JP2016178885A - 両軸受型リール - Google Patents

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Abstract

【課題】外径の異なる側板間を連結する連結部の必要な強度を確保しつつ、連結部上を通過する釣糸をスプールへと均等に巻回する連結部上での指の案内操作を滑り難い安定した保持力で行なうことができる両軸受型リールを提供する。
【解決手段】本発明の両軸受型リールのリール本体1は、反ハンドル側の左側板7Aが側面視円形状に形成されるとともに、ハンドル側の側板を構成する右枠体7Bの外径が左側板7Aの外径よりも大きい。また、リール本体1は、左側板7Aと右枠体7Bとを連結する少なくとも1つの連結部7C,7D,7Eを備え、これらの連結部のうち少なくともスプールの前方で側板間を連結する連結部7Cは、スプールから離れる外方向を向くその外面80が平面状に形成されるとともに、スプールと対向するその内面81が外方に向けて凸となる湾曲状に形成されて、左側板7Aに略円弧状の湾曲部85によって接続される。
【選択図】 図8

Description

本発明は、釣糸を巻回するスプールをリール本体の側板間に回転自在に支持した両軸受型リールに関する。
従来、両軸受型リールのリール本体は、スプールに釣糸を平行に巻回するレベルワインド装置をスプール前方の側板間に配置する構成上、前方側に膨出した形状に構成されている(例えば、特許文献1参照)。また、前記リール本体の左右の側板は、フレームの枠板(内側板とも称される)の外側に、外側板(カバー体とも称される)を装着することで構成されており、フレームの枠板と外側板との間の空間に巻き取り駆動機構等の各種部品を組み込んでいる。
ところで、最近の釣りでは、メタルジグやラバージグ等の疑似餌を使った釣法(ジギングとも称される)が行われており、このようなジギングにも、上記した両軸受型リールが使用されている。両軸受型リールを用いてジギングを行う場合、釣人は、釣竿と共にリール本体を握持、保持した状態でシャクリ操作を頻繁に繰り返すとともにハンドルの巻き取り操作を行なう。また、このようなジギングでは、疑似餌に掛かった魚とのファイティング操作も激しいことから、リール本体は、確実にホールドすることができ、長期間使用しても負担がかからないことが望まれる。
この点、特許文献1に開示された形状の両軸受型リールは、実釣時にリール本体の反ハンドル側の側板を掌で保持する際、膨出した部分で引っ掛かりがあるため、不必要な動きが制限されて保持できるものの、その保持位置・状態が固定されてしまう。すなわち、反ハンドル側の手の自由度がなくなり、シャクリ操作や魚とのファイティング操作において、強く長時間掌で保持していると痛くなり、操作に支障をきたしてしまう。また、スプールに巻回される釣糸の糸巻量は多い方が好ましいが、糸巻量を多くするためにスプールフランジを大径化すると、その分、側板の前後方向の長さも長くなってしまい、結果としてホールド性が悪化したり重量化してしまう。
そこで、レベルワインド装置を設けることなく、リール本体の反ハンドル側の側板を側面視円形状に形成した両軸受型リールが知られている(例えば、特許文献2参照)。この公知例のように、反ハンドル側の側板を円形状に構成することで、掌で握り込んだ状態のまま必要に応じて位置をずらすことができるため、ジギングする際の操作性の向上が図れるようになる。また、この公知例では、ハンドルの巻き取りの効率化が図れるように、大型のドライブギアを組み込むようにしており、ハンドル側の側板については、円形ではなく部分的に膨出させて、その膨出部分にドライブギアの一部を配設し、リール本体として極力、重量化しないように構成している。
実開昭60−49772号 特開2004−173520号
ところで、特許文献2に開示されるような両軸受型リールでは、ハンドル側の側板に、前述したように大型のドライブギアを組み込むようにするため、具体的には、ハンドルの回転駆動力をスプールに伝達する巻き取り駆動機構、ドラグ機構、クラッチ機構等、各種の機能部品を収容するようにするため、リール本体1は、ハンドル側の側板の外径が反ハンドル側の側板の外径よりも大きくなる場合が多々ある。そのような場合、ハンドル側の側板と反ハンドル側の側板とを軸方向で連結する連結部は、この側板間の外径差により、また、側板間に配設されるスプールの所望の外径(所望の糸巻量)を確保する必要があることから、反ハンドル側の側板の側でその肉厚が薄くなり易く、したがって、その部位で連結部の剛性が低下し、必要な強度を確保できなくなる虞がある。
