JP2013065670A - 電気−機械変換素子とその製造方法、電気−機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板又は下地膜上に第1の電極11を形成する工程と、第1の電極11表面にパターン化されたセラミック薄膜12’を形成する工程と、セラミック薄膜12’上に電気−機械変換膜15を形成する工程[第1工程(第1の電極11のみを表面改質させて疎水性部位を形成)、第2工程(セラミック薄膜12’上に、前駆体溶液22を印刷してCSD法により塗膜14を形成)、第3工程(塗膜14を熱処理)、第4工程(第1工程〜第3工程を繰返して電気−機械変換膜15を所望の膜厚に形成)を含む]と、電気−機械変換膜15上に第2の電極を形成する工程とを備えた製造方法により電気−機械変換素子を作製し、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を構成する。
【選択図】図1
Description
水熱合成法ではTi金属上にPZTが選択成長する。Ti電極をパターニングしておけば、その部位のみにPZT膜が成長する。この方法で十分な耐圧を有するPZT膜を得るには、膜厚が5μm以上の比較的厚い膜が好ましい。これ以下の膜厚では、電界印加で容易に絶縁破壊してしまうからである。
また、真空蒸着法は、有機ELの製造にシャドウマスクが用いられ、発光層のパターニングが成されているが、PZT成膜は基板温度500〜600℃にした状態で実行される。これは圧電性出現のためには複合酸化物が結晶化している必要があり、その結晶化膜を得るのに先記基板温度が必須となる。
更に、AD法では、予めフォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、レジストの無い部位にPZTを成膜する方法が知られている。このAD法は上記水熱合成法と同様に厚膜に有利である。また、レジスト膜上にもPZT膜が堆積するので、研磨処理により一部の堆積膜を除去した後、リフトオフ工程を行う。
また、液滴吐出方式によるPZT前駆体塗布法では、高解像度で液滴を吐出、塗布することが可能である。液滴吐出方式では、塗布・熱分解法やゾルゲル法などのCSD(Chemical Solution Deposition)法によりPZTが形成される。ゾルゲル法は、金属アルコキシシラン等の有機金属化合物を、電極を含む基板上に塗布した後、フォトリソ・エッチング等の手法により、所望とするパターンの個別の圧電体層(金属複合酸化物からなる電気−機械変換膜)を形成するものである。ゾルゲル法によって金属複合酸化物の薄膜(電気−機械変換膜)を形成するには、例えば、非特許文献1に記載されているような技術が応用できる。
一方、下部電極上に個別PZT膜を形成するに先だって、インクジェット方式により下部電極表面を改質することが知られている。非特許文献2に、フォトリソグラフィーや電子線リソグラフィーによって作製されたマスター(型)の形状パターンから、ゴム状プラスチック(ポリジメチルシロキサン:PDMS)へ転写してスタンプを作製する技術が紹介されている。例えば、Au膜上にアルカンチオールを用いて自己組織化単分子膜(SAM)を形成することができる。
また、特許文献2では、電界の印加によりベタ圧電体膜不要部分(パターニングされた領域)を除去して圧電体膜を製造する方法が提案されている。これにより、高価な装置を要することなく圧電体膜を容易にパターニングすることができるとされている。
なお、本発明における「電気−機械変換膜」は「電気−機械変換層」と同義である。
前記(II)の工程で形成されるセラミック薄膜が、前記(III)の工程で形成される電気−機械変換膜の結晶構造形成時においてシード層として機能する金属酸化物もしくは一般式ABO3[但し、Aは2価の金属元素、もしくは1価の元素と3価の元素が複合(A1/2 1+,A1/2 3+)して2価の元素と等価に振舞う組合せから選択され、Bは4価の金属元素、もしくは2価の元素と5価の元素が複合(B1/3 2+,B2/3 5+)して4価の元素と等価に振舞う組合せ、または3価の元素と5価の元素が複合(B1/2 3+,B1/2 5+)して4価の元素と等価に振舞う組合せ、または2価の元素と6価の元素が複合(B1/2 3+,B1/2 6+)して4価の元素と等価に振舞う組合せ、または3価の元素と6価の元素が複合(B2/3 3+,B1/3 6+)して4価の元素と等価に振舞う組合せから選択される。]で表される金属複合酸化物から構成されるとともに、
前記(III)の工程が、下記第1の工程から第4の工程を含むことを特徴とする電気−機械変換素子の製造方法により解決される。
第1の工程:前記セラミック薄膜表面を親水性部位として維持したまま前記第1の電極のみを表面改質させて疎水性部位とする。
第2の工程:前記セラミック薄膜上に、電気−機械変換膜用の前駆体溶液を印刷してCSD(Chemical Solution Deposition)法により塗膜を形成する。
第3の工程:前記塗膜を熱処理する。
第4の工程:前記第1の工程、第2の工程、第3の工程を繰返して電気−機械変換膜を所望の膜厚とする。
