JP2002000138A5 - - Google Patents

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【発明の名称】スピニングリールのベール反転装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたロータに糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着されたベールアームを、前記ロータの糸巻取方向の回転に連動して前記糸開放姿勢から前記糸巻取姿勢に戻すスピニングリールのベール反転装置であって、
基端が前記ベールアームに係止され、前記ベールアームの揺動に連動して前記糸巻取姿勢に対応する前記リール本体から離反した第1位置と前記糸開放姿勢に対応する前記リール本体に接近した第2位置とに先端が少なくとも前後移動自在に前記ロータに設けられた移動部材と、
前記ベールアームの前記移動部材の係止位置と異なる位置に先端が回動自在に係止され、前記ベールアームを前記糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに振り分けて付勢し、かつその付勢方向が前記ベールアームの揺動に応じて変化するトグルばね機構と、
前記リール本体の前部に設けられ、前記ロータが糸巻取方向に回転したとき、前記第2位置に移動した前記移動部材の突出した先端に接触して前記移動部材を前記第1位置に向けて移動させる切換部と、
を備えたスピニングリールのベール反転装置。
【請求項2】前記移動部材は、一端が前記ベールアームの揺動中心の近傍に向けて揺動軸芯に沿うように屈曲し、他端が前記ロータの回転軸芯に向けて屈曲し、その間が前記ロータの回転軸芯に沿って配置された部材であり、前記先端が前記ロータに前後移動自在に係止され、基端が前記ベールアームに形成された係合凹部に揺動方向に移動自在に係止されている、請求項1に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項3】前記係合凹部は、前記ベールアームの揺動方向に沿って形成された円弧状の凹溝である、請求項2に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項4】前記トグルばね機構は、前記ベールアームに一端が係止された軸部材と、前記軸部材を進退自在に案内しかつ前記ロータに揺動自在に装着されたガイド部材と、前記ガイド部材に装着され、前記軸部材を進出側に付勢するばね部材とを有する請求項1から3のいずれかに記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項5】前記トグルばね機構は、前記ベールアームに一端が係止された軸部材と、前記ロータに案内され一端が前記軸部材に他端が前記ロータにそれぞれ係止され前記軸部材を付勢するばね部材とを有する、請求項1から3のいずれかに記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項6】前記ばね部材は、前記軸部材の外周側に配置され前記軸部材に係止される一端の巻径が他の部分より小さいコイルばねである、請求項5に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項7】前記ばね部材と前記ロータとの間に配置され前記付勢部材を案内する合成樹脂製のシート部材をさらに備える、請求項5又は6に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項8】前記切換部は、前記ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側より前記リール本体の前面から前記ロータ側に突出した第1傾斜面を有する、請求項1から7のいずれかに記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項9】前記切換部は、前記第1傾斜面の突出部分と連続して形成され、第1傾斜面の突出部分から前記糸巻取回転方向下流側に向けて突出量が減少する第2傾斜面を有する、請求項8に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項10】前記リール本体の前部に設けられ、前記第2位置に移動した前記移動部材の突出した他端が接触可能な制動部材をさらに備える、請求項1から9のいずれかに記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項11】記切換部の傾斜面の少なくとも一部は、前記制動部材の前記移動部材との接触部より前記ロータ側に突出している、請求項10に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項12】前記制動部材は、少なくとも外周の一部に平坦な円周面で構成された制動面を有し、
前記第2位置に移動した前記移動部材の突出した他端が前記制動面に接触する、請求項10又は11に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項13】前記制動部材は、前記リール本体の前部に前記移動部材に接触可能に実質的に環状に形成された断面が矩形の弾性体製である、請求項10から12のいずれかに記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項14】前記制動部材は、前記切換部が設けられた部分で径方向内方に迂回したD字状の部材である、請求項13に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項15】前記移動部材の前記他端の端面は丸みを帯びている、請求項12から14のいずれかに記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