JP2016166258A - 粘度調整剤 - Google Patents
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Abstract
Description
リチウムイオン電池の正極電極及び負極電極は、それぞれ、活物質とバインダーとを含む1対の電極層で集電体をはさんだ構造となっている。正極電極は、アルミニウム箔等の集電体の両面に、コバルト酸リチウム等の活物質とバインダーとの混合物(溶液)を塗布・乾燥して製造される。負極電極は、銅箔等の集電体に、炭素材料等の活物質とバインダーとの混合物(溶液)を塗布・乾燥して製造される。
[1] カルボキシメチルセルロース又はその塩を含有する粘度調整剤であって、カルボキシメチルセルロース又はその塩に対して、アニオン変性セルロースナノファイバーが30〜2000質量%含有していることを特徴とする粘度調整剤。
[2] 前記アニオン変性セルロースナノファイバーが、アニオン変性セルロースナノファイバーの絶乾質量に対して、カルボキシル基の量が0.6mmol/g〜2.0mmol/gであるカルボキシル化セルロースナノファイバーであることを特徴とする[1]に記載の粘度調整剤。
[3] 前記アニオン変性セルロースナノファイバーが、アニオン変性セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーであることを特徴とする[1]に記載の粘度調整剤。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載された粘度調整剤を含有するリチウムイオン電池電極用組成物。
本発明で用いるカルボキシメチルセルロース又はその塩がある)は、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基がカルボキシメチルエーテル基に置換された構造を持つ。カルボキシメチルセルロースは、塩の形態であってもよい。カルボキシメチルセルロースの塩としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩などの金属塩などが例示される。 本発明においてセルロースとは、D−グルコピラノース(単に「グルコース残基」、「無水グルコース」とも言う。)がβ,1−4結合で連なった構造の多糖を意味する。セルロースは一般に起源、製法等から、天然セルロース、再生セルロース、微細セルロース、非結晶領域を除いた微結晶セルロース等に分類される。
ミカル(株)製の商品名「サンローズ」が挙げられる。
本発明において、アニオン変性セルロースナノファイバー(アニオン変性CNF)は、繊維幅が4〜500nm程度、アスペクト比が100以上の微細繊維であり、カルボキシル化したセルロース(酸化セルロースとも呼ぶ)、カルボキシメチル化したセルロース、リン酸エステル基を導入したセルロースなどのアニオン変性セルロースを解繊することによって得ることができる。
アニオン変性セルロースを製造するためのセルロース原料としては、例えば、植物性材料(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物性材料(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等を起源とするものを挙げることができ、それらのいずれも使用できる。好ましくは植物又は微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。
本発明において、アニオン変性セルロースとして、カルボキシメチル化したセルロースを用いる場合、カルボキシメチル化したセルロースは、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシメチル化することにより得てもよいし、市販品を用いてもよい。いずれの場合も、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度が0.01〜0.50となるものが好ましい。そのようなカルボキシメチル化したセルロースを製造する方法の一例として次のような方法を挙げることができる。セルロースを発底原料にし、溶媒として3〜20質量倍の水及び/又は低級アルコール、具体的には水、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールを混合する場合の低級アルコールの混合割合は、60〜95質量%である。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う。
本発明において、アニオン変性セルロースとしてカルボキシル化(酸化)したセルロースを用いる場合、カルボキシル化セルロース(酸化セルロースとも呼ぶ)は、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシル化(酸化)することにより得ることができる。特に限定されるものではないが、カルボキシル化の際には、アニオン変性セルロースナノファイバーの絶乾質量に対して、カルボキシル基の量が0.6〜2.0mmol/gとなるように調整することが好ましく、1.0mmol/g〜2.0mmol/gになるように調整することがさらに好ましい。
アニオン変性セルロースを解繊する際に用いる装置は特に限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置を用いることができる。解繊の際にはアニオン変性セルロースの水分散体に強力なせん断力を印加することが好ましい。特に、効率よく解繊するには、前記水分散体に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊及び分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて、前記水分散体に予備処理を施してもよい。
本発明の粘度調整剤は、CMC及びアニオン変性CNFを含有した水性懸濁液を乾燥させることで得ることができる。この際、pHを9〜11に調整した後に、乾燥させると、紛体状態の粘度調整剤を溶解あるいは再分散性させる際に凝集物の発生を抑制することができる。