前記(II)の工程で形成されるセラミック薄膜が、前記(III)の工程で形成される電気−機械変換膜の結晶構造形成時においてシード層として機能する金属酸化物もしくは一般式ABO3[但し、Aは2価の金属元素、もしくは1価の元素と3価の元素が複合(A1/2 1+,A1/2 3+)して2価の元素と等価に振舞う組合せから選択され、Bは4価の金属元素、もしくは2価の元素と5価の元素が複合(B1/3 2+,B2/3 5+)して4価の元素と等価に振舞う組合せ、または3価の元素と5価の元素が複合(B1/2 3+,B1/2 5+)して4価の元素と等価に振舞う組合せ、または2価の元素と6価の元素が複合(B1/2 3+,B1/2 6+)して4価の元素と等価に振舞う組合せ、または3価の元素と6価の元素が複合(B2/3 3+,B1/3 6+)して4価の元素と等価に振舞う組合せから選択される。]で表される金属複合酸化物から構成されるとともに、
前記(III)の工程が、下記第1の工程から第4の工程を含むことを特徴とするものである。
第1の工程:前記セラミック薄膜表面を親水性部位として維持したまま前記第1の電極のみを表面改質させて疎水性部位とする。
第2の工程:前記セラミック薄膜上に、電気−機械変換膜用の前駆体溶液を印刷してCSD(Chemical Solution Deposition)法により塗膜を形成する。
第3の工程:前記塗膜を熱処理する。
第4の工程:前記第1の工程、第2の工程、第3の工程を繰返して電気−機械変換膜を所望の膜厚とする。
<基板>
基板としては、限定されるものではないがシリコン単結晶基板(例えば、シリコンウェハ)が好ましく用いられ、通常500〜1000μm程度の厚みを持つことが好ましく、単結晶基板の面方位は適宜選択される。電気−機械変換素子における圧力室は、シリコン単結晶基板にエッチング加工を施して形成できる。なお、シリコン単結晶基板の表面を酸化処理して酸化膜としてもよい。
<下地膜>
下地膜は、基板と第1の電極の密着性を向上させ膜密着力を強める役割を担うものであり、必要に応じて設けられる。白金を第1の電極として使用する場合には、SiO2との密着性が悪いために、チタン(Ti)、酸化チタン(TiO2)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、酸化タンタル(Ta2O5)、窒化タンタル(Ta3N5)等やこれらの積層膜等を下地膜(密着層)として設けることが好ましい。例えば、シリコンウェハ表面を酸化処理した基板に、白金膜を第1の電極として設ける場合、下地膜として酸化チタンを形成すると密着性が向上する。
下地膜は、スパッタ法等の薄膜形成手法により成膜できる。膜厚としては10〜100nmが好ましい。さらに好ましくは50nm程度である。膜厚が10nmより薄いと膜形態が島状組織からなる場合があるので好ましくない。一方、膜厚が100nmより厚いと電気−機械変換膜の発生する力に対して拘束力が働き、インク吐出性能に支障をきたす場合があるので好ましくない。
下地膜として、その他の金属酸化物[例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化イットリウム(Y2O3)等]を用いることもできる。
第1の電極としては、該第1の電極表面にパターン化されたセラミック薄膜を形成する工程(II)における第1の工程で、第1の電極のみを表面改質するのに好都合な材質であることが好ましい。すなわち、第1の電極として、白金族元素、Au、Ag、Cuまたはこれらの合金からなるものが好ましい。
ここで、白金族元素とは、周期表において第5及び第6周期、第8、9、10族に位置する元素、すなわちルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)を表す総称である。物理的性質や化学的性質が互いによく似ているため、同じ族として扱われる。
例えば、チオール化合物溶液を用いた表面処理により、これらの白金族元素、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)表面において、チオール化合物が自己組織化された膜(SAMを形成する。これにより、セラミック薄膜表面を親水性部位として維持したまま、第1の電極のみを表面改質させて疎水性部位とすることができる。
本発明におけるセラミック薄膜は、電気−機械変換膜の結晶構造形成時においてシード層として機能する金属酸化物もしくは一般式ABO3で表される金属複合酸化物から構成される。
ここで、金属複合酸化物を表す一般式ABO3において、Aとして:Pb,Ba,Sr,Ca等の2価の金属元素、もしくは2価の元素と等価に振舞う組合せ[Na,K等の1価の元素とLa,Ce,Nd,Bi等の3価の元素との複合(A1/2 1+,A1/2 3+)]が挙げられる。Bとして:Ti,Zr,Hf,V等の4価の金属元素、もしくは4価の元素と等価に振舞う組合せ[Mg,Ni,Zn,Co,Cd等の2価の元素とNd,Ta等の5価の元素との複合(B1/3 2+,B2/3 5+);Fe,Sc,Inやランタニド等の3価の元素とNb,Ta等の5価の元素との複合(B1/2 3+,B1/2 5+);Cd,Mn,Zn,Mg,Co等の2価の元素とW等の6価の元素との複合(B1/2 3+,B1/2 6+);Fe等の3価の元素とW等の6価の元素との複合(B2/3 3+,B1/3 6+)]が挙げられる。
これらの具体例としては、後述の電気−機械変換膜を形成するために用いることができる例示化合物(表1に記載)と同様の金属複合酸化物が挙げられる。
前記セラミック薄膜を構成する金属酸化物としては限定されるものではないが、例えば、チタン酸鉛が、また金属複合酸化物としてはチタン酸鉛リッチなジルコン酸チタン酸鉛(PZT)が好ましく用いられる。
フォトリソグラフィーによるパターニングに基づき、アモルファス状態の薄膜は、フッ酸、硝酸、酢酸、水、フッ化アンモニウム、塩酸を主成分とする混酸を用いたウェットエッチングにより処理され、パターン化される。