項16】前記制動部材の制動面の先端縁部は丸みを帯びている、請求項12から15のいずれかに記載のスピニングリールのベール反転装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベール反転装置、特に、スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたロータに糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着されたベールアームを、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻すスピニングリールのベール反転装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にスピニングリールのロータには、釣り糸をスプールに案内するためのベールアームが設けられている。ベールアームは、釣り糸を巻き取る際に釣り糸をスプール外周に導く糸巻取姿勢と、スプールから釣り糸を繰り出す際に邪魔にならないように糸巻取姿勢から倒された糸開放姿勢とをとり得る。ベールアームを糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに維持するとともに、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻すために、ロータにはベール反転装置も設けられている。
【0003】
従来のベール反転装置として、特開平10−4839号公報に開示された装置が知られている。このベール反転装置は、ベールアームの揺動中心の近傍に先端が係止され、ロータに装着されたトグルばねと、ベールアームの揺動中心の近傍に先端が係止され、基端がリール本体に向けて前後移動する移動部材と、移動部材に接触するようにリール本体に設けられた切換突起とを有している。トグルばねは、ベールアームを2つの姿勢に振り分けて付勢し、ベールアームを2つの姿勢で保持する。トグルばねは、ロータのロータアームに形成された凹部に収納されたコイルばねと、コイルバネにより付勢されるリンク部材とを有している。リンク部材は、コイルばねにより押圧される軸部材と、軸部材の先端に所定範囲揺動自在に装着されたリンクとを有している。このリンクの先端がベールアームの揺動中心の近傍に係止されている。
【0004】
このような構成のベール反転装置では、糸開放姿勢にベールアームが揺動すると、移動部材が切換突起に接触する位置に後退する。このとき、トグルばねでは、リンクが揺動しつつ死点を超えるまでは軸部材が後退し、死点を超えると軸部材がコイルバネによって付勢されて前進する。そして、ロータが糸巻取方向に回転すると、移動部材が切換突起に接触して前進する。この前進により、リンクが揺動するとともに軸部材が死点を超えるまで後退する。そして、死点を超えると前進してベールアームを糸巻取姿勢に戻す。
【0005】
このようなスピニングリールでは、キャスティングを行って釣り糸を繰り出すときには、ロータの逆転を禁止した状態で、釣り糸を人指し指の腹で引っ掛けた後ベールアームを糸開放姿勢に反転させる。このときには、釣り糸を引っ掛けやすいようにラインローラが釣り竿側になるようにロータを回転させる。そして、釣り竿を振り下ろしその途中で釣り糸を人指し指から放して仕掛けが着水するのを待つ。仕掛けが着水した後、仕掛けが適当に沈んだところでハンドルを僅かに巻き取りベール反転装置によりベールアームを糸巻取姿勢に戻す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の構成では、トグルばねがベールアームを付勢して糸巻取姿勢に戻すとき、軸部材は揺動せずにリンクだけが軸部材に対して揺動している。このため、コイルバネの付勢方向と、リンクがベールアームを押圧する方向とが異なる方向になる。したがって、軸部材からリンクを介してベールアームに伝達される力がリンクの揺動角度分小さくなり、トグルばねがベールアームを糸巻取姿勢に戻す力が弱くなる。これを防止するためにコイルばねの付勢力を強くすると、ベールアームを糸巻取姿勢から糸開放姿勢に反転させるとき、反転に要する力が大きくなり、ベールアームを反転させにくくなる。
【0007】
本発明の課題は、スピニングリールのベール反転装置において、トグルばねの付勢力をベールアームに効率よく伝達できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明1に係るスピニングリールのベール反転装置は、スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたロータに糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着されたベールアームを、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻す装置であって、移動部材と、トグルばね機構と、切換部とを備えている。移動部材は、基端がベールアームに係止され、ベールアームの揺動に連動して糸巻取姿勢に対応するリール本体から離反した第1位置と糸開放姿勢に対応するリール本体に接近した第2位置とに先端が少なくとも前後移動自在にロータに設けられた部材である。トグルばね機構は、ベールアームの移動部材の係止位置と異なる位置に先端が回動自在に係止され、ベールアームを糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに振り分けて付勢し、かつその付勢方向がベールアームの揺動に応じて変化する機構である。切換部は、リール本体の前部に設けられ、ロータが糸巻取方向に回転したとき、第2位置に移動した移動部材の突出した先端に接触して移動部材を第1位置に向けて移動させるものである。
【0009】
