JPH11240829A - 澄明な脂肪乳剤およびその製造方法 - Google Patents

澄明な脂肪乳剤およびその製造方法

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JPH11240829A
JPH11240829A JP4085698A JP4085698A JPH11240829A JP H11240829 A JPH11240829 A JP H11240829A JP 4085698 A JP4085698 A JP 4085698A JP 4085698 A JP4085698 A JP 4085698A JP H11240829 A JPH11240829 A JP H11240829A
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fat emulsion
fat
oil
emulsifier
clear
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JP4085698A
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Takashi Arita
隆 有田
Yoshihide Nagasaka
義秀 長坂
Hidehiko Oshima
英彦 大島
Sumio Hama
澄男 濱
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】油脂を水中に乳化させた脂肪乳剤を他の薬液と
混合したときに澄明性を保持し、脂肪乳剤と薬液との配
合変化を目視により確認できる澄明性に優れた脂肪乳剤
およびその製造方法を提供する。 【構成】油脂を0.1〜50w/v%、乳化剤を0.1
〜25w/v%および溶解補助剤を1〜70w/v%を
含有した脂肪乳剤において、pHが6〜10であり、平
均粒径が100nm以下であり、吸収波長620nmで
水に対する吸光度が0.1以下であることを特徴とする
澄明な脂肪乳剤および油脂、乳化剤、溶解補助剤を前述
した割合で配合し、pHを6〜10に調整し、1500
kg/cm2以上の圧力で均質化処理を行うことを特徴
とする脂肪乳剤の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、澄明な脂肪乳剤お
よびその製造方法に関するものである。より詳細には、
油脂を水中に澄明に乳化させることにより、これを薬理
活性を有する物質、例えば、アミノ酸、ビタミンおよび
ミネラルなどの溶液(以下、薬液と称す)と混合しても
澄明性を保持でき、また、混合することによる配合変化
が起きた場合でも変化を目視により確認できる澄明な脂
肪乳剤およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】脂肪乳剤は乳化剤を用いて油脂を乳化し
た乳白色状の液体である。脂肪乳剤と前述した薬理活性
を有する物質の溶液を混合すると、通常、脂肪乳剤によ
り混合液は白濁し、脂肪乳剤と薬液とを混合することに
より起こる状態変化(配合変化)を目視により確認する
ことができなかった。
【0003】このように、油脂を水中に乳化させた脂肪
乳剤を薬液に配合しても澄明性を保持でき、配合変化が
起きた場合でも変化を目視により確認できる澄明な脂肪
乳剤の開発が望まれているが、これを可能にした脂肪乳
剤はなかった。
【0004】例えば、脂肪乳剤の平均粒径を小さくする
ことにより澄明性を高くすることができると考えられ
る.脂肪乳剤の平均粒径を小さくする技術としては,例
えば、平均粒径の小さな脂肪乳剤に関する特許として
は、平均粒径が40〜70nmである微粒子脂肪乳剤を
製造する方法(特許第2600726号公報)や塩化ナ
トリウムを乳化助剤として使用して平均粒径を10〜1
00nmにする脂肪乳剤の製法(特許第2616240
号公報)が知られている。しかしながら、前者の発明は
薬物の血中濃度の急激な低下現象を防止するためのもの
であり,後者の発明は薬物の血液中または適用部位から
病変組織への移行性を改善するためのものであり,いず
れも澄明な脂肪乳剤に関するものではない.また,脂肪
乳剤を有機酸またはその塩の存在下で薬液を混合する方
法(特開平5−32541公報)が開示されているが,
脂肪乳剤と薬液との混合により起こる脂肪乳剤の凝集を
軽減させるものであり,澄明な脂肪乳剤に関するもので
