JP6360861B2 - レバードラグ式リール - Google Patents

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本発明は、レバードラグ式リールに関し、特に、レバードラグ式リールのドラグ機構のドラグ力を調整するように、リール本体の側部に揺動自在に装着したドラグレバーの操作性を向上させたレバードラグ式リールに関する。
レバードラグ式リールは、ハンドルの回転をドラグ機構の摩擦係合力によりスプールに伝達し、ハンドルの回転によって釣り糸をスプールに巻き取るが、魚の種類、釣竿の強度、釣り糸の強度によって、スプールの釣り糸繰り出し方向の回転に対しては、レバーを手動操作することによってドラグ機構の摩擦係合力(ドラグ力)の強弱を調整する方式であり、ジギング釣りやトローリング釣り等の大物釣りに適するように設計され、この種のレバードラグ式リールは公知である(例えば、特許文献1)。
レバードラグ式リールにおいては、魚が掛かったとき、即ち実釣の際には、ハンドルの回転によって釣り糸をスプールに巻き取る操作を行なうが、この実釣中の魚の引き具合に応じて、ハンドルの回転による釣り糸の巻取りを止め、魚の引きによってスプールが釣り糸繰り出し方向へ回転し、スプールから釣り糸が繰り出されるようにする。スプールの釣糸繰り出し方向の回転に対しては、ドラグレバーを手動操作することによってドラグ機構の摩擦係合力(ドラグ力)の強弱を調整する。
通常、レバードラグ式リールは、釣竿の上面側に取付けられ、その状態で、スプールを巻き取り操作するハンドル及びドラグ機構のドラグ力を調整するドラグレバーが右側に配置された状態となる。この状態で、釣竿を支えるように釣竿の下側に左手の親指以外の複数の指を回し、その左手の手のひらをリールの左側面に沿わせつつ左手の親指をリールの上面部に回し、レバードラグ式リールを左手によって握持する状態で釣竿を支えた状態を保ちつつ、右手でハンドル操作を行なう。この場合、レバードラグ式リールの外形が大きい場合は、左手でドラグレバーの操作を行なうことはできず、ハンドルから外した右手でドラグレバーの操作を行うこととなる。
特許文献1のレバードラグ式リールは、ジギング釣りやトローリング釣り等の大物釣りに用いられるように設計されるため、外形寸法も大きい形態になっており、通常使用状態において左手で竿を支えつつリール本体の左側部分を握持し、右手でハンドル操作をする場合、ドラグレバー(ドラグ操作部材)の操作はその左手で行うことは困難であり、右手で行うこととなる。
特開2001−148975号公報
上記のように、実釣中の操作としては、釣り糸の巻取り時のハンドル操作と、ドラグレバーの操作とを適宜交互に行ないつつ魚を釣り上げる。このため、ハンドル操作とドラグレバー操作とをスピーディに行なうことが必要となるが、上記のように、この両方の操作を右手で行なう場合は、ハンドル操作からドラグレバー操作へ移る際、またはドラグレバー操作からハンドル操作へ移る際のタイムラグが大きくなることは好ましいことではない。このため、ハンドル操作からドラグレバー操作への切り替わり、またはドラグレバー操作からハンドル操作への切り替わりをスピーディに行なうためには、ハンドル操作は右手で行い、ドラグレバー操作は左手で行なうことにより、上記のタイムラグを極力少なくすることができるようになり、好ましい状態となるが、このためには、レバードラグ式リールの外形を小型化することが望まれる。
レバードラグ式リールには、狙う魚が大きいものは外形寸法が大きい大型となり、狙う魚が小さくなれば外形寸法も小さいもので対応できるようになるが、使用される釣り糸も改良され、複数の細い糸を撚り合わせた撚り糸タイプの釣り糸が存在する。直径が同じ釣り糸であっても、撚り糸タイプの釣り糸は、そうでない釣り糸よりも大きい強度のものにすることができるため、同じ強度の釣り糸であっても撚り糸タイプの釣り糸はその直径も小さくできる。また、同じ長さの釣り糸を使用する場合において、撚り糸タイプの釣り糸は、スプールに巻き取られた状態で押し潰れる状態となり、同じ強度の撚り糸でない釣り糸の場合に比して、スプールに巻き取ったときの巻き取り全体の直径が小さくなるため、スプールの直径も小さくでき、リールを小型化できることとなる。
このようなことから、ジグと称される錘式のルアーを使用し、釣り竿から釣り糸を略真下へ向けて例えば海中50m乃至それ以上の深さまで垂らして比較的大きな魚を狙うジギング釣り用のレバードラグ式リールであっても、撚り糸タイプの釣り糸を使用するのに適するレバードラグ式リールは、外形寸法の小さい小型化にすることができることとなる。
本発明は、上記のような点に鑑みて、一方の手(例えば左手)でレバードラグ式リールの側面を握持しつつ、その一方の手(例えば左手)でドラグレバーの操作を行ない、他方の手(例えば右手)でハンドル操作を行なうことに適する小型のレバードラグ式リールにおける操作性の向上を図るものである。
本発明は、釣竿の上側にレバードラグ式リールが取り付けられ、釣竿の下側に左手の親指以外の複数の指を回し、その左手の手のひらをリールの左側面に沿わせつつ左手の親指をリールの上面部に回し、レバードラグ式リールを左手でその左側面から握持しつつ釣竿を支え、右手でハンドル操作を行なう場合、リールの上面部に回した左手の親指によってドラグレバーを操作することに適する小型のレバードラグ式リールの提供と、その操作性の向上を図るものである。
本発明は、この場合、左手の手のひら側の親指と人差指の間の箇所が、リール本体の左側面の上部コーナ部分に当たることにより生じる違和感や損傷等による負担を軽減または防止することにより、魚を釣り上げる際のドラグレバー操作を円滑に行えるレバードラグ式リールを提供するものである。
また、ドラグレバー自体を分厚くする等の強度アップ構成を採用しなくても、強い操作力によってドラグレバーを操作した場合にも、ドラグレバーの揺動が安定した状態で行なえるレバードラグ式リールを提供するものである。
上記では、左手でレバードラグ式リールの側面を握持しつつ、その左手の親指でドラグレバーの操作を行ない、右手でハンドル操作を行なうレバードラグ式リールに於いて記載したが、これを左右反転した構成とすれば、レバードラグ式リールを右手で握持しつつ、右手の親指によってドラグレバーを操作し、左手でハンドル操作を行なう形態とすることができ、この場合でも本発明が有効となる技術を提供するものである。また、サミング操作時においても、レバードラグ式リールの側面を握持した操作者の手の親指の保護ができるレバードラグ式リールを提供するものである。
また本発明は、左手の手のひら側の親指と人差指の間の箇所の負担軽減のみならず、スプールから繰り出された釣り糸の弛み部分がレバードラグ式リールの左側面である第1側板カバーの上面部分に巻き付いた(上面部分に付着する)とき、第1側板カバーからの釣り糸の離脱がスムーズに行なわれるレバードラグ式リールを提供するものである。
更に、ドラグレバーの揺動に伴って発音する発音装置を組み込む場合、発音装置をリール本体の側面に形成した従来のものに比して、部品も少なく構造的にも簡素化され、発音装置が外観部から隠れる状態となり、外観デザインも優れたレバードラグ式リールを提供可能とするものである。
上記のように、レバードラグ式リールは、ハンドルの回転によって釣糸をスプールに巻回し、スプールの釣糸繰り出し方向の回転に対しては、レバーを手動操作することによってドラグ力を与える方式であるが、スプールが左右両側に設けた軸受けで回転可能に支持される構成であるため、レバードラグ式両軸受けリールまたはこれに類する名称で呼ばれが、本発明においては、レバードラグ式リールの呼称で統一することとする。
第1発明は、リール本体に回転自在に支持されたスプールに釣糸を巻き取り操作するハンドル及びドラグ機構のドラグ力を調整するドラグレバーが、前記リール本体の左右両側のうちの一方側に配置されたレバードラグ式リールにおいて、
前記ドラグレバーは、前記ハンドルとは反対側の前記リール本体の他方側の側面を握持した操作者の手の親指で前後方向に揺動操作可能に、前記リール本体の左右両側のうちの前記ハンドル側の側板の上面に覆い被さる状態に配置され、
前記リール本体の他方側の側面を握持した操作者の手のひら側の親指と人差指の間の箇所に対応する前記リール本体の他方側の側面を形成する側板の上後部に、前記リール本体の他方側の側面の中心側から前記リール本体の他方側の側面を形成する側板の外周縁に向かうに従って前記スプール側へ近づくように前記リール本体の他方側の側面を形成する側板の外周面の上後端部に食い込むように削ぎ落とされた傾斜面でもって当接軽減部が形成され、