また、特許文献2に開示されるようなレベルワインド装置を伴わない両軸受型リールでは、スプールに釣糸を巻き取る際、釣竿を握持、保持している手の掌をリール本体の反ハンドル側の側板の外側面に当接させてその手の親指の腹を側板の外周端面に載置してホールドした状態から、その載置した親指をスプール前方に配置される前記連結部上へと移動させるとともに連結部に沿って左右に往復動させて、連結部上を通過する釣糸をスプールに対して均等に巻回(平行巻き)されるように案内するが、特許文献2では、連結部が軸方向に真っ直ぐに延びた略直方体状の単なる支柱として形成されているため、側板の外周端面に載置した親指をスプール前方に配置される連結部上へと移動させる際に急激な落差もあって滑り易く、安定した保持力でスプールへの釣糸の平行巻き案内操作へと滑らかに移行してその操作をうまく確実に行なえるとは言い難い。
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、外径の異なる側板間を連結する連結部の必要な強度を確保しつつ、連結部上を通過する釣糸をスプールへと均等に巻回する連結部上での指の案内操作を滑り難い安定した保持力で行なうことができる両軸受型リールを提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明は、リール本体の両側板間に回転自在に支持したスプールを一方の側板に設けたハンドルで回転可能とした両軸受型リールにおいて、前記リール本体は、反ハンドル側の側板が側面視円形状に形成されるとともに、ハンドル側の側板の外径が反ハンドル側の側板の外径よりも大きく、反ハンドル側の側板とハンドル側の側板とを連結する少なくとも1つの連結部を備え、前記連結部のうち少なくとも前記スプールの前方で側板間を連結する連結部は、前記スプールから離れる外方向を向くその外面が平面状に形成されるとともに、前記スプールと対向するその内面が外方に向けて凸となる湾曲状に形成されて、反ハンドル側の側板に円弧状の湾曲部によって接続されることを特徴とする。
上記した構成の両軸受型リールでは、外径の異なる側板間を連結する連結部の外面が平面状に形成されるため、すなわち、釣竿を握持、保持している手の掌をリール本体の反ハンドル側の側板の外側面に当接させてリール本体を保持する際にその保持する手の指や掌の付け根などが接触し得る連結部の部位が平坦になっているため、フィット感の良いリール本体の良好な保持性を実現することができる。また、スプールと対向する連結部の内面が外方に向けて凸となる湾曲状に形成されているため、連結部の存在によってスプールの外径を制限することなく(スプールの所望の外径(所望の糸巻量)を確保しつつ)、側板間の外径差に起因して特に薄くなりがちな連結部の反ハンドル側の肉厚を大きく確保してその剛性を高めることが容易になる。
このような作用効果は、特に、連結部が反ハンドル側の側板に円弧状の湾曲部によって接続されることにより促進される。すなわち、連結部は、その内面の湾曲形状と相俟って湾曲部で反ハンドル側の側板に接続されることにより、湾曲部が反ハンドル側の側板から張り出すように延びるため、反ハンドル側の連結部の肉厚を更に大きく確保してその剛性を更に高めることが可能となる。
また、このように反ハンドル側の側板から張り出すように延びる湾曲部は、特に連結部がスプールの前方にある場合には、ここへ移動してくる指の前後方向の滑りを抑制してそのホールド性を高めることもできる。すなわち、前述したように、スプールに釣糸を巻き取る際には、釣竿を握持、保持している手の掌をリール本体の反ハンドル側の側板の外側面に当接させてその手の親指の腹を側板の外周端面に載置してホールドした状態から、その載置した親指をスプール前方に配置される前記連結部上へと移動させるとともに連結部に沿って左右に往復動させて、連結部上を通過する釣糸をスプールに対して均等に巻回(平行巻き)されるように案内するが、反ハンドル側の側板から張り出すように湾曲部が延びていれば、側板の外周端面に載置した親指をスプール前方に配置される連結部上へと移動させる際に親指が前後方向に滑ることなく安定した保持力でスプールへの釣糸の平行巻き案内操作へとスムーズに移行することができ、その操作をうまく確実に行なうことができる。言い換えると、湾曲部は、リール本体を保持する手の親指を滑り難く支える(湾曲部の存在により親指が前後に踏ん張れる)ため、握持保持力が向上してシャクリ操作などをスムーズに行なえ、魚とのファイトが確実に行なえる。また、湾曲部は、連結部上を通過する釣糸の糸当たりを良くし、釣糸を傷付けずにスムーズにスプールへと案内する機能も有する。