はない.このように,澄明な脂肪乳剤の調製は試みられ
ておらず,脂肪乳剤を薬液と混合しても澄明性を保持で
き、配合変化が起きた場合でも変化を目視により確認で
きる澄明に優れた脂肪乳剤を調製することが課題となっ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は澄明な
脂肪乳剤を提供することであり、さらに詳しくは、油脂
を水中に乳化させた脂肪乳剤を他の薬液と混合したとき
に澄明性を保持し、脂肪乳剤と薬液との配合変化を目視
により確認できる澄明性に優れた脂肪乳剤を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を鑑み鋭意研究した結果、特定の処方および方法によ
り油脂を乳化させれば澄明性に優れた脂肪乳剤が得ら
れ、この脂肪乳剤と他の薬液とを混合した薬液も澄明性
を保持し、脂肪乳剤と薬液との配合変化を目視により確
認できることを見い出し、この知見に基づき本発明を完
成するに至った。
【0007】上述した問題点および課題は、以下の澄明
な脂肪乳剤およびその製造方法により解決される。
【0008】(1)油脂を0.1〜50w/v%、乳化
剤を0.1〜25w/v%および溶解補助剤を1〜70
w/v%を含有した脂肪乳剤において、pHが6〜10
であり、平均粒径が100nm以下であり、吸収波長6
20nmで水に対する吸光度が0.1以下であることを
特徴とする澄明な脂肪乳剤。
【0009】(2)油脂:乳化剤:溶解補助剤のw/v
%比が0.1〜50:0.1〜25:1〜70である脂
肪乳剤において、pHが6〜10であり、平均粒径が1
00nm以下であり、吸収波長620nmで水に対する
吸光度が0.1以下であることを特徴とする澄明な脂肪
乳剤。
【0010】(3)前記乳化剤がリン脂質であり、前記
溶解補助剤が多価アルコールである(1)または(2)
の澄明な脂肪乳剤。
【0011】(4)前記油脂が中鎖脂肪酸トリグリセリ
ドまたは大豆油である(1)または(2)の澄明な脂肪
乳剤。
【0012】(5)前記リン脂質が卵黄リン脂質、水素
添加卵黄リン脂質、大豆リン脂質および水素添加大豆リ
ン脂質の中から選ばれる少なくとも1種であり、前記多
価アルコールがグリセリンである(3)の澄明な脂肪乳
剤。
【0013】(6)油脂を0.1〜50w/v%、乳化
剤を0.1〜25w/v%および溶解補助剤を1〜70
w/v%を配合し、pHを6〜10に調整し、1500
kg/cm2以上の圧力で均質化処理を行うことを特徴
とする脂肪乳剤の製造方法。
【0014】(7)前記油脂が中鎖脂肪酸トリグリセリ
ドまたは大豆油である(6)の澄明な脂肪乳剤。
【0015】(8)前記乳化剤がリン脂質であり、前記
溶解補助剤が多価アルコールである(6)記載の澄明な
脂肪乳剤の製造方法。
【0016】(9)前記リン脂質が卵黄リン脂質,水素
添加卵黄リン脂質,大豆リン脂質および水素添加大豆リ
ン脂質の中から選ばれる少なくとも1種であり、前記多
価アルコールがグリセリンである(8)の澄明な脂肪乳
剤の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の澄明な脂肪乳剤は、水、
乳化剤、溶解補助剤、および油脂を混合した際に油脂が
水に澄明に乳化したものである。また、この澄明な脂肪
乳剤は調製する際に薬理活性を有する物質(例えば、ア
ミノ酸、ビタミンおよびミネラル)を配合することもで
きる。
【0018】さらに驚くべきことは、本発明の澄明な脂
肪乳剤に薬理活性を有する物質を混合させても、長期間
澄明な状態を保持することである。
【0019】つまり、薬理活性を有する物質が水溶性の
場合は水に溶解した状態が持続し、脂溶性の場合は油脂
に溶解した状態が持続する。
【0020】以下に本発明を詳細に説明する。
【0021】脂肪乳剤とは、経静脈栄養で使用するエネ
ルギー源の補給あるいは必須脂肪酸補給のために使用す
るもので、基本的に油脂と乳化剤と水からなる。
【0022】油脂はエネルギー源あるいは栄養の役割を
果たし、乳化剤は油脂を安定に水中に乳化させるための
役割を果たす。
【0023】一般的に、油脂には大豆油に代表される植
物を原料とする油脂の他に動物、または微生物を原料と
する油脂が用いられ、乳化剤にはリン脂質、脂肪酸エス
テルなどが用いられる。
【0024】本発明をさらに詳細に説明する。
【0025】本発明の脂肪乳剤に用いる油脂は植物を原
