JP2016168832A - 液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定したインク吐出特性を得ることができる複数の電気機械変換素子が配列された液体吐出ヘッドを提供する。【解決手段】液体吐出ヘッドは、液体を吐出するノズルと、ノズルが連通する圧力室と、圧力室内の液体を昇圧させる吐出駆動手段と、を備えた構造体が所定方向に複数配列され、夫々の構造体において、吐出駆動手段は、圧力室の壁の一部を構成する振動板と、電気機械変換膜を備えた電気機械変換素子と、を含み、振動板が圧力室側に凸になるように湾曲しており、圧力室毎の振動板の湾曲量を曲率半径Rとしたときに、所定方向の各々の端部に位置する圧力室から所定方向に対して20chまでの振動板の曲率半径Rの差が1500μm以下である。【選択図】図6

Description

本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置或いは画像形成装置として使用される液体吐出ヘッドに関して、インク滴を吐出するノズルと、ノズルが連通する圧力室と、圧力室内のインクを加圧する圧電素子等の電気機械変換素子とを有するものが知られている。又、液体吐出ヘッドには、縦振動モードのアクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードのアクチュエータを使用したものと2種類が実用化されている。
たわみ振動モードを利用したものとしては、例えば、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力室に対応する形状に切り分けて各圧力室に独立するように電気機械変換素子を形成したものが知られている。振動板は、圧力室側に凸となるようにたわんでおり、たわみ量に関する記載がある(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、上記の液体吐出ヘッドにおいて、単一の電気機械変換素子に関しては振動板のたわみ量について考慮されているが、複数の電気機械変換素子が配列された場合の振動板のたわみ量のバラつきについては考慮されていない。そのため、複数の電気機械変換素子が配列された液体吐出ヘッドにおいて、安定したインク吐出特性を得ることは困難である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、複数の電気機械変換素子が配列された液体吐出ヘッドにおいて、安定したインク吐出特性を得ることを課題とする。
本液体吐出ヘッドは、液体を吐出するノズルと、前記ノズルが連通する圧力室と、前記圧力室内の液体を昇圧させる吐出駆動手段と、を備えた構造体が所定方向に複数配列され、夫々の前記構造体において、前記吐出駆動手段は、前記圧力室の壁の一部を構成する振動板と、電気機械変換膜を備えた電気機械変換素子と、を含み、前記振動板が前記圧力室側に凸になるように湾曲しており、前記圧力室毎の前記振動板の湾曲量を曲率半径Rとしたときに、前記所定方向の各々の端部に位置する前記圧力室から前記所定方向に対して20chまでの前記振動板の前記曲率半径Rの差が1500μm以下であることを要件とする。
開示の技術によれば、複数の電気機械変換素子が配列された液体吐出ヘッドにおいて、安定したインク吐出特性を得ることができる。
第1の実施の形態に係る液体吐出ヘッドを例示する断面図(その1)である。 第1の実施の形態に係る液体吐出ヘッドの製造工程を例示する断面図である。 第1の実施の形態に係る液体吐出ヘッドを例示する断面図(その2)である。 振動板の湾曲について説明する図である。 振動板の湾曲量の定義について説明する図である。 ウェハ内のチップの列内の変位量について説明する図である。 圧電体結晶内の分極の向きの変化について説明する図である。 ウェハ内のチップの列内の分極率バラつきについて説明する図である。 PZTのX線回折について説明する図である。 回折強度が最大となる位置(2θ)であおり角(χ)を振った場合の回折強度を例示する図である。 第1の実施の形態に係る液体吐出ヘッドの配線等を例示する図である。 分極処理装置の概略構成を例示する図である。 コロナ放電について説明する図である。 P−Eヒステリシスループについて例示する図である。 第2の実施の形態に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。 第2の実施の形態に係る液体を吐出する装置の一例の要部側面説明図である。 第2の実施の形態に係る液体吐出ユニットの他の例の要部平面説明図である。 第2の実施の形態に係る液体吐出ユニットの更に他の例の正面説明図である。 保持基板について説明する図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係る液体吐出ヘッドを例示する断面図である。図1を参照するに、液体吐出ヘッド1は、基板10と、振動板20と、電気機械変換素子30と、絶縁保護膜40とを有する。電気機械変換素子30は、下部電極31と、電気機械変換膜32と、上部電極33とを有する。
液体吐出ヘッド1において、基板10上に振動板20が形成され、振動板20上に電気機械変換素子30の下部電極31が形成されている。下部電極31の所定領域に電気機械変換膜32が形成され、更に電気機械変換膜32上に上部電極33が形成されている。絶縁保護膜40は、電気機械変換素子30を被覆している。絶縁保護膜40は、下部電極31及び上部電極33を選択的に露出する開口部を備えており、開口部を介して、下部電極31及び上部電極33から配線を引き回すことができる。
基板10の下部には、インク滴を吐出するノズル51を備えたノズル板50が接合されている。ノズル板50、基板10、及び振動板20により、ノズル51に連通する圧力室10x(インク流路、加圧液室、加圧室、吐出室、液室等と称される場合もある)が形成されている。振動板20は、インク流路の壁面の一部を形成している。言い換えれば、圧力室10xは、基板10(側面を構成)、ノズル板50(下面を構成)、振動板20(上面を構成)で区画されて、ノズル51と連通している。
液体吐出ヘッド1を作製するには、まず、図2に示すように、基板10上に、振動板20、下部電極31、電気機械変換膜32、上部電極33を順次積層する。その後、下部電極31、電気機械変換膜32及び上部電極33を所望の形状にエッチングし、絶縁保護膜40で被覆する。そして、絶縁保護膜40に、下部電極31及び上部電極33を選択的に露出する開口部を形成する。その後、基板10を下方からエッチングして圧力室10xを作製する。次いで、基板10の下面にノズル51を有するノズル板50を接合し、液体吐出ヘッド1が完成する。
なお、図1では、1つの液体吐出ヘッド1のみを示したが、実際には、図3に示すように、液体吐出ヘッド1が所定方向に複数配列された液体吐出ヘッド2が作製される。液体吐出ヘッド2は、液体を吐出するノズル51と、ノズル51が連通する圧力室10xと、圧力室10x内の液体を昇圧させる吐出駆動手段と、を備えた構造体(液体吐出ヘッド1)が所定方向に複数配列された構造である。ここで、吐出駆動手段は、圧力室10xの壁の一部を構成する振動板20と、電気機械変換膜32を備えた電気機械変換素子30とを含む構成とすることができる。
