸が脂肪酸A全体の45重量%を占め、これが最大量を占める。炭素数4の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(製造例10)油脂組成物10の作製
菜種極度硬化油50重量部及びMCT50重量部を、トリオレイン(関東化学社製)69重量部及びMCT31重量部に変えた以外は、製造例1と同様にして油脂組成物10(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=38.8(重量部)/46.4(重量部)=0.84、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:0重量%、炭素数18の脂肪酸が脂肪酸A全体の100重量%を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(製造例11) 油脂組成物11の作製
油脂組成物2と油脂組成物10を50:50(重量比)で混合し、油脂組成物11(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=37.0(重量部)/46.4(重量部)=0.80、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:50重量%、炭素数18の脂肪酸が脂肪酸A全体の96重量%を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(製造例12)油脂組成物12の作製
油脂組成物2と油脂組成物10を45:55(重量比)で混合し、油脂組成物12(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=37.1(重量部)/46.4(重量部)=0.80、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:45重量%、炭素数18の脂肪酸が脂肪酸A全体の96重量%を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(製造例13)油脂組成物13の作製
菜種極度硬化油50重量部及びMCT50重量部を、菜種油(カネカ社製)86重量部及びMCT14重量部に変えた以外は、製造例1と同様にして油脂組成物13(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=9.30(重量部)/38.6(重量部)=0.24、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:7重量%、炭素数18の脂肪酸が脂肪酸A全体の93重量%を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(製造例14)可塑性油脂組成物1の作製
菜種極度硬化油量を56.5重量部、MCT量を43.5重量部に変えた以外は製造例1と同様にして油脂組成物14(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=42.4(重量部)/32.0(重量部)=1.33、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:100重量%、炭素数18の脂肪酸が脂肪酸A全体の92重量%を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
油脂組成物14:60重量部、豚脂(カネカ社製)25重量部、菜種油10重量部、ハイエルシン菜種極度硬化油5重量部を融解混合し、油相部を調製した。攪拌しながら、前記油相部90重量部に対して水10重量部を加えて乳化させ、急冷捏和装置にて急冷捏和して可塑性油脂組成物1(ABB型トリグリセリド/AAB型トリグリセリド=23.0(重量部)/17.3(重量部)=1.33、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:100重量%、炭素数18の脂肪酸が脂肪酸A全体の92重量%を占める。炭素数8の脂肪酸が脂肪酸B全体の100重量%を占める。)を得た。
(実施例1) 食パンの作製
表1に示す配合に従い、強力粉、イースト、イーストフード及び水をミキサーボウルに投入し、低速で3分間、中速で2分間混合した生地を28℃、相対湿度85%の恒温槽で4時間、中種発酵を行い、中種生地を得た。該中種生地と、強力粉、上白糖、食塩、脱脂粉乳及び水をミキサーボウルに投入し、低速で3分間、中速で5分間、高速で1分間混合した。さらにショートニング1(カネカ社製「カネカショートOF」、AAB型トリグリセリド含量:0重量%、ABB型トリグリセリド含量:0重量%)、及び油脂組成物1を投入して、低速で3分間、中速で4分間混合し、食パン生地を得た。捏ね上げ温度は27℃であった。
作製した食パン生地を、フロアタイムを25分間とった後、230gずつ6つに分割した。その後ベンチタイムを20分間取り、さらにモルダーで成形し、3斤型角食型に入れ、38℃、相対湿度85%の恒温槽で、生地が型の上端から2cm下に到達するまでホイロをとった後、195℃の固定窯に入れて36分間焼成し、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表1に評価結果を示した。
(実施例2) 食パンの作製
表1に示す配合に従い、ショートニング1に代えて、ショートニング2(カネカ社製「エバーライトG」、AAB型トリグリセリド含量:4.2重量%、ABB型トリグリセリド含量:0重量%、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量:55重量%)を6.0重量部使用し、油脂組成物1に代えて油脂組成物2を0.02重量部使用した以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表1に評価結果を示した。
(実施例3) 食パンの作製
表1に示す配合に従い、ショートニング1の量を6.0重量部に変更し、油脂組成物1の量を0.01重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表1に評価結果を示した。
(比較例1) 食パンの作製
表1に示す配合に従い、ショートニング1に代えてショートニング2を6.0重量部使用し、油脂組成物1に代えて油脂組成物3を0.01重量部使用した以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表1に評価結果を示した。
(比較例2) 食パンの作製
表1に示す配合に従い、油脂組成物1を油脂組成物4に代えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表1に評価結果を示した。
(比較例3) 食パンの作製