本発明における電気−機械変換膜(電気−機械変換層と同義)とは圧電性結晶からなる膜を意味し、圧電性を示す化合物、特に金属酸化物や金属複合酸化物が好ましく使用可能である。このような金属複合酸化物として、一般式ABO3で表される金属複合酸化物が挙げられる。すなわち、一般式ABO3において、
Aとして:Pb,Ba,Sr,Ca等の2価の金属元素、もしくは2価の元素と等価に振舞う組合せ[Na,K等の1価の元素とLa,Ce,Nd,Bi等の3価の元素との複合(A1/2 1+,A1/2 3+)]が挙げられる。Bとして:Ti,Zr,Hf,V等の4価の金属元素、もしくは4価の元素と等価に振舞う組合せ[Mg,Ni,Zn,Co,Cd等の2価の元素とNd,Ta等の5価の元素との複合(B1/3 2+,B2/3 5+);Fe,Sc,Inやランタニド等の3価の元素とNb,Ta等の5価の元素との複合(B1/2 3+,B1/2 5+);Cd,Mn,Zn,Mg,Co等の2価の元素とW等の6価の元素との複合(B1/2 3+,B1/2 6+);Fe等の3価の元素とW等の6価の元素との複合(B2/3 3+,B1/3 6+)]が挙げられる。一般式ABO3で表される金属複合酸化物の一例を下記表1、2に示す。
第1の工程では、セラミック薄膜表面を親水性部位として維持しつつ、第1の電極のみを表面改質させて疎水性部位とする。第1の電極のみの表面改質にはチオール化合物を用いることが好ましい。すなわち、第1の電極に用いられる、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)に対して自己整合的にチオール化合物はSAM(Self Assembled Mono‐layer)を形成する。すなわち、チオール化合物は白金等の第1の電極に選択的に付着し、自己組織化によりSAM膜を形成する。チオール化合物が付着した表面は、チオール化合物の疎水性基(アルキル基)で覆われるため、第1の電極表面領域で疎水性部位を形成することができる。一方、パターン化されたセラミック薄膜表面には付着せず親水性部位として維持される。なお、チオール化合物の自己組織化(アルカンチオールが特定金属上に自己配列する現象)に関しては非特許文献2にも記載されている。
PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)とは、ジルコン酸鉛(PbZrO3)とチタン酸鉛(PbTiO3)の固溶体で、その比率により特性が異なる。一般的に優れた圧電特性を示す組成はPbZrO3とPbTiO3の比率が53:47の割合で、化学式で示すとPb(Zr0.53,Ti0.47)O3、一般にPZT(53/47)と示される。前記酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物の出発材料は、この化学式に従って秤量される。
なお、前記CSD(Chemical Solution Deposition)法とは、液相から固相(セラミックス膜)を得る方法を指し、従来の塗布・熱分解法やゾルゲル法がこれに含まれる。また、本発明における電気−機械変換素子の説明においては、d31方向の変形を利用した横振動(ベンドモード)型を例としている。
インクジェット印刷によれば、前記PZT前駆体溶液の消費量を低減することもできる。
基板または下地膜上に形成された第1の電極の全面にPZT膜を形成する場合、PZT前駆体(インク)をスピンコートなどの溶液塗布法により印刷して塗膜を形成し、溶媒乾燥、熱分解、結晶化の各熱処理を施すことで得られる。塗膜から結晶化膜への変態には体積収縮が伴うので、クラックフリーな膜を得るには一度の工程で100nm以下の膜厚が得られるように前駆体濃度の調整が必要になる。また、本発明の製造方法により作製した電気−機械変換素子を液体噴射装置の素子として用いる場合、このPZT膜の膜厚は0.5μm〜5μm、好ましくは1μm〜3μmが要求される。スピンコートによる塗布〜熱処理による方法でこの膜厚を得るには十数回、工程を繰り返すことになる。
インクジェット印刷の場合、2μmの電気−機械変換膜(PZT膜)を得るには、仮に1回の処理で形成される膜厚が100nm程度とすると、第4の工程を20回程度繰り返す必要がある。このように、第1の工程、第2の工程、第3の工程を必要回数繰返して厚膜とすることで、クラックなどの発生を抑制した品質の優れた電気−機械変換膜(PZT膜)が得られる。ここで、さらに工程の簡素化のために、塗膜形成、乾燥、熱分解を繰返して複数回毎(例えば、3巡目)に結晶化処理を行ってもよい。
本発明における第2の電極として、電極材料として用いられる導電性材料であればいずれも用いられ、第1の電極と同様の金属材料(白金族元素、Au、Ag、Cu等)や導電性酸化物などを用いることができる。これらは金属材料または導電性酸化物を単層で電極構成としたものでもよく、それぞれを積層して電極構成としたものでもよい。
導電性酸化物としては、例えば、SrRuO3、CaRuO3、これらの固溶体である(Sr1-xCax)O3、LaNiO3、SrCoO3、これらの固溶体である(La,Sr)(Ni1-yCoy)O3(y=1でもよい)、IrO2、RuO2等が挙げられる。
第2の電極の作製方法としては、スパッタ法もしくは、ゾルゲル(Sol−gel)法を用いてスピンコーターにて作製することができる。その場合には、パターニング化が必要となるので、フォトリソグラフィー・エッチング等により所望のパターンを得る。また、インクジェット工法によりパターニングされた膜を作製することができる。