ところで、液体吐出ヘッド2を作製する工程において、圧力室10xを作製した時点で、図4に示すように、振動板20が圧力室10x側に凸となるように湾曲する。振動板20の湾曲量によっては、振動板20の変位量に影響を与える。又、振動板20が湾曲すると、インクを吐出させる際に残留振動が発生する。残留振動を抑制するためには、所定の波形の生成が必要となるが、所定の波形の周波数を小さくする必要があり、高周波での吐出性能を確保することが困難となる。
高周波での吐出性能を確保するためには、振動板20、電気機械変換膜32、絶縁保護膜40の剛性を高める必要があり、高いヤング率の材料を用いたり厚膜化したりする必要が生じる。液体吐出ヘッド2において、振動板20は、応力設計も考慮し、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)、ポリシリコン(Poly−Si)等を材料として含む複数の層から形成することができる。振動板20の膜厚は1μm以上3μm以下で作製されることが好ましい。更に、振動板20のヤング率を75GPa以上95GPa以下とすることで、高周波での吐出性能を確保することができる。
ここで、振動板20の湾曲量について説明する。まず、図5を参照して振動板20の湾曲量の定義について説明する。振動板20の湾曲量を算出するには、たわみ量計(CCI3000、アメテック社製)を用いて、圧力室10x側から図5(a)に例示する振動板20のたわみ分布を取得する。
図4に例示したように、振動板20の中央部はたわみが大きく、両端部はたわみが小さい。そこで、たわみ量計を用いて取得した図5(a)に例示する振動板20のたわみ分布の中で、たわみ量が最小となる両端部の点A及びBを基準に、そこから中心となる点C(たわみの中心点)を求める。次に、両端部の点A及びBとたわみの中心点Cとの距離をXとする。そして、たわみの中心点Cを基準に0.8Xの距離にある2点D及びE求め、図5(b)に示すように、たわみの中心点C、点D及びEの3点の座標点から振動板20の曲率半径Rを算出する。
次に、電気機械変換素子30の変位量(変位特性)について説明する。インク吐出量やインク吐出時の吐出速度に影響する電気機械変換素子30の特性の一つとして、変位量(変位特性)が挙げられる。例えば、液体吐出ヘッド2を1枚のウェハから複数作製する場合を考え、ウェハ外周にあるチップとウェハ中心にあるチップの列内の変位量を比較する。
図6は、ウェハ内のチップの列内の変位量について説明する図である。図6(a)は、ウェハWの平面図であり、チップC1〜C4内には、夫々複数の電気機械変換素子30が配列されている。なお、O.F.はオリエンテーションフラット(Orientation Flat)である。
図6(b)は、チップC3において、電気機械変換素子30の配列方向(チップC1からチップC4に至る方向)における、電気機械変換素子30の変位量の変化を示したものである。横軸は、配列された電気機械変換素子30の素子Noであり、縦軸は、電気機械変換素子30の変位量である。なお、Tは、チップC3において、電気機械変換素子30の配列方向の各々の端部に位置する圧力室10xから配列方向に対して20chまでの圧力室10x(つまり、振動板20や電気機械変換素子30)が配置された領域を示している。ここでは、チップC3について例示しているが、チップC1、C2及びC4についてもチップC3と同様の傾向を示すことが確認されている。
なお、滴吐出を行わないch(ダミーチャネル)をノズル列の各々の端部に設ける場合がある。上記の『各々の端部に位置する圧力室10xから配列方向に対して20chまでの圧力室10x』とは、ダミーチャネルがある場合には、そのダミーチャネルを除いた、液体を吐出するチャネルの中での各々の端部から20chである。
図6(b)に示すように、チップC3において、電気機械変換素子30の配列方向の一端部のチャネルから20番目のチャネルまでのチャネル群と、他端部のチャネルから20番目のチャネルまでのチャネル群(以下、各々の端部から20chまでのチャネル群、とする)までの電気機械変換素子30において、電気機械変換素子30の変位量が上昇する傾向が見られる。
発明者らの検討により、各々の端部から20chまでのチャネル群の電気機械変換素子30において、振動板20のたわみ量にバラつきがあり、このバラつきが各々の端部から20chまでのチャネル群での電気機械変換素子30の変位量の特異的なバラつきとほぼ対応していることが分かった。すなわち、各々の端部から20chまでのチャネル群の電気機械変換素子30において、変位量のバラつきを抑制するために、各々の端部から20chまでのチャネル群の電気機械変換素子30における振動板20のたわみ量のバラつきを抑制する必要があることが分かった。
このように、インク吐出時のバラつきの中でもランダムなバラつきではなく、図6(b)に例示したような電気機械変換素子30の各々の端部で特異的な圧電性能のバラつきが発生する場合にも注目する必要がある。このような特異的なバラつきは、インク吐出量やインク吐出時の吐出速度にも大きく影響し、実際に紙面等に印字されたときの品質として明確に不良として認識できるからである。
すなわち、インク吐出量やインク吐出時の吐出速度バラつき等を抑制するには、電気機械変換膜32の圧電性能のバラつきが小さいことが好ましい。しかし、電気機械変換素子30間のランダムなバラつき以外に、液体吐出ヘッド2内に配列された電気機械変換素子30の各々の端部で特異的な圧電性能バラつきが存在し、このような特異的な圧電性能バラつきも抑制しなければならない。
次に、液体吐出ヘッド2内に配列された電気機械変換素子30の各々の端部のバラつきをどの程度に抑制するべきかについて説明する。図6(b)の各々のT(各々の端部から20chまでのチャネル群)における電気機械変換素子30の変位量の傾きに対応して、振動板20の曲率半径Rも傾きを有している。振動板20の曲率半径Rの最大値と最小値との差を『振動板20の曲率半径Rの差』と定義したときに、図6(b)の一端部側のTと他端部側のTの夫々において、振動板20の曲率半径Rの差は、1500μm以下であることが好ましく、500μm以下であることが更に好ましい。
例えば、液体吐出ヘッド2では、電気機械変換素子30は圧力室10x毎に設けられる。この場合、圧力室10x毎の振動板20の湾曲量を曲率半径Rとしたときに、一端部から20chまでのチャネル群において、振動板20の曲率半径Rの差が1500μm以下であることが好ましく、500μm以下であることが更に好ましい。同様に、他端部から20chまでのチャネル群において、振動板20の曲率半径Rの差が1500μm以下であることが好ましく、500μm以下であることが更に好ましい。振動板20の曲率半径Rの差がこれらの値より大きくなると、配列された電気機械変換素子30の列内の変位量の傾きが大きくなり、安定したインク吐出特性が確保できなくなるからである。
