JP2016183167A - 環状ホスファチジン酸ナトリウムの製造方法及び組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
(1) 有機溶媒及び/又は水を含む系においてリゾ型リン脂質(但し、水素添加物を除く)にホスホリパーゼDを作用させて得られる反応物に、ナトリウム塩を添加した後、反応物から溶媒を除去することを含む環状ホスファチジン酸ナトリウムの製造方法。
(2) ナトリウム塩が塩化ナトリウムである、(1)に記載の環状ホスファチジン酸ナトリウムの製造方法。
(3) 有機溶媒及び/又は水を含む系においてリゾ型リン脂質にホスホリパーゼDを作用させて得られる反応物に、キレート剤の存在下においてナトリウム塩を添加する、(1)又は(2)に記載の環状ホスファチジン酸ナトリウムの製造方法。
(5) リゾ型リン脂質が大豆由来リン脂質あるいは卵黄由来リン脂質あるいはトウモロコシ由来リン脂質にホスホリパーゼA2を作用させて得られたリゾ型リン脂質である、(1)から(4)の何れか1項に記載の環状ホスファチジン酸ナトリウムの製造方法。
(6) リゾ型リン脂質が大豆由来リン脂質あるいは卵黄由来リン脂質あるいはトウモロコシ由来リン脂質にホスホリパーゼA2を作用させて得られた反応物から、リゾ型リン脂質を単離精製することなく有機溶媒及び/又は水を含む系に溶解し、ホスフォリパーゼDを作用させる、(1)から(5)の何れか1項に記載の環状ホスファチジン酸ナトリウムの製造方法。
(8) (1)から(6)の何れか1項に記載の環状ホスファチジン酸ナトリウムの製造方法により得られる、1mg/mL以上の環状ホスファチジン酸ナトリウムを含有する溶液。
(9) 環状ホスファチジン酸ナトリウムを含有する溶液が、水溶液である、(8)に記載の溶液。
本発明は、有機溶媒及び/又は水を含む系においてリゾ型リン脂質(但し、水素添加物を除く)にホスホリパーゼDを作用させて得られる反応物に、塩化ナトリウムを添加した後、反応物から溶媒を除去することを特徴とする。
大豆リン脂質(レシチン含量:70%)(水素未添加物)10gを0.3M塩化カルシウムを含有する100mLの1M酢酸バッファー(pH6.5)で溶解させた後、6000単位のストレプトマイセス属由来のホスホリパーゼA2を添加し、40℃で18時間攪拌して反応させた。反応液をpH2.5に調整して酵素を失活させた後、100mLのクロロホルム、50mLのメタノールを添加して十分攪拌混合し脂質成分を抽出した。クロロホルム層を集め、ロータリーエバポレータで減圧乾固させた。固形分に100mLのアセトンを加えリン脂質を沈殿させ遊離脂肪酸を除去した。沈殿物5gを40mLのクロロホルムに溶解させ、1M酢酸バッファー(pH5.5)10mLを加え、更に1500単位のアクチノマジュラ属由来のホスホリパーゼDを添加して40℃で18時間攪拌しながら反応を行った。反応液に20mLの3M塩化ナトリウム、20mLの0.1M EDTA溶液を添加して40℃で1時間攪拌を行った。更に20mLのメタノールを添加して十分攪拌した後、3000回転、5分間遠心分離してクロロホルム層を集めた。この溶液をロータリーエバポレータで減圧乾固させ環状ホスファチジン酸ナトリウム塩3.8gを得た。収率はレシチン含量70%(10g中7g)から環状ホスファチジン酸Naを3.8gを得たので54.3%であった。環状ホスファチジン酸ナトリウム塩の純度分析は、シリカゲルプレートを用い、クロロホルム:メタノール:酢酸:5%二亜硫酸ナトリウム(100:40:12:5、V/V)で展開後、5%酢酸銅:8%燐酸:2%硫酸混合液に短時間浸漬し風乾後、180℃で約10分加熱した後、生成したスポットをスキャナー(アトー社製)法によって行った。即ち、標準品(97%純度品)をコントロールとして、薄層クロマトグラフのスポットをデンシトメーターにより測定し、面積比で定量した。上記工程で得られた生成物中環状ホスファチジン酸ナトリウム塩の純度は54%であった。