なお、以上のような構成の連結部は、無論、スプールの前方だけでなく、スプールの後方に設けられてもよく、あるいは、それ以外の位置に設けれてもよく、その数および位置は限定されない。
また、上記構成において、連結部の湾曲部は、反ハンドル側の側板の外周端面上(あるいは、更には反ハンドル側の側板の外周端面に前記スプールへ向けて傾斜して形成される面取り部上)へと滑らかに傾斜して連なる曲面状の上面を有することが好ましい。このようにすると、リール本体を保持する手の指を反ハンドル側の側板の外周端面上からスプール前方に配置される連結部の上面へと更に滑らかに違和感なく移動させることができ、指による釣糸案内操作へとスムーズに移行することができる。
また、上記構成において、連結部の上面および下面のうち少なくとも上面は、両側板に接続するその両側部分に対して中央部分が凹む湾曲形状を成すことが好ましい。このように連結部の上面の中央部分が凹状に湾曲されていれば、特に指を連結部に沿って左右に往復動させる釣糸平行巻き案内操作時に指の滑りを効果的に抑制することができ、また、感触(指の接触面積と指圧)を通して指の支持位置を認識できるため、釣糸巻き取り時のスプールへの指による糸案内を確実に且つ正確に行なうことができる。また、このような凹状の上面は、平行巻きされる釣糸の糸当たりを抑制し、釣糸を傷付けずにスムーズにスプールへと案内する機能も有する。
また、上記構成において、連結部は、その上面および下面が前記湾曲形状を成すことより、その両側部分の上下方向の幅寸法に対して中央部分の上下方向の幅寸法が小さいことが好ましい。このようにすると、側板間の外径差に起因して特に薄くなりがちな連結部の反ハンドル側の肉厚を大きく確保してその剛性を高めつつ、前述した作用効果を有する湾曲形状の上面を容易に実現することができる。
また、上記構成において、連結部の上面は、外面及び/又は内面へ向けて傾斜して形成される面取り部を有することが好ましい。このような面取り部は、釣糸平行巻き案内操作を行なう指が接触する上面に対する指当たりを良くし、長時間操作しても痛みや疲れが生じ難い。
また、上記構成において、リール本体は、スプールに釣糸を平行に巻回するレベルワインド装置を伴うことなく、ハンドルの回転駆動力をスプールに伝達する駆動機構がハンドル側の側板に設けられて成ることが好ましい。このように駆動機構をハンドル側の側板に集約配置すると、反ハンドル側の側板を薄く形成できるため、特にレベルワインド装置を伴わないジギングに適した両軸受型リールにおいて必要とされる反ハンドル側の高いリール保持性および掌に対する良好なフィット感を容易に実現できる。
本発明によれば、外径の異なる側板間を連結する連結部の必要な強度を確保しつつ、連結部上を通過する釣糸をスプールへと均等に巻回する連結部上での指の案内操作を滑り難い安定した保持力で行なうことができる両軸受型リールが得られる。
本発明に係る両軸受型リールの一実施形態を示す平面図である。 図1に示す両軸受型リールの正面図である。 図1に示す両軸受型リールの反ハンドル側の左側面図である。 図1に示す両軸受型リールのハンドル側の右側面図である。 図1に示す両軸受型リールの断面図である。 図1の両軸受型リールのリール本体のフレームの平面図である。 図6のフレームの前方から見た正面図である。 (a)は図6のフレームの横断面図(前後方向の面で切った断面図)、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。 リール本体の反ハンドル側の側板を握持保持する手の親指を該側板の外周端面上からスプール前方の連結部の上面へと移行させる過程を二点鎖線で示す図1の両軸受型リールの平面図である。
以下、図1から図9を参照して本発明に係る両軸受型リールの一実施形態について説明する。なお、以下の説明において、前後方向および左右方向は、図1に記載の方向と定義し、また、上下方向は、図2に記載の方向と定義する。
