JP2003310113A - スピニングリールのロータ制動装置 - Google Patents

スピニングリールのロータ制動装置

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JP2003310113A
JP2003310113A JP2002128277A JP2002128277A JP2003310113A JP 2003310113 A JP2003310113 A JP 2003310113A JP 2002128277 A JP2002128277 A JP 2002128277A JP 2002128277 A JP2002128277 A JP 2002128277A JP 2003310113 A JP2003310113 A JP 2003310113A
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rotor
braking
moving member
spinning reel
bail arm
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JP2002128277A
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English (en)
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Yoshiyuki Furomoto
儀幸 風呂本
Hiroshi Ochiai
浩士 落合
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Shimano Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スピニングリールのロータ制動装置におい
て、制動部に接触した第2位置で移動部材が不安定にな
らないようにする。 【解決手段】 スピニングリールのロータ制動機構54
は、スピニングリールの糸開放姿勢にあるロータ3を制
動する機構であって、移動部材51と、トグルばね機構
50と、制動部材65と、規制部67bとを備えてい
る。移動部材は、ベールアームに連動して第1位置と第
2位置とに移動自在にロータに設けられ、第2位置にあ
るとき制動部材に向けて後端部51cが突出する部材で
ある。トグルばね機構は、ベールアームに一端が回動自
在に係止され、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とにベールアー
ムを振り分けて付勢する。制動部材は、第2位置に移動
した移動部材の突出した一部により移動方向と交差する
方向に押圧される制動面65aを有している。規制部
は、第2位置にある移動部材に接触して移動部材の移動
を規制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータ制動装置、
特に、スピニングリールのリール本体に回転自在に装着
されたロータを、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動する
ベールアームの揺動に応じて制動するスピニングリール
のロータ制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にスピニングリールのロータには、
釣り糸をスプールに案内するためのベールアームが設け
られている。ベールアームは、釣り糸を巻き取る際に釣
り糸をスプール外周に導く糸巻取姿勢と、スプールから
釣り糸を繰り出す際に邪魔にならないように糸巻取姿勢
から倒された糸開放姿勢とをとり得る。ベールアームを
糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに維持するとともに、ロータ
の糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿
勢に戻すために、スピニングリールのロータにはベール
反転装置が設けられている。
【0003】回転伝達効率を高めたスピニングリールで
は糸巻取方向に簡単に回転しやすい。ロータが回転する
と、キャスティングやサミングのそれぞれに適した回転
位相にロータを回転させても回転位相が容易にずれるこ
とがある。そこで、ベール反転装置にロータ制動装置を
設けたものが知られている。従来のロータ制動装置が設
けられたベール反転装置は、ベールアームの揺動中心の
近傍に先端が係止され、ロータに装着されたトグルばね
と、ベールアームの揺動中心の近傍に先端が係止され、
基端がリール本体に向けて前後移動する棒状の移動部材
と、移動部材に接触するようにリール本体に前方に突出
して設けられた切換突起と、リール本体に装着され移動
部材に接触してロータを制動する制動部材とを有してい
る。移動部材は、糸巻取姿勢に対応する第1位置と糸開
放姿勢に対応する第2位置とにベールアームの揺動に連
動して前後に移動する。移動部材は、第2位置にあると
き折り曲げ部分が切換突起に接触する。トグルばねは、
ベールアームを2つの姿勢に振り分けて付勢し、ベール
アームを2つの姿勢で保持する。制動部材は、たとえば
環状の弾性部材であり、リール本体の前部に装着されて
いる。
【0004】このような構成の従来のベール反転装置で
は、糸開放姿勢にベールアームが揺動すると、移動部材
は第1位置から切換突起に接触する第2位置に後退す
る。そして、ロータが糸巻取方向に回転すると、切換突
起に接触して移動部材が第1位置に向けて前進する、こ
の前進によりトグルばねが収縮し、トグルばねの死点を
超えるとトグルばねによってベールアームが糸巻取姿勢
に戻る。また、移動部材が第2位置にあるとき、制動部
材に接触してロータが制動される。このようにベール反
転時にロータを弾性的に制動すると、ロータの回転を防
止できるとともに、必要に応じてロータの糸巻取方向へ
回転させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成では、
移動部材の連結部分の遊びなどの原因により第2位置で
移動部材が移動方向にがたついたり第2位置が変動した
りして不安定になるおそれがある。移動部材の第2位置
で移動方向に不安定になると、制動部材や移動部材の耐
久性が損なわれたり、制動力が安定しなくなったりす
る。
【0006】本発明の課題は、スピニングリールのロー
タ制動装置において、制動部に接触した第2位置で移動
部材が不安定にならないようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明1に係るスピニング
リールのロータ制動装置は、スピニングリールのリール