つまり、チップC3の各々の端部から20chまでのチャネル群において、振動板20の曲率半径Rの差が小さくなっていることが好ましい。どちらか一方の端部側での振動板20の曲率半径Rの差が小さくなっていても、他方の端部側での振動板20の曲率半径Rの差が大きくなっていれば、安定したインク特性を確保できなくなる。
ここで、各々の端部から20chまでのチャネル群における振動板20の曲率半径Rの差の発生要因としては、(1)電気機械変換膜32の膜応力/剛性のバラつき、(2)電気機械変換膜32以外(主には振動板20)の膜応力/剛性のバラつき等が考えられる。
(1)に関しては、後述のコロナ放電処理による分極処理時に発生する各々の端部近傍に位置する電気機械変換素子30の分極率バラつきの影響を想定している。なお、コロナ放電処理では、各々の端部近傍に位置する電気機械変換素子30に対しての処理が強くなることが知られている。
電気機械変換膜32に含まれる圧電体結晶は、図7(a)に示すように電圧印加直前において分極の向きがランダムな状態となっている。これに対して、電圧印加を繰り返すことで、図7(b)に示すように圧電体結晶は分極の向きが揃ったドメインの集合体となる。図7のような処理を行い分極方向を揃えることで、電気機械変換素子30の連続駆動後の変位劣化を抑制することができる。
しかし、分極処理によって電気機械変換膜32の応力も変化する。このため、分極処理バラつきが発生し、分極率バラつきが発生することで電気機械変換膜32の応力も変化し、振動板20の湾曲量として定義する曲率半径Rにもバラつきが発生する。そこで、分極率バラつきを抑制する必要がある。
電極形状等の工夫により各々の端部近傍に位置する電気機械変換素子30に対しての処理バラつきをある程度抑制できるが、図8に示すように、分極率バラつきを十分抑えることは困難であることが分かった。この結果、チップの各々の端部での振動板のたわみバラつきが大きくなり、インク吐出時のバラつきが抑制できるだけの変位量バラつきに抑えることができなかった。
一方、各々の端部近傍の分極率バラつきを抑制するためにコロナ放電処理の条件を見直し、全体的に処理条件を強くすることで、各々の端部近傍での分極率バラつき抑制に効果があることが分かった。但し、この場合、処理条件を強くしたことにより電気機械変換膜32のクラック等の不具合が発するおそれがあるため、クラック発生を抑制できるように、電気機械変換膜32の応力等を調整する必要がある。
すなわち、コロナ放電処理の条件を見直して全体的に処理条件を強くすると共に、電気機械変換膜32の応力等を調整する必要がある。これにより、電気機械変換膜32のクラック等の不具合が発するおそれを低減できると共に、各々の端部近傍の分極率バラつきを抑制し、振動板20のたわみバラつきを抑制できる。
なお、コロナ放電処理による分極処理時に発生する各々の端部近傍に位置する電気機械変換素子30の分極率バラつきに関しては、4μC/cm以下となっていることが好ましく、2μC/cm以下になっていることが更に好ましい。
ここで、具体的な電気機械変換膜32の応力調整に関して説明する。図9は、X線回折(XRD)でのθ−2θ法によって取得したPZT(200)面のピーク位置を示している。図10は、図9に示す(200)面に対応する回折強度のピークにおいて、回折強度が最大となる位置(2θ)で、あおり角(χ)を振った測定により得られる回折強度のピークを示している。なお、PZTについては後で詳述する。
図10に示すように、回折強度のピーク(data)は、ピーク分離により3つのピークP1、P2、及びP3に分離することができる。図10において、3つのピークP1、P2、及びP3について、回折強度が最大となる位置χ1、χ2、χ3での回折強度を夫々peak1、peak2、peak3とし、3つのピークの半値幅を夫々σ1、σ2、σ3とする。
このとき、peak1、peak2、peak3を夫々σ1、σ2、σ3の重みとしたσ1、σ2、σ3の加重平均FWHMstd(χ)(=(σ1×peak1+σ2×peak2+σ3×peak3)/(peak1+peak2+peak3))を算出する。
発明者らの検討により、加重平均FWHMstd(χ)が12°以下なっている状態で分極処理を実施すると、各々の端部近傍の電気機械変換素子30の分極率バラつきを抑制できると共に、電気機械変換膜32のクラック発生も抑制できることが分かった。その結果、振動板20のたわみバラつきを抑制することが可能となる。
加重平均FWHMstd(χ)は8°以下となっていることが更に好ましい。この状態で分極処理を実施することで、各々の端部近傍の電気機械変換素子30の分極率バラつきを2μC/cm以下にできると共に、電気機械変換膜32のクラック発生も抑制できることが分かった。
なお、加重平均FWHMstd(χ)は下部電極31として適用するPtの成膜温度やPt上に作製するシード層となる材料に大きく影響されることが分かっている。Ptの成膜温度を300℃以上とし、シード層としてPbTiO材料を用いることで、好適な結果を得ることができる。
(2)に関しては、図6に示すようなウェハWからチップC1〜C4を切り出すときに発生する基板10の反り等から発生すると想定している。図1に示すような圧力室10xを形成する際に、これを補強するような保持基板を用意し接着層を介して接合しており、ウェハWからチップC1〜C4を切り出すときに、保持基板の厚みバラつきや接着層の強度バラつきによって基板10の反りが発生する。このため、保持基板の厚みバラつきや接着層の強度バラつきを抑制することで、ある程度、基板10の反り量のバラつき改善を図ることができる。
基板10の反りの発生に伴い外部からの応力の影響によって、電気機械変換膜32の応力が変化し、特にチップの外周に位置する各々の端部近傍の電気機械変換素子30はこの影響を受けやすくなる。基板10の反り量として湾曲量を図5のように定義した曲率半径Rで記載すると、曲率半径Rが6mm以下であることが好ましく、4mm以下であることが更に好ましい。この範囲より大きくなると、(1)に関して分極処理によるバラつきを低減しても、各々の端部近傍の応力バラつきを抑制するのが難しくなる。
以下、液体吐出ヘッド2を構成する好適な材料等に関して、更に詳しく説明する。基板10としては、シリコン単結晶基板を用いることが好ましく、通常100〜600μmの厚みを持つことが好ましい。面方位としては、(100)、(110)、(111)と3種あるが、半導体産業では一般的に(100)、(111)が広く使用されており、液体吐出ヘッド2でも主に(100)の面方位を持つ単結晶基板を使用することができる。
又、圧力室10xを作製していく場合、エッチングを利用してシリコン単結晶基板を加工していくが、この場合のエッチング方法としては、異方性エッチングを用いることが好ましい。なお、異方性エッチングとは、結晶構造の面方位に対してエッチング速度が異なる性質を利用したものである。