前記当接軽減部は、レバードラグ式リールが釣竿に取り付けられた状態で、釣竿の軸線と実質的に並行であって前記スプールの軸線と直角に交差する直線であって前記リール本体の他方側の側面内に含まれる直線と、前記リール本体の他方側の側面内に含まれる直線と直角に交差する直線によって、前記リール本体の他方側の側面が上部領域と下部領域に分割されるその上部領域の後部領域で、前記リール本体の他方側の側面を形成する側板の外周面の上後端部から前記スプールの軸線に至る範囲内に、前記スプールの軸線を通り前記リール本体の他方側の側面内に含まれる直線に対し30度±5度〜45度±5度の仰角をなす後方に高い直線の左右に広がる傾斜面である、
ことを特徴とする。
第2発明は、第1発明において、
前記リール本体の他方側の側面は、側面視で円形状をなし、周縁部から中央部に向けて外方へ突出した曲面形状をなし、
前記当接軽減部の傾斜面の端に相当する稜線部分が、前記リール本体の他方側の側面視で、前記後方に高い直線上に位置する中央部ほど前記周縁部から遠くなる形状をなす、
ことを特徴とする。
第1発明では、実釣中に行なわれる釣り糸の巻取り時のハンドル操作を右手で行い、竿を支えた左手の手のひらをリールの左側面に沿わせつつリールの上面部に回した左手の親指によってドラグレバーの操作を行なうタイプでは、本願発明前のものでは、レバードラグ式リールの左側面の上後端部に、左手の手のひら側の親指と人差指の間の箇所が、リール本体の左側面の上部コーナ部分に強く当たり、それによる違和感や損傷を受けるが、本発明では、レバードラグ式リールの左側面の上後端部をスプール側へ向けて削ぎ落とし形成した傾斜面の存在によって、その違和感や損傷を軽減または防止できるため、実釣中のハンドル操作並びにドラグレバー操作を安定して行なうことができるものとなり、実釣効果を上げるために好ましいものとなる。また、釣竿の上下動操作によってスプールから繰り出された釣り糸に生じた弛み部分がレバードラグ式リールの左側面の上面部分に巻き付いた状態(上面部分に付着する状態)となっても、釣り糸が巻き付く(上面に付着する)範囲が当接軽減部の分だけ短くなるため、その巻き付き(付着)状態から容易に開放され易くなり、釣り糸が絡み合う状態を軽減できる効果が得られる。なお、左右反転した構成のレバードラグ式リールにおいても、同様の効果が期待できる。
第2発明は、前記レバードラグ式リールの他方側の側面は、周縁部から中央部に向けて外方へ突出した曲面形状をなし、前記当接軽減部の傾斜面の端に相当する稜線部分が、前記レバードラグ式リールの他方側の側面視で、中央部ほど前記周縁部から遠くなる形状をなすものであり、当接軽減部の傾斜面によって、操作者の左手の手のひらの箇所の当接時の違和感を緩和し、第1発明の効果と同様の効果を奏することができる。
本発明の実施形態に係るレバードラグ式リールを釣り竿に取付けた状態の正面斜視図である。 本発明に係るレバードラグ式リールの内部構造を示す要部断面図である。 本発明に係る第1カムの図であり、(イ)は第1カムの側面図、(ロ)は第1カムの平面図、(ハ)は第1カムのカム面の展開図である。 本発明に係る第2カムの図であり、(イ)は第2カムの平面図、(ロ)は(イ)のB−B断面図である。 本発明に係るレバードラグ式リールの釣り竿の竿先方向に向かって左側の側面図である。 本発明に係るレバードラグ式リールの上面図である。 本発明に係るレバードラグ式リールのドラグレバーの発音装置部分の断面図である。 本発明に係るレバードラグ式リールの釣り竿の竿先方向に向かって左側の側面斜視図である。 本発明に係る当接軽減部を図5の直線KLに直交する中央位置で切断した断面図である。 本発明に係る当接軽減部の中央部を直線KLに沿って断面したレバードラグ式リールを後方から見た左側の部分図である。 釣り糸ガイドの部分を正面から見た図である。 図6のスプール中央部における断面図である。 他の実施例として示す本発明に係るレバードラグ式リールの釣り竿の竿先方向に向かって左側の側面図である。 図13に係る本発明のレバードラグ式リールの平面図である。 図13に係る本発明のレバードラグ式リールの背面図である。 図13に係る本発明のレバードラグ式リールの左側の第1側板カバーを当接軽減部の中央部で切断した断面図である。
本発明は、リール本体に回転自在に支持されたスプールに釣糸を巻き取り操作するハンドル及びドラグ機構のドラグ力を調整するドラグレバーが左右両側のうちの一方側に配置されたレバードラグ式リールにおいて、前記ドラグレバーは、その上端部の操作部が、前記レバードラグ式リールの他方側の側面を握持する操作者の手の親指によって前後方向に揺動操作される位置として、前記スプールの左右両側のフランジ部のうちの一方側のフランジ部を覆う前記リール本体部分の上面に覆い被さる状態に配置され、前記レバードラグ式リールの他方側の側面を握持する操作者の手のひら側の親指と人差指の間の箇所に対応して、前記レバードラグ式リールの他方側の側面の上後部を外周縁に向かうに従って前記スプール側へ近づくように前記外周縁に食い込むように削ぎ落とした傾斜面でもって当接軽減部が形成され、
前記当接軽減部は、レバードラグ式リールが釣竿に取り付けられた状態で、釣竿の軸線と実質的に並行であって前記スプールの軸線と直角に交差する直線と、前記直線に直角に交差する直線とで囲まれた上部の後部領域に形成された、
ことを特徴とするレバードラグ式リールであり、以下にその実施例を記載する。
本発明に係るレバードラグ式リール1は、図1に示すように、その下側部に設けた金属製の取付け脚2を釣竿60の上側部に形成した取付け部61に装着して取り付けられ、その取り付け状態において、多くの使用状態として採用される右側ハンドル操作の場合について説明する。
本発明に係るレバードラグ式リール1は、図1に示すように、釣竿60の竿先に向かって右側に、釣糸62をスプール15に巻き取り操作するハンドル12及びドラグ機構13のドラグ力を調整するドラグレバー14が配置され、操作者のハンドル側の手(右手RH)でハンドル12を操作し、レバードラグ式リール1の反ハンドル側となる左側面に沿わせた操作者の反ハンドル側の手(左手LH)によって、釣竿60を下方から支えると共に左手LHの親指LH1によって、ドラグレバー14を操作可能とする小型のレバードラグ式リール1を構成している。
このレバードラグ式リール1は、ジグと称される錘式のルアーを使用し、釣り竿から釣糸62を略真下へ向けて例えば海中50m乃至それ以上の深さまで垂らして比較的大きな魚を狙うジギング釣りとして好適なものである。
以下、本発明に係るレバードラグ式リール1の構成について更に詳細に記載する。以下の説明において、レバードラグ式リール1の取付け脚2を釣竿60の上側部に形成した取付け部61に装着した状態において、レバードラグ式リール1を後方から釣竿60の竿先に向かって見た状態で、右側及び左側と呼称して説明することとする。
本発明に係るレバードラグ式リール1は、リール本体11と、リール本体11に支持されたスプール軸16に回転自在に支持されたスプール15と、スプール15の釣り糸繰り出し方向回転のドラグ力を調整するドラグ機構13と、ドラグ機構13を介してスプール15を回転駆動する歯車装置GAと、歯車装置GAを回転駆動するハンドル軸を回転させるためのハンドル12と、ドラグ機構13のドラグ力を調整するドラグレバー14を備えている。また、ドラグ機構13は、ドラグ力の強弱調整範囲をプリセットするドラグ調整装置50を備えている。
金属製のリール本体11は、円形状のスプール15の左側面を覆う側面視円形状の左側の第1側板11Aと、第1側板11Aよりも直径が大きく且つ円形状のスプール15の右側面を覆う側面視円形状の右側の第2側板11Bが、複数の連結部11Cにて連結された状態で対向配置された構成を主体部とし、これに第1側板11Aの外側を覆うように第1側板11Aにネジ11Hで固定された側面視円形状の金属製の第1側板カバー11Dと、第2側板11Bの外側を覆うように第2側板11Bにネジ11Gで固定された金属製の第2側板カバー11Eを備えて構成である。ネジ11Hは、操作者の左手LHの手のひらが接触しないように、第1側板カバー11Dの外表面から突出しないように窪みに配置されている。
第1側板カバー11Dの左側面は、操作者の左手LHの手のひらが沿い易いように、周縁部から中央部に向けて左外方へ大きな曲率で突出した曲面11D1をなし、略球面状に膨らんだ丸み形状を呈する。第2側板カバー11Eは、円形状のスプール15の右側面を覆う側面視円形状部分と、金属製のハンドル取り付け部12Tに連結された金属製のメインギア22を収容する部分とを一体形成した金属製の第2側板内カバー11E1と、ハンドル取り付け部12Tを収容する金属製の第2側板外カバー11E2とで構成している。第2側板内カバー11E1がネジ11Gで第2側板11Bに固定されており、第2側板内カバー11E1と第2側板外カバー11E2は、ハンドル取り付け部12Tがメインギア22と連結される部分で連通する状態にネジ11Jで結合されている。なお、第2側板内カバー11E1内のメインギア22を覆うためにギアカバー11E3を備えており、ギアカバー11E3は、外側端が第2側板内カバー11E1に連接し内側端がネジ11Kで第2側板11Bに取り付けられた構成である。