本実施形態に係る両軸受型リールは、スプールに釣糸を平行に巻回するレベルワインド装置が設けられることなくジギングする上で最適な構造となるように構成されたものであり、リール本体1は、左側板1A、右側板1B、及び両側板1A,1B間に回転自在に支持したスプール3を備えている。本実施形態では、右側板1B側にハンドル5を設けており、ハンドル5を巻き取り操作することでスプール3を回転駆動する構成となっている(右ハンドル式)。
リール本体1は、左右の側板1A,1Bを構成するフレーム7を備えている。このフレーム7は、例えば、アルミニウム合金の金属材等によって一体形成されており、左側板(反ハンドル側の側板)1Aそのものを構成すると共に、後述するカバー体15を装着した状態で右側板1Bを構成している。すなわち、フレーム7は、図6および図7に明確に示されるように、左側板7Aと右枠体7Bを備えており、左側板7Aがリール本体1の左側板1Aを構成し、右枠体7Bにカバー体15を装着することでリール本体1の右側板1Bを構成する。しかしながら、側板1A,1Bの形態はこのようなフレーム構造に限定されない。
一例としての前記フレーム構造において、フレーム7は、左側板7Aと右枠体7Bとを連結する連結部を備えている。本実施形態では、スプール3の前方に前連結部7C、スプール3の後方に後連結部7D、および、スプール3の下方に隣接して2つの下連結部7Eが設けられており、これらの連結部は、左側板7Aおよび右枠体7Bと共に一体形成されている。なお、下連結部7Eには、釣竿のリールシートに装着されるリール脚8が一体的に装着されている(リール脚はフレーム7と一体形成されていてもよい)。なお、本実施形態において、右枠体7Bは、スプール3を右側から挿入して着脱できるように開口7g(図6および図8の(a)参照)を有するリング状に形成されるが、そのような構造に限定されない。
フレーム7の左側板7Aは、図3に示すように、外周形状が側面視円形状に構成されている。左側板7Aは、内部が中実構造で薄肉厚化されており、釣竿を握持、保持している手の掌が外側面7aに当接し、その手の親指が外周端面(円周面)7bに載置されてホールドされる略円柱形状になっている。本実施形態では、ホールド性(掌が当たる感触)が向上するように、外側面7aは軸方向に多少膨出しており(図1,2,6,7参照)、また、外周端面7bに載置した親指が外側面7aとの間で違和感が生じないように、外周端面7bの外側には、外側面7aに移行するように傾斜した円周テーパ7cが形成されている。また、外周端面7bに載置した親指がスムーズにサミング操作へと移行できるように、外周端面7bの内側(スプール3側)には、左側板7Aに隣接するスプール3のフランジ3a側へ滑らかに移行するように傾斜した面取り部7dが形成されている。
左側板7Aには、図5に示すように、スプール3のフランジ3aが収容される環状の凹所7eが形成されている(凹所7eの内径は、スプール3のフランジ3aの外径よりも僅かに大きく形成されている)。また、左側板7Aの中心領域には、凹部7fが形成されており、その凹所7f内には軸受10が配設され、スプール3の駆動軸3Aの左側端部を回転自在に支持している。
さらに、本実施形態では、左側板7A内に、スプール3の釣糸繰り出し方向の回転を阻止する公知のスプールストッパ12が設置されている。このスプールストッパ12は、左側板7Aの外側面7aから突出するスライドレバー12aと、スライドレバー12aのスライド操作によって駆動されるリンク機構12bと、リンク機構12bに連結されて、スプール3の駆動軸3Aに回り止め固定されたラチェット3Bと係脱されるストッパ12cとを備えている。このように構成されたスプールストッパ12は、スライドレバー12aをスライド操作することにより、ストッパ12cをラチェット3Bに係合してスプール3の釣糸繰り出し方向の回転を阻止する状態と、ストッパ12cをラチェット3Bに非係合にしてスプール3の釣糸繰り出し方向の回転を可能にする状態とに切り換え可能としている。
また、リング状の右枠体7Bは、左側板7Aと同様、側面視で円形状に構成されており、その外径は、左側板7Aの外径よりも大きく形成されている。すなわち、ハンドル側の側板1Bには、後述するように、ハンドルの回転駆動力をスプールに伝達する巻き取り駆動機構、ドラグ機構、クラッチ機構等、各種の機能部品が収容されることから、リール本体1は、左側板1A(7A)の外径よりも右側板1B(右枠体7B)の外径の方が大きい構成となっている。