本体に回転自在に装着されたロータを、糸巻取姿勢と糸
開放姿勢とに揺動するベールアームの揺動に応じて制動
する装置であって、移動部材と、トグルばね機構と、制
動部と、規制手段とを備えている。移動部材は、ベール
アームに連動して糸巻取姿勢に対応する第1位置と糸開
放姿勢に対応する第2位置とに移動自在にロータに設け
られ、第2位置にあるときリール本体の前部に向けて一
部が突出する部材である。トグルばね機構は、ベールア
ームに一端が回動自在に係止され、糸巻取姿勢と糸開放
姿勢とにベールアームを振り分けて付勢する機構であ
る。制動部は、リール本体の前部に設けられ、第2位置
に移動した移動部材の突出した一部により移動方向と交
差する方向に押圧される制動面を有している。規制手段
は、第2位置にある移動部材に接触して移動部材の移動
を規制する。
【0008】このロータ制動装置では、ベールアームが
糸巻取姿勢から糸開放姿勢に揺動すると、トグルばね機
構の死点を超えるとベールアームが糸開放姿勢に付勢さ
れ、移動部材が第2位置に移動してその一部がリール本
体の前部に向けて突出する。この突出した一部が制動部
を押圧してロータが制動される。この移動部材は、第2
位置で規制手段により移動が規制されている。ここで
は、移動部材が規制手段により第2位置での移動が規制
されているので、第2位置に移動して制動部に接触した
移動部材が不安定になりにくくなる。
【0009】発明2に係るスピニングリールのロータ制
動装置は、発明1に記載の装置において、制動面は、前
記移動部材の突出した一部により前記移動部材の移動方
向と交差する方向に押圧される。この場合には、制動部
が移動部材により移動部材の移動方向と交差する方向に
押圧されるので、移動部材の第2位置が製作誤差や取付
誤差によりずれても制動部に対する押圧力は変動しなく
なり制動力が安定する。
【0010】発明3に係るスピニングリールのロータ制
動装置は、発明2に記載の機構において、移動部材は、
先端がベールアームの揺動中心の近傍に向けて揺動軸芯
に沿うように屈曲し、後端がロータの回転軸芯に向けて
屈曲し、その間がロータの回転軸芯に沿って配置された
棒状部材であり、先端がベールアームに回動自在に係止
され、後端がロータに前後移動自在に係止されており、
制動部は環状部材であり、制動面は、少なくとも外周の
一部に平坦な円周面で構成されており、第2位置に移動
した移動部材の突出した後端により内周側に押圧され
る。この場合には、ベールアームが揺動すると、揺動軸
芯に沿って屈曲しベールアームに係止された移動部材の
先端が揺動軸芯回りに旋回する。これにより、ロータの
回転軸芯に向かう移動部材の他端がロータに係止されて
前後移動する。ここでは、屈曲して形成された棒状の移
動部材の先端をベールアームに係止し、後端を前後移動
自在に係止するだけで、ベールアームの揺動運動を移動
部材の後端の前後直線運動に簡素な構成で簡単に変換で
きる。しかも、第2位置にあるときに、規制手段をその
後端屈曲部に接触させるだけで移動部材の移動方向の移
動を簡単に規制できる。
【0011】発明4に係るスピニングリールのロータ制
動装置は、発明3に記載の装置において、ロータに固定
され移動部材の後端側の屈曲部の前後部分を案内する案
内部材をさらに備える。この場合には、移動部材の後端
側の屈曲部の前後部分が案内部材により案内されるの
で、前後移動及び第2位置での位置精度を高めて制動力
を安定させることができる。
【0012】発明5に係るスピニングリールのロータ制
動装置は、発明4に記載の装置において規制手段は、案
内部材に移動部材に接触可能に設けられている。この場
合には、屈曲部の前後部分を案内する案内部材に規制手
段を設けているので、移動部材の案内と規制との2つの
機能をひとつの部材で実現できる。発明6に係るスピニ
ングリールのロータ制動機構は、発明5に記載の機構に
おいて、案内部材に設けられ、移動部材を制動面に向け
て付勢する付勢部材をさらに備える。この場合には、移
動部材が付勢部材により制動面に向けて付勢されている
ので、移動する移動部材の取付誤差などにより移動部材
に制動面に向けた押圧方向のガタが生じても、そのガタ
が付勢部材により解消され、付勢部材により一定の付勢
力で移動部材が押圧される。このため、押圧方向のガタ
による制動力の変動を抑えることができる。
【0013】発明7に係るスピニングリールのロータ制
動装置は、発明2から4のいずれかに記載の装置におい
て、規制手段は、制動部の制動面において第2位置を基
準にして他の部分より小径に設けられた環状凹部を有す
る。この場合には、第2位置を基準とした環状凹部に移
動部材の後端部が接触すると、移動部材が環状凹部には
まり込んで前後に移動しにくくなって移動方向の移動が
規制される。このため、制動部と規制手段とをひとつの
部材で実現できる。
【0014】発明8に係るスピニングリールのロータ制
動装置は、発明1から7のいずれかに記載の装置におい
て、制動面に設けられた環状溝と、環状溝にはめ込まれ
制動部をリール本体に固定するためのバネ部材とをさら
に備える。この場合には、バネ部材により制動部を固定
できるので、制動部の弾性などを利用して制動部を固定
する必要がなくなり、制動部を別体にしても材質の限定
が少なくなる。
【0015】発明9に係るスピニングリールのロータ制
動装置は、発明3から8のいずれかに記載の装置におい
て、移動部材の後端の端面は丸みを帯びている。この場
合には、制動部に接触する移動部材の後端の端面が丸み
を帯びているので、移動部材が移動しながら制動部を押
圧するときに、滑らかに移動できる。発明10に係るス
ピニングリールのロータ制動装置は、発明1から9のい
ずれかに記載の装置において、リール本体の前部に設け
られ、ロータが糸巻取方向に回転したとき、第2位置に
移動した移動部材の突出した後端に接触して移動部材を
第1位置に向けて移動させる切換部をさらに備える。こ
の場合には、ベールの反転装置とロータの制動装置とで
構成要素を兼用でき、コンパクトなスピニングリールを
実現できる。
【0016】発明11に係るスピニングリールのロータ
制動装置は、発明10に記載の装置において、切換部
は、ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側よりリール
本体の前面からロータ側に突出した傾斜面を有する。こ
の場合には、ロータが糸巻取方向に回転を開始すると、
移動部材が切換部材の傾斜面に接触し、徐々にロータ側
に押圧される。すると、ベールアームが糸巻取姿勢にも
どる。ここでは、傾斜面により滑らかにベールアームを
糸巻取姿勢に復帰させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1及び図2において、本発明の
一実施形態を採用したスピニングリールは、ハンドル1