料とする油脂(例えば、大豆油、綿実油、サフラワー
油、米油、コーン油、ナタネ油、パーム油、シソ油、エ
ゴマ油、カカオ脂、落花生油、ヤシ油、月見草油、ボラ
ージ油)や動物を原料とする油脂(例えば、豚脂、牛
脂、鶏油、鯨油、マグロ油、イワシ油、サバ油、サンマ
油、カツオ油、ニシン油、肝油)などが好ましい。さら
に、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成トリグリセリ
ドなども好適に用いることができる。
【0026】これらを単独で、または適宜組み合わせて
用いることもできる。
【0027】本発明の脂肪乳剤に用いる油脂の配合量は
0.1〜50w/v%が好ましい。
【0028】なぜなら、油脂の配合量が0.1w/v%
より少ないと、生理作用上の効果が期待できないし、5
0w/v%より多いと、容易に油脂を安定に乳化するこ
とができず好ましくないからである。
【0029】乳化剤とは脂肪乳剤の調製時の乳化性を向
上させる目的や脂肪乳剤を保存しているときの安定性を
向上させる目的で使用するものであり、本発明の脂肪乳
剤の澄明性を向上させる役割を担う。
【0030】本発明に用いる乳化剤は、卵黄リン脂質、
水素添加卵黄リン脂質、大豆リン脂質および水素添加大
豆リン脂質などの各種リン酸、あるいはセスキオレイン
酸ソルビタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ
油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオ
キシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエ
チレンヒマシ油、ポリオキシエチレン(160)ポリオ
キシプロピレン(30)グリコール、ポリソルベート8
0、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(2
0E.O.)などが好ましい。
【0031】これらを単独で、または適宜組み合わせて
用いることもできる。
【0032】本発明の脂肪乳剤に用いる乳化剤の配合量
は、0.1〜25w/v%が好ましい。
【0033】なぜなら、乳化剤の配合量が0.1w/v
%より少なければ、容易に油脂を安定に乳化することが
できず、25w/v%より多いと配合に見合うほど著し
い澄明効果が得られないからである。
【0034】本発明の脂肪乳剤に多価アルコール等の溶
解補助剤を配合させることも好ましい。
【0035】なぜなら、多価アルコール等の溶解補助剤
を配合させることにより、乳化剤の水相への溶解性を高
め、また、水相と油相の界面張力差を小さくすることに
より、乳化効率を上げるからである。
【0036】溶解補助剤の配合量は、1〜70w/v%
が好ましい。
【0037】なぜなら、溶解補助剤の配合量が1w/v
%より少ないと、後術する圧力をかけて均質化処理をし
ても容易に澄明にする効果が期待できないし、70w/
v%より多いと配合に見合う程著しい澄明効果が得られ
ず好ましくないからである。
【0038】多価アルコールとしてはグリセリンが好ま
しいが、例えば、プロピレングリコール、グリセリンや
糖アルコール、例えば、マルチトール、還元水あめ、ラ
クチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビト
ール、マンニトール、キシリトールなども使用すること
ができる。
【0039】また、これらを適宜混合して使用すること
もできる。
【0040】つぎに、本発明の澄明な脂肪乳剤の具体的
な製造方法を示す。
【0041】まず、乳化剤、溶解補助剤、油脂および水
をプロペラ式撹拌機やホモミキサーなどの撹拌機を用い
てよく混合し、pHを調整し、均質化処理を行うこと
で、簡単に均一な液状としての澄明な脂肪乳剤を製造す
る。
【0042】このように製造された澄明な脂肪乳剤は、
通常の輸液剤等を封入する容器、例えば、軟質プラスチ
ック製容器、ガラス製容器などに封入することが望まし
い。
【0043】さらに、本発明の澄明な脂肪乳剤は、60
〜100℃で殺菌処理または必要に応じて100〜15
0℃の高温殺菌または滅菌処理を行うことができる。
【0044】このようにして製造された澄明な脂肪乳剤
は、薬液と混合しても澄明性を保持し、脂肪乳剤と薬液
との配合変化を目視により確認できる。
【0045】本発明の脂肪乳剤は、製造過程でpHを6