第2の電極の膜厚としては50〜400nmが好ましい。さらに好ましくは100〜200nmである。膜厚が50nmより薄いと電極としての抵抗値が上昇し、特に高周波駆動させる時の電力伝播速度を低下させる。また、膜厚が400nmより厚いと電気−機械変換膜の発生する力に対して拘束力が働き、インク吐出性能に支障をきたす場合があるので好ましくない。
第1の工程においてセラミック薄膜表面を親水性部位として維持したまま第1の電極のみを表面改質させて疎水性部位とする、所謂、表面エネルギーコントラストを得るためのセラミック薄膜とこのパターニングについて説明する。
セラミック薄膜の組成は、その機能として上述の表面エネルギーコントラストを得るほか、電気−機械変換膜の結晶性の高品位化を達成することが可能なものから選択される。
例えば、PZT(53/47)を電気−機械変換膜に採用した場合、好適なセラミック薄膜としては、PZTの端成分であるチタン酸鉛が選ばれる。また、チタン酸鉛リッチなPZT、すなわちPZT(20/80)やPZT(40/60)などもよい。
シード層は電気−機械変換膜の結晶構造形成時において機能するものであるが、該シード層としては、高い結晶性を持ち、その結晶情報(格子定数など)を積層される電気−機械変換膜であるPZT(53/47)に伝える必要があり、この点からもチタン酸鉛が有効である。チタン酸鉛はPZT(53/47)の結晶化温度より約70℃ほど低い低温で結晶化する。
チタン酸鉛(001)配向膜の格子定数とPZTのそれが離れている場合、PZT(001)の配向が若干乱れる場合がある。従って、格子ミスフィットを低減させるため、シード層としてPZT(20/80)や、PZT(40/60)を用いてもよい。
エッチング液に対するセラミック薄膜(シード層)の溶解性はアモルファス状態の方が結晶状態より容易に溶解する。またPZT(40/60)などジルコン酸鉛が加わると、酸化ジルコニウムがエッチング残渣になりやすい。従って、ジルコン酸鉛がシード層成分に加わった場合は、アモルファス状態でのエッチング加工が好適である。アモルファス状態ではシード層としての機能を果たさないため、エッチング・レジスト剥離後にシード層の結晶化アニール処理を行う。
図1は、本発明の電気−機械変換素子の製造方法において第1の電極上に電気−機械変換膜を形成する主要工程を示す工程断面図である。
すなわち、図1において、(a)〜(i)はそれぞれ下記工程を示す。
(a):工程(I)により、基板または下地膜上に形成された第1の電極(11)。
(b):工程(II)により、第1の電極表面に形成されたセラミック薄膜(12)。
(c):工程(II)により、パターン化されたセラミック薄膜(12’)。
(d):工程(III)の第1の工程により、表面改質されないセラミック薄膜表面の親水性部位(親インク部)と、表面改質された第1の電極表面の疎水性部位(疎インク部)。符号13はSAM(例えば、アルカンチオールにより形成された疎インク部)を示す。
(e):工程(III)の第2の工程により、セラミック薄膜上に印刷されたPZT塗膜(14)。符号21は液滴塗出ヘッド、符号22は液滴[電気−機械変換膜用の前駆体溶液(インク)]を示す。
(f):工程(III)の第3の工程により、熱処理されたPZT膜(15)
(g)、(h)、(i):工程(III)の第4の工程により、前記第1の工程、第2の工程、第3の工程を繰返して電気−機械変換膜を所望の膜厚とする。
また、(b)に示すセラミック薄膜(12)をセラミック薄膜(シード層)用の前駆体溶液(インク)を用いてCSD法により形成する。前駆体溶液(インク)として金属アルコキシド化合物を原料として調製した溶液を用いることが好ましい。チタン酸鉛を組成分とするようにセラミック薄膜を形成すれば(111)配向のチタン酸鉛薄膜が得られる。チタン酸鉛薄膜を形成するには、酢酸鉛三水和物、チタンイソプロポキシドを原料とし、メトキシエタノールを溶媒として調製した前駆体溶液を用いることができる。
第1の電極(白金電極膜)(11)上に前駆体溶液をスピンコートにて成膜(セラミック薄膜12)し、乾燥、熱分解(例えば、400℃)、結晶化(例えば、500℃)で処理を行い、(111)配向チタン酸鉛薄膜(セラミック薄膜12)を得る。膜厚は10nm以上100nm以下とする。
SAM処理に用いるアルカンチオール溶液として、チオール化合物、特にC6からC18のアルカンチオールを一般的な有機溶媒(アルコール、アセトン、トルエンなど)に溶解させて(濃度数mol/L)用いることができる。ここで、撥水性を強固なものにするため、フッ素を含むSAM剤でもよい。なお、アルカンチオールは分子鎖長により反応性や疎水性(撥水性、撥インク性)が異なるので適宜選択される。白金電極膜表面にアルカンチオールからなるSAMを形成後、水の接触角を測定すれば、表面エネルギーのコントラストがつく。例えば、セラミック薄膜上では水の接触角は25°以下、SAM膜上では105°程度となる。なお、実験によれば、セラミック薄膜の膜厚が10nm以上、好ましくは20nm以上であれば、表面エネルギーコントラストが得られる。一方、上限については1回のスピンコートから結晶化処理でクラックの生じない範囲(100nm)であればよい。
インクジェットによる印刷(塗布)には、例えば、リコープリンティングシステムズ社製GEN−4ヘッドを搭載した工業用インクジェットプリンター等を用いることができる。