大豆リン脂質(レシチン含量:70%)(水素未添加物)10gを0.3M塩化カルシウムを含有する100mLの1M酢酸バッファー(pH6.5)で溶解させた後、6000単位のストレプトマイセス属由来のホスホリパーゼA2を添加し、40℃で18時間攪拌して反応させた。反応液をpH2.5に調整して酵素を失活させた後、100mLのクロロホルム、50mLのメタノールを添加して十分攪拌混合し脂質成分を抽出した。クロロホルム層を集め、ロータリーエバポレータで減圧乾固させた。固形分に100mLのアセトンを加えリン脂質を沈殿させ遊離脂肪酸を除去した。沈殿物5gを40mLのクロロホルムに溶解させ、1M酢酸バッファー(pH5.5)10mLを加え、更に1500単位のアクチノマジュラ属由来のホスホリパーゼDを添加して40℃で18時間攪拌しながら反応を行った。反応液に20mLの3M塩化ナトリウムを添加して40℃で1時間攪拌を行った。更に20mLのメタノールを添加して十分攪拌した後、3000回転、5分間遠心分離してクロロホルム層を集めた。この溶液をロータリーエバポレータで減圧乾固させ環状ホスファチジン酸ナトリウム塩3.7gを得た。収率はレシチン含量70%(10g中7g)から環状ホスファチジン酸Naを3.7gを得たので52.9%であった。環状ホスファチジン酸ナトリウム塩の純度分析は、実施例1記載の方法で行なった。本工程で得られた生成物中環状ホスファチジン酸ナトリウム塩の純度は53%であった。
実施例1で得られた環状ホスファチジン酸ナトリウム塩500mgを5mLの10%メタノールを含むクロロホルムに溶解させ、シリカゲルカラムにかけ、同一溶媒で展開、更に20%メタノールを含むクロロホルムで展開し、10mLの画分に分取した。実施例1に示したTLC法によって環状ホスファチジン酸ナトリウム塩を含有する画分を確認して集め、ロータリーエバポレータで減圧乾固させ環状ホスファチジン酸ナトリウム塩の粉末320mgを得た。本試料の環状ホスファチジン酸ナトリウム塩の純度は95%であった。
実施例1及び実施例2で得た環状ホスファチジン酸ナトリウム塩について、イオンクロマト法によってナトリウム含量を測定した。カラムはIonPac CS14(日本ダイオネクス社製)、移動相は10mMメタンスルホン酸水溶液を用い、流速1.0mL/分、カラム温度は30℃、注入量は10μLとし、検出は電気伝導度検出器で行なった。標準溶液は陽イオン混合標準液II(Li+ 0.5mg/L, Na+ 2mg/L, NH4 + 2mg/L, K+ 5mg/L, Ca2+ 5mg/L, Mg2+ 5mg/L)を用いた。カラム温度は30℃、注入量は10μLとした。分析の結果、環状ホスファチジン酸と等モルのナトリウムを検出したことから1ナトリウム塩であることがわかった。
実施例3で得られた高純度環状ホスファチジン酸ナトリウムの脂肪酸組成をガスクロマトグラム法により分析した。試料20mg/mLになるように塩酸メタノールに溶解し、65℃で30分間加温した。室温に戻した後、棟梁の水、次いで棟梁のヘキサンを加えて十分に攪拌混合した。3000回転、5分間遠心分離を行い、ヘキサン層2μLをキャピラリーカラムに注入し構成脂肪酸を分析した。分析は以下である。
脂肪酸 含量(%)
パルミチン酸 23.9
ステアリン酸 5.4
オレイン酸 8.6
リノール酸 53.4
リノレン酸 4.9
その他の脂肪酸 3.8
実施例1及び実施例2で得た環状ホスファチジン酸ナトリウムの1mg/mLの水溶液を調製し、660nmでの吸光度を測定した。実施例1で得た試料の吸光度は0.05、実施例2で得た試料の吸光度は0.15であった。実施例1で得た試料では、キレート剤を用いた製造方法で得た試料であることから、カルシウム塩が存在せずに透明になった。
実施例1に記載した大豆リン脂質の代わりに水素添加大豆リン脂質を用い、実施例1の記載と同様の操作により環状ホスファチジン酸ナトリウムを得た。この環状ホスファチジン酸ナトリウムの1mg/mLの水溶液を調製し、660nmでの吸光度を測定した。吸光度は0.33であった。