例えば、KOH等のアルカリ溶液に浸漬させた異方性エッチングでは、(100)面に比べて(111)面は約1/400程度のエッチング速度となる。従って、面方位(100)では約54°の傾斜を持つ構造体が作製できるのに対して、面方位(110)では深い溝を掘ることができる。そのため、より剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるため、液体吐出ヘッド2でも(110)の面方位を持つ単結晶基板を使用してもよい。但し、この場合、マスク材であるSiOもエッチングされる点に留意が必要である。
又、圧力室10xの幅(短手方向の長さ)としては、50μm以上70μm以下が好ましく、55μm以上65μm以下が更に好ましい。この値より大きくなると、残留振動が大きくなり高周波での吐出性能確保が難しくなり、この値より小さくなると、変位量が低下し、十分な吐出電圧が確保できなくなる。
振動板20は、電気機械変換膜32によって発生した力を受けて変形変位し、圧力室10x内のインク滴を吐出させる。そのため、振動板20としては所定の強度を有したものであることが好ましい。具体的には、Si、SiO、Si等をCVD法等により作製したものが挙げられる。更に、振動板20の材料としては、下部電極31、電気機械変換膜32の線膨張係数に近い材料を選択することが好ましい。
特に、電気機械変換膜32としてPZTを使用する場合には、振動板20の材料として、PZTの線膨張係数8×10−6(1/K)に近い5×10−6(1/K)〜10×10−6(1/K)程度の線膨張係数を有した材料を選択することが好ましい。7×10−6(1/K)〜9×10−6(1/K)程度の線膨張係数を有した材料を選択することが更に好ましい。
振動板20の具体的な材料としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化オスミウム、酸化レニウム、酸化ロジウム、酸化パラジウム及びそれらの化合物等を挙げられる。これらは、スパッタ法若しくはSol−gel法を用いてスピンコーターにて作製することができる。
振動板20の膜厚としては1〜3μmが好ましく、1.5〜2.5μmが更に好ましい。この範囲より小さいと圧力室10xの加工が難しくなり、この範囲より大きいと変形変位し難くなり、インク滴の吐出が不安定になる。
下部電極31及び上部電極33としては、金属材料として高い耐熱性と低い反応性を有する白金を用いることができる。但し、白金は、鉛に対しては十分なバリア性を持つとはいえない場合もあり、その場合には、イリジウムや白金−ロジウム等の白金族元素や、これらの合金膜を用いることができる。
なお、下部電極31及び上部電極33として白金を使用する場合には、下地となる振動板20(特にSiO2)との密着性が悪いため、Ti、TiO、Ta、Ta、Ta等の密着層を介して積層することが好ましい。下部電極31及び上部電極33の作製方法としては、スパッタ法や真空蒸着等の真空成膜を用いることができる。下部電極31及び上部電極33の膜厚としては、0.05〜1μmが好ましく、0.1〜0.5μmが更に好ましい。
更に、下部電極31及び上部電極33において、金属材料と電気機械変換膜32との間に、SrRuOやLaNiOを材料とする酸化物電極膜を形成してもよい。なお、下部電極31と電気機械変換膜32との間の酸化物電極膜に関しては、その上に作製する電気機械変換膜32(例えばPZT膜)の配向制御にも影響するため、配向優先させたい方位によって選択される材料が異なる。
液体吐出ヘッド2において、電気機械変換膜32としてPZTを用い、PZT(100)に優先配向させる場合には、下部電極31として、LaNiO、TiO、PbTiO等のシード層を金属材料上に作製し、その後PZT膜を形成すると好ましい。
又、上部電極33と電気機械変換膜32との間の酸化物電極膜としてはSRO膜を用いることができ、SRO膜の膜厚としては、20nm〜80nmが好ましく、30nm〜50nmが更に好ましい。この膜厚範囲よりも薄いと初期変位や変位劣化特性については十分な特性が得られない。この範囲を超えると、PZTの絶縁耐圧が非常に悪く、リークしやすくなる。
電気機械変換膜32としては、好適にはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いることができる。なお、PZTとはジルコン酸鉛(PbZrO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体であり、PbZrOとPbTiOの比率によって、PZTの特性が異なる。例えば、PbZrOとPbTiOの比率が53:47の割合で、化学式で示すとPb(Zr0.53、Ti0.47)O、一般にはPZT(53/47)と示されるPZT等を使用することができる。
電気機械変換膜32の作製方法としては、スパッタ法若しくはSol−gel法を用いてスピンコーターにて作製することができる。その場合は、パターニングが必要となるので、フォトリソエッチング等により所望のパターンを得ることができる。
PZTをSol−gel法により作製する場合には、まず、出発材料に酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を用いる。そして、共通溶媒であるメトキシエタノールに溶解させ均一溶液を得ことで、PZT前駆体溶液が作製できる。金属アルコキシド化合物は大気中の水分により容易に加水分解してしまうので、PZT前駆体溶液に安定剤としてアセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミン等を適量、添加してもよい。
下部電極31の全面にPZT膜を形成する場合、スピンコート等の溶液塗布法により塗膜を形成し、溶媒乾燥、熱分解、結晶化の各々の熱処理を施すことで得られる。塗膜から結晶化膜への変態には体積収縮が伴うので、クラックフリーな膜を得るには一度の工程で100nm以下の膜厚が得られるようにPZT前駆体の濃度の調整が必要になる。
電気機械変換膜32の膜厚としては1〜3μmが好ましく、1.5〜2.5μmが更に好ましい。この範囲より小さいと圧力室10xの加工が難しくなり、この範囲より大きいと変形変位し難くなり、インク滴の吐出が不安定になる。
なお、電気機械変換膜32としてPZTを用いPZT(100)面を優先配向とする場合、Zr/Tiの組成比率については、組成比率Ti/(Zr+Ti)が0.45以上0.55以下が好ましく、0.48以上0.52以下が更に好ましい。
結晶配向については、ρ(hkl)=I(hkl)/ΣI(hkl)によって表される。ここで、ρ(hkl)は(hkl)面方位の配向度、I(hkl)は任意の配向のピーク強度、ΣI(hkl)は各ピーク強度の総和である。X線回折法のθ−2θ測定で得られる各ピーク強度の総和を1としたときの各々の配向のピーク強度の比率に基づいて算出される(100)配向の配向度は、0.75以上であることが好ましく、0.85以上であることが更に好ましい。これ以下になるときには、圧電歪が十分得られず、電気機械変換膜32の変位量を十分確保できなくなる。