PZT塗膜14を125℃で乾燥(ホットプレート等による)した後、500℃で熱分解(ホットプレート等による)し、さらに650℃で急速熱処理(昇温速度:80℃/秒)して結晶化し、熱処理されたPZT膜15とすることができる。この工程を経てPZT(53/47)膜は膜厚100nm以下、好ましくは80nmになるように、インク濃度、パターン面積に対するインク滴滴下量が制御される。例えば、2μm厚のPZT(53/47)膜を得るために、図1(g):SAM形成、(h):インクジェット塗膜形成、(i):熱処理を繰り返すことで電気−機械変換素子として機能する膜厚に仕上げる。
上記条件で作製した2μm厚のPZT(53/47)膜は(111)配向を有する。前述のように工程の簡素化のために、塗膜形成、乾燥、熱分解を繰返して複数回(例えば、3巡目)毎に結晶化処理を行ってもよい。
図2は、本発明の電気−機械変換素子の製造方法において第1の電極上に(001)配向を有するセラミック薄膜[例えば、PZT(40/60)膜]を形成する一部工程を示す工程断面図である。
すなわち、図2において、(a)〜(d)はそれぞれ下記工程を示す。
(a):工程(I)により、基板または下地膜上に形成された第1の電極(11)。
(b):工程(II)により、第1の電極表面に形成されたセラミック薄膜(16)。
セラミック薄膜(16)はPZT(40/60)膜からなる。
(c):工程(II)により、パターン化されたセラミック薄膜(16’)。
パターン化されたセラミック薄膜(16’)はPZT(40/60)膜からなる。
(d):工程(III)の第1の工程により、表面改質されないセラミック薄膜表面の親水性部位(親インク部)と、表面改質された第1の電極表面の疎水性部位(疎インク部)。符号13はSAM(アルカンチオールにより形成された疎インク部)を示す。
図2において、図1と同じ符号は同じ構成要素を示す。
上記(a)に示す第1の電極(11)は、表面改質処理に用いるチオール化合物との反応性に優れた白金により形成するのが好ましい(白金電極膜)。
また、(b)に示すセラミック薄膜(16)をPZT(40/60)を組成分とするようにCSD法(スピンコート)により形成する。
このセラミック薄膜16には難溶性のジルコニウムが含まれているので、スピンコート塗膜は乾燥、熱分解の熱処理を与え、結晶化処理前に、パターニングを実施する必要がある。具体的には、125℃で乾燥(ホットプレート等による)した後、450℃で熱分解(ホットプレート等による)する。この条件で得られる膜は、X線回折評価からアモルファス状態であることが確認される。
次に、(c)に示すようにパターン化されたセラミック薄膜(PZT(40/60))16’をリソグラフィー・エッチング法により形成する。
エッチング液として、フッ化アンモニウム(50%)水溶液:1部、硝酸(60%):3部、酢酸:8部、純水:8部の組成(部は体積比)を用い室温でエッチングする。レジスト剥離後、アモルファス状態のセラミック薄膜16を、結晶化アニール処理[650℃で急速熱処理(昇温速度80℃/秒)]することにより結晶化膜に変換され、(001)配向膜が形成される。
次に、(d)に示すように白金電極膜上にパターン化された配向セラミック薄膜(PZT(40/60))が形成された表面に、図1と同様にしてSAM処理を行う。
そして工程(d)以降は、図1(e)〜(i)で説明したのと同様にして電気−機械変換膜が形成される。
図3は、本発明の電気−機械変換素子の製造方法によって製造された電気−機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッドの構成を示す断面図である。
図3に示す液滴吐出ヘッド30は、第1の電極である下部電極33上にセラミック薄膜41を介して電気−機械変換膜32が設けられ、該電気−機械変換膜32上には、第2の電極である上部電極31が積層されて電気−機械変換素子34を構成している。更には、この電気−機械変換素子34の下部電極33上には密着層35が設けられている。この密着層35は白金族元素からなる下部電極を配置する場合にセラミック薄膜41との膜密着力を強めるための層(下地)である。なお、第2の電極である上部電極31は、限定されるものではないが例えば、白金スパッタ膜を形成した後、周知の技術でエッチング加工により形成することができる。セラミック薄膜41は、電気−機械変換膜の結晶構造形成時においてシード層として機能する金属酸化物もしくは前記一般式ABO3で表される金属複合酸化物から形成される(チタン酸鉛またはチタン酸鉛リッチなジルコン酸チタン酸鉛が好ましく用いられる)。そして、振動板36とSi基板である圧力室基板37とノズル38が設けられたノズル板39とで圧力室40が構成されている。なお、図3では、液体供給手段、流路、流体抵抗は省略している。
また、基板である振動板36は厚さ数ミクロンでシリコン酸化膜や窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、及びこれら各膜を積層した膜でもよい。また熱膨張差を考慮した酸化アルミニウム膜、ジルコニア膜などのセラミック膜でもよい。これら材料は絶縁体である。そして、下部電極33は電気−機械変換素子34に信号入力する際の共通電極として電気的接続をするので、その上にある振動板36は絶縁体か、もしくは導体であれば絶縁処理を施して用いることになる。この絶縁処理に用いられるシリコン系絶縁膜は熱酸化膜、CVD堆積膜を用い、金属酸化膜はスパッタリング法で成膜することができる。図4の概略断面図に、図3の液滴吐出ヘッドを複数個配置して構成されたヘッド例を示す。
上述したように、電気−機械変換素子が簡便な製造工程で、且つバルクセラミックスと同等の性能を持つように形成でき、その後で圧力室形成のための裏面からのエッチング除去、ノズル孔を有するノズル板を接合することで液滴吐出ヘッドができる。なお、図4では液体供給手段、流路、流体抵抗は省略している。