から10に調整することが好ましい。
【0046】なぜなら、脂肪乳剤のpHが6より低いと
加熱滅菌または殺菌した際に澄明性がなくなり、10よ
り高いと著しい澄明効果が得られず好ましくない。
【0047】本発明の澄明な脂肪乳剤に使用するpH調
節剤は以下に示すいずれのpH調節剤でも使用できる。
例えば、乾燥炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢
酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、無水リン酸一水素ナトリウム、リ
ン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カ
リウムなどが挙げられる。本発明では、上記のpH調節
剤を必要に応じて混合して使用することもできる。
【0048】本発明の澄明な脂肪乳剤は製造過程の均質
化処理に、超高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイ
ザー、ナノマイザーなどの均質化処理機により1500
kg/cm2以上の圧力で処理を行うことが好ましい。
また、超音波乳化機などの均質化処理機を用いてること
もできる。
【0049】さらに、本発明の澄明な脂肪乳剤は、薬理
活性を有する物質、例えば、アミノ酸、ビタミンやミネ
ラルなどを含んだ溶液と常法にしたがい配合することが
できる。
【0050】配合の仕方について詳しくは述べないが、
製造過程、特に滅菌前に配合させることも可能であり、
滅菌後にシリンジや複室容器により配合させることも可
能である。
【0051】
【実施例】次に、実施例および比較例により本発明を説
明するが、本発明はこれらの実施例に制限させるもので
はない。
【0052】 (実施例1) 油脂 :中鎖脂肪酸トリグリセリド(10W/V%) 乳化剤 :精製卵黄レシチン(10W/V%) 溶解補助剤:グリセリン(30W/V%) pH :10.0 均質化処理:1750kg/cm2 グリセリン[商品名:日本薬局方濃グリセリン、日本油
脂(株)製]300gを水450gに溶解し、水相とし
た。これとは別に、精製卵黄レシチン[商品名:卵黄レ
シチンPL100−E、キユーピー(株)製]100g
を中鎖脂肪酸トリグリセリド[商品名:パナセート81
0、日本油脂(株)製]100gに溶解し、油相とし
た。先の水相に油相を混合し、20分間撹拌することに
より粗乳化した後、0.1N水酸化ナトリウム試液でp
Hを10.0に調節し、さらに水を加えて1lに定量し
た。
【0053】次いで、マイクロフルイダイザー[型式:
M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化
圧1750kg/cm2、パス回数10回で均質化処理
を行い、澄明な脂肪乳剤1を得た。この脂肪乳剤を可塑
性素材容器[商品名:テルパック400ml、テルモ
(株)製]に充填し、密封した後、110℃で10分間
加熱滅菌し、滅菌処理済み脂肪乳剤を得た。該滅菌処理
済み脂肪乳剤は澄明性を有し、60℃に1ヶ月間保存し
てもその状態は変化しなかった。
【0054】また、滅菌処理後ただちに脂肪乳剤の水に
対する吸光度および平均粒径を測定した。表1にその結
果を示した。
【0055】なお、水に対する吸光度は分光光度計[型
式:UV−2400PC、(株)島津製作所製]により
波長620nmで測定し、平均粒径はサブミクロン粒度
分布測定装置[型式:AUTOSIZER IIC、マ
ルバーン社製]で測定した(以下同様)。
【0056】 (比較例1) 油脂 :中鎖脂肪酸トリグリセリド(10W/V%) 乳化剤 :精製卵黄レシチン(10W/V%) 溶解補助剤:なし pH :10.0 均質化処理:1750kg/cm2 グリセリンを使用しない以外は実施例1と全く同じ操作
を繰り返して滅菌処理済み脂肪乳剤を得た。滅菌処理済
み脂肪乳剤は白濁し、60℃に1ヶ月間保存するとクリ
ーミングを生じた。また、滅菌処理済み脂肪乳剤の水に
対する吸光度および平均粒径を実施例1と同様の条件で
測定した。表1にその結果を示した。
【0057】(実施例2) 油脂 :大豆油(30W/V%) 乳化剤 :精製卵黄レシチン(15W/V%) 溶解補助剤:グリセリン(39W/V%) pH :7.0 均質化処理:1500kg/cm2 グリセリン390gを水130gに溶解し、水相とし
た。別に、精製卵黄レシチン150gを大豆油[商品