電気機械変換膜32として、PZT以外のABO型ペロブスカイト型結晶質膜を用いてもよい。PZT以外のABO型ペロブスカイト型結晶質膜としては、例えば、チタン酸バリウム等の非鉛複合酸化物膜を用いても構わない。この場合は、バリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウム前駆体溶液を作製することが可能である。
これら材料は一般式ABO3で記述され、A=Pb、Ba、Sr B=Ti、Zr、Sn、Ni、Zn、Mg、Nbを主成分とする複合酸化物が該当する。その具体的な記述として(Pb1−x、Ba)(Zr、Ti)O、(Pb1−x、Sr)(Zr、Ti)O、と表され、これはAサイトのPbを一部BaやSrで置換した場合である。このような置換は2価の元素であれば可能であり、その効果は熱処理中の鉛の蒸発による特性劣化を低減させる作用を示す。
ここで、配線等を含めた液体吐出ヘッドの構成について説明する。図11は、第1の実施の形態に係る液体吐出ヘッドの配線等を例示する図であり、図11(a)は断面図、図11(b)は平面図である。なお、図11(b)において、絶縁保護膜40及び70の図示は省略されている。
図11を参照するに、絶縁保護膜40上には複数の配線60が設けられ、更に配線60上に絶縁保護膜70が設けられている。絶縁保護膜40は複数の開口部40xを備えており、開口部40x内には下部電極31又は上部電極33の表面が露出している。配線60は、開口部40xを充填して上部電極33と接続されている(図10(b)のコンタクトホールHの部分)配線と、開口部40xを充填して下部電極31と接続されている配線とを含んでいる。
絶縁保護膜70は複数の開口部70xを備えており、夫々の開口部70x内には夫々の配線60の表面が露出している。夫々の開口部70x内に露出する夫々の配線60は、電極パッド61、62、及び63となる。ここで、電極パッド61は共通電極パッドであり、配線60を介して各電気機械変換素子30に共通の下部電極31と接続されている。又、電極パッド62及び63は個別電極パッドであり、配線60を介して電気機械変換素子30毎に独立した上部電極33と接続されている。
次に、分極処理装置について説明する。図12は、分極処理装置の概略構成を例示する図である。分極処理装置500は、コロナ電極510とグリッド電極520とを備えており、コロナ電極510、グリッド電極520は夫々コロナ電極用電源511、グリッド電極用電源521に接続されている。サンプルをセットするステージ530には温調機能が付加されており、最大350℃程度までの温度をかけながら分極処理を行うことができる。ステージ530にはアース540が設置されており、これが付加していない場合には分極処理ができない。
グリッド電極520には、例えばメッシュ加工が施されており、コロナ電極510に高い電圧を印加したときに、コロナ放電により発生するイオンや電荷等が効率よく下のステージ530に降り注き、電気機械変換膜32に注入されるように工夫されている。コロナ電極510やグリッド電極520に印加される電圧の大きさや、サンプルと各電極間の距離を調整することにより、コロナ放電の強弱をつけることが可能である。
図13に示すように、コロナワイヤ600を用いてコロナ放電させる場合、大気中の分子610をイオン化させ、陽イオン620を発生させる。そして、発生した陽イオン620が、電気機械変換素子30のパッド部を介して流れ込むことで、電荷を電気機械変換素子30に注入することができる。
この場合、上部電極と下部電極の電荷差によって内部電位差が生じて分極処理が行われていると考えられる。この際、分極処理に必要な電荷量Qについては特に限定されるものではないが、電気機械変換素子30に1.0×10−8C以上の電荷量が蓄積されることが好ましく、4.0×10−8C以上の電荷量が蓄積されることが更に好ましい。この値に満たない場合は、分極処理が十分できず、PZTの圧電アクチュエータとして連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られない。
ここで、分極処理の状態については、電気機械変換素子30のP−Eヒステリシスループから判断することができる。分極処理の判断の方法について図14を用いて説明する。図14(a)は分極処理前のP−Eヒステリシスループを例示し、図14(b)は分極処理後のP−Eヒステリシスループを例示している。
具体的には、まず、図14に示すように、±150kv/cmの電界強度かけてヒステリシスループを測定する。そして、最初の0kv/cm時の分極をPind、+150kv/cmの電圧印加後0kv/cmまで戻したときの0kv/cm時の分極をPrとしたときに、Pr−Pindの値を分極率として定義し、この分極率から分極状態の良し悪しを判断することができる。
分極率Pr−Pindは、10μC/cm以下であることが好ましく、5μC/cm以下であることが更に好ましい。分極率Pr−Pindがこの値より大きい場合には、PZTの圧電アクチュエータとして連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られない。なお、図12においてコロナ電極510及びグリッド電極520の電圧や、ステージ530とコロナ電極510及びグリッド電極520との間の距離等を調整することにより、所望の分極率Pr−Pindを得ることができる。但し、所望の分極率Pr−Pindを得ようとした場合には、電気機械変換膜32に対して高い電界を発生させることが好ましい。
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、応用例として、液体吐出ヘッド2(図3参照)を備えた液体を吐出する装置を例示する。
まず、第2の実施の形態に係る液体を吐出する装置の一例について図15及び図16を参照して説明する。図15は同装置の要部平面説明図、図16は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、第1の実施の形態に係る液体吐出ヘッド2及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド2は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。又、液体吐出ヘッド2は、複数のノズル51からなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド2の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド2に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド2に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、或いは、エアー吸引等で行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