本発明に係る電気−機械変換素子を有する液吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置の一例について図を参照して説明する。
図5は発明に係る一実施の形態における液滴吐出塗布装置の構成を示す斜視図である。
本発明の電気−機械変換素子の製造方法によって製造された電気−機械変換素子(前記図1で示した構成の液滴吐出ヘッド)を搭載した図5に示す液滴吐出塗布装置60において、架台61の上に、Y軸駆動手段62が設置してあり、その上に基板63を搭載するステージ64がY軸方向に駆動できるように設置されている。なお、ステージ64には図示されていない真空、静電気などの吸着手段が付随して設けられており、基板63が固定されている。また、X軸支持部材65にはX軸駆動手段66が取り付けられており、これにZ軸駆動手段67上に搭載されたヘッドベース68が取り付けられており、X軸方向に移動できるようになっている。ヘッドベース68の上には液体を吐出させる液滴吐出ヘッド69が搭載されている。この液滴吐出ヘッド69には図示されていない液体タンクから供給用パイプ70を介して液体が供給される。
図6に示すインクジェット記録装置100は、主に、記録装置本体の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ101と、キャリッジ101に搭載した本発明を実施して製造した液滴吐出ヘッドの一例であるインクジェットヘッドからなる記録ヘッド102と、記録ヘッド102へインクを供給するインクカートリッジ103とを含んで構成される印字機構部104を有している。
また、キャリッジ101の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド102の吐出不良を回復するための回復装置129を配置している。回復装置129はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ101は印字待機中にはこの回復装置129側に移動されてキャッピング手段で記録ヘッド102をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
なお、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
図1に示した工程断面図(第1の電極上に電気−機械変換膜を形成する主要工程を示す)に準拠し、下記条件で第1の電極表面へパターン化されたセラミック薄膜を形成し、該セラミック薄膜上へ電気−機械変換膜を形成した。
(a):第1の電極(11)の材料としてチオール化合物との反応性に優れた白金を用いた(白金電極膜)。
(b):白金電極膜上に、セラミック薄膜(シード層)用の前駆体溶液(インク)を用いCSD法によりチタン酸鉛を組成分とするセラミック薄膜(12)を形成した。
前駆体溶液(インク)は、酢酸鉛三水和物、チタンイソプロポキシドを出発材料に用い、共通溶媒としてメトキシエタノールを使用して調製したものを用いた。前駆体溶液(インク)中の鉛量は10モル%過剰にした。
前駆体溶液(インク)の調製においては、酢酸鉛三水和物をメトキシエタノールに溶解させ、メトキシエタノールの沸点(125℃)以上に加熱・分留して結晶水の脱水を行った。脱水の目安として、分留液体の水分をカールフィッシャー水分計で測定し、約60ppmまで脱水した。酢酸鉛は一部、カルボキシル基がメトキシエトキシドに置換されている。この溶液にチタンイソプロポキシドを加えて溶解し、均一溶液を得た。この間、アルコール交換反応が進行し、チタンメトキシエトキシドとイソプロピルアルコールの生成、カルボキシル基とアルコールのエステル反応も生じている。溶液の安定性を増すためにアセチルアセトンをアルコキシ基に対し0.5当量、濃度調整としてメトキシエタノールを各々加え、0.5mol/Lにし、これをストックソリューションとした。
このストックソリューションを濃度0.05mol/Lに希釈し、白金電極膜上にスピンコートにて成膜(塗膜)、乾燥、400℃熱分解、500℃結晶化処理を行い、膜厚20nm、(111)配向チタン酸鉛薄膜(セラミック薄膜12)を形成した。
通常のリソグラフィー処理により、所定パターンのレジスト膜を形成し、このレジストパターンに対し、露出しているチタン酸鉛薄膜をウェットエッチングした。エッチング液として、フッ酸(50%)水溶液:1部、硝酸(60%):3部、酢酸:8部、純水:8部の組成(部は体積比)からなる混酸を用い室温でエッチングした。次いで、有機溶剤にてレジストを除去し、パターン化された配向チタン酸鉛薄膜(セラミック薄膜12’)を得た。
前駆体溶液は、前記チタン酸鉛ストックソリューション作製時に用いた出発材料にジルコニウムブトキシドを追加し、同様の工程で反応を進めることで調製した。鉛量を化学両論組成に対して14モル%過剰になるように仕込むことで鉛抜けの対策を講じた。なお、前駆体液のインク化は、スットックソリューションに、表面張力制御剤、乾燥速度制御剤、ゲル化反応停止剤、粘度調整剤、濃度調整剤等の制御剤を加えて処方した。
上記チオール化合物の自己組織化された膜形成(SAM)により、第1の電極のみを表面改質させて疎水性部位とし、電気−機械変換膜のパターン化を行っているため、インクジェット印刷により超解像度化されたパターンが達成でき、パターン高精度化が実現できる。
この工程でPZT(53/47)膜の膜厚を100nm以下(80nm程度)になるように、インク濃度、パターン面積に対するインク滴滴下量を制御した。