本発明の目的達成のためには、第1側板11Aの直径は操作者の左手LHの手のひらで握持し、且つその状態でドラグレバー14を左手LHの親指LH1で操作することに適する大きさにする必要があるため、後述のように、第2側板11Bの直径よりも小さく形成している。一方、上記のように第2側板内カバー11E1がネジ11Gで第2側板11Bに固定された構成とするのは、リール本体11の主体部の一部である第2側板11Bからネジ11Gを外せば、第2側板カバー11Eが取り外し可能であるため、釣り糸の種類等に合わせるためにスプール15を交換する必要がある場合に適合させるために、第2側板カバー11Eが取り外した状態でスプール15が交換可能となるように構成している。この場合、第2側板11Bの外側面には、第2側板内カバー11E1がネジ11Gで安定的に固定されるためのネジ孔が必要であり、そのネジ孔の確保のために第2側板11Bの直径がある程度必要となる。それ故、小さく形成した第1側板11Aの直径よりも第2側板11Bの直径が大きくなっている。その一つの実施例として、後述のように、第1側板11Aの直径が56mmであり、第2側板11Bの直径が65mmである。
リール本体11には、スプール軸16の左右両側部が、第1側板11Aの一部である第1側板カバー11Dに設けた軸支持部11D2と、第2側板11Bの一部である第2側板カバー11Eに設けた軸支持部11D3に支持されており、それによって、リール本体11に対して金属製のスプール軸16が、回転不能且つスプール軸16の軸方向へ移動可能(左右移動可能)である。実施例では、第2側板カバー11Eの外面部(具体的には第2側板内カバー11E1の外面部)に、スプール軸16と同軸に膨出形成した膨出部11E1Bが形成されており、膨出部11E1Bを貫通してスプール軸16が、その軸方向に移動可能且つ回転不能に延出するように、膨出部11E1Bに軸支持部11D3が形成されている。軸支持部11D2の一部には、スプール軸16から突出した回り止めピン16Pが嵌まり込む溝11D21が形成されており、回り止めピン16Pが溝11D21に嵌まり込んだ状態で、スプール軸16が回転不能且つ軸方向へ移動可能(左右移動可能)である。
釣り糸62を巻き取る金属製のスプール15は、釣り糸62を巻き取る円筒状の小径の糸巻き胴部15Aと、糸巻き胴部15Aの左右両側に設けた円形状の大径のフランジ部15B、15Cを一体形成している。スプール15は、左右両側部が軸受け17A、17Bを介してスプール軸16対して遊転可能に支持されている。この状態で、左側のフランジ部15Bは、リール本体11の第1側板11Aの内側に入り込んだ状態で配置され、右側のフランジ部15Cは、リール本体11の第2側板11Bの内側に入り込んだ状態で配置される。
軸受け17Aは、スプール15の左側の第1凹部に装着されており、スプール軸16に取付けたワッシャ16Wと軸受け17Aとに付勢力が働く4枚の皿バネからなる第1付勢部材27によって、図2で右方向となる内方へ付勢され、スプール15の第1凹部に押し圧されている。軸受け17Bは、スプール15の右側の第2凹部に装着されており、後述の軸受け25との間のスプール軸16の周囲に配置したコイルバネからなる第2付勢部材28によって、スプール軸16の内方(図2で左方)に付勢されている。この第2付勢部材28によって、ドラグフリー状態において、第2摩擦板13Bから第1摩擦板13Aが離間するように、スプール15をスプール軸16の内方(図2で左方)に付勢する。
スプール15は、リール本体11に回転自在に取り付けたハンドル12の回転操作によって、釣り糸62がスプール15に巻き取られる。スプール15は、2号撚り糸(PEラインと称する)の釣糸62を略600mの長さまで安定に巻回できるように、糸巻き胴部15A及び左右両側のフランジ部15B、15Cが形成されている。
ハンドル12は、金属製のハンドルアーム12Bと、ハンドルノブとしてゴムなどの弾力材の握り部12Dを備えており、ハンドル取り付け部12Tにてリール本体11に回転自在に取付けられている。具体的には、ハンドル取り付け部12Tは、第2側板カバー11E内(図示では第2側板外カバー11E2内)に設けた軸受け18A、18Bによって、スプール軸16に平行に金属製のハンドル軸12Aが回転自在に支持され、第2側板カバー11Eを貫通したハンドル軸12Aの外側端部(図示では右側端部)に、ネジ19によってハンドルアーム12Bの基部が固定され、ハンドルアーム12Bの先端部に握り部12Dをハンドルノブ支持軸部12Eによって回転自在に支持している。ハンドルノブ支持軸部12Eは、ハンドルアーム12Bに略直角に交差するように、ハンドルアーム12Bの先端部に固定したハンドルノブ軸12Cに、軸受け20A、20Bを介して握り部12Dと一体の円筒部12D1が回転自在に支持された構成である。これによって、握り部12Dを操作者の右手によって握持した状態で、スプール15へ釣り糸62の巻き取りを行なう場合、ハンドル軸12Aを中心として握り部12Dを釣り糸巻き取り方向(レバードラグ式リール1の右側面視で時計方向)に回転させることに伴って、ハンドルノブ軸12Cを中心として握り部12Dが回転するため、スプール15へ釣り糸62の巻き取りを連続して行なうことができる。
ハンドル12は、スプール15へ釣り糸62を巻き取る方向(正方向回転という)へは回転できるがその逆方向回転はできないようにするために、第2側板カバー11E内(具体的には第2側板外カバー11E2内)において、軸受け18A、18B間にワンウェイクラッチ21が設けられている。ワンウェイクラッチ21は周知の構成であり、第2側板カバー11E側のアウターハウジングと、ハンドル軸12A側のインナーハウジングとの間に介在したローラの作用によって、ハンドル軸12Aが前記正回転方向のみ許容される周知の仕組みである。このため、ハンドル12の正方向回転によってハンドル軸12Aが正方向回転し、後述のドラグ機構13を介してスプール15が釣り糸62を巻き取る方向へ回転する。一方、釣り糸62の繰り出しによってスプール15が繰り出し方向回転(釣り糸62を巻き取る方向とは逆方向の回転)する場合、その回転が後述のドラグ機構13及びメインギア22等を介してハンドル軸12Aへ伝達されるが、ワンウェイクラッチ21の作用によってハンドル軸12Aは回転せず、従ってハンドル12も逆方向回転(釣り糸62を巻き取る方向とは逆方向の回転)しないように動作する。
ハンドル12の正方向回転をスプール15へ伝達するために、ハンドル軸12Aの左端部に固定したメインギア22に噛み合うように金属製のピニオンギア23を備えている。軸受け24は、周知のボールベアリング型式の軸受けであり、その外輪が第2側板カバー11E内の凹部に装着され内輪がピニオンギア23の外周の外側端部に装着されており、それによって、ピニオンギア23が第2側板カバー11E内に回転自在に支持され、ピニオンギア23は、スプール軸16に対しては回転自在且つスプール軸16が軸方向移動自在なるように装着されている。この状態で、スプール軸16の軸方向移動は許容するが、メインギア22の回転に伴ってピニオンギア23が回転する関係である。また、ピニオンギア23の内側端部には、後述のドラグ機構13の第2摩擦板13Bと一体の取付け板13B1の内周部分が嵌合し、ピニオンギア23と第2摩擦板13Bが一体化されている。
ドラグ機構13は、回転しないスプール軸16に回転自在に装着されたスプール15に釣り糸62を巻き取る場合、巻き取り操作するハンドルの回転をスプール15に伝達するための回転伝達力の強弱を調整すると共に、スプール15の釣り糸繰り出し方向回転に制動力を加え、この制動力を調整し、また変更するためのものである。
このためドラグ機構13は、ドラグ力の強弱を揺動動作にて調整する金属製のドラグレバー14と、スプール15と共に回転するようにスプール15の一側面であるハンドル側(図示では右側)の円形状のフランジ部15Cの側面に固定した円板状の第1摩擦板13Aと、第1摩擦板13Aに当接可能に対峙しハンドル12の回転に伴って回転する円板状の第2摩擦板13Bと、スプール軸16に対してスプール15をスプール軸16の軸方向(ハンドル側となる図示では右側)に向けて付勢する4枚の皿バネからなる第1付勢部材27と、ドラグフリー状態で第2摩擦板13Bから第1摩擦板13Aが離間するようにスプール15をスプール軸16の軸方向(反ハンドル側となる図示では左側)に付勢するコイルバネからなる第2付勢部材28と、ドラグレバー14の揺動動作にてスプール軸16の軸方向移動を制御するカム機構30と、ドラグレバー14の揺動によるドラグ力の強弱調整範囲を予め所定の範囲に設定する(プリセットという)ドラグ調整装置50とを備えている。これによって、ドラグレバー14の揺動動作にて第1摩擦板13Aと第2摩擦板13Bとの摩擦係合力(ドラグ力)の強弱が調整され、スプール15の釣り糸繰り出し方向回転に加える制動力が調整される。