表1に示す配合に従い、ショートニング1の量を6.0重量部に変更し、油脂組成物1の量を0.005重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表1に評価結果を示した。
Figure 2016189724
実施例2と比較例1より、パン生地においてABB型トリグリセリド含量/AAB型トリグリセリド含量(重量比)を0.02以上とすれば食パンの経時的口溶け低下の改善が大きいことが分かる。実施例1と比較例2より、ABB型トリグリセリド含量/AAB型トリグリセリド含量(重量比)が2.0より大きいと、食パンの経時的口溶け低下の改善は大きいが、食パン生地を安価に作製できないことが分かる。実施例3と比較例3より、パン生地において穀粉100重量部に対するABB型トリグリセリド量を0.003重量部以上とすることで食パンの経時的口溶け低下の改善が大きいことが分かる。
(実施例4) ロールパンの作製
表2に示す配合に従い、強力粉、イースト、イーストフード、上白糖、全卵及び水をミキサーボウルに投入し、低速で3分間、中速で2分間混合した生地を28℃、相対湿度85%の恒温槽で2時間30分、中種発酵を行い、中種生地を得た。該中種生地と、強力粉、上白糖、食塩、脱脂粉乳及び水をミキサーボウルに投入し、低速で2分間、中速で5分間混合した。さらにショートニング1及び油脂組成物1を投入して、低速で2分間、中速で4分間、高速で1分間混合し、ロールパン生地を得た。捏ね上げ温度は27℃であった。
作製したロールパン生地を、フロアタイムを30分間とった後、70gずつ分割した。その後ベンチタイムを20分間取り、さらにモルダーで成形し、天板に並べて38℃、相対湿度85%の恒温槽で60分間ホイロをとった後、205℃のリールオーブンに入れて10分間焼成し、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表2に評価結果を示した。
(実施例5) ロールパンの作製
表2に示す配合に従い、ショートニング1に代えてショートニング2を10.0重量部使用し、油脂組成物1に代えて油脂組成物2を0.04重量部使用した以外は、実施例4と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表2に評価結果を示した。
(実施例6) ロールパンの作製
表2に示す配合に従い、ショートニングを入れずに、油脂組成物1の量を10.0重量部に変更した以外は、実施例4と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表2に評価結果を示した。
(実施例7) ロールパンの作製
表2に示す配合に従い、ショートニングを入れずに、油脂組成物1に代えて可塑性油脂組成物1を10.0重量部使用した以外は、実施例4と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表2に評価結果を示した。
(比較例4) ロールパンの作製
表2に示す配合に従い、ショートニング1に代えてショートニング2を10.0重量部使用し、油脂組成物1に代えて油脂組成物3を0.015重量部使用した以外は、実施例4と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表2に評価結果を示した。
(比較例5) ロールパンの作製
表2に示す配合に従い、油脂組成物1を油脂組成物4に代えた以外は、実施例4と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表2に評価結果を示した。
(比較例6) ロールパンの作製
表2に示す配合に従い、ショートニングを入れずに、油脂組成物1に代えて油脂組成物5を10.0重量部使用した以外は、実施例4と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表2に評価結果を示した。
Figure 2016189724
実施例5と比較例4より、パン生地においてABB型トリグリセリド含量/AAB型トリグリセリド含量(重量比)を0.02以上とすればロールパンの経時的口溶け低下の改善が大きいことが分かる。実施例4と比較例5より、ABB型トリグリセリド含量/AAB型トリグリセリド含量(重量比)が2.0より大きいと、ロールパンの経時的口溶け低下の改善は大きいが、ロールパン生地を安価に作製できないことが分かる。実施例6と比較例6より、パン生地において穀粉100重量部に対するABB型トリグリセリド量を4.8重量部より多くすると、ロールパンの経時的口溶け低下の改善は大きいが、ロールパン生地を安価に作製できないことが分かる。
(実施例8) 食パンの作製
表3に示す配合に従い、油脂組成物1を油脂組成物2に代えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表3に評価結果を示した。
(実施例9) 食パンの作製
表3に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物6に代えた以外は、実施例8と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表3に評価結果を示した。
(実施例10) 食パンの作製
表3に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物7に代えた以外は、実施例8と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表3に評価結果を示した。
(実施例11) 食パンの作製
表3に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物8に代えた以外は、実施例8と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表3に評価結果を示した。
(実施例12) 食パンの作製
表3に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物9に代えた以外は、実施例8と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表3に評価結果を示した。
(実施例13) 食パンの作製
表3に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物11に代えた以外は、実施例8と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表3に評価結果を示した。
(比較例7) 食パンの作製
表3に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物12に代えた以外は、実施例8と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表3に評価結果を示した。
(比較例8) 食パンの作製