ここで、図1(g):SAM形成、(h):インクジェット塗膜形成、(i):熱処理を繰り返して、2μm厚のPZT(53/47)膜を得た。前記条件で作製した2μm厚のPZT(53/47)膜は、(111)配向チタン酸鉛薄膜と同じく(111)配向を有するものであった。つまり、簡素化した工程でパターン化が可能で、高品質な結晶性を有する電気−機械変換膜が形成できることが確認された。
実施例1の(b)でセラミック薄膜に用いた配向チタン酸鉛薄膜をPZT(40/60)膜に変えてパターン化されたセラミック薄膜とした以外は実施例1と同様にして電気−機械変換膜を形成した。なお、PZT(40/60)膜からなるセラミック薄膜は(001)配向を有する。
そして、上記条件で作製した2μm厚のPZT(53/47)膜からなる電気−機械変換膜は(001)配向を有するものであった。実施例1と同様、簡素化した工程でパターン化が可能で、高品質な結晶性を有する電気−機械変換膜が形成できることが確認された。
下記条件により電気−機械変換素子を作製した。
先ず、基板としてシリコンウェハを用い、このシリコンウェハに熱酸化膜(膜厚1μm)を形成した。次に、熱酸化膜を形成したシリコンウェハ表面に、該シリコンウェハ(基板)と第1の電極(白金膜)の密着性を向上させるために下地として密着層を形成した。すなわち、シリコンウェハ(基板)表面にチタン膜(膜厚50nm)をスパッタ成膜した後、引き続きこのチタン膜を酸素雰囲気中、750℃の急速熱処理(昇温速度80℃/秒)を行い、酸化物薄膜(TiOx)に変換して密着層とした。次いで、第1の電極として白金膜をスパッタ成膜により形成した(膜厚100nm)。
次に、実施例1で説明した条件と同様にして、上記で形成した第1の電極(白金膜)表面にパターン化されたセラミック薄膜(チタン酸鉛薄膜:膜厚20nm)を形成し、このセラミック薄膜上へ電気−機械変換膜[PZT膜(53/47)]を形成した。電気−機械変換膜(PZT膜)の厚さは2μmとした。なお、パターン化されたセラミック薄膜(チタン酸鉛薄膜)のパターン幅は40μm、長さは1000μmの形状とした。これにより、PZT(53/47)のパターンも40μm±0.5μmの精度で形成できた。セラミック薄膜(チタン酸鉛薄膜)の配向は(111)であり、電気−機械変換膜[PZT膜(53/47)]の配向も(111)であった。
次に、電気−機械変換膜[PZT膜(53/47)]上に第2の電極として白金膜をスパッタ成膜(膜厚100nm)により形成して電気−機械変換素子を得た。
上記素子のSi基板の裏面から電気−機械変換素子に対応した堀加工を行い、印加電界に対する振動板撓み量を計測した。すなわち、電気機械変換能は電界印加による変形量をレーザドップラー振動計で計測し、シミュレーションによる合わせ込みから算出した。その圧電定数d31は−120pm/Vとなり、こちらもセラミック焼結体と同等の値であった。これは液体吐出ヘッドとして十分設計できうる特性値である。電気−機械変換膜の膜厚を変化させたときの圧電定数変化を下記表4に記す。電気−機械変換層の膜厚には適正値があり、おおむね0.5μm以上であれば一定の圧電定数を示すことがわかる。
実施例3で得た構成の電気−機械変換素子を備えた液体吐出ヘッドを作製し(図4に示す構成とした:図3の構成を基本としてこれを複数個配置した構成)、インクの吐出評価を行った。
作製した電気−機械変換素子を備えた液体吐出ヘッドを、図5、6に示すようなインクジェット記録装置に搭載し、液体吐出ヘッドの各ノズル孔からのインク吐出安定性、ノズル孔からの吐出ばらつきを評価した結果、いずれも問題なく良好な吐出特性が得られた。
本発明の電気−機械変換素子を用いた液体吐出ヘッド、及び該液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置は、安定したインク滴吐出特性が得られて、画像品質が向上するため、インクジェット式記録装置(例えば、インクジェットプリンタ、MFPを使用するデジタル印刷装置、オフィス、パーソナルで使用するプリンタ、MFP等)用として有用である。また、インクジェット技術を利用する三次元造型技術などへの応用も可能である。
11 第1の電極
12 セラミック薄膜
12’パターン化されたセラミック薄膜
13 SAM
14 PZT塗膜
15 熱処理されたPZT膜
16 セラミック薄膜
16’パターン化されたセラミック薄膜
21 液滴吐出ヘッド
22 液滴
(図3、4)
30 液滴吐出ヘッド30
31 上部電極(第2の電極)
32 電気−機械変換膜
33 下部電極(第1の電極)
34 電気−機械変換素子
35 密着層(下地)
36 振動板(基板)
37 圧力室基板
38 ノズル
39 ノズル板
40 圧力室
41 セラミック薄膜
(図5)
60 液滴吐出塗布装置
61 架台
62 Y軸駆動手段
63 基板
64 ステージ
65 X軸支持部材
66 X軸駆動手段
67 Z軸駆動手段
68 ヘッドベース
69 液滴吐出ヘッド
70 供給用パイプ
(図6)
100 インクジェット記録装置
101 キャリッジ
102 記録ヘッド
103 インクカートリッジ
104 印字機構部
105 用紙
106 給紙カセット
107 手差しトレイ
108 排紙トレイ
109 主ガイドロッド
110 従ガイドロッド
111 主走査モータ
112 駆動プーリ
113 従動プーリ
114 タイミングベルト
115 給紙ローラ
116 フリクションパッド
117 ガイド部材
118 搬送ローラ
119 搬送コロ
120 先端コロ