このベール反転装置では、ベールアームが糸巻取姿勢から糸開放姿勢に反転すると、移動部材の他端が第2位置に移動する。このとき、トグルばね機構は、いったん死点まで収縮した後伸長してベールアームを糸開放姿勢側に付勢する。この状態でロータが糸巻取方向に回転すると、第2位置に移動した移動部材の先端に切換部が接触して移動部材が第1位置側に押圧され移動する。するとベールアームが糸巻取姿勢側に揺動する。そして、トグルばね機構の死点を超えると、トグルばね機構が伸長してベールアームを糸巻取姿勢側に押圧する。この結果、ベールアームが糸開放姿勢に反転しかつその姿勢で保持される。この糸巻取姿勢への揺動の際に、トグルばね機構の付勢方向は、ベールアームの揺動に応じて変化する。ここでは、ベールアームが揺動するときに、トグルばね機構の付勢力がベールアームの揺動に応じて変化するので、トグルばね機構の付勢力をベールアームに効率よく伝達することができる。
【0010】
発明2に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明に1に記載の装置において、移動部材は、一端がベールアームの揺動中心の近傍に向けて揺動軸芯に沿うように屈曲し、他端がロータの回転軸芯に向けて屈曲し、その間がロータの回転軸芯に沿って配置された部材であり、他端がロータに前後移動自在に係止され、ベールアームに形成された係合凹部に一端が揺動方向に移動自在に係止されている。この場合には、ベールアームが揺動すると、係合凹部に係止された移動部材の一端が揺動軸芯回りに旋回する。これにより、ロータの回転軸芯に向いた移動部材の他端がロータに係止されて前後移動する。ここでは、屈曲して形成された移動部材の一端をベールアームの係合凹溝に係止し、他端を前後移動自在に係止するだけで、ベールアームの揺動運動を移動部材の他端の前後直線運動に簡単に変換できる。
【0011】
発明3に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明2に記載の装置において、係合凹部は、ベールアームの揺動方向に沿って形成された円弧状の凹溝である。この場合には、ベールアームが揺動して移動部材の一端が円弧状の凹溝の揺動方向上流側の端部に接触すると移動部材が移動を開始する。そして、移動部材の移動が終了しても、ベールアームはトグルばね機構によって付勢されて移動部材の一端が凹溝の揺動方向下流側の端部に接触するまでさらに揺動する。このため、移動部材の移動量よりベールアームの揺動量を多くすることができる。
【0012】
発明4に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明1から3のいずれかに記載の装置において、トグルばね機構は、ベールアームに一端が係止された軸部材と、軸部材を進退自在に案内しかつロータに揺動自在に装着されたガイド部材と、ガイド部材に装着され、軸部材を進出側に付勢するばね部材とを有する。この場合には、ベールアームが揺動すると、トグルばね機構のガイド部材がベールアームの揺動につれて揺動するので、ベールアームを押圧する方向がベールアームの揺動に応じて変化し、コイルばねの付勢力が軸部材を介してベールアームに効率よく伝達される。
【0013】
発明5に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明1から3のいずれかに記載の装置において、トグルばね機構は、ベールアームに一端が係止された軸部材と、ロータに案内され一端が軸部材に他端がロータにそれぞれ係止され軸部材を付勢するばね部材とを有する。この場合には、トグルばね機構の構成が簡素になり、トグルばね機構の軽量化を図れる。
【0014】
発明6に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明5に記載の装置において、ばね部材は、軸部材の外周側に配置され軸部材に係止される一端の巻径が他の部分より小さいコイルばねである。この場合には、コイルばねの一端の巻径が小さく他の部分が大きいので、一端を軸部材に係止しても軸部材との間に大きな隙間ができる。このため、コイルばねの内部で軸部材が姿勢を変えてもコイルばねが変形しにくくなる。
【0015】
発明7に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明5又は6に記載の装置において、ばね部材とロータとの間に配置され付勢部材を案内する合成樹脂製のシート部材をさらに備える。この場合には、付勢部材がロータに直接接触しないので、ばね部材が伸縮してもロータが傷つかない。このため、ロータをマグネシウム合金などの比較的腐食しやすい金属で形成しても、ロータの腐食を防止できる。また、合成樹脂製のシート部材により付勢部材が伸縮しやすくなる。
【0016】
発明8に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明1から7のいずれかに記載の装置において、切換部は、ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側よりリール本体の前面から前記ロータ側に突出した第1傾斜面を有する。この場合には、ロータが糸巻取方向に回転を開始すると、移動部材が切換部材の第1傾斜面に接触し、徐々にロータ側に押圧される。すると、ベールアームが糸巻取姿勢にもどる。ここでは、第1傾斜面により滑らかにベールアームを糸巻取姿勢に復帰させることができる。
【0017】
発明9に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明8に記載の装置において、切換部は、第1傾斜面の突出部分と連続して形成され、第1傾斜面の突出部分から糸巻取回転方向下流側に向けて突出量が減少する第2傾斜面を有する。この場合には、第1傾斜面とで山形の傾斜面が形成される。この第2傾斜面を形成することにより、ロータが糸繰り出し方向に回転したときに、移動部材が切換部材に接触しても第2傾斜面で切換部材に滑らかに案内され、損傷しにくくなる。