なお、第1付勢部材27の付勢力(バネ力)は、第2付勢部材28の付勢力(バネ力)よりも大きく設定されている。また、第1付勢部材27と第2付勢部材28によって、スプール15の自由回転時のガタツキを防止している。
第2摩擦板13Bは、スプール軸16に対して、ピニオンギア23の回転に伴って回転するが、スプール軸16が軸方向へ移動しても移動しないように移動不能且つ回転可能である。このため、第2摩擦板13Bは、軸受け25を介してスプール軸16に遊転可能に支持され且つスプール軸16の移動自在に支持される。この軸受け25は、周知のボールベアリング型式であり、その外輪が第2摩擦板13Bの凹部に装着され、内輪がスプール軸16に遊嵌されている。これによってスプール軸16に対して、ピニオンギア23と共に第2摩擦板13Bが回転自在であり、且つスプール軸16はその軸方向移動自在である。
第2側板カバー11Eの外面部(具体的には第2側板内カバー11E1の外面部)に、スプール軸16と同軸に膨出形成した膨出部11E1Bは、スプール軸16のピニオンギア23よりもハンドル12側へ延出する部分を取り囲んで二段階に膨出形成されており、その二段階の二段目を貫通してスプール軸16がその軸方向に移動可能に延出するように、軸受け部11D3で支持されている。
ドラグレバー14は、第2側板カバー11Eの外面部(具体的には第2側板内カバー11E1の外面部)の膨出部11E1Bに揺動自在(回動自在ともいう)に支持されている。具体的には、ドラグレバー14の基部に形成した円筒状の支持部14Aが、膨出部11E1Bの一段目の円筒状外面に揺動自在(回動自在ともいう)に組み合わされ、支持部14Aの内周の一部に形成した環状の係止部14Bが、膨出部11E1Bの二段目の外周面に取り付けたC形リングまたはE形リングの抜け止め部材141によって抜け止め保持されている。この状態でドラグレバー14は、第2側板内カバー11E1に対してスプール軸16を中心として揺動自在(回動自在ともいう)に保持される。なお、ドラグレバー14の揺動(回動ともいう)範囲は、略130度である。
カム機構30は、ドラグレバー14側の第1カム31と、第1カム31に噛み合うリール本体11側の第2カム32とで構成される。第1カム31は、環状の係止部141の外側面に沿って配置され、筒状の膨出部11E1Bを取り囲むように円筒状の支持部14Aの内側に回り止め状態に取り付けた傾斜カムである。第1カム31は傾斜カムと称するように、ハンドル12側へ向けて徐々に高く傾斜した円弧状のカム面31Aを形成している。製作のし易さ、取り付けのし易さ、ドラグ動作の安定化のために、第1カム31は図3に示すように円形状リングをなし、カム面31Aは、スプール15の軸線16Sを中心とした半径方向の対称位置に形成された対称カム面31Aの構成であり、この対称のカム面31Aは、ハンドル12側から見て反時計回りに傾斜が徐々に強くなる(ハンドル12側へ近づくように高くなる)形状である。これによって第1カム31は、スプール軸16を中心としてドラグレバー14と共に揺動(回動)する。なお、第1カム31は、支持部14Aの内側に支持部14Aと一体形成でもよい。
第2カム32は、第1カム31に対向配置したリール本体側カムであり、第1カム31のカム面31Aと相互摺動するカム部32Aを備えている。膨出部11E1Bの二段目の外周は、図示の六角形のような多角形部11E1B6を備え、第2カム32は、図4に示すように、この多角形部11E1B6に嵌合する内周面32B1とドラグレバー14の支持部14Aの先端部分の円形状の内周面に沿う円形状の外周面とを形成した環状のカム体32Bと、カム体32Bのスプール軸16を中心とした半径方向の180度対称位置で外方へ突出するように取付けた棒状の突起カム形態のカム部32Aとで構成されている。
カム機構30として、第1カム31と第2カム32のいずれか一方が傾斜カム形態であり、他方が突起カム形態である技術は、例えば、特開平11−155442号公報で公知であるため、この基本的な技術のみは新規技術ではないが、安定動作を達成するための構成については、本発明によって新規に得られたものである。
これによって、第2カム32は、膨出部11E1Bの多角形部11E1B6に回転不能状態で且つスプール軸16の軸方向へ移動可能状態であり、ドラグレバー14は、スプール軸16の軸方向へ移動不能状態であって第2カム32に対して揺動(回動)自在である。
第1カム31のカム面の具体的な構成を図3の(イ)〜(ハ)に示す。図3の(イ)は第1カム31の側面図、図3の(ロ)は第1カム31の平面図、図3の(ハ)は第1カム31のカム面31Aの展開図である。これらの図において、スプール軸16の軸線16Sを中心とした半径方向の180度対称位置であるP及びQの範囲に、同じ形状でカム面31Aが形成されている。Aの範囲が平坦カム面であり、Bの範囲がきつい傾斜の第1傾斜カム面であり、Cの範囲が緩い傾斜の第2傾斜カム面であり、Dの範囲が更に緩い傾斜の第3傾斜カム面である。第2カム32のカム部は、図4の(イ)(ロ)に示すように、第2カム32の180度対称位置に設けた突起カム形態のカム部32Aが、P及びQの範囲でカム面31Aと相互摺動する。
ドラグレバー14を手動操作することによって、ドラグ機構13の摩擦係合力(ドラグ力)の強弱を調整するが、その場合のドラグ力の強弱調整範囲の初期設定は、ドラグ調整装置50によって行なわれる。ドラグ調整装置50は、ドラグレバー14を揺動自在(回動自在ともいう)に支持する膨出部11E1Bの先端の多角形部11E1B6よりも、ハンドル12側へ延出するスプール軸16の先端部分に形成した雄ネジ16Aと、この雄ネジ16Aに螺合する雌ネジ51Aを内側に形成した有底円筒状をなし第2カム32に相対回転可能に当接したドラグ調整部材51を備えている。
ハンドル12側から見て、ドラグ調整部材51を時計回りに回動させることにより第2付勢部材28が圧縮されつつ、雌ネジ51Aと雄ネジ16Aの螺合長さが長くなり、スプール軸16がスプール15を伴ってハンドル12側(図2で右側)へ僅かに移動し、ドラグ力が僅かに強くなるドラグ力強設定状態となる。また、ハンドル12側から見て、ドラグ調整部材51を反時計回りに回動させることにより第2付勢部材28の圧縮が弱まり、雌ネジ51Aと雄ネジ16Aの螺合長さが短くなり、スプール軸16がスプール15を伴ってハンドル12側から離れる方向(図2で左側)へ僅かに移動し、ドラグ力が僅かに弱くなるドラグ力弱設定状態となる。このようにドラグ調整装置50によって、ドラグ力の強弱調整範囲の初期設定がなされる。
ドラグ調整装置50にて一つの調整範囲に設定した場合、図2のスプール軸16の軸線16Sより上半分は、第1摩擦板13Aと第2摩擦板13Bの当接力が強い状態、即ちドラグ機構13による強ドラグ状態を示すものであり、図2のスプール軸16の軸線16Sより下半分が、第1摩擦板13Aと第2摩擦板13Bが離間した状態、即ちドラグ機構13によるドラグ力がゼロ状態のフリー状態を示すものである。
第1摩擦板13Aと第2摩擦板13Bとの当接力の強弱が調整されることにより、ドラグ力が調整されるため、この動作を安定させるために、第1摩擦板13Aは耐熱性と耐磨耗性を備えたコルク、合成樹脂等で構成された僅かに弾性を備えたドーナツ状ディスクである。また、第2摩擦板13Bはステンレス等の金属製または耐摩耗性に優れた合成樹脂製の円盤状である。
ドラグレバー14の揺動によってドラグ力を調整する場合について説明する。ドラグレバー14をドラグフリーの状態とするためには、ドラグレバー14を図1のR方向(手前側、反時計回り)いっぱいまで(スタート位置まで)揺動(回動)する。これによって、第2カム32の180度対称位置に設けたそれぞれのカム部32Aが、第1カム31のカム面31Aの180度対称位置に設けたそれぞれのAの範囲(ドラグレバー14の揺動(回動)角度が10度の範囲)に位置し、第2付勢部材28の付勢によってスプール軸16がスプール15を伴って図2の左方向へ移動させるため、それによって第1摩擦板13Aが図2の左方向へ移動し、第1摩擦板13Aが第2摩擦板13Bから離れた状態となる。これは、釣糸62を竿先方向へ引っ張る作用に対してドラグ力は掛からないゼロの状態である。即ち、スプール15の釣り糸繰り出し方向回転に対して、ドラグ機構13によるドラグ力が掛からない状態となり、スプール15が自由回転状態となるため、キャスティングを行なえる状態となる。