と、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、
ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、
リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプ
ール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロー
タ3の前部に前後移動自在に配置されている。なお、図
1では、ハンドル1がリール本体2の左側に、図2で
は、右側に装着している。このように、ハンドル1はリ
ール本体2の左右いずれにも装着可能である。
【0018】リール本体2は、内部に空間を有するリー
ルボディ2aと、リールボディ2aの空間を塞ぐために
リールボディ2aに着脱自在に装着される蓋部材2bと
を有している。リールボディ2aは、たとえばアルミニ
ウム合金製であり、上部に前後に延びるT字形の竿取付
脚2cが一体形成されている。図2に示すように、リー
ルボディ2aの空間内には、ロータ3をハンドル1の回
転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール
4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオ
シレーティング機構6とが設けられている。リールボデ
ィ2a及び蓋部材2bの前端には、円形のフランジ部2
dと、フランジ部2dより小径で先端が開口する円筒部
2eと形成されている。円筒部2eには、図5に示すよ
うに、断面が円の一部が切り欠かれたD字状に形成され
た装着溝2fが形成されている。
【0019】蓋部材2bは、たとえばアルミニウム合金
製の部材であり、たとえば3カ所でリールボディ2aに
ビス止めされている。フランジ部2dにおいて、リール
ボディ2aと蓋部材2bとの分割部分には、図5及び図
6に示すように、後述する切換部材52が着脱自在に装
着されている。ロータ駆動機構5は、図2に示すよう
に、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸10
と、ハンドル軸10とともに回転するフェースギア11
と、このフェースギア11に噛み合うピニオンギア12
とを有している。ピニオンギア12は筒状に形成されて
おり、その前部12aはロータ3の中心部を貫通してお
り、ナット13によりロータ3と固定されている。ピニ
オンギア12は、その軸方向の中間部と後端部とが、そ
れぞれ軸受14a,14bを介してリール本体2に回転
自在に支持されている。
【0020】オシレーティング機構6は、スプール4の
中心部にドラグ機構71を介して連結されたスプール軸
15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動
させるための機構である。 〔ロータの構成〕ロータ3は、図2に示すように、ロー
タ本体16と、ロータ本体16の先端に糸開放姿勢と糸
巻取姿勢とに揺動自在に装着されたベールアーム17
と、ベールアーム17を糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻
すためにロータ本体16に装着されたベール反転機構1
8とを有している。
【0021】ロータ本体16は、リールボディ2aにス
プール軸15回りに回転自在に装着された円筒部30
と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1
及び第2ロータアーム31,32とを有している。円筒
部30と両ロータアーム31,32とは、たとえばアル
ミニウム合金製であり一体成形されている。円筒部30
の前部には前壁33が形成されており、前壁33の中央
部にはボス部33aが形成されている。ボス部33aの
中心部には貫通孔が形成されており、この貫通孔をピニ
オンギアの前部12a及びスプール軸15が貫通してい
る。前壁33の前部にロータ3の固定用のナット13が
配置されている。円筒部30の後面は第3カバー部材3
0aにより覆われている。
【0022】第1及び第2ロータアーム31,32は、
図2〜図4に示すように、円筒部30の後部外周面にそ
れぞれ配置された第1及び第2接続部31a,32a
と、第1及び第2接続部31a,32aからそれぞれ外
方に凸に湾曲しつつ前方に延びる第1及び第2アーム部
31b,32bと、両接続部31a,31bと両アーム
部31b,32bとの両外方部分をそれぞれ覆う第1及
び第2カバー部材31c,32cとを有している。第1
及び第2接続部31a,32aは、円筒部30と周方向
に滑らかにそれぞれ連続して形成されている。
【0023】第1及び第2アーム部31b,32bは、
第1及び第2接続部31a,32aと滑らかに連続して
形成され円筒部30と間隔をあけて前方に延びている。
第1及び第2アーム部31b,32bは、先端部から円
筒部30との接続部分に向けて滑らかに湾曲している。
両接続部31a,31bと両アーム部31b,32bと
の両外方部分には、開口31d,32dがそれぞれ形成
されており、第1及び第2カバー部材31c,32c
は、開口31d,32dをそれぞれ外周側から塞いでい
る。この第1カバー部材31cと第1接続部31a及び
第1アーム部31bとの間には、収納空間48が形成さ
れている。
【0024】第1アーム部31bの先端の外周側には、
第1ベール支持部材40が揺動自在に装着されている。
第1アーム部31bには、図3及び図4に示すように、
ベール反転機構18の移動部材51(後述)を前後に案
内するための細長いガイド溝36と、ベールアーム17
に抵抗を付与するための抵抗付与機構75(図7)が装
着される装着穴37と、第1ベール支持部材40を揺動
自在に装着するためのねじ孔付きのボス部38とが形成
されている。ガイド溝36の後端部には、移動部材51
の後端部51cが貫通するガイド孔36aが形成されて
いる。なお、図4では断面を模式的に示しているので、
ガイド溝36や移動部材51の長さは正確に表れていな
い。
【0025】第2アーム部32bの先端内周側には、第
2ベール支持部材42が揺動自在に装着されている。第
1ベール支持部材40は、第1アーム部31bのボス部
38にねじ込まれた取付ピン39により第1ロータアー
ム31に取り付けられる。この取付ピン39は引っかか
りが少ない六角孔付きボルトからなり、その頭部に釣り
糸が引っかかりにくくなっている。
【0026】第1ベール支持部材40の先端には、図3
に示すように、釣り糸をスプール4に案内するためのラ
インローラ41と、ラインローラ41を挟んで第1ベー
ル支持部材40に固定された固定軸カバー47とが装着