更に、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド2の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド2のノズル面(ノズル51が形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422等で構成されている。
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド2を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
このように、この装置では、第1の実施の形態に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
次に、第2の実施の形態に係る液体吐出ユニットの他の例について図17を参照して説明する。図17は同ユニットの要部平面説明図である。
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド2で構成されている。
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくとも何れかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
次に、第2の実施の形態に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図18を参照して説明する。図18は同ユニットの正面説明図である。
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド2と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。又、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド2と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置等も含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
又、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するもの等を意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布等の被記録媒体、電子基板、圧電素子等の電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セル等の媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等液体が一時的でも付着可能であればよい。
又、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液等も含まれる。
又、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置等が含まれる。
又、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質する等の目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置等がある。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたもの等が含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合等で互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。又、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、図16で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。又、チューブ等で互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
又、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
又、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。又、図17で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
又、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
又、液体吐出ユニットとして、図18で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。又、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
又、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータ等を使用するものでもよい。
又、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等は何れも同義語とする。
[実施例1]
基板10として6インチのシリコンウェハを準備し、基板10にSiO(膜厚600nm)、Si(膜厚200nm)、SiO(膜厚100nm)、SiN(膜厚150nm)、SiO(膜厚1300nm)、SiN(150nm)、SiO(膜厚100nm)、Si(200nm)、SiO(膜厚600nm)の膜を順に形成して振動板20を作製した。
その後、振動板20上に密着層としてチタン膜(膜厚20nm)を成膜温度350℃でスパッタ装置にて成膜した後、RTA(急速熱処理)を用いて750℃にて熱酸化した。更に、密着層上に白金膜(膜厚160nm)を成膜温度400℃でスパッタ装置にて成膜し、下部電極31を作製した。
次に、下部電極31上に下地層となるPbTiO層としてPb:Ti=1:1に調整された溶液と、電気機械変換膜32としてPb:Zr:Ti=115:49:51に調整された溶液とを準備し、スピンコート法により膜を成膜した。
具体的な前駆体塗布液の合成については、出発材料に酢酸鉛三水和物、イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムを用いた。酢酸鉛の結晶水はメトキシエタノールに溶解後、脱水した。化学両論組成に対し鉛量を過剰にしてある。これは熱処理中のいわゆる鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。
イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムをメトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応、エステル化反応を進め、先記の酢酸鉛を溶解したメトキシエタノール溶液と混合することでPZT前駆体溶液を合成した。このPZT濃度は0.5モル/リットルにした。PTの溶液に関してもPZT同様に作製し、これらの液を用いて、最初にPT層をスピンコートにより成膜し、成膜後、120℃乾燥を実施し、その後PZTの液をスピンコートにより成膜し、120℃乾燥→400℃熱分解を行った。
3層目の熱分解処理後に、結晶化熱処理(温度730℃)をRTAにて行った。このときPZTの膜厚は240nmであった。この工程を計8回(24層)実施し、電気機械変換膜32として約2μmのPZT膜を得た。
次に、上部電極33を構成する酸化物電極膜として、SrRuO膜(膜厚40nm)、金属膜として白金膜(膜厚125nm)をスパッタ法で成膜した。その後、東京応化社製フォトレジスト(TSMR8800)をスピンコート法で成膜し、通常のフォトリソグラフィーでレジストパターンを形成した後、ICPエッチング装置(サムコ製)を用いて図11に示すようなパターンを作製した。これにより、振動板20上に電気機械変換素子30が作製された。
次に、電気機械変換素子30上に、絶縁保護膜40として、ALD工法を用いてAl膜を50nm成膜した。このとき原材料としてAlについては、TMA(シグマアルドリッチ社)、Oについてはオゾンジェネレーターによって発生させたOを交互に積層させることで、成膜を進めた。
その後、図11に示すように、エッチングによりコンタクトホールHを形成した。その後、Alをスパッタ法で成膜し、エッチングによりパターニングして配線60を形成し、絶縁保護膜70としてSiをプラズマCVD法により500nm成膜した。そして、絶縁保護膜70に開口部70xを設けて配線60の一部を露出させ、電極パッド61、62及び63とした。なお、電極パッド61は共通電極パッドであり、電極パッド62及び63は個別電極パッドであり、個別電極間パッド間の距離は80μmとした。
その後、分極処理装置500を用い、コロナ帯電処理により分極処理を行った。コロナ帯電処理にはφ50μmのタングステンのワイヤーを用いている。分極処理条件としては、処理温度80℃、コロナ電極510の電圧9kV、グリッド電極520の電圧1.5kV、処理時間30s、コロナ電極510−グリッド電極520間の距離4mm、グリッド電極520−ステージ530間の距離4mmにて行った。
その後、基板10の裏面をエッチングして圧力室10x(幅60μm)を形成し、液体吐出ヘッド2とした。但し、基板10の下部には、ノズル51を備えたノズル板50は接合されていなく、液体吐出ヘッド2は半完成状態である。
なお、図19に示すように、圧力室10xを保持するため、裏面に電気機械変換素子30に対応する個数の凹部15xが形成された保持基板15を用いた。具体的には、圧力室10xを形成する前に、各電気機械変換素子30が各凹部15x内に収容されるように、保持基板15を接着層を介して基板10上に接合した。その後、基板10の裏面をエッチングして圧力室10xを形成した。
[実施例2]
下部電極31である白金膜の成膜温度を300℃、分極処理時のグリッド電圧を1.2kvとした以外は実施例1と同様に液体吐出ヘッド2を作製した。
[実施例3]
下部電極31である白金膜の成膜温度を500℃、分極処理時のグリッド電圧を1.7kvとした以外は実施例1と同様に液体吐出ヘッド2を作製した。
[実施例4]
密着層であるチタン膜の膜厚を50nm、下部電極31である白金膜の成膜温度を300℃、仮焼温度を350℃、分極処理時のグリッド電圧を0.9kvとした以外は実施例1と同様に液体吐出ヘッド2を作製した。
[比較例1]
下部電極31を成膜後に、PbTiO層の代わりに下地層となるTiO層をスパッタ膜により5nm成膜し、下部電極31である白金膜の成膜温度を200℃、仮焼温度を250℃、分極処理時のグリッド電圧を0.75kvとした以外は実施例1と同様に液体吐出ヘッド2を作製した。
[比較例2]
下部電極31を成膜後に、PbTiO層の代わりに下地層となるTiO層をスパッタ膜により5nm成膜し、下部電極31である白金膜の成膜温度を200℃、仮焼温度を250℃とした以外は実施例1と同様に液体吐出ヘッド2を作製した。
[実施例1〜4、比較例1〜2の検討]
実施例1〜4及び比較例1で作製した各液体吐出ヘッド2の電気機械変換素子30について、図6に示したC3の位置に相当するチップを用いて、該当箇所でのXRD測定、電気特性、変位特性(圧電定数)、振動板の湾曲量の評価を行った。なお、変位特性の評価については、圧力室10x側から振動評価を実施した。具体的には、電界印加(150kV/cm)による変形量を、レーザードップラー振動計で計測し、シミュレーションによる合わせ込みから算出した。又、振動板20の湾曲量(曲率半径)については、白色光干渉型表面形状測定機を用いて計測した。
そして、各々の端部から20chまでのチャネル群における振動板20の曲率半径Rの差、分極率バラつき、PZT(200)ピーク位置、電気機械変換膜32のクラック発生有無、及びΔδ/δ_aveを求め、結果を表1にまとめた。なお、δは150kv/cmの電界強度かけて評価を行ったときの電気機械変換膜32の変位特性であり、Δδは電気機械変換膜32の配列方向に対する変位特性δの傾き差、δ_aveは変位特性δの平均値である。
Figure 2016168832
表1において、実施例1〜4では各々の端部から20chまでのチャネル群における振動板20の曲率半径Rの差は何れも1500μm以下であるが、比較例1では2000μmよりも大きくなっている。なお、比較例2については、各々の端部の電気機械変換素子30において電気機械変換膜32にクラックが発生し、各々の端部での評価を実施できなかった。このように、電気機械変換膜32の分極処理の条件等によっては、各々の端部から20chまでのチャネル群における振動板20の曲率半径Rの差が1500μmよりも大きくなる。又、電気機械変換膜32にクラックが発生する場合がある。
又、表1から分かるように、実施例1〜4については、Δδ/δ_aveがチップ内の各々の端部から20chまでのチャネル群における変位傾きとして目標とする8%以内に収まっているが、比較例1については11%と大きなバラつきを有していた(比較例2は測定不能)。つまり、各々の端部から20chまでのチャネル群における振動板20の曲率半径Rの差が1500μm以下であれば、Δδ/δ_aveが目標とする8%以内に収まるが、曲率半径Rの差が1500μmよりも大きくなると、Δδ/δ_aveが目標とする8%以内に収まらないことが確認された。
次に、実施例1〜4、比較例1で作製した各液体吐出ヘッド2(半完成状態の液体吐出ヘッド2)の基板10の下部にノズル51を備えたノズル板50を接合し、液体吐出ヘッド2を完成させ、液の吐出評価を行った。