表3に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物10に代えた以外は、実施例8と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表3に評価結果を示した。
Figure 2016189724
実施例8及び13と比較例7及び8より、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量が減るほど食パンの経時的な口溶けが悪化するものの、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量が50重量%以上であれば、食パンの経時的口溶け低下の改善が大きいことが分かる。また、実施例8、9及び10より、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸Aの炭素数が12〜22の範囲内にあれば、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸Aの鎖長の長短に関わらず、食パンの経時的口溶け低下の改善が大きいことが分かる。さらに、実施例11及び12より、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸Bに炭素数4の脂肪酸が多く含まれると、食パンの経時的口溶け低下の改善を大きく高めることが分かる。
(実施例14) ロールパンの作製
表4に示す配合に従い、油脂組成物1を油脂組成物2に代えた以外は、実施例4と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表4に評価結果を示した。
(実施例15) ロールパンの作製
表4に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物6に代えた以外は、実施例14と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表4に評価結果を示した。
(実施例16) ロールパンの作製
表4に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物7に代えた以外は、実施例14と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表4に評価結果を示した。
(実施例17) ロールパンの作製
表4に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物8に代えた以外は、実施例14と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表4に評価結果を示した。
(実施例18) ロールパンの作製
表4に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物9に代えた以外は、実施例14と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表4に評価結果を示した。
(実施例19) ロールパンの作製
表4に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物11に代えた以外は、実施例14と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表4に評価結果を示した。
(比較例9) ロールパンの作製
表4に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物12に代えた以外は、実施例14と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表4に評価結果を示した。
(比較例10) ロールパンの作製
表4に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物10に代えた以外は、実施例14と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表4に評価結果を示した。
(比較例11) ロールパンの作製
表4に示す配合に従い、油脂組成物2を油脂組成物13に代えた以外は、実施例14と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの評価を行い、表4に評価結果を示した。なお、この比較例は、特許文献3の実施例で記載されている油脂組成物相当のものである。
Figure 2016189724
実施例14及び19と比較例9及び10より、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量が減るほどロールパンの経時的な口溶けが悪化するものの、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A中の飽和脂肪酸量が50重量%以上であれば、ロールパンの経時的口溶け低下の改善は大きいことが分かる。また、実施例14、15及び16より、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸Aの炭素数が12〜22の範囲内にあれば、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸Aの鎖長の長短に関わらず、ロールパンの経時的口溶け低下の改善が大きいことが分かる。さらに、実施例17及び18より、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸Bに炭素数4の脂肪酸が多く含まれると、ロールパンの経時的口溶け低下の改善を大きく高めることが分かる。
(実施例20) 食パンの作製
表5に示す配合に従い、α−アミラーゼ(新日本化学社製「スミチームAS」)を穀粉100g当たり1.5U加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表5に評価結果を示した。
(実施例21) 食パンの作製
表5に示す配合に従い、α−アミラーゼを穀粉100g当たり7.5U加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表5に評価結果を示した。
(実施例22) 食パンの作製
表5に示す配合に従い、α−アミラーゼを穀粉100g当たり30U加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表5に評価結果を示した。
(実施例23) 食パンの作製
表5に示す配合に従い、α−アミラーゼを穀粉100g当たり120U加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表5に評価結果を示した。
(実施例24) 食パンの作製