大豆リン脂質(レシチン含量:70%)(水素未添加物)10gを0.3M塩化カルシウムを含有する100mLの1M酢酸バッファー(pH6.5)に溶解させた後、6000単位のストレプトマイセス属由来のホスホリパーゼA2を添加し、40℃で18時間攪拌して反応させた。反応液をpH2.5に調整して酵素を失活させた後、pHを5.5に調整した。次いでこの反応液に1500単位のアクチノマジュラ属由来のホスホリパーゼDを添加して40℃で18時間攪拌しながら反応を行った。この反応液にヘキサン100mLを添加し室温で30分間攪拌抽出を行った。遠心分離によりヘキサン層を集め、これに10mMのEDTA、0.1M酢酸緩衝液pH6.5、0.5M塩化ナトリウムからなる水溶液50mLを加え室温で30分間攪拌した後、遠心分離によりヘキサン層を集め、ロータリーエバポレーターで濃縮させた。これにアセトン50mLを加え十分攪拌し遠心分離によりアセトン層を除去した。この操作を2回繰り返し遊離脂肪酸を除去した。アセトン不溶物を集め減圧乾燥して環状ホスファチジン酸ナトリウム3.6gを得た。
Claims (13)
- 有機溶媒及び/又は水を含む系においてリゾ型リン脂質(但し、水素添加物を除く)にホスホリパーゼDを作用させて得られる反応物に、ナトリウム塩を添加した後、反応物から溶媒を除去することを含む環状ホスファチジン酸ナトリウムの製造方法により得られる、40%以上の純度を有する環状ホスファチジン酸ナトリウム含有組成物。
- ナトリウム塩が塩化ナトリウムである、請求項1に記載の環状ホスファチジン酸ナトリウム含有組成物。
- 有機溶媒及び/又は水を含む系においてリゾ型リン脂質にホスホリパーゼDを作用させて得られる反応物に、キレート剤の存在下においてナトリウム塩を添加する、請求項1又は2に記載の環状ホスファチジン酸ナトリウム含有組成物。
- キレート剤がEDTAである、請求項3に記載の環状ホスファチジン酸ナトリウム含有組成物。
- リゾ型リン脂質が大豆由来リン脂質あるいは卵黄由来リン脂質あるいはトウモロコシ由来リン脂質にホスホリパーゼA2を作用させて得られたリゾ型リン脂質である、請求項1から4の何れか1項に記載の環状ホスファチジン酸ナトリウム含有組成物。
- リゾ型リン脂質が大豆由来リン脂質あるいは卵黄由来リン脂質あるいはトウモロコシ由来リン脂質にホスホリパーゼA2を作用させて得られた反応物から、リゾ型リン脂質を単離精製することなく有機溶媒及び/又は水を含む系に溶解し、ホスフォリパーゼDを作用させる、請求項1から5の何れか1項に記載の環状ホスファチジン酸ナトリウム含有組成物。
- 有機溶媒及び/又は水を含む系においてリゾ型リン脂質(但し、水素添加物を除く)にホスホリパーゼDを作用させて得られる反応物に、ナトリウム塩を添加した後、反応物から溶媒を除去することを含む環状ホスファチジン酸ナトリウムの製造方法により得られる、1mg/mL以上の環状ホスファチジン酸ナトリウムを含有する溶液。
- ナトリウム塩が塩化ナトリウムである、請求項7に記載の溶液。
- 有機溶媒及び/又は水を含む系においてリゾ型リン脂質にホスホリパーゼDを作用させて得られる反応物に、キレート剤の存在下においてナトリウム塩を添加する、請求項7又は8に記載の溶液。
- キレート剤がEDTAである、請求項9に記載の溶液。
- リゾ型リン脂質が大豆由来リン脂質あるいは卵黄由来リン脂質あるいはトウモロコシ由来リン脂質にホスホリパーゼA2を作用させて得られたリゾ型リン脂質である、請求項7から10の何れか1項に記載の溶液。
- リゾ型リン脂質が大豆由来リン脂質あるいは卵黄由来リン脂質あるいはトウモロコシ由来リン脂質にホスホリパーゼA2を作用させて得られた反応物から、リゾ型リン脂質を単離精製することなく有機溶媒及び/又は水を含む系に溶解し、ホスフォリパーゼDを作用させる、請求項7から11の何れか1項に記載の溶液。
- 環状ホスファチジン酸ナトリウムを含有する溶液が、水溶液である、請求項7から12の何れか1項に記載の溶液。
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