【0018】
発明10に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明1から9のいずれかに記載の装置において、リール本体の前部に設けられ、第2位置に移動した移動部材の突出した他端が接触可能な制動部材をさらに備える。この場合には、ベールアームが糸開放姿勢に揺動し、移動部材がリール本体側の第2位置に移動すると、移動部材の突出した他端が制動部材に接触してロータが制動される。このため、キャスティングやサミングのそれぞれに適した回転位相にロータを回転させた後に糸巻取姿勢にベールアームを揺動させてもロータの回転位相がずれにくくなる。
【0019】
発明11に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明10に記載の装置において、切換部の傾斜面の少なくとも一部は、制動部材の移動部材との接触部よりロータ側に突出している。この場合には、制動部材を設けても移動部材が切換部に確実に当接し、ベールアームを糸開放姿勢から糸巻取姿勢を戻すことができる。
【0020】
発明12に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明10又は11に記載の装置において、制動部材は、少なくとも外周の一部に平坦な円周面で構成された制動面を有し、第2位置に移動した前記移動部材の突出した他端が制動面に接触する。
【0021】
発明13に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明10から12のいずれかに記載の装置において、制動部材は、リール本体の前部に移動部材に接触可能に実質的に環状に形成された断面が矩形の弾性体製である。この場合には、ロータの回転位相に対する制動可能範囲を広くすることができる。
【0022】
発明14に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明13に記載の装置において、制動部材は、切換部が設けられた部分で径方向内方に迂回したD字状の部材である。この場合には、切換部と制動部材とを同じ円弧状に並べて配置可能になり、移動部材の他端の長さを短くすることができる。
【0023】
発明15に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明12から14のいずれかに記載の装置において、移動部材の他端の端面は丸みを帯びている。この場合には、制動部材に接触する移動部材の端面が丸みを帯びているので、移動部材が移動しながら制動部材に接触するときや制動部材らか離反するときにスムーズに移動でき、両姿勢での姿勢の切り換えが滑らかになる。
【0024】
発明16に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明12から115のいずれかに記載の装置において、制動部材の制動面の先端縁部は丸みを帯びている。この場合には、移動部材が移動しながら制動部材の制動面に接触するときにスムーズに移動でき、ベールアームの姿勢の切り換えが滑らかになる。また、移動部材の他端の端面が丸みを帯びている場合には、さらに切り換えが滑らかになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1において、本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、ハンドル1と、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。
【0026】
リール本体2は、内部に空間を有するリールボディ2aと、リールボディ2aの空間を塞ぐためにリールボディ2aに着脱自在に装着される蓋部材2bとを有している。
【0027】
リールボディ2aは、たとえばマグネシウム合金製であり、上部に前後に延びるT字形の竿取付脚2cが一体形成されている。図2に示すように、リールボディ2aの空間内には、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。リールボディ2a及び蓋部材2bの前端には、円形のフランジ部2dと、フランジ部2dより小径で先端が開口する円筒部2eと形成されている。円筒部2eの断面は、図5に示すように、円の一部が切り欠かれたD字状に形成されている。
【0028】
蓋部材2bは、たとえばマグネシウム合金製の部材であり、3カ所でリールボディ2aにビス止めされている。フランジ部2dにおいて、リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分には、図5及び図6に示すように、後述する切換部材52が着脱自在に装着されている。
【0029】
ロータ駆動機構5は、図2に示すように、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸10と、ハンドル軸10とともに回転するフェースギア11と、このフェースギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ピニオンギア12は筒状に形成されており、その前部12aはロータ3の中心部を貫通しており、ナット13によりロータ3と固定されている。ピニオンギア12は、その軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受14a,14bを介してリール本体2に回転自在に支持されている。
【0030】
オシレーティング機構6は、スプール4の中心部にドラグ機構71を介して連結されたスプール軸15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動させるための機構である。