このAの状態からドラグレバー14を図1のF方向(前方、時計回り)へ揺動(回動)することにより生じる相対運動によって、第2カム32の180度対称位置に設けたそれぞれのカム部32Aが、第1カム31のカム面31AのAの範囲からカム面31AのBの範囲へ移行し、180度対称位置に設けたそれぞれのBの範囲(ドラグレバー14の揺動(回動)角度が20度の範囲)のカム面を第2カム32のカム部32Aが登ることにより、第2カム32が図2の右方向へ移動し、それに伴ってドラグ調整部材51が図2の右方向へ移動するため、ドラグ調整部材51によってスプール軸16が第2付勢部材28の付勢に抗してハンドル12側(図2で右側)へ引き寄せられて移動し、それに伴ってスプール15も第1付勢部材27を介して同じ方向へ移動する。このため、それぞれのカム部32Aがカム面31AのBの範囲の略中間位置から第1摩擦板13Aが第2摩擦板13Bに当接し、ドラグ力が掛かり始める状態となり、且つ、ハンドル12の回転によってスプール15が釣り糸62を巻き取り方向へ回転可能となる。
この当接が始まった状態から更にドラグレバー14を図1のF方向(前方、時計回り)へ揺動(回動)することにより、第2カム32の180度対称位置に設けたそれぞれのカム部32Aが第1カム31のカム面31AのCの範囲へ移行し、180度対称位置に設けたそれぞれのCの範囲(ドラグレバー14の揺動(回動)角度が70度の範囲)のカム面を第2カム32のカム部32Aが登ることにより、第2カム32が図2の右方向へ移動し、それに伴ってドラグ調整部材51が図2の右方向へ移動するため、上記同様にドラグ調整部材51によってスプール軸16及びスプール15がハンドル12側(図2で右側)へ引き寄せられて移動し、第1摩擦板13Aが第2摩擦板13Bに当接する当接力が徐々に強くなる。即ち、ドラグ力が徐々に強くなる。
Bの範囲のカム面の傾斜をCの範囲のカム面の傾斜よりも強くしているのは、Aの範囲のドラグフリーの状態から速やかにドラグ作用開始状態へ移行できるようにするためであり、Bの範囲のカム面の傾斜の中間位置からドラグ作用が開始し、それ以降はCの範囲のカム面の傾斜に沿ってドラグ力が徐々に強くなるようにしている。
Cの範囲を越えてドラグレバー14を図1のF方向(前方、時計回り)へ揺動(回動)することにより、第2カム32のカム部32Aが第1カム31のカム面31AのCの範囲からDの範囲へ移行し、Dの範囲(ドラグレバー14の揺動(回動)角度が30度の範囲)のカム面を第2カム32のカム部32Aが登ることにより、第2カム32が図2の右方向へ移動し、それに伴ってドラグ調整部材51が図2の右方向へ移動するため、上記同様にドラグ調整部材51によってスプール軸16及びスプール15がハンドル12側(図2で右側)へ引き寄せられて移動し、第1摩擦板13Aが第2摩擦板13Bに当接する当接力が更に強くなる。Dの範囲の最終部がドラグレバー14の揺動(回動)動作の終点であり、このときドラグ力が最大となる。
また、ドラグレバー14を図1のR方向(手前側、反時計回り)へ揺動(回動)することによって、第2カム32のカム部32Aが第1カム31のDの範囲、Cの範囲、Bの範囲を順次経ることに伴って、第1摩擦板13Aが図2の左方向へ移動してドラグ力が徐々に弱まる。
上記のように、ドラグレバー14のF方向(前方、時計回り)、R方向(手前側、反時計回り)への揺動(回動)動作によって、ドラグ力の強弱を調整できるため、実釣中のハンドル12の操作並びにドラグレバー14の操作を適宜行なうことにより、実釣効果を得ることができる。
そして、第2カム32の180度対称位置に設けたそれぞれのカム部32Aが、第1カム31の180度対称位置に設けたそれぞれのAの範囲に位置したとき、上記のように、第1摩擦板13Aが図2の左方向へ移動して、第1摩擦板13Aが第2摩擦板13Bから離れた状態となるため、釣糸62を竿先方向へ引っ張る作用に対してドラグ力は掛からないゼロの状態である。
上記の記載から明らかなように、第2カム32のカム部32Aが第1カム31のAの範囲に位置した状態では、スプール15は、ドラグ機構13との連繋やハンドル取り付け部12Tを含むハンドル12側との連繋も外れた状態であるため、スプール15の釣り糸繰り出し方向回転に対して殆んど抵抗がない状態となる。この状態で、キャスティングを行なう、即ち、ジグと称される錘式のルアーを使用した釣り糸62を釣り竿60から略真下へ向けて、例えば海中50m乃至それ以上の深さまで垂らした後、ドラグレバー14を図1のF方向(前方、時計回り)へ揺動(回動)することにより、上記のように、ドラグ機構13が作動してドラグが掛かる。このため、ドラグレバー14のF方向(前方、時計回り)・R方向(手前側、反時計回り)への揺動(回動)動作と、ハンドル12の回転操作とを適宜行うことによって、釣り糸62を所望の状態に繰り出した状態にて実釣動作を行なうことができる。
レバードラグ式リール1は、図1に示すように、その下側部に設けた金属製の取付け脚2を釣竿60の上側部に形成した取付け部61に装着して取り付けられ、その取り付け状態において、レバードラグ式リール1の左側面に沿わせた操作者の左手LHの中指や薬指などによって釣竿60を下方から支えると共に、その左手LHによってレバードラグ式リール1を握持し、左手LHの親指LH1によってドラグレバー14を操作可能とし、操作者の右手RHでハンドル12を操作可能とする構成である。また、左手LHの親指LH1は、ドラグレバー14から離した状態で、釣り糸62がスプール15へ略均等状態に巻き取られるように釣り糸62を案内するように操作することができる。
このためのレバードラグ式リール1の好ましい形態の一つとして、図に示すように、スプール15の大きさは、左右フランジ部15B、15Cの直径が49mm、糸巻き胴部15Aが直径20mm、左右フランジ部15Bと15Cの間隔が24mmである。また、第1側板11Aと第2側板11Bの間隔は26mmであり、第1側板11Aの直径は56mmの円形状であり、右側の第2側板11Bの直径は65mmの円形状であり、左側の第1側板カバー11Dの直径は56mmの円形状であり、第1側板11Aの厚さは7mm、第1側板カバー11Dの厚さはスプール軸16の軸線16S上で14mmである。これによって、レバードラグ式リール1の左側面に沿わせた操作者の左手LHの中指や薬指などによって釣竿60を下方から支えると共に、その左手LHによってレバードラグ式リール1を握持し、操作者の右手RHでハンドル12が操作可能であると共に、左手LHの親指LH1によってドラグレバー14の前後方向への揺動操作が簡単に行なえるものとなる。
レバードラグ式リール1の左側面の上後端部には、レバードラグ式リール1の操作者の左手LHの手のひら側の親指LH1と人差指LH2の間の箇所の当接軽減部80として、側面視円形状の左側の第1側板11Aの外面の一部を削ぎ落とした傾斜面を形成している。当接軽減部80は、図1、図5、図6及び図8〜図10に示すように、側面視円形状の左側の第1側板11Aの一部をなす第1側板カバー11Dの外周面の上後端部に食い込むように、レバードラグ式リール1の左側面となる第1側板カバー11Dの左側面には、第1側板カバー11Dの左側面の内方(中心側)から外周縁11DSに向かうに従って前記スプール側へ近づくように外周縁11DSに食い込む状態に削ぎ落とした傾斜面にて形成されている。この当接軽減部80の傾斜面は、第1側板カバー11Dの左側面の内方(中心側)から外周縁11DSに向かうに従ってスプール15側へ近づくように削ぎ落とした傾斜面にて形成され、図9及び図10に実線断面で示すような平面状の傾斜のみならず、図9に点線80Kで示すような凹曲面で形成される。
当接軽減部80の傾斜面は、図5に示すように、レバードラグ式リール1が釣竿60に取り付けられた状態で、側面視において、スプール軸16の軸線16Sと直角に交差し実質的に釣竿60の軸線60Sと平行である直線SLによって、レバードラグ式リール1の左側面が上部領域1S1と下部領域1S2に分割されるその上部領域1S1の後部領域に形成された構成である。
その一つは、図5に示すように、当接軽減部80の傾斜面は、側面視において、実質的に、釣竿60の軸線60Sと並行であってスプール軸16の軸線16Sと直角に交差する直線SLと、直線SLに直角に交差する直線SYとで囲まれた上部の後部領域1S11に形成された構成である。このため、当接軽減部80の傾斜面は、操作者の左手LHの手のひら側の親指LH1と人差指LH2の間の箇所の当接時の違和感を緩和する主体部分が、後部領域1S11に形成されればよく、側面視において、左右の部分がこの後部領域1S11から若干はみ出しても、本発明の趣旨から逸脱しない。