名:ダイズ油、(株)ホーネンコーポレーション製]3
00gに溶解し、油相とした。先の水相に油相を混合
し、粗乳化した後、0.1N水酸化ナトリウム試液でp
Hを7.0に調節し、さらに水を加えて1lにメスアッ
プした。次いで、マイクロフルイダイザーにより均質化
圧1500kg/cm2、パス回数10回で均質化処理
を行い、均質な脂肪乳剤を得た。この脂肪乳剤を400
ml容可塑性素材容器に充填し、密封した後、110℃
で10分間加熱滅菌し、滅菌処理済み脂肪乳剤を得た。
滅菌処理済み脂肪乳剤は澄明性を有し、60℃に1ヶ月
間保存してもその状態は変化しなかった。
【0058】また、滅菌処理済み脂肪乳剤の水に対する
吸光度および平均粒径を実施例1と同様の条件で測定し
た。表1にその結果を示した。
【0059】(比較例2) 油脂 :大豆油(30W/V%) 乳化剤 :精製卵黄レシチン(15W/V%) 溶解補助剤:グリセリン(39W/V%) pH :5.7 均質化処理:1500kg/cm2 実施例2においてpHを調節しない以外は実施例2と全
く同じ操作を繰り返して滅菌処理済み脂肪乳剤を得た。
滅菌処理済み脂肪乳剤は白濁し、60℃に1ヶ月間保存
すると油相の分離を生じた。
【0060】また、滅菌処理済み脂肪乳剤の水に対する
吸光度および平均粒径を実施例1と同様の条件で測定し
た。表1にその結果を示した。
【0061】(比較例3) 油脂 :大豆油(30W/V%) 乳化剤 :精製卵黄レシチン(15W/V%) 溶解補助剤:グリセリン(39W/V%) pH :4.0 均質化処理:1500kg/cm2 実施例2において0.1N塩酸試液でpHを4.0に調
節した以外は実施例2と全く同じ操作を繰り返して滅菌
処理済み脂肪乳剤を得た。滅菌処理済み脂肪乳剤は白濁
し、60℃に1ヶ月間保存すると油相の分離を生じた。
【0062】また、滅菌処理済み脂肪乳剤の水に対する
吸光度および平均粒径を実施例1と同様の条件で測定し
た。表1にその結果を示した。
【0063】(比較例4) 油脂 :大豆油(30W/V%) 乳化剤 :精製卵黄レシチン(15W/V%) 溶解補助剤:グリセリン(39W/V%) pH :7.0 均質化処理:1000kg/cm2 実施例2の均質化圧1500kg/cm2を1000k
g/cm2にした以外は実施例2と全く同じ操作を繰り
返して滅菌処理済み脂肪乳剤を得た。滅菌処理済み脂肪
乳剤は白濁し、60℃に1ヶ月間保存するとクリーミン
グを生じた。
【0064】また、滅菌処理済み脂肪乳剤の水に対する
吸光度および平均粒径を実施例1と同様の条件で測定し
た。表1にその結果を示した。
【0065】
【表1】
【0066】(実施例3) 油脂 :大豆油(50W/V%) 乳化剤 :精製卵黄レシチン(24W/V%) 等張化剤 :グリセリン(45W/V%) pH :9.0 均質化処理:1750kg/cm2 グリセリン450gを水450gに溶解し、水相とし
た。別に、精製卵黄レシチン24gを大豆油50gに溶
解し、油相とした。先の水相に油相を混合し、粗乳化し
た後、0.1N水酸化ナトリウム試液でpHを9.0に
調節し、さらに水を加えて1lにメスアップした。次い
で、マイクロフルイダイザーにより均質化圧1750k
g/cm2、パス回数20回で均質化処理を行い、均質
な脂肪乳剤を得た。この脂肪乳剤を可塑性素材容器[商
品名:テルパック400ml、テルモ(株)製]に充填
し、密封した後、110℃で10分間加熱滅菌し、滅菌
処理済み脂肪乳剤を得た。
【0067】この滅菌処理済み脂肪乳剤100mlを高
カロリー輸液用基本液[商品名:ハイカリックNC−
L、テルモ(株)製、成分については表2参照]500
mlおよび総合アミノ酸製剤[商品名:アミゼットB、
テルモ(株)製、成分については表3参照]400ml
と混合し、可塑性素材容器[商品名:テルパック100
0ml、テルモ(株)製]に充填し、薬液と混合した脂
肪乳剤を得た。
【0068】薬液と混合した脂肪乳剤は澄明性を有し、
60℃に1ヶ月間保存してもその状態は変化しなかっ
た。
【0069】また、滅菌処理後ただちに吸光度および平
均粒径を測定した。また、脂肪乳剤および薬液と混合し
た後ただちに吸光度および平均粒径を測定した。表4に
その結果を示した。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】(比較例5) 油脂 :大豆油(50W/V%) 乳化剤 :精製卵黄レシチン(24W/V%) 溶解補助剤:なし pH :9.0 均質化処理:1750kg/cm2 グリセリンを使用しない以外は実施例3と全く同じ操作