【0031】
〔ロータの構成〕
ロータ3は、図2に示すように、ロータ本体16と、ロータ本体16の先端に糸開放姿勢と糸巻取姿勢とに揺動自在に装着されたベールアーム17と、ベールアーム17を糸巻取姿勢に戻すためにロータ本体16に装着されたベール反転機構18とを有している。
【0032】
ロータ本体16は、リールボディ2aにスプール軸15回りに回転自在に装着された円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1及び第2ロータアーム31,32とを有している。円筒部30と両ロータアーム31,32とは、たとえばマグネシウム合金製であり一体成形されている。
【0033】
円筒部30の前部には前壁33が形成されており、前壁33の中央部にはボス部33aが形成されている。ボス部33aの中心部には貫通孔が形成されており、この貫通孔をピニオンギアの前部12a及びスプール軸15が貫通している。
前壁33の前部にロータ3の固定用のナット13が配置されている。
【0034】
第1及び第2ロータアーム31,32は、図2〜図4に示すように、円筒部30の後部外周面にそれぞれ配置された第1及び第2接続部31a,32aと、第1及び第2接続部31a,32aからそれぞれ外方に凸に湾曲しつつ前方に延びる第1及び第2アーム部31b,32bと、両接続部31a,31bと両アーム部31b,32bとの両外方部分をそれぞれ覆う第1及び第2カバー部材31c.32cとを有している。第1及び第2接続部31a,32aは、円筒部30と周方向に滑らかにそれぞれ連続して形成されている。
【0035】
第1及び第2アーム部31b,32bは、第1及び第2接続部31a,32aと滑らかに連続して形成され円筒部30と間隔をあけて前方に延びている。第1及び第2アーム部31b,32bは、先端部から円筒部30との接続部分に向けて滑らかに湾曲している。両接続部31a,31bと両アーム部31b,32bとの両外方部分には、開口31d,32dがそれぞれ形成されており、第1及び第2カバー部材31c,32cは、開口31d,32dをそれぞれ外周側から塞いでいる。この第1カバー部材31cと第1接続部31a及び第1アーム部31bとの間には、収納空間48が形成されている。
【0036】
第1アーム部31bの先端の外周側には、第1ベール支持部材40が揺動自在に装着されている。第1アーム部31bには、図4に示すように、ベール反転機構18を装着するための長孔36及び装着孔37と、第1ベール支持部材40を装着するためのねじ孔付きのボス部38とが形成されている。
【0037】
第2アーム部32bの先端内周側には、第2ベール支持部材42が揺動自在に装着されている。
【0038】
第1ベール支持部材40は、第1アーム31bの先端にねじ込まれた取付ピン39により第1ロータアーム31に取り付けられる。この取付ピン39は引っかかりが少ない六角孔付きボルトからなり、その頭部に釣り糸が引っかかりにくくなっている。
【0039】
第1ベール支持部材40の先端には、図3に示すように、釣り糸をスプール4に案内するためのラインローラ41と、ラインローラ41を挟んで第1ベール支持部材40に固定された固定軸カバー47とが装着されている。ラインローラ41は、第1ベール支持部材40の先端に回転自在に装着されている。固定軸カバー47は、先端がとがった変形円錐形状である。固定軸カバー47の先端部と第2ベール支持部材42との間には線材を略U状に湾曲させた形状のベール43が固定されている。これらの第1及び第2ベール支持部材40,42、ラインローラ41、ベール43及び固定軸カバー47により釣り糸をスプール4に案内するベールアーム17が構成される。ベールアーム17は、図3(a)に示す糸案内姿勢と、図3(b)に示す糸案内姿勢から反転した糸開放姿勢との間で揺動自在である。
【0040】
〔ベール反転機構の構成〕
ベール反転機構18は、収納空間48内に配置されている。ベール反転機構18は、ベールアーム17を糸開放姿勢から糸案内姿勢にロータ3の回転に連動して復帰させるとともに、両姿勢でその状態を保持する。
【0041】
ベール反転機構18は、図3〜図6に示すように、収納空間48内で第1アーム部31bに揺動自在に装着されたトグルばね機構50と、収納空間48内に移動自在に装着された移動部材51と、移動部材51に接触可能にフランジ部2dに着脱自在に装着された切換部材52とを有している。
【0042】
トグルばね機構50は、図3に示すように、ベールアーム17が糸巻取姿勢となる第1位置と糸開放姿勢となる第2位置とを取り得るように第1ロータアーム31内に配置され、ベールアーム17を糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに保持するための機構である。トグルばね機構50は、一端が第1ベール支持部材40に係止され、他端が第1アーム部31bに沿って延びるロッド55と、ロッド55が進退自在に装着されるとともに第1アーム部31bに中間部が揺動自在に取り付けられたガイド部材56と、ロッド55を進出側に付勢するコイルばね57とを有している。
【0043】
ロッド55は、図4に示すように、その先端部55aが外周側に折り曲げられ、第1ベール支持部材40に形成された係合穴40aに係止されている。またロッド55の外周面には、ばね係止用の突起部55bが形成されている。
【0044】
ガイド部材56は前端が開口する有底角筒状の部材であり、装着孔37に係合するように突出する揺動軸56aを軸方向の中間部に有している。揺動軸56aは、ロータ3の径方向に沿って配置されており、ガイド部材56は、揺動軸56aを中心に第1ロータアーム31に揺動自在に取り付けられている。
【0045】