されている。ラインローラ41は、第1ベール支持部材
40の先端に回転自在に装着されている。固定軸カバー
47は、先端がとがった変形円錐形状である。固定軸カ
バー47の先端部と第2ベール支持部材42との間には
線材を略U状に湾曲させた形状のベール43が固定され
ている。これらの第1及び第2ベール支持部材40,4
2、ラインローラ41、ベール43及び固定軸カバー4
7により、釣り糸をスプール4に案内するベールアーム
17が構成される。ベールアーム17は、図3(a)に
示す糸巻取姿勢と、図3(b)に示す糸巻取姿勢から反
転した糸開放姿勢との間で揺動自在である。
【0027】〔ベール反転機構の構成〕ベール反転機構
18は、第1ロータアーム31の収納空間48内に配置
されている。ベール反転機構18は、ベールアーム17
を糸開放姿勢から糸巻取姿勢にロータ3の回転に連動し
て復帰させるとともに、両姿勢でその状態を保持するた
めに設けられている。
【0028】ベール反転機構18は、図3〜図6に示す
ように、収納空間48内で第1アーム部31bに揺動自
在に装着されたトグルばね機構50と、収納空間48内
に略前後移動自在に装着された移動部材51と、移動部
材51に接触可能にフランジ部2dに着脱自在に装着さ
れた切換部材52と、ロータ3を制動するための制動部
材65を有するロータ制動機構54と、糸開放姿勢にあ
るベールアーム17の糸巻取姿勢への復帰を規制する抵
抗付与機構75とを有している。
【0029】〔トグルばね機構の構成〕トグルばね機構
50は、図3に示すように、ベールアーム17が糸巻取
姿勢となる第1位置と糸開放姿勢となる第2位置とを取
り得るように第1ロータアーム31内に配置され、ベー
ルアーム17を糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに振り分けて
付勢し両姿勢で保持するための機構である。トグルばね
機構50は、一端が第1ベール支持部材40に形成され
た係止され、他端が第1アーム部31bに沿って延びる
ロッド55と、ロッド55を進出側に付勢するコイルば
ね57とを有している。
【0030】ロッド55は、図4に示すように、先端に
第1ベール支持部材40の係合穴40aに係止されるよ
うに第1ベール支持部材40に向けて折れ曲がった係止
部55aを有している。また、ロッド55は、中間部に
コイルばね57の先端部を係止するための係止突起55
bを有し、後端部に僅かに湾曲した湾曲部55cを有し
ている。係止突起55bには、コイルばね57の先端が
当接するワッシャ56が装着されており、これにより、
コイルばね57の先端部からロッド55に力が均一に伝
達される。
【0031】コイルばね57は、アーム部31bに装着
された、たとえばポリアミド系合成樹脂などの合成樹脂
製の案内シート34に接触して案内される。案内シート
34は、コイルばね57の一側面を案内するとともに基
端部を係止するように折れ曲がった壁面部34aを有し
ている。壁面部34aは、コイルばね57の側部及び基
端部に接触し得る高さを有している。これにより、コイ
ルばね57が伸縮しやすくなるとともに、コイルばね5
7が伸縮する際にアーム部31bが傷つかなくなる。
【0032】コイルばね57のワッシャ56に係止され
る先端部は他の部分より巻径が小さくなっている。これ
により先端部以外でコイルばね57とロッド55との間
で大きな隙間が生じ、コイルばね57の内部でロッド5
5が姿勢を変えてもコイルばね57が変形しにくくな
る。なお、コイルばね57の基端部内周面に接触するボ
ス部や基端部外周面を覆うカバー部等を設けてコイルば
ね57の基端部を係止するようにしてもよい。また、こ
れらのボス部やカバー部を第1ベール支持部材40の揺
動軸と平行な軸回りに揺動するようにアーム部31bに
装着してもよい。たとえば、ボス部の基端面に円弧凸部
を形成するとともにアーム部31b内に円弧凸部に係合
する円弧凹部を形成し、これによりボス部を揺動自在に
構成することが考えられる。
【0033】このような構成のトグルばね機構50は、
揺動軸の軸芯であるコイルばね57と基端の中心位置と
第1ベール支持部材40の揺動軸芯O(取付ピン39の
軸芯)とを結ぶ線分Fに対して、糸巻取姿勢と糸開放姿
勢とでロッド55の第1ベール支持部材40に対する係
止位置が異なる方向に位置するように配置されている。
この線分Fに重なる位置がトグルばね機構50の死点
(コイルバネ57が最も圧縮する位置)である。これに
より、トグルばね機構50は、ベールアーム17を死点
を挟んで両姿勢に振り分けて付勢しかつ両姿勢で保持で
きる。このトグルばね機構50の死点は、糸開放姿勢側
に偏倚している。具体的には、ベールアーム17の揺動
範囲を10としたとき、糸巻取姿勢側から糸開放姿勢側
に向かう揺動範囲において9対1の位置に設定されてい
る。この死点の位置は、8対2から9.5対0.5の範
囲に設定するのが好ましい。このような範囲に死点の位
置を設定すると、糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻すとき
に死点を超えて移動部材51を押圧するための切換部材
52による押圧量を少なくすることができ、切換部材5
2の突出量が少なくてすむ。
【0034】〔移動部材の構成〕移動部材51は、ベー
ルアーム17に連動して糸巻取姿勢に対応する第1位置
と糸開放姿勢に対応する第2位置とに移動自在に収納空
間48に設けられ、第2位置にあるとき、リール本体2
の前部に向けて一部が突出する部材である。移動部材5
1は、たとえば、ステンレス合金などの金属製の線材の
両端を90度異なる方向に折り曲げて形成された部材で
ある。移動部材51は、図3(a)に示す第1位置(離
反位置)と図3(b)に示す第2位置(接触位置)と
に、第1アーム部31bに略前後移動自在に装着されて
いる。移動部材51は、図3〜図6に示すように、その
先端部51aが外周側に折り曲げられ、第1ベール支持
部材40に形成された略扇形の係合凹溝40bに係止さ
れている。中間部51bは、ロッド55より径方向内側
で第1アーム部31bに沿って延びている。中間部51
bは、ガイド溝36により案内されている。
【0035】後端部51cは、ガイド孔36aを貫通
し、ロータ制動機構54を構成する制動部材65の前端
面に僅かに重なり合う位置まで内方に延びており、その
端面58が僅かに丸みを帯びている。ガイド溝36の幅
は、移動部材51の直径とほぼ同じ寸法である。このた
め、移動部材51の中間部51bの径方向内側は、ベー
ルアーム17の揺動に連動してガイド孔36aに沿って
前後に案内される。中間部51bと後端部51cとの屈
曲部分の外周側は、案内部材67により前後方向及び径
方向に案内されている。案内部材67は第1カバー部材