表5に示す配合に従い、α−アミラーゼを穀粉100g当たり150U加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表5に評価結果を示した。
(実施例25) 食パンの作製
表5に示す配合に従い、α−アミラーゼを穀粉100g当たり0.75U加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表5に評価結果を示した。
(比較例12) 食パンの作製
表5に示す配合に従い、α−アミラーゼを穀粉100g当たり180U加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表5に評価結果を示した。
Figure 2016189724
実施例1及び20〜25と比較例12より、穀粉100gあたりのアミラーゼ活性が増加するほど食パンのソフトさは増すが、食パンの経時的な口溶けは悪化する傾向にあることが分かる。特に、穀粉100gあたりのアミラーゼ活性が160U以下であれば食パンの口溶け及びソフトさが両立できることが分かる。
(実施例26) 食パンの作製
表6に示す配合に従い、乳化剤(理研ビタミン社製「エマルジーMS」)を0.05重量部加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表6に評価結果を示した。
(実施例27) 食パンの作製
表6に示す配合に従い、乳化剤を0.2重量部加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表6に評価結果を示した。
(実施例28) 食パンの作製
表6に示す配合に従い、乳化剤を1.0重量部加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表6に評価結果を示した。
(実施例29) 食パンの作製
表6に示す配合に従い、乳化剤を1.5重量部加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表6に評価結果を示した。
(実施例30) 食パンの作製
表6に示す配合に従い、乳化剤を2.0重量部加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表6に評価結果を示した。
(実施例31) 食パンの作製
表6に示す配合に従い、乳化剤を0.03重量部加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表6に評価結果を示した。
(比較例13) 食パンの作製
表6に示す配合に従い、乳化剤を2.5重量部加えた以外は、実施例1と同様にして、プルマン型食パンを得た。得られた食パンの評価を行い、表6に評価結果を示した。
Figure 2016189724
実施例1及び26〜31と比較例13より、乳化剤の量が増加するほど食パンのソフトさは増すが、食パンの経時的な口溶けは悪化することが分かる。特に、乳化剤量が穀粉100重量部に対して2.2重量部以下であればロールパンの口溶け及びソフトさが両立できることが分かる。

Claims (7)

  1. 構成脂肪酸として脂肪酸Aと脂肪酸Bを1:2のモル比で含むABB型トリグリセリド、及び、
    構成脂肪酸として脂肪酸Aと脂肪酸Bを2:1のモル比で含むAAB型トリグリセリド、を含み、
    前記ABB型トリグリセリドの含量/前記AAB型トリグリセリドの含量(重量比)が0.02〜2.0であり、
    パン生地に含まれる穀粉100重量部に対する前記ABB型トリグリセリドの含量が0.003〜4.8重量部であり、
    モノグリセリド、有機酸が結合したモノグリセリド誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、及びステアロイル乳酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を含有しないか、又は、前記穀粉100重量部に対して2.2重量部以下含有し、
    α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、及びグルコアミラーゼからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミラーゼを含有しないか、又は、前記穀粉100g当たり160U以下含有する、パン生地。
    脂肪酸A:炭素数12〜22の飽和脂肪酸および炭素数12〜22の不飽和脂肪酸から選択される少なくとも1種。ただし、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A全体中、前記飽和脂肪酸が50〜100重量%を占める。
    脂肪酸B:炭素数4〜10の脂肪酸から選択される少なくとも1種。
  2. 前記アミラーゼを、前記穀粉100g当たり1.4〜155U含有する請求項1に記載のパン生地。
  3. 前記乳化剤を、前記穀粉100重量部に対して0.04〜2.2重量部含有する請求項1又は請求項2に記載のパン生地。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のパン生地を焼成してなるパン。
  5. 構成脂肪酸として脂肪酸Aと脂肪酸Bを1:2のモル比で含むABB型トリグリセリド、及び、
    構成脂肪酸として脂肪酸Aと脂肪酸Bを2:1のモル比で含むAAB型トリグリセリド、を含み、
    前記ABB型トリグリセリドの含量/前記AAB型トリグリセリドの含量(重量比)が0.02〜2.0であり、
    可塑性油脂組成物全体に対する前記ABB型トリグリセリドの含量が0.05〜50重量%である、可塑性油脂組成物。
    脂肪酸A:炭素数12〜22の飽和脂肪酸および炭素数12〜22の不飽和脂肪酸から選択される少なくとも1種。ただし、AAB型トリグリセリド及びABB型トリグリセリドにおける脂肪酸A全体中、前記飽和脂肪酸が50〜100重量%を占める。
    脂肪酸B:炭素数4〜10の脂肪酸から選択される少なくとも1種。
  6. さらに、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、及びグルコアミラーゼからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミラーゼを、前記可塑性油脂組成物100g当たり25〜2500U含有する請求項5に記載の可塑性油脂組成物。
  7. さらに、モノグリセリド、有機酸が結合したモノグリセリド誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、及びステアロイル乳酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を、前記可塑性油脂組成物全体に対して1〜20重量%含有する請求項5又は請求項6に記載の可塑性油脂組成物。
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