一つの実施形態として、第1側板カバー11Dの左側面は、側面視形状が円形状をなしており、操作者の左手LHの手のひらが沿い易いように、周縁部から中央部に向けて左外方へ略均等に突出した球面状等の曲面をなしており、当接軽減部80の傾斜面は、図5等に示すように、レバードラグ式リール1の側面において、直線SLに対する仰角αが実質的に40度の角度を成す後方に高い直線KLをセンター軸として、このセンター軸線KL上で、実質的に、第1側板カバー11Dの外周面11DSのうちの上後端部11DTからスプール15の軸線16S(スプール軸16の軸線16Sと同じ)に至るTOの範囲内に形成している。傾斜面でもって形成される当接軽減部80は、直線KLの線に沿って第1側板カバー11Dの左側面の内方(中心側)から外周縁11DSに向かうに従ってスプール15側へ近づくように削ぎ落とした傾斜面にて形成され、図9に実線で示すような直線KLの左右両側へ広がる平面状の傾斜のみならず、図9に点線80Kで示すような直線KLの線上が最も深く直線KLの左右に湾曲した凹曲面で形成される。
この場合、直線SLに対する仰角αが実質的に40度の角度は、直線SLと30度±5度〜45度±5度の仰角に範囲であれば本発明の目的を達成できるものである。図示の実施例では直線SLに対する仰角αが40度の角度を成す直線KLを示している。そして、図9及び図10に実線で示すような直線KLの左右両側へ広がる平面状の傾斜面のみならず、図9に80Kの点線で示すような直線KLの線上が最も深く直線KLの左右に湾曲した凹曲面で形成される傾斜面によって、当接軽減部80が形成されることによって、本発明の好ましい効果を達成できる。この場合、当接軽減部80の傾斜面が図9に実線で示すような直線KLの左右両側へ広がる平面状の傾斜面である場合は、直線KLの線上でのスプール軸16の軸線16Sに対する傾きβが鋭角であり、図9に80Kの点線で示すような凹曲面で形成される場合は、直線KLの線上でのスプール軸16の軸線16Sに対する傾きβが鋭角である。なお、第1側板カバー11Dの左側面における当接軽減部80の傾斜面の端に相当する稜線80S部分は、エッジを形成するのではなく、曲面でもって第1側板カバー11Dの左側面に収斂しているため、操作者の左手LHの手のひら側の親指LH1と人差指LH2の間の箇所の当接時の違和感が緩和されるものとなる。
図10には、第1側板カバー11Dは、直径が56mm、厚さ14mm、外周面11DSの幅が9mmで、スプール軸16の軸線16S上が最も外方へ張り出すように79mmの半径で第1側板カバー11Dの曲面11D1が形成され、仰角αが40度で、スプール軸16の軸線16Sから18mm上方位置から傾きβが50度でもって当接軽減部80の傾斜面を形成している。この場合、直線KL上での当接軽減部80の傾斜面の幅は約10mmである。この形態によって、レバードラグ式リール1の左側面を握持する操作者の左手の手のひら側の親指と人差指の間の箇所は、当接軽減部80によってレバードラグ式リール1の左側面上後部から外周縁に向かう部分への当接が緩和され、左側面を握持する左手の違和感や損傷を軽減または防止できることとなり、実釣中のハンドル操作並びにドラグレバー操作を安定して行なうことができるものとなり、実釣効果を上げるために好ましいものとなる。
図13〜図16は、本発明に係るレバードラグ式リール1の他の実施例を示すものであり、第1側板カバー11Dの外周面の上後端部からスプール軸16の軸線16Sに至る範囲TOに亘って当接軽減部80の平坦な傾斜面が形成されたものである。この場合、直線SLに対する仰角αは40度であり、直線KLの線上でのスプール軸16の軸線16Sに対する鋭角の傾きβは、75度に形成されている。これらの図において、当接軽減部80の傾斜面は、第1側板カバー11Dの左側面における傾斜面の端に相当する稜線80S部分で後部領域1S11から若干はみ出した状態であるが、操作者の左手LHの手のひら側の親指LH1と人差指LH2の間の箇所の当接時の違和感を緩和する主体部分が、直線KLをセンター軸として、実質的に、第1側板カバー11Dの外周面の上後端部11DTからスプール15の軸線16S(スプール軸16の軸線16Sと同じ)に至るTOの範囲内において、後部領域1S11に形成されたものであり、本発明の趣旨から逸脱するものではない。
第1側板カバー11Dで覆われた内側には、スプール軸16の軸支持部11D2や、スプール15に対する後述のブレーキ装置や、スプール15の回転をロックする後述のロック装置等の種々の機構部が設けられているため、当接軽減部80の傾斜面をあまり広い範囲としたり、スプール15側に近づく傾斜を深くし過ぎると、これらの機構部へ悪影響を及ぼすこととなるため、それを防止するために第1側板カバー11Dを左方への張り出しが大きいものにする必要が生じる。第1側板カバー11Dが左方への張り出しが大きくなれば、左手LHの親指LH1によってドラグレバー14を操作し難くなる。この点を考慮すれば、当接軽減部80の傾斜面は、第1側板カバー11Dの外周面の上後端部からスプール軸16の軸線16Sに至る範囲TOのうち、第1側板カバー11Dの外周面の上後端部11DTから略三分の一乃至二分の一までの範囲に形成するのが好ましい。この場合、当接軽減部80の傾斜面は、後部領域1S11からはみ出すことがあっても、実質的に機能する当接軽減部80の部分が後部領域1S11に存在すれば、本発明が目的とする当接軽減部80の作用が達成できるため、本発明の趣旨から逸脱するものではない。
なお、当接軽減部80の傾斜面は、平坦面のみならず、それに類する若干の内方へ窪んだ凹面に形成することによって、操作者の左手LHの手のひら側の親指LH1と人差指LH2の間の箇所との接触感覚が良好な操作性に優れ、且つ外観的に優れたレバードラグ式リール1を提供できる。当接軽減部80の傾斜面は、加工のし易さでは平坦面が好ましいが、若干内方へ窪んだ凹面形状に形成できればそれでもよい。なお、リールを握持した左手の違和感がないような若干外方へ膨らんだ凸面に形成することも可能である。
当接軽減部80の形成は、操作者の左手LHの手のひら側の親指LH1と人差指LH2の間の箇所への負担軽減のみならず、スプール15から繰り出された釣り糸62の弛み部分がレバードラグ式リール1の左側面である第1側板カバー11Dの上面部分に巻き付いた(上面部分に付着する)とき、第1側板カバー11Dからの釣り糸62の離脱がスムーズに行なわれる効果が得られる。
即ち、ジグと称される錘式のルアーを海中に垂らして釣り糸62の長さ調整を行なう実釣開始時の釣竿60の上下動操作や、実釣中に釣り糸62を巻き上げる際の釣竿60の上下動操作等において、スプール15から繰り出された釣り糸62に弛み部分が生じた場合、その弛み部分が第1側板カバー11Dの前周囲への巻き付きではないが、第1側板カバー11Dの上面部分に巻き付いた状態(上面部分に付着する状態)となる場合がある。これは、右側の第2側板11Bの直径よりも左側の第1側板カバー11Dの直径が小さいために、釣り糸62に弛み部分は第2側板11Bよりも第1側板カバー11Dの上面に巻き付いた状態(上面部分に付着する状態)となり易いためである。
当接軽減部80が存在しない場合は、第1側板カバー11Dの上面に釣り糸62が巻き付く(上面に付着する)範囲が長く、その巻き付き(付着)状態から容易に開放され難いが、当接軽減部80が存在することによって、第1側板カバー11Dの上面に釣り糸62が巻き付く(上面に付着する)範囲が当接軽減部80の分だけ短くなるため、その巻き付き(付着)状態から容易に開放され易くなり、釣り糸62が第1側板カバー11Dの上面から簡単に外れる効果が得られる。特に釣り糸62が水濡れしている状態では、その巻き付き(付着)状態が強くなるが、巻き付く(上面に付着する)範囲が当接軽減部80の分だけ短くなるため、その巻き付き(付着)状態から容易に開放される状態となる。
上記の実施例では、レバードラグ式リール1が釣竿60の上側に取り付けられ、釣竿60の竿先に向かって右側に、釣糸62をスプール15に巻き取り操作するハンドル12及びドラグ機構13のドラグ力を調整するドラグレバー14が配置され、レバードラグ式リール1の左側面に沿わせた操作者の左手の手のひら側の親指と人差指の間の箇所の当接軽減部80として、レバードラグ式リール1の左側面の上後端部をその左側面の外周縁に向かうに従ってスプール15へ近づくようにハンドル12側へ向けて削ぎ落とした傾斜面とした構成である。
しかし、レバードラグ式リール1の構成を左右反転した状態に構成することは容易にできる。即ち、レバードラグ式リール1が釣竿60の上側に取り付けられ、釣竿60の竿先に向かって左側に、釣糸62をスプール15に巻き取り操作するハンドル12及びドラグ機構13のドラグ力を調整するドラグレバー14が配置され、レバードラグ式リール1の右側面に沿わせた操作者の右手の手のひら側の親指と人差指の間の箇所の当接軽減部80として、レバードラグ式リール1の右側面の上後端部をその右側面の外周縁に向かうに従ってスプール15へ近づくようにハンドル12側へ向けて削ぎ落とした傾斜面とした構成とすることは容易にできる。