31cに固定されており、第2位置にある移動部材51
の後端部51cがはまりこむように湾曲しかつロータ3
の略中心側に延びる凹溝67aが内部に形成されてい
る。この凹溝67aのうち、湾曲部分から中心側に直線
的に延びる規制部67bで第2位置に移動した移動部材
51の後端部51cがはまり込んで接触する。この規制
部67bが第2位置にある移動部材51に接触して移動
部材51の移動を規制する規制手段に相当する。
【0036】案内部材67には、コイルばねからなる押
圧ばね(付勢手段の一例)68を装着可能なたとえば円
柱状の装着穴67bが凹溝67aに開口して形成されて
いる。押圧ばね68は、圧縮状態で凹溝67aに装着さ
れており、移動部材51の中間部51bを押圧すること
で後端部51cを制動部材65の外周に形成された制動
面65a(後述)に向けて付勢している。押圧ばね68
の先端には、移動部材51の中間部51bの外周面に係
合するように半円弧状の凹部69aが形成された押圧部
材69が装着されている。押圧部材69は、移動部材5
1の中間部51bを前後移動自在にしかつ押圧ばね68
の付勢力を中間部51bに効率よく伝達するために設け
られている。
【0037】このように、移動部材51を制動面65a
に向けて付勢することにより、前後移動する移動部材5
1の取付誤差などにより移動部材51に制動部材65に
向けた押圧方向のガタが生じても、そのガタが押圧ばね
68により解消され、押圧ばね68により一定の付勢力
で移動部材51が押圧される。このため、制動面65a
に向かう押圧方向のガタによる制動力の変動を抑えるこ
とができる。
【0038】移動部材51の係合凹溝40bでの係止端
は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、後端部
51cとベールアーム17の揺動中心とを結ぶ線分より
糸巻取姿勢側に位置している。つまり、移動部材51
は、接触位置(図3(b))にあるときの後端部51c
の軸芯と第1ベール支持部材40の揺動軸芯とを結ぶ線
分から同じ方向に第1位置(離反位置)と第2位置(接
触位置)とで第1ベール支持部材40への係止位置が存
在するように配置されている。これにより、移動部材5
1の後端部51cが切換部材52により押圧されたと
き、第1ベール支持部材40を糸巻取姿勢側に復帰させ
ることができる。この第2位置(接触位置)にあると
き、後端部51cの端面58は、制動部材65の前端面
より奥側で外周面よりやや内方に食い込んでいる。この
ため、移動部材51の移動量が僅かに変動しても常に同
じ制動力が得られる。
【0039】〔切換部材の構成〕切換部材52は、たと
えばポリアミド系合成樹脂やポリアセタールなどの合成
樹脂製の部材であり、図5及び図6に示すように、リー
ルボディ2aと蓋部材2bとの分割部分でフランジ部2
dに着脱自在に装着されている。リールボディ2aと蓋
部材2bとの分割部分には、矩形の切り欠き53が形成
されている。切換部材52は、2つの傾斜面60a,6
0bを有する山形のカム部60と、カム部60と一体形
成されたくびれ部61と、鍔部62とを有している。傾
斜面60aは、図6に矢印で示すロータ3の糸巻取回転
方向の下流側が上流側によりロータ3に向けて前方に突
出する傾斜面である。傾斜面60bは、傾斜面60aの
突出部分から糸巻取回転方向下流側に向けて突出量が減
少する傾斜面である。傾斜面60a,60bの最も突出
した突出端60cの突出量は、傾斜面60aに後端部5
1cが接触した移動部材51がベールアーム17を糸巻
取姿勢に向けて押圧したときにトグルばね機構50の死
点を超えるように設定されている。
【0040】くびれ部61は、切り欠き53にはめ込ま
れる大きさを有しており、フランジ部2dの肉厚と略同
じ寸法の隙間をカム部60と鍔部62との間に形成して
いる。鍔部62は、くびれ部61より大きな断面を有し
ており、フランジ部2dの裏面に接触する。この傾斜面
60bを設けると、ベールアーム17が糸開放姿勢にあ
るとき、無理に逆転(糸繰り出し方向の回転)が加わっ
て移動部材51が切換部材52に接触しても、ベール反
転機構18の移動部材51が傾斜面60bで切換部材5
2に滑らかに案内され、損傷しにくくなる。なお、この
ような2つの傾斜面60a,60bを有する切換部材5
2は、リール本体2と一体形成された切換部にも適用で
きる。
【0041】このように構成された切換部材52は、リ
ールボディ2aに蓋部材2bを装着するとき、たとえば
リールボディ2a側の切り欠き53にくびれ部61をは
め込み、蓋部材2bをリールボディ2aにビス止めする
だけで、リール本体2に固定できる。このため、固定の
ための別の部材を用いずに簡単にリール本体2に切換部
材52を固定できる。また、リール本体2が腐食しやす
いものであっても、移動部材51が接触する切換部材5
2はリール本体2と別部材であるので、ベールアーム1
7が反転するときにリール本体2が傷つくことがない。
このため、傷による腐食の進行を防止できる。さらに、
リール本体2に装着される切換部材52は、誘電体であ
る合成樹脂製であるため、切換部材52をリール本体2
に接触させてもリール本体2が電解腐食しない。
【0042】〔ロータ制動機構の構成〕ロータ制動機構
54は、糸開放姿勢にベールアーム17が揺動したとき
ロータ3を制動するものであり、移動部材51と、トグ
ルばね機構50と、円筒部2eの基端部側に形成された
装着溝2fに装着された制動部材65と、第2位置にあ
る移動部材51に接触して移動部材51の移動を規制す
る規制部67bとを有している。すなわち、移動部材5
1及びトグルばね機構50は、ベール反転機構18を構
成するとともに、ロータ制動機構54も構成する。
【0043】制動部材65は、ベールアーム17が糸開
放姿勢にあるとき、ロータ3の回転を制動するために設
けられている。制動部材65は、断面が矩形の、たとえ
ばスチレン‐ブタジエン‐ゴム(SBR)、アクリロニ
トリル‐ブタジエン‐ゴム、ブタジエン‐ゴム、イソプ
レン‐ゴム、クロロプレン‐ゴム、シリコーン‐ゴム、
ウレタン‐ゴム等の合成ゴムからなる弾性体製のリング
状の部材である。制動部材65の外周面には、切換部材
52を回避する部分を除いて平坦な円周面で構成された
制動面65aが形成されている。制動部材65は、断面
がD字状の円筒部2eの基端外周面に装着されている。
したがって、制動部材65は、正面視D字状に装着され
ている。この制動部材65の直線部は、切換部材52を
迂回するために設けられている。制動部材65の制動面
65aの先端端縁には、導入面65bが制動面65aと
連続して形成されている。導入面65bは、糸開放姿勢
への揺動に連動した移動部材51の移動方向上流側が下
流側より遠ざかるように形成されており、本実施形態で
は、制動面65aと連続して丸みをおびたアール面で形