スプール3は、釣糸が巻回される釣糸巻回胴部3bと、その両側に形成されて左側板7Aに隣接するフランジ3aとを備えており、釣糸巻回胴部3bに巻回される釣糸は、フランジ3aによってその巻回容量が特定される。また、スプール3の中心部には、駆動軸3Aが挿通固定されており、その駆動軸3Aのスプール3の左側にラチェット3Bが回り止め固定されるとともに、左側端部が軸受10によって左側板1A(フレーム7の左側板7A)に回転可能に支持される。また、駆動軸3Aのスプール3の右側には、軸受3Cが配設されるとともに、その軸方向外方に、後述するクラッチ機構によって軸方向に摺動されるピニオンギア23が係脱するピン3Dが設けられている。そして、ピン3Dが設けられる位置よりもハンドル5側の駆動軸3Aの部分は、小径化されてピニオンギア23に挿通されている(ピニオンギア23に挿通される小径化された部分を駆動軸3A´とする)。
フレーム7の右枠体7Bには、カバー体15が着脱可能に固定され、右枠体7Bとカバー体15とによってリール本体1の右側板1Bが構成される。このカバー体15は、右枠体7Bとの間に収容スペースSが生じるように凹状に形成されており、収容スペースS内に各種の機能部品が配設されている。なお、カバー体15は、基本的に側面視で円形状に構成されているが、ハンドル5の巻き取り効率を向上するために、ハンドル軸5Aには大きいドライブギアを装着するようにしている。このため、図4に示すように、カバー体15には、部分的に略半円状に膨出する膨出部15Aが形成されており、その部分にドライブギアを収容するようにしている。
以下、収容スペースS内に配設される各種の機能部品について説明する。
上記したように、収容スペースS内には、ハンドル5の回転駆動力をスプール3に伝達する巻き取り駆動機構20、スプール3から繰り出される釣糸に対して所望の制動力を付与するドラグ機構50、および、スプール3を巻き取り状態/フリー回転状態に切り換えるクラッチ機構70が配設されるが、本実施形態では、カバー体15に装着される支持部材(セットプレートとも称する)16とカバー体15との間に収容スペースSを形成し、この収容スペースS内に前記各機構を配設している。
ここで巻き取り駆動機構20の構成について説明する。
上記したように、本実施形態では、スプール3を回転駆動するハンドル5を右側板1B側に設置しており、支持部材16とカバー体15との間の収容スペースSには巻き取り駆動機構20が配設される。巻き取り駆動機構20は、ハンドル5が装着されたハンドル軸5Aと、このハンドル軸5Aに回転可能に装着されたドライブギア21と、ドライブギア21に噛合するピニオンギア23とを備えている。
ハンドル軸5Aは、その端部に巻き取り操作されるハンドル5が装着されており、カバー体15との間に配設される軸受25と、右枠体7Bに形成された凹所16gとの間に配設される軸受26とによって右側板1Bに対して回転可能に支持されている。ドライブギア21と噛合されるピニオンギア23は、スプール3の駆動軸3A´を挿通させており、駆動軸3A´に対して軸方向に摺動できるように支持されている。本実施形態では、ピニオンギア23の両側部を、それぞれ軸受27,28によって回転可能に支持している。この場合、軸受27は、支持部材16の貫通孔16eに配設されており、軸受28は、カバー体15に装着されスプールの駆動軸3A´の端面に当て付いてスプールの回転に制動力を付与する公知の制動装置29に配設されている。
ハンドル軸5Aには、カバー体15との間に公知の一方向クラッチ30が配設されており、ハンドル5の釣糸巻き取り方向の回転を許容し、逆回転を阻止している。また、ハンドル軸5A部分には、スプール3から繰り出される釣糸に対して所望の制動力を付与する公知のドラグ機構50が配設されている。このドラグ機構50は、ドライブギア21に形成された環状凹所21a内に配設された複数枚の制動板51と、ハンドル軸5Aに軸方向に移動不能に回り止め固定され、ドライブギア21と面接するラチェットギア52と、ハンドル軸5Aに配設され、回転操作することで軸方向に移動する操作ノブ55とを備えている。これにより、操作ノブ55を回転操作すると、一方向クラッチ30の内輪を介して制動板51が押圧されて、ドライブギア21にはハンドル軸5Aとの間で所望の押圧力が作用する。すなわち、操作ノブ55を回転操作することで、制動板21に対する押圧力を調整してスプール3から繰り出される釣糸に対して所望のドラグ力を作用させることが可能となる。