上記からして、本発明は、釣竿60の上側に取り付けられ、リール本体11に回転自在に支持されたスプール15に釣糸62を巻き取り操作するハンドル12及びドラグ機構13のドラグ力を調整するドラグレバー14が左右両側のうちの一方側に配置されたレバードラグ式リール1において、ドラグレバー14は、その上端部の操作部14Dがレバードラグ式リール1の他方側の側面を握持する操作者の手の親指によって前後方向に揺動操作される位置として、スプール15の左右両側のフランジ部のうちの一方側のフランジ部を覆うリール本体11の部分の上面に覆い被さる状態に配置され、レバードラグ式リール1の他方側の側面を握持する操作者の左手の手のひら側の親指と人差指の間の箇所の当接軽減部80として、レバードラグ式リール1の他方側の側面上後部を外周縁に向かうに従ってスプール15側へ近づくように削ぎ落とした傾斜面としたレバードラグ式リール1である。
後述のように、実釣開始時に、スプール15から繰り出される釣り糸62をスプール15の上部から操作者の左手LHの親指LH1で押し圧することにより、釣り糸62の繰り出しを抑制するサミング操作を行なう際、左手LHの親指LH1の内側部分が、スプール15の左フランジ部15B側となる第1側板11Aの内側コーナ部分に強く当たり、サミング操作時に違和感があり、また損傷することが懸念される。本発明は、これを防止するために、リール本体11のスプール15側となる第1側板11Aの内側コーナ部分に、スプール15側に向けて斜めに切り欠いて、左手LHの親指LH1の内側部分との接触緩和用切り欠き100を形成している。この接触緩和用切り欠き100は、第1側板11Aの内側コーナ部分のうち当接軽減部80に対応する位置であり、これによって左手LHの親指LH1の内側部分が受けるサミング操作時の違和感や損傷を軽減または防止できるものとなる。図示の実施例では、図8及び図10に示すように、接触緩和用切り欠き100は、第1側板11Aの厚さ7mmの内側半分が、スプール軸16の軸線16Sに向かって45度±5度の角度でスプール15側に向けて斜めに切り欠かれた構成である。この切り欠き面は平坦面が加工がし易いが、上から下に向かった若干の凹面または凸面であってもよい。
また、本発明では、操作者の左手LHの親指LH1によるドラグレバー14の操作性の向上等のために、スプール15の右側のフランジ部15Cを覆う第2側板11B部分の円弧状の上面には、その上面に沿ってドラグレバー14の上端部が覆い被さる状態で揺動自在に嵌まり込む円弧状溝部70を形成している。具体的構成として、操作者の左手LHの親指LH1がドラグレバー14の上端部を操作し易いようにするために、ドラグレバー14の一部をなすようにドラグレバー14の上端部の操作部14Dとして、合成樹脂製の親指タッチ部材14Dを取り付けており、この操作部14Dから下方へ突出した突起部14D1が、円弧状溝部70に沿って移動可能に嵌まり込んだ構成である。ドラグレバー14を前方に押すために、操作部14Dの上面後部分には、親指LH1が嵌り合う凹部14D2が形成され、ドラグレバー14を後方へ戻すために、操作部14Dの上面前部分には親指LH1が嵌り合う凹部14D3が形成されている。これによって、操作者の左手LHの親指LH1が凹部14D2に嵌り合った状態で、ドラグレバー14の上端部を強く前方に押し、また操作者の左手LHの親指LH1が凹部14D3に嵌り合った状態で、強く後方へ引き戻す操作を行っても、突起部14A1が円弧状溝部70に沿った移動を行うため、ドラグレバー14の前後揺動操作を安定して行えるものとなる。
ドラグレバー14の前後揺動操作位置を操作者に音で認識させるためと、ドラグレバー14の揺動を段階的に行えるようにするために、発音装置65を設けている。発音装置65は、円弧状溝部70の底面に球面状の窪み66が円弧状溝部70の長さ方向に等間隔で形成され、突起部14A1の下端からこの窪み66へ向けて先端球面状部が突出するようにバネ68で付勢された進出体67によって構成されている。進出体67は、図示のように棒状でもよいが、球状体でもよい。
これによって、ドラグレバー14の揺動に伴って窪み66に対して進出体67が順次進入脱出動作を行うため、その都度発音することとなり、ドラグレバー14の前後揺動操作位置を操作者が音で認識できる。また、窪み66に対して進出体67が進入する度に、ドラグレバー14の揺動が断続的に抵抗を受けることとなり、ドラグレバー14の揺動が段階的動作となり、ドラグレバー14の揺動操作を安定して行えるものとなる。
また、レバードラグ式リール1の右側に配置されるドラグ調整部材51の回動位置を操作者に音で認識させるためと、ドラグ調整部材51の回動を段階的に行えるようにするために、図2に示すように、発音装置95を設けている。発音装置95は、ドラグ調整部材51に対向するカム体32Bの外側面に、球面状の窪み96が円形状に等間隔で形成され、ドラグ調整部材51からこの窪み66へ向けて、先端球面状部が突出するようにバネ98で付勢された進出体97によって構成されている。進出体97は、図2に拡大で示すように球状体でもよいが、棒状でもよい。
これによって、ドラグ調整部材51の回動に伴って窪み96に対して進出体97が順次進入脱出動作を行うためその都度発音することとなり、ドラグ調整部材51の回動位置を操作者が音で認識できる。また、窪み96に対して進出体97が進入する度に、ドラグ調整部材51の回動が断続的に抵抗を受けることとなり、ドラグ調整部材51の回動が段階的動作となり、ドラグ調整部材51の回動操作を安定して行えるものとなる。
レバードラグ式リール1の左側に、釣り糸62の繰り出しに伴うスプール15の回転にブレーキを掛けるブレーキ装置75を備えている。具体的には、図2に示すように、第1側板11A内にブレーキ装置75が収容され、ブレーキ装置75の操作部76が第1側板11Aの一部である第1側板カバー11Dの左側面の前上部に露出状態で配置されている。ブレーキ装置75は、スプール15の左側面に対し離れる方向へコイルバネ78にて付勢された作動体77と、第1側板11A内に回動自在に軸支持76Aされ、コイルバネ78に抗して作動体77をスプール15のフランジ部15Bの外側面へ押し圧する操作部76を備えている。
通常、コイルバネ78の付勢によって作動体77はスプール15の側面から離れた状態である。これと共に操作部76の一部は、コイルバネ78によって外方へ付勢された作動体77によって、第1側板カバー11Dの外に露出状態である。実釣の最初に行なうキャスティングとして、ジグと称される錘式のルアーを使用した釣り糸62を釣り竿60から略真下へ向けて垂らす際や、実釣中に釣れた魚による引きによって、釣り糸62の繰り出しに伴ってスプール15が回転するとき、この回転にブレーキを掛けるためには、操作部76を操作者の左手LHの親指LH1か人差し指LH2によって押し圧することにより、作動体77の先端がスプール15の左側面に圧接する程度によって、スプール15の回転にブレーキが掛かる。
操作者による操作部76の操作のし易さを達成するためには、図5に示すように、レバードラグ式リール1の左側面において、ブレーキ装置75の操作部76は、第1側板カバー11Dの左側面の前上部に配置されるようにするために、釣竿60の軸線60Sと平行であってスプール軸16の軸線16Sと直角に交差する直線SLと、直線SLに直角に交差する直線SYとで囲まれた上部の前部領域1S12に配置された構成である。この前部領域1S12への操作部76の配置によって、後述のサミング操作やスプール15への釣り糸62の巻取り時の誘導時に、操作者の左手LHの親指LH1と人差し指LH2の間に操作部76が位置する状態となるため、これらの操作の邪魔にならない効果がある。
実釣中に釣針が岩等の異物に引っ掛かったときなどの異常時に、釣り竿60の強い引き上げ操作によってその引っ掛かりを外す、または釣り糸62を切る操作を行なう。そのために、釣り糸62の繰り出し方向へのスプール15の回転を停止させるストップ装置85が、図2に示すように、レバードラグ式リール1の左側の第1側板11A内に収容されている。
ストップ装置85は、スプール15の左側面に取り付けたラチェット車(つめ車)86の歯に対して係止と離脱を行なうロック部材87と、ロック部材87を操作するロック操作部88を備えており、通常時はロック部材87がラチェット車(つめ車)86の歯に係止状態ではなく、ロック操作部88が第1側板11Aの下部に露出するようにバネ付勢されている。そして、上記異常時には、ロック部材87がラチェット車86の歯に係止してスプール15の回転を停止させるように、ロック操作部88を回動操作する。