成されている。このように制動面65aに連続して傾斜
した導入面65bを形成すると、移動部材51が制動部
材65に接触するとき、移動部材51の丸みを帯びた後
端部51cの端面58が制動部材65の導入面65bを
経て制動面65aに滑らかに接触する。このため、ベー
ルアーム17の姿勢の切り換えがスムーズになる。
【0044】このような規制部67bを設けることによ
り、移動部材51が規制部67bにより第2位置での移
動が規制されているので、第2位置に移動して制動部材
65に接触したときの移動部材51の移動方向のがたつ
きを抑えることができる。このため、制動部材65の耐
久性が向上する。 〔抵抗付与機構の構成〕抵抗付与機構75は、ベールア
ーム17とロータ3の第1アーム部31bとの間の対向
部分に設けられ、ベールアーム17が糸開放姿勢に配置
されているとき、ベールアーム17が糸巻取姿勢に戻る
のを規制するとともに、ベールアーム17が糸巻取姿勢
に揺動するとき、移動部材51の後端部51cが傾斜面
60aの突出端60cに到達するまでに規制を解除する
機構である。抵抗付与機構75は、図7及び図8に示す
ように,第1アーム部31bの装着穴37に装着された
抵抗付与ピン76と、抵抗付与ピン76をベールアーム
17側に付勢するコイルばね77と、第1ベール支持部
材40に設けられた押圧部78とを有している。
【0045】抵抗付与ピン76は、大径の当接部76a
と小径のばね装着部76bとを有する金属製のピンであ
る。この当接部76aとばね装着部76bとの段差部分
にコイルばね77の先端が接触している。コイルばね7
7は、ばね装着部76bの外周側に配置されており、抵
抗付与ピン76を第1ベール支持部材40に向けて付勢
する。押圧部78は、2つの傾斜面78a,78bを有
し、第1アーム部31bに向けて突出して形成されてい
る。押圧部78は、糸開放姿勢から糸巻取姿勢に揺動す
るとき、移動部材51の後端部51cが傾斜面60aの
突出端60cに到達するまでに抵抗付与ピン76を通過
して抵抗を解除できる位置に配置されている。具体的に
は、図9(a)に示すように、押圧部78は、糸開放姿
勢のとき抵抗付与ピン76より矢印で示す糸巻取姿勢へ
の揺動方向の上流側に位置し、図9(b)に示すよう
に、糸巻取姿勢への揺動中にトグルばね機構50が死点
に至るまでに抵抗付与ピン76を通過するような位置に
配置されている。
【0046】このような構成のベール反転機構18で
は、トグルばね機構50は、図3(a)に示すような第
1位置と、図3(b)に示すような第2位置とをとるこ
とが可能である。第1位置は、ベールアーム17の糸巻
取姿勢に対応し、第2位置はベールアーム17の糸開放
姿勢に対応している。また、移動部材51は、図3
(a)に示す第1位置(離反位置)と、図3(b)に示
す第2位置(接触位置)とに後端部51cがガイド溝3
6及びガイド孔36aに案内されて前後移動することが
できる。この第1位置(離反位置)が糸巻取姿勢に対応
し、第2位置(接触位置)が糸巻取姿勢に対応する。第
2位置(接触位置)では、移動部材51の後端部51c
の端面58が制動部材65の前端面より奥側で制動面6
5aが僅かに圧縮されるように接触する。このため、移
動部材51の移動位置、つまり第2位置(接触位置)が
取付精度や製作精度により軸方向に変動しても制動力は
変動しない。また、トグルばね機構50により第1ベー
ル支持部材40を介して第2位置側に付勢されている移
動部材51が第2位置にあるとき、規制部67bにより
それより後方への移動が規制されているので、第2位置
で移動部材51ががたつきにくくなり、移動部材51が
安定する。このため、制動部材65の耐久性が向上す
る。
【0047】また、第2位置(接触位置)でハンドル1
の操作によりロータ3が糸巻取方向に回転すると、移動
部材51の後端部51cが切換部材52の傾斜面60a
に衝突して回転し、移動部材51は第1位置(離反位
置)に向けて前方に押圧され、トグルばね機構50の死
点を超えた時点でベールアーム17は、糸巻取姿勢に復
帰する。このとき、抵抗付与機構75の抵抗付与ピン7
6による抵抗はトグルばね機構50の死点を超えるまで
に解除されている。
【0048】〔その他の構成〕ロータ3の円筒部30の
内部には、図2に示すように、ロータ3の逆転を禁止・
解除するための逆転防止機構70が配置されている。逆
転防止機構70をローラ型のワンウェイクラッチを有し
ており、ワンウェイクラッチを作用状態と非作用状態と
に切り換えることにより、ロータ3の逆転を禁止・解除
する。
【0049】スプール4は、ロータ3の第1ロータアー
ム31と第2ロータアーム32との間に配置されてお
り、スプール軸15の先端にドラグ機構71を介して装
着されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる
糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体で形成され
たスカート部4bと、糸巻胴部4aの前端に一体で形成
されたフランジ部4cとを有している。
【0050】〔リールの操作及び動作〕キャスティング
時には逆転防止機構70によりロータ3を逆転禁止状態
にして手でベールアームを持ってベールアーム17を糸
開放姿勢に反転させる。ベールアーム17を糸開放姿勢
に反転させると、第1ベール支持部材40及び第2ベー
ル支持部材42は後方側に倒れ、ベール反転機構18
は、図3(b)に示すような第2位置に配置される。こ
のとき、抵抗付与機構75では、トグルばね機構50の
死点を超えると押圧部78が抵抗付与ピン76を通過す
る。ベールアーム17が糸開放姿勢に倒れた状態では、
スプール4からの釣り糸を容易に繰り出すことが可能で
ある。このキャスティング時に、抵抗付与機構75によ
り糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻りにくくなるようにさ
れているので、トグルばね機構50の付勢力を弱くして
ベールアーム17を反転しやすくしても、キャスティン
グによる慣性力でベールアーム17が糸巻取姿勢に反転
しにくくなる。
【0051】この糸巻取姿勢から糸開放姿勢への揺動に
おいて、トグルばね機構50では、第1ベール支持部材
40の回転によってロッド55が図3(a)において徐
々に退入しつつ反時計方向に揺動し、図3(b)に示す
第2位置にいたる。このとき、死点を超えるまでは退入
する。死点を超えると、ロッド55がコイルばね57の
付勢力により進出してベールアーム17を糸開放姿勢側
に切り換えるとともにその姿勢で保持する。この死点を
超えると、抵抗付与機構75の押圧部78が抵抗付与ピ
ン76を乗り越えてベールアーム17の糸巻取姿勢への