なお、ラチェットギア52には、係止爪(図示せず)が係合可能となっており、一方向クラッチ30の逆転防止機能に滑りが生じた際に、ハンドル軸5Aの逆回転を確実に阻止できるようになっている。
支持部材16には、スプール3を巻き取り状態/フリー回転状態に切り換える公知のクラッチ機構70が配設されている。このクラッチ機構70は、右側板1Bに配設され外周面に沿うように回動可能に支持された操作部材71と、支持部材16に回動可能に支持され、操作部材71の操作に伴って回動するクラッチプレート72と、ピニオンギア23の外周面に形成された円周溝と係合し、クラッチプレート71の回動操作によってピニオンギア23を軸方向に摺動させる係合部材74とを備えている。すなわち、操作部材71を操作することでピニオンギア23を軸方向に摺動させ、ピニオンギア23の断面非円形の端部23bをスプール3の駆動軸3Aに設けられたピン3Dと係脱させて動力の伝達状態(クラッチON状態)と、動力の遮断状態(クラッチOFF状態)との間で切り換えできるよう構成されている。この場合、ラチェットギア52および支持部材16には、ハンドル5を巻き取り操作した際、クラッチ機構70をOFF状態からON状態に自動復帰させる復帰機構が設けられている。
上述したように、カバー体15には、ハンドル軸5Aに装着されたドライブギア21を部分的に収容するように、略半円状に膨出する膨出部15Aが形成されている。この膨出した部分は、右枠体7Bにネジによって取着され略半円状に形成された閉塞部材61(図3参照)によって閉塞される。すなわち、上記したように、支持部材16が取り付けられたカバー体15を右枠体7Bに取り付けると、膨出部15Aは、右枠体7Bに取着された閉塞部材61によってそのまま閉塞されるようになっている。
ここで、図6〜図8を参照して、フレーム7の左側板7Aと右枠体7Bとを連結する前連結部7C(スプール3の前方で側板間(本実施形態では左側板7Aと右枠体7Bとの間)を連結する連結部)および後側連結部7D(スプール3の後方で側板間(本実施形態では左側板7Aと右枠体7Bとの間)を連結する連結部)の形態を更に詳しく説明する。
図6〜図8に示されるように、連結部7C,7Dは、スプール3から離れる外方向を向くその外面80(リール本体を保持した手が接触可能な径方向外方の外側面)が平面状に形成されるとともに、スプール3と対向するその内面81が外方に向けて凸となる湾曲状に形成されており、反ハンドル側の側板である左側板7Aに対して略円弧状の湾曲部85によって接続されている。具体的には、連結部7C,7Dは、前後両側に互いにほぼ対向して配置されており、その外面80が大径の右枠体7Bの外周端面と略面一となるように右枠体7Bの外周縁部から小径の左側板7Aへ向けて真っ直ぐに(スプール3の駆動軸3Aと平行な平面上で)軸方向に延びた後、その湾曲部85によって前方から後方へと(あるいは、後連結部7Dの場合には後方から前方へと)径方向内側に向けて延びて小径の左側板7Aの外周端面7bに対して接続される。なお、湾曲部85の曲率半径は、例えば3mm〜10mmである。
この場合、湾曲部85は、左側板7Aの外周端面7b上へと滑らかに傾斜して連なる曲面状の上面85aを有する。特に、本実施形態において、上面85aは、左側板7Aの外周端面7bにスプール3へ向けて傾斜して形成される面取り部7d上へと滑らかに傾斜して連なっている。なお、このような上面85aは、後述するように釣糸を平行巻き案内操作する指と接触し得る前連結部7Cのみに設けられても構わない。
また、湾曲部85の上面85aと滑らかに連なる連結部7C,7Dの上面82は、図7に明確に示されるように、両側板(ここでは、左側板7Aと右枠体7B)に接続するその両側部分Pに対して中央部分Qが凹む湾曲形状を成している。特に、本実施形態では、連結部7C,7Dの上面82および下面87がこのような凹む湾曲形状を成すことより、連結部7C,7Dの両側部分Pの上下方向の幅寸法W1に対して中央部分Qの上下方向の幅寸法W2が小さくなっている。例えば、幅寸法W1は10mm〜18mmであり、また、幅寸法W2は4mm〜10mm(W1とW2との間の幅寸法差は6mm〜8mmであることが好ましい)である。