トグルばね機構50は、揺動軸56aの軸芯と第1ベール支持部材40の揺動軸芯とを結ぶ線分に対して、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とでロッド55の第1ベール支持部材40に対する係止位置が異なる方向に位置するように配置されている。これにより、トグルばね機構50は、ベールアーム17を両姿勢に振り分けて付勢して両姿勢で保持できる。
【0046】
移動部材51は、たとえば、ステンレス合金などの金属製の線材の両端を90度異なる方向に折り曲げて形成された部材である。移動部材51は、図3(a)に示す離反位置と図3(b)に示す接触位置とに、第1アーム部31bに略前後移動自在に装着されている。移動部材51は、図3〜図6に示すように、その先端部51aが外周側に折り曲げられ、第1ベール支持部材40に揺動方向に沿って形成された円弧状の係合凹溝40bの揺動方向の端部のいずれに係止されている。中間部51bは、ロッド55より径方向内側で第1アーム部31bに沿って延びている。後端部51cは、中間部51bから内周側に折り曲げられ、さらにロータ3の中心(回転軸芯)に向けて折り曲げられている。このように後端部51cをロータ3の中心に向けると、切換部材52に接触して押圧されたときに、力の伝達がスムーズになる。また、先端部51aを円弧状の係合凹溝40bの端部に係止することにより、揺動時のベールアームの揺動量より移動部材51の移動量を係合凹溝40bの円弧方向の長さ分少なくすることができる。後端部51cは、長孔36を貫通して円筒部2eの基端部に装着された制動部材65の前端面に僅かに重なり合う位置まで内方に延びており、その端面が僅かに丸みを帯びている。長孔36の幅は、移動部材51の直径とほぼ同じ寸法である。このため、移動部材51の後端部51cは、ベールアーム17の揺動に連動して長孔36に沿って前後に移動する。
【0047】
移動部材51の係合凹溝40bでの係止端は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、後端部51cとベールアーム17の揺動中心とを結ぶ線分より糸巻取姿勢側に位置している。つまり、移動部材51は、接触位置(図3(b))にあるときの後端部51cの軸芯と第1ベール支持部材40の揺動軸芯とを結ぶ線分から同じ方向に離反位置と接触位置とで第1ベール支持部材40への係止位置が存在するように配置されている。これにより、移動部材51の後端部51cが切換部材52により押圧されたとき、第1ベール支持部材40を糸巻取姿勢側に復帰させることができる。この接触位置にあるとき、後端部11cの端面は、制動部材65の前端面より奥側で外周面よりやや内方に食い込んでいる。このため、移動部材51の移動量が僅かに変動しても常に同じ制動力が得られる。
【0048】
制動部材65は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、ロータ3の回転を制動するために設けられている。制動部材65は、断面が矩形の、たとえばスチレン‐ブタジエン‐ゴム(SBR)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐ゴム、ブタジエン‐ゴム、イソプレン‐ゴム、クロロプレン‐ゴム、シリコーン‐ゴム、ウレタン‐ゴム等の合成ゴムからなる弾性体製のリング状の部材である。制動部材65の外周面には、切換部材52を回避する部分を除いて平坦な円周面で構成された制動面65aが形成されている。制動部材65は、断面がD字状の円筒部2eの基端外周面に装着されている。したがって、制動部材65は、正面視D字状に装着されている。この制動部材65の直線部は、切換部材52を迂回するために設けられている。制動部材65の制動面65aの先端端縁65bは丸みを帯びたR面となっている。このように制動面65aの端縁65bを構成すると、移動部材51が制動部材65に接触するとき、丸みを帯びた移動部材51の先端が制動部材65の端縁65bに滑らかに接触する。このため、ベールアーム17の姿勢の切り換えがスムーズになる。円筒部2eの外周面には、フランジ部2dと間隔を隔てて環状突起2fが形成されており、制動部材65は、フランジ部2dと環状突起2fとの間に両者に接触して装着されている。
【0049】
切換部材52は、たとえばナイロン66やポリアセタールなどの合成樹脂製の部材であり、図5及び図6に示すように、リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分でフランジ部2dに着脱自在に装着されている。リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分には、矩形の切り欠き53が形成されている。切換部材52は、傾斜面60aを有するカム部60と、カム部60と一体形成されたくびれ部61と、鍔部62とを有している。傾斜面60aは、図6に矢印で示すロータ3の糸巻取回転方向の下流側が上流側によりロータ3に向けて前方に突出する傾斜面である。くびれ部61は、切り欠き53にはめ込まれる大きさを有しており、フランジ部2dの肉厚と略同じ寸法の隙間をカム部60と鍔部62との間に形成している。鍔部62は、くびれ部61より大きな断面を有しており、フランジ部2dの裏面に接触する。
【0050】
このように構成された切換部材52は、リールボディ2aに蓋部材2bを装着するとき、たとえばリールボディ2a側の切り欠き53にくびれ部61をはめ込み、蓋部材2bをリールボディ2aにビス止めするだけで、リール本体2に固定できる。このため、固定のための別の部材を用いずに簡単にリール本体2に切換部材52を固定できる。また、リール本体2が腐食しやすいマグネシウム合金製であっても、移動部材51が接触する切換部材52はリール本体2と別部材であるので、ベールアーム17が反転するときにリール本体2が傷つくことがない。このため、傷による腐食の進行を防止できる。さらに、リール本体2に装着される切換部材52は、誘電体である合成樹脂製であるため、切換部材52をリール本体2に接触させてもリール本体2が電解腐食しない。