上記のように、ドラグレバー14の往復揺動によって、第1摩擦板13Aと第2摩擦板13Bの当接力の強弱が調整され、ドラグ力の強弱が調整される。このため、ドラグ調整装置50によって設定された調整範囲において、ドラグレバー14の揺動によって第1摩擦板13Aと第2摩擦板13Bの当接力の強弱が調整される、即ち、ドラグ力が調整されることとなる。ドラグ調整装置50にてドラグ力を強い範囲に設定すれば、この強められた状態を基準として、ドラグレバー14の揺動によってドラグ力の強弱調整が得られ、また、ドラグ調整装置50にてドラグ力を弱い範囲に設定すれば、この弱められた状態を基準として、ドラグレバー14の揺動によってドラグ力の強弱調整が得られることとなる。
このため、魚釣りを行う際に、魚の種類、釣竿の強度、釣り糸の強度等によって、スプール15の釣り糸繰り出し方向の回転に対するドラグ力の調整を強い範囲で行うようにするか、ドラグレバー14によるドラグ力の調整を弱い範囲で行うようにするかを見定め、それに基づいてドラグ調整装置50によってドラグ力の強弱調整範囲を初期設定し、この設定状態において、操作者の左手の親指によってドラグレバー14の揺動操作を行なうことによって、ドラグ力の調整が得られることとなる。
また、反ハンドル側である操作者の左手LHの手によってレバードラグ式リール1の左側面を握持した状態で、実釣開始時に、錘式のルアーを使用した釣り糸62を釣り竿60から略真下へ向けて垂らしてスプール15から釣り糸62を繰り出すキャスティングのとき、スプール15から繰り出される釣り糸62をスプール15の上部から操作者の左手LHの親指LH1で押し圧することにより、釣り糸62の繰り出しを抑制するサミング操作を行なう際や、釣り糸62の巻取り時に、釣り糸62がスプール15へ略均一に巻き取れるようにするために、釣り糸62を操作者の左手LHの親指LH1にて押し圧状態で案内誘導したり、釣り糸62を操作者の左手LHの親指LH1と人差し指で挟んで案内誘導する際にも、レバードラグ式リール1の左側面に対し操作者の左手の手のひらが当接するときの違和感なく好ましいフッティング状態が得られるものとなる。
レバードラグ式リール1は、スプール15の左フランジ部15Bと第1側板11Aとの隙間や、スプール15の右フランジ部15Cと第2側板11Bとの隙間に、釣り糸62が侵入することを防止して、釣り糸62がスプール15へ案内されるようにするために、図1、図6、図8、図11、図12〜図15に示すように、スプール15の前面側にスプール15から離間した状態に釣り糸ガイド90を設けている。釣り糸ガイド90は、スプール15の左フランジ部15B及び右フランジ部15Cよりも外側位置において、基部90Aが第1側板11Aと第2側板11Bとに取付けられ、これら基部90A間に湾曲状の釣り糸ガイド部90Bを左右に一体形成した線状体で形成されている。釣り糸ガイド90を安定保持するために、左右の釣り糸ガイド部90Bの連絡部が連結部11Cの溝に上部が露出する状態で嵌まり込んでいる。
更に詳細に説明すれば、レバードラグ式リール1を釣り竿60の上面に取付けた正規の状態で、釣り竿60の軸線60Sに平行な正面視において、釣り糸ガイド90は、図11に示すように、湾曲状の釣り糸ガイド部90Bは、スプール15の円筒状の糸巻き胴部15Aに対応する下部の左右間隔TBよりも、スプール15の円筒状の左右両側のフランジ部15B、15Cに対応する上部の左右間隔TCが狭く、且つ、そのTB及びTCのいずれも、スプール15の左フランジ部15Bと右フランジ部15Cとの間隔TAよりも狭く形成されている。即ち、TA>TB>TCである。
これによって、スプール15への釣り糸62の巻き初めは、釣り糸ガイド部90Bの下部領域の左右間隔TBによって左右への移動が規制されつつ糸巻き胴部15Aに巻かれ、その巻き厚が大きくなるに従って、釣り糸ガイド部90Bの上部領域の左右間隔TCによって左右への移動が規制される。このように、釣り糸62の左右への振れが釣り糸ガイド部90Bによって規制されるため、釣り糸62をスプール15へ巻き取る際に、釣り糸62を親指LH1にて押し圧状態で案内誘導することによって、スプール15へ略均等に巻き取ることができ、スプール15の左右フランジ部15B、15Cと第1側板11A、第2側板11Bとの隙間に釣り糸62が侵入することを防止できる。
また、釣り竿60を左右に振る等によって釣り糸62がスプール15の左右側へ振れても、釣り糸62が釣り糸ガイド90の左右の釣り糸ガイド部90Bに接触しつつスプール15へ巻き取られるため、スプール15の左右フランジ部15B、15Cと第1側板11A、第2側板11Bとの隙間に釣り糸62が侵入することを防止できる状態で、釣り糸62がスプール15へ案内されるようになる。また、操作者がレバードラグ式リール1を左右に振らすように釣り竿60を操作することによって、釣り糸62が釣り糸ガイド90の左右の釣り糸ガイド部90Bに接触しつつスプール15へ巻き取られるため、スプール15への釣り糸62の巻取りの偏りを少なくできることとなる。
本発明のレバードラグ式リール1は、上記の実施例に限定されず、本発明の趣旨に則る種々の実施形態を含むものである。
1・・・・・・・レバードラグ式リール
2・・・・・・・取付け脚
11・・・・・・リール本体
11A・・・・・第1側板
11B・・・・・第2側板
11C・・・・・連結部
11D・・・・・第1側板カバー
11D2・・・・軸支持部
11D3・・・・軸支持部
11E・・・・・第2側板カバー
11E1・・・・第2側板内カバー
11E1B・・・膨出部
11E2・・・・第2側板外カバー
12・・・・・・ハンドル
13・・・・・・ドラグ機構
13A・・・・・第1摩擦板
13B・・・・・第2摩擦板
14・・・・・・ドラグレバー
15・・・・・・スプール
16・・・・・・スプール軸
17A、17B・・・・軸受け
22・・・・・・・メインギア
23・・・・・・・ピニオンギア
24、25・・・・軸受け
27・・・・・・第1付勢部材
28・・・・・・第2付勢部材
30・・・・・・カム機構
31・・・・・・第1カム
31A・・・・・カム面
32・・・・・・第2カム
32A・・・・・カム部
32B・・・・・カム体
50・・・・・・ドラグ調整装置
51・・・・・・ドラグ調整部材
60・・・・・・釣り竿
62・・・・・・釣り糸
65・・・・・・発音装置
70・・・・・・円弧状溝部
75・・・・・・ブレーキ装置
80・・・・・・当接軽減部
85・・・・・・ストップ装置
90・・・・・・釣り糸ガイド部
95・・・・・・発音装置
100・・・・・接触緩和用切り欠き
LH・・・・・・左手
LH1・・・・・左手の親指

Claims (2)

  1. リール本体に回転自在に支持されたスプールに釣糸を巻き取り操作するハンドル及びドラグ機構のドラグ力を調整するドラグレバーが、前記リール本体の左右両側のうちの一方側に配置されたレバードラグ式リールにおいて、
    前記ドラグレバーは、前記ハンドルとは反対側の前記リール本体の他方側の側面を握持した操作者の手の親指で前後方向に揺動操作可能に、前記リール本体の左右両側のうちの前記ハンドル側の側板の上面に覆い被さる状態に配置され、
    前記リール本体の他方側の側面を握持した操作者の手のひら側の親指と人差指の間の箇所に対応する前記リール本体の他方側の側面を形成する側板の上後部に、前記リール本体の他方側の側面の中心側から前記リール本体の他方側の側面を形成する側板の外周縁に向かうに従って前記スプール側へ近づくように前記リール本体の他方側の側面を形成する側板の外周面の上後端部に食い込むように削ぎ落とされた傾斜面でもって当接軽減部が形成され、
    前記当接軽減部は、レバードラグ式リールが釣竿に取り付けられた状態で、釣竿の軸線と実質的に並行であって前記スプールの軸線と直角に交差する直線であって前記リール本体の他方側の側面内に含まれる直線と、前記リール本体の他方側の側面内に含まれる直線と直角に交差する直線によって、前記リール本体の他方側の側面が上部領域と下部領域に分割されるその上部領域の後部領域で、前記リール本体の他方側の側面を形成する側板の外周面の上後端部から前記スプールの軸線に至る範囲内に、前記スプールの軸線を通り前記リール本体の他方側の側面内に含まれる直線に対し30度±5度〜45度±5度の仰角をなす後方に高い直線の左右に広がる傾斜面である、
    ことを特徴とするレバードラグ式リール。
  2. 前記リール本体の他方側の側面は、側面視で円形状をなし、周縁部から中央部に向けて外方へ突出した曲面形状をなし、
    前記当接軽減部の傾斜面の端に相当する稜線部分が、前記リール本体の他方側の側面視で、前記後方に高い直線上に位置する中央部ほど前記周縁部から遠くなる形状をなす、
    ことを特徴とする請求項1に記載のレバードラグ式リール。
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