121 副走査モータ
122 印写受け部材
123 搬送コロ
124 拍車
125 排紙ローラ
126 拍車
127、128 ガイド部材
129 回復装置
Claims (13)
- 基板または下地膜上に第1の電極を形成する工程(I)と、該第1の電極表面にパターン化されたセラミック薄膜を形成する工程(II)と、該セラミック薄膜上に電気−機械変換膜を形成する工程(III)と、該電気−機械変換膜上に第2の電極を形成する工程(IV)とを備えた電気−機械変換素子の製造方法であって、
前記(II)の工程で形成されるセラミック薄膜が、前記(III)の工程で形成される電気−機械変換膜の結晶構造形成時においてシード層として機能する金属酸化物もしくは一般式ABO3[但し、Aは2価の金属元素、もしくは1価の元素と3価の元素が複合(A1/2 1+,A1/2 3+)して2価の元素と等価に振舞う組合せから選択され、Bは4価の金属元素、もしくは2価の元素と5価の元素が複合(B1/3 2+,B2/3 5+)して4価の元素と等価に振舞う組合せ、または3価の元素と5価の元素が複合(B1/2 3+,B1/2 5+)して4価の元素と等価に振舞う組合せ、または2価の元素と6価の元素が複合(B1/2 3+,B1/2 6+)して4価の元素と等価に振舞う組合せ、または3価の元素と6価の元素が複合(B2/3 3+,B1/3 6+)して4価の元素と等価に振舞う組合せから選択される。]で表される金属複合酸化物から構成されるとともに、
前記(III)の工程が、下記第1の工程から第4の工程を含むことを特徴とする電気−機械変換素子の製造方法。
第1の工程:前記セラミック薄膜表面を親水性部位として維持したまま前記第1の電極のみを表面改質させて疎水性部位とする。
第2の工程:前記セラミック薄膜上に、電気−機械変換膜用の前駆体溶液を印刷してCSD(Chemical Solution Deposition)法により塗膜を形成する。
第3の工程:前記塗膜を熱処理する。
第4の工程:前記第1の工程、第2の工程、第3の工程を繰返して電気−機械変換膜を所望の膜厚とする。 - 前記第1の電極のみの表面改質が、チオール化合物溶液を用いた表面処理と該チオール化合物の自己組織化された膜形成により行われることを特徴とする請求項1に記載の電気−機械変換素子の製造方法。
- 前記セラミック薄膜が、チタン酸鉛またはチタン酸鉛リッチなジルコン酸チタン酸鉛から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の電気−機械変換素子の製造方法。
- 前記セラミック薄膜の膜厚が、10nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気−機械変換素子の製造方法。
- 前記電気−機械変換膜が、一般式ABO3[但し、Aは2価の金属元素、もしくは1価の元素と3価の元素が複合(A1/2 1+,A1/2 3+)して2価の元素と等価に振舞う組合せから選択され、Bは4価の金属元素、もしくは2価の元素と5価の元素が複合(B1/3 2+,B2/3 5+)して4価の元素と等価に振舞う組合せ、または3価の元素と5価の元素が複合(B1/2 3+,B1/2 5+)して4価の元素と等価に振舞う組合せ、または2価の元素と6価の元素が複合(B1/2 3+,B1/2 5+)して4価の元素と等価に振舞う組合せ、または3価の元素と6価の元素が複合(B2/3 3+,B1/3 6+)して4価の元素と等価に振舞う組合せから選択される。]で表される金属複合酸化物から構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気−機械変換素子の製造方法。
- 前記電気−機械変換膜の膜厚が、500nm以上5000nm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気−機械変換素子の製造方法。
- 前記第1の電極が、白金族元素、Ag、Au、またはこれらの合金からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電気−機械変換素子の製造方法。
- 前記セラミック薄膜が、金属酸化物もしくは金属複合酸化物からなるアモルファス状態の薄膜をフォトリソグラフィー・エッチングによりパターン化した後、熱処理により結晶化膜に変換したものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電気−機械変換素子の製造方法。
- 前記エッチングが、フッ酸、硝酸、酢酸、水、フッ化アンモニウム、塩酸を主成分とする混酸を用いたウェットエッチングであることを特徴とする請求項8に記載の電気−機械変換素子の製造方法。
- 前記電気−機械変換膜用の前駆体溶液を印刷する方法が、インクジェット印刷であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電気−機械変換素子の製造方法。
- 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電気−機械変換素子の製造方法によって製造されたことを特徴とする電気−機械変換素子。
- 請求項11に記載の電気−機械変換素子を具備することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項12に記載の液滴吐出ヘッドを具備することを特徴とする液滴吐出装置。
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