【0051】
このような構成のトグルばね機構50は、図3(a)に示すような第1位置と、図3(b)に示すような第2位置とをとることが可能である。第1位置は、ベールアーム17の糸巻取姿勢に対応し、第2位置はベールアーム17の糸開放姿勢に対応している。また、移動部材51は、図3(a)に示す離反位置と、図3(b)に示す接触位置とに後端部51cが長孔36に案内されて前後移動することができる。この離反位置が糸巻取姿勢に対応し、接触位置が糸巻取姿勢に対応する。接触位置では、移動部材51の後端部51cの端面が制動部材65の前端面より奥側で制動面65aが僅かに圧縮されるように接触する。このため、移動部材51の移動位置、つまり接触位置が軸方向に変動しても制動力は変動しない。また、接触位置でロータ3が糸巻取方向に回転すると、移動部材51の後端部51cの周面は切換部材52の傾斜面60aに接触し、移動部材51は離反姿勢に向けて前方に押圧される。
【0052】
ロータ3の円筒部30の内部には、図2に示すように、ロータ3の逆転を禁止・解除するための逆転防止機構70が配置されている。逆転防止機構70をローラ型のワンウェイクラッチを有しており、ワンウェイクラッチを作用状態と非作用状態とに切り換えることにより、ロータ3の逆転を禁止・解除する。
【0053】
スプール4は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されており、スプール軸15の先端にドラグ機構71を介して装着されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる糸巻き胴部4aと、糸巻き胴部4aの後部に一体で形成されたスカート部4bと、糸巻き胴部4aの前端に一体で形成されたフランジ部4cとを有している。
【0054】
〔リールの操作及び動作〕
キャスティング時には逆転防止機構70によりロータ3を逆転禁止状態にしてベールアーム17を糸開放姿勢に反転させる。ベールアーム17を糸開放姿勢に反転させると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は後方側に倒れ、ベール反転機構18は、図3(b)に示すような第2位置に配置される。ベールアーム17が糸開放姿勢に倒れた状態では、スプール4からの釣り糸を容易に繰り出すことが可能である。
【0055】
この糸巻取姿勢から糸開放姿勢への揺動において、トグルばね機構50では、第1ベール支持部材40の回転によってロッド55が図3(a)において徐々に退入しつつ反時計方向に揺動し、図3(b)に示す第2位置にいたる。このとき、死点を超えるまでは退入する。死点を超えると、ロッド55がコイルばね57の付勢力により進出してベールアーム17を糸開放姿勢側に切り換えるとともにその姿勢で保持する。
【0056】
ベールアーム17が糸開放姿勢に揺動すると、係合凹溝40bの揺動方向上流側の端部に移動部材51の先端部51aが接触すると、移動部材51は、離反位置から接触位置に向けて移動を開始する。そして第2位置に至ると、移動部材51の後端部51cの端面は、制動部材65の制動面65aに僅かに食い込んで弾性的に接触する。この結果、ロータ3が制動されその回転位相が保持される。このとき、移動部材51の後端部51cの端面が制動部材65の制動面65aに僅かに食い込んで弾性的に接触しているので、移動部材51の接触位置が軸方向にずれても、接触状態が変動せず、制動力が変化しない。また、移動部材51が制動部材65と弾性的に接触して摩擦によりロータ3が制動されているだけであるので、ロータ3を手で回転させたりハンドル1により回転させれば簡単に回転位相を調整できる。すなわち、ロータ3が摩擦力により制動され回転位相が維持されるので、ベールアーム17を糸開放姿勢にしたときにロータ3が回転することはない。したがって、キャスティング時やサミング時にロータ3の不意の回転による不具合を解消できる。しかも、ロータ3は摩擦により制動されているだけであるので、ロータ3に力を加えれば簡単に回して回転位相を調整することができる。
【0057】
この状態で釣り竿を握る手の人差し指で釣り糸を引っかけながら釣り竿をキャスティングする。すると釣り糸は仕掛けの重さにより勢いよく放出される。
【0058】
キャスティング後に、ベールアーム17を糸開放姿勢に維持したままの状態でハンドル1をたとえば左手で糸巻取方向に回転させると、ロータ駆動機構5によりロータ3が糸巻取方向に回転する。ロータ3が糸巻取方向に回転すると、ベールアーム17がベール反転機構18により糸巻取姿勢に復帰する。
【0059】
具体的には、図5及び図6において、移動部材51がロータ3とともに時計方向に回転する。すると、移動部材51の後端部51cの周面がリール本体2側に固定された切換部材52の傾斜面60aに当接する。これにより、移動部材51が前方に押圧され、図6に二点鎖線で示す離反位置に切り換えられ、第1ベール支持部材40を糸巻取姿勢に揺動させる。これに伴ってトグルばね機構50のガイド部材56が図3(b)に示す第2位置から図3(a)に示す第1位置に向けて揺動する。そして、死点を超えると、コイルばね57の付勢力よりロッド55が進出し、ベールアーム17を糸巻取姿勢に切り換えるとともにその姿勢で保持する。ベールアーム17が糸巻取姿勢に復帰すると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は、図1及び図2に示すように、それぞれ前方側に起立している。ベールアーム17が糸巻取姿勢に戻ると、ベールアーム17により釣り糸がスプール4に案内されてスプール4の外周に巻き付けられる。
【0060】
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、トグルばね機構50をロッド55とガイド部材56とコイルばね57とで構成したが、図7に示すように、トグルばね機構80をロッド81とロッド81の外周側に配置されたコイルばね82とで構成してもよい。