また、連結部7C,7Dの上面82(本実施形態では、下面87も)は、外面80へ向けて傾斜して形成される面取り部88と、内面81へ向けて傾斜して形成される面取り部89とを有する(図7および図8参照)。この場合、上面82に対する面取り部88,89の傾斜角度は、30°〜70°であることが好ましい。
このように、本実施形態の両軸受型リールでは、外径の異なる側板間(ここでは、左側板7Aと右枠体7B)を連結する連結部7C,7Dの外面80が平面状に形成されるため、すなわち、釣竿を握持、保持している手の掌をリール本体1の反ハンドル側の側板7Aの外側面7aに当接させてリール本体1を保持する際にその保持する手の指や掌の付け根などが接触し得る連結部7C,7Dの部位80が平坦になっているため、フィット感の良いリール本体1の良好な保持性を実現することができる。また、スプール3と対向する連結部7C,7Dの内面81が外方に向けて凸となる湾曲状に形成されているため、連結部7C,7Dの存在によってスプール3の外径を制限することなく(スプール3の所望の外径(所望の糸巻量)を確保しつつ)、側板1A,1B間(左側板7Aと右枠体7Bとの間)の外径差に起因して特に薄くなりがちな連結部7C,7Dの反ハンドル側の肉厚を大きく確保してその剛性を高めることが容易になる。
このような作用効果は、特に、連結部7C,7Dが左側板7Aに円弧状の湾曲部85によって接続されることにより促進される。すなわち、連結部7C,7Dは、その内面81の湾曲形状と相俟って湾曲部85で左側板7Aに接続されることにより、湾曲部85が左側板7Aから前方に(または後方に)張り出すように延びるため、連結部7C,7Bの反ハンドル側の肉厚を更に大きく確保してその剛性を更に高めることが可能となる。
また、このように左側板7Aから張り出すように延びる湾曲部85は、特にスプール3の前方にある連結部7Cの場合に、ここへ移動してくる指の前後方向の滑りを抑制してそのホールド性を高めることもできる。すなわち、スプール3に釣糸を巻き取る際には、図9に示されるように、釣竿を握持、保持している手100の掌をリール本体1の左側板7Aの外側面7aに当接させてその手100の親指102の腹を側板7Aの外周端面7bに載置してホールドした状態から、その載置した親指102をスプール前方に配置される前連結部7C上へと移動させるとともに連結部7Cに沿って左右に往復動させて、連結部7C上を通過する釣糸をスプール3に対して均等に巻回(平行巻き)されるように案内するが、左側板7Aから張り出すように湾曲部85が延びていれば、側板7Aの外周端面7bに載置した親指102をスプール前方に配置される前連結部7C上へと移動させる際に親指102が前後方向に滑ることなく安定した保持力でスプール3への釣糸の平行巻き案内操作へとスムーズに移行することができ(図9の二点鎖線参照)、その操作をうまく確実に行なうことができる。言い換えると、湾曲部85は、リール本体1を保持する手100の親指102を滑り難く支える(湾曲部85の存在により親指102が前後に踏ん張れる)ため、握持保持力が向上してシャクリ操作などをスムーズに行なえ、魚とのファイトが確実に行なえる。また、湾曲部85は、連結部7C上を通過する釣糸の糸当たりを良くし、釣糸を傷付けずにスムーズにスプールへと案内する機能も有する。
また、本実施形態において、連結部7Cの湾曲部85は、左側板7Aの外周端面7b上(本実施形態では、面取り部7d上)へと滑らかに傾斜して連なる曲面状の上面85aを有するため、リール本体1を保持する手の指を左側板7Aの外周端面7b上から(面取り部7dおよび上面85aを通じて)スプール前方に配置される連結部7Cの上面82へと更に滑らかに違和感なく移動させることができ、指による釣糸案内操作へとスムーズに移行することができる。
また、本実施形態において、連結部7Cの上面82は、両側板(ここでは、左側板7Aと右枠体7B)に接続するその両側部分Pに対して中央部分Qが凹む湾曲形状を成すため、特に指102を連結部7Cに沿って左右に往復動させる釣糸平行巻き案内操作時(図9参照)に指102の滑りを効果的に抑制することができ、また、感触(指の接触面積と指圧)を通して指102の支持位置を認識できるため、釣糸巻き取り時のスプール3への指による糸案内を確実に且つ正確に行なうことができる。また、このような凹状の上面82は、平行巻きされる釣糸の糸当たりを抑制し、釣糸を傷付けずにスムーズにスプールへと案内する機能も有する。