揺動を規制するとともに、押圧部78が抵抗付与ピン7
6を通過した時点で抵抗付与ピン76が急激に第1ベー
ル支持部材40に衝突して発音する。これにより、ベー
ルアーム17の姿勢が切り換わったことがわかる。
【0052】ベールアーム17が糸開放姿勢に揺動する
と、この揺動に伴って移動部材51は第1位置から第2
位置に移動し、移動部材51の後端部51cの先端は制
動部材65に弾性的に接触する。この結果、ロータ3が
制動されその回転位相を保持する。しかし制動部材65
と弾性的に接触して摩擦により制動されているだけであ
るので、ロータ3を手で回転させたりハンドル1により
回転させたりすれば簡単に回転位相を調整できる。すな
わち、ロータ3が摩擦力により制動され回転位相が維持
されるので、ベールアーム17を糸開放姿勢にしたとき
にロータ3が回転することはない。したがって、キャス
ティング時やサミング時にロータ3の不意の回転による
不具合を解消できる。しかも、ロータ3は摩擦により制
動されているだけであるので、ロータ3に力を加えれば
簡単に回して回転位相を調整することができる。また、
移動部材51は、押圧ばね68により制動面65aに向
けて付勢されているので、移動する移動部材51の取付
誤差などにより移動部材51に制動面65aに向けた押
圧方向のガタが生じても、そのガタが押圧ばね68によ
り解消され、押圧ばね68により一定の付勢力で移動部
材51が押圧される。このため、押圧方向のガタによる
制動力の変動を抑えることができる。さらに第1ベール
支持部材を介してトグルばね機構50により後方に付勢
され、かつ移動部材51の後端部51cは案内部材67
に設けられた規制部67bによりそれより後方への移動
が規制されているので、第2位置にある移動部材51が
がたつきにくくなる。このため、がたつきにより制動部
材65の耐久性が損なわれるのを防止できる。
【0053】この状態で釣り竿を握る手の人差し指で釣
り糸を引っかけながら釣り竿をキャスティングする。す
ると釣り糸は仕掛けの重さにより勢いよく放出される。
このとき、前述したようにベールアーム17は、抵抗付
与機構75により規制され、糸開放姿勢から糸巻取姿勢
に戻りにくくなっている。具体的には、図9(a)に示
すように、抵抗付与ピン76を押圧部78が乗り越えた
位置に配置されているので、押圧部78に邪魔されて慣
性力によりベールアーム17が揺動中心Oを中心に反転
しにくくなる。
【0054】キャスティング後に、ベールアーム17を
糸開放姿勢に維持したままの状態でハンドル1をたとえ
ば左手で糸巻取方向に回転させると、ロータ駆動機構5
によりロータ3が糸巻取方向に回転する。ロータ3が糸
巻取方向に回転すると、ベールアーム17がベール反転
機構18により糸巻取姿勢に復帰する。具体的には、図
5及び図6において、移動部材51がロータ3とともに
時計方向に回転する。すると、移動部材51の後端部5
1cがリール本体2側に固定された切換部材52の傾斜
面60aに当接する。これにより、移動部材51が前方
に押圧され、図6に二点鎖線で示す第1位置(離反位
置)に切り換えられ、第1ベール支持部材40を糸巻取
姿勢に揺動させる。これに伴ってトグルばね機構50の
ロッド55が図3(b)に示す第2位置から図3(a)
に示す第1位置に向けて揺動する。そして、傾斜面60
aの突出端60cに到達するまでにトグルばね機構50
が死点を超えると、コイルばね57の付勢力よりロッド
55が進出し、ベールアーム17を糸巻取姿勢に切り換
えるとともにその姿勢で保持する。このトグルばね機構
50の死点を超えるまでに抵抗付与機構75による抵抗
は解消される。具体的には、図9(b)に示すように、
揺動中心Oとトグルばね機構50の後端とを結ぶ直線上
にトグルばね機構50が配置された死点に至る前に、押
圧部78は抵抗付与ピン76を通過して押圧部78によ
る規制が解除される。このため、トグルばね機構50の
付勢力を強くすることなくベールアーム17を糸巻取姿
勢に戻すことができる。
【0055】このような構成により、トグルばね機構の
ばね力を強くするためにばねの線径を太くすることによ
り生じる弊害も防止できる。具体的には、線径を太くす
る場合には、耐久性を向上させるために巻径や巻数を増
やす必要が生じる。このためばねが大型化し、それを収
納するロータを大型化しなければならないといった弊害
が生じる。
【0056】ベールアーム17が糸巻取姿勢に復帰する
と、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材4
2は、図1及び図2に示すように、それぞれ前方側に起
立している。ベールアーム17が糸巻取姿勢に戻ると、
ベールアーム17により釣り糸がスプール4に案内され
てスプール4の外周に巻き付けられる。 〔他の実施形態〕 (a)前記実施形態では、規制手段を案内部材67の凹
溝67aの規制部67bで構成したが、図10に示すよ
うに、制動部材165に形成した環状凹部165cで構
成しても良い。環状凹部165cは、制動部材165の
制動面165aに第2位置を基準にして形成された凹部
であり、移動部材51の後端部51cの先端が接触する
と移動部材51が前後に移動しにくくなる。このような
構成の環状凹部165cによる規制手段でも前記同様な
効果が得られる。なお、この実施形態では、円筒部2e
に装着溝2fが形成されておらず、制動部材165は、
円筒部2eの基端部に直接装着され、ばね部材180に
より固定されている。ばね部材180は、金属製の弾性
線材をC型に曲げて形成されたものであり、環状凹部1
65cに形成された環状溝165dにはめ込まれてい
る。このようにばね部材180で制動部材165を固定
すると、制動部材165を装着のために弾性を利用し拡
径する必要がなくなる。このため制動部材165の材質
の限定が少なくなり、より伸びにくい硬質のものも使用
できる。
【0057】(b) 前記実施形態では、弾性体製の制
動部材をリール本体に装着したが、図11に示すよう
に、制動部材265をリール本体2(たとえばフランジ
部2d)に一体形成してもよい。フランジ部2dに制動
部材265を一体形成した場合は、制動面265aは、
フランジ部2dの前面に形成されている。移動部材15
1の先端には、弾性体製のキャップ部材190が装着さ
れている。また、ロータ3に設けられた規制部267b
により移動部材151の後方(図11右方)への移動が
規制されている。
【0058】このような構成でも、第2位置にある移動
部材151の移動を規制してがたつきを抑えることによ
りキャップ部材190の耐久性を向上させることができ
る。また、規制部267bにより移動部材151の前後
方向が位置決めされ不安定になりにくくなるので、製作
誤差や取付誤差が生じても制動力が変動しにくくなり安
定する。