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)500g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)780mgと臭化ナトリウム75.5gを溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。
カルボキシル化セルロースの0.5質量%スラリー(水分散液)60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出した:
カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース〕=a〔ml〕×0.05/カルボキシル化セルロース質量〔g〕。
パルプを混ぜることが出来る撹拌機に、パルプ(NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、日本製紙製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で111g加え、パルプ固形分が20%(w/v)になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後にモノクロロ酢酸ナトリウムを216g(有効成分換算)添加した。30分撹拌した後に、70℃まで昇温し1時間撹拌した。その後、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度0.25のカルボキシルメチル化したパルプを得た。その後、カルボキシメチル化したパルプを水で固形分1%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、150MPaの圧力で5回処理することにより解繊し、カルボキシメチル化セルロース繊維とした。得られた繊維は、平均繊維径が50nm、アスペクト比が120であった。
カルボキシメチル化セルロース繊維(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れた。硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(CM化セルロース)を水素型CM化セルロースにした。水素型CM化セルロース(絶乾)を1.5〜2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れた。80%メタノール15mLで水素型CM化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうした。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定した。カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出した:
A=[(100×F’−(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(水素型CM化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:水素型CM化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F’:0.1NのH2SO4のファクター
F:0.1NのNaOHのファクター。
アニオン変性CNFの平均繊維径および平均繊維長は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、ランダムに選んだ200本の繊維について解析した。なおアスペクト比は下記の式により算出した:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径。
アニオン変性CNFとして、上記のカルボキシル化CNF(カルボキシル基量:1.6mmol/g、平均繊維径:40nm、アスペクト比:150)を用いた。カルボキシメチルセルロース(商品名:MAC800LC、日本製紙社製、粘度(1%、25℃)約8000mPa・s、カルボキシメチル置換度約0.7)100質量部(固形分)に対してと、アニオン変性CNFの0.7質量%水性懸濁液を333質量%(固形分)となるように混合し、TKホモミキサー(12,000rpm)で60分間攪拌することにより、粘度調整剤の水溶液(水分散液)を調製した。この水溶液のpHは7〜8程度であった。この水溶液に、水酸化ナトリウム水溶液0.5%を加え、pHを9に調整した後、ドラム乾燥機D0405(カツラギ工業社製)のドラム表面に塗布し、厚さ100〜200μm程度の薄膜を形成させ、蒸気圧力0.5MPa.G、ドラム回転数2rpmで乾燥し、水分量5質量%の粘度調整剤の乾燥固形物を得た。
粘度変化率=〔(粘度2−粘度1)/粘度1〕×100 (%)
経過日数0日(包装前)の粘度調整剤の1%水溶液粘度(粘度1)に対する、包装後60℃の条件下で10、25日間保管した後の粘度調整剤の1%水溶液粘度(粘度2)粘度の変化率
カルボキシメチルセルロース(商品名:MAC800LC)を60℃乾燥機中で保管し、10、25日後の粘度を測定し、60℃乾燥機保管前からの粘度変化率を調査した。
Claims (4)
- カルボキシメチルセルロース又はその塩を含有する粘度調整剤であって、カルボキシメチルセルロース又はその塩に対して、アニオン変性セルロースナノファイバーが30〜2000質量%含有していることを特徴とする粘度調整剤。
- 前記アニオン変性セルロースナノファイバーが、アニオン変性セルロースナノファイバーの絶乾質量に対して、カルボキシル基の量が0.6mmol/g〜2.0mmol/gであるカルボキシル化セルロースナノファイバーであることを特徴とする請求項1に記載の粘度調整剤。
- 前記アニオン変性セルロースナノファイバーが、アニオン変性セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーであることを特徴とする請求項1に記載の粘度調整剤。
- 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された粘度調整剤を含有するリチウムイオン電池電極用組成物。
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