具体的には、粘度を5cpに調整したインクを用いて、単純Push波形により−10〜−30Vの印可電圧を加えたときの吐出状況を確認した。その結果、実施例1〜4で作製した各液体吐出ヘッド2に関しては、どのノズル51からも吐出でき、かつ高周波で吐出できることが確認できた。これに対して、比較例1で作製した液体吐出ヘッド2に関しては、ヘッド内の各々の端部から20chまでのチャネル群に対応するノズル51において、大きく液体吐出速度がばらついていることが確認された。
つまり、各々の端部から20chまでのチャネル群における振動板20の曲率半径Rの差が1500μm以下であれば、液体吐出速度が安定するが、曲率半径Rの差が1500μmよりも大きくなると、液体吐出速度が安定しないことが確認された。
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上記の実施の形態では、上部電極を個別電極、下部電極を共通電極とした場合について説明したが、本発明はこれに限られない。すなわち、上部電極を共通電極、下部電極を個別電極とした構成においても同様の効果を得られる。
1、2 液体吐出ヘッド
10 基板
10x 圧力室
15 保持基板
15x 凹部
20 振動板
30 電気機械変換素子
31 下部電極
32 電気機械変換膜
33 上部電極
40、70 絶縁保護膜
40x、70x 開口部
50 ノズル板
51 ノズル
60 配線
61、62、63 電極パッド
401 ガイド部材
403 キャリッジ
405 主走査モータ
406 駆動プーリ
407 従動プーリ
408 タイミングベルト
410 用紙
412 搬送ベルト
413 搬送ローラ
414 テンションローラ
416 副走査モータ
417 タイミングベルト
418 タイミングプーリ
420 維持回復機構
421 キャップ部材
422 ワイパ部材
440 液体吐出ユニット
441 ヘッドタンク
442 カバー
443 コネクタ
444 流路部品
450 液体カートリッジ
451 カートリッジホルダ
452 送液ユニット
456 チューブ
491A、491B 側板
491C 背板
493 主走査移動機構
494 供給機構
495 搬送機構
特許第3555682号 特開2014−151511号公報

Claims (12)

  1. 液体を吐出するノズルと、前記ノズルが連通する圧力室と、前記圧力室内の液体を昇圧させる吐出駆動手段と、を備えた構造体が所定方向に複数配列され、
    夫々の前記構造体において、前記吐出駆動手段は、前記圧力室の壁の一部を構成する振動板と、電気機械変換膜を備えた電気機械変換素子と、を含み、前記振動板が前記圧力室側に凸になるように湾曲しており、
    前記圧力室毎の前記振動板の湾曲量を曲率半径Rとしたときに、前記所定方向の各々の端部に位置する前記圧力室から前記所定方向に対して20chまでの前記振動板の前記曲率半径Rの差が1500μm以下である液体吐出ヘッド。
  2. 前記電気機械変換膜に±150kv/cmの電界強度かけてヒステリシスループを測定し、最初の0kv/cm時の分極をPind、+150kv/cmの電圧印加後0kv/cmまで戻したときの0kv/cm時の分極をPrとしたときに、前記所定方向の各々の端部に位置する前記圧力室から前記所定方向に対して20chまでの分極率Pr−Pindの傾き差が4μC/cm以下である請求項1記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記電気機械変換素子は、下部電極を含み、
    前記下部電極と前記電気機械変換膜との間に、チタン酸鉛からなるシード層を備えている請求項1又は2記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記電気機械変換膜のX線回折のθ−2θ法による測定で得られた回折強度のピークのうち、(200)面に対応する回折強度のピークにおいて回折強度が最大となる位置(2θ)で、あおり角(χ)を振った測定により得られる回折強度のピークが、ピーク分離により3つのピークに分離することができ、
    前記3つのピークの夫々において、回折強度が最大となる位置での回折強度を夫々peak1、peak2、peak3とし、前記3つのピークの半値幅を夫々σ1、σ2、σ3としたときに、peak1、peak2、peak3を夫々σ1、σ2、σ3の重みとしたσ1、σ2、σ3の加重平均FWHMstd(χ)(=(σ1×peak1+σ2×peak2+σ3×peak3)/(peak1+peak2+peak3))が12°以下である請求項1乃至3の何れか一項記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記圧力室がシリコン基板で構成され、
    前記シリコン基板を保持する保持基板が接着層を介して前記シリコン基板と接合され、
    前記シリコン基板と前記保持基板が接合された状態において、前記シリコン基板の曲率半径Rが4mm以下である請求項1乃至4の何れか一項記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記振動板がシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、ポリシリコンを材料として含む複数の層から形成され、
    前記振動板の膜厚が1μm以上3μm以下である請求項1乃至5の何れか一項記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記振動板のヤング率が75GPa以上95GPa以下である請求項1乃至6の何れか一項記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記圧力室の短手方向の長さが50μm以上70μm以下である請求項1乃至7の何れか一項記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記電気機械変換膜に150kv/cmの電界強度かけて変位特性の評価を行ったときに、
    前記所定方向の各々の端部に位置する前記圧力室から前記所定方向に対して20chまでの前記電気機械変換膜の変位特性δの前記所定方向に対する傾き差をΔδ、前記変位特性δの平均値をδ_aveとしたときにΔδ/δ_aveが8%以下である請求項1乃至8の何れか一項記載の液体吐出ヘッド。
  10. 請求項1乃至9の何れか一項記載の液体吐出ヘッドを備えている液体吐出ユニット。
  11. 前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくとも何れか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化した請求項10に記載の液体吐出ユニット。
  12. 請求項1乃至9の何れか一項記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項10若しくは11記載の液体吐出ユニットを備えている液体を吐出する装置。
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