を繰り返して薬液と混合した脂肪乳剤を得た。薬液と混
合した脂肪乳剤はわずかに白濁し、60℃に1ヶ月間保
存するとクリーミングを生じた。また、滅菌処理後の脂
肪乳剤および薬液と混合した脂肪乳剤の水に対する吸光
度および平均粒径を実施例3と同様の条件で測定した。
表4にその結果を示した。
【0073】(比較例6) 油脂 :大豆油(50W/V%) 乳化剤 :精製卵黄レシチン(24W/V%) 溶解補助剤:グリセリン(45W/V%) pH :5.5 均質化処理:1750kg/cm2 実施例3においてpHを調節しない以外は実施例3と全
く同じ操作を繰り返して薬液と混合した脂肪乳剤を得
た。薬液と混合した脂肪乳剤はわずかに白濁し、60℃
に1ヶ月間保存すると油相の分離を生じた。
【0074】また、滅菌処理済み脂肪乳剤および薬液と
混合した脂肪乳剤の水に対する吸光度および平均粒径を
実施例3と同様の条件で測定した。表4にその結果を示
した。
【0075】
【表4】
【0076】
【発明の効果】本発明は澄明な脂肪乳剤およびその製造
方法に関するものであり、さらに詳しくは油脂を0.1
〜50w/v%、リン脂質を0.1〜25w/v%およ
び多価アルコールを1〜70w/v%を含有し、pHが
6〜10に調整され、1500kg/cm2以上の圧力
で均質化処理されていることを特徴とする澄明な脂肪乳
剤であり、前記リン脂質、多価アルコールおよび油脂を
配合した後に、pHを調整し、1500kg/cm2
上の圧力で均質化処理を行うことを特徴とする澄明な脂
肪乳剤の製造方法に関するものであり、このような構成
をとることにより、 1.他の薬液と混合しても澄明性を保持できるので、配
合変化が起きた場合でも変化を目視により確認できる澄
明性に優れた脂肪乳剤を提供することができる。
【0077】2.他の薬液と混合した後も、長期間(6
0℃に1ヶ月間保存しても懸濁を生じなかったので、室
温ではさらに長く保存可能になる)保存可能な脂肪乳剤
を提供することができる。
【0078】と言った効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱 澄男 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油脂を0.1〜50w/v%、乳化剤を
    0.1〜25w/v%および溶解補助剤を1〜70w/
    v%を含有した脂肪乳剤において、pHが6〜10であ
    り、平均粒径が100nm以下であり、吸収波長620
    nmで水に対する吸光度が0.1以下であることを特徴
    とする澄明な脂肪乳剤。
  2. 【請求項2】油脂:乳化剤:溶解補助剤のw/v%比が
    0.1〜50:0.1〜25:1〜70である脂肪乳剤
    において、pHが6〜10であり、平均粒径が100n
    m以下であり、吸収波長620nmで水に対する吸光度
    が0.1以下であることを特徴とする澄明な脂肪乳剤。
  3. 【請求項3】前記乳化剤がリン脂質であり、前記溶解補
    助剤が多価アルコールである請求項1または請求項2記
    載の澄明な脂肪乳剤。
  4. 【請求項4】油脂を0.1〜50w/v%、乳化剤を
    0.1〜25w/v%および溶解補助剤を1〜70w/
    v%を配合し、pHを6〜10に調整し、1500kg
    /cm2以上の圧力で均質化処理を行うことを特徴とす
    る脂肪乳剤の製造方法。
  5. 【請求項5】前記乳化剤がリン脂質であり、前記溶解補
    助剤が多価アルコールである請求項4記載の澄明な脂肪
    乳剤の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006513172A (ja) * 2002-11-27 2006-04-20 リポイト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング エマルション様水溶性濃縮物
JP2016183167A (ja) * 2011-06-07 2016-10-20 Sansho株式会社 環状ホスファチジン酸ナトリウムの製造方法及び組成物

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