【0059】(c)前記実施形態では、制動部材を合成
ゴム製にしたが、弾性を有するものであれば、金属、合
成樹脂、コルク等の木材、皮革材等でもよい。 (d)前記実施形態では、移動部材を金属製の線材で構
成したが、移動部材はこれに限定されず、後端部が前後
移動して制動面に接触するものであればどのような形態
でもよい。
【0060】(e)前記実施形態では、フロントドラグ
式のスピニングリールを例に説明したが、本発明は揺動
するベールアームを糸巻取姿勢に復帰させる、リアドラ
グ式のスピニングリールやレバーブレーキ式のスピニン
グリールなどの全ての形式のスピニングリールのロータ
制動装置に適用できる。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、移動部材が規制手段に
より第2位置での移動が規制されているので、第2位置
に移動して制動部に接触した移動部材が不安定になりに
くくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用したスピニングリー
ルの左側面図。
【図2】その左側面断面図。
【図3】第1ロータアームの平面図。
【図4】第1ロータアームの断面拡大図。
【図5】ベール反転機構を示すリールボディの正面図。
【図6】ベール反転機構を示すリールボディの底面部分
図。
【図7】第1ベルー支持部材の部品図。
【図8】図7のVIII−VIII断面図。
【図9】ベールアームの揺動時の規制状態の変化を示す
模式図。
【図10】他の実施形態の図4に相当する断面拡大図。
【図11】他の実施形態の図4に相当する断面拡大図。
【符号の説明】
2 リール本体 3 ロータ 17 ベールアーム 18 ベール反転機構 50 トグルばね機構 51 移動部材 51a 先端部 51b 中間部 51c 後端部 52 切換部材 54 ロータ制動機構 55 ロッド 57 コイルバネ 60a,60b 傾斜面 65,165,265 制動部材 65a,165a,265a 制動面 67b 規制部(規制手段) 165c 環状凹部(規制手段)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スピニングリールのリール本体に回転自在
    に装着されたロータを、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺
    動するベールアームの揺動に応じて制動するスピニング
    リールのロータ制動装置であって、 前記ベールアームに連動して前記糸巻取姿勢に対応する
    第1位置と前記糸開放姿勢に対応する第2位置とに移動
    自在に前記ロータに設けられ、前記第2位置にあるとき
    前記リール本体の前部に向けて一部が突出する移動部材
    と、 前記ベールアームに一端が回動自在に係止され、前記糸
    巻取姿勢と前記糸開放姿勢とに前記ベールアームを振り
    分けて付勢するトグルばね機構と、 前記リール本体の前部に設けられ、前記第2位置に移動
    した前記移動部材の突出した一部により押圧される制動
    面を有する制動部と、 前記第2位置にある前記移動部材に接触して前記移動部
    材の移動を規制する規制手段と、を備えたスピニングリ
    ールのロータ制動装置。
  2. 【請求項2】前記制動面は、前記移動部材の突出した一
    部により前記移動部材の移動方向と交差する方向に押圧
    される、請求項1に記載のスピニングリールのロータ制
    動装置。
  3. 【請求項3】前記移動部材は、先端が前記ベールアーム
    の揺動中心の近傍に向けて揺動軸芯に沿うように屈曲
    し、後端が前記ロータの回転軸芯に向けて屈曲し、その
    間が前記ロータの回転軸芯に沿って配置された棒状部材
    であり、前記先端が前記ベールアームに回動自在に係止
    され、後端が前記ロータに前後移動自在に係止されてお
    り、 前記制動部は環状部材であり、前記制動面は、少なくと
    も外周の一部に平坦な円周面で構成されており、前記第
    2位置に移動した前記移動部材の突出した後端により内
    周側に押圧される、請求項2に記載のスピニングリール
    のロータ制動装置。
  4. 【請求項4】前記ロータに固定され、前記移動部材の前
    記後端側の屈曲部の前後部分を案内する案内部材をさら
    に備える、請求項3に記載のスピニングリールのロータ
    制動装置。
  5. 【請求項5】前記規制手段は、前記案内部材に前記移動
    部材に接触可能に設けられている、請求項4に記載のス
    ピニングリールのロータ制動装置。
  6. 【請求項6】前記案内部材に設けられ、前記移動部材を
    前記制動面に向けて付勢する付勢部材をさらに備える、
    請求項5に記載のスピニングリールのロータ制動装置。
  7. 【請求項7】前記規制手段は、前記制動部の制動面にお
    いて前記第2位置を基準にして他の部分より小径に設け
    られた環状凹部を有する、請求項2から4のいずれかに
    記載のスピニングリールのロータ制動装置。
  8. 【請求項8】前記制動面に設けられた環状溝と、 前記環状溝にはめ込まれ前記制動部を前記リール本体に
    固定するためのバネ部材とをさらに備える、請求項1か
    ら7のいずれかに記載のスピニングリールのロータ制動
    装置。
  9. 【請求項9】前記移動部材の前記後端の端面は丸みを帯
    びている、請求項3から8のいずれかに記載のスピニン
    グリールのロータ制動装置。
  10. 【請求項10】前記リール本体の前部に設けられ、前記
    ロータが糸巻取方向に回転したとき、前記第2位置に移
    動した前記移動部材の突出した後端に接触して前記移動
    部材を前記第1位置に向けて移動させる切換部をさらに
    備える、請求項1から9のいずれかに記載のスピニング
    リールのロータ制動装置。
  11. 【請求項11】前記切換部は、前記ロータの糸巻取回転
    方向下流側が上流側より前記リール本体の前面から前記
    ロータ側に突出した傾斜面を有する、請求項10に記載
    のスピニングリールのロータ制動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008072972A (ja) * 2006-09-22 2008-04-03 Daiwa Seiko Inc 魚釣用スピニングリ−ル
JP2019054768A (ja) * 2017-09-22 2019-04-11 株式会社シマノ スピニングリールのロータ制動装置

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