また、本実施形態において、連結部7C,7Dは、その上面82および下面87が前記湾曲形状を成すことより、その両側部分Pの上下方向の幅寸法W1に対して中央部分Qの上下方向の幅寸法W2が小さくなっているため、側板(ここでは、左側板7Aと右枠体7B)間の外径差に起因して特に薄くなりがちな連結部7C,7Dの反ハンドル側の肉厚を大きく確保してその剛性を高めつつ、前述した作用効果を有する湾曲形状の上面82を容易に実現することができる。
また、本実施形態において、連結部7Cの上面82は、外面80および内面81へ向けて傾斜して形成される面取り部88,89を有するため、釣糸平行巻き案内操作を行なう指が接触する上面82に対する指当たりを良くすることができ、長時間操作しても痛みや疲れが生じ難い。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
例えば、右側板の形状やクラッチ機構の操作部材の配設位置や構成等、適宜変形することが可能である。また、本発明は、右側板にハンドルを装着したが左側板に装着してもよい。その場合には、連結部7C,7Dの湾曲部85の位置が右側板の側となる。また、側板の構造、したがって、フレームの構造も前述した実施形態のような構造に限定されない。
1 リール本体
1A,1B 側板
3 スプール
3a フランジ
3b 釣糸巻回胴部
3c 面取り部
5 ハンドル
7 フレーム
7A 左側板(反ハンドル側の側板)
7B 右枠体(ハンドル側の側板)
7b 外周端面
7d 左側板の面取り部
7C,7D,7E 連結部
80 外面
81 内面
82 上面
85 湾曲部
88,89 面取り部
P 両側部分
Q 中央部分

Claims (7)

  1. リール本体の両側板間に回転自在に支持したスプールを一方の側板に設けたハンドルで回転可能とした両軸受型リールにおいて、
    前記リール本体は、反ハンドル側の側板が側面視円形状に形成されるとともに、ハンドル側の側板の外径が反ハンドル側の側板の外径よりも大きく、
    反ハンドル側の側板とハンドル側の側板とを連結する少なくとも1つの連結部を備え、前記連結部のうち少なくとも前記スプールの前方で側板間を連結する連結部は、前記スプールから離れる外方向を向くその外面が平面状に形成されるとともに、前記スプールと対向するその内面が外方に向けて凸となる湾曲状に形成されて、反ハンドル側の側板に略円弧状の湾曲部によって接続されることを特徴とする両軸受型リール。
  2. 前記連結部の前記湾曲部は、反ハンドル側の側板の外周端面上へと滑らかに傾斜して連なる曲面状の上面を有することを特徴とする請求項1に記載の両軸受型リール。
  3. 前記湾曲部の前記上面は、反ハンドル側の側板の外周端面に前記スプールへ向けて傾斜して形成される面取り部上へと滑らかに傾斜して連なることを特徴とする請求項2に記載の両軸受型リール。
  4. 前記連結部の上面および下面のうち少なくとも上面は、前記両側板に接続するその両側部分に対して中央部分が凹む湾曲形状を成すことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の両軸受型リール。
  5. 前記連結部は、その上面および下面が前記湾曲形状を成すことより、その両側部分の上下方向の幅寸法に対して中央部分の上下方向の幅寸法が小さいことを特徴とする請求項4に記載の両軸受型リール。
  6. 前記連結部の上面は、前記外面及び/又は前記内面へ向けて傾斜して形成される面取り部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の両軸受型リール。
  7. 前記リール本体は、前記スプールに釣糸を平行に巻回するレベルワインド装置を伴うことなく、前記ハンドルの回転駆動力を前記スプールに伝達する駆動機構がハンドル側の側板に設けられて成ることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の両軸受型リール。
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