【0061】
トグルばね機構80のロッド81は、先端に第1ベール支持部材40の係合孔40aに係止されるように第1ベール支持部材40に向けて折れ曲がった係止部81aを有している。また、ロッド81は、中間部にコイルばね82の先端部を係止するための係止突起81bを有し、後端部に僅かに湾曲した湾曲部81cを有している。係止突起81bには、コイルばね82の先端が当接するワッシャ83が装着されており、これにより、コイルばね82の先端部からが均一にロッド81に伝達される。
【0062】
コイルばね82は、アーム部31bに装着された、たとえばナイロン66などの合成樹脂製の案内シート84に接触して案内される。案内シート84は、コイルばね82の一面を案内するとともに係止するように折れ曲がった壁面部84aを有している。壁面部84aは、コイルばね82の側部及び基端部に接触し得る高さを有している。これにより、コイルばね82が伸縮しやすくなるとともに、コイルばね82が伸縮する際にアーム部31bが傷つかなくなる。
【0063】
コイルばね82のワッシャ83に係止される先端部は他の部分より巻径が小さくなっている。これにより先端部以外でコイルばね82とロッド81との間で大きな隙間が生じ、コイルばね82の内部でロッド81が姿勢を変えてもコイルばね82が変形しにくくなる。また、アーム部31bには、第1カバー部材31cを装着するためのねじ穴付きのボス部85が形成されている。このような構成のトグルばね機構80を有するベール反転機構でも、揺動時にコイルばね82による第1ベール支持部材40の付勢方向が変化するので、前記実施形態と同様な効果が得られる。
【0064】
なお、このような実施形態において、コイルばね82の基端部内周面に接触するボス部や基端部外周面を覆うカバー部等を設けてコイルばね82の基端部を係止するようにしてもよい。また、これらのボス部やカバー部を第1ベール支持部材40の揺動軸と平行な軸回りに揺動するようにアーム部31bに装着してもよい。たとえば、ボス部の基端面に円弧凸部を形成するとともにアーム部31b内に円弧凸部に係合する円弧凹部を形成し、これによりボス部を揺動自在に構成することが考えられる。
【0065】
(b)前記実施形態では、制動部材を合成ゴム製にしたが、弾性を有するものであれば、金属、合成樹脂、コルク等の木材、皮革材等でもよい。
【0066】
(c)前記実施形態では、移動部材51を金属製の線材で構成したが、移動部材はこれに限定されず、後端部が前後移動して制動部材の制動面に接触するものであればどのような形態でもよい。
【0067】
(d)前記実施形態では、ベール反転機構18を第1ロータアーム31側に装着したが、第2ロータアーム32側に装着してもよい。
【0068】
(e)前記実施形態では、切換部材52の傾斜面60aが糸巻取回転方向上流側から下流側に向けて突出量が増加する傾斜面で構成されていたが、図8及び図9に示すように、傾斜面60aに加えて傾斜面60aの突出部分から糸巻取回転方向下流側に向けて突出量が減少する傾斜面60bを形成してもよい。このような突出量が減少する傾斜面60bを形成すると、切換部材52が山形の傾斜面となる。この結果、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、無理に逆転(糸繰り出し方向の回転)が加わって移動部材51が切換部材52に接触しても、ベール反転機構18の移動部材51が傾斜面60bで切換部材52に滑らかに案内され、損傷しにくくなる。なお、このような2つの傾斜面60a,60bを有する切換部材52は、リール本体2と一体形成された切換部材にも適用でき、また制動部材を有していないベール反転機構にも適用できる。
【0069】
(f)前記実施形態では、移動部材51の後端部51cが長孔36によって前後に案内されているが、長孔36を完全な前後方向ではなく左右に少し振れて配置し、後端部51cを斜めに案内してもよい。このように斜めに後端部51cを案内すると、糸開放姿勢のとき、後端部51cをロータ3の中心に向けることができる。また、後端部51cをロータ3の中心に向けると、後端部51cをさらにロータ3の中心に向けて折り曲げる必要がなくなる。
【0070】
(g)前記実施形態では、移動部材51の後端部51cの先端に丸みを付けたが、後端部51cの先端を湾曲させて制動部材65の制動面65aに接触させてもよい。
【0071】
(h)前記実施形態では、切換部材52をフランジ部2dに着脱自在に装着したが、フランジ部2dに一体形成してもよい。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、ベールアームが揺動するときに、トグルばね機構の付勢力がベールアームの揺動に応じて変化するので、トグルばね機構の付勢力をベールアームに効率よく伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用したスピニングリールの右側面図。
【図2】その左側面断面図。
【図3】第1ロータアームの平面図。
【図4】第1ロータアームの断面拡大図。
【図5】ベール反転機構を示すリールボディの正面図。
【図6】ベール反転機構を示すリールボディの底面部分図。
【図7】他の実施形態の図3に相当する図。
【図8】他の実施形態の図5に相当する図。
【図9】他の実施形態の図6に相当する図。
【符号の説明】
2 リール本体
3 ロータ
17 ベールアーム
18 ベール反転機構
50,80 トグルばね機構
51 移動部材
51a 先端部
51b 中間部
51c 後端部
52 切換部材
55,81 ロッド
56 ガイド部材
57,82 コイルばね
60a 傾斜面
65 制動部材
65a 制動面
65b 端縁
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